JP2020128471A - 難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線、ケーブル及び光ファイバケーブル - Google Patents
難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線、ケーブル及び光ファイバケーブル Download PDFInfo
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Abstract
【課題】難燃性樹脂組成物の架橋体に対して優れた難燃性と優れた耐熱性とを付与することができる難燃性樹脂組成物等を提供すること。【解決手段】シラン架橋性樹脂を含むシラン架橋性バッチと、非シラン架橋性樹脂に、シリコーン化合物、脂肪酸金属塩、及び無機フィラーを含む難燃剤を配合してなる難燃バッチとを含有する難燃性樹脂組成物であって、無機フィラーが、炭酸カルシウム及び珪酸塩化合物からなる群より選択される少なくとも1種からなり、シラン架橋性樹脂と非シラン架橋性樹脂とを合わせたベース樹脂100質量部中にシラン架橋性樹脂が40質量部以上の割合で含まれ、ベース樹脂100質量部に対し、シリコーン化合物が1質量部以上の割合で配合され、脂肪酸金属塩が2質量部以上の割合で配合され、無機フィラーが5質量部以上の割合で配合されている、難燃性樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線、ケーブル及び光ファイバケーブルに関する。
自動車においては、高電圧・大電流を使用する電気自動車への対応のため、高耐熱の電線が求められており、これに伴って、電線の絶縁層に使用する難燃性樹脂組成物にも高耐熱化が求められている。難燃性樹脂組成物に耐熱性を付与する方法としては、これまで難燃性樹脂組成物に電子線を照射することで架橋を行う電子線架橋が主流であった。しかし、電子線架橋は高価な電子線照射設備を必要とするため、製品コストを増大させる。特に、絶縁層が厚い場合には架橋が難しくなるため、その製品コストを顕著に増加させる。そこで、近年、電子線架橋に代えて、高価な電子線照射設備を使用せずに架橋を施すことができるシラン架橋が注目されている。
シラン架橋により架橋される難燃性樹脂組成物としては、オレフィン系樹脂にシランカップリング剤をグラフト重合させたシラングラフトオレフィン系樹脂からなるシラングラフトバッチと、オレフィン系樹脂に金属水酸化物よりなる難燃剤を配合してなる難燃剤バッチと、オレフィン系樹脂にシラン架橋触媒を配合してなる触媒バッチとをブレンドしたものが知られている(例えば下記特許文献1参照)。
しかし、上記特許文献1に記載の方法は以下に示す課題を有していた。
すなわち、耐熱性を確保するためにはシラングラフトバッチの割合を一定以上確保する必要がある。この場合、難燃剤バッチの割合を低下させざるを得なくなる。ここで、難燃性を確保するために、難燃剤バッチにおいて、オレフィン系樹脂に対する難燃剤の割合を増加させることも可能であるが、難燃剤の分散性等を考慮すると、オレフィン系樹脂に対する難燃剤の割合を増加させることにも限界がある。このため、難燃性樹脂組成物の架橋体に対して優れた耐熱性と優れた難燃性を付与することが困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、難燃性樹脂組成物の架橋体に対して優れた難燃性と優れた耐熱性を付与することができる難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線、ケーブル及び光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため検討を重ねた。その結果、本発明者らは、上記特許文献1記載の発明において、主として、難燃バッチ中の難燃剤として、金属水酸化物に代えて、シリコーン化合物、脂肪酸金属塩、並びに、炭酸カルシウム及び珪酸塩化合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機フィラーを用いることで、シラン架橋性バッチの割合が大きく、難燃剤バッチの割合が小さくても上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、シラン架橋性樹脂を含むシラン架橋性バッチと、非シラン架橋性樹脂に、シリコーン化合物、脂肪酸金属塩、及び無機フィラーを含む難燃剤を配合してなる難燃バッチとを含有する難燃性樹脂組成物であって、前記無機フィラーが、炭酸カルシウム及び珪酸塩化合物からなる群より選択される少なくとも1種からなり、前記シラン架橋性樹脂と前記非シラン架橋性樹脂とを合わせたベース樹脂100質量部中に前記シラン架橋性樹脂が40質量部以上の割合で含まれ、前記ベース樹脂100質量部に対し、前記シリコーン化合物が1質量部以上の割合で配合され、前記脂肪酸金属塩が2質量部以上の割合で配合され、前記無機フィラーが5質量部以上の割合で配合されている、難燃性樹脂組成物である。
本発明の難燃性樹脂組成物によれば、難燃性樹脂組成物の架橋体に対して優れた難燃性と優れた耐熱性を付与することができる。
なお、本発明者らは、本発明の難燃性樹脂組成物において、上記の効果が得られる理由については以下のように推察している。
すなわち、シラン架橋性バッチ中にはシラン架橋性樹脂が含まれており、このシラン架橋性樹脂と非シラン架橋性樹脂とを合わせたベース樹脂100質量部中にシラン架橋性樹脂が40質量部以上の割合で含まれることで、シラン架橋が十分に行われる。このため、難燃性樹脂組成物の架橋体に対して優れた耐熱性を付与することができるのではないかと考えられる。一方、難燃バッチ中に、難燃剤として、金属水酸化物ではなく、シリコーン化合物、脂肪酸含有化合物、炭酸カルシウムや珪酸塩化合物からなる無機フィラーを含む難燃剤が用いられることで、難燃バッチの割合が小さくても、優れた難燃性が効果的に得られる。そのため、ベース樹脂におけるシラン架橋性樹脂の割合が大きくても、難燃性樹脂組成物の架橋体に対して優れた難燃性を付与できるのではないかと考えられる。
上記難燃性樹脂組成物においては、前記無機フィラーの表面にアミノシランが付着していることが好ましい。
この場合、無機フィラーの表面にアミノシランが付着していない場合に比べて、難燃性樹脂組成物の架橋体の耐油性をより十分に向上させることができる。
無機フィラーの表面にアミノシランを付着させる場合、前記無機フィラーが珪酸塩化合物であることが好ましい。
この場合、アミノシランと珪酸塩化合物との親和性が高くなるため、難燃性樹脂組成物の架橋体の耐油性をより十分に向上させることができる。
上記難燃性樹脂組成物において、無機フィラーの表面にアミノシランが付着している場合には、前記非シラン架橋性樹脂が変性樹脂を含むことが好ましい。
この場合、非シラン架橋性樹脂とアミノシランとの相性がよくなる。このため、非シラン架橋性樹脂が変性樹脂を含まない場合に比べて、難燃性樹脂組成物の架橋体の耐油性をより向上させることもできる。
また本発明は、導体と、前記導体を被覆する絶縁層とを有する絶縁電線を備えており、前記絶縁層が、上述した難燃性樹脂組成物の架橋体で構成される絶縁電線である。
本発明の絶縁電線によれば、絶縁層が、上述した難燃性樹脂組成物の架橋体で構成されるため、優れた難燃性と優れた耐熱性とを同時に有する。
さらに、本発明は、導体と、前記導体を被覆する絶縁層とを有する絶縁電線を製造する絶縁電線の製造方法であって、前記導体上に前記絶縁層を形成する絶縁層形成工程を含み、前記絶縁層形成工程において、前記絶縁層が、前記難燃性樹脂組成物を溶融し、前記シラン架橋性樹脂をシラン架橋させながら押し出す押出工程を経て形成される、絶縁電線の製造方法である。
本発明の絶縁電線の製造方法によれば、導体上に形成される絶縁層が、難燃性樹脂組成物の架橋体で構成され、この難燃性樹脂組成物の架橋体は、優れた難燃性と優れた耐熱性を同時に有する。このため、本発明の製造方法により製造される絶縁電線は、優れた難燃性と優れた耐熱性とを同時に有する。
また、本発明は、導体、及び、前記導体を被覆する絶縁層を有する絶縁電線と、前記絶縁電線を覆うシースとを有し、前記絶縁層及び前記シースの少なくとも一方が、上記難燃性樹脂組成物の架橋体で構成されるケーブルである。
本発明のケーブルによれば、絶縁層及びシースの少なくとも一方が、上記難燃性樹脂組成物の架橋体で構成されるため、優れた難燃性と優れた耐熱性とを同時に有する。
