JP2020129898A - ステータ - Google Patents

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Abstract

【課題】径方向の大型化を抑えることができるステータを提供すること。【解決手段】ステータは、ステータコアにインシュレータを介して複数相のコイルが巻回される。ステータコアの軸方向一方側に配置され、コイルと軸方向に重なる位置でコイルの端末線33aを周方向に案内するためのガイド部材60を有する。ガイド部材60は、該ガイド部材60の径方向外側端部から径方向内側に延びる案内部を有した形状で軸方向に貫通して前記端末線を軸方向一方側に導出させる切り欠き65を有し、切り欠き65の径方向内側端部における周方向端面と、軸方向一方側に導出された端末線33aが周方向に引き回される方向に沿ったガイド部材60における軸方向一端面である底部63aとは、窪んだ形状の窪み部67cにより連結される。【選択図】図22

Description

本発明は、ステータに関するものである。
従来、モータのステータとしては、ステータコアにインシュレータを介して複数層のコイルが巻回されてなるものがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のステータでは、ステータコアに取り付けられたインシュレータの径方向外側にコイルの端末線を配索可能な複数の溝が形成され、端末線は溝に収容されながら周方向に引き回されて結線されている。
特開2011−205817号公報
しかしながら、上記のようなステータでは、溝がインシュレータに設けられており、溝が形成される部位は、コイルが巻回される部位よりも径方向外側に限られることから、インシュレータを含めたステータの径方向の大型化が懸念される。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、径方向の大型化を抑えることができるステータを提供することにある。
上記課題を解決するステータは、ステータコア(31)にインシュレータ(32)を介して複数相のコイル(33)が巻回されたステータ(30)であって、前記ステータコアの軸方向一方側に配置され、前記コイルと軸方向に重なる位置で前記コイルの端末線(33a)を周方向に案内するためのガイド部材(60)を有し、前記ガイド部材は、該ガイド部材の径方向外側端部から径方向内側に延びる案内部(66a,67a)を有した形状で軸方向に貫通して前記端末線を軸方向一方側に導出させる切り欠き(65)を有し、前記切り欠きの径方向内側端部における周方向端面と、軸方向一方側に導出された前記端末線が周方向に引き回される方向に沿った前記ガイド部材における軸方向一端面(62a,63a,64a)とは、窪んだ形状の窪み部(66f,67c)により連結される。
同構成によれば、ステータコアの軸方向一方側に配置され、コイルと軸方向に重なる位置でコイルの端末線を周方向に案内するためのガイド部材を有するため、コイルの端末線がコイルの径方向外側で引き回されるものに比べて、径方向の大型化を容易に抑えることができる。また、ガイド部材は、該ガイド部材の径方向外側端部から径方向内側に延びる案内部を有した形状で軸方向に貫通して端末線を軸方向一方側に導出させる切り欠きを有するため、端末線をガイド部材の軸方向一端側に容易に導出させることができる。そして、切り欠きの径方向内側端部における周方向端面と、軸方向一方側に導出された端末線が周方向に引き回される方向に沿ったガイド部材における軸方向一端面とは、窪んだ形状の窪み部により連結されるため、例えば窪み部が形成されず直角に連結されたものに比べて、端末線が曲がる部位での軸方向への膨らみを抑えることができる。すなわち、窪み部が形成されず直角に連結されたものでは、端末線が傷付かないようなテンションで端末線を曲げると端末線がガイド部材における軸方向一端面よりも浮いた状態となり軸方向に膨出してしまうが、これを抑えることができ、例えば軸方向の小型化や他の端末線の引き回し時の作業性の向上を図ることができる。
一実施形態におけるモータを含む電動ブレーキシステムの概略構成図。 同実施形態におけるガイド部材を取り外した状態を示すステータの平面図。 同実施形態におけるステータの斜視図。 同実施形態におけるステータの分解斜視図。 同実施形態におけるガイド本体の斜視図。 同実施形態におけるガイド本体の平面図。 同実施形態におけるガイド部材の一部を示す平面図。 同実施形態におけるステータの一部を示す断面図。 同実施形態におけるステータの一部を示す平面図。 同実施形態におけるステータの平面図。 同実施形態におけるステータの一部を示す平面図。 同実施形態におけるステータの一部を示す側面図。 同実施形態におけるガイド部材の一部を示す断面図。 同実施形態におけるステータの一部を示す平面図。 同実施形態におけるステータの一部を示す断面図。 (a)〜(d)は同実施形態におけるガイド部材の引き出し用ガイドの断面図。 同実施形態におけるガイド部材の引き出し用ガイドの断面図。 同実施形態におけるステータの製造方法を説明するための説明図。 同実施形態におけるステータの製造方法を説明するための説明図。 同実施形態におけるステータの製造方法を説明するための説明図。 同実施形態におけるステータの製造方法を説明するための説明図。 同実施形態におけるガイド部材の一部を示す断面図。 同実施形態におけるステータの一部を示す断面図。 同実施形態におけるガイド部材の一部を示す断面図。 別例におけるガイド部材の一部を示す断面図。
以下、ステータを備えたモータの一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
図1に示すように、モータ10は、電動ブレーキシステムに用いられるものである。電動ブレーキシステムは、ブレーキ液の液圧を調整するハイドロユニット11と、ハイドロユニット11と連結されてハイドロユニット11を駆動させる前記モータ10と、モータ10の駆動を制御するEDU(Electric Driver Unit)12とを有する。本例のブレーキシステムでは、EDU12とモータ10との間にハイドロユニット11が介在されている。モータ10とEDU12とは、ハイドロユニット11の筐体11aに設けられた貫通孔11bを通して電気的に接続されている。
本実施形態のモータ10は、ロータ20とステータ30とを有する。
図1に示すように、ロータ20は、ロータコア21と、ロータコア21に設けられる図示しないマグネットと、ロータコア21の径方向中心に設けられる回転軸22とを有する。回転軸22は、その軸方向一端部が直接又は間接的にハイドロユニット11内のギヤ11cと連結される。これにより、回転軸22が回転駆動することでハイドロユニット11内のギヤ11cが駆動してブレーキ液の液圧が調整されることとなる。
