JP2020116569A - 衛生用品の処理方法 - Google Patents

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敬士 中渕
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徹 宮島
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一充 鈴木
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Abstract

【課題】使用後の衛生用品の素材の分離回収が容易で、かつ、安全性の高い衛生用品の処理方法を提供する。【解決手段】パルプ繊維及び吸水性樹脂粒子を含む衛生用品の処理方法であって、吸水性樹脂粒子を、水溶性還元剤と鉄イオン及び/又は銅イオンとを含有する処理液により可溶化処理する工程、及び前記の可溶化処理で得られた組成物から不溶解分を分離する工程を含み、吸水性樹脂粒子の可溶化率が80%以上である衛生用品の処理方法;及び前記処理方法を含む衛生用品処理物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、衛生用品の処理方法に関する。更に詳しくは、パルプ繊維及び吸水性樹脂粒子を含む使用済み衛生用品の処理方法に関する。
近年、日本では少子高齢化が急速に進展し、高齢者の紙おむつなどの衛生用品の使用量が増加するにつれ、環境面や衛生面、更には介護者の負担増加等の観点から、使用済みの衛生用品の後処理が深刻な問題となりつつある。また、環境保護の観点から、衛生用品の構成素材を回収再利用することが検討されている。
衛生用品を処理する方法としては、例えば、石灰を用いることで、吸水性樹脂と衛生用品の他部材を高能率で分離回収するシステムに関する技術(特許文献1)、吸水性樹脂粉末を脱水凝集させた後に、強酸と窒素含有塩基性化合物の塩を加えて凝集力を低下させ、その後の乾燥を容易にする技術(特許文献2)、ポリマー分解剤を加えて吸水性樹脂をモノマーに分解し、パルプ成分を分離回収する技術(特許文献3)、高吸水性ポリマーを多価金属塩水溶液で脱水処理した後、アルカリ金属塩水溶液で処理することにより、高吸水性ポリマーの水分吸収能力を回復させる技術(特許文献4)、衛生用品に架橋剤と酸性物質を加えることにより、素材の分離回収効率を高める技術(特許文献5)、浴中で処理することで、製品から可溶性物質を溶解させ、吸水性ポリマーをアルカリ金属等の水溶性化合物で処理し、ゲル膨潤を低下させる技術(特許文献6)、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む衛生用品からパルプ繊維を回収し、オゾン処理で高吸水性ポリマーを分解・可溶化しながら衛生用品に再利用可能な再生パルプを製造する技術(特許文献7、8)等が提案されている。
一方、衛生用品を可燃ゴミとしてゴミ出しする以外の処理方法も模索されている。例えば、国土交通省では人口減少や超高齢化社会などの社会要請の変化を受け、下水道への紙オムツ受入れに関する検討が進められている。
特開2009−183893号公報 特開2015−120834号公報 特開2000−84533号公報 特開2013−198862号公報 国際公開第2014/203922号パンフレット 特表平6−502454号公報 特開2017−193819号公報 特開2018−165423号公報
紙オムツ等の衛生用品を下水道へ流す場合、粉砕された衛生用品を水道水と一緒に排水することが想定されるが、吸水性樹脂の吸収力はイオンの浸透圧を駆動力としており、吸収される液体のイオン濃度が低いと吸収力は大きくなる傾向にある。すなわち、尿等の排泄物と比べて水道水のイオン濃度が低く、水道水と一緒に排水した際、衛生用品に含まれる吸水性樹脂が大きく膨潤し、膨潤したゲルにより排水管の閉塞や破裂、又は排水後の回収プロセスで問題生じる可能性が高い。前述した処理方法の従来技術においては、主に、金属塩を単体、あるいは金属塩同士、酸性物質等を2種類以上併用することで吸水性樹脂の膨潤を抑止する方法等で、処理上の難点とされる低流動性や含水率を低下させることが検討されているが(特許文献1〜6)、吸水性樹脂の膨潤を抑制しても不溶性のゲルが大量に存在するため、排水管の閉塞や破裂といった課題を解決するのは不十分であるだけでなく、パルプ繊維や吸水性樹脂等の素材を効率的に分離回収するのは難しいと考えられる。一方、オゾンを使用する技術は高価なオゾン処理装置が必要であるだけでなく、人体に対する安全面からオゾンは好ましいとは言い難い。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、使用後の衛生用品の素材の分離回収が容易で、かつ、安全性の高い衛生用品の処理方法を提供することを目的とする。
本発明はパルプ繊維及び吸水性樹脂粒子を含む衛生用品の処理方法であって、前記吸水性樹脂粒子を水溶性還元剤と鉄イオン及び/又は銅イオンとを含有する処理液により可溶化処理する工程、及び前記の可溶化処理で得られた組成物から不溶解分を分離する工程を含み、吸水性樹脂粒子の可溶化率が80%以上である衛生用品の処理方法、及び上記処理方法を含む衛生用品処理物の製造方法である。
本発明の衛生用品の処理方法は、使用後の衛生用品の素材を簡便かつ安全な方法で効率的に処理、回収することができ、衛生用品の素材を再利用することができる。また、上記処理方法を含む衛生用品処理物の製造方法で得られたパルプ繊維等の分離回収物は、再生パルプや固形燃料などに好適に利用できる。
本発明は、パルプ繊維及び吸水性樹脂粒子を含む衛生用品の処理方法に関する。
衛生用品としては、パルプ繊維及び吸水性樹脂粒子を含む衛生用品であれば特に限定はなく、紙おむつ(子供用紙おむつ及び大人用紙おむつ等)、ナプキン(生理用ナプキン等)、紙タオル、パッド(失禁者用パッド及び手術用アンダーパッド等)及びペットシート(ペット尿吸収シート)等の衛生用品が挙げられる。なお、衛生用品は最終製品に限らず、使用済み品や廃棄品等も含まれる。
