JP2020116568A - 流体取扱装置、流体取扱システムおよび移動基板 - Google Patents

流体取扱装置、流体取扱システムおよび移動基板 Download PDF

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Abstract

【課題】バルブの位置の設計の自由度が高い流体取扱装置を提供すること。【解決手段】流体取扱装置は、バルブのダイヤフラムを押圧するための押圧ピンと、ダイヤフラムを押圧しないように押圧ピンを流路チップから離れる方向に移動させてバルブを開かせるための凹部か、ダイヤフラムを押圧するように押圧ピンを流路チップに向けて移動させてバルブを閉じさせるための凸部が形成された移動基板と、押圧ピンを移動基板に向けて付勢する付勢部材と、移動基板を、前記流路チップの表面に平行な仮想面上において直線的に移動させる基板移動部とを含む。【選択図】図2

Description

本発明は、流体取扱装置、流体取扱システムおよび移動基板に関する。
近年、タンパク質や核酸などの微量な物質の分析を高精度かつ高速に行うために、流体取扱装置が使用されている。流体取扱装置は、分析に必要な試薬および試料の量が少なくてよいという利点を有しており、臨床検査や食物検査、環境検査などの様々な用途での使用が期待されている。流体取扱装置としては、複数の流路および複数のマイクロバルブを有しており、マイクロバルブを順次駆動させることで異なる種類の液体を順次送液できる流体取扱装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、基板と、フィルムと、回転可能な摺動部材とを有する流体取扱装置が記載されている。基板は、第1流路と、第2流路と、第1流路の一端および第2流路の一端に配置された隔壁とを有する。フィルムは、ダイヤフラムを有しており、隔壁と対向するように基板上に配置されている。摺動部材は、凸部が形成された裏面をフィルムに向けて配置されている。
特許文献1に記載の流体取扱装置では、摺動部材を回転させる事で、凸部によってダイヤフラムを隔壁に向けて押して接触させる。これにより、第1流路と第2流路とを遮断させる(バルブ閉)。一方、摺動部材をさらに回転させる事で、ダイヤフラムから凸部を離間させることで、ダイヤフラムと隔壁とを離間させる。これにより、第1流路と第2流路とを連通させる(バルブ開)。
国際公開第2018/030253号
特許文献1の流体取扱装置では、凸部を有する摺動部材が回転可能に構成されているため、円周上にバルブ構造(ダイヤフラム)を配置しなければならず、反応の順番を考慮して試薬を配置する必要がある。
一方、一般にフィルムを使用したバルブ構造を有する流体取扱装置では、ソレノイドなどのアクチュエーターによってバルブ構造を開閉することもある。しかしながら、このような流体取扱装置では、アクチュエーターの間隔以下の間隔でバルブ構造を配置できないため、装置が大型化してしまう。
本発明の目的は、バルブの位置の設計の自由度が高い流体取扱装置、流体取扱システムおよび移動基板を提供することである。
本発明に係る流体取扱装置は、流路チップの流路内の流体を制御するための流体取扱装置であって、前記流路チップは、第1流路と、第2流路と、前記第1流路と、前記第2流路との間に配置されたバルブと、を有し、前記流体取扱装置は、前記バルブのダイヤフラムを押圧するための押圧ピンと、前記ダイヤフラムを押圧しないように前記押圧ピンを前記流路チップから離れる方向に移動させて前記バルブを開かせるための凹部か、前記ダイヤフラムを押圧するように前記押圧ピンを前記流路チップに向けて移動させて前記バルブを閉じさせるための凸部が形成された移動基板と、前記押圧ピンを前記移動基板に向けて付勢する付勢部材と、前記移動基板を、前記流路チップの表面に平行な仮想面上において直線的に移動させる基板移動部と、を含む。
本発明に係る流体取扱システムは、流路チップと、本発明に係る流体取扱装置とを有する流体取扱システムであって、前記流路チップは、第1流路と、第2流路と、前記第1流路と、前記第2流路との間に配置されたバルブと、を有する。
本発明に係る移動基板は、流路チップの流路内の流体を制御するための流体取扱装置に用いられる移動基板であって、前記流路チップは、第1流路と、第2流路と、前記第1流路と、前記第2流路との間に配置されたバルブと、を有し、前記流体取扱装置は、前記バルブのダイヤフラムを押圧するための押圧ピンと、前記移動基板と、前記押圧ピンを前記移動基板に向けて付勢する付勢部材と、前記移動基板を、前記流路チップ表面に平行な仮想面上において直線的に移動させる基板移動部と、を含み、前記移動基板は、前記ダイヤフラムを押圧しないように前記押圧ピンを前記流路チップから離れる方向に移動させて前記バルブを開かせるための凹部か、前記ダイヤフラムを押圧するように前記押圧ピンを前記流路チップに向けて移動させて前記バルブを閉じさせるための凸部が形成されている。
本発明によれば、バルブの位置の設計の自由度が高い流体取扱装置、流体取扱システムおよび移動基板を提供できる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る流体取扱システムの分解斜視図である。 図2A、Bは、本発明の実施の形態1に係る流体取扱システムの構成を示す図である。 図3A、Bは、流路チップの構成を示す断面図である。 図4は、押圧ピンの構成を説明するための断面図である。 図5A〜Eは、本発明の実施の形態1に係る流体取扱システムの動作を説明するための図である。 図6A〜Eは、本発明の実施の形態2に係る流体取扱システムの動作を説明するための図である。 図7A、Bは、本発明の実施の形態3に係る流体取扱装置の構成を示す図である。 図8A、Bは、流路チップの構成を示す図である。 図9A、Bは、本発明の実施の形態3に係る流体取扱装置の動作を説明するための概念図である。 図10A、Bは、本発明の実施の形態3に係る流体取扱装置の動作を説明するための他の概念図である。
以下、本発明の実施の形態1に係る流体取扱システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
[実施の形態1]
(流体取扱システムの構成)
図1、図2A、Bは、本発明の実施の形態1に係る流体取扱システム100の構成を示す図である。図1は、流体取扱システム100の分解斜視図である。図2Aは、流体取扱システム100の底面図であり、図2Bは、図2Aに示されるA−A線の断面図である。なお、図1、図2Aでは、基板移動部134を省略している。
図1、図2A、Bに示されるように、流体取扱システム100は、流路チップ110と、流体取扱装置130とを有する。流体取扱システム100は、流路チップ110のダイヤフラム112aと流体取扱装置130の押圧ピン131とが対向するように流路チップ110を装着された状態で使用される。以下、流路チップ110について説明した後に、流体取扱装置130について説明する。
(流路チップの構成)
図3A、Bは、流路チップ110の構成を示す図である。図3Aは、流路チップ110の断面図であり、図3Bは、図3Aに示される破線領域における部分拡大断面図である。
