JP2012060843A - 回転電機用ロータ及び回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転電機用ロータにおいて、ロータの姿勢にかかわらず、ロータを効率的に冷却可能な構成を実現することである。
【解決手段】ロータ14は、軸方向に設けられたロータ側冷媒通路36を備え、回転可能に設ける。ロータ側冷媒通路36は、冷却液の流れ方向中間部に設けられた段差部40,42を含み、ロータ側冷媒通路36の内周面の径方向長さが、段差部40(または42)に関して冷媒の流れ方向下流側で、段差部40(または42)に関して冷媒の流れ方向上流側よりも大きくなるようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷媒を流すための冷媒通路を備え、回転可能に設けられた回転電機用ロータ及びこの回転電機用ロータを備える回転電機に関し、例えば、冷媒通路に冷媒である冷却液を流すことで、ロータの構成部材を冷却するために使用する。
従来から知られている、車両用電動機等の回転電機は、ステータとロータとを備える。また、このような回転電機において、使用時に温度上昇するロータの内部に空気や冷媒である冷却液(例えば冷却油)を供給することにより、回転電機を冷却し、ロータに設けた磁石や巻線が熱劣化するのを防止する等の効果を得ることが考えられている。特に、電動機の高出力化を図ろうとする場合に、ロータを効果的に冷却することは有効である。
例えば、特許文献1に記載の回転電機用ロータでは、ロータを構成するロータコアの一端面から反対側の端面に向かって貫通する貫通孔または溝が設けられている。この貫通孔または溝は、回転電機の軸方向に対してねじれており、周方向の位置が空気入口と空気出口とでずれている。ロータコアが回転すると、貫通孔または溝により、空気が送流され冷却効率が高くなるとされている。また、特許文献1では、貫通孔または溝によって送流される流体は、空気だけでなく、液体等であってもよいとされている。なお、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1の他に特許文献2がある。
特開2001−25209号公報 特開2008−312292号公報
上記の特許文献1に記載されたロータの場合、貫通孔または溝により液体を送流する場合に、ロータの姿勢によっては、液体が貫通孔または溝の上流側へ逆流する可能性がある。例えば、回転電機を車両に搭載して使用する場合で、車両が坂道上にある場合には、車両の傾斜に伴って回転電機が水平方向に対し傾斜する可能性がある。これに対して、特許文献1に記載されたロータの場合、貫通孔または溝内で液体の逆流を抑制することは考慮されていないので、回転電機の傾斜に伴うロータの傾斜方向によっては、液体が貫通孔または溝の上流側へ逆流する可能性がある。このため、ロータの姿勢によっては、ロータを効率的に冷却できない可能性がある。
また、特許文献1に記載されたロータの場合、ロータの回転方向により貫通孔または溝内の流体の送流方向が決定されるため、ロータの回転方向によっては、ロータの軸方向の所望の方向に冷媒を流すことができない可能性がある。例えば、ロータが正方向に回転する場合、ロータの軸方向の所望方向に冷媒を貫通孔を通じて流すことができるが、ロータが逆方向に回転すると、冷媒の流れ方向が逆になり、冷媒をロータの軸方向の所望方向に流すことができない可能性がある。このため、特許文献1に記載されたロータによっては、ロータが正逆両方向のいずれに回転する場合でも、ロータを効率的に冷却できるという効果を得られない可能性がある。
