JP2020139872A - 慣性センサー、電子機器および移動体 - Google Patents
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Abstract
【課題】封止部材がセンサー素子に付着し難く、センサー素子の駆動特性の低下を抑制することのできる慣性センサー、電子機器および移動体を提供すること。【解決手段】慣性センサーは、基板と、前記基板に接合されている蓋と、を備え、前記基板と前記蓋との間に内部空間を有するパッケージと、前記内部空間に収納されているセンサー素子と、を有し、前記蓋は、前記内部空間の内外を連通し、封止部材によって封止されている貫通孔を有し、前記蓋に設けられ、平面視で前記貫通孔の前記内部空間側の開口を囲んでいる筒状の第1凸部と、前記基板に設けられ、平面視で前記第1凸部の外周を囲んでいる筒状の第2凸部と、を有する。【選択図】図7
Description
本発明は、慣性センサー、電子機器および移動体に関するものである。
特許文献1には、基板と、基板に設けられているセンサー素子と、センサー素子を覆うようにして基板2に接合されている蓋と、を有する慣性センサーが記載されている。また、蓋には、センサー素子が収納されている内部空間の内外を連通する貫通孔が形成されており、この貫通孔を介して内部空間を所望の雰囲気とすることができる。このように、貫通孔を介して内部空間を所望の雰囲気にした後、貫通孔は、封止部材により封止される。
しかしながら、特許文献1の慣性センサーでは、貫通孔がセンサー素子の直上に位置している。そのため、封止部材により貫通孔を封止する際に、封止部材が貫通孔を通過してそのままセンサー素子に付着し、センサー素子の駆動特性に影響を与えるおそれがあった。
本実施形態に記載の慣性センサーは、基板と、前記基板に接合されている蓋と、を備え、前記基板と前記蓋との間に内部空間を有するパッケージと、
前記内部空間に収納されているセンサー素子と、を有し、
前記蓋は、前記内部空間の内外を連通し、封止部材によって封止されている貫通孔を有し、
前記蓋に設けられ、平面視で前記貫通孔の前記内部空間側の開口を囲んでいる筒状の第1凸部と、
前記基板に設けられ、平面視で前記第1凸部の外周を囲んでいる筒状の第2凸部と、を有することを特徴とする。
前記内部空間に収納されているセンサー素子と、を有し、
前記蓋は、前記内部空間の内外を連通し、封止部材によって封止されている貫通孔を有し、
前記蓋に設けられ、平面視で前記貫通孔の前記内部空間側の開口を囲んでいる筒状の第1凸部と、
前記基板に設けられ、平面視で前記第1凸部の外周を囲んでいる筒状の第2凸部と、を有することを特徴とする。
以下、本発明の慣性センサー、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の慣性センサーを示す平面図である。図2は、図1中のA−A線断面図である。図3は、X軸方向の加速度を検出するセンサー素子の一例を示す平面図である。図4は、Y軸方向の加速度を検出するセンサー素子の一例を示す平面図である。図5は、Z軸方向の加速度を検出するセンサー素子の一例を示す平面図である。図6は、各センサー素子に印加する駆動電圧の一例を示す図である。図7は、図2中の領域Qを示す断面図である。図8は、図7に示す異物付着抑制部の横断面図である。図9は、図7に示す異物付着抑制部の変形例を示す横断面図である。図10ないし図13は、図7に示す異物付着抑制部の変形例を示す断面図である。
図1は、第1実施形態の慣性センサーを示す平面図である。図2は、図1中のA−A線断面図である。図3は、X軸方向の加速度を検出するセンサー素子の一例を示す平面図である。図4は、Y軸方向の加速度を検出するセンサー素子の一例を示す平面図である。図5は、Z軸方向の加速度を検出するセンサー素子の一例を示す平面図である。図6は、各センサー素子に印加する駆動電圧の一例を示す図である。図7は、図2中の領域Qを示す断面図である。図8は、図7に示す異物付着抑制部の横断面図である。図9は、図7に示す異物付着抑制部の変形例を示す横断面図である。図10ないし図13は、図7に示す異物付着抑制部の変形例を示す断面図である。
各図には、互いに直交する3つの軸としてX軸、Y軸およびZ軸が図示されている。また、X軸に沿う方向すなわちX軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に沿う方向を「Y軸方向」、Z軸に沿う方向を「Z軸方向」とも言う。また、各軸の矢印先端側を「プラス側」とも言い、反対側を「マイナス側」とも言う。また、Z軸方向プラス側を「上」とも言い、Z軸方向マイナス側を「下」とも言う。
図1に示す慣性センサー1は、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の加速度をそれぞれ独立して検出することのできる加速度センサーである。このような慣性センサー1は、基板2と、基板2に配置されている3つのセンサー素子3、4、5と、センサー素子3、4、5を収納して基板2に接合されている蓋6と、を有する。そして、3つのセンサー素子3、4、5のうち、センサー素子3がX軸方向の加速度Axを検出し、センサー素子4がY軸方向の加速度Ayを検出し、センサー素子5がZ軸方向の加速度Azを検出する。なお、図1では、説明の便宜上、センサー素子3、4、5は、簡略化して図示している。
慣性センサー1の構成は、上述の構成に限定されず、例えば、センサー素子3、4、5の配置、形状、機能等は、図示の構成と異なっていてもよい。また、例えば、センサー素子3、4、5のうちの1つまたは2つを省略してもよい。また、センサー素子3、4、5に替えて、または、追加して、角速度を検出できるセンサー素子を用いてもよい。
図1および図2に示すように、基板2は、表裏関係にある上面2aおよび下面2bを有する板状をなし、上面2aに開口する3つの凹部23、24、25を有する。そして、凹部23と重なってセンサー素子3が配置され、凹部24と重なってセンサー素子4が配置され、凹部25と重なってセンサー素子5が配置されている。これら凹部23、24、25によって、センサー素子3、4、5と基板2との接触が抑制される。
