JP2020114921A - インクジェット印刷用インク - Google Patents
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Abstract
【課題】生体安全性が高く、インクジェットプリンタから安定して吐出が可能であり、さらに得られる画像の耐久性が高いインクジェット印刷用インクを提供する。【解決手段】本インクジェット印刷用インクでは、顔料と、アクリル系粒子と、アルコールと、水と、を含む。このとき、前記アルコールが、少なくとも3価のアルコールを含むものとし、前記インクジェット印刷用インク全質量に対する、前記アルコールの含有量を30質量%以下とし、前記顔料10質量部に対する、前記アクリル系粒子の量を0.5〜10質量部とし、さらに、皮膚刺激性を陰性とする。【選択図】なし
Description
本開示は、吐出安定性に優れ、かつ生体に対して安全性を有するインクジェット印刷用インクに関するものである。
インクジェットプリンタは、低騒音、及び低ランニングコスト等の利点から目覚しく普及しており、普通紙に印字可能なカラープリンタも市場に盛んに提供されるようになっている。しかしながら、インクジェットプリンタにおいて、画像の色再現性、画像の乾燥性、文字にじみ、色境界にじみ、吐出安定性などの要求される全ての特性を満たすことは非常に困難である。したがって、用途や、優先される特性を基準に、適用するインクの種類が選択されている。
例えば、染料、顔料等の着色剤や、グリセリン等の湿潤剤を含む、水を主成分とする水性インクが一般に知られている。しかしながら、このような水性インクは、被印刷体の種類によっては、画像の定着性が不十分となることがあった。
また近年、有機溶剤を配合した、乾燥性の高いインクも提供されている。しかしながら、有機溶剤を含むインクは生体や環境への安全面で劣ることがある。したがって、このようなインクは、生体安全性が要求される用途には、実用的ではなかった。
一方、印刷可能な被印刷体の種類を広げるために、UV照射等により硬化するUV硬化型樹脂を含むインクも提供されている。しかしながら、このような反応性の化合物を含むインクでは、未反応の化合物が残存する可能性があり、このような未反応の化合物も、生体等に影響を及ぼす可能性がある。したがって、UV硬化型のインクも、生体安全性が要求される用途には実用的ではなかった。
ここで、生体安全性が高いインクとして、食用インクが提案されている。例えば、水、アルコール、界面活性剤、隠蔽力を有する可食性の不溶性無機質微粉末、増粘剤、樹脂、食用高分子物質等を含む食用のスクリーン印刷用インクが提案されている(例えば特許文献1)。また、水溶性バインダに、化粧料用粉状剤及び油成を分散させた混濁液を、スクリーン印刷にて流し込んだカード型化粧品等も提案されている(たとえば特許文献2)。しかしながら、これらのインクや懸濁液はスクリーン印刷法に適した組成となっており、これらをインクジェット印刷用のインクに直ちに適用することは困難であった。一方、インクジェット印刷可能な可食性インクとして、食用色素を含むインクも報告されている(特許文献3)。
しかしながら、特許文献3に記載されているような、可食性のインクでは、着色材の光や酸素による劣化が生じやすく、得られる画像の耐久性が低い等の課題があり、生体安全性や耐久性、吐出安定性を兼ね備えたインクジェット印刷用インクは得られていないのが実状であった。
本開示は、このような課題を鑑みてなされたものである。すなわち、本開示は、生体安全性が高く、インクジェットプリンタから安定して吐出が可能であり、さらに得られる画像の耐久性が高いインクジェット印刷用インクを提供する。
本発明者らが鋭意検討したところ、顔料、アクリル系粒子、アルコール、水を含むインクジェット印刷用インクにおいて、アルコールの含有量を一定量以下とし、さらにアルコールに3価のアルコールを少なくとも含むことで、インクジェットプリンタから安定して吐出可能となることを見出した。またこのとき、顔料に対するアクリル系粒子の量を一定範囲とすることで、得られる画像の定着性が良好となることも見出した。また、顔料、アクリル系粒子、アルコール、及び水を主に含むインクとすることで、高い耐久性と生体安全性とを兼ね備えたインクとできることも見出し、本願に至った。
[1]顔料と、アクリル系粒子と、アルコールと、水と、を含むインクジェット印刷用インクであり、前記アルコールが3価のアルコールを含み、前記インクジェット印刷用インク全質量に対する、前記アルコールの含有量が30質量%以下であり、前記顔料10質量部に対する、前記アクリル系粒子の含有量が0.5〜10質量部であり、皮膚刺激性が陰性である、インクジェット印刷用インク。
[2]前記3価のアルコールがグリセリンである、[1]に記載のインクジェット印刷用インク。
[3]前記アルコールが、2価のアルコールをさらに含む、[1]または[2]に記載のインクジェット印刷用インク。
[3]前記アルコールが、2価のアルコールをさらに含む、[1]または[2]に記載のインクジェット印刷用インク。
本開示のインクジェット印刷用インクは、生体安全性が高く、インクジェットプリンタから安定して吐出可能であり、さらに得られる画像の耐久性や定着性が高い。したがって、普通紙や、専用記録紙、プラスチック、布などの各種被印刷体に高精細な画像形成が可能である。
本開示のインクジェット印刷用インクは、顔料、アクリル系粒子、アルコール、及び水を少なくとも含む。インクジェット印刷用インクは、必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。
本開示のインクジェット印刷用インクは、皮膚刺激性が陰性である。つまり生体安全性が高いことから、各種用途に適用可能であり、例えば皮膚等と接触して使用される被印刷体にも適用が可能である。ここで、本開示において、「皮膚刺激性が陰性である」とは、皮膚刺激性試験の代替法である三次元皮膚モデルにて試験を行った場合に、細胞の生存率が50%超であることをいう。当該皮膚刺激性試験の代替法では、5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液を刺激性コントロールとし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を陰性コントロールとして行う。また、インクを、三次元皮膚モデルに18時間曝露した後、MTT試験によって、細胞の生存率を評価する。