パルプ繊維としては、各種フラッフパルプや綿状パルプ等、従来から衛生用品に使用されているパルプ繊維が挙げられる。パルプ繊維の原料(針葉樹及び広葉樹等)、製造方法(ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ及びケミサーモメカニカルパルプ等)、漂白方法、及び形態(ティッシュのようなシート状等)については特に限定されない。
吸水性樹脂粒子としては特に限定されず、例えば、自重の30倍以上から1000倍程度の水を吸収する能力のある親水性架橋高分子であって、その構成単位にカルボン酸(塩)基[カルボン酸および/またはカルボン酸塩基を言う。以下同様の記載を用いる。]、スルホン酸(塩)基、リン酸(塩)基、第三級アミノ基、第四級アンモニウム塩基、水酸基及びポリエチレンオキシド基等の親水性基を有する吸水性樹脂粒子を挙げることができる。吸水性樹脂粒子の具体例としては、特公昭53−46199号および特公昭53−46200号各公報などに記載のデンプン−アクリル酸(塩)共重合体、特公昭54−30710号および特開昭56−26909号各公報などに記載の逆相懸濁重合法による架橋あるいは自己架橋されたポリアクリル酸塩、特開昭55−133413号公報などに記載の水溶液重合(断熱重合、薄膜重合、噴霧重合など)により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)、特開昭52−14689号及び特開昭52−27455号各公報等に記載のビニルエステルと不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体ケン化物、特開昭58−2312号および特開昭61−36309号各公報などに記載のスルホン酸(塩)基含有吸水性樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体架橋物、デンプン−アクリロニトリル共重合体の加水分解物、架橋カルボキシメチル誘導体、架橋ポリエチレンオキシド誘導体、架橋ポリビニルアルコール誘導体、ポリアクリルアミドの部分加水分解物などが挙げられる。また、前記吸水性樹脂粒子の表面を表面架橋した吸水性樹脂粒子も使用できる。吸水性樹脂粒子は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本発明における吸水性樹脂粒子の好適な実施形態では、ビニルモノマーを構成単位とする架橋重合体が好ましく、その中でも(メタ)アクリル酸(塩)及び内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を含有する吸水性樹脂粒子が好ましい。
ビニルモノマーを構成単位とする架橋重合体としては、水溶性ビニルモノマー及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマーとなるビニルモノマー並びに内部架橋重合体を必須構成単位とする架橋重合体であれば特に制限が無く、公知のものをそのまま用いることができる。
「(メタ)アクリル酸(塩)」とは、アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩及びアンモニウム(NH)塩等が挙げられる。これらの塩のうち、吸収性能等の観点から、好ましくはアルカリ金属塩及びアンモニウム塩であり、更に好ましくはアルカリ金属塩であり、特に好ましくはナトリウム塩である。
内部架橋剤(b)としては特に限定はなく、公知(例えば、特許第3648553号公報の0031〜0034段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有してかつ少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する架橋剤及び水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個有する架橋剤、特開2003−165883号公報の0028〜0031段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、エチレン性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤及び反応性置換基を2個以上有する架橋剤、特開2005−75982号公報の0059段落に開示されている架橋性ビニルモノマー及び特開2005−95759号公報の0015〜0016段落に開示されている架橋性ビニルモノマー)の架橋剤等が使用できる。これらの内、吸収性能等の観点から、好ましくはエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤であり、更に好ましくは炭素数2〜40の多価アルコールのポリ(メタ)アリルエーテル、炭素数2〜40の多価アルコールの(メタ)アクリレート及び炭素数2〜40の多価アルコールの(メタ)アクリルアミドであり、特に好ましくは炭素数2〜40の多価アルコールのポリアリルエーテルであり、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。内部架橋剤(b)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
内部架橋剤(b)の含有量(モル%)は、(メタ)アクリル酸(塩)の合計モル数に基づいて、好ましくは0.001〜5であり、更に好ましくは0.005〜3であり、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
(メタ)アクリル酸(塩)及び内部架橋剤(b)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a)を含むことができる
共重合可能なその他のビニルモノマー(a)としては特に限定はなく公知{例えば特許第3648553号、特開2003−165883号、特開2005−75982号及び特開2005−95759号}の疎水性ビニルモノマー等が使用できる。
