JP2020126181A - レンズ装置および撮像システム - Google Patents
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Abstract
【課題】特定のT値に対応する複数のF値が存在する場合において、適切に絞り制御を行うためのT値−F値変換テーブルを有するレンズ装置を提供する。【解決手段】撮像装置に着脱可能なレンズ装置(100)であって、光軸と直交する方向に透過率が変化する光学素子(140)と、F値からT値を導出するためのF値−T値変換テーブルと、T値からF値を導出するためのT値−F値変換テーブルとを記憶する記憶手段(150)と、撮像装置と通信可能な通信手段(111a)とを有し、F値−T値変換テーブルは、互いに異なる複数のF値に対して同一のT値が対応付けられた第1のデータを含み、T値−F値変換テーブルは、互いに異なる複数のT値のそれぞれに対して、それぞれのT値に対応する複数のF値のうちの代表値が対応付けられた第2のデータを含む。【選択図】図7
Description
本発明は、光学フィルタを備えたレンズ装置および撮像システムに関する。
従来、周辺のボケ具合をよりソフトでより強くなるようにレンズの中心から放射状に光吸収体を塗布した光学フィルタを有する交換レンズ(レンズ装置)が知られている。光学フィルタがない場合にはF値とT値との関係は線形性を有するが、光学フィルタを設けるとF値とT値との間の線形性が崩れる場合がある。
特許文献1には、F値およびT値と絞りの駆動量との関係を示すテーブルデータに基づいて、適切な絞り駆動数を導出するフィルタ交換式カメラが開示されている。
ところで、F値とT値との線形性が崩れると、離散化された特定のT値に対応する複数のF値が存在する場合がある。このため、絞り制御に利用されるT値−F値変換テーブルにおいて、離散化された特定のT値に対応する複数のF値のうちの一つのF値を決定する必要がある。特許文献1には、この点について具体的に開示されていない。
そこで本発明は、特定のT値に対応する複数のF値が存在する場合において、適切に絞り制御を行うためのT値−F値変換テーブルを有するレンズ装置および撮像システムを提供することを目的とする。
本発明の一側面としてのレンズ装置は、撮像装置に着脱可能なレンズ装置であって、光軸と直交する方向に透過率が変化する光学素子と、F値からT値を導出するためのF値−T値変換テーブルと、T値からF値を導出するためのT値−F値変換テーブルとを記憶する記憶手段と、前記撮像装置と通信可能な通信手段とを有し、前記F値−T値変換テーブルは、互いに異なる複数のF値に対して同一のT値が対応付けられた第1のデータを含み、前記T値−F値変換テーブルは、互いに異なる複数のT値のそれぞれに対して、該それぞれのT値に対応する複数のF値のうちの代表値が対応付けられた第2のデータを含む。
本発明の他の側面としての撮像システムは、前記レンズ装置と、前記レンズ装置が着脱可能な撮像装置とを有する。
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
本発明によれば、特定のT値に対応する複数のF値が存在する場合において、適切に絞り制御を行うためのT値−F値変換テーブルを有するレンズ装置および撮像システムを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本発明の実施形態における撮像システムについて説明する。図1は、撮像システム10(カメラシステム)のブロック図である。撮像システム10は、カメラ本体200(撮像装置)と、カメラ本体200に着脱可能な交換レンズ100(レンズ装置)とを備えて構成される。
カメラ本体200および交換レンズ100は、互いの通信手段を用いて、カメラ本体200と交換レンズ100との間で制御命令や内部情報などを伝送する。また、双方の通信手段は共に、複数の通信形式をサポートしており、通信するデータの種類や通信目的に応じて、互いに同期して互いの通信方式を同一の通信形式へ切り替えることにより、様々な状況に対応して最適な通信形式を選択することが可能である。
交換レンズ100およびカメラ本体200は、結合機構であるマウント300を介して、機械的かつ電気的に互いに接続されている。交換レンズ100は、マウント300に設けられた電源端子部(不図示)を介してカメラ本体200から電源を取得し、後述する各種のアクチュエータやレンズマイコン111(レンズ制御手段)に、動作に必要な電源を供給する。また、交換レンズ100およびカメラ本体200は、マウント300に設けられた通信端子部を介して相互に通信を行う。
