以下に図面を参照して、本発明にかかる解析装置および解析方法の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
(実施の形態1にかかる測定・解析システム)
図1は、実施の形態1にかかる測定・解析システムの一例を示す図である。図1に示す実施の形態1にかかる測定・解析システム100は、電波環境(特定の場所)10における電波の受信レベルを測定し、測定結果に基づいて電波環境10における希望信号に対する干渉波に関する解析を行うシステムである。
電波環境10は、無線通信が行われるエリアである。図1に示す例では、電波環境10には、無線ルータ11,12と、スマートフォン13と、電子時計14と、エア・コンディショナ15と、が含まれる。たとえば、無線ルータ11,12のそれぞれは、Wi−Fi(登録商標)などの無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントである。スマートフォン13、電子時計14およびエア・コンディショナ15のそれぞれは、Bluetooth(登録商標)や無線LANなどにより無線通信を行う。
希望信号は、電波環境10において使用される特定の通信装置が送受信する無線信号である。特定の通信装置は、上述の無線ルータ11,12などの通信装置の一部であってもよいし、他の通信装置であってもよい。測定・解析システム100による測定および解析は、この特定の通信装置のシステムを電波環境10に構築する前における事前調査や、この特定の通信装置のシステムを電波環境10において運用している際に発生した通信不達の原因調査などに際して行われる。
また、希望信号は、たとえばディジタル処理により変調が行われるディジタル変調方式の無線信号である。また、希望信号のディジタル変調方式には、希望信号のディジタル変調方式には、たとえばスペクトラム拡散変調が用いられてもよい。
測定・解析システム100は、受信ノード110と、ネットワーク120と、データベース130と、解析装置140と、を含む。受信ノード110は、電波環境10に配置され、電波環境10における電波を受信する。また、受信ノード110は、受信した電波の受信レベルを測定する。受信レベルは、たとえばRSS(Received Signal Strength:受信信号強度)である。また、受信レベルは、RSSを特定可能なRSSI(Received Signal Strength Indicator)であってもよい。
また、受信ノード110は、電波の受信および測定を繰り返し(たとえば周期的に)行うことにより、測定した受信レベルの時系列を生成する。そして、受信ノード110は、生成した受信レベルの時系列を示す情報(以下、RSSデータとする。)を、ネットワーク120を介してデータベース130へ送信する。
ネットワーク120は、受信ノード110、データベース130および解析装置140を接続する、WAN(Wide Area Network:広域通信網)やLANなどの通信網である。
データベース130は、受信ノード110から送信されたRSSデータを格納する。データベース130は、仮想化技術を用いたクラウド環境により実現されるデータベースであってもよいし、特定のサーバ装置などにより実現されるデータベースであってもよい。
解析装置140は、ネットワーク120を介してデータベース130にアクセスすることにより、データベース130に格納されたRSSデータを取得する。そして、解析装置140は、取得したRSSデータに基づいて、電波環境10における希望信号に対する干渉波に関する解析を行う。解析装置140による解析については後述する(たとえば図5参照)。
図1においては受信ノード110、データベース130および解析装置140がネットワーク120を介して接続された構成について説明したが、このような構成に限らない。たとえば、解析装置140は受信ノード110からRSSデータを直接取得してもよく、その場合は測定・解析システム100からデータベース130を省いてもよい。また、受信ノード110およびデータベース130が一体の装置であってもよいし、データベース130および解析装置140が一体の装置であってもよい。
(実施の形態1にかかる受信ノード)
図2は、実施の形態1にかかる受信ノードの一例を示す図である。図1に示した受信ノード110は、たとえば、図2に示すように、受信アンテナ201と、受信部202と、ADC(Analog/Digital Converter)203と、通信部204と、を備える。受信アンテナ201は、電波環境10における電波を受信し、受信した電波に応じた信号を受信部202へ出力する。
受信部202は、受信アンテナ201から出力された信号の受信処理を行う。受信処理には、たとえば、増幅や、ベースバンド信号への周波数変換などが含まれる。受信部202は、受信処理を行った信号をADC203へ出力する。
ADC203は、受信部202から出力された信号をアナログ信号からディジタル信号に変換する。これにより、受信アンテナ201が受信した電波の受信強度を示すディジタル信号を得ることができる。ADC203は、変換したディジタル信号を通信部204へ出力する。
通信部204は、ADC203から出力されたディジタル信号に基づいて、RSSの時系列を示すRSSデータを生成する。RSSデータは、RSS自体の時系列であってもよいし、RSSを示すRSSIの時系列であってもよい。通信部204は、生成したRSSデータを、ネットワーク120を介してデータベース130へ送信する。通信部204によるRSSデータの送信は、ネットワーク120のプロトコル(たとえばTCP/IP:Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に応じて行われる。
受信ノード110によるRSSの測定は、無線チャネル(周波数)ごとに行われてもよい。この場合は、上述のRSSデータも無線チャネルごとに生成されてデータベース130へ送信される。受信ノード110によるRSSの測定は、解析装置140などの他の通信装置からの制御信号を受信ノード110が受信することによって行われてもよい。
(実施の形態1にかかる解析装置)
図3は、実施の形態1にかかる解析装置の一例を示す図である。解析装置140は、たとえば、図3に示すように、RSSデータ取得部301と、希望信号情報取得部302と、所要S/N比導出部303と、RSS閾値算出部304と、干渉波判定部305と、干渉波情報算出部306と、出力部307と、を備える。
RSSデータ取得部301は、たとえばネットワーク120を介してデータベース130にアクセスすることによりデータベース130からRSSデータ(たとえば図6参照)を取得する。そして、RSSデータ取得部301は、取得したRSSデータを干渉波判定部305へ出力する。
希望信号情報取得部302は、上述の希望信号の通信パラメータを示す希望信号情報(たとえば図7参照)を取得する。そして、希望信号情報取得部302は、取得した希望信号情報を所要S/N比導出部303およびRSS閾値算出部304へ出力する。
所要S/N比導出部303は、希望信号情報取得部302から出力された希望信号情報に基づいて希望信号の所要S/N比を導出する。たとえば、所要S/N比導出部303は、希望信号情報に含まれる希望信号のSF(Spreading Factor:拡散比)に基づいて希望信号の所要S/N比を導出する(たとえば図8参照)。
SFは、たとえば希望信号のスペクトラム拡散変調における拡散比である。希望信号の所要S/N比は、たとえば希望信号に求められるS/N比(信号対雑音比)の最低値である。所要S/N比導出部303は、導出した所要S/N比をRSS閾値算出部304へ出力する。
