JP2020117024A - マルチコプタ - Google Patents

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Abstract

【課題】長時間の飛行が可能になるマルチコプタを提供する。【解決手段】本開示の一態様は、複数のプロペラ11aと、プロペラ11aを駆動するモータ11bと、モータ11bへ電力を供給するバッテリ12と、電力を発電するために駆動するエンジン13aと、を有するマルチコプタ1において、エンジン13aは、ホバリング時出力値PLよりも高く、かつ、上昇時出力値PHよりも低い所定出力値PMで駆動するように構成されている。【選択図】図1

Description

本開示は、マルチコプタに関し、特にシリーズハイブリッドシステムが構成されているマルチコプタに関する。
特許文献1には、複数のロータと、ロータを駆動するモータと、モータへ電力を供給するバッテリと、バッテリに供給する電力を発電するためのエンジンと、を有するマルチコプタが開示されている。
特開2016−88110号公報
特許文献1には、マルチコプタの長時間の飛行を可能とするためにエンジン出力をどのように設定すべきかについては何ら開示されていない。
マルチコプタは、低負荷飛行や高負荷飛行を行ったり、あるいは、上空の気流などの外乱が加わることにより、状況に応じて要求負荷が変化する。そのため、マルチコプタにおいて、エンジン出力の設定によっては、エンジンに使用される燃料が残っている状態でバッテリの充電率が枯渇し、早期に飛行できなくなるおそれがある。
そこで、本開示は上記した問題点を解決するためになされたものであり、長時間の飛行が可能になるマルチコプタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、複数のロータと、前記ロータを駆動するモータと、前記モータへ電力を供給するバッテリと、前記電力を発電するために駆動する駆動部と、を有するマルチコプタにおいて、前記駆動部は、ホバリング飛行に必要な最低出力値よりも高く、かつ、上昇飛行に必要な最低出力値よりも低い所定出力値で駆動するように構成されていること、を特徴とする。
この態様によれば、駆動部の出力は、ホバリング飛行を行うために最低限必要な出力値よりも高い値に設定されている。そのため、ホバリング飛行の他に上昇飛行などの高負荷飛行を行う場合やマルチコプタに外乱が加わる場合であっても、バッテリのSOC(State Of Charge、充電率)が目減りし難くなる。したがって、駆動部に使用する燃料が残っている状態にも関わらずバッテリのSOCが枯渇することを抑制できる。また、ホバリング飛行などの低負荷飛行を行う場合に、駆動部の駆動により発電された電力の余剰電力をバッテリに充電してSOCを補うことにより、バッテリからの放電を維持できるようになるので、充放電可能なバッテリの長所を活かすことができる。
また、駆動部の出力は、上昇飛行を行うために最低限必要な出力値よりも低い値に設定されている。そのため、上昇飛行などの高負荷飛行を行う場合に、駆動部の駆動により発電された電力の不足分をバッテリから放電される電力で補うことにより、充放電可能なバッテリの長所を活かすことができる。また、駆動部の出力を上昇飛行を行うために最低限必要な出力値よりも低い値に設定することで、駆動部の重量を抑制できる。例えば、駆動部としてエンジンを使用する場合には、排気量の小さいエンジンを使用できるので、エンジンの重量を抑制できる。そのため、マルチコプタに搭載できる燃料(駆動部にて使用するための燃料)の量をエンジンの重量の抑制分だけ増やすことができる。あるいは、駆動部の出力を上昇飛行を行うために最低限必要な出力値よりも低い値に設定することで、燃料の消費量を抑えることができる。例えば、駆動部としてエンジンを使用する場合には、エンジンへ供給される吸気量を小さくしつつ、燃料の消費量を抑えることができる。
このようにして、バッテリの長所を活かしつつ、燃料が枯渇するまでエンジンの駆動によりバッテリのSOCを補うことができるので、長時間の飛行が可能になる。
上記の態様においては、前記所定出力値は、飛行時の最大の要求負荷が低いほど低い値に設定されること、が好ましい。