このような基板2としては、例えば、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンを含むガラス材料、具体的には、テンパックスガラス、パイレックスガラス(いずれも登録商標)のような硼珪酸ガラスで構成されているガラス基板を用いることができる。ただし、基板2の構成材料としては、特に限定されず、シリコン基板、セラミックス基板等を用いてもよい。
図2に示すように、蓋6は、表裏関係にある上面6aおよび下面6bを有する板状をなし、下面6bに開口している凹部61を有する。また、蓋6は、その内側に形成されている凹部61にセンサー素子3、4、5を収納して基板2の上面2aに接合されている。そして、蓋6および基板2によって、センサー素子3、4、5を気密に収納する内部空間Sを有するパッケージ100が構成されている。
また、蓋6には内部空間Sの内外を連通する貫通孔62が設けられ、この貫通孔62を介して内部空間Sを所望の雰囲気に置換することができる。内部空間Sを所望の雰囲気とした後、貫通孔62は、封止部材63によって封止される。また、貫通孔62は、Z軸方向からの平面視で、センサー素子3、4、5と重ならないように設けられている。本実施形態では、封止部材63は、酸化シリコン(SiO2)で構成され、TEOS(テトラエトキシシラン)を用いたCVD法で形成されている。ただし、封止部材63の構成材料としては、特に限定されず、例えば、窒化シリコン、各種金属材料等を用いることができる。また、封止部材63の形成方法としては、特に限定されず、例えば、スパッタリングで形成することができる。また、例えば、貫通孔62内に配置した金属ボールにレーザー光を照射して溶融、固化させることにより、貫通孔62を封止してもよい。
なお、このような構成では、封止部材63で貫通孔62を封止する際に、封止部材63の一部が貫通孔62を通過して内部空間Sに侵入し、センサー素子3、4、5に付着するおそれがある。センサー素子3、4、5への封止部材63の付着は、センサー素子3、4、5の駆動特性の低下や変動の原因となるため、慣性センサー1では、内部空間Sに侵入した封止部材63がセンサー素子3、4、5に付着するのを抑制する異物付着抑制部9が設けられている。これにより、センサー素子3、4、5の駆動特性の低下や変動を抑制することができる。この異物付着抑制部9については、後に詳細に説明する。
内部空間Sは、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されて、使用温度(例えば、−40℃〜80℃程度)で、ほぼ大気圧であることが好ましい。内部空間Sを大気圧とすることにより粘性抵抗が増してダンピング効果が発揮され、各センサー素子3、4、5の振動を速やかに収束させることができる。そのため、慣性センサー1の検出精度が向上する。
このような蓋6としては、例えば、シリコン基板を用いることができる。ただし、蓋6としては、特に限定されず、例えば、ガラス基板やセラミックス基板を用いてもよい。また、基板2と蓋6との接合方法としては、特に限定されず、基板2や蓋6の材料によって適宜選択すればよいが、本実施形態では、蓋6の下面全周にわたって形成されている接合部材69によって接合されている。接合部材69としては、例えば、低融点ガラスであるガラスフリット材を用いることができる。
なお、図1に示すように、蓋6は、基板2の第1方向であるX軸方向プラス側に偏って配置され、基板2のX軸方向マイナス側の部分が蓋6から露出している。以下では、この露出している部分を「露出部29」とも言う。
また、基板2は、その上面2aに開放する溝を有し、この溝には複数の配線731、732、733、741、742、743、751、752、753および端子831、832、833、841、842、843、851、852、853が配置されている。配線731、732、733、741、742、743、751、752、753は、内部空間Sの内外に亘って配置されている。そして、これらの内、配線731、732、733がセンサー素子3と電気的に接続され、配線741、742、743がセンサー素子4と電気的に接続され、配線751、752、753がセンサー素子5と電気的に接続されている。
また、端子831、832、833、841、842、843、851、852、853は、それぞれ、露出部29に配置されている。そして、端子831が配線731と電気的に接続され、端子832が配線732と電気的に接続され、端子833が配線733と電気的に接続され、端子841が配線741と電気的に接続され、端子842が配線742と電気的に接続され、端子843が配線743と電気的に接続され、端子851が配線751と電気的に接続され、端子852が配線752と電気的に接続され、端子853が配線753と電気的に接続されている。
次に、図3ないし図5に基づいて、センサー素子3、4、5について説明する。センサー素子3、4、5は、例えば、リン(P)、ボロン(B)、砒素(As)等の不純物がドープされたシリコン基板10を基板2の上面に陽極接合し、このシリコン基板を深溝エッチング技術であるボッシュ・プロセスによってパターニングすることにより、一括して形成することができる。ただし、センサー素子3、4、5の形成方法としては、これに限定されない。
センサー素子3は、X軸方向の加速度Axを検出することができる。このようなセンサー素子3としては、例えば、図3に示すように、凹部23の底面から突出するマウント231に固定されている固定部31と、固定部31に対してX軸方向に変位可能な可動体32と、固定部31と可動体32とを連結するばね33、34と、可動体32が備えている第1可動電極35および第2可動電極36と、凹部23の底面から突出するマウント232に固定され、第1可動電極35と対向している第1固定電極38と、凹部23の底面から突出するマウント233に固定され、第2可動電極36と対向している第2固定電極39と、を有する。
