JP2020117804A - マグネシウムクラッド材および電子機器用筐体 - Google Patents

マグネシウムクラッド材および電子機器用筐体 Download PDF

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誠史 大倉
井上 良二
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Abstract

【課題】クラッド層構造が露出する端面のMg層の腐食進行を抑制でき、望ましくはクラッド材全体の比重がより小さい、クラッド材およびそれを用いた電子機器用筐体を提供する。【解決手段】厚み方向に切断された断面視において、基層となるMg合金からなるMg層と、AlまたはAl合金からなる第1Al層と、Mg層と第1Al層との間に配置される第1接合部とを備え、第1接合部がZnを含むCu合金によって構成されるマグネシウムクラッド材とする。好ましくは、Mg層の第1Al層とは反対側に、AlまたはAl合金からなる第2Al層と、Mg層と第2Al層との間に配置される第2接合部とを備え、第2接合部がZnを含むCu合金によって構成されるマグネシウムクラッド材とする。そして、上記したマグネシウムクラッド材が用いられてなる電子機器用筐体とする。【選択図】図2

Description

この発明は、マグネシウムクラッド材および電子機器用筐体に関する。
詳しくは、マグネシウムクラッド材およびこのマグネシウムクラッド材を用いた電子機器用筐体に関する。
このマグネシウムクラッド材は、詳しくは、マグネシウム合金からなる層を基層として厚み方向に複数の層を有して構成されたマグネシウムクラッド材であり、マグネシウム合金板材と別の金属板材とを厚み方向に積層した状態で圧延して拡散焼鈍することにより作製可能なマグネシウムクラッド材である。
例えば、自動車などの輸送機器、携帯端末などのモバイル機器、あるいは、パーソナルコンピューターなどの電子機器などの軽量化などを目的として、アルミニウム(Al)またはアルミニウム合金(Al合金)よりも比重が小さいマグネシウム合金(Mg合金)からなる様々な部品(Mg部品)が用いられている。しかし、Mg合金には、AlまたはAl合金よりも耐食性が劣るという不都合がある。このため、基層となるMg合金からなるMg層をAlまたはAl合金からなるAl層によって被覆したマグネシウムクラッド材(Mgクラッド材)が開発された。このMgクラッド材は、マグネシウム合金板材(Mg合金板材)とアルミニウム合金板材(Al合金板材)とを厚み方向に積層した状態で圧延して拡散焼鈍することにより作製することができる。このMgクラッド材は、基層となるMg合金からなるMg層によってクラッド材全体の軽量化を図りつつ、Mg層をAl層で被覆することによってMg層の表面の耐食性の向上が図られている。
しかし、このMgクラッド材は、Mg層とAl層とが直接的に接合されることによって、Mg層とAl層との間(接合界面)に脆弱な金属間化合物が多く析出するため、Mg層とAl層との間の接合強度が低下しやすい。そこで、クラッド材全体の軽量化を図りつつ、Mg層とAl層との間の接合強度の向上が図られたMgクラッド材が開発されている。例えば、特許文献1に開示されるMgクラッド材である。このMgクラッド材は、Mg−Li合金からなるMg層とAl合金からなるAl層との間(接合界面)に純銅(純Cu)または銅合金(Cu合金)からなるCu層が配置されている。このMgクラッド材は、Mg−Li合金を用いることによってクラッド材全体の比重を2.10以下に抑制しつつ、Mg層とAl層との間に接合部となるCu層を設けることによってMg層とAl層との間の接合強度の向上が図られている。なお、このCu層は純CuまたはCu合金からなり、具体的には、C1020(無酸素銅)、C1100(タフピッチ銅)、C1201(りん脱酸銅)、C1220(りん脱酸銅)およびCu−Ni合金が示されている。
特許第6135835号公報
上記のように、圧延によって作製された平板状のMgクラッド材には、幅方向の両エッジに、クラッド層構造が外部に露出する端面を有している。このMgクラッド材を用いて作製されたMg部品は、一般に、切断、打ち抜き、曲げなどの形状加工を経て、上記のようなMg部品として供給される。このため、形状加工を経たMg部品もまた、クラッド層構造が外部に露出する端面を有しやすい。例えば、特許文献1に開示されるMgクラッド材は、Mg層、Cu層およびAl層を含むクラッド層構造が外部に露出する端面を有している。このMgクラッド材を用いて作製されたMg部品もまた、Mg層、Cu層およびAl層を含むクラッド層構造が外部に露出する端面を有しやすい。Mg層とCu層とが露出する端面には、MgがCuよりも腐食電位(標準電極電位)が低いことに起因して、Mg層の腐食が発生しやすい。最近、こうしたMgクラッド材の端面のMg層およびMg部品の端面のMg層の腐食の問題を解決することが求められている。
この発明の一つの目的は、クラッド層構造が露出する端面のMg層の腐食の進行を抑制することができる、望ましくはクラッド材全体の比重がより小さい、Mgクラッド材およびこのMgクラッド材を用いた電子機器用筐体を提供することである。
上記の課題を検討し、Mg層とAl層との間にCu層を有するMgクラッド材の端面において、Cu層に対して適量の亜鉛(Zn)を含ませることによって、この端面のMg層の腐食の進行が抑制されることを見出し、この発明を完成させた。
Mgクラッド材に係る発明は、厚み方向に切断された断面視において、基層となるMg合金からなるMg層と、AlまたはAl合金からなる第1Al層と、前記Mg層と前記第1Al層との間に配置されている第1接合部と、を備え、前記第1接合部がZnを含むCu合金によって構成されている、マグネシウムクラッド材である。
この発明において、前記第1接合部が島状に配置されていることが好ましい。
この発明において、厚み方向に切断された断面視において、前記Mg層の前記第1Al層とは反対側に、AlまたはAl合金からなる第2Al層と、前記Mg層と前記第2Al層との間に配置されている第2接合部と、を備え、前記第2接合部がZnを含むCu合金によって構成されている、マグネシウムクラッド材であることが好ましい。
この発明において、前記第2接合部が島状に配置されていることが好ましい。
この発明において、前記Cu合金には25質量%以上45質量%以下のZnが含まれることが好ましい。
この発明において、前記Mg合金には6質量%以上15質量%以下のLiが含まれることが好ましい。
また、この発明によるMgクラッド材を用いて、上記Mg部品の一つである電子機器用筐体を得ることができる。
電子機器用筐体に係る発明は、厚み方向に切断された断面視において、基層となるMg合金からなるMg層と、AlまたはAl合金からなる第1Al層と、前記Mg層と前記第1Al層との間に配置されている第1接合部と、を備え、前記第1接合部がZnを含むCu基合金によって構成されている、マグネシウムクラッド材が用いられてなる、電子機器用筐体である。
この発明において、厚み方向に切断された断面視において、前記Mg層の前記第1Al層とは反対側に、AlまたはAl合金からなる第2Al層と、前記Mg層と前記第2Al層との間に配置されている第2接合部と、を備え、前記第2接合部がZnを含むCu合金によって構成されている、マグネシウムクラッド材が用いられてなる、電子機器用筐体であることが好ましい。
この発明の構成を有するMgクラッド材およびこのMgクラッド材を用いた電子機器用筐体は、クラッド層構造が露出する端面のMg層の腐食の進行が抑制される。
この発明の好ましい構成を有するMgクラッド材およびこのMgクラッド材を用いた電子機器用筐体は、クラッド層構造が露出する端面のMg層の腐食の進行が抑制されるとともに、クラッド材全体の比重がより小さい。