この態様によれば、駆動部の出力を抑えることができるので、駆動部における燃料の消費量をさらに抑えることができる。そのため、より確実に、燃料が枯渇するまで駆動部の駆動によりバッテリのSOCを補って飛行することができる。したがって、より確実に、長時間の飛行が可能になる。
上記の態様においては、前記駆動部の駆動を制御する制御部を有し、前記制御部は、前記駆動部の駆動を前記要求負荷に対応した複数の運転モードに切り替えて制御すること、が好ましい。
この態様によれば、飛行目的(シチュエーション)によって異なる飛行時の要求負荷に応じて、駆動部の駆動の運転モードが切り替えられるように制御される。そのため、飛行目的に合せて駆動部の駆動を切り替えることにより、飛行目的に合せながら長時間の飛行が可能になる。
上記の態様においては、飛行中に前記要求負荷の大きさを演算する演算部を有し、前記制御部は、前記演算部により演算された前記要求負荷の大きさに応じて前記運転モードを切り替えること、が好ましい。
この態様によれば、飛行中の外乱の影響による状況(例えば、上空の気流によって飛行時の要求負荷が変化する状況)に適した駆動部の駆動の運転モードを選択できるので、より確実に長時間の飛行が可能になる。
本開示のマルチコプタによれば、長時間の飛行が可能になる。
本実施形態のマルチコプタの外観斜視図である。 本実施形態のマルチコプタの構成を示すブロック図である。 任意の高さまで上昇した後にホバリング飛行のみ行う場合において、要求出力とエンジン出力とSOCの時間変化の一例を示す図である。 任意の高さまで上昇した後にホバリング飛行の他に上昇飛行などの高負荷飛行を行う場合において、要求出力とエンジン出力とSOCの時間変化の一例を示す図である。 所定出力値の設定に関する図である。 撮影モードと運搬モードでエンジンの駆動を切り替える制御の内容を示すフローチャート図である。 低運転モード駆動において行われる制御の内容を示すフローチャート図である。 高運転モード駆動において行われる制御の内容を示すフローチャート図である。 変形例においてエンジンの駆動を切り替える制御の内容を示すフローチャート図である。
以下、本開示のマルチコプタの実施形態について説明する。
<マルチコプタの概要>
(マルチコプタの構成)
図1に示すように、本実施形態のマルチコプタ1は、機体11と、バッテリ12と、エンジン発電ユニット13と、燃料タンク14と、制御部15などを有する。
機体11は、プロペラ11aと、モータ11bと、天板11cと、足11dを備えている。なお、プロペラ11aは、本開示の「ロータ」の一例である。
プロペラ11aは、複数(図1示す例では、8つ)設けられている。そして、この複数のプロペラ11aを同時に回転させることにより、マルチコプタ1は飛行する。
モータ11bは、各々のプロペラ11aに設けられ、プロペラ11aを駆動する。モータ11bは、図2に示すように、後述するESC19(インバータ(不図示))とパワーコントロールユニット18とを介して、バッテリ12や後述するジェネレータ13bに電気的に接続されている。これにより、ジェネレータ13bにて発電された電力やバッテリ12から放電される電力が、パワーコントロールユニット18とESC19とを介して、モータ11bに供給される。
また、図1に示すように、天板11cの下に、マルチコプタ1が着陸するときに接地する部分である足11dが設けられている。
バッテリ12は、図1に示すように天板11cの上に設けられている。このバッテリ12は、電力を充放電する充放電部(二次電池、蓄電池)である。図2に示すように、バッテリ12は、パワーコントロールユニット18を介して、後述するジェネレータ13bと電気的に接続されており、ジェネレータ13bで発電された電力を充電する。また、バッテリ12は、パワーコントロールユニット18とESC19とを介して、モータ11bと電気的に接続されており、モータ11bに供給する電力を放電する。また、バッテリ12において、バッテリ12の電流・電圧やバッテリ12の温度やSOC(State Of Charge、充電率)を検出するセンサが設けられており、該センサはそれらの情報に関する信号を制御部15へ送る。
