JP2020139484A - 磁気浮上式ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】交流磁界を用いて回転体を安定的に浮上させつつ円滑に回転させることが可能な磁気浮上式ポンプを提供する。【解決手段】ハウジング内のインペラに設けられた磁性体としてのターゲット32、及びハウジング側に設けられた複数の電磁コイル34を含み、各電磁コイル34がコンデンサを介して交流電源と接続されて共振回路が形成され、その交流電源から共振回路に交流電圧が印加されて電磁コイルが励磁されることにより、インペラをハウジングに対して非接触で支持する磁気軸受ユニットを備えた磁気浮上式ポンプにおいて、複数の電磁コイル34のそれぞれを、各電磁コイル34が発生する磁束がインペラの内周側と外周側との間を当該インペラの半径方向に沿って流れるように配置する。【選択図】図7

Description

本発明は、回転体を磁力により浮上させて非接触状態で支持するポンプに関する。
心臓手術時の血流を確保するための体外循環回路に設けられる血液ポンプとして、ハウジング内に収容された回転体としてのインペラをその回転軸線上の単一の軸受にて支持するモノピボット軸受式の血液ポンプが普及している。しかしながら、インペラがハウジングと接触しつつ回転する構成では、その接触部分に摩擦が生じて血球の破壊、あるいは血栓の発生といった問題が生じるリスクを完全には排除できず、その使用に際しては抗血栓療法の併用といった対策を講じることが必要不可欠である。このような課題を解決する試みの一つとして、インペラを磁力で浮上させて非接触で支持する磁気浮上式の血液ポンプが提案されている。例えば、ハウジング側に設けられた複数の電磁コイルのそれぞれと交流電源とをコンデンサを介して接続して共振回路を形成し、その共振回路に交流電圧を印加して電磁コイルを励磁させることにより、電磁コイルとインペラ側の磁性体との間に軸線方向の磁気吸引力を生じさせてインペラを浮上させるポンプが提案されている(特許文献1参照)。この種のポンプではインペラがハウジングに対して非接触状態で回転するため、機械的摩擦に起因する血球破壊、あるいは血栓発生といった問題が生じるおそれを解消することが可能である。
特表2007−518464号公報
上述した特許文献1のポンプのように、電磁コイルに交流電圧を印加した場合には、電磁コイルと磁性体との間の磁気ギャップの変化に対して、これを元の状態に戻そうとする自己平衡作用が生じる。それにより、インペラ等の回転体の支持剛性を高め、回転体の位置変化を打ち消すように電圧を制御する処理を省略することも期待できる。しかしながら、特許文献1のポンプでは、回転体の周方向に並べられた複数の電磁コイルのうち、隣接する二つの電磁コイルを一組として電磁石を構成しているため、周方向一方の側の電磁コイルがS極であれば、他方の側の電磁コイルはN極となり、回転体を通過する磁束はその周方向に流れ、周方向に隣接する電磁石間では磁束が回転体の軸線方向に沿って流れることになる。したがって、電磁石間で磁束が互いに逆向きに流れて干渉作用が生じ、それによりに磁力が安定せず、回転体を円滑に回転させることが困難となるおそれがある。
そこで、本発明は交流電源を用いて回転体を安定的に浮上させつつ円滑に回転させることが可能な磁気浮上式ポンプを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る磁気浮上式ポンプは、吸込口(11a)及び吐出口(12a)を有するハウジング(10)と、前記ハウジング内に軸線(AX)を中心として回転可能な状態で収容され、前記軸線の周りの回転により前記吸込口から前記吐出口に向かう流れを前記ハウジング内に生じさせる回転体(20)と、前記回転体側に設けられた磁性体(32)、及び前記軸線の周りに並ぶようにして前記ハウジング側に設けられた複数の電磁コイル(34)を含み、各電磁コイルがコンデンサ(55)を介して交流電源(AC)と接続されて共振回路(54)が形成され、前記交流電源から前記共振回路に交流電圧が印加されて前記電磁コイルが励磁されることにより、前記回転体を前記ハウジングに対して非接触で支持する磁気支持手段(3)と、前記回転体を前記軸線の周りに回転駆動する駆動手段(4)と、を備え、前記複数の電磁コイルのそれぞれは、各電磁コイルが発生する磁束が前記回転体の内周側と外周側との間を当該回転体の半径方向に沿って流れるように設けられたものである。