本開示において、インクジェット印刷用インクの皮膚刺激性を陰性にする手法の一例として、インクジェット印刷用インクに含まれる全ての成分を、薬事法に基づく化粧品の成分表示名称リストに掲載のある成分とする手法が挙げられる。
ここで、本開示のインクジェット印刷用インクは、少なくとも3価のアルコールを含む。一般に、インクの乾燥性が過度に高いと、インクジェットプリンタのインクジェットヘッドで目詰まり等が生じやすくなる。これに対し、本開示のインクジェット印刷用インクのように、3価のアルコールを含むと、インクジェット印刷用インクの乾燥性を適度に調整され、目詰まり等を生じさせずに、インクジェットプリンタから安定して吐出させることが可能となる。
また、インクジェット印刷用インクでは、顔料の含有量に対するアクリル系粒子の含有量が一定の範囲である。そのため、インクジェット印刷用インクから得られる画像において、アクリル系粒子が顔料と被印刷体とを結着させるバインダとして機能し、画像の定着性が非常に高くなり、得られる画像の耐水性も高まる。また、本開示のインクジェット印刷用インクでは、インクを着色するための成分が顔料であることから、光や酸素によって画像が劣化し難く、画像の耐久性が高くなる。
以下、このようなインクジェット印刷用インクが含む各成分について、説明する。
(顔料)
本開示のインクジェット印刷用インクが含む顔料は、特に制限されないが、皮膚刺激性の観点から、前述のように、薬事法に基づく化粧品の成分表示名称リストに掲載のある成分から選択されるものであることが好ましい。顔料は、公知の無機顔料や有機顔料のいずれであってもよい。当該顔料は、被印刷物の色に要求される色や外観に応じて、適宜選択される。顔料には、例えばインクジェット印刷用インクを着色するための有色顔料だけでなく、画像に光沢を付与するためのパール顔料等も含むものとする。インクジェット印刷用インクには、顔料が一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。
本開示のインクジェット印刷用インクが含む顔料は、特に制限されないが、皮膚刺激性の観点から、前述のように、薬事法に基づく化粧品の成分表示名称リストに掲載のある成分から選択されるものであることが好ましい。顔料は、公知の無機顔料や有機顔料のいずれであってもよい。当該顔料は、被印刷物の色に要求される色や外観に応じて、適宜選択される。顔料には、例えばインクジェット印刷用インクを着色するための有色顔料だけでなく、画像に光沢を付与するためのパール顔料等も含むものとする。インクジェット印刷用インクには、顔料が一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。
顔料は、化粧料等に適用可能な公知の顔料とすることができ、その具体例には、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料;γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料;酸化チタン等の無機白色顔料;マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料;水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料;紺青(フェロシアン化第二鉄)、群青等の無機青色系顔料;各種タール系色素をレーキ化したもの;各種天然色素をレーキ化したもの;及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等が含まれる。
また、パール顔料の例には、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等が含まれる。
これらの顔料の形状は特に制限されず、球状、針状等いずれの形状であってもよいが、顔料のレーザ回折法で測定される粒度分布の積算値の中央値(メディアン径(D50))は、0.001〜0.6μmであることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.3μmである。顔料の粒度分布のメディアン径(D50)が上記範囲であると、インクジェットプリンタのヘッドから安定して吐出させることが可能となる。
インクジェット印刷用インクが含む顔料の量は、インクジェット印刷用インクの全質量に対して、40質量%以下であり、さらに好ましくは3〜10質量%である。顔料の量が3質量%以上であると、被印刷体が十分に着色されたり、被印刷体に光沢が付与されたりしやすくなる。また、顔料の量が過剰となると、インクジェットプリンタにおいて、ヘッドに目詰まり等が生じやすくなったり、インクジェット印刷用インクの保存時に、顔料が凝集することがあるが、40質量%以下であれば、顔料の凝集等が生じ難く、安定してインクジェットプリンタから吐出可能である。
(アクリル系粒子)
アクリル系粒子は、顔料と被印刷体とを結着するバインダとしての機能を果たす。アクリル系粒子は、皮膚刺激性のないアクリル系の樹脂からなり、水やアルコールに安定して均一に分散可能なものであれば特に制限されない。このようなアクリル系粒子は、薬事法に基づく化粧品の成分表示名称リストに掲載のある成分から選択されることが好ましく、化粧料等に適用されている公知のアクリル系樹脂の粒子とすることができる。
アクリル系粒子は、顔料と被印刷体とを結着するバインダとしての機能を果たす。アクリル系粒子は、皮膚刺激性のないアクリル系の樹脂からなり、水やアルコールに安定して均一に分散可能なものであれば特に制限されない。このようなアクリル系粒子は、薬事法に基づく化粧品の成分表示名称リストに掲載のある成分から選択されることが好ましく、化粧料等に適用されている公知のアクリル系樹脂の粒子とすることができる。
アクリル系粒子の例には、アクリル系モノマーの単独重合体や、二種以上のアクリル系モノマーの共重合体、アクリル系モノマーと他のモノマーとの共重合体等が含まれる。インクジェット印刷用インクには、アクリル系粒子が一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。
上記アクリル系モノマーの例には、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸アミド、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エチル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ハイドロキシエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、等が含まれる。