図2〜図4に示すように、ステータ30は、ステータコア31と、ステータコア31のインシュレータ32(図2中、図示略)と、コイル33とを備えている。
ステータコア31は、略円環状の環状部31aと、環状部31aから径方向内側に延出する複数のティース31bとを有する。本実施形態のティース31bは、例えば12個設けられる。各ティース31bには、インシュレータ32を介してコイル33が巻回されている。コイル33は、例えば集中巻きにて巻回される。
コイル33は、EDU12内に設けられた第1インバータ回路12aと電気的に接続される第1の三相巻線40と、EDU12内に設けられた第2インバータ回路12bと電気的に接続される第2の三相巻線50とを有する。すなわち、本実施形態ではEDU12内に複数系統の回路であって、本実施形態では2系統の第1及び第2インバータ回路12a,12bが設けられ、それら第1及び第2インバータ回路12a,12bが各三相巻線40,50に対して電流を供給するようになっている。
図2に示すように、第1の三相巻線40は、前記第1インバータ回路12aから120度位相の異なる三相交流電流が供給される複数の三相巻線41a〜41fを有する。複数の三相巻線41a〜41fは、U+相巻線41aと、U−相巻線41bと、V+相巻線41cと、V−相巻線41dと、W+相巻線41eと、W−相巻線41fとを有する。
図2に示すように、第2の三相巻線50は、前記第2インバータ回路12bから120度位相の異なる三相交流電流が供給される複数の三相巻線51a〜51fを有する。複数の三相巻線51a〜51fは、X+相巻線51aと、X−相巻線51bと、Y+相巻線51cと、Y−相巻線51dと、Z+相巻線51eと、Z−相巻線51fとを有する。
そして、本実施形態のコイル33は、各ティース31b毎に、周方向に、例えばW−相巻線41f、V+相巻線41c、Y+相巻線51c、X−相巻線51b、U−相巻線41b、W+相巻線41e、Z+相巻線51e、Y−相巻線51d、V−相巻線41d、U+相巻線41a、X+相巻線51a、Z−相巻線51fの順で巻回されている。
ここで、U+相巻線41aとU−相巻線41bとは、ティース31bに対して巻回される巻回方向が逆向きとなっている。またV+相巻線41cとV−相巻線41dとは、ティース31bに対して巻回される巻回方向が逆向きとなっている。またW+相巻線41eとW−相巻線41fとは、ティース31bに対して巻回される巻回方向が逆向きとなっている。また、U+相巻線41a及びU−相巻線41bは、互いに周方向において150度異なる位置に設けられたティース31bに巻回されている。V+相巻線41c及びV−相巻線41dは、互いに周方向において150度異なる位置に設けられたティース31bに巻回されている。W+相巻線41e及びW−相巻線41fは、互いに周方向において150度異なる位置に設けられたティース31bに巻回されている。
また、X+相巻線51aとX−相巻線51bとは、ティース31bに対して巻回される巻回方向が逆向きとなっている。またY+相巻線51cとY−相巻線51dとは、ティース31bに対して巻回される巻回方向が互いに逆向きとなっている。またZ+相巻線51eとZ−相巻線51fとは、ティース31bに対して巻回される巻回方向が逆向きとなっている。X+相巻線51a及びX−相巻線51bは、互いに周方向において150度異なる位置に設けられたティース31bに巻回されている。Y+相巻線51c及びY−相巻線51dは、互いに周方向において150度異なる位置に設けられたティース31bに巻回されている。Z+相巻線51e及びZ−相巻線51fは、互いに周方向において150度異なる位置に設けられたティース31bに巻回されている。
U+相巻線41aとU−相巻線41bとは渡り線41gによって接続されている。V+相巻線41cとV−相巻線41dとは渡り線41hによって接続されている。W+相巻線41eとW−相巻線41fとは渡り線41jによって接続されている。X+相巻線51aとX−相巻線51bとは渡り線51gによって接続されている。Y+相巻線51cとY−相巻線51dとは渡り線51hによって接続されている。Z+相巻線51eとZ−相巻線51fとは渡り線51jによって接続されている。なお、渡り線41g,41h,41j,51g,51h,51jは、ステータコア31における軸方向他端側であってハイドロユニット11と対向しない側(図1中、下側)に設けられ、例えば、インシュレータ32に設けられた図示しない案内部やステータコア31に固定される図示しない案内部材によって図2に示すように案内されて設けられている。そして、W+相巻線41eとW−相巻線41fとを接続する渡り線41jと、Z+相巻線51eとZ−相巻線51fとを接続する渡り線51jとは、他の渡り線41g,41h,51g,51hよりも径方向外側を引き回されて他の渡り線41g,41h,51g,51hよりも長く設けられている。
本実施形態の第1の三相巻線40は、第1インバータ回路12aに対してデルタ結線にて接続される。第2の三相巻線50は、第2インバータ回路12bに対してデルタ結線にて接続される。
より詳しくは、U+相巻線41aの端末線33aは、W−相巻線41fの端末線33aとともに第1インバータ回路12aのU端子に接続される。U−相巻線41bの端末線33aは、V+相巻線41cの端末線33aとともに第1インバータ回路12aのV端子に接続される。W+相巻線41eの端末線33aは、V−相巻線41dの端末線33aとともに第1インバータ回路12aのW端子に接続される。
X+相巻線51aの端末線33aは、Z−相巻線51fの端末線33aとともに第2インバータ回路12bのX端子に接続される。X−相巻線51bの端末線33aは、Y+相巻線51cの端末線33aとともに第2インバータ回路12bのY端子に接続される。Z+相巻線51eの端末線33aは、Y−相巻線51dの端末線33aとともに第2インバータ回路12bのZ端子に接続される。なお、前記渡り線41g,41h,41j,51g,51h,51jは、前記端末線33aとは反対側のコイル33の端部を相毎に接続するものである。
図1に示すように、ステータ30には、ステータコア31の軸方向一方側であるハイドロユニット11側にガイド部材60が設けられる。
ガイド部材60は、コイル33の端末線33aをコイル33と軸方向に重なる位置で周方向に案内し、更にEDU12まで案内するためのものであり、ガイド本体61と、引き出し用ガイド81とを有する。
図5及び図6に示すように、ガイド本体61は、複数の段部としての下段部62と、中段部63と、上段部64とを有して3段の階段状をなすよう構成されている。
下段部62は、径方向に延びて軸方向に面する底部62aと、底部62aの径方向内側から軸方向に延びて径方向に面する段差部62bとを有する。
