JP2020132448A - 耐熱強化ガラス板、及び耐熱強化ガラス板の製造方法 - Google Patents

耐熱強化ガラス板、及び耐熱強化ガラス板の製造方法 Download PDF

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Yasushi Maeda
泰志 前田
玉井 弘二
Koji Tamai
弘二 玉井
多門 宏幸
Hiroyuki Tamon
宏幸 多門
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【課題】耐熱強化ガラス板の単板として、及び耐熱強化ガラス板を用いた複層ガラスとして、JIS R3223に記載された防火性の試験を合格可能な耐熱強化ガラス板を得ることを課題とする。【解決手段】建築用防火設備として使用可能な耐熱強化ガラス板において、該耐熱強化ガラス板は、板面、端面、及び稜部を有し、該端面は、外方へ突出した曲面形状に研磨された研磨面であり、該稜部は、端面を全面研磨することによって形成された、該板面と該端面とが交わる部分であり、該端面に形成された研磨筋が、該端面の長辺と直交しない方向に沿うもののみである、耐熱強化ガラス板。【選択図】図2

Description

本発明は、防火性能試験に合格可能な耐熱強化ガラス板に関する。
建築基準法に定められた建築用の防火設備のうち、開口部を有する防火戸には該開口部に防火ガラスが組み込まれていることがある。従来、この防火ガラスとしては内部に金属網が埋め込まれた網入りガラス板が用いられているが、近年では外観をより向上させる目的で、防火ガラスとして耐熱強化ガラス板を用いることが提案されている。耐熱強化ガラス板は火災時の衝撃に耐え、ガラス板が破損するのを抑えるものであり、その為に表面に強い圧縮応力層を有することが求められる。
ここで、熱を受けて板ガラスの中央部に発生した熱膨張によって、ガラス板は端部に引っ張り応力が付与されると、その引っ張り応力が、板ガラスに備わった端面の強度(エッジ強度)を超えることによってガラス板端面の微細なクラックや切断時の傷等を起点として亀裂が生じ、その亀裂がガラス板内へ伝播して破壊へ至る。このような破壊のメカニズムゆえに、ガラス板の強度を向上させる為には、エッジ強度を向上させることが重要であるとされている。従って耐熱強化ガラス板では、材料のソーダ石灰ガラス板を所望の寸法に切断後、該ガラス板の端面を特殊研磨し、研磨後に熱処理を行ない、ガラス板表面に強い圧縮応力層を発生させて得ることが知られている。
例えば特許文献1には、ガラス板の端面が切断された状態のままで研削されておらず、前記端面の両端側の稜部のみが研削されてガラス板表面および端面に対し傾斜した稜部研磨面が形成され、加熱強化処理された強化ガラスが提案されている。当該文献では、端面の稜部のみを研磨し、稜部の研磨面の表面凹凸の最大値を0.003mm以下とすることによって、エッジ強度を向上させ平均破壊強度476kgf/cmを得ることが可能である旨が開示されている。また、上記の強化ガラスは、4点曲げ試験における破壊の発生起点が研磨面である稜部であり、また、上記強化ガラスは、破壊建設省告示第1125号による乙種防火戸試験を合格することが記載されている。
また、例えば特許文献2には、ガラス板の端面が外方へ突出する曲面形状を有する熱強化板ガラスが開示されており、当該端面の表面最大凹凸が0.05mm以下、該端面の稜部の表面最大凹凸が0.007mm以下である熱強化ガラス板が提案されている。当該文献では、板ガラスに生じる内部応力(引っ張り応力)はガラス板端面の稜部に集中し易く、該応力によってガラス板が破損してしまうという問題を挙げ、当該問題に対し、当該端面の稜部を第1研磨工程で研磨した曲面より滑らかな状態に第2研磨工程で仕上げて稜部をなくすことによって、該稜部への応力集中を回避して、熱強化処理によって施される応力に換算して約4kgf/mmほど応力緩和できる旨が開示されている。また、当該稜部の研磨方法としてはバフ磨き方式を実施する旨が記載されている。なお、当該文献では実際に防火性能試験を実施していない。
