JP2020119285A - マルチエージェントシステムの合意制御が実行される分散制御システム - Google Patents

マルチエージェントシステムの合意制御が実行される分散制御システム Download PDF

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Abstract

【課題】 マルチエージェントシステムの合意制御に従って通信ネットワークにて接続された複数の機器の状態を制御する分散制御システムに於いて、通信ネットワークに於ける信号の通信遅延による影響を補償すること。【解決手段】 本発明のシステムに於いて、複数の機器の各々の状態をそれぞれ制御する互いに通信回線で接続された制御装置の各々が、送信された自機器の状態指標値が隣接機器の制御装置に到達した後に最新の自機器の状態指標値を隣接機器の制御装置へ送信し、自機器の現在の状態指標値と、隣接機器の制御装置から受信した最新の隣接機器の状態指標値とその計測時刻と同じ時刻に計測された自機器の状態指標値との差分を用いて合意制御に従って自機器の状態目標値を決定する。【選択図】 図4

Description

本発明は、複数の機器のための制御装置の各々が、互いにネットワークに接続され、自身の機器の状態と他の機器の状態とに基づいて自身の機器の状態を制御するよう構成された分散制御システムに係り、より詳細には、複数の機器のための制御装置がマルチエージェントシステムを構成し、各機器の状態がマルチエージェントシステムの合意制御に従って制御されるシステムに係る。分散制御システムに於いて制御及び/又は管理の対象となる機器は、任意のものであってよく、例えば、分散型エネルギーマネージメントシステムに於けるエネルギー源、即ち、エネルギーを種々の媒体を通じて又は種々の担体に載せて送出する任意の機械器具又は装置(発電機(同期発電機、非同期発電機等)、太陽電池、風車(風力発電機等)、水車(水力発電機等)、燃料電池、化学電池、蓄電池、その他の発電装置、充電器、充放電器、発光器、加熱器、冷却器、ボイラー、エンジン、ガスタービン、蒸気機関など)、移動体(車両、航空機、船舶、人工衛星など)、工業プラントに於ける各種の製造機械器具又は処理機械器具、センサネットワークに於ける各種センサなどであってよい。更に、分散制御システムは、IoT技術を利用して作動が制御・管理される任意の機器にて構成されていてもよい。また、分散制御システムに於いて制御されるべき状態は、各機器の任意の計測可能な物理量及び/又はそれらの変化率若しくは変動率、例えば、出力(パワー)、電圧、圧力、温度、トルク、駆動力、制動力、電磁力、電磁場強度、電波強度、周波数、振動数、位相、力率、時刻、電流、流量、流速、体積、電荷密度、磁束密度、エンタルピー、エネルギー量(蓄熱量、充電量等)、体積、移動速度、加速度、回転速度、作動速度、速度変化率など、であってよい。
通信ネットワーク技術の発展により、複数の機器、特に、互いに距離の離れた位置に配置された機器をネットワークシステムに接続して、かかるネットワークシステムを通じて、複数の機器の作動や状態を一括的に或いは遠隔的に制御・管理する技術が提案され、実現されている。そのような通信ネットワーク技術を利用した複数の機器の制御・管理システムの一つとして、ネットワークで接続された機器同士がそれらの作動状態を相互に監視しながら、機器毎に状態の制御・管理が自律的に実行される分散制御システムが利用されている。そして、かかる分散制御システムに於ける各機器の作動状態の制御プロトコルとしては、システム内の各機器が分散制御器によって制御される「マルチエージェントシステム」の制御のプロトコル若しくはアルゴリズムが知られており、それに関連して、種々の構成が提案されている。
例えば、特許文献1に於いては、一つのシステムに於いて、複数のマルチエージェントシステムがそれぞれ独立に構築されて動作する場合に、一つの端末コンピュータに於いて、そのエージェント間通信機能が複数のマルチエージェントシステムに於いて共用できるような構成が提案されている。特許文献2に於いては、複数の発電機及び負荷を含む分散型電力系統に於いて、電力系統の区分開閉器で分離された区間毎に配置された区間エージェントが、区間内の潮流量を把握し、潮流増減量を、発電機エージェント又は下流区間のエージェントに対して調整依頼し、発電機エージェント又は下流区間エージェントがそれぞれ自律的に他の発電機エージェント又は下流区間エージェントと調整を行う連鎖を繰り返すことで区間内の分散型電源及び下流区間の需給制御を行うマルチエージェント技術を用いたシステムが提案されている。特許文献3は、マルチエージェントシステムを構成する電力管理システムに於いて、統計値を共有するユーザ数の増加に対応しつつ各ユーザに関するデータの秘匿性を向上させるべく、各ユーザの情報処理装置が最大電力量とその分割値に基づいて分割値を示す分割値データを送信する送信先を特定し、分割値データを送信し、分割値データを受信した他の情報処理装置が分割値から、複数の電力管理装置が管理する電力量の平均値または標準偏差を算出するといった構成を提案している。更に、分散型エネルギーマネージメントシステムに於ける電源又はエネルギー源等のエージェントの状態の制御に於いて、マルチエージェントシステムの制御手法が有効であることが、非特許文献1等にて提案されている。非特許文献2に於いては、ネットワークに於ける情報伝達に非一様・非対称な時間遅れが存在する場合のマルチエージェントシステムの平均合意問題において合意値が得られる条件について解析と考察がなされている。
特開2010−146246 特開2009−159808 特開2016−099955
システム制御工学シリーズ22「マルチエージェントシステムの制御」 東俊一他5名 コロナ社 2015年9月18日 「非一様・非対称な時間遅れをもつマルチエージェントシステムの平均合意問題」 桜間一徳他1名 計測自動制御学会論文集Vol.47,No.2,100/109(2011)
分散制御システムに於ける通信ネットワークに接続された複数の機器の状態のマルチエージェントシステムの合意制御に於いては、或る機器、即ち、エージェントiの状態を表す状態指標値xiが、下記の式に従って制御される。
Figure 2020119285
ここに於いて、xi[k]、xi[k+1]は、それぞれ、エージェントiの時刻kの状態指標値と時刻kから1サンプリング時間後の状態指標値が取るべき目標値であり、xj[k]は、エージェントiと通信ネットワークで直接に接続されたエージェントjの時刻kの状態指標値であり、Ni、Njは、エージェントi、jのそれぞれに直接に接続されたエージェントの集合であり、|Ni|、|Nj|は、Ni、Njの数(次数)である。また、式(1)の右辺第2項は、「分散制御器」と称される。なお、上記の式は、離散時間システムの場合に於いて適用される式であるが、連続時間システムの場合には、状態xiの差分方程式を微分方程式に書き換えたものが使用される。そして、システムの構成が全てのエージェントが連結している無向グラフであるとき、上記の式に従って、システム内の各エージェントの状態が制御されると、理論上、各エージェントの状態指標値xiは、下記の如く、各エージェントの状態指標値xiの初期値xi[0]の平均値を合意値として収束することとなる。
