JP2020129755A - 画像処理装及び方法、及び撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ダイナミックレンジ拡大合成を行う場合に、画像信号と、適切な瞳分割信号を得ること【解決手段】 撮像素子から出力される、複数の異なるゲインで増幅した複数の画像信号を、第1の係数を用いてダイナミックレンジ拡大合成すると共に、前記撮像素子から出力される、瞳分割された部分信号を用いて前記複数の異なるゲインで増幅した複数の第1の信号を、第2の係数を用いてダイナミックレンジ拡大合成する合成手段と、前記合成された第1の信号を、該合成された第1の信号に対応する前記合成された画像信号から減算することにより、第2の信号を求める処理手段と、を有し、前記合成手段は、前記第2の係数を、前記第1の係数に基づいて決める。【選択図】 図7

Description

本発明は画像処理装及び方法、及び撮像装置に関する。
近年、撮像素子では画素で光電変換された画像信号をただ出力するだけでなく、例えばダイナミックレンジの拡大や、被写体までの距離情報を出力する技術が提案されている。特許文献1では、撮像素子の列ごとに設けられた増幅回路の入力容量を切り替える機能を持ち、信号レベルに応じてゲインを切り替える技術が提案されている。特許文献1のようなゲインを切り替える構成により、低ゲインの信号と高ゲインの信号の画像信号を出力し、後段の画像処理でそれぞれを合成することで、高ダイナミックレンジ且つ、低ノイズな画像信号を作り出すことが可能となる。
一方、撮像素子から一対の視差を有する画像を読み出して、位相差検出方式の焦点検出を行う、いわゆる撮像面位相差方式の焦点検出方法(撮像面位相差AF)が提案されている。撮像面位相差AFに利用可能な信号を出力する撮像装置の一例として、2次元に配列したマイクロレンズアレイを構成する各マイクロレンズに対して、1対の光電変換部を設けたものがある。特許文献2には、1つのマイクロレンズを介して光が入射される1対の光電変換部が出力する信号の加算/非加算を、1対の光電変換部毎に任意に行うことのできる撮像装置が提案されている。
特開2005−175517号公報 特開2001−83407号公報
ここで、特許文献2に記載された位相差検出用の画像信号に、特許文献1に記載されたダイナミックレンジ拡大用の高ゲイン及び低ゲインをかけて読み出すことを考えると、次のような問題が発生し得る。すなわち、長秒露光や高温環境下において、暗電流成分の増加や、配線抵抗の変動などの要因により、異なるゲインをかけた画像信号間で黒レベルに差が発生し、オフセットがずれてしまうことがある。このようにオフセットがずれた状態でダイナミックレンジ拡大合成(HDR合成)された画像データと位相差検出用信号を用いた場合、像面位相差AFを適切に実施することができない。
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、ダイナミックレンジ拡大合成を行う場合に、画像信号と、適切な瞳分割信号を得られるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の画像処理装置は、撮像素子から出力される、複数の異なるゲインで増幅した複数の画像信号を、第1の係数を用いてダイナミックレンジ拡大合成すると共に、前記撮像素子から出力される、瞳分割された部分信号を用いて前記複数の異なるゲインで増幅した複数の第1の信号を、第2の係数を用いてダイナミックレンジ拡大合成する合成手段と、前記合成された第1の信号を、該合成された第1の信号に対応する前記合成された画像信号から減算することにより、第2の信号を求める処理手段と、を有し、前記合成手段は、前記第2の係数を、前記第1の係数に基づいて決める。
本発明によれば、ダイナミックレンジ拡大合成を行う場合に、画像信号と、適切な瞳分割信号を得ることができる。
本発明の第1の実施形態に係る撮像システムの構成を示すブロック図。 本発明の実施形態に係る撮像素子の概略構成を示す図。 (a)撮像素子の単位画素からAD回路群までの詳細を示す図、(b)列アンプの構成を示す回路図。 本発明の実施形態に係る位相差検出用の部分信号と、ダイナミックレンジ拡大用の画像信号を読み出すときの列アンプの制御を示すタイミングチャート。 第1の実施形態に係るHDR合成処理の概念を示す図。 第1の実施形態を適応しない場合の問題点を説明するための図。 第1の実施形態を適応した場合のHDR合成部の入力輝度と出力輝度の一例を示す図。 第1の実施形態に係る撮像システムの動作を示すフローチャート。 第2の実施形態に係る撮像素子から出力される信号の読み出しの概念を説明する図。 第2の実施形態に係る撮像システムの動作を示すフローチャート。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでするものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る撮像システムのブロック図であり、主に、本体11と、本体11に着脱可能な交換レンズ12から構成される。