交換レンズ100は、撮像光学系を有する。撮像光学系は、被写体OBJ側から順に、フィールドレンズ101、変倍を行うズームレンズ102、光量を調節する絞りユニット(絞り)114、防振レンズ103、および、焦点調節を行うフォーカスレンズ104を含む。ズームレンズ102およびフォーカスレンズ104はそれぞれ、レンズ保持枠105、106により保持されている。レンズ保持枠105、106は、ガイド軸(不図示)により光軸OAに沿った方向(光軸方向)に移動可能にガイドされており、ステッピングモータ107、108によって光軸方向に駆動される。ステッピングモータ107、108はそれぞれ、駆動パルスに同期してズームレンズ102およびフォーカスレンズ104を移動させる(駆動する)。防振レンズ103は、撮像光学系の光軸OAに直交する方向にシフトすることにより、手振れなどに起因する像ブレを低減する。
レンズマイコン111は、交換レンズ100内の各部の動作を制御するレンズ制御手段である。またレンズマイコン111は、カメラ本体200と通信可能な通信部(通信手段)111aを有し、レンズ通信インタフェース回路112(レンズ通信I/F部)を介して、カメラ本体200から送信された制御コマンドや送信要求コマンドを受信する。レンズマイコン111は、制御コマンドに対応するレンズ制御を行い、また、レンズ通信インタフェース回路112(および通信部111a)を介して送信要求コマンドに対応するレンズデータをカメラ本体200に送信する。このようにレンズマイコン111(通信部111a)は、カメラ本体200(カメラマイコン205)と双方向の通信が可能である。またレンズマイコン111は、制御コマンドのうちズームやフォーカシングに関するコマンドに応答してズーム駆動回路119およびフォーカス駆動回路120に制御信号を出力してステッピングモータ107、108を駆動する。これにより、ズームレンズ102によるズーム動作を制御するズーム処理、および、フォーカスレンズ104による焦点調節動作を制御するAF(オートフォーカス)処理が行われる。
絞りユニット114は、絞り羽根114a、114bを備えて構成されている。絞り羽根114a、114bの状態は、ホール素子115により検出され、増幅回路122およびA/D変換回路123を介してレンズマイコン111に入力される。レンズマイコン111は、A/D変換回路123からの入力信号に基づいて絞り駆動回路121に制御信号を出力し、絞りアクチュエータ113を駆動する。これによりレンズマイコン111は、絞りユニット114の光量調節動作を制御する。
レンズマイコン111は、交換レンズ100内に設けられた振動ジャイロなどの振れセンサ(不図示)により検出された振れ(カメラ振れ)に応じて、防振駆動回路125を介してボイスコイルモータなどの防振アクチュエータ126を駆動する。これにより、防振レンズ103のシフト動作(防振動作)を制御する防振処理が行われる。またレンズマイコン111は、交換レンズ100の鏡筒に設けられたフォーカスリング130などの操作指示手段からの信号(入力信号)に応じた制御を行い、交換レンズ100の動作全体の制御を司る。フォーカスリング130の回転量は、フォトインタラプタ(PI)などの検出部131により検出される。光学フィルタ140は画像のボケ部分のボケ味をより強く、よりソフトにするボケ制御用光学フィルタである。
カメラ本体200は、CCDセンサやCMOSセンサなどの撮像素子201、A/D変換回路202、信号処理回路203、記録部204、カメラマイコン205(カメラ制御手段)、表示部206、および、操作部207を有する。撮像素子201は、交換レンズ100内の撮像光学系を介して形成された被写体像(光学像)を光電変換して電気信号(アナログ信号)を出力する。A/D変換回路202は、撮像素子201からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。信号処理回路203は、A/D変換回路202からのデジタル信号に対して各種画像処理を行い、画像信号を生成する。また信号処理回路203は、画像信号から被写体像のコントラス状態(撮像光学系の焦点状態)を示すフォーカス情報や露出状態を示す輝度情報を生成する。信号処理回路203は、画像信号を表示部206に出力する。表示部206は、画像信号を構図やピント状態などの確認に用いられるライブビュー画像として表示する。
カメラマイコン205は、撮像指示スイッチおよび各種設定スイッチなどの操作部207を介したユーザの入力(ユーザによる操作)に応じて、カメラ本体200を制御する。またカメラマイコン205は、通信部205aを有し、カメラ通信インタフェース回路208(カメラ通信I/F部)を介して、ズームスイッチ(操作部207)の操作に応じてズームレンズ102の変倍動作に関する制御コマンドをレンズマイコン111に送信する。またカメラマイコン205は、カメラ通信インタフェース回路208を介して、輝度情報に応じた絞りユニット114の光量調節動作やフォーカス情報に応じたフォーカスレンズ104の焦点調節動作に関する制御コマンドをレンズマイコン111に送信する。カメラマイコン205(通信部205a)は、交換レンズ100(レンズマイコン111)と双方向の通信が可能である。
