JP2020125531A - バナジウム分離方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム分離装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置 - Google Patents
バナジウム分離方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム分離装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】安価で簡便かつ選択的なバナジウム分離方法を提供する。【解決手段】ニッケル、鉄及びマグネシウムから選択される1種類以上の2価又は3価金属の金属夾雑物と、バナジウムと、を少なくとも含有する金属混合物からバナジウムを分離するバナジウムの分離方法であって、前記金属混合物に加水して原料スラリーを得るスラリー化工程と、硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムからなる硫安分を前記原料スラリーに添加して硫安添加スラリーを得る硫安添加工程と、硫酸を硫安添加スラリーに添加して、2価又は3価金属の酸化物を含む固形分と、バナジウム化合物を含む酸浸出液とを含む酸浸出スラリーを得る酸浸出工程と、酸浸出スラリーから前記固形分を分離して酸浸出液を得る固形分分離工程と、を含むことを特徴とするバナジウム分離方法である。【選択図】図1
Description
本発明は、燃焼灰や廃触媒等の廃棄物などに含まれる金属混合物から、バナジウム化合物を分離するためのバナジウム分離方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム分離装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置に関する。
原油など重質油を常圧蒸留した常圧蒸留残渣油や減圧蒸留して得られる減圧蒸留残渣油、オイルコークス、オイルサンドなどを燃焼した燃焼灰には、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)などの複数の金属が含まれている。このうちバナジウムは、近年、大型蓄電池であるレドックス・フロー電池の主要構成物としてのニーズが高まっていることから、安価で簡便かつ選択的な分離方法の確立が望まれている。
本発明者は、ニッケル、コバルト、マンガン、パラジウム、白金、銅及び亜鉛から選択される1種類以上の2価又は3価金属の金属夾雑物と、バナジウムと、を少なくとも含有する金属混合物からバナジウムを分離する方法を開発している(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の方法では、2価又は3価金属とバナジウムとからバナジウムを選択的に分離することができるが、吸着剤を用いた吸着操作を導入しているため、処理工程の複雑化、吸着剤によるコストの増大などの課題が生じていた。それゆえ、高価な吸着剤を必要とせず、安価で簡便かつ選択的に分離するための新たな方法が求められていた。
本発明の目的は、安価で簡便かつ選択的なバナジウム分離方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム分離装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置を提供することにある。
本発明者らは、酸性溶液中に前述のバナジウムを含む金属混合物を浸漬し、バナジウムを溶出・分離する際に、高濃度の硫安分を添加することで、バナジウムの溶出率を維持したまま金属夾雑物の溶出を抑制して、金属夾雑物の含有量の少ないバナジウム化合物が得られることを見出した。すなわち、本発明は以下に示す構成を備えるものである。
本発明は、ニッケル、鉄及びマグネシウムから選択される1種類以上の2価又は3価金属の金属夾雑物と、バナジウムと、を少なくとも含有する金属混合物からバナジウムを分離するバナジウムの分離方法であって、前記金属混合物に加水して原料スラリーを得るスラリー化工程と、硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムからなる硫安分を前記原料スラリーに添加して硫安添加スラリーを得る硫安添加工程と、硫酸を前記硫安添加スラリーに添加して、前記2価又は3価金属の酸化物を含む固形分と、バナジウム化合物を含む酸浸出液とを含む酸浸出スラリーを得る酸浸出工程と、前記酸浸出スラリーから前記固形分を分離して酸浸出液を得る固形分分離工程と、を含むことを特徴とするバナジウム分離方法である。
本発明では、硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムからなる硫安分を金属混合物に添加し、その後、硫酸を添加することで、2価又は3価金属の酸化物である固形分と、硫酸バナジウムを含む酸浸出液とを調製し、固形分を分離することで、バナジウムを安価で簡便かつ選択的に分離することができる。
この場合において、前記スラリー化工程は、前記金属混合物を含む燃焼灰に対し、酸浸出時にスラリー中の非水溶性固形物濃度が40重量%以下になるように加水することが好ましい。