さらに、本発明は、導体、及び、前記導体を被覆する絶縁層を有する絶縁電線と、前記絶縁電線を覆うシースとを有するケーブルを製造するケーブルの製造方法であって、前記導体上に前記絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層上に前記絶縁層を覆うシースを形成するシース形成工程とを含み、前記絶縁層及び前記シースの少なくとも一方が、前記難燃性樹脂組成物を溶融し、前記シラン架橋性樹脂をシラン架橋させながら押し出す押出工程を経て形成される、ケーブルの製造方法である。
本発明のケーブルの製造方法によれば、導体上に順次形成される絶縁層及びシースの少なくとも一方が、難燃性樹脂組成物の架橋体で構成され、この難燃性樹脂組成物の架橋体は、優れた難燃性と優れた耐熱性を同時に有する。このため、本発明の製造方法により製造されるケーブルは、優れた難燃性と優れた耐熱性とを同時に有する。
さらに本発明は、光ファイバと、前記光ファイバを被覆する被覆部とを備え、前記被覆部の少なくとも一部が、上述した難燃性樹脂組成物の架橋体で構成される光ファイバケーブルである。
本発明の光ファイバケーブルによれば、被覆部の少なくとも一部が上記難燃性樹脂組成物の架橋体で構成されるため、優れた難燃性と優れた耐熱性とを同時に有する。
さらに、本発明は、光ファイバ、及び、前記光ファイバを被覆する被覆部を備える光ファイバケーブルを製造する光ファイバケーブルの製造方法であって、前記光ファイバ上に前記被覆部を形成する被覆部形成工程を含み、前記被覆部の少なくとも一部が、前記難燃性樹脂組成物を溶融し、前記シラン架橋性樹脂をシラン架橋させながら押し出す押出工程を経て形成される、光ファイバケーブルの製造方法である。
本発明の光ファイバケーブルの製造方法によれば、光ファイバ上に形成される被覆部の少なくとも一部が、難燃性樹脂組成物の架橋体で構成され、この難燃性樹脂組成物の架橋体は、優れた難燃性と優れた耐熱性を同時に有する。このため、本発明の製造方法により製造される光ファイバケーブルは、優れた難燃性と優れた耐熱性とを同時に有する。
なお、本発明において、「難燃性樹脂組成物の架橋体」とは、難燃性樹脂組成物においてシラン架橋性樹脂が架橋された組成物をいう。
本発明によれば、難燃性樹脂組成物の架橋体に対して優れた難燃性と優れた耐熱性を付与することができる難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線、ケーブル及び光ファイバケーブルが提供される。
以下、本発明の実施形態について図1及び図2を用いて詳細に説明する。
[ケーブル]
図1は、本発明に係るケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示すように、ケーブル10は、絶縁電線4と、絶縁電線4を被覆するチューブ状のシース3とを備えている。そして、絶縁電線4は、導体1と、導体1を被覆するチューブ状の絶縁層2とを有している。
図1は、本発明に係るケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示すように、ケーブル10は、絶縁電線4と、絶縁電線4を被覆するチューブ状のシース3とを備えている。そして、絶縁電線4は、導体1と、導体1を被覆するチューブ状の絶縁層2とを有している。
ここで、チューブ状の絶縁層2及びシース3は、難燃性樹脂組成物の架橋体で構成されており、この難燃性樹脂組成物は、シラン架橋性樹脂を含むシラン架橋性バッチと、非シラン架橋性樹脂に、シリコーン化合物、脂肪酸金属塩、及び無機フィラーを含む難燃剤を配合してなる難燃バッチとを含有する。ここで、無機フィラーは、炭酸カルシウム及び珪酸塩化合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる。また、シラン架橋性樹脂と非シラン架橋性樹脂とを合わせたベース樹脂100質量部中にはシラン架橋性樹脂が40質量部以上の割合で含まれている。さらに、ベース樹脂100質量部に対し、シリコーン化合物が1質量部以上の割合で配合され、脂肪酸金属塩が2質量部以上の割合で配合され、無機フィラーが5質量部以上の割合で配合されている。
上記難燃性樹脂組成物の架橋体で構成される絶縁層2及びシース3は、優れた難燃性と優れた耐熱性を同時に有する。従って、ケーブル10は、優れた難燃性と優れた耐熱性とを同時に有する。
[ケーブルの製造方法]
次に、上述したケーブル10の製造方法について説明する。
次に、上述したケーブル10の製造方法について説明する。
<導体>
まず導体1を準備する。導体1は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、導体1は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。導体1の材料としては、例えば、主に銅、アルミニウムやそれらを含む合金が好ましいが、カーボン材料などの導電性物質も適宜使用できる。
まず導体1を準備する。導体1は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、導体1は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。導体1の材料としては、例えば、主に銅、アルミニウムやそれらを含む合金が好ましいが、カーボン材料などの導電性物質も適宜使用できる。
<難燃性樹脂組成物>
一方、上記難燃性樹脂組成物を準備する。難燃性樹脂組成物は、上述したように、シラン架橋性樹脂を含むシラン架橋性バッチと、非シラン架橋性樹脂に、シリコーン化合物、脂肪酸金属塩、及び無機フィラーを含む難燃剤を配合してなる難燃バッチとを含有する。難燃性樹脂組成物は、必要に応じて、架橋触媒を含む架橋触媒バッチをさらに含んでいても含んでいなくてもよいが、含んでいることが好ましい。この場合、シラン架橋性樹脂の架橋反応を効率よく進行させることができ、製造性を向上させることができる。なお、難燃性樹脂組成物が架橋触媒バッチを含まなくても、シラン架橋性樹脂の架橋反応は進行可能である。
一方、上記難燃性樹脂組成物を準備する。難燃性樹脂組成物は、上述したように、シラン架橋性樹脂を含むシラン架橋性バッチと、非シラン架橋性樹脂に、シリコーン化合物、脂肪酸金属塩、及び無機フィラーを含む難燃剤を配合してなる難燃バッチとを含有する。難燃性樹脂組成物は、必要に応じて、架橋触媒を含む架橋触媒バッチをさらに含んでいても含んでいなくてもよいが、含んでいることが好ましい。この場合、シラン架橋性樹脂の架橋反応を効率よく進行させることができ、製造性を向上させることができる。なお、難燃性樹脂組成物が架橋触媒バッチを含まなくても、シラン架橋性樹脂の架橋反応は進行可能である。
以下、シラン架橋性樹脂、非シラン架橋性樹脂、シリコーン化合物、脂肪酸金属塩、無機フィラー及び架橋触媒について詳細に説明する。
(A)シラン架橋性樹脂
シラン架橋性樹脂は、シランカップリング剤をポリオレフィン系樹脂にグラフト重合させてなるシラングラフトポリオレフィン系樹脂、又は、シランカップリング剤が共重合成分として含まれているポリオレフィン系樹脂を含む。シラン架橋性樹脂は一般には、ポリオレフィン系樹脂にシランカップリング剤と遊離ラジカル発生剤とを添加し、押出機や密閉型混練機などを用いて加熱混練しながら、シランカップリング剤をポリオレフィン系樹脂にグラフト重合させることによって得られる。このときの加熱温度は、遊離ラジカル発生剤の分解温度以上とし、使用する遊離ラジカル発生剤の種類によって適宜定められる。
シラン架橋性樹脂は、シランカップリング剤をポリオレフィン系樹脂にグラフト重合させてなるシラングラフトポリオレフィン系樹脂、又は、シランカップリング剤が共重合成分として含まれているポリオレフィン系樹脂を含む。シラン架橋性樹脂は一般には、ポリオレフィン系樹脂にシランカップリング剤と遊離ラジカル発生剤とを添加し、押出機や密閉型混練機などを用いて加熱混練しながら、シランカップリング剤をポリオレフィン系樹脂にグラフト重合させることによって得られる。このときの加熱温度は、遊離ラジカル発生剤の分解温度以上とし、使用する遊離ラジカル発生剤の種類によって適宜定められる。
シラン架橋性樹脂の形成に使用されるポリオレフィン系樹脂は、非変性樹脂でも変性樹脂でもよいが、変性樹脂であることが好ましい。この場合、絶縁層2及びシース3の耐摩耗性をより効果的に向上させることができる。
ポリオレフィン樹脂の非変性樹脂としては、例えばポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレンプロピレンジエン共重合体、ホモポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体及びオレフィン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば1−ブテン、2−ブテン、1−ヘキセン及び2−ヘキセンなどが挙げられる。