RSS閾値算出部304は、希望信号情報取得部302から出力された希望信号情報と、所要S/N比導出部303から出力された所要S/N比と、に基づいてRSS閾値を算出する。RSS閾値は、受信電波が希望信号への干渉波となるか否かを判定するための、受信電波の受信レベルの閾値である。たとえば、RSS閾値算出部304は、希望信号情報に含まれる後述の設定RSSと、所要S/N比と、に基づいてRSS閾値=設定RSS−所要S/N比によりRSS閾値を算出する。そして、RSS閾値算出部304は、算出した設定RSSを干渉波判定部305へ出力する。
干渉波判定部305は、RSSデータ取得部301から出力されたRSSデータと、RSS閾値算出部304から出力されたRSS閾値と、に基づく干渉波の判定を行う(たとえば図9参照)。たとえば、干渉波判定部305は、RSSデータが示す各時刻のRSSとRSS閾値との比較を行うことにより、希望信号への干渉波の有無の判定を行う。そして、干渉波判定部305は、干渉波の判定の結果を示す干渉波パターンを干渉波情報算出部306へ出力する。
干渉波情報算出部306は、干渉波判定部305から出力された干渉波パターンに基づいて、電波環境10における希望信号への干渉波が発生する時間的な割合に関する情報を算出する。希望信号への干渉波が発生する時間的な割合に関する情報は、たとえば電波環境10における希望信号への干渉の度合いを示す情報であり、一例としては干渉波の占有率である。干渉波の占有率は、たとえば希望信号への干渉波が存在する時間的な割合である(たとえば図11参照)。干渉波情報算出部306は、算出した干渉波が発生する時間的な割合に関する情報を出力部307へ出力する。
出力部307は、干渉波情報算出部306から出力された干渉波が発生する時間的な割合に関する情報を出力する。出力部307による干渉波が発生する時間的な割合に関する情報の出力は、たとえば音声や表示によるユーザへの出力である(たとえば図14参照)。また、出力部307による干渉波が発生する時間的な割合に関する情報の出力は、干渉波が発生する時間的な割合に関する情報の、記憶媒体への記録や他の通信装置への送信などであってもよい。
(実施の形態1にかかる解析装置のハードウェア構成)
図4は、実施の形態1にかかる解析装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示した解析装置140は、たとえば図4に示す情報処理装置400により実現することができる。情報処理装置400は、プロセッサ401と、メモリ402と、通信インタフェース403と、ユーザインタフェース404と、を備えるコンピュータである。プロセッサ401、メモリ402、通信インタフェース403およびユーザインタフェース404は、たとえばバス409によって接続される。
プロセッサ401は、信号処理を行う回路であり、たとえば情報処理装置400の全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)である。メモリ402には、たとえばメインメモリおよび補助メモリが含まれる。メインメモリは、たとえばRAM(Random Access Memory)である。メインメモリは、プロセッサ401のワークエリアとして使用される。
補助メモリは、たとえば磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。補助メモリには、情報処理装置400を動作させる各種のプログラムが記憶されている。補助メモリに記憶されたプログラムは、メインメモリにロードされてプロセッサ401によって実行される。
また、補助メモリは、情報処理装置400から取り外し可能な可搬型のメモリを含んでもよい。可搬型のメモリには、USB(Universal Serial Bus)フラッシュドライブやSD(Secure Digital)メモリカードなどのメモリカードや、外付けハードディスクドライブなどがある。
通信インタフェース403は、情報処理装置400の外部(たとえばデータベース130)との間で通信を行う通信インタフェースである。通信インタフェース403は、プロセッサ401によって制御される。
ユーザインタフェース404は、たとえば、ユーザからの操作入力を受け付ける入力デバイスや、ユーザへ情報を出力する出力デバイスなどを含む。入力デバイスは、たとえばポインティングデバイス(たとえばマウス)、キー(たとえばキーボード)やリモコンなどにより実現することができる。出力デバイスは、たとえばディスプレイやスピーカなどにより実現することができる。また、タッチパネルなどによって入力デバイスおよび出力デバイスを実現してもよい。ユーザインタフェース404は、プロセッサ401によって制御される。
図3に示したRSSデータ取得部301および希望信号情報取得部302のそれぞれは、たとえば通信インタフェース403またはユーザインタフェース404により実現することができる。図3に示した所要S/N比導出部303、RSS閾値算出部304、干渉波判定部305および干渉波情報算出部306は、たとえばプロセッサ401およびメモリ402により実現することができる。図3に示した出力部307は、たとえば通信インタフェース403またはユーザインタフェース404により実現することができる。
(実施の形態1にかかる解析装置による処理)
図5は、実施の形態1にかかる解析装置による処理の一例を示すフローチャートである。実施の形態1にかかる解析装置140は、たとえば図5に示す処理を実行する。まず、解析装置140は、データベース130からRSSデータを取得する(ステップS501)。ステップS501において解析装置140が取得するRSSデータについては後述する(たとえば図6参照)。
また、解析装置140は、希望信号情報を取得する(ステップS502)。ステップS502において解析装置140が取得する希望信号情報については後述する(たとえば図7参照)。つぎに、解析装置140は、ステップS502により取得した希望信号情報に含まれる希望信号のSF(Spreading Factor)に基づいて所要S/N比を導出する(ステップS503)。ステップS503におけるSFに基づく所要S/N比の導出については後述する(たとえば図8参照)。
つぎに、解析装置140は、ステップS502により取得した希望信号情報に含まれる設定RSSと、ステップS503により導出した所要S/N比と、に基づいてRSS閾値を算出する(ステップS504)。たとえば、解析装置140は、RSS閾値=設定RSS−所要S/N比によってRSS閾値を算出する。なお、ステップS501と、ステップS502〜S504と、の順序を入れ替えてもよい。
つぎに、解析装置140は、ステップS501により取得したRSSデータに含まれる各RSSと、ステップS504により算出したRSS閾値と、の比較に基づいて干渉波の判定を行う(ステップS505)。これにより、測定されたRSSがRSS閾値を超えた期間を、干渉波が発生した期間として抽出することができる。ステップS505における干渉波の判定については後述する(たとえば図9参照)。
つぎに、解析装置140は、ステップS505による干渉波の判定の結果に基づく干渉波パターンを記録する(ステップS506)。ステップS506において記録される干渉波パターンについては後述する(たとえば図10参照)。つぎに、解析装置140は、ステップS506において記録した干渉波パターンに基づいて干渉波の占有率を算出する(ステップS507)。ステップS507における干渉波の占有率の算出については後述する(たとえば図11参照)。
つぎに、解析装置140は、ステップS507により算出した干渉波の占有率を出力し(ステップS508)、一連の処理を終了する。ステップS508における干渉波の占有率の出力は、たとえば音声や表示によるユーザへの出力である。また、干渉波の占有率の出力は、干渉波の占有率を示す情報の、記憶媒体への記録や他の通信装置への送信などであってもよい。干渉波の占有率のユーザへの表示については後述する(たとえば図14参照)。
(実施の形態1にかかる解析装置が取得するRSSデータ)