また、特許文献2には、回転電機を構成するステータの冷却構造として、複数の磁性板を積層してなるステータコアに冷却液流通路を形成し、冷却液流通路は、回転軸の回転中心方向に対し屈曲を繰り返し、拡張及び縮小を繰り返す形状とすることが記載されている。このような冷却液流通路により、冷却液がかき混ぜられ、温度の低い冷却液が磁性板と接触する機会が増加したり、冷却液全体における熱の均一化を促進でき、冷却液の磁性板からの吸熱効率の向上により、冷却効果が向上するとされている。そして、このような特許文献2に記載された技術を、ロータに適用することも考えられる。ただし、ロータはステータと異なり回転するため、ロータに屈曲を含む冷却液流通路を設けることにより得られる効果を高くできるとはいい難い。
また、回転軸の外径側にロータを固定した回転電機において、回転軸の内側に軸方向に設けた軸側第1冷媒通路と、軸側第1冷媒通路に接続し、径方向に設けた軸側第2冷媒通路とを備え、ロータの周方向複数個所に軸方向のロータ側冷媒通路を設け、ロータ側冷媒通路において、ロータの径方向に関する長さを軸方向に関する各部で同じとし、軸側第1冷媒通路から、軸側第2冷媒通路を介して、ロータ側冷媒通路に冷却液を流すことも考えられる。このような回転電機では、ロータの回転時の遠心力により、軸側第1冷媒通路から径方向外側のロータ側冷媒通路に冷却液が流れやすくなる。ただし、ロータが水平方向に対し傾斜した場合、軸方向のロータ側冷媒通路内での下流側から上流側への冷却液の逆流を抑制できず、しかも、ロータ側冷媒通路の下部に溜まる冷却液量が多くなり、ロータを効率的に冷却する面から改良の余地がある。このため、ロータの姿勢によっては、ロータを効率的に冷却できない可能性がある。
このような事情に鑑みて、本発明者は、少なくとも、ロータの姿勢にかかわらず、ロータを効率的に冷却可能な構成を考えるに至った。
本発明の目的は、回転電機用ロータ及び回転電機において、ロータの姿勢にかかわらず、ロータを効率的に冷却可能な構成を実現することを目的とする。
本発明に係る回転電機用ロータのうち、第1の回転電機用ロータは、冷媒を流すための冷媒通路を備え、回転可能に設けられた回転電機用ロータであって、冷媒通路は、冷媒の流れ方向中間部に設けられた段差部を含み、冷媒通路の内周面の径方向長さが、段差部に関して冷媒の流れ方向下流側で、段差部に関して冷媒の流れ方向上流側よりも大きくなっていることを特徴とする回転電機用ロータである。
上記の構成によれば、ロータの傾斜方向によって、冷媒通路内で冷媒が所望方向とは逆方向に逆流しやすくなる場合でも、少なくともロータの下部に位置する冷媒通路において、各段差部で冷媒がせき止められ、冷媒通路での冷媒の逆流が抑制されるとともに、ロータの下部に溜まる冷媒の滞留量を少なくできる。このため、冷媒通路に冷媒を流すことで、ロータの姿勢にかかわらず、ロータを効率的に冷却できる。
また、本発明に係る第1の回転電機用ロータにおいて、好ましくは、冷媒通路は、ロータを構成するロータコアの軸方向に設けられている。
上記の構成によれば、ロータの回転方向で冷媒通路内の冷媒の流れ方向が決定されることがない。このため、ロータの回転方向にかかわらず、ロータの水平方向に対する傾斜時でも冷媒の逆流を抑制できる等、同様の効果を得られ、ロータをより効率的に冷却できる。
また、本発明に係る回転電機は、本発明に係る第1の回転電機用ロータと、軸方向に設けられた軸側第1冷媒通路と、軸側第1冷媒通路に通じるように径方向に設けられた軸側第2冷媒通路とを含み、ロータの内周面に嵌合固定される回転軸とを備える回転電機であって、ロータに設けられた冷媒通路は、ロータの内周面に開口するように設けられた軸方向溝と、軸方向溝の径方向内端を塞ぐ回転軸の外周面とにより構成され、段差部は、軸方向溝の軸方向中間部において、ロータの径方向に関する外端部に設けられ、冷媒通路の内周面の径方向長さが段差部に関して冷媒の流れ方向下流側で、段差部に関して冷媒の流れ方向上流側よりも大きくなっていることを特徴とする回転電機である。