シラン架橋性樹脂の形成に使用されるポリオレフィン系樹脂の非変性樹脂としては、ポリエチレンが好ましい。この場合、難燃性樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができる。
ポリエチレンとしては、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、メタロセン超低密度ポリエチレンなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
変性樹脂は通常、官能基を含む。変性樹脂が官能基を含む場合、官能基は、上述したポリオレフィン樹脂の非変性樹脂にグラフト重合により導入されるか、又はポリオレフィン系樹脂の非変性樹脂の共重合成分の一部として導入される。官能基としては、カルボキシル基、酸無水物基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アクリル基、アセチル基、アルコキシ基(例えばメトキシ基又はエトキシ基)などが挙げられる。中でも、カルボキシル基及び酸無水物基が好ましい。この場合、変性により導入される官能基がカルボキシル基及び酸無水物基以外の官能基である場合に比べて、絶縁層2及びシース3の耐摩耗性をより効果的に向上させることができる。グラフト化又は共重合に使用される物質としては、酸、酸無水物、及び、その誘導体が挙げられる。酸としては、例えば酢酸、アクリル酸、マレイン酸、及びメタクリル酸などのカルボン酸が挙げられる。酸無水物としては、例えば無水マレイン酸などの無水カルボン酸が挙げられる。
上記変性樹脂としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、マレイン酸変性ポリオレフィン、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、マレイン酸変性スチレン系エラストマー、無水マレイン酸変性スチレン系エラストマーなどが挙げられる。
シラン架橋性樹脂の形成に使用されるシランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン等のビニルアルコキシシラン;ノルマルヘキシルトリメトキシシラン、ビニルアセトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
シラン架橋性樹脂の密度は特に制限されるものではないが、柔軟性に優れることから、0.92g/cm3以下であることが好ましい。但し、シラン架橋性樹脂の密度は、各種オイル、薬品類の吸収を抑制する観点からは、0.86g/cm3以上であることが好ましい。
シラン架橋性樹脂は、シラン架橋性樹脂と非シラン架橋性樹脂を合わせたベース樹脂100質量部中に40質量部以上の割合で含まれている。この場合、シラン架橋性樹脂がベース樹脂100質量部中に40質量部未満の割合で含まれる場合に比べて、絶縁層2及びシース3において優れた耐熱性が得られる。なお、ベース樹脂中の非シラン架橋性樹脂は、難燃剤樹脂組成物中のすべての非シラン架橋性樹脂のことをいう。ベース樹脂中の非シラン架橋性樹脂は、難燃性樹脂組成物が架橋触媒バッチを含まない場合には通常、難燃バッチ中の非シラン架橋性樹脂であるが、架橋触媒バッチ等の他のマスターバッチを含む場合において、それらのバッチ中にも非シラン架橋性樹脂が含まれる場合には、これらの非シラン架橋性樹脂も含む。
シラン架橋性樹脂は、ベース樹脂100質量部中に50質量部以上の割合で含まれることが好ましい。この場合、シラン架橋性樹脂がベース樹脂100質量部中に50質量部未満の割合で含まれる場合に比べて、絶縁層2及びシース3において、より優れた耐熱性が得られる。
但し、シラン架橋性樹脂は、ベース樹脂100質量部中に90質量部以下の割合で含まれることが好ましい。この場合、シラン架橋性樹脂がベース樹脂100質量部中に90質量部を超える割合で含まれる場合に比べて、絶縁層2及びシース3において、より優れた難燃性が得られる。
(B)非シラン架橋性樹脂
非シラン架橋性樹脂は、シランカップリング剤でグラフト重合されていないポリオレフィン系樹脂、又は、シランカップリング剤が共重合成分として含まれていないポリオレフィン系樹脂を含む。上述した非シラン架橋性ポリオレフィン系樹脂としては、上述したシラン架橋性樹脂の形成に使用されるポリオレフィン系樹脂を用いることができる。
非シラン架橋性樹脂は、シランカップリング剤でグラフト重合されていないポリオレフィン系樹脂、又は、シランカップリング剤が共重合成分として含まれていないポリオレフィン系樹脂を含む。上述した非シラン架橋性ポリオレフィン系樹脂としては、上述したシラン架橋性樹脂の形成に使用されるポリオレフィン系樹脂を用いることができる。
(C)シリコーン化合物
シリコーン化合物は、難燃剤として機能するものであり、シリコーン化合物としては、ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。ここで、ポリオルガノシロキサンは、シロキサン結合を主鎖とし側鎖に有機基を有するものであり、有機基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;ビニル基;及びフェニル基などのアリール基などが挙げられる。具体的にはポリオルガノシロキサンとしては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルオクチルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン及びメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサンなどが挙げられる。ポリオルガノシロキサンは、シリコーンオイル、シリコーンパウダー、シリコーンガム又はシリコーンレジンの形態で用いられる。中でも、ポリオルガノシロキサンは、シリコーンガムの形態で用いられることが好ましい。この場合、シリコーン化合物がシリコーンガム以外のシリコーン化合物である場合に比べて、難燃バッチにおいてブルームが起こりにくくなる。
シリコーン化合物は、難燃剤として機能するものであり、シリコーン化合物としては、ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。ここで、ポリオルガノシロキサンは、シロキサン結合を主鎖とし側鎖に有機基を有するものであり、有機基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;ビニル基;及びフェニル基などのアリール基などが挙げられる。具体的にはポリオルガノシロキサンとしては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルオクチルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン及びメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサンなどが挙げられる。ポリオルガノシロキサンは、シリコーンオイル、シリコーンパウダー、シリコーンガム又はシリコーンレジンの形態で用いられる。中でも、ポリオルガノシロキサンは、シリコーンガムの形態で用いられることが好ましい。この場合、シリコーン化合物がシリコーンガム以外のシリコーン化合物である場合に比べて、難燃バッチにおいてブルームが起こりにくくなる。
ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合は1質量部以上である。この場合、ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合が1質量部未満である場合に比べて、絶縁層2及びシース3の難燃性をより向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合は2質量部以上であることが好ましい。この場合、シリコーン化合物の配合割合が2質量部未満である場合に比べて、絶縁層2及びシース3の難燃性をより十分に向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合は10質量部以下であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合が10質量部より大きい場合に比べて、絶縁層2及びシース3の機械的特性をより向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合は8質量部以下であることがより好ましい。この場合、シリコーン化合物の配合割合が8質量部を超える場合に比べて、絶縁層2及びシース3の機械的特性をより一層十分に向上させることができる。