Figure 2020119285
上記のマルチエージェントシステムの合意制御に関して、本発明者等の研究によれば、上記の式(1)による演算に於ける各エージェントの状態指標値xiの合意値への収束は、エージェント間の同時性(エージェント間の通信ネットワークに於ける信号情報伝達に於いて時間の遅れがなく、各エージェントに於いて隣接エージェントの状態指標値がリアルタイムに(即時に)参照できる状態)の仮定の下では安定的に達成されるが、エージェント間の同時性の条件が満たされていない場合、即ち、エージェント間の通信ネットワークの信号情報伝達に時間遅延がある場合には、各エージェントの状態指標値xiが合意値に収束しない、或いは、収束したとしてもその合意値が予定された合意値(例えば、式(2)の値)から外れたり、振動する、といった現象が生じ、上記のマルチエージェントシステムの合意制御は、そのままでは、各エージェントの状態値を安定的に制御することが困難であることが見出された。実際、現実の分散制御システムに於いて利用されている通信ネットワークに於いては、アプリケーション遅延[μ秒オーダー](送信側がパケットをTCP/IP層に渡すときに発生する遅延、受信側がパケットを受信、処理し応答を返すときに発生する遅延)、シリアライゼーション遅延[μ秒〜m秒オーダー](ネットワークの帯域幅に依存する狭いほど大きくなる、パケットの最初のビットが送られてから最後のビットが転送されるまでの時間)、伝搬遅延(ケーブルの媒体を信号が伝搬するときに発生する遅延)、輻輳遅延(回線の帯域幅を超えてしまったときに超過したパケットをバッファに保存し再び転送するのに要する時間)など、いくつかの要因による信号情報伝達の遅延の発生は避けられず、また、特に、多数のエージェントが接続された大規模なネットワークに於いては、信号のトラフィックが混雑することで、通信ケーブルの信号伝送遅れ、ルータやハブなどの伝送遅れ、通信集中によるコリジョン、マルチホップ通信時の伝送遅れなどの理由で、通信遅延が発生する。従って、現実の分散制御システムに於いてマルチエージェントシステムの合意制御による各エージェントの状態の安定的な制御を達成するためには、式(1)による制御プロトコルを改良する必要があろう。
この点に関し、本発明の発明者等による開発研究によれば、下記に詳細に説明される如く、各エージェントに於ける状態の制御に於いて、分散制御器が隣接するエージェント(隣接エージェント)の状態指標値を参照して自身の状態指標値の変化分を算出するときに、隣接エージェントに於いて時系列にサンプリングされた状態指標値の全てを用いるのではなく、間欠的に、隣接エージェントの状態指標値を参照すると共に、自身の状態指標値として、隣接エージェントの参照する状態指標値とサンプリング時間の一致した状態指標値を用いることによって、状態指標値の合意値への収束性と精度とが補償できることが見出された。本発明に於いては、この知見が利用される。
かくして、本発明の一つの課題は、上記の如くマルチエージェントシステムの合意制御に従って通信ネットワークにて互いに接続された複数の機器のそれぞれの状態を制御又は管理する構成の分散制御システムであって、通信ネットワークに於ける信号の通信遅延による影響(状態値の合意値への収束性の悪化、合意値の変動など)を補償することのできる新規な制御プロトコルにてそれぞれの機器の状態を制御するよう構成されたシステムを提供することである。
本発明によれば、上記の課題は、
複数の機器の各々の状態をそれぞれ制御する複数の制御装置と、前記複数の制御装置を接続する複数の通信回線からなる通信ネットワークとを含み、前記複数の機器の各々にて計測された選択された状態を表す状態指標値がそれぞれ対応する前記複数の制御装置の各々から前記通信回線を通って前記通信回線にて接続された前記複数の機器のうちの隣接機器の前記制御装置へ伝達され、前記複数の機器の各々の制御装置が、それ自身が前記選択された状態を制御する前記複数の機器のうちの自機器の前記状態を、前記自機器の前記状態指標値と前記隣接機器の前記状態指標値とを参照してマルチエージェントシステムの合意制御に従って決定された状態目標値に前記自機器の前記状態指標値が一致するよう制御するよう構成された分散制御システムであって、
前記制御装置の各々が、
前記自機器の前記状態指標値を前記隣接機器の前記制御装置へ送信する送信手段にして、送信された前記自機器の前記状態指標値が前記隣接機器の制御装置に到達した後に最新の前記自機器の前記状態指標値を送信する手段と、
前記合意制御に従って前記自機器の前記状態目標値を決定する状態目標値決定手段にして、前記自機器の現在の前記状態指標値と、前記隣接機器の前記制御装置から受信した最新の前記隣接機器の前記状態指標値と該最新の前記隣接機器の前記状態指標値の計測時刻と同じ時刻に計測された前記自機器の前記状態指標値との差分を用いて前記状態目標値を決定する手段と、
を含むシステム
によって達成される。
上記の構成に於いて、「機器」とは、「技術分野」の欄に記載されている如く、エネルギー源、移動体、各種製造機械器具、各種センサなど、作動状態が制御される任意の機器であってよく、「機器」の「選択された状態」とは、「技術分野」の欄に記載されている如き任意の計測可能な物理量及び/又はそれらの変化率若しくは変動率であって、任意に選択された状態であってよい。「状態指標値」とは、かかる「選択された状態」を表す実際に計測された値であり、「状態目標値」とは、状態の制御に於いて「状態指標値」が一致させられるべき状態の目標値である。「制御装置」は、機器の任意の状態を表す状態指標値を計測すると共に、その状態を自律的に制御する任意の形式の制御装置であってよく、典型的には、コンピュータを用いて機器の状態を、適宜、制御するようになっていてよい。各機器の制御装置間に接続され、各機器の状態値を表す信号を伝送する通信回線は、有線通信、無線通信、光通信など、任意の態様にて信号を伝送する回線であってよい。また、上記の構成に於いて、「自機器」とは、システム内の各制御装置にとって、それ自身が状態を制御する機器のことを言い、「隣接機器」とは、各制御装置にとって、それ自身に通信回線により直接に接続された制御装置によって状態が制御される機器のことを言うものとする(或る制御装置にとって、通信回線にて接続された制御装置に更に通信回線にて接続された別の制御装置によって状態が制御される機器は、隣接機器にとっての隣接機器となる。)。「マルチエージェントシステムの合意制御」とは、この分野に於いて知られている如く、システム内の全てのエージェント(即ち、機器)の状態指標値が或る合意値へ漸近的に一致するように各エージェントの状態を制御する形式の制御、即ち、システム内の任意のエージェントiとエージェントjの状態指標値xi、xjについて、
Figure 2020119285
が成立し、任意のエージェントiの状態指標値xiが或る定数値αに収束する、即ち、
Figure 2020119285