また、本発明に係る回転電機において、好ましくは、ロータの冷媒通路よりも径方向外側に軸方向に設けられた第2冷媒通路を備え、第2冷媒通路は、冷媒の流れ方向中間部において、ロータの径方向に関する外端部に設けられた第2段差部を含み、第2冷媒通路の内周面の径方向長さが、第2段差部に関して冷媒の流れ方向下流側で、第2段差部に関して冷媒の流れ方向上流側よりも大きくなっており、冷媒の流れ方向が、ロータの軸方向に関して冷媒通路と第2冷媒通路とで逆になっている。
また、本発明に係る回転電機用ロータのうち、第2の回転電機用ロータは、冷媒を流すための冷媒通路を備え、回転可能に設けられた回転電機用ロータであって、冷媒通路は、ロータの姿勢にかかわらず、所望方向とは逆方向に冷媒が流れることを抑制するように構成されていることを特徴とする回転電機用ロータである。
上記の構成によれば、ロータの傾斜方向によって、冷媒通路内で冷媒が所望方向とは逆方向に逆流しやすくなる場合でも、逆流を抑制できるので、冷媒通路に冷媒を流すことで、ロータの姿勢にかかわらずロータを効率的に冷却できる。
また、本発明に係る第2の回転電機用ロータにおいて、好ましくは、冷媒通路は、ロータを構成するロータコアの軸方向に設けられている。
上記の構成によれば、ロータの回転方向で冷媒通路内の冷媒の流れ方向が決定されることがない。このため、ロータの回転方向にかかわらず、ロータの水平方向に対する傾斜時でも冷媒の逆流を抑制できる等、同様の効果を得られ、ロータをより効率的に冷却できる。
本発明に係る回転電機用ロータ及び回転電機によれば、ロータの姿勢にかかわらず、ロータを効率的に冷却可能な構成を実現できる。
本発明に係る第1の実施の形態の回転電機用ロータを含む回転電機の断面図である。 図1からロータを取り出して、図1の右側から左側に見た図である。 図2のA−A断面図である。 第1の実施の形態において、回転電機が水平方向に対し傾斜した状態を示す断面図である。 本発明から外れた比較例の回転電機を示す、図4に対応する図である。 本発明に係る第2の実施の形態の回転電機用ロータを含む回転電機の断面図である。
[第1の発明の実施の形態]
以下において、図1から図4を用いて本発明に係る第1の実施の形態を説明する。本実施の形態の回転電機10は、例えばハイブリッド車両を駆動するモータとして、または、発電するための発電機として、または、その両方の機能を有するものとして使用する。図1に示すように、回転電機10は、ハウジングである図示しないモータケースの内面に固定したステータ12と、ステータ12の径方向内側に対向配置したロータ14と、ロータ14に固定した回転軸16とを備える。このような回転電機10は、冷媒であり、油等の冷却液をロータ14に供給することにより冷却する。なお、図1は、図2に示すロータ14のA−A断面に対応する部分で切断した場合の回転電機10の断面図である。
ステータ12は、複数の電磁鋼板を軸方向に積層することにより構成する積層体または圧粉磁心により構成するステータコア18と、ステータコア18の内周面の周方向複数個所に設けたティースに巻装したステータコイル20とを含む。ステータコイル20において、ステータコア18の軸方向両側面よりも軸方向外側に突出する部分により、一対のコイルエンドを構成している。
ステータ12とロータ14とは、図示しないモータケースに収容されている。回転軸16は、モータケースとの間に設けた2の軸受22により回転可能に支持している。ロータ14は、回転軸16の軸方向中間部の外径側に固定し、ステータ12の径方向内側に、エアギャップを介して対向させている。言い換えれば、ステータ12は、ロータ14の外径側に対向している。
ロータ14は、複数の電磁鋼板を軸方向に積層することにより構成する積層体または圧粉磁心により構成するロータコア24と、ロータコア24の周方向複数個所に軸方向に配置した永久磁石26とを含む。図2に示すように、永久磁石26は、ロータ14の径方向に対し傾斜した方向に着磁している。図示の例では、永久磁石26を2個1組として、各組の永久磁石26を、径方向外側に広がる略V字形に配置している。ただし、複数の永久磁石26をロータ14の径方向に着磁するように構成し、配置することもできる。