このように、非水溶性固形物濃度が40重量%以下になるように加水することで、金属混合物から浸出したバナジウムを容易に分離することができる。
さらに、前記硫安添加工程は、前記硫安分添加後の硫安溶液の全量に対して30重量%以上の濃度となるように前記硫安分を添加することが好ましい。
このように、硫安分を30重量%以上の高濃度で添加することで、2価又は3価金属の金属夾雑物とバナジウムとをより効率的に分離することができる。
さらに、前記酸浸出工程は、pH3以下となるように硫酸を添加することが好ましい。
このように、酸浸出工程におけるpHを3以下とすることで、より選択的にバナジウムを分離することができる。
この場合において、前記酸浸出工程は、10〜95℃の反応温度かつ0.1〜5時間の反応時間で行うことが好ましい。
このように、酸浸出工程の条件を調整することで、より選択的にバナジウムを分離することができる。
また、前記スラリー化工程、前記硫安添加工程及び前記酸浸出工程は、水と硫安分と硫酸を事前に若しくは同一容器内にて混合することで同一工程とするか、水と硫安分の混合を同一工程とし硫酸の添加を別工程とするか、又は水と硫酸の混合を同一工程とし硫安の添加を別工程としても良い。
本発明は、上記のいずれかに記載のバナジウム分離方法で分離した前記バナジウムを原料としてレドックス・フロー電池用電解液を製造する電解液製造工程を有することを特徴とするレドックス・フロー電池用電解液の製造方法である。
このように、バナジウムを選択的に分離することで、レドックス・フロー電池用電解液を安価で簡便に効率的に製造することができる。
本発明は、ニッケル、鉄及びマグネシウムから選択される1種類以上の2価又は3価金属の金属夾雑物と、バナジウムと、を少なくとも含有する金属混合物からバナジウムを分離するバナジウムの分離装置であって、前記金属混合物に加水して原料スラリーを得るスラリー化手段と、硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムからなる硫安分を前記原料スラリーに添加して硫安添加スラリーを得る硫安添加手段と、硫酸を前記硫安添加スラリーに添加して、前記2価又は3価金属の酸化物を含む固形分と、バナジウム化合物を含む酸浸出液とを含む酸浸出スラリーを得る酸浸出手段と、前記酸浸出スラリーから前記固形分を分離して酸浸出液を得る固形分分離手段と、を含むことを特徴とするバナジウム分離装置である。
本発明では、硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムとからなる硫安分を金属混合物に添加し、その後、硫酸を添加することで、2価又は3価金属の酸化物固形分と、硫酸バナジウムを含む酸浸出液とを調製し、固形分を分離することで、バナジウムを安価で簡便かつ選択的に分離することができる。
この場合において、前記スラリー化手段は、前記金属混合物を含む燃焼灰に対し、酸浸出時にスラリー中の非水溶性固形物濃度が40重量%以下になるように加水することが好ましい。
このように、非水溶性固形物濃度が40重量%以下になるように加水することで、金属混合物から浸出したバナジウムを容易に分離することができる。
さらに、前記硫安添加手段は、前記硫安分添加後の硫安溶液の全量に対して30重量%以上の濃度となるように前記硫安分を添加することが好ましい。
このように、硫安分を30重量%以上の高濃度で添加することで、2価又は3価金属の金属夾雑物とバナジウムとをより効率的に分離することができる。
さらに、前記酸浸出手段は、pH3以下となるように硫酸を添加することが好ましい。
このように、酸浸出手段におけるpHを3以下とすることで、より選択的にバナジウムを分離することができる。
この場合において、前記酸浸出手段は、10〜95℃の反応温度かつ0.1〜5時間の反応時間で行うことが好ましい。
このように、酸浸出手段の条件を調整することで、より選択的にバナジウムを分離することができる。
また、前記スラリー化手段、前記硫安添加手段及び前記酸浸出手段は、水と硫安分と硫酸を事前に若しくは同一容器内にて混合することで同一手段としても良い。また、水と硫安分の混合を同一手段とし硫酸の添加を別手段とするか、又は水と硫酸の混合を同一手段とし硫安の添加を別手段としても良い。
上記のいずれかに記載のバナジウム分離装置で分離した前記バナジウムを原料としてレドックス・フロー電池用電解液を製造する電解液製造手段を有することを特徴とするレドックス・フロー電池用電解液の製造装置である。
本発明によれば、安価で簡便かつ選択的なバナジウム分離方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム分離装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、その構成を説明する。本発明は、その要旨を変更しない範囲で、適宜変更して実施することが可能である。