その他のビニルモノマー(a)を含む場合、その他のビニルモノマー(a)の含有量(は、(メタ)アクリル酸(塩)のモル数に基づいて、好ましくは0.01〜5モル%であり、更に好ましくは0.05〜3モル%であり、特に好ましくは0.08〜2モル%であり、最も好ましくは0.1〜1.5モル%である。
(メタ)アクリル酸(塩)及び架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を得る方法としては、公知の水溶液重合{断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55−133413号等}や、公知の逆相懸濁重合{特公昭54−30710号、特開昭56−26909号及び特開平1−5808号等}と同様にしてできる。
本発明の衛生用品は、前記パルプ繊維及び吸水性樹脂粒子を含有する。衛生用品は、パルプ繊維と吸水性樹脂粒子を含有する吸収体を衛生用品の構成物品とする。吸収体における吸水性樹脂粒子とパルプ繊維の重量比率(吸水性樹脂粒子の重量/パルプ繊維の重量)は、10/90〜90/10の範囲内で適宜設定される。
次に、本発明の衛生用品の処理方法について説明する。本発明の衛生用品の処理方法は、パルプ繊維及び吸水性樹脂粒子を含む衛生用品の処理方法であって、吸水性樹脂粒子を水溶性還元剤と鉄イオン及び/又は銅イオンとを含有する処理液により可溶化処理する工程(以下、可溶化処理工程と称する)、及び可溶化処理で得られた組成物から不溶解分を分離する工程(以下、分離工程と称する)を含む。
可溶化処理工程は、吸水性樹脂粒子に、水溶性還元剤と鉄イオン及び/又は銅イオンとを含有する水溶液(以下、処理液と称する)を添加することにより衛生用品に用いられている吸水性樹脂粒子を分解、可溶化して、水に溶解、分散する工程である。可溶化処理により分解された水不溶性の吸水性樹脂粒子の一部は水へ可溶化する。吸水性樹脂が可溶化すると、使用後の吸収性物品中から不織布やパルプ繊維を分離回収することが容易になり、これらを再びリサイクル使用する場合の処理への負荷が小さくなる。また、分解されて可溶化、分散した吸水性樹脂は、凝結剤や凝集剤などを添加することで容易に水中から析出させることができる。このため、凝集沈殿処理時に排水中から取り除くことができ、排水処理時の負荷を低減することができるといったメリットがある。
処理液に含まれる水溶性還元剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、グルタチオン、カテキン及びカテキン酸誘導体等が挙げられる。これらのうち、入手のしやすさ及び可溶化率向上の観点から、アスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体が好ましい。なお、本発明において「水溶性還元剤」とは、20℃の水に対する溶解度が0.1g/ml以上であり、好ましくは0.3g/ml以上である還元剤を示す。
アスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体としては、公知のものであれば特に制限はないが、アスコルビン酸としては、L体、D体及びDL体のいずれであってもよく、入手容易性の観点から、L−アスコルビン酸が好ましい。また、アスコルビン酸誘導体とは、アスコルビン酸及びその一部を化学修飾や置換した誘導体を意味する。アスコルビン酸誘導体の具体例としては、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸硫酸エステル及びアスコルビン酸グリコシド等が挙げられる。また、これらのアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体の金属塩(ナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウム等)や有機塩(アンモニウム及びアミン等)も使用可能であり、本発明のアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体に含まれる。これらのアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
カテキン及びカテキン酸誘導体としては、公知のものであれば特に制限はないが、カテキンとしては、(+)―カテキン、(−)―カテキン、ラセミ体及びカテキン水和物のいずれであってもよく、入手容易性の観点から(+)―カテキンが好ましい。また、カテキン誘導体とは、カテキン及びその一部を化学修飾や置換した誘導体を意味する。カテキン誘導体の具体例としては、ガロカテキン、エピカテキン及びエピガロカテキン等が挙げられる。また、これらのカテキン及びカテキン誘導体の金属塩(ナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウム等)や有機塩(アンモニウム及びアミン等)も使用可能であり、本発明のカテキン及びカテキン酸誘導体に含まれる。これらのカテキン及びカテキン誘導体は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
可溶化処理工程において、水溶性還元剤は、吸水性樹脂粒子の可溶化率向上の観点から、可溶化処理工程で処理する吸水性樹脂粒子の重量に基づいて、好ましくは0.05〜40重量%であり、更に好ましくは1〜35重量%であり、特に好ましくは1〜30重量%である。水溶性還元剤の含有量が0.05重量%未満であると可溶化率が低下し、パルプ繊維等の分離回収効率が低下する場合があり、40重量%より大きいと経済的でない。
可溶化処理工程における処理液は、前記水溶性還元剤の他に鉄イオン及び/又は銅イオンを含有する。鉄イオン及び/又は銅イオンを含有することで、分解処理した吸水性樹脂粒子の可溶化率を向上させることができる。詳細な可溶化機構は明確ではないが、アスコルビン酸等の還元剤は酸素と鉄イオンの存在下に過酸化水素を生成し、過酸化水素は更に鉄イオンとのFenton反応によりヒドロキシルラジカルを与える機構が一般に知られている。従って、本発明の可溶化処理工程についても、類似の機構により発生したラジカル種が吸水性樹脂粒子の架橋重合体の分解を促進し、可溶化するものと推定される。
