以下、本発明の検査方法を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。検査方法は、部品実装機に適用され、当該部品実装機における検査を支援する。部品実装機は、供給位置にある電子部品を吸着ノズルにより吸着し、この電子部品を回路基板上の所定の座標位置(装着位置)に装着する装置である。
<実施形態>(1.部品実装機1の全体構成)部品実装機1の構成について、図1を参照して説明する。部品実装機1は、図1に示すように、基板搬送装置11と、部品供給装置12と、部品移載装置13と、部品カメラ15と、基板カメラ16と、制御装置30とを備える。以下の説明において、部品実装機1の水平幅方向(図1の左上から右下に向かう方向)をX軸方向とし、部品実装機1の水平長手方向(図1の右上から左下に向かう方向)をY軸方向とし、X軸およびY軸に垂直な鉛直方向(図1の上下方向)をZ軸方向とする。
基板搬送装置11は、ベルトコンベアなどにより構成され、回路基板40を搬送方向へと順次搬送する。基板搬送装置11は、部品実装機1の機内における所定の位置に回路基板40を位置決めする。そして、基板搬送装置11は、部品実装機1による実装処理が実行された後に、回路基板40を部品実装機1の機外に搬出する。
部品供給装置12は、回路基板40に装着される電子部品を供給位置Spに供給する。本実施形態において、上記の電子部品には、キャリアテープに所定ピッチで収容された電子部品と、ウエハWfを部品単位でカットしたチップとが含まれる。キャリアテープは、部品供給装置12の複数のスロットに着脱可能にセットされたフィーダにより送り移動される。これにより、部品供給装置12は、フィーダの先端側の取出し部において電子部品を供給する。
また、部品供給装置12は、ウエハWfのチップを供給するウエハ供給装置12aを備える。チップは、例えばウエハ本体において格子状に多数形成され、粘着シートに貼着された状態でレーザーカッタなどにより部品単位にカットされて形成される。キャリアテープに収容された電子部品、およびウエハWfのチップは、本発明の「電子部品」に相当する。
部品移載装置13は、X軸方向およびY軸方向に移動可能に構成される。部品移載装置13は、部品実装機1の長手方向の後部側(図1の右上側)から前部側の部品供給装置12の上方にかけて配置されている。部品移載装置13は、ヘッド駆動装置21と、移動台22と、装着ヘッド23とを有する。ヘッド駆動装置21は、直動機構により移動台22をXY軸方向に移動可能に構成されている。
装着ヘッド23は、ヘッド駆動装置21の移動台22に着脱可能に設けられている。また、装着ヘッド23は、複数のノズルホルダに着脱可能に設けられた複数の吸着ノズル24を支持する。装着ヘッド23は、Z軸と平行なR軸回りに回転可能に、且つ昇降可能に吸着ノズル24をそれぞれ支持する。
吸着ノズル24の各々は、装着ヘッド23に対する昇降位置(Z軸方向位置)や角度、負圧の供給状態を制御される。吸着ノズル24は、負圧を供給されることにより、フィーダの取出し部において供給される電子部品、およびウエハ供給装置12aにより供給されたウエハWfのチップを吸着して保持する。
部品カメラ15および基板カメラ16は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を有するデジタル式の撮像装置である。部品カメラ15および基板カメラ16は、通信可能に接続された制御装置30による制御信号に基づいてカメラ視野に収まる範囲の撮像を行い、当該撮像により取得した画像データを制御装置30に送出する。
部品カメラ15は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)となるように部品実装機1の基台2に固定され、部品移載装置13の下方から撮像可能に構成される。より具体的には、部品カメラ15は、吸着ノズル24に保持された状態の電子部品の下面を撮像可能に構成される。詳細には、部品カメラ15のレンズユニットは、撮像素子から一定の距離にある対象物に焦点が合うように設定される。また、部品カメラ15のレンズユニットのカメラ視野は、装着ヘッド23が支持する全ての吸着ノズル24が収まる大きさに設定されている。
基板カメラ16(本発明の「カメラ」に相当する)は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)となるように部品移載装置13の移動台22に設けられる。基板カメラ16は、回路基板40を撮像可能に構成されている。この基板カメラ16から画像データを取得した制御装置30は、画像処理により例えば基板に付された位置決めマークを認識することで、基板搬送装置11による回路基板40の位置決め状態を認識する。そして、制御装置30は、回路基板40の位置決め状態に応じて移動台22の位置を補正して、電子部品の装着を行うように実装処理を制御する。
