以下、本発明に係る無線通信システムの各実施の形態を、図を参照して説明する。各図では、同一または対応する要素には、同一符号を付している。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る無線通信システムの構築例、及びその無線通信システムが適用された車両の例を概略的に示す図である。本実施の形態1に係る無線通信システムは、車両100に構築されたスマートキーレスエントリーシステムの一部として実現されている。このことから、以降、「スマートキーレスエントリーシステム」は、本実施の形態1に係る無線通信システムの名称としても用いる。なお、車両100は自動車であるが、自動車に限定されない。
スマートキーレスエントリーシステムは、図1に示すように、車両100に搭載された無線通信装置である車載機1と、車両100のユーザ200によって携帯される無線通信装置である携帯機2とを含む構成である。車載機1及び携帯機2は共に無線通信機能を備えている。車載機1は、車両100のイグニッションスイッチに関する制御、ドアの施錠・解錠に関する制御等を行う制御装置4に電気的に接続されている。
車載機1には、その制御装置4の他に、3つのLF送信アンテナ14a〜14c、RF受信アンテナ15、及び2つのリクエストスイッチ16a、16bが接続されている。3つのLF送信アンテナ14a〜14c、RF受信アンテナ15、及び2つのリクエストスイッチ16a、16bは、ユーザ200によるイグニッション操作、及び施錠又は解錠のための操作を考慮して配置されている。2つのリクエストスイッチ16a、16bは、施錠又は解錠のための操作の対象となるスイッチである。本実施の形態1において、3つのLF送信アンテナ14a〜14cは何れも第1の送信アンテナに相当する。RF受信アンテナ15は第1の受信アンテナに相当する。
車載機1と携帯機2との間では、無線通信が行われる。より具体的には、車載機1から携帯機2への無線通信では、LF(Low Frequency Communication Method)通信方式を使用し変調を行った無線信号が送受信される。また携帯機2から車載機1への無線通信では、RF(Radio Frequency Communication Method)通信方式を使用し変調を行った無線信号が送受信される。本実施の形態1において、車載機1が送信する無線信号は第1の無線信号に相当し、携帯機2が送信する無線信号は第2の無線信号に相当する。
車載機1は、携帯機2から受信した無線信号を処理し、その信号の内容に応じた制御を行う。より具体的には、受信した信号の内容に応じて、車載機1は、例えばイグニッション操作の許可・禁止の判定を行い、その判定結果に従って、制御装置4にイグニッション操作の許可又は禁止を指示する。また、車載機1は、受信した信号の内容に応じて、ドアの施錠・解錠の判定を行い、その判定結果に従って、制御装置4にドアの施錠又は解錠を指示する。ドアの施錠を要求する信号を受信した場合、車載機1は、携帯機2が通信可能圏内に位置しているか否かの判定を行い、その判定結果に応じて、制御装置4に警報用ブザー吹鳴の許可・禁止、及び警告用ランプの点灯・消灯を指示する。それにより、車載機1は、携帯機2が車内にある状況で車外からユーザ200がドアを施錠しようとした場合には、閉じ込めに対する警告を発するための制御を行う。
次に、図2及び図3を参照し、本実施の形態1における車載機1について詳細に説明する。図2は、本発明の実施の形態1における車載機の回路構成例を示す図であり、図3は、本発明の実施の形態1における車載機に搭載されたLF送信回路の詳細な構成例を示す図である。
車載機1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10、例えばROM(Read Only Memory)、EEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等のうちの2つ以上の集合体であるメモリ11、LF送信回路12、RF受信回路13、及びスイッチ(SW)信号入力回路17を備えている。LF送信アンテナ14a、14b、14cは、LF送信アンテナ部14の構成要素であり、全てLF送信回路12に接続されている。RF受信アンテナ15は、RF受信回路13に接続され、リクエストスイッチ16a、16bは、スイッチ信号入力回路17に接続されている。本実施の形態1において、LF送信回路12は第1の送信回路に相当する。RF受信回路13は、第1の復調回路に相当する。RF受信アンテナ15は、第2の無線信号を受信可能な第1の受信アンテナに相当する。LF送信アンテナ部14を構成するLF送信アンテナ14a、14b、14cの全ては、携帯機2向けの第1の無線信号を送信するための第1の送信アンテナに相当する。
メモリ11は、不揮発性の記憶装置であり、且つワーク用の記憶装置である。そのため、CPU10が実行するプログラムの保存、各種固定データの保存、及びワーク用データの保存に用いられる。CPU10は、メモリ11に記憶されているプログラムを実行することにより、車載機1の統合的な制御を行う。本実施の形態1において、CPU10は、第1の送信制御部、第1の切換制御部、及び中継判断部に相当する。
メモリ11には、データとして、図2に示すように、第1認証コード110、共振周波数情報111、不正カウント情報112、及び判定しきい値113が記憶されている。それらのなかで、第1認証コード110、共振周波数情報111、及び判定しきい値113
は、基本的に書き換えの対象外である固定データであり、不正カウント情報112は、随時、更新されるワーク用データである。