上記の態様によれば、まず電磁コイルを含んだ共振回路に交流電圧を印加して交番磁界を発生させ、それにより得られた磁力で磁性体を含んだ回転体を浮上させるので、電磁コイルに直流電圧を印加して磁界を発生させる場合と比較して電磁コイルと磁性体との間の磁気ギャップを相対的に拡大しつつ、より大きな磁力を発生させて回転体の支持剛性を高めることができる。しかも、回転体の内周側と外周側との間を回転体の半径方向に沿って磁束が流れるように電磁コイルを設けているので、周方向に隣接する電磁コイル間で磁束の方向が反転して干渉作用が生じるおそれがない。そのため、回転体の周方向における磁束分布のばらつきを抑え、回転体を安定的に浮上させつつ円滑に回転させることができる。
上記態様の磁気浮上式ポンプにおいて、前記磁性体は前記回転体の周方向に並べられた複数のセグメント(36)を含み、前記複数のセグメント同士は互いに接しないように分離されてもよい。これによれば、各セグメントを流れる磁束の方向を概ね回転体の半径方向に制限し、セグメント間における磁力の干渉を抑えることができる。そのため、回転体をさらに安定的に支持することが可能である。
上記態様の磁気浮上式ポンプにおいて、前記磁気支持手段には、前記回転体が前記軸線の方向に関して所定の位置にあるときの前記共振回路の共振周波数よりも高い周波数の交流電圧が前記共振回路に印加されるように前記交流電源からの交流電圧を変換する電圧変換手段(52)が設けられてもよい。これによれば、電磁コイルと磁性体との間に自己平衡作用が生じ、回転体が所定の位置から軸線方向に変位した場合、これを元の位置に戻そうとするように磁力が増加又は減少する。そのため、回転体をより安定的に支持することができる。電磁コイルに与える交流電圧を回転体の位置に応じて制御するような処理を省略することが可能である。それに伴って回転体に位置検出用のセンサ類を設け、あるいはセンサ類の出力信号をハウジング外まで取り出す配線を設ける必要もなくなる。それにより、ポンプの信頼性を高め、メンテナンスフリーの状態でポンプを長期間稼働させ得る。
さらに、前記複数の電磁コイルが複数のグループ(51A、51B、51C)に分けて配置され、各グループに前記電圧変換手段が設けられてもよい。これによれば、電磁コイルのそれぞれに印加する電圧の周波数を少なくともグループ単位で個別に調整することができる。それにより、電磁コイルの個体差等に起因する磁束分布のばらつきを抑え、又は解消し、回転体をさらに安定的に支持することが可能である。
上記態様の磁気浮上式ポンプは、体外循環回路の血液ポンプとして構成されてもよい。本発明を血液ポンプに適用することにより、回転体を非接触状態で安定的に支持しつつ円滑に回転させるという作用効果を活かして、血球破壊、血栓の発生のリスクがなく信頼性の高い血液ポンプを提供することができる。
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明の一形態に係る血液ポンプの外観を示す斜視図。 図1に示す血液ポンプの平面図。 図1に示す血液ポンプの側面図。 図3のIV-IV線に沿った断面図。 コイルモジュールの斜視図。 コイルモジュールの下面図。 コイルモジュールの軸方向断面図。 インペラの斜視図。 インペラの平面図。 インペラの軸方向断面図。 磁気軸受ユニットの駆動回路の構成の一例を示す図。 電磁コイルとターゲットとの間の磁気ギャップとそれらの間に作用する磁力との対応関係の一例を示す図。