次に、図2を参照して、ボケ味を変えるための光学フィルタ(光学素子)140の構成について説明する。図2は、光学フィルタ140の構成図である。図2において、白い領域は透過率が高い領域を示し、グレー領域は透過率が低い領域を示す。なお光学フィルタ140は、例えば、交換レンズ100の撮像光学系を構成するレンズの少なくとも一つに設けられている。
図2に示されるように、光学フィルタ140は、光軸OAと直交する方向に透過率が変化する光学素子であり、中心から外周に向かって光の透過率が低下するように構成されている。従来の撮像システムでは、透過率は一定として制御されており、絞りのF値に比例してAE制御が行われる。一方、本実施形態の撮像システム10は、ボケ制御用の光学フィルタ140を透ることで、T値とF値との間の線形性が成り立たない領域(T値とF値との関係が線形でない領域)が発生する。このため撮像システム10は、AE制御の際にF値から正しいT値を取得するため、F値とT値との関係性を把握する必要がある。ここで、F値は、撮像光学系の明るさを示す指標であり、F値=焦点距離/レンズ有効口径で表される。T値は、撮像光学系の透過率を加味した撮像光学系の明るさを示す指標であり、T値=F値/√(透過率(%)/100)として表される。
次に、図3を参照して、撮像光学系が光学フィルタ140を有する場合と光学フィルタ140を有しない場合のそれぞれにおけるF値とT値との関係について説明する。図3は、光学フィルタ140が有る場合と無い場合のそれぞれにおけるF値とT値との関係図である。図3において、横軸はF値、縦軸はT値をそれぞれ示す。光学フィルタ140が無い場合、F値の全域に渡りT値は線形性を示す。一方、光学フィルタ140が有る場合、F値が開放側に近づくにつれて、T値はF値に対して暗い方向(絞り側)へ外れていく。
次に、図4(a)および図4(b)を参照して、本実施形態の撮像システム10における絞り優先モードでの撮影について説明する。図4(a)は、絞り優先モードでの撮影のシーケンス図である。図4(b)は、絞り優先モードでの撮影で用いられるF値−T値変換テーブル(第1のテーブルデータ)である。
F値−T値変換テーブルは、F値の離散的な変化段数からT値の変化段数を求めるテーブルであり、交換レンズ100の内部に設けられたメモリ(記憶手段)150に記憶されている。なおメモリ150は、レンズマイコン111の内部に設けられていてもよい。レンズマイコン111の通信部111aは、メモリ150に記憶されているF値−T値変換テーブルをカメラマイコン205に送信する。
図4(b)において、上端横方向のFZ1からFZxはフォーカスゾーンを示し、フォーカスレンズ104の分割領域に対する位置情報を示す。また図4(b)において、左端縦方向の+1/16段ずつの離散的な変化は、開放端からのF値の変化段数を示す。ここで、F値段数=2log2(F値)である。なお、段数が1段上がるとF値は√2倍となり、光を集める面積は半分になる。
次に、図5(a)および図5(b)を参照して、本実施形態の撮像システム10におけるシャッタースピード優先モードでの撮影について説明する。図5(a)は、シャッタースピード優先モードでの撮影のシーケンス図である。図5(b)は、シャッタースピード優先モードでの撮影で用いられるT値−F値変換テーブル(第2のテーブルデータ)である。
T値−F値変換テーブルは、T値の離散的な変化段数からF値の変化段数を求めるテーブルであり、交換レンズ100の内部に設けられたメモリ150に記憶されている。レンズマイコン111の通信部111aは、メモリ150に記憶されているT値−F値変換テーブルをカメラマイコン205に送信する。
図5(b)において、上端横方向のFZ1からFZxはフォーカスゾーンを示し、フォーカスレンズ104の分割領域に対する位置情報を示す。また図5(b)において、左端縦方向の+1/16段ずつの離散的な変化は、開放端からのT値の変化段数を示す。ここで、T値段数=2log2(T値)である。なお、段数が1段上がるとT値は√2倍となり、明るさは半分になる。
次に、図6を参照して、絞り優先モードとシャッタースピード優先モードのそれぞれにおける処理について説明する。図6は、絞り優先モードとシャッタースピード優先モードのそれぞれにおける処理を示すフローチャートである。図6の各ステップは、主に、レンズマイコン111またはカメラマイコン205により実行される。