本発明のバナジウム分離方法は、バナジウム及び/又はバナジウム化合物を含有する廃棄物に好適に適用することができる。このような廃棄物としては、例えば、重質油などの石油系燃焼灰、常圧又は減圧蒸留残油となる焼却ボイラ灰、部分酸化灰、石油コークス灰、オイルサンドの残渣灰、バナジウムスラグ、各種化学反応触媒の廃触媒、産業廃棄物、廃液などを挙げることができる。特に、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)や硫酸水素アンモニウム(NH4HSO4)(以下、「硫安分」という)を含む廃棄物に好適に適用することができるが、硫安分を含まない廃棄物にも適用できる。硫安分を多く含む廃棄物としては、石油系燃焼灰などを挙げることができる。
石油精製からの廃触媒には、例えば、バナジウム、ニッケル、コバルト、モリブデン、銅、亜鉛、パラジウム、白金、鉄、リン、硫黄などが含まれる。一般にこれらの金属は、硫化物として多く含まれる。
また、バナジウムスラグは、磁鉄鉱を焼成する際に生じるスラグであり、バナジウム、マンガン、アルミニウム、鉄、チタン、ケイ素、カルシウム、リンなどの金属混合物が含まれる。一般に、これらの金属は、酸化物として多く含まれる。
また、残渣灰には、ニッケルとバナジウムの他に、鉄、マグネシウム、モリブデン、コバルト、マンガン、チタンなどの金属混合物が含まれる。
廃棄物中に硫安分が含まれる場合、硫安分は重量比で1%以上、好ましくは10%以上含まれていることが好ましい。また、本発明は、これらの廃棄物において、バナジウムが重量比で1%以上、好ましくは2.5%以上含まれているものに好適に用いることができる。さらに、本発明は、ニッケル、鉄又はマグネシウムなどの2価又は3価金属が、いずれも重量比で0.1%以上、10%以下含まれているものに好適に用いることができる。
以下の実施形態では、廃棄物として、バナジウムと、ニッケル、鉄及びマグネシウムから選択される1種類以上の2価又は3価金属の金属夾雑物とを含む重質油燃焼灰(金属混合物)から、バナジウムを分離するバナジウム分離方法について、図1を用いて説明する。なお、本発明における「分離」とは、抽出対象原料において、カーボン及び非可溶性の金属夾雑物を主成分として含む分画と、バナジウムを主成分として含む分画とを分けることを意味する。具体的には、本実施形態においては、バナジウムを含む分画として、バナジウム化合物を含む酸浸出液を得ている。また、本発明における「金属混合物」とは、ボイラー灰など、夾雑金属成分(金属夾雑物)とバナジウムとを含み、本発明によってバナジウムを抽出する対象となる原料を意味する。
(スラリー化工程)
はじめに、重質油燃焼灰には、上記の金属のほか、未燃焼カーボンを主成分とする非水溶性固形物(SS分)が、乾物当たり重量比で5〜90%、より一般的には30〜70%で含まれている(ステップ10)。この金属混合物を含む燃焼灰に対し、酸浸出時にスラリー中の非水溶性固形物濃度が40重量%以下になるように加水し、原料スラリーとする(ステップ11)。特に、SS分が重量比で25%以下、5%以上であることが好ましい。
はじめに、重質油燃焼灰には、上記の金属のほか、未燃焼カーボンを主成分とする非水溶性固形物(SS分)が、乾物当たり重量比で5〜90%、より一般的には30〜70%で含まれている(ステップ10)。この金属混合物を含む燃焼灰に対し、酸浸出時にスラリー中の非水溶性固形物濃度が40重量%以下になるように加水し、原料スラリーとする(ステップ11)。特に、SS分が重量比で25%以下、5%以上であることが好ましい。
(硫安添加工程)
次に、原料スラリーに硫安分を加えて金属が選択的に溶解する状態に調整する(ステップ12)。本工程で添加する硫安分としては、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)、硫酸水素アンモニウム(NH4HSO4)、あるいはこれらの混合物である。これらのうち、金属酸化物からバナジウムを選択的に分離する観点から、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)が特に好ましい。硫安添加工程で添加する硫安分としては、硫安分添加後に得られる硫安溶液の全量に対して、30重量%以上の濃度となるように硫安分を添加することが好ましい。特に、硫安溶液の硫安濃度は、40重量%以上であることがより好ましく、飽和濃度近く(50重量%以上)であることが特に好ましい。廃棄物に硫酸アンモニウム等があらかじめ含まれている場合は、それを加味して硫安分を添加する。
次に、原料スラリーに硫安分を加えて金属が選択的に溶解する状態に調整する(ステップ12)。本工程で添加する硫安分としては、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)、硫酸水素アンモニウム(NH4HSO4)、あるいはこれらの混合物である。これらのうち、金属酸化物からバナジウムを選択的に分離する観点から、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)が特に好ましい。硫安添加工程で添加する硫安分としては、硫安分添加後に得られる硫安溶液の全量に対して、30重量%以上の濃度となるように硫安分を添加することが好ましい。特に、硫安溶液の硫安濃度は、40重量%以上であることがより好ましく、飽和濃度近く(50重量%以上)であることが特に好ましい。廃棄物に硫酸アンモニウム等があらかじめ含まれている場合は、それを加味して硫安分を添加する。