中段部63は、径方向に延びて軸方向に面する底部63aと、底部63aの径方向内側から軸方向に延びて径方向に面する段差部63bとを有する。底部63aは、段差部62bの軸方向先端部から径方向内側に延びるように構成される。
上段部64は、径方向に延びて軸方向に面する底部64aと、底部64aの径方向内側から軸方向に延びて径方向に面する壁部としての段差部64bとを有する。底部64aは、段差部63bの軸方向端部から径方向内側に延びるように構成される。
下段部62は、ガイド本体61をステータコア31の軸方向一方側に取り付けた状態で軸方向において中段部63及び上段部64よりもステータコア31側に位置する。中段部63は、下段部62と上段部64との間に位置する。上段部64は、ガイド本体61をステータコア31の軸方向一方側に取り付けた状態で軸方向において下段部62及び中段部63よりも反ステータコア31側に位置する。下段部62は、中段部63及び上段部64よりも径方向外側に位置する。上段部64は、下段部62及び中段部63よりも径方向内側に位置する。つまり、本実施形態のガイド本体61は、径方向外側の下段部62から順に軸方向においてステータコア31から離間するとともに、その外径が小さく(すなわち縮径されるように)なっている。言い換えると、ガイド本体61は、軸方向でステータコア31とは反対側に向かうに従って縮径するように下段部62と、中段部63と、上段部64とを有している。
また、ガイド本体61は、コイル33の端末線33aを径方向外側から径方向内側に導く軸方向に貫通した複数の切り欠き65を備える。言い換えると、ガイド本体61は、ガイド本体61の軸方向他端側で径方向外側に引き出された端末線33aの先端側を軸方向一方側に移動させると該端末線33aがガイド本体61を貫通してガイド本体61の軸方向一方側に導出されるように導く切り欠き65を備える。切り欠き65は、第1切り欠き66と第2切り欠き67とを含む。本実施形態ではガイド本体61には2つの第1切り欠き66と、6つの第2切り欠き67とを備える。
図7に示すように、第1切り欠き66はコイル33の2つの端末線33aを引き込み可能なものである。また、第2切り欠き67はコイル33の1つの端末線33aを引き込み可能なものである。
図7及び図11に示すように、各第1切り欠き66は、ガイド本体61の径方向外側端部から径方向内側に延びるように切り欠かれた形状の案内部66aと、案内部66aと連通しつつ周方向に延びるように切り欠かれた形状でコイル33の端末線33aを保持する第1及び第2保持部66b,66cとを有する。
径方向切り欠き部としての案内部66aは、下段部62の底部62aにおいて径方向外側ほど拡開された形状となっている。これにより、コイル33の端末線33aを案内し易くなっている。また、案内部66aは、径方向外側から径方向内側に向かいつつ周方向他方側に傾斜した傾斜案内部66eを有する。
周方向切り欠き部としての第1保持部66bは、案内部66aの径方向内側において案内部66aと連通するとともに、周方向一方側に延びるように切り欠かれている。第2保持部66cは、案内部66aの径方向内側において案内部66aと連通するとともに、周方向他方側に延びるように切り欠かれている。つまり、第1保持部66bと第2保持部66cとは互いに周方向逆向きに延びるように切り欠かれている。
また、ガイド本体61には、傾斜案内部66eと第1保持部66bとによって周方向に延びるように形成される周方向凸部66dが設けられている。周方向凸部66dは、第2保持部66cに配索される端末線33aが引き込まれる際に誤って第1保持部66bに配索された端末線33aと干渉することを抑える。
また、図11に示すように、前記第1切り欠き66は、周方向に隣り合うコイル33の端末線33aが交差するように周方向に引き回される部位に対応して設けられている。
詳しくは、第1切り欠き66と対応した位置のコイル33は第1のコイル33cと周方向一方側に隣り合う第2のコイル33dを含む。なお、本実施形態では、V−相巻線41d及びU−相巻線41bが第1のコイル33cに該当し、Y−相巻線51d及びX−相巻線51bが第2のコイル33dに該当する。
第1のコイル33cの端末線33aは、該第1のコイル33cからガイド部材60の軸方向一方側に導出される第1軸方向延出部33eと、該第1軸方向延出部33eの先端部からガイド部材60によって周方向一方側に引き回される第1引き回し部33fとを有する。
第2のコイル33dの端末線33aは、該第2のコイル33dから前記ガイド部材の軸方向一方側に導出される第2軸方向延出部33gと、該第2軸方向延出部33gの先端部からガイド部材60によって周方向他方側に引き回される第2引き回し部33hとを有する。
そして、第1軸方向延出部33eの基端部の位置X1と第2軸方向延出部33gの基端部の位置X2とは、径方向の異なる位置に設定されている。詳しくは、第1軸方向延出部33eの基端部の位置X1は第1のコイル33cにおける径方向内側端部の位置であって第1保持部66bと軸方向に重なる位置、すなわち第1保持部66bの真下に設定されている。また、第2軸方向延出部33gの基端部の位置X2は第2のコイル33dにおける径方向外側端部の位置に設定されている。そして、第1軸方向延出部33eは軸方向にほぼ真っ直ぐ延びて第1保持部66bに配置され、ガイド部材60の軸方向一端側に導出されている。また、第2軸方向延出部33gは、前記傾斜案内部66eに沿いつつ軸方向に斜めに延びて第2保持部66cに配置され、ガイド部材60の軸方向一方側に導出されている。
図6に示すように、第2切り欠き67は、ガイド本体61の径方向外側端部から径方向内側に延びるように切り欠かれた形状の案内部67aと、案内部67aと連通しつつ周方向に延びるように切り欠かれた形状でコイル33の端末線33aを保持する保持部67bとを有する。
径方向切り欠き部としての案内部67aは、第1切り欠き66と同様に下段部62の底部62aにおいて径方向外側ほど拡開された形状となっている。これにより、コイル33の端末線33aを案内し易くなっている。
周方向切り欠き部としての保持部67bは、案内部67aの径方向内側において案内部67aと連通するとともに、周方向一方又は周方向他方に延びるように切り欠かれている。