まずステップS601において、カメラ本体200のマウント300に交換レンズ100が装着されると、カメラ本体200(カメラマイコン205)は、交換レンズ100に対して機種情報を要求する。続いてステップS602において、カメラ本体200から機種情報の送信要求を受信した交換レンズ100(レンズマイコン111)は、自身の機種情報をカメラ本体200へ送信する。続いてステップS603において、カメラマイコン205は、装着された交換レンズ100がボケ制御用の光学フィルタ140を有するレンズであるか否かを判定する。装着された交換レンズ100が光学フィルタ140を有しない場合、ステップS625に進む。ステップS625において、カメラマイコン205は、光学フィルタ140のないレンズとしての制御を行う。
一方、ステップS603にて交換レンズ100が光学フィルタ140を有する場合、ステップS604に進む。ステップS604において、カメラマイコン205は、F値−T値変換テーブルのデータ(第1のデータ)およびT値−F値変換テーブルのデータ(第2のデータ)を送信するように交換レンズ100へ要求する。続いてステップS605において、レンズマイコン111は、F値−T値変換テーブルのデータ(第1のデータ)およびT値−F値変換テーブルのデータ(第2のデータ)をカメラマイコン205へ送信する。続いてステップS606において、カメラマイコン205は、交換レンズ100と定期的に行う通信のうちフォーカスゾーンと絞り情報の送信を交換レンズ100に要求する。続いてステップS607において、レンズマイコン111は、現状のフォーカスゾーンと絞り情報をカメラマイコン205へ送信する。絞り情報は、例えば、実効開放F値、表示開放F値、または、小絞り時の最大F値であるが、これらに限定されるものではない。
ここからは、図4(a)および図4(b)と合わせて、絞り優先モード(Av優先モード)での撮影時について説明する。図6のステップS608において、カメラマイコン205は、ユーザが絞り優先モードでF値(絞り値)を設定して合焦操作を行ったか否かを判定する。ユーザが絞り優先モードで合焦操作を行っていない場合、ステップS615に進む。一方、ユーザが絞り優先モードで合焦操作を行った場合、ステップS609に進む。本実施形態では、ユーザが現在のF値段数が開放+1/16段の状態から絞り優先モードでF値をF4に設定して合焦操作を行った場合について説明する。図4(a)に示されるように、フォーカスゾーンは「2」、実効開放F値(AVEF)は「1.3」、表示開放F値(AVO)は「1.2」、小絞り時の最大F値(AVMAX)は「16」が送信される。ステップS609において、カメラマイコン205は、ユーザが設定したF4から開放F値「1.2」の変化段数を導出する。図4(b)に示されるように、テーブルの段数の分解能は1/16段であるため、このときの変化段数は、以下のようになる。
(F4−F1.2)の変化段数=+2log2(4/1.2)段
≒+56/16段
またステップS609において、カメラマイコン205は、撮影時の交換レンズ100の目標実効F値を以下のように導出する。
≒+56/16段
またステップS609において、カメラマイコン205は、撮影時の交換レンズ100の目標実効F値を以下のように導出する。
目標実効F値=F1.3+(F4−F1.2)
=F(1.3x4/1.2)
=F4.3
カメラマイコン205は、F値−T値変換テーブルにおいて、変化段数「+56/16段」、フォーカスゾーン「2」から、撮影時に必要なT値「T4.51」を導出する。またカメラマイコン205は、現在の段数「+1/16」から現在のT値「T2.13」を導出する。続いてステップS610において、カメラマイコン205は、T値「T4.51」、「T2.13」の変化段数に基づいて、適切なシャッタースピードおよびISO感度を導出(決定)する。続いてステップS611にてユーザが撮影操作を行う(シャッターを押す)と、ステップS612において、カメラマイコン205は、導出した目標実効F値「F4.3」での絞り駆動をレンズマイコン111に指示する。続いてステップS613において、レンズマイコン111は、カメラマイコン205から指示された実効F値で絞りを駆動する。ステップS614において、カメラマイコン205は、導出(決定)したシャッタースピードおよびISO感度で撮影処理を行う。
=F(1.3x4/1.2)
=F4.3