また、図1に示すように、回転軸16の中心部に、軸方向に貫通するように軸側第1冷媒通路28を軸方向に設けている。また、回転軸16の軸側第1冷媒通路28の外側の周方向複数個所に、軸側第1冷媒通路28と通じるように、径方向の軸側第2冷媒通路30を設けている。また、各軸側第2冷媒通路30を、回転軸16の外周面に通じさせている。そして、回転軸16は、ロータ14の内周面に嵌合固定している。また、回転軸16の片側(図1の左側)外周面にフランジ32を設けて、フランジ32にロータコア24の軸方向一端面(図1の左端面)を突き当てている。また、回転軸16の他側(図1の右側)外周面に環状の抑え部材34の内周面を係止し、フランジ32と抑え部材34との間でロータコア24を軸方向に挟持している。このため、ロータ14は、モータケースの内側に回転可能に設けられる。
また、モータケースの外側に図示しない冷却液ポンプを設けて、冷却液ポンプにより軸側第1冷媒通路28内への冷却液の供給を可能としている。また、軸側第1冷媒通路28の軸方向のいずれかの端部で、冷却液ポンプの接続側とは反対側の端部開口は、図示しない塞ぎ部材により塞いでいる。なお、冷却液として油を使用する場合、例えば、オートマチックトランスミッションフルード(ATF)等の、変速装置の潤滑に使用する油を使用することもできる。
また、ロータコア24の内部で径方向内側部分の周方向複数個所に、軸方向に、冷媒である冷却液を流すためのロータ側冷媒通路36を設けている。各ロータ側冷媒通路36は、ロータコア24の内周面に開口するように軸方向に全長にわたって設けられた軸方向溝38と、軸方向溝38の、ロータ14の径方向に関する内端開口を塞ぐ、回転軸16の外周面とにより構成されている。また、各ロータ側冷媒通路36の軸方向一端(図1の左端)開口は、回転軸16に設けたフランジ32により密に塞がれている。これに対して各ロータ側冷媒通路36の軸方向他端(図1の右端)開口は、抑え部材34の外周面よりも外径側部分を通じて外部に通じさせている。
また、図1から図3に示すように、各ロータ側冷媒通路36の内周面において、ロータ14の径方向に関する外端部であって、冷却液の流れ方向(図1、図3の矢印α方向)である軸方向中間部複数個所に、段差部40,42が設けられている。段差部40,42は、ロータ14の軸方向に対し直交する方向に設けられており、各段差部40,42の側面は、軸方向の互いに同じ方向(図1、図3の右方)に向いている。このために、各段差部40,42は、対応する軸方向溝38の軸方向中間部において、ロータ14の径方向に関する外端部に設けられている。
また、各ロータ側冷媒通路36の内周面において、ロータ14の径方向に関する長さが、段差部40(または42)に関して冷却液の流れ方向下流側で、当該段差部40(または42)に関して冷却液の流れ方向上流側よりも大きくなるようにしている。このため、各ロータ側冷媒通路36の内周面の、ロータ14の径方向に関する長さは、冷却液の流れ方向下流側に向かうにしたがって、段階的に大きくなっている。なお、以下の説明では、特に断らない限り、「径方向」とはロータの径方向を意味する(特許請求の範囲で同じとする)。
また、各ロータ側冷媒通路36の軸方向一端(図1の左端)と軸方向他端(図1の右端)とは、ロータ14の周方向に関して同位置に設けている。このように構成するため、各ロータ側冷媒通路36は、ロータ14の姿勢にかかわらず、所望方向とは逆方向に冷却液が流れることを抑制するように構成されている。なお、図示の例では、各ロータ側冷媒通路36で段差部40,42の数を2としているが、本発明はこれに限定するものではなく、1、または3以上の複数の段差部を設けることもできる。