また、図22に示すように、第1切り欠き66の第1保持部66b及び第2保持部66cと、第2切り欠き67の保持部67bには窪み部66f,67cが設けられている。詳しくは、第1保持部66b、第2保持部66c、及び保持部67bにおける周方向端面と、ガイド部材60の軸方向一方側に導出された端末線33aが周方向に引き回される方向に沿ったガイド部材60における軸方向一端面(すなわち、前記底部62a,63a,64a)とは、窪んだ形状の窪み部66f,67cにより連結されている。窪み部66f,67cは、第1保持部66b、第2保持部66c、及び保持部67bにおける周方向端面から湾曲する曲面66g,67dを有する。曲面66g,67dは、端末線33aの線径(言い換えると直径)以上の半径R1のR形状とされている。そして、端末線33aは、ガイド部材60における軸方向一端側に導出され、少なくとも一部が窪み部66f,67cに入り込んで曲面66g,67dに沿って曲げられつつ前記底部62a,63a,64aに沿って周方向に引き回される。なお、図22では、窪み部66f,67cの1つを模式的に図示しているが、本実施形態では窪み部66f,67cが形成される位置によって窪み部66f,67cの周方向の長さ等が異なっている。
また、第1切り欠き66の周囲において同じ段部62,63,64で異なる位相の端末線33aが干渉し易い箇所には、軸方向に延出する仕切り部68が設けられる。本例では、中段部63及び上段部64において第1保持部66b及び第2保持部66cの径方向外側には、軸方向に延出する仕切り部68が形成される。この仕切り部68は各段差部63b,64bより径方向外側へ配置され、段差部63b,64bと仕切り部68との間には端末線33aの線径分の隙間が設けられ、仕切り部68よりも径方向内側を通る端末線33aを先に隙間に挿入して引き回し、その後、仕切り部68よりも径方向外側(外部)に他の端末線33aを引き回した構成とされている。
図5に示すように、第1切り欠き66の第1及び第2保持部66b,66cを有する中段部63及び上段部64において、その段差部63b,64bの頂部であって、第1切り欠き66の径方向内側に位置する角部63c,64cには、面取り部63d,64dが形成されている。ここで、第1切り欠き66に沿って端末線33aを引き回す際に、径方向内側に向かってテンションがかかった場合、角部が例えば直角であると端末線33aが角部を起点として撓んで、端末線33aが段差部63b,64bから径方向に離間しやすくなる。そして、端末線33aが段差部63b,64bから径方向に離間した状態で周方向に沿って端末線33aを引き回すと、例えば、端末線33aが第1保持部66b内に収容されない虞がある。そこで、前述したように面取り部63d,64dを角部63c,64cに設けることで、角部63c,64cを起点とした撓みが抑制され、端末線33aが段差部63b,64bから径方向に離間することが抑えられ、周方向に沿って端末線33aを引き回す際に、例えば端末線33aが第1保持部66b内に収容され易くなる。
図6、図12及び図13に示すように、ガイド本体61には、各段差部62b,63b,64bから径方向に延出形成される端末線規制部69が複数設けられる。本例の端末線規制部69は、各段差部62b,63b,64bのそれぞれに5つ又は6つ設けられる。各端末線規制部69は、各段差部62b,63b,64bから径方向に延出する延出部69aと、延出部69aの先端側から軸方向に延出する突起69bとを有する。突起69bの軸方向先端から段部62,63,64の底部62a,63a,64aまでの軸方向距離L1は、端末線33aの線径より小さい構成とすることで端末線33aが径方向にずれることを抑えることができる。
延出部69aは、各底部62a,63a,64aに引き回されたコイル33の端末線33aの軸方向への移動を規制する。また、本実施形態の延出部69aは、径方向に2つ並んだ端末線33aの軸方向への移動を規制可能とすべく径方向の長さが端末線33aの線径の2倍以上に設定されている。突起69bは、各底部62a,63a,64aに引き回されたコイル33の端末線33aの径方向外側への移動を規制する。このように端末線33aの径方向への移動や軸方向への移動を規制することで端末線33aの振動を抑えることができる。また、端末線33aの径方向への移動を規制することで他の端末線を引き回す際にその配索行為を阻害することが抑えられる。つまり、配索を容易に行うことが可能となる。
ここで、底部62a,63a,64aには、端末線規制部69と軸方向において対向する部位が肉抜きされてなる肉抜き部70が設けられる。これにより、端末線33aを肉抜き部70側に一時的に撓ませることができるため、例えば端末線規制部69と端末線33a間のクリアランスを狭めることができ、端末線33aを肉抜き部70の周辺の底部62a,63a,64aと端末線規制部69との間で安定して保持できる。
また、図5、図6及び図24に示すように、ガイド本体61には、上段部64の段差部64bの上部から径方向外側に延出して形成される上部端末線規制部91が設けられる。上部端末線規制部91は、上段部64における底部64aの径方向の範囲が狭くなる部位であって、中段部63に第1切り欠き66の第1及び第2保持部66b,66cが設けられた周方向位置と一致する周方向位置に設けられている。
また、上部端末線規制部91と周方向にずれた位置であって、上部端末線規制部91の周方向両側における底部64a上には、段差部64bに向かって軸方向の高さが徐々に高くなる押上案内部92が設けられている。これにより、端末線33aを段差部64bに沿って巻くように配索すれば、端末線33aが押上案内部92の作用によって底部64aから軸方向に持ち上げられる。そして、上段部64の底部64a上を周方向に引き回される2つの端末線33aは上部端末線規制部91及び押上案内部92と対応した周方向位置で軸方向及び径方向にずらされて配置されている。
上部端末線規制部91の径方向外側には、底部64a側に突出する突起91aが設けられている。突起91aは、その突出量が端末線33aの線径の0.5倍以上に設定され、突起91aの先端から底部64aまでの軸方向の距離L2は、端末線33aの線径の1.5倍より小さく設定されている。
また、底部64aには、上部端末線規制部91と軸方向において対向する部位に肉抜きされてなる肉抜き部93が設けられる。
図3〜図5に示すように、ガイド部材60には、下段部62の底部62aの下面から下方に延出するとともに、ステータコア31のインシュレータ32と取着するための取付片71が複数設けられる。
図23に示すように、取付片71とインシュレータ32とは、所謂スナップフィット構造によって軸方向において係合される。言い換えると、取付片71はその爪がインシュレータ32と係合することで、ガイド部材60がステータコア31に対して軸方向に離間する方向に移動することを規制する。これにより、ガイド部材60はステータコア31(詳しくはインシュレータ32)から脱落することが抑えられている。
図3〜図5に示すように、ガイド部材60には、下段部62の底部62aの下面から下方に延出するとともに、ガイド部材60がステータコア31(詳しくはインシュレータ32)に取着された状態でステータコア31と軸方向において当接可能な脚部72が複数設けられる。脚部72は、前記取付片71とは周方向に離間した位置に設けられる。