また、本実施形態において、基板カメラ16は、部品実装機1における検査に用いられる画像データを取得するための撮像処理を実行する。この検査では、回路基板40に装着された電子部品のうち検査の対象とされる検査部品50を対象として、当該電子部品の装着状態の良否が判定される。つまり、基板カメラ16は、実装処理に用いられる画像データを取得する他に、検査に用いられる画像データの取得に兼用される。この基板カメラ16は、装着状態の検査を支援する検査支援装置90を構成する。なお、上記の検査には、自動検査、および作業者による目視検査が含まれる。
制御装置30は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成され、部品カメラ15および基板カメラ16の撮像により取得した画像データに基づいて回路基板40への電子部品の実装処理を制御する。この制御装置30は、図2に示すように、実装制御部31、画像処理部32、撮像制御部33、表示制御部34、および記憶装置35に、バスを介して入出力インターフェース36が接続されている。入出力インターフェース36には、モータ制御回路37および撮像制御回路38が接続されている。
実装制御部31は、モータ制御回路37を介して装着ヘッド23の位置や吸着機構の動作を制御する。より詳細には、実装制御部31は、部品実装機1に複数設けられた各種センサから出力される情報や、各種の認識処理の結果を入力する。そして、実装制御部31は、記憶装置35に記憶されている制御プログラム、各種センサによる情報、画像処理や認識処理の結果に基づいて、モータ制御回路37に制御信号を送出する。これにより、装着ヘッド23に支持された吸着ノズル24の位置および回転角度が制御される。
画像処理部32は、撮像制御回路38を介して部品カメラ15および基板カメラ16の撮像による画像データを取得して、用途に応じた画像処理を実行する。この画像処理には、例えば、画像データの二値化、フィルタリング、色相抽出、超解像処理などが含まれ得る。
撮像制御部33は、部品カメラ15および基板カメラ16により所定の対象物が撮像されるように、各装置に対して制御信号を送出する。詳細には、撮像制御部33は、回路基板40上に付された位置決めマークが収められた画像データを取得する場合には、部品供給装置12に対して移動台22に設けられた基板カメラ16を位置決めマークの上方に移動させるように制御信号を送出する。そして、撮像制御部33は、位置決めマークの上方に移動した基板カメラ16に対して撮像処理を実行するように、制御信号を送出する。
本実施形態において、撮像制御部33は、部品実装機1における検査に用いられる画像データを取得するための撮像処理を制御する。さらに、撮像制御部33は、検査に用いられる画像データの取得に兼用される基板カメラ16の撮像処理を実行するタイミングを最適化する。撮像制御部33による上記の最適化処理の詳細については、後述する。
表示制御部34は、基板カメラ16の撮像による画像データを表示装置17に表示させる。表示装置17は、例えば制御装置30の操作盤に配置された液晶モニタやタッチスクリーンである(図4Bを参照)。表示制御部34は、画像処理部32により各種の画像処理を施された画像データを表示する。
記憶装置35は、ハードディスク装置などの光学ドライブ装置、またはフラッシュメモリなどにより構成される。この記憶装置35には、部品実装機1を動作させるための制御プログラム、バスや通信ケーブルを介して部品カメラ15および基板カメラ16から制御装置30に転送された画像データ、画像処理部32による処理の一時データなどが記憶される。入出力インターフェース36は、CPUや記憶装置35と各制御回路76,77との間に介在し、データ形式の変換や信号強度を調整する。
モータ制御回路37は、実装制御部31による制御信号に基づいて、部品移載装置13に設けられた各軸モータの制御に用いられる。これにより、装着ヘッド23が各軸方向に位置決めされる。また、この各軸のモータの制御により、所定の吸着ノズル24の昇降位置(Z軸方向位置)および回転角度が割り出される。
撮像制御回路38は、撮像制御部33が送出する撮像の制御信号に基づいて、部品カメラ15および基板カメラ16による撮像を制御する。また、撮像制御回路38は、部品カメラ15および基板カメラ16の撮像による画像データを取得して、入出力インターフェース36を介して記憶装置35に記憶させる。