カメラマイコン205は、F値−T値変換テーブルにおいて、変化段数「+56/16段」、フォーカスゾーン「2」から、撮影時に必要なT値「T4.51」を導出する。またカメラマイコン205は、現在の段数「+1/16」から現在のT値「T2.13」を導出する。続いてステップS610において、カメラマイコン205は、T値「T4.51」、「T2.13」の変化段数に基づいて、適切なシャッタースピードおよびISO感度を導出(決定)する。続いてステップS611にてユーザが撮影操作を行う(シャッターを押す)と、ステップS612において、カメラマイコン205は、導出した目標実効F値「F4.3」での絞り駆動をレンズマイコン111に指示する。続いてステップS613において、レンズマイコン111は、カメラマイコン205から指示された実効F値で絞りを駆動する。ステップS614において、カメラマイコン205は、導出(決定)したシャッタースピードおよびISO感度で撮影処理を行う。
ここからは、図5(a)および図5(b)と合わせて、シャッタースピード優先モード(Tv優先モード)での撮影時について説明する。ステップS615において、カメラマイコン205は、ユーザがシャッタースピード優先モードでシャッタースピード値を設定して合焦操作を行ったか否かを判定する。ユーザがシャッタースピード優先モードで合焦操作を行っていない場合、ステップS623に進む。一方、ユーザがシャッタースピード優先モードで合焦操作を行った場合、ステップS616に進む。本実施形態では、ユーザが現在のT値段数が開放+1/16段の状態からシャッタースピード優先モードでシャッタースピードを1/100に設定して合焦操作を行った場合を説明する。ステップS616において、カメラマイコン205は、ユーザが設定したシャッタースピード「1/100」からT値変化段数「+55/16段」を導出する。続いてステップS617において、カメラマイコン205は、以下のように、T値変化段数「+55/16段」と現在のT値段数「+1/16段」から新しい目標T値段数「+56/16段」を導出する。
目標T値段数=+1/16段+56/16段
=+56/16段
続いてステップS618において、カメラマイコン205は、図5(b)に示されるT値−F値変換テーブルから、目標T値段数「+56/16段」における目標実効F値「F6.78」を導出(算出)する。またステップS618において、カメラマイコン205は、撮影時のISO感度も導出する。続いてステップS619にてユーザが撮影操作を行う(シャッターを押す)と、ステップS620において、カメラマイコン205は、導出した目標実効F値「F6.78」での絞り駆動をレンズマイコン111に指示する。続いてステップS621において、レンズマイコン111は、カメラマイコン205から指示された実効F値で絞りを駆動する。ステップS622において、カメラマイコン205は、ユーザが設定したシャッタースピードおよび導出したISO感度で撮影処理を行う。
=+56/16段
続いてステップS618において、カメラマイコン205は、図5(b)に示されるT値−F値変換テーブルから、目標T値段数「+56/16段」における目標実効F値「F6.78」を導出(算出)する。またステップS618において、カメラマイコン205は、撮影時のISO感度も導出する。続いてステップS619にてユーザが撮影操作を行う(シャッターを押す)と、ステップS620において、カメラマイコン205は、導出した目標実効F値「F6.78」での絞り駆動をレンズマイコン111に指示する。続いてステップS621において、レンズマイコン111は、カメラマイコン205から指示された実効F値で絞りを駆動する。ステップS622において、カメラマイコン205は、ユーザが設定したシャッタースピードおよび導出したISO感度で撮影処理を行う。
ステップS608またはステップS615にて絞り優先モードまたはシャッタースピード優先モードでの撮影でない場合、ステップS623においてカメラマイコン205は他の制御を行い、ステップS624においてレンズマイコン111は他の制御を行う。そして、ステップS606またはステップS607に戻る。他の制御の際にも、制御の必要性に応じてF値−T値変換テーブル(図4(b)参照)やT値−F値変換テーブル(図5(b)参照)は同様に用いられる。
次に、図7を参照して、交換レンズ100が光学フィルタ140を有する場合において、T値−F値変換テーブル(図5(b))で一つのT値に対して複数のF値が割り当てられる領域が存在することについて説明する。図7は、T値−F値変換テーブルで一つのT値に対して複数のF値が割り当てられる領域が存在することを示す図である。図7において、縦軸はT値(実効T値)、横軸はF値(実効F値)をそれぞれ示している。実際の制御ではT値およびF値にはそれぞれ最小分解能があるため、図7に示されるように、一つのT値に対して複数のF値が割り当てられる領域が存在する。例えば、T値「+1/16段」に対して4つのF値が設定可能であるが、本実施形態では、設定可能な4つのF値のうちの最小値であるF値「+5/16段」を対応付ける。