また、上記アクリル系モノマーと共重合可能な他のモノマーの例には、スチレン、酢酸ビニル、シリコーンマクロマー、フッ素系モノマー、アルコキシシラン不飽和単量体等が含まれる。
上記アクリル系粒子であれば、画像の定着性が良好になりやすく、さらに画像の耐久性が良好になりやすい。
ここで、インクジェット印刷用インクが含むアクリル系粒子の量は、前述の顔料の量を10質量部としたとき、アクリル系粒子の含有量が0.5〜10質量部であり、より好ましくは1.5〜5.7質量部である。前述のように、顔料に対するアクリル系粒子の量が上記範囲であると、インクジェット印刷用インクから得られる画像の定着性が高まる。ただし、アクリル系粒子の量が過剰であると、インクジェット印刷用インクの粘度が過度に高まりやすくなる。また、アクリル系粒子の量が過剰であると、印刷時にインクジェットヘッドの目詰まり等が生じることもある。これに対し、アクリル系粒子の量が上記範囲であれば、インクジェット印刷用インクの粘度を所望の範囲とすることができ、インクジェット印刷用インクをインクジェットプリンタから安定して吐出させることができる。
なお、上記アクリル系粒子は、インクジェット印刷用インクの調製の際、通常、アクリル系粒子を分散媒に分散させた状態(エマルジョン)で、顔料や水、アルコール等と混合される。このときに用いられる分散媒についても、皮膚刺激性がない溶媒であることが好ましく、後述のアルコールや水であることが好ましい。
(アルコール)
アルコールは、インクジェット印刷用インクにおいて、インクの乾燥防止剤としての機能、及び溶媒としての機能を果たす。なお、アルコールは、インクジェット印刷用インクの被印刷体への滴下後、被印刷体に吸収されたり、揮発したりする。
アルコールは、インクジェット印刷用インクにおいて、インクの乾燥防止剤としての機能、及び溶媒としての機能を果たす。なお、アルコールは、インクジェット印刷用インクの被印刷体への滴下後、被印刷体に吸収されたり、揮発したりする。
アルコールは、前述のように、3価のアルコールを含む。インクジェット印刷用インクが、3価のアルコールを含むと、インクジェットプリンタ内部で、水やアルコールが揮発することを抑制できる。その結果、インクジェットヘッドの目詰まり等が生じ難くなり、安定して画像の形成を行うことができる。また、インクジェット印刷用インクの粘度が一定に保持されるため、安定して画像形成することが可能となる。
ここで、3価のアルコールは、皮膚刺激性がないものであれば特に制限されないが、グリセリンであることが好ましい。グリセリンは生体安全性が高い。また、インクジェット印刷用インクがグリセリンを含むと、顔料の凝集が抑制されやすく、インクジェット印刷用インクを長期間保存しても、インクの増粘等が生じ難くなる。
ここで、インクジェット印刷用インクは、2価のアルコールや1価のアルコールを含んでもよい。2価のアルコールの例には、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール等が含まれる。1価のアルコールの例には、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルコールが含まれる。これらの中でも、好ましくは2価のアルコールであり、特にプロピレングリコールが好ましい。2価のアルコールは、水やグリセリンより粘度が低く、さらに表面張力が低い。したがって、インクジェット印刷用インクが2価のアルコールを含むと、インクジェット印刷用インクの被印刷体に対する濡れ性が良好になり、得られる画像にムラが生じ難くなる。
本開示では、インクジェット印刷用インク中に、アルコールを30質量%以下含む。アルコールの量は、10〜30質量%であることが好ましく、20〜30質量%であることがより好ましい。インクジェット印刷用インク中のアルコール量が過剰になると、顔料等が凝集しやすくなる傾向がある。これに対し、アルコール量が30質量%以下であれば、顔料の凝集等が生じ難く、インクジェット印刷用インクをインクジェットプリンタから安定して吐出させることが可能となる。
また、インクジェット印刷用インク全量に対する3価のアルコールの量は、10〜30質量%であることが好ましく、10〜20%であることがより好ましい。つまり、インクジェット印刷用インクには、グリセリンを10〜30質量%含むことが特に好ましい。3価のアルコール量が上記範囲であると、インクジェット印刷用インクにおいて、アルコールや水の揮発性が適度に調整されて、インクジェット印刷用インクをインクジェットプリンタから安定して吐出させることが可能となる。
さらに、インクジェット印刷用インク全量に対する2価のアルコールの量は、10〜30質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましい。2価のアルコール量が上記範囲であると、インクジェット印刷用インクの粘度が所望の範囲に収まりやすく、インクジェット印刷用インクをインクジェットプリンタから安定して吐出させることが可能となる。
(水)
本開示のインクジェット印刷用インクが含む水は、精製されていることが好ましい。インクジェット印刷用インクが含む水の量は、インクジェット印刷用インクの粘度等に合わせて適宜選択される。
本開示のインクジェット印刷用インクが含む水は、精製されていることが好ましい。インクジェット印刷用インクが含む水の量は、インクジェット印刷用インクの粘度等に合わせて適宜選択される。
(その他)
インクジェット印刷用インクは、本開示の効果を損なわない範囲で、上記成分以外の成分を含んでもよい。ただし、他の成分についても、皮膚刺激性が陰性である化合物であることが好ましい。他の成分の例には、界面活性剤、pH調整剤、増粘剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、防腐防カビ剤、脱酸素剤、酸化防止剤、防腐剤、褪色防止剤、消泡剤、香料、アルコール及び水以外の溶媒等が含まれる。
インクジェット印刷用インクは、本開示の効果を損なわない範囲で、上記成分以外の成分を含んでもよい。ただし、他の成分についても、皮膚刺激性が陰性である化合物であることが好ましい。他の成分の例には、界面活性剤、pH調整剤、増粘剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、防腐防カビ剤、脱酸素剤、酸化防止剤、防腐剤、褪色防止剤、消泡剤、香料、アルコール及び水以外の溶媒等が含まれる。