第1認証コード110は、携帯機2から送信されてくるデータを用いた認証のためのデータである。共振周波数情報111、不正カウント情報112、及び判定しきい値113は、リレーアタック対策用のデータである。本実施の形態1では、CPU10は、これらのデータを用いて、通信開始時にリレーアタックに対応する制御を行い、より高いセキュリティ性能を実現させる。
LF送信回路12は、CPU10から入力される送信情報をLF周波数帯の搬送波で変調して送信信号を生成する変調回路121と、生成された送信信号を増幅する増幅回路122とを備えている。増幅された送信信号は、LF送信アンテナ14a、14b、14cのうちの1つ以上に出力され、無線信号として気中放射される。LF送信アンテナ14cは車室内への送信に使用され、LF送信アンテナ14a、14bは車外への送信に使用される。本実施の形態1において、CPU10がLF送信回路12に出力する送信情報は第1の送信情報に相当する。LF送信回路12が生成する送信信号は、第1の送信信号に相当する。
図3に示すように、LF送信回路12を構成する増幅回路122は、LF送信アンテナ14a、14b、14c毎に、ダンピング抵抗123、及び送信共振周波数切換回路124を備えている。図3では、便宜的に、LF送信アンテナ14bに接続されたダンピング抵抗123、及び送信共振周波数切換回路124のみを示している。以降、便宜的に、特に断らない限り、LF送信アンテナ14bは、LF送信アンテナ14a、14b、14cのうちの任意の1つを指す意味で用いる。
変調回路121で生成された送信信号は、ダンピング抵抗123を経てLF送信アンテナ14bに出力される。送信共振周波数切換回路124は、LF送信アンテナ14bのダンピング抵抗123が接続されていない側と、変調回路121との間に接続されている。
1つのLF送信アンテナ14b用の送信共振周波数切換回路124は、図3に示すように、変調回路121側から、スイッチ素子SW124a、及び共振コンデンサC124aを備える直列回路が接続されている。その直列回路と並列に、スイッチ素子SW124b、及び共振コンデンサC124bを備える直列回路、及びスイッチ素子SW124c、及び共振コンデンサC124cを備える直列回路が接続されている。各スイッチ素子SW124a〜SW124cは共に、CPU10によりオン/オフのスイッチングが行われる。以降、スイッチ素子SW124a〜SW124cのうちの任意の1つのスイッチ素子には、符号として「SW124」を付すこととする。同様に、共振コンデンサC124a〜C124cのうちの任意の1つの共振コンデンサには、符号として「C124」を付すこととする。
各スイッチ素子SW124a〜SW124cは、オンのときに電流が流れ、オフのときに電流を遮断する。CPU10は、各スイッチ素子SW124a〜SW124cを対象としたオン駆動を行う場合、そのうちの1つのみをオンさせる。それにより、オンさせたスイッチ素子SW124、そのスイッチ素子SW124と直列に接続された共振コンデンサC124、及びLF送信アンテナ14bを含むLC直列共振回路が構成され、そのLC直列共振回路により、送信信号が増幅される。
このように、送信共振周波数切換回路124では、オンさせるスイッチ素子SW124の選択を通して、LF送信アンテナ14bに直列に接続させる共振コンデンサC124を選択できるようになっている。送信信号の共振周波数は、LF送信アンテナ14bと接続させる共振コンデンサC124の容量に応じて変化する。このことから、本実施の形態1では、共振コンデンサC124a〜C124cとして、互いに異なる容量のコンデンサを採用することにより、オンさせるスイッチ素子SW124の選択を通して、共振周波数を切り換えるようにしている。本実施の形態1において、送信共振周波数切換回路124は、第1の切換回路に相当し、送信共振周波数切換回路124によって切り換えられる共振周波数は、第1の共振周波数に相当する。
例えば、スイッチ素子SW124aのみをオンさせた場合、共振周波数が無線信号の基準とするLF搬送波周波数より数%低めとなる様に、共振コンデンサC124aの容量を設定する。同様に、スイッチ素子SW124bのみをオンさせた場合、共振周波数がLF搬送波周波数と一致する様に共振コンデンサC124bの容量を設定する。スイッチ素子SW124cのみをオンさせた場合、共振周波数がLF搬送波周波数より数%高めとなる様に共振コンデンサC124cの容量を設定する。このような容量のコンデンサを各共振コンデンサC124a〜C124cとして採用することにより、各スイッチ素子SW124a〜SW124cのうちでオンさせるスイッチ素子SW124により、LF送信回路12の共振周波数を3段階で切換えることが出来る。上記のように、このような送信共振周波数切換回路124は、LF送信アンテナ14a及び14cにもそれぞれ存在する。
メモリ11に記憶された共振周波数情報111は、時間の経過に応じて、各スイッチ素子SW124a〜SW124cのうちでオンさせるスイッチ素子SW124、及びオンさせる期間の組合せのパターンを示す情報である。本実施の形態1では、CPU10は、共振周波数情報111に従って、各スイッチ素子SW124a〜SW124cのオン/オフを行い、共振周波数を切り換える。
図2に示すRF受信回路13は、気中の無線信号の受信によりRF受信アンテナ15から入力される受信信号を増幅する増幅回路131と、受信信号を復調することにより生成される復調信号をCPU10に出力する復調回路132とを備えている。本実施の形態1において、RF受信アンテナ15が出力する受信信号は、第1の受信信号に相当する。復調回路132が生成する復調信号は、第1の復調信号に相当する。
