JP2020114108A - 回転電機 - Google Patents

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Naoshi Yamaguchi
直志 山口
亨 岸
Toru Kishi
亨 岸
茂司 仲野
Shigeji Nakano
茂司 仲野
基 戸賀▲崎▼
Motoki Togasaki
基 戸賀▲崎▼
健太郎 山口
Kentaro Yamaguchi
健太郎 山口
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Abstract

【課題】回転電機の回転効率を向上し、かつ、コイルを効率よく冷却する。【解決手段】実施形態の回転電機は、筒状のステータコアと、ステータコアに装着されたコイルと、を有するステータと、ステータの径方向内側に配置されたロータ4と、を備え、ロータ4は、軸心冷却による冷媒が流通可能なロータ内部流路を有するロータコアと、ロータコアの軸方向端部に配置された端面板23と、を備え、端面板23は、ロータ内部流路に連通する冷媒流通孔30と、少なくとも冷媒流通孔30と端面板23の外周縁23aとの間に配置された表面処理部31と、を有し、表面処理部31の表面張力は、端面板23の表面張力よりも小さい。【選択図】図2

Description

本発明は、回転電機に関する。
ハイブリッド自動車や電気自動車等に搭載される回転電機では、コイルに電流が供給されることでステータコアに磁界が形成され、ロータの磁石とステータコアとの間に磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、ロータがステータに対して回転する。
回転電機は、作動に伴って熱を発生するため、冷媒によって冷却される。例えば、ロータの内部には、径方向内側から径方向外側に向かって冷媒流路が設けられている。例えば、ロータ内周部に一旦溜められた冷媒をロータの回転に伴う遠心力により冷媒流路を介して径方向内側から径方向外側に向けて移動させることで、冷媒により回転電機を冷却している。
ところで、ロータの回転に伴う遠心力により冷媒流路を介して径方向内側から径方向外側に冷媒を移動させると、冷媒流路から排出された冷媒がステータの内周面とロータの外周面との間(エアギャップ)に入り込むおそれがある。冷媒がステータの内周面とロータの外周面との間に入り込むと、冷媒がロータの回転に対する抵抗として作用し、回転電機の回転効率が低下するおそれがある。そこで、回転電機の回転効率を向上するための構成が種々検討されている。
例えば、特許文献1には、ロータの軸方向端面と軸方向に隣接し、かつ、ステータの内周面と径方向に隣接する壁体を設け、壁体を冷媒の流出開口よりもステータの内周面側に設けた構造が開示されている。特許文献1では、壁体によって流出開口から流出した冷媒がステータの内周面とロータの外周面との間に入り込むことを抑制している。
特許第5417960号公報
しかしながら、壁体を冷媒の流出開口よりもステータの内周面側に設けると、流出開口から流出した冷媒が壁体で遮られるため、冷媒がステータのコイルに飛散しにくくなり、コイルを効率よく冷却することができないおそれがある。
そこで本発明は、回転電機の回転効率を向上し、かつ、コイルを効率よく冷却することができる回転電機を提供することを目的とする。
(1)本発明の一態様に係る回転電機(例えば、実施形態における回転電機1)は、筒状のステータコア(例えば、実施形態におけるステータコア11)と、前記ステータコアに装着されたコイル(例えば、実施形態におけるコイル12)と、を有するステータ(例えば、実施形態におけるステータ3)と、前記ステータの径方向内側に配置されたロータ(例えば、実施形態におけるロータ4)と、を備え、前記ロータは、軸心冷却による冷媒が流通可能な冷媒流路(例えば、実施形態におけるロータ内部流路14)を有するロータコア(例えば、実施形態におけるロータコア21)と、前記ロータコアの軸方向端部に配置された端面板(例えば、実施形態における端面板23)と、を備え、前記端面板は、前記冷媒流路に連通する冷媒流通孔(例えば、実施形態における冷媒流通孔30)と、少なくとも前記冷媒流通孔と前記端面板の外周縁との間に配置された表面処理部(例えば、実施形態における表面処理部31)と、を有し、前記表面処理部の表面張力(例えば、実施形態における表面処理部の表面張力F1)は、前記端面板および前記冷媒の少なくとも一方の表面張力(例えば、実施形態における冷媒の表面張力F2)よりも小さい。