可溶化処理工程において、鉄イオン及び/又は銅イオンの含有量は、吸水性樹脂粒子の可溶化率向上の観点から、可溶化処理工程で処理する吸水性樹脂粒子の重量に基づいて、好ましくは0.01〜10000ppmであり、更に好ましくは0.05〜8000ppmであり、特に好ましくは0.1〜5000ppmである。水溶性還元剤の含有量が0.01ppm未満であると可溶化率が低下し、パルプ繊維等の分離回収効率が低下する場合があり、10000ppmより大きいと経済的でない。
処理液に含まれる鉄イオン及び/又は銅イオンは、前記含有量の範囲内である限り、可溶化処理工程で使用する鉄イオン及び/又は銅イオンを供給する原料に由来するものであっても、衛生用品に含まれる吸水性樹脂粒子やパルプ繊維等の材料に不純物等として含まれるものであってもよい。鉄イオン及び/又は銅イオンを供給する原料を使用する場合、これらの原料は水溶性の化合物であって、水に溶けて鉄イオン及び/又は銅イオンを発生させるものであれば特に限定されない。
なお、衛生用品中に含まれる部材(不織布、パルプ、ティッシュ及び吸水性樹脂粒子等)の鉄イオン及び銅イオンの含量量の測定については、例えば、塩酸や硝酸等の強酸存在下、マイクロウェーブ試料分解装置で加熱処理することで各部材を溶解させた後に、ICP発光分光分析装置(ICP−OES)により測定することができる。
鉄イオンを発生させる化合物としては、例えば、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、乳酸鉄(II)、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、リン酸鉄(II)、リン酸鉄(III)、ヨウ化鉄(II)、ヨウ素酸鉄、フェリシサン化カリウム、フェリシサン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウム、シアン化鉄(II)、シュウ酸鉄、臭化鉄、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(II及び水酸化鉄(III)等が挙げられる。これらの化合物は非水和物であっても、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、五水和物、六水和物、七水和物、八水和物及び九水和物のような水和物であってもよい。
銅イオンを発生させる化合物としては、例えば、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、塩化銅(II)、塩化銅(III)、硫酸銅(I)及び硫酸銅(II)等が挙げられる。これらの化合物は非水和物であっても、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、五水和物、六水和物、七水和物、八水和物及び九水和物のような水和物であってもよい。
処理液は、水溶性還元剤並びに鉄イオン及び/又は銅イオンの他に、他の添加剤を含んでいてもよい。
本発明の処理液は、水を含有した状態で用いる。前記処理液中の水の濃度は、広い範囲にわたって選択が可能であるが、吸水性樹脂粒子の可溶化率向上の観点から、可溶化処理工程で処理する吸水性樹脂粒子の重量に基づいて、好ましくは20〜80重量%であり、更に好ましくは30〜70重量%であり、特に好ましくは40〜70重量%である。20重量%未満であると可溶化率が低下し、パルプ繊維等の分離回収効率が低下する場合があり、80重量%より大きいと経済的でない。
可溶化処理工程は衛生用品そのものに対して行っても良く、衛生用品から取り出した吸収体に対して行っても良く、後述する衛生用品を粉砕する工程粉砕処理した衛生用品又は吸収体に対して行っても良い。なかでも好ましいものの一例としては、可溶化率向上の観点から、粉砕された衛生用品に対して可溶化処理することが挙げられる。
可溶化処理する装置については、衛生用品と処理液を混合することができる装置であれば特に制限はなく、撹拌可能な混合槽を処理槽として用いて実施してもよい。この他、衛生用品を粉砕する工程で用いる粉砕機及び破砕機に衛生用品と処理液とを入れることでも可溶化処理を行うことが出来る。
可溶化処理工程において、吸水性樹脂粒子を可溶化する時の温度は、吸水性樹脂粒子が水溶性還元剤により可溶化する温度であれば特に限定されず、好ましい温度は20〜100℃であるが、温度を上げることにより可溶化する時間を短くすることができる。
可溶化処理工程の時間は、吸水性樹脂粒子が可溶化する時間であれば特に限定されないが、好ましくは30分〜20時間であり、更に好ましくは1〜15時間である。
本発明において、吸水性樹脂粒子の可溶化率は80%以上である。可溶化率が高いほど、吸水性樹脂粒子に由来する不溶解分が少なく、後述する分離工程での不溶解分の分離回収性が優れる。
可溶化率は、可溶化処理工程後の組成物に含まれる吸水性樹脂粒子に由来する不溶解分の重量、及び可溶化処理工程で処理する吸水性樹脂粒子の重量を計量して、以下の計算式1で得る方法、及び可溶化処理工程後の組成物中のアニオンコロイド当量から計算して得る方法で確認することができる。
(可溶化率[%])={1−(可溶化処理工程後の吸水性樹脂粒子に由来する不溶解分の重量)/(可溶化処理工程で処理する吸水性樹脂粒子の重量)}×100・・・・(式1)
このうち、可溶化処理工程後の組成物が、パルプ繊維及び吸水性樹脂粒子に由来する不溶解分等の不溶解分を含む場合には、可溶化処理工程後の組成物中のアニオンコロイド当量から可溶化率を計算することが好ましい。なお、可溶化処理工程後の組成物について分離工程を行った後に得られる不溶解分を除去したあとの溶液中のアニオンコロイド当量を定量して求めてもよい。
可溶化処理工程後の組成物中のアニオンコロイド当量を用いた可溶化率は以下の方法により求めることが出来る。
(1)測定試料