また、各ロータ側冷媒通路36の軸方向他端(図1の右端)から外部に排出された冷却液は、モータケースの下部に溜まるようにしている。モータケースの下部内側に溜まった冷却液は、図示しない配管を通じて冷却液ポンプ側へ供給可能としている。なお、モータケース外に配出された冷却液を、オイルパン等で冷却したり、外気または冷却水と冷却液とを熱交換させる適宜の熱交換部で冷却してから、冷却液ポンプに供給することもできる。
このようなロータ14及び回転電機10の使用時には、冷却液ポンプが駆動することで、モータケース内から軸側第1冷媒通路28に冷却液が供給され、軸側第2冷媒通路30を介してロータ側冷媒通路36に送られる。ロータ側冷媒通路36内を、軸方向の所望方向である、図1の矢印α方向に流れた冷却液は、ロータ14を冷却しつつロータ14の軸方向他端面(図1の右端面)から外部に排出される。このようにロータ14を流れる冷却液により、ロータコア24、及び、ロータ14に設けた永久磁石26が冷却される。
このような回転電機10は、例えば、車両に搭載して使用する。この場合、車両が坂道に位置する場合等で、図4に示すように回転電機10が水平方向(図4のH方向)に対し傾斜する可能性がある。この場合、回転電機10の傾斜に伴う、ロータ14の傾斜方向によっては、図4に示すように、ロータ側冷媒通路36内で冷却液44が所望方向とは逆方向である、図4の矢印β方向に逆流しやすくなる可能性がある。ただし、本実施の形態では、上記のようにロータ側冷媒通路36に互いに同方向に向いた段差部40,42を設けているため、少なくともロータ14の下部に位置するロータ側冷媒通路36において、各段差部40,42で冷却液がせき止められ、ロータ側冷媒通路36での冷却液の、図4の矢印β方向への逆流が抑制される。一方、図4のように回転電機10が傾斜した場合でも、段差部40,42の存在にかかわらず、ロータ側冷媒通路36内に冷却液を所望方向(図4の矢印β方向と逆方向)には流れやすくできる。また、少なくともロータ14の下部に位置するロータ側冷媒通路36において、軸方向一端部(図4の左端部)に存在する冷却液は、フランジ32によりせき止められるとともに、冷媒上流側は径方向内端側で、軸側第2冷媒通路30に接続されているので、ロータ側冷媒通路36から軸側第1冷媒通路28への逆流が抑制される。このため、ロータ14の姿勢にかかわらず、ロータ14を効率的に冷却できる。
しかも上記のようにロータ側冷媒通路36に互いに同方向に向いた段差部40,42が設けられている。このため、少なくともロータ14の下部に位置するロータ側冷媒通路36において、図4のように回転電機10が傾斜した場合でも、ロータ14の下部に溜まる冷却液の滞留量を少なくできる。
これについて、図5を用いて本発明から外れる比較例との対比で説明する。図5は、本発明から外れた比較例の回転電機10aを示す、図4に対応する図である。この比較例の回転電機10aは、上記の図1から図4に示した本実施の形態の回転電機10と同様の構造において、各ロータ側冷媒通路36aに段差部を設けず、単に軸方向の全長にわたって、内周面の径方向長さを同じとした構造を有する。このような比較例では、図5に示すように、回転電機10aが図4に示した場合に対し、同方向に同じだけ水平方向に対し傾斜した場合に、下部に位置するロータ側冷媒通路36a内で軸方向全長にわたって多くの冷却液44が滞留した状態となる可能性がある。
これに対して、図4に示す本実施の形態では、各ロータ側冷媒通路36に段差部40,42を設けているので、少なくとも下部に位置するロータ側冷媒通路36でこのような不都合が生じることがない。すなわち、ロータ側冷媒通路36の軸方向全長にわたって冷却液が滞留するとしても、その滞留量を十分に少なくできる。このため、ロータ14を効率的に冷却できる。また、上記の特許文献2に記載された構成の場合と異なり、ロータ側冷媒通路36が、回転軸16の中心軸方向に対し屈曲を繰り返し、拡張及び縮小を繰り返す形状とはならないので、冷却液ポンプの回転数が低い場合や、回転電機10の回転速度が低い場合でも、冷却液を所望の方向に流しやすくできる。