この発明に係る電子機器用筐体を備える電子機器の概略を示す図である。 この発明に係る3層構造を有するMgクラッド材の断面の一例を示す図である。 この発明に係る5層構造を有するMgクラッド材の断面の一例を示す図である。 この発明に係る5層構造を有するMgクラッド材の断面の一例を示す図である。 この発明に係る3層構造を有するMgクラッド材の製造方法を説明するために示す図である。 この発明に係る5層構造を有するMgクラッド材の製造方法を説明するために示す図である。 単層試験体を用いた腐食試験の結果を示す図(グラフ)である。 3層クラッド試験体を用いた腐食試験の結果を示す図(グラフ)である。 5層クラッド試験体を用いた腐食試験の結果を示す図(グラフ)である。
以下、Mgクラッド材に係る発明および電子機器用筐体に係る発明を具体化した実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1に示す電子機器100は、例えば、携帯可能な電子機器である。この電子機器100は、箱状の筐体1と、筐体1上に配置される基板2と、画像などが表示される表示部3とを備えている。表示部3は基板2に接続されている。箱状の筐体1は、電子機器100の構造用部材であって、上記Mg部材の一つである。筐体1は、図2に示すクラッド材5または図3に示すクラッド材10を素材とし、切断、打ち抜き、曲げなどの形状加工を経て、箱状に形成されている。クラッド材5またはクラッド材10から構成されている筐体1は、後述するように、軽量で、クラッド層間の接合強度が十分に確保され、クラッド層構造が露出していない表面の耐食性が高く、かつ、クラッド層構造が露出している端面の腐食の進行が抑制された、電子機器用筐体である。なお、クラッド材5およびクラッド材10は特許請求の範囲の「マグネシウムクラッド材」の一例であり、箱状の筐体1は特許請求の範囲の「電子機器用筐体」の一例である。
図2に示すクラッド材5は、Mg層11と、Al層12と、接合部13とを備える、3層構造のマグネシウムクラッド材である。クラッド材5は、厚み方向(Z方向)において、Al層12、接合部13およびMg層11が、この順にZ1側からZ2側に向かって積層されて接合されている。なお、図2に示すMg層11、Al層12および接合部13は、特許請求の範囲の「Mg層」「第1Al層」および「第1接合部」の一例である。
また、図3および図4に示すクラッド材10は、Mg層11と、Al層12およびAl層22と、接合部13および接合部23とを備える、5層構造のマグネシウムクラッド材である。なお、図2、図3および図4は簡明のため同じ符号を用いる。クラッド材10は、厚み方向(Z方向)において、Al層12、接合部13、Mg層11、接合部23およびAl層22が、この順にZ1側からZ2側に向かって積層されて接合されている。この発明の実施形態の一例として図3および図4に示すクラッド材10は、Mg層11を中心として対称な層構造を有しているため、クラッド材10に発生しやすい反りが効果的に抑制されている。この発明の実施形態となるMgクラッド材は対称な層構造を有するものに限られないものの、例えば図1に示す筐体1などの平坦性が要求されるMg部品に用いる場合には対称な層構造を有するものが好ましい。なお、図3および図4に示すMg層11、Al層12、Al層22、接合部13および接合部23は、特許請求の範囲の「Mg層」「第1Al層」「第2Al層」「第1接合部」および「第2接合部」の一例である。
クラッド材5およびクラッド材10は、例えば、板材を厚み方向に積層した状態で圧延して拡散焼鈍することにより作製することができる。このように作製されたクラッド材5およびクラッド材10では、接触する層同士が原子拡散や化合物形成などにより強固に接合されている。具体的には、クラッド材5およびクラッド材10では、Mg層11とAl層12との間において、Al層12と接合部13とが強固に接合されているだけでなく、Mg層11と接合部13とが強固に接合されていることによって、Mg層11とAl層12とが接合部13を介して強固に接合されている。また、クラッド材10では、Mg層11とAl層22との間において、Al層22と接合部23とが強固に接合されているだけでなく、Mg層11と接合部23とが強固に接合されていることによって、Mg層11とAl層22とが接合部23を介して強固に接合されている。
クラッド材5およびクラッド材10を構成するMg層11はMg合金からなる。クラッド材5およびクラッド材10において、Mg層11は基層として設けられている。Mg合金からなるMg層11を基層として設けることによって、クラッド材5およびクラッド材10における全体の実質的な諸特性(例えば、軽量性、機械的特性など)をMg合金に委ねることができる。これによって、クラッド材5およびクラッド材10は、Mgクラッド材として期待される十分な諸特性を有することができる。なお、Mg層11の基層としての有効性を担保するために、クラッド材5およびクラッド材10における全体の厚みt1とMg層11の厚みt2との厚み比率を表す(t2/t1)×100(%)を60%以上90%以下に設定することが好ましく、75%以上90%以下に設定することがより好ましい。
Mg合金からなるMg層11の比重は、一般に、AlまたはAl合金からなるAl層(図2に示すAl層12、図3および図4に示すAl層22)の比重よりも小さく、また、Cu合金からなる接合部(図2に示す接合部13、図3および図4に示す接合部23)の比重よりも小さい。したがって、Mg層11の比重は、Al層(Al層12、Al層22)の比重よりも小さく、また、接合部(接合部13、接合部23)の比重よりも小さい。そこで、Mg合金からなるMg層11を基層に据えることによって、クラッド材10全体の比重を小さく抑制することができる。
Mg層11を構成するMg合金は、Al、亜鉛(Zn)、カルシウム(Ca)、ジルコニウム(Zr)、リチウム(Li)およびマンガン(Mn)などの元素のうちの1種または2種以上を添加元素として含み、残部Mgおよび不可避的不純物からなる。Mg層11を構成するMg合金は、例えば、ロール圧延が比較的容易なMg合金が好ましく、さらにMgよりも比重が小さいLiを含むMg合金が好ましい。なお、金属単体の比重(単体密度g/cm)は、上記したMgが1.74、Alが2.69、Znが7.12、Caが1.55、Zrが6.53、Liが0.534、Mnが7.42である他、例えば、Cuが8.93、Niが8.85である。
ロール圧延が比較的容易なMg合金としては、例えば、AZ31(JIS規格MP1)に対応するMg−3.0Al−1.0Zn−0.15Mn合金(比重1.77)、JIS規格MP7に対応するMg−2.0Al−0.1Zr−0.05Mn合金(比重1.75)、AZ61に対応するMg−6.4Al−1.0Zn−0.28Mn(比重1.80)、およびJIS規格MP4に対応するMg−1.2Zn−0.6Zr(比重1.76)、JIS規格MP5に対応するMg−3.3Zn−0.6Zr(比重1.79)などが挙げられる。なお、上記Mg合金の組成を表す数値の単位は「質量%」であり、いずれのMg合金も不可避的不純物を含む。また、上記Mg合金に付記する比重は合金密度g/cmである。
ロール圧延が比較的容易であって、比較的比重が小さいMg合金としては、例えば、Liを含むMg−Li合金、LiおよびZnを含むMg−Li−Zn合金(LZ)、LiとZnとCaとを含むMg−Li−Ca−Zn合金(LXZ)、LiおよびAlを含むMg−Li−Al合金(LA)、LiとAlとZnとを含むMg−Li−Al−Zn合金(LAZ)、LiとAlとZnとCaとを含むMg−Li−Al−Zn−Ca合金(LAZ−X)などが挙げられる。なお、AlおよびZnが添加元素として含まれるLAZ、あるいはAl、ZnおよびCaが添加元素として含まれるLAZ−Xは、難燃性が高まるため好ましい。