硫安添加工程により、金属含有固形物と硫安溶液とを含む硫安添加スラリーが得られる。ここで、「硫安添加スラリー」とは、上記の原料スラリーに更に硫安分を添加して得られたスラリーを意味する。また、「金属含有固形物」とは、硫安添加スラリーに含まれる不溶性成分を意味する。金属含有固形物には、原料スラリー中の金属が含まれるが、硫安分などの可溶成分はほとんど含まれていない。
(酸浸出工程)
次に、原料スラリーに酸を加えて酸浸出スラリーとして、金属を溶解させる(ステップ13)。原料スラリーに加える酸としては、例えば硫酸、塩酸、硝酸などを挙げることができるが、溶解性の高さや原料(燃焼灰)含有成分との共通性から、硫酸が好ましい。本実施形態では硫酸を添加している。添加する酸の量は、金属混合物中に含まれる金属や不純物の種類や濃度等に応じて適宜決定することができるが、例えば酸として硫酸を使用する場合、その濃度は通常は酸浸出液に対して3〜80重量%の範囲内であり、好ましくは5〜30重量%の範囲内である。酸浸出温度(反応温度)としては、特に制限はないが、10〜95℃、好ましくは15〜80℃であり、酸浸出時間(反応時間)としては、0.1〜5時間、好ましくは0.3〜2時間の条件とすることができる。
次に、原料スラリーに酸を加えて酸浸出スラリーとして、金属を溶解させる(ステップ13)。原料スラリーに加える酸としては、例えば硫酸、塩酸、硝酸などを挙げることができるが、溶解性の高さや原料(燃焼灰)含有成分との共通性から、硫酸が好ましい。本実施形態では硫酸を添加している。添加する酸の量は、金属混合物中に含まれる金属や不純物の種類や濃度等に応じて適宜決定することができるが、例えば酸として硫酸を使用する場合、その濃度は通常は酸浸出液に対して3〜80重量%の範囲内であり、好ましくは5〜30重量%の範囲内である。酸浸出温度(反応温度)としては、特に制限はないが、10〜95℃、好ましくは15〜80℃であり、酸浸出時間(反応時間)としては、0.1〜5時間、好ましくは0.3〜2時間の条件とすることができる。
酸浸出工程により酸浸出スラリーが得られる。酸浸出スラリーには、2価又は3価金属の金属夾雑物の酸化物の固形分と、バナジウム化合物を含む酸浸出液とが含まれる。ここで、「固形分」とは、非可溶性成分を意味する。
(酸浸出促進工程)
酸浸出スラリーに固形物として残存するバナジウムの比率が高い場合は、還元剤を添加して残存するバナジウム固形物を溶解促進させても良い(ステップ14)。還元剤としては、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸ガス、ヒドラジンなどを挙げることができる。添加する還元剤の濃度は、廃棄物中に含まれる金属や不純物の種類等に応じて適宜決定することができるが、通常は硫酸浸出液に対して0.1〜20重量%の範囲内であり、好ましくは1〜10重量%の範囲内である。
酸浸出スラリーに固形物として残存するバナジウムの比率が高い場合は、還元剤を添加して残存するバナジウム固形物を溶解促進させても良い(ステップ14)。還元剤としては、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸ガス、ヒドラジンなどを挙げることができる。添加する還元剤の濃度は、廃棄物中に含まれる金属や不純物の種類等に応じて適宜決定することができるが、通常は硫酸浸出液に対して0.1〜20重量%の範囲内であり、好ましくは1〜10重量%の範囲内である。
(固形分分離工程)
前述で得られた酸浸出スラリーは、固形分を分離して、ろ液として酸浸出液を得る(ステップ15)。分離方法としては、特に制限はないが、沈殿分離、遠心分離、吸引ろ過などを挙げることができる。固形分は固形残渣として分離される(ステップ16)。
前述で得られた酸浸出スラリーは、固形分を分離して、ろ液として酸浸出液を得る(ステップ15)。分離方法としては、特に制限はないが、沈殿分離、遠心分離、吸引ろ過などを挙げることができる。固形分は固形残渣として分離される(ステップ16)。
ここで、ニッケル、鉄、マグネシウムといった2価又は3価金属の金属夾雑物は、酸浸出スラリー中に硫安分を添加しない場合には、その一部又はほぼすべてが硫酸化合物(それぞれ、NiSO4、Fe2(SO4)3、MgSO4)となり、酸浸出液中に溶出する。しかしながら、金属夾雑物は、酸浸出液中に硫安分が存在する場合には、酸化物として存在する比率が高まり、酸浸出液中でも固形物となるため、遠心分離などの固形物分離処理で容易に除去できる。一方で、バナジウムは、硫安分の存在に関係なく溶出する傾向がある。また、還元剤を併用すれば、ほぼすべてが硫酸化合物(IV)となって硫酸浸出させることができる。したがって、硫安添加スラリーに必要十分な高濃度の硫安分が存在する場合には、金属混合物中に硫酸と、必要に応じて還元剤とを添加することで、ニッケル、鉄、マグネシウムなどの2価又は3価金属とバナジウムとを選択的に分離することができる。
(バナジウム回収工程)