詳しくは、図23に示すように、脚部72は、ステータコア31の軸方向一端面に軸方向に当接可能な軸方向当接部72aと、軸方向当接部72aと隣接して軸方向に更に突出しステータコア31の外周面に設けられた溝31cと周方向に当接する周方向当接部72bとを有する。なお、本実施形態の周方向当接部72bは、軸方向当接部72aの周方向中心から軸方向に突出するように、言い換えると周方向に一対の軸方向当接部72aの間から軸方向に突出するように設けられている。また、軸方向当接部72aは、前記取付片71の先端がステータコア31の軸方向一端面と当接しない状態でステータコア31の軸方向一端面と当接するように設定されている。また、取付片71は、軸方向当接部72aがステータコア31の軸方向一端面と当接した状態でガイド部材60がステータコア31に対して僅かに軸方向に離間する方向に移動することを許容しつつインシュレータ32と係合する。すなわち、ガイド部材60は、ステータコア31に対して軸方向に僅かな一定の範囲で移動可能に組み付けられる。言い換えると、ガイド部材60とステータコア31とは軸方向における一定の範囲において相対的に移動可能、つまり多少のガタを許容して組み付けられている。そして、ガイド部材60は、ステータコア31に組み付けられた状態で配索される端末線33aの主に前記曲面66g,67dへの当接により軸方向の移動が抑制され、ステータコア31に対するがたつきが抑制される。すなわち、ガイド部材60の軸方向一方側に導出された端末線33aが周方向に引き回される際には端末線33aが主に曲面66g,67dを押すことでガイド部材60がステータコア31側に押し付けられ、軸方向当接部72aがステータコア31に当接した状態となる。そして、主に曲面66g,67dにそって塑性変形した端末線33aによってガイド部材60のステータコア31に対するがたつきが抑制される。
図3及び図9に示すように、ガイド部材60には、軸方向においてステータコア31側へ延設された凸状の規制部73が設けられる。規制部73は、下段部62の底部62a下面からステータコア31側に延出している。図9に示すように、規制部73は、ガイド部材60をステータコア31に取着した状態でインシュレータ32及びコイル33とでコイル33の端末線33aにおける軸方向延出部33bの周囲を囲むようになっている。これにより軸方向延出部33bの移動が規制される。規制部73の軸方向先端部は、周方向に隣り合うコイル33間に配置されるとともに、コイルエンドに倣った先細形状である。
図8に示すように、コイル33の端末線33aの周方向における引き回し方向が、コイル33のステータコア31に対する巻回を緩める方向である場合、第2切り欠き67の径方向内側における周方向端部である保持部67bは軸方向延出部33b上に設けられている。これにより、端末線33aを周方向に引き回した場合でもコイル33の巻回が緩むことが抑えられる。
また、図6、図10及び図14に示すように、ガイド本体61は、前記端末線33aを周方向の一部に集約する集約部74を有する。集約部74は、異なる系統のコイル33、すなわち、第1インバータ回路12aに接続される一方の系統の第1の三相巻線40と第2インバータ回路12bに接続される他方の系統の第2の三相巻線50の全ての端末線33aを周方向の一部に集約すべく設けられている。
また、図14に示すように、集約部74は、一方の系統の端末線33aを集約する第1集約部74aと、該第1集約部74aと周方向に隣り合って他方の系統の端末線33aを集約する第2集約部74bとを有する。
第1集約部74a及び第2集約部74bは、それぞれ径方向に3つであって、それぞれ段部62,63,64毎に、該段部62,63,64上を引き回された端末線33aを保持する集約保持部としての遊嵌部75を有する。すなわち、遊嵌部75は、各段部62,63,64にそれぞれ2つずつ、計6つ設けられる。遊嵌部75は、各段部62,63,64の段差部62b,63b,64bから径方向外側に延出するように設けられ、軸方向に貫通しつつ径方向外側に開口した導入部75bと、該導入部75bと連通し端末線33aを軸方向一方側に導出させつつ保持する導出保持部75aとを有する。
導出保持部75aは、端末線33aの線径よりも開口面積が大きく、軸方向に開口した形状を有している。導入部75bは、導出保持部75aの径方向外側において端末線33aの線径よりも小さく径方向に開放した形状を有している。導入部75bにより、導出保持部75aに対して端末線33aを径方向外側から導入することができる。また、導出保持部75aは端末線33aを2本導入しても遊嵌状態となっている。これにより、端末線33aに対して過度なテンションがかからないため、端末線33aの損傷が抑えられる。
図15に示すように、遊嵌部75と軸方向に対向する底部には肉抜き部76が形成される。これにより、端末線33aを軸方向に引き出して立ち上げる際に、端末線33aを肉抜き部76側に撓ませることができ、端末線33aを遊嵌部75から軸方向に沿って立ち上げることができる。
ここで、下段部62の底部62a上を引き回される端末線33aは、第1インバータ回路12aのU端子と第2インバータ回路12bのX端子に接続されるものである。また、中段部63の底部63a上を引き回される端末線33aは、第1インバータ回路12aのV端子と第2インバータ回路12bのY端子に接続されるものである。また、上段部64の底部64a上を引き回される端末線33aは、第1インバータ回路12aのW端子と第2インバータ回路12bのZ端子に接続されるものである。
そして、一方の系統の端末線33aは、第2集約部74bを通過しない周方向(図2及び図10中、反時計回り方向)に引き回されて第1集約部74aに集約され、他方の系統の端末線33aは、第1集約部74aを通過しない周方向(図2及び図10中、時計回り方向)に引き回されて第2集約部74bに集約されている。
また、端末線33aの内の集約部74の近傍に配置されたコイル33の端末線33aは、ガイド部材60上を周方向に引き回されることなく集約部74に集約される非引き回し端末線33jとされている。本実施形態では、集約部74の最も近くに配置されたコイル33であってW−相巻線41fとZ−相巻線51fの端末線33aが非引き回し端末線33jとされている。なお、W−相巻線41fとZ−相巻線51fは、前述したようにそれぞれ他の渡り線41g,41h,51g,51hよりも長い渡り線41j,51jによって接続されるコイル33である。また、非引き回し端末線33jは径方向外側の遊嵌部75に保持される。また、第1集約部74aと第2集約部74bとの周方向中心と、W−相巻線41fとZ−相巻線51fとの周方向中心とは一致するように設定されている。そして、一対の非引き回し端末線33jは、それぞれ周方向に近い側の遊嵌部75に保持されている。非引き回し端末線33jは、ガイド部材60の軸方向一端側を周方向に引き回されずにガイド部材60の軸方向他端側で径方向外側の遊嵌部75まで延びて該遊嵌部75から軸方向一方側に導出されて保持されている。