Mg−Li合金としては、例えば、6質量%以上15質量%以下のLiが含まれる合金(比重は例えば1.30以上1.53以下)が好ましく、8質量%以上10質量%以下のLiが含まれる合金(比重は例えば1.42以上1.47以下)がより好ましい。Mg−Li−Zn合金(LZ)としては、例えば、上記Mg−Li合金に対して、さらに0.5質量%以上1.5質量%以下のZnが含まれる合金(比重は例えば1.30以上1.55以下)が好ましく、LZ91に対応するMg−9.0Li−1.0Zn合金(比重1.45)などが挙げられる。Mg−Li−Ca−Zn合金(LXZ)としては、例えば、上記Mg−Li−Zn合金に対して、さらに0.1質量%以上2質量%以下のCaが含まれる合金(比重は例えば1.30以上1.54以下)などが挙げられる。Mg−Li−Al合金(LA)としては、例えば、上記Mg−Li合金に対して、さらに0.5質量%以上4質量%以下のAlが含まれる合金(比重は例えば1.30以上1.55以下)が好ましく、LZ141に対応するMg−14Li−1.0Al合金(比重1.32)などが挙げられる。Mg−Li−Al−Zn合金(LAZ)としては、例えば、上記Mg−Li−Al合金に対して、さらに0.5質量%以上1.5質量%以下のZnが含まれる合金(比重は例えば1.30以上1.57以下)が好ましく、Mg−8.0Li−2.0Al−1.0Zn合金(比重1.49)、Mg−9.0Li−1.0Al−1.0Zn合金(比重1.46)、Mg−9.0Li−2.0Al−1.0Zn合金(比重1.46)およびMg−9.0Li−4.0Al−1.0Zn合金(比重1.47)などが挙げられる。Mg−Li−Al−Zn−Ca合金(LAZ−X)としては、例えば、上記Mg−Li−Al−Zn合金に対して、さらに0.1質量%以上2質量%以下のCaが含まれる合金(比重は例えば1.30以上1.56以下)などが挙げられる。なお、上記Mg合金の組成を表す数値の単位は「質量%」であり、いずれのMg合金も不可避的不純物を含む。また、上記Mg合金に付記する比重は合金密度g/cmである。
ここに挙げたMg合金は、いずれも、良好な延性(圧延加工性)を有するため、圧延によって、クラッド材5およびクラッド材10を容易に作製することができる。また、筐体1の軽量性が重要な場合は、筐体1に用いるクラッド材5またはクラッド材10の比重がより小さいことが好ましい。したがって、クラッド材5およびクラッド材10の基層であるMg層11をより軽量化するために、比重が十分に小さいMg合金、例えば、6質量%以上15質量%以下のLiが含まれる比重が1.30以上1.53以下のMg−Li合金を採用することが好ましい。さらに、Mg−Li合金に含まれるLiが6質量%以上であることによって、Mg層11の延性を向上させることができるので、クラッド材5およびクラッド材10の曲げなどのプレス加工性を向上させることができる。また、Mg−Li合金に含まれるLiが15質量%以下であることによって、耐食性を低下させるLiの割合を減少させることができるので、Mg層11の安定性を確保することができる。
クラッド材5を構成するAl層(図2に示すAl層12)は、AlまたはAl合金からなる。Al層12はMg層11のZ1側の面の露出を防止するように配置されている。この構成によって、Al層12がMg層11よりも耐食性の良い被覆層として機能し、Mg層11のZ1側の表面の腐食が抑制される。また、Al層12がAlまたはAl合金からなることによって、クラッド材5の片面に対するアルマイト処理などの表面加工が容易になる。
また、クラッド材10を構成する第1Al層(図3および図4に示すAl層12)および第2Al層(図3及び図4に示すAl層22)は、それぞれ、AlまたはAl合金からなる。Al層12はMg層11のZ1側の面の露出を防止するように配置され、Al層22はMg層11のZ2側の面の露出を防止するように配置されている。この構成によって、Al層12およびAl層22がMg層11よりも耐食性の良い被覆層として機能し、Mg層11のZ1側の表面およびZ2側の表面の腐食が抑制される。また、Al層12およびAl層22がともにAlまたはAl合金からなることによって、クラッド材10の両面に対するアルマイト処理などの表面加工が容易になる。なお、Al層12およびAl層22は、略同一の組成を有するAlまたはAl合金からなることが好ましい。さらに、Al層12の厚みt3およびAl層22の厚みt4は、略同一の厚みを有することが好ましい。これらにより、クラッド材10の表裏を厳密に区別する必要がなくなる。
電子機器100において、筐体1の軽量性が重要になるのであれば、筐体1に用いるクラッド材5またはクラッド材10の比重がより小さいことが好ましい。そこで、クラッド材5またはクラッド材10をより軽量化するために、クラッド材5またはクラッド材10全体の厚みt1に対するAl層の厚みが十分に小さいことが好ましい。具体的には、クラッド材1ではAl層12の厚みt3が十分に小さいことが好ましく、クラッド材10ではAl層12の厚みt3およびAl層22の厚みt4が十分に小さいことが好ましい。
この場合、Al層(Al層12、Al層22)の被覆層としての有効性を担保するために、クラッド材5の全体の厚みt1に対して、Al層12の厚みt3の厚み比率を表す(t3/t1)×100(%)は、5%以上20%以下に設定することが好ましく、5%以上12.5%以下に設定することがより好ましい。なお、クラッド材5の全体の厚みt1に対して、接合部13の厚みt5の厚み比率を表す(t5/t1)×100(%)は、例えば0.5%以下であって、十分に小さい。このため、接合部13の厚みt5は無視してもよく、例えばクラッド材5の全体の比重を算定する場合など、Mg層11の厚みt2とAl層12の厚みt3との合計の厚みをクラッド材5の全体の厚みt1としても構わない。
また、クラッド材10の全体の厚みt1に対して、Al層12の厚みt3の厚み比率を表す(t3/t1)×100(%)およびAl層22の厚みt4の厚み比率を表す(t4/t1)×100(%)は、それぞれ、5%以上20%以下に設定することが好ましく、5%以上12.5%以下に設定することがより好ましい。なお、クラッド材10全体の厚みt1に対して、接合部13の厚みt5の厚み比率を表す(t5/t1)×100(%)および接合部23の厚みt6の厚み比率を表す(t6/t1)×100(%)は、それぞれ、例えば0.5%以下であって、十分に小さい。このため、接合部13の厚みt5および接合部23の厚みt6はともに無視してもよく、例えばクラッド材10全体の比重を算定する場合など、Mg層11の厚みt2とAl層12の厚みt3とAl層22の厚みt4との合計の厚みをクラッド材10全体の厚みt1としても構わない。
Al層(Al層12、Al層22)を構成するAlとしては、例えば、99.5質量%以上のAlとその他の元素とからなるA1050(比重2.71)、99.7質量%以上のAlとその他の元素とからなるA1070(比重2.70)、99.8質量%以上のAlとその他の元素とからなるA1080(比重2.70)、99.9質量%以上のAlとその他の元素とからなるA1100(比重2.71)などのJIS規格の高純度アルミニウム(純Al)が挙げられる。これらの純Alは、良好な延性(圧延加工性)を有するため、圧延によってクラッド材10を容易に作製することができる。なお、上記Al(純Al)はいずれも不可避的不純物を含む。また、上記Alに付記する比重は合金密度g/cmである。