次に、図2を参照して、バナジウムレドックス・フロー電解液を製造する工程について説明する。上記の工程で得られたろ液(浸出液、図中A)に、アルカリ、例えばアンモニア又は水酸化ナトリウムを加え、pHを中性に調整し(ステップ30)、バナジウム化合物を析出させる(ステップ31)。具体的にはpHを6.0以上、pH7.5以下に調整することが好ましい。ここで得られた固形物を固液分離(ステップ32)してバナジウムケーキを回収する。鉄、マグネシウム、ニッケルなどの金属夾雑物をより少なくしたい場合は、前述のバナジウムケーキに、アルカリ、例えばアンモニアを加え、pH12〜14の高アルカリ状態として、バナジウムを選択的に溶解する(ステップ33)。さらに固液分離(ステップ34)を経て、得られたろ液に酸と硫安を加えて酸晶析を行い、バナジウム化合物を析出させる(ステップ35)。ここで析出した固形物を固液分離(ステップ36)することで、より夾雑物の少ないバナジウムケーキとして回収する。ここで得られたバナジウム化合物の主成分はメタバナジン酸アンモニウムである。
次に、図2を参照して、バナジウムレドックス・フロー電解液を製造する工程について説明する。上記の工程で得られたろ液(浸出液、図中A)に、アルカリ、例えばアンモニア又は水酸化ナトリウムを加え、pHを中性に調整し(ステップ30)、バナジウム化合物を析出させる(ステップ31)。具体的にはpHを6.0以上、pH7.5以下に調整することが好ましい。ここで得られた固形物を固液分離(ステップ32)してバナジウムケーキを回収する。鉄、マグネシウム、ニッケルなどの金属夾雑物をより少なくしたい場合は、前述のバナジウムケーキに、アルカリ、例えばアンモニアを加え、pH12〜14の高アルカリ状態として、バナジウムを選択的に溶解する(ステップ33)。さらに固液分離(ステップ34)を経て、得られたろ液に酸と硫安を加えて酸晶析を行い、バナジウム化合物を析出させる(ステップ35)。ここで析出した固形物を固液分離(ステップ36)することで、より夾雑物の少ないバナジウムケーキとして回収する。ここで得られたバナジウム化合物の主成分はメタバナジン酸アンモニウムである。
(熱分解工程)
前述のバナジウムケーキを、酸素存在下で熱分解し、五酸化バナジウムバナジウム(V2O5)を主な生成物とする酸化物を得る(ステップ37)。この酸化物は、レドックス・フロー電池電解液の原料となる。ここで加熱温度は550℃以上とすることが好ましい。熱分解は、焼成炉などを用い、燃料を燃焼させて行う。燃料としては、LPGガスを挙げることでき、空気を混入して燃焼させることができる。熱分解は、バナジン酸結晶物を焼成炉等に投入したのち、550℃超の所定温度まで昇温し、所定の時間、温度を保持することで行う。熱分解の時間は、10分間〜10時間程度であり、30分間〜5時間の範囲内が好ましい。
前述のバナジウムケーキを、酸素存在下で熱分解し、五酸化バナジウムバナジウム(V2O5)を主な生成物とする酸化物を得る(ステップ37)。この酸化物は、レドックス・フロー電池電解液の原料となる。ここで加熱温度は550℃以上とすることが好ましい。熱分解は、焼成炉などを用い、燃料を燃焼させて行う。燃料としては、LPGガスを挙げることでき、空気を混入して燃焼させることができる。熱分解は、バナジン酸結晶物を焼成炉等に投入したのち、550℃超の所定温度まで昇温し、所定の時間、温度を保持することで行う。熱分解の時間は、10分間〜10時間程度であり、30分間〜5時間の範囲内が好ましい。
スラリー化工程、硫安添加工程及び酸浸出工程は、水と硫安分と硫酸を事前に若しくは同一容器内にて混合することで同一工程としてもよい。あるいは、水と硫安分の混合を同一工程とし硫酸の添加を別工程とするか、又は水と硫酸の混合を同一工程とし硫安の添加を別工程としてもよい。同一工程としては、後述する実施例の処理フロー(図3)を例示することができる。このフローでは、まず水と硫酸を混合して硫酸溶液を調製し(ステップ20)、燃焼灰を用意し(ステップ21)、これらと硫安分とを混合してスラリー化及び酸浸出を行う(ステップ22)。次に、酸浸出スラリーから、固形分を分離してろ液である酸浸出液を得るとともに(ステップ23)、固形残渣を分離する(ステップ24)。
(レドックス・フロー電池用電解液の製造方法)
本発明のレドックス・フロー電池用電解液の製造方法は、当該方法で分離したバナジウム酸化物をレドックス・フロー電池用の電解液の原液とする(電解液製造工程)方法である。レドックス・フロー電池用電解液としては、正極側は酸化硫酸バナジウム(IV)を、負極側は硫酸バナジウム(III)を使用することができる。レドックス・フロー電池用電解液中に含まれるバナジウムの濃度は、特に制限はないが、正極側、負極側いずれも、例えば0.1mol/l〜10mol/lの範囲内、好ましくは1〜3mol/lの範囲内とすることができる。
本発明のレドックス・フロー電池用電解液の製造方法は、当該方法で分離したバナジウム酸化物をレドックス・フロー電池用の電解液の原液とする(電解液製造工程)方法である。レドックス・フロー電池用電解液としては、正極側は酸化硫酸バナジウム(IV)を、負極側は硫酸バナジウム(III)を使用することができる。レドックス・フロー電池用電解液中に含まれるバナジウムの濃度は、特に制限はないが、正極側、負極側いずれも、例えば0.1mol/l〜10mol/lの範囲内、好ましくは1〜3mol/lの範囲内とすることができる。
正極側の電解液の原料である酸化硫酸バナジウム(IV)の製造方法としては、五酸化バナジウム(V2O5)に硫酸と還元剤を添加することで、VOSO4を生成させることができる。この場合、ステップ37の熱分解で得られた固化物に硫酸を添加することで、正極電解液の材料を製造することができる。
