JP2020113367A - プロトン伝導体および燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造の安定性を向上させ、プロトン伝導性の低下を抑制させることが可能なプロトン伝導体を提供する。【解決手段】アニオン性分子と、カチオン性有機分子とを含んで構成されるプロトン伝導体において、アニオン性分子をアニオン性金属錯体分子とする。アニオン性金属錯体分子は、金属イオンとオキソ酸イオンとの化学結合を少なくとも1つ含んでいる。オキソ酸イオンを構成するオキソ酸はリン酸とする。金属イオンを構成する金属として、Al、Ga、Cs、Ba、K、Ca、Na、Mg、Zr、Ti、La及びPrのうち少なくとも1つを含んでいる。カチオン性有機分子として、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオンのうち少なくとも1つを含んでいる。【選択図】図2

Description

本発明は、プロトン伝導体および燃料電池に関する。
現在、固体高分子型燃料電池システムの低コスト化、システムの簡素化の観点で、100℃以上の作動温度でかつ無加湿という条件で作動する燃料電池が望まれている。無加湿で燃料電池を作動させるためには、プロトン伝導体が重要な役割を果たす。リン酸は有望なプロトンキャリアであることから、リン酸を含むリン酸含有構造体がプロトン伝導体として好適であると考えられる。
リン酸含有構造体としては、リン酸と他の構成要素との化学結合で構造体を形成するもの(例えば、ホスホシリケートガラス、リン酸ガラス、金属リン酸塩)があるが、耐水性に課題があり、さらにプロトン伝導性が低い。また、化学的に安定なマトリックス材にリン酸を導入することで、リン酸含有構造体を生成することが提案されている(例えば、非特許文献1、2)。このようなマトリックス材は、毛細管現象を利用できる細孔を有しており、プロトン伝導体の材料として有望である。
J.Am.Chem.Soc.,2012,134(38),pp15640−15643 J.Am.Chem.Soc.,2014,136(18),pp6570−6573
しかしながら、マトリックス材にリン酸をドープして生成したリン酸含有構造体は、細孔とリン酸との相互作用が弱く、リン酸が容易に流出してしまう。流出したリン酸は、高温環境下で縮合によって劣化する。プロトン伝導体からのリン酸の流出によって、プロトン伝導性が低くなるため、高いプロトン伝導性を実現するためには、大過剰のリン酸が必要となる。
本発明は上記点に鑑み、構造の安定性を向上させ、プロトン伝導性の低下を抑制させることが可能なプロトン伝導体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、アニオン性分子と、カチオン性有機分子とを含んで構成されるプロトン伝導体であって、前記アニオン性分子はアニオン性金属錯体分子である。
アニオン性金属錯体分子では、金属イオンと、プロトン伝導性を有する配位子とが強く結合しており、プロトン伝導体から配位子が分離して流出することを抑制できる。これにより、プロトン伝導体の構造の安定性を向上させることができ、プロトン伝導性の低下を抑制できる。
また、金属イオンに複数の配位子が配位していれば、1個の構造体につき複数のプロトン伝導パスが形成され、プロトン伝導性能を高くすることができる。
また、カチオン性有機分子とアニオン性分子は異符号の電荷によって弱く結合しているため、構造体をゲル状物質とすることができる。ゲル状の構造体は、プロトンの運動性を高くすることができ、プロトン伝導性をより高くすることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池の概念図である。 本実施形態のプロトン伝導体の一例を示す図である。 実施例1のプロトン伝導体を質量分析した結果を示す図である。 実施例1のプロトン伝導体を質量分析した結果を示す図である。 実施例2のプロトン伝導体を質量分析した結果を示す図である。 実施例2のプロトン伝導体を質量分析した結果を示す図である。 実施例1、2のプロトン伝導体をX線散乱で分析した結果を示す図である。 実施例1、2のプロトン伝導体をX線吸収微細構造解析で分析した結果を示す図である。 各実施例のプロトン伝導体のイオン伝導率と温度との関係を示す図である。 各実施例及び比較例のプロトン伝導体のイオン伝導率の経時変化を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。
図1に示すように、燃料電池セル100は、カソード極110、アノード極120、電解質膜130を備えている。なお、カソード極110は空気極ともいい、アノード極120は水素極ともいう。
燃料電池セル100は、燃料ガス(水素)と酸化剤ガス(空気中の酸素)との電気化学反応を利用して電気エネルギーを出力する。燃料電池セル100を基本単位とし、複数枚積層したスタック構造として使用することができる。
燃料電池セル100に水素および空気といった反応ガスが供給されると、以下に示すように、水素と酸素とが電気化学反応して、電気エネルギーを出力する。
(アノード極側) H2→2H++2e-
(カソード極側) 2H++1/2O2+2e-→H2