が成立するように、各エージェントの状態を制御する形式の制御である。合意制御は、合意値が全てのエージェントの状態指標値の初期値の平均値となる平均合意制御、合意値がシステム内の或るエージェントの状態指標値となるリーダー・フォロワー合意制御、或いは、合意値が全てのエージェントの状態指標値の初期値の幾何平均値、最大値又は最小値となる合意制御であってよい。
上記のマルチエージェントシステムの合意制御について、既に触れた如く、本発明の発明者等の研究によれば、合意制御を達成するものとして一般的に知られている上記の式(1)の差分方程式をそのまま使用して各エージェントの状態を制御したときに、全てのエージェントの状態指標値が或る定数合意値αに収束するのは(式(3)、(4)が成立するのは)、理論上、各エージェントに於いてリアルタイムに隣接エージェントの状態指標値が参照できる場合、即ち、通信回線を通じた隣接エージェントから各エージェントへの状態指標値の伝達に時間遅延がない場合であることが見出された。即ち、通信回線を通じた状態指標値の伝達に有意な時間を要する場合(時間遅延が生じている場合)には、各エージェントの状態指標値は合意値に収束しないか、収束しても合意値が変動するなどの現象が発生するので、通信回線に於ける状態指標値の伝達に時間遅延が発生する現実の通信ネットワークを用いた分散制御システムに於いては、式(1)の方程式をそのまま用いる制御では、適切な合意制御を達成できない場合があることが明らかになった。
そこで、本発明の発明者等がエージェント間の状態指標値の伝達に有意な時間遅れが発生する場合でも合意制御を達成できる制御プロトコルを探索したところ、上記の如く、各エージェントの状態目標値に於ける1サイクル当たりの変化分の決定(分散制御器[式(1)の右辺第2項に相当]による演算)に於いて、隣接エージェントにて時系列に計測された状態指標値の全てを用いるのではなく、隣接エージェントの状態指標値を間欠的に参照するように、より具体的には、一つの状態指標値が隣接エージェントから通信回線を介して伝送されてから各エージェントまで到達するまでの間に隣接エージェントにて計測された状態指標値をスキップして隣接エージェントの状態指標値を参照するようにすると(つまり、隣接エージェントの状態指標値として参照する値は、隣接エージェントから各エージェントまで状態指標値の信号が伝達し各エージェントから隣接エージェントまで信号到達の報告が到達する期間毎の値となる。)、各エージェントの状態指標値の一つの合意値への収束性が改善されることが明らかになった。そして、各エージェントの状態目標値に於ける1サイクル当たりの変化分の決定(分散制御器に於ける演算)に於いて参照する各エージェントの状態指標値として、そこに於いて参照する隣接エージェントの状態指標値と同じ時刻に計測された各エージェントの状態指標値を用いるようにすると、各エージェントの状態指標値の合意値が安定することが明らかになった。(平均合意制御の場合には、合意値が各エージェントの状態指標値の初期値の平均値に安定的に保持された。)。
かくして、本発明のシステムの構成に於いては、上記の如く、各機器の制御装置の自機器の状態指標値を隣接機器の制御装置へ送信する送信手段は、自機器の状態指標値を一度送信すると、その送信された自機器の状態指標値が隣接機器の制御装置に到達するのを待って最新の前記自機器の状態指標値を送信するよう構成される。これにより、各機器の制御装置は、上記の如く、間欠的に隣接機器の状態指標値を参照するよう構成されることとなり、各機器の状態指標値の一つの合意値への収束性が改善されることとなる。なお、各機器の制御装置は、隣接機器の制御装置からその隣接機器の状態指標値の信号を受信するすると、その情報を送信元である隣接機器の制御装置の送信手段へ通知する手段を有していてよく、各機器の制御装置の送信手段は、隣接機器の制御装置からの自機器の状態指標値が隣接機器の制御装置に到達したことの情報の通知に応答して次ぎの(即ち、最新の)状態指標値を、隣接機器の制御装置へ送信するようになっていてよい。その場合、各機器の制御装置の送信手段は、状態指標値の送信後、隣接機器の制御装置から所定の時間を経過しても自機器の状態指標値の信号の到達の通知を受領しなかった場合には、次ぎの状態指標値を送信するようになっていてよい(タイムアウト処理)。ここで「所定の時間」は、想定される状態指標値の信号の伝達に要する時間(通信遅延時間)よりも長い時間が任意に設定されてよい。或いは、各機器の制御装置の送信手段は、通信遅延時間が予測できる場合には、自機器の状態指標値を一度送信すると、通信遅延時間に相当する時間を待って、次の状態指標値を、隣接機器の制御装置へ送信するようになっていてもよい。そして、各機器の制御装置の状態目標値を決定する手段は、自機器の現在の状態指標値と、隣接機器の制御装置から受信した最新の隣接機器の状態指標値(ここでの最新の状態指標値とは、隣接機器から送信され各制御装置に於いて受信している状態指標値のうちの最新の値である。(隣接機器で逐次的に計測されている最新の状態指標値ではない。))と該最新の隣接機器の状態指標値の計測時刻と同じ時刻に計測された自機器の状態指標値との差分を用いて状態目標値を決定するよう構成される。これにより、各機器の状態目標値に於ける1サイクル当たりの変化分の決定に於いて参照する自機器の状態指標値と隣接機器の状態指標値との計測時刻が一致し、各機器の状態指標値の合意値が安定することとなる。
上記の本発明の構成に於いては、各機器の制御装置は、状態目標値の決定に際して参照する状態指標値が何時の時点に於いて計測された値であるか確認する必要があるので、各制御装置に於いて計測した各機器の状態指標値には、計測時刻が付与され(タイムスタンプ)、隣接機器の制御装置への送信及び状態目標値の決定に於いて参照されてよい。
上記の本発明の構成に於いて、各機器の状態目標値は、下記の如く算出されてよい。
Figure 2020119285
ここに於いて、kajは、上記の態様に従って隣接機器の制御装置から送信され各機器の制御装置にて受信された状態指標値の計測時刻であり、各機器の制御装置に於ける隣接機器の状態指標値の受信後の最初の計測時刻kbj(<k[現在時刻])を用いて、
kaj=kbj−Δk …(6)
Δk=Δτs+τdn+Δτr…(6a)
にて表される。ここで、Δτsは、隣接機器の制御装置に於けるka(送信時刻直前の計測時刻)から送信時刻までの待機時間であり、Δτrは、各機器の制御装置に隣接機器の状態指標値が届いてから演算時刻までの待機時間であり、τdnは、通信遅延時間、即ち、隣接機器(送信側)の制御装置から各機器(受信側)の制御装置までの信号伝達に要した時間(受信側の制御装置から送信側の制御装置へ信号到達通知が届くまでの時間を含んでいてよい。)である。また、γは、ゲインであり、1以下の正数である。ゲインを適宜設定することによって、各機器の状態指標値の収束性が更に改善することが見出されている。
かくして、上記の本発明に於いては、各機器が通信ネットワークで接続された分散制御システムに於いて、各機器の制御装置間での状態指標値の伝達に時間遅延が生じても合意制御が達成される新規な制御プロトコルにより、各機器の状態目標値を決定することのできる構成が提供される。既に述べた如く、現実の分散制御システムの通信ネットワークに於いては、信号の伝送には、種々の要因にて生ずる時間遅延が不可避であるところ、本発明の構成によれば、マルチエージェントシステムの合意制御に於ける状態指標値の伝達の時間遅延の影響を補償することが可能となるので、合意制御によって各機器の状態を適切に制御することのできる分散制御システムがより広範に普及されることが期待される。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