また、第1、第2可動電極35、36が固定部31において配線731と電気的に接続され、第1固定電極38が配線732と電気的に接続され、第2固定電極39が配線733と電気的に接続されている。そして、第1、第2可動電極35、36には、端子831を介して、例えば、図6に示すような直流電圧と交流電圧とを重畳させた駆動電圧Vxが印加される。一方、第1、第2固定電極38、39は、端子832、833を介してチャージアンプに接続される。そのため、第1可動電極35と第1固定電極38との間に静電容量Cx1が形成され、第2可動電極36と第2固定電極39との間に静電容量Cx2が形成される。
そして、静電容量Cx1、Cx2が形成されている状態で、センサー素子3に加速度Axが加わると、可動体32がX軸方向に変位し、それに伴って静電容量Cx1、Cx2が互いに逆相で変化する。そのため、これら静電容量Cx1、Cx2の変化(差動演算)に基づいて、センサー素子3が受けた加速度Axを求めることができる。
センサー素子4は、Y軸方向の加速度Ayを検出することができる。このようなセンサー素子4としては、特に限定されないが、例えば、図4に示すように、上述したセンサー素子3をZ軸まわりに90°回転させた構成とすることができる。つまり、センサー素子4は、凹部24の底面から突出するマウント241に固定されている固定部41と、固定部41に対してY軸方向に変位可能な可動体42と、固定部41と可動体42とを連結するばね43、44と、可動体42が備えている第1可動電極45および第2可動電極46と、凹部24の底面から突出するマウント242に固定され、第1可動電極45と対向している第1固定電極48と、凹部24の底面から突出するマウント243に固定され、第2可動電極46と対向している第2固定電極49と、を有する。
また、第1、第2可動電極45、46が固定部41において配線741と電気的に接続され、第1固定電極48が配線742と電気的に接続され、第2固定電極49が配線743と電気的に接続されている。そして、第1、第2可動電極45、46には、端子841を介して、例えば、図6に示すような直流電圧と交流電圧とを重畳させた駆動電圧Vyが印加される。一方、第1、第2固定電極48、49は、端子842、843を介してチャージアンプに接続される。そのため、第1可動電極45と第1固定電極48との間に静電容量Cy1が形成され、第2可動電極46と第2固定電極49との間に静電容量Cy2が形成される。
そして、静電容量Cy1、Cy2が形成されている状態で、センサー素子4に加速度Ayが加わると、可動体42がY軸方向に変位し、それに伴って静電容量Cy1、Cy2が互いに逆相で変化する。そのため、これら静電容量Cy1、Cy2の変化(差動演算)に基づいて、センサー素子4が受けた加速度Ayを求めることができる。
センサー素子5は、Z軸方向の加速度Azを検出することができる。このようなセンサー素子5としては、特に限定されないが、例えば、図5に示すように、凹部25の底面から突出するマウント251に固定されている固定部51と、固定部51と梁53を介して接続され、固定部51に対してX軸に沿う揺動軸Jまわりに揺動可能な可動体52と、を有する。また、可動体52は、揺動軸Jの一方側に位置する第1可動部521と他方側に位置する第2可動部522とで、揺動軸Jまわりの回転モーメントが異なっている。また、センサー素子5は、凹部25の底面に配置され、第1可動部521と対向して配置されている第1固定電極54と、第2可動部522と対向して配置されている第2固定電極55と、を有する。
また、可動体52が固定部51において配線751と電気的に接続され、第1固定電極54が配線752と電気的に接続され、第2固定電極55が配線753と電気的に接続されている。そして、可動体52には、端子851を介して、例えば、図6に示すような直流電圧と交流電圧とを重畳させた駆動電圧Vzが印加される。一方、第1、第2固定電極54、55は、端子852、853を介してチャージアンプに接続される。そのため、第1可動部521と第1固定電極54との間に静電容量Cz1が形成され、第2可動部522と第2固定電極55との間に静電容量Cz2が形成される。
そして、静電容量Cz1、Cz2が形成されている状態で、センサー素子5に加速度Azが加わると、可動体52が揺動軸Jまわりに変位し、それに伴って静電容量Cz1、Cz2が互いに逆相で変化する。そのため、これら静電容量Cz1、Cz2の変化(差動演算)に基づいて、センサー素子5が受けた加速度Azを求めることができる。
以上、慣性センサー1の基本的な構成について説明した。次に、異物付着抑制部9について詳細に説明する。異物付着抑制部9は、内部空間Sに侵入した封止部材63がセンサー素子3、4、5に付着するのを抑制する機能を有する。
図7に示すように、異物付着抑制部9は、蓋6に設けられ、貫通孔62と連通する円筒状の第1凸部91と、基板2に設けられ、第1凸部91と対向している円筒状の第2凸部92と、を有する。第1凸部91および第2凸部92は、それぞれ、内部空間Sに設けられている。また、第1凸部91は、内径r1および外径R1が軸方向に一定なストレート状となっている。同様に、第2凸部92も、内径r2および外径R2が軸方向に一定なストレート状となっている。前述したように、貫通孔62は、センサー素子3、4、5と重ならないように設けられているため、これら第1、第2凸部91、92を容易に設けることができる。
なお、前記「筒状」とは、図8に示すように、本実施形態のような横断面が環状の切り欠きのない筒形状の他、図9に示すように、軸方向に延びる切り欠きKが形成され、横断面がC状の半筒形状も含む意味である。半筒形状の場合、全周に占める切り欠きKの割合が小さいほど好ましく、具体的には、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。また、第1凸部91および第2凸部92の両方に切り欠きKがある場合には、図9に示すように、切り欠きK同士が並ばないように周方向にずれていることが好ましい。これにより、切り欠きKから封止部材63が飛散し難くなる。また、第2凸部92の切り欠きKは、センサー素子3、4、5の方を向かないように位置していることが好ましい。これにより、切り欠きKから封止部材63が飛散しても、その飛散方向をセンサー素子3、4、5からずらすことができ、センサー素子3、4、5への封止部材63の付着を抑制することができる。