リクエストスイッチ16a及び16bは、例えば操作が行われた場合に、スイッチ信号入力回路17に出力するスイッチ信号をアクティブにし、操作が解除された場合に、そのスイッチ信号をインアクティブにする。スイッチ信号入力回路17は、リクエストスイッチ16a及び16bからそれぞれ出力されるスイッチ信号を監視し、何れかのスイッチ信号がアクティブとなった場合に、アクティブとなったスイッチ信号に対応するリクエストスイッチを示す情報をCPU10に通知する。それにより、CPU10は、リクエストスイッチ16a及び16bへの操作を認識し、認識結果に応じた制御を行う。
次に、図4及び図5を参照し、本実施の形態1における携帯機2について詳細に説明する。図4は、本発明の実施の形態1における携帯機の回路構成例を示す図であり、図5は、本発明の実施の形態1における携帯機に搭載されたLF受信回路の詳細な構成例を示す図である。
携帯機2は、図4に示すように、CPU20、入力回路21、例えばROM、EEPROM、フラッシュメモリ、RAM等のうちの2つ以上の集合体であるメモリ22、RF送信回路23、LF受信回路24、RF送信アンテナ25、LF受信アンテナ26、及び信号強度の測定用であるRSSI(Received Signal Strength Indicator)測定回路27を備えている。本実施の形態1において、RF送信回路23は、第2の送信回路に相当する。LF受信回路24は、第2の復調回路に相当する。RF送信アンテナ25は、第2の送信アンテナに相当する。LF受信アンテナ26は、第2の受信アンテナに相当する。RSSI測定回路27は、測定回路に相当する。
メモリ22は、メモリ11と同様に、不揮発性の記憶装置であり、且つワーク用の記憶装置である。そのため、CPU20が実行するプログラムの保存、各種固定データの保存、及びワーク用データの保存に用いられる。CPU20は、メモリ22に記憶されているプログラムを実行することにより、携帯機2の統合的な制御を行う。本実施の形態1において、CPU20は、第2の送信制御部、第2の切換制御部、及びエラー検出部に相当する。
メモリ22には、データとして、図4に示すように、第2認証コード220、RSSI測定結果221、共振周波数情報222、及び不正カウント情報223が記憶されている。それらのなかで、第2認証コード220、及び共振周波数情報222は、基本的に書き換えの対象外である固定データであり、RSSI測定結果221、及び不正カウント情報223は、随時、更新されるワーク用データである。本実施の形態において、不正カウント情報223は、第1の無線信号の受信結果を示す受信結果情報に相当する。
第2認証コード220は、携帯機2の認証のためのデータである。RSSI測定結果221、共振周波数情報222、及び、不正カウント情報223は、リレーアタック対策用のデータである。共振周波数情報222は、基本的に、車載機1が記憶している共振周波数情報111とは異なる。本実施の形態1では、CPU20は、これらのデータを用いて、通信開始時にリレーアタックに対応する制御を行い、より高いセキュリティ性能を実現させる。本実施の形態1において、共振周波数情報222は制御情報に相当する。
RF送信回路23は、CPU20から出力される送信情報をRF周波数帯の搬送波で変調した送信信号を生成するRF変調回路231と、生成された送信信号を増幅する増幅回路232を備えている。増幅された送信信号は、RF送信アンテナ25に出力され、RF送信アンテナ25により気中放射される。本実施の形態1において、CPU20から出力される送信情報は、第2の送信情報に相当する。増幅回路232が出力する送信信号は、第2の送信信号に相当する。
LF受信回路24は、気中の無線信号の受信によりLF受信アンテナ26から入力される受信信号を増幅する増幅回路241と、増幅された受信信号を復調することにより復調信号を生成する復調回路242とを備えている。生成された復調信号は、CPU20に入力される。本実施の形態1において、LF受信アンテナが出力する受信信号は、第2の受信信号に相当する。復調回路242が生成する復調信号は、第2の復調信号に相当する。
増幅回路241が増幅した受信信号は、RSSI測定回路27にも出力される。RSSI測定回路27は、増幅回路241から入力した受信信号の信号強度として電界強度を測定し、電界強度の測定結果を示すデジタル信号をCPU20に出力する。
入力回路21は、携帯機2に設けられた不図示のスイッチ等への操作を検出し、操作されたスイッチ等を示す情報をCPU20に出力する。それにより、CPU20は、スイッチ等への操作を認識し、操作されたスイッチ等に応じた制御を行う。
図5に示すように、増幅回路241は、LF受信アンテナ26の両端間に接続されたダンピング抵抗243と、ダンピング抵抗243と復調回路242との間に接続された受信共振周波数切換回路244とを備えている。
受信共振周波数切換回路244には、ダンピング抵抗243の両端間に、スイッチ素子SW244a、及び共振コンデンサC244aを備える直列回路が接続されている。その直列回路と並列に、スイッチ素子SW244b、及び共振コンデンサC244bを備える直列回路、及びスイッチ素子SW244c、及び共振コンデンサC244cを備える直列回路が接続されている。各スイッチ素子SW244a〜SW244cは共に、CPU20によりオン/オフのスイッチングが行われる。以降、スイッチ素子SW244a〜SW244cのうちの任意の1つのスイッチ素子には、符号として「SW244」を付すこととする。同様に、共振コンデンサC244a〜C244cのうちの任意の1つの共振コンデンサには、符号として「C244」を付すこととする。