図1(A)は、本実施形態の分散制御システムの構成を模式的に表した図である。図1(B)は、本実施形態のシステムに於ける各機器の制御装置(エージェント)の構成をブロック図の形式にて表した図である。図1(C)は、現実の分散制御システムに於いて利用されている通信ネットワークに於いて観察される通信遅延時間の例を示している。 図2は、図1に示されている如き分散制御システムに於いて本実施形態の教示に従って状態指標値の送信を間欠的に実行する場合の送信側エージェント(隣接機器)と受信側エージェント(自機器)とに於ける状態指標値の計測(A、D)、状態指標値の送信(B)、状態目標値の演算(C)の各タイミングを説明するタイムチャートである。計測時刻と演算時刻のタイミングは一致しているものとしている。 図3(A)は、図1に示されている如き分散制御システムに於いて、図2に説明された制御プロトコル(送信補正)に従って得られる各エージェントの状態指標値の時間変化の計算シミュレーションである。図示の例に於いて、計測時間(サンプリング時間)間隔が1.0秒に、通信遅延時間が3.0秒に設定されている。各エージェントの状態指標値の初期値は、それらの平均値が10となるようにランダムに与えられている。「収束判定」は、各エージェントの状態指標値の差分が±0.01%に収まった時点を示している。図3(B)、(C)は、それぞれ、図2に説明された制御プロトコルに従って算出された計算シミュレーションに於ける各エージェントの状態指標値の状態合意値と収束時間(各エージェントの状態指標値の差分が±0.01%に収まるまでの時間)、通信遅延時間に対する変化を表すグラフ図である(●)。各エージェントの状態指標値の初期値は、それらの平均値が10となるようにランダムに与えられている。参考のため、送信補正を実行しなかった場合の値もプロットされている(▲)。なお、図示の例は、いずれも、図1のエージェント6とエージェント2、5、7との間の信号伝達に於いて対称的に時間遅延が発生した場合が仮定されている(その他のエージェント間の時間遅延はないものとしている。)。 図4は、図1に示されている如き分散制御システムに於いて本実施形態の教示に従って状態指標値の送信を間歇的に実行し、分散制御器に於ける演算にて計測時刻を一致した隣接機器と自機器の状態指標値を使用した場合の送信側エージェント(隣接機器)と受信側エージェント(自機器)とに於ける状態指標値の計測(A、D)、状態指標値の送信(B)、状態目標値の演算(C)の各タイミングを説明するタイムチャートである。計測時刻と演算時刻のタイミングは一致しているものとしている。 図5(A)、(B)は、図1に示されている如き分散制御システムに於いて、図4に説明された制御プロトコル(送信補正及びタイムスタンプ補正)に従って得られる各エージェントの状態指標値の時間変化の計算シミュレーションである。(A)は、計測時間(サンプリング時間)間隔が1.0秒であり、通信遅延時間が1.0秒である場合であり、(B)は、計測時間(サンプリング時間)間隔が1.0秒であり、通信遅延時間が2.0秒である場合である。各エージェントの状態指標値の初期値は、それらの平均値が10となるようにランダムに与えられている。「収束判定」は、各エージェントの状態指標値の差分が±0.01%に収まった時点を示している。図5(C)は、図4に説明された制御プロトコルに従って算出された計算シミュレーションに於ける各エージェントの状態指標値の状態合意値(●)と収束時間(各エージェントの状態指標値の差分が±0.01%に収まるまでの時間)(▲)との、通信遅延時間に対する変化を表すグラフ図である。各エージェントの状態指標値の初期値は、それらの平均値が10となるようにランダムに与えられている。なお、図示の例は、いずれも、図1のエージェント6とエージェント2、5、7との間の信号伝達に於いて対称的に時間遅延が発生した場合が仮定されている(その他のエージェント間の時間遅延はないものとしている。)。 図6(A)、(B)は、図1に示されている如き分散制御システムに於いて、図4に説明された制御プロトコル(送信補正及びタイムスタンプ補正)に従って得られる各エージェントの状態指標値の時間変化の計算シミュレーションであって、分散制御器のゲインγが0.5に設定された場合を示している。(A)は、計測時間(サンプリング時間)間隔が1.0秒であり、通信遅延時間が1.0秒である場合であり、(B)は、計測時間(サンプリング時間)間隔が1.0秒であり、通信遅延時間が2.0秒である場合である。各エージェントの状態指標値の初期値は、それらの平均値が10となるようにランダムに与えられている。「収束判定」は、各エージェントの状態指標値の差分が±0.01%に収まった時点を示している。図6(C)は、図4に説明された制御プロトコルに従って算出された計算シミュレーションに於ける各エージェントの状態指標値の状態合意値(●)と収束時間(各エージェントの状態指標値の差分が±0.01%に収まるまでの時間)(▲)との、通信遅延時間に対する変化であって、分散制御器のゲインγが0.5に設定された場合を表すグラフ図である。各エージェントの状態指標値の初期値は、それらの平均値が10となるようにランダムに与えられている。なお、図示の例は、いずれも、図1のエージェント6とエージェント2、5、7との間の信号伝達に於いて対称的に時間遅延が発生した場合が仮定されている(その他のエージェント間の時間遅延はないものとしている。)。 図7(A)は、図1に示されている如き分散制御システムに於いて、通信遅延時間がランダムに変化する場合の各エージェントの状態指標値の時間変化を算出する際に用いたランダムに変化する通信遅延時間の例を示している(横軸のフレームは、延べ送信回数である。)。図7(B)は、通信遅延時間がランダムに変化する場合の、図2に説明された制御プロトコルに従って算出された計算シミュレーションに於ける各エージェントの状態指標値の状態合意値(●)と収束時間(各エージェントの状態指標値の差分が±0.01%に収まるまでの時間)(▲)との、通信遅延時間幅に対する変化を表すグラフ図である。各エージェントの状態指標値の初期値は、それらの平均値が10となるようにランダムに与えられている。図示の例は、いずれも、図1のエージェント6とエージェント2、5、7との間の信号伝達に於いて対称的に時間遅延が発生した場合が仮定されている(その他のエージェント間の時間遅延はないものとしている。)。 図8(A)、(B)は、図1に示されている如き分散制御システムに於いて、通信遅延時間がランダムに変化する場合に、図4に説明された制御プロトコル(送信補正及びタイムスタンプ補正)に従って得られる各エージェントの状態指標値の時間変化の計算シミュレーションを示している。