さらに、本実施の形態では、上記の特許文献1に記載された構成の場合と異なり、各ロータ側冷媒通路36は、ロータコア24の軸方向に設けられいる。このため、ロータ14の回転方向でロータ側冷媒通路36内の冷却液の流れ方向が決定されることがない。したがって、ロータ14の回転方向にかかわらず、ロータ14の水平方向に対する傾斜時でも冷却液の逆流を抑制できる等、同様の効果を得られ、ロータ14をより効率的に冷却できる。この結果、各ロータ側冷媒通路36に冷却液を流すことで、ロータ14の回転方向にかかわらず、また、ロータ14の姿勢にかかわらず、ロータ側冷媒通路36内に冷却液を所望方向に流れやすくできる一方、ロータ側冷媒通路36内に冷却液が所望方向とは逆方向に流れることを抑制でき、ロータ14を効率的に冷却でき、高出力の回転電機10を実現しやすくなる。
なお、本実施の形態では、各ロータ側冷媒通路36を、径方向内端がロータコア24の内周面に開口する溝状としている。ただし、本実施の形態は、このような構成に限定するものではなく、例えば、各ロータ側冷媒通路を、ロータコア24の内部に軸方向に貫通する孔状に形成し、その軸方向中間部の内周面に段差部を設けた形状とすることもできる。また、本実施の形態では、回転電機10が、ロータ14に永久磁石26を設けた永久磁石付き回転電機である場合を説明したが、本発明はこのような構成に限定するものではなく、例えば、ロータコアにロータ巻線を巻装した誘導機とする場合等でも、本実施の形態を適用できる。
[第2の発明の実施の形態]
図6は、本発明に係る第2の実施の形態の回転電機用ロータを含む回転電機の断面図である。本実施の形態の回転電機10では、上記の第1の実施の形態の回転電機10において、ロータコア24の軸方向両側に一対のエンドプレート46,48を設けるとともに、ロータコア24及び一対のエンドプレート46,48を、回転軸16のフランジ32と抑え部材34との間で軸方向に挟持している。また、ロータコア24の径方向内端部の周方向複数個所にロータ側冷媒通路36を設けるとともに、ロータ側冷媒通路36の軸方向一端(図6の左端)開口を、一対のエンドプレート46,48の片側のエンドプレート46により塞いでいる。また、一対のエンドプレート46,48の他側のエンドプレート48の内側にプレート側冷媒通路50を設けるとともに、プレート側冷媒通路50にロータ側冷媒通路36の軸方向他端(図6の右端)を接続している。
さらに、ロータコア24において、ロータ側冷媒通路36の径方向外側に冷却液を流すための第2ロータ側冷媒通路52を設けている。第2ロータ側冷媒通路52は、ロータコア24の軸方向に設けたもので、第2ロータ側冷媒通路52の軸方向一端(図6の左端)を、片側のエンドプレート46の内側に設けた第2プレート側冷媒通路54に接続し、第2ロータ側冷媒通路52の軸方向他端(図6の右端)を、他側のエンドプレート48のプレート側冷媒通路50に接続している。第2プレート側冷媒通路54は、片側のエンドプレート46に設けた軸方向の孔部を通じて、外部に通じさせている。
また、第2ロータ側冷媒通路52の冷媒の流れ方向(図6の矢印β方向)複数個所である、第2ロータ側冷媒通路52の軸方向複数個所に第2段差部56,58が設けられている。各第2段差部56,58は、ロータ14の軸方向に対し直交する方向に設けられており、各第2段差部56,58の側面は、軸方向の互いに同じ方向(図6の左方)に向いている。また、各第2ロータ側冷媒通路52の内周面の径方向長さが、第2段差部56(または58)に関して冷却液の流れ方向である、図4の矢印β方向の下流側で、当該第2段差部56(または58)に関して冷却液の流れ方向上流側よりも大きくなるようにしている。このため、各第2ロータ側冷媒通路52の内周面の径方向長さは、冷却液の流れ方向下流側に向かうにしたがって、段階的に大きくなっている。
