JP2020136675A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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琢次 畠山
Takuji Hatakeyama
琢次 畠山
田島 晶夫
Akio Tajima
晶夫 田島
馬場 大輔
Daisuke Baba
大輔 馬場
祐子 山我
Yuko Yamaga
祐子 山我
幸宏 藤田
Yukihiro Fujita
幸宏 藤田
笹田 康幸
Yasuyuki Sasada
康幸 笹田
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Abstract

【課題】最適な発光特性を有する有機電界発光素子を提供する。【解決手段】式(1)のホウ素がアリール環で囲まれた化合物、または式(1)のホウ素がアリール環で囲まれた構造を複数有する多量体化合物、および式(2)のアントラセン骨格の長軸について線対称(2回対称)であるアントラセン誘導体化合物を含む発光層105を有する、有機電界発光素子100。【選択図】図1

Description

本発明は、ドーパント材料としての特定の化合物とホスト材料としての特定の化合物とを含む発光層を有する有機電界発光素子、これを用いた表示装置および照明装置に関する。
従来、電界発光する発光素子を用いた表示装置は、省電力化や薄型化が可能なことから、種々研究され、さらに、有機材料から成る有機電界発光素子(以下、有機EL素子)は、軽量化や大型化が容易なことから活発に検討されてきた。特に、光の三原色の1つである青色などの発光特性を有する有機材料の開発、および最適な発光特性となる複数材料の組み合わせについては、高分子化合物、低分子化合物を問わずこれまで活発に研究されてきた。
有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層には、発光層や、正孔、電子などの電荷を輸送または注入する電荷輸送/注入層などがあるが、これらの層に適当な種々の有機材料が開発されている。
発光層用材料としては、例えばベンゾフルオレン系化合物などが開発されている(国際公開第2004/061047号公報)。また、正孔輸送材料としては、例えばトリフェニルアミン系化合物などが開発されている(特開2001-172232号公報)。また、電子輸送材料としては、例えばアントラセン系化合物などが開発されている(特開2005-170911号公報)。
また、近年ではホウ素などを中心原子として複数の芳香族環を縮合した化合物も報告されている(国際公開第2015/102118号公報)。この文献では発光層のドーパント材料として当該複数の芳香族環を縮合した化合物を選択し、ホスト材料として極めて多くの材料が記載されている中で特にアントラセン系化合物(442頁のBH1)等を選択した場合の有機EL素子評価が実施されているが、それ以外の組合せについては具体的には検証されておらず、また、発光層を構成する組合せが異なれば発光特性が異なるため、他の組合せから得られる特性も未だ知られていない。
国際公開第2004/061047号公報 特開2001-172232号公報 特開2005-170911号公報 国際公開第2015/102118号公報
上述するように、有機EL素子に用いられる材料としては種々の材料が開発されているが、発光特性を更に高めたり、発光層用材料の選択肢を増やすために、従来とは異なる材料組合せの開発が望まれている。特に、特許文献4の実施例で報告された具体的なホストおよびドーパントの組合せ以外から得られる有機EL特性(特に最適な発光特性)については知られていない。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ホウ素原子と窒素原子または酸素原子で複数の芳香族環を連結した化合物と特定の化合物を含有する発光層を一対の電極間に配置して有機EL素子を構成することにより、優れた有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。
なお、本明細書において化学構造や置換基を炭素数で表すことがあるが、化学構造に置換基が置換した場合や、置換基にさらに置換基が置換した場合などにおける炭素数は、化学構造や置換基それぞれの炭素数を意味し、化学構造と置換基の合計の炭素数や、置換基と置換基の合計の炭素数を意味するものではない。例えば、「炭素数Xの置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「炭素数Xの置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。また例えば、「置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「(炭素数限定がない)置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。
項1.
陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層とを有する有機電界発光素子であって、
前記発光層は、下記一般式(1)で表される化合物および下記一般式(1)で表される構造を複数有する化合物の多量体の少なくとも1つと、下記一般式(2)で表される化合物とを含む、有機電界発光素子。
Figure 2020136675
(上記式(1)中、
A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−Rまたは>C(−R)であり、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、前記>C(−R)の2つのRは結合して置換されていてもよいスピロ環を形成していてもよく、また、前記>N−RのRおよび前記>C(−R)のRの少なくとも1つは連結基または単結合により前記A環、B環およびC環の少なくとも1つの環と結合していてもよく、そして、
式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよく、そして、
式(1)で表される化合物または構造における、A環、B環、C環、アリールおよびヘテロアリールの少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの−CH−は−O−で置換されていてもよい。)
(上記式(2)中、2つのXは共に同じ構造の置換基であり、式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよく、
ただし、式(2)で表される化合物は、すべての置換基を含めた分子構造全体として、アントラセン骨格の長軸について線対称(2回対称)であり、また、式(2)で表される化合物はアトロプ異性体を有さない。)
項2.
上記式(2)中、
2つのXは共にアリールまたはヘテロアリールであって、これらの基における少なくとも1つの水素は、第1置換基であるアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールで置換されていてもよく、当該第1置換基における少なくとも1つの水素はさらに第2置換基であるアルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、2つのXは共に同じ構造を有し、
式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよく、
ただし、式(2)で表される化合物は、すべての置換基を含めた分子構造全体として、アントラセン骨格の長軸について線対称(2回対称)であり、また、式(2)で表される化合物はアトロプ異性体を有さない、
項1に記載する有機電界発光素子。
項3.
上記式(2)中、
2つのXは共に、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、ナフチル、アントラセニル、ベンゾアントラセニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、アセナフチレニル、フルオランテニル、ピレニル、クリセニル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、カルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、フェナントロリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、ナフトベンゾフラニル、ナフトベンゾチエニル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンゾオキサゾリルまたはベンゾチアゾリルであり、
これらの基における少なくとも1つの水素は、第1置換基である、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜16のシクロアルキル、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、ナフチル、アントラセニル、ベンゾアントラセニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、アセナフチレニル、フルオランテニル、ピレニル、クリセニル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、カルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、フェナントロリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、ナフトベンゾフラニル、ナフトベンゾチエニル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンゾオキサゾリルまたはベンゾチアゾリルで置換されていてもよく、
当該第1置換基における少なくとも1つの水素はさらに第2置換基である炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数3〜16のシクロアルキルで置換されていてもよく、
2つのXは共に同じ構造を有し、
式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよく、
ただし、式(2)で表される化合物は、すべての置換基を含めた分子構造全体として、アントラセン骨格の長軸について線対称(2回対称)であり、また、式(2)で表される化合物はアトロプ異性体を有さない、
項1に記載する有機電界発光素子。
項4.
上記式(2)で表される化合物が下記いずれかの構造式で表される化合物である、項1に記載する有機電界発光素子。
Figure 2020136675
項5.
上記式(1)中、
A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、または、置換シリルで置換されていてもよく、また、これらの環はB、XおよびXから構成される上記式中央の縮合2環構造と結合を共有する5員環または6員環を有し、
およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−Rまたは>C(−R)であり、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、それぞれ独立して、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいアリール、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、また、前記>N−RのRおよび前記>C(−R)のRの少なくとも1つは、−O−、−S−、−C(−R)−または単結合により、前記A環、B環およびC環の少なくとも1つの環と結合していてもよく、前記−C(−R)−のRは、水素、アルキルまたはシクロアルキルであり、
式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよく、
式(1)で表される化合物または構造における、A環、B環、C環、アリールおよびヘテロアリールの少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの−CH−は−O−で置換されていてもよく、そして、
多量体の場合には、式(1)で表される構造を2または3個有する2または3量体である、
項1〜4のいずれかに記載する有機電界発光素子。
項6.
上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(1’)で表される化合物である、項1〜4に記載する有機電界発光素子。
Figure 2020136675
(上記式(1’)中、
a環、b環、およびc環における、任意の「−C(−R)=」(ここでRは式(1’)中のR〜R11である)は「−N=」に置き換わっていてもよく、任意の「−C(−R)=C(−R)−」(ここでRは式(1’)中のR〜R11である)は、「−N(−R)−」、「−O−」、または「−S−」に置き換わっていてもよく、前記「−N(−R)−」のRは、アリール、アルキル、またはシクロアルキルであり、
からR11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、また、RからR11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−Rまたは>C(−R)であり、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜14のシクロアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール、炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜14のシクロアルキルで置換されていてもよい炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜14のシクロアルキルであり、また、前記>N−RのRおよび前記>C(−R)のRの少なくとも1つは、−O−、−S−、−C(−R)−または単結合により、前記a環、b環およびc環の少なくとも1つの環と結合していてもよく、前記−C(−R)−のRは炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜14のシクロアルキルであり、
式(1’)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよく、そして、
式(1’)で表される化合物における、前記a環、前記b環、前記c環、前記形成された環、前記アリールおよび前記ヘテロアリールの少なくとも1つは、炭素数3〜24の、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数3〜24のシクロアルキルで置換されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの−CH−は−O−で置換されていてもよい。)
項7.
上記式(1’)中、
a環、b環、およびc環における、任意の「−C(−R)=」(ここでRは式(1’)中のR〜R11である)は「−N=」に置き換わっていてもよく、任意の「−C(−R)=C(−R)−」(ここでRは式(1’)中のR〜R11である)は、「−N(−R)−」、「−O−」、または「−S−」に置き換わっていてもよく、前記「−N(−R)−」のRは、炭素数6〜12のアリール、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数3〜14のシクロアルキルであり、
からR11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)、ジアリールボリル(ただしアリールは炭素数6〜12のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1〜20のアルキル、炭素数3〜20のシクロアルキル、トリアリールシリル(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)、またはトリアルキルシリル(ただしアルキルは炭素数1〜6のアルキル)であり、また、RからR11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数9〜16のアリール環または炭素数6〜15のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)、ジアリールボリル(ただしアリールは炭素数6〜12のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1〜20のアルキル、炭素数3〜20のシクロアルキル、トリアリールシリル(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)、またはトリアルキルシリル(ただしアルキルは炭素数1〜6のアルキル)で置換されていてもよく、
およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−Rまたは>C(−R)であり、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、炭素数1〜4のアルキルもしくは炭素数5〜10のシクロアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、
式(1’)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよく、そして、
式(1’)で表される化合物における、前記a環、前記b環、前記c環、前記形成された環、前記アリールおよび前記ヘテロアリールの少なくとも1つは、炭素数3〜20の、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜22のヘテロアリール、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数3〜16のシクロアルキルで置換されていてもよい、
項6に記載する有機電界発光素子。
項8.
上記式(1)で表される化合物が下記いずれかの構造式で表される化合物である、項1〜4のいずれかに記載する有機電界発光素子。
Figure 2020136675
項9.
さらに、前記陰極と前記発光層との間に配置される電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つの層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つの層は、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、およびキノリノール系金属錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、項1〜8のいずれかに記載する有機電界発光素子。
項10.
前記電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つの層が、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、項9に記載する有機電界発光素子。
項11.