(A)は、計測時間(サンプリング時間)間隔が1.0秒であり、通信遅延時間幅が0〜3.0秒である場合であり、(B)は、計測時間(サンプリング時間)間隔が1.0秒であり、通信遅延時間幅が0〜5.0秒である場合である。各エージェントの状態指標値の初期値は、それらの平均値が10となるようにランダムに与えられている。「収束判定」は、各エージェントの状態指標値の差分が±0.01%に収まった時点を示している。図8(C)は、通信遅延時間がランダムに変化する場合の図4に説明された制御プロトコルに従って算出された計算シミュレーションに於ける各エージェントの状態指標値の状態合意値(●)と収束時間(各エージェントの状態指標値の差分が±0.01%に収まるまでの時間)(▲)との、通信遅延時間幅に対する変化を表すグラフ図である。各エージェントの状態指標値の初期値は、それらの平均値が10となるようにランダムに与えられている。なお、図示の例は、いずれも、図1のエージェント6とエージェント2、5、7との間の信号伝達に於いて対称的に時間遅延が発生した場合が仮定されている(その他のエージェント間の時間遅延はないものとしている。)。 図9は、図1に示されている如き分散制御システムに於いて、全てのエージェント間の通信遅延時間がランダムに変化する場合に、図4に説明された制御プロトコル(送信補正及びタイムスタンプ補正)に従って得られる各エージェントの状態指標値の時間変化の計算シミュレーションを示している。計測時間(サンプリング時間)間隔は1.0秒であり、通信遅延時間幅は0〜5.0秒であり、各エージェントの状態指標値の初期値は、それらの平均値が10となるようにランダムに与えられている。 図10は、図1に示されている如き分散制御システムに於いて従前の制御プロトコルに従って状態指標値の送信を逐次的に実行する場合の送信側エージェント(隣接機器)と受信側エージェント(自機器)とに於ける状態指標値の計測(A、D)、状態指標値の受信(B)、状態目標値の演算(C)の各タイミングを説明するタイムチャートである。計測時刻と演算時刻のタイミングは一致したものとしている。 図11(A)、(B)、(C)は、図1に示されている如き分散制御システムに於いて、図10に説明された従前の制御プロトコル(補正なし)に従って得られる各エージェントの状態指標値の時間変化の計算シミュレーションである。(A)は、計測時間(サンプリング時間)間隔が1.0秒であり、通信遅延時間がない場合であり、(B)は、計測時間(サンプリング時間)間隔と通信遅延時間とが共に1.0秒である場合であり、(C)は、計測時間(サンプリング時間)間隔が1.0秒であり、通信遅延時間が1.25秒である場合である。各エージェントの状態指標値の初期値は、それらの平均値が10となるようにランダムに与えられている。「収束判定」は、各エージェントの状態指標値の差分が±0.01%に収まった時点を示している。図示の例は、いずれも、図1のエージェント6とエージェント2、5、7との間の信号伝達に於いて対称的に時間遅延が発生した場合が仮定されている((A)を除く。)。 図12(A)は、図1に示されている如き分散制御システムに於いて、図10に説明された従前の制御プロトコル(補正なし)に従って得られる各エージェントの状態指標値の時間変化の計算シミュレーションの別の例である。計測時間(サンプリング時間)間隔が1.0秒であり、通信遅延時間が0.3秒の場合である。図13(B)は、図13(A)の場合の状態指標値の収束後を拡大した図であり、合意値の時間変化を示している。各エージェントの状態指標値の初期値は、それらの平均値が10となるようにランダムに与えられている。「収束判定」は、各エージェントの状態指標値の差分が±0.01%に収まった時点を示している。 図13(A)、(B)は、図1に示されている如き分散制御システムに於いて、図11に説明された従前の制御プロトコル(タイムスタンプ補正あり)に従って得られる各エージェントの状態指標値の時間変化の計算シミュレーションである。(A)は、計測時間(サンプリング時間)間隔と通信遅延時間とが共に1.0秒である場合であり、(B)は、計測時間(サンプリング時間)間隔が1.0秒であり、通信遅延時間が1.25秒である場合である。各エージェントの状態指標値の初期値は、それらの平均値が10となるようにランダムに与えられている。「収束判定」は、各エージェントの状態指標値の差分が±0.01%に収まった時点を示している。図示の例は、いずれも、図1のエージェント6とエージェント2、5、7との間の信号伝達に於いて対称的に時間遅延が発生した場合が仮定されている。
1…分散制御システム
Es…機器及びその制御装置(エージェント)
Ie…通信回線
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。図中、同一の符号は、同一の部位を示す。
図1(A)を参照して、本実施形態の対象である分散制御システム1は、複数の機器の制御装置Es(エージェント)が互いに通信回線Ieにて接続され、これにより、通信ネットワークが構成され、各エージェントEsは、その通信ネットワークを通じて、隣接した機器(隣接機器)の選択された状態を表す状態指標値を取得できるよう構成される。かかるシステムに於いて、機器は、既に「技術分野」の欄に記載されている如く、エネルギー源、移動体、各種製造機械器具、各種センサなど、作動状態が制御される任意の機器であってよく、各機器の選択された状態は、既に「技術分野」の欄に記載されている如き任意の計測可能な物理量及び/又はそれらの変化率若しくは変動率であって、任意に選択された状態であってよい。通信ネットワークは、有線通信、無線通信、光通信など、任意の態様にて構成されてよい。そして、各エージェントEsに於いては、システム内の全ての選択された状態が同一となるように、マルチエージェントシステムの合意制御に従って、それぞれのエージェントの状態指標値が上記の通信ネットワークを通じて取得された別のエージェントの状態指標値を用いて決定された制御目標値に一致するよう制御される。なお、図1の例では、システムは、無向グラフを構成しており、その場合、合意制御としては、合意値が全てのエージェントの状態指標値の初期値の平均値となる平均合意制御が実行されることとなる。本明細書に於いては、図示の例の如く、合意制御として平均合意制御が実行される場合について説明されるが、本実施形態は、システムのグラフの構成に依って、リーダー・フォロワー合意制御又はその他の合意制御が実行される場合に適用されてもよく、そのような場合も本発明の範囲に属することは理解されるべきである。