可溶化処理で得られた組成物を目開き63μm(JIS Z8801−1:2006)のナイロン網を備えるビフネルロート(アズワン 型番AF8)でろ過し、さらにメンブレンフィルター(精密ろ過膜)(ヤマト科学社製 製品名:MF―ミリポア AA WP 04700)によりろ過する。得られたろ液(0.2g)を精秤し、200mlのガラス製三角フラスコにとり、全体の重量(試料とイオン交換水の合計重量)が100gとなるようにイオン交換水を加えた後、マグネチックスターラー(1,000rpm)で、3時間撹拌し、0.2重量%の測定試料を調製する。更に500mlのガラス製ビーカーに上記調製した溶液10.00gを小数点第2位まで計ることができる天秤を用いて正確に秤りとり、全体の重量(溶液10mlとイオン交換水の合計重量)が400.00gとなるようにイオン交換水を加え、再度マグネチックスターラー(1,000〜1,200rpm)で、30分間撹拌して、測定試料とする。
(2)アニオンコロイド当量値の測定
測定試料(100.0g)を200mlのガラス製コニカルビーカーにとり、マグネチックスターラー(500rpm)で撹拌しながら、10N水酸化ナトリウム水溶液0.5mlを加え、さらに200Nメチルグリコールキトサン水溶液5mlを5mlのホールピペットを用いて加えた後、5分間撹拌する(その時のpHは約10.5)。TB指示薬を2〜3滴加え、400Nポリビニル硫酸カリウム(N/400PVSK)試薬で滴定する。滴定速度は2ml/分とし、測定試料が青から赤紫色に変色し、30秒間保持する時点を終点とする。
(3)空試験
(1)において、可溶化処理で得られた組成物の代わりにイオン交換水を使用する以外は同様の操作を行い、続けて操作(2)も同様に行う。
(4)アニオンコロイド当量値
可溶化処理で得られた組成物中のアニオンコロイド当量は以下の計算式で求める。
アニオンコロイド当量値(meq/g)=1/2×(測定試料での滴定量?空試験での滴定量)×(N/400PVSKの力価)
(4)可溶化率
可溶化率は以下の計算式で求める。
可溶化率(%)=−{(A−1)/(A−2)}×100
(A−1):前記(4)で計算したアニオンコロイド当量値
(A−2):可溶化処理工程に用いた吸水性樹脂粒子が全て可溶化された場合のアニオンコロイド当量値(理論値)
なお、可溶化処理工程に用いた吸水性樹脂粒子の重量は、乾燥状態にある衛生用品に含まれる吸水性樹脂粒子の重量をあらかじめ計量することで得ることが出来る。
本発明の可溶化処理工程における吸水性樹脂粒子の可溶化率は、不溶解分の分離、回収効率の観点から、80%以上であり、好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上である。水溶性還元剤の含有量、鉄イオン及び/又は銅イオンの含有量、吸水性樹脂粒子を可溶化する時の温度及び時間を最適にすることにより、吸水性樹脂粒子の可溶化率を80%以上にすることが出来る。
可溶化処理で得られた組成物から不溶解分を分離する分離工程は、可溶化処理された吸水性樹脂粒子を含む組成物から可溶化処理後も残留する不溶解分を分離する工程である。可溶化処理後も残留する不溶解分としては、衛生用品に含まれるパルプ繊維に由来する不溶解分及び吸水性樹脂粒子に由来する不溶解分(可溶化出来なかった吸水性樹脂粒子、一部だけ可溶化された吸水性樹脂粒子の残渣、及び一度溶解したが可溶化処理後に行われた処理によって再び析出した吸水性樹脂粒子の残渣等が含まれる)が含まれる。
可溶化処理で得られた組成物からの不溶解分の分離は、ろ過、浮遊分離、沈殿分離及び遠心分離等の公知の方法で行うことができ、公知の固液分離処理装置(スクリーン分離、沈殿分離、膜分離及び遠心分離等)等を使用できる。
分離工程では、凝集剤により不溶解分を凝集処理させてから固液分離装置で分離することが好ましい。凝集剤により凝集処理させることで、固液分離効率を向上させることができ、固液分離がしやすくなりパルプ繊維の回収率を高めることができる。更に廃液に含まれる可溶化した吸水性樹脂や浮遊物質(SS)成分を凝集し分離することができるため、その後の排水処理がしやすくなる。
凝集剤は、公知の水処理用凝集剤を使用することができる。例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化アルミニウム、塩化第二鉄及びポリ硫酸第二鉄(ポリ鉄)等の無機凝集剤や、ノニオン性、アニオン性及びカチオン性の有機高分子凝集剤等が挙げられる。凝集性効率の観点から、カチオン性有機高分子凝集剤が好ましい。
分離工程は、前記凝集剤を可溶化処理で得られた組成物に加えて凝集処理させてからパルプ繊維及び吸水性樹脂粒子に由来する不溶解分を一度に固液分離装置で分離してもよいし、可溶化処理で得られた組成物からパルプ繊維を分離した後に吸水性樹脂粒子に由来する不溶解分を分離してもよいし、パルプ繊維を固液分離装置により可溶化処理で得られた組成物から分離した後、凝集剤により吸水性樹脂粒子に由来する不溶解分を凝集処理させてから固液分離装置で分離してもよい。
前記分離工程において回収されたパルプ繊維中に残留する吸水性樹脂分の含有量については、使用前の衛生用品に含まれる吸収性樹脂粒子の重量に対して20%以下であり、更に好ましくは15%以下である。この範囲であると、ハンドリングやパルプ繊維の物性を悪化させずに再生パルプとして再利用することできる。
なお、回収されたパルプ繊維中に残留する吸水性樹脂分は、吸水した水を除いた樹脂成分だけを意味し、乾燥して水を除去することでその含有量をだすことができる。
本発明の衛生用品の処理方法においては、さらに粉砕工程を行ってもよい。粉砕工程は、衛生用品に含まれる吸収体を粉砕する工程であっても、衛生用品を粉砕する工程であっても、前記の可溶化処理工程でえられた組成物を粉砕する工程であってもよく、粉砕工程と前記の可溶化処理工程及び分離工程との順序に制限はない。
前述した粉砕工程と可溶化処理工程との具体的な処理工程の順序の例を以下に示す。
(1)可溶化処理工程(粉砕工程は実施しない)。
(2)可溶化処理工程→粉砕工程。
(3)可溶化処理工程と粉砕工程とを同時に実施する工程。
(4)粉砕工程→可溶化処理工程
なかでも粉砕工程を含む好ましい処理方法としては、可溶化処理する工程を行う前に衛生用品を粉砕する工程を更に含む衛生用品の処理方法、可溶化処理する工程と不溶解分を分離する工程との間に更に可溶化処理で得られた組成物を粉砕する工程を含む衛生用品の処理方法、及び可溶化処理する工程において、可溶化処理と同時に衛生用品を粉砕する工程を実施する処理方法が挙げられる。