以下、添付図面を参照して本発明の一形態に係る磁気浮上式ポンプを説明する。図1〜図4は、磁気浮上式ポンプの一例としての血液ポンプ1の構成を示している。血液ポンプ1は、心臓手術等を受ける患者に接続されるべき体外循環回路に組み込まれるポンプであって、ポンプユニット2と、磁気軸受ユニット3と、駆動ユニット4(図4)とを含んでいる。磁気軸受ユニット3は磁気支持手段の一例に、駆動ユニット4は駆動手段の一例にそれぞれ相当する。
図1〜図4に示すように、ポンプユニット2はハウジング10を有している。ハウジング10は、厚さに比して直径が大きい扁平な概略円盤状の外観を有する中空の容器として構成されている。ハウジング10の上面中央には吸込管11が上方に向かって延びるようにして設けられ、ハウジング10の外周には吐出管12がハウジング10の接線方向に延びるようにして設けられている。吸込管11の上端の開口部がハウジング10内に血液を取り込むための吸込口11aとして機能し、吐出管12の先端の開口部がハウジング10外に血液を送り出す吐出口12aとして機能する。吸込管10の周囲にはコイルモジュール31が設けられている。コイルモジュール31は磁気軸受ユニット3の構成要素であって、その詳細は後述する。
図4に示すように、ハウジング10の内部には、回転体の一例としてのインペラ20が設けられている。インペラ20は、その軸線AXを中心として回転可能な状態でハウジング10内に収容されている。軸線AXは吸込管11と同軸的である。インペラ20には、複数(図はその一部のみを示す。)の羽根21が周方向に一定の間隔を空けて設けられている。各羽根21は半径方向中心側から外周側に向かって延ばされている。インペラ20が軸線AXの周りに回転することにより、ハウジング10内の血液に遠心力が作用し、それにより吸込口11aから吐出口12aへ向かう血液の流れがハウジング10内に形成される。つまり、血液ポンプ1は非容積型ポンプの一種である遠心ポンプとして構成されている。
インペラ20の上面側にはターゲット32が設けられている。ターゲット32は磁気軸受ユニット3に含まれる磁性体の一例であって、その詳細は後述する。一方、インペラ20の下面側でかつ外周側には環状部22が形成されている。環状部22には、永久磁石40が設けられている。永久磁石40は駆動ユニット4の構成要素である。
駆動ユニット4は、インペラ20内の永久磁石40と、ハウジング10の下方に配置された駆動体41に埋め込まれた永久磁石42と、駆動体41を軸線AXの周りに回転駆動する不図示の電動モータとを含む。永久磁石40、42は互いに引き寄せ合うように設けられて磁気カップリング43を形成する。電動モータにより駆動体41が回転駆動されると、その回転トルクが磁気カップリング43を介してインペラ20に伝達され、それによりインペラ20が軸線AXの周りに回転駆動される。なお、磁気カップリングを利用してインペラを回転駆動する駆動ユニットは種々の血液ポンプで採用されている。図示の駆動ユニット4は一例であり、その構成は適宜に変更されてよい。例えば、図示例では永久磁石40、42が軸線AXの方向(以下、軸線方向と呼ぶことがある。)に引き合うように配置されているが、これに代えて、又は加えて、インペラ20の半径方向に引き合うように永久磁石が配置されてもよい。
次に、図5〜12を参照して磁気軸受ユニット3の詳細を説明する。磁気軸受ユニット3は、ハウジング10側のコイルモジュール31により交番磁界を発生させ、その磁力によりインペラ20側のターゲット32を軸線方向に引き寄せてインペラ20を重力に抗して浮上させ、それによりインペラ20をハウジング10に対して非接触状態で支持する。図5〜図7はコイルモジュール31の詳細を示している。コイルモジュール31は、磁心33(図5ではその一部のみが現れる。)と、磁心33に巻き付けられた複数の電磁コイル34と、磁心33の上面側に取り付けられた保持板35とを含んでいる。磁心33は軟磁性材料にて形成される。例えばケイ素鋼等を素材とする金属磁心として磁心33が形成されてもよいし、圧粉磁心、あるいはフェライト磁心として磁心33が形成されてもよい。ただし、交番磁界を加えた場合の渦電流損失及びそれに伴う発熱を抑える観点からは、磁心33を圧粉磁心、又はフェライト磁心として形成することが好適である。