エンジン発電ユニット13は、図1に示すように、天板11cの下に設けられている。図2に示すように、このエンジン発電ユニット13は、エンジン13aとジェネレータ(発電機)13bを備えている。エンジン13aは、ジェネレータ13bの動力源であって、例えば、小型のディーゼルエンジンやレシプロエンジンなどである。すなわち、エンジン13aは、モータ11bまたはバッテリ12へ供給する電力をジェネレータ13bで発電するために駆動する。また、エンジン13aは、制御部15から、発電電力指示の信号を受け取る。なお、エンジン13aは、本開示の「駆動部」の一例である。
燃料タンク14は、図1に示すように、天板11cの上に設けられたタンク固定台16の上に設けられている。この燃料タンク14は、エンジン13aを駆動させるために使用する燃料を貯留している。図2に示すように、燃料タンク14に設けられた不図示のレベルセンサが、制御部15へ燃料の残量の情報に関する信号を送る。
制御部15は、図1に示すように、天板11cの上に設けられている。この制御部15は、小型のコンピュータとして構成されており、マルチコプタ1の全体を制御する。例えば、制御部15は、エンジン13aの駆動を制御して、ジェネレータ13bでの発電を制御する。また、図2に示すように、制御部15は、後述する演算部15aを備えている。
また、マルチコプタ1は、図2に示すように、FC(フライトコントローラ)17と、パワーコントロールユニット18と、ESC(Electric Speed Controller)19と、コントローラ20と、各種センサ21を有する。
FC17は、マルチコプタ1の飛行の制御を行う装置である。このFC17は、制御部15とESC19へ推力指示の信号を送る一方で、制御部15からSOCの情報に関する信号を受け取る。また、FC17は、コントローラ20から使用者の操作指示の信号を受け取り、各種センサ21から検出結果の情報に関する信号を受け取る。
パワーコントロールユニット18は、モータ11bへ供給される電力を制御する装置である。このパワーコントロールユニット18は、ジェネレータ13bで発電された電力を受給したり、バッテリ12との間で電力の供給および受給を行ったり、ESC19へ電力を供給したりする。また、パワーコントロールユニット18は、制御部15から充放電切替指示の信号を受け取る。
ESC19は、モータ11bの回転数を制御する装置である。このESC19は、パワーコントロールユニット18から供給される電力を、駆動電力として、モータ11bに供給する。また、ESC19は、FC17から推力指示の信号を受け取る。
また、コントローラ20は、マルチコプタ1の使用者が持つ操作部であり、例えば、ジョイスティックである。また、各種センサ21は、高度や姿勢や緯度や経度や加速度や障害物などを検出するセンサである。
また、本実施形態のマルチコプタ1においては、モータ11bとバッテリ12とエンジン13aによりシリーズハイブリッドシステムが構成されている。すなわち、マルチコプタ1においては、エンジン13aが発電のみに使用され、モータ11bがプロペラ11aの駆動に使用され、さらに電力を回収するためのバッテリ12を有するシステムが構成されている。このようにして、マルチコプタ1は、エンジン13aの駆動によりジェネレータ13bにて発電し、発電した電力でモータ11bを駆動してプロペラ11aを駆動することにより、飛行する。また、マルチコプタ1は、エンジン13aの駆動によりジェネレータ13bにて発電した際の余剰電力を、バッテリ12に一旦蓄え、必要に応じてモータ11bの駆動に用いる。
(マルチコプタの作用)
このような構成のマルチコプタ1は、モータ11bに電力を供給し、複数のプロペラ11aを回転させることにより飛行する。そして、プロペラ11aの回転数を制御し、プロペラ11aの回転によって得られる揚力をマルチコプタ1自体の重力とバランスさせることで、マルチコプタ1のホバリング飛行や前進・後進・左右移動飛行を実現させることができる。また、プロペラ11aにより発生させる揚力を大きくしてマルチコプタ1の上昇飛行を実現させることができ、プロペラ11aにより発生させる揚力を小さくしてマルチコプタ1の下降飛行を実現させることができる。また、各々のプロペラ11aの回転数を制御して、複数のプロペラ11aの回転によって発生する揚力に不均衡を生じさせることにより、マルチコプタ1の前進・後進・左右移動飛行を実現することができる。そして、相対するプロペラ11aの回転数に差を設けることにより、旋回(回転)飛行を実現することができる。