また、例えば特許文献3には、表面圧縮応力が小さくても遮炎性能を満たし、かつ高い映像品質を有する物理強化ガラスを得るために、ガラス板面及び端面に対し傾斜した稜部研磨面を形成し、該稜部研磨面を前記ガラス板面とのなす角度が135度以上170度以下、前記稜部研磨面と前記ガラス板面とでなす角部のカケは稜線方向の長さを200μm以下、稜線に垂直方向の最大幅を100μm以下とした強化ガラスが提案されている。また、実施例において、上記強化ガラスは、4点曲げ試験における破壊の発生起点が端面に集中し、表面圧縮応力が98〜187MPaである旨が開示されている。また、上記強化ガラスは、ISO834−1:1999の加熱曲線に基づいた防火試験を合格することが記載されている。
また、例えば特許文献4には、 倍強度ガラスの熱強化処理を施した表面圧縮応力が20MPa以上80MPa未満のガラスの少なくとも片面に第1熱反射膜を設けた第1のガラス板と、倍強度ガラスの熱強化処理を施した表面圧縮応力が20MPa以上80MPa未満のガラスの少なくとも片面に第2熱反射膜を設けた第2のガラス板とを用いた防火戸用複層ガラスが記載されている。
特開平11−079769号公報 特開平09−071429号公報 国際公開WO2008/020509号公報 再公表2013/065641号公報
耐熱強化ガラス板は、JIS R3223:2017にエッジ強度が規定されており、該耐熱強化ガラス板を例えば単板で使用する場合(以下「I類」と記載することもある)は190MPa以上、該耐熱強化ガラス板を例えば複層ガラスに用いる場合(以下「II類」と記載することもある)は250MPa以上、とされている。また、上記耐熱強化ガラス板は、JIS R3223に記載された防火性の試験方法がI類とII類とで区分されており、I類は耐熱強化ガラス板を単板で、II類は耐熱強化ガラス板と低放射ガラス板(JIS R3106による垂直放射率の代表値が0.10以下)とを構成材料とした複層ガラスで、それぞれ試験を行う。
本発明者らが上記の防火性の試験(以下、「防火性能試験」と記載することもある)を合格可能な耐熱強化ガラス板について検討を行ったところ、I類の上記防火性能試験を合格可能にする端面の研磨方法を用いてガラス板端面を処理し、さらにエッジ強度をより高くするような条件で熱強化処理を行っても、上記の防火性能試験のII類の試験を合格するような耐熱強化ガラスを得ることが非常に困難であることがわかった。
そこで本発明は、耐熱強化ガラス板の単板として、及び耐熱強化ガラス板を用いた複層ガラスとして、前記防火性能試験を合格可能な耐熱強化ガラス板を得ることを目的とした。
本発明は、建築用防火設備として使用可能な耐熱強化ガラス板において、該耐熱強化ガラス板は、板面、端面、及び稜部を有し、該端面は、外方へ突出した曲面形状に研磨された研磨面であり、該稜部は、端面を全面研磨することによって形成された、該板面と該端面とが交わる部分であり、該端面に形成された研磨筋が、該端面の長辺と直交しない方向に沿うもののみである、耐熱強化ガラス板である。
本発明者らの検討により、図1、図2のように、ガラス板の端面11を外方(図ではXマイナス方向)へ突出した曲面形状とし、仕上げ研磨時に曲面形状の該端面11の長辺に沿う方向(図2のAの方向)へ全面研磨を行うことにより、得られた耐熱強化ガラス板が、前述した防火性能試験のI類及びII類の両方に合格可能となることがわかった。