(インクジェット印刷用インクの調製方法)
上述のインクジェット印刷用インクは、顔料、アクリル系粒子を含むエマルジョン、アルコール、水、他の成分等を分散機で十分に混合することで得られる。各成分の混合は、公知のボールミル、サンドミル、ロールミル、ホモミキサー、アトライターなど分散機等で行うことができる。
上述のインクジェット印刷用インクは、顔料、アクリル系粒子を含むエマルジョン、アルコール、水、他の成分等を分散機で十分に混合することで得られる。各成分の混合は、公知のボールミル、サンドミル、ロールミル、ホモミキサー、アトライターなど分散機等で行うことができる。
(インクジェット印刷用インクの物性)
インクジェット印刷用インクの粘度は、コーンプレート型粘度計にて、せん断速度100(1/s)または1000(1/s)で測定したときの25℃における粘度が、1〜20mPa・sであることが好ましく、より好ましくは3.5〜8mPa・sである。インクジェット印刷用インクの粘度が上記範囲であると、インクジェットプリンタから安定して吐出しやすくなる。
インクジェット印刷用インクの粘度は、コーンプレート型粘度計にて、せん断速度100(1/s)または1000(1/s)で測定したときの25℃における粘度が、1〜20mPa・sであることが好ましく、より好ましくは3.5〜8mPa・sである。インクジェット印刷用インクの粘度が上記範囲であると、インクジェットプリンタから安定して吐出しやすくなる。
インクジェット印刷用インクのpHは、7.0〜9.5であることが好ましい。インクジェット印刷用インクのpHが上記範囲であると、インクジェットプリンタ内部で安定である。また、pHが上記範囲であると、インクジェット印刷用インクを長期間保存しても、顔料の凝集等が生じ難く、インクジェットプリンタから吐出しやすくなる。
また、インクジェット印刷用インクの25℃における表面張力は、32mN/m〜46mN/mであることが好ましい。表面張力が上記範囲より低いと、インクジェットプリンタからインクジェット印刷用インクを各種被印刷体に吐出した際に、被印刷体上でインク液滴のにじみが生じやすく、表面張力が上記範囲より高いとインク液滴のはじきが生じやすい。表面張力が上記範囲であると、インクジェットプリンタからインクジェット印刷用インクを各種被印刷体に吐出した際に、インク液滴の濡れ性が良好になり、厚みが均一な画像を形成することができる。なお、表面張力は、種々の計測方法が適用可能であるが、上記値は、汎用機器に展開されている懸滴法(ペンダント・ドロップ法)にて測定される値である。
さらに、インクジェット印刷用インクに含まれる粒子の、レーザー回折法で測定される粒度分布の積算値の中央値(メディアン径(D50))は、600nm以下であることが好ましく、より好ましくは10〜300nmである。顔料のメディアン径が上記範囲であると、インクジェットプリンタから安定して吐出が可能となる。また、当該粒度分布の積算値の90%の値(D90)は、900nm以下であることが好ましい。D50やD90の値が上記範囲であると、インクジェット印刷用インクをインクジェットプリンタから安定して吐出させることが可能となる。
(インクジェット印刷用インクを用いた印刷)
また、本開示のインクジェット印刷用インクを吐出させるインクジェットプリンタは特に制限されず、公知のピエゾ方式、サーマル方式、静電方式のいずれの装置であってもよいが、ピエゾ素子方式のインクジェットプリンタであることが特に好ましい。ピエゾ素子方式のインクジェットプリンタでは、サーマルインクジェット方式のような加熱が不要であるという利点がある。
また、本開示のインクジェット印刷用インクを吐出させるインクジェットプリンタは特に制限されず、公知のピエゾ方式、サーマル方式、静電方式のいずれの装置であってもよいが、ピエゾ素子方式のインクジェットプリンタであることが特に好ましい。ピエゾ素子方式のインクジェットプリンタでは、サーマルインクジェット方式のような加熱が不要であるという利点がある。
一方、本開示のインクジェット印刷用インクを吐出する被印刷体は特に制限されず、公知の各種被印刷体を適用可能であり、普通紙や、専用記録紙、プラスチック、布などの各種被印刷体に適用可能である。当該被印刷体は、一層のみからなるものであってもよく、二層以上が積層されたものであってもよい。なお、本開示のインクジェット印刷用インクは、皮膚刺激性がなく、得られる印刷物においても生体安全性が高い。したがって、例えば皮膚に直接または間接的に貼着、もしくは密着させて用いる、生体適合性を有する材料からなる各種シート等にも印刷が可能である。
生体適合性を有する材料の例には、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、またはこれらの共重合体に代表されるポリエステル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールに代表されるポリエーテル類;ナイロン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、またはこれらの塩に代表されるポリアミド類;プルラン、セルロース、デンプン、キチン、キトサン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コーンスターチに代表される多糖類またはこれらの塩;アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸に代表されるシリコーン類;アクリル酸アルキル、アクリル酸シリコーン、アクリル酸アミドや、これらの共重合体に代表されるアクリル酸類;ポリビニルアルコール;ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリ酸無水物;ポリエチレン;ポリプロピレン;等が含まれる。
なお、生体適合性を有する材料からなるシートの例には、医療用部材を固定するためのシートや、スポーツテーピング用シート、肌装飾用シート、化粧用シート等が含まれる。
ここで、被印刷体の厚さは特に制限されず、被印刷体の種類や用途等に応じて適宜選択される。本開示のインクジェット印刷用インクは、顔料と共にアクリル系粒子を含むことから、顔料がアクリル系粒子によって被印刷体表面に固着されやすい。したがって、本開示のインクジェット印刷用インクによれば、例えば厚みが10nm以上3000nm以下、より好ましくは10nm以上1000nm以下である薄膜にも、印刷が可能である。