図3A、Bに示されるように、流路チップ110は、流路基板111と、チップ用フィルム112とで構成されており、流路基板111の一方の面にチップ用フィルム112が接合されている。流路チップ110は、固定基板123に固定できるようになっている。流路チップ110は、第1流路113と、第2流路114と、バルブ115とを有する。なお、本実施の形態では、流路チップ110は、上記構成に加え、流体導入口116と、流体取出口117とをさらに有する。バルブ115は、第1流路113の一部と、第2流路114の一部と、第1流路113および第2流路114の間の隔壁118と、チップ用フィルム112のダイヤフラム112aとを有する。
流路基板111の表面には、流体導入口116と、流体取出口117とが形成されている。流路基板111の裏面には、第1流路113となる第1流路溝119と、第2流路114となる第2流路溝120とが形成されている。また、流路基板111には、流体導入口116および第1流路溝119を接続する第1貫通孔121と、第2流路溝120および流体取出口117を接続する第2貫通孔122とが形成されている。
流路基板111の厚みは、特に限定されない。たとえば、流路基板111の厚みは、1mm以上10mm以下である。ここで、「流路基板111の厚み」とは、流体導入口116および流体取出口117が形成されていない領域の厚みを意味する。また、流路基板111の材料は、公知の樹脂およびガラスから適宜選択されうる。流路基板111の材料の例には、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリスチレン、シリコーン樹脂およびエラストマーが含まれる。
流体導入口116は、流路基板111の表面に形成されており、流体を流路チップ110の内部に導入するための導入口である。流体導入口116の下流端(底部)は、第1貫通孔121の上流端に接続されている。流体導入口116の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、流体導入口116の形状は、円筒形状である。
第1貫通孔121は、流路基板111の表面および裏面に開口しており、流体導入口116から導入された流体を第1流路113に導く。第1貫通孔121の上流端は、流体導入口116の下流端に接続されており、第1貫通孔121の下流端は、第1流路溝119(第1流路113)の上流端に接続されている。第1貫通孔121の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、第1貫通孔121は、円柱形状である。
第1流路溝119は、流体導入口116から導入された流体が流れる第1流路113となる。第1流路溝119の上流端には、第1貫通孔121が配置されており、第1流路溝119の下流端には、隔壁118が配置されている。流路基板111に形成された第1流路溝119の開口部をチップ用フィルム112により閉塞することで第1流路113が形成される。
第1流路113の断面積および断面形状は、特に限定されない。本明細書において、「流路の断面」とは、流体が流れる方向に直交する流路の断面を意味する。第1流路113の断面形状は、例えば、一辺の長さ(幅および深さ)が数十μm程度の略矩形状である。第1流路113の断面積は、流体の流れ方向において、一定でもよいし、一定でなくてもよい。本実施の形態では、第1流路113の断面積は、第1流路113の上流端から下流端まで一定である。
第2流路溝120は、第1流路113から導入された流体が流れる第2流路114となる。第2流路溝120の上流端には、隔壁118を挟んで第1流路溝119の下流端が配置されており、第2流路溝120の下流端には、第2貫通孔122が配置されている。流路基板111に形成された第2流路溝120の開口部をチップ用フィルム112により閉塞することで第2流路114が形成される。
第2流路114の断面積および断面形状は、特に限定されない。第2流路114の断面形状は、例えば、一辺の長さ(幅および深さ)が数十μm程度の略矩形状である。第2流路114の断面積は、流体の流れ方向において、一定でもよいし、一定でなくてもよい。本実施の形態では、第2流路114の断面積は、第2流路114の上流端から下流端まで一定である。
隔壁118は、第1流路溝119の下流端と、第2流路溝120の上流端との間に配置された壁である。隔壁118は、第1流路113および第2流路114を開閉するためのバルブ115の台座として機能する。
第2貫通孔122は、流路基板111の表面および裏面に開口しており、第2流路114から導入された流体を流体取出口117に導く。第2貫通孔122の上流端は、第2流路溝120(第2流路114)の下流端に接続されており、第2貫通孔122の下流端は、流体取出口117の上流端に接続されている。第2貫通孔122の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、第2貫通孔122は、円柱形状である。
流体取出口117は、流路基板111の表面に形成されており、流体を流路チップ110の内部から取り出すための取出口である。流体取出口117の上流端(底部)は、第2貫通孔122の下流端に接続されている。流体取出口117の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、流体取出口117の形状は、円筒形状である。
チップ用フィルム112は、可撓性を有する。チップ用フィルム112は、略球冠形状のダイヤフラム112aを含む。チップ用フィルム112は、流路基板111の裏面に接合されている。ダイヤフラム112aは、流路基板111と対向した面の反対側の面に向けて突出している。
チップ用フィルム112の厚みは、ダイヤフラムとして機能することが可能であれば特に限定されない。たとえば、チップ用フィルム112の厚みは、30μm以上300μm以下である。また、チップ用フィルム112の材料も、ダイヤフラムとして機能することが可能であれば特に限定されない。たとえば、チップ用フィルム112の材料は、公知の樹脂から適宜選択されうる。チップ用フィルム112の材料の例には、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリスチレン、シリコーン樹脂およびエラストマーが含まれる。チップ用フィルム112は、例えば熱溶着やレーザ溶着、接着剤などにより流路基板111に接合される。
本実施の形態では、流路チップ110は、3つのバルブ115を有する。すなわち、本実施の形態では、流路チップ110は、3つの第1流路113と、3つの第2流路114と、3つのバルブ115と、3つの流体導入口116と、3つの流体取出口117とを有する。
(流体取扱装置の構成)
図4は、押圧ピン131の構成を示す断面図である。図1および図4に示されるように、流体取扱装置130は、押圧ピン131と、移動基板132と、付勢部材133と、基板移動部134(図2B参照)とを有する。本実施の形態では、流体取扱装置130は、上記の構成に加え、位置決め基板135と、装置用フィルム136と、固定基板123とをさらに有する。本実施の形態では、押圧ピン131と、移動基板132との間には、装置用フィルム136が配置されており、移動基板132と、流路チップ110との間には、位置決め基板135が配置されており、流路チップ110の反対側には、固定基板123が配置されている。
