JP2020125016A - 車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータジェネレータにより内燃機関をクランキングして始動させる車両において、燃費の向上を図りつつ、システム起動時における内燃機関の始動性を良好に確保する。【解決手段】本開示の車両は、内燃機関と、内燃機関をクランキング可能なモータジェネレータと、モータジェネレータと電力をやり取りする第1蓄電装置と、第1蓄電装置よりも低電圧の第2蓄電装置と、第1蓄電装置からの電力を降圧すると共に第2蓄電装置からの電力を昇圧することができる電圧変換装置と、車両のシステム起動中に、次のシステム停止時における第1蓄電装置のSOCを予測し、内燃機関の運転が停止され、かつ当該SOCの予測値が予め定められた閾値未満である場合、電圧変換装置の動作を停止させるか、あるいは第2蓄電装置からの電力を昇圧して第1蓄電装置側に供給するように電圧変換装置を制御する制御装置とを含む。【選択図】図1
Description
本開示は、内燃機関と、当該内燃機関のクランクシャフトに連結されたモータジェネレータとを含む車両に関する。
従来、エンジンおよびモータジェネレータを含むハイブリッド自動車に搭載される電源システムとして、回転機を駆動する回転機システムに高圧の直流電力を供給すると共に、各種の補機負荷に低圧の直流電力を供給するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この電源システムは、出力型電源で構成される高圧電源(第1蓄電装置)と、容量型電源で構成される低圧電源(第2蓄電装置)と、高圧電源と低圧電源とを双方向に変圧可能に接続する変電機と、変電機を制御する制御装置とを含む。そして、電源システムの制御装置は、低圧電源または高圧電源の一方の容量もしくは入出力が適正範囲から外れたとき、低圧電源または高圧電源の他方の電源により補完するように変電機を制御する。
上記従来の車両において、モータジェネレータによりエンジンをクランキングして始動させることで、エンジンをスムースかつ速やかに始動させることができるので、エンジンを停止させる機会を増やして車両の燃費を向上させることができる。しかしながら、エンジンを停止させる機会が増加すると、エンジンの始動に際してモータジェネレータにより消費される高圧電源の電力の量が増加する。このため、車両がシステム停止された後、次に車両がシステム起動される際に、高圧電源のSOCが不足してモータジェネレータによりエンジンをクランキングして始動させ得なくなってしまうおそれもある。
そこで、本開示は、クランクシャフトに連結されたモータジェネレータにより内燃機関をクランキングして始動させる車両において、燃費の向上を図りつつ、システム起動時における内燃機関の始動性を良好に確保することを主目的とする。
本開示の車両は、内燃機関と、前記内燃機関のクランクシャフトに連結されたモータジェネレータと、前記モータジェネレータと電力をやり取りする第1蓄電装置と、前記第1蓄電装置よりも低電圧の第2蓄電装置とを含み、前記モータジェネレータにより前記内燃機関をクランキングして始動させる車両であって、前記モータジェネレータおよび前記第1蓄電装置の少なくとも何れか一方からの電力を降圧して前記第2蓄電装置側に供給すると共に、前記第2蓄電装置からの電力を昇圧して前記第1蓄電装置側に供給する電圧変換装置と、前記車両がシステム起動されている間に、次のシステム停止時における前記第1蓄電装置のSOCを予測し、前記内燃機関の運転が停止され、かつ前記SOCの予測値が予め定められた閾値未満である場合、前記第1蓄電装置の現SOCに応じて、前記電圧変換装置の動作を停止させるか、あるいは前記第2蓄電装置からの電力を昇圧して前記第1蓄電装置側に供給するように前記電圧変換装置を制御する制御装置とを含むものである。