なお、このような薄膜に画像形成する場合には、薄膜とこれを支持する支持体とが積層された積層体に印刷を行い、印刷後に支持体から薄膜を剥離してもよい。このような支持体としては、例えば吸水性が高い材料からなるものとすることができる。支持体が吸水性を有する場合、アルコール及び水を支持体にすばやく吸収させることができ、顔料及びアクリル系粒子のみを、薄膜表面に固着させることができる。したがって、得られる画像に滲み等が生じ難く、高精細な画像形成が可能となる。吸水性の高い支持体の例には、紙、布、不織布、織物、多孔質層コーティングシート、ナノファイバーシート、吸水性ポリマー、水溶性ポリマー等からなる基材が含まれる。
以下において、実施例を参照して本発明を説明する。実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
[材料]
各実施例及び比較例に用いた材料は以下の通りである。
各実施例及び比較例に用いた材料は以下の通りである。
(顔料)
黄色顔料:酸化鉄黄(D50:217nm)
赤色顔料:酸化鉄赤(D50:291nm)
白色顔料:酸化チタン(D50:103nm)
青色顔料:フェロシアン化第二鉄(D50:159nm)
黒色顔料:カーボンブラック(D50:112nm)
黄色顔料:酸化鉄黄(D50:217nm)
赤色顔料:酸化鉄赤(D50:291nm)
白色顔料:酸化チタン(D50:103nm)
青色顔料:フェロシアン化第二鉄(D50:159nm)
黒色顔料:カーボンブラック(D50:112nm)
(アクリル系粒子)
アクリレーツコポリマー
アクリレーツコポリマー
(溶媒)
グリセリン
1,3−プロパンジオール(PD)
精製水
グリセリン
1,3−プロパンジオール(PD)
精製水
(その他)
pH調整剤
非イオン性界面活性剤(ショ糖脂肪酸エステル)
アニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム)
ポリビニルアルコール
シリコン系粒子(ジメチコン)
pH調整剤
非イオン性界面活性剤(ショ糖脂肪酸エステル)
アニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム)
ポリビニルアルコール
シリコン系粒子(ジメチコン)
[実施例1]
下記表1に示す成分比で、各材料を混合し、黄色インク、赤色インク、白色インク、青色インク、及び黒色インク(インクジェット印刷用インク)を調製した。なお、一部の実施例では、インクジェット印刷用インクのpHが7.0〜9.5の範囲に収まるよう、水の一部をpH調整剤に置き換えてpH調整した。したがって、表1では、水とpH調整剤との合計量を示す。
下記表1に示す成分比で、各材料を混合し、黄色インク、赤色インク、白色インク、青色インク、及び黒色インク(インクジェット印刷用インク)を調製した。なお、一部の実施例では、インクジェット印刷用インクのpHが7.0〜9.5の範囲に収まるよう、水の一部をpH調整剤に置き換えてpH調整した。したがって、表1では、水とpH調整剤との合計量を示す。
[評価]
得られたインクジェット印刷用インクについて、以下のように皮膚刺激性、粒度分布及び粘度を測定した。また、インクジェット印刷用インクのインク定着性についても下記の方法で確認した。結果を表1に示す。
得られたインクジェット印刷用インクについて、以下のように皮膚刺激性、粒度分布及び粘度を測定した。また、インクジェット印刷用インクのインク定着性についても下記の方法で確認した。結果を表1に示す。
(皮膚刺激性)
調製したインクについて、皮膚刺激性を三次元皮膚モデルによる皮膚刺激性試験の代替法により評価した。具体的には、5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液を刺激性コントロールとし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を陰性コントロールとして行った。試験試料には、調製したインクをインクジェット印刷でポリエステルフィルム上に印刷した印刷物を用いた。試験試料はインク印刷面を、皮膚モデルに18時間曝露した後、皮膚モデルをPBSにて洗浄して試験試料を完全に除去し、0.3mg/mLの3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムブロミド(MTT)を含有する試験培地に移し、3時間培養した。その後、皮膚モデルを酸性イソプロパノールに24時間浸漬させてブルーホルマザンを抽出した。抽出液の550nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーにて測定した。そして、各試験試料の細胞生存率を、陰性コントロールを暴露した皮膚モデルの吸光度を100としたときの百分率で表したときに、50%超である場合を、皮膚刺激性なし、50%未満である場合を皮膚刺激性ありと評価した。
調製したインクについて、皮膚刺激性を三次元皮膚モデルによる皮膚刺激性試験の代替法により評価した。具体的には、5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液を刺激性コントロールとし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を陰性コントロールとして行った。試験試料には、調製したインクをインクジェット印刷でポリエステルフィルム上に印刷した印刷物を用いた。試験試料はインク印刷面を、皮膚モデルに18時間曝露した後、皮膚モデルをPBSにて洗浄して試験試料を完全に除去し、0.3mg/mLの3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムブロミド(MTT)を含有する試験培地に移し、3時間培養した。その後、皮膚モデルを酸性イソプロパノールに24時間浸漬させてブルーホルマザンを抽出した。抽出液の550nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーにて測定した。そして、各試験試料の細胞生存率を、陰性コントロールを暴露した皮膚モデルの吸光度を100としたときの百分率で表したときに、50%超である場合を、皮膚刺激性なし、50%未満である場合を皮膚刺激性ありと評価した。
(粒度分布)