交換レンズ12は、複数のレンズ群からなる撮影レンズであり、フォーカスレンズ、ズームレンズ、シフトレンズを内部に備える他、絞りを含む。交換レンズ12は、後述するフォーカス制御部19からの電気信号によって焦点距離を変更することが可能である。
本体11は、撮像素子13、画像処理部14、HDR合成部15、位相差検出部16、映像出力部17、CPU18、フォーカス制御部19、バス20を含む。交換レンズ12や映像出力部17の接続部分は、本体11の表面に露出している。
撮像素子13は、複数の光電変換素子を有する画素が複数、二次元状に配列された構成を有する。撮像素子13は、交換レンズ12により結像された被写体の光学像を各画素で光電変換し、さらに後述するA/D変換部によってアナログ・デジタル変換して、画像信号(RAW画像データ)を出力する。なお、撮像素子13の詳細構成及び動作は図2から図4を参照して後述するが、撮像素子13は、異なるゲイン(低ゲインと高ゲイン)がかけられた2種類の画像信号及び画像信号に対応する2種類の位相差検出用の信号(以下、「位相差検出信号」と呼ぶ。)をRAW画像データとして出力する。
画像処理部14は、撮像素子13に起因するレベル差を補正する。例えば、オプティカルブラック(OB)領域の画素を用いて、有効領域の画素のレベルを補正する他、欠陥画素に対してその周囲の画素を用いた補正を行う。また、周辺光量落ちに対する補正、色補正、輪郭強調、ノイズ除去、ガンマ補正、ゲインなどの各処理を行う。画像処理部14は、撮像素子13から出力されたRAW画像データに対してこれらの処理を行い、補正した画像データを各部へ出力する。
HDR合成部15は、画像処理部14で処理された低ゲインと高ゲインの2つの画像信号を、明るさに応じた比率でダイナミックレンジ拡大合成(HDR合成)を行う。HDR合成部15は、低ゲインと高ゲインの2つの位相差検出信号についても、明るさに応じた比率でHDR合成する。なお、本実施形態におけるHDR合成部15による処理についての詳細は、図5を参照して後述する。
位相差検出部16は、HDR合成部15でHDR合成された画像信号と位相差検出信号とからデフォーカス量を算出して、CPU18へ出力する。CPU18は、位相差検出部16により求められたデフォーカス量に応じて、フォーカス制御部19を介して交換レンズ12を制御することで、焦点調節を行う。
映像出力部17は、HDR合成部15で合成された画像信号を撮像システム10の外部に出力する。CPU18は、上述した焦点調節の他、制御用ソフトウェアに従って撮像システム10の各部を制御する。
以上で説明した各構成要素は、各構成要素間の制御信号やデータ信号のための伝送路である内部バス20と接続されている。
次に、撮像素子13の構成及び読み出し方法について説明する。図2(a)は、本発明の実施形態に係る撮像素子13の構成例を示す図である。
画素領域100には、光電変換用のフォトダイオードなどで形成されている複数の単位画素101が行列状に配置されている。単位画素101は位相差検出のために、後述する1つのマイクロレンズ111に対して光電変換部A及び光電変換部Bで構成されており、光電変換部A及び光電変換部Bから得られる画像信号の位相差を求めることで焦点を検出することができる。
図2(b)は、単位画素101の断面を示す概念図であり、1つのマイクロレンズ111の下に、それぞれがフォトダイオードを有する2つの光電変換部A及び光電変換部Bが構成されていることを示している。また、各単位画素101にはカラーフィルタ112が備えられている。一般的には、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色のいずれかが各画素に対応するベイヤー配列のRGB原色カラーフィルタであることが多いが、必ずしもこの限りではない。