移動基板132は、少なくとも一方の面に凹部150または凸部が形成されている板である。移動基板132の厚みは、特に限定されない。例えば、移動基板132の厚みは、1mm以上10mm以下である。また、移動基板132の材料は、公知の金属、樹脂およびガラスから適宜選択されうる。移動基板132の材料の例には、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリスチレン、シリコーン樹脂およびエラストマーが含まれる。
移動基板132の流路チップ110側の表面には、1または2以上の凹部150か、1または2以上の凸部かが形成されている。移動基板132に凹部150が形成されている場合、凹部150は、移動基板132の表面から埋没しており、ダイヤフラム112aを押圧しないように押圧ピン131を流路チップ110から離れる方向に移動させてバルブ115を開かせる。この場合、凹部150ではない領域は、ダイヤフラム112aを押圧するように押圧ピン131を流路チップ110に向けて移動させてバルブ115を閉じさせる。凹部150の形状は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、凹部150は、略半球状に形成されている。凹部150の数は、特に限定されない。凹部150の数は、流路チップ110中のバルブ115の数や位置、バルブ115を開閉する回数などに応じて適宜設定される。
一方、凸部は、移動基板132の表面から突出しており、ダイヤフラム112aを押圧するように押圧ピン131を流路チップ110に向けて移動させてバルブ115を閉じさせる。この場合、凸部ではない領域は、ダイヤフラム112aを押圧しないように押圧ピン131を流路チップ110から離れる方向に移動させてバルブ115を開かせる。凸部の形状は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。凸部は、例えば、略半球状に形成されている。凸部の数は、特に限定されない。凸部の数は、流路チップ110中のバルブ115の数や位置、バルブ115を開閉する回数などに応じて適宜設定される。
なお、移動基板132が金属製であり、押圧ピン131の先端に後述する押圧球139を配置しない場合には、移動基板132と押圧ピン131との摺動性を高める観点から、移動基板132の押圧ピン131側の面には、コーティング処理が施されていることが好ましい。
基板移動部134は、移動基板132を、流路チップ110の表面に平行な仮想面上において直線的に移動させる。具体的には、基板移動部134は、移動基板132を、移動基板132の表面に沿った第1の方向および第1の方向に垂直な第2の方向の少なくともいずれか一方の方向に移動させる。基板移動部134は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、基板移動部134は、例えば、XYステージである。基板移動部134は、手動で移動基板132を移動させてもよいし、自動で移動基板132を移動させてもよい。
位置決め基板135は、1または2以上の位置決め用貫通孔137が形成されている板である。位置決め基板135には、1または2以上の位置決め用貫通孔137が形成されている。位置決め用貫通孔137は、流路チップ110のバルブ115と同じ位置に形成されている。位置決め用貫通孔137は、押圧ピン131が挿入可能に構成されており、流路チップ110に対して押圧ピン131を位置決めする。位置決め用貫通孔137の形状は、押圧ピン131を適切に位置決めすることができれば特に限定されない。本実施の形態では、位置決め用貫通孔137は、円柱状に形成されている。位置決め用貫通孔137の数は、押圧ピン131の数と同じである。
装置用フィルム136は、押圧ピン131に対して移動基板132を摺動させる際の移動基板132の移動を容易にするためのフィルムである。装置用フィルム136は、押圧ピン131と、移動基板132との間に配置されている。装置用フィルム136は、一方の面に1または2以上の押圧ピン131が接触しており、他方の面に移動基板132が接触している。
装置用フィルム136の材料は、公知の樹脂から適宜選択されうる。装置用フィルム136の材料の例には、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリスチレン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂およびエラストマーが含まれる。装置用フィルム136の材料は、移動基板132の摺動性を高める観点から、ポリイミド、フッ素樹脂が好ましい。装置用フィルム136の表面には、移動基板132の摺動性を高める観点から、摺動性を高めるためのコーティング処理が施されてもいてもよい。
押圧ピン131は、移動基板132の表面形状に応じて流路チップ110のダイヤフラム112aを押圧することで、流路チップ110のバルブ115の開閉動作を行う。押圧ピン131は、一端部が移動基板132(装置用フィルム136)側に位置するとともに、他端部が流路チップ110側に位置するように配置されている。押圧ピン131の構成は、ダイヤフラム112aを押圧できれば特に限定されない。押圧ピン131は、1部材であってもよいし、複数部材であってもよい。本実施の形態では、押圧ピン131は、押圧ピン本体138と、押圧球139とを有する。なお、本実施の形態のように、押圧ピン131が押圧球139を有している場合には、装置用フィルム136はなくてもよい。
押圧ピン本体138は、流路チップ110のダイヤフラム112aを押圧するためのピンである。押圧ピン本体138の側面には、凸部140が形成されている。凸部140は、付勢部材133の受け部として機能する。凸部140の形状は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。凸部140の形状は、押圧ピン本体138の側面を取り囲むように円環状に形成されていてもよいし、押圧ピン本体138の側面を取り囲むように複数の突起が形成されていてもよい。本実施の形態では、凸部140は、押圧ピン本体138の側面を取り囲むように円環状に形成されている。
押圧球139は、押圧ピン本体138の一端に回転可能に保持されており、装置用フィルム136(移動基板132)に接触している。押圧球139は、フィルムを介さずに直接移動基板132と接触している場合に特に有効であり、移動基板132が移動したときに転がることで移動基板132と押圧ピン131との間の摩擦を低減させる。
付勢部材133は、押圧ピン131を移動基板132に向けて付勢する。付勢部材133は、前述の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、付勢部材133は、圧縮コイルバネである。付勢部材133の内空部に押圧ピン本体138が位置するように配置する。