本発明により、耐熱強化ガラス板の単板として、及び耐熱強化ガラス板を用いた複層ガラスとして、前記防火性能試験を合格可能な耐熱強化ガラス板を得ることが可能となった。
本発明の耐熱強化ガラス板の端部の実施形態の1つを示した模式図である。 本発明の耐熱強化ガラス板の端面について、研磨の方向を説明する模式図である。 本発明の耐熱強化ガラス板の端面について、研磨筋を説明する図面代用写真である。 本発明の耐熱強化ガラス板の端面の研磨方法について説明する模式図である。 糸面を研磨した場合の端面を説明する模式図である。
1:用語の説明
本明細書で用いる各用語について、図1〜3を参照しながら以下に説明する。
(端面、板面、稜部、板厚)
本明細書では、耐熱強化ガラス板Gを窓ガラスとして施工する際に建物の開口部を塞ぐ面を「板面2」、2つの対向する板面2と交わる該耐熱強化ガラス板Gの面を「端面11」、板面2と端面11とが交わる部分を「稜部12」、対向する2つの板面2の最短距離を「板厚d」とする。例えば図1、2では、板面2の2つの辺をX軸及びY軸とし、X−Y面を板面2としている。また、X軸及びY軸と直交する軸をZ軸とし、該Z軸の長さを板厚dとしてもよい。また、Z軸プラス方向を「板厚方向」と記載することもある。
(稜部12)
本明細書の上記稜部12は、端面11を全面研磨することによって形成される、端面11の縁及び板面2の縁としてもよい。また、当該稜部12は、当該稜部12を意図的に研磨しないものとし、例えば図5に示したような糸面等の研磨面を持たないことが好ましい。
(ガラスエッジ)
本明細書では、ガラス板の端部を「ガラスエッジ1」とする。ガラスエッジ1は、ガラス板の各辺近傍の板面2及び端面11等を含む部分であり、「端部」と記載することもある。
(研磨筋)
ガラス板表面の研磨を行なうと、使用する研磨部材や研磨手法等に応じてガラス板表面に凹凸が形成される。この時、砥石や研磨用ホイール等の研磨部材によって該ガラス板表面を相対的に擦ることにより、当該凹凸が筋状に形成されることになる。本明細書では、上記のような研磨由来の筋状の凹凸を「研磨筋13」と記載するものとする。また、本明細書の研磨筋13は、研磨後の端面11の表面に形成され、当該研磨筋13は、図3に示したように目視や、電子顕微鏡等の各種表面観察装置で確認可能である。
(平行研磨、垂直研磨)
本明細書では、端面11の長辺に沿う方向へ、砥石や研磨用ホイール等の研磨部材を相対的に動かして研磨する場合を「平行研磨」、端面11の短辺に沿う方向へ上記研磨部材を相対的に動かして研磨する場合を「垂直研磨」と記載する。また、図2には平行研磨の研磨方向A、及び垂直研磨の研磨方向Bを模式的に示している。なお、上記の「沿う方向」とは、各辺に対して平行、及び−30°〜30°の範囲内で傾いた方向を指すものとする。
(最大断面高さ)
研磨面11の最大断面高さ(R)は、研磨面11の表面の粗さを表す値であり、値が小さいほど表面が滑らかであると言える。本明細書では、表面粗さ測定機(ハンディサーフ、株式会社東京精密製、E−35A、E−35B)を用いて、JIS B0601に準拠する方法で測定を行った。なお、この時カットオフ値λc=0.80、測定長さL=4.0mm、測定速度=0.3mm/sとして測定を行った。
(エッジ強度)
JIS R3223:2017に規定されたエッジ強度は、JIS R3223:2017の9.5項によって試験した強化前(熱処理工程前)のエッジ強度と、同9.6項によって測定した製造の最終工程後の表面圧縮応力との合計値とする。また、本明細書では、上記エッジ強度を熱強化前の該耐熱強化ガラス板のガラスエッジの3σn−1下限値強度とし、上記表面圧縮応力を耐熱強化ガラス板の表面圧縮応力の最小値とする。また、3σn−1下限値強度を、万能試験機(オリエンテック社製、テンシロンRTC−2410)を用いて、JIS R3223に記載の試験方法で測定を行った。また、表面圧縮応力を、表面圧縮応力計(折原製作所製、FSM−7000H)を用いて、JIS R3223に記載の試験方法で測定を行った。