項1〜10のいずれかに記載する有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置。
本発明の好ましい態様によれば、式(1)で表される化合物およびその多量体(以下、これらをまとめて単に「式(1)で表される化合物」ともいう)と、それと組み合わせて最適な発光特性が得られる式(2)で表される化合物とを提供することができ、これらを組み合わせてなる発光層用材料を用いて有機EL素子を作製することで、駆動電圧、量子効率および素子寿命の1つ以上、特に量子効率および素子寿命が優れた有機EL素子を提供することができる。
本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。
1.有機EL素子における特徴的な発光層
本発明は、陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層とを有する有機EL素子であって、前記発光層は、下記一般式(1)で表される化合物および下記一般式(1)で表される構造を複数有する化合物の多量体の少なくとも1つと、下記一般式(2)で表される化合物とを含む、有機EL素子である。
Figure 2020136675
1−1.式(1)で表される化合物およびその多量体
一般式(1)で表される化合物および一般式(1)で表される構造を複数有する化合物の多量体は基本的にはドーパントとして機能する。当該化合物およびその多量体は、好ましくは、下記一般式(1’)で表される化合物、または下記一般式(1’)で表される構造を複数有する化合物の多量体である。なお式(1)において中心原子の「B」はホウ素原子を意味し、「A」および「C」と共にリング内の「B」はそれぞれリングで示される環構造を示す符号である。
Figure 2020136675
一般式(1)におけるA環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換基で置換されていてもよい。この置換基は、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ(アリールとヘテロアリールを有するアミノ基)、置換もしくは無置換のジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、または、置換シリルが好ましい。これらの基が置換基を有する場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルがあげられる。また、上記アリール環またはヘテロアリール環は、「B」、「X」および「X」から構成される一般式(1)中央の縮合2環構造と結合を共有する5員環または6員環を有することが好ましい。
ここで、前記「縮合2環構造」とは、一般式(1)の中央に示した、「B」、「X」および「X」を含んで構成される2つの飽和炭化水素環が縮合した構造を意味する。また、「縮合2環構造と結合を共有する6員環」とは、例えば上記一般式(1’)で示すように前記縮合2環構造に縮合したa環(ベンゼン環(6員環))を意味する。また、「(A環である)アリール環またはヘテロアリール環がこの6員環を有する」とは、この6員環だけでA環が形成されるか、または、この6員環を含むようにこの6員環にさらに他の環などが縮合してA環が形成されることを意味する。言い換えれば、ここで言う「6員環を有する(A環である)アリール環またはヘテロアリール環」とは、A環の全部または一部を構成する6員環が、前記縮合2環構造に縮合していることを意味する。「B環(b環)」、「C環(c環)」、また「5員環」についても同様の説明が当てはまる。
一般式(1)におけるA環(またはB環、C環)は、一般式(1’)におけるa環とその置換基R〜R(またはb環とその置換基R〜R11、c環とその置換基R〜R)に対応する。すなわち、一般式(1’)は、一般式(1)のA〜C環として「6員環を有するA〜C環」が選択された構造に対応する。その意味で、一般式(1’)の各環を小文字のa〜cで表した。
一般式(1’)では、a環、b環およびc環の置換基R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。したがって、一般式(1’)で表される化合物は、a環、b環およびc環における置換基の相互の結合形態によって、下記式(1’−1)および式(1’−2)に示すように、化合物を構成する環構造が変化する。各式中のA’環、B’環およびC’環は、一般式(1)におけるそれぞれA環、B環およびC環に対応する。また、各式中のR〜R11、a、b、c、XおよびXの定義は一般式(1’)における定義と同じである。
Figure 2020136675
上記式(1’−1)および式(1’−2)中のA’環、B’環およびC’環は、一般式(1’)で説明すれば、置換基R〜R11のうちの隣接する基同士が結合して、それぞれa環、b環およびc環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示す(a環、b環またはc環に他の環構造が縮合してできた縮合環ともいえる)。なお、式では示してはいないが、a環、b環およびc環の全てがA’環、B’環およびC’環に変化した化合物もある。また、上記式(1’−1)および式(1’−2)から分かるように、例えば、b環のRとc環のR、b環のR11とa環のR、c環のRとa環のRなどは「隣接する基同士」には該当せず、これらが結合することはない。すなわち、「隣接する基」とは同一環上で隣接する基を意味する。
上記式(1’−1)や式(1’−2)で表される化合物は、例えば後述する具体的化合物として列挙した式(1−402)〜式(1−409)または式(1−412)〜式(1−419)で表されるような化合物に対応する。すなわち、例えばa環(またはb環またはc環)であるベンゼン環に対してベンゼン環、インドール環、ピロール環、ベンゾフラン環またはベンゾチオフェン環などが縮合して形成されるA’環(またはB’環またはC’環)を有する化合物であり、形成されてできた縮合環A’(または縮合環B’または縮合環C’)はそれぞれナフタレン環、カルバゾール環、インドール環、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環などである。
一般式(1)におけるXおよびXは、それぞれ独立して、>O、>N−Rまたは>C(−R)であり、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、前記>C(−R)の2つのRは結合して置換されていてもよいスピロ環を形成していてもよく、前記>N−RのRおよび前記>C(−R)のRの少なくとも1つは連結基または単結合により前記A環、B環およびC環の少なくとも1つの環と結合していてもよく、連結基としては、−O−、−S−または−C(−R)−が好ましい。なお、前記「−C(−R)−」のRは、水素、アルキルまたはシクロアルキルである。この説明は一般式(1’)におけるXおよびXでも同じである。
ここで、一般式(1)における「前記>N−RのRおよび前記>C(−R)のRの少なくとも1つは連結基または単結合により前記A環、B環およびC環の少なくとも1つの環と結合している」との規定は、一般式(1’)では「前記>N−RのRおよび前記>C(−R)のRの少なくとも1つは、−O−、−S−、−C(−R)−または単結合により前記a環、b環およびc環の少なくとも1つの環と結合している」との規定に対応する。
この規定は、下記式(1’−3−1)で表される、XやXが縮合環B’および縮合環C’に取り込まれた環構造を有する化合物で表現できる。すなわち、例えば一般式(1’)におけるb環(またはc環)であるベンゼン環に対してX(またはX)を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるB’環(またはC’環)を有する化合物である。この化合物は、例えば後述する具体的化合物として列挙した、式(1−451)〜(1−462)で表されるような化合物および式(1−1401)〜(1−1460)で表されるような化合物に対応し、形成されてできた縮合環B’(または縮合環C’)は例えばフェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。
また、上記規定は、下記式(1’−3−2)や式(1’−3−3)で表される、XおよびXの少なくとも1つが縮合環A’に取り込まれた環構造を有する化合物でも表現できる。すなわち、例えば一般式(1’)におけるa環であるベンゼン環に対してX(またはX、またはXおよびX)を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるA’環を有する化合物である。この化合物は、例えば後述する具体的化合物として列挙した式(1−471)〜(1−479)で表されるような化合物に対応し、形成されてできた縮合環A’は例えばフェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。なお、下記式(1’−3−1)、式(1’−3−2)および式(1’−3−3)中のR〜R11、a、b、c、XおよびXの定義は一般式(1’)における定義と同じである。
Figure 2020136675
式(1’)中、a環、b環、およびc環における、任意の「−C(−R)=」(ここでRは式(1’)中のR〜R11である)は「−N=」に置き換わっていてもよい。
Figure 2020136675
以上に示すように、例えばc環における「−C(−R)=」の箇所が「−N=」に置き換わってもよく、このようにして、式(1’)でベンゼン環として表示されるc環は、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、その他の含窒素ヘテロアリール環に変化してもよい。また、c環上に隣接する基が存在する場合(上記式中ではRおよびR)には、これらが結合してc環と共にヘテロアリール環(上記式中ではキノリン環)を形成し、形成された環がさらに置換されていてもよい(n個のRで示す)ことは、上述したとおりである。
その他、以下のような変形例もある。
Figure 2020136675
その他の箇所が「−N=」に置き換わった場合や、a環またはb環が変化した場合についても同じである。
式(1’)中、a環、b環、およびc環における、任意の「−C(−R)=C(−R)−」(ここでRは式(1’)中のR〜R11である)は、「−N(−R)−」、「−O−」、または「−S−」に置き換わっていてもよく、前記「−N(−R)−」のRは、アリール、アルキル、またはシクロアルキルである。なお、ここで列挙した置換基の詳細についてはまとめて後述する。
Figure 2020136675
以上に示すように、例えばc環における「−C(−R)=C(−R)−」の箇所が「−N(−R)−」、「−O−」、または「−S−」に置き換わってもよく、このようにして、式(1’)でベンゼン環として表示されるc環は、R置換のピロール環、フラン環、チオフェン環、その他の含窒素・酸素・硫黄ヘテロアリール環に変化してもよい。また、c環上に隣接する基が存在する場合(上記式中ではRおよびR)には、これらが結合してc環と共にヘテロアリール環(上記式中ではR置換のインドール環、ベンゾフラン環、またはベンゾチオフェン環)を形成し、形成された環がさらに置換されていてもよい(n個のRで示す)ことは、上述したとおりである。
その他、以下のような変形例もある。
Figure 2020136675
その他の箇所が「−N(−R)−」、「−O−」、または「−S−」に置き換わった場合や、a環またはb環が変化した場合についても同じである。
なお、上記式(1’−1)、式(1’−2)、式(1’−3−1)、式(1’−3−2)、および式(1’−3−3)の説明では、a環、b環、およびc環をベンゼン環として説明したが、a環〜c環が、含窒素ヘテロアリール環(6員環または5員環)または含酸素・硫黄ヘテロアリール環(5員環)に変化した場合についても同じである。
一般式(1)のA環、B環およびC環である「アリール環」としては、例えば、炭素数6〜30のアリール環があげられ、炭素数6〜16のアリール環が好ましく、炭素数6〜12のアリール環がより好ましく、炭素数6〜10のアリール環が特に好ましい。なお、この「アリール環」は、一般式(1’)で規定された「R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に形成されたアリール環」に対応し、また、a環(またはb環、c環)がすでに炭素数6のベンゼン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数9が下限の炭素数となる。
具体的な「アリール環」としては、単環系であるベンゼン環、二環系であるビフェニル環、縮合二環系であるナフタレン環、インデン環、三環系であるテルフェニル環(m−テルフェニル、o−テルフェニル、p−テルフェニル)、縮合三環系である、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、縮合四環系であるトリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、縮合五環系であるペリレン環、ペンタセン環などがあげられる。好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、インデン環またはフルオレン環である。
一般式(1)のA環、B環およびC環である「ヘテロアリール環」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリール環があげられ、炭素数2〜25のヘテロアリール環が好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリール環がより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリール環がさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、「ヘテロアリール環」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。なお、この「ヘテロアリール環」は、一般式(1’)で規定された「R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に形成されたヘテロアリール環」に対応し、また、a環(またはb環、c環)がすでに炭素数6のベンゼン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数6が下限の炭素数となる。
具体的な「ヘテロアリール環」としては、例えば、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H−インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H−ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、フェナザシリン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ナフトベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトベンゾチオフェン環、ベンゾホスホール環、ジベンゾホスホール環、ベンゾホスホールオキシド環、ジベンゾホスホールオキシド環、フラザン環、チアントレン環、インドロカルバゾール環、ベンゾインドロカルバゾール環およびベンゾベンゾインドロカルバゾール環などがあげられる。好ましくは、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、カルバゾール環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環およびジベンゾチオフェン環であり、より好ましくは、ピリジン環、ピリミジン環、インドール環、カルバゾール環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環およびジベンゾチオフェン環である。
上記「アリール環」または「ヘテロアリール環」における少なくとも1つの水素は、第1の置換基である、置換もしくは無置換の「アリール」、置換もしくは無置換の「ヘテロアリール」、置換もしくは無置換の「ジアリールアミノ」、置換もしくは無置換の「ジヘテロアリールアミノ」、置換もしくは無置換の「アリールヘテロアリールアミノ」、置換もしくは無置換の「ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、置換もしくは無置換の「アルキル」、置換もしくは無置換の「シクロアルキル」、置換もしくは無置換の「アルコキシ」、置換もしくは無置換の「アリールオキシ」、または、置換の「シリル」で置換されていてもよいが、この第1の置換基としての「アリール」や「ヘテロアリール」、「ジアリールアミノ」のアリール、「ジヘテロアリールアミノ」のヘテロアリール、「アリールヘテロアリールアミノ」のアリールとヘテロアリール、「ジアリールボリル」のアリール、また「アリールオキシ」のアリールとしては上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基があげられる。
また第1の置換基としての「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分岐鎖アルキルがあげられる。炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)が好ましく、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜5のアルキル(炭素数3〜5の分岐鎖アルキル)や炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)が特に好ましい。
具体的なアルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル(t−アミル)、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル(1,1,3,3−テトラメチルブチル)、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどがあげられる。
また、例えば、1−エチル−1−メチルプロピル、1,1−ジエチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1−エチル−1−メチルブチル、1,1,4−トリメチルペンチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,1−ジメチルオクチル、1,1−ジメチルペンチル、1,1−ジメチルヘプチル、1,1,5−トリメチルヘキシル、1−エチル−1−メチルヘキシル、1−エチル−1,3−ジメチルブチル、1,1,2,2−テトラメチルプロピル、1−ブチル−1−メチルペンチル、1,1−ジエチルブチル、1−エチル−1−メチルペンチル、1,1,3−トリメチルブチル、1−プロピル−1−メチルペンチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1,2,2−トリメチルプロピル、1−プロピル−1−メチルブチル、1,1−ジメチルヘキシルなどもあげられる。
また第1の置換基としての「シクロアルキル」としては、炭素数3〜24のシクロアルキル、炭素数3〜20のシクロアルキル、炭素数3〜16のシクロアルキル、炭素数3〜14のシクロアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数5〜6のシクロアルキル、炭素数5のシクロアルキルなどが挙げられる。
具体的なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、およびこれらの炭素数1〜5や炭素数1〜4のアルキル(特にメチル)置換体や、ノルボルネニル、ビシクロ[1.0.1]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどが挙げられる。好ましくはアダマンチルである。
また第1の置換基としての「アルコキシ」としては、例えば、炭素数1〜24の直鎖または炭素数3〜24の分岐鎖のアルコキシがあげられる。炭素数1〜18のアルコキシ(炭素数3〜18の分岐鎖のアルコキシ)が好ましく、炭素数1〜12のアルコキシ(炭素数3〜12の分岐鎖のアルコキシ)がより好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ(炭素数3〜6の分岐鎖のアルコキシ)がさらに好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ(炭素数3〜5の分岐鎖のアルコキシ)や炭素数1〜4のアルコキシ(炭素数3〜4の分岐鎖のアルコキシ)が特に好ましい。
具体的なアルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、t−アミルオキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、t−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、1−メチルペンチルオキシ、3,3−ジメチルブトキシ、2−エチルブトキシ、n−ヘプチルオキシ、1−メチルヘキシルオキシ、n−オクチルオキシ、t−オクチルオキシ、1−メチルヘプチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、2−プロピルペンチルオキシ、n−ノニルオキシ、2,2−ジメチルヘプチルオキシ、2,6−ジメチル−4−ヘプチルオキシ、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ、n−デシルオキシ、n−ウンデシルオキシ、1−メチルデシルオキシ、n−ドデシルオキシ、n−トリデシルオキシ、1−ヘキシルヘプチルオキシ、n−テトラデシルオキシ、n−ペンタデシルオキシ、n−ヘキサデシルオキシ、n−ヘプタデシルオキシ、n−オクタデシルオキシ、n−エイコシルオキシなどがあげられる。
また第1の置換基としての「置換シリル」としては、例えば、アリール、アルキルおよびシクロアルキルの少なくとも1つで置換されたシリルである、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルがあげられる。
「トリアリールシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してアリールで置換された基があげられ、このアリールは上述した第1の置換基における「アリール」として説明した基を引用することができる。
具体的な「トリアリールシリル」は、例えば、トリフェニルシリル、ジフェニルモノナフチルシリル、モノフェニルジナフチルシリル、またはトリナフチルシリルなどである。
「トリアルキルシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してアルキルで置換された基があげられ、このアルキルは上述した第1の置換基における「アルキル」として説明した基を引用することができる。置換するのに好ましいアルキルは、炭素数1〜5や炭素数1〜4のアルキルであり、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチルなどがあげられる。
具体的なトリアルキルシリルとしては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリi−プロピルシリル、トリブチルシリル、トリsec−ブチルシリル、トリt−ブチルシリル、エチルジメチルシリル、プロピルジメチルシリル、i−プロピルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、sec−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、プロピルジエチルシリル、i−プロピルジエチルシリル、ブチルジエチルシリル、sec−ブチルジエチルシリル、t−ブチルジエチルシリル、メチルジプロピルシリル、エチルジプロピルシリル、ブチルジプロピルシリル、sec−ブチルジプロピルシリル、t−ブチルジプロピルシリル、メチルジi−プロピルシリル、エチルジi−プロピルシリル、ブチルジi−プロピルシリル、sec−ブチルジi−プロピルシリル、t−ブチルジi−プロピルシリルなどがあげられる。
「トリシクロアルキルシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してシクロアルキルで置換された基があげられ、このシクロアルキルは上述した第1の置換基における「シクロアルキル」として説明した基を引用することができる。置換するのに好ましいシクロアルキルは、炭素数5〜10のシクロアルキルであり、具体的にはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどがあげられる。
具体的なトリシクロアルキルシリルとしては、トリシクロペンチルシリル、トリシクロヘキシルシリルなどがあげられる。
2つのアルキルと1つのシクロアルキルが置換したジアルキルシクロアルキルシリルと、1つのアルキルと2つのシクロアルキルが置換したアルキルジシクロアルキルシリルの具体例としては、上述した具体的なアルキルおよびシクロアルキルから選択される基が置換したシリルがあげられる。