垂直走査回路102は画素領域100の光電変換部A及び光電変換部Bにそれぞれ蓄積された画素信号を、順次読み出しするためのタイミング制御を行う。一般的に、画素信号は上部の行から下部の行にかけて、行単位で順次読み出される。本実施形態では、各単位画素101から、垂直走査回路102では光電変換部Aの信号である位相差検出信号(A信号)と、光電変換部Aと光電変換部Bの信号を加算した加算信号(A+B信号)を読み出す制御を行う。このように読み出すことで、A+B信号はそのまま画像信号として用いることができると共に、A+B信号からA信号を減算することでB信号を取得して、一対の位相差検出信号を得、撮像面位相差方式の焦点検出(撮像面位相差AF)を行うことができる。ただし、撮像面位相差AFを行わない場合には、A+B信号のみを読み出すこともできる。
列アンプ群103は、画素領域100の各列に対して構成された、複数の列アンプから成り、画素領域100から読み出された信号を電気的に増幅するために用いられる。列アンプ群103で信号を増幅することにより、後段のAD回路群104で発生するノイズに対して、画素の信号レベルを増幅し、等価的にS/N比を改善させることができる。なお、列アンプ群103は、複数のゲインを用いて信号を増幅可能であり、本実施形態では異なるゲインで増幅された信号をHDR合成部15で合成することで、ダイナミックレンジを拡大する。なお、HDR合成部15における処理については、詳細に後述する。また、各列アンプの詳細な構成については、図3(b)を参照して後述する。
AD回路群104は、画素領域100の各列に対して構成された、複数のAD回路から成り、列アンプ群103により増幅された信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号に変換された画素信号は、水平転送回路105により順次読み出されて、信号処理部106に入力される。信号処理部106はデジタル的に信号処理を行う回路であり、デジタル処理でFPN補正などのオフセット補正を行う他に、シフト演算や乗算を行うことで、簡易にゲイン演算を行うことができる。各処理を行った後、撮像素子13の外部に出力される。
メモリ107は、画素領域100から読み出され、列アンプ群103、AD回路群104、信号処理部106により処理された、A信号やA+B信号などを一時的に保持しておく機能を持つ。
なお、図2(b)に示す例では、各単位画素101において、1つのマイクロレンズ111に対して2つの光電変換部A及び光電変換部Bを有する構成としているが、光電変換部の数は2つに限定されず、それ以上であってもよい。また、瞳分割方向も水平方向であっても垂直方向であっても良いし、混在していても構わない。また、マイクロレンズ111に対して受光部の開口位置が異なる画素を複数有するようにしてもよい。つまり、結果としてA信号とB信号といった一対の位相差検出信号が得られる構成であればよい。また、本発明は全ての画素が複数の光電変換部を有する構成に限らず、撮像素子13を構成する通常画素内に、図2(b)に示すような画素を離散的に設ける構成であってもよい。また、同じ撮像素子13内において互いに異なる分割方法で分割された複数種類の画素が含まれてもよい。
次に、単位画素101からAD回路群104までの回路構成及び信号の流れについて、図3(a)を用いて説明する。図2(b)の光電変換部Aに対応する光電変換素子1101と、図2(b)の光電変換部Bに対応する光電変換素子1102は、マイクロレンズを共有しており、光電変換を行って光を電荷に変換する。転送スイッチ1103は光電変換素子1101で発生した電荷を後段の回路に転送し、転送スイッチ1104は光電変換素子1102で発生した電荷を後段の回路に転送する。電荷保持部1105は、転送スイッチ1103,1104がONとなっている時に光電変換素子1101及び光電変換素子1102から転送された電荷を一時的に保持する。従って、電荷保持部1105は、光電変換素子1101もしくは光電変換素子1102のどちらかの電荷のみ、または、光電変換素子1101と光電変換素子1102の両方の電荷を加算したものを保持することが可能である。画素アンプ1106は、電荷保持部1105に保持された電荷を電圧信号に変換し、垂直出力線1113を通して、後段の列アンプ103iへ送信する。電流制御部1107は、垂直出力線1113の電流を制御する。
上述したように、図2に示す列アンプ群103は、各列毎に構成された複数の列アンプ103iから成り、各垂直出力線1113に出力された信号を増幅して後段のAD回路群104に出力する。AD回路群104を構成する各AD回路104iは、同じ列の列アンプ103iから出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