図16(a)〜(d)及び図17に示すように、引き出し用ガイド81は、軸方向に長い柱状をなすように構成される。引き出し用ガイド81は、前記ガイド本体61に対して取着された状態で6つの遊嵌部75とそれぞれ対応する6つの貫通孔82を有する。
各貫通孔82は、引き出し用ガイド81がガイド本体61に取り付けられた状態で遊嵌部75と軸方向に対向するように構成される。各貫通孔82は、前記引き出し用ガイド81の長手方向(すなわち、軸方向)に沿って形成される。
引き出し用ガイド81は、例えば樹脂等の絶縁材で構成される。このため、引き出し用ガイド81の貫通孔82内に挿通された端末線33aが他の貫通孔82に挿通された他の端末線33aと絶縁された状態となる。また、ハイドロユニット11の筐体11aと各貫通孔82に挿通された端末線33aとは絶縁された状態となる。
図16(a)〜(d)及び図17に示すように、各貫通孔82は、ステータコア31側に位置する導入口82aの開口面積が反ステータコア31側に位置する導出口82bの開口面積よりも広くなっている。そして、各貫通孔82は導入口82a側から導出口82b側にかけて開口面積が徐々に小さくなっている。貫通孔82の内周面は曲面形状となっている。
図16(a)に示すように、貫通孔82は、導入口82a側の開口形状が略四角形状となっている。図16(d)に示すように、貫通孔82は、導出口82b側の開口形状が長円形状となっている。図16(b)に示すように、貫通孔82は、導入口82aと導出口82bとの間の途中位置において、開口形状が定幅三角形状となっている。このような構成とすることで、貫通孔82は、内部に挿通された複数の端末線33aの並ぶ方向を所定の方向となるように案内するようになる。また、貫通孔82の途中位置において定幅三角形状(所謂、ルーローの三角形状)を有する構成とし、例えばその幅を端末線33aの線径の2本分とすることで、その位置において2本の端末線33aが移動でき、端末線33aの位置調整が可能となる。
また、貫通孔82の導入口82a側においては各端末線33aよりも十分に大きな開口面積であるため、各端末線33aが非固定状態である。ここで、端末線33aの非固定長さが長いほど共振周波数が低くなるため、導出口82bから所定範囲に断面積が一定となる部分を設けることで共振周波数を高くできる。
次に、本実施形態のステータの製造方法を説明する。
図18に示すように、ステータコア31のティース31bにコイル33を巻回する。
次いで、同図18に示すように、ステータコア31のティース31bに巻回されたコイル33の端末線33aを軸方向に引き出すとともに、径方向に曲げる曲げ工程を行う。
次に、図19に示すように、ステータコア31の軸方向一端部側にガイド部材60のガイド本体61を組み付ける組み付け工程を行う。このとき、曲げ工程において各端末線33aが径方向に曲げられているため、ガイド部材60と端末線33aが干渉することが抑えられる。
次に、図20に示すように、端末線33aを軸方向に曲げて対応する第1及び第2切り欠き66,67に端末線33aを引き込む引き込み工程を行う。
次に、図21に示すように、端末線33aを周方向に引き回す配索工程を行い、その端末線33aを遊嵌部75に保持させつつ軸方向一方側に導出させる引き出し工程を行う。この引き込み工程、配索工程並びに引き出し工程は、各端末線33a毎に繰り返し実施する。本例においては、径方向内側(上段部64側)に配索される端末線33aから順に繰り返し実施して配索する。なお、前記非引き回し端末線33jは、引き込み工程、配索工程を行わずに引き出し工程を行う。
その後、各遊嵌部75に保持された端末線33aを引き出し用ガイド81の貫通孔82に挿通させた状態で引き出し用ガイド81をハイドロユニット11の筐体11aに設けられた貫通孔11bに通して端末線33aをEDU12内の回路基板に設けられた第1インバータ回路12a又は第2インバータ回路12bと電気的に接続する。
本実施形態の効果を記載する。
(1)ステータコア31の軸方向一方側に配置され、コイル33と軸方向に重なる位置でコイル33の端末線33aを周方向に案内するためのガイド部材60を有するため、コイル33の端末線33aがコイル33の径方向外側で引き回されるものに比べて、径方向の大型化を容易に抑えることができる。また、ガイド部材60は、該ガイド部材60の径方向外側端部から径方向内側に延びる案内部66a,67aを有した形状で軸方向に貫通して端末線33aを軸方向一方側に導出させる切り欠き65(詳しくは第1切り欠き66及び第2切り欠き67)を有するため、端末線33aをガイド部材60の軸方向一端側に容易に導出させることができる。そして、切り欠き65の径方向内側端部における周方向端面と、軸方向一方側に導出された端末線33aが周方向に引き回される方向に沿ったガイド部材60における軸方向一端面(すなわち、底部62a,63a,64a)とは、窪んだ形状の窪み部66f,67cにより連結される。よって、例えば窪み部66f,67cが形成されず直角に連結されたものに比べて、端末線33aが曲がる部位での軸方向への膨らみを抑えることができる。すなわち、窪み部66f,67cが形成されず直角に連結されたものでは、端末線33aが傷付かないようなテンションで端末線33aを曲げると端末線33aがガイド部材60における軸方向一端面よりも浮いた状態となり軸方向に膨出してしまうが、これを抑えることができる。その結果、例えば軸方向の小型化や他の端末線33aの引き回し時の作業性の向上を図ることができる。
(2)窪み部66f,67cは、切り欠き65の径方向内側端部における周方向端面から湾曲する曲面66g,67dを有するため、端末線33aが傷付くことが抑制される。
(3)曲面66g,67dは、端末線33aの線径以上の半径R1のR形状とされるため、端末線33aが傷付くことがより抑制される。なお、このことは実験結果に基づいた効果であり、曲面66g,67dを端末線33aの線径未満の半径のR形状とした場合では被膜の損傷が生じる割合が高く、端末線33aの線径以上の半径R1のR形状とした場合では被膜の損傷が生じる割合が低かったことに基づいて決定している。
(4)ガイド部材60は、ステータコア31に軸方向に当接可能な軸方向当接部72aを有しつつステータコア31に対して軸方向に一定の範囲で移動可能に組み付けられる。そして、ガイド部材60は、端末線33aの曲面66g,67dへの当接により軸方向の移動が抑制されるため、他の別部材を用いることなくステータコア31に対するガイド部材60の軸方向のがたつきを抑制することができる。
