JP2020136752A - 処理装置、処理方法、再生方法、及びプログラム - Google Patents

処理装置、処理方法、再生方法、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】適切な処理を行うことができる処理装置、処理方法、再生方法、及びプログラムを提供することを目的とする。【解決手段】本実施の形態にかかる処理装置201は、収音信号の周波数特性に対する包絡線を算出する包絡線算出部214と、包絡線の周波数データを尺度変換及びデータ補間することで、尺度変換データを生成する尺度変換部215と、尺度変換データを複数の周波数帯域に分けて、周波数帯域毎の特徴値を求め、特徴値に基づいて、正規化係数を算出する正規化係数算出部216と、正規化係数を用いて、時間領域の収音信号を正規化する正規化部217と、を備えている。【選択図】図3

Description

本発明は、処理装置、処理方法、再生方法、及びプログラムに関する。
特許文献1に開示された録音及び再生システムは、ラウドスピーカに供給される信号を処理するためのフィルタ手段を用いている。フィルタ手段は、2つのフィルタ設計ステップを含んでいる。1つ目のステップでは、仮想音源の位置と再生音場の特定位置の間の伝達関数をフィルタ(A)の形式で記述している。なお、再生音場の特定位置は、受聴者の耳元、又は頭部領域である。さらに、2つ目のステップでは、伝達関数フィルタ(A)を、ラウドスピーカの入力と特定位置との間の電気音響伝達経路又は経路群(C)をインバートするために使用されるクロストークキャンセル用フィルタ(Hx)の行列とともに畳み込んでいる。また、クロストークキャンセル用フィルタ(Hx)の行列は、インパルス応答を測定することで作成される。
ところで、音像定位技術として、ヘッドホンを用いて受聴者の頭部の外側に音像を定位させる頭外定位技術がある。頭外定位技術では、ヘッドホンから耳までの特性(ヘッドホン特性)をキャンセルし、1つのスピーカ(モノラルスピーカ)から耳までの2本の特性(空間音響伝達特性)を与えることにより、音像を頭外に定位させている。
ステレオスピーカの頭外定位再生においては、2チャンネル(以下、chと記載)のスピーカから発した測定信号(インパルス音等)を聴取者(リスナー)本人の耳に設置したマイクロフォン(以下、マイクとする)で録音する。そして、測定信号を集音して得られた収音信号に基づいて、処理装置がフィルタを生成する。生成したフィルタを2chのオーディオ信号に畳み込むことにより、頭外定位再生を実現することができる。
さらに、ヘッドホンから耳までの特性をキャンセルするフィルタを生成するために、ヘッドホンから耳元乃至鼓膜までの特性(外耳道伝達関数ECTF、外耳道伝達特性とも称する)を聴取者本人の耳に設置したマイクで測定する。
特許文献2には、外耳道伝達関数の逆フィルタを生成する方法が開示されている。特許文献2の方法では、ノッチに起因する高音ノイズを防止するために、外耳道伝達関数の振幅成分を補正している。具体的には、振幅成分のゲインがゲイン閾値を下回る場合,ゲイン値を補正することで、ノッチを調整している。そして、補正後の外耳道伝達関数に基づいて、逆フィルタを生成している。
特表平10−509565号公報 特開2015−126268号公報
頭外定位処理を行う場合、聴取者本人の耳に設置したマイクで特性を測定することが好ましい。外耳道伝達特性を測定する場合、受聴者の耳にマイク、ヘッドホンを装着した状態で、インパルス応答測定などが実施される。聴取者本人の特性を用いることで、聴取者に適したフィルタを生成することができる。このような、フィルタ生成等のために、測定で得られた収音信号を適切に処理することが望まれる。
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、適切に収音信号を処理することができる処理装置、処理方法、再生方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
本実施の形態にかかる処理装置は、収音信号の周波数特性に対する包絡線を算出する包絡線算出部と、前記包絡線の周波数データを尺度変換及びデータ補間することで、尺度変換データを生成する尺度変換部と、前記尺度変換データを複数の周波数帯域に分けて、前記周波数帯域毎の特徴値を求め、前記特徴値に基づいて、正規化係数を算出する正規化係数算出部と、前記正規化係数を用いて、時間領域の収音信号を正規化する正規化部と、を備えている。
本実施の形態にかかる処理方法は、収音信号の周波数特性に対する包絡線を算出するステップと、前記包絡線の周波数データを尺度変換及びデータ補間することで、尺度変換データを生成するステップと、前記尺度変換データを複数の周波数帯域に分けて、前記周波数帯域毎の特徴値を求め、前記特徴値に基づいて、正規化係数を算出するステップと、前記正規化係数を用いて、時間領域の収音信号を正規化するステップと、を含んでいる。