上記のシステムに於いて、各エージェントiの制御装置(i、j等は、エージェントに付された符号である。)は、図1(B)に模式的に描かれている如く、典型的には、制御対象、即ち、機器の選択された状態と出力とを制御するプライマリコントローラと、機器の選択された状態の目標値を決定するセカンダリコントローラとから構成されていてよい。各エージェントの制御装置は、典型的には、コンピュータ装置であってよく、通常の態様にて、図示していない双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU、記憶装置、入出力装置(I/O)が装備され、装置内の各部の作動は、CPUに於いてプログラムを実行することにより達成されることとなる。プライマリコントローラは、より詳細には、制御対象にて計測された選択された状態の指標値(状態指標値)xi[k]とセカンダリコントローラの送信する状態の目標値(状態目標値)xi[k+1]とを受信し、状態目標値と状態指標値との偏差eが0となるように制御対象の状態を制御するよう作動する(状態のフィードバック制御)。なお、制御対象の出力yiと、セカンダリコントローラから受信した状態目標値から伝達関数Gを用いて決定された制御対象の出力の目標値ytiとの偏差εが0になるように制御対象の出力を制御するようになっていてもよい(出力のフィードバック制御、サーボ制御−選択された状態によって出力が制御される場合には、なくてもよい。)。また、制御対象に於ける状態及び/又は出力の制御処理は、選択された状態、出力の種類に応じて実行されてよい。具体的な制御処理の態様は、選択された状態に応じて当業者に於いて適宜決定可能である。一方、セカンダリコントローラは、自身の制御対象の状態指標値xiと、通信回線にて接続された隣接エージェントの制御対象の状態指標値xjとを用いて、後に詳細に説明される如き態様にて、自身の制御対象の状態指標値が合意値に一致又は収束するように自身の制御対象の状態目標値を決定する。
図1(A)の如き分散制御システムに於いては、上記の如く、各エージェントの選択された状態を表す状態指標値が通信回線Ieを通じて信号として隣接エージェントへ送信される、換言すると、各エージェントは、通信回線Ieを通じて隣接エージェントからその状態指標値の信号を受信することとなる。かかるエージェント間の状態指標値の信号の通信に関して、現実の通信ネットワークに於いては、「発明の概要」に於いて既に述べた如く、種々の要因によって、隣接エージェントから各エージェントまで状態指標値の信号が到達するまで、即ち、隣接エージェントが状態指標値の信号を送信してから各エージェントがその信号を受信するまでには、有限の時間(τij)を要するので、信号通信の遅延の発生が不可避である。実際、信号の送受信に於いては、図1(C)に例示されている如く、或る程度の範囲内にてランダムに変化する時間が要していることが観察される(以下、かかる信号通信に要する時間を「通信遅延時間」と称する。)。
ところで、上記の式(1)の差分方程式を用いた従前のマルチエージェントシステムの合意制御の演算処理に於いては、上記の如き通信ネットワークに発生する通信遅延時間が考慮されておらず、後にいくつか例示される如く、通信ネットワークに通信遅延時間が発生する環境下で、上記の式(1)の差分方程式をそのまま合意制御に用いると、各エージェントの状態指標値が合意値に収束しなかったり、合意値に誤差が発生したり、或いは、合意値が変動するといった現象が観察された。即ち、従前のマルチエージェントシステムの合意制御の演算処理をそのまま上記の如き現実の分散制御システムに適用すると、安定的な合意制御が達成できない事態が起き得る。そこで、本実施形態に於いては、以下に詳細に説明される如く、通信ネットワークに通信遅延時間が発生する環境下でも、各エージェントの状態指標値を安定的に合意値に収束させることのできる新規な制御プロトコルにて信号通信及び演算処理を実行するように、各エージェントの制御装置のセカンダリコントローラの構成が改良される。
従前のマルチエージェントシステムの合意制御の演算処理
本実施形態による合意制御の構成を説明する前に、従前の合意制御の構成に於いて発生する現象について簡単に説明する。図10を参照して、システムの各エージェントに於いては、典型的には、それぞれの機器(制御対象)に於ける選択された状態を表す状態指標値が、任意のセンサによって任意に設定されてよい所定の時間間隔(計測時刻又はサンプリング時刻)毎に逐次的に計測され、それらの計測された状態指標値は、隣接エージェントの機器に於ける状態目標値の決定のために通信回線を通じて信号として隣接エージェントへ送信される。そして、マルチエージェントシステムの合意制御に於いては、各エージェント(セカンダリコントローラ)にて、従前のシステムの場合、一般的には、自機器で計測された状態指標値xi[k]と隣接エージェントにて計測された状態指標値xj[k]とを用い、式(1)により、次の計測時刻に於いて自機器が取るべき状態を表す状態目標値xi[k+1]が算出され、その値がプライマリコントローラの状態のフィードバック制御のための加算器へ与えられることとなる。ここで、隣接エージェントの状態指標値xj[k]が瞬時に各エージェントに到達すると仮定すると、式(1)に従って状態目標値を演算することにより(各エージェントの計測時刻と演算時刻は、実質的に一致しているものとしている。以下同様。)、システム内の全てのエージェントの状態指標値が合意値(この場合は、式(2)に示される如く、全てのエージェントの状態指標値の初期値の平均値)へ収束することなる。図11(A)は、全てのエージェントの状態指標値の合意値へ収束するまでの時間変化の計算シミュレーションの例を示している。[実際の分散制御システムに於いては、上記の如く、セカンダリコントローラにて状態目標値を算出した後、プライマリコントローラにて制御対象の状態指標値が状態目標値に一致するよう制御対象の状態がサーボ制御されるので、状態目標値と状態指標値とが一致しない場合が有り得るが、本明細書に添付の図面に於ける各エージェントの状態指標値の時間変化(図11(A)〜(C)、図12(A)、図13(A)〜(B)、図3(A)、図5(A)、(B)、図6(A)、(B)、図8(A)、(B)、図9)は、計算シミュレーションであるので、状態指標値が状態目標値に一致するものとして示されている。]
しかしながら、現実の通信ネットワークに於いては、上記の如く状態指標値の信号の通信に有限の時間を要するので、図10(B)に示されている如く、送信側のエージェント(送信側エージェント)の状態指標値の信号(◇)が受信側のエージェント(受信側エージェント)の受信器に到達する時刻は、その状態指標値の計測時刻よりも通信遅延時間τdほど遅延することとなる。そこで、もし受信側エージェントが逐次的に最新の状態指標値を用いて、通信の遅延を考慮せずに、状態目標値を演算したとすると、演算は、下記の式に従って実行されることとなる。
Figure 2020119285
ここで、k−δkは、現在時刻kよりも通信遅延時間τdだけ遡った時点の直前の計測時刻である(δkは、通信遅延時間τdと受信後の待機時間τwの和に相当するサンプリング時刻間隔数である。図10(C)参照)。そうすると、図10(C)の符号aにて示されている如く、分散制御器(式(7)の右辺第二項)内の送信側エージェントと受信側エージェントとの状態指標値の計測時刻にずれが生ずることとなる。この場合、状態目標値を演算すると、全エージェントの状態指標値が或る合意値へ収束するが、その合意値が予定された合意値からずれてしまう現象(図11(B)−通信遅延時間が、0ではなく、サンプリング時刻間隔以下の場合)、全エージェントの状態指標値が収束しない現象(図11(C)−通信遅延時間が、サンプリング時刻間隔を超える場合)或いは全エージェントの状態指標値が或る合意値へ収束するが、その合意値が時間と共に振動する現象(図12(A)、(B))が観察される。