調製した各インクの粒度分布を測定した。粒度分布の測定は、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布計UPA150を用いて、レーザ波長780nm、レーザ出力3mWの条件で行った。粒度分布の測定はインク調製直後から2週間後および4週間後まで行い経時変化を評価した。粒度分布の変化がなければインクジェットプリンタから安定して吐出可能であると評価できる。表1には、インク調製から4週間経過後の粒度分布の中央値(D50)及び粒度分布の積算値の90%の値(D90)を示す。またこのとき、(D50)が600nm以下、(D90)が900nm以下であれば、インクジェットプリンタから安定して印刷可能であると評価できる。
調製した各インクの粒度分布を測定した。粒度分布の測定は、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布計UPA150を用いて、レーザ波長780nm、レーザ出力3mWの条件で行った。粒度分布の測定はインク調製直後から2週間後および4週間後まで行い経時変化を評価した。粒度分布の変化がなければインクジェットプリンタから安定して吐出可能であると評価できる。表1には、インク調製から4週間経過後の粒度分布の中央値(D50)及び粒度分布の積算値の90%の値(D90)を示す。またこのとき、(D50)が600nm以下、(D90)が900nm以下であれば、インクジェットプリンタから安定して印刷可能であると評価できる。
(粘度)
調製した各インクの粘度の測定は、サーモサイエンティフィック製粘度・粘弾性測定装置HAAKE MARSを用いた。シリンジでインクを0.3cc採取しコーンプレートにサンプリングし、測定温度25℃、せん断速度を0.1〜1000(1/s)で変化させながら測定を行った。25℃における粘度が、20mPa・s以下であれば、インクジェットプリンタから安定して印刷可能であり、特に8mPa・s以下であれば非常に安定して印刷可能であると評価できる。
調製した各インクの粘度の測定は、サーモサイエンティフィック製粘度・粘弾性測定装置HAAKE MARSを用いた。シリンジでインクを0.3cc採取しコーンプレートにサンプリングし、測定温度25℃、せん断速度を0.1〜1000(1/s)で変化させながら測定を行った。25℃における粘度が、20mPa・s以下であれば、インクジェットプリンタから安定して印刷可能であり、特に8mPa・s以下であれば非常に安定して印刷可能であると評価できる。
(インク定着性)
得られた各色インクをパナソニックプレシジョンデバイス株式会社製LB3インクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタのインクタンクに充填した。そして、被印刷体であるろ紙(厚み270μm)に、それぞれのインクを用いて、15mm×5mmの矩形塗りつぶしパターンを形成した。印刷後のシート(印刷物)を室温または50℃の環境下に静置した。
得られた各色インクをパナソニックプレシジョンデバイス株式会社製LB3インクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタのインクタンクに充填した。そして、被印刷体であるろ紙(厚み270μm)に、それぞれのインクを用いて、15mm×5mmの矩形塗りつぶしパターンを形成した。印刷後のシート(印刷物)を室温または50℃の環境下に静置した。
また、厚みが200nmのポリ乳酸シートをろ紙からなる支持体に貼りつけた。貼り付け方法は、まず、ポリ乳酸と支持体の貼り付け面のそれぞれを水で濡らした後、それぞれシートの濡らした面を付着させて貼りつけ、12時間以上乾燥させた。このようにして作製した積層印刷シートにも、インクジェットプリンタを用いて、上記と同様に15mm×5mmの矩形塗りつぶしパターンを形成した。印刷後のシート(印刷物)を室温または50℃の環境下で静置した。
上記各印刷パターンにそれぞれ、数分毎にティッシュを押し付け、このときのインクの付着の有無によって、インク定着性を評価した。
評価基準は、以下の4段階とした。
◎:5分以内にインク付着がなくなった
〇:5分以内にはインク付着があったが、10分以内にインク付着がなくなった
△:10分以内にはインク付着があったが、30分以内にインク付着がなくなった
×:30分移行でもインクの付着があった。
評価基準は、以下の4段階とした。
◎:5分以内にインク付着がなくなった
〇:5分以内にはインク付着があったが、10分以内にインク付着がなくなった
△:10分以内にはインク付着があったが、30分以内にインク付着がなくなった
×:30分移行でもインクの付着があった。
(結果)
上記表1に示されるように、顔料と、アクリル系粒子と、アルコールと、水と、を含むインクジェット印刷用インクにおいて、アルコールが、3価のアルコールを含み、さらに、インク全質量に対する、アルコールの量が30質量%以下であり、顔料10質量部に対する前記アクリル系粒子の量が0.5〜10質量部である場合には、どのような顔料を用いた場合にも、粒度分布や粘度が所望の範囲内となり、インクジェットプリンタから安定して吐出が可能であった。また、上記インクジェット印刷用インクから得られる印刷物では、被印刷体の種類にかかわらず、インクを十分に定着させることが可能であった。
上記表1に示されるように、顔料と、アクリル系粒子と、アルコールと、水と、を含むインクジェット印刷用インクにおいて、アルコールが、3価のアルコールを含み、さらに、インク全質量に対する、アルコールの量が30質量%以下であり、顔料10質量部に対する前記アクリル系粒子の量が0.5〜10質量部である場合には、どのような顔料を用いた場合にも、粒度分布や粘度が所望の範囲内となり、インクジェットプリンタから安定して吐出が可能であった。また、上記インクジェット印刷用インクから得られる印刷物では、被印刷体の種類にかかわらず、インクを十分に定着させることが可能であった。
[実施例2]
下記表2に示す成分比で、各材料を混合し、黄色インク(インクジェット印刷用インク)を調製した。得られたインクジェット印刷用インクについて、インクジェットプリンタからの吐出の安定性を評価した。また、皮膚刺激性は、実施例1と同様に確認した。
下記表2に示す成分比で、各材料を混合し、黄色インク(インクジェット印刷用インク)を調製した。得られたインクジェット印刷用インクについて、インクジェットプリンタからの吐出の安定性を評価した。また、皮膚刺激性は、実施例1と同様に確認した。
(吐出安定性)