また、負極側の電解液の原料である硫酸バナジウム(III)の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、ステップ37で得られた五酸化バナジウム(V2O5)の粉状物からメタバナジン酸アンモニウムを生成し、窒素ガス雰囲気下にて高温で分解して酸化物(V2O3)とする。次に、得られた酸化物に対して、高圧反応法や大気圧法で硫酸バナジウム(III)を得る。高圧反応法は、例えば、250℃、40気圧の条件下で5〜40%濃硫酸をV2O3に添加して溶解析出させて硫酸バナジウム(III)を得る方法である。一方、大気圧法は、例えば、250℃、大気圧の条件下で80%濃硫酸をV2O3に添加して溶解析出させ、その後に50%未満の希硫酸に溶解させることで硫酸バナジウム(III)を得る方法である。
(バナジウム分離装置)
本発明のバナジウム分離装置は、上記のバナジウム分離方法を実施するための装置として構成することができる。本発明のバナジウム分離装置は、一例として、酸浸出槽、固液分離装置、pH調整槽、晶析槽、熱分解装置を備えるバナジウム分離システム(プラントなど)として構成することができる。
本発明のバナジウム分離装置は、上記のバナジウム分離方法を実施するための装置として構成することができる。本発明のバナジウム分離装置は、一例として、酸浸出槽、固液分離装置、pH調整槽、晶析槽、熱分解装置を備えるバナジウム分離システム(プラントなど)として構成することができる。
酸浸出槽は、バナジウムを少なくとも含有する金属混合物を硫酸で浸出させて浸出液を得るための手段である。酸浸出槽では、金属混合物に加水して原料スラリーを得るスラリー化する手段(本発明のスラリー化手段に相当)、硫安分を原料スラリーに添加して金属含有固形物と硫安溶液を含む硫安添加スラリーを得る手段(本発明の硫安添加手段に相当)、2価又は3価金属の酸化物の固形分と、硫酸バナジウムとを含む酸浸出液とを調製する手段(本発明の酸浸出手段に相当)を備えている。さらに、酸浸出槽では、酸浸出スラリーに還元剤を添加してバナジウム酸化物を溶解させる手段(酸浸出促進手段)を備えても良い。
スラリー化手段、硫安添加手段及び酸浸出手段は、水と硫安分と硫酸を事前に若しくは同一容器内にて混合することで同一手段としてもよい。あるいは、水と硫安分の混合を同一手段とし硫酸の添加を別手段とするか、又は水と硫酸の混合を同一手段とし硫安の添加を別手段としてもよい。
固液分離装置は、酸浸出スラリーを清澄な酸浸出液と未燃カーボンや固形金属酸化物を含むスラリー残渣とに分離する(本発明の固形分分離手段に相当)。
pH調整槽は、清澄な酸浸出液に酸やアルカリを加えてバナジウム化合物の析出又は溶解に必要な状態に調整するための槽である。
晶析槽は、pH調整槽で得られたpH調整液からバナジウム化合物を晶析させるための手段であり、必要に応じて撹拌混合手段や冷却手段を備えても良い。また、pH調整手段及び晶析手段を合一し、同一槽内でpH調整及び晶析ができるようにしても良い。
熱分解装置は、前記バナジウム化合物を550℃以上に加熱して五酸化バナジウム(V2O5)を生成させる装置である(本発明の熱分解手段に相当)。
(レドックス・フロー電池用電解液の製造装置)
本発明のレドックス・フロー電池用電解液の製造装置は、上述したバナジウム分離装置で得られたバナジウムをレドックス・フロー電池用電解液の原料とする。すなわち、本発明の製造装置は、バナジウム分離装置で分離したバナジウムから、上記「レドックス・フロー電池用電解液の製造方法」に記載した方法で電解液を製造する電解液製造手段を有する。
本発明のレドックス・フロー電池用電解液の製造装置は、上述したバナジウム分離装置で得られたバナジウムをレドックス・フロー電池用電解液の原料とする。すなわち、本発明の製造装置は、バナジウム分離装置で分離したバナジウムから、上記「レドックス・フロー電池用電解液の製造方法」に記載した方法で電解液を製造する電解液製造手段を有する。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではなく、また、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
(1)実施例1〜3
図3のフローに従い、硫酸溶液と燃焼灰と硫安を同時に加えることで、スラリー化、硫安添加、酸浸出の3工程を同時に実施、その後固形分分離を行う形で、燃焼灰から、バナジウムを分離回収した。
図3のフローに従い、硫酸溶液と燃焼灰と硫安を同時に加えることで、スラリー化、硫安添加、酸浸出の3工程を同時に実施、その後固形分分離を行う形で、燃焼灰から、バナジウムを分離回収した。
(酸浸出スラリーの作成)
下記表1の灰を用い、表2に記載の条件に従い、スラリーを調製した。
下記表1の灰を用い、表2に記載の条件に従い、スラリーを調製した。
(浸出操作)
表2に示した硫酸及び水を用意し、温水浴中で加温し、所定の温度(上記表中の「浸出温度」)に達すると同時に、金属混合物及び硫安を添加した。20分ごとに2mlサンプリングし、ろ過器でろ過した。120分経過後、残ったサンプルもろ過し、ろ紙に残った粉末の重量を計測した。