(5)ガイド部材60は、軸方向当接部72aと隣接して軸方向に突出し、ステータコア31に設けられた溝31cと周方向に当接する周方向当接部72bを有するため、隣接する軸方向当接部72aと周方向当接部72bとによって軸方向と周方向の位置決めを高精度に行うことができる。
(6)ガイド部材60は、軸方向当接部72aと離間した位置に、ステータコア31に対して軸方向に離間する方向の移動を規制するスナップフィット構造の取付片71を有するため、ガイド部材60をステータコア31に対して容易に組み付けることができる。なお、スナップフィット構造の取付片71では、ステータコア31に対して軸方向にがたつきなく組み付けることは難しいが、端末線33aの曲面66g,67dへの当接により軸方向の移動は抑制される。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、押上案内部92は、段差部64bに向かって軸方向の高さが徐々に一定の割合で高くなる形状としたが、これに限定されず、端末線33aを段差部64bに沿って巻くように配索すれば、端末線33aが底部64aから軸方向に持ち上げられる形状であれば変更してもよい。
例えば、図25に示すように、押上案内部92の上部に端末線33aの外周と面接触する押上曲面部92aが形成された構成としてもよい。このようにすると、押上曲面部92aに端末線33aが面接触することで端末線33aをがたつきなく安定して保持させることができる。
また、図25で示す例では、上部端末線規制部91には端末線33aの外周と面接触する上部曲面部91bが形成されている。このようにすると、上部曲面部91bに端末線33aが面接触することで端末線33aをがたつきなく安定して保持させることができる。
・上記実施形態では、窪み部66f,67cは、切り欠き65の径方向内側端部における周方向端面から湾曲する曲面66g,67dを有するとしたが、これに限定されず、曲面66g,67dを有していない構成としてもよい。
・上記実施形態では、曲面66g,67dは、端末線33aの線径以上の半径R1のR形状とされるとしたが、これに限定されず、曲面66g,67dを端末線33aの線径未満の半径のR形状としてもよい。
・上記実施形態では、ガイド部材60は、端末線33aの曲面66g,67dへの当接により軸方向の移動が抑制されるとしたが、これに限定されず、例えば、他の構成や他の別部材を用いることでステータコア31に対するガイド部材60の軸方向のがたつきを抑制してもよい。
・上記実施形態では、ガイド部材60は、軸方向当接部72aと隣接して軸方向に突出し、ステータコア31に設けられた溝31cと周方向に当接する周方向当接部72bを有するとしたが、これに限定されず、周方向当接部72bを有さずに他の構成で周方向の位置決めを行ってもよい。
・上記実施形態では、ガイド部材60は、軸方向当接部72aと離間した位置に、ステータコア31に対して軸方向に離間する方向の移動を規制するスナップフィット構造の取付片71を有するとしたが、これに限定されず、他の構成でガイド部材60をステータコア31に対して組み付けるようにしてもよい。
・上記実施形態では、コイル33は、異なる系統の回路(詳しくは第1及び第2インバータ回路12a,12b)に接続される異なる系統のコイル33(詳しくは第1の三相巻線40及び第2の三相巻線50)を有するとしたが、これに限定されず、単一の系統の回路に接続されるコイルのみを有したステータ30としてもよい。なお、この場合、勿論、集約部74は単一の系統の端末線33aのみを集約することになる。
・上記実施形態では、集約部74は、一方の系統の端末線33aを集約する第1集約部74aと、該第1集約部74aと周方向に隣り合って他方の系統の端末線33aを集約する第2集約部74bとを有するとしたが、これに限定されず、例えば、第1集約部74aに一方の系統の端末線33aと他方の系統の端末線33aとを集約させてもよい。また、例えば、第2集約部74bに一方の系統の端末線33aと他方の系統の端末線33aとを集約させてもよい。
・上記実施形態では、一方の系統の端末線33aは第2集約部74bを通過しない周方向に引き回されて第1集約部74aに集約され、他方の系統の端末線33aは第1集約部74aを通過しない周方向に引き回されて第2集約部74bに集約されるとしたが、これに限定されず、少なくとも1つの端末線33aを逆方向に引き回した構成としてもよい。
・上記実施形態では、集約部74の第1集約部74a及び第2集約部74bは、それぞれ段部毎に、該段部上を引き回された端末線33aを保持する集約保持部としての遊嵌部75を有するとしたが、これに限定されず、段部と対応せずに端末線33aを保持する集約部74としてもよい。
・上記実施形態では、集約保持部としての遊嵌部75は、軸方向に貫通しつつ径方向外側に開口した導入部75bと、該導入部75bと連通し端末線33aを軸方向一方側に導出させつつ保持する導出保持部75aとを有するとしたが、端末線33aを保持できれば他の構成の集約保持部としてもよい。例えば、遊嵌部75は、端末線33aを遊嵌状態で保持するものとしたが、非遊嵌状態で端末線33aを保持する集約保持部に変更してもよい。
・上記実施形態では、第1のコイル33cの端末線33aにおける第1軸方向延出部33eの基端部の位置X1と第2のコイル33dの端末線33aにおける第2軸方向延出部33gの基端部の位置X2とは径方向の異なる位置に設定されるとしたが、これに限定されず、前記位置X1,X2を径方向の同じ位置に設定してもよい。
・上記実施形態では、案内部66aは、径方向外側から径方向内側に向かいつつ周方向他方側に傾斜した傾斜案内部66eを有するとしたが、これに限定されず、例えば、案内部66aは全体が周方向に傾斜しないように形成してもよい。
・上記実施形態では、第1保持部66b及び第2保持部66cの径方向外側には、軸方向に延出する仕切り部68が設けられるとしたが、これに限定されず、第1保持部66b及び第2保持部66cの何れか一方の径方向外側にのみ仕切り部68を設けてもよいし、仕切り部68が設けられていない構成としてもよい。
・上記実施形態では、第1軸方向延出部33eの基端部の位置X1は第1のコイル33cにおける径方向内側端部の位置に設定され、第2軸方向延出部33gの基端部の位置X2は第2のコイル33dにおける径方向外側端部の位置に設定されるとしたが、これに限定されず、位置X1,X2は径方向の端部以外の径方向の異なる位置に設定してもよい。
・上記実施形態では、端末線33aの内の集約部74の近傍に配置されたコイル33の端末線33aは、ガイド部材60上を周方向に引き回されることなく集約部74に集約される非引き回し端末線33jとされるとしたが、これに限定されず、全ての端末線33aがガイド部材60上を周方向に引き回された構成としてもよい。