本開示の車両の制御装置は、車両がシステム起動されている間に、次のシステム停止時における第1蓄電装置のSOCを予測し、内燃機関の運転が停止され、かつ当該SOCの予測値が予め定められた閾値未満である場合、第1蓄電装置の現SOCに応じて、電圧変換装置の動作を停止させるか、あるいは第2蓄電装置からの電力を昇圧して第1蓄電装置側に供給するように電圧変換装置を制御する。これにより、第1蓄電装置からの電力による第2蓄電装置の充電を抑制すると共に、必要に応じて第2蓄電装置からの電力により第1蓄電装置を充電することが可能となる。この結果、エンジンの運転を停止させる機会の減少を抑制しつつ、車両のシステム停止時すなわち次のシステム起動時に、第1蓄電装置のSOCを良好に確保してモータジェネレータによりスムースかつ確実に内燃機関を始動させることができる。従って、本開示の車両では、燃費の向上を図りつつ、システム起動時における内燃機関の始動性を良好に確保することが可能となる。
また、前記制御装置は、前記内燃機関の運転が停止され、前記SOCの前記予測値が前記閾値未満であり、かつ前記第1蓄電装置の現SOCが所定値以上である場合、前記電圧変換装置の動作を停止させ、前記内燃機関の運転が停止され、前記SOCの前記予測値が前記閾値未満であり、かつ前記第1蓄電装置の前記現SOCが前記所定値未満である場合、前記第2蓄電装置からの電力を昇圧して前記第1蓄電装置側に供給するように前記電圧変換装置を制御するものであってもよい。
更に、前記制御装置は、前記車両がシステム停止され、かつ前記第1蓄電装置の現SOCが前記閾値未満である場合、前記第2蓄電装置からの電力を昇圧して前記第1蓄電装置側に供給するように前記電圧変換装置を制御するものであってもよい。これにより、車両がシステム停止された直後に第1蓄電装置のSOCが不足していても、次のシステム起動までに第1蓄電装置のSOCを回復させることが可能となる。
次に、図面を参照しながら本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示の車両1を示す概略構成図である。同図に示す車両1は、エンジン10と、エンジン10からの動力を駆動輪DWに伝達する動力伝達装置20と、モータジェネレータMGと、モータジェネレータMGを駆動するインバータ30と、インバータ30を介してモータジェネレータMGに接続される高電圧バッテリ(第1蓄電装置)40と、各種補機に供給される電力を蓄える低電圧バッテリ(第2蓄電装置)50と、インバータ30、高電圧バッテリ40および低電圧バッテリ50に接続されたDC/DCコンバータ60と、エンジン10を制御するエンジン電子制御装置(以下、「エンジンECU」という。)70と、モータジェネレータMG(インバータ30)を制御するモータ電子制御装置(以下、「MGECU」という。)80と、パワーマネージメント電子制御装置(以下、「PMECU」という。)90とを含む。
エンジン10は、ガソリンや軽油、LPGといった炭化水素系の燃料と空気との混合気の爆発燃焼により動力を発生する内燃機関であり、図示しない複数の気筒(燃焼室)や、各気筒内に配置されるピストン(図示省略)に連結されたクランクシャフト11、図示しない電子制御式のスロットルバルブ、それぞれ複数の燃料噴射弁および点火プラグ、上死点を基準としたクランクシャフト11の回転角であるクランク角θを検出するクランク角センサ等を含む。更に、エンジン10は、クランクシャフト11にクランキングトルクを出力して当該エンジン10を始動させるスタータ15を含む。スタータ15は、クランクシャフト11と一体に回転するリングギヤに噛合可能なピニオンギヤ、当該ピニオンギヤを回転駆動する直流モータ、ピニオンギヤをリングギヤとの噛合位置と退避位置との間で進退移動させるアクチュエータ等を含み、エンジンECU70により制御される。