第1凸部91は、その上端において凹部61の底面611と接続し、底面611から基板2側すなわちZ軸方向マイナス側に向けて突出している。また、第1凸部91は、Z軸方向からの平面視で、下側開口621の全周を囲んでおり、その内側空間S91が貫通孔62と連通している。
なお、本実施形態では、貫通孔62の内周面と第1凸部91の内周面とが連続しているが、これに限定されず、例えば、図12に示すように、下側開口621の径よりも第1凸部91の内径r1の方が大きく、貫通孔62の内周面と第1凸部91の内周面との間に底面611で構成されている段差Cが形成されていてもよい。また、図13に示すように、下側開口621の径よりも第1凸部91の内径r1の方が小さく、貫通孔62の内周面と第1凸部91の内周面との間に第1凸部91の上端面91aで構成されている段差Cが形成されていてもよい。
また、各センサー素子3、4、5の上面が位置するX−Y平面を「平面F」としたとき、第1凸部91の下端面91bは、平面Fと蓋6の下面6bとの間に位置している。このような構成によれば、第1凸部91と基板2との間に隙間G1を形成することができ、貫通孔62を介して内部空間Sを所望の雰囲気に置換することができる。また、第1凸部91の下端面91bを基板2の上面2aに十分に近づけることができ、隙間G1が十分に小さくなる。そのため、封止部材63が隙間G1を介して第1凸部91外に飛散するのを効果的に抑制することができる。ただし、第1凸部91の下端面91bの位置は、特に限定されず、例えば、平面Fよりも上側、すなわち、平面Fと底面611との間に位置していてもよい。
また、第1凸部91は、蓋6と一体形成されている。これにより、第1凸部91の形成が容易となる。また、第1凸部91を蓋6と一体形成することにより、これらの間に隙間が生じず、当該隙間から封止部材63が第1凸部91外に飛散するのを効果的に抑制することができる。そのため、内部空間Sに侵入した封止部材63がセンサー素子3、4、5に付着するのを効果的に抑制することができる。ただし、第1凸部91は、蓋6と別体で形成され、接合部材等を介して底面611に接合されていてもよい。
一方、第2凸部92は、その下端が基板2の上面2aと接続し、上面2aから蓋6側に向けて突出している。また、第2凸部92は、Z軸方向からの平面視で、第1凸部91と重なって設けられており、第1凸部91の全周を囲んでいる。また、第2凸部92の上端面92aは、第1凸部91の下端面91bよりも上側すなわちZ軸方向+側に位置し、第1凸部91の下端部が第2凸部92の内側空間S92に挿入されている。このような構成とすることにより、第2凸部92によって、下端面91bと上面2aとの隙間G1をその全周にわたって囲むことができるため、封止部材63が隙間G1から第1凸部91外に飛散したとしても、その外側に位置する第2凸部92によって封止部材63の更なる飛散を抑制することができる。つまり、封止部材63が第2凸部92外まで飛散するのを効果的に抑制することができ、その結果、封止部材63のセンサー素子3、4、5への付着を効果的に抑制することができる。
なお、第1凸部91の外径R1は、第2凸部92の内径r2よりも小さく、第1凸部91の外周面と第2凸部92の内周面との間には隙間G2が形成されている。そのため、隙間G1、G2を介して、貫通孔62と内部空間Sとが連通し、貫通孔62を介して内部空間Sを所望の雰囲気とすることができる。ここで、R1/r2としては、特に限定されないが、例えば、0.7≦R1/r2≦0.95であることが好ましく、0.8≦R1/r2≦0.9であることがより好ましい。これにより、隙間G2を、貫通孔62を介して内部空間Sの雰囲気を置換するのに必要な大きさを確保しつつ、十分に小さくすることができる。そのため、封止部材63が第2凸部92外に飛散するのをより効果的に抑制することができる。
また、第2凸部92の上端面92aは、平面Fと面一である。これにより、第2凸部92を十分な高さとすることができる。また、前述したように、第1凸部91の下端面91bが平面Fよりも下側に位置しているため、第2凸部92の上端面92aを平面Fと面一とすることより、第2凸部92内に第1凸部91を挿入させることができる。ただし、第2凸部92の上端面92aの位置としては、特に限定されず、平面Fより上側であってもよいし、下側であってもよい。
このような構成の第2凸部92は、センサー素子3、4、5と同じ材料で構成されている。特に、本実施形態では、第2凸部92は、センサー素子3、4、5を形成するシリコン基板10から形成されている。これにより、第2凸部92をセンサー素子3、4、5と共にシリコン基板10から一括形成することができるため、第2凸部92の形成が容易となる。また、第2凸部92を形成するための別工程が不要であるため、慣性センサー1の製造工程数が増加せず、慣性センサー1の製造コストの増加を抑制することもできる。特に、前述したように、第2凸部92の上端面92aを平面Fと面一とすることにより、ボッシュ・プロセスによるエッチングの前または後に第2凸部92の高さを調整するための加工が不要となるため、第2凸部92の形成がより容易となる。
なお、第1凸部91および第2凸部92の形状は、それぞれ、特に限定されず、例えば、断面形状が三角形、四角形等の多角形、長円形、異形等であってもよい。また、第1凸部91および第2凸部92は、断面形状が互いに異なっていてもよい。また、第1凸部91および第2凸部92は、内径および外径の少なくとも一方が、軸方向に変化していてもよい。例えば、図10に示す変形例では、第1凸部91は、その内径r1および外径R2が基板2側に向けて漸減するテーパー状となっており、第2凸部92は、その内径r2が基板2側に向けて漸減するテーパー状となっている。特に、図示の構成では、第1凸部91の内周面のテーパー角度が貫通孔62の内周面のテーパー角度と等しく、第2凸部92の内周面のテーパー角度が第1凸部91の外周面のテーパー角度と等しい。また、例えば、図11に示す変形例では、第1凸部91の外周がくびれ形状となっており、第1凸部の軸方向すなわちZ軸方向の中央部における外径R1’が軸方向の両端部における外径R1”よりも小さくなっている。