(2)本発明の一態様において、前記表面処理部は、少なくとも前記冷媒流通孔と前記端面板の外周縁との間を覆う被膜を有していてもよい。
(3)本発明の一態様において、前記表面処理部は、微細な凹凸構造を有していてもよい。
(4)本発明の一態様において、軸方向から見て、前記表面処理部は、前記端面板の外周に沿う環状を有していてもよい。
上記(1)の態様によれば、端面板が少なくとも冷媒流通孔と端面板の外周縁との間に配置された表面処理部を有することで、ロータの回転に伴う遠心力により、冷媒流通孔から流出した冷媒を表面処理部に沿ってスムーズに流すことができる。そのため、表面処理部を有しない場合と比較して、冷媒流通孔から流出した冷媒が滞留することにより端面板の外周縁に向けて濡れ広がることを抑制することができる。加えて、表面処理部の表面張力が端面板および冷媒の少なくとも一方の表面張力よりも小さいことで、表面処理部の表面張力が端面板および冷媒のそれぞれの表面張力以上の場合と比較して、表面処理部を流れる冷媒を滑り易くすることができる。そのため、ロータの回転に伴う遠心力により、表面処理部を流れる冷媒を径方向外方に飛び出しやすくすることができる。加えて、ステータの内周面側に壁体を設けた構造と比較して、冷媒流通孔から流出した冷媒がステータのコイルに飛散しやすい。したがって、回転電機の回転効率を向上し、かつ、コイルを効率よく冷却することができる。
上記(2)の態様によれば、表面処理部が少なくとも冷媒流通孔と端面板の外周縁との間を覆う被膜を有することで、ロータの回転に伴う遠心力により、冷媒流通孔から流出した冷媒を被膜の表面で滑らせることができる。
上記(3)の態様によれば、表面処理部が微細な凹凸構造を有することで、表面処理部が平面の場合と比較して、表面処理部と冷媒との接触面積が小さくなる(不均一な濡れ状態となる)。そのため、ロータの回転に伴う遠心力により、冷媒流通孔から流出した冷媒を凹凸構造で弾くことができる。
上記(4)の態様によれば、軸方向から見て表面処理部が端面板の外周に沿う環状を有することで、ロータの回転に伴う遠心力により、表面処理部を流れる冷媒を、端面板の全周にわたって、表面処理部に沿ってスムーズに流すことができる。
第一実施形態に係る回転電機の概略構成図。 第一実施形態に係るロータを軸方向から見た、要部拡大図。 図2のIII−III断面図。 第一実施形態の表面処理部における接触角を示す図。 比較例に係るロータを軸方向から見た、要部拡大図。 第二実施形態に係る表面処理部の断面図。 第二実施形態の第一変形例に係る表面処理部の断面図。 第二実施形態の第二変形例に係る表面処理部の断面図。 第二実施形態の第三変形例に係る表面処理部の断面図。 第二実施形態の第四変形例に係る表面処理部の断面図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態においては、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両に搭載される回転電機(走行用モータ)を挙げて説明する。
[第一実施形態]
<回転電機>
図1は、第一実施形態に係る回転電機1の全体構成を示す概略構成図である。図1は、軸線Cを含む仮想平面で切断した断面を含む図である。
図1に示すように、回転電機1は、ケース2、ステータ3、ロータ4、出力シャフト5、および冷媒供給機構(不図示)を備える。
ケース2は、ステータ3およびロータ4を収容する筒状の箱形をなしている。ケース2内には、冷媒(不図示)が収容されている。ステータ3の一部は、ケース2内において、冷媒に浸漬された状態で配置されている。例えば、冷媒としては、トランスミッションの潤滑や動力伝達等に用いられる作動油である、ATF(Automatic Transmission Fluid)等が用いられる。