<エンジン出力の設定について>
本実施形態では、マルチコプタ1において、低負荷飛行や高負荷飛行を行う際に、長時間の飛行を可能とするために、エンジン13aの駆動時の出力であるエンジン出力を最適な値に設定する。ここで、「低負荷飛行」とは、要求負荷(要求出力)が低い飛行であり、例えば、ホバリング飛行や回転飛行や下降飛行などである。また、「高負荷飛行」とは、要求負荷(要求出力)が高い飛行であり、例えば、上昇飛行(急上昇飛行)や高速での前進・後進・左右移動飛行や急停止飛行などである。
図3は、マルチコプタ1が離陸して任意の高さまで上昇した後にホバリング飛行のみ行う場合において、要求出力RPと、エンジン出力EPと、SOCの時間変化の一例を示している。なお、「要求出力RP」とは、要求される消費電力(要求負荷)に対応する出力である。また、「エンジン出力EP」とは、エンジン13aの駆動によりジェネレータ13bにて発電する発電電力に対応する出力である。
ここで、図3に示すように、エンジン出力EPを、ホバリング飛行に必要な最低出力値(ホバリング飛行を行うために最低限必要とされる出力値)であるホバリング時出力値PLに設定する場合を想定する。「ホバリング時出力値PL」とは、言い換えれば、ホバリング飛行時にモータ11bに対して供給することが必要な最低限の電力をジェネレータ13bにて発電するために必要となるエンジン出力EP(エンジン13aの駆動力)の値である。なお、図3の例においては、エンジン出力EPは、ローモード出力値LOと、このローモード出力値LOよりも高いハイモード出力値HIに切り替え可能となっており、ここでは、ハイモード出力値HIをホバリング時出力値PLに設定する場合を想定する。
図3に示すように、マルチコプタ1は、時間T1にて駆動を開始した後、時間T2から時間T3において上昇飛行を行って離陸して、任意の高さまで上昇する。このとき、要求出力RPが上昇するが、エンジン出力EPはローモード出力値LOになっており、バッテリ12から放電される電力がモータ11bに供給されるため、SOCが低下する。
そして、マルチコプタ1は、このようにして任意の高さまで上昇した後、時間T3から時間T7において、ホバリング飛行のみを行う。なお、このとき、燃料タンク14内の燃料がエンジン13aに消費されて徐々に減少して、マルチコプタ1の重量が徐々に減少するのに伴い、要求出力RPは徐々に減少していく。
そして、時間T4から時間T5の間、および、時間T6から時間T7の間において、エンジン出力EPがホバリング時出力値PL(ハイモード出力値HI)に設定される。これにより、バッテリ12において、エンジン13aの駆動によりジェネレータ13bにて発電した際の余剰電力、すなわち、エンジン出力EP(ホバリング時出力値PL)と要求出力RPの差分(図中にて斜線のハッチングが施された部分)に相当する電力の充電がなされる。そして、これにより、SOCは、時間T4から時間T5の間、および、時間T6から時間T7の間において、上昇して回復する。
その後、時間T7から時間T8において、マルチコプタ1は、下降飛行を行って着陸し、時間T9にて駆動を終了する。
このようにマルチコプタ1が離陸して任意の高さに上昇した後にホバリング飛行のみ行う場合においては、エンジン出力EP(ハイモード出力値HI)をホバリング時出力値PLに設定することにより、時間T3から時間T7の間、ホバリング飛行により連続飛行させることができる。