また、図1に示すように、基板2に設けられた各配線731〜733、741〜743、751〜753は、Z軸方向からの平面視で、第2凸部92と重ならないように配置されている。これにより、第2凸部92内に配線731〜733、741〜743、751〜753が露出せず、第1凸部91内を飛散する封止部材63が配線731〜733、741〜743、751〜753に付着するのを効果的に抑制することができる。そのため、封止部材63の付着による各配線731〜733、741〜743、751〜753の寄生容量の変化、封止部材63が導電性を有する場合には配線間の短絡を効果的に抑制することができる。
以上、慣性センサー1について説明した。このような慣性センサー1は、前述したように、基板2と、基板2に接合されている蓋6と、を備え、基板2と蓋6との間に内部空間Sを有するパッケージ100と、内部空間Sに収納されているセンサー素子3、4、5と、を有する。また、蓋6は、内部空間Sの内外を連通し、封止部材63によって封止されている貫通孔62を有する。そして、慣性センサー1は、蓋6に設けられ、Z軸方向からの平面視で、貫通孔62の内部空間S側の開口である下側開口621を囲んでいる筒状の第1凸部91と、基板2に設けられ、Z軸方向からの平面視で第1凸部91の外周を囲んでいる筒状の第2凸部92と、を有する。このような構成によれば、第1凸部91および第2凸部92によって、封止部材63の内部空間S内への飛散を抑制することができる。そのため、センサー素子3、4、5への封止部材63の付着を抑制でき、センサー素子3、4、5の駆動特性の低下や変動を抑制することができる。
また、前述したように、第1凸部91の基板2側の端部は、第2凸部92に挿入されている。これにより、第2凸部92によって、下端面91bと上面2aとの隙間G1をその全周にわたって囲むことができる、そのため、封止部材63が隙間G1から第1凸部91外に飛散したとしても、その外側に位置する第2凸部92によって封止部材63の更なる飛散を抑制することができる。その結果、封止部材63のセンサー素子3、4、5への付着をより効果的に抑制することができる。
また、前述したように、第1凸部91は、蓋6と一体形成されている。つまり、第1凸部91は、蓋6と一体である。これにより、第1凸部91の形成が容易となる。また、蓋6と第1凸部91との間に隙間が生じず、当該隙間から封止部材63が第1凸部91外に飛散するのを効果的に抑制することができる。
また、前述したように、第2凸部92は、センサー素子3、4、5と同じ材料、本実施形態ではシリコンを含んでいる。これにより、第2凸部92をセンサー素子3、4、5と共にシリコン基板10から一括形成することができる。そのため、第2凸部92の形成が容易となる。
また、前述したように、慣性センサー1は、基板2に設けられ、センサー素子3、4、5と電気的に接続されている配線731〜733、741〜743、751〜753を有する。そして、配線731〜733、741〜743、751〜753は、Z軸方向からの平面視で、第2凸部92と重ならない。これにより、第2凸部92内に配線731〜733、741〜743、751〜753が露出せず、第1凸部91内を飛散する封止部材63が配線731〜733、741〜743、751〜753に付着するのを効果的に抑制することができる。そのため、封止部材63の付着による配線731〜733、741〜743、751〜753の寄生容量の変化、封止部材63が導電性を有する場合には配線間の短絡を効果的に抑制することができる。
<第2実施形態>
図14は、第2実施形態の慣性センサーが有する異物付着抑制部を示す断面図である。
図14は、第2実施形態の慣性センサーが有する異物付着抑制部を示す断面図である。
本実施形態は、異物付着抑制部9の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図14において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図14に示すように、本実施形態の異物付着抑制部9は、前述した第1凸部91および第2凸部92に加えて、さらに、基板2の上面2aに開口すると共に、第2凸部92の内側空間S92と連通している凹部93を有する。このような凹部93は、第1凸部91内を飛散してきた封止部材63の溜り部として機能する。そのため、第1凸部91と第2凸部92との間の隙間G2から第2凸部92外に封止部材63が飛散するのをより効果的に抑制することができる。なお、凹部93の平面視形状は、第2凸部92と同心的な円形である。ただし、凹部93の平面視形状は、特に限定されない。
また、第2凸部92の内径をr2とし、外径をR2としたとき、凹部93の開口931の直径R3は、r2<R3<R2であり、第2凸部92の下側開口921が凹部93の開口931の内側に位置している。そのため、第2凸部92の内周面と、凹部93の内周面との間には、第2凸部92の下端面92bで構成されている段差Dが形成されている。この段差Dによって、返し部94が形成され、凹部93内に侵入した封止部材63が凹部93外へ飛散し難くなる。そのため、隙間G2から第2凸部92外に封止部材63が飛散するのをさらに効果的に抑制することができる。
このように、本実施形態の慣性センサー1では、基板2は、第2凸部92の内側空間S92と連通する凹部93を有する。このような凹部93は、第1凸部91内を飛散してきた封止部材63の溜り部として機能し、隙間G2から第2凸部92外に封止部材63が飛散するのをより効果的に抑制することができる。
また、前述したように、Z軸方向からの平面視で、下側開口921は、凹部93の開口931の内側に位置している。そのため、第2凸部92の内周面と凹部93の内周面との間に段差Dが形成され、この段差Dによって返し部94が形成される。その結果、凹部93内に侵入した封止部材63が凹部93外へ飛散し難くなる。そのため、隙間G2から第2凸部92外に封止部材63が飛散するのをさらに効果的に抑制することができる。
<第3実施形態>
図15は、第3実施形態の慣性センサーが有する異物付着抑制部を示す断面図である。
図15は、第3実施形態の慣性センサーが有する異物付着抑制部を示す断面図である。