固定基板123は、流路チップ110を固定する。固定基板123は、複数の貫通孔124が形成されている。複数の貫通孔124には、流体導入口116および流体取出口117が位置決めされる。固定基板123の厚みは、特に限定されず、適宜設定できる。
(流体取扱システムの動作)
ここで、流体取扱システム100の動作について説明する。図5A〜Eは、流体取扱システム100の動作について説明するための図である。図5Aは、本動作の説明で使用する移動基板132の平面図であり、図5Bは、図5Aに示されるa−a線の位置にバルブ115が位置するときの断面図であり、図5Cは、図5Aに示されるb−b線の位置にバルブ115が位置するときの断面図であり、図5Dは、図5Aに示されるc−c線の位置にバルブ115が位置するときの断面図であり、図5Eは、図5Aに示されるd−d線の位置にバルブ115が位置するときの断面図である。図5Aの太線矢印は、移動基板132が移動する方向を示している。移動基板132は、一方向のみに移動するものとする。
なお、ここでは、説明の簡略化のため、移動基板132と、バルブ115を含む流路チップ110と、押圧ピン131のみを示している。
図5A、Bに示されるように、移動基板132が移動する前では、ダイヤフラム112aA、112aB、112aCのそれぞれが、押圧ピン131A、131B、131Cのそれぞれによって、流路基板111側に向かって押圧されて、バルブ115A、115B、115Cが閉じられている。
基板移動部134により、移動基板132を移動させると、凹部150Aが押圧ピン131Aの位置に移動する。このとき、押圧ピン131Aは付勢部材133により移動基板132側に付勢されているため、押圧ピン131Aは、移動基板132側に向けて移動する。これにより、バルブ115Aが開く。
次に、基板移動部134により、移動基板132をさらに移動させると、凹部150Aが押圧ピン131Aの位置から離れるとともに、凹部150Bが押圧ピン131Bの位置に移動する。このとき、押圧ピン131AはバルブAを閉じさせ、押圧ピン131Bはバルブ115Bを開かせる。
次に、基板移動部134により、移動基板132をさらに移動させると、凹部150Bが押圧ピン131Bの位置から離れるとともに、凹部150Cが押圧ピン131Cの位置に移動する。このとき、押圧ピン131Bはバルブ115Bを閉じさせ、押圧ピン131Cはバルブ115Cを開かせる。
(効果)
以上のように、実施の形態1に係る流体取扱システム100は、バルブ115の位置に応じて、押圧ピン131を配置することができる。また、移動基板132を一方向に移動させるだけで、バルブ115の開閉を行うことができる。これにより、バルブ115の位置の設計の自由度を高くできる。
[実施の形態2]
(流体取扱システムの構成)
実施の形態2に係る流体取扱システムは、基板移動部134が移動基板132を、移動基板132の表面に沿った第1の方向および第1の方向に垂直な第2の方向に移動させる点のみにおいて、実施の形態1に係る流体取扱システム100と異なる。よって、実施の形態2に係る流体取扱システムの構成の説明は省略する。
(流体取扱システムの動作)
図6A〜Eは、実施の形態2に係る流体取扱システムの動作について説明するための図である。図6Aは、本動作の説明に使用する移動基板132の平面図であり、図6Bは、図6Aに示されるa−a線の位置にバルブ115が位置するときの断面図であり、図6Cは、図6Aに示されるb−b線の位置にバルブ115が位置するときの断面図であり、図6Dは、図6Aに示されるb−b線の位置にバルブ115が位置するときの断面図であり、図6Eは、図6Aに示されるc−c線の位置にバルブ115が位置するときの断面図である。移動基板132は、第1の方向および第2の方向に移動するものとする。
なお、ここでは、説明の簡略化のため、移動基板132と、バルブ115を含む流路チップ110と、押圧ピン131のみを示している。
図6A、Bに示されるように、移動基板132が移動する前では、ダイヤフラム112aA、112aB、112aCのそれぞれが、押圧ピン131A、131B、131Cのそれぞれによって、流路基板111側に向かって押圧されて、バルブ115A、115B、115Cが閉じられている。
バルブ115Aのみを開かせる場合、基板移動部134により、移動基板132を第1の方向(X方向)に移動させる。そして、凹部150Aが押圧ピン131Aの位置に移動する。このとき、押圧ピン131Aは付勢部材133Aにより移動基板132側に付勢されているため、押圧ピン131は、移動基板132側に向けて移動する。これにより、バルブ115Aがのみ開く。
次に、バルブ115Aのみが開いた状態からバルブ115Bのみを開かせる場合、移動基板132を第2の方向(Y方向)に移動させる。凹部150Aが押圧ピン131Aの位置から離れるとともに、凹部150Aが押圧ピン131Bの位置に移動する。このとき、押圧ピン131Aはバルブ115Aを閉じさせ、押圧ピン131Bはバルブ115Bを開かせる。このようにして、バルブ115Bのみを開かせることができる。
次に、バルブ115Bのみが開いた状態からバルブ115Bおよびバルブ115Cを開かせる場合、移動基板132を第1の方向(X方向)に移動させる。凹部150Aが押圧ピン131Bの位置から離れ、凹部150Bが押圧ピン131Bの位置に移動するとともに、凹部Cが押圧ピン131Cの位置に移動する。このとき、押圧ピン131Bはバルブ115Bを一旦閉じさせた後、押圧ピン131Bがバルブ115Bを開かせるとともに、押圧ピン131Cがバルブ115Cを開かせる。このようにして、バルブ115Bおよびバルブ115Cを開かせることができる。
(効果)
実施の形態2に係る流体取扱システムは、実施の形態1に係る流体取扱システム100と同様の効果を有する。
なお、流体取扱装置130は、装置用フィルム136を有していなくてもよい。この場合、移動基板132の流路チップ110側の面をコーティングすることが好ましい。また、位置決め基板135は、板状でなくてもよく、ブロック状でもよい。また、位置決め用貫通孔137も押圧ピン131を固定できれば、貫通孔でなくてもよく、切り欠き部でもよい。
[実施の形態3]
次に、実施の形態3に係る流体取扱装置200について説明する。本実施の形態に係る流体取扱装置200は、流路チップ300のダイヤフラムを押圧するためのものである。従来の内側プッシャーおよび外側プッシャーを有する流体取扱装置では、ダイヤフラムを押圧するときに、流路チップに対する押圧力を変化させて、内側プッシャーで押圧するか、外側プッシャーで押圧するかを切り替えていた。よって、電気アクチュエーターが必要となり構造が複雑なものとなっていた。本実施の形態に係る流体取扱装置200は、このような課題を解決するための装置である。図7は、流体取扱装置200の構成を示す断面図である。図7Aは、流体取扱装置200の平面図であり、図7Bは、図7Aに示されるA−A線の断面図である。
流体取扱装置200は、図示されていない保持部により流路チップ300を保持することができ、保持された流路チップ300の流路340内の流体を制御する。図7に示されるように、流体取扱装置200は、動力部210と、軸受部220と、第1ロータリー部材230と、第2ロータリー部材240とを有する。