磁心33には複数の巻芯33aが周方向に等間隔で設けられている。巻芯33aは磁心33の上端部から下端まで直線的に延びる角柱状である。各巻芯33aに対して電磁コイル34が巻き付けられている。巻芯33aの個数は一例として6である。したがって、コイルモジュール31は合計で6個の電磁コイル34を有し、電磁コイル34同士の周方向のピッチは60°である。電磁コイル34の構成は互いに等しい。すなわち、電磁コイル34の材質、線径は互いに等しく、巻き数も互いに等しい。さらに、電磁コイル34の巻き付け方向も互いに等しい。例えば、全ての電磁コイル34は、図5及び図6に矢印WDで示した方向に沿って巻かれている。それにより、各電磁コイル34は単独で電磁石を構成する。したがって、コイルモジュール31には、同一特性の6個の電磁石が軸線AXの周りに対称的に配置されている。各電磁コイル34が発生する磁束は、例えば図7に矢印MFで示したように、巻芯33aの周囲を磁心33の半径方向内周側と外周側との間で周回するように流れる。つまり、コイルモジュール31の下面側と対向するインペラ20上のターゲット32においては、電磁コイル34によって生成される磁束がインペラ20の内周側と外周側との間を半径方向に沿って流れることになる。なお、電磁コイル34には交流の励磁電流が流れるため、電磁コイル34が発生する磁界は交番磁界である。したがって、磁束の方向は図7の矢印MF方向とその逆方向とで交番的に変化する。
以上のように、電磁コイル34のそれぞれは、磁束がインペラ20の内周側と外周側との間を半径方向に沿って流れるように設けられている。したがって、周方向に隣接する電磁コイル34間で磁束に干渉作用が生じて周方向の磁束分布に乱れが生じるおそれがない。したがって、インペラ20を安定的に浮上させつつ回転させることが可能である。周方向に並ぶ一対の電磁コイルを組み合わせて一つの電磁石を構成する場合と比較して、一つの電磁石を設けるために必要な周方向のスペースを削減することが可能である。多数の電磁コイル34を周方向に比較的密に並べて磁束分布の調整分解能を高めることもでき、比較的直径が小さいインペラ20でも複数の電磁コイル34を設けることができるなど、電磁コイル34の配置に関する設計自由度も高い。
保持板35は磁心33及び電磁コイル34を保持する構造物として設けられている。保持板35が不図示の支持構造体に固定されることにより、コイルモジュール31がハウジング10の上面側の定位置に支持される。なお、磁心33及び保持板35にはハウジング10の吸込管11を通すための貫通孔33b、35aが形成されている。
図8〜図10はインペラ20の詳細を示している。上述したように、インペラ20には磁気軸受ユニット3のターゲット32が設けられている。ターゲット32はインペラ20の一部として駆動ユニット4により軸線AXの周りに回転駆動される。ターゲット32には、同形同大のセグメント36(図では一部にのみ参照符号を付してある。)が周方向に一定のピッチで並べられている。言い換えれば、ターゲット32は、軸線AXの周りにセグメント36を対称的に配置した構成を有している。ターゲット32は、その全体としては円盤状の外観を呈している。セグメント36同士は互いに接しないように分離されている。これにより、ターゲット32を流れる磁束の方向を概ね半径方向に揃えて磁力の干渉作用を抑えることができる。また、交番磁界をターゲット32に加えたときのセグメント36間における渦電流の往来を阻止して渦電流損失に伴うターゲット32の発熱を抑えることができる。