本実施の形態にかかるプログラムは、コンピュータに対して処理方法を実行させるためのプログラムであって、前記処理方法は、収音信号の周波数特性に対する包絡線を算出するステップと、前記包絡線の周波数データを尺度変換及びデータ補間することで、尺度変換データを生成するステップと、前記尺度変換データを複数の周波数帯域に分けて、前記周波数帯域毎の特徴値を求め、前記特徴値に基づいて、正規化係数を算出するステップと、前記正規化係数を用いて、時間領域の収音信号を正規化するステップと、を含んでいる。
本発明によれば、適切に収音信号を処理することができる処理装置、処理方法、再生方法、及びプログラムを提供することができる。
本実施の形態に係る頭外定位処理装置を示すブロック図である。 測定装置の構成を模式的に示す図である。 処理装置の構成を示すブロック図である。 収音信号のパワースペクトルとその包絡線を示すグラフである。 正規化前後のパワースペクトルを示すグラフである。 ディップ補正前の正規化パワースペクトルを示すグラフである、 ディップ補正後の正規化パワースペクトルを示すグラフである、 フィルタ生成処理を示すフローチャートである。
本実施の形態にかかる音像定位処理の概要について説明する。本実施の形態にかかる頭外定位処理は、空間音響伝達特性と外耳道伝達特性を用いて頭外定位処理を行うものである。空間音響伝達特性は、スピーカなどの音源から外耳道までの伝達特性である。外耳道伝達特性は、ヘッドホン又はイヤホンのスピーカユニットから鼓膜までの伝達特性である。本実施の形態では、ヘッドホン又はイヤホンを装着していない状態での空間音響伝達特性を測定し、かつ、ヘッドホン又はイヤホンを装着した状態での外耳道伝達特性を測定し、それらの測定データを用いて頭外定位処理を実現している。本実施の形態は、空間音響伝達特性、又は外耳道伝達特性を測定するためのマイクシステムに特徴を有している。
本実施の形態にかかる頭外定位処理は、パーソナルコンピュータ、スマートホン、タブレットPCなどのユーザ端末で実行される。ユーザ端末は、プロセッサ等の処理手段、メモリやハードディスクなどの記憶手段、液晶モニタ等の表示手段、タッチパネル、ボタン、キーボード、マウスなどの入力手段を有する情報処理装置である。ユーザ端末は、データを送受信する通信機能を有していてもよい。さらに、ユーザ端末には、ヘッドホン又はイヤホンを有する出力手段(出力ユニット)が接続される。ユーザ端末と出力手段との接続は、有線接続でも無線接続でもよい。
実施の形態1.
(頭外定位処理装置)
本実施の形態にかかる音場再生装置の一例である、頭外定位処理装置100のブロック図を図1に示す。頭外定位処理装置100は、ヘッドホン43を装着するユーザUに対して音場を再生する。そのため、頭外定位処理装置100は、LchとRchのステレオ入力信号XL、XRについて、音像定位処理を行う。LchとRchのステレオ入力信号XL、XRは、CD(Compact Disc)プレイヤーなどから出力されるアナログのオーディオ再生信号、又は、mp3(MPEG Audio Layer-3)等のデジタルオーディオデータである。なお、オーディオ再生信号、又はデジタルオーディオデータをまとめて再生信号と称する。すなわち、LchとRchのステレオ入力信号XL、XRが再生信号となっている。
なお、頭外定位処理装置100は、物理的に単一な装置に限られるものではなく、一部の処理が異なる装置で行われてもよい。例えば、一部の処理がスマートホンなどにより行われ、残りの処理がヘッドホン43に内蔵されたDSP(Digital Signal Processor)などにより行われてもよい。
頭外定位処理装置100は、頭外定位処理部10、逆フィルタLinvを格納するフィルタ部41、逆フィルタRinvを格納するフィルタ部42、及びヘッドホン43を備えている。頭外定位処理部10、フィルタ部41、及びフィルタ部42は、具体的にはプロセッサ等により実現可能である。
頭外定位処理部10は、空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsを格納する畳み込み演算部11〜12、21〜22、及び加算器24、25を備えている。畳み込み演算部11〜12、21〜22は、空間音響伝達特性を用いた畳み込み処理を行う。頭外定位処理部10には、CDプレイヤーなどからのステレオ入力信号XL、XRが入力される。頭外定位処理部10には、空間音響伝達特性が設定されている。頭外定位処理部10は、各chのステレオ入力信号XL、XRに対し、空間音響伝達特性のフィルタ(以下、空間音響フィルタとも称する)を畳み込む。空間音響伝達特性は被測定者の頭部や耳介で測定した頭部伝達関数HRTFでもよいし、ダミーヘッドまたは第三者の頭部伝達関数であってもよい。
4つの空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsを1セットとしたものを空間音響伝達関数とする。畳み込み演算部11、12、21、22で畳み込みに用いられるデータが空間音響フィルタとなる。空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsを所定のフィルタ長で切り出すことで、空間音響フィルタが生成される。