本実施形態は、異物付着抑制部9の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図15において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図15に示すように、本実施形態の慣性センサー1では、第1凸部91の下端面91bが平面Fより上側に位置し、第1凸部91が第2凸部92の内側空間S92に挿入されていない。また、第1凸部91の内周面の異なる2点を結ぶ直線のうち、基板2の上面2aに対する角度θ1が最も小さくなる直線Lが第2凸部92の内面と交差している。図示の構成では、直線Lは、第1凸部91の上端のY軸方向プラス側に位置する点P1と、第1凸部91の下端のY軸方向マイナス側に位置する点P2とを結んでいる。なお、前記「第2凸部92の内面」には、第2凸部92の内周面の他、第2凸部92の下側開口921から露出している基板2の上面2aも含まれる。
封止部材63が直線的に飛散するとしたとき、封止部材63の飛散方向で最も角度θ1が小さくなるのが、直線Lに沿う方向であると考えられる。そのため、直線Lが第2凸部92の内面と交差していれば、第1凸部91外に飛散した封止部材63が第2凸部92の内面に付着し、第2凸部92外への飛散を抑制することができる。
このように、本実施形態の慣性センサー1では、第1凸部91の内周面の異なる2点を結ぶ直線のうち、基板2の主面である上面2aに対する角度θ1が最も小さくなる直線Lは、第2凸部92の内面と交差する。これにより、第1凸部91外に飛散した封止部材63が第2凸部92の内面に付着し、第2凸部92外への飛散を抑制することができる。
<第4実施形態>
図16は、第4実施形態の慣性センサーを示す平面図である。
図16は、第4実施形態の慣性センサーを示す平面図である。
本実施形態は、第2凸部92がセンサー素子3が有する可動体32の過度な変位を規制するストッパーとして機能すること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図16において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図16に示すように、本実施形態の慣性センサー1では、第2凸部92がセンサー素子3のX軸方向マイナス側に位置している。また、第2凸部92は、センサー素子3と近接しており、第2凸部92とセンサー素子3の可動体32と対向している。また、第2凸部92と可動体32との離間距離D1は、第1可動電極35と第1固定電極38との離間距離D2および第2可動電極36と第2固定電極39との離間距離D3よりも小さい。つまり、D1<D2であり、D1<D3である。これにより、強い衝撃等により可動体32にX軸方向の大きな加速度が加わった際、第1、第2可動電極35、36および第1、第2固定電極38、39が接触する前に、第2凸部92に可動体32が接触し、それ以上の変位が規制される。そのため、センサー素子3、特に、第1、第2可動電極35、36および第1、第2固定電極38、39の破損を効果的に抑制することができる。
このように、本実施形態の慣性センサー1では、センサー素子3は、基板2に対して変位可能な可動体32を有し、第2凸部92は、可動体32と接触可能である。可動体32が第2凸部92と接触することにより、可動体32のそれ以上の変位が規制される。そのため、センサー素子3の過度な変位を規制でき、センサー素子3の破損を効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態の第2凸部92は、センサー素子3が有する可動体32の過度な変位を規制するストッパーとして機能しているが、これに限定されず、センサー素子4が有する可動体42の過度な変位を規制するストッパーとして機能してもよいし、各可動体32、42の過度な変位を規制するストッパーとして機能してもよい。
<第5実施形態>
図17は、第5実施形態のスマートフォンを示す平面図である。
図17は、第5実施形態のスマートフォンを示す平面図である。
図17に示すスマートフォン1200には、慣性センサー1と、慣性センサー1から出力される検出信号に基づいて制御を行う制御回路1210と、が内蔵されている。慣性センサー1によって検出された検出データは、制御回路1210に送信され、制御回路1210は、受信した検出データからスマートフォン1200の姿勢や挙動を認識して、表示部1208に表示されている表示画像を変化させたり、警告音や効果音を鳴らしたり、振動モーターを駆動して本体を振動させることができる。
このような電子機器としてのスマートフォン1200は、慣性センサー1と、慣性センサー1から出力された検出信号に基づいて制御を行う制御回路1210と、を有する。そのため、前述した慣性センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
なお、慣性センサー1を内蔵する電子機器としては、特に限定されず、スマートフォン1200以外にも、例えば、パーソナルコンピューター、デジタルスチールカメラ、タブレット端末、時計、スマートウォッチ、インクジェットプリンタ、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)等のウェアラブル端末、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器、魚群探知機、各種測定機器、移動体端末基地局用機器、車両、航空機、船舶等の各種計器類、フライトシミュレーター、ネットワークサーバー等が挙げられる。
<第6実施形態>
図18は、第6実施形態の慣性計測装置を示す分解斜視図である。図19は、図18に示す慣性計測装置が有する基板の斜視図である。
図18は、第6実施形態の慣性計測装置を示す分解斜視図である。図19は、図18に示す慣性計測装置が有する基板の斜視図である。
図18に示す慣性計測装置2000(IMU:Inertial Measurement Unit)は、自動車や、ロボットなどの被装着装置の姿勢や、挙動を検出する慣性計測装置である。慣性計測装置2000は、3軸加速度センサーおよび3軸角速度センサーを備えた6軸モーションセンサーとして機能する。
