以下、本発明の一例である実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
<本発明の第1実施形態に係る液体流出量演算機能を備えた液体容器の構成について>
図1〜図23は、本発明の液体容器を飲料容器として構成した本発明の第1実施形態に係る液体流出量演算機能を備えた液体容器の構成を示している。
(飲料容器の全体及び各部の構成)
まず、図1〜図13には、飲料容器として構成された液体容器の全体や各部の構成が示されている。本実施形態では、液体容器の一例として、例えば、ステンレスボトルに代表される飲料容器を挙げる。よって、以下の説明では、液体容器を飲料容器と称して説明する。
本実施形態の飲料容器は、例えば、図1、図2、図4、図6、図11に示すように、液体収容部Sを有する容器本体1と、容器本体1に着脱可能に装着される栓本体2と、を備えている。
容器本体1は、有底筒状の容器11、容器11の上部の開口部に対して着脱可能に装着される飲み口部材12を備えている。栓本体2は、飲み口部材12の外周部に設けられている。栓本体2は、栓本体2の上側に位置して飲み口部材12の上端の飲み口部12aを開閉可能な蓋体3を備えている。
(容器本体1の構成について)
容器本体1は、有底筒状の金属製部材よりなる。容器本体1の側壁部分は、底部外周側から上部外周側まで等径の筒状体に形成されている。容器本体1の底壁部11bの中心は、所定の高さ球面上に盛り上がっている。容器本体1の上部側は、略全面が円形に開口している。容器本体1の開口縁部11a(容器本体1の上部側開口部の所定上下幅部分)は、少し小径に縮径されている。説明を加えると、開口縁部11aの外周面側には、飲み口部材12の取り付け部12bの板厚分だけ、飲み口部材12を螺合させるための螺合溝が形成されている。飲み口部材12は、開口縁部11aの外周側に螺合される下部側大径筒状の取り付け部12bとユーザの口に接する小径筒状の飲み口部12aとの合成樹脂製の一体成型品で構成されている。
飲み口部材12に用いられる合成樹脂は、例えば、光透過率の高い例えばアクリル材(透明材)を用いて成型されている。後述するように、飲み口部12aを挟んで設けられる発光ダイオード52aからの赤外光が受光部であるフォトダイオード52bの受光面に飲み口部12aを透過してストレートに入射するようにするためである。
取り付け部12bの上下寸法は、開口縁部11aの上下寸法に対応している。取り付け部12bの内周面側には、開口縁部11aの外周面に形成される螺合溝に螺合する螺合溝が形成されている。飲み口部12aの内外径は、先端を少し口に入れて飲むのに適した小さい寸法に形成されている。飲み口部12aの上下方向の寸法(長さ)は相当に長いものに形成されている。飲み口部12aの上下中間箇所の全周には、栓本体2の上壁部21に開孔されている挿通孔20との間をシールする環状のシール部材12cを嵌合するための嵌合溝が設けられている。飲み口部12aの上端側開口面は、飲料供給方向側端部(前端部)の高さが高く、飲料供給方向側端部に対して反対側に位置する反対側端部(後端部)の高さが低い傾斜面となっている。
例えば、図7及び図8から明らかなように、飲み口部12aの中心O2−O2は、取り付け部12bの中心O1−O1(容器本体1の中心)から半径a分の所定寸法だけ前端側(飲料容器正面側)に偏位して設けられている。これにより、容器本体1内の飲料が少なくなった場合にも、容器本体1を水平以上の角度に大きく傾斜させることによって、液体収容部Sに収容されている飲料(液体)を略確実に飲み干せるようにしている。
(栓本体2の構成について)
栓本体2は、飲み口部材12の上部に嵌合固定する形で取り付けられる。栓本体2は、合成樹脂製である。栓本体2は、円形でフラットな上壁部21、筒状の側壁部22、ロックレバー設置部23、内側に電池を収納する電池収納ケース53を備えている。また、栓本体2には、
側壁部22は、上壁部21の外周部分からスカート状(緩やかな円弧面状)に広がり、所定の長さ下方に延びている。側壁部22の下端側開口部は、飲み口部材12の取り付け部12bの肩部(若干小径となっている)に対して嵌合固定されている。ロックレバー設置部23は、側壁部22の前面部(正面部)に位置している。ロックレバー設置部23は、蓋開閉操作部であるロックレバー7の設置部を形成している。電池収納ケース53は、側壁部22の後部面から所定寸法後方に延びてから下方に直角に延びている。
上壁部21の裏面側及び側壁部22の内側には、飲料流出量の演算機能を実現するための各種センサ、制御ユニット、送受信ユニット等の電子部品をマウントした制御基板(電子基板)5を設置する設置空間が形成されている。
栓本体2の上壁部21の後端には、ヒンジ軸24を枢支した所定の長さのヒンジ軸ホルダー21aが設けられている。ヒンジ軸ホルダー21aで枢支されたヒンジ軸24に対して、後述する蓋体3の後端側に位置する左右一対のヒンジブラケット32c,32cが枢着されている。それによって、蓋体3が上下方向に弧回動自在に軸支されるようになっている。ヒンジ軸24には、コイル状のヒンジスプリング(図示省略)が巻装されている。ヒンジ軸24は、一端側が栓本体2側に、他端側が蓋体3側に、それぞれ反発方向(蓋開方向)の弾性を有する形で係合されている。ヒンジ軸24は、蓋体3をロックレバー7側からヒンジ軸ホルダー21a側の後方に傾いた開放状態(図2、図3、図6の状態)に回動付勢するようになっている。栓本体2の上壁部21には、後述する制御基板5を固定するための2つの嵌挿孔21c,21d、後述する制御基板5側の温湿度センサ51eに対応した温湿度導入孔21e、後述する制御基板5側の蓋開閉センサ51a(ホールセンサ)に対応した磁力線透過孔21b等が設けられている。温湿度導入孔21e、及び、磁力線透過孔21bには、それぞれ、蒸気は通すが水は通さない蒸気透過膜が設けられ、飲み口部12a側からの水が浸入しないように構成されている。
ロックレバー設置部23は、U字状壁23a、凹溝部23b、上壁23c、円形溝23d、凸部23e、ロックレバー係合軸8を備えている(図3〜図5を参照)。U字状壁23aは、前面側の側壁部22の一部をU字状に突出させる形で一体的に設けられている。U字状壁23aは、上端側及び前面側が開口している。凹溝部23bは、U字状壁23a内に形成され、U字状の形状をなしている。上壁23cは、凹溝部23bの上端側開口部に位置している。上壁23cは、上壁部21の前端部の一部を所定幅、かつ、所定長さ突出させて、先端部を後述するロックレバー7の蓋ロック時のストッパ部、状面部を後述する蓋体3(蓋体3の前面側の側壁部32)の蓋閉時の固定面としている。円形溝23dは、凹溝部23bの上下方向中間部より少し下方に位置して設けられたている。円形溝23dに、ロックスプリング25が嵌合される。凸部23eは、円形溝23dの下部側に突設されている。凸部23eは、ロックレバー固定部材6の固定に用いられる。ロックレバー係合軸8は、上壁23cと凸部23eとの間に位置し、U字状壁23aの左右両側壁部間に架設される形で設けられている。