空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsのそれぞれは、インパルス応答測定などにより、事前に取得されている。例えば、ユーザUが左右の耳にマイクをそれぞれ装着する。ユーザUの前方に配置された左右のスピーカが、インパルス応答測定を行うための、インパルス音をそれぞれ出力する。そして、スピーカから出力されたインパルス音等の測定信号をマイクで収音する。マイクでの収音信号に基づいて、空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsが取得される。左スピーカと左マイクとの間の空間音響伝達特性Hls、左スピーカと右マイクとの間の空間音響伝達特性Hlo、右スピーカと左マイクとの間の空間音響伝達特性Hro、右スピーカと右マイクとの間の空間音響伝達特性Hrsが測定される。
そして、畳み込み演算部11は、Lchのステレオ入力信号XLに対して空間音響伝達特性Hlsに応じた空間音響フィルタを畳み込む。畳み込み演算部11は、畳み込み演算データを加算器24に出力する。畳み込み演算部21は、Rchのステレオ入力信号XRに対して空間音響伝達特性Hroに応じた空間音響フィルタを畳み込む。畳み込み演算部21は、畳み込み演算データを加算器24に出力する。加算器24は2つの畳み込み演算データを加算して、フィルタ部41に出力する。
畳み込み演算部12は、Lchのステレオ入力信号XLに対して空間音響伝達特性Hloに応じた空間音響フィルタを畳み込む。畳み込み演算部12は、畳み込み演算データを、加算器25に出力する。畳み込み演算部22は、Rchのステレオ入力信号XRに対して空間音響伝達特性Hrsに応じた空間音響フィルタを畳み込む。畳み込み演算部22は、畳み込み演算データを、加算器25に出力する。加算器25は2つの畳み込み演算データを加算して、フィルタ部42に出力する。
フィルタ部41、42にはヘッドホン特性(ヘッドホンの再生ユニットとマイク間の特性)をキャンセルする逆フィルタLinv、Rinvが設定されている。そして、頭外定位処理部10での処理が施された再生信号(畳み込み演算信号)に逆フィルタLinv、Rinvを畳み込む。フィルタ部41で加算器24からのLch信号に対して、Lch側のヘッドホン特性の逆フィルタLinvを畳み込む。同様に、フィルタ部42は加算器25からのRch信号に対して、Rch側のヘッドホン特性の逆フィルタRinvを畳み込む。逆フィルタLinv、Rinvは、ヘッドホン43を装着した場合に、ヘッドホンユニットからマイクまでの特性をキャンセルする。マイクは、外耳道入口から鼓膜までの間ならばどこに配置してもよい。
フィルタ部41は、処理されたLch信号YLをヘッドホン43の左ユニット43Lに出力する。フィルタ部42は、処理されたRch信号YRをヘッドホン43の右ユニット43Rに出力する。ユーザUは、ヘッドホン43を装着している。ヘッドホン43は、Lch信号YLとRch信号YR(以下、Lch信号YLとRch信号YRをまとめてステレオ信号とも称する)をユーザUに向けて出力する。これにより、ユーザUの頭外に定位された音像を再生することができる。
このように、頭外定位処理装置100は、空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsに応じた空間音響フィルタと、ヘッドホン特性の逆フィルタLinv,Rinvを用いて、頭外定位処理を行っている。以下の説明において、空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsに応じた空間音響フィルタと、ヘッドホン特性の逆フィルタLinv,Rinvとをまとめて頭外定位処理フィルタとする。2chのステレオ再生信号の場合、頭外定位フィルタは、4つの空間音響フィルタと、2つの逆フィルタとから構成されている。そして、頭外定位処理装置100は、ステレオ再生信号に対して合計6個の頭外定位フィルタを用いて畳み込み演算処理を行うことで、頭外定位処理を実行する。頭外定位フィルタは、ユーザU個人の測定に基づくものであることが好ましい。例えば,ユーザUの耳に装着されたマイクが収音した収音信号に基づいて、頭外定位フィルタが設定されている。
このように空間音響フィルタと、ヘッドホン特性の逆フィルタLinv,Rinvはオーディオ信号用のフィルタである。これらのフィルタが再生信号(ステレオ入力信号XL、XR)に畳み込まれることで、頭外定位処理装置100が、頭外定位処理を実行する。本実施の形態では、逆フィルタLinv,Rinvを生成するための処理が技術的特徴の一つとなっている。以下、逆フィルタを生成するための処理について説明する。
(外耳道伝達特性の測定装置)
逆フィルタを生成するために、外耳道伝達特性を測定する測定装置200について、図2を用いて説明する。図2は、ユーザUに対して伝達特性を測定するための構成を示している。測定装置200は、マイクユニット2と、ヘッドホン43と、処理装置201と、を備えている。なお、ここでは、被測定者1は、図1のユーザUと同一人物となっている。