動力部210は、第2ロータリー部材240を回転させるために機能する。動力部210の構成は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、動力部210は、回転動力源(図示省略)と、回転軸211とを有する。回転動力源の種類は、特に限定されない。本実施の形態では、回転動力源は、第2ロータリー部材240の回転を正確に制御できるステッピングモーターである。動力部210の回転軸211には、第2ロータリー部材240が接続されている。動力部210の回転軸211が回転することにより、第2ロータリー部材240が第2回転軸を中心に回転する。動力部210の回転軸211の回転方向は、時計回りである第1方向と、反時計回りである第2方向とを含む。
軸受部220は、第1ロータリー部材230および第2ロータリー部材240を回転可能に支持する。軸受部220の構造は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、軸受部220は、いわゆるアンギュラ玉軸受であり、内輪221と、外輪222と、複数の転動体223とを有する。内輪221の上面には第1ロータリー部材230の軸部231が着座しており、内輪221の内側には第1ロータリー部材230の軸部231が篏合している。外輪222の外側には、第2ロータリー部材240の内面が篏合している。
第1ロータリー部材230は、第1回転軸を中心として回転可能な部材である。第1ロータリー部材230は、第2ロータリー部材240が回転することにより生じる動力で回転する。第1ロータリー部材230は、軸部231と、天板232と、第1凸部233と、第1回転突起234とを有する。
軸部231は、第1回転軸を中心として回転する。軸部231は、段部236を有している。軸部231の外周面は内輪221の内周面に接触することが好ましく、軸部231の段部236が内輪221の上面に接触することで、第1ロータリー部材230が軸受部220に位置決めされる。軸部231の天面には、天板232が配置されている。
天板232の表面には、第1凸部233が配置されており、裏面には、第1回転突起234が配置されている。第1凸部233は、流路チップ300の第1ダイヤフラム334(図8参照)を押圧する。第1凸部233の数および形状は、流路チップ300の構成に応じて適宜設定される。本実施の形態では、第1凸部233は、第1ロータリー部材230の回転方向に沿って延在している1つの凸条である。より具体的には、第1凸部233は、円弧状に延在しているが、特定の位置に第1切り欠き部235を有している。第1切り欠き部235の大きさは、後述する流路チップ300の流路の一つを開放する大きさである。第1回転突起234は、第2ロータリー部材240の第2回転突起243と係合することで、第2ロータリー部材240により回転させられる。本実施の形態では、第1回転突起234は、天板232の裏面に配置されている。第1回転突起234と、第1切り欠き部235との位置関係は、特に限定されない。本実施の形態では、第1回転突起234は、第1回転軸を挟んで、第1切り欠き部235と反対側の位置に配置されている。第1回転突起234の数および形状は、第2ロータリー部材240の第2回転突起243の位置および流路チップ300の構成に応じて適宜設定される。本実施の形態では、第1回転突起234は、軸部231から径方向外側に向けて突出している。
第2ロータリー部材240は、第2回転軸を中心として回転可能な部材である。第2ロータリー部材240は、筒部241と、第2凸部242と、第2回転突起243とを有する。第2ロータリー部材240の内面には、軸受部220の外輪222が着座している。
筒部241は、第1ロータリー部材230を取り囲むように形成されている。本実施の形態では、筒部241は、略円筒形状に形成されている。筒部241は、動力部210の上面に着座しており、回転軸211と係合している。これにより、動力部210の回転軸211が回転することにより、第2ロータリー部材240が第2回転軸を中心として回転する。
第2凸部242は、第2ロータリー部材240の上側端部に配置されている。第2凸部242は、流路チップ300の第2ダイヤフラム354(図8参照)を押圧する。第2凸部242の数および形状は、流路チップ300の構成に応じて適宜設定される。本実施の形態では、第2凸部242は、第2ロータリー部材240の回転方向に沿って延在している1つの凸条である。より具体的には、第2凸部242は、円弧状に延在しているが、特定の位置に第2切り欠き部244を有している。第2切り欠き部244の大きさは、後述する流路チップ300の流路の一つを開放する大きさである。第2ロータリー部材240は、第2回転突起243が第1ロータリー部材230の第1回転突起234と係合することで、第1ロータリー部材230を回転させる。第2回転突起243は、筒部241の内面に配置されている。第2回転突起243と、第2切り欠き部244との位置関係は、特に限定されない。本実施の形態では、第2回転突起243と、第2切り欠き部244との位置関係は、対向する位置に配置されている。第2回転突起243の数および形状は、第1ロータリー部材230の第1回転突起234および流路チップ300の構成に応じて適宜設定される。本実施の形態では、第2回転突起243は、筒部241の内側面から径方向内側に向けて突出している。
動力部210の回転軸211に対して第2ロータリー部材240を固定し、第2ロータリー部材240の内部に軸受部220を配置する。そして、第2ロータリー部材240に対して第1ロータリー部材230を配置することで、流体取扱装置200を組み立てる。
(流路チップの構成)
次に、流路チップ300について説明する。前述のとおり、流体取扱装置200は、図示されていない保持部により流路チップ300を保持することが可能であり、保持された流路チップ300の流路内の流体を制御する。より具体的には、流路チップ300は、複数のダイヤフラムを有しており、流体取扱装置200は、第1凸部233および第2凸部242によりダイヤフラムを押圧することで、流路チップ300の流路内の流体を制御する。
図8A、Bは、本実施の形態における流路チップ300の構成を示す図である。図8Aは、流路チップ300の平面図であり、図8Bは、図8Aに示されるA−A線の断面図である。
図8A、Bに示されるように、流路チップ300は、基板310およびフィルム320を有する。基板310には、本実施の形態の効果を得られる範囲内において、溝および貫通孔が適宜に形成されている。フィルム320は、基板310に形成された溝および貫通孔の開口部を塞ぐように基板310の一方の面に接合されている。フィルム320の一部の領域は、ダイヤフラムとして機能する。フィルム320により塞がれた基板310の溝は、試薬や液体試料、気体、紛体などの流体を流すための流路となる。
基板310の厚みは、特に限定されない。たとえば、基板310の厚みは、1mm以上10mm以下である。また、基板310の材料も、特に限定されない。たとえば、基板310の材料は、公知の樹脂およびガラスから適宜選択されうる。基板310の材料の例には、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリスチレン、シリコーン樹脂およびエラストマーが含まれる。