AD回路104iにおいて、A/D変換部1109で変換されたデジタル信号は、メモリ1110、メモリ1111に一時的に保持する。メモリ1110は、光電変換素子1101もしくは光電変換素子1102から読み出された画素信号と、読み出し回路部(便宜的に電荷保持部1105からA/D変換部1109までの回路を指す。)のノイズ信号とを保持する。一方、メモリ1111は読み出し回路部のノイズ信号を保持する。そして、減算部1112によりメモリ1110に保持されたデータからメモリ1111に保持されたデータを減算したものが、画素信号として水平転送回路105へ出力される。
図3(b)は、列アンプ103iの構成を示す図である。列アンプ103iは、オペアンプ207と、入力側のコンデンサ202,203と、フィードバックコンデンサ205,206により反転増幅回路になっている。また、各スイッチ200,201,204により、コンデンサ202,203,205の接続を切り替えることができる。
まず、単位画素101から入力された信号は、スイッチ200,201をONにしてコンデンサ202,203に蓄積される。そして、適正露光の画像信号の場合には、スイッチ201とスイッチ204をOFFし、スイッチ200をONすることで、画像信号に高ゲインをかけて読み出す。次に、高輝度部分の画像信号を読み出す場合には、スイッチ200をOFFし、スイッチ201及びスイッチ204をONすることで、画像信号に低ゲインをかけて読み出す。このように、各スイッチによりコンデンサの容量を切り替えることにより、異なるゲインをかけて画像信号を読み出すことができる。このようにして読み出した画像信号を合成することで、ダイナミックレンジを拡大することを想定している。
図4は、位相差検出用の部分信号と、ダイナミックレンジ拡大用の画像信号を読み出すときの列アンプ103iの制御を示すタイミングチャートである。
まず、時刻t1からt4の間、スイッチ200をONし、スイッチ201及びスイッチ204をOFFすることで、列アンプ103iのゲインを高ゲインに設定する。この状態で、時刻t2で転送スイッチ1103をONし、A信号を読み出す。このとき、時刻t2からt4の期間内で、高ゲインで読み出したA信号(以下、「高ゲインA信号」と呼ぶ。)が、AD回路104iにおいてA/D変換される。
次に、時刻t4からt5の間、スイッチ200をOFFし、スイッチ201及びスイッチ204をONすることで、列アンプ103iのゲインを低ゲインに設定する。このとき、時刻t4からt5の期間内で、低ゲインで読み出したA信号(以下、「低ゲインA信号」と呼ぶ。)が、AD回路104iにおいてA/D変換される。
時刻t5からt8の間、再びスイッチ200をONし、スイッチ201及びスイッチ204をOFFすることで、列アンプ103iのゲインを高ゲインに設定する。この状態で、時刻t6で転送スイッチ1104をONし、B信号を読み出す。A信号とB信号は電荷保持部1105で加算され、A+B信号として出力される。このとき、時刻t6からt8の期間内で、高ゲインで読み出したA+B信号(以下、「高ゲインA+B信号」と呼ぶ。)が、AD回路104iにおいてA/D変換される。
時刻t8からt9の間、スイッチ200をOFFし、スイッチ201及びスイッチ204をONすることで、列アンプ103iのゲインを低ゲインに設定する。このとき、時刻t8からt9の期間内で、低ゲインで読み出したA+B信号(以下、「低ゲインA+B信号」と呼ぶ。)が、AD回路104iにおいてA/D変換される。
HDR合成部15では、上述した様にして撮像素子13から得られる高ゲインA信号、低ゲインA信号、高ゲインA+B信号、低ゲインA+B信号を用いて、後述するようにしてHDR合成を行う。そして、ダイナミックレンジを拡大したHDR−A信号及びHDR−(A+B)信号を生成する。
位相差検出部16では、HDR合成部15により得られるHDR−A信号及びHDR−(A+B)信号から各単位画素101のHDR−B信号を取得する。そして、各単位画素101のHDR−A信号を集めてA像信号を生成し、各単位画素101のHDR−B信号を集めてB像信号を生成する。そして、A像信号とB像信号の相関演算を行い、デフォーカス量や各種信頼性などの情報を算出する。デフォーカス量としては、A像信号、B像信号のズレに基づき、像面でのデフォーカス量を算出する。デフォーカス量は正負の値を持っており、デフォーカス量が正の値であるか負の値であるかによって、前ピンか後ピンかがわかる。また、デフォーカス量の絶対値によって、合焦までの度合いが分かり、デフォーカス量の絶対値が0付近の所定値以内であれば合焦と判断する。そして、位相差検出部16は、算出したデフォーカス量に基づいて、前ピンか後ピンかの情報をCPU18などに出力する。また、デフォーカス量の絶対値に基づいて、合焦の度合い(ピントのズレの度合い)である合焦度合い情報をCPU18などに出力する。前ピンか後ピンかの情報は、デフォーカス量が所定値を超える場合に出力し、デフォーカス量の絶対値が所定値以内である場合には、合焦であるという情報を出力する。