CPU20は、CPU10と同様に、各スイッチ素子SW244a〜SW244cを対象としたオン駆動を行う場合、そのうちの1つのみをオンさせる。それにより、オンさせたスイッチ素子SW244、そのスイッチ素子SW244と直列に接続された共振コンデンサC244、及びLF受信アンテナ26を含むLC並列共振回路が構成され、そのLC並列共振回路により、受信信号が増幅される。
このように、受信共振周波数切換回路244は、送信共振周波数切換回路124と同様に、オンさせるスイッチ素子SW244の選択を通して、LF受信アンテナ26に並列に接続させる共振コンデンサC244を選択できるようになっている。LC並列共振回路の共振周波数は、LF受信アンテナ26と接続させる共振コンデンサC244の容量に応じて変化する。このことから、本実施の形態1では、共振コンデンサC244a〜C244cとして、互いに異なる容量のコンデンサを採用することにより、オンさせるスイッチ素子SW244の選択を通して、共振周波数を切り換えるようにしている。本実施の形態1において、受信共振周波数切換回路244は、第2の切換回路に相当し、受信共振周波数切換回路244によって切り換えられる共振周波数は、第2の共振周波数に相当する。
例えば、スイッチ素子SW244aのみをオンさせた場合、共振周波数が基準とするLF搬送波周波数より数%低めとなる様に、共振コンデンサC244aの容量を設定する。同様に、スイッチ素子SW244bのみをオンさせた場合、共振周波数がLF搬送波周波数と一致する様に共振コンデンサC244bの容量を設定する。スイッチ素子SW244cのみをオンさせた場合、共振周波数がLF搬送波周波数より数%高めとなる様に共振コンデンサC244cの容量を設定する。このような容量のコンデンサを各共振コンデンサC244a〜C244cとして採用することにより、各スイッチ素子SW244a〜SW244cのうちでオンさせるスイッチ素子SW244により、LF受信回路24の共振周波数を3段階で切換えることが出来る。この切り換えは、共振周波数情報222に沿ったCPU20の制御により実現される。
ここで、ユーザがドアの解錠操作を行う場合を想定し、通常時の従来の車載機と従来の携帯機の動作、及びリレーアタック時の従来の車載機と従来の携帯機の動作について、図6〜図9を参照して具体的に説明する。ここでは便宜的に、符号は本実施の形態1で付したものを用いることとする。
図6は、ユーザがドアの解錠操作を行う場合の従来の車載機と従来の携帯機の通常の動作の例を説明する図である。始めに図6を参照して、通常時の従来の車載機1と従来の携帯機2の動作の例について具体的に説明する。解錠操作としては、リクエストスイッチ16bへのユーザ200の操作を想定する。
車載機1のCPU10は、スイッチ信号入力回路17から入力する情報により、解錠のためにリクエストスイッチ16bが操作されたことを認識する。その認識により、CPU10は、携帯機2がリクエストスイッチ16b付近に存在するか否かを確認するために、LF送信回路12を制御して、LF送信アンテナ14bから無線信号を送信させる。LF送信アンテナ14bから送信される無線信号は、以降「LF信号」と表記する。RF送信アンテナ25から送信される無線信号は、以降「RF信号」と表記する。
携帯機2がLF送信アンテナ14bの近傍に存在している場合、LF信号がLF受信アンテナ26で受信され、受信信号がLF受信回路24で増幅、復調され、復調信号がCPU20に入力される。また、LF信号の磁束密度強度がRSSI測定回路27で測定され、RSSI測定結果がCPU20に入力され、CPU20により、RSSI測定結果221としてメモリ22に保存される。
復調信号の入力により、CPU20は、入力した復調信号と、メモリ22内の第2認証コード220とを用いて暗号演算を行い、返信コードを生成する。返信コード、及びRSSI測定結果221は、送信信号としてRF送信回路23に出力される。それにより、送信信号は、RF送信回路23で変調、及び増幅されてRF送信アンテナ25に出力される。この結果、RF送信アンテナ25から返信コード、及びRSSI測定結果221がRF信号として気中放射される。
車載機1では、気中放射されたRF信号がRF受信アンテナ15によって受信され、RF受信アンテナ15から受信信号としてRF受信回路13に出力される。受信信号は、RF受信回路13によって増幅、及び復調が行われ、RF受信回路13から復調信号としてCPU10に入力される。
CPU10は、復調信号中の返信コードを抽出し、メモリ11内の第1認証コード110と照合する。CPU10は、それらが一致し、且つ復調信号中のRSSI測定結果221が所定の強度以上を示している場合、携帯機2はLF送信アンテナ14bの近傍に存在していると判定し、制御装置4にドアの解錠を指示する。
次に図7〜図9を参照して、リレーアタックが行われた場合の従来の車載機1と従来の携帯機2の動作の例について具体的に説明する。図7は、リレーアタックのためにドアの解錠操作が行われた場合の従来の車載機と従来の携帯機の動作の例を説明する図である。図8は、リレーアタックのために車載機と無線通信を行う中継機の回路構成例を示す図であり、図9は、リレーアタックのために携帯機と無線通信を行う中継機の回路構成例を示す図である。ここでは、二人の犯人300及び400がそれぞれ中継機310及び410を使用して、リレーアタックを行う場合を想定する。