図6は、実施の形態1にかかる解析装置が取得するRSSデータの一例を示す図である。図5に示したステップS501において、解析装置140はたとえば図6に示すRSSデータ600を取得する。RSSデータ600は、ある期間において受信ノード110によりRSSが測定された時刻ごとに、受信ノード110により測定されたRSSを示す。図6に示す例では、受信ノード110がある期間において0.01秒ごとにRSSを測定しており、その結果を示すRSSデータ600を解析装置140が取得したとする。
RSSデータ600において、Timeは受信ノード110によりRSSが測定された時刻を[date−hh:mm:ss.ss]の形式で示すタイムスタンプである。たとえば、“2018−4−24−18:06:00.00Z”は、UTC(Coordinated Universal Time:協定世界時)における西暦2018年4月24日18時6分0.00秒を示している。RSSデータ600において、RSS[dBm]は、電波環境10において受信ノード110により測定(サンプリング)されたエネルギーの受信レベルである。
たとえば、受信ノード110は、電波環境10における測定の結果に基づいてRSSデータ600を生成し、生成したRSSデータ600を、ネットワーク120を介してデータベース130へ送信する。これにより、データベース130においてRSSデータ600が格納される。解析装置140は、ネットワーク120を介してデータベース130にアクセスすることにより、データベース130からRSSデータ600を取得することができる。または、解析装置140は、受信ノード110からデータベース130を介さずにRSSデータ600を取得してもよい。
(実施の形態1にかかる解析装置が取得する希望信号情報)
図7は、実施の形態1にかかる解析装置が取得する希望信号情報の一例を示す図である。図5に示したステップS502において、解析装置140は、たとえば図7に示す希望信号情報700を取得する。希望信号情報700は、電波環境10において使用中または使用予定の信号(希望信号)に関する情報である。
希望信号情報700は、項目として、設定RSS[dBm]、SFおよび平均パケット長[sec]などの通信パラメータを含む。希望信号情報700の設定RSSは、希望信号の通信システムにおいて想定される、受信ノード110の位置における希望信号のRSS(RSSの期待値)である。希望信号情報700のSFは、希望信号のスペクトラム拡散変調における拡散比(無次元)である。希望信号情報700の平均パケット長は、希望信号のパケット長の平均値である。
たとえば、解析装置140は、希望信号情報700の各項目の情報を入力する操作をユーザから受け付けることにより希望信号情報700を取得する(たとえば図14参照)。ただし、解析装置140が希望信号情報700を取得する方法はこれに限らず、たとえば、解析装置140は、希望信号情報700を含むデータファイルを読み込むことにより希望信号情報700を取得してもよい。または、解析装置140は、ネットワーク120を介して他の通信装置から希望信号情報700を取得してもよい。
(実施の形態1にかかる解析装置が所要S/N比の導出に用いる対応情報)
図8は、実施の形態1にかかる解析装置が所要S/N比の導出に用いる対応情報の一例を示す図である。図5に示したステップS503において、解析装置140は、たとえば図8に示す対応情報800を用いて所要S/N比を導出する。
対応情報800は、SFごとに所要S/N比を対応付ける情報である。対応情報800のSFは、上述の希望信号情報700に含まれる希望信号のSFである。対応情報800の所要S/N比は、希望信号に求められるS/N比の最低値(期待値)である。希望信号に求められるS/N比の最低値は、たとえば、希望信号を用いた通信において誤り率を一定値以下にするために要する希望信号のS/N比の最低値である。
SFごとの所要S/N比は、たとえば無線システムごと(たとえば無線方式ごと)に事前に実験やシミュレーションなどにより導出され、その導出結果に基づいて対応情報800が作成される。対応情報800は、たとえば解析装置140のメモリ(たとえば図4に示したメモリ402)に記録されている。解析装置140は、取得した希望信号情報700に含まれるSFに対応する所要S/N比を対応情報800から検索することにより所要S/N比を導出する。
そして、解析装置140は、図5に示したステップS504において、取得した希望信号情報700に含まれる設定RSSから、導出した所要S/N比を減ずる(設定RSS−所要S/N比)ことによりRSS閾値を導出する。図7,図8に示す例では、希望信号情報700に含まれる設定RSSが−110[dBm]であり、希望信号情報700に含まれるSFが10であり、対応情報800においてSF=10に対応する所要S/N比は−15[dB]である。したがって、RSS閾値は−110[dBm]−(−15[dB])=−95[dBm]となる。
SFごとに所要S/N比を対応付ける対応情報としてテーブル形式の対応情報800を用いる構成について説明したが、このような構成に限らない。たとえば、SFごとに所要S/N比を対応付ける対応情報は、SFから所要S/N比を算出可能な関数などであってもよい。
(実施の形態1にかかる解析装置による干渉波の判定)
図9は、実施の形態1にかかる解析装置による干渉波の判定の一例を示すフローチャートである。図5に示したステップS505において、解析装置140は、たとえば図9に示す処理により干渉波の判定を行う。
まず、解析装置140は、インデックスmを初期化(m=1)する(ステップS901)。インデックスmは、RSSデータ600が示すRSSの複数の測定結果のうち現在の処理対象の測定結果を示す情報であり、解析装置140のメモリ(たとえば図4に示したメモリ402)に記録される。
つぎに、解析装置140は、処理対象のタイムスタンプである対象タイムスタンプを、取得したRSSデータ600のm個目のタイムスタンプに設定する(ステップS902)。つぎに、解析装置140は、ステップS902において設定した対象タイムスタンプに対応するRSSをRSSデータ600から取得する(ステップS903)。
つぎに、解析装置140は、ステップS903により取得したRSSが、図5のステップS504により算出したRSS閾値以上であるか否かを判断する(ステップS904)。RSSがRSS閾値以上である場合(ステップS904:Yes)は、解析装置140は、干渉波フラグ[m]を“1”に設定し(ステップS905)、ステップS907へ移行する。RSSがRSS閾値以上でない場合(ステップS904:No)は、解析装置140は、干渉波フラグ[m]を“0”に設定し(ステップS906)、ステップS907へ移行する。
干渉波フラグ[m]は、RSSのm番目の測定時に干渉波(RSS閾値以上の電波)が検出されたか否かを示すフラグ情報であり、解析装置140のメモリ(たとえば図4に示したメモリ402)に記録される。干渉波フラグ[m]=1は干渉波が検出されたことを示し、干渉波フラグ[m]=0は干渉波が検出されなかったことを示す。
つぎに、解析装置140は、現在のインデックスmが最大値Mに達したか否かを判断する(ステップS907)。最大値Mは、インデックスmの最大値、すなわちRSSデータ600に含まれるRSSの測定結果の数に相当する。インデックスmがMに達していない場合(ステップS907:No)は、解析装置140は、インデックスmをインクリメント(m=m+1)し(ステップS908)、ステップS902へ戻る。
ステップS907において、インデックスmがMに達した場合(ステップS907:Yes)は、解析装置140は、図5に示したステップS505による干渉波の判定を終了し、図5に示したステップS506へ移行する。図5に示した処理に基づく、ステップS506における干渉波パターンの記録について図10において説明する。
(実施の形態1にかかる解析装置が記録する干渉波パターン)