ロックレバー7は、合成樹脂製のレバー部材で構成されている。ロックレバー7の上端部71側には、後述する蓋体3側のロックレバーの係合片32bに係合する係合片71aが設けられている。ロックレバー7の下端部72側には、ロックスプリング25嵌装用の凸部72aが設けられている。ロックレバー7の上下方向の中間部73には、断面U字状のロックレバー係合軸8への係合溝を有する断面半円形状のボス部73aが設けられている。
中間部73のボス部73aのU字状の係合溝は、凹溝部23b内のロックレバー係合軸8に係合して回動可能に支持されている。下端部72側のロックスプリング25嵌装用の凸部72aと凹溝部23b側のロックスプリング25嵌合用の円形溝23dとの間には、ロックスプリング25が設けられている。ロックスプリング25は、上端部71の係合片71aを蓋体3側の係合片32bに係合する方向に付勢している。
このように、ロックレバー7が、U字状壁23a内のU字状の凹溝部23b内に設置された状態において、U字状壁23a内のU字状の凹溝部23bの開口縁部には、ロックレバー固定部材6がスライド可能に係合される。これにより、図1、図4、図5に示すように、ロックレバー7は、安定した係合状態(蓋ロック状態)に保持される。
ロックレバー固定部材6の上端部61側は、ロックレバー7の上端部71側の係合片71aの蓋体3側の係合片32bとの係合状態を維持する押圧面部に形成されている。ロックレバー固定部材6の下端部62側の上部位置には、上端部71側の係合片71aと蓋体3側の係合片32bとの係合状態を解除する押圧操作用の凸部62aが設けられている。ロックレバー固定部材6の上端部61側の下部には、上方側又は下方側へのスライド操作用の爪部61aが、設けられている。ロックレバー固定部材6の下端部62側の下端位置には、衝合片62bが設けられている。衝合片62bは、ロックレバー7のロック状態においてU字状の凹溝部23b内のロックレバー固定部材6を固定する凸部23eに衝合して、押圧操作用の凸部62aを押しても上端部71側の係合片71aと蓋体3側の係合片32bとの係合状態の解除を不可能とするようになっている。
ロックレバー7が設置されるU字状壁23a内のU字状の凹溝部23bに対して、ロックレバー7は図5のように設置されている。U字状の凹溝部23bには、衝合片62bの下方側に、上下方向に所定の長さの空きスペースbが設けられている。空きスペースbを利用してロックレバー固定部材6が上下方向にスライドし、ロックレバー固定部材6が上端位置までスライドする。ロックレバー7の上端部71を押圧している図3の状態では、下端部72側の衝合片62bが、ロックレバー固定部材6を固定する凸部23eに衝合してロックレバー7の固定状態を維持するようになっている。
一方、ロックレバー固定部材6が図5の状態から下方にスライド操作され、ロックレバー固定部材6が空きスペースbの下端位置までスライドした状態では、下端部72側の衝合片62bのロックレバー固定部材6を固定する凸部23eとの衝合が解除されて、ロックレバー7の上端部71の回動が可能となる。この状態で、ロックレバー固定部材6の下端部72の押圧操作部である凸部62aを後方に向けて押すと、ロックレバー7の下端部72が、ロックスプリング25の付勢力に抗して後方に押され、ロックレバー7の上端部71側の係合片71aが前方に回転して蓋体3側の係合片32bとの係合が外れ、蓋体3の開放が可能となる。
電池収納ケース53は、内側にブッシュ付きの配線孔を有して栓本体2の側壁部22後端から所定長さ後方に延びる基部53aと、基部53aの後端から下方に直角に曲成し、容器11の上下方向中間位置まで延びる筒状の電池収納部53bと、を備える。電池収納部53bの内側には、左右方向に所定の幅を有し、上下方向に所定の長さを有する電池ホルダー53cが設置されている。電池ホルダー53cに、所定の容量の乾電池57,57(例えば2本)が取り出し可能な状態で正負逆にして並設されている。給電用のリード線56は、電池ホルダー53cの正極側端子から制御基板5側に延びている。電池収納部53bの下端には、着脱可能なキャップ部材54が設けられており、キャップ部材54を取り外すと、乾電池57,57の交換ができるようになっている。図4及び図6に示すように、例えば、電池収納ケース53は、栓本体2の後端部側の一部として合成樹脂により一体に成型されている。
栓本体2の内側、上壁部21裏面側の円形の空間は、容器11内の飲料の飲み口部12aからの流出量(ユーザによる摂取量)を演算する流出量演算装置、及び、インターネット通信装置の電子回路を構成する円形の制御基板5の設置空間となっている。
制御基板5には、各種センサ、制御ユニット、送受信ユニット、その他の電子部品が設けられている。制御基板5にも、栓本体2の上壁部21の挿通孔20と同軸位置に略同径の飲み口部の挿通孔50が形成されている。制御基板5は、栓本体2の内側への設置状態において同様に飲み口部12aが下方から上方に挿通されている。栓本体2の挿通孔20では、シール部材12cでシールをしているが、制御基板5の挿通孔50は、シールをしていない。
(制御基板5の構成について)
制御基板5には、例えば図11〜図13に示されるように、その表裏両面を利用して、蓋開閉センサ51a(ホールセンサ)、顔検知用の発光ダイオード51c及びフォトダイオード51d、温湿度センサ51e、体温センサ51f、飲料通過検知用の発光ダイオード52a及びフォトダイオード52b、容器傾斜角検出手段である傾斜角センサ51b(加速度センサ)、送受信ユニット51h、送受信アンテナ55、インターネット通信制御機能を備えた制御ユニット51g等の各種センサ部品及び制御部品、通信部品が設けられている。
蓋開閉センサ51a、顔検知用の発光ダイオード51c及びフォトダイオード51d、温湿度センサ51e、体温センサ51f、制御ユニット51gは、制御基板5の表面側に設けられている。送受信ユニット51h、送受信アンテナ55は、制御基板5の裏面側に設けられている。
蓋開閉センサ51aは、蓋体3の開閉を検知するようになっている。蓋開閉センサ51aは、例えばホールセンサよりなる。蓋開閉センサ51aは、蓋体3の対応する位置に設けられたマグネット15からの磁気(蓋体3の近接)に応じて蓋体3の開閉を検知する。
顔検知用の発光ダイオード51c及びフォトダイオード51dは、蓋開閉センサ51aにより蓋体3が開かれたことが検出された状態において、飲み口部12aにユーザの顔が近付いたことを検知する。顔接近検知用の発光ダイオード51c及びフォトダイオード51dは、ユーザが蓋体3を開放し、容器本体1の飲み口部12aに口を付けて飲もうとし始めた時のユーザの顔の接近を検知するフォトセンサを構成している。ユーザの顔の接近により生じる発光ダイオード51cからの光(赤外光)の反射量の増加をフォトダイオード51dで検出することによりユーザの顔の所定距離以上の接近を検知する。