車載機1は、携帯機2に向けて、LF信号を送信する。このことから、車載機1との通信用の中継機310は、図8に示すように、LF受信アンテナ320、LF受信回路330、転送用RF送信回路340、及びRF送信アンテナ350を備えている。LF受信回路330は、増幅回路331、及び復調回路332を備え、転送用RF送信回路340は、変調回路341、及び増幅回路342を備えている。それにより、中継機310は、車載機1から受信したLF信号をRF信号に変えて転送するようになっている。
一方、携帯機2との通信用の中継機410は、図9に示すように、RF受信アンテナ420、転送用RF受信回路430、LF送信回路440、及びLF送信アンテナ450を備えている。転送用RF受信回路430は、増幅回路431、及び復調回路432を備え、LF送信回路440は、変調回路441、及び増幅回路442を備えている。それにより、中継機410は、中継機310が送信したRF信号をLF信号に変えて転送するようになっている。
このようなことから、車載機1が送信したLF信号は、2つの中継機310及び410により中継され、携帯機2に受信される。それにより、携帯機2のCPU20は、通常時と同様に、返信コード、及びRSSI測定結果221を含むRF信号を気中放射させる。この結果、車載機1のCPU10は、制御装置4に対し、解錠を指示することになる。
次に、図10〜図13を参照し、本実施の形態1におけるリレーアタック検出の原理について詳細に説明する。図10〜図13は、LF通信方式における送信側の共振周波数と受信側の共振周波数との組合せの影響を説明する図である。図10では、送信側の共振周波数が115kHz、受信側の共振周波数が115kHz、125kHz、及び135kHzであった場合の3つの組合せ別に、LF送信電流波形、及びLF受信電流波形の例、及び復調の可否を示している。図11では、送信側の共振周波数を125kHzとした場合の3つの組合せ別に、LF送信電流波形、及びLF受信電流波形の例、及び復調の可否を示している。図12では、送信側の共振周波数を135kHzとした場合の3つの組合せ別に、LF送信電流波形、及びLF受信電流波形の例、及び復調の可否を示している。LF送信電流波形は、LF送信アンテナ14bに出力される送信信号の電流波形であり、LF受信電流波形は、LF受信回路24の増幅回路241が出力する受信信号の電流波形である。
基本的に、LF送信回路12及びLF受信回路24ともに、共振周波数はLF搬送波周波数と一致させるのが普通である。これは、共振周波数がLF搬送波周波数と異なると、通信性能に影響が出るためである。そのため、通常は、極力、共振周波数をLF搬送波周波数に合わせている。
しかし、図10〜図12に示すように、LF通信方式には、共振周波数が搬送波周波数から外れても、送信側と受信側との共振周波数のLF搬送波周波数を基準とする高低が逆であれば、影響が相殺し合って通信に影響が出難い特性がある。つまり送信側の共振周波数がLF搬送波周波数より高く、且つ受信側の共振周波数がLF搬送波周波数より低い場合、及びその逆の場合、受信側は復調可能であるのが普通となる。以降、共振周波数の高低は、特に断らない限り、LF搬送波周波数を基準とした比較結果の意味で用いる。
一方、図10及び図12に示すように、送信側と受信側の共振周波数が共に同じ方向に外れていた場合、つまり共振周波数が送信側、及び受信側ともに高いか、或いは共振周波数が送信側、及び受信側ともに低い場合、受信側は復調不能となるのが普通である。共振周波数が送信側、及び受信側ともに低い場合、図10に示すように、(a)のタイミングと(b)のタイミングとでLF受信電流波形は振幅変化がより大きくなっている。(c)のタイミングでは、LF受信電流波形はより大きい振幅となっている。共振周波数が送信側、及び受信側ともに高い場合、図12に示すように、(a)のタイミングと(b)のタイミングとでLF受信電流波形は振幅変化がより大きくなっている。(c)のタイミングでは、LF受信電流波形はより大きい振幅となっている。
このように、共振周波数の送信側と受信側の組合せに応じて、受信側における復調の可否が変化する。そのため、通信の可否は、共振周波数の送信側と受信側の組合せによりコントロールすることができる。
一方の共振周波数がLF搬送波周波数から大きく外れた場合、例え他方の共振周波数が逆の方向にLF搬送波周波数から外れていたとしても、復調不可、つまり通信不可となる。また、共振周波数がLF搬送波周波数と近い場合、両方ともに同じ方向に外れていても復調可能になる。このようなことから、共振コンデンサC124a〜C124c及びC244a〜c244cの各容量は、適切に設定することが求められる。
本実施の形態1では、このようなLF通信方式における特性を利用し、リレーアタックによる通信か否かの判定を行い、その判定結果を制御に反映させることにより、セキュリティ性能を向上させるようにしている。車載機1では、図3に示す送信共振周波数切換回路124を増幅回路122に搭載し、各スイッチ素子SW124a〜SW124cのオン/オフをCPU10に行わせることにより、共振周波数の切り換えを可能にしている。携帯機2では、図5に示すように、受信共振周波数切換回路244を増幅回路241に搭載し、各スイッチ素子SW244a〜SW244cのオン/オフをCPU20に行わせることにより、共振周波数の切り換えを可能にしている。
図13は、本発明の実施の形態1における送信側、及び受信側で切り換え可能な共振周波数、並びに送信側、及び受信側の共振周波数の組合せによる通信の可否を説明する図である。図13では、送信側、及び受信側ともに、スイッチ素子、及び共振コンデンサの符号により、スイッチ素子のオン/オフによりアンテナと接続される共振コンデンサを示している。送信側、及び受信側の各共振コンデンサの容量は互いに異なっており、共振周波数はアンテナと接続させる共振コンデンサによって切り換えられる。そのため、送信側と受信側の共振コンデンサの組合せは、送信側と受信側の共振周波数の組合せを示している。「ON」「OFF」は、スイッチ素子のオン/オフを表し、「OK」「NG」は、復調可能、復調不可を表している。