図10は、実施の形態1にかかる解析装置が記録する干渉波パターンの一例を示す図である。図5に示したステップS506において、解析装置140は、たとえば図10に示す干渉波パターン1000を生成してメモリ(たとえば図4に示したメモリ402)に記録する。たとえば、解析装置140は、上述のインデックスm=1〜Mのそれぞれについて、RSSデータ600のm個目のタイムスタンプと、図9に示した処理により設定した干渉波フラグ[m]と、を対応付けることにより干渉波パターン1000を生成する。
たとえば干渉波パターン1000の1行目のデータは、西暦2018年4月24日18時6分0.00秒において干渉波が検出されたことを示している。また、たとえば干渉波パターン1000の3行目のデータは、西暦2018年4月24日18時6分0.02秒において干渉波が検出されなかったことを示している。
(実施の形態1にかかる解析装置による干渉波の占有率の算出)
図11は、実施の形態1にかかる解析装置による干渉波の占有率の算出の一例を示すフローチャートである。図5に示したステップS507において、解析装置140は、たとえば図11に示す処理により干渉波の占有率を算出する。
まず、解析装置140は、ステップS506において記録した干渉波パターン1000に含まれる干渉波検出フラグ群の数Nをカウントする(ステップS1101)。干渉波検出フラグ群とは、たとえば、干渉波パターン1000において、フラグ値が“1”であり対応するタイムスタンプが連続する1個以上の干渉波フラグである。たとえば、図10に示した例では、1行目および2行目の各干渉波フラグが1個目の干渉波検出フラグ群であり、6行目の干渉波フラグが2個目の干渉波検出フラグ群である。
つぎに、解析装置140は、干渉波パターン1000において干渉波検出フラグ群が発生する平均周期TUDを算出する(ステップS1102)。たとえば、平均周期TUDは、たとえば、ステップS1101によりカウントした干渉波検出フラグ群の数Nと、測定期間Tと、に基づいてTUD=T/Nにより算出することができる。
測定期間Tは、干渉波パターン1000に含まれる各測定結果の全体の期間である。すなわち測定期間Tは、たとえば、干渉波パターン1000の最初のタイムスタンプが示す時刻と、干渉波パターン1000の最後のタイムスタンプが示す時刻と、の差分である。
つぎに、解析装置140は、干渉波パターン1000の各測定結果における干渉波の平均時間長τUDを算出する(ステップS1103)。平均時間長τUDは、たとえば、ステップS1101によりカウントした干渉波検出フラグ群の数Nと、干渉波検出時間t1,t2,…,tNと、に基づいてτUD=(t1+t2+…+tN)/Nにより算出することができる。
干渉波検出時間t1,t2,…,tNは、それぞれ1個目〜N個目までの干渉波検出フラグ群の時間長である。受信ノード110による測定(サンプリング)が一定のサンプリング間隔Tsで行われる場合に、干渉波検出時間t1,t2,…,tNは、たとえばそれぞれの干渉波検出フラグ群に含まれる干渉波フラグの数にサンプリング間隔Tsを乗じた値である。サンプリング間隔Tsは、図10に示した例では0.01秒である。たとえば、図10に示した干渉波パターン1000における1個目の干渉波検出フラグ群(1行目および2行目)に対応する干渉波検出時間t1は、2×0.01秒=0.02秒である。干渉波検出時間については後述する(たとえば図12参照)。
つぎに、解析装置140は、ステップS1102により算出した平均周期TUDに対する、ステップS1103により算出した平均時間長τUDの比(τUD/TUD)を、干渉波の占有率として算出する(ステップS1104)。そして、解析装置140は、図5に示したステップS507による干渉波の占有率の算出を終了し、図5に示したステップS508へ移行する。
(実施の形態1にかかる干渉波検出時間)
図12は、実施の形態1にかかる干渉波検出時間の一例を示すグラフである。図12において、横軸は時間(t)を示し、縦軸はRSSを示している。図12に示す例では、上述の測定期間Tが2.6[sec]であるとする。RSS変化1201は、電波環境10におけるRSSの時間変化を示している。
サンプリングタイミング1202は、測定期間Tにおいて受信ノード110がRSS変化1201を測定(サンプリング)した各タイミングである。RSSデータ600の各タイムスタンプはサンプリングタイミング1202の各タイミングを示す情報である。上述のサンプリング間隔Tsはサンプリングタイミング1202の間隔であり、図12に示す例では125[ms]である。
測定期間Tにおいては、RSS変化1201が2回、RSS閾値以上となっている。すなわち、この場合は2個の干渉波検出フラグ群が含まれる。したがって、図11に示したステップS1101においてカウントされる干渉波検出フラグ群の数NはN=2となる。また、図11に示したステップS1102において算出される平均周期TUDは、TUD=T/N=2.6[sec]/2=1.3[sec]となる。
1個目の干渉波検出フラグ群にはサンプリングタイミング1202が3回含まれているため、1個目の干渉波検出フラグ群の干渉波検出時間t1は、t1=Ts×3=125[ms]×3=375[ms]となる。2個目の干渉波検出フラグ群にはサンプリングタイミング1202が4回含まれているため、2個目の干渉波検出フラグ群の干渉波検出時間t2は、t2=Ts×4=125[ms]×4=500[ms]となる。
(実施の形態1にかかる解析装置が算出する干渉波の占有率)
図13は、実施の形態1にかかる解析装置が算出する干渉波の占有率の一例を説明するグラフである。図13において、横軸は時間(t)を示し、縦軸はRSSを示している。また、図12において、測定結果等の条件は図12に示した例と同じである。図13の干渉波検出期間1301は、干渉波検出フラグ群が発生する平均周期TUDの期間のうち、平均周期TUDの時間長の干渉波が発生した期間を示している。
図12において説明したように、1個目の干渉波検出フラグ群の干渉波検出時間t1は375[ms]であり、2個目の干渉波検出フラグ群の干渉波検出時間t2は500[ms]である。したがって、図11に示したステップS1103において算出される平均時間長τUDは、τUD=(t1+t2)/2=(375[ms]+500[ms])/2=437.5[ms]となる。
また、図12において説明したように、平均周期TUDは1.3[sec]である。したがって、図11に示したステップS1104において算出される干渉波の占有率は、τUD/TUD=437.5[ms]/1.3[sec]≒0.3となる。これは、干渉波検出期間1301に示しているように、干渉波検出フラグ群が発生する平均周期TUDごとに、その平均周期TUDの3割程度の時間長(TUD)において干渉が発生していることを意味する。
したがって、図5に示したステップS508において、干渉波の占有率として“0.3”を出力することにより、ユーザは、時間的な割合で3割程度の干渉が電波環境10において発生していたと把握することができる。
図11に示した処理により干渉波の占有率を算出する処理について説明したが、干渉波の占有率を算出する処理はこれに限らない。たとえば、解析装置140は、上述の干渉波検出時間t1,t2,…,tNおよび測定期間Tを用いて、(t1+t2+…+tN)/Tにより干渉波の占有率を算出してもよい。この場合に、図12,図13に示した例では、(t1+t2)/T=(375[ms]+500[ms])/2.6[sec]≒0.3となり、上述の処理による算出と同様の結果を得ることができる。
また、受信ノード110による測定(サンプリング)が一定のサンプリング間隔(たとえば上述のTs)で行われる場合は、解析装置140は、干渉波パターン1000に含まれる干渉フラグにおける“1”の割合を干渉波の占有率を算出してもよい。
(実施の形態1にかかる解析装置の入力画面および出力画面)