粉砕工程は公知の粉砕機又は破砕機を使用して行うことができ、生ごみ粉砕機に使われているディスポーザー型破砕機(高速回転するターンテーブルで該衛生用品を壁面に飛ばし、ターンテーブル周縁部についている固定式、又は可変式のハンマーと壁面の固定刃等で破砕)、カッターミル、一軸型破砕機、二軸型破砕機、同軸心型破砕機、ハンマー式破砕機及びボールミル等が挙げられる。なかでも、衛生用品の素材にはプラスチック製のシートや不織布、伸縮性のある材料が含まれる場合が多いことから、高速回転しながら刃で切断するディスポーザー型破砕機及びカッターミルが特に好適である。
衛生用品を粉砕する場合に、粉砕工程で得られる粉砕物は、水性懸濁液としてもよい。粉砕物を水性懸濁液として得る方法としては、水を加えて衛生用品を膨潤させた後粉砕する方法、粉砕しながら水を加えて粉砕する方法、粉砕後に水を加える方法があげられる。なかでも、粉砕機への負荷低減の観点から、水を加えて衛生用品を膨潤させた後粉砕する方法が好ましい。
粉砕後の衛生用品の粉砕物の大きさの好適な範囲は、分離工程における分離方式にも依存するが、長手方向で好ましくは300mm以下、更に好ましくは100mm以下になるよう粉砕することが好ましい。一片の長さが300mm以下であれば、処理液による処理効率が向上することが考えられ、処理時間を短くでき、更に破砕後の部材の分離が容易になる。粉砕物の大きさは、前述した粉砕機又は破砕機の種類及び処理条件等により適宜調整可能である。
なお、粉砕に供する衛生用品は、衛生用品をそのまま粉砕しても、衛生用品から吸収体を分離してから粉砕しても、衛生用品からパルプ繊維と吸水性樹脂粒子とを分離してから粉砕してもよい。
粉砕工程において、可溶化処理で得られた組成物を粉砕する場合には前記の組成物を前記の公知の粉砕機又は破砕機を使用して粉砕することで行うことが出来る。
可溶化処理する工程において、可溶化処理と同時に衛生用品を粉砕する工程を実施する場合には、前記の公知の粉砕機又は破砕機に衛生用品と前記の処理剤とをいれて粉砕することで行うことが出来る。
処理する衛生用品として、使用済の紙おむつ等、尿や便などの汚物を含んでいる場合、衛生上の観点から、事前に殺菌処理するのが好ましい。殺菌処理は、前記の可溶化処理工程、分離工程、分離工程で分離した後、これらの工程間、及びこれらの工程のうち複数の工程のいずれの時期に行ってもよく、分離工程で分離回収されたパルプ繊維及び吸水性樹脂に由来する不溶解分に対して滅菌・殺菌処理を実施してもよい。
殺菌する方法としては、100℃以上に加熱処理する高温処理による方法、紫外線照射による方法、殺菌剤による方法、特開平2016−000881に記載があるようなオゾンを溶解させた水溶液を用いる方法、特開2013−150977に記載があるような次亜塩素酸(塩)による方法及びエチレンオキシドやホルムアルデヒド等のアルキル化剤の気体をオゾン存在下使用する方法等が挙げられる。
本発明の衛生用品の処理方法の好ましい実施形態の一つとして、ディスポーザー排水処理システムが挙げられる。ディスポーザー排水処理とは、生ゴミを台所のシンク排水口に取り付けたディスポーザーで粉砕し、給水による排水とともに下水道や浄化槽に放流するシステムであり、ゴミを低減し、衛生面及び利便性に優れる排水処理システムであり、特に集合住宅等に広く普及が進んでいる。前記排水処理システムを衛生用品に展開するためには、吸水性樹脂粒子の水膨潤性を低減させ、排水管内での堆積や付着による排水不良や配管閉塞を防止することが重要である。本発明の処理方法は、吸水性樹脂を可溶化できるため、このような課題を解決できるので好ましい。
本発明の衛生用品の処理方法によって、パルプ繊維及び吸水性樹脂粒子に由来する不溶解分は一緒に又は別々に回収される。分離工程において、分離回収されたパルプ繊維及び吸水性樹脂に由来する不溶解分は、リサイクル利用が可能であり、固形燃料や再生パルプとして使用することができる。なかでも、本発明の衛生用品の処理方法で得られるパルプ繊維及び吸水性樹脂粒子に由来する不溶解分は含水率が低いという特徴を有するため、焼却処理時の燃焼効率が優れるだけでなく、固形燃料等としてリサイクル利用に好ましく用いることができる。また、不溶解分のうち単独で回収したパルプ繊維ものは、吸水性樹脂由来の成分が少なく、再生パルプとしてのリサイクルにも有用である。
また、本発明の処理方法において、分離工程において、分離回収されたパルプ繊維及び吸水性樹脂に由来する不溶解分を乾燥する工程をさらに含んでもよい。乾燥は公知の方法行うことができる。
本発明の衛生用品処理物の製造方法は、前記の衛生用品の処理方法を含む。製造される衛生用品処理物にはパルプ繊維及び吸水性樹脂に由来する不溶解分が含まれる。本発明の製造方法で得られた衛生用品処理物は、固形燃料及び再生パルプとして利用されうる。前記固形燃料及び再生パルプとしてリサイクル利用をする場合は、前記の分離工程で得られる前記衛生用品を回収物をさらに乾燥する工程を行うことが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。
<製造例1>