出力シャフト5は、ケース2に回転可能に支持されている。図2において符号6は、出力シャフト5を回転可能に支持する軸受を示す。以下、出力シャフト5の軸線Cに沿う方向を「軸方向」、軸線Cに直交する方向を「径方向」、軸線C周りの方向を「周方向」とする。
出力シャフト5は、出力シャフト5に同心で設けられた軸心冷媒路5aと、軸心冷媒路5aから径方向外方に延在する径方向冷媒路5bと、を有する。径方向冷媒路5bは、周方向に間隔をあけて複数配置されている。図1の例では、径方向冷媒路5bは、軸心冷媒路5aの軸方向中央部から径方向外方に延びて出力シャフト5の外周面で開口している。
ステータ3は、ステータコア11と、ステータコア11に装着されたコイル12と、を備える。
ステータコア11は、軸線Cと同軸に配置された筒状をなしている。ステータコア11は、ケース2の内周面に固定されている。例えば、ステータコア11は、電磁鋼板が軸方向に積層されて構成されている。なお、ステータコア11は、金属磁性粉末を圧縮成形した、いわゆる圧粉コアであってもよい。
コイル12は、ステータコア11に装着されている。コイル12は、周方向に関して互いに120°の位相差をもって配置されたU相コイル、V相コイル及びW相コイルを備える。コイル12は、ステータコア11のスロット13に挿通された挿通部12aと、ステータコア11から軸方向に突出したコイルエンド部12bと、を備える。ステータコア11には、コイル12に電流が流れることで磁界が発生する。図1において、符号12b1は第一コイルエンド部、符号12b2は軸方向において第一コイルエンド部12b1とは反対側に位置する第二コイルエンド部をそれぞれ示す。
ロータ4は、ステータ3に対して径方向の内側に、間隔をあけて配置されている。ロータ4は、出力シャフト5に固定されている。ロータ4は、軸線C回りに出力シャフト5と一体で回転可能に構成されている。ロータ4は、ロータコア21、磁石22および端面板23を備える。実施形態において、磁石22は永久磁石である。
ロータコア21は、軸線Cと同軸に配置された筒状をなしている。ロータコア21の径方向内側には、出力シャフト5が圧入固定されている。ロータコア21は、ステータコア11と同様に電磁鋼板が軸方向に積層されて構成されていても、圧粉コアであってもよい。
ロータコア21の外周部には、ロータコア21を軸方向に貫通する磁石保持孔25が設けられている。磁石保持孔25は、周方向に間隔をあけて複数配置されている。各磁石保持孔25内には、磁石22が挿入されている。
ロータコア21は、軸心冷却による冷媒が流通可能なロータ内部流路14(冷媒流路)を有する。ロータ内部流路14は、径方向において出力シャフト5(シャフト挿通孔8)と磁石22(磁石保持孔25)との間に配置されている。
ロータ内部流路14は、径方向に延在する径方向流路14aと、軸方向に延在する軸方向流路14bと、を有する。径方向流路14aは、出力シャフト5の径方向冷媒路5bとロータ内部流路14の軸方向流路14bとを連通している。軸方向流路14bは、端面板23の冷媒流通孔30とロータ内部流路14の径方向流路14aとを連通している。径方向流路14aおよび軸方向流路14bは、周方向に間隔をあけて複数配置されている。
端面板23は、ロータコア21に対して軸方向の両端部に配置されている。端面板23の径方向内側には、出力シャフト5が圧入固定されている。端面板23は、ロータコア21における少なくとも磁石保持孔25を軸方向の両端側から覆っている。端面板23は、ロータコア21の軸方向の外端面に当接している。
図2は、第一実施形態に係るロータ4を軸方向から見た、要部拡大図である。
図2に示すように、端面板23は、ロータ内部流路14(図1参照)に連通する冷媒流通孔30と、少なくとも冷媒流通孔30と端面板23の外周縁23aとの間に配置された表面処理部31と、を有する。冷媒流通孔30は、周方向に間隔をあけて複数(例えば本実施形態では12個)配置されている。