図13に示すように、送信側、及び受信側ともに、各スイッチ素子のうちの1つのみがオンの対象となっており、アンテナと接続される共振コンデンサは1つのみである。送信側では、共振コンデンサC124a〜C124cのうちでLF送信アンテナ14bと接続されるものにより、共振周波数は、C124a<C124b<C124c、の大小関係となっている。共振コンデンサC124bを接続させた場合の共振周波数は、LF搬送波周波数と一致するようにさせている。同様に、受信側では、共振コンデンサC244a〜C244cのうちでLF受信アンテナ26と接続されるものにより、共振周波数は、C244a<C244b<C244c、の大小関係となっている。共振コンデンサC244bを接続させた場合の共振周波数は、LF搬送波周波数と一致するようにさせている。このようなことから、図13は、共振周波数が送信側、及び受信側ともに高い場合、及び共振周波数が送信側、及び受信側ともに低い場合、通信不可となることを示している。
送信側、つまり車載機1側での共振周波数の切り換えは、上記のように、共振周波数情報111に従って行われる。受信側、つまり携帯機2側も同様に、共振周波数の切り換えは、共振周波数情報222に従って行われる。
次に、図14及び図15を参照し、送信側、及び受信側での共振周波数の切り換えによるセキュリティ性能の向上について具体的に説明する。図14は、本発明の実施の形態1における通常時の車載機、及び携帯機の動作の例を示すタイミングチャートである。図15は、本発明の実施の形態1におけるリレーアタック時の車載機、及び携帯機の動作の例を示すタイミングチャートである。
図14では、(a)にタイミング番号、(b)に車載機送信情報、(c)にマンチェスタ符号、(d)に変調信号、(e)に送信側共振周波数、(f)に受信側共振周波数、(g)にエラー予測、(h)に受信信号、(i)に復調信号、(j)に復調エラー、(k)に不正カウント情報、をそれぞれ示している。これは、図15及び図16でも同様である。
送信側と受信側の共振周波数の切り換えは、同期させて行われる。(a)のタイミング番号は、共振周波数の切り換え単位に割り当てられた番号である。図14中の「1」〜「6」の数値は、共振周波数の切り換えが最大で6回、行えることを示している。
(b)の車載機送信情報は、CPU10からLF送信回路12に出力される情報である。(c)のマンチェスタ符号は、送信情報中の「1」は「HL」に、「0」は「LH」に変換したものである。LF送信回路12は、マンチェスタ符号の「H」期間のみLF送信動作を行い、「L」期間はLF送信動作を停止する100%のAM変調を行う。(d)の変調信号は、LF送信回路12により生成される信号である。
(e)の送信側共振周波数は、車載機1で選択される共振周波数である。ここでは、共振周波数は、HMLの3段階で示している。Hは、共振周波数がLF搬送波周波数より高いことを示している。Mは、共振周波数がLF搬送波周波数と同じ、Lは、共振周波数がLF搬送波周波数より低いことをそれぞれ示している。共振周波数がLF搬送波周波数と同じとは、より正確には、共振周波数がLF搬送波周波数と一致するように容量を設定することにより、LF搬送波周波数に合わせた周波数のことである。(f)の受信側共振周波数は、携帯機2側で選択される共振周波数である。
送信側、及び受信側が設定に従って共振周波数を切り換える場合、通信不可となるタイミング番号を予め予測することができる。(g)のエラー予測は、タイミング番号毎に予測された通信不可か否かの内容である。この内容を示す情報は、例えば共振周波数情報222に含めることができる。
(h)の受信信号は、LF受信回路24の増幅回路241から出力される信号である。(i)の復調信号は、復調回路242から出力される信号である。(j)の復調エラーは、実際に通信不可が発生したか否かをタイミング番号毎に示している。通信不可の場合、復調ができないことから、復調信号は復調回路242から出力されない。つまり復調信号はLのままとなる。そのため、CPU20は、復調信号により、復調エラーを検出することができる。
(k)の不正カウント情報は、メモリ22に格納された不正カウント情報223の内容を示している。本実施の形態1では、通信の可否がエラー予測と異なる結果となった回数を計数するようにしており、不正カウント情報223は、その回数の計数に用いている。通常時では、通信不可と予測されるタイミング番号の期間に実際に通信不可となっていることから、不正カウント情報223が示す回数は0のままとなっている。
図14中に表記の「判定しきい値」は、車載機1のメモリ11にデータとして保存された判定しきい値113である。ここでは、判定しきい値113は2となっている。不正カウント情報223は、携帯機2から車載機1に送信される。そのため、メモリ11には、判定しきい値113が保存され、CPU10は、受信した不正カウント情報223を判定しきい値113と比較することにより、リレーアタックの有無、つまりLF信号の中継の有無を判断する。
送信側、及び受信側が共に共振周波数の切り換えを行う場合、通信不可となるタイミング、及び通信不可となる回数は、それぞれの共振周波数の切り換え内容に応じて変化する。不正カウント情報223は、予測されたエラー発生の有無と実際のエラー発生の有無とが相違した回数である。そのため、不正カウント情報223は、通信不可となるタイミング、及び通信不可となる回数を反映させた値となる。