ところで、図4に示すように、時間T11〜時間T13においてマルチコプタ1が離陸して任意の高さに上昇した後に、時間T14から時間T15において、使用者がコントローラ20にて高負荷飛行(例えば、上昇飛行)のコマンドを選択してマルチコプタ1が高負荷飛行を行う場合を考える。すると、時間T14から時間T15の間において、要求出力RPがエンジン出力EP(ホバリング時出力値PL)よりも高くなってエンジン13aの駆動によりジェネレータ13bにて発電した際の余剰電力が発生しないことから、バッテリ12にて充電が行われない。そのため、バッテリ12から電力が放電されてモータ11bに供給されるため、状況によっては、図4にて破線で示すようにバッテリ12のSOCが減少するおそれがある。すなわち、燃料タンク14内に燃料が残っている状態にも関わらず、バッテリ12のSOCが枯渇して、マルチコプタ1が飛行を継続できなくなるおそれがある。
このようなことから、エンジン出力EPは、バッテリ12のSOCの枯渇を懸念して、ホバリング時出力値PLより高く設定する必要がある。
そこで、図4に示すように、エンジン出力EPを上昇飛行(高負荷飛行の一例)に必要な最低出力値(上昇飛行を行うために最低限必要とされる出力値)である上昇時出力値PHに設定する場合を想定する。「上昇時出力値PH」とは、言い換えれば、上昇飛行時にモータ11bに対して供給することが必要な最低限の電力をジェネレータ13bにて発電するために必要となるエンジン出力EP(エンジン13aの駆動力)の値である。
しかしながら、エンジン出力EPを上昇時出力値PHまで高くするためには、エンジン13aの排気量の増加が必要のため、エンジン13aやジェネレータ13bの重量が増加する。そのため、マルチコプタ1の搭載重量制限を満たすために、エンジン13aに使用する燃料の搭載量(燃料タンク14内の燃料の貯留量)を少なくする必要がある。また、エンジン出力EPを上昇時出力値PHまで高くすることにより、エンジン13aの燃料消費量が増大する。そのため、燃料タンク14内の燃料が枯渇して、エンジン13aの駆動によりバッテリ12のSOCを補うことができないおそれがある。したがって、長時間の飛行ができないおそれがある。
また、エンジン出力EPを上昇時出力値PHまで高くすることにより、エンジン13aの駆動によってジェネレータ13bで発電する電力が増加する。そのため、バッテリ12から放電される電力をモータ11bに供給する必要性が低くなって、放充電可能なバッテリの長所を活かすことができないおそれがある。
このように、エンジン出力EPを上昇時出力値PHまで高くすると、運用性や飛行時間に影響が出るので、エンジン出力EPは可能な限り低く設定したい。その一方で、エンジン出力EPをホバリング時出力値PLまで低く設定すると、使用者の高負荷飛行の要求に対応できず、シリーズハイブリッドシステムを採用したことの利点が小さくなるためにマルチコプタ1の商品性が劣ってしまう。
そこで、本実施形態では、エンジン13aは、ホバリング時出力値PLよりも高く、かつ、上昇時出力値PHよりも低い所定出力値PMで駆動されるように構成されている。すなわち、図4に示すように、本実施形態のエンジン出力EP(ハイモード出力値HI)は、ホバリング時出力値PLよりも高く、かつ、上昇時出力値PHよりも低い所定出力値PMに設定されている。
このようにして、エンジン出力EPをホバリング時出力値PLより若干高い値に設定することで、上昇飛行などの高負荷飛行に対して余裕を持たせることができる。そのため、図4に示すように、時間T14から時間T15において、エンジン13aの駆動によりジェネレータ13bにて発電する電力量を増加させて、バッテリ12から放電される電力量を減少させることができるので、バッテリ12のSOCの低下量が少なくなる。したがって、バッテリ12のSOCの枯渇を防いで、マルチコプタ1の飛行(高負荷飛行)を継続させることができる。
ゆえに、本実施形態では、通常行われるホバリング飛行の連続飛行時間について目標時間(例えば、1.5時間以上)を達成させながら、ホバリング飛行中に高負荷飛行が要求された場合でも、高負荷飛行の連続飛行時間について目標時間(例えば、20分以上)を達成させることができる。
また、所定出力値PMを、低負荷飛行と高負荷飛行の頻度に応じて設定してもよい。
すなわち、所定出力値PMは、低負荷飛行の頻度が高いため飛行時の要求負荷(最大の要求負荷)が低いほど低い値(例えば、図5に示すように、中間出力値PM_Mよりも低い値である低出力値PM_L)に設定される。これにより、エンジン出力EPを抑えることができるので、エンジン13aの燃料消費量をさらに抑えることができる。そのため、より確実に、燃料タンク14内の燃料が枯渇するまでエンジン13aの駆動でバッテリ12のSOCを補って飛行することができる。したがって、より確実に、長時間の飛行が可能になる。