軸方向から見て、冷媒流通孔30は、径方向外側に頂部30aを有する三角形状をなしている。軸方向から見て、冷媒流通孔30の各角部は、角丸形状を有する。軸方向から見て、頂部30aは、径方向外側に凸の湾曲形状を有する。図中符号K1は、出力シャフト5の軸心(軸線C)と冷媒流通孔30の頂部30a(径方向外端)とを通る仮想直線を示す。軸方向から見て、冷媒流通孔30は、仮想直線K1を対称軸とする線対称に形成されている。
軸方向から見て、表面処理部31は、冷媒流通孔30の頂部30aから端面板23の外周縁23aの間に配置されている。軸方向から見て、表面処理部31は、端面板23の外周に沿う円環状を有している。表面処理部31は、端面板23の外周に沿って連続的につながっている。
図3は、図2のIII−III断面図である。
図3に示すように、表面処理部31は、少なくとも冷媒流通孔30と端面板23の外周縁23aとの間を覆う被膜である。表面処理部31の表面張力は、端面板23の表面張力よりも小さい。例えば、端面板23の表面張力よりも小さい材料を、端面板23の外周に沿って塗布することにより表面処理部31を形成する。例えば、表面処理部31は、フッ素樹脂コーティングである。例えば、端面板23がアルミニウム製の場合、表面処理部31はアルミニウムよりも表面張力が小さいコーティングとする。
図4は、第一実施形態の表面処理部31における接触角を示す図である。図4において、符号F1は表面処理部31の表面張力、符号F2は液体(冷媒)の表面張力、符号F3は表面処理部31と冷媒との間の表面張力(界面張力)、符号A1は接触角をそれぞれ示す。ぬれの状態が安定しているとき、接触角A1と表面張力F1〜F3との関係は、以下の式(1)が成り立つ(ヤングの式)。
F1=F2×cosA1+F3 ・・・(1)
上記式(1)を変形すると、以下の式(2)となる。
cosA1=(F1−F3)/F2
上記式(2)より、表面処理部31の表面張力F1を小さくすると接触角A1が大きくなるため、表面処理部31において冷媒を弾きやすくなる。すなわち、表面処理部31の表面張力F1を小さくすることにより、表面処理部31を流れる冷媒を滑り易くすることができる。例えば、接触角A1を90°よりも大きくし、表面処理部31を撥水性(撥油性)とすることにより、表面処理部31を流れる冷媒をより一層弾き易くすることができる。
<冷媒の流れ>
以下、図1等を参照して第一実施形態における冷媒の流れを説明する。
実施形態においては、出力シャフト5に設けた軸心冷媒路5aを利用して、軸心冷却が行われる。冷媒供給機構(不図示)により、冷媒が軸心冷媒路5aに供給される。ロータ4の回転に伴う遠心力により、冷媒には、径方向外側に向かう力が作用する。軸心冷媒路5aに供給された冷媒は、遠心力により、径方向冷媒路5bを通ってロータ内部流路14に供給される。ロータ内部流路14に供給された冷媒は、径方向流路14a、軸方向流路14bを通って冷媒流通孔30からロータ4の外部へ排出される。このように、冷媒がロータ内部流路14を移動することにより、ロータコア21が冷却される。
ロータ4の外部へ排出される冷媒の一部は、コイルエンド部12に向かって飛散する。また、ロータ4の外部へ排出される冷媒の残りの一部は、表面処理部31に沿って径方向外方へ移動し、コイルエンド部12に向かって飛散する。これにより、コイル12が冷却される。
<作用>
以下、第一実施形態の回転電機1の作用について説明する。
まず、比較例について説明する。
図5は、比較例に係るロータ4Xを軸方向から見た、要部拡大図である。
図5に示すように、比較例におけるロータ4Xは、実施形態における表面処理部31を有していない。比較例においては、冷媒流通孔30から流出した冷媒は、その場に滞留することにより、端面板23の外周縁23aに向けて濡れ広がる。図中符号S1は、冷媒が冷媒流通孔30から端面板23の外周縁23aに向けて濡れ広がる領域を示す。
比較例においては、端面板23の外周縁23aに向けて濡れ広がった冷媒が、ステータの内周面とロータの外周面との間(エアギャップ)に入り込む可能性が高い。そのため、比較例においては、ステータの内周面とロータの外周面との間に入り込んだ冷媒がロータの回転に対する抵抗として作用し、回転電機の回転効率が低下するおそれがある。