(D)脂肪酸金属塩
脂肪酸金属塩は難燃剤として機能するものである。脂肪酸金属塩とは、脂肪酸の金属塩を言う。ここで、脂肪酸としては、例えば炭素原子数が12〜28である脂肪酸が用いられる。このような脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸及びモンタン酸が挙げられる。中でも、脂肪酸としては、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸が好ましく、ステアリン酸が特に好ましい。この場合、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸以外の脂肪酸を用いる場合に比べて、絶縁層2及びシース3の難燃性をより向上させることができる。
脂肪酸金属塩は難燃剤として機能するものである。脂肪酸金属塩とは、脂肪酸の金属塩を言う。ここで、脂肪酸としては、例えば炭素原子数が12〜28である脂肪酸が用いられる。このような脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸及びモンタン酸が挙げられる。中でも、脂肪酸としては、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸が好ましく、ステアリン酸が特に好ましい。この場合、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸以外の脂肪酸を用いる場合に比べて、絶縁層2及びシース3の難燃性をより向上させることができる。
脂肪酸の金属塩を構成する金属としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛及び鉛などが挙げられる。脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。この場合、ステアリン酸マグネシウム以外の脂肪酸金属塩を用いる場合に比べて、絶縁層2及びシース3においてより少ない添加量でより優れた難燃性が得られる。
ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸金属塩の配合割合は2質量部以上である。この場合、ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸金属塩の配合割合が2質量部未満である場合に比べて、絶縁層2及びシース3の難燃性をより向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸金属塩の配合割合は、3質量部以上であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸金属塩の配合割合が3質量部未満である場合に比べて、絶縁層2及びシース3の難燃性をより向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸金属塩の配合割合は20質量部以下であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸金属塩の配合割合が20質量部を超える場合に比べて、絶縁層2及びシース3の機械的特性をより向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸金属塩の配合割合は15質量部以下であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸金属塩の配合割合が15質量部より大きい場合と比べて、絶縁層2及びシース3の機械的特性をより一層向上させることができる。
(E)無機フィラー
無機フィラーとしては、炭酸カルシウム及び珪酸塩化合物が挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は混合して用いることができる。珪酸塩化合物としては、例えばクレー及びタルクが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。珪酸塩化合物は焼成体であることが好ましい。この場合、焼成体は表面に水分を保持していないので、シラン架橋性バッチと、難燃バッチとが加熱混練されても、シラン架橋性樹脂と珪酸塩化合物との間で水架橋反応が進行しにくくなる。このため、珪酸塩化合物が焼成体でない場合に比べて、絶縁層2及びシース3の難燃性をより向上させることができる。
無機フィラーとしては、炭酸カルシウム及び珪酸塩化合物が挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は混合して用いることができる。珪酸塩化合物としては、例えばクレー及びタルクが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。珪酸塩化合物は焼成体であることが好ましい。この場合、焼成体は表面に水分を保持していないので、シラン架橋性バッチと、難燃バッチとが加熱混練されても、シラン架橋性樹脂と珪酸塩化合物との間で水架橋反応が進行しにくくなる。このため、珪酸塩化合物が焼成体でない場合に比べて、絶縁層2及びシース3の難燃性をより向上させることができる。
無機フィラーは、ベース樹脂100質量部に対して5質量部以上の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対する無機フィラーの配合割合が5質量部未満である場合に比べて、絶縁層2及びシース3の難燃性をより向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対する無機フィラーの配合割合は20質量部以上であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する無機フィラーの配合割合が20質量部未満である場合に比べて、絶縁層2及びシース3の難燃性をより十分に向上させることができる。ベース樹脂100質量部に対する無機フィラーの配合割合は30質量部以上であることがより好ましく、40質量部以上であることが特に好ましい。
ベース樹脂100質量部に対する無機フィラーの配合割合は90質量部以下であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する無機フィラーの配合割合が90質量部を超える場合に比べて、絶縁層2及びシース3の機械的特性をより向上させることができる。
また、ベース樹脂100質量部に対する無機フィラーの配合割合は80質量部以下であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する無機フィラーの配合割合が80質量部を超える場合と比べて、絶縁層2及びシース3の機械的特性をより十分に向上させることができる。
無機フィラーの表面には、シランカップリング剤が付着していても付着していなくてもよいが、付着していることが好ましい。この場合、絶縁層2及びシース3の耐油性をより向上させることができる。
シランカップリング剤としては、例えばアミノシラン、メタクリルシラン、ビニルシランなどが挙げられる。中でも、アミノシランが好ましい。この場合、絶縁層2及びシース3の耐油性をより十分に向上させることができる。
アミノシランを無機フィラーに付着させる場合、無機フィラーは、珪酸塩化合物であることが好ましい。この場合、アミノシランと珪酸塩化合物との親和性が高くなるため、難燃性樹脂組成物の架橋体の耐油性をより十分に向上させることができる。
無機フィラーにアミノシランが付着している場合、非シラン架橋性樹脂は変性樹脂を含むことが好ましい。この場合、非シラン架橋性樹脂とアミノシランとの相性がよくなる。このため、非シラン架橋性樹脂が変性樹脂を含まない場合に比べて、絶縁層2及びシース3の耐油性をより向上させることもできる。
無機フィラーの表面へのシランカップリング剤の「付着」には、シランカップリング剤が単に珪酸塩化合物の表面に物理的に吸着されていること、シランカップリング剤が珪酸塩化合物の表面活性基等(例えば水酸基)と加水分解および脱水縮合等により化学的に結合していることが含まれる。
無機フィラーにおいて、珪酸塩化合物100質量部に対するシランカップリング剤の配合割合は特に制限されるものではないが、0.1〜5質量部であることが好ましい。但し、珪酸塩化合物100質量部に対するシランカップリング剤の配合割合は0.5〜2質量部であることがより好ましい。この場合、絶縁層2及びシース3の耐油性をより向上させることができる。
(F)架橋触媒