図14は、実施の形態1にかかる解析装置の入力画面および出力画面の一例を示す図である。実施の形態1にかかる解析装置140は、たとえば図14に示す入力画面1410および出力画面1420をユーザに表示する。
たとえば図5に示した処理の開始時に、解析装置140は、入力画面1410を表示する。入力画面1410は、たとえば図4に示したユーザインタフェース404に含まれるディスプレイにより表示される。入力画面1410には、入力ボックス1411〜1415および登録ボタン1416が含まれている。
入力ボックス1411〜1415は、たとえば図4に示したユーザインタフェース404に含まれるキーなどにより数値の入力が可能である。入力ボックス1411は、観測時間[秒]を入力するための領域である。入力ボックス1412は、観測チャネル[ch]を入力するための領域である。
入力ボックス1413〜1415は、上述の希望信号情報に含まれる各情報を入力するための領域である。入力ボックス1413は、希望信号の設定RSSを入力するための領域である。入力ボックス1414は、希望信号のSFを入力するための領域である。入力ボックス1415は、希望信号の平均パケット長を入力するための領域である。
登録ボタン1416は、たとえば図4に示したユーザインタフェース404に含まれるポインティングデバイスなどにより押下が可能な領域である。ユーザが入力ボックス1411〜1415に各情報を入力した後に登録ボタン1416を押下すると、解析装置140は、入力ボックス1411〜1415へ入力された各情報に基づいて、たとえば図5に示した処理を実行する。
たとえば、解析装置140は、図5に示したステップS501において、入力ボックス1411,1412へ入力された各情報に基づくRSSデータをデータベース130から取得する。また、解析装置140は、図5に示したステップS502において、入力ボックス1413〜1415へ入力された各情報を希望信号情報として取得する。
また、解析装置140は、図5に示したステップS508において、図14に示す出力画面1420をユーザに表示する。出力画面1420は表示部1421を含む。解析装置140は、たとえば図5に示したステップS507により算出した干渉波の占有率を表示部1421により表示する。図14に示す例では干渉波の占有率が%により表示されている。これにより、ユーザに対して電波環境10の混雑度合いを可視化することができる。
このように、実施の形態1によれば、希望信号の所要の信号対雑音比(所要S/N比)および希望信号の所定の受信レベル(設定RSS)に基づいて算出された閾値(RSS閾値)を受信レベルの時系列(RSSデータ)と比較することができる。これにより、希望信号の特性に応じて、希望信号を妨害する干渉波の有無を正確に判定することができる。
たとえば、希望信号の特性に応じて、希望信号の通信品質への影響が十分に小さい電波を希望信号への干渉波と判定したり、希望信号の通信品質へ無視できない影響を与える電波を希望信号への干渉波でないと判定したりする誤判定を抑制することができる。このため、希望信号に対する干渉波の占有率など、希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する正確な情報を算出することが可能になる。したがって、ユーザは、たとえば希望信号の無線環境における混雑度を把握することができる。
また、実施の形態1によれば、受信ノード110において電波の復調を行わなくても、受信ノード110において測定されたRSSに基づいて、希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する正確な情報を算出することが可能になる。このため、受信ノード110における処理量を低減することができる。また、受信ノード110において電波の復調に失敗することにより干渉波の判定を誤ることを回避し、希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する正確な情報を算出することが可能になる。
上述の閾値は、たとえば希望信号の所定の受信レベルから希望信号の所要の信号対雑音比を減じることにより算出される。これにより、希望信号の特性に応じて、希望信号に対して干渉する干渉波の有無を正確に判定可能な受信レベルの閾値が得られる。
上述の希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する情報は、たとえば、電波の受信レベルが測定された所定の期間のうち、測定された電波の受信レベルが上述の閾値を超えた期間を抽出することにより算出される。これにより、希望信号に対して干渉する干渉波が発生した期間を正確に判定することができる。このため、希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する正確な情報を算出することが可能になる。
上述の希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する情報は、たとえば、電波の受信レベルが測定された所定の期間のうち、測定された電波の受信レベルが上述の閾値を超えた期間が占める割合(上述の干渉波の占有率)とすることができる。
上述の希望信号の所要の信号対雑音比は、たとえば、希望信号のスペクトラム拡散変調における拡散比とすることができる。これにより、希望信号のスペクトラム拡散変調における拡散比に応じた、希望信号の所定の通信品質を得るための信号対雑音比に基づいて、希望信号に対して干渉する干渉波の有無を正確に判定することができる。このため、希望信号に対する干渉波の占有率など、希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する正確な情報を算出することが可能になる。
(実施の形態2)
実施の形態2について、実施の形態1と異なる部分について説明する。実施の形態1においては、解析装置140が、干渉波が発生する時間的な割合に関する情報として、干渉波の占有率を算出して出力する構成について説明した。実施の形態2においては、解析装置140が、干渉波が発生する時間的な割合に関する情報として、干渉波の占有率に加えて、または干渉波の占有率に代えて、誤り率を算出して出力する構成について説明する。誤り率は、たとえばPER(Packet Error Rate:パケット誤り率)である。
(実施の形態2にかかる解析装置による処理)
図15は、実施の形態2にかかる解析装置による処理の一例を示すフローチャートである。実施の形態2にかかる解析装置140は、たとえば図15に示す処理を実行する。図15に示すステップS1501〜S1507は、図5に示したステップS501〜S507と同様である。
ステップS1507のつぎに、解析装置140は、ステップS1506において記録した干渉波パターンに基づいて、希望信号のパケット単位の誤り率であるPERを算出する(ステップS1508)。ステップS1508において、解析装置140は、たとえば下記(1)式に基づいてPERを算出する。
PER = (τUD+τD)/TUD …(1)
τUDは、上述のように干渉波の平均時間長である。TUDは、上述のように干渉波検出フラグ群が発生する平均周期である。τDは、上述の希望信号情報に含まれる、希望信号の平均パケット長である。
たとえば、解析装置140は、干渉波の占有率を算出する際に求めたτUD,TUDと、ステップS1502により取得した希望信号情報に含まれるτDと、上記(1)式と、に基づいてPERを算出する。上記(1)式の根拠については後述する(たとえば図16参照)。
つぎに、解析装置140は、ステップS1507により算出した干渉波の占有率と、ステップS1508により算出したPERと、を出力し(ステップS1509)、一連の処理を終了する。ステップS1509における出力は、図5に示したステップS508における出力と同様に、たとえば音声や表示によるユーザへの出力や、記憶媒体への記録や他の通信装置への送信などであってもよい。干渉波の占有率およびPERのユーザへの表示については後述する(たとえば図18参照)。