(2.検査支援装置90の構成)本実施形態において、検査を支援する検査支援装置90は、部品実装機1における基板カメラ16と、撮像制御部33とを備えて構成される。検査支援装置90は、部品実装機1が回路基板40への装着を行った電子部品のうち対象とされる検査部品50の装着状態の自動検査または目視検査を支援する。具体的には、検査支援装置90は、複数回の装着動作および複数回の撮像動作の動作順序を最適化することにより、上記の検査を支援する。
(2−1.装着動作および撮像動作の定義)ここで、吸着ノズル24を現在位置NCpから装着位置Mpの上方へと移動させるとともに吸着ノズル24を昇降させて、当該吸着ノズル24に保持された検査部品50を装着位置Mpに装着する部品移載装置13の動作を「装着動作」と定義する。当該装着動作は、制御プログラムに従った順序で実行される。
具体的には、図3に示すように、吸着ノズル24が第一現在位置NCp1にある場合に、装着動作は、吸着ノズル24が第一現在位置NCp1から装着位置Mpの上方までXY移動する動作、吸着ノズル24が保持する検査部品50を回路基板40上に装着する為の下降動作、および吸着ノズル24が元の高さまで戻される上昇動作に相当する。
吸着ノズル24の現在位置NCpは、部品移載装置13の直前動作に依存する位置であり、この直前動作が終了した時点における吸着ノズル24の位置に相当する。そのため、所定の装着位置Mpに検査部品50を装着する装着動作であっても、直前動作が相違する場合には、吸着ノズル24の現在位置NCpが異なる位置となる場合がある。また、部品移載装置13の直前動作は、例えば、装着動作の直前に撮像動作を挿入された場合などに変更される。
これにより、吸着ノズル24は、同一の装着動作においても、例えば異なる第一現在位置NCp1、第二現在位置NCp2などに位置する場合がある。ここで、装着位置Mpの上方位置から第一現在位置NCp1までの距離LN1と、装着位置Mpの上方位置から第二現在位置NCp2までの距離LN2が相違する場合には、当該装着動作における移動台22の移動距離、および装着動作に要する動作時間(所要時間)が異なる。
また、基板カメラ16が装着位置Mpに装着された検査部品50を撮像可能に、基板カメラ16を現在位置CCpから装着位置Mpの上方へと移動させる部品移載装置13の動作を「撮像動作」と定義する。具体的には、図4に示すように、基板カメラ16が第一現在位置CCp1にある場合に、撮像動作は、基板カメラ16が第一現在位置CCp1から装着位置Mpの上方までXY移動する動作に相当する。なお、撮像動作においては、必ずしも基板カメラ16が装着位置Mpの真上に移動されることを要さない。つまり、基板カメラ16は、撮像動作により、カメラ視野に検査部品50が収まる領域へ移動される。
基板カメラ16の現在位置CCpは、部品移載装置13の直前動作に依存する位置であり、この直前動作が終了した時点における基板カメラ16の位置に相当する。そのため、所定の装着位置Mpに装着された検査部品50を撮像する撮像動作であっても、直前動作が相違する場合には、基板カメラ16の現在位置CCpが異なる位置となる場合がある。また、部品移載装置13の直前動作は、例えば、撮像動作の直前に別の撮像動作を挿入された場合などに変更される。
これにより、基板カメラ16は、同一の撮像動作においても、例えば異なる第一現在位置CCp1、第二現在位置CCp2などに位置する場合がある。ここで、装着位置Mpの上方位置から第一現在位置CCp1までの距離LC1と、装着位置Mpの上方位置から第二現在位置CCp2までの距離LC2が相違する場合には、当該撮像動作における移動台22の移動距離、および撮像動作に要する動作時間(所要時間)が異なる。
(2−2.部品実装機1による実装処理)部品実装機1による電子部品の実装処理について、図5を参照して説明する。実装処理において、実装制御部31は、先ず複数の吸着ノズル24に電子部品を順次吸着させて、電子部品を保持する吸着処理(ステップ11(以下、「ステップ」を「S」と表記する))を実行する。次に、撮像制御部33は、部品移載装置13の動作により装着ヘッド23を部品カメラ15の上方に移動させて、吸着された複数の電子部品を撮像する撮像処理(S12)を実行する。
その後に、実装制御部31は、電子部品を回路基板40に順次装着する装着処理(S13)を実行する。そして、実装制御部31は、制御プログラムに基づいて、全ての電子部品の装着処理が終了したか否かを判定する(S14)。制御装置30は、装着処理が終了するまで上記処理(S11〜S13)を繰り返し実行する。