架橋触媒は、シラン架橋性樹脂を架橋させるためのシラノール縮合触媒である。架橋触媒として、例えば錫、亜鉛、鉄等の金属カルボン酸塩や、チタン酸エステル等の有機金属化合物等が挙げられる。具体的には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫メルカプチド(ジブチル錫ビスオクチルチオグリコールエステル塩、ジブチル錫β−メルカプトプロピオン酸塩ポリマー等)、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチルジラウレート、酢酸第一錫、カプリル酸第一錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、チタン酸テトラブチルエステル、チタン酸テトラノニルエステル、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジン、硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸、酢酸、ステアリン酸、マレイン酸等が挙げられる。架橋触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫メルカプチド等の有機錫化合物が好ましい。
架橋触媒は、シラン架橋性樹脂を架橋させるためのシラノール縮合触媒である。架橋触媒として、例えば錫、亜鉛、鉄等の金属カルボン酸塩や、チタン酸エステル等の有機金属化合物等が挙げられる。具体的には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫メルカプチド(ジブチル錫ビスオクチルチオグリコールエステル塩、ジブチル錫β−メルカプトプロピオン酸塩ポリマー等)、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチルジラウレート、酢酸第一錫、カプリル酸第一錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、チタン酸テトラブチルエステル、チタン酸テトラノニルエステル、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジン、硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸、酢酸、ステアリン酸、マレイン酸等が挙げられる。架橋触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫メルカプチド等の有機錫化合物が好ましい。
架橋触媒バッチにおいては、架橋触媒が樹脂中に分散される。架橋触媒が分散される樹脂としては、上述した非シラン架橋性樹脂が好ましい。但し、分散される樹脂として、シラン架橋性樹脂と同系統の樹脂を使用してもよい。この場合、よりシラン架橋性樹脂に架橋触媒が分散しやすくなる。なお、シラン架橋性樹脂と同系統の樹脂とは、例えばシラン架橋性樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合、ポリプロピレンやポリプロピレンエラストマーなどのポリプロピレン系重合体を意味し、シラン架橋性樹脂がポリエチレン系樹脂である場合、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)などのエチレン系重合体を意味する。
上記難燃性樹脂組成物は、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、加工助剤、着色顔料、滑剤などの添加剤を必要に応じてさらに含んでもよい。これらの添加剤は、シラン架橋性バッチ、難燃バッチ、必要に応じて添加される架橋触媒バッチのいずれに含まれていてもよい。
上記難燃性樹脂組成物は、シラン架橋性バッチ、難燃バッチ、必要に応じて添加される架橋触媒バッチをドライブレンドすることにより得ることができる。
難燃バッチは、非シラン架橋性樹脂と、シリコーン化合物、脂肪酸金属塩、無機フィラーを含む難燃剤とを混練することにより得ることができる。なお、難燃バッチは、シリコーン化合物の分散性を向上させる観点から、非シラン架橋性樹脂の一部とシリコーン化合物とを混練し、得られたマスターバッチ(MB)を、残りの非シラン架橋性樹脂、脂肪酸含有化合物及び無機フィラー等と混練して得ることが好ましい。
混練は、例えばバンバリーミキサ、タンブラ、加圧ニーダ、混練押出機、二軸押出機、ミキシングロール等の混練機で行うことができる。
次に、導体1上に絶縁層2を形成する(絶縁層形成工程)。具体的には、上記の難燃性樹脂組成物を、押出機を用いて溶融し、難燃性樹脂組成物中のシラン架橋性樹脂をシラン架橋させながら押し出す押出工程を経てチューブ状の押出物を形成する。そして、このチューブ状押出物で導体1を連続的に被覆する。なお、チューブ状押出物においてシラン架橋反応の進行が不十分である場合には、チューブ状押出物を高温高湿環境(例えば70℃80%RH)にて所定時間(例えば12時間)保持し、架橋反応をさらに進行させてもよい。こうして導体1上に絶縁層2が形成されて絶縁電線4が得られる。
<シース>
最後に、上記のようにして得られた絶縁電線4を1本用意し、この絶縁電線4を、上述した難燃性樹脂組成物を用いて作製したシース3で被覆する。シース3は、絶縁層2を物理的又は化学的な損傷から保護するものである。
最後に、上記のようにして得られた絶縁電線4を1本用意し、この絶縁電線4を、上述した難燃性樹脂組成物を用いて作製したシース3で被覆する。シース3は、絶縁層2を物理的又は化学的な損傷から保護するものである。
以上のようにしてケーブル10が得られる。
なお、絶縁層2及びシース3の少なくとも一方のゲル分率は、特に制限されるものではないが、50%以上であることが好ましい。この場合、ゲル分率が50%未満である場合に比べて、絶縁電線4の耐熱性をより向上させることができる。上記ゲル分率は、55%以上であることがより好ましく、60%以上であることが特に好ましい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、架橋触媒が架橋触媒バッチ中に含まれることとしているが、架橋触媒は、難燃バッチ中に含まれてもよい。
上記実施形態ではケーブルとして、1本の絶縁電線4を有するケーブルが用いられているが、本発明のケーブルは1本の絶縁電線4を有するケーブルに限定されるものではなく、シース3の内側に絶縁電線4を2本以上有するケーブルであってもよい。またシース3と絶縁電線4との間には、ポリプロピレン等からなる樹脂部が設けられていてもよい。
また上記実施形態では、絶縁電線4の絶縁層2及びシース3が上記の難燃性樹脂組成物の架橋体で構成されているが、絶縁層2が上記の難燃性樹脂組成物の架橋体で構成されずに通常の絶縁樹脂で構成され、シース3のみが、上記の難燃性樹脂組成物の架橋体で構成されてもよく、シース3が上記の難燃性樹脂組成物の架橋体で構成されずに通常の絶縁樹脂で構成され、絶縁層2のみが、上記の難燃性樹脂組成物の架橋体で構成されてもよい。さらにシース3は必ずしも必要なものではなく、省略が可能である。
さらに、上記実施形態において絶縁電線4の絶縁層2及びシース3を構成する難燃性樹脂組成物の架橋体は、光ファイバと、光ファイバを被覆する被覆部とを備える光ファイバケーブルの被覆部としても適用可能である。例えば図3は、本発明の光ファイバケーブルの一実施形態としてのインドア型光ファイバケーブルを示す断面図である。図3に示すように、光ファイバケーブル20は、2本のテンションメンバ22,23と、光ファイバ24と、これらを被覆する被覆部25とを備えている。ここで、光ファイバ24は、被覆部25を貫通するように設けられている。被覆部25は、上記実施形態において絶縁電線4の絶縁層2及びシース3を構成する難燃性樹脂組成物の架橋体で構成される。
なお、光ファイバケーブル20においては、被覆部25の全部が絶縁電線4の絶縁層2及びシース3を構成する難燃性樹脂組成物の架橋体で構成されているが、被覆部25の一部のみが絶縁電線4の絶縁層2及びシース3を構成する難燃性樹脂組成物の架橋体で構成されていてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜39及び比較例1〜4)
まずシラン架橋性樹脂を含むペレット状のシラン架橋性バッチ、並びに、非シラン架橋性樹脂に、シリコーン化合物、脂肪酸含有化合物及び無機フィラーを難燃剤として配合してなるペレット状の難燃バッチをそれぞれ用意した。
まずシラン架橋性樹脂を含むペレット状のシラン架橋性バッチ、並びに、非シラン架橋性樹脂に、シリコーン化合物、脂肪酸含有化合物及び無機フィラーを難燃剤として配合してなるペレット状の難燃バッチをそれぞれ用意した。