また、Al層(Al層12、Al層22)を構成するAl合金としては、例えば、Al−Mg合金およびAl−Si合金などが挙げられる。Al−Mg合金としては、例えば、1質量%以上3質量%以下のMgが含まれるJIS規格のA5000系の合金(比重は例えば2.66以上2.69以下)が好ましく、A5050に対応するAl−1.5Mg合金(比重2.68)、A5052に対応するAl−2.5Mg−0.25Cu合金(比重2.67)などが挙げられる。Al−Si合金としては、例えば、3質量%以上15質量%以下のSi(珪素)が含まれるJIS規格のA4000系の合金(比重は例えば2.64以上2.69以下)が好ましく、A4043に対応するAl−5Si合金(比重2.68)、A4032に対応するAl−12Si合金(比重2.65)の他、2質量%のSiが含まれるAl−2Si合金(比重2.69)などが挙げられる。これらのAl合金は、良好な延性(圧延加工性)を有するため、圧延によって、クラッド材5およびクラッド材10を容易に作製することができる。なお、上記Al合金の組成を表す数値の単位は「質量%」であり、いずれのAl合金も不可避的不純物を含む。また、上記Al合金に付記する比重は合金密度g/cmである。
クラッド材5において、接合部13はMg層11とAl層12との間に配置されている。クラッド材5をZ方向に切断した際の断面視においては、接合部13はMg層11とAl層12との間に配置されている。接合部13はMg層11とAl層12とを接合している。これにより、図2に示す接合部13のように、クラッド材5においてMg層11とAl層12との直接的な接合を抑制することができる。あるいは、図4に示すクラッド材10における接合部13のように、クラッド材5においても直接的な接合面積を低減することができる。また、AlまたはAl合金からなるAl層12に対する接合強度が低いMg合金からなるMg層11を、適切な材質からなる接合部13を介して、Al層12に接合することによって、Mg層11とAl層12との間の接合強度を確保することができる。
クラッド材10において、接合部13はMg層11とAl層12との間に配置され、接合部23はMg層11とAl層22との間に配置されている。クラッド材10をZ方向に切断した際の断面視においては、接合部13はMg層11とAl層12との間に配置され、接合部23はMg層11とAl層22との間に配置されている。接合部13はMg層11とAl層12とを接合し、接合部23はMg層11とAl層22とを接合している。これにより、接合部13によって、図3に示すようにMg層11とAl層12との直接的な接合を抑制することができるか、あるいは、図4に示すように直接的な接合面積を低減することができる。また、接合部23によって、図3に示すようにMg層11とAl層22との直接的な接合を抑制することができるか、あるいは、図4に示すように直接的な接合面積を低減することができる。また、AlまたはAl合金からなるAl層12およびAl層21に対する接合強度が低いMg合金からなるMg層11を、適切な材質からなる接合部13および接合部23を介して、Al層12およびAl層22に接合することによって、Mg層11とAl層12との間およびMg層11とAl層22との間の接合強度を確保することができる。
クラッド材5を構成する接合部(図2に示す接合部13)は、Znを含むCu合金によって構成されている。また、クラッド材10を構成する第1接合部(図3および図4に示す接合部13)および第2接合部(図3および図4に示す接合部23)は、それぞれ、Znを含むCu合金によって構成されている。クラッド層構造が外部に露出する、クラッド材5の端面、クラッド材10の端面、クラッド材5またはクラッド材10を用いた筐体1の端面において、Mg層11とAl層12との間に、Znを含むCu合金から構成されている接合部13を有していると、純CuまたはZnを含まないCu−Ni合金などから構成されている接合部を有する場合と比べて、その端面におけるMg層11の腐食の進行を抑制することができる。この端面のMg層11の腐食(MgとCu合金との間における電食)の進行を抑制する効果は、接合部13において、Cuに対してZnを含む分だけ腐食電位(標準電極電位)が純Cuよりも低くなってMgに近づくため、高まっていく。この点は、Mg層11とAl層22との間に接合部23を有するクラッド材10の端面およびこれを用いた筐体1のクラッド層構造が外部に露出する端面についても同様である。
クラッド材5またはクラッド材10において、Znを含むCu合金からなる接合部13は、Mg層11を構成するMg合金と接合されやすく、同時に、Al層12を構成するAlまたはAl合金と接合されやすい。このため、接合部13をMg層11とAl層12との間に設けるクラッド層構造にすることによって、Mg層11とAl層12とを直接的に接合するクラッド層構造よりも、Mg層11とAl層12との間の接合強度を高めることができる。この点は、クラッド材10において、接合部23をMg層11とAl層22との間に設けるクラッド層構造についても同様にいえる。なお、簡便上、Znを含むCu合金を「Cu−Zn合金」と表記する。
クラッド材5またはクラッド材10において、接合部(接合部13、接合部23)を構成するCu−Zn合金としては、例えば、JIS規格にある、C2100に対応するCu−5Zn合金(比重8.85)、C2200に対応するCu−10Zn合金(比重8.74)、C2300に対応するCu−15Zn合金(比重8.63)、C2400に対応するCu−20Zn合金(比重8.52)、C2600に対応するCu−30Zn合金(比重8.32)、C2680に対応するCu−35Zn合金(比重8.22)、C2720に対応するCu−37Zn合金(比重8.18)、C2801に対応するCu−40Zn合金(比重8.13)などが挙げられる。クラッド材5またはクラッド材10において、接合部(接合部13、接合部23)は、腐食(電食)抑制効果を得る観点で、Cuに対して25質量%以上45質量%以下のZnが含まれるCu−Zn合金(比重は例えば8.03以上8.42以下)から構成されていることが好ましく、腐食(電食)抑制に伴う脱亜鉛現象(脱亜鉛腐食)防止の観点で、25質量%以上35質量%以下のZnが含まれるCu−Zn合金(比重は例えば8.03以上8.22以下)から構成されていることが好ましい。なお、上記Cu−Zn合金の組成を表す数値の単位は「質量%」であり、いずれのCu−Zn合金も不可避的不純物を含む。また、上記Cu−Zn合金に付記する比重は合金密度g/cmである。
また、クラッド材5またはクラッド材10において、接合部(接合部13、接合部23)には、環境問題の観点からはPbを含まない(不可避的不純物として検出されるレベル)ことが好ましいが、さらにPb(鉛)を含むことによって展延性(圧延性)、被削性および打抜き性などの諸特性が向上されたCu−Zn−Pb合金を用いることもできる。Cu−Zn−Pb合金としては、例えば、上記のCu−35Zn合金、Cu−37Zn合金またはCu−40Zn合金に対して、さらに0.5質量%以上4質量%以下のPbが含まれる、JIS規格にある、C3560(比重8.26)、C3561(比重8.19)、C3604(比重8.20)、C3710(比重8.16)、C3713(比重8.18)、C3771(比重8.17)などが挙げられる。なお、上記Cu−Zn−Pb合金の組成を表す数値の単位は「質量%」であり、いずれのCu−Zn−Pb合金も不可避的不純物を含む。また、上記Cu−Zn−Pb合金に付記する比重は合金密度g/cmである。