・上記実施形態では、非引き回し端末線33jが設けられるコイル33(詳しくは、W−相巻線41fとZ−相巻線51f)は、他の渡り線41g,41h,51g,51hよりも長い渡り線41j,51jによって接続されるとしたが、これに限定されず、例えば、全て同等の長さの渡り線としてもよい。
・上記実施形態では、渡り線41g,41h,41j,51g,51h,51jは、ステータコア31のガイド部材60が配置される側の反対側である軸方向他端側に配置されるとしたが、これに限定されず、ステータコア31のガイド部材60が配置される側である軸方向一端側に配置してもよい。
・上記実施形態では、非引き回し端末線33jは径方向外側の遊嵌部75に保持されるとしたが、これに限定されず、例えば、径方向内側の遊嵌部75に保持される構成としてもよい。
・上記実施形態では、集約部74における第1集約部74aと第2集約部74bとの周方向中心と、W−相巻線41fとZ−相巻線51fとの周方向中心とは一致しているとしたが、これに限定されず、一致しないように設定してもよい。また、上記実施形態では、集約部74に最も近いコイル33の端末線33aを非引き回し端末線33jとしたが、これに限定されず、ガイド部材60によって周方向に引き回さなくても集約部74に集約させることが可能な程度に集約部74の近傍に配置されたコイル33の端末線33aであれば、非引き回し端末線33jとしてもよい。
・上記実施形態では、底部64a上を周方向に引き回される複数の端末線33aの一部が軸方向及び径方向にずらされて配置されるとしたが、これに限定されず、例えば、全ての部位で軸方向にずらされずに径方向にのみずらされて配置される構成としてもよい。
・上記実施形態では、底部64a上には、段差部64bに向かって軸方向の高さが徐々に高くなる押上案内部92が設けられるとしたが、これに限定されず、押上案内部92が設けられていない構成としてもよい。
・上記実施形態では、ガイド部材60は、段差部64bの上部から径方向外側に延出して端末線33aの軸方向への移動を規制する上部端末線規制部91を有するとしたが、これに限定されず、上部端末線規制部91を有していない構成としてもよい。
・上記実施形態では、上部端末線規制部91の径方向外側には、底部64a側に突出する突起91aが設けられるとしたが、これに限定されず、突起91aが設けられていない構成としてもよい。また、突起91aの突出量や突起91aの先端から底部64aまでの軸方向の距離L2は変更してもよい。
・上記実施形態では、押上案内部92と上部端末線規制部91とは周方向にずれた位置に設けられるとしたが、これに限定されず、周方向に一致する位置、言い換えると軸方向に重なる位置に設けてもよい。
・上記実施形態では、ガイド部材60のガイド本体61を複数の段部としての下段部62、中段部63及び上段部64を有して3段の階段状をなすような構成としたが、これに限らない。例えば、ガイド本体を2段の階段状としてもよい。また、例えば、段差のない形状、すなわち、各端末線33aがガイド部材の単一の平面上を周方向に引き回された構成としてもよい。なお、この場合、上記実施形態の段差部62b,63b,64bが形成される部位に壁部を設けることが好ましい。
・上記実施形態では、第1切り欠き66は、案内部66aの径方向内側から周方向両側に切り欠かれた第1及び第2保持部66b,66cを有する構成としたが、これに限らず、第1及び第2保持部66b,66cのいずれか一方を省略した構成、つまり、例えば第1切り欠き66の代わりに第2切り欠き67を用いる構成を採用してもよい。第1切り欠き66の代わりに第2切り欠き67を用いる場合、1つの第1切り欠き66に対して2つの第2切り欠き67を設けることで実質的に同じ機能を有することとなる。
・上記実施形態では、端末線規制部69を設ける構成としたが、端末線規制部69を省略した構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、引き込み工程、配索工程並びに引き出し工程は、径方向内側(上段部64側)に配索される端末線33aから順に繰り返し実施して配索する工程としたが、これに限定されず、例えば、少なくとも一つの径方向外側に配策される端末線33aを配策した後に、径方向内側に配策される端末線33aを配策する工程としてもよい。
30…ステータ、31…ステータコア、31c…溝、32…インシュレータ、33…コイル、33a…端末線、60…ガイド部材、62…下段部(段部)、63…中段部(段部)、64…上段部(段部)、62a,63a,64a…ガイド部材における軸方向一端面である底部、65…切り欠き、66…第1切り欠き(切り欠き)、67…第2切り欠き(切り欠き)、66a,67a…案内部、66f,67c…窪み部、66g,67d…曲面、71…取付片、72a…軸方向当接部、72b…周方向当接部、R1…半径。

Claims (6)

  1. ステータコア(31)にインシュレータ(32)を介して複数相のコイル(33)が巻回されたステータ(30)であって、
    前記ステータコアの軸方向一方側に配置され、前記コイルと軸方向に重なる位置で前記コイルの端末線(33a)を周方向に案内するためのガイド部材(60)を有し、
    前記ガイド部材は、該ガイド部材の径方向外側端部から径方向内側に延びる案内部(66a,67a)を有した形状で軸方向に貫通して前記端末線を軸方向一方側に導出させる切り欠き(65)を有し、
    前記切り欠きの径方向内側端部における周方向端面と、軸方向一方側に導出された前記端末線が周方向に引き回される方向に沿った前記ガイド部材における軸方向一端面(62a,63a,64a)とは、窪んだ形状の窪み部(66f,67c)により連結されたステータ。
  2. 前記窪み部は、前記切り欠きの径方向内側端部における周方向端面から湾曲する曲面(66g,67d)を有する請求項1に記載のステータ。
  3. 前記曲面は、前記端末線の線径以上の半径(R1)のR形状とされた請求項2に記載のステータ。
  4. 前記ガイド部材は、前記ステータコアに軸方向に当接可能な軸方向当接部(72a)を有しつつ前記ステータコアに対して軸方向に一定の範囲で移動可能に組み付けられ、前記端末線の前記曲面への当接により軸方向の移動が抑制された請求項2又は3に記載のステータ。
  5. 前記ガイド部材は、前記軸方向当接部と隣接して軸方向に突出し、前記ステータコアに設けられた溝(31c)と周方向に当接する周方向当接部(72b)を有する請求項4に記載のステータ。
  6. 前記ガイド部材は、前記軸方向当接部と離間した位置に、前記ステータコアに対して軸方向に離間する方向の移動を規制するスナップフィット構造の取付片(71)を有する請求項4又は5に記載のステータ。
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