(防火性能試験)
本明細書の防火性能試験は、JIS R3223の9.8項に準拠する方法で行った。
2:耐熱強化ガラス板
本発明は、建築用防火設備として使用可能な耐熱強化ガラス板Gにおいて、該耐熱強化ガラス板Gは、板面2、端面11、及び稜部12を有し、該端面11は、外方へ突出した曲面形状に研磨された研磨面であり、該稜部12は、端面を全面研磨することによって形成された、該板面2と該端面11とが交わる部分であり、該端面11に形成された研磨筋13が、該端面11の長辺と直交しない方向に沿うもののみである、耐熱強化ガラス板Gである。本発明について、以下に説明する。
(耐熱強化ガラス板)
本発明の耐熱強化ガラス板Gは、建築用の防火設備に使用可能な防火ガラスであり、JIS A1304に基づいた防火性能試験のI類及びII類に合格可能なものである。また、JIS R3223:2017に記載された試験方法によって得られるエッジ強度が、250MPa以上であるとしてもよい。また、得られた耐熱強化ガラス板Gは、単板で用いても、合わせガラスとして用いても、複層ガラスに組み込んでもよい。
耐熱強化ガラス板Gは、前述したようにソーダ石灰ガラス板を熱強化することによって得ることが可能である。当該ガラス板の種類は特に限定するものではないが、JIS R3223に記載された品種及び厚みとしてもよい。具体的には、フロートガラス板、すりガラス板、型板ガラス板、熱線反射ガラス板を材料とし、これらガラス板に熱強化処理を施したガラス板を用いることができる。また、厚みは3〜12mmとしてもよい。
(端面11)
本発明の耐熱強化ガラス板Gは、端面11を外方へ突出した曲面形状とし、該端面11の全面を研磨面とし、さらに該端面11に形成された研磨筋13を平行研磨によって形成されたもののみとすることによって、前述した防火性能試験を合格可能としたものである。上記の「外方」とは、板面2と平行であり、かつ該板面2の面外へ向かう方向(図1ではXマイナス方向)としてもよく、「外方へ突出した曲面形状」とは、図1〜3に記載したように、端面11が大気側へ凸形状となる曲面形状としてもよい。また、当該曲面形状は、板厚方向の中間部が外方へ突出した曲面としてもよい。
端面11の曲面形状は、当該端面11を曲面とする際に使用する砥石やホイール等の形状によって決定されればよく、特に限定されるものではない。また、当該端面11は全面が曲面を有するのが好ましいが、研磨残り部分の手直し等を目的として部分研磨を行なった場合、その部分だけが平面となる場合がある。その為、該端面11は全面積に対して95%以上が曲面形状であるとしてもよい。
また、当該端面11はいわゆる「カマボコ研磨」によって得られる曲面としてもよい。例えば、当該端面11の曲率(R)は0.5×t≦R≦1.5×t(ただし、tは板厚)としてもよく、より好ましくは0.5×t≦R≦1.0×tとしてもよい。
また、本発明の耐熱強化ガラス板Gは、端面を全面研磨することによって、該板面2と該端面11との間に稜部12が形成されたものであり、当該稜部12は意図的に研磨されないものである。これは、例えば特許文献3に記載されたように、広く知られている糸面研磨を行なわないことを指すとしてもよい。なお、糸面研磨とは、図5に示したように、板面2と平面の端面11とが交わるガラス板の角を研磨して、当該角を除去し、新たな研磨面(糸面)を形成することである。ここで、通常ガラス板の表面を研磨すると、ガラス板表面に研磨由来の微細な傷が形成される為、研磨方法によっては破壊の起点になったり、エッジ強度の低下を招いたりすることが知られている。