動力伝達装置20は、エンジン10のクランクシャフト11に連結される発進装置や、当該発振装置の出力部材に連結された変速機構(自動変速機)等を含む。発進装置は、クランクシャフト11に固定されるフロントカバー、ポンプインペラ、タービンランナおよびステータ等を有するトルクコンバータ(流体伝動装置)や、エンジン10からの振動を減衰するダンパ機構、ダンパ機構を介してフロントカバーと出力部材とを連結可能なクラッチ(ロックアップクラッチ)等を含む。変速機構は、例えば4段〜10段変速式の自動変速機構であり、入力軸、出力軸、少なくとも1つの遊星歯車機構、それぞれ複数のクラッチおよびブレーキ(何れも図示省略)等を含む。変速機構は、クラッチおよびブレーキの係脱により発進装置(ダンパ機構)の出力部材から入力軸に伝達された動力を複数段階に変速して出力軸に出力する。変速機構の出力軸に出力された動力は、デファレンシャルギヤDF、ドライブシャフトDSを介して駆動輪DWに伝達される。なお、変速機構は、例えばベルト式の無段変速機構(CVT)やデュアルクラッチトランスミッション等であってもよい。
モータジェネレータMGは、図示しないステータおよびロータを含む同期発電電動機(三相交流電動機)である。モータジェネレータMGのロータは、伝動機構17を介してエンジン10のクランクシャフト11の動力伝達装置20側とは反対側の端部に連結される。本実施形態において、伝動機構17は、クランクシャフト11に固定されるプーリと、モータジェネレータMGのロータに固定されるプーリと、両プーリに巻き掛けられるベルトとを含む巻掛け伝動機構である。なお、伝動機構17は、ギヤ機構やチェーン機構であってもよい。また、モータジェネレータMGは、エンジン10と動力伝達装置20との間に配置されてもよく、直流電動機であってもよい。
車両1において、伝動機構17を介してモータジェネレータMGからクランクシャフト11にクランキングトルクを出力することで、エンジン10をクランキングして始動させることが可能となる。また、車両1の走行中、モータジェネレータMGは、主に、負荷運転されるエンジン10からの動力の一部を用いて電力を生成する発電機として動作すると共に、適宜高電圧バッテリ40からの電力により駆動されて駆動トルク(アシストトルク)をエンジン10のクランクシャフト11に出力する。更に、車両1の制動に際して、モータジェネレータMGは、回生制動トルクをエンジン10のクランクシャフト11に出力する。
インバータ30は、例えば、6つのトランジスタと、各トランジスタに逆方向に並列接続された6つのダイオードとを含むものであり、MGECU80により制御される。高電圧バッテリ40は、例えば40−50Vの定格出力電圧を有するリチウムイオン二次電池またはニッケル水素二次電池である。低電圧バッテリ50は、例えば12Vの定格出力電圧を有する鉛蓄電池である。DC/DCコンバータ60は、インバータ30および高電圧バッテリ40に接続された高圧電力ラインLHと、上述のスタータ15等を含む各種補機や低電圧バッテリ50に接続された低圧電力ラインLLとに接続される。DC/DCコンバータ60は、モータジェネレータMGや高電圧バッテリ40からの電力を降圧して低圧電力ラインLLに供給すると共に、低電圧バッテリ50からの電力を昇圧して高圧電力ラインLHに供給することができる。本実施形態において、DC/DCコンバータ60は、MGECU80により制御される。
エンジンECU70は、図示しないCPU,ROM,RAM、入出力装置等を有するマイクロコンピュータを含み、CAN等の通信線を介してMGECU80およびPMECU90と相互に情報をやり取りする。また、エンジンECU70には、スロットルバルブのスロットル開度を検出するスロットル開度センサ、吸入空気量を検出するエアフローメータ、可変バルブタイミング機構のカムポジションセンサ(何れも図示省略)、クランク角センサ、車速センサ、等が接続されている。エンジンECU70は、PMECU90等からの指令信号や各種センサからの信号に基づいてエンジン10の吸入空気量制御や燃料噴射制御、点火制御等を実行する。
MGECU80は、図示しないCPU,ROM,RAM、入出力装置等を有するマイクロコンピュータを含み、CAN等の通信線を介してエンジンECU70およびPMECU90と相互に情報をやり取りする。また、MGECU80には、モータジェネレータMGのロータの回転位置を検出する図示しない回転位置センサ、モータジェネレータMGに印加される相電流を検出する電流センサ、高圧電力ラインLHの電圧を検出する電圧センサ、低圧電力ラインLLの電圧を検出する電圧センサ等が接続されている。MGECU80は、PMECU90等からの指令信号や各種センサからの信号に基づいてインバータ30およびDC/DCコンバータ60を制御する。