次に、第一実施形態について説明する。
第一実施形態においては、端面板23の表面(軸方向外面)における、冷媒流通孔30と端面板23の外周縁23aとの間に表面処理部31が設けられている(図3参照)。そのため、ロータ4の回転に伴う遠心力により、冷媒流通孔30から流出した冷媒を表面処理部31に沿ってスムーズに流すことができる。
加えて、表面処理部31の表面張力が端面板23の表面張力よりも小さい。そのため、表面処理部31の表面張力が端面板23の表面張力以上の場合と比較して、表面処理部31を流れる冷媒を滑り易くすることができる。
よって、ロータ4の回転に伴う遠心力により、表面処理部31を流れる冷媒を径方向外方に飛び出しやすくすることができる。表面処理部31から径方向外方に飛び出した冷媒は、ステータ3の内周面とロータ4の外周面との間に入り込む可能性が低い。したがって、第一実施形態においては、冷媒がロータ4の回転に対する抵抗として作用する可能性は低く、回転電機1の回転効率が低下する可能性は低い。
以上説明したように、上記実施形態の回転電機1は、筒状のステータコア11と、ステータコア11に装着されたコイル12と、を有するステータ3と、ステータ3の径方向内側に配置されたロータ4と、を備え、ロータ4は、軸心冷却による冷媒が流通可能なロータ内部流路14を有するロータコア21と、ロータコア21の軸方向端部に配置された端面板23と、を備え、端面板23は、ロータ内部流路14に連通する冷媒流通孔30と、少なくとも冷媒流通孔30と端面板23の外周縁23aとの間に配置された表面処理部31と、を有し、表面処理部31の表面張力は、端面板23の表面張力よりも小さい。
この構成によれば、端面板23が少なくとも冷媒流通孔30と端面板23の外周縁23aとの間に配置された表面処理部31を有することで、ロータ4の回転に伴う遠心力により、冷媒流通孔30から流出した冷媒を表面処理部31に沿ってスムーズに流すことができる。そのため、表面処理部31を有しない場合と比較して、冷媒流通孔30から流出した冷媒が滞留することにより端面板23の外周縁23aに向けて濡れ広がることを抑制することができる。加えて、表面処理部31の表面張力が端面板23の表面張力よりも小さいことで、表面処理部31の表面張力が端面板23の表面張力以上の場合と比較して、表面処理部31を流れる冷媒を滑り易くすることができる。そのため、ロータ4の回転に伴う遠心力により、表面処理部31を流れる冷媒を径方向外方に飛び出しやすくすることができる。加えて、ステータの内周面側に壁体を設けた構造と比較して、冷媒流通孔30から流出した冷媒がステータ3のコイル12に飛散しやすい。したがって、回転電機1の回転効率を向上し、かつ、コイル12を効率よく冷却することができる。加えて、表面処理部31が軸方向両側の端面板23のそれぞれに設けられていることで、第一コイルエンド部12b1および第二コイルエンド部12b2のそれぞれを冷却することができる。したがって、表面処理部31が片側の端面板23のみに設けられた場合と比較して、コイル12をより一層効率よく冷却することができる。
上記実施形態では、表面処理部31が少なくとも冷媒流通孔30と端面板23の外周縁23aとの間を覆う被膜を有することで、以下の効果を奏する。
ロータ4の回転に伴う遠心力により、冷媒流通孔30から流出した冷媒を被膜の表面で滑らせることができる。例えば、端面板23の表面張力よりも小さい材料を、端面板23の外周に沿って塗布することにより、被膜(塗膜)を形成することができる。
上記実施形態では、軸方向から見て表面処理部31が端面板23の外周に沿う環状を有することで、以下の効果を奏する。
ロータ4の回転に伴う遠心力により、表面処理部31を流れる冷媒を、端面板23の全周にわたって、表面処理部31に沿ってスムーズに流すことができる。
上述した実施形態では、表面処理部31の表面張力が端面板23の表面張力よりも小さい例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、表面処理部31の表面張力は、冷媒の表面張力よりも小さくてもよい。すなわち、表面処理部31の表面張力は、端面板23および冷媒の少なくとも一方の表面張力よりも小さくてもよい。