上記の糸面を形成すると、特許文献1には糸面から破壊を生じることが、特許文献3には糸面でない端面から破壊を生じることがそれぞれ開示されており、端面11全体の研磨方法によって、糸面の有無に伴う破壊時の挙動が異なることが知られている。本発明の耐熱強化ガラス板Gは、糸面を形成しなくとも防火性能試験のII類を合格することが可能となるものである。糸面を形成する為には別途研磨工程が必要なため、本発明は、上記糸面を形成する研磨工程を省略できる。
本発明は、未研磨の研磨残り部分が端面11にあると、防火性能試験時に当該研磨残り部分を起点として破壊が生じてしまう。その為、本発明の端面11は、全面が研磨された研磨面であるとする。また、例えば端面11に追加で部分研磨を行なう際、端面11の長辺と直交するような方向(図2のBの方向)へ研磨を行ない、その研磨筋が残っていると、防火性能試験時に当該研磨筋を起点とする亀裂が生じ易いことがわかった。よって、前述したように、端面11の研磨筋13は、該端面11の長辺と直交しない方向に沿うもののみとする。
上記の「長辺と直交しない方向に沿うもののみ」とは、垂直研磨によって生じた研磨筋を含まないとしてもよい。また、前記端面11に形成された研磨筋13は、該端面11の長辺に沿うもののみであるとするのが好ましい。この「端面11の長辺に沿うもののみ」とは、長辺に対して研磨筋のなす角度θが、−30°≦θ≦30°の範囲内となる筋のみであるとしてもよい。また、より好ましくは−15°≦θ≦15°としてもよい。
また、前述したように端面11は全面が研磨面であることから、該端面11の表面は凹凸を有する。当該表面の凹凸は、極力小さい方が滑らかであり望ましく、例えば当該端面11の最大断面高さ(R)の平均値を7μm以下とするのが好ましい。下限値は特に限定するものではないが、例えば0.01μm以上としてもよい。また、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.1〜1.5μmとしてもよい。
また、図3に示したように、端面11と端面11とが交わるコーナー部14は研磨されているとしてもよい。当該コーナー部14は、端面11の研磨筋11に沿う方向に研磨を行なうのが望ましい。
(複層ガラス)
本発明の複層ガラスは、前述した耐熱強化ガラス板Gを有するものである。当該複層ガラスは、上記耐熱強化ガラス板Gと、他の任意のガラス板とを、スペーサーを介して対向させ、一体化させたものである。また、上記スペーサーと各ガラス板との間、及び該スペーサーの外周にはブチルゴム等の接着剤や公知のシール材を配置して各部材を一体化させることが出来る。上記の「任意のガラス板」とは、建築用に使用可能なガラス板であればよく、特に限定されるものではない。
3:耐熱強化ガラス板の製造方法
本発明は、建築用防火設備として使用可能な耐熱強化ガラス板の製造方法において、ガラス板の端面を研磨し、該端面を外方へ突出した曲面形状とする粗研磨工程、該粗研磨工程後、該端面をさらに研磨する仕上げ研磨工程、及び該仕上げ研磨工程後に、該ガラス板を熱強化する強化工程、を有し、該粗研磨工程及び該仕上げ研磨工程における研磨の方向が、該端面の長辺に沿う方向のみであることを特徴とする、耐熱強化ガラス板の製造方法である。上記の製造方法について、以下説明する。
(粗研磨工程)
粗研磨工程とは、ガラス板の端面を研磨し、該端面を外方へ突出した曲面形状とする工程である。粗研磨工程前のガラス板は、端面が研磨されていてもいなくてもよい。なお、粗研磨工程を行うガラス板は、熱強化等の強化処理を施されていないものを用いるのが望ましい。