また第1の置換基としての「ジアリールボリル」中の「アリール」としては、上述したアリールの説明を引用できる。また、この2つのアリールは単結合または連結基(例えば>C(−R)、>O、>Sまたは>N−R)を介して結合していてもよい。ここで、>C(−R)および>N−RのRは、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ(以上、第1置換基)であり、当該第1置換基にはさらにアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)が置換していてもよく、これらの基の具体例としては、上述した第1の置換基としてのアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシの説明を引用できる。
第1の置換基である、置換もしくは無置換の「アリール」、置換もしくは無置換の「ヘテロアリール」、置換もしくは無置換の「ジアリールアミノ」、置換もしくは無置換の「ジヘテロアリールアミノ」、置換もしくは無置換の「アリールヘテロアリールアミノ」、置換もしくは無置換の「ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、置換もしくは無置換の「アルキル」、置換もしくは無置換の「シクロアルキル」、置換もしくは無置換の「アルコキシ」、置換もしくは無置換の「アリールオキシ」、または、置換の「シリル」は、置換または無置換と説明されているとおり、それらにおける少なくとも1つの水素が第2の置換基で置換されていてもよい。この第2の置換基としては、例えば、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルがあげられ、それらの具体例は、上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基、また第1の置換基としての「アルキル」または「シクロアルキル」の説明を参照することができる。また、第2の置換基としてのアリールやヘテロアリールには、それらにおける少なくとも1つの水素が、フェニルなどのアリール(具体例は上述した基)、メチルなどのアルキル(具体例は上述した基)またはシクロヘキシルなどのシクロアルキル(具体例は上述した基)で置換された基も第2の置換基としてのアリールやヘテロアリールに含まれる。その一例としては、第2の置換基がカルバゾリル基の場合には、9位における少なくとも1つの水素が、フェニルなどのアリール、メチルなどのアルキルまたはシクロヘキシルなどのシクロアルキルで置換されたカルバゾリル基も第2の置換基としてのヘテロアリールに含まれる。
一般式(1’)のR〜R11におけるアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノのアリール、ジヘテロアリールアミノのヘテロアリール、アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリール、ジアリールボリルのアリール、またはアリールオキシのアリールとしては、一般式(1)で説明した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基があげられる。また、R〜R11におけるアルキル、シクロアルキルまたはアルコキシとしては、上述した一般式(1)の説明における第1の置換基としての「アルキル」、「シクロアルキル」および「アルコキシ」の説明を参照することができる。また、R〜R11におけるトリアリールシリル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルとしては、上述した一般式(1)の説明における第1の置換基としての「置換シリル」の説明を参照することができる。さらに、これらの基への置換基としてのアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルも同様である。また、R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成した場合の、これらの環への置換基である、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルおよび、さらなる置換基であるアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルについても同様である。
具体的には、第1の置換基の構造の立体障害性、電子供与性および電子吸引性により発光波長を調整することができ、好ましくは以下の構造式で表される基である。下記構造式において、「Me」はメチル、「tBu」はt−ブチル、「tAm」はt−アミル、「tOct」はt−オクチルを表し、*は結合位置を表す。
Figure 2020136675
Figure 2020136675
Figure 2020136675
より好ましくは、メチル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、フェニル、o−トリル、p−トリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジフェニルアミノ、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6−ジメチルカルバゾリル、3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルおよびフェノキシであり、さらに好ましくは、メチル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、フェニル、o−トリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジフェニルアミノ、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6−ジメチルカルバゾリルおよび3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルである。合成の容易さの観点からは、立体障害が大きい方が選択的な合成のために好ましく、具体的には、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、o−トリル、p−トリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、3,6−ジメチルカルバゾリルおよび3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルが好ましい。
一般式(1’)において任意の「−C(−R)=C(−R)−」(ここでRは式(1’)中のR〜R11である)が置換し得る「−N(−R)−」のRは、アリール、アルキル、またはシクロアルキルであるが、このアリール、アルキルまたはシクロアルキルとしては上述する基があげられる。特に炭素数6〜10のアリール(例えばフェニル、ナフチルなど)、炭素数1〜5や炭素数1〜4のアルキル(例えばメチル、エチルなど)または炭素数5〜10のシクロアルキル(好ましくはシクロヘキシルやアダマンチル)が好ましい。
一般式(1)のXおよびXにおける>N−RのRおよび>C(−R)のRは、上述した第2の置換基で置換されていてもよい、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、当該アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルにおける少なくとも1つの水素は、第2の置換基である例えばアルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。これらのアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルとしては上述する基があげられる。特に炭素数6〜10のアリール(例えばフェニル、ナフチルなど)、炭素数2〜15のヘテロアリール(例えばカルバゾリルなど)、炭素数1〜5や炭素数1〜4のアルキル(例えばメチル、エチルなど)、炭素数3〜16または炭素数5〜10のシクロアルキル(例えばビシクロオクチルやアダマンチル等)が好ましい。この説明は一般式(1’)におけるXおよびXでも同じである。
また、>C(−R)の2つのRが結合して置換されていてもよいスピロ環を形成していてもよい。形成されたスピロ環は、シクロペンタン環などの脂肪族環またはフルオレン環などの芳香族環であり、これらに置換する置換基としては、上述したアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル等があげられる。
Figure 2020136675
一般式(1)における連結基である「−C(−R)−」のRは、水素、アルキルまたはシクロアルキルであるが、このアルキルまたはシクロアルキルとしては上述する基があげられる。特に炭素数1〜5や炭素数1〜4のアルキル(例えばメチル、エチルなど)または炭素数5〜10のシクロアルキル(好ましくはシクロヘキシルやアダマンチル)が好ましい。この説明は一般式(1’)における連結基である「−C(−R)−」でも同じである。
また、一般式(1)または(1’)で表される多環芳香族化合物およびその多量体の化学構造中の芳香族環および複素芳香族環の少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよい。
例えば、A環、B環、C環、a環、b環およびc環であるアリール環およびヘテロアリール環、A環〜C環への第1および第2の置換基としてのアリール基(アリール、ジアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリルまたはアリールオキシにおけるアリール基部分)およびヘテロアリール基(ヘテロアリール、ジヘテロアリールアミノまたはアリールヘテロアリールアミノにおけるヘテロアリール部分)、a環〜c環への第1および第2の置換基としてのアリール基(上記と同様)およびヘテロアリール基(上記と同様)、ならびに、XおよびXである>N−Rおよび>C(−R)のRとしてのアリール基(上記と同様)およびヘテロアリール基(上記と同様)のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよい。
好ましくは、A環、B環、C環、a環、b環およびc環であるアリール環およびヘテロアリール環、A環〜C環への第1の置換基としてのアリール基(アリール、ジアリールアミノ、ジアリールボリルまたはアリールオキシにおけるアリール基部分)およびヘテロアリール基(ヘテロアリールまたはジヘテロアリールアミノにおけるヘテロアリール部分)、a環〜c環への第1の置換基としてのアリール基(上記と同様)およびヘテロアリール基(上記と同様)、ならびに、XおよびXである>N−Rおよび>C(−R)のRとしてのアリール基(上記と同様)およびヘテロアリール基(上記と同様)のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよい。
より好ましくは、A環、B環、C環、a環、b環およびc環であるアリール環、A環〜C環への第1の置換基としてのアリール基(アリールまたはジアリールアミノにおけるアリール基部分)およびヘテロアリール基(ヘテロアリールにおけるヘテロアリール部分)、a環〜c環への第1の置換基としてのアリール基(上記と同様)およびヘテロアリール基(上記と同様)、ならびに、XおよびXである>N−Rおよび>C(−R)のRとしてのアリール基(上記と同様)のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよい。
さらに好ましくは、A環、B環、C環、a環、b環およびc環であるアリール環、A環〜C環への第1の置換基としてのアリール基(アリールまたはジアリールアミノにおけるアリール基部分)、a環〜c環への第1の置換基としてのアリール基(上記と同様)、ならびに、XおよびXである>N−Rおよび>C(−R)のRとしてのアリール基(上記と同様)のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよい。
「シクロアルカン」としては、炭素数3〜24のシクロアルカン、炭素数3〜20のシクロアルカン、炭素数3〜16のシクロアルカン、炭素数3〜14のシクロアルカン、炭素数5〜10のシクロアルカン、炭素数5〜8のシクロアルカン、炭素数5〜6のシクロアルカン、炭素数5のシクロアルカンなどがあげられる。
具体的なシクロアルカンとしては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、ノルボルネン、ビシクロ[1.0.1]ブタン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.0.1]ペンタン、ビシクロ[1.2.1]ヘキサン、ビシクロ[3.0.1]ヘキサン、ビシクロ[2.1.2]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、アダマンタン、ジアマンタン、デカヒドロナフタレンおよびデカヒドロアズレン、ならびに、これらの炭素数1〜5や炭素数1〜4のアルキル(特にメチル)置換体、ハロゲン(特にフッ素)置換体および重水素置換体などがあげられる。
これらの中でも、例えば下記構造式に示すような、シクロアルカンのα位の炭素(芳香族環または複素芳香族環に縮合するシクロアルキルにおいて、縮合部位の炭素に隣接する位置の炭素)における少なくとも1つの水素が置換された構造が好ましく、α位の炭素における2つの水素が置換された構造がより好ましく、2つのα位の炭素における合計4つの水素が置換された構造がさらに好ましい。この置換基としては、炭素数1〜5や炭素数1〜4のアルキル(特にメチル)置換体、ハロゲン(特にフッ素)置換体および重水素置換体などがあげられる。
Figure 2020136675
1つの芳香族環または複素芳香族環に縮合するシクロアルカンの数は、1〜3個が好ましく、1個または2個がより好ましく、1個がさらに好ましい。例えば1つのベンゼン環(フェニル基)に1個または複数のシクロアルカンが縮合した例を以下に示す。式(Cy−1−4)および式(Cy−2−4)のように縮合したシクロアルカン同士が縮合してもよい。縮合される環(基)がベンゼン環(フェニル基)以外の他の芳香族環または複素芳香族環の場合であっても、縮合するシクロアルカンがシクロペンタンまたはシクロヘキサン以外の他のシクロアルカンの場合であっても、同様である。
Figure 2020136675
シクロアルカンにおける少なくとも1つの−CH−は−O−で置換されていてもよい。ただし複数の−CH−は−O−で置換される場合は、隣接する−CH−が−O−で置換されることはない。例えば1つのベンゼン環(フェニル基)に縮合したシクロアルカンにおける1個または複数の−CH−が−O−で置換された例を以下に示す。縮合される環(基)がベンゼン環(フェニル基)以外の他の芳香族環または複素芳香族環の場合であっても、縮合するシクロアルカンがシクロペンタンまたはシクロヘキサン以外の他のシクロアルカンの場合であっても、同様である。
Figure 2020136675
シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、この置換基としては、例えば、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、置換シリル、重水素、シアノまたはハロゲンがあげられ、これらの詳細は、上述した第1の置換基の説明を引用することができる。これらの置換基の中でも、アルキル(例えば炭素数1〜6のアルキル)、シクロアルキル(例えば炭素数3〜14のシクロアルキル)、ハロゲン(例えばフッ素)および重水素などが好ましい。また、シクロアルキルが置換する場合はスピロ構造を形成する置換形態でもよく、この例を以下に示す。
Figure 2020136675
シクロアルカン縮合の他の形態としては、一般式(1)または(1’)で表される多環芳香族化合物およびその多量体が、例えば、シクロアルカンで縮合されたジアリールアミノ基(このアリール基部分へ縮合)、シクロアルカンで縮合されたカルバゾリル基(このベンゼン環部分へ縮合)またはシクロアルカンで縮合されたベンゾカルバゾリル基(このベンゼン環部分へ縮合)で置換された例が挙げられる。「ジアリールアミノ基」については上記「第1の置換基」として説明した基があげられる。
また、さらに具体的な例としては、一般式(1’)で表される多環芳香族化合物およびその多量体におけるRが、シクロアルカンで縮合されたジアリールアミノ基(このアリール基部分へ縮合)またはシクロアルカンで縮合されたカルバゾリル基(このベンゼン環部分へ縮合)である例が挙げられる。
この一例として、下記一般式(1’−A)で表される多環芳香族化合物、または下記一般式(1’−A)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体が挙げられる。Cyはシクロアルカン、nそれぞれ独立しては1〜3(好ましくは1)の整数であり、「=(Cy)n」はn個のシクロアルカンが縮合対象となる構造の任意の位置に縮合すること(下記式(1’−A)ではベンゼン環(フェニル基)にn個のシクロアルカンが縮合すること)を意味し、構造式中の各符号の定義は一般式(1’)中の各符号の定義と同じである。
Figure 2020136675
また、発光層には、一般式(1)で表される単位構造を複数有する化合物の多量体、好ましくは、一般式(1’)で表される単位構造を複数有する化合物の多量体が含まれてもよい。多量体は、2〜6量体が好ましく、2〜3量体がより好ましく、2量体が特に好ましい。多量体は、1つの化合物の中に上記単位構造を複数有する形態であればよく、例えば、上記単位構造が単結合、炭素数1〜3のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基などの連結基で複数結合した形態(連結型多量体)に加えて、上記単位構造に含まれる任意の環(A環、B環またはC環、a環、b環またはc環)を複数の単位構造で共有するようにして結合した形態(環共有型多量体)であってもよく、また、上記単位構造に含まれる任意の環(A環、B環またはC環、a環、b環またはc環)同士が縮合するようにして結合した形態(環縮合型多量体)であってもよいが、環共有型多量体および環縮合型多量体が好ましく、環共有型多量体がより好ましい。
このような多量体としては、例えば、下記式(1’−4)、式(1’−4−1)、式(1’−4−2)、式(1’−5−1)〜式(1’−5−4)または式(1’−6)で表される多量体化合物があげられる。下記式(1’−4)で表される多量体化合物は、例えば後述する式(1−423)で表されるような化合物に対応する。すなわち、一般式(1’)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、複数の一般式(1’)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物(環共有型多量体)である。また、下記式(1’−4−1)で表される多量体化合物は、例えば後述する式(1−2665)で表されるような化合物に対応する。すなわち、一般式(1’)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、2つの一般式(1’)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物(環共有型多量体)である。また、下記式(1’−4−2)で表される多量体化合物は、例えば後述する式(1−2666)で表されるような化合物に対応する。すなわち、一般式(1’)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、3つの一般式(1’)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物(環共有型多量体)である。また、下記式(1’−5−1)〜式(1’−5−4)で表される多量体化合物は、例えば後述する式(1−421)、式(1−422)、式(1−424)または式(1−425)で表されるような化合物に対応する。すなわち、一般式(1’)で説明すれば、b環(またはc環)であるベンゼン環を共有するようにして、複数の一般式(1’)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物(環共有型多量体)である。また、下記式(1’−6)で表される多量体化合物は、例えば後述する式(1−431)〜(1−435)で表されるような化合物に対応する。すなわち、一般式(1’)で説明すれば、例えばある単位構造のb環(またはa環、c環)であるベンゼン環とある単位構造のb環(またはa環、c環)であるベンゼン環とが縮合するようにして、複数の一般式(2)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物(環縮合型多量体)である。なお下記構造式中の各符号の定義は一般式(1’)における定義と同じである。
Figure 2020136675
多量体化合物は、式(1’−4)、式(1’−4−1)または式(1’−4−2)で表現される多量化形態と、式(1’−5−1)〜式(1’−5−4)のいずれかまたは式(1’−6)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよく、式(1’−5−1)〜式(1’−5−4)のいずれかで表現される多量化形態と、式(1’−6)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよく、式(1’−4)、式(1’−4−1)または式(1’−4−2)で表現される多量化形態と式(1’−5−1)〜式(1’−5−4)のいずれかで表現される多量化形態と式(1’−6)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよい。
また、一般式(1)または(1’)で表される化合物およびその多量体の化学構造中の水素は、その全てまたは一部がハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。例えば、式(1)においては、A環、B環、C環(A〜C環はアリール環またはヘテロアリール環)、A〜C環への置換基、ならびに、XおよびXである>N−RにおけるR(=アルキル、シクロアルキルまたはアリール)における水素がハロゲン、シアノまたは重水素で置換されうるが、これらの中でもアリールやヘテロアリールにおける全てまたは一部の水素がハロゲン、シアノまたは重水素で置換された態様があげられる。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素、より好ましくは塩素またはフッ素であり、さらに好ましくはフッ素である。
式(1)で表される化合物およびその多量体のさらに具体的な例としては、例えば、下記構造式で表される化合物があげられる。なお、下記構造式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt−ブチル基、「iPr」はイソプロピル基、「Ph」はフェニル基、「tAm」はt−アミル基、「D」は重水素を表す。
Figure 2020136675
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Figure 2020136675
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Figure 2020136675
Figure 2020136675
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また、式(1)で表される化合物およびその多量体は、A環、B環およびC環(a環、b環およびc環)の少なくとも1つにおける、中心原子「B」(ホウ素)に対するパラ位にフェニルオキシ基、カルバゾリル基またはジフェニルアミノ基を導入することで、T1エネルギーの向上(およそ0.01〜0.1eV向上)が期待できる。特に、B(ホウ素)に対するパラ位にフェニルオキシ基を導入することで、A環、B環およびC環(a環、b環およびc環)であるベンゼン環上のHOMOがよりホウ素に対するメタ位に局在化し、LUMOがホウ素に対するオルトおよびパラ位に局在化するため、T1エネルギーの向上が特に期待できる。
このような具体例としては、例えば、下記式(1−4501)〜(1−4522)で表される化合物があげられる。
なお、式中のRはアルキルであり、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分岐鎖アルキルがあげられる。炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)が好ましく、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜5のアルキル(炭素数3〜5の分岐鎖アルキル)や炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)が特に好ましい。また、Rとしては他にフェニルや上述したシクロアルキルがあげられる。
また、「PhO−」はフェニルオキシ基であり、このフェニルは直鎖または分岐鎖のアルキルで置換されていてもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分岐鎖アルキル、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)で置換されていてもよい。また、このフェニルは上述したシクロアルキルで置換されていてもよい。