表2に示した硫酸及び水を用意し、温水浴中で加温し、所定の温度(上記表中の「浸出温度」)に達すると同時に、金属混合物及び硫安を添加した。20分ごとに2mlサンプリングし、ろ過器でろ過した。120分経過後、残ったサンプルもろ過し、ろ紙に残った粉末の重量を計測した。
(分析方法)
原子吸光度測定(分析装置:iCE3300型、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を使用して行った。サンプル液のバナジウム濃度を12.5ppm、25ppm、50ppmに調整して検量線としたところ、直線フィットしたので検量線とし
て使用した。分析に使用するサンプルは1000倍に希釈して使用した。
原子吸光度測定(分析装置:iCE3300型、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を使用して行った。サンプル液のバナジウム濃度を12.5ppm、25ppm、50ppmに調整して検量線としたところ、直線フィットしたので検量線とし
て使用した。分析に使用するサンプルは1000倍に希釈して使用した。
(結果)
図4は、表1に組成を示した製油所の石油コークスボイラー由来の燃焼灰(EP灰)を用いて、酸浸出を行った結果を示したグラフである。図4−1は時間経過に伴いバナジウムが液中に浸出した量を、図4−2は時間経過に伴いニッケルが液中に浸出した量を、図4−3は時間経過に伴いマグネシウムが液中に浸出した量を、図4−4は時間経過に伴い鉄が液中に浸出した量を示している。
図4は、表1に組成を示した製油所の石油コークスボイラー由来の燃焼灰(EP灰)を用いて、酸浸出を行った結果を示したグラフである。図4−1は時間経過に伴いバナジウムが液中に浸出した量を、図4−2は時間経過に伴いニッケルが液中に浸出した量を、図4−3は時間経過に伴いマグネシウムが液中に浸出した量を、図4−4は時間経過に伴い鉄が液中に浸出した量を示している。
各々の図において硫安0mol/L(硫安添加なし)は対照区(比較例1)であり、従来技術における酸浸出処理に相当する条件である。対して硫安2.0mol/L(実施例1)、4.0mol/L(実施例2)、5.0mol/L(実施例3)、特に硫安5.0mol/Lは本発明において高い効果を示す試験区である。
バナジウムは、反応時間20分では、対照区(比較例1)及び硫安2.0mol/L区(実施例1)において、1.6〜1.7g浸出するが、硫安4.0mol/L、硫安5.0mol/Lと硫安添加量が増大するに従い、1.2g、0.6gと浸出量が減少する。対して反応時間120分では、対照区(比較例1)、試験区(実施例1)とも2.0〜2.1gと、ほぼ同量浸出している。このことから、硫安添加はバナジウム浸出に対し、初期の浸出速度を抑制するが、最終到達浸出量には影響しないことがわかる。
ニッケルは、反応時間20分では、対照区(比較例1)において0.31g、試験区(硫安添加区:実施例1〜3)においては浸出が認められない。反応時間120分でも、対照区(比較例1)において0.37g、試験区(実施例1〜3)においては浸出が認められない。このことから、硫安添加はニッケル浸出に対し、少ない添加量でも大きな抑制効果を示すことがわかる。
マグネシウムは、反応時間20分では、対照区(比較例1)で0.60g、試験区(実施例1〜3)では硫安添加2.0mol/L、4.0mol/L、5.0mol/Lと添加量が増大するに従い、0.31g、0.08g、0.05gと浸出量が減少する。反応時間120分でも、対照区(比較例1)で0.67g、試験区(実施例1〜3)で硫安添加2.0mol/L、4.0mol/L、5.0mol/Lと添加量が増大するに従い、0.32g、0.13g、0.13gと浸出量が減少している。また、反応時間20分に比べ反応時間120分でも浸出量の大幅な増大は見られない。このことから、硫安添加はマグネシウム浸出に対し、大きな抑制効果を示すことがわかる。
鉄は、反応時間20分では、対照区(比較例1)で0.10g、試験区(実施例1〜3)では硫安添加2.0mol/L、4.0mol/L、5.0mol/Lと添加量が増大するに従い、0.09g、0.05g、0.05gと浸出量が減少する。反応時間120分でも、対照区(比較例1)で0.12g、試験区(実施例1〜3)で硫安添加2.0mol/L、4.0mol/L、5.0mol/Lと添加量が増大するに従い、0.12g、0.09g、0.02gと浸出量が減少している。このことから、硫安添加は鉄浸出に対し、大きな抑制効果を示すことがわかる。
表3は、図4に示した試験結果における、浸出液中の金属夾雑物とバナジウムの含有比率をまとめたものである。例えば、反応時間60分において対照区(比較例1)と硫安濃度5mol/Lの試験区(実施例3)を比較すると、バナジウムに共存する金属夾雑物は、バナジウム重量比で対照区(比較例1)は60.4%、試験区(実施例3)は5.7%であった。このことは、本発明の適用により、吸着剤を必要とせず安価な薬剤である硫安分を初期投入するだけで、金属夾雑物の含有量を10分の1に低減できることがわかる。さらに、金属夾雑物を最少にするには硫安は飽和濃度に近い5mol/L投入することが好ましいことがわかる。
Claims (14)
- ニッケル、鉄及びマグネシウムから選択される1種類以上の2価又は3価金属の金属夾雑物と、バナジウムと、を少なくとも含有する金属混合物からバナジウムを分離するバナジウムの分離方法であって、