また、各第2ロータ側冷媒通路52の軸方向両端は、ロータ14の周方向に関して同位置に設けている。このように構成するため、各第2ロータ側冷媒通路52は、ロータ14の姿勢にかかわらず、所望方向とは逆方向である、図4の矢印β方向とは逆方向に冷却液が流れることを抑制するように構成されている。
このような本実施の形態のロータ14及び回転電機10の場合には、ロータ14を流れる冷却液の冷媒経路の全長を、上記の第1の実施の形態よりも長くでき、ロータをより効率的に冷却することができる。また、第2ロータ側冷媒通路52に第2段差部56,58を設けているので、冷却液を所望方向である、図6の矢印β方向にのみ流れやすくするとともに、回転電機10の傾斜に伴うロータ14の傾斜方向にかかわらず、所望方向とは逆方向である、図4の矢印β方向とは逆方向に冷却液が逆流するのを抑制できる。その他の構成及び作用は、上記の第1の実施の形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
10,10a 回転電機、12 ステータ、14 ロータ、16 回転軸、18 ステータコア、20 ステータコイル、22 軸受、24 ロータコア、26 永久磁石、28 軸側第1冷媒通路、30 軸側第2冷媒通路、32 フランジ、34 抑え部材、36,36a ロータ側冷媒通路、38 軸方向溝、40,42 段差部、44 冷却液、46,48 エンドプレート、50 プレート側冷媒通路、52 第2ロータ側冷媒通路、54 第2プレート側冷媒通路、56,58 第2段差部。

Claims (6)

  1. 冷媒を流すための冷媒通路を備え、回転可能に設けられた回転電機用ロータであって、
    冷媒通路は、冷媒の流れ方向中間部に設けられた段差部を含み、冷媒通路の内周面の径方向長さが、段差部に関して冷媒の流れ方向下流側で、段差部に関して冷媒の流れ方向上流側よりも大きくなっていることを特徴とする回転電機用ロータ。
  2. 請求項1に記載の回転電機用ロータにおいて、
    冷媒通路は、ロータを構成するロータコアの軸方向に設けられていることを特徴とする回転電機用ロータ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の回転電機用ロータと、
    軸方向に設けられた軸側第1冷媒通路と、軸側第1冷媒通路に通じるように径方向に設けられた軸側第2冷媒通路とを含み、ロータの内周面に嵌合固定される回転軸とを備える回転電機であって、
    ロータに設けられた冷媒通路は、
    ロータの内周面に開口するように設けられた軸方向溝と、軸方向溝の径方向内端を塞ぐ回転軸の外周面とにより構成され、
    段差部は、軸方向溝の軸方向中間部において、ロータの径方向に関する外端部に設けられ、冷媒通路の内周面の径方向長さが段差部に関して冷媒の流れ方向下流側で、段差部に関して冷媒の流れ方向上流側よりも大きくなっていることを特徴とする回転電機。
  4. 請求項3に記載の回転電機において、
    ロータの冷媒通路よりも径方向外側に軸方向に設けられた第2冷媒通路を備え、
    第2冷媒通路は、冷媒の流れ方向中間部において、ロータの径方向に関する外端部に設けられた第2段差部を含み、第2冷媒通路の内周面の径方向長さが、第2段差部に関して冷媒の流れ方向下流側で、第2段差部に関して冷媒の流れ方向上流側よりも大きくなっており、冷媒の流れ方向が、ロータの軸方向に関して冷媒通路と第2冷媒通路とで逆になっていることを特徴とする回転電機。
  5. 冷媒を流すための冷媒通路を備え、回転可能に設けられた回転電機用ロータであって、
    冷媒通路は、ロータの姿勢にかかわらず、所望方向とは逆方向に冷媒が流れることを抑制するように構成されていることを特徴とする回転電機用ロータ。
  6. 請求項5に記載の回転電機用ロータにおいて、
    冷媒通路は、ロータを構成するロータコアの軸方向に設けられていることを特徴とする回転電機用ロータ。
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