Figure 2020136675
また、式(1)で表される化合物およびその多量体の具体的な例としては、上述した化合物において、化合物中の1個または複数個の芳香環における少なくとも1つの水素が1個または複数個のアルキル、シクロアルキルまたはアリールで置換された化合物があげられ、より好ましくは1〜2個の炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜16のシクロアルキルまたは炭素数6〜10のアリールで置換された化合物があげられる。
具体的には、以下の化合物があげられる。下記式中のRはそれぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜16のシクロアルキルまたは炭素数6〜10のアリール、好ましくは炭素数1〜4のアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキルまたはフェニルであり、nはそれぞれ独立して0〜2、好ましくは1である。
Figure 2020136675
Figure 2020136675
また、式(1)で表される化合物およびその多量体の具体的な例としては、化合物中の1個または複数個のフェニル基または1個のフェニレン基における少なくとも1つの水素が1個または複数個の炭素数1〜4のアルキルや炭素数5〜10のシクロアルキル、好ましくは炭素数1〜3のアルキル(好ましくは1個または複数個のメチル基)で置換された化合物があげられ、より好ましくは、1個のフェニル基のオルト位における水素(2箇所のうち2箇所とも、好ましくはいずれか一箇所)または1個のフェニレン基のオルト位における水素(最大4箇所のうち4箇所とも、好ましくはいずれか1箇所)がメチル基で置換された化合物があげられる。
化合物中の末端のフェニル基やp−フェ二レン基のオルト位における少なくとも1つの水素をメチル基などで置換することにより、隣り合う芳香環同士が直交しやすくなって共役が弱まる結果、三重項励起エネルギー(E)を高めることが可能となる。
1−2.式(1)で表される化合物およびその多量体の製造方法
一般式(1)や(1’)で表される化合物およびその多量体は、基本的には、まずA環(a環)とB環(b環)およびC環(c環)とを結合基(XやXを含む基)で結合させることで中間体を製造し(第1反応)、その後に、A環(a環)、B環(b環)およびC環(c環)を結合基(中心原子「B」(ホウ素)を含む基)で結合させることで最終生成物を製造することができる(第2反応)。第1反応では、アミノ化反応であればブッフバルト−ハートウィッグ反応といった一般的反応が利用できる。また、第2反応では、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応(連続的な芳香族求電子置換反応、以下同様)が利用できる。なお、後述するスキーム(1)〜(13)では、XやXとして>N−Rの場合について説明しているが、>Oや>C(−R)の場合についても同様である。また、スキーム(1)〜(13)における構造式中の各符号の定義は式(1)および式(1’)における定義と同じである。
第2反応は、下記スキーム(1)や(2)に示すように、A環(a環)、B環(b環)およびC環(c環)を結合する中心原子「B」(ホウ素)を導入する反応であり、まず、XとX(>N−R)の間の水素原子をn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムまたはt−ブチルリチウム等でオルトメタル化する。次いで、三塩化ホウ素や三臭化ホウ素等を加え、リチウム−ホウ素の金属交換を行った後、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等のブレンステッド塩基を加えることで、タンデムボラフリーデルクラフツ反応させ、目的物を得ることができる。第2反応においては反応を促進させるために三塩化アルミニウム等のルイス酸を加えてもよい。
Figure 2020136675
Figure 2020136675
なお、上記スキーム(1)や(2)は、一般式(1)や(1’)で表される化合物の製造方法を主に示しているが、その多量体については、複数のA環(a環)、B環(b環)およびC環(c環)を有する中間体を用いることで製造することができる。詳細には下記スキーム(3)〜(5)で説明する。この場合、使用するブチルリチウム等の試薬の量を2倍量、3倍量とすることで目的物を得ることができる。
Figure 2020136675
Figure 2020136675
Figure 2020136675
上記スキームにおいては、オルトメタル化により所望の位置へリチウムを導入したが、下記スキーム(6)および(7)のようにリチウムを導入したい位置に臭素原子等を導入し、ハロゲン−メタル交換によっても所望の位置へリチウムを導入することができる。
Figure 2020136675
Figure 2020136675
また、スキーム(3)で説明した多量体の製造方法についても、上記スキーム(6)および(7)のようにリチウムを導入したい位置に臭素原子や塩素原子等のハロゲンを導入し、ハロゲン−メタル交換によっても所望の位置へリチウムを導入することができる(下記スキーム(8)、(9)および(10))。
Figure 2020136675
Figure 2020136675
Figure 2020136675
この方法によれば、置換基の影響でオルトメタル化ができないようなケースでも目的物を合成することができ有用である。
以上の反応で用いられる溶媒の具体例は、t−ブチルベンゼンやキシレンなどである。
上述の合成法を適宜選択し、使用する原料も適宜選択することで、所望の位置に置換基を有する化合物およびその多量体を合成することができる。
また、一般式(1’)では、a環、b環およびc環の置換基R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリールまたはヘテロアリールで置換されていてもよい。したがって、一般式(1’)で表される化合物は、a環、b環およびc環における置換基の相互の結合形態によって、下記スキーム(11)および(12)の式(1’−1)および式(1’−2)に示すように、化合物を構成する環構造が変化する。これらの化合物は下記スキーム(11)および(12)に示す中間体に上記スキーム(1)〜(10)で示した合成法を適用することで合成することができる。
Figure 2020136675
Figure 2020136675
上記式(1’−1)および式(1’−2)中のA’環、B’環およびC’環は、置換基R〜R11のうちの隣接する基同士が結合して、それぞれa環、b環およびc環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示す(a環、b環またはc環に他の環構造が縮合してできた縮合環ともいえる)。なお、式では示してはいないが、a環、b環およびc環の全てがA’環、B’環およびC’環に変化した化合物もある。
また、一般式(1’)における「>N−RのRおよび前記>C(−R)のRの少なくとも1つは、−O−、−S−、−C(−R)−または単結合により、前記a環、b環およびc環の少なくとも1つの環と結合している」との規定は、下記スキーム(13)の式(1’−3−1)で表される、XやXが縮合環B’および縮合環C’に取り込まれた環構造を有する化合物や、式(1’−3−2)や式(1’−3−3)で表される、XやXが縮合環A’に取り込まれた環構造を有する化合物で表現することができる。これらの化合物は下記スキーム(13)に示す中間体に上記スキーム(1)〜(10)で示した合成法を適用することで合成することができる。
Figure 2020136675
また、上記スキーム(1)〜(13)の合成法では、三塩化ホウ素や三臭化ホウ素等を加える前に、XとXの間の水素原子(またはハロゲン原子)をブチルリチウム等でオルトメタル化することで、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応させた例を示したが、ブチルリチウム等を用いたオルトメタル化を行わずに、三塩化ホウ素や三臭化ホウ素等の添加により反応を進行させることもできる。
なお、上記スキーム(1)〜(13)で使用するオルトメタル化試薬としては、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等のアルキルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムテトラメチルピペリジド、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジドなどの有機アルカリ化合物があげられる。
なお、上記スキーム(1)〜(13)で使用するメタル−「B」(ホウ素)の金属交換試薬としては、ホウ素の三フッ化物、ホウ素の三塩化物、ホウ素の三臭化物、ホウ素の三ヨウ化物などのホウ素のハロゲン化物、CIPN(NEtなどのホウ素のアミノ化ハロゲン化物、ホウ素のアルコキシ化物、ホウ素のアリールオキシ化物などがあげられる。
なお、上記スキーム(1)〜(13)で使用するブレンステッド塩基としては、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、2,6−ルチジン、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸カリウム、トリフェニルボラン、テトラフェニルシラン、ArBNa、ArBK、ArB、ArSi(なお、Arはフェニルなどのアリール)などがあげられる。
上記スキーム(1)〜(13)で使用するルイス酸としては、AlCl、AlBr、AlF、BF・OEt、BCl、BBr、GaCl、GaBr、InCl、InBr、In(OTf)、SnCl、SnBr、AgOTf、ScCl、Sc(OTf)、ZnCl、ZnBr、Zn(OTf)、MgCl、MgBr、Mg(OTf)、LiOTf、NaOTf、KOTf、MeSiOTf、Cu(OTf)、CuCl、YCl、Y(OTf)、TiCl、TiBr、ZrCl、ZrBr、FeCl、FeBr、CoCl、CoBrなどがあげられる。
上記スキーム(1)〜(13)では、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応の促進のためにブレンステッド塩基またはルイス酸を使用してもよい。ただし、ホウ素の三フッ化物、ホウ素の三塩化物、ホウ素の三臭化物、ホウ素の三ヨウ化物などのホウ素のハロゲン化物を用いた場合は、芳香族求電子置換反応の進行とともに、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素といった酸が生成するため、酸を捕捉するブレンステッド塩基の使用が効果的である。一方、ホウ素のアミノ化ハロゲン化物、ホウ素のアルコキシ化物を用いた場合は、芳香族求電子置換反応の進行とともに、アミン、アルコールが生成するために、多くの場合、ブレンステッド塩基を使用する必要はないが、アミノ基やアルコキシ基の脱離能が低いために、その脱離を促進するルイス酸の使用が効果的である。
また、式(1)で表される化合物やその多量体には、少なくとも一部の水素原子が重水素で置換されている化合物などやフッ素や塩素などのハロゲンまたはシアノで置換されている化合物なども含まれるが、このような化合物などは所望の箇所が重水素化、フッ素化、塩素化またはシアノ化された原料を用いることで、上記と同様に合成することができる。
次に、XおよびXの少なくとも1つが>C(−R)である多環芳香族化合物およびその多量体は上述以外の製造方法でも製造することができ、特開2018-203622号公報にも記載されている。一例として、Xが>C(−R)であり、Xが>Oまたは>N−Rの場合を説明する。
基本的には、A環(a環)とC環(c環)とを結合基(Xを含む基)で結合する第1工程、三ヨウ化ホウ素などを用いたタンデムボラフリーデルクラフツ反応(連続的な芳香族求電子置換反応、以下同様)により中心元素であるホウ素を導入する第2工程、B環(b環)部分に相当する例えばイソプロペニル基などのアルケニル基が置換したアリールグリニャール試薬やアリールリチウムなどの有機金属化合物を反応させる第3工程、その後、酸を作用させて環化反応させることにより一般式(1)または(1’)で表される多環芳香族化合物を製造する第4工程を経て、製造することができる。なお、後述するスキーム(14)〜(17)における構造式中の各符号の定義は一般式(1)または式(1’)における符号と同じである。
<第1工程>
A環(a環)とC環(c環)とが結合基(Xを含む基)で結合した化合物(下記中間体1または中間体1’)を製造するには、例えばXが>Oの場合は、求核置換反応やウルマン反応といった一般的なエーテル化反応が利用でき、Xが>N−Rの場合は、ブッフバルト−ハートウィッグ反応といった一般的なアミノ化反応が利用できる。
<第2工程および第3工程>
下記スキームのとおり、三ヨウ化ホウ素などを用いたタンデムボラフリーデルクラフツ反応の後、「−C(−R)=CHR’」が置換したアリールグリニャール試薬やアリールリチウムなどを反応させ、ホウ素原子上にB環(b環)部分を導入することで、中間体2または中間体2’を製造することができる。なお、RおよびR’については後述する。
Figure 2020136675
Figure 2020136675
上記スキーム(14)および(15)においては、第2工程であるタンデムボラフリーデルクラフツ反応において三ヨウ化ホウ素を用いる例を示したが、三塩化ホウ素や三臭化ホウ素、または三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体のような、その他のハロゲン化ホウ素試薬を用いることもできる。またこれら反応におけるタンデムボラフリーデルクラフツ反応を促進させるために、例えば三塩化アルミニウム、三塩化ガリウムまたは四塩化チタンのようなルイス酸を添加してもよい。
<第4工程>
第4工程は、上述するようにして製造した中間体2または中間体2’に酸を作用させて環化反応させることにより、一般式(1)または(1’)で表される多環芳香族化合物を製造する工程である。この工程では、下記スキーム(16)および(17)に示すように、酸、特にSc(OTf)のようなルイス酸によるフリーデルクラフツ反応によって、一般式(1)または(1’)で表される多環芳香族化合物およびその多量体を製造することができる。
Figure 2020136675
Figure 2020136675
Rは、「−CH−Cn−12(n−1)+1(nは1以上)」で表される、メチレン基(−CH−)から始まる直鎖または分岐鎖のアルキルであり、この「アルキル」としては一般式(1)における第1の置換基としてのアルキルの説明を引用することができる。また、このアルキルに結合し得る置換基は、ハロゲンまたはシアノであり、ハロゲンの詳細は上述するとおりである。nは1以上であって、好ましくはn=1〜6であり、より好ましくはn=1〜4であり、さらに好ましくはn=1〜3であり、特に好ましくはn=1または2であり、最も好ましくはn=1(メチル基)である。2つのRは同一構造であって、「>C(−R)」部分の中の「C(炭素)」は不斉炭素になることはなく、Rが分岐鎖アルキルの場合には、「>C(−R)」部分の「C(炭素)」に結合する炭素(すなわち1位の炭素)で分岐することはなく、2位以降の炭素から分岐し得ることが条件である。例えば、Rとして「−CH−C(−CH」の分岐鎖アルキルはあり得るが、「−CH(−CH)−CH」の分岐鎖アルキルはあり得ない。「>C(−R)」部分の「C(炭素)」が不斉炭素にはならないという条件を満たすために、中間体2または中間体2’におけるR’は「−Cn−12(n−1)+1(nは1以上)」で表される直鎖または分岐鎖のアルキルとなり、Rにおけるメチレン基以外の「−Cn−12(n−1)+1(nは1以上)」の部分の構造と、R’である「−Cn−12(n−1)+1(nは1以上)」との構造は同一である。そして、ここでRがメチル基であり、かつR’が水素原子である場合以外は二重結合部分でE/Z異性体が生じうるが、中間体2または中間体2’から一般式(1)または(1’)で表される多環芳香族化合物およびその多量体を製造する反応においては、中間体2または中間体2’の二重結合部分がE体であっても、またZ体であっても同一の多環芳香族化合物およびその多量体を与える。当該多環芳香族化合物の二重結合部分の形態としては、E体またはZ体、どちらの異性体であってもよく、かつE体とZ体の任意の比の混合物であってもよい。
上記スキーム(16)および(17)で使用するルイス酸としては、一般的に知られているルイス酸が使用できるが、例えばAlCl、AlBr、AlF、BF・OEt、BCl、BBr、GaCl、GaBr、InCl、InBr、In(OTf)、SnCl、SnBr、AgOTf、ScCl、Sc(OTf)、ZnCl、ZnBr、Zn(OTf)、MgCl、MgBr、Mg(OTf)、LiOTf、NaOTf、KOTf、MeSiOTf、Cu(OTf)、CuCl、YCl、Y(OTf)、TiCl、TiBr、ZrCl、ZrBr、FeCl、FeBr、CoClおよびCoBrなどが挙げられる。
上記スキーム(16)および(17)で使用する溶媒としては、一般的な有機溶媒が使用できるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレンの各異性体およびその混合物、トリメチルベンゼンの各異性体およびその混合物、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ベンゾトリフロリド、ジエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、シクロペンタン、ペンタン、シクロヘキサン、ヘキサン、オクタン、ドデカンおよびデカリンなどが挙げられ、またこれらの任意の比の混合物も用いることができる。
1−3.一般式(2)で表される化合物
式(2)で表される化合物は基本的にはホストとして機能する。
Figure 2020136675
上記式(2)中、2つのXは共に同じ構造の置換基であり、式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよく、
ただし、式(2)で表される化合物は、すべての置換基を含めた分子構造全体として、アントラセン骨格の長軸について線対称(2回対称)であり、また、式(2)で表される化合物はアトロプ異性体を有さない。
Xである置換基としては、例えばアリールまたはヘテロアリールが挙げられ、アリールが好ましく、これらの基における少なくとも1つの水素は、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール(以上、第1置換基)で置換されていてもよく、当該第1置換基における少なくとも1つの水素はさらに、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)で置換されていてもよい。第2置換基としてはアルキルが好ましく、第2置換基が存在しないことが特に好ましい。ただし、2つのXは共に同じ構造を有する。
Xであるアリールとしては、例えば、炭素数6〜30のアリール、炭素数6〜24のアリール、炭素数6〜18のアリール、炭素数6〜16のアリール、炭素数6〜14のアリール、炭素数6〜12のアリール、炭素数6〜10のアリールなどが挙げられる。
具体的なアリールとしては、単環系であるフェニル、二環系であるビフェニリル、縮合二環系であるナフチル、三環系であるテルフェニリル、縮合三環系である、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、四環系であるクアテルフェニリル、縮合四環系である、ベンゾアントラセニル、ベンゾフルオレニル、トリフェニレニル、ナフタセニル、フルオランテニル、ピレニル、クリセニル、縮合五環系である、ペリレニル、ペンタセニル、ジベンゾフルオレニルなどがあげられる。
Xであるヘテロアリールとしては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリール、炭素数2〜25のヘテロアリール、炭素数2〜20のヘテロアリール、炭素数4〜16のヘテロアリール、炭素数12〜16のヘテロアリールなどが挙げられる。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1〜5個含有する複素環などがあげられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、フェナントロリニル、アクリジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェナザシリニル、インドリジニル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ナフトベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾ[b]チオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、ナフトベンゾチオフェニル、ベンゾホスホリル、ジベンゾホスホリル、フラザニル、チアントレニル、インドロカルバゾリル、ベンゾインドロカルバゾリルおよびベンゾベンゾインドロカルバゾリルなどがあげられる。
Xに置換しうる第1置換基のアルキルとしては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜30の直鎖アルキルまたは炭素数3〜30の分岐鎖アルキル、炭素数1〜24のアルキル(炭素数3〜24の分岐鎖アルキル)、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)、炭素数1〜5のアルキル(炭素数3〜5の分岐鎖アルキル)、炭素数1〜4のアルキル(炭素数4の分岐鎖アルキル)などが挙げられる。
具体的なアルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル(t−アミル)、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル(1,1,3,3−テトラメチルブチル)、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどが挙げられる。
また、例えば、1−エチル−1−メチルプロピル、1,1−ジエチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1−エチル−1−メチルブチル、1,1,4−トリメチルペンチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,1−ジメチルオクチル、1,1−ジメチルペンチル、1,1−ジメチルヘプチル、1,1,5−トリメチルヘキシル、1−エチル−1−メチルヘキシル、1−エチル−1,3−ジメチルブチル、1,1,2,2−テトラメチルプロピル、1−ブチル−1−メチルペンチル、1,1−ジエチルブチル、1−エチル−1−メチルペンチル、1,1,3−トリメチルブチル、1−プロピル−1−メチルペンチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1,2,2−トリメチルプロピル、1−プロピル−1−メチルブチル、1,1−ジメチルヘキシルなどもあげられる。
Xに置換しうる第1置換基のシクロアルキルとしては、炭素数3〜24のシクロアルキル、炭素数3〜20のシクロアルキル、炭素数3〜16のシクロアルキル、炭素数3〜14のシクロアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数5〜6のシクロアルキル、炭素数5のシクロアルキルなどが挙げられる。
具体的なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、およびこれらの炭素数1〜4のアルキル(特にメチル)置換体や、ビシクロ[1.0.1]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどが挙げられる。
Xに置換する第1置換基のアリールまたはヘテロアリールとしては、上述したXとしてのアリールおよびヘテロアリールの説明を引用できる。
第1置換基に置換しうる第2置換基のアルキルまたはシクロアルキルとしては、上述した第1置換基としてのアルキルおよびシクロアルキルの説明を引用できる。
Xは、上述するように、式(2)におけるアントラセン骨格の9位および10位に2つ存在し、また第1や第2の置換基を有しうるが、2つのXは共に「同じ構造」を有する必要がある。「同じ構造」とは、2つのXが共に同じ基(例えばナフチル基とナフチル基)であり、アントラセン骨格への置換態様も同じ(例えば2−ナフチル基と2−ナフチル基)であり、さらにXへの置換基の種類と置換位置も同じ(例えば共にナフチル基の6位にメチル基が置換)であることを意味する。この例を以下の構造式(2a)で示す。
Figure 2020136675
下記式(2a)で表される化合物は本願の式(2)で表される化合物に含まれる。
例えば、2つのXが共に同じ基(ビフェニリル基)であっても、置換基の位置が異なれば「同じ構造」のXではない(以下に示す構造式(2b))。ただし、化学構造式において見かけ上非対称であっても(以下に示す構造式(2c))、アントラセン骨格の9位および10位から生じるsp3結合はアントラセンの長軸方向と直交する軸(9位と10位とを結ぶ軸)の周りを自由回転するため、「同じ構造」のXに該当する場合がある。なお、上記の構造式(2c)では、2つのXが共に同じ基であり、アントラセン骨格への置換態様も同じであり、さらにXへの置換基の種類と置換位置も同じである。