図5は、HDR合成部15に入力される画像信号(高ゲインA+B信号及び低ゲインA+B信号)の入力輝度に応じたHDR合成処理の概念を表したグラフである。図5(a)は、高ゲインA+B信号のオフセットが、低ゲインA+B信号のオフセットよりも高い場合のグラフを、また、図5(b)は、高ゲインA+B信号のオフセットが、低ゲインA+B信号のオフセットよりも低い場合のグラフを示している。
本実施形態においては、HDR合成部15は入力された各画素の高ゲインA+B信号及び低ゲインA+B信号の輝度に応じて動作を実施する。高ゲインA+B信号及び低ゲインA+B信号は、同じA+B信号に対して異なるゲインをかけて得ているため、高ゲインA+B信号及び低ゲインA+B信号に対応する輝度は等しい。そこで、輝度に応じた異なる重み付けにより、高ゲインA+B信号及び低ゲインA+B信号をHDR合成する。
A+B信号の輝度が図5に示す予め決められた合成範囲に入っている場合には、入力された高ゲインA+B信号に重み付け係数(1−α)を、低ゲインA+B信号に係数αをかけた後、加算して出力する。この時、αの値は、合成範囲内の最低輝度でαが0、最高輝度でαが1として合成範囲内の輝度に応じて0〜1間でリニアに変化させる。一方、輝度が合成範囲より低い場合には、α=0として高ゲインA+B信号に係数(1−α)を、低ゲインA+B信号に係数αをかけた後、加算して出力する。即ち、高ゲインA+B信号が出力される。また、輝度が合成範囲より高い場合には、α=1として高ゲインA+B信号に係数(1−α)を、低ゲインA+B信号に係数αをかけた後、加算して出力する。即ち、低ゲインA+B信号が出力される。
ここで、高ゲインA信号及び低ゲインA信号に対しても、図5に示す様な特性でHDR合成を行うことも考えられる。しかしながら、図5に示す様に低ゲインA+B信号と高ゲインA+B信号間にオフセットにズレが生じている場合、合成範囲と合成範囲でない部分とで入力輝度と出力輝度の直線性が確保できないことによる問題が発生する。以下に、高ゲインの信号のオフセットが、低ゲインの信号のオフセットよりも高い場合を例に取って、この問題について説明する。
例えば、図6に示すように、ある単位画素におけるA信号と(A+B)信号に対応する輝度が、合成範囲内にある場合、入力信号の輝度をそれぞれAin、(A+B)inとすると、出力信号は、HDR−A信号とHDR−(A+B)信号となる。ここで、B信号に相当する入力信号の輝度差ΔBin(=(A+B)in−Ain)に対して、HDR合成後のHDR−B信号は、(HDR−(A+B)信号)−(HDR−A信号)から得られる。これを便宜上、ΔB1outと呼ぶ。
一方、ある画素におけるA信号と(A+B)信号にそれぞれ対応する輝度A’in、(A+B)’inが、合成範囲より高く、B信号に相当する入力信号の輝度差が、上述した輝度差ΔBinと同じであるとする。この場合、HDR合成後のHDR−B信号は(HDR−(A+B)'信号)−(HDR−A'信号)となる。これを便宜上、ΔB2outと呼ぶ。このように、同じ輝度差ΔBinに対するHDR−B信号は同じ値になるはずであるところ、ΔB2outとΔB1outに示す様に異なる値となってしまう。
各画素のA信号と(A+B)信号の輝度が両方共、合成範囲外にある場合、A信号と(A+B)信号に対して同じ重み付けによりHDR合成後の信号が生成される。これに対し、いずれか一方でも合成範囲内にある場合、A信号に対する重み付けと、(A+B)信号に対する重み付けが異なるために、異なる値となる。このように、同じB信号に対して、異なるHDR−B信号が得られた場合と、正しく相関量を検出することができないため、正しいデフォーカス量を得ることができない。
そこで、本実施形態では、A信号に対応する輝度は同じ単位画素のA+B信号に対応する輝度よりも低いが、A信号をHDR合成する際に、同じ単位画素から出力されたA+B信号をHDR合成する時に用いた同じ係数αを用いて、HDR合成を行う。図7は、このHDR合成処理について説明する図である。