そして、シラン架橋性バッチ及び難燃バッチを容器内で混ぜ合わせることによってドライブレンドし、難燃性樹脂組成物を得た。このとき、シラン架橋性樹脂、非シラン架橋性樹脂、シリコーン化合物、脂肪酸金属塩及び無機フィラーの配合割合はそれぞれ表1〜5に示す通りとした。ここで、シリコーン化合物はシリコーンマスターバッチ(シリコーンMB)に含まれており、シリコーンMBはポリエチレン又はポリプロピレンとシリコーンガムとの混合物である。なお、表1〜5において、各配合成分の配合割合の単位は質量部である。また表1〜5において、シラン架橋性樹脂及び非シラン架橋性樹脂を合わせたベース樹脂の配合割合の合計が100質量部となっていないが、シラン架橋性樹脂及び非シラン架橋性樹脂の合計配合割合とシリコーンMB中のポリエチレン又はポリプロピレン(非シラン架橋性樹脂)の配合割合とを合計すれば、その合計は100質量部となる。
上記シラン架橋性樹脂、非シラン架橋性樹脂、シリコーン化合物、脂肪酸金属塩及び無機フィラーとしては具体的には下記のものを用いた。
(A)シラン架橋性樹脂
(A1)ビニルシラングラフト低密度ポリエチレン(ビニルシラングラフトLDPE)
商品名「リンクロンXCF730N」(三菱ケミカル社製、密度0.92g/cm3)
(A2)ビニルシラングラフト超低密度ポリエチレン(ビニルシラングラフトVLDPE)
商品名「リンクロンSL800N」(三菱ケミカル社製、密度0.87g/cm3)
(A3)ビニルシラングラフトポリプロピレン(ビニルシラングラフトPP)
商品名「リンクロンXPM800HM」(三菱ケミカル社製、密度0.91g/cm3)
(B)非シラン架橋性樹脂
(B1)非変性樹脂
(B1−1)ポリエチレン(PE)
商品名「ミラソン50」(三井デュポンポリケミカル製、低密度ポリエチレン(LDPE))
(B1−2)エチレン−αオレフィン共重合体
商品名「タフマーDF810」(三井化学社製、エチレン−ブテン共重合体)
(B1−3)ポリプロピレン(PP)
商品名「プライムポリプロ E−150GK」(プライムポリマー社製、ブロックポリプロピレン共重合体)
(B1−4)エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)
商品名「レクスパールA1150」(日本ポリエチレン社製)
(B1−5)エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)
商品名「LOTRYL 16MA003」(アルケマ社製)
(B1−6)スチレン系エラストマー
商品名「ダイナロン1320P」(JSR社製、水添スチレンブタジエンゴム(HSBR))
(B2)変性樹脂
(B2−1)酸変性ポリオレフィン(酸変性PO)
商品名「タフマーMA8510」(三井化学社製、無水マレイン酸変性ポリオレフィン)
(B2−2)酸変性スチレン系エラストマー
商品名「タフテックM1913」(旭化成ケミカルズ社製、無水マレイン酸変性スチレンエチレンブチレンスチレン共重合体)
(A)シラン架橋性樹脂
(A1)ビニルシラングラフト低密度ポリエチレン(ビニルシラングラフトLDPE)
商品名「リンクロンXCF730N」(三菱ケミカル社製、密度0.92g/cm3)
(A2)ビニルシラングラフト超低密度ポリエチレン(ビニルシラングラフトVLDPE)
商品名「リンクロンSL800N」(三菱ケミカル社製、密度0.87g/cm3)
(A3)ビニルシラングラフトポリプロピレン(ビニルシラングラフトPP)
商品名「リンクロンXPM800HM」(三菱ケミカル社製、密度0.91g/cm3)
(B)非シラン架橋性樹脂
(B1)非変性樹脂
(B1−1)ポリエチレン(PE)
商品名「ミラソン50」(三井デュポンポリケミカル製、低密度ポリエチレン(LDPE))
(B1−2)エチレン−αオレフィン共重合体
商品名「タフマーDF810」(三井化学社製、エチレン−ブテン共重合体)
(B1−3)ポリプロピレン(PP)
商品名「プライムポリプロ E−150GK」(プライムポリマー社製、ブロックポリプロピレン共重合体)
(B1−4)エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)
商品名「レクスパールA1150」(日本ポリエチレン社製)
(B1−5)エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)
商品名「LOTRYL 16MA003」(アルケマ社製)
(B1−6)スチレン系エラストマー
商品名「ダイナロン1320P」(JSR社製、水添スチレンブタジエンゴム(HSBR))
(B2)変性樹脂
(B2−1)酸変性ポリオレフィン(酸変性PO)
商品名「タフマーMA8510」(三井化学社製、無水マレイン酸変性ポリオレフィン)
(B2−2)酸変性スチレン系エラストマー
商品名「タフテックM1913」(旭化成ケミカルズ社製、無水マレイン酸変性スチレンエチレンブチレンスチレン共重合体)
(C)シリコーン化合物
(C1)シリコーンMB1
商品名「X−22−2125H」(信越化学工業社製、50質量%シリコーンガム(ジメチルポリシロキサン)と50質量%ポリエチレン(PE)とを含有)
(C2)シリコーンMB2
商品名「X−22−2101」(信越化学工業社製、50質量%シリコーンガム(ジメチルポリシロキサン)と50質量%ポリプロピレン(PP)とを含有)
(C3)シリコーンオイル
商品名「KF−96−350pcs」(信越化学工業社製)
(C1)シリコーンMB1
商品名「X−22−2125H」(信越化学工業社製、50質量%シリコーンガム(ジメチルポリシロキサン)と50質量%ポリエチレン(PE)とを含有)
(C2)シリコーンMB2
商品名「X−22−2101」(信越化学工業社製、50質量%シリコーンガム(ジメチルポリシロキサン)と50質量%ポリプロピレン(PP)とを含有)
(C3)シリコーンオイル
商品名「KF−96−350pcs」(信越化学工業社製)
(D)脂肪酸金属塩
(D1)ステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸Mg)
商品名「エフコケムMGS」(ADEKA社製)
(D2)ステアリン酸カルシウム(ステアリン酸Ca)
商品名「SC−P」、堺化学工業社製
(D1)ステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸Mg)
商品名「エフコケムMGS」(ADEKA社製)
(D2)ステアリン酸カルシウム(ステアリン酸Ca)
商品名「SC−P」、堺化学工業社製
(E)無機フィラー
(E1)炭酸カルシウム
商品名「NCC#410」(日東粉化工業社製、飽和脂肪酸処理炭酸カルシウム)
(E2)珪酸塩化合物
(E2−1)アミノシラン付着クレー
焼成クレー粒子(バーゲス・ピグメント社製)100質量部に対して3質量部のアミノシラン(3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)を加え、ヘンシェルミキサーで攪拌して得たもの
(E2−2)メタクリルシラン付着クレー
焼成クレー粒子(バーゲス・ピグメント社製)100質量部に対して3質量部のメタクリルシラン(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)を加え、ヘンシェルミキサーで攪拌して得たもの
(E2−3)アミノシラン付着タルク
タルク粒子(日本タルク社製)100質量部に対して3質量部のアミノシラン(3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)を加え、ヘンシェルミキサーで攪拌して得たもの
(E1)炭酸カルシウム
商品名「NCC#410」(日東粉化工業社製、飽和脂肪酸処理炭酸カルシウム)
(E2)珪酸塩化合物
(E2−1)アミノシラン付着クレー
焼成クレー粒子(バーゲス・ピグメント社製)100質量部に対して3質量部のアミノシラン(3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)を加え、ヘンシェルミキサーで攪拌して得たもの
(E2−2)メタクリルシラン付着クレー
焼成クレー粒子(バーゲス・ピグメント社製)100質量部に対して3質量部のメタクリルシラン(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)を加え、ヘンシェルミキサーで攪拌して得たもの
(E2−3)アミノシラン付着タルク
タルク粒子(日本タルク社製)100質量部に対して3質量部のアミノシラン(3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)を加え、ヘンシェルミキサーで攪拌して得たもの