Figure 2020136675
上記式(2b)で表される化合物は本願の式(2)で表される化合物には含まれず、上記式(2c)で表される化合物は本願の式(2)で表される化合物に含まれる。
また、一般式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素、より好ましくはフッ素または塩素である。
ただし、式(2)で表される化合物は、すべての置換基を含めた分子構造全体として、アントラセン骨格の長軸について線対称(2回対称)である。
すなわち、上述するように2つのXは共に「同じ構造」を有するため、この限りでは、分子構造全体としてアントラセン骨格の長軸について線対称(2回対称)であるが、式(2)で表される化合物は、すべての置換基を含めた(すなわち、ハロゲン、シアノまたは重水素の置換基をも含めた)分子構造全体として、アントラセン骨格の長軸について線対称(2回対称)である必要がある。
例えば、以下の化合物(2d)および化合物(2e)は、分子構造全体としてアントラセン骨格の長軸について線対称(2回対称)ではない。これは、2つのXが「同じ構造」を有しながらも、重水素(D)やシアノ(CN)の置換基について言えば、同じ置換基が線対称となるように置換していないためである。一方、以下の化合物(2f)および化合物(2g)は、分子構造全体としてアントラセン骨格の長軸について線対称(2回対称)である。これは、化合物(2f)については、2つのXが「同じ構造」を有し、かつ重水素(D)の置換基についても、同じ置換基が線対称となるように置換しているためであり、化合物(2g)については、シアノ(CN)の置換基について言えば、2つのXが「同じ構造」を有するようにシアノが置換しており、かつアントラセン骨格上に線対称を崩すようなハロゲン、シアノまたは重水素の置換基が存在しないためである。
Figure 2020136675
上記式(2d)または式(2e)で表される化合物は本願の式(2)で表される化合物には含まれず、上記式(2f)または式(2g)で表される化合物は本願の式(2)で表される化合物に含まれる。
さらに、式(2)で表される化合物はアトロプ異性体を有さない。アトロプ異性体とは、本願の化合物で言えば、2つのXの短軸(アントラセンの9位と10位とを結ぶ軸)周りの自由回転が制限されて軸不斉が生じる結果、生じる異性体のことである。
例えば、本来、自由回転が許される2−ナフチル基であっても、化合物(2h)のようにアントラセンとの結合位置を基準としてオルト位に立体障害を生じる置換基(例えばフェニル基など)が存在する場合、短軸周りに2−ナフチル基の自由回転が制限されるため、化合物(2h)の他に化合物(2i)の異性体が存在する。また、Xとして同じ構造の基であっても、アントラセンへの結合形態が異なることでアトロプ異性体を生じる場合もある。例えば、ナフチル基には1−ナフチル基と2−ナフチル基があり、2−ナフチル基は短軸周りの自由回転が許されるが、1−ナフチル基の場合は短軸周りの自由回転が制限されるため、化合物(2j)および化合物(2k)の異性体が存在する。また、例えばフェナントレニル基についても、化合物(2m)のような2−フェナントレニル基は短軸周りの自由回転が許されるが、化合物(2n)のような9−フェナントレニル基は短軸周りの自由回転が制限されるためアトロプ異性体が存在する。
Figure 2020136675
上記式(2h)、式(2i)、式(2j)、式(2k)または式(2n)で表される化合物は本願の式(2)で表される化合物には含まれず、上記式(2m)で表される化合物は本願の式(2)で表される化合物に含まれる。
このような短軸周りの自由回転の制限は主にアントラセン骨格とXとの結合箇所における立体障害により生じる。アントラセン骨格の側ではアントラセンの1,4,5および8位へのシアノ基、ファンデルワールス径が大きいハロゲン(例えば臭素やヨウ素)の置換が原因となりうる。置換基Xの側では、例えばXとしてフェニル基の場合を考えると、アントラセンとの結合位置を基準としてオルト位に置換基が存在する形態(例えばオルト位にメチル基が置換したフェニル基)や、オルト位を含むような縮合環が存在する形態(例えば1−ナフチル基)が原因となりうる。ただし、立体障害はアントラセン骨格とXとの結合箇所における空間で生じるものであるため、アントラセン骨格の側、置換基Xの側のどちらか一方で判断することはできない。
このようなアトロプ異性体は室温におけるNMR測定でも確認することができ、また高速液体クロマトグラフィーのようなクロマトグラフィーでも分離することができる場合がある。こうした異性体の存在比率は、化合物の製造時に厳密に制御することが困難であるため、このような十分に制御されていない化合物を使用した有機電界発光素子の性能にも影響する場合がある。したがって、本願発明で規定されるような式(2)の化合物によれば安定して優れた有機電界発光素子を製造することができる。
式(2)で表される化合物のさらに具体的な例としては、例えば、下記構造式で表される化合物があげられる。なお、下記構造式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt−ブチル基を表す。
Figure 2020136675
Figure 2020136675
Figure 2020136675
Figure 2020136675
式(2)で表される化合物としては、式(2−1)、式(2−5)、式(2−11)または式(2−34)で表される化合物が好ましく、式(2−1)、式(2−5)または式(2−11)で表される化合物がより好ましい。
なお、本発明は上記の具体的な構造の開示によって限定されることはない。
1−4.式(2)で表される化合物の製造方法
式(2)で表される化合物は、9,10−ジブロモアントラセン、または、9,10位にボロン酸、ボロン酸エステル、−ZnHalもしくは−MgHal(ここではHalはハロゲンを表す)等が置換したアントラセン化合物を原料として、鈴木カップリング反応、根岸カップリング反応、熊田−玉尾カップリングなどのクロスカップリング反応を用いることで式(2)で表される化合物を製造できる。
また下記スキーム(14)に示すように、アントラキノンにアリールグリニャール試薬(Ar−MgHal:ここではHalはハロゲン)またはアリールリチウム試薬(Ar−Li)を作用させてジオールに変換した後に、次亜リン酸ナトリウムなどの還元剤で反応させることによっても、式(2)で表される化合物を製造できる。下記スキーム(14)ではXとしてアリールを例に挙げたが、Xとしてヘテロアリールでも同様に式(2)で表される化合物を製造できる。
Figure 2020136675
2.有機電界発光素子
これ以降で例示する化学構造式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt−ブチル基を表す。
以下に、本実施形態に係る有機EL素子について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。
<有機電界発光素子の構造>
図1に示された有機EL素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。
なお、有機EL素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成として、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106、電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機EL素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」の構成態様であってもよい。
<有機電界発光素子における基板>
基板101は、有機EL素子100の支持体であり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
<有機電界発光素子における陽極>
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たす。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および正孔輸送層104の少なくとも1つの層が設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物があげられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどがあげられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3−メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどがあげられる。その他、有機EL素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100〜5Ω/□、好ましくは50〜5Ω/□の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常50〜300nmの間で用いられることが多い。
<有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層>
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たす。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機EL素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意の化合物を選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、ビス(N−アリールカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミノを主鎖または側鎖に持つポリマー、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N4’−ジフェニル−N,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、N,N,N4’,N4’−テトラ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体など)、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体(例えば、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリルなど)、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシランなどである。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6−テトラフルオロテトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」および文献「J.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)、または、特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)など)が知られている(特開2005-167175号公報)。
<有機電界発光素子における発光層>
発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光する層である。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光)効率を示す化合物であるのが好ましい。本発明では、発光層用の材料として、ドーパント材料として上記一般式(1)で表される化合物および上記一般式(1)で表される構造を複数有する化合物の多量体の少なくとも1つと、ホスト材料として上記一般式(2)で表される化合物とを用いることができる。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光層用材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成される。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
ホスト材料の使用量はホスト材料の種類によって異なり、そのホスト材料の特性に合わせて決めればよい。ホスト材料の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の50〜99.999重量%であり、より好ましくは80〜99.95重量%であり、さらに好ましくは90〜99.9重量%である。
ドーパント材料の使用量はドーパント材料の種類によって異なり、そのドーパント材料の特性に合わせて決めればよい。ドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の0.001〜50重量%であり、より好ましくは0.05〜20重量%であり、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。上記の範囲であれば、例えば、濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。
上記一般式(2)で表される化合物と併用することができるホスト材料としては、以前から発光体として知られていたピレンなどの縮合環誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体などがあげられる。
<有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層>
電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たす。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することをつかさどる層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
電子輸送層106または電子注入層107を形成する材料(電子輸送材料)としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
電子輸送層または電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香族環または複素芳香族環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香族環誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香族環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体などがあげられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ピリジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体(1,3−ビス[(4−t−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなど)、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体(N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなど)、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体(2,2’−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレンなど)、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体(トリス(N−フェニルベンゾイミダゾール−2−イル)ベンゼンなど)、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、テルピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、テルピリジン誘導体(1,3−ビス(4’−(2,2’:6’2”−テルピリジニル))ベンゼンなど)、ナフチリジン誘導体(ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなど)、アルダジン誘導体、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、リンオキサイド誘導体、ビススチリル誘導体などがあげられる。
また、電子受容性窒素を有する金属錯体を用いることもでき、例えば、キノリノール系金属錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。
上述した材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
上述した材料の中でも、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、およびキノリノール系金属錯体が好ましい。
<ボラン誘導体>
ボラン誘導体は、例えば下記一般式(ETM−1)で表される化合物であり、詳細には特開2007-27587号公報に開示されている。
Figure 2020136675
上記式(ETM−1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよいアリーレンであり、Yは、置換されていてもよい炭素数16以下のアリール、置換されているボリル、または置換されていてもよいカルバゾリルであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
上記一般式(ETM−1)で表される化合物の中でも、下記一般式(ETM−1−1)で表される化合物や下記一般式(ETM−1−2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2020136675
式(ETM−1−1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、Xは、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、そして、mはそれぞれ独立して0〜4の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
Figure 2020136675
式(ETM−1−2)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
の具体的な例としては、下記式(X−1)〜式(X−9)のいずれかで表される2価の基があげられる。各構造式中の*は結合位置を表す。
Figure 2020136675
(各式中、Rは、それぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基または置換されていてもよいフェニル基である。)
このボラン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2020136675
このボラン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ピリジン誘導体>
ピリジン誘導体は、例えば下記式(ETM−2)で表される化合物であり、好ましくは式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)で表される化合物である。
Figure 2020136675
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数である。
上記式(ETM−2−1)において、R11〜R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)である。
上記式(ETM−2−2)において、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)であり、R11およびR12は結合して環を形成していてもよい。
各式において、「ピリジン系置換基」は、下記式(Py−1)〜式(Py−15)のいずれかであり、ピリジン系置換基はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルで置換されていてもよい。また、ピリジン系置換基はフェニレン基やナフチレン基を介して各式におけるφ、アントラセン環またはフルオレン環に結合していてもよい。各構造式中の*は結合位置を表す。
Figure 2020136675
ピリジン系置換基は、上記式(Py−1)〜式(Py−15)のいずれかであるが、これらの中でも、下記式(Py−21)〜式(Py−44)のいずれかであることが好ましい。各構造式中の*は結合位置を表す。
Figure 2020136675
各ピリジン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよく、また、上記式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における2つの「ピリジン系置換基」のうちの一方はアリールで置き換えられていてもよい。
11〜R18における「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分岐鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル(t−アミル)、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル(1,1,3,3−テトラメチルブチル)、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどがあげられる。
また、例えば、1−エチル−1−メチルプロピル、1,1−ジエチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1−エチル−1−メチルブチル、1,1,4−トリメチルペンチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,1−ジメチルオクチル、1,1−ジメチルペンチル、1,1−ジメチルヘプチル、1,1,5−トリメチルヘキシル、1−エチル−1−メチルヘキシル、1−エチル−1,3−ジメチルブチル、1,1,2,2−テトラメチルプロピル、1−ブチル−1−メチルペンチル、1,1−ジエチルブチル、1−エチル−1−メチルペンチル、1,1,3−トリメチルブチル、1−プロピル−1−メチルペンチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1,2,2−トリメチルプロピル、1−プロピル−1−メチルブチル、1,1−ジメチルヘキシルなどもあげられる。
ピリジン系置換基に置換する炭素数1〜4のアルキルとしては、上記アルキルの説明を引用することができる。
11〜R18における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルがあげられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
ピリジン系置換基に置換する炭素数5〜10のシクロアルキルとしては、上記シクロアルキルの説明を引用することができる。
11〜R18における「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6〜30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6〜18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6〜14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「炭素数6〜30のアリール」としては、単環系アリールであるフェニル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる。
好ましい「炭素数6〜30のアリール」は、フェニル、ナフチル、フェナントリル、クリセニルまたはトリフェニレニルなどがあげられ、さらに好ましくはフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはフェナントリルがあげられ、特に好ましくはフェニル、1−ナフチルまたは2−ナフチルがあげられる。
上記式(ETM−2−2)におけるR11およびR12は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このピリジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2020136675
このピリジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<フルオランテン誘導体>