本実施の形態では、測定装置200の処理装置201が、測定結果に応じて、フィルタを適切に生成するための演算処理を行っている。処理装置201は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット端末、スマートホン等であり、メモリ、及びプロセッサを備えている。メモリは、処理プログラムや各種パラメータや測定データなどを記憶している。プロセッサは、メモリに格納された処理プログラムを実行する。プロセッサが処理プログラムを実行することで、各処理が実行される。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor),ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又は、GPU(Graphics Processing Unit)等であってもよい。
処理装置201には、マイクユニット2と、ヘッドホン43と、が接続されている。なお、マイクユニット2は、ヘッドホン43に内蔵されていてもよい。マイクユニット2は、左マイク2Lと、右マイク2Rとを備えている。左マイク2Lは、ユーザUの左耳9Lに装着される。右マイク2Rは、ユーザUの右耳9Rに装着される。処理装置201は、頭外定位処理装置100と同じ処理装置であってもよく、異なる処理装置であってよい。また、ヘッドホン43の代わりにイヤホンを用いることも可能である。
ヘッドホン43は、ヘッドホンバンド43Bと、左ユニット43Lと、右ユニット43Rとを、有している。ヘッドホンバンド43Bは、左ユニット43Lと右ユニット43Rとを連結する。左ユニット43LはユーザUの左耳9Lに向かって音を出力する。右ユニット43RはユーザUの右耳9Rに向かって音を出力する。ヘッドホン43は密閉型、開放型、半開放型、または半密閉型等である、ヘッドホンの種類を問わない。マイクユニット2がユーザUに装着された状態で、ユーザUがヘッドホン43を装着する。すなわち、左マイク2L、右マイク2Rが装着された左耳9L、右耳9Rにヘッドホン43の左ユニット43L、右ユニット43Rがそれぞれ装着される。ヘッドホンバンド43Bは、左ユニット43Lと右ユニット43Rとをそれぞれ左耳9L、右耳9Rに押し付ける付勢力を発生する。
左マイク2Lは、ヘッドホン43の左ユニット43Lから出力された音を収音する。右マイク2Rは、ヘッドホン43の右ユニット43Rから出力された音を収音する。左マイク2L、及び右マイク2Rのマイク部は、外耳孔近傍の収音位置に配置される。左マイク2L、及び右マイク2Rは、ヘッドホン43に干渉しないように構成されている。すなわち、左マイク2L、及び右マイク2Rは左耳9L、右耳9Rの適切な位置に配置された状態で、ユーザUがヘッドホン43を装着することができる。
処理装置201は、ヘッドホン43に対して測定信号を出力する。これにより、ヘッドホン43はインパルス音などを発生する。具体的には、左ユニット43Lから出力されたインパルス音を左マイク2Lで測定する。右ユニット43Rから出力されたインパルス音を右マイク2Rで測定する。測定信号の出力時に、マイク2L、2Rが収音信号を取得することで、インパルス応答測定が実施される。
処理装置201は、マイク2L、2Rからの収音信号に対して、同様の処理を行うことで、逆フィルタLinv、Rinvを生成する。以下、測定装置200の処理装置201と、その処理について詳細に説明する。図3は、処理装置201を示す制御ブロック図である。処理装置201は、測定信号生成部211と、収音信号取得部212と、包絡線算出部214と、尺度変換部215を備えている。さらに、処理装置201は、正規化係数算出部216と、正規化部217と、変換部218と、ディップ補正部219と、フィルタ生成部220と、を備えている。
測定信号生成部211は、D/A変換器やアンプなどを備えており、外耳道伝達特性を測定するための測定信号を生成する。測定信号は、例えば、インパルス信号やTSP(Time Streched Pulse)信号等である。ここでは、測定信号としてインパルス音を用いて、測定装置200がインパルス応答測定を実施している。
マイクユニット2の左マイク2L、右マイク2Rがそれぞれ測定信号を収音し、収音信号を処理装置201に出力する。収音信号取得部212は、左マイク2L、右マイク2Rで収音された収音信号を取得する。なお、収音信号取得部212は、マイク2L、2Rからの収音信号をA/D変換するA/D変換器を備えていてもよい。収音信号取得部212は、複数回の測定により得られた信号を同期加算してもよい。時間領域の収音信号をECTFと称する。
包絡線算出部214は、収音信号の周波数特性の包絡線を算出する。包絡線算出部214は、ケプストラム分析を用いて、包絡線を求めることができる。まず、包絡線算出部214は、離散フーリエ変換や離散コサイン変換により、収音信号(ECTF)の周波数特性を算出する。包絡線算出部214は、例えば、時間領域のECTFをFFT(高速フーリエ変換)することで、周波数特性を算出する。周波数特性は、パワースペクトルと、位相スペクトルとを含んでいる。なお、包絡線算出部214はパワースペクトルの代わりに振幅スペクトルを生成してもよい。