クラッド材5またはクラッド材10において、接合部(接合部13、接合部23)を構成するCu−Zn合金には、25質量%以上のZnが含まれていることが好ましいと考えられる。これは、前述したように、接合部(接合部13、接合部23)において、Cuに対してZnを含む分だけ、端面のMg層11の腐食の進行を抑制する効果が高まっていくからである。一方、クラッド材5またはクラッド材10において、接合部(接合部13、接合部23)を構成するCu−Zn合金には、45質量%以下のZnが含まれていることが好ましいと考えられる。これは、接合部(接合部13、接合部23)において、Cuに対して45質量%を超えるZnが含まれるようになると、圧延加工性が悪くなって接合部(接合部13、接合部23)の面積比率が減少するため、Mg層11とAl層(Al層12、Al層22)との間の密着力が低下する可能性があるからである。また、クラッド材5またはクラッド材10において、接合部(接合部13、接合部23)を構成するCu−Zn合金には、35質量%以下のZnが含まれていることがより好ましいと考えられる。これは、Cuに対して含まれるZnが35質量%を超える(36質量%以上45質量%以下)とα相およびβ相の2相混合組織が形成されるようになり、Mg層11の腐食抑制効果は発揮されるものの、接合部(接合部13、接合部23)において脱亜鉛現象(脱亜鉛腐食)が生じるようになるからである。したがって、クラッド材5またはクラッド材10における接合部(接合部13、接合部23)は、25質量%以上45質量%以下のZnが含まれるCu−Zn合金から構成されていることが好ましく、25質量%以上35質量%以下のZnが含まれるCu−Zn合金から構成されていることがより好ましい。
図2に示す板状のクラッド材5は、例えば、Mg層11に対応するMg板材、接合部13に対応するCu板材およびAl層12に対応するAl板材を、この順に、厚み方向に積層した状態で圧延(クラッド圧延)して拡散焼鈍することにより作製することができる(図5参照)。また、図3および図4に示す板状のクラッド材10は、例えば、Al層12に対応するAl板材、接合部13に対応するCu板材、Mg層11に対応するMg板材、接合部23に対応するCu板材およびAl層22に対応するAl板材を、この順に、厚み方向に積層した状態で圧延して拡散焼鈍することにより作製することができる(図6参照)。なお、圧延(クラッド圧延)において、少なくともMg層11に対応するMg板材は例えば150℃以上に加熱される。また、拡散焼鈍において、圧延(クラッド圧延)後のクラッド材は例えば150℃以上に加熱される。
クラッド材10を厚み方向(Z方向)に切断した断面視において、Mg層とAl層との間の接合部は、圧延方向に連続的に繋がっている層状の形態であるか、あるいは、圧延方向に不連続的に配置されている島状の形態である。具体的には、クラッド材10における接合部13は、図3に示すようにMg層11とAl層12との間の全体に層状に連続的に繋がっている形態であるか、あるいは、図4に示すようにMg層11とAl層12との間に島状に配置されている形態である。この点は、接合部23をMg層11とAl層22との間に設けるクラッド層構造についても同様である。また、クラッド材5のMg層11とAl層12との間の接合部13についても同様である。
断面視において、クラッド材5のMg層11とAl層12との間の接合部13は、島状(図4に示す島状部分13aを参照)に配置されていることが好ましい。また、断面視において、クラッド材10のMg層11とAl層12との間の接合部13およびMg層11とAl層21との間の接合部23は、島状(図4に示す島状部分13a、23aを参照)に配置されていることが好ましい。なお、「島状」とは、クラッド材(クラッド材5、クラッド材10)の製造過程において接合部(接合部13、接合部23)を構成するためのZnを含むCu板材(Cu−Zn合金板材)に断裂が形成されており、その結果、接合部(接合部13、接合部23)がMg層11とAl層(Al層12、Al層22)との間の全体に層状に連続的に繋がっていない形態を意味する。
このように構成すれば、Mg合金、AlまたはAl合金のそれぞれよりも比重が大きなCu−Zn合金の割合が減少する。すなわち、断面視において、クラッド材(クラッド材5、クラッド材10)の接合部(接合部13、接合部23)がMg層11とAl層(Al層12、Al層22)との間の全体に層状に連続的に繋がっている形態と比べて、Cu−Zn合金のクラッド材の全体に占める割合を減少させることができる。また、クラッド層構造が露出する端面において、Mgよりも腐食電位(標準電極電位)が高いCuの占める割合を減少させることができる。その結果、クラッド材の全体の比重がより小さくなるためクラッド材をより軽量化することができるし、Mgよりも腐食電位(標準電極電位)が高いCuの割合がより小さくなるため端面のMg層11の腐食の進行をより抑制することができる。この点は、接合部23をMg層11とAl層22との間に設けるクラッド層構造についても同様であって、接合部23はMg層11とAl層22との間に島状(島状部分23a)に配置されていることが好ましい。
図4に示すように、断面視において、クラッド材10の島状(島状部分13a)の接合部13は、Mg層11とAl層12との間の一部の領域に集中的に配置されている形態であるよりも、Mg層11とAl層12との間の全体に亘って分散して配置されている形態であることが好ましい。また、断面視において島状(島状部分13a)の接合部13は、Mg層11とAl層12との間の約10%以上約90%以下の部分に配置されている(断面視において、約10%以上約90%以下の存在率である)形態であることが好ましい。この点は、接合部23をMg層11とAl層22との間に設けて、断面視において島状(島状部分23a)の接合部23を有するクラッド層構造についても同様である。また、クラッド材5のMg層11とAl層12との間の接合部13についても同様である。
クラッド材における接合部(接合部13、接合部23)の存在率の算出方法について、図4に示すクラッド材10の断面視における接合部13を例に挙げて説明する。図4は、クラッド材10を厚み方向(Z方向)に切断した断面であって、顕微鏡などを用いて取得することができる断面である。この断面のMg層11とAl層12との間に沿う方向のある程度の長さL(例えばL=1000μm)の測定範囲内において、接合部13の島状部分13aが存在している合計の長さを取得する。そして、取得した合計の長さをLで除することによって、接合部13の存在率を算出する。例えば、図4に示す場合において、接合部13の存在率(%)は、((L1a+L1b+L1c)/L)×100により算出される。なお、接合部13は、断面視において、Mg層11とAl層12との間の約20%以上約80%以下の部分に配置されているのがより好ましい。また、接合部13の複数の異なる測定位置(たとえば、3ヶ所以上10ヶ所以下の測定位置)で上記測定を行い、その平均を接合部13の存在率(%)とする。この点は、接合部23をMg層11とAl層22との間に設けて、断面視において島状(島状部分23a)の接合部23を有するクラッド層構造についても適用することができる。なお、図4に示す場合において、接合部23の存在率(%)は、接合部13の場合と同様に考えて、接合部23の島状部分23aが存在している合計の長さを取得することによって、例えば、((L2a+L2b+L2c+L2d)/L)×100により算出される。また、クラッド材10の全体における接合部の存在率(%)は、接合部13の存在率(%)と接合部23の存在率(%)との算術平均値で代表することができる。上記したクラッド材における接合部の存在率およびその算出方法は、クラッド材5のMg層11とAl層12との間の接合部13についても適用することができる。
断面視において、クラッド材の接合部(接合部13、接合部23)の厚みは、0.5μm以上6μm以下であることが好ましい。例えば、クラッド材5を示す図2におけるt5、およびクラッド材10を示す図3および図4におけるt5は、断面視における接合部13の厚みである。また、クラッド材10を示す図3および図4におけるt6は、断面視における接合部23の厚みである。なお、「接合部の厚み」は、接合部の断面における複数箇所の厚み(測定値)から求めた平均の厚みを意味する。つまり、図4に示すように、断面視において接合部13が島状(島状部分13a)に配置されている形態においては、接合部13の複数の箇所の島状部分の厚みを測定し、その平均の厚みを取得する。このように構成すれば、断面視における接合部13の厚みが0.5μm以上であることによって、接合部13を十分に確保することができるので、Mg層11とAl層12との間の接合強度が小さくなるのを抑制することができる。また、断面視における接合部13の厚みが6μm以下であることによって、Mg合金およびAl合金と比べて比重が大きいCu−Zn合金(Znが含まれている合金)から構成される接合部13の割合が過剰になるのを抑制することができるので、クラッド材10全体の比重が大きくなるのを抑制することができる。上記したクラッド材における接合部13の厚みについての構成は、接合部23をMg層11とAl層22との間に設けるクラッド層構造についても同様である。また、クラッド材5のMg層11とAl層12との間の接合部13についても同様である。