フルオランテン誘導体は、例えば下記一般式(ETM−3)で表される化合物であり、詳細には国際公開第2010/134352号公報に開示されている。
Figure 2020136675
上記式(ETM−3)中、X12〜X21は水素、ハロゲン、直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、直鎖、分岐もしくは環状のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールを表す。ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
このフルオランテン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2020136675
<BO系誘導体>
BO系誘導体は、例えば下記式(ETM−4)で表される多環芳香族化合物、または下記式(ETM−4)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。
Figure 2020136675
〜R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
また、R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
また、式(ETM−4)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素がハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
式(ETM−4)における置換基や環形成の形態、また式(ETM−4)の構造が複数合わさってできる多量体の説明については、上記一般式(1)や式(1’)で表される化合物やその多量体の説明を引用することができる。
このBO系誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2020136675
このBO系誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<アントラセン誘導体>
アントラセン誘導体の1つは、例えば下記式(ETM−5−1)で表される化合物である。
Figure 2020136675
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンであり、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6〜20のアリールである。
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンから適宜選択することができ、2つのArが異なっていても同じであってもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じであることが好ましい。Arはピリジンと結合して、「Arおよびピリジンからなる部位」を形成しており、この部位は例えば下記式(Py−1)〜式(Py−12)のいずれかで表される基としてアントラセンに結合している。各構造式中の*は結合位置を表す。
Figure 2020136675
これらの基の中でも、上記式(Py−1)〜式(Py−9)のいずれかで表される基が好ましく、上記式(Py−1)〜式(Py−6)のいずれかで表される基がより好ましい。アントラセンに結合する2つの「Arおよびピリジンからなる部位」は、その構造が同じであっても異なっていてもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じ構造であることが好ましい。ただし、素子特性の観点からは、2つの「Arおよびピリジンからなる部位」の構造が同じであっても異なっていても好ましい。
〜Rにおける炭素数1〜6のアルキルについては直鎖および分岐鎖のいずれでもよい。すなわち、炭素数1〜6の直鎖アルキルまたは炭素数3〜6の分岐鎖アルキルである。より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)である。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル(t−アミル)、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、または2−エチルブチルなどがあげられ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、またはt−ブチルが好ましく、メチル、エチル、またはt−ブチルがより好ましい。
〜Rにおける炭素数3〜6のシクロアルキルの具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
〜Rにおける炭素数6〜20のアリールについては、炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。
「炭素数6〜20のアリール」の具体例としては、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アントラセン−(1−,2−,9−)イル、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、テトラセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イルなどがあげられる。
好ましい「炭素数6〜20のアリール」は、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリルまたはナフチルであり、より好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはm−テルフェニル−5’−イルであり、さらに好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1−ナフチルまたは2−ナフチルであり、最も好ましくはフェニルである。
アントラセン誘導体の1つは、例えば下記式(ETM−5−2)で表される化合物である。
Figure 2020136675
Arは、それぞれ独立して、単結合、2価のベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、またはフェナレンである。
Arは、それぞれ独立して、炭素数6〜20のアリールであり、上記式(ETM−5−1)における「炭素数6〜20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどがあげられる。
〜Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6〜20のアリールであり、上記式(ETM−5−1)における説明を引用することができる。
これらのアントラセン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2020136675
これらのアントラセン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ベンゾフルオレン誘導体>
ベンゾフルオレン誘導体は、例えば下記式(ETM−6)で表される化合物である。
Figure 2020136675
Arは、それぞれ独立して、炭素数6〜20のアリールであり、上記式(ETM−5−1)における「炭素数6〜20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどがあげられる。
Arは、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)であり、2つのArは結合して環を形成していてもよい。
Arにおける「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分岐鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)である。具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル(t−アミル)、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシルなどがあげられる。
Arにおける「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルがあげられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
Arにおける「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6〜30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6〜18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6〜14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「炭素数6〜30のアリール」としては、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、ペリレニル、ペンタセニルなどがあげられる。
2つのArは結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このベンゾフルオレン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2020136675
このベンゾフルオレン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ホスフィンオキサイド誘導体>
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM−7−1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2013/079217号公報にも記載されている。
Figure 2020136675
は、置換または無置換の、炭素数1〜20のアルキル、炭素数3〜20のシクロアルキル、炭素数6〜20のアリールまたは炭素数5〜20のヘテロアリールであり、
は、CN、置換または無置換の、炭素数1〜20のアルキル、炭素数3〜20のシクロアルキル、炭素数1〜20のヘテロアルキル、炭素数6〜20のアリール、炭素数5〜20のヘテロアリール、炭素数1〜20のアルコキシまたは炭素数6〜20のアリールオキシであり、
およびRは、それぞれ独立して、置換または無置換の、炭素数6〜20のアリールまたは炭素数5〜20のヘテロアリールであり、
は酸素または硫黄であり、
jは0または1であり、kは0または1であり、rは0〜4の整数であり、qは1〜3の整数である。
ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM−7−2)で表される化合物でもよい。
Figure 2020136675
〜Rは、同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、および隣接置換基との間に形成される縮合環の中から選ばれる。
Arは、同じでも異なっていてもよく、アリーレン基またはヘテロアリーレン基であり、Arは、同じでも異なっていてもよく、アリール基またはヘテロアリール基である。ただし、ArおよびArのうち少なくとも一方は置換基を有しているか、または隣接置換基との間に縮合環を形成している。nは0〜3の整数であり、nが0のとき不飽和構造部分は存在せず、nが3のときR1は存在しない。
これらの置換基の内、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。置換されている場合の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、アリール基、複素環基等をあげることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常、1〜20の範囲である。
また、シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキル基部分の炭素数は特に限定されないが、通常、3〜20の範囲である。
また、アラルキル基とは、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基などの脂肪族炭化水素を介した芳香族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素はいずれも無置換でも置換されていてもかまわない。脂肪族部分の炭素数は特に限定されないが、通常、1〜20の範囲である。
また、アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜20の範囲である。
また、シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセン基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。
また、アルキニル基とは、例えば、アセチレニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜20の範囲である。
また、アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基などのエーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1〜20の範囲である。
また、アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、シクロアルキルチオ基とは、シクロアルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基などのエーテル結合を介した芳香族炭化水素基を示し、芳香族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6〜40の範囲である。
また、アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、フェナントリル基、テルフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、無置換でも置換されていてもかまわない。アリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、6〜40の範囲である。
また、複素環基とは、例えば、フラニル基、チエニル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を有する環状構造基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜30の範囲である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。
アルデヒド基、カルボニル基、アミノ基には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環などで置換された基も含むことができる。
また、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環は無置換でも置換されていてもかまわない。
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基などのケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。シリル基の炭素数は特に限定されないが、通常、3〜20の範囲である。また、ケイ素数は、通常、1〜6である。
隣接置換基との間に形成される縮合環とは、例えば、ArとR、ArとR、ArとR、ArとR、RとR、ArとAr等の間で形成された共役または非共役の縮合環である。ここで、nが1の場合、2つのR同士で共役または非共役の縮合環を形成してもよい。これら縮合環は、環内構造に窒素、酸素、硫黄原子を含んでいてもよいし、さらに別の環と縮合してもよい。
このホスフィンオキサイド誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2020136675
このホスフィンオキサイド誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ピリミジン誘導体>
ピリミジン誘導体は、例えば下記式(ETM−8)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM−8−1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2011/021689号公報にも記載されている。
Figure 2020136675
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このピリミジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2020136675
このピリミジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<カルバゾール誘導体>
カルバゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−9)で表される化合物、またはそれが単結合などで複数結合した多量体である。詳細は米国公開公報2014/0197386号公報に記載されている。
Figure 2020136675
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0または1である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
カルバゾール誘導体は、上記式(ETM−9)で表される化合物が単結合などで複数結合した多量体であってもよい。この場合、単結合以外に、アリール環(好ましくは多価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)で結合されていてもよい。
このカルバゾール誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2020136675
このカルバゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<トリアジン誘導体>
トリアジン誘導体は、例えば下記式(ETM−10)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM−10−1)で表される化合物である。詳細は米国公開公報2011/0156013号公報に記載されている。
Figure 2020136675
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1〜3の整数であり、好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このトリアジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2020136675
このトリアジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ベンゾイミダゾール誘導体>
ベンゾイミダゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−11)で表される化合物である。
Figure 2020136675
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数であり、「ベンゾイミダゾール系置換基」は、上記式(ETM−2)、式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基がベンゾイミダゾール基に置き換わった置換基であり、ベンゾイミダゾール誘導体における少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。下記構造式中の*は結合位置を表す。
Figure 2020136675
上記ベンゾイミダゾール基におけるR11は、水素、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたは炭素数6〜30のアリールであり、上記式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)におけるR11の説明を引用することができる。
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)の説明を引用することができ、各式中のR11〜R18は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができる。また、上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをベンゾイミダゾール系置換基に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11〜R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば上記式(ETM−2−1)におけるR11〜R18の少なくとも1つをベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11〜R18で置き換えてもよい。
このベンゾイミダゾール誘導体の具体例としては、例えば1−フェニル−2−(4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(3−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールなどがあげられる。
Figure 2020136675
このベンゾイミダゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<フェナントロリン誘導体>
フェナントロリン誘導体は、例えば下記式(ETM−12)または式(ETM−12−1)で表される化合物である。詳細は国際公開2006/021982号公報に記載されている。
Figure 2020136675
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数である。
各式のR11〜R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)である。また、上記式(ETM−12−1)においてはR11〜R18のいずれかがアリール環であるφと結合する。
各フェナントロリン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
11〜R18におけるアルキル、シクロアルキルおよびアリールとしては、上記式(ETM−2)におけるR11〜R18の説明を引用することができる。また、φは上記した例のほかに、例えば、以下の構造式があげられる。なお、下記構造式中のRは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリルまたはテルフェニリルである。また、各構造式中の*は結合位置を表す。
Figure 2020136675
このフェナントロリン誘導体の具体例としては、例えば4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、9,10−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)アントラセン、2,6−ジ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ピリジン、1,3,5−トリ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ベンゼン、9,9’−ジフルオル−ビス(1,10−フェナントロリン−5−イル)、バソクプロインや1,3−ビス(2−フェニル−1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンなどがあげられる。
Figure 2020136675
このフェナントロリン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<キノリノール系金属錯体>
キノリノール系金属錯体は、例えば下記一般式(ETM−13)で表される化合物である。
Figure 2020136675
式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アルケニル、シアノ、アルコキシまたはアリールであり、MはLi、Al、Ga、BeまたはZnであり、nは1〜3の整数である。
キノリノール系金属錯体の具体例としては、8−キノリノールリチウム、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,3−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,4−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,5,6−テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウムなどがあげられる。