[特性評価]
上記のようにして得られた実施例1〜39及び比較例1〜4の難燃性樹脂組成物を用いて以下のようにして絶縁電線を作製し、この絶縁電線について難燃性、耐熱性、ゲル分率及び耐油性の評価を行った。
上記のようにして得られた実施例1〜39及び比較例1〜4の難燃性樹脂組成物を用いて以下のようにして絶縁電線を作製し、この絶縁電線について難燃性、耐熱性、ゲル分率及び耐油性の評価を行った。
(絶縁電線の作製)
実施例1〜39及び比較例1〜4の難燃性樹脂組成物を、単軸押出機(L/D=20、スクリュー形状:フルフライトスクリュー、マース精機社製)に投入して混練し、その押出機からチューブ状の押出物を押し出し、断面積2mm2の導体上に、厚さが0.6mmとなるように被覆した。こうして絶縁電線を作製した。
実施例1〜39及び比較例1〜4の難燃性樹脂組成物を、単軸押出機(L/D=20、スクリュー形状:フルフライトスクリュー、マース精機社製)に投入して混練し、その押出機からチューブ状の押出物を押し出し、断面積2mm2の導体上に、厚さが0.6mmとなるように被覆した。こうして絶縁電線を作製した。
<難燃性>
上記絶縁電線について、以下の2種類の難燃性を評価した。
上記絶縁電線について、以下の2種類の難燃性を評価した。
(1)難燃性1
上記絶縁電線10本について、JASO D618に準拠した水平燃焼試験を行い、難燃性1を評価した。結果を表1〜5に示す。なお、表1〜5において、絶縁電線の絶縁層が燃焼するまで接炎し、離炎後、自己消化するまでの時間(残炎時間)を測定した。そして、残炎時間ごとに以下のようにランク付けを行った。
(評価ランク)
〇:10本のサンプルすべてについて、残炎時間が30秒以下
×:10本のサンプルのうち1本でも、残炎時間が30秒超又は全焼
上記絶縁電線10本について、JASO D618に準拠した水平燃焼試験を行い、難燃性1を評価した。結果を表1〜5に示す。なお、表1〜5において、絶縁電線の絶縁層が燃焼するまで接炎し、離炎後、自己消化するまでの時間(残炎時間)を測定した。そして、残炎時間ごとに以下のようにランク付けを行った。
(評価ランク)
〇:10本のサンプルすべてについて、残炎時間が30秒以下
×:10本のサンプルのうち1本でも、残炎時間が30秒超又は全焼
(2)難燃性2
上記絶縁電線10本について、ISO 6722に準拠した45度傾斜燃焼試験を以下のようにして行い、難燃性2を評価した。すなわち、まず、絶縁電線を600mmに切り出して試験サンプルとし、この試験サンプルを水平面に対して45°の角度に傾けた状態で固定した。次に、試験サンプルの下方に所定の大きさに調整したバーナーの炎を15秒間接炎した。但し、接炎の途中で絶縁電線の導体が露出した場合には、その時点でバーナーの炎を試験サンプルから離して接炎を終了した。そして、接炎終了後から試験サンプルが自己消火するまでの時間を測定した。絶縁電線の45度傾斜燃焼試験の評価については以下のようにランク付けを行った。結果を表1〜5に示す。
(評価ランク)
〇:10本のサンプルすべてについて、接炎終了後から70秒以内に自己消火し、且つサンプルの上部が50mm以上燃焼せずに残った
×:10本のサンプルのうち1本でも、接炎終了後から70秒以内に自己消火せず、又はサンプルの上部が50mm以上残らなかった
上記絶縁電線10本について、ISO 6722に準拠した45度傾斜燃焼試験を以下のようにして行い、難燃性2を評価した。すなわち、まず、絶縁電線を600mmに切り出して試験サンプルとし、この試験サンプルを水平面に対して45°の角度に傾けた状態で固定した。次に、試験サンプルの下方に所定の大きさに調整したバーナーの炎を15秒間接炎した。但し、接炎の途中で絶縁電線の導体が露出した場合には、その時点でバーナーの炎を試験サンプルから離して接炎を終了した。そして、接炎終了後から試験サンプルが自己消火するまでの時間を測定した。絶縁電線の45度傾斜燃焼試験の評価については以下のようにランク付けを行った。結果を表1〜5に示す。
(評価ランク)
〇:10本のサンプルすべてについて、接炎終了後から70秒以内に自己消火し、且つサンプルの上部が50mm以上燃焼せずに残った
×:10本のサンプルのうち1本でも、接炎終了後から70秒以内に自己消火せず、又はサンプルの上部が50mm以上残らなかった
(3)合格基準
難燃性は、上記難燃性1によって評価し、評価ランクが〇である絶縁電線を合格とした。
難燃性は、上記難燃性1によって評価し、評価ランクが〇である絶縁電線を合格とした。
<耐熱性>
上記絶縁電線について、以下の3種類の耐熱性を評価した。
上記絶縁電線について、以下の3種類の耐熱性を評価した。
(1)耐熱性1
上記絶縁電線についてISO6722 classCに準拠した試験を行い、耐熱性1を評価した。具体的には、長さ600mmの試験サンプルを用意し、125℃のオーブン中、試験サンプルを支持台の上に載せた状態で、試験サンプルに幅0.7mmのエッジを押し当てて所定の荷重をかけ、4時間保持した。その後、オーブンから試験サンプルを取り出し、すぐに冷水につけて冷却した。そして、試験サンプルを所定の塩水に10分間浸けた後に試験サンプルに1kVの交流電圧を1分間印加し、絶縁破壊が生じるか確認した。そして、以下のようにランク付けを行った。結果を表1〜5に示す。
(評価ランク)
〇:絶縁破壊が見られなかった
×:絶縁破壊が見られた
上記絶縁電線についてISO6722 classCに準拠した試験を行い、耐熱性1を評価した。具体的には、長さ600mmの試験サンプルを用意し、125℃のオーブン中、試験サンプルを支持台の上に載せた状態で、試験サンプルに幅0.7mmのエッジを押し当てて所定の荷重をかけ、4時間保持した。その後、オーブンから試験サンプルを取り出し、すぐに冷水につけて冷却した。そして、試験サンプルを所定の塩水に10分間浸けた後に試験サンプルに1kVの交流電圧を1分間印加し、絶縁破壊が生じるか確認した。そして、以下のようにランク付けを行った。結果を表1〜5に示す。
(評価ランク)
〇:絶縁破壊が見られなかった
×:絶縁破壊が見られた
(2)耐熱性2
上記絶縁電線についてISO6722 classDに準拠した試験を行い、耐熱性2を評価した。具体的には、長さ600mmの試験サンプルを用意し、150℃のオーブン中、試験サンプルを支持台の上に載せた状態で、試験サンプルに幅0.7mmのエッジを押し当てて所定の荷重をかけ、4時間保持した。その後、オーブンから試験サンプルを取り出し、すぐに冷水につけて冷却した。そして、試験サンプルを所定の塩水に10分間浸けた後に試験サンプルに1kVの交流電圧を1分間印加し、絶縁破壊が生じるか確認した。そして、以下のようにランク付けを行った。結果を表1〜5に示す。
(評価ランク)
〇:絶縁破壊が見られなかった
×:絶縁破壊が見られた
上記絶縁電線についてISO6722 classDに準拠した試験を行い、耐熱性2を評価した。具体的には、長さ600mmの試験サンプルを用意し、150℃のオーブン中、試験サンプルを支持台の上に載せた状態で、試験サンプルに幅0.7mmのエッジを押し当てて所定の荷重をかけ、4時間保持した。その後、オーブンから試験サンプルを取り出し、すぐに冷水につけて冷却した。そして、試験サンプルを所定の塩水に10分間浸けた後に試験サンプルに1kVの交流電圧を1分間印加し、絶縁破壊が生じるか確認した。そして、以下のようにランク付けを行った。結果を表1〜5に示す。
(評価ランク)
〇:絶縁破壊が見られなかった
×:絶縁破壊が見られた
(3)耐熱性3
上記絶縁電線について、ホットセット試験によって耐熱性3を評価した。ホットセット試験は、具体的には以下のようにして行った。まず絶縁電線から導体を抜き取り、絶縁層のみからなるチューブ状の試験サンプルを用意した。このときの試験サンプルの長さを標点距離とした。そして、200℃の高温雰囲気下で、試験サンプルの一端を固定し、試験サンプルの他端に20N/cm2の負荷荷重を吊り下げ、試験サンプルを15分間放置した。このときの試験サンプルの伸びを測定し、標点距離と測定された伸びの値から伸び率を算出した。また、試験サンプルから負荷荷重を除去した後の伸びを測定し、標点距離と測定された伸びの値とから永久伸び率を算出した。そして、以下のようにランク付けを行った。結果を表1〜5に示す。
(評価ランク)
〇:15分後の標点距離の伸び率が100%以下で且つ荷重除去後の標点間の永久伸び率が25%以下である
×:15分後の標点距離の伸び率が100%超であるか又は荷重除去後の標点間の永久伸び率が25%超である