(実施の形態2にかかる解析装置が算出するPER)
図16は、実施の形態2にかかる解析装置が算出するPERの一例を説明するグラフである。図16において、横軸は時間(t)を示し、縦方向はRSSを示している。図16を用いて、上記(1)式により希望信号のPERを算出できることについて説明する。
図16に示すように、上述した干渉波検出フラグ群が発生する平均周期TUDを用いて、TUDの周期で干渉波1611,1612,1613,…が発生すると仮定することができる。また、上述した干渉波の平均時間長τUDを用いて、干渉波1611,1612,1613,…のそれぞれの時間長はτUDと仮定することができる。
希望信号1620は、上述の希望信号情報が示す希望信号である。上述した平均パケット長τDを用いて、希望信号1620のパケット長はτDと仮定することができる。また、希望信号1620はランダムなタイミングに発生し、干渉波1611,1612,1613,…のいずれかの少なくとも一部と希望信号1620が重なると、希望信号1620のパケットは干渉波のパケットと衝突して誤りが発生するものとする。
ここで、1つの平均周期TUDのうちいずれのタイミングで希望信号1620が発生すると希望信号1620の誤りが発生するかについて説明する。発生タイミング1621は希望信号1620が発生するタイミングである。
期間1631は、干渉波1611が発生してから消滅するまでの、長さτUDの期間である。希望信号1620の発生タイミング1621が期間1631内のタイミングであると、希望信号1620は干渉波1611と衝突して誤りが発生する。
また、期間1633は、干渉波1612が発生するタイミングからτDだけ遡った期間である。希望信号1620の発生タイミング1621が期間1633内のタイミングであると、希望信号1620は干渉波1612と衝突して誤りが発生する。
一方、希望信号1620の発生タイミング1621が、期間1631,1633の間の期間1632内のタイミングであると、希望信号1620は干渉波1611,1612のいずれにも衝突せず、誤りは発生しない。
このように、たとえば干渉波1611が発生する平均周期TUDのうち、期間1631,1633において希望信号1620が発生すると誤りが発生し、期間1632において希望信号1620が発生すると誤りが発生しない。干渉波1611が発生する平均周期TUDについて説明したが、干渉波1612,1613,…が発生する平均周期TUDについても同様である。
したがって、期間1631の長さおよび期間1633の長さの合計(τUD+τD)の、平均周期TUDに対する割合を算出することにより、すなわち上記(1)式により、希望信号のPERを算出することができる。
(実施の形態2にかかるS/N比とPERの関係)
図17は、実施の形態2にかかるS/N比とPERの関係の一例を示すグラフである。図17において、横軸は希望信号のS/N比を示し、縦軸は希望信号のPERを示している。S/N比PER特性1701は、希望信号における、S/N比に対するPERの特性を示している。図17に示すように、S/N比PER特性1701は、S/N比がR1未満の場合はPER=1(衝突)となり、S/N比がR1以上の場合はPER≒0(非衝突)となるステップ関数に近似することができる。
ここで、希望信号が干渉波と衝突する場合はPER=1となり、希望信号が干渉波と衝突しない場合はPER≒1%以下≒0と仮定することができる。PER=1%(0.01)となるS/N比であるR1が上述のRSS閾値に相当する。
(実施の形態2にかかる解析装置の入力画面および出力画面)
図18は、実施の形態2にかかる解析装置の入力画面および出力画面の一例を示す図である。図18において、図14に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態2にかかる解析装置140は、たとえば図18に示す入力画面1410および出力画面1420をユーザに表示する。
図18に示す出力画面1420は、図14に示した表示部1421に加えて表示部1801を含む。解析装置140は、たとえば、図15に示したステップS1509において、ステップS1508により算出したPERを表示部1801により表示する。図18に示す例ではPERとして2.0E−3が表示されている。これにより、電波環境10における希望信号の通信品質をユーザに対して可視化することができる。
解析装置140が干渉波の占有率およびPERを算出して表示する場合について説明したが、解析装置140がPERを算出して表示し、干渉波の占有率については算出および表示を行わない構成としてもよい。この場合は、たとえば図18に示した出力画面1420において表示部1421を省いてもよい。
このように、実施の形態2によれば、希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する情報として、干渉波の占有率に加えて、または干渉波の占有率に代えて、干渉波により希望信号の受信が誤る確率(PER)を得ることができる。このため、実施の形態1と同様の効果を得るとともに、ユーザは希望信号を用いた場合の通信品質を把握することができる。
(実施の形態3)
実施の形態3について、実施の形態1,2と異なる部分について説明する。実施の形態1,2においては、解析装置140が希望信号のSFに基づいて所要S/N比を導出する構成について説明した。実施の形態3においては、解析装置140が希望信号の変調方式等に基づいて所要S/N比を導出する構成について説明する。
(実施の形態3にかかる解析装置による処理)
図19は、実施の形態3にかかる解析装置による処理の一例を示すフローチャートである。実施の形態3にかかる解析装置140は、たとえば図19に示す処理を実行する。図19に示すステップS1901〜S1908は、図5に示したステップS501〜S508と同様である。
ただし、ステップS1903において、解析装置140は、ステップS1902により取得した希望信号情報に含まれる希望信号の変調方式および符号化率に基づいて所要S/N比を導出する。ステップS1903における変調方式および符号化率に基づく所要S/N比の導出については後述する(たとえば図20参照)。
(実施の形態3にかかる解析装置が取得する希望信号情報)
図20は、実施の形態3にかかる解析装置が取得する希望信号情報の一例を示す図である。図19に示したステップS1902において、解析装置140は、たとえば図20に示す希望信号情報700を取得する。図20に示す希望信号情報700は、図7に示した希望信号情報700に加えて、変調方式および符号化率の項目を含む。
希望信号情報700の変調方式は、希望信号に用いられる変調方式である。希望信号に用いられる変調方式には、たとえば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)など様々な変調方式がある。希望信号情報700の符号化率は、希望信号に用いられる誤り訂正符号化の符号化率である。
(実施の形態3にかかる解析装置が所要S/N比の導出に用いる対応情報)
図21は、実施の形態3にかかる解析装置が所要S/N比の導出に用いる対応情報の一例を示す図である。図19に示したステップS1903において、解析装置140は、たとえば図21に示す対応情報2100を用いて所要S/N比を導出する。図21に示す対応情報2100は、変調方式および符号化率の組み合わせごとに所要S/N比Γを対応付ける情報である。
対応情報2100の変調方式は、図20に示した希望信号情報700に含まれる希望信号の変調方式である。対応情報2100の変調方式の所要S/N比Γmは、たとえば、変調方式ごとに設定された、所要の通信品質を得るための所要S/N比の実測値または理論値である。希望信号に用いられるディジタル変調方式においては、所要の通信品質を得るための所要S/N比Γmは変調方式によって異なる。たとえば、変調シンボル数が多い変調方式ほど所要S/N比Γmは高くなる。