アクリル酸157部(2.18モル部)、内部架橋剤(b){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル}0.6305部(0.0024モル部)及び脱イオン水344.65部を撹拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.63部、2%アスコルビン酸水溶液1.1774部及び2%の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]水溶液2.355部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。次にこの含水ゲル(1)502.27部をミンチ機で混練粉砕しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し、含水ゲル粒子(2)を得た。更に含水ゲル粒子(2)を通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサーにて粉砕した後、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整することにより、乾燥体粒子を得た。この乾燥体粒子100部を高速撹拌しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の5.00部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋して、吸水性樹脂粒子(P−1)を得た。P−1の重量平均粒子径は、400μmであった。また、P−1の鉄イオン含有量をICP−OESにて測定した結果、2ppmであった。吸水性樹脂粒子(P−1)の保水量は40g/gであった。
<実施例1>
吸水性樹脂粒子(P−1)を目付け200g/mとなるように均一に拡散性部材(B)である不織布(b−1){不織布目付:25g/m、東洋紡社製2.2T 44−SMK}上に手で撒き、上から水を17.5g/mとなるように均一にスプレーし、吸収体(1)を得た。この吸収体(1)を10cm×15cmの長方形に裁断し、吸収体(1)を吸収体(1)と同じ大きさの拡散性部材(B)である透水性シート(b−2){目付け15.5g/m、アドバンテック社製、フィルターペーパー2番}で挟み吸収体を得た。更にバックシートとしてポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB−1)を裏面に、不織布(b−1)(不織布目付:25g/m、東洋紡社製2.2T 44−SMK)を最表面に配置することにより吸収性物品(1)を調製した。
吸収性物品(1)を1000mlのディスポカップ(アズワン社製)に入れ、更にイオン交換水150gにL−アスコルビン酸(富士フィルム和光純薬(株)社製)0.50g、硫酸鉄(II)・七水和物0.07g(富士フィルム和光純薬(株)社製)を溶解させた処理液を入れて、20分間静置した。その後、ホモジナイザー(製品名:エクセルオートホモジナイザー、株式会社日本精機製作所製)を使用し、10分間、1500rpmで粉砕工程を行い、膨潤状態の吸水性樹脂粒子を分散、均一化した。ホモジナイザーに付着した膨潤した吸水性樹脂粒子を回収しながら、ホモジナイザーを取り除いた後、PVCAフィルム(サランフィルム)でディスポカップ上部を覆い、PVCAフィルムが外れないように輪ゴムで固定して、密閉状態とした。続いて、これを70℃に設定した恒温機(型式:IG401、ヤマト科学社製)で10時間静置させ、吸水性樹脂粒子の可溶化処理をした。目開き63μm(JIS Z8801−1:2006)のナイロン網を備えるビフネルロート(アズワン 型番AF8)とゴム栓を介して繋げた2Lの吸引ろ過瓶を用意して、前記の可溶化処理で得られた吸水性樹脂粒子の可溶化処理液(可溶化処理液(S−1)とする)の全量を、イオン交換水1000gを使って減圧ろ過することで吸水性樹脂粒子等の不溶解分を分離して分離工程を行った。分離工程で不溶解分を分離した可溶化処理液(S−1)を更にメンブレンフィルター(精密ろ過膜)(ヤマト科学社製 製品名:MF―ミリポア AA WP 04700)により再度ろ過して得られたろ液を測定用処理液(S−2)とする。
アニオンコロイド当量値は以下に示すコロイド滴定法により求め、それを用いて可溶化率を計算した。なお、以降の測定は室温(約20℃)下で行った。
(1)測定試料
測定用処理液(S−2)0.2gを精秤し、200mlのガラス製三角フラスコにとり、全体の重量(試料とイオン交換水の合計重量)が100gとなるようにイオン交換水を加えた後、マグネチックスターラー(1,000rpm)で、3時間撹拌し、0.2重量%の測定試料を調製する。更に500mlのガラス製ビーカーに上記調製した溶液10.00gを小数点第2位まで計ることができる天秤を用いて正確に秤りとり、全体の重量(溶液10mlとイオン交換水の合計重量)が400.00gとなるようにイオン交換水を加え、再度マグネチックスターラー(1,000〜1,200rpm)で、30分間撹拌して、均一な測定試料(S−3)とする。
(2)アニオンコロイド当量値の測定
測定試料(S−3)100.0gを200mlのガラス製コニカルビーカーにとり、マグネチックスターラー(500rpm)で撹拌しながら、10N水酸化ナトリウム水溶液0.5mlを加え、さらに200Nメチルグリコールキトサン水溶液5mlを5mlのホールピペットを用いて加えた後、5分間撹拌する(その時のpHは約10.5)。TB指示薬を2〜3滴加え、400Nポリビニル硫酸カリウム(N/400PVSK)試薬で滴定する。滴定速度は2ml/分とし、測定試料が青から赤紫色に変色し、30秒間保持する時点を終点とする。
(3)空試験
(1)において、測定用処理液(S−2)0.2gの代わりにイオン交換水0.2gを使用する以外は同様の操作を行い、続けて操作(2)も同様に行う。
(4)アニオンコロイド当量値、可溶化率の計算方法
アニオンコロイド当量値(meq/g)=1/2×(試料の滴定量?空試験の滴定量)×(N/400PVSKの力価)
また、凝集剤による可溶化率は次式で求めることができる。
可溶化率(%)=−{(A−1)/(A−2)}×100
(A−2):100%回収された時の吸水性樹脂粒子のアニオンコロイド当量値の理論値(−8.16(meq/g))
アニオンコロイド当量値(A−1)は−8.0であり、可溶化率は97%であった。
<実施例2>
実施例1において、硫酸鉄(II)・七水和物0.07gを塩化銅(II)・2水和物(富士フィルム和光純薬社製)0.04gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。実施例1と同様にして求めた可溶化率は96%であった。
<実施例3>
実施例1において、L−アスコルビン酸の使用量を0.50gから1.20gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。実施例1と同様にして求めた可溶化率は99%であった。