フィルム320の厚みは、ダイヤフラムとして機能することが可能であれば特に限定されない。たとえば、フィルム320の厚みは、30μm以上300μm以下である。また、フィルム320の材料も、特に限定されない。たとえば、フィルム320の材料は、公知の樹脂から適宜選択されうる。フィルム320の材料の例には、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリスチレン、シリコーン樹脂およびエラストマーが含まれる。フィルム320は、例えば熱溶着やレーザ溶着、接着剤などにより基板310に接合される。
本実施の形態に係る流路チップ300は、4つの導入ユニット330a〜330dと、1つの流路340と、4つの収容ユニット350a〜350dとを有する。4つの導入ユニット330a〜330dおよび4つの収容ユニット350a〜350dのそれぞれは、ダイヤフラムバルブを有している。また、流路340は、4つの導入ユニット330a〜330dに接続された第1流路341と、4つの収容ユニット350a〜350dに接続された第2流路342と、第1流路341および第2流路342を連絡する連絡流路343とを有する。4つの導入ユニット330a〜330dは、同一の円周上に配置されている。また、4つの収容ユニット350a〜350dは、同一の円周上に配置されている。4つの導入ユニット330a〜330dが配置された第1円と、4つの収容ユニット350a〜350dが配置された第2円とは、同心円状となるように配置されている。
4つの導入ユニット330a〜330dは、位置は異なるものの同一構造である。したがって、導入ユニット330aについてのみ説明し、導入ユニット330b〜330dについての説明は省略する。
導入ユニット330aは、導入部331と、第1接続流路332と、第1隔壁333と、第1流路341と、第1ダイヤフラム334とを有する。第1隔壁333および第1ダイヤフラム334は、第1接続流路332と第1流路341との間に位置するダイヤフラムバルブとして機能する。
導入部331は、流体を導入するための有底の凹部である。本実施の形態では、導入部331は、基板310に形成されている貫通孔と、当該貫通孔の一方の開口部を閉塞しているフィルム320とから構成されている。導入部331の形状および大きさは、特に限定されず、必要に応じて適宜設定されうる。導入部331の形状は、例えば、略円柱形状である。導入部331の幅は、例えば2mm程度である。導入部331に収容されうる流体は、流路チップ300の用途に応じて適宜選択されうる。当該流体は、試薬や液体試料、紛体などの流体である。
第1接続流路332は、その内部を流体が移動しうる流路である。第1接続流路332の上流端には導入部331が接続されており、下流端には第1隔壁333が配置されている。本実施の形態では、第1接続流路332は、基板310に形成されている溝と、当該溝の開口部を閉塞しているフィルム320とから構成されている。第1接続流路332の断面積および断面形状は、特に限定されない。本明細書において、「流路の断面」とは、流体が流れる方向に直交する流路の断面を意味する。第1接続流路332の断面形状は、例えば、一辺の長さ(幅および深さ)が数十μm程度の略矩形状である。第1接続流路332の断面積は、流体の流れ方向において、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。本実施の形態では、第1接続流路332の断面積は、一定である。
第1隔壁333は、第1接続流路332の下流端と、第1流路341の上流端との間に配置されている壁である。第1隔壁333は、第1接続流路332と第1流路341との間を開閉するためのダイヤフラムバルブの弁座として機能する。第1隔壁333の形状および高さは、上記の機能を発揮することができれば、特に限定されない。第1隔壁333の形状は、例えば、四角柱形状である。第1隔壁333の高さは、例えば、第1接続流路332および第1流路341の深さと同じである。
第1流路341は、その内部を流体が移動しうる流路である。より具体的には、第1流路341は、第1隔壁333および第1ダイヤフラム334の間の隙間を介して第1接続流路332から移動してきた流体が流れる流路である。第1流路341の側壁には、第1隔壁333が配置されている。第1流路341には、複数の導入部331が接続されており、連絡流路343に接続されている。本実施の形態では、第1流路341は、基板310に形成されている溝と、当該溝の開口部を閉塞しているフィルム320とにより構成されている。第1流路341の断面積および断面形状については、第1流路341の断面積および断面形状と同様である。
第1ダイヤフラム334は、可撓性を有するフィルム320の一部であり、略球冠形状を有している。フィルム320は、第1ダイヤフラム334が第1隔壁333に非接触でかつ対向するように基板310上に配置されている。第1ダイヤフラム334は、第1ロータリー部材230の第1凸部233により押圧されたときに第1隔壁333に向かって撓む。すなわち、第1ダイヤフラム334は、ダイヤフラムバルブの弁体として機能する。第1凸部233が第1ダイヤフラム334を押圧していないとき、第1接続流路332および第1流路341は、第1ダイヤフラム334および第1隔壁333の隙間を介して互いに連通した状態となる。一方、第1ダイヤフラム334が第1隔壁333に接触するように第1凸部233が第1ダイヤフラム334を押圧しているとき、第1接続流路332および第1流路341は互いに連通しない状態となる。
第1ダイヤフラム334と第1隔壁333の間隔は、所望の流体の流量や、第1ダイヤフラム334と第1隔壁333との密着のしやすさなどの観点から、適宜設定されうる。この間隔が大きいほど、流体は第1ダイヤフラム334および第1隔壁333の間の隙間を移動しやすくなり、この間隔が小さいほど、第1ダイヤフラム334と第1隔壁333とを密着させやすくなる。
4つの収容ユニット350a〜350dは、位置は異なるものの同一構造である。したがって、収容ユニット350aについてのみ説明し、収容ユニット350b〜350dについての説明は省略する。
収容ユニット350aは、収容部351、第2接続流路352、第2隔壁353、第2流路342および第2ダイヤフラム354を有する。第2隔壁353および第2ダイヤフラム354は、第2接続流路352と第2流路342との間に位置するダイヤフラムバルブとして機能する。
収容部351は、流体を収容するための有底の凹部である。本実施の形態では、収容部351は、基板310に形成されている貫通孔と、当該貫通孔の一方の開口部を閉塞しているフィルム320とから構成されている。収容部351の形状および大きさは、特に限定されず、必要に応じて適宜設定されうる。収容部351の形状は、例えば、略円柱形状である。収容部351の幅は、例えば2mm程度である。収容部351に収容されうる流体は、流路チップ300の用途に応じて適宜選択されうる。当該流体は、試薬や液体試料、紛体などの流体である。