粗研磨工程は、各種砥石や研磨用ホイール等の研磨部材を用いて行なうことが可能である。当該粗研磨工程は端面11を曲面形状とすればよく、研磨に用いる砥石等の粗さは特に限定されるものではない。また、後述する仕上げ研磨工程で平行研磨を行なう為、当該粗研磨工程の研磨の方向は特に限定されるものではないが、端面の品質を安定化させる目的で、当該粗研磨工程も平行研磨を行なうのが望ましい。平行研磨を行なう際は、例えば図4に示したように、端面11にU字型の溝を有する円盤型ホイール3を当て、該端面11の長辺に沿う方向へ相対的に動かすことによって研磨を行なう方法が挙げられる。また、該円盤型ホイール3の回転軸が端面11の短辺と平行になるように設置するのが望ましい。当該円盤型ホイール3を用いる場合、コーナー部14も併せて研磨可能であることから、端面11に沿ってガラス板を一周するのが簡便であり好ましい。また、端面11ごとに研磨を行うのでもよい。
(仕上げ研磨工程)
仕上げ研磨工程は、上記の粗研磨工程後、端面11を全面研磨して、該端面11の表面を滑らかなものとする工程である。この時、該端面11の最大断面高さ(R)の平均値を7μm以下とするのが好ましい。また、研磨の方向は、前述したように、該端面11の長辺に沿う方向のみとし、粗研磨工程同様にガラス板を一周しながら研磨を行なってもよい。
当該仕上げ研磨工程は、上記の粗研磨工程と同様各種砥石や研磨用ホイールを用いて行なうことが可能である。また、研磨に用いる砥石等の粗さは特に限定されるものではないが、上記の粗研磨工程時よりも目の細かいものを用いるものとする。例えば、砥石の番手が#300と同等か、それよりも細かいものを用いるのが好ましい。また、より好ましくは#400と同等か、それよりも細かい砥石を用いる、としてもよい。
また、本発明は、端面11を曲面形状に研磨する為、仕上げ研磨時に研磨残りが生じ易い場合がある。その為、仕上げ研磨工程は、前記端面11の少なくとも一部を研磨する部分研磨工程を有し、該部分研磨工程の研磨の方向が、該端面の長辺に沿う方向のみであることが好ましい。部分研磨工程時は上記のような円板型ホイール3を使用する必要はなく、研磨残りの箇所を曲面形状に沿って研磨すればよい。例えば、ツヤ出し用ディスクを取り付けた電動サンダーを用いることが可能である。なお、本明細書の実施例においては上記ツヤ出し用ディスクとして、ソフトジスク(100mmφ、5000rpm以下用、乾式タイプ)を用いた。
上記の仕上げ研磨工程によって、ガラス板に板面2、端面11、及び稜部12が形成される。前述したように、稜部12については特に研磨を行なう必要がなく、意図的に図5に示したような糸面等を形成しなくともよい。また、好ましくは、稜部12を研磨しないとしてもよい。
(強化工程)
強化工程は、仕上げ研磨工程後に、該ガラス板を熱強化する工程である。当該工程を経ることによって、ガラス板を耐熱強化ガラス板とすることが可能となる。具体的には、仕上げ研磨後のガラス板に風冷強化処理を施すことによって、ガラス板の表面に圧縮応力層を形成する。風冷強化処理を行なう場合、まず上記ガラス板を加熱炉等の加熱装置内で加熱を行う加熱工程と、加熱後に急冷することによって該ガラス板の表面に圧縮応力層を形成する冷却工程とを有する。
加熱工程は、ガラス板の軟化温度付近まで加熱すればよく、例えばガラス板が660〜700℃になるように加熱するとしてもよい。加熱時間はガラス板の板厚や面積に応じて適宜選択されればよく、特に限定されるものではないが、例えば約3分〜12分程度としてもよい。