また、部品実装機1による実装処理では、実装精度の向上を図るために、実装制御部31は、吸着ノズル24による電子部品の吸着状態に対応して吸着ノズル24の移動を制御する。そのため、実装制御部31は、撮像処理(S12)により取得された画像データを画像処理部32において画像処理して、吸着ノズル24による電子部品の吸着状態を認識するようにしている。
ここで、部品移載装置13が供給された電子部品を複数保持してから当該保持した数量に等しい回数分の装着動作が繰り返し終えるまでの動作、即ち上記処理(S11〜S13)を実行するための部品移載装置13の動作を「装着サイクル」と定義する。装着ヘッド23が12本の吸着ノズル24を支持する場合には、最大で12個の電子部品を吸着してから、これらの電子部品を全て装着し終えるまでの動作を、一の装着サイクルとする。
(2−3.検査支援装置90による最適化処理)検査支援装置90を構成する撮像制御部33による装着動作および撮像動作の実行順序の最適化処理について、図6および図7を参照して説明する。本実施形態において、撮像制御部33は、一の装着サイクルに含まれる装着動作および当該装着動作に対応する撮像動作を対象として実行順序を最適化する。また、装着サイクルでは、装着ヘッド23に支持される12本の吸着ノズル24の全てが電子部品を吸着して保持し、各電子部品がそれぞれ異なる装着位置Mpに装着される態様を例示する。
撮像制御部33は、先ず制御プログラムに基づいて、12回の装着動作に対応する装着位置Mpおよび装着動作の実行順序を取得する(S21)。装着サイクルにおける第一装着動作MV1から第十二装着動作MV12は、検査に用いられる画像データを取得するための撮像動作を考慮しない場合には、図7の最上段に示すように、連続的に順次実行される。
ここで、図7における各装着動作MV1〜MV12の横幅は、この実行順序で連続的に装着処理を実行した場合における各装着動作における移動台22の移動距離を示している。つまり、横幅が比較的小さい第五装着動作MV5〜第八装着動作MV8は、それぞれに対応する装着位置Mpが互いに近い距離にある。一方で、横幅が比較的大きい第九装着動作MV9〜第十二装着動作MV12は、それぞれに対応する装着位置Mpが互いに遠い距離にある。
検査支援装置90は、次に、制御装置30の記憶装置35に記憶された検査情報に基づいて、各吸着ノズル24に保持された電子部品のうち検査の対象とされる検査部品を特定する(S22)。ここでは、12個の電子部品が全て検査の対象であるものとする。そこで、撮像制御部33は、装着サイクルにおいて第一装着動作MV1から第十二装着動作MV12に対応する第一撮像動作IV1から第十二撮像動作IV12を、どのような順序で実行するかを以下の処理によって決定する。
撮像制御部33は、12回の装着動作MV1〜MV12および12回の撮像動作IV1〜IV12の実行順序のパターン(以下、「実行パターン」と称する)を算出する(S23)。ここで、上記の実行パターンが成立するためには、n番目に実行される装着動作MVnに対応する撮像動作IVnが、当該装着動作MVnの後に実行されることが条件となる。制御プログラムに従った順序で装着動作が連続したり、また上記の条件の下で撮像動作が連続したりすることは許容される。
撮像制御部33は、最適な実行順序の候補として算出された実行パターンについて、実行順序(装着動作および撮像動作を含む)における移動台22の移動距離、または当該実行順序における装着動作MV1〜MV12および撮像動作IV1〜IV12に要する動作時間を算出する。本実施形態においては、撮像制御部33は、移動台22の移動距離を実行パターンごとに算出する(S24)。
具体的には、装着動作MV1〜MV12および撮像動作IV1〜IV12を特定の順番で実行したと仮定した場合に、各動作における吸着ノズル24の現在位置NCpおよび基板カメラ16の現在位置CCpと、装着位置Mpとの距離を足し合わせることにより、当該実行パターンにおける移動距離が算出される。撮像制御部33は、全ての実行パターンについて移動台22の移動距離が算出されたか否かを判定し(S25)、移動台22の移動距離の算出が終了するまで上記処理(S24)を繰り返す。
続いて、撮像制御部33は、実行パターンごとに算出された移動台22の移動距離に基づいて、複数の実行パターンから最も効率的な実行パターンを選択する(S26)。これにより、12回の装着動作MV1〜MV12および12回および12回の撮像動作IV1〜IV12の実行順序が最適化される。