図7に示す様に、高ゲインA信号と低ゲインA信号のHDR合成に、同じ単位画素の高ゲインA+B信号と低ゲインA+B信号のHDR合成に用いた係数αを用いることにより、合成範囲内における傾きが、合成範囲外における傾きと同じになる。従って、同じB信号に対して、同じΔB2outとΔB1out、即ち、同じHDR−B信号を得ることができる。
次に図8を用いて、第1の実施形態に係る撮像素子13からの信号の読み出しから像面位相差AFまでの動作について説明する。
まず、S100において、撮像素子13は交換レンズ12により結像された被写体光学像を各画素で光電変換し、上述した様に、A信号及びA+B信号を出力する。A信号及びA+B信号は、列アンプ群103により異なるゲインをかけられた後、AD回路群104によってアナログ・デジタル変換されて、高ゲインA信号、低ゲインA信号、高ゲインA+B信号、低ゲインA+B信号が出力される。
次のS101において、画像処理部14は高ゲインA+B信号と、低ゲインA+B信号に有効領域の画素のレベル補正、欠陥画素に対して周囲画素を用いた補正、周辺光量落ちに対する補正、色補正、輪郭強調、ノイズ除去、ガンマ補正を行う。そして、低ゲインA+B信号と低ゲインA信号にゲイン補正をかけて、高ゲインA+B信号と高ゲインA信号にゲインを合わせ、S102へ進む。
S102において、HDR合成部15は画像処理部14で処理された低ゲインA+B信号の輝度に応じて、各単位画素毎にHDR合成に使用する係数αを求め、S103へ進む。
S103において、HDR合成部15は、低ゲインA+B信号に係数αをかけ、高ゲインA+B信号に係数(1−α)をかけて加算して合成する。同様に、低ゲインA信号及び高ゲインA信号に対して、同じ画素の低ゲインA+B信号及び高ゲインA+B信号のHDR合成に用いた係数αの値を使って、低ゲインA信号に係数αをかけ、高ゲインA信号に係数(1−α)をかけて加算して合成する。その後、S104へ進む。
S104において、位相差検出部16は、合成されたHDR−(A+B)信号からHDR−A信号を減算してHDR−B信号を算出し、S105へ進む。
S105において、位相差検出部16は、HDR−A信号とHDR−B信号との位相差を求めて像面でのデフォーカス量を算出し、S106へ進む。
S106において、CPU18は、算出されたデフォーカス量から合焦状態であるかどうかを判断し、合焦状態である場合には処理を終了し、合焦状態でない場合にはS107へ進む。
S107において、フォーカス制御部19は、デフォーカス量に応じて交換レンズ12の焦点距離を変更し、S100へ戻って上記処理を繰り返す。
上記の通り本第1の実施形態によれば、位相差検出用の信号である低ゲインA信号と高ゲインA信号が、同じ画素の撮像用の低ゲインA+B信号と高ゲインA+B信号と同じ係数αでHDR合成される。これにより、低ゲインと高ゲイン間のオフセットずれの影響を受けることなく、適切なB信号を得ることができる。これにより、正しくデフォーカス量を算出できるため、適切に撮像面位相差AFを実施することができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態における撮像システムの構成は、図1に示すものと同様であるが、撮像素子13からの信号の読み出し方と、HDR合成部15及び位相差検出部16における処理が第1の実施形態異なる。従って、以下、差異について説明する。
上述した第1の実施形態では、撮像素子13の各単位画素からA+B信号とA信号とを出力していた。これに対し、第2の実施形態では、撮像素子13から、8画素分の撮像用のA+B信号に対して、1つのA信号を出力する。
図9は、撮像素子13から出力されるA+B信号とA信号の読み出しの概念を表した図である。図9(a)は、第1の実施形態において撮像素子13から出力される信号の概念を示しており、各単位画素からA+B信号とA信号が出力される。これに対し、図9(b)は、第2の実施形態において撮像素子13から出力される信号の概念を表しており、8画素分のA+B信号に対して1つのA信号が出力される。本第2の実施形態では、A信号は、8画素分のA+B信号に対応する8画素分のA信号を加算平均した値とする。なお、各単位画素から出力されるA信号と区別するために、第2の実施形態におけるA信号を、以下、A’信号と記す。