上述した実施形態では、表面処理部31がフッ素樹脂コーティングである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、表面処理部31は、n−ヘキサン、n−ペンタンであってもよい。ここで、ATF(油)の表面張力は、20mN/m程度である。各種液体の20℃の表面張力は、n−ヘキサンが18.40mN/mであり、n−ペンタンが16.00mN/mである。例えば、冷媒としてATFを用いる場合、表面処理部31をn−ヘキサン、n−ペンタンの被膜(例えば、塗膜)とする。これにより、表面処理部31の表面張力を冷媒の表面張力よりも小さくすることができる。
[第二実施形態]
第一実施形態では、表面処理部31が冷媒流通孔30と端面板23の外周縁23aとの間を覆う被膜である例を挙げて説明したが、これに限らない。
図6は、第二実施形態に係る表面処理部231の断面図である。
図6に示すように、表面処理部231は、微細な凹凸構造を有していてもよい。断面視で、表面処理部231は、矩形の凹凸形状を有している。図中符号232は、凹凸構造を構成する凸部を示す。凸部232は、端面板23の表面に間隔をあけて複数配置されている。例えば、複数の凸部232は、端面板23と同一の部材で一体に形成されている。例えば、凸部232の幅W1、隣り合う2つの凸部232の配置間隔W2(以下「ピッチ」ともいう。)、凸部232の高さH1は、それぞれナノメートルオーダーの長さを有する。
第二実施形態によれば、表面処理部231が微細な凹凸構造を有することで、表面処理部が平面の場合と比較して、表面処理部231と冷媒との接触面積が小さくなる(不均一な濡れ状態となる)。そのため、ロータの回転に伴う遠心力により、冷媒流通孔から流出した冷媒を凹凸構造で弾くことができる。
例えば、ピッチW2を凸部の幅W1も小さく、かつ、凸部の高さH1を凸部の幅W1よりも大きくすることが好ましい(W2<W1<H1)。これにより、冷媒流通孔から流出した冷媒を、凹凸構造でより効果的に弾きやすくすることができる。
例えば、凹凸構造の表面にフッ素樹脂コーティング等の被膜を形成することが好ましい。これにより、冷媒流通孔から流出した冷媒を、被膜でより効果的に弾きやすくすることができる。
上述した第二実施形態では、複数の凸部232が端面板23と同一の部材で一体に形成されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、複数の凸部232は、端面板23と異なる部材で形成され、それぞれ端面板23と一体に結合されていてもよい。
上述した第二実施形態では、表面処理部231が矩形断面の凹凸形状を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。
例えば、図7に示すように、表面処理部231Aは、台形断面の複数の凸部232Aを有していてもよい。
例えば、図8に示すように、表面処理部231Bは、半円断面の複数の凸部232Bを有していてもよい。
例えば、図9に示すように、表面処理部231Cは、半円断面の複数の凹部233Cを有していてもよい。
例えば、図10に示すように、表面処理部231Dは、円形状断面の複数の凸部232Dを有していてもよい。
例えば、表面処理部は、ローレット加工により形成された凹凸構造(ローレット目)であってもよい。例えば、ローレット目は、JIS規格(JIS B 0951−1962)で規定される種類(平目およびアヤ目)、形状・寸法を適用してもよい。
上述した実施形態では、回転電機1が、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両に搭載される走行用モータである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、回転電機1は、発電用モータやその他用途のモータ、車両用以外の回転電機(発電機を含む)であってもよい。