このキノリノール系金属錯体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体>
チアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−14−1)で表される化合物である。
Figure 2020136675
ベンゾチアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−14−2)で表される化合物である。
Figure 2020136675
各式のφは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数であり、「チアゾール系置換基」や「ベンゾチアゾール系置換基」は、上記式(ETM−2)、式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基がチアゾール基やベンゾチアゾール基に置き換わった置換基であり、チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。下記構造式中の*は結合位置を表す。
Figure 2020136675
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができ、各式中のR11〜R18は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができる。また、上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11〜R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば上記式(ETM−2−1)におけるR11〜R18の少なくとも1つをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11〜R18で置き換えてもよい。
これらのチアゾール誘導体またはベンゾチアゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
電子輸送層または電子注入層には、さらに、電子輸送層または電子注入層を形成する材料を還元できる物質を含んでいてもよい。この還元性物質は、一定の還元性を有する物質であれば、様々な物質が用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを好適に使用することができる。
好ましい還元性物質としては、Na(仕事関数2.36eV)、K(同2.28eV)、Rb(同2.16eV)またはCs(同1.95eV)などのアルカリ金属や、Ca(同2.9eV)、Sr(同2.0〜2.5eV)またはBa(同2.52eV)などのアルカリ土類金属があげられ、仕事関数が2.9eV以下の物質が特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性物質は、K、RbまたはCsのアルカリ金属であり、さらに好ましくはRbまたはCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。また、仕事関数が2.9eV以下の還元性物質として、これら2種以上のアルカリ金属の組み合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、またはCsとNaとKとの組み合わせが好ましい。Csを含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
<有機電界発光素子における陰極>
陰極108は、電子注入層107および電子輸送層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たす。
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様の材料を用いることができる。なかでも、スズ、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム−リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は一般に大気中で不安定であることが多い。この点を改善するために、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウムをドーピングして、安定性の高い電極を使用する方法が知られている。その他のドーパントとしては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩も使用することができる。ただし、これらに限定されない。
さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例としてあげられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
<各層で用いてもよい結着剤>
以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
<有機電界発光素子の作製方法>
有機EL素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などの方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm〜5000nmの範囲である。膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造などにより異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度+50〜+400℃、真空度10−6〜10−3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−150〜+300℃、膜厚2nm〜5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
次に、有機EL素子を作製する方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法などにより形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上にホスト材料とドーパント材料を共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層、電子注入層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法などにより形成させて陰極とすることにより、目的の有機EL素子が得られる。なお、上述の有機EL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた有機EL素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として印加すればよく、電圧2〜40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機EL素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
<有機電界発光素子の応用例>
また、本発明は、有機EL素子を備えた表示装置または有機EL素子を備えた照明装置などにも応用することができる。
有機EL素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機EL素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどがあげられる(例えば、特開平10-335066号公報、特開2003-321546号公報、特開2004-281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよびセグメント方式などがあげられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスでは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されており、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が、簡単な構造であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などがあげられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどがあげられる(例えば、特開2003-257621号公報、特開2003-277741号公報、特開2004-119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式が蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されない。まず、式(1)の化合物および式(2)の化合物の合成例について、以下に説明する。
合成例(1A)
化合物(1−401):5,9−ジフェニル−5,9−ジヒドロ−5,9−ジアザ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成
Figure 2020136675
窒素雰囲気下、ジフェニルアミン(66.0g)、1−ブロモ−2,3−ジクロロベンゼン(40.0g)、Pd−132(ジョンソンマッセイ)(1.3g)、NaOtBu(43.0g)およびキシレン(400ml)の入ったフラスコを80℃で2時間加熱撹拌した後、120℃まで昇温して更に3時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、水および酢酸エチルを加え、析出した固体を吸引ろ過にて採取した。次いで、シリカゲルショートパスカラム(溶離液:加熱したトルエン)で精製した。溶媒を減圧留去して得られた固体をヘプタンで洗浄することで2−クロロ−N,N,N,N−テトラフェニルベンゼン−1,3−ジアミンを得た(65.0g)。
Figure 2020136675
2−クロロ−N,N,N,N−テトラフェニルベンゼン−1,3−ジアミン(20.0g)およびtert−ブチルベンゼン(150ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、−30℃で、1.7Mのtert−ブチルリチウムペンタン溶液(27.6ml)を加えた。滴下終了後、60℃まで昇温して2時間撹拌した後、tert−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−30℃まで冷却して三臭化ホウ素(5.1ml)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N−ジイソプロピルエチルアミン(15.6ml)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、120℃まで昇温して3時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いでへプタンを加えて分液した。次いで、シリカゲルショートパスカラム(溶離液:トルエン)で精製した後、溶媒を減圧留去し得られた固体をトルエンに溶かし、へプタンを加えて再沈殿させ、化合物(1−401)を得た(6.0g)。
Figure 2020136675
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ=8.94(d,2H)、7.70(t,4H)、7.60(t,2H)、7.42(t,2H)、7.38(d,4H)、7.26(m,3H)、6.76(d,2H)、6.14(d,2H).
合成例(1B)
化合物(1−2619):2,12−ジ−t−ブチル−5,9−ビス(4−(t−ブチル)フェニル)−7−メチル−5,9−ジヒドロ−5,9−ジアザ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成
Figure 2020136675
化合物(1−2619)は、上記合成例(1A)で説明する化合物(1−401)の合成法に準じて合成した。
合成例(1C)
化合物(1−5001):16,16,19,19−テトラメチル−N,N,N14,N14−テトラフェニル−16,19−ジヒドロ−6,10−ジオキサ−17b−ボラインデノ[1,2−b]インデノ[1’,2’:6,7]ナフト[1,2,3−fg]アントラセン−2,14−ジアミンの合成
Figure 2020136675
窒素雰囲気下、4−メトキシサリチル酸メチル(50.0g)、ピリジン(脱水)(350ml)の入ったフラスコを、氷浴で冷却した。次いで、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(154.9g)をこの溶液に滴下した。滴下終了後に氷浴を外し、室温で2時間撹拌し、水を加えて反応を停止した。トルエンを加えて分液した後、シリカゲルショートパスカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、メチル 4−メトキシ−2−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)ベンゾアートを得た(86.0g)。
Figure 2020136675
窒素雰囲気下、メチル 4−メトキシ−2−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)ベンゾアート(23.0g)、(4−(ジフェニルアミノ)フェニル)ボロン酸(25.4g)、リン酸三カリウム(31.1g)、トルエン(184ml)、エタノール(27.6ml)および水(27.6ml)の懸濁溶液に、Pd(PPh(2.5g)を加え、還流温度で3時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、水およびトルエンを加えて分液し、有機層の溶媒を減圧留去した。得られた固体をシリカゲルカラム(溶離液:ヘプタン/トルエン混合溶媒)で精製し、メチル 4’−(ジフェニルアミノ)−5−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボキシラート(29.7g)を得た。この際、「有機化学実験のてびき(1)−物質取扱法と分離精製法−」株式会社化学同人出版、94頁に記載の方法を参考にして、溶離液中のトルエンの比率を徐々に増加させてメチル 4’−(ジフェニルアミノ)−5−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボキシラートを溶出させた。
Figure 2020136675
窒素雰囲気下、メチル 4’−(ジフェニルアミノ)−5−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボキシラート(11.4g)を溶解したTHF(111.4ml)溶液を水浴で冷却し、その溶液に、メチルマグネシウムブロミドTHF溶液(1.0M、295ml)を滴下した。滴下終了後、水浴を外して還流温度まで昇温して4時間撹拌した。その後、氷浴で冷却し、塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止し、酢酸エチルを加えて分液した後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン)で精製し、2−(5’−(ジフェニルアミノ)−5−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)プロパン−2−オールを得た(8.3g)。
Figure 2020136675
窒素雰囲気下、2−(5’−(ジフェニルアミノ)−5−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)プロパン−2−オール(27.0g)、TAYCACURE−15(13.5g)およびトルエン(162ml)の入ったフラスコを還流温度で2時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、シリカゲルショートパスカラム(溶離液:トルエン)を通過させることで、TAYCACURE−15を除去した後、溶媒を減圧留去することで、6−メトキシ−9,9’−ジメチル−N,N−ジフェニル−9H−フルオレン−2−アミンを得た(25.8g)。
Figure 2020136675
窒素雰囲気下、6−メトキシ−9,9’−ジメチル−N,N−ジフェニル−9H−フルオレン−2−アミン(25.0g)、ピリジン塩酸塩(36.9g)およびNMP(22.5ml)の入ったフラスコを還流温度で6時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、水および酢酸エチルを加えて分液した。溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、7−(ジフェニルアミノ)−9,9’−ジメチル−9H−フルオレン−3−オールを得た(22.0g)。
Figure 2020136675
窒素雰囲気下、7−(ジフェニルアミノ)−9,9’−ジメチル−9H−フルオレン−3−オール(14.1g)、2−ブロモ−1,3−ジフルオロベンゼン(3.6g)、炭酸カリウム(12.9g)およびNMP(30ml)の入ったフラスコを、還流温度で5時間加熱撹拌した。反応停止後、反応液を室温まで冷却し、水を加えて析出した沈殿物を吸引ろ過にて採取した。得られた沈殿物を水、次いでメタノールで洗浄した後、シリカゲルカラム(溶離液:へプタン/トルエン混合溶媒)で精製して、6,6’−((2−ブロモ−1,3−フェニレン)ビス(オキシ))ビス(9,9−ジメチル−N,N−ジフェニル−9H−フルオレン−2−アミン)を得た(12.6g)。この際、溶離液中のトルエンの比率を徐々に増加させて目的物を溶出させた。
Figure 2020136675
窒素雰囲気下、6,6’−((2−ブロモ−1,3−フェニレン)ビス(オキシ))ビス(9,9−ジメチル−N,N−ジフェニル−9H−フルオレン−2−アミン)(11.0g)およびキシレン(60.5ml)の入ったフラスコを−40℃まで冷却し、2.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液(5.1ml)を滴下した。滴下終了後、この温度で0.5時間撹拌した後、60℃まで昇温して3時間撹拌した。その後、反応液を減圧して低沸点の成分を留去した後、−40℃まで冷却して三臭化ホウ素(4.3g)を加えた。室温まで昇温して0.5時間撹拌した後、0℃まで冷却してN−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン(3.8g)を添加し、125℃で8時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、酢酸ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた後、トルエンを加えて分液した。有機層をシリカゲルショートパスカラム、次いでシリカゲルカラム(溶離液:へプタン/トルエン=4/1(容量比))、更に活性炭カラム(溶離液:トルエン)で精製し、化合物(1−5001)を得た(1.2g)。
Figure 2020136675
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ=8.64(s,2H)、7.75(m,3H)、7.69(d,2H)、7.30(t,8H)、7.25(s,2H)、7.20(m,10H)、7.08(m,6H)、1.58(s,12H).
合成例(1D)
化合物(1−2621)の合成
化合物(1−5109)の合成
前述した合成例と同様の方法を用い、化合物(1−2621)および化合物(1−5109)を合成した。
Figure 2020136675
Figure 2020136675
合成例(1E):化合物(1−6020)の合成
前述した合成例と同様の方法を用い、化合物(1−6020)を合成した。
Figure 2020136675
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl): δ=1.21(s,18H)、1.36(s,36H)、1.48−1.66(m,12H)、1.89(s,3H)、6.18(s,2H)、6.78(s,2H)、7.22(d,4H)、7.25−7.28(m,2H)、7.59(t,2H)、8.86(d,2H).
合成例(1F):化合物(1−6055)の合成
前述した合成例と同様の方法を用い、化合物(1−6055)を合成した。
Figure 2020136675
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl): δ=1.32(s,18H)、1.46(s,18H)、5.55(s,2H).
合成例(1G):化合物(1−6035)の合成
前述した合成例と同様の方法を用い、化合物(1−6035)を合成した。
Figure 2020136675
質量スペクトル測定により得られた化合物を確認した。
EI−MS:m/z=756.
合成例(1H):化合物(1−6081)の合成
Figure 2020136675
トリ−p−トリルアミン(0.287g、1.00mmol)、三ヨウ化ホウ素(0.783g、2.00mmol)およびo−ジクロロベンゼン(10.0ml)を窒素雰囲気下、150℃で2時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷やし、2−イソプロペニルフェニルマグネシウムブロミド(5.25ml、1.2M、6.30mmol)を加えた。その後、フロリジルショートパスカラム(溶離液:トルエン)を用いてろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をヘキサンで洗浄することによって単離精製して、2,8−ジメチル−10−(2−(プロ−1−ペン−2−イル)フェニル)−5−(p−トリル)−5,10−ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザボリンを得た(0.309g、収率75%)。
Figure 2020136675
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl): δ=2.05(s,3H)、2.31(s,6H)、2.54(s,3H)、4.78(s,2H)、6.74(d,2H)7.20−7.28(m,4H)、7.37−7.48(m,5H)、7.56(d,1H)、7.68(s,2H).
13C−NMR(CDCl): δ=20.6(s,2C)、21.3(s,1C)、23.8(s,1C)、116.7(s,2C)、116.9(s,1C)、126.0(d,2C)、126.8(s,1C)、128.2(s,2C)、130.0(d,4C)、131.4(d,4C)、133.0(s,1C)、133.7(s,2C)、136.4(s,2C)、138.6(s,1C)、139.3(s,1C)、145.1(s,1C)、147.0(d,2C).
2,8−ジメチル−10−(2−(プロ−1−ペン−2−イル)フェニル)−5−(p−トリル)−5,10−ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザボリン(82.2mg、0.20mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(0.100g、0.20mmol)および1,2−ジクロロエタン(55.0ml)を窒素雰囲気下、95℃で24時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷やした後、フロリジルショートパスカラム(溶離液:トルエン)を用いてろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:ヘキサン/トルエン=6/1(容量比))により単離精製して、化合物(1−6081)を得た(32.0mg、収率39%)。
Figure 2020136675
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl): δ=1.98(s,6H)、2.48(s,3H)、2.53(s,3H)、2.76(s,3H)、6.61(d,1H)、6.75(d,1H)、7.14−7.31(m,4H)、7.40−7.47(m,3H)、7.57(dt,1H)、7.81(d,1H)、8.44(d,1H)、8.50(s,1H).
13C−NMR(CDCl): δ=20.9(s,1C)、21.4(s,1C)、24.3(s,1C)、32.6(s,2C)、43.5(s,1C)、114.0(s,1C)、116.6(s,1C)、124.7(s,1C)、125.8(s,1C)、127.0(s,1C)、128.4(s,2C)、130.1(s,2C)、130.5(s,1C)、131.4(s,2C)、133.0(s,1C)、135.2(s,1C)、135.5(s,1C)、137.7(s,1C)、138.4(s,1C)、139.5(s,1C)、144.3(s,1C)、145.4(s,1C)、151.4(s,1C)、159.5(s,1C).