PMECU90は、図示しないCPU,ROM,RAM、入出力装置等を有するマイクロコンピュータを含み、CAN等の通信線を介してエンジンECU70およびMGECU80と相互に情報をやり取りする。また、PMECU90には、車両1のシステム起動およびシステム停止を指示するためのスタートスイッチSSや、アクセル開度を検出するアクセルペダルポジションセンサ、シフトポジションセンサ、車速を検出する車速センサといった各種センサが接続されている。更に、PMECU90には、高電圧バッテリ40の端子間電圧を検出する電圧センサや、高電圧バッテリ40の充放電電流を検出する電流センサ、高電圧バッテリ40の電池温度を検出する温度センサ等が接続されている。PMECU90は、これらのセンサからの信号に基づいて高電圧バッテリ40の現在の充電率である現SOCや、許容充電電力Win、許容放電電力Wout等を導出する。また、PMECU90には、道路上に設置されたビーコンから道路交通情報等を取得可能なナビゲーションシステム91や、図示しないCPUや通信モジュール等を含み、各種情報を提供するサーバと通信可能な専用通信機(DCM)95が接続されている。
上述のように構成される車両1では、運転者によりスタートスイッチSSがオンされた時点では、エンジン10が始動させられず、PMECU90は、運転者の発進要求(例えば図示しないブレーキペダルの踏み込み解除等)に応じてモータジェネレータMGからのクランキングトルクによりエンジン10を始動させるようにエンジンECU70およびMGECU80に指令信号を送信する。PMECU90からの指令信号を受信したMGECU80は、モータジェネレータMGがクランクシャフト11にクランキングトルクを出力するようにインバータ30をスイッチング制御し、エンジンECU70は、所定のタイミングでエンジン10の吸入空気量制御や燃料噴射制御、点火制御等を開始する。
また、車両1の走行に際して、PMECU90は、アクセル開度や車速に基づいて走行に要求される要求トルクを設定すると共に、エンジン10への要求エンジンパワーおよび目標回転数、モータジェネレータMGに対するトルク指令値等を設定する。そして、PMECU90は、要求エンジンパワーおよび目標回転数をエンジンECU70に送信すると共に、トルク指令値をMGECU80に送信する。エンジンECU70は、PMECU90からの要求エンジンパワーおよび目標回転数、各種センサ等からの信号に基づいて、エンジン10の吸入空気量制御や燃料噴射制御、点火制御等を実行する。更に、MGECU80は、モータジェネレータMGが要求されるトルクを出力して電力を生成または消費するようにインバータ30をスイッチング制御する。
更に、PMECU90は、エンジンECU70およびMGECU80と協働して、車両1の停車に応じてエンジン10の運転を停止させると共に運転者による発進要求に応じてモータジェネレータMG等からのクランキングトルクによってエンジン10を再始動させる自動停止始動制御(アイドリングストップ制御)を実行する。本実施形態において、モータジェネレータMGは、エンジン10が運転されている間、基本的に、エンジン10からの動力の一部を用いて各種補機等により要求される電力を生成するようにPMECU90およびMGECU80により制御され、MGECU80は、モータジェネレータMGにより発電された電力を降圧して低圧電力ラインLLに出力するようにDC/DCコンバータ60を制御する。これにより、エンジン10が運転されている間、各種補機は、基本的にモータジェネレータMGにより生成された電力により駆動されることになる。一方、自動停止始動制御によりエンジン10の運転が停止されている間、MGECU80は、基本的に、高電圧バッテリ40からの電力を降圧して低圧電力ラインLLに出力するようにDC/DCコンバータ60を制御する。これにより、自動停止始動制御によりエンジン10の運転が停止されている間、各種補機は、基本的に高電圧バッテリ40からの電力により駆動されることになる。