パワースペクトルの各パワー値(振幅値)を対数変換する。包絡線算出部214は、対数変換のスペクトルに対して逆フーリエ変換を行うことで、ケプストラムを求める。包絡線算出部214は、ケプストラムにリフタを適用する。リフタは、低周波数帯域成分のみを通過させるローパスリフタである。包絡線算出部214、リフタを通過したケプストラムをFFT変換することで、ECTFのパワースペクトルの包絡線を求めることができる。図4は、パワースペクトルとその包絡線の一例を示すグラフである。
このように、包絡線のデータを算出するためにケプストラム分析を用いることで、簡易な計算で、パワースペクトルを平滑化することができる。よって、演算量を少なくすることができる。包絡線算出部214は、ケプストラム分析以外の手法を用いてもよい。例えば、振幅値を対数変換したものに対し、一般的な平滑化(スムージング)手法を適用することで、包絡線を算出してもよい。平滑化手法としては、単純移動平均、Savitzky-Golayフィルタ、平滑化スプライン、などを用いることができる。
尺度変換部215は、対数軸において、離散的なスペクトルデータが等間隔になるように包絡線データの尺度を変化する。包絡線算出部214で求められた包絡線データは、周波数的に等間隔となっている。つまり、包絡線データは、周波数線形軸において等間隔となっているため、周波数対数軸では非等間隔になっている。このため、尺度変換部215は、周波数対数軸において包絡線データが等間隔になるように、包絡線データに対して補間処理を行う
包絡線データにおいて、対数軸上では、低周波数域になればなるほど隣接するデータ間隔は粗く、高周波数域になればなるほど隣接するデータ間隔は密になっている。そのため、尺度変換部215は、データ間隔が粗い低周波数帯域のデータを補間する。具体的には、尺度変換部215は、3次元スプライン補間等の補間処理を行うことで、対数軸において等間隔に配置された離散的な包絡線データを求める。尺度変換が行われた包絡線データを、尺度変換データとする。尺度変換データは、周波数とパワー値とが対応付けられているスペクトルとなる。
対数尺度に変換する理由について説明する。一般的に人間の感覚量は対数に変換されていると言われている。そのため、聴こえる音の周波数も対数軸で考えることが重要になる。尺度変換することで、上記の感覚量においてデータが等間隔となるため、全ての周波数帯域でデータを等価に扱えるようになる。この結果、数学的な演算、周波数帯域の分割や重み付けが容易になり、安定した結果を得ることが可能になる。なお、尺度変換部215は、対数尺度に限らず、人間の聴覚に近い尺度(聴覚尺度と称する)へ包絡線データを変換すればよい。聴覚尺度としては、対数尺度(Logスケール)、メル(mel)尺度、バーク(Bark)尺度、ERB(Equivalent Rectangular Bandwidth)尺度等で尺度変換をしてもよい。尺度変換部215は、データ補間により、包絡線データを聴覚尺度で尺度変換する。例えば、尺度変換部215は、聴覚尺度においてデータ間隔が粗い低周波数帯域のデータを補間することで、低周波数帯域のデータを密にする。聴覚尺度で等間隔なデータは、線形尺度(リニアスケール)では低周波数帯域が密、高周波数帯域が粗なデータとなる。このようにすることで、尺度変換部215は、聴覚尺度で等間隔な尺度変換データを生成することができる。もちろん、尺度変換データは、聴覚尺度において、完全に等間隔なデータでなくてもよい。
正規化係数算出部216は、尺度変換データに基づいて、正規化係数を算出する。そのため、正規化係数算出部216は、尺度変換データを複数の周波数帯域に分けて、周波数帯域毎に特徴値を算出する。そして、正規化係数算出部216は、周波数帯域毎の特徴値に基づいて、正規化係数を算出する。正規化係数算出部216は、周波数帯域毎の特徴値を重み付け加算することで、正規化係数を算出する。
正規化係数算出部216は、尺度変換データを4つの周波数帯域(以下、第1〜第4の帯域とする)に分割する。第1の帯域は、最小周波数(例えば、10Hz)以上1000Hz未満である。第1の帯域は、ヘッドホン43がフィットするかどうかで変化する範囲である。第2の帯域は、1000Hz以上、4kHz未満である。第2の帯域は、ヘッドホンそのものの特性が個人によらず表れる範囲である。第3の帯域は、4kHz以上、12kHz未満である。第3の特性は、個人の特性が最もよく表れる範囲である。第4の帯域は、12kHz以上、最大周波数(例えば、22.4kHz)以下である。第4の帯域は、ヘッドホンを装着する毎に変化する範囲である。なお、各帯域の範囲は例示であり、上記の値に限られるものではない。
特徴値は、例えば、各帯域における尺度変換データの最大値、最小値、平均値、中央値の4値となっている。第1の帯域の4値をAmax(最大値)、Amin(最小値)、Aave(平均値)、Amed(中央値)とする。第2の帯域の4値、Bmax、Bmin、Bave、Bmedとする。同様に、第3の帯域の4値をCmax、Cmin、Cave、Cmedとし、第4の帯域の4値をDmax、Dmin、Dave、Dmedとする。