慣性計測装置2000は、平面形状が略正方形の直方体である。また、正方形の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に固定部としてのネジ穴2110が形成されている。この2ヶ所のネジ穴2110に2本のネジを通して、自動車などの被装着体の被装着面に慣性計測装置2000を固定することができる。なお、部品の選定や設計変更により、例えば、スマートフォンや、デジタルスチールカメラに搭載可能なサイズに小型化することも可能である。
慣性計測装置2000は、アウターケース2100と、接合部材2200と、センサーモジュール2300と、を有し、アウターケース2100の内部に、接合部材2200を介在させて、センサーモジュール2300を挿入した構成となっている。アウターケース2100の外形は、前述した慣性計測装置2000の全体形状と同様に、平面形状が略正方形の直方体であり、正方形の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に、それぞれネジ穴2110が形成されている。また、アウターケース2100は、箱状であり、その内部にセンサーモジュール2300が収納されている。
センサーモジュール2300は、インナーケース2310と、基板2320と、を有している。インナーケース2310は、基板2320を支持する部材であり、アウターケース2100の内部に収まる形状となっている。また、インナーケース2310には、基板2320との接触を抑制するための凹部2311や後述するコネクター2330を露出させるための開口2312が形成されている。このようなインナーケース2310は、接合部材2200を介してアウターケース2100に接合されている。また、インナーケース2310の下面には接着剤を介して基板2320が接合されている。
図19に示すように、基板2320の上面には、コネクター2330、Z軸まわりの角速度を検出する角速度センサー2340z、X軸、Y軸およびZ軸の各軸方向の加速度を検出する加速度センサー2350などが実装されている。また、基板2320の側面には、X軸まわりの角速度を検出する角速度センサー2340xおよびY軸まわりの角速度を検出する角速度センサー2340yが実装されている。そして、これら各センサーとして、実施形態に記載の慣性センサーを用いることができる。
また、基板2320の下面には、制御IC2360が実装されている。制御IC2360は、MCU(Micro Controller Unit)であり、慣性計測装置2000の各部を制御する。記憶部には、加速度および角速度を検出するための順序と内容を規定したプログラムや、検出データをデジタル化してパケットデータに組込むプログラム、付随するデータなどが記憶されている。なお、基板2320にはその他にも複数の電子部品が実装されている。
<第7実施形態>
図20は、第7実施形態の移動体測位装置の全体システムを示すブロック図である。図21は、図20に示す移動体測位装置の作用を示す図である。
図20は、第7実施形態の移動体測位装置の全体システムを示すブロック図である。図21は、図20に示す移動体測位装置の作用を示す図である。
図20に示す移動体測位装置3000は、移動体に装着して用い、当該移動体の測位を行うための装置である。なお、移動体としては、特に限定されず、自転車、自動車、自動二輪車、電車、飛行機、船等のいずれでもよいが、本実施形態では移動体として四輪自動車を用いた場合について説明する。
移動体測位装置3000は、慣性計測装置3100(IMU)と、演算処理部3200と、GPS受信部3300と、受信アンテナ3400と、位置情報取得部3500と、位置合成部3600と、処理部3700と、通信部3800と、表示部3900と、を有している。なお、慣性計測装置3100としては、例えば、前述した慣性計測装置2000を用いることができる。
慣性計測装置3100は、3軸の加速度センサー3110と、3軸の角速度センサー3120と、を有している。演算処理部3200は、加速度センサー3110からの加速度データおよび角速度センサー3120からの角速度データを受け、これらデータに対して慣性航法演算処理を行い、移動体の加速度および姿勢を含む慣性航法測位データを出力する。
また、GPS受信部3300は、受信アンテナ3400を介してGPS衛星からの信号を受信する。また、位置情報取得部3500は、GPS受信部3300が受信した信号に基づいて、移動体測位装置3000の位置(緯度、経度、高度)、速度、方位を表すGPS測位データを出力する。このGPS測位データには、受信状態や受信時刻等を示すステータスデータも含まれている。
位置合成部3600は、演算処理部3200から出力された慣性航法測位データおよび位置情報取得部3500から出力されたGPS測位データに基づいて、移動体の位置、具体的には移動体が地面のどの位置を走行しているかを算出する。例えば、GPS測位データに含まれている移動体の位置が同じであっても、図21に示すように、地面の傾斜θ等の影響によって移動体の姿勢が異なっていれば、地面の異なる位置を移動体が走行していることになる。そのため、GPS測位データだけでは移動体の正確な位置を算出することができない。そこで、位置合成部3600は、慣性航法測位データを用いて、移動体が地面のどの位置を走行しているのかを算出する。
位置合成部3600から出力された位置データは、処理部3700によって所定の処理が行われ、測位結果として表示部3900に表示される。また、位置データは、通信部3800によって外部装置に送信されるようになっていてもよい。
<第8実施形態>
図22は、第8実施形態の移動体を示す斜視図である。
図22は、第8実施形態の移動体を示す斜視図である。
図22に示す移動体としての自動車1500は、エンジンシステム、ブレーキシステムおよびキーレスエントリーシステムの少なくとも何れかのシステム1510を含んでいる。また、自動車1500には、慣性センサー1が内蔵されており、慣性センサー1によって車体の姿勢を検出することができる。慣性センサー1の検出信号は、制御装置1502に供給され、制御装置1502は、その信号に基づいてシステム1510を制御することができる。