一方、所定出力値PMは、高負荷飛行の頻度が高いため要求負荷が高いほど高い値(例えば、図5に示すように、中間出力値PM_Mよりも高い値である高出力値PM_H)に設定される。これにより、要求負荷が高くバッテリ12の充電消費量が大きくなっても、燃料タンク14内の燃料が枯渇する前にバッテリ12のSOCが枯渇する事態を抑制できる。
(エンジンの駆動の切り替え制御について)
本実施形態では、制御部15は、エンジン13aの駆動を、飛行時の要求負荷に対応した複数の運転モードに切り替えて制御する。そこで、例えば、制御部15は、エンジン13aの駆動を、撮影モード(マルチコプタ1に搭載された不図示の撮影部で撮影を行うモード)に対応した低運転モードと、運搬モード(マルチコプタ1に物品を載せて運搬を行うモード)に対応した高運転モードに切り替えて制御する。そして、さらに、制御部15は、飛行中に演算部15aにより演算された要求負荷の大きさに基づいて運転モードを切り替える。そこで、例えば、制御部15は、飛行中に演算部15aにより演算されたバッテリ12のSOCの変化量(要求負荷の大きさに対応する量)に基づいて、エンジン13aの駆動を低運転モードと高運転モードに切り替えて制御する。
具体的には、図6に示すように、制御部15は、使用者がコントローラ20にて撮影モードを選択した場合には(ステップS1:YES)、ホバリング飛行などの低負荷飛行の頻度が高くなるため、低運転モード駆動を行う(ステップS2)。
そして、この低運転モード駆動においては、図7に示すように、制御部15は、バッテリ12のSOCの変化量が所定量α以下である場合(例えば、SOCの1秒間の低下量が0.5%以下である場合)(ステップS11:NO)には、要求負荷が低いと考えられるので、エンジン13aの駆動について、低運転モードを維持する(ステップS14)。また、制御部15は、バッテリ12のSOCの変化量が所定量αより多い(ステップS11:YES)が、SOCの変化量が所定量αを超えた回数が所定回数β(例えば、3回)未満である場合(ステップS12:NO)にも、要求負荷が低いと考えられるので、エンジン13aの駆動について、低運転モードを維持する(ステップS14)。
ここで、「低運転モード」とは、例えば、所定出力値PMを低出力値PM_L(図5参照)に設定する運転モードである。また、「SOCの変化量が所定量αを超えた回数」とは、図7のルーチン処理が1回行われる度に不図示のカウンタによりカウント数が「1」加算されるとした場合に、SOCの変化量が所定量αを超えたカウント数である。
これに対し、制御部15は、バッテリ12のSOCの変化量が所定量αより多く(ステップS11:YES)、かつ、バッテリ12のSOCの変化量が所定量αを超えた回数が所定回数β以上である場合(ステップS12:YES)には、要求負荷が高いと考えられるので、エンジン13aの駆動について、低運転モードから高運転モードに切り替える(ステップS13)。ここで、「高運転モード」とは、例えば、所定出力値PMが高出力値PM_Hに設定される運転モードである。
このように、低運転モード駆動は、基本的に要求負荷が低い場合に低運転モードを維持しながら、要求負荷が高くなった場合に低運転モードから高運転モードに切り替える駆動である。
再び、図6の説明に戻って、制御部15は、使用者がコントローラ20にて撮影モードを選択しないで(ステップS1:NO)、運搬モードを選択した場合(ステップS3:YES)には、高負荷飛行(上昇飛行や高速での前進・後進・左右移動飛行や急停止など)を行う頻度が高くなるため、高運転モード駆動を行う(ステップS4)。
そして、この高運転モード駆動においては、図8に示すように、制御部15は、バッテリ12のSOCの変化量が所定量αよりも多い場合(ステップS21:YES)には、要求負荷が高いと考えられるので、エンジン13aの駆動について、高運転モードを維持する(ステップS24)。また、制御部15は、バッテリ12のSOCの変化量が所定量α以下である(ステップS21:NO)が、SOCの変化量が所定量αを下回っている時間(所定量α以下である時間)が所定時間t(例えば、5秒)未満である場合(ステップS22:NO)にも、要求負荷が高いと考えられるので、エンジン13aの駆動について、高運転モードを維持する(ステップS24)。