第2接続流路352は、その内部を流体が移動しうる流路である。第2接続流路352の上流端には第2隔壁353が配置されており、下流端には収容部351が接続されている。本実施の形態では、第2接続流路352は、基板310に形成されている溝と、当該溝の開口部を閉塞しているフィルム320とから構成されている。第2接続流路352の断面積および断面形状は、特に限定されない。第2流路342の断面形状は、例えば、一辺の長さ(幅および深さ)が数十μm程度の略矩形状である。第2接続流路352の断面積は、流体の流れ方向において、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。本実施の形態では、第2接続流路352の断面積は、一定である。
第2隔壁353は、第2接続流路352の上流端と、第2流路342との間に配置されている壁である。第2隔壁353は、第2接続流路352と第2流路342との間を開閉するためのダイヤフラムバルブの弁座として機能する。第2隔壁353の形状および高さは、上記の機能を発揮することができれば、特に限定されない。第2隔壁353の形状は、例えば、四角柱形状である。第2隔壁353の高さは、例えば、第2接続流路352および第2流路342の深さと同じである。
第2流路342は、その内部を流体が移動しうる流路である。より具体的には、第2流路342は、連絡流路343から移動してきた流体が流れる流路である。第2流路には、複数の収容ユニット350a〜350dが接続されている。本実施の形態では、第2流路342は、基板310に形成されている溝と、当該溝の開口部を閉塞しているフィルム320とにより構成されている。第2流路342の断面積および断面形状については、第1流路341の断面積および断面形状と同様である。
第2ダイヤフラム354は、可撓性を有するフィルム320の一部であり、略球冠形状を有している。フィルム320は、第2ダイヤフラム354が第2隔壁353に非接触でかつ対向するように基板310上に配置されている。第2ダイヤフラム354は、第2ロータリー部材240の第2凸部242により押圧されたときに第2隔壁353に向かって撓む。すなわち、第2ダイヤフラム354は、ダイヤフラムバルブの弁体として機能する。第2凸部242が第2ダイヤフラム354を押圧していないとき、第2流路342および第2接続流路352は、第2ダイヤフラム354および第2隔壁353の隙間を介して互いに連通した状態となる。一方、第2ダイヤフラム354が第2隔壁353に接触するように第2凸部242が第2ダイヤフラム354を押圧しているとき、第2流路342および第2接続流路352は互いに連通しない状態となる。
第2ダイヤフラム354と第2隔壁353の間隔は、所望の流体の流量や、第2ダイヤフラム354と第2隔壁353との密着のしやすさなどの観点から、適宜設定されうる。この間隔が大きいほど、流体は第2ダイヤフラム354および第2隔壁353の間の隙間を移動しやすくなり、この間隔が小さいほど、第2ダイヤフラム354と第2隔壁353とを密着させやすくなる。
(流体取扱装置の動作)
次に、流体取扱装置200が流路チップ300内の流体を制御する方法について説明する。ここでは、4つの導入ユニット330a〜330dのうち、導入ユニット330aの導入部331内に収容されている流体と、導入ユニット330cの導入部331内に収容されている流体とを、収容部351内において混合する例について説明する。
図9A、Bおよび図10A、Bは、流体取扱装置200の動作を説明するための概念図である。これらの図では、流体取扱装置200の第1ロータリー部材230の第1凸部233および第2ロータリー部材240の第2凸部242と、流路チップ300の第1ダイヤフラム334および第2ダイヤフラム354と、第1回転突起234および第2回転突起243との位置関係を主として示しており、実際の部材における配置とは異なる。
まず、4つの導入ユニット330a〜330dの導入部331内のそれぞれに、所定の流体をあらかじめ収容しておく。そして、流路チップ300を流体取扱装置200の所定の位置(第1ロータリー部材230および第2ロータリー部材240の上)にセットする(図9A参照)。これにより、第1ロータリー部材230の第1凸部233および第2ロータリー部材240の第2凸部242は、流路チップ300のフィルム320に当接する。なお、第1ロータリー部材230および第2ロータリー部材240とフィルム320との間に、別のフィルムなどが配置されていてもよい。
次いで、動力部210を駆動させて、第1切り欠き部235が収容ユニット350aの第2ダイヤフラム354上に位置するまで第2ロータリー部材240を時計回りに回転させる(図9B参照)。このとき、第1ロータリー部材230の第1回転突起234と第2ロータリー部材240の第2回転突起243とが係合している。これにより、第2回転軸を中心に第2ロータリー部材240を時計回りに回転させることで、第1回転軸を中心に第1ロータリー部材230が回転させられる。これにより、収容ユニット350aのダイヤフラムバルブが開状態となり、収容ユニット350aの第2接続流路352と第2流路342とが連通する。一方、この状態では、収容ユニット350bの第2ダイヤフラム354、収容ユニット350cの第2ダイヤフラム354および収容ユニット350dの第2ダイヤフラム354は、第1凸部233により押圧される(図9B参照)。このため、収容ユニット350b〜350dのダイヤフラムバルブは閉状態となり、収容ユニット350bの収容部351、収容ユニット350cの収容部351および収容ユニット350dの収容部351と、第2接続流路342とは連通しない状態となる。
次いで、動力部210を駆動させて、第2切り欠き部244が導入ユニット330aの第1ダイヤフラム334上に位置するまで第2ロータリー部材240を反時計回りに回転させる(図10A参照)。このとき、第1ロータリー部材230の第1回転突起234と、第2ロータリー部材240の第2回転突起243とが係合していないため、第2ロータリー部材240のみが回転する。これにより、導入ユニット330aのダイヤフラムバルブが開状態となり、導入ユニット330aの第1接続流路332と第1流路341とが連通する。一方、この状態では、導入ユニット330bの第1ダイヤフラム334、導入ユニット330cの第1ダイヤフラム334および導入ユニット330dの第1ダイヤフラム334は、第2凸部242により押圧される(図10A参照)。このため、導入ユニット330b〜330dのダイヤフラムバルブは閉状態となり、導入ユニット330bの導入部331、導入ユニット330cの導入部331および導入ユニット330dの導入部331と、第1流路341とは連通しない状態となる。
このように、導入ユニット330aの導入部331および収容ユニット350aの収容部351のみが第1流路341、連絡流路343および第2流路342に連通した状態で、導入ユニット330aの導入部331内を昇圧するか収容ユニット350aの収容部351内を減圧すると、導入ユニット330aの導入部331内に収容されている流体は、収容ユニット350aの収容部351内に移動する。