以下に、上記処理により最適化された実行順序の実行パターンについて説明する。ここで、装着サイクルに含まれる複数の装着動作のうち連続する一部の装着動作を「装着グループ」とする。また、制御プログラムに従った順序で実行される装着動作が既に最適化されている場合には、装着グループにおける撮像動作の実行順序は、(1)装着動作の実行後に同順で撮像動作を実行、(2)装着動作の実行後に逆順で撮像動作を実行、(3)装着動作と撮像動作を交互に実行、の3パターンに大別される。
上記のパターン(1)における「同順」とは複数の装着動作の実行順序と同順であることの意味であり、パターン(2)における「逆順」とは複数の装着動作の実行順序と逆順であることの意味である。図7では、装着グループごとに上記のパターン(1)〜(3)が示されている。
第一装着動作MV1から第四装着動作MV4までが含まれる第一装着グループMg1は、図7の上段部に示すように、パターン(2)、即ち第一装着動作MV1から第四装着動作VM4を実行した後に、これらに対応する第一撮像動作IV1から第四撮像動作IV4を、一連で且つ装着動作の逆順で実行した場合に、最も移動台22の移動距離が短くなる。
また、第五装着動作MV5から第八装着動作MV8までが含まれる第二装着グループMg2は、図7の中段に示すように、パターン(1)、即ち第五装着動作MV5から第八装着動作VM8を実行した後に、これらに対応する第五撮像動作IV5から第八撮像動作IV8を、一連で且つ装着動作と同順で実行した場合に、最も移動台22の移動距離が短くなる。
また、第九装着動作MV9から第十二装着動作MV12までが含まれる第三装着グループMg3は、図7の下段に示すように、パターン(3)、即ち装着動作と撮像動作をセットで交互に実行した場合に、最も移動台22の移動距離が短くなる。そのため、上記処理により最適化された実行順序は、「第一装着グループMg1のパターン(2)」と、「第二装着グループMg2のパターン(1)」と、「第三装着グループMg3のパターン(3)」とを連結した実行順序に相当する。
このように、各装着グループにおいて装着動作と撮像動作の実行順序を適宜入れ換えることにより移動台22の移動距離が変動する。これは、それぞれに対応する装着位置Mpと、吸着ノズル24から基板カメラ16の光軸までの距離との関係によるものである。そのため、撮像制御部33は、S21にて取得した各装着動作MV1〜MV12に対応する装着位置Mpおよび装着動作の実行順序に基づいて、複数の装着グループを設定して実行パターンの算出(S23)を行うようにしてもよい。これにより、全ての実行パターンを算出するよりも効率的な移動距離の算出(S24)が可能となる。
(2−4.実装処理における検査用の撮像処理の割り込み)検査支援装置90は、実装制御部31による実装処理の実行中において、予め設定された条件に基づいて、複数回の装着動作および複数回の撮像動作の実行順序を最適化する処理を実行する。ここで、上記の予め設定された条件は、本実施形態において、装着予定の部品種別、現在時刻、実行された装着動作の回数、または前回の検査から現在までの時間である。
つまり、これらの条件のうち少なくとも一つが満たされた場合に、検査支援装置90の撮像制御部33は、最適化処理を実行する。なお、「装着予定の部品種別」とは、特定の部品種別を検査対象として、当該部品種別の電子部品が現在から規定時間までの期間に装着される予定であることを条件とする。また、撮像制御部33は、部品実装機1による実装処理が検査部品の装着を含む装着サイクルの実行に達した場合に、最適化された撮像動作の実行順序に従って、基板カメラ16の撮像処理を実装処理に割り込ませる。
ここで、部品実装機1における自動検査または目視検査においては、装着状態が不良と判定された場合には、電子部品の浪費を防止するなどの観点から、以降の装着動作が取り消されることがある。つまり、撮像制御部33により検査部品50の画像データが取得された後は、良否の検査結果が入力されるまでの期間は、装着動作が一時的に停止された状態とされる。検査支援装置90は、この期間を利用して、次の装着動作のための予備動作を実行させる。
より具体的には、部品実装機1における検査が作業者による目視検査の場合に、先ず制御装置30の表示制御部34は、撮像制御部33による撮像処理の制御によって取得された画像データを表示装置17に表示させる。作業者は、表示された画像データを参照して、検査部品50の装着状態の良否を判定して、当該判定の結果を入力する。このとき、撮像制御部33は、上記の画像データを取得してから検査の結果が入力されるまでの期間に、吸着ノズル24を現在位置NCpから次の装着動作における装着位置Mpの上方へと移動させる。