また、運転者によりスタートスイッチSSがオンされて車両1がシステム起動されている間、PMECU90は、ナビゲーションシステム91や専用通信機95を介して取得した各種情報に基づいて、次のシステム停止時すなわち次に運転者によりスタートスイッチSSがオフされるときの高電圧バッテリ40のSOCの予測値である予測SOCを所定時間おきに算出する。より詳細には、PMECU90は、車両1がシステム起動されている間、ナビゲーションシステム91および専用通信機95を介して取得した車両1の目的地、現在位置から目的地までの距離、交通流情報、法定車速、各種学習値等に基づいて、上記所定時間おきに、車両1の予測平均車速Vave(km/h)と、車両1の残走行時間Tr(sec)と、モータジェネレータMGによる予測発電電流総量Pmg(A・sec)と、DC/DCコンバータ60の予測消費電流総量Pdc(A・sec)と、高電圧バッテリ40の予測充電電流総量Pchgbat(A・sec)と、自動停止始動制御によるエンジン10の運転停止中の高電圧バッテリ40の予測放電電流総量Pdscbat(A・sec)とを算出する。そして、PMECU90は、現SOCに対応したバッテリ残量Pbatnowと予測充電電流総量Pchgbatとの和から予測放電電流総量Pdscbatを減じた値(Pbatnow+Pchgbat−Pdscbat)をSOC=100%に対応した高電圧バッテリ40の容量Pbatfullで除することにより当該高電圧バッテリ40の予測SOC(=(Pbatnow+Pchgbat−Pdscbat)/Pbatfull)を上記所定時間おきに算出する。
予測平均車速Vaveは、予測SOCの算出タイミングから目的地で車両1がシステム停止されるまでの間の車速の平均値である。予測平均車速Vaveは、現在位置から目的地までの複数の走行区間のうち、i番目の走行区間の交通群車速を“Vi”としたときに、Vave=(V1+V2+…+Vn)/nとして算出される(ただし、“i”は、1以上の整数であり、“n”は、最終区間を示す)。残走行時間Trは、予測SOCの算出タイミングから目的地で車両1がシステム停止されるまでに車両1が実際に走行する時間(停車時間を除く)の予測値である。残走行時間Trは、i番目の走行区間の距離(km)を“Di”としたときに、Tr=(D1/V1+D2/V2+…+Dn/Vn)×60×60として算出される。予測発電電流総量Pmgは、予測SOCの算出タイミングから目的地で車両1がシステム停止されるまでにモータジェネレータMGにより発電される電流の予測総量である。予測発電電流総量Pmgは、車両1の車速ごとに予め定められているモータジェネレータMGによる発電電流Imgのうちの予測平均車速Vaveに対応した値(Img@Vave)と残走行時間Trとの積(=Img@Vave×Tr)として算出される。
DC/DCコンバータ60の予測消費電流総量Pdcは、予測SOCの算出タイミングから目的地で車両1がシステム停止されるまでにDC/DCコンバータ60により消費される電流(低圧電力ラインLLに供給される電流)の予測総量である。予測消費電流総量Pdcは、例えばDC/DCコンバータ60の直近所定時間内における平均消費電流Idcと残走行時間Trとの積として算出される。ただし、平均消費電流Idcの代わりに、DC/DCコンバータ60の現消費電流あるいは学習値に基づいて予測消費電流総量Pdcが算出されてもよい。高電圧バッテリ40の予測充電電流総量Pchgbatは、予測SOCの算出タイミングから目的地で車両1がシステム停止されるまでに高電圧バッテリ40に供給される電流(充電電流)の予測総量である。予測充電電流総量Pchgbatは、予測発電電流総量Pmgから予測消費電流総量Pdcを減じることにより算出される(Pchgbat=Pmg−Pdc)。高電圧バッテリ40の予測放電電流総量Pdscbatは、予測SOCの算出タイミングから目的地で車両1がシステム停止されるまでに高電圧バッテリ40から放電される電流の予測総量である。