また、クラッド材5およびクラッド材10において、Mg層11を構成するMg合金およびAl層12を構成するAlまたはAl合金のそれぞれよりも比重が大きなCu−Zn合金からなる接合部13の厚みt5は、Mg層11の厚みt2以下、かつ、Al層12の厚みt3以下であるのが好ましい。同様に、クラッド材10において、Mg層11を構成するMg合金およびAl層22を構成するAlまたはAl合金のそれぞれよりも比重が大きなCu−Zn合金からなる接合部23の厚みt6は、Mg層11の厚みt2以下、かつ、Al層22の厚みt4以下であるのが好ましい。なお、クラッド材5およびクラッド材10において、接合部(接合部13、接合部23)の厚み(t5、t6)は、クラッド材の全体の比重を小さくするために約6μm以下であることが好ましく、Mg層11とAl層(Al層12、Al層22)との間の接合強度を確保するために約0.5μm以上であるのが好ましい。
次に、図1〜図6を参照して、この発明の実施形態によるクラッド材(クラッド材5、クラッド材10)の製造方法について説明する。
クラッド材5を製造する場合、例えば、図5に示すように、Mg合金からなるMg板材111と、AlまたはAl合金からなるAl板材112と、Cu−Zn合金からなるCu板材113と、を準備する。そして、Mg板材111、Cu板材113およびAl板材112を、この順で連続的に積層させる。この際、オーバーレイ型のクラッド材が形成されるように各々の板材を積層させる。そして、積層された3枚の金属板を、所定の温度条件に加熱した圧延ロール101を用いて連続的に温間圧延する。これにより、図2に示すようなクラッド材5に対応するクラッド材、すなわち、Mg層11とAl層12とが積層され、Mg層11とAl層12との間に接合部13が配置されているクラッド材が作製される。その後、温間圧延した後のクラッド材に対して、所定の保持温度、保持時間および炉内雰囲気などの条件下で拡散焼鈍を行う。これにより、電子機器100(図1参照)の構造用部材となるMg部品(筐体1)に適用可能なクラッド材5が作製される。
また、クラッド材10を製造する場合、例えば、図6に示すように、Mg合金からなるMg板材111と、AlまたはAl合金からなるAl板材112と、AlまたはAl合金からなるAl板材122と、Cu−Zn合金からなるCu板材113と、Cu−Zn合金からなるCu板材123と、を準備する。そして、Mg板材111、Cu板材113、Al板材112、Cu板材123およびAl板材122を、この順で連続的に積層させる。この際、オーバーレイ型のクラッド材が形成されるように各々の板材を積層させる。そして、積層された5枚の金属板を、所定の温度条件に加熱した圧延ロール101を用いて連続的に温間圧延する。これにより、図3または図4に示すようなクラッド材10に対応するクラッド材、すなわち、Al層12とMg層11とAl層22とが積層され、Mg層11とAl層12との間に接合部13が配置され、かつ、Mg層11とAl層22との間に接合部23が配置されている、クラッド材が作製される。その後、温間圧延した後のクラッド材に対して、所定の保持温度、保持時間および炉内雰囲気などの条件下で拡散焼鈍を行う。これにより、電子機器100(図1参照)の構造用部材となるMg部品(筐体1)に適用可能なクラッド材10が作製される。
クラッド材5およびクラッド材10を製造する場合、Mg板材111、Al板材(Al板材112、Al板材122)およびCu板材(Cu板材113、Cu板材123)は、それぞれの材質に適する所定の保持温度、保持時間および炉内雰囲気などの条件下で焼鈍されることによって作製された焼鈍材であることが好ましい。また、Mg板材111、Al板材(Al板材112、Al板材122)およびCu板材(Cu板材113、Cu板材123)は、それぞれの厚みを、接合後のクラッド材(クラッド材5、クラッド材10)の全体の比重が、より小さな例えば2.10以下、好ましくは2.00以下、より好ましくは1.90以下、となるように、それぞれの材質を考慮して調整することが好ましい。また、温間圧延の温度条件は、Mg板材111の材質を優先的に考慮して調整するのが好ましく、例えば、上記したLiを含むMg合金を用いる場合は概ね150℃以上300℃以下に調整するのが好ましい。また、拡散焼鈍の諸条件は、Mg板材111(Mg層11)の材質を優先的に考慮して調整するのが好ましく、例えば、上記したLiを含むMg合金を用いる場合は概ね150℃以上350℃以下の温度で、概ね1分以上5分以下の時間、保持するのが好ましい。
なお、クラッド材5およびクラッド材10を製造する場合、接合部13の厚みt5がある一定値以下の厚みである場合には、温間圧延中の接合部13の伸びがMg層11の伸びおよびAl層12の伸びに追随することができなくなり、接合部13が破断しやすい。これにより、断面視において、島状の形態の接合部13(図4に示す島状部分13aを参照)を有するクラッド材が作製される。一方、接合部13の厚みt5がある一定値を超える厚みである場合には、温間圧延中の接合部13の伸びがMg層11の伸びおよびAl層12の伸びに追随することができて、接合部13が破断しにくい。これにより、断面視において、層状の形態の接合部13(図2および図3に示す接合部13を参照)を有するクラッド材が作製される。この点は、接合部23をMg層11とAl層22との間に設けるクラッド層構造についても同様である。
次に、図4〜図9を参照して、この発明の効果を確認するために行った腐食試験について説明する。なお、腐食試験は、1つの試験体を、試験液の中に浸漬し、所定の時間経過した直後に取り出し、乾燥させ、重さを測定し、再び試験液の中に浸漬する方法で行った。また、腐食試験に用いる試験体は、単層試験体(単板)、3層クラッド試験体(3層構造クラッド板)および5層クラッド試験体(5層構造クラッド板)とした。
<単層試験体>
腐食試験に用いる単層試験体を作製した。具体的には、この発明の実施形態の一例であるクラッド材(クラッド材5、クラッド材10)を構成している、Mg層11を意図してLZ91からなるMg板材(比重1.45)と、Al層(Al層12、Al層22)を意図してA1050からなるAl板材(比重2.71)と、接合部(接合部13、接合部23)を意図してCu−Zn合金板材を準備した。なお、Cu−Zn合金板材は、Znを約30質量%含むC2600からなる板材(比重8.32)、Znを約35質量%含むC2680からなる板材(比重8.22)およびZnを約40質量%含むC2801からなる板材(比重8.13)を準備した。また、比較のために、特許文献1に記載の接合部を意図して99.96質量%以上がCuであるC1020からなるCu板材(比重8.95)を準備した。そして、Mg板材、Al板材、Cu−Zn合金板材およびCu板材を用いて、それぞれ、全長が100mm、全幅が20mm、厚みが0.5mmの個片(単板)を作製した。そして、個片の長手方向を浸漬部と耐食性マスキング部とに区分して、浸漬部の長さが50mmの単層試験体を作製した。なお、単層試験体の浸漬部(長さ50mm、幅20mm、厚み0.5mm)の総面積は、約20.60cmとなる。
<3層クラッド試験体>