冷却工程は、加熱されたガラス板の表面に冷却用の流体を吹き付けることによって、該ガラス板を急冷する。当該流体としては、例えば所定温度の圧縮空気や、送風機からのエアー等を用いることが可能である。また、ガラス板は板厚が異なると熱容量が異なることから、前述した加熱工程でのガラス板の温度や、当該冷却工程での流体の温度や流体を吹き付ける圧力、量等を調整することによって、所望の表面圧縮応力層を得ることができる。例えば、上記のようにガラス板の温度を650〜700℃とした場合は、5〜80℃の流体を吹き付けることで、目的とする表面圧縮応力層を得る事が可能である。また、当該冷却工程は、前述した加熱装置からガラス板を取り出しても、加熱装置内で連続して行うものでもよいが、効率良く急冷する目的で加熱装置から取り出して行なうのが好ましい。
本発明の実施例及び比較例を以下に示す。また、各測定及び試験によって得られた結果を表1、表2にそれぞれ示した。
(1)各サンプルの作製
実施例
まず、ソーダ石灰ガラス板(1000mm×1200mm、厚み8mm)の4辺の端面を、外周に沿う方向に粗く平行研磨し、該端面を曲面形状とした(粗研磨工程)。この時、当該ガラス板の外周に沿って、粗研磨用の研磨用ホイールを回転させながら相対的に動かし研磨を行なった。
次に、仕上げ研磨用の研磨用ホイールを用いて上記の粗研磨面を平行研磨した。さらにソフトジスク(100mmφ、5000rpm以下用、乾式タイプ)を取り付けた電動サンダーを用いて、平行方向でない研磨筋がないようにガラス板の端面を部分的に平行研磨し、該端面の全面が平行研磨されているようにした(仕上げ研磨工程)。
次に、上記の研磨面が1000mmの長辺となるように、該ガラス板を切断し、100mm×1000mmの測定用サンプル(以下、「未強化サンプル」と記載することもある)を50体得た。
次に、表面圧縮応力測定用のサンプルを作製した。まず、ソーダ石灰ガラス板(1200mm×2400mm、厚み8mm)の4辺の端面を上記と同様の方法で研磨処理を施した。次に、約700℃の加熱炉内に上記のガラス板を入れ、約6分後に取り出した後、約30℃の圧縮空気を約0.8barの圧力で、約5秒間吹き付けることによって、ガラス板の表面に圧縮応力層を形成(強化工程)し、試験用サンプル(以下、「熱強化サンプル」と記載することもある)を得た。
比較例1
上記仕上げ研磨工程において、上記電動サンダーを用いて部分的に研磨を行なう際、研磨残りが生じた部分を残したり、垂直研磨を行なったりした他は、実施例と同様の方法で各サンプルを得た。
比較例2
上記粗研磨工程及び仕上げ研磨工程において、研磨面の形状を図5に示したように、端面11を平面とし、稜部を研磨して該端面11と板面12との間に糸面を形成した他は、実施例と同様の方法で各サンプルを得た。なお、上記の糸面形成時、平行方向へ研磨を行なった。
比較例3
ソーダ石灰ガラス板の4辺の端面に、粗研磨用の研磨用ホイールを用いて糸面を形成し、その他の研磨を施さなかった他は実施例と同様の方法で各サンプルを得た。なお、上記の糸面形成時、平行方向へ研磨を行なった。
(2)3σn−1下限値強度
得られた各未強化サンプル(50体)について、万能試験機(オリエンテック社製、テンシロンRTC−2410)を用いて、JIS R3223の9.6項に記載の試験方法で測定を行った。得られた値について統計処理を行い、3σn−1下限値強度を算出した。
(3)最大断面高さ
未強化サンプルの端面の研磨面について、表面粗さ測定機(ハンディサーフ、株式会社東京精密製、E−35A、E−35B)を用いて、JIS B0601に準拠する方法で測定を行った。なお、この時カットオフ値λc=0.80、測定長さL=4.0mm、測定速度=0.3mm/sとして測定を行った。なお、比較例3については端面を研磨していない為、未研磨の端面を測定した。
(4)表面圧縮応力
得られた熱強化サンプルについて、表面圧縮応力計(折原製作所製、FSM−7000H)を用いて、JIS R3223の9.6項に記載の試験方法で測定を行った。
(5)防火性能試験