予測放電電流総量Pdscbatは、ビーコン情報(信号機情報)や交通流情報、各種学習値に基づいて算出される車両1の推定停車時間tstpに例えばDC/DCコンバータ60の上記平均消費電流Idcを乗じることにより算出される。この場合も、平均消費電流Idcの代わりに、DC/DCコンバータ60の現消費電流あるいは学習値に基づいて予測放電電流総量Pdscbatが算出されてもよい。また、推定停車時間tstpは、上記i番目の走行区間における予測停車時間を“ti”とし、誤差係数を“ai”としたときに、tstp=t1×a1+t2×a2+…tn×anとして算出されてもよい。誤差係数aiは、ゼロよりも大きく、かつ1よりも小さい区間ごとに予め定められた実数であり、値iが大きくなるほど(目的地に近く区間ほど)小さく(ゼロに近く)定められてもよい。
続いて、図2を参照しながら、車両1がシステム起動されている際のDC/DCコンバータ60の制御手順について説明する。図2は、車両1がシステム起動されている際にMGECU80により微小時間おきに実行される電圧変換制御ルーチンを例示するフローチャートである。
図2のルーチンの開始に際して、MGECU80は、PMECU90により算出されている高電圧バッテリ40の現SOCおよび予測SOCやエンジン運転フラグの値といった制御に必要な情報を当該PMECU90から取得する(ステップS100)。エンジン運転フラグは、エンジン10が運転されている際にPMECU90により値1に設定され、エンジン10の運転が停止されている際にPMECU90により値0に設定されるものである。ステップS100の処理の後、MGECU80は、エンジン運転フラグの値に基づいてエンジン10の運転が停止されているか否かを判定し(ステップS110)、エンジン10の運転が停止されていると判定した場合には(ステップS110:NO)、その時点で図2のルーチンを終了させ、エンジン10の運転時におけるDC/DCコンバータ60の制御ルーチンを実行する。
また、ステップS110にてエンジン10の運転が停止されていると判定した場合(ステップS110:YES)、MGECU80は、ステップS100にて入力した高電圧バッテリ40の予測SOCが予め定められた第1の閾値S0未満であるか否かを判定する(ステップS120)。第1の閾値S0は、実験・解析を経て、例えばモータジェネレータMGにより冷間状態でエンジン10をクランキングして始動させる際に要求される高電圧バッテリ40のSOCよりも若干大きい値に予め定められる。ステップS120にて予測SOCが第1の閾値S0以上であると判定した場合(ステップS120:NO)、MGECU80は、高電圧バッテリ40からの電力を降圧して低圧電力ラインLLに出力するようにDC/DCコンバータ60を制御し(ステップS125)、図2のルーチンを一旦終了させる。
これに対して、ステップS120にて予測SOCが第1の閾値S0未満であると判定した場合(ステップS120:YES)、MGECU80は、ステップS100にて入力した高電圧バッテリ40の現SOCが予め定められた第2の閾値(所定値)Sx以上であるか否かを判定する(ステップS130)。第2の閾値Sxは、自動停止始動制御によりエンジン10の運転が停止されている間の高電圧バッテリ40の放電電力を考慮して実験・解析を経て予め定められた上記第1の閾値S0よりも大きい値である。ステップS130にて高電圧バッテリ40の現SOCが第2の閾値Sx以上であると判定した場合(ステップS130:YES)、MGECU80は、DC/DCコンバータ60の動作を停止させ(ステップS140)、図2のルーチンを一旦終了させる。また、ステップS130にて高電圧バッテリ40の現SOCが第2の閾値Sx未満であると判定した場合(ステップS130:NO)、MGECU80は、低電圧バッテリ50からの電力を昇圧して高圧電力ラインLHすなわち高電圧バッテリ40に供給するようにDC/DCコンバータ60を制御し(ステップS145)、図2のルーチンを一旦終了させる。