腐食試験に用いる3層クラッド試験体を作製した。具体的には、C2600からなるCu−Zn合金板材と、LZ91からなるMg板材と、C2600からなるCu−Zn合金板材とを、この順に積層した状態で温間圧延(200℃に加熱)し、その後に拡散焼鈍(200℃で3分間保持)し、最終的に、約0.05mmの厚みのCu−Zn合金層と、約0.4mmの厚みのMg層と、約0.05mmの厚みのCu−Zn合金層とが、この順に積層された全体の厚みが0.5mmの3層構造のクラッド材(比重2.82)を作製した。また、比較のために、いずれも焼鈍材である、C1020からなるCu板材と、LZ91からなるMg板材と、C1020からなるCu板材とを、この順に積層した状態で温間圧延(200℃に加熱)し、その後に拡散焼鈍(200℃で3分間保持)し、最終的に、約0.05mmの厚みのCu層と、約0.4mmの厚みのMg層と、約0.05mmの厚みのCu層とが、この順に積層された全体の厚みが0.5mmの3層構造のクラッド材(比重2.95)を作製した。そして、これら3層構造のクラッド材を用いて、それぞれ、全長が100mm、全幅が20mm、厚みが0.5mmの個片を作製した。そして、個片の長手方向を浸漬部と耐食性マスキング部とに区分して、浸漬部の長さが50mmの3層クラッド試験体を作製した。なお、3層クラッド試験体の浸漬部(長さ50mm、幅20mm、厚み0.5mm)の総面積が約20.60cm、Mg層の露出面積が約0.48cm、Cu−Zn合金層およびCu層の露出面積が約20.12cmとなる。
<5層クラッド試験体>
腐食試験に用いる5層クラッド試験体を作製した。具体的には、A1050からなるAl板材と、Cu−Zn合金板材と、LZ91からなるMg板材と、Cu−Zn合金板材と、A1050からなるAl板材とを、この順に積層した状態で図6に示すように温間圧延(200℃に加熱)し、その後に拡散焼鈍(200℃で3分間保持)し、最終的に、約0.099mmの厚みのAl層と、約0.001mmの厚みのCu−Zn合金層と、約0.4mmの厚みのMg層と、約0.001mmの厚みのCu−Zn合金層と、約0.099mmの厚みのAl層とが、この順に積層された全体の厚みが0.6mmの図3に示すような5層構造のクラッド材(比重1.89)を作製した。なお、Cu−Zn合金板材は、C2600からなる板材、C2680からなる板材およびC2801からなる板材を準備した。また、比較のために、いずれも焼鈍材である、A1050からなるAl板材と、C1020からなるCu板材と、LZ91からなるMg板材と、C1020からなるCu板材と、A1050からなるAl板材とを、この順に積層した状態で温間圧延(200℃に加熱)し、その後に拡散焼鈍(200℃で3分間保持)し、最終的に、約0.099mmの厚みのAl層と、約0.001mmの厚みのCu層と、約0.4mmの厚みのMg層と、約0.001mmの厚みのCu層と、約0.099mmの厚みのAl層とが、この順に積層された全体の厚みが0.6mmの5層構造のクラッド材(比重1.89)を作製した。なお、5層構造のクラッド材のCu−Zn合金層およびCu層は、Mg層とAl層との間の接合部になっており、断面視において島状の形態(図4参照)を有していた。そして、これら5層構造のクラッド材を用いて、それぞれ、全長が100mm、全幅が20mm、厚みが0.5mmの個片を作製した。そして、個片の長手方向を浸漬部と耐食性マスキング部とに区分して、浸漬部の長さが50mmの5層クラッド試験体を作製した。なお、5層クラッド試験体の浸漬部(長さ50mm、幅20mm、厚み0.5mm)の総面積が約20.72cm、Mg層の露出面積が約0.48cm、Cu−Zn合金層およびCu層の露出面積が約0.0024cm、Al層の露出面積が約20.2376cmとなる。
<腐食試験>
単層試験体を用いた腐食試験は、材質による腐食減量(mg/cm)の差異を確認するために行った。3層クラッド試験体を用いた腐食試験は、Cu層またはCu−Zn合金層がMg層の腐食に及ぼす影響を確認するために行った。5層クラッド試験体を用いた腐食試験は、Mg層とAl層との間の接合部をCu−Zn合金層またはCu層としたときの腐食減量(mg/cm)の相違を確認するために行った。なお、Mg層と、接合部と、Al層とが露出する端面における、Mg層を構成するMg合金と、接合部を構成するCu−Zn合金またはCuとの間の電食は、接合部が一定の厚み(図4に示すt5、t6参照)を有する場合はMg層と接合部との面積比(接合部の面積/Mg層の面積)が大きいほど進行しやすいと考えられる。そこで、この発明の有効性を検証する腐食試験には、端面の面積を同じにした場合に3層クラッド構造(図2に示すクラッド材5を参照)よりも上記面積比が大きくなる5層クラッド構造(図3および図4に示すクラッド材10を参照)を有するものを用いることにした。
上記したいずれの腐食試験も、浸漬容器内に貯留された試験液の中に、1つの試験体を浸漬して行った。具体的には、大気雰囲気とした試験容器内で、浸漬容器内の試験液の中に、上記した単層試験体、3層クラッド試験体、5層クラッド試験体のうちのいずれか1つの試験体の浸漬部を完全に浸漬した。試験液は塩化カリウム水溶液(1mol%KCl、pHは約6)とした。浸漬容器内の試験液の液量は200mLとした。浸漬容器内の試験液は、約20℃の温度に保持するとともに、泡立たないように緩やかに連続的に攪拌した。試験体は、浸漬開始から所定の時間が経過した直後に試験液の中から取り出し、乾燥させ、重さ(乾燥重さ)を計量した。そして、計量後の試験体は、再び試験液の中に浸漬し、腐食試験を継続させた。この手順を、浸漬開始から12h、24h、48h、72hおよび96hが経過した時点で行った。こうして求めた所定の時間経過に対応する試験体の乾燥重さと、腐食試験前の試験体の重さ(基準重さ)との差分を、それぞれの腐食時間に対応する腐食減量(mg/cm)とした。
表1に腐食試験の結果を示す。図7に単層試験体を用いた腐食試験の結果を、図8に3層クラッド試験体を用いた腐食試験の結果を、および、図9に5層クラッド試験体を用いた腐食試験の結果を、それぞれ、グラフで示す。なお、図7〜図9において点線で示す各曲線は2次多項式近似によるものである。
<単層試験体を用いた腐食試験結果>
表1および図7に基づいて、材質による腐食減量(mg/cm)の相違を確認することができる。具体的には、上記した試験液に対するそれぞれの材質の腐食減量は、LZ91が最も大きく、C2801、C1020、C2680、C2600およびA1050の順で小さくなった。そして、それぞれの材質の腐食減量の変化傾向は、浸漬時間の経過に対して、いずれも同様な増加傾向(2次多項式近似)を示した。また、浸漬時間が96hのときのA1050を基準(1.0倍)とする腐食減量の倍率は、LZ91が約27倍、C2801が約21倍、C1020が約10倍、C2680が約8倍およびC2600が約7倍になった。また、浸漬時間が96hのときのC1020を基準(1.0倍)とする腐食減量の倍率は、C2600およびC2680が約0.7倍、C2801が約2倍になった。この結果、上記した試験液に対するLZ91の腐食減量は他の材質よりも十分に大きく、A1050の腐食減量は他の材質よりも十分に小さく、C2600およびC2680の腐食減量はC1020よりも小さいことが判明した。なお、約45質量%のZnを含むC2801の腐食減量はC1020の腐食減量の約2倍となった。これは、上記したように、Cuに対してZnを約45質量%含むことによって形成された2相混合組織に起因して生じた脱亜鉛現象(脱亜鉛腐食)の結果である。しかし、後述する5層クラッド試験体を用いた腐食試験結果から、Mgクラッド材を構成するMg層の腐食(電食)抑制効果の観点で、C2801からなる接合部はC1020からなる接合部に対して優位性があることを確認している。
<3層クラッド試験体を用いた腐食試験結果>