<実施例4>
実施例1において、L−アスコルビン酸の使用量を0.50gから0.80gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。実施例1と同様にして求めた可溶化率は98%であった。
<実施例5>
実施例1において、L−アスコルビン酸の使用量を0.50gから0.05gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。実施例1と同様にして求めた可溶化率は92%であった。
<実施例6>
実施例1において、L−アスコルビン酸の使用量を0.50gから0.0015gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。実施例1と同様にして求めた可溶化率は90%であった。
<実施例7>
実施例1において、硫酸鉄(II)・七水和物の使用量を0.07gから0.121gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。実施例1と同様にして求めた可溶化率は98%であった。
<実施例8>
実施例1において、硫酸鉄(II)・七水和物の使用量を0.07gから0.262gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。実施例1と同様にして求めた可溶化率は99%であった。
<比較例1>
実施例1において、アスコルビン酸を使用しないこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。実施例1と同様にして求めた可溶化率は45%であった。
<比較例2>
実施例1において、硫酸鉄(II)・七水和物を使用しないこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。実施例1と同様にして求めた可溶化率は49%であった。
実施例1〜8に示す本発明の処理方法は、比較例1〜2に示す処理方法と比べて、可溶化率が大きく向上していること分かる。衛生用品に含まれる吸水性樹脂粒子は吸水してゲル化するため、ろ過により分離する場合にはゲルがろ過詰まりの原因になったり、固液分離装置を使用する場合にはその動作不良の原因になったりする。そのため可溶化されない吸水性樹脂粒子が多い状態で分離工程を行ってもパルプ繊維の分離や不溶解分に分離を効率よく行うことが出来ない。すなわち、可溶化率が高いほど簡便的に衛生用品の素材(パルプ繊維等)である不溶解分を分離回収可能である。
本結果から、本発明の処理方法は、水道水等で衛生用品を流す場合においても、吸水性樹脂粒子が可溶化されているため、膨潤することがなく、排水管の閉塞や破裂等の問題が極めて少ないと言える。更に、パルプ繊維を含む衛生用品の素材の分離回収が容易であると言える。また、可溶化処理された吸水性樹脂粒子は、適当な凝集剤を使用することで、パルプ繊維等の衛生用品の素材とは別々に分離回収することも可能になる。
本発明の衛生用品の処理方法は、紙おむつ(子供用紙おむつ及び大人用紙おむつ等)、ナプキン(生理用ナプキン等)、紙タオル、パッド(失禁者用パッド及び手術用アンダーパッド等)及びペットシート(ペット尿吸収シート)等の衛生用品の処理方法に好適に利用できる。また、本発明の衛生用品処理物の製造方法で得られたパルプ繊維等の回収物は、再生パルプや固形燃料などにリサイクル使用可能である。また、凝集剤で凝集処理をすることで、廃水中に含まれるCOD(化学的酸素要求量)を低減することができるため、環境負荷を軽減することもできる。

Claims (11)

  1. パルプ繊維及び吸水性樹脂粒子を含む衛生用品の処理方法であって、
    前記吸水性樹脂粒子を水溶性還元剤と鉄イオン及び/又は銅イオンとを含有する処理液により可溶化処理する工程、
    及び前記の可溶化処理で得られた組成物から不溶解分を分離する工程を含み、
    吸水性樹脂粒子の可溶化率が80%以上である衛生用品の処理方法。
  2. 水溶性還元剤がアスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸誘導体である請求項1に記載の衛生用品の処理方法。
  3. 可溶化処理する工程において、処理液中の水溶性還元剤の含有量が、可溶化処理を行う吸水性樹脂粒子の重量に対し、0.05〜40重量%である請求項1又は2に記載の衛生用品の処理方法。
  4. 可溶化処理する工程において、処理液中の鉄イオン及び/又は銅イオンの含有量が、可溶化処理を行う吸水性樹脂粒子の重量に対し、0.01〜10000ppmである請求項1〜3のいずれかに記載の衛生用品の処理方法。
  5. 可溶化処理する工程を行う前に衛生用品を粉砕する工程を更に含む請求項1〜4のいずれかに記載の衛生用品の処理方法。
  6. 可溶化処理する工程と不溶解分を分離する工程との間に更に可溶化処理で得られた組成物を粉砕する工程を含む請求項1〜5のいずれかに記載の衛生用品の処理方法。
  7. 可溶化処理する工程において、可溶化処理と同時に衛生用品を粉砕する工程を実施する請求項1〜6のいずれかに記載の衛生用品の処理方法。
  8. 不溶解分を分離する工程が、凝集剤により凝集処理させてから固液分離装置で分離する工程である請求項1〜7のいずれかに記載の衛生用品の処理方法。
  9. 不溶解分を分離する工程が、パルプ繊維を分離した後に吸水性樹脂粒子に由来する不溶解分を分離する工程である請求項1〜7のいずれかに記載の衛生用品の処理方法。
  10. 不溶解分を分離する工程が、パルプ繊維を固液分離装置により分離した後、凝集剤により吸水性樹脂粒子に由来する不溶解分を凝集処理させてから固液分離装置で分離する工程である請求項1〜7に記載の衛生用品の処理方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の処理方法を含む衛生用品処理物の製造方法。
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