このように、移動体としての自動車1500は、慣性センサー1と、慣性センサー1から出力された検出信号に基づいて制御を行う制御装置1502と、を有する。そのため、前述した慣性センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
なお、慣性センサー1は、他にも、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。また、移動体としては、自動車1500に限定されず、例えば、飛行機、ロケット、人工衛星、船舶、AGV(無人搬送車)、二足歩行ロボット、ドローン等の無人飛行機等にも適用することができる。
以上、本発明の慣性センサー、電子機器および移動体を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、前述した実施形態では、センサー素子が加速度を検出する構成について説明したが、これに限定されず、例えば、角速度を検出する構成であってもよい。
1…慣性センサー、10…シリコン基板、100…パッケージ、2…基板、2a…上面、2b…下面、23、24、25…凹部、231〜233、241〜243、251…マウント、29…露出部、3…センサー素子、31…固定部、32…可動体、33、34…ばね、35…第1可動電極、36…第2可動電極、38…第1固定電極、39…第2固定電極、4…センサー素子、41…固定部、42…可動体、43、44…ばね、45…第1可動電極、46…第2可動電極、48…第1固定電極、49…第2固定電極、5…センサー素子、51…固定部、52…可動体、521…第1可動部、522…第2可動部、53…梁、54…第1固定電極、55…第2固定電極、6…蓋、6a…上面、6b…下面、61…凹部、611…底面、62…貫通孔、621…下側開口、63…封止部材、69…接合部材、731〜733、741〜743、751〜753…配線、831〜833、841〜843、851〜853…端子、9…異物付着抑制部、91…第1凸部、91a…上端面、91b…下端面、92…第2凸部、92a…上端面、92b…下端面、921…下側開口、93…凹部、931…開口、94…返し部、1200…スマートフォン、1208…表示部、1210…制御回路、1500…自動車、1502…制御装置、1510…システム、2000…慣性計測装置、2100…アウターケース、2110…ネジ穴、2200…接合部材、2300…センサーモジュール、2310…インナーケース、2311…凹部、2312…開口、2320…基板、2330…コネクター、2340x…角速度センサー、2340y…角速度センサー、2340z…角速度センサー、2350…加速度センサー、2360…制御IC、3000…移動体測位装置、3100…慣性計測装置、3110…加速度センサー、3120…角速度センサー、3200…演算処理部、3300…GPS受信部、3400…受信アンテナ、3500…位置情報取得部、3600…位置合成部、3700…処理部、3800…通信部、3900…表示部、Ax、Ay、Az…加速度、C、D…段差、D1、D2、D3…離間距離、F…平面、G1、G2…隙間、J…揺動軸、K…切り欠き、L…直線、r1、r2…内径、R1、R1’、R1”、R2…外径、R3…直径、S…内部空間、S91、S92…内側空間、P1、P2…点、Q…領域、Vx、Vy、Vz…駆動電圧、θ…傾斜、θ1…角度
Claims (11)
- 基板と、前記基板に接合されている蓋と、を備え、前記基板と前記蓋との間に内部空間を有するパッケージと、
前記内部空間に収納されているセンサー素子と、を有し、
前記蓋は、前記内部空間の内外を連通し、封止部材によって封止されている貫通孔を有し、
前記蓋に設けられ、平面視で前記貫通孔の前記内部空間側の開口を囲んでいる筒状の第1凸部と、
前記基板に設けられ、平面視で前記第1凸部の外周を囲んでいる筒状の第2凸部と、を有することを特徴とする慣性センサー。 - 前記第1凸部の前記基板側の端部は、前記第2凸部に挿入されている請求項1に記載の慣性センサー。
- 前記第1凸部は、前記蓋と一体である請求項1または2に記載の慣性センサー。
- 前記第2凸部は、前記センサー素子と同じ材料を含んでいる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の慣性センサー。
- 前記第1凸部の内周面の異なる2点を結ぶ直線のうち、前記基板の主面に対する角度が最も小さくなる直線は、前記第2凸部の内面と交差する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の慣性センサー。
- 前記基板は、前記第2凸部の内側空間と連通する凹部を有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の慣性センサー。
- 平面視で、前記開口は、前記凹部の開口の内側に位置している請求項6に記載の慣性センサー。
- 前記センサー素子は、前記基板に対して変位可能な可動体を有し、
前記第2凸部は、前記可動体と接触可能である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の慣性センサー。 - 前記基板に設けられ、前記センサー素子と電気的に接続されている配線を有し、
前記配線は、平面視で、前記第2凸部と重ならない請求項1ないし8のいずれか1項に記載の慣性センサー。 - 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の慣性センサーと、
前記慣性センサーから出力された検出信号に基づいて制御を行う制御回路と、を有することを特徴とする電子機器。 - 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の慣性センサーと、
前記慣性センサーから出力された検出信号に基づいて制御を行う制御装置と、を有することを特徴とする移動体。
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