対応情報2100の符号化率RCは、図20に示した希望信号情報700に含まれる希望信号の符号化率である。対応情報2100の符号化利得GCは、符号化率RCごとの符号化利得の実測値または理論値である。希望信号に用いられるディジタル変調方式においては誤り訂正符号化が行われる。この誤り訂正符号化の符号化率RCに応じて希望信号の符号化利得GCが得られる。符号化利得GCは、符号化率RCを用いてGC=−10log10RCとなる。
対応情報2100の符号化利得を加味した所要S/N比Γは、変調方式の所要S/N比Γmに、符号化率RCの符号化利得GCを加味した所要S/N比である。所要S/N比Γは、Γ=Γm−GCとなる。
対応情報2100は、たとえば解析装置140のメモリ(たとえば図4に示したメモリ402)に記録されている。解析装置140は、図19に示したステップS1903において、希望信号情報700に含まれる変調方式および符号化率の組み合わせに対応する所要S/N比Γを対応情報2100から検索することにより所要S/N比を導出する。
そして、解析装置140は、図19に示したステップS1904において、取得した希望信号情報700に含まれる設定RSSから、導出した所要S/N比を減ずる(設定RSS−所要S/N比)ことによりRSS閾値を導出する。
図20,図21に示す例では、希望信号情報700に含まれる設定RSSが−110[dBm]であり、希望信号情報700に含まれる変調方式が16QAMであり、希望信号情報700に含まれる符号化率が1/2である。そして、対応情報2100において変調方式の16QAMおよび符号化率RCの1/2の組み合わせに対応する所要S/N比Γは10.0[dB]である。したがって、RSS閾値は−110[dBm]−(10.0[dB])=−120.0[dBm]となる。
なお、対応情報2100には、所要S/N比Γが含まれていれば、変調方式の所要S/N比Γmおよび符号化利得GCは含まれていなくてもよい。また、解析装置140は、変調方式の所要S/N比Γと、符号化率RCの符号化利得GCと、に基づいて所要S/N比Γを算出するようにしてもよい。この場合は対応情報2100に所要S/N比Γが含まれていなくてもよい。
変調方式および符号化率の組み合わせごとに所要S/N比を対応付ける対応情報としてテーブル形式の対応情報2100を用いる構成について説明したが、このような構成に限らない。たとえば、変調方式および符号化率の組み合わせごとに所要S/N比を対応付ける対応情報は、変調方式および符号化率の組み合わせから所要S/N比を算出可能な関数などであってもよい。
また、変調方式等から所要S/N比を導出するための対応情報は、変調方式および符号化率の組み合わせごとに所要S/N比を対応付ける情報に限らない。たとえば、解析装置140は、変調方式ごとに所要S/N比を対応付ける対応情報を用いて、変調方式から所要S/N比を導出してもよい。また、解析装置140は、たとえば変調方式が有する空中線利得などを加味して所要S/N比を導出してもよい。
(実施の形態3にかかる解析装置の入力画面および出力画面)
図22は、実施の形態3にかかる解析装置の入力画面および出力画面の一例を示す図である。図22において、図14に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態3にかかる解析装置140は、たとえば図22に示す入力画面1410および出力画面1420をユーザに表示する。
図22に示す入力画面1410は、希望信号情報に含まれる各情報を入力するための領域として、図14に示した入力ボックス1413〜1415に加えて入力ボックス2201,2202を含む。入力ボックス2201は、希望信号の変調方式を入力するための領域である。入力ボックス2202は、希望信号の誤り訂正符号の符号化率を入力するための領域である。
ユーザが入力ボックス1411〜1415,2201,2202に各情報を入力した後に登録ボタン1416を指示すると、解析装置140は、各入力ボックスへ入力された各情報に基づいて図19に示した処理を実行する。たとえば、解析装置140は、図19に示したステップS1901において、入力ボックス1413〜1415,2201,2202へ入力された各情報を希望信号情報として取得する。
このように、実施の形態3によれば、希望信号の所要の信号対雑音比(所要S/N比)を、希望信号の変調方式に基づいて導出することができる。これにより、実施の形態1と同様の効果を得るとともに、希望信号の変調方式に応じた、希望信号の所定の通信品質を得るための信号対雑音比に基づいて、希望信号に対して干渉する干渉波の有無を正確に判定することができる。このため、希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する正確な情報を算出することが可能になる。
また、希望信号の所要の信号対雑音比を、希望信号の変調方式に加えて希望信号の符号化率に基づいて導出してもよい。これにより、希望信号の変調方式および希望信号の符号化率に応じた、希望信号の所定の通信品質を得るための信号対雑音比に基づいて、希望信号に対して干渉する干渉波の有無を正確に判定することができる。このため、希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する正確な情報を算出することが可能になる。
また、実施の形態3において、実施の形態2と同様に、解析装置140が、干渉波が発生する時間的な割合に関する情報として、干渉波の占有率に加えて、または干渉波の占有率に代えて、PERを算出して出力する構成としてもよい。
(実施の形態4)
実施の形態4について、実施の形態1〜3と異なる部分について説明する。実施の形態1〜3においては、解析装置140が干渉波の占有率やPERを算出して出力する構成について説明した。実施の形態4においては、解析装置140がこれらの情報とともに、これらの情報の確からしさを示す情報を算出して出力する構成について説明する。
(実施の形態4にかかる解析装置による処理)
図23は、実施の形態4にかかる解析装置による処理の一例を示すフローチャートである。実施の形態4にかかる解析装置140は、たとえば図23に示す処理を実行する。図23に示すステップS2301〜S2306は、図5に示したステップS501〜S506と同様である。
ステップS2306のつぎに、解析装置140は、ステップS2306により記録した干渉波パターンに基づいて干渉波の生起確率分布を推計する(ステップS2307)。干渉波の生起確率分布については後述する(たとえば図24参照)。
つぎに、解析装置140は、ステップS2307により推計した干渉波の生起確率分布の確率的な確からしさを算出する(ステップS2308)。干渉波の生起確率分布の確率的な確からしさは、一例としては「95%の確率で2σの誤差を含む」という情報である。干渉波の生起確率分布の確率的な確からしさの算出については後述する(たとえば図24参照)。
つぎに、解析装置140は、たとえば図5に示したステップS507と同様の処理により干渉波の占有率を算出する(ステップS2309)。つぎに、解析装置140は、ステップS2309により算出した干渉波の占有率を、ステップS2308により算出した確率的な確からしさと対応付けて出力し(ステップS2310)、一連の処理を終了する。ステップS2310による情報の出力方法は、たとえば図5に示したステップS508における情報の出力方法と同様である。確からしさと対応付けた干渉波の占有率のユーザへの表示については後述する(たとえば図25参照)。
(実施の形態4にかかる解析装置が推計する生起確率分布)
図24は、実施の形態4にかかる解析装置が推計する生起確率分布の一例を示すグラフである。図24において、横軸は、電波環境10における送信機(たとえば無線ルータ11など)によるパケットの生成間隔tを示し、縦軸はその生成間隔tの生起確率P(t)を示している。生起確率P(t)は、たとえば、ポアソン過程に従い、生成間隔tの平均値をλとするとき下記(2)式で表すことができる。