また、別の態様として、各エージェントの状態指標値の計測に於いて、計測時刻を同時に記録し、隣接エージェントへの状態指標値の送信に於いては、その計測時刻のデータも合わせて送信する構成とし、図10(C)の符号bにて示されている如く、分散制御器(式(1)の右辺第二項)に於いて、送信側エージェントと受信側エージェントとの状態指標値の計測時刻とが一致するように修正した式、即ち、下記の式
Figure 2020119285
を用いて、状態目標値を演算した場合(タイムスタンプ補正)、通信遅延時間が(0ではなく)サンプリング時刻間隔以下である場合には、図13(A)の如く、全エージェントの状態指標値が予定された合意値へ収束したが、通信遅延時間がサンプリング時刻間隔を少しでも超える場合には、図13(B)の如く、全エージェントの状態指標値は収束する傾向すら示さないことが観察される。
以上のことから、上記の分散制御システムに於ける各エージェントの状態指標値の合意制御のための演算処理又は制御プロトコルに於いて、信号通信に有限の遅延時間が発生する環境下では、従前にて一般的に知られている式(1)(又は式(7)、(8))によっては、安定的に合意制御が達成できないことが理解される。
マルチエージェントシステムの合意制御の演算処理の改良
かくして、本実施形態に於いては、本発明の発明者等の研究により得られた知見に基に、以下に説明される如く、信号伝達に有限の通信遅延時間が発生する環境下でも、特に、通信遅延時間がサンプリング時刻間隔を超える場合でも、全エージェントの状態指標値が予定された合意値へ収束するように制御プロトコルが改良される。
(A)送信補正
まず、各エージェントが隣接エージェントへ状態指標値を送信する処理に関して、制御プロトコルが次のように変更される(図2)。
(1)各エージェントは、送信側エージェントとして、隣接エージェント(受信側エージェント)へ状態指標値を一旦送信すると、逐次的に状態指標値が計測されても送信処理を待機し、送信先の隣接エージェントから、送信した状態指標値が送信先の隣接エージェントへ到達したことが通知されると、これに応答して、状態指標値の最新の計測値を送信する(図2(B))。即ち、状態指標値の送信後からその送信完了通知を受信するまでに計測された状態指標値は送信しない。なお、各エージェントは、状態指標値の送信後に、受信側エージェントからの受信通知が任意に設定されてよい所定の時間を越えても届かない場合には、その時点で最新の計測された状態指標値を送信するようになっていてよい(図2(B)中の「TO」参照。タイムアウト処理)。
(2)各エージェントは、受信側エージェントとして、隣接エージェント(送信側エージェント)から送信された状態指標値を受信すると、その受信通知を送信元の隣接エージェントへ送信する(図2(C))。(受信側エージェントから送信側エージェントへの受信通知に要する時間は、通常、状態指標値の通信に要する時間或いはサンプリング時間間隔に比して非常に短いため、図に於いては、受信通知の発信から受信までの時間幅は省略して記載されている。)
上記の如く、各エージェントが送信側エージェントとしてその状態指標値の送信の態様を変更した場合には、各エージェントは、受信側エージェントとして、状態目標値を演算するための分散制御器(式(1)の第二項に相当)に於いて、隣接エージェントの状態指標値として、送信元から到達している状態指標値の最新の値を使用することとなる(図2(C))。即ち、下記の式が状態目標値の演算に用いられる。
Figure 2020119285
ここに於いて、kajは、送信側エージェントjから送信された状態指標値の計測時刻であり、受信側エージェントiに於けるその受信後の最初の計測時刻kbj(<k[現在時刻])を用いて、
kaj=kbj−Δk …(6)
Δk=Δτs+τdn+Δτr…(6a)
にて表される。ここで、Δτsは、送信側エージェントの送信時刻直前の計測時刻kaから送信時刻までの待機時間であり、Δτrは、受信側エージェントに送信側エージェントの状態指標値が届いてから演算時刻までの待機時間であり、τdnは、通信遅延時間、即ち、送信側エージェントから受信側エージェントまでの信号伝達に要した時間である(受信側エージェントから送信側エージェントへの受信通知が送られる構成においては、かかる受信通知が届くまでの時間を含んでいてよい。)。このプロトコルによれば、受信側エージェントに於いて、送信側エージェント(隣接エージェント)の状態指標値は、一旦受信されると、次の送信側エージェントの状態指標値が受信されるまで、分散制御器に於いて使用され続けることとなる(分散制御器に於いて、自機器の状態指標値には、最新の計測値が使用される。)。また、各エージェントに於いて、隣接エージェント毎に分散制御器に於いて使用する隣接エージェントの状態指標値の更新が実行されてよい(例えば、図1のエージェント6に於いて、分散制御器に於いて使用するエージェント2、5、7の状態指標値の計測時刻kajは、異なっていてよい。)。
上記の式(9)を用いて、状態目標値を演算した場合には、図3(A)の計算シミュレーションの結果にて例示されている如く、状態指標値の時間変化に於いて、通信遅延時間がサンプリング時間間隔を超える場合に於いても、全エージェントの状態指標値が合意値へ収束するが、合意値は必ずしも予定された値には一致しない場合が生じ得ることとなる。更に、通信遅延時間と、状態指標値の収束の有無、合意値のずれ及び収束時間との関係を調べるべく、種々の通信遅延時間を設定して演算を実行したところ、図3(B)、(C)にそれぞれ示されている如く、従前の態様(式(7))にて演算した場合には、通信遅延時間がサンプリング時間間隔を超えると状態目標値が収束しなくなったのに対し、通信遅延時間がサンプリング時間間隔を大幅に超えても、状態指標値の収束が観察された。ただし、通信遅延時間が長くなると共に、合意値のずれが増大し、収束時間も長くなった。
かくして、上記の結果から、各エージェントの送信側エージェントとしての状態指標値の送信に於ける処理を改良すること(送信補正)によって、通信遅延時間がサンプリング時間間隔を超えても、全エージェントの状態指標値を収束させることができることが理解される。
(B)送信補正とタイムスタンプ補正
図4を参照して、上記の合意制御に於いて、通信遅延時間がサンプリング時間間隔を超えても、全エージェントの状態指標値が予定された合意値に収束させるようにすべく、本実施形態に於いては、制御プロトコルに於いて、上記の送信補正に加えて、図4(C)に模式的に描かれている如く、受信側エージェントの分散制御器の演算に於いて使用される受信側エージェントの状態指標値として、送信側エージェントの状態指標値の計測時刻と同じ時刻に計測された値を用いられてよい(タイムスタンプ補正)。即ち、下記の式が状態目標値の演算に用いられることとなる。
Figure 2020119285
なお、この態様に於いては、各エージェントの状態指標値の計測に於いて、計測時刻が同時に記録され、隣接エージェントへの状態指標値の送信に於いては、その計測時刻のデータも合わせて送信される構成される。そして、分散制御器(式(10)右辺第二項)の演算は、受信側エージェントの状態指標値の計測時刻が送信側エージェントのものと一致するように各データの計測時刻を照合しながら実行される。