上述した実施形態では、出力シャフト5に設けた軸心冷媒路5aを利用して、軸心冷却を行っている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ロータ4の回転により、端面板23に設けられた誘導壁(不図示)に沿って冷媒を磁石22に供給してもよい。例えば、ケース2等に設けた供給口を通して、端面板23の開口部に冷媒を供給してもよい。
上述した実施形態では、表面処理部が軸方向両側の端面板23のそれぞれに設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、表面処理部は、片側の端面板23のみに設けられていてもよい。
上述した実施形態では、出力シャフト5の径方向冷媒路5bが軸心冷媒路5aの軸方向中央部から径方向外方に延びる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、径方向冷媒路5bは、軸方向に間隔をあけて複数配置されていてもよい。例えば、径方向冷媒路5bは、ロータコア21の軸方向端部寄りに配置されていてもよい。この場合、ロータ内部流路14の径方向流路14aは、ロータコア21の軸方向端部寄りに配置されていてもよい。
上述した実施形態では、軸方向から見て表面処理部31が端面板23の外周に沿う環状を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、表面処理部は、冷媒流通孔30と端面板23の外周縁23aとの間にのみ設けられていてもよい。例えば、表面処理部は、端面板23の外周に沿って間隔をあけて複数配置されていてもよい。例えば、表面処理部は、端面板23の表面全体に設けられていてもよい。すなわち、表面処理部は、少なくとも冷媒流通孔30と端面板23の外周縁23aとの間に配置されていればよい。
上述した実施形態では、軸方向から見て冷媒流通孔30が径方向外側に頂部30aを有する三角形状をなしている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、軸方向から見て、冷媒流通孔30は、三角形状以外の形状を有していてもよい。例えば、軸方向から見て、冷媒流通孔30は、矩形形状を有していてもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であり、上述した変形例を適宜組み合わせることも可能である。
1…回転電機
3…ステータ
4…ロータ
11…ステータコア
12…コイル
14…ロータ内部流路(冷媒流路)
21…ロータコア
23…端面板
23a…外周縁
30…冷媒流通孔
31,231,231A,231B,231C,231D…表面処理部
F1…表面処理部の表面張力
F2…冷媒の表面張力

Claims (4)

  1. 筒状のステータコアと、前記ステータコアに装着されたコイルと、を有するステータと、
    前記ステータの径方向内側に配置されたロータと、を備え、
    前記ロータは、
    軸心冷却による冷媒が流通可能な冷媒流路を有するロータコアと、
    前記ロータコアの軸方向端部に配置された端面板と、を備え、
    前記端面板は、
    前記冷媒流路に連通する冷媒流通孔と、
    少なくとも前記冷媒流通孔と前記端面板の外周縁との間に配置された表面処理部と、を有し、
    前記表面処理部の表面張力は、前記端面板および前記冷媒の少なくとも一方の表面張力よりも小さいことを特徴とする回転電機。
  2. 前記表面処理部は、少なくとも前記冷媒流通孔と前記端面板の外周縁との間を覆う被膜を有することを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記表面処理部は、微細な凹凸構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。
  4. 軸方向から見て、前記表面処理部は、前記端面板の外周に沿う環状を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の回転電機。
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