中継機310は、共振周波数として、LF搬送波周波数を想定している。そのため、リレーアタック時には、図15に示すように、通信不可とはならない。この結果、予測されたエラー発生の有無と実際のエラー発生の有無とが相違した回数が計数され、不正カウント情報223の値は、不正しきい値113以上となる2となっている。それにより、リレーアタックが行われたと判断される。
不正カウント情報223の値は、例えリレーアタックによりLF信号が中継機310及び410に模倣されたとしても、共振周波数の切り換え操作も含めて模倣されない限り、適切な値とはならない。共振周波数の切り換え内容を犯人300及び400が事前に把握することは、基本的に不可能である。そのため、図14及び図15に示すように、共振周波数の切り換えを送信側、及び受信側に行わせ、その切り換えを行っている間の通信可否の情報を受信側から送信側に送信することにより、リレーアタックの有無を確実に、或いは高精度に判断することができる。それにより、高いセキュリティ性能を実現させることができる。
なお、受信側、つまり携帯機2から車載機1に送信する受信結果情報は、不正カウント情報223に限定されない。例えば不正カウント情報223に加え、予測されたエラー発生の有無と実際のエラー発生有無とが相違したタイミングを示す情報、例えばタイミング番号を併せて送信するようにしても良い。その場合、より高いセキュリティ性能を実現させることができる。或いは、単に通信不可が発生した回数、及び通信不可が発生したタイミングのうちの1つ以上を車載機1に送信するようにしても良い。それらのうちの1つを車載機1に送信した場合であっても、リレーアタックの有無を高い確率で判断することができる。このようなことから、通信不可の情報は、様々なものが考えられる。リレーアタックの有無を携帯機2側で判断し、その判断結果を受信結果情報とすることも考えられる。また、通信の可否は、送信側、及び受信側の共振周波数の組合せによって変化することから、共振周波数の切り換えは、送信側、及び受信側のうちの一方のみに行わせても良い。そのようにしても、より高いセキュリティ性能を実現できる。
また、共振周波数の切り換え内容を変更するために、共振周波数情報111及び222を複数、用意し、定めたルールに従って、受信側、及び送信側にそのうちの1を選択させるようにしても良い。受信側は、送信側が指定した共振周波数情報222を選択させるようにしても良い。或いは、送信側が共振周波数情報222を送信可能にして、つまりCPU10に共振周波数情報222をLF送信回路12に出力可能にして、受信側に、送信した共振周波数情報222に従って共振周波数の切り換えを行わせるようにしても良い。何れの変形例であっても、より高いセキュリティ性能を実現させることができる。このようなことから、送信側、及び受信側での共振周波数の切り換え制御についても様々な変形が可能である。共振周波数の切り換えを複数回、行わなくとも、通信可否により、リレーアタックの有無を判断できることから、セキュリティ性能はより向上させることができる。
図16は、実施の形態1におけるRSSI測定方法の例を示すタイミングチャートである。RSSI測定は、図16に示すように、共振周波数を切り換える通信、つまりリレーアタック検出用の通信の終了後に行うようにすることが考えられる。RSSI測定では、適切な測定が行えるように、送信側、及び受信側ともに、LF搬送波周波数と同じ共振周波数を選択させることが望ましい。リレーアタックが無いと判断した後は、送信側、及び受信側ともに、共振周波数はLF搬送波周波数と同じに維持させることが好ましい。
次に、図17及び図18を参照して、車載機1に搭載のCPU10、及び携帯機2に搭載のCPU20が通信開始時に実行する処理について詳細に説明する。図17は、車載機に搭載されたCPUが通信開始時に実行する処理の例を示すフローチャートである。図18は、車載機との通信開始時に携帯機に搭載されたCPUが実行する処理の例を示すフローチャートである。
図17に例を示す処理は、CPU10が、メモリ11に格納されたプログラムを実行することにより実現される。図18に例を示す処理は、CPU20が、メモリ22に格納されたプログラムを実行することにより実現される。ここでは、図6及び図7を参照した説明に合わせ、解錠操作として、リクエストスイッチ16bへの操作が行われたと想定して説明を行う。
通信を行っていない状況では、CPU10は、例えばS101を繰り返し実行し、リクエストスイッチ16a、及び16bが操作されたか否か判断する。それにより、リクエストスイッチ16bが操作された場合、S101の判断はYESとなってS102に移行し、CPU10は、起動指令を送信情報としてLF送信回路12に出力する。その結果、LF送信アンテナ14bからLF信号が気中放射される。
S102の処理の終了後はS103に移行し、CPU10は、メモリ11から共振周波数情報111を読み込む。次に移行するS104では、CPU10は、共振周波数情報111を参照して、共振周波数の切り換えを行う。その後に移行するS105では、CPU10は、LF送信回路12に送信情報を出力することにより、LF送信アンテナ14bからLF信号を送信させる。その送信後はS106に移行する。
S106では、CPU10は、共振周波数の切り換えタイミングが到来したか否か判断する。直前の共振周波数の切り換えタイミングとなってから、対応するタイミング番号の期間が経過した場合、S106の判断はYESとなってS107に移行する。そのタイミング番号の期間が経過していない場合、S106の判断はNOとなってS105に戻る。それにより、対応するタイミング番号の期間、LF信号の送信が継続して行われる。