ユーザの顔が所定距離以上に発光ダイオード51c及びフォトダイオード51dに接近するとフォトセンサがONになる。この場合、発光ダイオード51c及びフォトダイオード51dは、制御基板5表面側における飲み口部の挿通孔50の背後に位置して左右方向に対向する状態で設置されているが、透明材よりなる飲み口部材12の取り付け部12bを通して上方に放射される発光ダイオード51cの光軸は、フォトダイオード51dの受光軸側に所定角傾斜させた状態で飲み口部12aの上端方向に向けて設定されており、飲み口部12aに口を付けようとしたユーザの顔に当たった赤外光が効果的にフォトダイオード51dに入射されるようになっており、その赤外光の入射量が所定レベル以上になった時にフォトセンサがONになる。このユーザの顔の所定距離以下への接近は、蓋体3の開動作に続く飲料の摂取開始動作に伴うものであるが、制御条件的には、それ自体を検出するものではなく、後述する体温センサ51fの有効な測定出力(体温データ)を取り込むための判定基準としての意味を有している。この場合、発光ダイオード51cには、外乱光の影響のない赤外発光ダイオードを使用している。
温湿度センサ51eは、飲料容器外部の外気の温湿度を検出する。温湿度センサ51eは、飲料容器外部の外気を栓本体2の上壁部21に設けた外気導入孔21f(図11を参照)を介して導入し、外気の温湿度(暑さや湿度)を検出する。ここで検出された外気の温湿度(暑さや湿度)は、例えば夏季におけるユーザの熱中症の予防の必要性を判断する診断データとして使用される。栓本体2の上壁部21に設けた外気導入孔21fには、空気は透過させるが水は透過させない樹脂製の多孔質膜が設けられており、制御基板5側へのシール機能が維持されている。
体温センサ51fは、顔接近検知用の発光ダイオード51c及びフォトダイオード51dによって、飲み口部12aにユーザの顔が所定距離以上近付いたことが検知された状態において、ユーザの顔表面の温度(ユーザの体温)を検知する。体温センサ51fは、例えば、複数の熱電対を組み合わせたサーモパイルよりなる。体温センサ51fは、ユーザの顔表面からの放射温度(吸収温度)に応じてユーザの体温を検出する。ここで検出された体温も、ユーザが熱中症になる危険性を判断する見守りシステム用の診断データとして利用される。この制御基板5の表面側に設けられた体温センサ51f(サーモパイル)は、栓本体2の上壁部21に形成された嵌挿孔21cを介して栓本体2の上壁部21上に突出し、ユーザの顔表面からの放射温度を直接吸収するようになっている。そして、この体温センサ51fにより検出された体温検出データは、ユーザの顔が所定距離以上飲み口部12aに接近していることを条件として後述する制御ユニット51gに取り込まれ、上述のようにユーザの体調を診断する診断データとして利用される。
飲料通過検知用の発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bは、容器本体1が所定角以上傾けられ、飲み口部12a内を飲料が通過したことを検知する。飲料通過検知用の発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bは、透明材よりなる飲み口部材12の筒状の飲み口部12aを飲料が通過したか否か、すなわちユーザにより飲料の摂取が開始されたか否かを検知するフォトセンサを構成している。飲料通過検知用の発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bは、飲み口部12aの飲み口部12a(基部)を挟んで直径方向前後に配置されている。筒状の飲み口部12a内を飲料が通過すると、その飲料によって発光ダイオード52aからフォトダイオード52bに入射する光の量が所定量以下に遮られ、フォトダイオード52bの受光量が低下することで、フォトダイオード52bの出力も所定レベル以下に低下する。それにより、飲料の通過(ユーザによる飲料の摂取)を検知する。
この場合、より具体的には、容器本体1が傾斜していない状態、または、所定傾斜角よりも小さく、容器本体1の飲み口部12aから飲料が流出していない状態では、飲み口部12aを挟んで対向する発光ダイオード52aとフォトダイオード52bよりなるフォトセンサをOFF状態に設定しておき、容器本体1が所定傾斜角以上に傾斜して、容器本体1の飲み口部12aから飲料が流出するようになるとON状態になるように設定する。
一方、容器本体1の傾斜動作(飲料の摂取)が所定の傾斜角状態で停止して、飲み口部12aから飲料が流出しなくなるとOFF状態になるように設定する。このようにすると、発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bよりなるフォトセンサのONにより飲み口部12aにおける飲料の流出(摂取)開始を検知し、同フォトセンサのOFFで飲み口部12aにおける飲料の流出(摂取)の終了を応答性良く検知できる。この場合、フォトセンサを構成する発光ダイオード52aとフォトダイオード52bの光軸は、飲み口部12aの液体流出路の中心軸(図7のO2−O2)に対して直交する状態で設けられることが好ましい。そのようにすると、フォトセンサによる飲料の流出及び流出終了の検知精度、応答性が向上し、飲料摂取量の演算精度が向上する。この場合にも、発光ダイオード52aには、外乱光の影響のない赤外発光ダイオードを使用する。
傾斜角センサ51bは、ユーザが容器本体1を傾け、飲み口部12aを介して飲料を摂取している時の容器本体1の傾斜角を検出する。傾斜角センサ51bには、例えば3軸型加速度センサを採用し、ユーザが容器本体1を傾け、飲み口部12aを介して飲料を摂取している時の容器本体1の傾斜角を応答性良く、高精度に検出する。
(制御ユニット及び制御ユニットを中心とする制御回路の構成について)
制御ユニット51gは、傾斜角センサ51bにより検出された容器本体1の傾斜角に基づいて、ユーザが摂取した飲料の量(容器本体1から流出した飲料の量)を算出する飲料摂取量演算機能、及び、送受信ユニット51hを介したインターネット通信制御機能を備えている。
制御ユニット51gは、例えば図14に示されるように、顔接近検知用フォトセンサの発光ダイオード51c及び飲料流出検知用フォトセンサの発光ダイオード52aを駆動制御するとともに、蓋開閉センサ51aからの蓋開閉検知信号、傾斜角センサ51bからの容器本体1の傾斜角検出データ、顔接近検知用フォトセンサのフォトダイオード51dからの顔接近検知信号、温湿度センサ51eからの温湿度検出データ、体温センサ51fからの体温検出データ、飲料流出検知用フォトセンサのフォトダイオード52bからの飲料流出検知信号、傾斜角センサ51bからの容器本体1の傾斜角検出データを入力して、ユーザが飲料を摂取した時の容器本体1の傾斜角に基づいて容器11内の飲料の摂取量(流出量)を演算し、必要に応じて容器本体1内の飲料の残量変化を記憶する。