なお、本発明は、加算平均に限られるものでは無く、間引き読み出しとしても良く、また、画素数は8画素に限られるものでもない。例えば、3×3の9画素分のA+B信号に対して1つのA’信号を出力する場合、中央の単位画素のA信号を、第2の実施形態におけるA’信号とすることが考えられる。また、1つのA’信号に対応させる画素数は、撮像素子13から出力される画像のフレームレートや、1フレーム期間に出力される総画素数に応じて変化させても良い。
HDR合成部15では、A+B信号の合成に使用する係数αと、A’信号の合成に使用する係数α’を算出する。係数α’は8画素分の高ゲインA+B信号と低ゲインA+B信号をHDR合成するために算出される8つの係数αの平均値であり、当該8画素に対応する高ゲインA’信号と低ゲインA’信号を、係数α’を使用してHDR合成する。
次に図10を用いて第2の実施形態に係る撮像素子13からの信号の読み出しから像面位相差AFまでの動作について説明する。なお、図10において、図8のフローチャートと同様の処理には同じ参照番号を付して、適宜説明を省略する。
まず、S200において、交換レンズ12により結像された被写体光学像を各画素で光電変換し、上述した様にして、A信号及びA+B信号を出力する。そして、8画素分のA信号の平均値であるA’信号を求める。求めたA’信号及びA+B信号は、列アンプ群103により異なるゲインをかけられた後、AD回路群104によってアナログ・デジタル変換されて、各画素の高ゲインA+B信号及び低ゲインA+B信号と、高ゲインA’信号と、低ゲインA’信号が出力される。次のS101では、図8を参照して上述した処理を行う。
S202において、HDR合成部15は、画像処理部14で処理された8画素のA+B信号の輝度に応じて、HDR合成に使用する係数αを画素毎に算出する。更に、8画素毎の8つの係数αの平均値である係数α’を算出し、S203へ進む。
S203において、HDR合成部15は、各単位画素の低ゲインA+B信号に、S202で求めた係数αをかけ、高ゲインA+B信号に係数(1−α)をかけて加算して合成する。一方、低ゲインA’信号及び高ゲインA’信号に対しては、対応する8画素の係数αから得られた係数α’を使って、低ゲインA’信号に係数α’をかけ、高ゲインA’信号に係数(1−α’)をかけて加算して合成する。その後、S204へ進む。
S204において、位相差検出部16は、合成されたHDR−A’信号を、対応する8画素のHDR−(A+B)信号からそれぞれ減算し、8画素分のHDR−B信号を算出し、S105へ進む。以下、第1の実施形態で説明した処理を行う。
上記の通り本第2の実施形態によれば、位相差検出用の信号である低ゲインA’信号と高ゲインA’信号が、対応する複数の単位画素において低ゲインA+B信号と高ゲインA+B信号の合成に使用する係数αの平均値である係数α’を用いてHDR合成される。これにより、複数のA+B信号に対して、1つのA’信号を出力する場合においても、低ゲインと高ゲイン間のオフセットずれの影響を受けることなく、適切なB信号を得ることができる。これにより、正しくデフォーカス量を算出することができるため、適切に像面位相差AFを実施することができる。
さらに、本実施形態で係数α’は対応する画素の係数αの単純平均値としたが、色ごとの輝度感度に応じて重み付けした平均値としても良い。
また、上述した例では、A信号から得られたA像信号とB信号から得られたB像信号を焦点検出に利用する場合について説明したが、A像信号とB像信号の用途はこれに限られるものでは無い。例えば、立体視用の視差を有する一対の信号の生成等、他の用途に用いることも可能である。
<他の実施形態>
また、本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
10:撮像システム、11:本体、12:交換レンズ、13:撮像素子、14:画像処理部、15:HDR合成部、16:位相差検出部、17:映像出力部、108:CPU、19:フォーカス制御部、20:バス

Claims (14)

  1. 撮像素子から出力される、複数の異なるゲインで増幅した複数の画像信号を、第1の係数を用いてダイナミックレンジ拡大合成すると共に、前記撮像素子から出力される、瞳分割された部分信号を用いて前記複数の異なるゲインで増幅した複数の第1の信号を、第2の係数を用いてダイナミックレンジ拡大合成する合成手段と、
    前記合成された第1の信号を、該合成された第1の信号に対応する前記合成された画像信号から減算することにより、第2の信号を求める処理手段と、を有し、