S107では、CPU10は、共振周波数情報111に従ったLF信号の送信が終了したか否か判断する。最後のタイミング番号の期間が経過した場合、S107の判断はYESとなってS108に移行する。最後のタイミング番号の期間が経過していない場合、S107の判断はNOとなり、S104に戻る。それにより、共振周波数情報111に従ったLF信号の送信が終了するまでの間、共振周波数を必要に応じて切り換えた通信が行われる。
図18を参照した携帯機2側の説明に移る。通信を行っていない状況では、CPU20は、例えばS201を繰り返し実行し、車載機1から送信される起動指令を受信したか否か判断する。気中放射されたLF信号は、直接、或いは中継機310及び410を介してLF受信アンテナ26により受信され、LF受信回路24が復調信号をCPU20に出力する。この結果、S201の判定はYESとなってS202に移行する。
S202では、CPU20は、メモリ22から共振周波数情報222を読み込む。次に移行するS203では、CPU20は、メモリ22に格納した不正カウント情報223のクリアを行う。その後に移行するS204では、CPU20は、共振周波数情報222を参照して、共振周波数の切り換えを行う。
共振周波数の切り換え後に移行するS205では、CPU20は、LF受信アンテナ26のLF信号の受信によってLF受信回路24から出力される復調信号を入力する。復調信号の入力によって移行するS206では、CPU20は、共振周波数の切り換えタイミングが到来したか否か判断する。直前の共振周波数の切り換えタイミングとなってから、対応するタイミング番号の期間が経過した場合、S206の判断はYESとなってS207に移行する。そのタイミング番号の期間が経過していない場合、S206の判断はNOとなってS205に戻る。それにより、CPU20は、対応するタイミング番号の期間、入力する復調信号を監視し、通信可否の判断を行う。このため、S207の移行時に、対応するタイミング番号の期間での復調エラーの検出結果が確定する。
S207では、CPU20は、復調エラーが発生したか否か判断する。図14に示すように、Hとなる復調信号がLF受信回路24から入力されなかったような場合、S207の判定はYESとなってS208に移行する。Hとなる復調信号がLF受信回路24から入力された場合、S207の判定はNOとなってS210に移行する。
S208では、CPU20は、共振周波数情報222を参照し、経過したタイミング番号の期間での復調エラーが予測されていたか否か判断する。復調エラーが予測されていた場合、S208の判断はYESとなってS212に移行する。復調エラーが予測されていなかった場合、つまり復調エラーが予測されていないにも係わらず、復調エラーが発生した場合、S208の判定はNOとなってS209に移行し、CPU20は、不正カウント情報223のインクリメントを行う。その後はS212に移行する。
S210では、CPU20は、同様に、復調エラーが予測されていたか否か判断する。復調エラーが予測されていた場合、つまり復調エラーが予測されているにも係わらず、復調エラーが発生しなかった場合、S210の判断はYESとなってS211に移行する。復調エラーが予測されていなかった場合、S210の判定はNOとなってS212に移行する。S211では、CPU20は、不正カウント情報223のインクリメントを行う。その後はS212に移行する。
S212では、CPU20は、共振周波数情報111に従ったLF信号の送信が終了したか否か判断する。最後のタイミング番号の期間が経過した場合、S212の判断はYESとなってS213に移行する。最後のタイミング番号の期間が経過していない場合、S212の判断はNOとなり、S204に戻る。それにより、共振周波数情報111に従ったLF信号の送信が終了するまでの間、共振周波数を必要に応じて切り換えたLF信号の受信に対応する。
S213では、CPU20は、不正カウント情報223を含む送信情報をRF送信回路23に出力することにより、RF送信アンテナ25からRF信号を送信させる。このRF信号の送信により、一連の処理が終了する。
図17を参照した車載機1側の説明に戻る。携帯機2から送信された、不正カウント情報223を含むRF信号は、RF受信アンテナ15によって受信され、その受信信号がRF受信アンテナ15からRF受信回路13に出力される。その結果、RF受信回路13が出力する復調信号は、CPU10に入力される。CPU10は、S107の判断がYESとなって移行するS108でこの復調信号を処理し、その復調信号に含まれる不正カウント情報223を不正カウント値112としてメモリ11に保存する。
S108に続くS109では、CPU10は、メモリ11に保存した不正カウント情報112の値が、メモリ11に保存された判定しきい値113以上か否か判断する。不正カウント情報112の値が判定しきい値113以上であった場合、S109の判断はYESとなってS110に移行する。不正カウント情報112の値が判定しきい値113未満であった場合、S109の判断はNOとなってS112に移行する。
S112では、CPU10は、リレーアタックは行われていないとして、制御装置4にドアの解錠を指示する。その後、一連の処理が終了する。
S110では、CPU10は、リレーアタックが検出されたと判断する。続くS111では、CPU10は、リクエストスイッチ16bへの操作による解錠操作を無効とする。それにより、制御装置4にドアの解錠を指示することなく、一連の処理が終了する。