上述のように、本開示の制御装置を構成するPMECU90は、車両1がシステム起動されている間に、次のシステム停止時における高電圧バッテリ40のSOCの予測値である予測SOCを所定時間おきに算出する。また、本開示の制御装置を構成するMGECU80は、微小時間おきに図2のルーチンを実行し、エンジン10の運転が停止され、かつ予測SOCが第1の閾値S0未満である場合(ステップS110:YESかつステップS120:YES)、高電圧バッテリ40の現SOCに応じて、DC/DCコンバータ60の動作を停止させるか、あるいは低電圧バッテリ50からの電力を昇圧して高電圧バッテリ40に供給するようにDC/DCコンバータ60を制御する。
すなわち、MGECU80は、エンジン10の運転が停止され、予測SOCが第1の閾値S0未満であり、かつ高電圧バッテリ40の現SOCが第2の閾値Sx以上である場合(ステップS110,S120およびS130:YES)、DC/DCコンバータ60の動作を停止させる(ステップS140)。また、MGECU80は、エンジン10の運転が停止され、予測SOCが第1の閾値S0未満であり、かつ高電圧バッテリ40の現SOCが第2の閾値Sx未満である場合(ステップS110およびS120:YESかつステップS130:NO)、低電圧バッテリ50からの電力を昇圧して高電圧バッテリ40側に供給するようにDC/DCコンバータ60を制御する(ステップS145)。
これにより、高電圧バッテリ40からの電力による低電圧バッテリ50の充電を抑制すると共に(ステップS140)、必要に応じて低電圧バッテリ50からの電力により高電圧バッテリ40を充電することが可能となる(ステップS145)。この結果、自動停止始動制御によりエンジン10を停止させる機会の減少を抑制しつつ、車両1のシステム停止時すなわち次のシステム起動時に、高電圧バッテリ40のSOCを良好に確保してモータジェネレータMGにより運転者の発進要求に応じてスムースかつ確実にエンジン10を始動させることができる。従って、車両1では、燃費の向上を図りつつ、システム起動時におけるエンジン10の始動性を良好に確保することが可能となる。なお、図2のステップS130にて用いられる第2の閾値Sxは、図2のルーチンが実行されるたびに例えば上記推定停車時間tstp等に基づいて設定される可変値であってもよい。また、図2のルーチンにおいて用いられる第1および第2の閾値S0,Sxは、外気温等の周囲環境等に応じて変更されもよく、車両1の仕向地ごとに適合されるとよい。
図3は、運転者によりスタートスイッチSSがオフされて車両1がシステム停止された際にMGECU80により実行される電圧変換制御ルーチンを例示するフローチャートである。
図3のルーチンの開始に際して、MGECU80は、PMECU90により算出されている高電圧バッテリ40の現SOCを当該PMECU90から取得する(ステップS200)。次いで、MGECU80は、取得した現SOCが上述の第1の閾値S0未満であるか否かを判定する(ステップS210)。ステップS210にて高電圧バッテリ40の現SOCが第1の閾値S0以上であると判定した場合(ステップS210:NO)、MGECU80は、DC/DCコンバータ60をスリープ状態へと移行させ(ステップS240)、図3のルーチンを終了させる。
一方、ステップS210にて高電圧バッテリ40の現SOCが第1の閾値S0未満であると判定した場合(ステップS210:YES)、MGECU80は、低電圧バッテリ50からの電力を昇圧して高圧電力ラインLHすなわち高電圧バッテリ40に供給するようにDC/DCコンバータ60を制御する(ステップS220)。更に、MGECU80は、PMECU90から高電圧バッテリ40の現SOCを取得すると共に現SOCが第1の閾値S0以上であるか否かを判定し(ステップS230)、現SOCが第1の閾値S0未満であると判定した場合、DC/DCコンバータ60の昇圧動作を継続させる(ステップS220)。そして、ステップS230にて高電圧バッテリ40の現SOCが第1の閾値S0以上であると判定した場合(ステップS230:YES)、MGECU80は、DC/DCコンバータ60をスリープ状態へと移行させ(ステップS240)、図3のルーチンを終了させる。