また、温湿度センサ51eにより検出された外気の温湿度(暑さや湿度)は、例えば夏季における熱中症の予防の必要性を診断するデータとして処理し、インターネット等のコンピュータネットワーク、クラウドサービスを利用して保護者のスマートフォンや係りつけの病院(診療機関)の主治医のPC等に送信される。体温センサ51fにより検出されたユーザの体温データも、ユーザが熱中症になる危険性を具体的に判断する診断データとして処理し、同じくコンピュータネットワーク・クラウドを介して保護者のスマートフォンや係りつけの病院(診療機関)の主治医のPCに送信される。
制御ユニット51gは、傾斜角センサ51bにより検出された容器本体1の傾斜角検出データを入力して、ユーザが飲料を摂取した時の容器本体1の傾斜角に基づいて容器11内の飲料の流出量を検知し、容器本体1内の飲料の残量変化を管理するだけでなく、残量変化(飲料摂取量)をその時の外気温度や湿度、ユーザの体温に基づいて、飲料の摂取量が適正か否かを判定し、外気温度や湿度、ユーザの体温が高く、熱中症回避の観点から積極的に飲料を摂取することが必要であると判断される場合には、コンピュータネットワーク・クラウドを介して保護者のスマートフォンやかかりつけの病院(診療機関)の主治医のPCからユーザのスマートフォンに積極的に飲料を摂取するように指示を出し、熱中症になることを回避する。コンピュータネットワーク・クラウドを介して保護者のスマートフォンや係りつけの病院(診療機関)の主治医のPCに送信される、その時の外気温度や湿度、ユーザの体温は、もちろんユーザ自身が確認することも可能であり、またコンピュータネットワーク・クラウド以外の既設の通信施設・通信サービスを利用して送信することも可能である。
コンピュータネットワーク・クラウドを用いた通信機能は、送受信ユニット51hを利用してなされる。この送受信ユニット51hには、スマートフォンのOS機能の一部がインストールされており、バージョンアップ可能な独自のアプリケーションソフトも所望にインストール可能となっている。熱中症の予防、回避機能等は、これらのアプリケーションソフトを用いてなされる。
送受信ユニット51hは、外部との通信が可能であり、インターネット回線に接続する機能を備えている。送受信アンテナ55は、送受信ユニット51hに付設されている。送受信ユニット51hに付設されている送受信アンテナ55としては、例えば図13(制御基板5の裏面図)に示すように、最近の携帯電話に多く使用されている平面構造のアンテナが使用されている。送受信ユニット51hは、同軸給電線55bを介して送受信ユニット51hに接続されている。平面構造の送受信アンテナ55の一部には、ビス孔55aが設けられている。送受信ユニット51hは、ビス孔55aを介して下方から上方にビスネジを螺合することにより、制御基板5に固定されている(図13、図4、図6、図10の状態では、何れも同ビスネジは見えていない)。
(制御基板5の設置構造について)
以上のような制御回路を構成している制御基板5は、例えば図11に示す栓本体2の内側において、飲み口部材12の取り付け部12bの上面側に設けられた所定の高さの2本のボス部13,13(図11では他の1本が飲み口部12aに隠れて見えない)上に支持して固定される。
栓本体2の上壁部21には、2つの嵌挿孔21c,21d、制御基板5にも2つのビス孔51i,51jが設けられている。これら2組の嵌挿孔21c,21d、51i,51jは、それぞれ、飲み口部材12の取り付け部12bの上面側に設けられた所定の高さの2本のボス部13,13のビス孔と同軸に対応したものとなっている。
したがって、制御基板5を栓本体2の内側上方に収納し、飲み口部材12の取り付け部12b側の2本のボス部13,13上に同軸に支持した状態で、栓本体2の上壁部21側から所定の長さのビスを螺合することにより容易に固定できる。これにより、図4、図6、図10のように設置されている。
(蓋体3の構成について)
次に、蓋体3は、栓本体2及び飲み口部材12を覆う前高形状の合成樹脂製の筒状カバー部材により構成されている。蓋体3の天壁部31の蓋閉状態において飲み口部材12の飲み口部12a(その開口部)に当接する部分には、飲み口部12a(その開口部)をシールするゴム製のシールパッキン4が設けられている。蓋体3の前面側の側壁部32の下端部32aは、栓本体2の側壁部22前面側に設けられたU字状のロックレバー設置部形成用のU字状壁23aに対応する逆U字状のU字状壁に形成されている。蓋体3の下面側には、栓本体2側のロックレバー7の係合片71aが係合されて、蓋体3を閉状態にロックする係合片32bが設けられている。
前面側の側壁部32の逆U字状のU字状壁である下端部32aは、蓋体3を閉じた状態において、図1、図5、図9のように、栓本体2側ロックレバー設置部形成用のU字状壁23aの上端部を形成するように連続し、上述したロックレバー固定部材6のスライド溝を形成している。
さらに、側壁部32の後端側の左右には、栓本体2側のヒンジホルダー(ヒンジ軸挿通部)21aの左右方向の幅に合わせた所定の間隔を空けて、左右一対のヒンジブラケット32c,32cが設けられている(図2、図3参照)。左右一対のヒンジブラケット32c,32cは、栓本体2のヒンジ軸ホルダー21aの両側に同軸状態で配置され、栓本体2のヒンジ軸ホルダー21aに保持されているヒンジ軸24を挿通することによって相互に連結され、蓋体3は上下方向に開閉可能な状態で栓本体2に取り付けられている。そして、蓋体3は、図4及び図5の蓋閉状態では、その先端側の係合片32bを栓本体2側のロックレバー7の係合片71aに係合して固定される。これとともに、蓋体3は、シールパッキン4を飲み口部材12の飲み口部12aに当接してシールする。蓋体3のシールパッキン4は、飲み口部材12の飲み口部12aをシールする中高のパッキン片42と蓋体3の天壁部31のパッキン嵌合孔31aに嵌合固定されたパッキン本体41を備えている。
(この実施の形態における飲料容器の構造の特徴)
以上の飲料容器は、大別すると、図7及び図8に示す容器本体1と、図9及び図10に示す栓本体2との2つの部分を備えている。そして、容器本体1に対して、制御基板5を備えた栓本体2の栓本体2を着脱可能に嵌合することで、上述した飲料摂取量演算機能やユーザ見守り機能を有した飲料容器が構成される。
したがって、制御基板5を備えた栓本体2は、飲料容器の製品機能を決定する汎用的なユニット製品として、容量や形態の異なる容器本体1に所望に組み合わせて使用できる。そして、制御基板5の制御機能は、制御ユニット51gに組み込むプログラムにどのようなものを採用するかによって多様な用途に対応できる。