これに対し、制御部15は、バッテリ12のSOCの変化量が所定量α以下であり(ステップS21:NO)、かつ、SOCの変化量が所定量αを下回っている時間が所定時間t以上である場合(ステップS22:YES)には、要求負荷が低いと考えられるので、エンジン13aの駆動について、高運転モードから低運転モードに切り替える(ステップS23)。
このように、高運転モード駆動は、基本的に要求負荷が高い場合に高運転モードを維持しながら、要求負荷が低くなった場合に高運転モードから低運転モードに切り替える駆動である。
また、コントローラ20にて撮影モードや運搬モードを選択する機能がない場合には、制御部15は、図9に示すように制御する。図9に示すように、制御部15は、バッテリ12のSOCの変化量が所定量αよりも多い場合(ステップS31:YES)には要求負荷が高いと考えられるので、エンジン13aの駆動について、高運転モードにする(ステップS32)。一方、制御部15は、バッテリ12のSOCの変化量が所定量α以下である場合(ステップS31:NO)には、要求負荷が低いと考えられるので、エンジン13aの駆動について、低運転モードにする(ステップS33)。
<本実施形態の作用効果について>
以上のように本実施形態のマルチコプタ1において、エンジン13aは、ホバリング時出力値PLよりも高く、かつ、上昇時出力値PHよりも低い所定出力値PMで駆動するように構成されている。
このようにして、エンジン出力EPは、ホバリング時出力値PLから余裕を持たせて設定されており、ホバリング飛行を行うために最低限必要な出力値よりも高い値に設定されている。そのため、ホバリング飛行の他に上昇飛行などの高負荷飛行を行う場合やマルチコプタ1に外乱が加わる場合であっても、バッテリのSOCが目減りし難くなる。したがって、燃料タンク14内に燃料が残っている状態にも関わらずバッテリ12のSOCが枯渇することを抑制できる。また、ホバリング飛行などの低負荷飛行を行う場合に、エンジン13aの駆動によりジェネレータ13bにて発電された電力の余剰電力をバッテリ12に充電してSOCを補うことにより、バッテリ12からの放電を維持できるようになるので、充放電可能なバッテリ12の長所を活かすことができる。
また、エンジン出力EPは、上昇飛行を行うために最低限必要な出力値よりも低い値に設定されている。そのため、上昇飛行などの高負荷飛行を行う場合に、エンジン13aの駆動によりジェネレータ13bにて発電された電力の不足分をバッテリ12から放電される電力で補うことにより、充放電可能なバッテリ12の長所を活かすことができる。また、エンジン出力EPを高くすることによるエンジン13aの重量増加を抑制できるので、マルチコプタ1に搭載できる燃料(燃料タンク14内の燃料)の量が減ることを抑制できる。また、エンジン出力EPを高くすることによってエンジン13aの燃料消費量が増えることを抑えるので、燃料の減り方が早くなることを抑制できる。そのため、燃料タンク14内の燃料が枯渇するまでエンジン13aの駆動によりバッテリのSOCを補うことができる。
このようにして、バッテリ12の長所を活かしつつ、燃料タンク14内の燃料が枯渇するまでエンジン13aの駆動によりバッテリ12のSOCを補えるため、より長時間の飛行が可能となる。
したがって、ホバリング飛行などの低負荷飛行(例えば、敷地内監視(ライブ会場の定点監視)などを目的とする飛行)、及び、前進・後進・左右移動を含む移動飛行などの高負荷飛行(例えば、使用者が意図した高速帰還(物品の高速輸送)などを目的とする飛行)について、目標飛行時間を達成することができる。
また、所定出力値PMは、飛行時の要求負荷(最大の要求負荷)が低いほど低い値に設定される。
これにより、エンジン出力EPを抑えることができるので、エンジン13aの燃料消費量をさらに抑えることができる。そのため、より確実に、燃料タンク14内の燃料が枯渇するまでエンジン13aの駆動によりバッテリ12のSOCを補って飛行することができる。したがって、より確実に、長時間の飛行が可能になる。