得られた各色インクをパナソニックプレシジョンデバイス株式会社製LB3インクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタのインクタンクに充填した。そして、被印刷体であるインクジェット記録用紙(厚み270μm)に、それぞれのインクを用いて、縦および横の隣り合う線が350〜370μm間隔に配置された格子状パターンを印刷直後から次の印刷までの停止間隔を変えながら連続形成した。停止間隔が0分から5分後の被印刷体に記録された格子パターンから吐出安定性を評価した。評価基準は、以下の4段階とした。
◎:5分後に格子状パターンが形成される
〇:3分後に格子パターンが形成されるが、5分後には形成されない
△:0分後に格子パターンが形成されるが、3分後には形成されない
×:0分後でも格子パターンが形成されない
結果を表2に示す。
得られた各色インクをパナソニックプレシジョンデバイス株式会社製LB3インクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタのインクタンクに充填した。そして、被印刷体であるインクジェット記録用紙(厚み270μm)に、それぞれのインクを用いて、縦および横の隣り合う線が350〜370μm間隔に配置された格子状パターンを印刷直後から次の印刷までの停止間隔を変えながら連続形成した。停止間隔が0分から5分後の被印刷体に記録された格子パターンから吐出安定性を評価した。評価基準は、以下の4段階とした。
◎:5分後に格子状パターンが形成される
〇:3分後に格子パターンが形成されるが、5分後には形成されない
△:0分後に格子パターンが形成されるが、3分後には形成されない
×:0分後でも格子パターンが形成されない
結果を表2に示す。
(結果)
表2に示されるように、インク全量に対する、アルコールの量が30質量%以下である場合(実施例2−1〜2−3)には、吐出安定性が良好であった。これに対し、アルコール量が30質量%を超えると(比較例2−1)、吐出安定性が低下した。3価のアルコール(グリセリン)量が多いほど、インクが乾燥し難くなるため、吐出安定性が高まりやすくなるが、アルコール量が過剰になると、インクの粘度が高まりやすくなり、吐出安定性が低下したと推察される。
表2に示されるように、インク全量に対する、アルコールの量が30質量%以下である場合(実施例2−1〜2−3)には、吐出安定性が良好であった。これに対し、アルコール量が30質量%を超えると(比較例2−1)、吐出安定性が低下した。3価のアルコール(グリセリン)量が多いほど、インクが乾燥し難くなるため、吐出安定性が高まりやすくなるが、アルコール量が過剰になると、インクの粘度が高まりやすくなり、吐出安定性が低下したと推察される。
また、3価のアルコール(グリセリン)と、2価のアルコールとを組み合わせると、吐出安定性が非常に高まった。インク粘度とインク乾燥性とのバランスが良好であったため、吐出安定性が高まったと推察される。
[実施例3]
下記表3に示す組成で、各成分を混合し、白色インク(インクジェット印刷用インク)を調製した。得られたインクジェット印刷用インクについて、皮膚刺激性を実施例1と同様に評価した。また、定着性及び耐水性を下記の方法で確認した。結果を表3及び図1〜4に示す。なお、図1Aは、比較例3−1の定着性試験後にティッシュをインク印刷面に押し付けた後のインク付着状態を示す写真であり、図1Bは、比較例3−1の耐水性試験後にティッシュを印刷面に押し付けた後のインクの付着状態を示す写真である。同様に、図2〜4は、比較例3−2、3−3、及び実施例3−1についての、それぞれ定着性試験及び耐水性試験後にティッシュを印刷面に押し付けた後のインクの付着状態を示す写真である。
下記表3に示す組成で、各成分を混合し、白色インク(インクジェット印刷用インク)を調製した。得られたインクジェット印刷用インクについて、皮膚刺激性を実施例1と同様に評価した。また、定着性及び耐水性を下記の方法で確認した。結果を表3及び図1〜4に示す。なお、図1Aは、比較例3−1の定着性試験後にティッシュをインク印刷面に押し付けた後のインク付着状態を示す写真であり、図1Bは、比較例3−1の耐水性試験後にティッシュを印刷面に押し付けた後のインクの付着状態を示す写真である。同様に、図2〜4は、比較例3−2、3−3、及び実施例3−1についての、それぞれ定着性試験及び耐水性試験後にティッシュを印刷面に押し付けた後のインクの付着状態を示す写真である。
(定着性評価)
得られた白色インクについて、印刷後の塗膜の状態をより観察しやすくするため、スピンコート法(回転数2000rpmの条件)で被印刷体であるポリエステルフィルム上に塗布し、白色インク層を形成した。白色インク層形成後のシート(印刷物)を室温下、1時間静置した。静置後の白色印刷層にそれぞれティッシュを押し付け、このときのインクの付着の有無によって、インクの定着性を評価した。
得られた白色インクについて、印刷後の塗膜の状態をより観察しやすくするため、スピンコート法(回転数2000rpmの条件)で被印刷体であるポリエステルフィルム上に塗布し、白色インク層を形成した。白色インク層形成後のシート(印刷物)を室温下、1時間静置した。静置後の白色印刷層にそれぞれティッシュを押し付け、このときのインクの付着の有無によって、インクの定着性を評価した。
評価基準は、以下の2段階とした。
〇:色落ちなし
×:色落ちあり
〇:色落ちなし
×:色落ちあり
(耐水性評価)
上記定着性評価と同様に、ポリエステルフィルム上に白色インクをスピンコート塗布した印刷物を室温下、1時間静置した。その後、シリンジで水1ccを白色印刷層に滴下してからティッシュを押し付け、このときのインクの付着の有無によって、印刷物の耐水性を評価した。
評価基準は、以下の2段階とした。
〇:色落ちなし
×:色落ちあり
上記定着性評価と同様に、ポリエステルフィルム上に白色インクをスピンコート塗布した印刷物を室温下、1時間静置した。その後、シリンジで水1ccを白色印刷層に滴下してからティッシュを押し付け、このときのインクの付着の有無によって、印刷物の耐水性を評価した。
評価基準は、以下の2段階とした。
〇:色落ちなし
×:色落ちあり
上記表3及び図1〜図4に示されるように、アクリル系粒子が含まれる場合には、定着性及び耐水性が良好になった(実施例3−1)。これに対し、インクが樹脂を含まない場合や、樹脂がシリコン系粒子である場合には、定着性が十分に高まらず、ティッシュの押し付けに伴い生じたスジ状や縞模様状のインクの色落ちが見られ、当然耐水性も評価が低かった(比較例3−1及び3−3)。また、インクがポリビニルアルコールを含む場合には、定着性は良好であったものの、水を滴下するとインクの色落ちが見られ、耐水性が不十分であった(比較例3−2)。
[実施例4]