つまり、同構成では、容器本体1に対して、栓本体2を独立した製品機能、単独で交換価値を有するプラットフォーム部材として構成できる。そして、そのように構成した場合、容器本体1には、種々の形態のもの、例えば自社の機種の異なる飲料容器の容器本体、他社製の飲料容器の容器本体、市販のペットボトル等にも利用できるようになる。
また、制御基板5における各種センサや制御機能は、用途に応じて自由にバージョンアップすることができ、用途に応じた機能変更も容易となる。
(制御ユニットによる飲料摂取量の演算方法について)
ところで、制御ユニット51gには、その基本的な制御機能として、上述のようにユーザが摂取した飲料の摂取量を演算する飲料摂取量演算機能が設けられている。以下、その演算方法について、図16の(a)〜(e)を参照して詳細に説明する。
すなわち、以上の構成の飲料容器においてユーザが飲料を摂取する場合、例えば図16の(a)〜(c)及び(d)、(e)に示すような摂取形態(飲用形態が)採られる。図16の(a)〜(c)及び(d)、(e)では、上述した飲料容器(図4の断面構成)の容器本体1のみ(図7の構成)を示しており、しかも、その構成を簡略化し、容器本体1の容器11と飲み口部材12の飲み口部12aを一体化したシンプルなモデル構造としている。したがって、飲み口部12aの長さも図7の構成より短くし、また飲み口部12aの両側の飲料流出検知用の発光ダイオード52a及びフォトダイオード52b(フォトセンサ)も省略して示している。
この図16の飲料摂取例の場合、容器本体1の容器11内には、当初図16(a)に示すように、容器本体1内の液体収容部Sに、所定内容量の飲料Wが収容されており、非摂取状態では、容器本体1は垂直状態に起立されており(机の上等に置かれた状態を想定)、その水平方向に対する傾斜角θはθ=0度である。
次に、図16(b)のように、容器本体1が垂直状態から水平方向に傾斜角θ1(例えばθ1=60度)まで傾けられると、飲み口部12aの検知部分(飲料流出検知用の発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bよりなるフォトセンサの光軸部分)に飲料Wの上面が到達し、飲み口部12aから流出し始める。このように飲み口部12aの検知部分に飲料Wの上面が到達すると、飲料流出検知用の発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bよりなるフォトセンサがOFFからONになり、飲料Wの摂取開始(流出開始)が検知される。そして、それと同時に、飲料摂取開始検知時点における容器本体1内の飲料Wの内容量V1が演算される。この内容量V1の演算データは、制御ユニット51gのRAMメモリ中に一時的に記憶される。
この状態から、さらにユーザによる飲料の摂取が継続され、やがて図16(c)のように容器本体1の傾斜角θがθ1からθ2(θ2=75度)へと大きくなり、同傾斜角θ2(θ2=75度)となった時点で、ユーザが飲料の摂取を停止したとすると、それ以後の容器本体1の傾斜角θの増大はなくなり、飲み口部12aの検知位置における飲料Wの流出がなくなって、飲料流出検知用の発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bよりなるフォトセンサがOFFになり、飲料摂取の終了を検知する。そして、それと同時に、飲料摂取終了検知時点における容器11内の飲料の内容量V2が演算される。この内容量V2の演算データも、制御ユニット51gのRAMメモリ中に一時的に記憶される。
このようにして、飲料摂取開始時点における容器本体1内の飲料の内容量V1の演算及び飲料摂取終了時点における容器本体1内の飲料の内容量V2の演算が終了すると、次に飲料摂取開始時点における容器本体1内の飲料の内容量V1と飲料摂取終了時点における容器本体1内の飲料の内容量V2との差V1−V2からユーザによる飲料摂取量である所定量ΔV(図16(d)参照)を演算する。
このような飲料摂取量演算方法によると、従来の静電容量式流量センサや容積式流量センサのような問題を招くことなく、飲料容器の容器本体1内から流出した飲料Wの流出量、すなわちユーザによる飲料摂取量を容易、かつ正確に演算できる。
次に、ユーザによる所定量ΔVの飲料摂取量の演算が終了すると、容器本体1は、例えば図16(d)に示されるように、再び図16の(a)と同様の垂直な状態に戻される。そして、この図16(d)の状態では、図16(b)から図16の(c)への傾斜角θの増大(θ1〜θ2)により飲み口部12aから所定量ΔVの飲料Wが流出して容器本体1内の飲料Wが減少した状態となっている。
そして、この状態から、次に新たに飲料Wの摂取を開始する時は、例えば図16(e)に示すように、通常の場合には図16(c)における容器本体1の傾斜角θ2よりも大きい傾斜角θ3(θ3=80度)まで傾けて飲み始めることになる。
ところが、その時の残量如何によっては、例えば図16(d)の状態で飲料が継ぎ足されることがある。そして、その場合には、図16(c)における容器本体1の傾斜角θ2よりも小さい傾斜角θ3で飲み始めることができる。つまり、θ3は、常にθ2よりも大きいとは限らない。
しかし、この場合にも、θ3での飲み始め時の内容量V1を新たに演算し、飲み終わり時の内容量V2との差ΔVを演算することによって摂取量を算出するようにしているので、例えば前回の飲み終わり時の内容量V2を記憶させておいて、次回の飲み始めの内容量V1とし、その演算を省略する学習制御のような継ぎ足し量を考慮した残量補正を行う必要はなく、常に正確な摂取量を算出できる。
(容器本体の傾斜角に応じた容器本体内の飲料内容量の演算方法について)
ところで、以上のようにして飲料摂取量である所定量ΔVを演算するに際しては、まず飲料流出検知手段である発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bよりなるフォトセンサによる飲み口部12aにおける飲料Wの流出開始検知時における容器本体1の水平方向に対する傾斜角θ1に対応した飲料の内容量V1、及び、同飲料流出検知手段である発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bよりなるフォトセンサによる飲み口部12aにおける飲料の流出終了検知時における容器本体1の傾斜角θ2に対応した飲料の内容量V2を、それぞれ算出することが前提となる。
内容量V1の演算及び内容量V2の演算には、次に述べるように、(1)実際の測定データを用いる方法と、(2)予め計算により算出しておいた計算デ―タを用いる方法との2通りの方法がある。
(1)実際の測定データ(実験データ)を用いた飲料内容量の演算方法について
この方法では、飲料摂取開始時の容器本体1の傾斜角θに対応した飲料の内容量V1の演算、飲料摂取終了時の容器本体1の傾斜角θに対応した飲料の内容量V2の演算、それら両内容量の差V1−V2に基づく飲料摂取量である所定量ΔVの演算は、予め測定した図15に示す測定データ(実験データ)に基づいて行われる。図15の測定データ(グラフ)は、上述した容器本体1の水平方向に対する傾斜角θとそれに対応した液体の内容量(ボトル内残量ml)との関係を示している。