セグメント36のそれぞれは、磁心33と同様に軟磁性材料にて形成される。例えばケイ素鋼等を素材としてセグメント36が形成されてもよいし、圧粉磁心材料、あるいはフェライトを素材としてセグメント36が形成されてもよい。セグメント36に関しても、渦電流損失及びそれに伴う発熱を抑える観点から、圧粉磁心材料、又はフェライトにてセグメント36を形成することが好適である。
ターゲット32の中心には貫通孔32aが形成されている。吸込管11に取り込まれた血液はその貫通孔32aを通過してインペラ20の中心孔20aからインペラ20内に流入し、インペラ20の外周の開口部20bからハウジング10の吐出管12に向かって流出する。
電磁コイル34を励磁してインペラ20を浮上させるため、磁気軸受ユニット3には図11の駆動回路50がさらに設けられている。駆動回路50は3組の駆動部51A、51B、51C(以下、参照符号51で代表することがある。)を有している。各駆動部51は、交流電源ACから供給される交流電圧を所定の周波数かつ所定波形の交流電圧に変換して出力する一つのファンクションジェネレータ52と、そのファンクションジェネレータ52から出力される交流電圧を増幅する一つのパワーアンプ53とを含んでいる。ファンクションジェネレータ52は電圧変換手段の一例に相当する。一つのパワーアンプ53には二つの共振回路54がさらに接続されている。それにより、電磁コイル34は複数の駆動部51に分けて配置され、各駆動部51が二つの共振回路54を含んだ一つのグループを構成する。各共振回路54は、一つの電磁コイル34とコンデンサ55とを直列に接続して形成される。つまり、共振回路54は、電磁コイル34をコイルとして含んだLCR回路として構成されている。
駆動部51A、51B、51Cと電磁コイル34との対応関係は、周方向に60°ずれて配置された電磁コイル34が対をなして同一の駆動部51に含まれるように設定されている。図6においては、駆動部51Aに含まれる電磁コイル34を参照符号G1で、駆動部51Bに含まれる電磁コイル34を参照符号G2で、駆動部51Cに含まれる電磁コイル34を参照符号G3でそれぞれ区別して示す。このように電磁コイル34を複数の駆動部51に分けて配置する理由の一つは、各電磁コイル34が発生させる磁界を駆動部51ごとに分けて調整することを可能とし、それにより電磁コイル34の個体差等に起因する磁束分布のばらつきを抑え、又は解消することにある。なお、駆動部51は共振回路54と1対1に対応付けて設けられてもよい。すなわち、電磁コイル34のそれぞれが互いに異なるファンクジェネレータ52及びパワーアンプ53と接続されてもよい。要するに一つの駆動部51には少なくとも一組の電磁コイル34及びコンデンサ55が接続されるように駆動回路50が構成されてもよい。
ファンクションジェネレータ52が出力する交流電圧の周波数はインペラ20が軸線方向に関して適正な位置にあるときの共振回路54の共振周波数よりも幾らか高い周波数に設定されている。コイルを含む共振回路に交流電圧を印加して交番磁界を発生させる場合、その磁界で得られる磁力は共振回路の共振周波数とコイルに印加される交流電圧の周波数とが一致するときに最大値を取り、交流電圧の周波数が共振周波数の近傍から離れると顕著に減少する。一方、共振回路の共振周波数はコイルと磁性体との間の磁気ギャップに応じて変化し、磁気ギャップが増加すればコイルのインダクタンスが減少して共振周波数が上昇し、磁気ギャップが減少すればコイルのインダクタンスが増加して共振周波数が低下する。図示の血液ポンプ1においては、図7に示した電磁コイル34とターゲット32(詳しくはセグメント36)との間の隙間量Cが磁気ギャップに相当し、その磁気ギャップCが増加すれば共振回路54の共振周波数は上昇し、磁気ギャップCが減少すれば共振回路54の共振周波数は低下する。