次いで、動力部210を駆動させて、第2切り欠き部244が導入ユニット330cの第1ダイヤフラム334上に位置するまで第2ロータリー部材240を反時計回りに回転させる(図10B参照)。このとき、第1ロータリー部材230の第1回転突起234と、第2ロータリー部材240の第2回転突起243とが係合していないため、第2ロータリー部材240のみが回転する。これにより、導入ユニット330cのダイヤフラムバルブが開状態となり、導入ユニット330cの第1接続流路332と第1流路341とが連通する。
このように、導入ユニット330cの導入部331および収容ユニット350aの収容部351のみが第1流路341、連絡流路343および第2流路342に連通した状態で、導入ユニット330cの導入部331内を昇圧するか収容ユニット350aの収容部351内を減圧すると、導入ユニット330aの導入部331内に収容されている流体は、収容ユニット350aの収容部351内に移動する。その結果、収容部351a内において、導入ユニット330aの導入部331内に収容されていた流体と、導入ユニット330cの導入部331内に収容されていた流体とが混合される。
流体取扱装置は、動力部と、前記動力部の回転軸に第1回転軸が固定され、前記第1回転軸を中心に回転する第1ロータリー部材と、前記第1ロータリー部材と係合し、前記第1ロータリー部材の回転に伴い第2回転軸を中心に回転する第2ロータリー部材とを有し、前記第2ロータリー部材は、第1回転軸を中心に前記第1ロータリー部材を第1の方向に回転させることにより所定の角度位置に回転させられ、前記第1ロータリー部材は、前記第2回転軸を中心に前記第1の方向とは逆方向の第2の方向に回転させることにより、所定の角度位置に回転させられる。
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る流体取扱装置200は、第1ロータリー部材230を回転させることで、第1ロータリー部材230および第2ロータリー部材240を回転させて、流路チップ300内の流体を複雑に制御することができる。
なお、本実施の形態では、第2ロータリー部材240を動力部210で回転させたが、第1ロータリー部材230を動力部210で回転させてもよい。この場合、第1ロータリー部材230を回転させることで、第2ロータリー部材240も回転させることができる。
本発明の流体取扱システムは、例えば、臨床検査や食物検査、環境検査などの様々な用途において有用である。
100 流体取扱システム
110 流路チップ
111 流路基板
112 チップ用フィルム
112a、112aA、112aB、112aC ダイヤフラム
113 第1流路
114 第2流路
115、115A、115B、115C バルブ
116 流体導入口
117 流体取出口
118 隔壁
119 第1流路溝
120 第2流路溝
121 第1貫通孔
122 第2貫通孔
123 固定基板
124 貫通孔
130 流体取扱装置
131、131A、131B、131C 押圧ピン
132 移動基板
133 付勢部材
134 基板移動部
135 位置決め基板
136 装置用フィルム
137 位置決め用貫通孔
138 押圧ピン本体
139 押圧球
140 凸部
150、150A、150B、150C 凹部
200 流体取扱装置
210 動力部
211 回転軸
220 軸受部
221 内輪
222 外輪
223 転動体
230 第1ロータリー部材
231 軸部
232 天板
233 第1凸部
234 第1回転突起
235 第1切り欠き部
236 段部
240 第2ロータリー部材
241 筒部
242 第2凸部
243 第2回転突起
244 第2切り欠き部
300 流路チップ
310 基板
320 フィルム
330a、330b、330c、330d 導入ユニット
331 導入部
332 第1接続流路
333 第1隔壁
334 第1ダイヤフラム
340 流路
341 第1流路
342 第2流路
343 連絡流路
350a、350b、350c、350d 収容ユニット
351 収容部
352 第2接続流路
353 第2隔壁
354 第2ダイヤフラム

Claims (6)

  1. 流路チップの流路内の流体を制御するための流体取扱装置であって、
    前記流路チップは、
    第1流路と、
    第2流路と、
    前記第1流路と、前記第2流路との間に配置されたバルブと、
    を有し、
    前記流体取扱装置は、
    前記バルブのダイヤフラムを押圧するための押圧ピンと、
    前記ダイヤフラムを押圧しないように前記押圧ピンを前記流路チップから離れる方向に移動させて前記バルブを開かせるための凹部か、前記ダイヤフラムを押圧するように前記押圧ピンを前記流路チップに向けて移動させて前記バルブを閉じさせるための凸部が形成された移動基板と、
    前記押圧ピンを前記移動基板に向けて付勢する付勢部材と、
    前記移動基板を、前記流路チップの表面に平行な仮想面上において直線的に移動させる基板移動部と、
    を含む、
    流体取扱装置。
  2. 前記押圧ピンは、
    押圧ピン本体と、
    前記押圧ピン本体の前記移動基板側の端部に配置され、回転可能に保持された押圧球と、
    を有する、
    請求項1に記載の流体取扱装置。
  3. 前記移動基板と、前記流路チップとの間に配置され、前記流路チップに対して前記押圧ピンを位置決めするための位置決め基板をさらに有する、
    請求項1または請求項2に記載の流体取扱装置。
  4. 前記押圧ピンと、前記移動基板との間に配置されたフィルムをさらに有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体取扱装置。
  5. 流路チップと、請求項1〜4のいずれか一項に記載の流体取扱装置とを有する流体取扱システムであって、
    前記流路チップは、
    第1流路と、
    第2流路と、
    前記第1流路と、前記第2流路との間に配置されたバルブと、を有する、
    流体取扱システム。
  6. 流路チップの流路内の流体を制御するための流体取扱装置に用いられる移動基板であって、
    前記流路チップは、
    第1流路と、
    第2流路と、
    前記第1流路と、前記第2流路との間に配置されたバルブと、
    を有し、
    前記流体取扱装置は、
    前記バルブのダイヤフラムを押圧するための押圧ピンと、
    前記移動基板と、
    前記押圧ピンを前記移動基板に向けて付勢する付勢部材と、
    前記移動基板を、前記流路チップ表面に平行な仮想面上において直線的に移動させる基板移動部と、
    を含み、
    前記移動基板は、前記ダイヤフラムを押圧しないように前記押圧ピンを前記流路チップから離れる方向に移動させて前記バルブを開かせるための凹部か、前記ダイヤフラムを押圧するように前記押圧ピンを前記流路チップに向けて移動させて前記バルブを閉じさせるための凸部が形成されている、
    移動基板。
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