この容器本体1の水平方向に対する傾斜角θとそれに対応した液体の内容量V(残量)との関係を示す測定データは、例えば図16の(a)に示すように液体を満了状態まで入れた容器本体1を、図16の(a)に示す垂直状態(θ=0度)から、例えば図16の(b)〜図16の(c)のようにして、水平方向に所定の傾斜角θ1〜θ2〜θnと5度毎にθn(125度)まで傾斜させてゆき(図16では、θ2〜θnは図示を省略)、5度毎に容器本体1内の液体の内容量Vを測定し、記録することによって作成されている。そして、図15の測定データの場合、測定データそのもののプロット値には若干の変動があるので、それらを平滑した近似データ(破線で示す近似曲線を参照)がデジタルデータに変換され、図14に示す制御ユニット51gのメモリ部(ROM側)に読み出し専用の制御データとしてメモリされる。
液体流出量演算手段である制御ユニット51gは、このメモリ部(ROM)にメモリされている液体の内容量測定データを傾斜角センサ51bにより検出された容器本体1の傾斜角θnをパラメータとして読み出し、その時の液体の内容量V(残量)として算出する。
そして、ユーザによる飲料摂取量である所定量ΔVの算出に際しては、液体流出検知手段である発光ダイオード51c及びフォトダイオード51dよりなるフォトセンサによる飲み口部12aにおける液体の流出検知時(流出開始時)における容器本体1の傾斜角θ1(図16の(b)参照)に対応した液体の内容量V1から同フォトセンサによる飲み口部12aにおける液体の流出非検知時(流出終了時)における容器本体1の傾斜角θ2(図16の(c)参照)に対応した液体の内容量V2を減算し、その差ΔV(減少量)によりユーザが実際に摂取した飲料の量を算出する。
このように実際の測定データに基づいて内容量V(残量)を算出するようにすると、容器本体1の傾斜角θの変化に応じて常に誤差のない正確な内容量Vを算出することができる。また、液体の流出検知時(流出開始時)における容器本体1の傾斜角θ1に対応した液体の内容量V1と液体の流出非検知時(流出終了時)における容器本体1の傾斜角θ2に対応した液体の内容量V2との差により算出される容器本体1内からの液体の流出量である所定量ΔV、すなわちユーザの飲料摂取量の算出値も同様に正確なものとなる。
しかも、図15の測定データは、容器本体1の傾斜角θが0度の状態から125度の状態まで、5度間隔で正確に測定されている。したがって、ユーザの飲料摂取量が少量であった場合にも、飲み始めと飲み終わり時の液体の内容量を正確に算出することができ、実際の飲料摂取量も正確に算出される。
(2)計算データを用いた飲料内容量の演算方法について
次に、図17〜図21は、計算データを用いた飲料内容量の演算方法を示している。
図17〜図21では、計算及び説明を簡略化するために、図16の(a)〜(e)に示されている飲み口部12aの図示を省略し、容器本体1のみの形態で示し、位置関係が分かるように、容器本体1の上端側開口部に飲み口部12aの符号を付して示している。
このように表現した容器本体1の基本形態が図17である。容器本体1は、中心軸O−O、半径a、長さLの等径の筒状体となっており、液体収容部Sの所定高さ位置まで飲料W(飲料水)が収容されている。このような容器本体1では、容器本体1が図示のように傾斜角θ傾けられると、容器本体1は内部に収容されている飲料Wの上面に対しても同様の傾斜角θで傾斜することになる。そして、飲料Wの上面位置が傾斜した容器本体1の飲み口部12a(開口部)の下端よりも高くなると、容器本体1内の飲料Wが外部に流出することになる。この状態は、上述した飲料流出検知用の発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bよりなるフォトセンサのONにより正確に検知される。
図19に示すように、容器本体1内に飲料Wが全容量の丁度半分残っている場合を基準とし、基準よりも多い図18に示す場合、基準よりも少ない図20に示す場合の3つのパターンに分け、容器本体1の傾斜角θに応じた内容量Vの算出方法について説明する。
(a)容器本体1内に図19の容量(全容量の半分の容量)を超える容量の飲料Wが残っている場合:図18を参照
この場合の内容量V(残量)は、例えば図18に示すように、tanθ>2a/Lであり、容器本体1の水平方向となす角度がθであることから、V=πa2(L−a・cosθ/sinθ)で求められる。
(b)容器本体1内に全容量の半分の容量の飲料Wが残っている場合:図19を参照
この場合の内容量V(残量)は、例えば図19に示すように、tanθ=2a/Lであり、容器本体1の水平方向となす角度がθであることから、V=πa2L/2で求められる。
(c)容器本体1内の飲料内容量(残量)が図19に示す全容量の半分の時よりも少ない場合:図20及び図21を参照
この場合の内容量V(残量)は、図20及び図21に示すように、0<tanθ<2a/Lであり、容器本体1の水平方向となす角度がθであることから、V=cotθ/3・(a2−x1)2/3で求められる。但し、x1=(a−Ltanθ)・(2aLtanθ−L2tan2θ)である。
容器本体1の形状に応じた容器本体1の水平方向に対する傾斜角θとそれに対応した内容量Vとの関係を示すデータは、(1)のように飲料を満了状態まで入れた容器本体1を実際に水平方向に傾斜させてゆき、所定の傾斜角毎に容器本体1内の内容量Vを測定し、記録することによって正確に得ることができるが、同様のデータは、(2)のように、容器本体1の形状と寸法に応じて所定の傾斜角毎に内容量を計算することによっても得ることができる。
すなわち、容器本体1の形状(円筒形状)、寸法(半径a及び長さL)が分かっていれば、容器本体1の傾斜角θの変化に応じて変化する内容液の体積形状変化を上述の(a)〜(c)のように幾何学的に計算し、また必要に応じてコンピュータシミュレーションすることによって、より正確に内容量データとして得ることができる。そして、この計算により得られた内容量データは、(1)の測定データの場合と同様に所定のデジタルデータに変換されて、制御ユニット51gの所定のメモリ部(ROM)にメモリされる。
制御ユニット51gは、このメモリ部(ROM)にメモリされている内容量データを傾斜角センサ51bで検出された容器本体1の傾斜角θをパラメータとして読み出し、飲料の内容量として算出する。
このような計算データによっても、容器本体1の傾斜角θに応じた正確な内容量Vを算出することができ、飲料の流出開始時における容器本体1の傾斜角θ1に対応した飲料の内容量V1と飲料の流出終了時における容器本体1の傾斜角θ2に対応した飲料の内容量V2との差V1−V2により算出される容器本体1内から流出する飲料の所定量ΔVも正確なものとなる。