図12は、磁気ギャップCと電磁コイル34がターゲット32を引き寄せる磁力との関係を示している。図12の実線は、共振回路54の共振周波数が電磁コイル34に印加される交流電圧の周波数と一致するときの磁気ギャップを基準ギャップCrとして、磁気ギャップCの変化と磁力との関係を示している。磁力は基準ギャップCrで最大値Fmaxを取り、基準ギャップCrの近傍から磁気ギャップが増加又は減少すると顕著に低下する。電磁コイル34に印加される交流電圧の周波数は一定であり、磁気ギャップが基準ギャップCrから離れると共振回路54の共振周波数が増加又は減少することがその理由である。
一方、インペラ20が軸線方向に関して適正な位置にあるときの磁気ギャップを適正ギャップCsとすれば、電磁コイル34にはその適正ギャップCsに対応した共振回路54の共振周波数よりも幾らか高い周波数の交流電圧が印加されているため、図12において、適正ギャップCsは最大の磁力Fmaxを与える基準ギャップCrよりも小さい。したがって、実際の磁気ギャップが適正ギャップCsよりも増加すれば磁力Fも増加し、実際の磁気ギャップが適正ギャップCsよりも減少すれば磁力Fも減少する。磁力はターゲット32を軸線方向上方に引き寄せる力として働くため、インペラ20が適正ギャップCsを与える適正位置よりも下方に変位すれば、それを打ち消すように上向きの磁力が増加し、インペラ20が適正ギャップCsを与える適正位置よりも上方に変位すれば、それを打ち消すように上向きの磁力が減少する。つまり、インペラ20の適正位置からの軸線方向の変位を抑える自己平衡作用が電磁コイル34とターゲット32との間に働く。
そのため、電磁コイル34に印加する交流電圧は一定で足り、インペラ20の位置変動に応じて電磁コイル34の励磁電圧を変化させるような制御は不要である。しかも、インペラ20の位置の変化を検出する必要もないため、回転体であるインペラ20にセンサ類を配置してハウジング10外へと信号を取り出す必要もない。それにより、ハウジング10内の構成を簡素化することが可能であり、かつセンサ類の故障や断線といったリスクも発生し得ないため、血液ポンプ1の信頼性を高め得る。なお、適正ギャップCsはインペラ20を軸線方向に関してどのような位置で回転させるべきか、に応じて定めればよい。一方、基準ギャップCrは電磁コイル34とターゲット32との間に働く自己平衡作用の程度に応じて設定すればよく、その基準ギャップCrに応じてファンクションジェネレータ52の出力周波数を設定すればよい。なお、図12に直流電圧を印加した場合の磁気ギャップと磁力との関係を示すが、その場合は磁気ギャップの増加とともに磁力が低下し、自己平衡作用が得られないばかりか、磁気ギャップも可能な限り小さく設定する必要が生じる等、本形態の磁気軸受ユニット3に比して不都合が多いことが理解できる。
ファンクションジェネレータ52から出力する交流電圧は正弦波状であってもよいし、矩形波状であってもよい。矩形波状の交流電圧を励磁電圧として用いる場合には駆動回路50の構成を大幅に小型化できる利点がある。なお、ファンクションジェネレータ52から出力する交流電圧の位相は全ての電磁コイル34間で一致するように設定される。それにより、インペラ20の全周で交番磁界を合一的に変化させて周方向における磁束分布のばらつきをさらに抑えることが可能である。ただし、上述した駆動部51ごとに交流電圧の位相を120°ずつずらすことにより、インペラ20の支持力に加えて回転力をインペラ20に与えるようにしてもよい。このような構成により十分な回転力が得られる場合には駆動ユニット4が省略されてもよい。あるいは、駆動ユニット4が与える回転力を補助するように電磁コイル34にて回転磁界を生じさせてもよい。
以上に説明したように、本形態の血液ポンプ1によれば、磁気軸受ユニット3の電磁コイル34にコンデンサ55を接続して共振回路54を形成しているので、共振周波数付近の交流電圧を印加したとき見られる磁力の顕著な増加作用を利用してインペラ20を十分な剛性で支持することができる。しかも、電磁コイル34に印加する交流電圧の周波数を上記のように設定することにより自己平衡性を生じさせるとともに、電磁コイル34間で干渉作用が生じないように磁束の方向を設定しているので、インペラ20を安定的に支持することが可能であって、その安定性を確保するためにインペラ20の位置を検出して励磁電圧を制御するような処理を省略することも可能である。それにより、交番磁界を用いた磁気浮上式の利点を十分に活かして、円滑な動作を長期に亘って維持できる信頼性の高い血液ポンプを提供することができる。