正規化係数算出部216は、帯域毎に、4つの特徴値に基づいて、基準値を算出する。
第1の帯域の基準値をAstdとすると基準値Astdは以下の式(1)で示される。
Astd=Amax×0.15+Amin×0.15+Aave×0.3+Amed×0.4 ・・・(1)
第2の帯域の基準値をBstdとすると基準値Bstdは以下の式(2)で示される。
Bstd=Bmax×0.25+Bmin×0.25+Bave×0.4+Bmed×0.1 ・・・(2)
第3の帯域の基準値をCstdとすると基準値Cstdは以下の式(3)で示される。
Cstd=Cmax×0.4+Cmin×0.1+Cave×0.3+Cmed×0.2 ・・・(3)
第4の帯域の基準値をDstdとすると基準値Dstdは以下の式(4)で示される。
Dstd=Dmax×0.1+Dmin×0.1+Dave×0.5+Dmed×0.3 ・・・(4)
正規化係数をStdとすると、正規化係数Stdは、以下の式(5)で示される。
Std=Astd×0.25+Bstd×0.4+Cstd×0.25+Dstd×0.1 ・・・(5)
このように、正規化係数算出部216は、帯域毎の特徴値を重み付け加算することで、正規化係数Stdを算出している。正規化係数算出部216は、4つの周波数帯域に分けて、それぞれの帯域から4個の特徴値を抽出する。正規化係数算出部216は、16個の特徴値を重み付け加算している。各帯域の分散値を算出して、分散値に応じて、重み付けを変えてもよい。特徴値として、積分値などを用いてもよい。また、1つの帯域の特徴値の数は4つに限らず、5つ以上でも3つ以下でもよい。最大値、最小値、平均値、中央値、積分値、及び分散値の少なくとも1つ以上が特徴値となっていればよい。換言すると、最大値、最小値、平均値、中央値、積分値、分散値の一つ以上に対する重み付け加算の係数が0となっていてもよい。
正規化部217は、正規化係数を用いて、収音信号を正規化する。具体的には、正規化部217は、Std×ECTFを正規化後の収音信号として算出する。正規化後の収音信号を正規化ECTFとする。正規化部217は、正規化係数を用いることで、ECTFを適切なレベルに正規化することができる。
変換部218は、離散フーリエ変換や離散コサイン変換により、正規化ECTFの周波数特性を算出する。例えば、変換部218は、時間領域の正規化ECTFをFFT(高速フーリエ変換)することで、周波数特性を算出する。正規化ECTFの周波数特性は、パワースペクトルと、位相スペクトルとを含んでいる。なお、変換部218はパワースペクトルの代わりに振幅スペクトルを生成してもよい。正規化ECTFの周波数特性を正規化周波数特性とする。また、正規化ECTFのパワースペクトルと位相スペクトルを正規化パワースペクトルと正規化位相スペクトルとする。図5に正規化前後のパワースペクトルを示す。正規化を行うことで、パワースペクトルのパワー値が適切なレベルに変化する。
ディップ補正部219は、正規化パワースペクトルのディップを補正する。ディップ補正部219は、正規化パワースペクトルのパワー値が閾値以下となっている箇所をディップと判定して、ディップとなっている箇所のパワー値を補正する。例えば、ディップ補正部219は、閾値を下回った箇所を補間することで、ディップを補正している。ディップ補正後の正規化パワースペクトルを補正パワースペクトルとする。
ディップ補正部219は、正規化パワースペクトルを2つの帯域に分けて、帯域毎に異なる閾値を設定している。例えば、12kHzを境界周波数として、12kHz以下を低周波数帯域、12kHz以上を高周波数帯域とする。低周波数帯域の閾値を第1の閾値TH1とし、高周波数帯域の閾値を第2の閾値TH2とする。第1の閾値TH1は、第2の閾値TH2よりも低くすることが好ましい、例えば、第1の閾値TH1を、−13dBとし、第2の閾値TH2を−9dBとすることができる。もちろん、ディップ補正部219は、3つ以上の帯域に分けて、それぞれの帯域に異なる閾値を設定してもよい。
図6、図7にディップ補正前後のパワースペクトルを示す。図6はディップ補正前のパワースペクトル、すなわち、正規化パワースペクトルを示すグラフである。図7はディップ補正後の補正後パワースペクトルを示すグラフである。
図6に示すように、低周波数帯域では、箇所P1において、パワー値が第1の閾値TH1を下回っている。ディップ補正部219は、低周波数帯域において、パワー値が第1の閾値TH1を下回る箇所P1をディップと判定する。高周波数帯域において、箇所P2において、パワー値が第2の閾値TH2を下回っている。ディップ補正部219は、高周波数帯域において、パワー値が第2の閾値TH2を下回る箇所P2をディップと判定する。
ディップ補正部219は、箇所P1、P2におけるパワー値を大きくする。例えば、ディップ補正部219は、箇所P1のパワー値を第1の閾値TH1に置き換える。ディップ補正部219は、箇所P2のパワー値を第2の閾値TH2に置き換える。また、ディップ補正部219は、図7に示すように、閾値を下回る箇所と下回らない箇所との境界部分を丸め込んでもよい。あるいは、ディップ補正部219は、スプライン補間などの手法を用いて箇所P1、P2を補間することで、ディップを補正してもよい。