また、制御部15は、エンジン13aの駆動を、異なる飛行時の要求負荷に対応した複数の運転モードに切り替えて制御する。そこで、例えば、制御部15は、エンジン13aの駆動を、要求負荷の低い撮影モードに対応した低運転モードと、要求負荷の高い運搬モードに対応した高運転モードに切り替えて制御する。
このようにして、飛行目的(シチュエーション)によって異なる飛行時の要求負荷に応じて、エンジン13aの駆動の運転モードが切り替えられるように制御される。そのため、飛行目的に合せてエンジン13aの駆動を切り替えることにより、飛行目的に合せながら長時間の飛行が可能になる。
また、制御部15は、演算部15aにより演算された飛行時の要求負荷の大きさに応じて運転モードを切り替える。
これにより、飛行中の外乱の影響による状況(例えば、上空の気流によって飛行時の要求負荷が変化する状況など)に適したエンジン13aの駆動の運転モードを選択できるので、より確実に長時間の飛行が可能になる。
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
例えば、エンジン出力EPは、図3の例においてはローモード出力値LOとハイモード出力値HIに切り替え可能となっているが、これに限定されず、ハイモード出力値HIのみ設定されるとしてもよい。
また、図7のステップS12の処理を、SOCの変化量が所定量αを超えた時間が所定時間t1以上であるか否かを判断する処理としてもよい。図8のステップS22の処理を、SOCの変化量が所定量αを下回っている回数が所定回数β1以上であるか否かを判断する処理としてもよい。
また、本開示のマルチコプタは、燃料電池システムを搭載したマルチコプタ(ハイブリッドドローン)にも適用できる。このとき、燃料電池システムは、燃料と酸化剤により発電する燃料電池と、燃料電池に燃料を供給するために駆動する燃料供給部(燃料噴射弁(インジェクタ)など)と、燃料電池で発電した電力を充放電する充放電部などを有する。そして、燃料電池が「発電部」に相当し、燃料供給部が「駆動部」に相当し、充放電部が「バッテリ」に相当する。
また、本開示のマルチコプタは、エタノール燃料やLPガス、天然ガスなどを燃料としたエンジンや、ディーゼルエンジンなどを搭載したマルチコプタ(ハイブリッドドローン)にも適用できる。
1 マルチコプタ
11 機体
11a プロペラ(ロータ)
11b モータ
12 バッテリ
13 エンジン発電ユニット
13a エンジン
13b ジェネレータ(発電機)
14 燃料タンク
15 制御部
15a 演算部
20 コントローラ
RP 要求出力
EP エンジン出力
PL ホバリング時出力値
PH 上昇時出力値
PM 所定出力値
PM_L 低出力値
PM_M 中間出力値
PM_H 高出力値

Claims (4)

  1. 複数のロータと、前記ロータを駆動するモータと、前記モータへ電力を供給するバッテリと、前記電力を発電するために駆動する駆動部と、を有するマルチコプタにおいて、
    前記駆動部は、ホバリング飛行に必要な最低出力値よりも高く、かつ、上昇飛行に必要な最低出力値よりも低い所定出力値で駆動するように構成されていること、
    を特徴とするマルチコプタ。
  2. 請求項1のマルチコプタにおいて、
    前記所定出力値は、飛行時の最大の要求負荷が低いほど低い値に設定されること、
    を特徴とするマルチコプタ。
  3. 請求項2のマルチコプタにおいて、
    前記駆動部の駆動を制御する制御部を有し、
    前記制御部は、前記駆動部の駆動を前記要求負荷に対応した複数の運転モードに切り替えて制御すること、
    を特徴とするマルチコプタ。
  4. 請求項3のマルチコプタにおいて、
    飛行中に前記要求負荷の大きさを演算する演算部を有し、
    前記制御部は、前記演算部により演算された前記要求負荷の大きさに応じて前記運転モードを切り替えること、
    を特徴とするマルチコプタ。
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