このように次の装着動作のための予備動作を検査中に実行することにより、例えば装着状態が良好との結果が入力された場合には、吸着ノズルを下降させて速やかに次の電子部品に係る装着動作を実行できる。一方で、装着状態が不良との結果が入力された場合には、以降の装着動作が取り消されることによって、電子部品の浪費が防止される。
(3.実施形態の構成による効果)実施形態において、検査支援装置90は、供給位置Sに供給された電子部品を保持して回路基板40上の装着位置Mpまで当該電子部品を移載する移載装置(部品移載装置13)を備える部品実装機1に適用される。検査支援装置90は、回路基板40に装着された電子部品を対象として行われる装着状態の検査を支援する。移載装置は、基台2に対して相対移動可能に支持された移動台22と、電子部品を保持する吸着ノズル24を複数支持し、移動台22に設けられる装着ヘッド23と、を有する。検査支援装置90は、回路基板40を撮像可能に移動台22に設けられたカメラ(基板カメラ16)と、部品実装機1による実装処理において電子部品のうち検査の対象とされる検査部品50が回路基板40に装着された場合に、カメラの撮像処理を制御して、当該検査部品50が収められた画像データを取得する撮像制御部33と、を備える。吸着ノズル24を現在位置NCpから装着位置Mpの上方へと移動させるとともに吸着ノズル24を昇降させて、当該吸着ノズル24に保持された検査部品50を装着位置Mpに装着する移載装置の動作であって、制御プログラムに従った順序で実行される動作を装着動作と定義する。カメラが装着位置Mpに装着された検査部品50を撮像可能に、カメラを現在位置CCpから装着位置Mpの上方へと移動させる移載装置の動作を撮像動作と定義する。撮像制御部33は、複数回の装着動作および複数回の撮像動作の実行順序を、当該実行順序における移動台22の移動距離、または当該実行順序における装着動作および撮像動作に要する動作時間に基づいて最適化する。
また、実施形態における検査方法は、複数回の装着動作および複数回の撮像動作の実行順序を、当該実行順序における移動台22の移動距離、または当該実行順序における装着動作および撮像動作に要する動作時間に基づいて最適化し、部品実装機1による実装処理において電子部品のうち検査の対象とされる検査部品50が回路基板40に装着された場合に、カメラ(基板カメラ16)の撮像処理を制御して、当該検査部品50が収められた画像データを取得する。
このような構成によると、検査支援装置90および検査支援方法(S21〜S26)は、部品実装機1の機内に設けられた基板カメラ16の撮像による画像データに基づく装着状態の検査を可能とする。ここで、検査部品50を収めた画像データを取得するためには、当該検査部品50が回路基板40に装着された後に、基板カメラ16の撮像処理が実行される。この撮像処理では、基板カメラ16のカメラ視野に当該検査部品50が収まるように移動台22を移動させる必要がある。
しかしながら、装着動作および撮像動作をそれぞれ一連で実行したり、装着動作と撮像動作を交互に実行したりするのでは、複数回の装着動作にそれぞれ対応する装着位置Mpと、吸着ノズル24と基板カメラ16の光軸までの距離との関係によっては、移動台22の移動距離が長くなり、撮像処理の効率が低下することが見出された。
そこで、検査支援装置90および検査支援方法は、本実施形態において例示したように、制御プログラムによって予め設定された順序で実行される装着動作に対して、実行パターンおける移動台22の移動距離に基づいて、撮像動作を実行するタイミングを最適化する。これにより、効率的に必要な画像データが取得されるので、装着状態の検査の効率向上を図ることができる。
また、移載装置(部品移載装置13)が供給された電子部品を複数保持してから当該保持した数量に等しい回数分の装着動作が繰り返し終えるまでの動作を装着サイクルと定義する。撮像制御部33は、装着サイクルに含まれる装着動作および当該装着動作に対応する撮像動作を対象として実行順序を最適化する。このような構成によると、装着サイクルを一単位として複数回の装着動作および複数回の撮像動作の実行順序が最適化される。よって、一の装着サイクルによって装着される電子部品に複数の検査部品50が含まれる場合に、他の装着サイクルに影響することなく、装着サイクルにおける実装処理への影響を抑制しつつ、必要な撮像処理を実行できる。