P(t)=1−e-λt …(2)
生起確率分布2401は、生成間隔tの平均値λがλ=1である場合の生成間隔tの生起確率P(t)を示している。同様に、生起確率分布2402〜2404は、それぞれ生成間隔tの平均値λがλ=2,5,10である場合の生成間隔tの生起確率P(t)を示している。
解析装置140は、図23に示したステップS2307において、たとえば、上記(2)式のλに、上述の干渉波検出フラグ群が発生する平均周期TUDを代入することにより干渉波の生起確率分布を推計する。また、解析装置140は、図23に示したステップS2308において、推計した干渉波の生起確率分布に基づくCDF(Cumulative Distribution Function:累積分布関数)を算出する。これにより、たとえば「95%の確率で2σの誤差を含む」などの、推計した干渉波の生起確率分布の確からしさを示す情報を得ることができる。σは標準偏差である。
上述のように、干渉波の生起確率分布の確からしさは、干渉波パターン1000(平均周期TUD)に基づいて算出されるものであり、同様に干渉波パターン1000から算出される干渉波の占有率やPERの確からしさを示す。
(実施の形態4にかかる解析装置の入力画面および出力画面)
図25は、実施の形態4にかかる解析装置の入力画面および出力画面の一例を示す図である。図25において、図14に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態4にかかる解析装置140は、たとえば図25に示す入力画面1410および出力画面1420をユーザに表示する。
図25に示す出力画面1420は、図14に示した表示部1421に隣接して表示部2501を含む。解析装置140は、たとえば、図23に示したステップS2310において、ステップS2309により算出した干渉波の占有率を表示部1421により表示するとともに、ステップS2308により算出した確からしさを表示部2501により表示する。これにより、干渉波の占有率を確からしさと対応付けて表示し、得られた干渉波の占有率がどの程度信頼できるのかを可視化することができる。
解析装置140が干渉波の占有率およびその確からしさを算出して表示する構成について説明したが、解析装置140がPERおよびその確からしさを算出して表示する構成としてもよい。PERも干渉波の占有率と同様に干渉波パターン1000に基づいて算出される情報であるため、PERとともに表示する確からしさの算出方法は、干渉波の占有率とともに表示する確からしさの上述の算出方法と同様である。また、解析装置140が、干渉波の占有率およびPERを算出して表示し、これらと対応付けて上述の確からしさを表示する構成としてもよい。
このように、実施の形態4によれば、閾値と受信レベルの時系列との比較結果に基づいて、希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する情報と、希望信号に対する干渉波の生起確率分布の確からしさを示す情報と、を算出することができる。これにより、閾値と受信レベルの時系列との比較結果に基づいて算出した希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する情報を、その情報の確からしさを示す情報と対応付けて出力することができる。このため、ユーザは、希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する情報を、その情報がどの程度信頼できるのかを示す情報とともに把握することができる。
また、実施の形態4において、実施の形態3と同様に、解析装置140が希望信号の変調方式等に基づいて所要S/N比を導出する構成としてもよい。
以上説明したように、解析装置および解析方法によれば、干渉波の判定誤りの可能性を低くして干渉波が発生する時間的な割合に関する正確な情報を得ることができる。
上述した各実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)測定された電波の受信レベルの時系列を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記時系列に含まれる各受信レベルと、希望信号の所要の信号対雑音比および前記希望信号の所定の受信レベルに基づいて算出された閾値と、の比較結果に基づいて、前記希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する情報を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記情報を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする解析装置。
(付記2)前記閾値は、前記希望信号の所定の受信レベルから前記所要の信号対雑音比を減じることにより算出された閾値であることを特徴とする付記1に記載の解析装置。
(付記3)前記算出部は、前記比較結果に基づいて、前記電波の受信レベルが測定された期間のうち前記電波の受信レベルが前記閾値を超えた期間を抽出し、抽出した前記期間に基づいて前記希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する情報を算出することを特徴とする付記1または2に記載の解析装置。
(付記4)前記干渉波が発生する時間的な割合に関する情報は、前記電波の受信レベルが測定された期間のうち、測定された前記電波の受信レベルが前記閾値を超えた期間が占める割合を示す情報を含むことを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の解析装置。
(付記5)前記干渉波が発生する時間的な割合に関する情報は、前記干渉波により前記希望信号の受信が誤る確率を示す情報を含むことを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の解析装置。
(付記6)前記所要の信号対雑音比は、前記希望信号のスペクトラム拡散変調における拡散比に基づく信号対雑音比であることを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の解析装置。
(付記7)前記所要の信号対雑音比は、前記希望信号の変調方式に基づく信号対雑音比であることを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の解析装置。
(付記8)前記所要の信号対雑音比は、前記希望信号の変調方式および前記希望信号の符号化率に基づく信号対雑音比であることを特徴とする付記7に記載の解析装置。
(付記9)前記算出部は、前記比較結果に基づいて、前記希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する情報と、前記希望信号に対する干渉波の生起確率分布の確からしさを示す情報と、を算出し、
前記出力部は、前記算出部によって算出された前記希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する情報を、前記算出部によって算出された前記確からしさを示す情報と対応付けて出力する、
ことを特徴とする付記1〜8のいずれか一つに記載の解析装置。
(付記10)測定された電波の受信レベルの時系列を取得し、
取得した前記時系列に含まれる各受信レベルと、希望信号の所要の信号対雑音比および前記希望信号の所定の受信レベルに基づいて算出された閾値と、の比較結果に基づいて、前記希望信号に対する干渉波が発生する時間的な割合に関する情報を算出し、
算出した前記情報を出力する、
ことを特徴とする解析方法。