<飲み口部を通過する飲料の温度を検出可能とした第1実施形態の変形例に係る飲料容器の構成について>制御基板5における飲み口部12aの挿通孔50付近、すなわち飲み口部12aの外周に対応する部分に、必要に応じて飲み口部12a内を通過する飲料の温度を検出する飲料温度センサ51k(図14参照)を設けることもできる。
このようにすると、飲み口部12a内を通過する飲料の温度を検出できるようになり、例えば第1実施形態の構成の飲料容器を哺乳瓶等の用途にも使用することが可能となり、用途が広がる。
<飲料摂取量演算機能を備えた飲料容器を用いたユーザの見守りシステムについて>
次に、図22は、飲料摂取量演算機能を備えた飲料容器(制御ユニット51g)を用いて構成されたユーザ見守りシステムの概略的な構成を、また図23は、同システムにおける制御ユニット51gの制御フローを示している。
このユーザ見守りシステムは、例えば図22に示すように、飲料容器のユーザの一例として幼稚園や小学校の子供等を対象としており、それらのユーザが上記構成の飲料容器10とスマートフォン30を携帯して登校しているケースを想定している。飲料容器10の制御ユニット51gは、インターネット等のコンピュータネットワークを経由してクラウドサービスのプロバイダーからの所定のクラウドサービス、例えば制御ユニット51gの各種センサで測定された測定データや飲料摂取量演算データの保護者側のスマートフォン30、病院側(診療機関側)の主治医のPC等への送信サービス、保護者側のスマートフォン30、病院側主治医のPC等からの対応する電子メール情報等の受信サービスを受けることができるようになっている。
このユーザ見守りシステムの場合、単に飲料の摂取量(容器本体1からの流出量)をウオッチングすることが目的なのではなく、その時の外部環境や体調を考慮して飲料の摂取の有無、摂取はしているが摂取量が十分か否か等を、保護者や病院の主治医にユーザ情報として送信し、その時の外部環境や体調を考慮して、熱中症対策の見地から、ユーザが飲料を摂取していない場合には、摂取を促し、また摂取はしているが摂取量が十分でない場合には、より多く摂取するように、スマートフォンの通話機能や電子メール機能、病院側PCの電子メール機能を利用して指示を与える見守り機能を実現していることが特徴である。
そして、飲料容器10の場合、上述のように各種センサや制御ユニット51gの駆動電源として、小型で、携帯に便利な乾電池57,57を使用している。しかし、乾電池の場合、電池の容量としては必ずしも大きなものではない。そこで、各種のセンサ(デバイス)には可能な限り省電力化されたものを採用するとともに、コンピュータネットワークの通信手段として、低電力広帯域ネットワーク(LPWAN)での長距離通信(Sigfox通信)が可能なワイヤレスモジュールを採用し、確実なセンシング、長時間有効な通信が可能となるように構成している。
次に、図23の制御フローを参照して、ユーザ見守りシステムにおける制御ユニット51gによる外部温湿度の測定、ユーザ体温の測定、飲料摂取量の演算、それら測定データ、演算データの送信制御動作について説明する。
すなわち、この制御フローでは、図23に示すように、まず飲料摂取量演算動作等開始の条件として、蓋開閉センサ51aの蓋開閉検知信号を基に飲料容器の蓋体3が開かれたか否かを判定するようになっている(ステップS1)。そして、その判定結果がNOの未だ蓋体3が開かれていない蓋閉状態の時は、蓋体3が開かれるまで演算動作を開始せず、所定の制御周期で蓋体3開状態の検知動作を繰り返す。
蓋体3が開かれて判定結果がYESになると、続いて温湿度センサ51eを用いて飲料容器外部(部屋又は戸外)の温度及び湿度の測定を開始する(ステップS2)。これにより、飲料容器を携行しているユーザが、夏の温度が高く、湿度も高い環境下に居て熱中症が心配される状況にあるか否かの判断データを得ることができる。
飲料容器の蓋体3が開かれたということは、ユーザが飲料容器内(容器本体1内)の飲料を摂取しようとしている状態であると判断できる。したがって、単にユーザが飲んだ飲料の摂取量(容器本体1からの流出量)を計量するだけの目的の場合には、それを条件として飲料摂取量の演算動作を開始すれば足りる。しかし、以上に述べたように単に、飲料の摂取量(容器本体1からの流出量)を計量することが目的なのではなく、その時の外部環境や体調を考慮して飲料の摂取の有無、摂取量が十分であるか否か等を、保護者や病院の主治医にユーザ情報として送信する。その時の外部環境や体調を考慮して、熱中症対策の見地から、ユーザが飲料を摂取していない場合には、摂取を促し、また摂取はしているが摂取量が十分でない場合には、より多く摂取するように、スマートフォンの通話機能や電子メール機能、PCの電子メール機能を利用して指示を与える見守り機能を実現している。
したがって、蓋体3が開かれると、まずその時の飲料容器の使用環境として、飲料容器外部の部屋や戸外の温度及び湿度を測定し、その時の飲料容器の使用環境が十分な飲料の摂取が必要である真夏の日中であるか否かを判断するようにしている。
次に、その上で、顔接近検知用の発光ダイオード51c及びフォトダイオード51dよりなるフォトセンサを用いて、ユーザの顔が当フォトセンサに所定の距離以上接近したか否かを判定する(ステップS3)。その結果、YESの場合には、ユーザが飲み口部12aに口を付けて飲料容器(容器本体1)内の飲料を摂取しようとしている状態にあり、次に述べるサーモパイルよりなる体温センサ51fによってユーザの体温(放射温度)を有効に測定できる距離に顔があることが判定される。他方、NOの未だフォトセンサとユーザの顔との距離が所定距離以上離れていて、サーモパイルよりなる体温センサ51fで有効にユーザの体温を測定することができないと判断される場合には、飲み口部12aに口をより近付けた至近距離になるまで、同様の顔接近検知動作を繰り返す。
そして、ステップS3の判定でYESの場合には、次にステップS4に進んで、サーモパイルよりなる体温センサ51fでユーザの顔からの赤外線放射量を基にユーザの体温を測定する。ここで測定された体温データは、制御ユニット51gに内蔵されている所定のRAMメモリに記憶される。この記憶された体温データは、後述するステップS12で保護者のスマートフォン、病院の主治医のPC等に上述したコンピュータネットワーク・クラウドサービス利用して送信され、熱中症の診断、回避処置に利用される(後述)。
次に、飲料流出検知用の発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bよりなるフォトセンサを用いて飲み口部12a内を飲料が通過したか否かを判定する(ステップS5)。その結果、飲み口部12a部分に実際に飲料が流出し、YESと判定されると、次に傾斜角センサ51bを用いて同飲料流出時における容器本体1の傾斜角を検出する(ステップS6)。飲料摂取開始時の容器本体1の傾斜角も制御ユニット51gのRAMメモリに記憶される。一方、同判定でNOの未だ飲み口部12aに飲料が流出していない場合には、そのまま飲料流出の検知を繰り返す。