前述のように、F値−T値変換テーブル(図4(b))は、互いに異なる複数のF値に対して同一のT値が対応付けられたデータ(第1のデータ)を含む。T値−F値変換テーブル(図5(b))は、互いに異なる複数のT値のそれぞれに対して、それぞれのT値に対応する複数のF値のうちの代表値(複数のF値のうちの最小値)が対応付けられた第2のデータを含む。
本実施形態において、F値−T値変換テーブル(図4(b))では、F値変化段数の開放側に近づくほど同じT値が並ぶ。T値―F値変換テーブル(図5(b))では、値変化段数の開放側に近づくほど、テーブルに設定可能なF値が複数存在する。本実施形態では、T値―F値変換テーブルの各T値変化段数に設定するF値として、対応する複数のF値のうち最小値(最も開放寄りのF値)を設定する。特定のT値に対応する複数のF値のうち最小値を設定することで、ボケ味を強くすることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、T値に対応する複数のF値のうちの代表値は、複数のF値の加算値を複数のF値の数で除算して得られた平均値であってもよい。また代表値は、複数のF値の数が奇数の場合、複数のF値のうちの真ん中のF値であってもよい。また代表値は、複数のF値の数が偶数の場合、複数のF値の真ん中の2つのF値のいずれか一方であってもよい。これらの場合、ボケ優先のみではなく適度な被写界深度とのバランスも考慮した設定が可能となる。
また本実施形態において、F値およびT値の実際に制御可能な段数の最小分解能に対して、テーブルの段数をより荒く設定してもよい。例えば、制御上の最小分解能が1/256段で、テーブルは1/16段ずつで設定する。テーブル上の隣り合う段数間のより細かい段数に対しては、線形補間やある関係式に基づいて算出すればよい。この場合でも、T値−F値変換においては、同じT値になる複数のF値の中の最小値または平均値などの代表値を選択するように設定される。これにより、テーブルのデータ量を小さくしてデータ送信時間を短くすることができる。
また、図4(b)や図5(b)では、左端縦軸を段数で表記(設定)しているのに対してテーブル内ではT値またはF値で表記しているが、テーブル内も直接段数で表記してもよい。本実施形態では分かり易くするため、T値およびF値で表記したテーブルデータで説明をしているが、実際の制御は段数で行われている。テーブル内を段数表記することで、T値およびF値と段数との変換処理時間を削減することができる。
また本実施形態では、変換テーブルデータを交換レンズ100からカメラ本体200に一旦送信し、テーブル変換作業をカメラ本体200で行う方式の光学機器に対して記載している。ただし本発明は、この方式に限定されるものではない。変換テーブルデータを交換レンズ100に備え、テーブル変換作業を交換レンズ100で行う方式の撮像システムにも有効である。具体的には、絞り優先モードではカメラ本体200からユーザが設定したF値または新しいF値段数情報を受信し、交換レンズ100内のF値−T値変換テーブルを用いて駆動する実効F値を導出すればよい。この際、交換レンズ100はカメラ本体200に実効F値またはユーザが設定したF値または新しいF値段数情報に対応するT値に関する情報を送信しても良い。シャッタースピード優先モードでは、カメラ本体200から新しいT値段数情報を受信し、該T値から交換レンズ100内のT値−F値変換テーブルを用いて駆動する実効F値を導出すればよい。
本実施形態によれば、特定のT値に対応する複数のF値が存在する場合において、適切に絞り制御を行うためのT値−F値変換テーブルを有するレンズ装置および撮像システムを提供することができる。その結果、ボケを出すための光学フィルタを有し、よりソフトでより強いボケ味を出すことが可能なレンズ装置および撮像システムを提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
100 交換レンズ
111a 通信部(通信手段)
140 光学フィルタ(光学素子)
150 メモリ(記憶手段)
111a 通信部(通信手段)
140 光学フィルタ(光学素子)
150 メモリ(記憶手段)
Claims (13)
- 撮像装置に着脱可能なレンズ装置であって、
光軸と直交する方向に透過率が変化する光学素子と、
F値からT値を導出するためのF値−T値変換テーブルと、T値からF値を導出するためのT値−F値変換テーブルとを記憶する記憶手段と、
前記撮像装置と通信可能な通信手段と、を有し、
前記F値−T値変換テーブルは、互いに異なる複数のF値に対して同一のT値が対応付けられた第1のデータを含み、