本発明は上述した形態に限定されず、種々の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、上記の形態では、複数の電磁コイル34を複数の駆動部51に分け、駆動部51ごとに励磁電圧の周波数や波形を設定しているが、同一のファンクションジェネレータ52から出力される交流電圧を全ての電磁コイル34に供給してもよい。電磁コイル34の個数はポンプの構成に応じて適宜に変更されてよい。インペラ20の下面側にもターゲット32を配置し、これと対向するようにコンデンサ55の下部にもコイルモジュール31を配置することにより、インペラ20を軸線方向の両側から磁力で引き寄せて非接触状態で支持するようにしてもよい。
本発明の磁気浮上式ポンプは体外循環回路の血液ポンプとして使用されることにより、回転体を非接触状態で安定的に支持しつつ円滑に回転させるという作用効果を活かして、血球破壊、血栓の発生のリスクがなく信頼性の高い血液ポンプを実現することができる。しかしながら、本発明の磁気浮上式ポンプの用途は体外循環回路に限られず、各種の用途のポンプとして構成されてよい。
1 血液ポンプ(磁気浮上式ポンプ)
3 磁気軸受ユニット(磁気支持手段)
4 駆動ユニット(駆動手段)
10 ハウジング
11a 吸込口
12a 吐出口
20 インペラ(回転体)
31 コイルモジュール
32 ターゲット(磁性体)
33 磁心
34 電磁コイル
36 セグメント
50 駆動回路
51A、51B、51C 駆動部(グループ)
52 ファンクションジェネレータ(電圧変換手段)
54 共振回路
55 コンデンサ

Claims (5)

  1. 吸込口及び吐出口を有するハウジングと、
    前記ハウジング内に軸線を中心として回転可能な状態で収容され、前記軸線の周りの回転により前記吸込口から前記吐出口に向かう流れを前記ハウジング内に生じさせる回転体と、
    前記回転体側に設けられた磁性体、及び前記軸線の周りに並ぶようにして前記ハウジング側に設けられた複数の電磁コイルを含み、各電磁コイルがコンデンサを介して交流電源と接続されて共振回路が形成され、前記交流電源から前記共振回路に交流電圧が印加されて前記電磁コイルが励磁されることにより、前記回転体を前記ハウジングに対して非接触で支持する磁気支持手段と、
    前記回転体を前記軸線の周りに回転駆動する駆動手段と、を備え、
    前記複数の電磁コイルのそれぞれは、各電磁コイルが発生する磁束が前記回転体の内周側と外周側との間を当該回転体の半径方向に沿って流れるように設けられている磁気浮上式ポンプ。
  2. 前記磁性体は前記回転体の周方向に並べられた複数のセグメントを含み、前記複数のセグメント同士は互いに接しないように分離されている請求項1に記載の磁気浮上式ポンプ。
  3. 前記磁気支持手段には、前記回転体が前記軸線の方向に関して所定の位置にあるときの前記共振回路の共振周波数よりも高い周波数の交流電圧が前記共振回路に印加されるように前記交流電源からの交流電圧を変換する電圧変換手段が設けられている請求項1又は2に記載の磁気浮上式ポンプ。
  4. 前記複数の電磁コイルが複数のグループに分けて配置され、各グループに前記電圧変換手段が設けられている請求項3に記載の磁気浮上式ポンプ。
  5. 体外循環回路の血液ポンプとして構成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気浮上式ポンプ。
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