ステップS6での容器本体1の傾斜角の検出が終わると、続いて同飲み口部12a内を飲料が流出しなくなったか否か、すなわち飲料摂取の終了を判定する(ステップS7)。この飲料摂取の終了も飲料流出検知用の発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bよりなるフォトセンサを用いてなされる。
すなわち、飲料摂取が終了して、飲料流出検知用の発光ダイオード52aとフォトダイオード52b間の飲み口部12aの飲料がなくなると、飲料流出検知用の発光ダイオード52aとフォトダイオード52bからなるフォトセンサがONからOFFになる。飲料摂取の終了判定の結果がNOの未だ飲料の摂取が継続している場合には、飲料の摂取が停止されるまで判定動作を繰り返す。
他方、飲料の摂取が停止してYESと判定されると、次にステップS8に進んで、同YES判定時(飲料流出停止時)における容器本体1の傾斜角を検出する。飲料摂取終了時の容器本体1の傾斜角も制御ユニット51gのメモリに記憶される。
次に、飲料摂取終了時の容器本体1の傾斜角の検出及びメモリが終了すると、続いてステップS9に進み、制御ユニット51gのメモリに記憶されている飲料摂取開始時の容器本体1の傾斜角に対応した飲料の内容量と飲料摂取終了時の容器本体1の傾斜角に対応した飲料の内容量との差に基づいて飲料の摂取量(実際に飲まれた飲料の量)を演算する(ステップS9)。
飲料摂取開始時の容器本体1の傾斜角に対応した飲料の内容量の算出方法、飲料摂取終了時の容器本体1の傾斜角に対応した飲料の内容量の算出方法、両内容量の差に基づく飲料摂取量の演算方法は、既に述べたとおりであり、この最終的な飲料摂取量の演算データも制御ユニット51gのRAMメモリに記憶される。
その後、さらに蓋体3が閉められたか否かを判定し(ステップS10)、YESの場合には、上述した制御周期毎の飲料容器外部の温度及び湿度の測定を終了する。(ステップS11)。他方、NOの場合には、蓋体3が閉められるまで蓋体3の開から閉への移行を検知し続ける。
そして、実際に蓋体3が閉じられ、温湿度センサ51eによる温度及び湿度の測定が終了すると、最後にステップS12に進んで、温湿度測定データ、体温センサ51fによる体温測定データ、飲料摂取量演算データを制御ユニット51gの送受信ユニット51hを用いて、保護者、病院の主治医にコンピュータネットワーク・クラウドサービスを利用して送信する(ステップS12)。送信された測定データ及び演算データは、その時の外部環境温度、湿度、それに対応したユーザの体温からユーザが熱中症になっているか、なる可能性等を診断し、コンピュータネットワーク・クラウドサービスを利用して保護者のスマートフォン、病院の主治医のPC等からユーザのスマートフォンに、所定量の飲料を定期的に飲むようにとか、もっと飲料を多く飲むように等の必要な指示がなされる。これにより、幼稚園、小学校の子供等の夏季における熱中症を回避できるようになる。
<第2実施形態に係る液体容器の構成について>
次に図24〜図29は、第2実施形態に係る液体容器の構成を示している。本実施形態に係る液体容器も、第1実施形態に係る液体容器の場合と同様に飲料容器として構成されており、飲料容器の本体構造及び制御ユニット51gを含めた全体的な構成としては略同様であり、飲料容器外部の温湿度測定機能、ユーザ体温の測定機能、飲料摂取量演算機能、通信機能等の全てを備えている。制御ユニット51gの送受信ユニット51hを用いて、保護者、病院の主治医にコンピュータネットワーク・クラウドサービスを利用して送受信できるようになっていることも同様である。
ただし、第1実施形態に係る栓本体2の構成では、栓本体2の後端部側に容器本体1の外方に大きく突出する電池収納ケース53がアングル状に設けられている。このような構成の場合、例えば2〜4本の複数本の乾電池57,57・・を収納することができ、電池容量を大きくできる点ではメリットがあるものの、栓本体2の大きさが半径方向外方に局部的に大きくなり、携行時や操作時に電池収納ケース53が邪魔になるデメリットがある。
そこで、この第2実施形態の飲料容器の構成では、電池として、例えば図28に示すように、円形で全体の厚さが薄いボタン型(コイン型)の電池60を採用し、そのボタン状(コイン状)の電池本体60aを上述した飲み口部材12の取り付け部12bの広い上面部分に、電池収納ケース60bを介して設置する。これにより、栓本体2の外周面全体を容器本体1と等径の筒状体として、第1実施形態の飲料容器におけるデメリットを有効に解消したことを特徴としている。
この場合、図26〜図28に示す電池収納ケース60bの裏面側3か所に凸部である差込プラグ15a〜15c(図26参照:15bは見えないため図示省略)を設ける。一方、図29に示すように、対応する飲み口部材12の取り付け部12bの上面部分3箇所に当差込プラグ15a〜15cが差し込まれる凹部であるソケット部14a〜14cを設ける。これにより、円形で全体の厚さが薄いボタン型(コイン型)の電池60を容易に着脱できるようにしている。電池収納ケース60bの一端には、電極端子60cが設けられ、電極端子60cに給電用のリード線が接続されるようになっている。
本実施形態の飲料容器の場合、ボタン型(コイン型)の電池60を飲み口部材12の取り付け部12bの上面部分に設置することから、例えば図24〜図27に示すように、栓本体2の側壁部22の下部分を所定寸法C(図24参照)だけ上下に長くして、上下方向の設置スペースを拡大している。また、その結果、第1実施形態のように飲み口部材12の取り付け部12bの上面位置部分に送受信アンテナ55を設置できなくなるために、別途アンテナ支持用のボス13cを設けて(図28及び図29参照)、電池60の上方に送受信アンテナ55を支持するようにしている(図26参照)。
このような構成の場合、第1実施形態の構成の飲料容器の場合に比べて、図24に示す所定寸法Cだけ飲料容器の上下方向の長さが長くなるが、この所定寸法Cは、ボタン型の電池60の厚さに対応した僅かの寸法にすぎないために、特に飲料容器を大きくすると言うものではない。それ以上に、栓本体2の外周面全体を容器本体1と等径の筒状体にでき、携行、操作に何の支障もなくなる点で非常にメリットが大きい。
一方、ボタン型の電池60は小型、偏平で、設置が容易である反面、乾電池に比べると、相対的に電池容量が小さい。その点では若干のハンディがある。そこで、本実施形態でも、上述した各種センサ等(デバイス)に可能な限り省電力化されたものを採用するとともに、通信手段として、低電力広帯域ネットワーク(LPWAN)での長距離通信(Sigfox通信)が可能なワイヤレスモジュールを採用するようにし、電池容量が小さいボタン型の電池60でも確実なセンシング、長時間有効な通信が可能となるように構成している。