また、装着サイクルのうち連続する複数の装着動作の各々に対応する複数の撮像動作(第一装着グループMg1、第二装着グループMg2)は、複数の装着動作が終了した後に一連で実行される。このような構成によると、例えば第二装着グループMg2により装着される複数の検査部品50同士の装着位置Mpが比較的近い場合に、これらの検査部品50に対応する装着動作を一連で実行するとともに、その後に複数の撮像動作を一連でまとめて実行する。これにより、撮像処理の実行による移動台22の移動距離を短くすることができる。
また、複数の装着動作の各々に対応する複数の撮像動作は、複数の装着動作の実行順序と逆順で実行される。このような構成によると、例えば第一装着グループMg1における最後の装着動作に対応する装着位置Mpの上方に吸着ノズル24が位置する状態において、この状態での基板カメラ16の位置が、最初の装着位置Mpに対応する装着位置Mpよりも最後の装着動作に対応する装着位置Mpに近い場合に、これらの検査部品50に対応する装着動作を装着動作の逆順で実行する。これにより、撮像処理の実行による移動台22の移動距離を短くすることができる。
また、装着サイクルのうち連続する複数の装着動作の各々に対応する複数の撮像動作(第三装着グループMg3)は、対応する装着動作の実行後に実行される。このような構成によると、装着グループMg3により装着される複数の検査部品50同士の装着位置Mpが比較的遠い場合に、これらの検査部品50に対応する装着動作と撮像動作を交互に実行する。これにより、撮像処理の実行によって、移動台22の移動距離が延びることが抑制される。
また、撮像制御部33は、部品実装機1による実装処理の実行中において、予め設定された条件に基づいて、複数回の装着動作および複数回の撮像動作の実行順序を最適化する処理を実行し、カメラ(基板カメラ16)の撮像処理を実装処理に割り込ませる。このような構成によると、特に装着精度が要求される部品種別の電子部品を検査対象としたり、定期的な検査を行ったりすることが可能となる。よって、回路基板40製品の品質が維持される。
また、予め設定された条件は、装着予定の部品種別、現在時刻、実行された装着動作の回数、または前回の検査から現在までの時間である。このような構成によると、作業者による任意のタイミングで検査を行うことができる。これにより、回路基板40製品の品質が好適に維持される。
また、撮像制御部33は、画像データを取得してから検査の結果が入力されるまでの期間に、吸着ノズル24を現在位置NCpから次の装着動作における装着位置Mpの上方へと移動させる予備動作を実行する。これにより、例えば装着状態が良好との結果が入力された場合には、吸着ノズル24を下降させて速やかに次の電子部品に係る装着動作を実行できる。よって、撮像処理の実行に伴うスループットの低下が抑制される。また、装着状態が不良との結果が入力された場合には、以降の装着動作が取り消されることによって、電子部品の浪費を防止することができる。
<実施形態の変形態様>実施形態において、検査支援装置90の撮像制御部33は、S23で算出された複数の実行パターンについて、装着動作および撮像動作の実行順序における移動台22の移動距離を算出する(S24)。これに対して、撮像制御部33は、複数の実行パターンについて、実行順序における装着動作MV1〜MV12および撮像動作IV1〜IV12に要する動作時間(所要時間)を算出してもよい。
つまり、撮像制御部33は、S26において、移動台22の移動距離に換えて、それぞれの実行順序を実行した場合の所要時間に基づいて、最適な実行順序を選択する。ここで、移動台22の移動距離と所要時間との間には相関関係があるが、必ずしも比例関係とならない。これは、所要時間には、部品移載装置13の動作における加速および減速に要する時間が含まれたり、移動台22の移動動作と装着ヘッド23の動作(例えば、吸着ノズル24の割り出し動作など)が並行して実行され得たりすることに起因する。
そのため、撮像制御部33は、所要時間に基づいて実行順序を最適化する構成としてもよい。これにより、移動台22の移動距離に基づく場合と比較して、より正確に装着動作および撮像動作の実行順序を最適化することができる。また、最適化による処理負荷を軽減する観点からは、実施形態にて例示した態様が好適である。
また、実施形態において、検査支援装置90は、一の装着サイクルを最適化の対象とした。これに対して、検査支援装置90は、複数の装着サイクルをまとめて最適化の対象としてもよいし、また装着サイクルの一部である装着グループを最適化の対象としてもよい。このような構成よると、実施形態と同様の効果を奏する。