このように、本開示の制御装置を構成するMGECU80は、車両1がシステム停止され、かつ高電圧バッテリ40の現SOCが上記第1の閾値S0未満である場合(図3のステップS210:YES)、低電圧バッテリ50からの電力を昇圧して高電圧バッテリ40に供給するようにDC/DCコンバータ60を制御する(ステップS220)。これにより、車両1がシステム停止された直後に高電圧バッテリ40のSOCが不足していても、次のシステム起動までに当該高電圧バッテリ40のSOCを回復させることが可能となる。なお、図3のルーチンは、必ずしも車両1のシステム停止直後に実行される必要はなく、車両1がシステム停止された後、次に車両1がシステム起動されるまでに実行されればよい。また、上述のようなPMECU90の機能は、エンジンECU70またはMGECU80に集約されてもよく、エンジンECU70、MGECU80およびPMECU90の機能が単一の電子制御装置に集約されてもよい。
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記発明を実施するための形態は、あくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
本開示の発明は、車両の製造産業等において利用可能である。
1 車両,10 エンジン、11 クランクシャフト、15 スタータ、17 伝動機構、20 動力伝達装置、30 インバータ、40 高電圧バッテリ、50 低電圧バッテリ、60 DC/DCコンバータ、70 エンジン電子制御装置(エンジンECU)、80 モータ電子制御装置(MGECU)、90 パワーマネージメント電子制御装置(PMECU)、91 ナビゲーションシステム、95 専用通信機、DF デファレンシャルギヤ、DS ドライブシャフト、DW 駆動輪、LH 高圧電力ライン、LL 低圧電力ライン、MG モータジェネレータ。
Claims (1)
- 内燃機関と、前記内燃機関のクランクシャフトに連結されたモータジェネレータと、前記モータジェネレータと電力をやり取りする第1蓄電装置と、前記第1蓄電装置よりも低電圧の第2蓄電装置とを含み、前記モータジェネレータにより前記内燃機関をクランキングして始動させる車両であって、
前記モータジェネレータおよび前記第1蓄電装置の少なくとも何れか一方からの電力を降圧して前記第2蓄電装置側に供給すると共に、前記第2蓄電装置からの電力を昇圧して前記第1蓄電装置側に供給する電圧変換装置と、
前記車両がシステム起動されている間に、次のシステム停止時における前記第1蓄電装置のSOCを予測し、前記内燃機関の運転が停止され、かつ前記SOCの予測値が予め定められた閾値未満である場合、前記第1蓄電装置の現SOCに応じて、前記電圧変換装置の動作を停止させるか、あるいは前記第2蓄電装置からの電力を昇圧して前記第1蓄電装置側に供給するように前記電圧変換装置を制御する制御装置と、
を備える車両。
Priority Applications (1)
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JP2019018491A JP2020125016A (ja) | 2019-02-05 | 2019-02-05 | 車両 |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP2019018491A Pending JP2020125016A (ja) | 2019-02-05 | 2019-02-05 | 車両 |
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2019
- 2019-02-05 JP JP2019018491A patent/JP2020125016A/ja active Pending
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