図5(A)、(B)は、上記の式(10)を用いて各エージェントの状態目標値を算出した場合の各エージェントの状態指標値の時間変化の計算シミュレーションの結果を示している。同図を参照して理解される如く、式(10)を用いると、通信遅延時間がサンプリング時間間隔を超える場合に於いても、全エージェントの状態指標値が予定された合意値へ収束させられることが明らかになった。更に、通信遅延時間と、状態指標値の収束の有無、合意値のずれ及び収束時間との関係を調べるべく、種々の通信遅延時間を設定して演算を実行したところ、図5(C)にそれぞれ示されている如く、通信遅延時間がサンプリング時間間隔を大幅に超えても、状態目標値が予定された合意値(予定された合意値は、全エージェントの状態指標値の初期値の平均値である10である。)に収束することが観察された。
ところで、通信遅延時間が1.0秒の場合(図5(A))と通信遅延時間が2.0秒の場合(図5(B))とで各エージェントの状態指標値の挙動を比較すると、状態指標値が収束するまでの振動が後者の方が激しいことが観察される。かかる振動は、分散制御器の算出値が振動的であることに起因すると考えられる。そこで、式(10)の分散制御器に於いて、その寄与を低減するゲインγ(0<γ<1)を乗じられてもよい。即ち、下記の式が状態目標値の演算に用いられてもよい。
Figure 2020119285
図6(A)、(B)は、式(11)に於いて、ゲインγ=0.5を設定した場合の各エージェントの状態指標値の時間変化の計算シミュレーションの結果を示している。同図を参照して理解される如く、上記の式(11)を用いて分散制御器の寄与を低減した場合には、式(10)を用いた場合に比して、各エージェントの状態指標値が収束するまでの挙動に於いて振動の低減が観察された。更に、通信遅延時間と、状態指標値の収束の有無、合意値のずれ及び収束時間との関係を調べるべく、種々の通信遅延時間を設定して演算を実行したところ、図6(C)にそれぞれ示されている如く、収束時間は、相対的に長くなったが、通信遅延時間がサンプリング時間間隔を大幅に超えても、状態目標値が予定された合意値に収束することが確認された。
かくして、上記の結果から、合意制御のプロトコルに於いて、上記の如き送信補正とタイムスタンプ補正とを実行することにより、通信遅延時間がサンプリング時間間隔を超えても、全エージェントの状態指標値を予定された合意値へ収束させることが可能であること、そして、分散制御器の寄与を決定するゲインの低減によって、各エージェントの状態指標値が収束するまでの挙動に於ける振動を低減できることが理解される。
できることが明らかになった。
(C)通信遅延時間がランダムに変化する場合
現実の通信ネットワークに於ける通信遅延時間は、図1(C)に例示されている如く、ランダムに変化し得る。そこで、通信遅延時間がランダムに変化する場合にも、上記の改良された制御プロトコルによって全エージェントの状態指標値を予定された合意値へ収束させることが可能であることを計算シミュレーションにより確認した。なお、計算シミュレーションに於いては、図7(A)に例示されている如く、送信回(フレーム)毎に、通信遅延時間が0秒から所定の時間長さまでランダムに変化するように設定して、状態目標値を経時的に算出した。
図7(B)は、制御プロトコルに於いて送信補正のみを行った場合(式(9)を用いた場合)の計算シミュレーションによる状態指標値の合意値と収束時間を示している。同図に於いて、横軸は、通信遅延時間の変化幅を示している[(0,T)は、通信遅延時間が0秒以上T秒未満の範囲でランダムに変化することを示している。]。同図を参照して、送信補正のみを行った制御プロトコルの場合には、各エージェントの状態指標値の合意値への収束は達成されるが、合意値は、通信遅延時間幅が増大するほど、予定された合意値(10)からの低減幅が大きくなった。
一方、制御プロトコルに於いて送信補正とタイムスタンプ補正とを行った場合(式(10)を用いた場合には、図8(A)、(B)に例示されている如く、各エージェントの状態指標値の予定された合意値への収束が達成された。また、図8(C)に示されている如く、この場合の計算シミュレーションによる状態指標値の合意値と収束時間を参照すると、収束時間は、通信遅延時間幅が増大するほど、長くなるが、状態指標値の合意値は、安定的に予定された値に維持されることが観察される。更に、制御プロトコルに於いて送信補正とタイムスタンプ補正とを行った場合について、システム内の全エージェント間に於いて通信遅延時間がランダムに変化するように設定した場合にも、各エージェントの状態指標値が予定された合意値への収束することが確認された(図9参照)。
かくして、上記までに説明されている如く、本実施形態に於いては、図1に例示されている如き分散制御システムに於いて各エージェントの状態の合意制御を実行する場合には、各エージェントのセカンダリコントローラに於いて実行される制御プロトコルに於いて、式(10)又は式(11)の如く、送信側エージェントとしての送信補正と受信側エージェントとしてのタイムスタンプ補正との改良が為されてよく、これにより、システム内のエージェント間の状態指標値の信号の通信に於いて、通信遅延時間がサンプリング時間間隔を大幅に超えても、全エージェントの状態指標値を予定された合意値に収束させることが可能となる。
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。

Claims (1)

  1. 複数の機器の各々の状態をそれぞれ制御する複数の制御装置と、前記複数の制御装置を接続する複数の通信回線からなる通信ネットワークとを含み、前記複数の機器の各々にて計測された選択された状態を表す状態指標値がそれぞれ対応する前記複数の制御装置の各々から前記通信回線を通って前記通信回線にて接続された前記複数の機器のうちの隣接機器の前記制御装置へ伝達され、前記複数の機器の各々の制御装置が、それ自身が前記選択された状態を制御する前記複数の機器のうちの自機器の前記状態を、前記自機器の前記状態指標値と前記隣接機器の前記状態指標値とを参照してマルチエージェントシステムの合意制御に従って決定された状態目標値に前記自機器の前記状態指標値が一致するよう制御するよう構成された分散制御システムであって、
    前記制御装置の各々が、
    前記自機器の前記状態指標値を前記隣接機器の前記制御装置へ送信する送信手段にして、送信された前記自機器の前記状態指標値が前記隣接機器の制御装置に到達した後に最新の前記自機器の前記状態指標値を送信する手段と、
    前記合意制御に従って前記自機器の前記状態目標値を決定する状態目標値決定手段にして、前記自機器の現在の前記状態指標値と、前記隣接機器の前記制御装置から受信した最新の前記隣接機器の前記状態指標値と該最新の前記隣接機器の前記状態指標値の計測時刻と同じ時刻に計測された前記自機器の前記状態指標値との差分を用いて前記状態目標値を決定する手段と、
    を含むシステム。
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