    前記合成手段は、前記第2の係数を、前記第1の係数に基づいて決めることを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記合成手段は、前記第1の係数を、前記複数の画像信号に対応する輝度に応じて決めることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記合成手段は、予め決められた輝度の範囲において、前記第1の係数を輝度の低い方から高い方に向かって0から1にリニアに変化させ、前記範囲よりも輝度が低い領域において、前記第1の係数を0とし、前記範囲よりも輝度が高い領域において、前記第1の係数を1とすることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記合成手段は、前記撮像素子の同じ画素に対応する前記複数の画像信号と前記複数の第1の信号の、ダイナミックレンジ拡大合成に用いる前記第1の係数と前記第2の係数を同じ値とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  5. 前記複数の第1の信号は、前記撮像素子の複数の画素ごとに出力され、前記合成手段は、前記複数の画素それぞれに対応する前記複数の画像信号のダイナミックレンジ拡大合成に用いる複数の前記第1の係数の平均値を、前記第2の係数とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  6. 前記複数の第1の信号は、前記撮像素子の各画素に対応する前記部分信号を前記複数の画素ごとに加算平均した信号を前記複数の異なるゲインで増幅した信号であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
  7. 前記複数の第1の信号は、前記撮像素子の複数の画素ごとに1つの画素に対応する前記部分信号を前記複数の異なるゲインで増幅した信号であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
  8. 前記第1の係数をαとした場合に、前記合成手段は、第1のゲインで増幅された前記画像信号に(1−α)を乗じ、前記第1のゲインよりも小さい第2のゲインで増幅された前記画像信号にαを乗じて加算することにより、前記ダイナミックレンジ拡大合成を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  9. 前記合成された第1の信号と、前記第2の信号とを用いて求めた位相差に基づいて、合焦状態を検出する検出手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  10. 前記合成された第1の信号と、前記第2の信号とを用いて、立体視用の一対の信号を生成する生成手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  11. 複数の異なるゲインで増幅した複数の画像信号と、瞳分割された部分信号を用いて前記複数の異なるゲインで増幅した複数の第1の信号を出力する撮像素子と、
    請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置と
    を有することを特徴とする撮像装置。
  12. 合成手段が、撮像素子から出力される、複数の異なるゲインで増幅した複数の画像信号を、ダイナミックレンジ拡大合成するために用いる第1の係数と、前記撮像素子から出力される、瞳分割された部分信号を用いて前記複数の異なるゲインで増幅した複数の第1の信号を、ダイナミックレンジ拡大合成するために用いる第2の係数とを決める工程と、
    前記合成手段が、前記複数の画像信号を前記第1の係数を用いてダイナミックレンジ拡大合成する第1の合成工程と、
    前記合成手段が、前記複数の第1の信号を前記第2の係数を用いてダイナミックレンジ拡大合成する第2の合成工程と、
    処理手段が、前記合成された第1の信号を、該合成された第1の信号に対応する前記合成された画像信号から減算することにより、第2の信号を求める処理工程と、
    を有することを特徴とする画像処理方法。
  13. コンピュータを、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
  14. 請求項13に記載のプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
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