前記金属混合物に加水して原料スラリーを得るスラリー化工程と、
硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムからなる硫安分を前記原料スラリーに添加して硫安添加スラリーを得る硫安添加工程と、
硫酸を前記硫安添加スラリーに添加して、前記2価又は3価金属の酸化物の固形分と、バナジウム化合物を含む酸浸出液とを含む酸浸出スラリーを得る酸浸出工程と、
前記酸浸出スラリーから前記固形分を分離して酸浸出液を得る固形分分離工程と、
を含むことを特徴とするバナジウム分離方法。 - 前記スラリー化工程は、前記金属混合物を含む燃焼灰に対し、酸浸出時にスラリー中の非水溶性固形物濃度が40重量%以下になるように加水することを特徴とする請求項1に記載のバナジウム分離方法。
- 前記硫安添加工程は、前記硫安分添加後の硫安溶液の全量に対して30重量%以上の濃度となるように前記硫安分を添加することを特徴とする請求項1に記載のバナジウム分離方法。
- 前記酸浸出工程は、pH3以下となるように硫酸を添加することを特徴とする請求項1に記載のバナジウム分離方法。
- 前記酸浸出工程は、10〜95℃の反応温度かつ0.1〜5時間の反応時間で行うことを特徴とする請求項4に記載のバナジウム分離方法。
- 前記スラリー化工程、前記硫安添加工程及び前記酸浸出工程は、水と硫安分と硫酸を事前に若しくは同一容器内にて混合することで同一工程とするか、水と硫安分の混合を同一工程とし硫酸の添加を別工程とするか、又は水と硫酸の混合を同一工程とし硫安の添加を別工程とすることを特徴とする請求項1に記載のバナジウム分離方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のバナジウム分離方法で分離した前記バナジウムを原料としてレドックス・フロー電池用電解液を製造する電解液製造工程を有することを特徴とするレドックス・フロー電池用電解液の製造方法。
- ニッケル、鉄及びマグネシウムから選択される1種類以上の2価又は3価金属の金属夾雑物と、バナジウムと、を少なくとも含有する金属混合物からバナジウムを分離するバナジウムの分離装置であって、
前記金属混合物に加水して原料スラリーを得るスラリー化手段と、
硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムからなる硫安分を前記原料スラリーに添加して硫安添加スラリーを得る硫安添加手段と、
硫酸を前記硫安添加スラリーに添加して、前記2価又は3価金属の酸化物の固形分と、バナジウム化合物を含む酸浸出液と含む酸浸出スラリーを得る酸浸出手段と、
前記酸浸出スラリーから前記固形分を分離して酸浸出液を得る固形分分離手段と、
を含むことを特徴とするバナジウム分離装置。 - 前記スラリー化手段は、前記金属混合物を含む燃焼灰に対し、酸浸出時にスラリー中の非水溶性固形物濃度が40重量%以下になるように加水することを特徴とする請求項8に記載のバナジウム分離装置。
- 前記硫安添加手段は、前記硫安分添加後の硫安溶液の全量に対して30重量%以上の濃度となるように前記硫安分を添加することを特徴とする請求項8に記載のバナジウム分離装置。
- 前記酸浸出手段は、pH3以下となるように硫酸を添加することを特徴とする請求項8に記載のバナジウム分離装置。
- 前記酸浸出手段は、10〜95℃の反応温度かつ0.1〜5時間の反応時間で行うことを特徴とする請求項11に記載のバナジウム分離装置。
- 前記スラリー化手段、前記硫安添加手段及び前記酸浸出手段は、水と硫安分と硫酸を事前に若しくは同一容器内にて混合することで同一手段とするか、水と硫安分の混合を同一手段とし硫酸の添加を別手段とするか、又は水と硫酸の混合を同一手段とし硫安の添加を別手段とすることを特徴とする請求項8に記載のバナジウム分離装置。
- 請求項8〜13のいずれか1項に記載のバナジウム分離装置で分離した前記バナジウムを原料としてレドックス・フロー電池用電解液を製造する電解液製造手段を有することを特徴とするレドックス・フロー電池用電解液の製造装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019020046A JP2020125531A (ja) | 2019-02-06 | 2019-02-06 | バナジウム分離方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム分離装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023106164A1 (ja) * | 2021-12-06 | 2023-06-15 | 川崎重工業株式会社 | バナジウム化合物の製造方法及び製造装置並びにレドックス・フロー電池用電解液の製造方法及び製造装置 |
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2019
- 2019-02-06 JP JP2019020046A patent/JP2020125531A/ja active Pending
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