合成例(2A)
化合物(2−1)の合成
Figure 2020136675
窒素雰囲気下、フラスコにマグネシウム(0.9g)とシクロペンチルメチルエーテル(CPME、10ml)を入れ、そこへヨウ素(1かけら)を加えてマグネシウムを活性化させた。そこへ5’−ブロモ−m−テルフェニル(10g)とCPME(100ml)を入れて、1時間過熱還流した。反応液を室温に冷却して、アントラキノン(2.7g)を加えた後に6時間加熱還流した。反応後、反応液を室温に冷却した後に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチした。これを分液して水層を除いた後さらに有機層を水洗し、この有機層を濃縮した。濃縮した粗体をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/酢酸エチル=9/1(容量比))で精製することで化合物Aを5.8g得た。
Figure 2020136675
窒素雰囲気下、フラスコに化合物A(5.8g)、ホスフィン酸ナトリウム一水和物(9.1g)、ヨウ化カリウム(3.7g)および酢酸(50ml)を入れ、5時間加熱還流した。反応後、反応液を室温に冷却した後に水を加えて攪拌した。生じた沈殿をろ過した後に、シリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=3/1(容量比))で精製することで、化合物(2−1)を得た(2.7g)。
Figure 2020136675
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ=7.91〜7.90(m,2H)、7.80〜7.78(m,2H)、7.75〜7.40(m,30H)、7.37〜7.32(m,4H).
合成例(2B):化合物(2−5)の合成
前述した合成例と同様の方法を用い、化合物(2−5)を合成した。
Figure 2020136675
質量スペクトル測定により得られた化合物を確認した。
EI−MS:m/z=582.
合成例(2C):化合物(2−11)の合成
前述した合成例と同様の方法を用い、化合物(2−11)を合成した。
Figure 2020136675
質量スペクトル測定により得られた化合物を確認した。
EI−MS:m/z=562.
合成例(2D):化合物(2−34)の合成
前述した合成例と同様の方法を用い、化合物(2−34)を合成した。
Figure 2020136675
質量スペクトル測定により得られた化合物を確認した。
EI−MS:m/z=510.
原料の化合物を適宜変更することにより、上述した合成例に準じた方法で、本発明で使用する他の化合物を合成することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために、本発明の化合物を用いた有機EL素子の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1および比較例1に係る有機EL素子を作製し、それぞれ1000cd/m発光時の特性である電圧(V)、発光波長(nm)、外部量子効率(%)を測定し、素子寿命として電流値10mA/cmで発光させた時、初期輝度の90%以上の輝度を保持する時間(hr)を測定した。
発光素子の量子効率には、内部量子効率と外部量子効率とがあるが、内部量子効率は、発光素子の発光層に電子(または正孔)として注入される外部エネルギーが純粋に光子に変換される割合を示している。一方、外部量子効率は、この光子が発光素子の外部にまで放出された量に基づいて算出され、発光層において発生した光子は、その一部が発光素子の内部で吸収されたりまたは反射され続けたりして、発光素子の外部に放出されないため、外部量子効率は内部量子効率よりも低くなる。
外部量子効率の測定方法は次の通りである。アドバンテスト社製電圧/電流発生器R6144を用いて、素子の輝度が1000cd/mになる電圧を印加して素子を発光させた。TOPCON社製分光放射輝度計SR−3ARを用いて、発光面に対して垂直方向から可視光領域の分光放射輝度を測定した。発光面が完全拡散面であると仮定して、測定した各波長成分の分光放射輝度の値を波長エネルギーで割ってπを掛けた数値が各波長におけるフォトン数である。次いで、観測した全波長領域でフォトン数を積算し、素子から放出された全フォトン数とした。印加電流値を素電荷で割った数値を素子へ注入したキャリア数として、素子から放出された全フォトン数を素子へ注入したキャリア数で割った数値が外部量子効率である。
作製した実施例1および比較例1に係る有機EL素子における各層の材料構成を下記表1に示す。
Figure 2020136675
上記表において、「HI」はN,N4’−ジフェニル−N,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンであり、「IL」は1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルであり、「HT−1」はN−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−9,9−ジメチル−N−(4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミンであり、「HT−2」はN,N−ビス(4−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)フェニル)−[1,1’:4’,1”−テルフェニル]−4−アミンであり、「比較化合物」は9,10−ジ(ナフタレン−1−イル)アントラセンであり、「ET−1」は4,6,8,10−テトラフェニル[1,4]ベンゾキサボリニノ[2,3,4−kl]フェノキサボリニンであり、「ET−2」は3,3’−((2−フェニルアントラセン−9,10−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ビス(4−メチルピリジン)である。「Liq」と共に以下に化学構造を示す。
Figure 2020136675
<実施例1>
26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)に、120nmの厚みの平坦化ITOスパッタ膜(ジオマテック(株)製)を製膜し透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(長州産業(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI、IL、HT−1、HT−2、化合物(2−1)、化合物(1−2619)、ET−1およびET−2をそれぞれ入れたタンタル製蒸着用ボート、Liq、LiFおよびアルミニウムをぞれぞれ入れた窒化アルミニウム製蒸着用ボートを装着した。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HIを加熱して膜厚40nmになるように蒸着し、次に、ILを加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、HT−1を加熱して膜厚45nmになるように蒸着し、次に、HT−2を加熱して膜厚10nmになるように蒸着して、4層からなる正孔層を形成した。次に、化合物(2−1)と化合物(1−2619)を同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成した。化合物(2−1)と化合物(1−2619)の重量比がおよそ98対2になるように蒸着速度を調節した。さらに、ET−1を加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、ET−2とLiqを同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して、2層からなる電子層を形成した。ET−2とLiqの重量比がおよそ50対50になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子を得た。
ITO電極を陽極、LiF/アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、1000cd/m発光時の特性を測定したところ、波長462nmの青色発光が得られ、駆動電圧は3.85V、外部量子効率は7.72%であった。また、初期輝度の90%以上の輝度を保持する時間は212時間であった。
<比較例1>
ホスト材料を化合物(2−1)から比較化合物に変更した以外は実施例1に準じて有機EL素子を作製した。
ITO電極を陽極、LiF/アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、1000cd/m発光時の特性を測定したところ、波長462nmの青色発光が得られ、駆動電圧は4.01V、外部量子効率は6.21%であった。また、初期輝度の90%以上の輝度を保持する時間は42時間であった。
Figure 2020136675
<実施例2〜11および比較例2〜3>
ホスト材料およびドーパント材料を以下の表3の組み合わせとした以外は実施例1と同様の手順で有機EL素子を作製し、EL特性を測定した。
Figure 2020136675
以上、本発明に係る化合物の一部について、有機EL素子用材料としての評価を行い、優れた有機デバイス用材料であること示したが、評価を行っていない他の化合物も同じ基本骨格を有し、全体としても類似の構造を有する化合物であり、当業者においては同様に優れた有機デバイス用材料であることを理解できる。
本発明の好ましい態様によれば、式(1)で表される化合物と、それと組み合わせて最適な発光特性が得られる式(2)で表される化合物とを提供することができ、これらを組み合わせてなる発光層用材料を用いて有機EL素子を作製することで、駆動電圧、量子効率および素子寿命の1つ以上、特に量子効率および素子寿命が優れた有機EL素子を再現性良く提供することができる。
100 有機電界発光素子
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極

Claims (11)

  1. 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層とを有する有機電界発光素子であって、
    前記発光層は、下記一般式(1)で表される化合物および下記一般式(1)で表される構造を複数有する化合物の多量体の少なくとも1つと、下記一般式(2)で表される化合物とを含む、有機電界発光素子。
    Figure 2020136675
    (上記式(1)中、
    A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
    およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−Rまたは>C(−R)であり、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、前記>C(−R)の2つのRは結合して置換されていてもよいスピロ環を形成していてもよく、また、前記>N−RのRおよび前記>C(−R)のRの少なくとも1つは連結基または単結合により前記A環、B環およびC環の少なくとも1つの環と結合していてもよく、そして、
    式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよく、そして、
    式(1)で表される化合物または構造における、A環、B環、C環、アリールおよびヘテロアリールの少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの−CH−は−O−で置換されていてもよい。)
    (上記式(2)中、2つのXは共に同じ構造の置換基であり、式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよく、
    ただし、式(2)で表される化合物は、すべての置換基を含めた分子構造全体として、アントラセン骨格の長軸について線対称(2回対称)であり、また、式(2)で表される化合物はアトロプ異性体を有さない。)
  2. 上記式(2)中、
    2つのXは共にアリールまたはヘテロアリールであって、これらの基における少なくとも1つの水素は、第1置換基であるアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールで置換されていてもよく、当該第1置換基における少なくとも1つの水素はさらに第2置換基であるアルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、2つのXは共に同じ構造を有し、
    式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよく、
    ただし、式(2)で表される化合物は、すべての置換基を含めた分子構造全体として、アントラセン骨格の長軸について線対称(2回対称)であり、また、式(2)で表される化合物はアトロプ異性体を有さない、
    請求項1に記載する有機電界発光素子。
  3. 上記式(2)中、
    2つのXは共に、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、ナフチル、アントラセニル、ベンゾアントラセニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、アセナフチレニル、フルオランテニル、ピレニル、クリセニル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、カルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、フェナントロリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、ナフトベンゾフラニル、ナフトベンゾチエニル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンゾオキサゾリルまたはベンゾチアゾリルであり、
    これらの基における少なくとも1つの水素は、第1置換基である、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜16のシクロアルキル、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、ナフチル、アントラセニル、ベンゾアントラセニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、アセナフチレニル、フルオランテニル、ピレニル、クリセニル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、カルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、フェナントロリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、ナフトベンゾフラニル、ナフトベンゾチエニル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンゾオキサゾリルまたはベンゾチアゾリルで置換されていてもよく、
    当該第1置換基における少なくとも1つの水素はさらに第2置換基である炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数3〜16のシクロアルキルで置換されていてもよく、
    2つのXは共に同じ構造を有し、
    式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよく、
    ただし、式(2)で表される化合物は、すべての置換基を含めた分子構造全体として、アントラセン骨格の長軸について線対称(2回対称)であり、また、式(2)で表される化合物はアトロプ異性体を有さない、
    請求項1に記載する有機電界発光素子。
  4. 上記式(2)で表される化合物が下記いずれかの構造式で表される化合物である、請求項1に記載する有機電界発光素子。
    Figure 2020136675
  5. 上記式(1)中、
    A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、または、置換シリルで置換されていてもよく、また、これらの環はB、XおよびXから構成される上記式中央の縮合2環構造と結合を共有する5員環または6員環を有し、
    およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−Rまたは>C(−R)であり、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、それぞれ独立して、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいアリール、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、また、前記>N−RのRおよび前記>C(−R)のRの少なくとも1つは、−O−、−S−、−C(−R)−または単結合により、前記A環、B環およびC環の少なくとも1つの環と結合していてもよく、前記−C(−R)−のRは、水素、アルキルまたはシクロアルキルであり、
    式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよく、
    式(1)で表される化合物または構造における、A環、B環、C環、アリールおよびヘテロアリールの少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの−CH−は−O−で置換されていてもよく、そして、
    多量体の場合には、式(1)で表される構造を2または3個有する2または3量体である、
    請求項1〜4のいずれかに記載する有機電界発光素子。
  6. 上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(1’)で表される化合物である、請求項1〜4に記載する有機電界発光素子。
    Figure 2020136675
    (上記式(1’)中、
    a環、b環、およびc環における、任意の「−C(−R)=」(ここでRは式(1’)中のR〜R11である)は「−N=」に置き換わっていてもよく、任意の「−C(−R)=C(−R)−」(ここでRは式(1’)中のR〜R11である)は、「−N(−R)−」、「−O−」、または「−S−」に置き換わっていてもよく、前記「−N(−R)−」のRは、アリール、アルキル、またはシクロアルキルであり、
    からR11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、また、RからR11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
    およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−Rまたは>C(−R)であり、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜14のシクロアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール、炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜14のシクロアルキルで置換されていてもよい炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜14のシクロアルキルであり、また、前記>N−RのRおよび前記>C(−R)のRの少なくとも1つは、−O−、−S−、−C(−R)−または単結合により、前記a環、b環およびc環の少なくとも1つの環と結合していてもよく、前記−C(−R)−のRは炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜14のシクロアルキルであり、
    式(1’)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよく、そして、
    式(1’)で表される化合物における、前記a環、前記b環、前記c環、前記形成された環、前記アリールおよび前記ヘテロアリールの少なくとも1つは、炭素数3〜24の、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数3〜24のシクロアルキルで置換されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの−CH−は−O−で置換されていてもよい。)
  7. 上記式(1’)中、
    a環、b環、およびc環における、任意の「−C(−R)=」(ここでRは式(1’)中のR〜R11である)は「−N=」に置き換わっていてもよく、任意の「−C(−R)=C(−R)−」(ここでRは式(1’)中のR〜R11である)は、「−N(−R)−」、「−O−」、または「−S−」に置き換わっていてもよく、前記「−N(−R)−」のRは、炭素数6〜12のアリール、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数3〜14のシクロアルキルであり、
    からR11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)、ジアリールボリル(ただしアリールは炭素数6〜12のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1〜20のアルキル、炭素数3〜20のシクロアルキル、トリアリールシリル(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)、またはトリアルキルシリル(ただしアルキルは炭素数1〜6のアルキル)であり、また、RからR11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数9〜16のアリール環または炭素数6〜15のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)、ジアリールボリル(ただしアリールは炭素数6〜12のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1〜20のアルキル、炭素数3〜20のシクロアルキル、トリアリールシリル(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)、またはトリアルキルシリル(ただしアルキルは炭素数1〜6のアルキル)で置換されていてもよく、
    およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−Rまたは>C(−R)であり、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、炭素数1〜4のアルキルもしくは炭素数5〜10のシクロアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、
    式(1’)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよく、そして、
    式(1’)で表される化合物における、前記a環、前記b環、前記c環、前記形成された環、前記アリールおよび前記ヘテロアリールの少なくとも1つは、炭素数3〜20の、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜22のヘテロアリール、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数3〜16のシクロアルキルで置換されていてもよい、
    請求項6に記載する有機電界発光素子。
  8. 上記式(1)で表される化合物が下記いずれかの構造式で表される化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載する有機電界発光素子。
    Figure 2020136675
  9. さらに、前記陰極と前記発光層との間に配置される電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つの層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つの層は、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、およびキノリノール系金属錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項1〜8のいずれかに記載する有機電界発光素子。
  10. 前記電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つの層が、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項9に記載する有機電界発光素子。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載する有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021022733A (ja) * 2019-07-29 2021-02-18 エスエフシー カンパニー リミテッド ホウ素化合物を含む有機発光素子
WO2021079856A1 (ja) * 2019-10-23 2021-04-29 保土谷化学工業株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子
CN114163462A (zh) * 2020-09-11 2022-03-11 北京夏禾科技有限公司 多环化合物及其器件
WO2022086124A1 (ko) * 2020-10-19 2022-04-28 에스에프씨 주식회사 다환 고리 화합물 및 이를 이용한 유기발광소자

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