前記T値−F値変換テーブルは、互いに異なる複数のT値のそれぞれに対して、該それぞれのT値に対応する複数のF値のうちの代表値が対応付けられた第2のデータを含むことを特徴とするレンズ装置。 - 前記通信手段は、前記第1のデータおよび前記第2のデータを前記撮像装置へ送信することを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
- 絞りと、
前記絞りを制御する制御手段と、を更に有することを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。 - 前記通信手段は、F値に関する情報を前記撮像装置から受信し、
前記制御手段は、前記撮像装置から受信した前記F値に関する情報に基づいて、前記絞りを制御することを特徴とする請求項3に記載のレンズ装置。 - 前記通信手段は、T値に関する情報を前記撮像装置から受信し、
前記制御手段は、前記撮像装置から受信したT値に関する情報と、前記T値−F値変換テーブルに基づいて、前記絞りを制御することを特徴とする請求項3に記載のレンズ装置。 - 前記代表値は、前記複数のF値のうちの最小値であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のレンズ装置。
- 前記代表値は、前記複数のF値の加算値を該複数のF値の数で除算して得られた平均値であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のレンズ装置。
- 前記代表値は、前記複数のF値の数が奇数の場合、前記複数のF値のうちの真ん中のF値であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のレンズ装置。
- 前記代表値は、前記複数のF値の数が偶数の場合、前記複数のF値の真ん中の2つのF値のいずれか一方であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のレンズ装置。
- 前記F値−T値変換テーブルおよび前記T値−F値変換テーブルはそれぞれ、前記T値および前記F値を段数で設定していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のレンズ装置。
- 請求項1乃至10のいずれか一項に記載のレンズ装置と、
前記レンズ装置が着脱可能な撮像装置と、を有することを特徴とする撮像システム。 - 前記撮像装置は、前記T値−F値変換テーブルを用いてF値を算出し、前記F値を前記レンズ装置へ送信することを特徴とする請求項11に記載の撮像システム。
- 前記撮像装置は、前記F値−T値変換テーブルを用いてシャッタースピードを決定することを特徴とする請求項11または12に記載の撮像システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019019356A JP2020126181A (ja) | 2019-02-06 | 2019-02-06 | レンズ装置および撮像システム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2019019356A JP2020126181A (ja) | 2019-02-06 | 2019-02-06 | レンズ装置および撮像システム |
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JP2020126181A true JP2020126181A (ja) | 2020-08-20 |
Family
ID=72083970
Family Applications (1)
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JP2019019356A Pending JP2020126181A (ja) | 2019-02-06 | 2019-02-06 | レンズ装置および撮像システム |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2020126181A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7545334B2 (ja) | 2021-01-14 | 2024-09-04 | キヤノン株式会社 | 撮像装置、制御方法、プログラム |
-
2019
- 2019-02-06 JP JP2019019356A patent/JP2020126181A/ja active Pending
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