下記表4に示す組成で、各成分を混合し、黄色インク(インクジェット印刷用インク)を調製した。得られたインクジェット印刷用インクの皮膚刺激性を、実施例1と同様に評価した。また、定着性及び耐水性については、実施例3と同様の方法で確認した。結果を表4に示す。
下記表4に示す組成で、各成分を混合し、黄色インク(インクジェット印刷用インク)を調製した。得られたインクジェット印刷用インクの皮膚刺激性を、実施例1と同様に評価した。また、定着性及び耐水性については、実施例3と同様の方法で確認した。結果を表4に示す。
上記表4に示されるように、アクリル系粒子がバインダとして含まれる場合に、定着性及び耐水性が良好になった(実施例4−1〜4−4)。これに対し、インクがアクリル系粒子を含まない場合には、インクの定着性や画像の耐水性が低かった(比較例4−1)。一方で、アクリル系粒子の量が過剰となると、吐出安定性が低下する傾向にあった(比較例4−2)。
本開示のインクジェット印刷用インクは、生体安全性を有し、印字時のヘッドの目詰まりがなく吐出安定性に優れる。したがって、普通紙だけではなく専用記録紙、プラスチック、布などの紙以外の被印刷体にも、高精細印刷が可能である。したがって、医療、食品、化粧品分野での着色、包装容器製造、などの印刷用インク等として有用である。
Claims (16)
- 顔料と、アクリル系粒子と、アルコールと、水と、を含むインクジェット印刷用インクであり、
前記アルコールが、前記インクジェット印刷用インク全質量に対して10〜20質量%の3価のアルコールと、前記インクジェット印刷用インク全質量に対して10〜20質量%の2価のアルコールと、を含み、
前記2価のアルコールは、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、およびヘキサンジオールからなる群から選択される化合物であり、
前記インクジェット印刷用インク全質量に対する、前記アルコールの含有量が30質量%以下であり、
前記顔料10質量部に対する前記アクリル系粒子の量が0.5〜10質量部であり、
前記顔料は、有色の無機顔料を含み、
前記アクリル系粒子は、アクリル系モノマーの単独重合体、および二種以上のアクリル系モノマーの共重合体のうちの少なくとも一方を含むアクリル系の樹脂からなり、
厚みが10nm以上3000nm以下の膜に印刷するための、インクジェット印刷用インク。 - 前記3価のアルコールがグリセリンである、
請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。 - 前記顔料10質量部に対する前記アクリル系粒子の量が1.5〜5.7質量部である、
請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。 - 前記アルコールの含有量が、前記インクジェット印刷用インク全質量に対して20〜30質量%である、
請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。 - 界面活性剤、pH調整剤、増粘剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、防腐防カビ剤、脱酸素剤、酸化防止剤、防腐剤、褪色防止剤、消泡剤、香料、および溶媒(ただし、前記アルコールおよび前記水を除く)からなる群から選ばれる成分を一種以上さらに含む、
請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。 - pHが7.0〜9.5である、
請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。 - 前記顔料の粒度分布のメディアン径が、0.01〜0.3μmである、
請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。 - 25℃における表面張力が、32mN/m〜46mN/mである、
請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。 - 前記顔料が、無機赤色系顔料、無機褐色系顔料、無機黄色系顔料、無機黒色系顔料、無機白色系顔料、無機紫色系顔料、無機緑色系顔料、無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、およびこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体、からなる群から選ばれる成分を一種以上含む、
請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。 - 前記アクリル系粒子は、アクリレーツコポリマーである、
請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。 - 前記2価のアルコールが、1,3−プロパンジオールを含む、
請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。 - 前記顔料が、パール顔料をさらに含む、請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。
- 厚さ10nm〜1000nmのフィルムと、
前記フィルムの裏面側に剥離可能に積層された、吸水性を有する支持体と、含み、
前記フィルムの前記支持体とは反対側の面に、請求項1に記載のインクジェット印刷用インクが塗布されている、
肌へ密着させる薄膜シート。 - 前記フィルムが、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリアミド類、多糖類またはその塩、シリコーン類、アクリル酸類、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ酸無水物、ポリエチレン、およびポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、
請求項13に記載の薄膜シート。 - 前記フィルムは、生体適合性を有する材料からなる、
請求項13に記載の薄膜シート。 - 前記支持体が、紙、布、不織布、織物、多孔質層コーティングシート、ナノファイバーシート、吸水性ポリマー、水溶性ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種の材料を含む、
請求項13に記載の薄膜シート。
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