各熱強化サンプルについて、それぞれJIS R3223に準拠する方法で防火性能試験を行った。得られた結果を表2に記載する。
また、防火性能試験は、測定用サンプルを1枚用いた単板ガラス(I類)と、測定用サンプル1枚と低放射ガラス板1枚とを一体化させた複層ガラス(II類)とについて行なった。この時の複層ガラスは、測定用サンプルと低放射ガラス板(1200mm×2400mm、厚み6mm、垂直放射率:0.04)とを、アルミスペーサーを介して一体化させたものを用いた。この時、中空層は12mmとし、中空層内は空気を充填させた。
得られた各測定用サンプルについて防火性能試験を行った。なお、防火性能試験時の押縁のかかり代を13mmとして試験を行った。
以上より、実施例は防火性能試験(I類、II類)を合格することが示された。また、実施例と同様の方法で熱強化サンプルをさらに2体作成してII類の防火性能試験を行い、いずれも合格することを確認した。
また、研磨残り部や垂直研磨部を有する比較例1、及び糸面を設ける一般的な研磨方法で作製した比較例2は、エッジ強度が上がりきらず、II類の防火性能試験を合格できなかった。比較例1は熱強化サンプルを合計2体準備してII類の防火性能試験を2回行ったが、どちらも上記の研磨残り部及び垂直研磨部から破壊が生じていた。また、比較例2は熱強化サンプルを2体準備してII類の防火性能試験を2回行ったが、1体目はII類の試験を合格し、2体目は端面から破壊が生じていた。また、糸面研磨だけを行ない、他は研磨を行なわなかった比較例3は、エッジ強度は優れたものとなったが、未研磨の端面ではなく研磨した糸面を起点として破壊が生じ、II類の防火性能試験を満足できないものとなった。
G:耐熱強化ガラス板、d:板厚、1:ガラスエッジ、11:端面、12:稜部、13:研磨筋、14:コーナー部、2:板面、3:円盤型ホイール、A:平行研磨の研磨方向、B:垂直研磨の研磨方向

Claims (6)

  1. 建築用防火設備として使用可能な耐熱強化ガラス板において、
    該耐熱強化ガラス板は、板面、端面、及び稜部を有し、
    該端面は、外方へ突出した曲面形状に研磨された研磨面であり、
    該稜部は、端面を全面研磨することによって形成された、該板面と該端面とが交わる部分であり、
    該端面に形成された研磨筋が、該端面の長辺と直交しない方向に沿うもののみである、耐熱強化ガラス板。
  2. 前記端面に形成された研磨筋は、該端面の長辺に沿うもののみであることを特徴とする、請求項1記載の耐熱強化ガラス板。
  3. 前記研磨面の最大断面高さ(R)の平均値が7μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐熱強化ガラス板。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の耐熱強化ガラス板を有することを特徴とする複層ガラス。
  5. 建築用防火設備として使用可能な耐熱強化ガラス板の製造方法において、
    ガラス板の端面を研磨し、該端面を外方へ突出した曲面形状とする粗研磨工程、
    該粗研磨工程後、該端面をさらに研磨する仕上げ研磨工程、及び
    該仕上げ研磨工程後に、該ガラス板を熱強化する強化工程、を有し、
    該粗研磨工程及び該仕上げ研磨工程における研磨の方向が、該端面の長辺に沿う方向のみであることを特徴とする、耐熱強化ガラス板の製造方法。
  6. 前記仕上げ研磨工程が、前記端面の少なくとも一部を研磨する部分研磨工程を有し、
    該部分研磨工程の研磨の方向が、該端面の長辺に沿う方向のみであることを特徴とする請求項5に記載の耐熱強化ガラス板の製造方法。
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