フィルタ生成部220は、補正後パワースペクトルを用いて、フィルタを生成する。フィルタ生成部220は、補正後パワースペクトルの逆特性を求める。具体的には、フィルタ生成部220は、補正後パワースペクトル(ディップが補正された周波数特性)をキャンセルするような逆特性を求める。逆特性は、補正後の対数パワースペクトルをキャンセルするようなフィルタ係数を有するパワースペクトルである。
フィルタ生成部220は、逆離散フーリエ変換又は逆離散コサイン変換により、逆特性と位相特性(正規化位相スペクトル)から時間領域の信号を算出する。フィルタ生成部220は、逆特性と位相特性をIFFT(逆高速フーリエ変換)することで、時間信号を生成する。フィルタ生成部220は、生成した時間信号を所定のフィルタ長で切り出すことで、逆フィルタを算出する。
処理装置201は、左マイク2Lで収音された収音信号に上記の処理を実施することで、逆フィルタLinvを生成する。処理装置201は、右マイク2Rで収音された収音信号に上記の処理を実施することで、逆フィルタRinvを生成する。逆フィルタLinv、Rinvがそれぞれ、図1のフィルタ部41,42に設定される。
このように、本実施の形態では、処理装置201は、正規化係数算出部216が、尺度変換データに基づいて、正規化係数を算出している。これにより、正規化部217が、適切な正規化係数を用いて、正規化を行うことができる。聴感上重要な帯域に着目して、正規化係数を算出することができる。一般的には、時間領域の信号を正規化する場合に、二乗和やRMS(二乗平均平方根)が、既定値になるように係数を求めている。このような一般的な方法を用いた場合に比べて、本実施の形態の処理により、適切な正規化係数を求めることができる。
被測定者1の外耳道伝達特性の測定は、マイクユニット2とヘッドホン43と用いて行われる。さらに、処理装置201はスマートホン等とすることができる。このため、測定の設定が測定毎に異なるおそれがある。また、ヘッドホン43やマイクユニット2の装着に、ばらつきが生じるおそれもある。処理装置201が上記のように算出した正規化係数StdをECTFに乗じることで、正規化を行っている。このようにすることで、測定時の設定等によるばらつきを抑制して、外耳道伝達特性を測定することができる。
ディップ補正部219において、ディップが補正された補正パワースペクトルを用いて、フィルタ生成部220が逆特性を算出している。これにより、ディップに対応する周波数帯域において、逆特性のパワー値が急峻な立ち上がり波形となることを防ぐことができる。これにより、適切な逆フィルタを生成することができる。さらに、ディップ補正部219は、周波数特性を2つ以上の周波数帯域に分けて、異なる閾値を設定している。このようにすることで、周波数帯域毎に適切にディップを補正することができる。よって、より適切な逆フィルタLinv、Rinvを生成することができる。
さらに、このようなディップ補正を適切に行うために、正規化部217がECTFを正規化している。正規化ECTFのパワースペクトル(又は振幅スペクトル)のディップをディップ補正部219が補正している。よって、ディップ補正部219は適切にディップを補正することができる。
本実施の形態における処理装置201における処理方法について、図8を用いて説明する。図8は、本実施の形態にかかる処理方法を示すフローチャートである。
まず、包絡線算出部214が、ケプストラム分析を用いて、ECTFのパワースペクトルの包絡線を算出する(S1)。上記のように、包絡線算出部214は、ケプストラム分析以外の手法を用いてもよい。
尺度変換部215が、包絡線データを対数的に等間隔なデータへの尺度変換を行う(S2)。尺度変換部215は、データ間隔が粗い低周波数帯域のデータを、3次元スプライン補間などで補間する。これにより、周波数対数軸において等間隔な尺度変換データが得られる。尺度変換部215は、対数尺度に限らず、先に述べた各種の聴覚尺度を用いて尺度変換を行ってもよい。
正規化係数算出部216が、周波数帯域毎の重み付けを用いて、正規化係数の算出を行う(S3)。正規化係数算出部216には、予め複数の周波数帯域毎に重みが設定されている。正規化係数算出部216は、周波数帯域毎に尺度変換データの特徴値を抽出する。そして、正規化係数算出部216は、複数の特徴値を重み付け加算することで、正規化係数を算出する。
正規化部217は、正規化係数を用いて、正規化ECTFを算出する(S4)。正規化部217は、時間領域のECTFに正規化係数を乗じることで、正規化ECTFを算出する。
変換部218は、正規化ECTFの周波数特性を算出する(S5)。変換部218は、正規化ECTFを離散フーリエ変換等することで、正規化パワースペクトルと正規化位相スペクトルを算出する。