上記絶縁電線について、ホットセット試験によって耐熱性3を評価した。ホットセット試験は、具体的には以下のようにして行った。まず絶縁電線から導体を抜き取り、絶縁層のみからなるチューブ状の試験サンプルを用意した。このときの試験サンプルの長さを標点距離とした。そして、200℃の高温雰囲気下で、試験サンプルの一端を固定し、試験サンプルの他端に20N/cm2の負荷荷重を吊り下げ、試験サンプルを15分間放置した。このときの試験サンプルの伸びを測定し、標点距離と測定された伸びの値から伸び率を算出した。また、試験サンプルから負荷荷重を除去した後の伸びを測定し、標点距離と測定された伸びの値とから永久伸び率を算出した。そして、以下のようにランク付けを行った。結果を表1〜5に示す。
(評価ランク)
〇:15分後の標点距離の伸び率が100%以下で且つ荷重除去後の標点間の永久伸び率が25%以下である
×:15分後の標点距離の伸び率が100%超であるか又は荷重除去後の標点間の永久伸び率が25%超である
(4)合格基準
耐熱性は、上記耐熱性1によって評価し、評価ランクが〇である絶縁電線を合格とした。
耐熱性は、上記耐熱性1によって評価し、評価ランクが〇である絶縁電線を合格とした。
<ゲル分率>
上記絶縁電線について、JASO D618の6.1.4.2のゲル分率測定方法に従ってゲル分率を測定した。具体的には、絶縁電線の絶縁層から一部を採取し、細かく裁断して試験サンプルを得た。この試験サンプル100mgを試験管に入れ、キシレン20mLを加えて、120℃の恒温油槽中で24時間加熱した。その後、試験サンプルを取り出し、100℃の乾燥器内で6時間乾燥した後、室温になるまで放冷してから、その質量m(単位:mg)を測定した。そして、下記式に基づいてゲル分率を算出し、以下のようにランク付けを行った。結果を表1〜5に示す。
ゲル分率(%)=(m/100)×100=m
(評価ランク)
◎:ゲル分率が60%以上
〇:ゲル分率が55%以上60%未満
△:ゲル分率が50%以上55%未満
×:ゲル分率が50%未満
上記絶縁電線について、JASO D618の6.1.4.2のゲル分率測定方法に従ってゲル分率を測定した。具体的には、絶縁電線の絶縁層から一部を採取し、細かく裁断して試験サンプルを得た。この試験サンプル100mgを試験管に入れ、キシレン20mLを加えて、120℃の恒温油槽中で24時間加熱した。その後、試験サンプルを取り出し、100℃の乾燥器内で6時間乾燥した後、室温になるまで放冷してから、その質量m(単位:mg)を測定した。そして、下記式に基づいてゲル分率を算出し、以下のようにランク付けを行った。結果を表1〜5に示す。
ゲル分率(%)=(m/100)×100=m
(評価ランク)
◎:ゲル分率が60%以上
〇:ゲル分率が55%以上60%未満
△:ゲル分率が50%以上55%未満
×:ゲル分率が50%未満
<耐油性>
上記絶縁電線について以下のようにして耐油性の評価を行った。まず上記絶縁電線を、約50℃のATF(Automatic Transmission Fluid)に20時間浸漬し、ATFから絶縁電線を取り出した後、30分間室温で乾燥させ、乾燥後5分以内に絶縁電線の外径を測定した。そして、ATFに浸漬する前の絶縁電線の外径D0と、浸漬後の絶縁電線の外径D1とから、下記式に基づいて膨潤率(%)を算出した。結果を表1〜5に示す。なお、表1〜5において、「−」は、膨潤率の測定が行われなかったことを示す。
膨潤率(%)=100×(D1−D0)/D0
上記絶縁電線について以下のようにして耐油性の評価を行った。まず上記絶縁電線を、約50℃のATF(Automatic Transmission Fluid)に20時間浸漬し、ATFから絶縁電線を取り出した後、30分間室温で乾燥させ、乾燥後5分以内に絶縁電線の外径を測定した。そして、ATFに浸漬する前の絶縁電線の外径D0と、浸漬後の絶縁電線の外径D1とから、下記式に基づいて膨潤率(%)を算出した。結果を表1〜5に示す。なお、表1〜5において、「−」は、膨潤率の測定が行われなかったことを示す。
膨潤率(%)=100×(D1−D0)/D0
表1〜5に示す結果より、実施例1〜39の難燃性樹脂組成物を用いて作製された絶縁電線は、難燃性及び耐熱性の点で合格基準に達していた。これに対し、比較例1〜4の難燃性樹脂組成物を用いて作製された絶縁電線は、難燃性及び耐熱性のうち少なくとも1つの点で合格基準に達していなかった。
このことから、本発明の難燃性樹脂組成物が、難燃性樹脂組成物の架橋体に対して優れた難燃性と優れた耐熱性とを付与できることが確認された。
本発明の難燃性樹脂組成物が、難燃性樹脂組成物の架橋体に対して優れた難燃性と優れた耐熱性とを付与できるので、本発明の絶縁電線、ケーブル及び光ファイバケーブルは、自動車の絶縁電線、ケーブル及び光ファイバケーブルとして特に適している。
1…導体
2…絶縁層
3…シース
4…絶縁電線
10…ケーブル
20…光ファイバケーブル
24…光ファイバ
25…被覆部
2…絶縁層
3…シース
4…絶縁電線
10…ケーブル
20…光ファイバケーブル
24…光ファイバ
25…被覆部
Claims (7)
- シラン架橋性樹脂を含むシラン架橋性バッチと、
非シラン架橋性樹脂に、シリコーン化合物、脂肪酸金属塩、及び無機フィラーを含む難燃剤を配合してなる難燃バッチとを含有する難燃性樹脂組成物であって、
前記無機フィラーが、炭酸カルシウム及び珪酸塩化合物からなる群より選択される少なくとも1種からなり、
前記シラン架橋性樹脂と前記非シラン架橋性樹脂とを合わせたベース樹脂100質量部中に前記シラン架橋性樹脂が40質量部以上の割合で含まれ、
前記ベース樹脂100質量部に対し、
前記シリコーン化合物が1質量部以上の割合で配合され、
前記脂肪酸金属塩が2質量部以上の割合で配合され、
前記無機フィラーが5質量部以上の割合で配合されている、難燃性樹脂組成物。 - 前記無機フィラーの表面にアミノシランが付着している、請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記無機フィラーが珪酸塩化合物である、請求項2に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記非シラン架橋性樹脂が変性樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 導体と、
前記導体を被覆する絶縁層とを有する絶縁電線を備えており、
前記絶縁層が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物の架橋体で構成される絶縁電線。 - 導体、及び、前記導体を被覆する絶縁層を有する絶縁電線と、前記絶縁電線を覆うシースとを有し、
前記絶縁層及び前記シースの少なくとも一方が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物の架橋体で構成されるケーブル。 - 光ファイバと、
前記光ファイバを被覆する被覆部とを備え、
前記被覆部の少なくとも一部が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物の架橋体で構成される光ファイバケーブル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019021078A JP2020128471A (ja) | 2019-02-07 | 2019-02-07 | 難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線、ケーブル及び光ファイバケーブル |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2020128471A true JP2020128471A (ja) | 2020-08-27 |
Family
ID=72175275
Family Applications (1)
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JP2019021078A Pending JP2020128471A (ja) | 2019-02-07 | 2019-02-07 | 難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線、ケーブル及び光ファイバケーブル |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2020128471A (ja) |
-
2019
- 2019-02-07 JP JP2019021078A patent/JP2020128471A/ja active Pending
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