表1および図8に基づいて、Cu層またはCu−Zn合金層がMg層の腐食に及ぼす影響を確認することができる。具体的には、上記した試験液に対するC2600を用いた3層クラッド試験体の腐食減量は、C1020を用いた3層クラッド試験体よりも僅かに小さくなった。そして、それぞれの腐食減量の変化傾向は、浸漬時間の経過に対して、いずれも同様な増加傾向(2次多項式近似)を示した。また、浸漬時間が96hのときのC1020を用いた3層クラッド試験体を基準(1.0倍)とするC2600を用いた3層クラッド試験体の腐食減量の倍率は、0.9倍になった。この結果、上記した試験液に対するC2600を用いた3層クラッド試験体の腐食減量は、C1020を用いた3層クラッド試験体の腐食減量よりも僅かに小さくなる(96h経過時に約10%小さくなる)ことが判明した。
また、LZ91を用いた単層試験体の腐食減量と比べて、C2600を用いた3層クラッド試験体の腐食減量は約0.6倍に小さくなり、C1020を用いた3層クラッド試験体の腐食減量は約0.7倍に小さくなったことから、上記した試験液に対するMg層の腐食の進行を抑制する効果(耐食性)の観点で、C2600はC1020に対して優位性が認められた。
<5層クラッド試験体を用いた腐食試験の結果>
表1および図9に基づいて、Mg層とAl層との間の接合部をCu−Zn合金層またはCu層としたときの腐食減量(mg/cm)の相違を確認することができる。具体的には、上記した試験液に対する5層クラッド試験体の腐食減量は、C1020を用いた場合と比べて、C2600、C2680およびC2801のいずれを用いた場合も小さくなった。そして、それぞれの腐食減量の変化傾向は、浸漬時間の経過に対して、いずれも同様な増加傾向(2次多項式近似)を示した。また、浸漬時間が96hのときのC1020を用いた5層クラッド試験体を基準(1.0倍)として、C2600を用いた場合の倍率は約0.7倍、C2680を用いた場合の倍率は約0.6倍となり、いずれもC1020よりも小さくなった。これは、C1020を用いた単層試験体の腐食減量に対するC2600またはC2680を用いた単層試験体の腐食減量の倍率(約0.7倍)と同等である。また、C2801を用いた場合は、同様にC1020を基準(1.0倍)とする倍率が約0.9倍となり、C1020よりも小さくなった。これは、C1020を用いた単層試験体の腐食減量に対するC2801を用いた単層試験体の腐食減量の倍率(約2倍)とは異なり、Mgクラッド材を構成するMg層の端面の腐食(電食)抑制効果の観点で、C2801のC1020に対する優位性が確認された。これにより、Mg層を基層とする5層クラッド試験体の接合部がC2600、C2680またはC2801からなる場合は、C1020からなる場合と比べて、Mg層の端面の腐食(電食)抑制効果を有することを確認することができた。
以上より、Mg層を基層として、Mg層とAl層との間に純CuからなるCu層を配置する5層構造のMgクラッド材において、Cu層に替えてZnを含むCu合金(Cu−Zn合金)からなるCu−Zn合金層を配置する層構造は、上記した試験液に対する腐食の進行を抑制する十分な効果(耐食性)が得られることが確認された。端面において接合部の面積がより大きい5層構造のMgクラッド材で確認された上記効果は、Mg層を基材とする3層構造のMgクラッド材についても同様に発揮されると考えられる。
<変形例>
この明細書で開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
この発明に係るクラッド材について、例えば、3層構造のクラッド材の例を図2に示し、5層構造のクラッド材の例を図3および図4に示したが、この発明はこれに限られない。この発明のクラッド材では、第1Al層のMg層とは反対側の表面にMgよりも腐食電位(標準電極電位)が高い例えばNi(ニッケル)などからなる他の金属層が接合されているクラッド層構造であってもよいし、第2Al層のMg層とは反対側の表面にも同様の他の金属層が接合されているクラッド層構造であってもよい。
この発明に係るクラッド材について、例えば、接合部13がMg層11とAl層12との間の全体に亘って島状部分が分散して配置されている、クラッド材10の例を図4に示したが、この発明はこれに限られない。この発明では、第1接合部がMg層と第1Al層との間の一部にのみ島状部分が配置されている、クラッド材に構成してもよい。例えば、この発明のクラッド材を、オーバーレイ型のクラッド材ではなく、第1接合部をMg層と第1Al層との間の一部にのみ配置したインレイ型のクラッド材によって構成してもよい。この際、第1接合部が、Mg層の中心部を除く周縁部のみに形成されていることによって、Mg層と第1Al層との剥離を効果的に抑制することが可能であると考えられる。これらの点は、Mg層と第2Al層との間に配置される第2接合部についても同様である。
この発明に係る電子機器用筐体について、例えば、クラッド材5またはクラッド材10を電子機器100の筐体1として用いる例を図1に示したが、この発明はこれに限られない。この発明のクラッド材を電子機器の筐体以外の輸送機器(例えば、自動車、バイクなど)などの構造材用などの部品(Mg部品)として用いてもよい。この場合、特に軽量化が要求される用途に、この発明のクラッド材を用いるのが好ましい。
1.筐体(電子機器用筐体)
10.クラッド材
11.Mg層
12.Al層(第1Al層)
13.接合部(第1接合部)
13a.島状部分
22.Al層(第2Al層)
23.接合部(第2接合部)
23a.島状部分
100.電子機器
101.圧延ロール
111.Mg板材
112.Al板材
113.Cu板材
122.Al板材
123.Cu板材

Claims (8)

  1. 厚み方向に切断された断面視において、
    基層となるMg合金からなるMg層と、AlまたはAl合金からなる第1Al層と、前記Mg層と前記第1Al層との間に配置されている第1接合部と、を備え、
    前記第1接合部がZnを含むCu合金によって構成されている、マグネシウムクラッド材。
  2. 前記第1接合部が島状に配置されている、請求項1に記載のマグネシウムクラッド材。
  3. 厚み方向に切断された断面視において、
    前記Mg層の前記第1Al層とは反対側に、AlまたはAl合金からなる第2Al層と、前記Mg層と前記第2Al層との間に配置されている第2接合部と、を備え、
    前記第2接合部がZnを含むCu合金によって構成されている、請求項1または2に記載のマグネシウムクラッド材。
  4. 前記第2接合部が島状に配置されている、請求項3に記載のマグネシウムクラッド材。
  5. 前記Cu合金には25質量%以上45質量%以下のZnが含まれる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマグネシウムクラッド材。
  6. 前記Mg合金には6質量%以上15質量%以下のLiが含まれる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のマグネシウムクラッド材。
  7. 厚み方向に切断された断面視において、
    基層となるMg合金からなるMg層と、AlまたはAl合金からなる第1Al層と、前記Mg層と前記第1Al層との間に配置されている第1接合部と、を備え、
    前記第1接合部がZnを含むCu合金によって構成されている、マグネシウムクラッド材が用いられてなる、電子機器用筐体。
  8. 厚み方向に切断された断面視において、
    前記Mg層の前記第1Al層とは反対側に、AlまたはAl合金からなる第2Al層と、前記Mg層と前記第2Al層との間に配置されている第2接合部と、を備え、
    前記第2接合部がZnを含むCu合金によって構成されている、マグネシウムクラッド材が用いられてなる、請求項7に記載の電子機器用筐体。
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