ディップ補正部219は、周波数帯域毎に異なる閾値を用いて、正規化パワースペクトルのディップを補間する(S6)。例えば、ディップ補正部219は、低周波数帯域では正規化パワースペクトルのパワー値が第1の閾値TH1を下回る箇所を補間する。ディップ補正部219は、高周波数帯域では正規化パワースペクトルのパワー値が第2の閾値TH2を下回る箇所を補間する。これにより、正規化パワースペクトルのディップが、帯域毎にそれぞれの閾値となるように、補正することができる。これにより、補正後パワースペクトルを求めることができる。
フィルタ生成部220は、補正後パワースペクトルを用いて、時間領域データを算出する(S7)。フィルタ生成部220は、補正後パワースペクトルの逆特性を算出する。逆特性は、補正後パワースペクトルに基づくヘッドホン特性を打ち消すようなデータである。そして、フィルタ生成部220は、逆特性とS5で求めた正規化位相スペクトルとに対して、逆FFTを施すことにより、時間領域データを算出する。
フィルタ生成部220は、時間領域データを所定のフィルタ長で切り出すことで、逆フィルタを算出する(S8)。フィルタ生成部220は、逆フィルタLinv,Rinvを頭外定位処理装置100に出力する。頭外定位処理装置100は、逆フィルタLinv,Rinvを用いて、頭外定位処理した再生信号を再生する。これにより、ユーザUは、適切に頭外定位処理された再生信号を受聴することができる。
なお、上記の実施の形態では、処理装置201が逆フィルタLinv、Rinvを生成していたが、処理装置201は、逆フィルタLinv、Rinvを生成するものに限定されるものではない。例えば、処理装置201は、収音信号を適切に正規化する処理を行う必要がある場合に好適である。
上記処理のうちの一部又は全部は、コンピュータプログラムによって実行されてもよい。上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
U ユーザ
1 被測定者
10 頭外定位処理部
11 畳み込み演算部
12 畳み込み演算部
21 畳み込み演算部
22 畳み込み演算部
24 加算器
25 加算器
41 フィルタ部
42 フィルタ部
43 ヘッドホン
200 測定装置
201 処理装置
211 測定信号生成部
212 収音信号取得部
214 包絡線算出部
215 尺度変換部
216 正規化係数算出部
217 正規化部
218 変換部
219 ディップ補正部
220 フィルタ生成部

Claims (8)

  1. 収音信号の周波数特性に対する包絡線を算出する包絡線算出部と、
    前記包絡線の周波数データを尺度変換及びデータ補間することで、尺度変換データを生成する尺度変換部と、
    前記尺度変換データを複数の周波数帯域に分けて、前記周波数帯域毎の特徴値を求め、前記特徴値に基づいて、正規化係数を算出する正規化係数算出部と、
    前記正規化係数を用いて、時間領域の収音信号を正規化する正規化部と、を備えた処理装置。
  2. 前記正規化された収音信号を周波数領域に変換して、正規化周波数特性を算出する変換部と、
    前記正規化周波数特性のパワー値又は振幅値に対して、ディップ補正を行うディップ補正部と、
    前記ディップ補正された正規化周波数特性を用いて、フィルタを生成するフィルタ生成部と、を備えた請求項1に記載の処理装置。
  3. 前記ディップ補正部は、周波数帯域毎に異なる閾値を用いて、ディップを補正している請求項2に記載の処理装置。
  4. 前記正規化係数算出部は、前記周波数帯域毎に、複数の特徴値を求め、
    前記複数の特徴値を重み付け加算することで、前記正規化係数を算出する請求項1〜3のいずれか1項に記載の処理装置。
  5. 収音信号の周波数特性に対する包絡線を算出するステップと、
    前記包絡線の周波数データを尺度変換及びデータ補間することで、尺度変換データを生成するステップと、
    前記尺度変換データを複数の周波数帯域に分けて、前記周波数帯域毎の特徴値を求め、前記特徴値に基づいて、正規化係数を算出するステップと、
    前記正規化係数を用いて、時間領域の収音信号を正規化するステップと、を含む処理方法。
  6. 前記正規化された収音信号を周波数領域に変換して、正規化周波数特性を算出する変換部と、
    前記正規化周波数特性に対して、ディップ補間を行うディップ補間部と、
    前記ディップ補間された正規化周波数特性を用いて、フィルタを生成するフィルタ生成部と、を備えた請求項5に記載の処理方法。
  7. 請求項6に記載の処理方法で生成された前記フィルタを用いて、再生信号に頭外定位処理を行うステップを備えた再生方法。
  8. コンピュータに対して処理方法を実行させるためのプログラムであって、
    前記処理方法は、
    収音信号の周波数特性に対する包絡線を算出するステップと、
    前記包絡線の周波数データを尺度変換及びデータ補間することで、尺度変換データを生成するステップと、
    前記尺度変換データを複数の周波数帯域に分けて、前記周波数帯域毎の特徴値を求め、前記特徴値に基づいて、正規化係数を算出するステップと、
    前記正規化係数を用いて、時間領域の収音信号を正規化するステップと、を含む、プログラム。
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