この際、アノード極120では、水素が触媒反応によって、電子(e-)とプロトン(H+)に電離され、プロトン(H+)は電解質膜130を移動する。一方、カソード極110では、アノード極120側から移動してきたプロトン(H+)、外部から流通してきた電子、および空気中の酸素(O2)が反応して、水が生成される。
カソード極110は、電解質膜130の空気極側の面に密着して配置されたカソード側触媒層111と、カソード側触媒層111の外側に配置されたカソード側拡散層112によって構成されている。
アノード極120は、電解質膜130の水素極側の面に密着して配置されたアノード側触媒層121と、アノード側触媒層121の外側に配置されたアノード側拡散層122によって構成されている。
各触媒層111、121は、カーボン担体に電気化学反応を促進する触媒(白金等)を担持させたカーボン担持白金触媒等で形成され、各拡散層112、122は、カーボンクロス等で形成されている。
電解質膜130はプロトン伝導体である。図2に示すように、プロトン伝導体は、アニオン性分子とカチオン性有機分子とを含んで構成されている。アニオン性分子はマイナスの電荷を有しており、カチオン性有機分子はプラスの電荷を有している。
異符号の電荷を有するアニオン性分子とカチオン性有機分子は分子間に引力が作用する。つまり、アニオン性分子とカチオン性有機分子は電荷のバランスをとることで、全体として1つの構造体を形成している。
アニオン性分子としては、アニオン性金属錯体分子を用いることができる。アニオン性金属錯体分子は、金属イオンと、プロトンキャリアとして機能する配位子とを含んで構成されている。配位子として、オキソ酸イオンを用いることができる。
アニオン性金属錯体分子は、金属イオンとオキソ酸イオンとの化学結合を少なくとも1つ含んでいる。オキソ酸イオンは、プロトン伝導性を有する配位子である。金属イオンには、少なくとも1つのオキソ酸イオンが化学結合していればよく、複数のオキソ酸イオンが化学結合していることが望ましい。金属イオンには、水分子等のオキソ酸イオン以外の配位子が結合していてもよい。
金属イオンとオキソ酸イオンとの化学結合は、配位結合や共有結合を例示できるが、これらに限定されるものではない。アニオン性分子は、金属イオンとオキソ酸イオンとで全体としてマイナスの電荷を有していればよく、−1の電荷を有していることが望ましい。
アニオン性金属錯体分子の金属イオンは、価数が変化しない金属を用いることが望ましく、d電子を有していない金属を用いることが望ましい。アニオン性金属錯体分子の金属イオンを構成する金属として、Al、Ga、Cs、Ba、K、Ca、Na、Mg、Zr、Ti、La及びPrのうち少なくともいずれかを用いることができる。
金属の配位数が多いほど、化学結合するオキソ酸イオンの数を多くすることができ、プロトン伝導性を向上させることができる。図2は、配位数が6個の金属イオンを含んだプロトン伝導体の構造例を示しており、オキソ酸イオンを含む6個の配位子が化学結合している。
アニオン性金属錯体分子のオキソ酸イオンは、プロトン伝導性を有するものであればよい。アニオン性金属錯体分子のオキソ酸イオンを構成するオキソ酸として、リン酸、硫酸、硝酸及びホウ酸のうち少なくともいずれかを用いることができる。
カチオン性有機分子としては、+1の電荷を有する有機分子を用いることが望ましい。カチオン性有機分子として、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオンのうち少なくともいずれかを用いることができる。
アニオン性分子とカチオン性有機分子との間の結合は、金属イオンとオキソ酸イオンとの化学結合に比べて弱い結合となっている。アニオン性分子及びカチオン性有機分子からなる構造体は、均一組成であり、かつ、構造体はポリマーを形成していない。
図2に示すように、本実施形態の構造体では、金属イオンに複数のオキソ酸イオンが化学結合している。このため、1個の構造体につき複数のプロトン伝導パスが形成され、プロトン伝導性能が高くなる。また、金属イオンとオキソ酸イオンは化学結合によって強く結合しているため、オキソ酸イオンの流出を抑制できる。また、カチオン性有機分子とアニオン性分子は異符号の電荷によって弱く結合しているため、構造体をゲル状物質とすることができる。ゲル状の構造体は、プロトンの運動性を高くすることができ、プロトン伝導性をより高くすることができる。
ここで、本実施形態のプロトン伝導体を実施例及び比較例を用いて説明する。
実施例1、2では、カチオン性有機分子としてアンモニウムカチオンを用い、アニオン性分子の金属イオンとしてAlを用い、アニオン性分子オキソ酸イオンとしてリン酸を用いた。実施例3、4では、実施例1、2に対して、カチオン性有機分子としてイミダゾリウムカチオンを用いた点が異なっている。実施例5、6では、実施例1、2に対して、アニオン性分子の金属イオンとしてLaを用いた点が異なっている。実施例7、8では、実施例1、2に対して、アニオン性分子の金属イオンとしてLaを用いた点が異なっている。なお、Al及びBaの配位数は6、Baの配位数は6、12である。
(実施例1)
プロトン伝導体の原料として、リン酸二水素アルミニウム(Al(H2PO43)とニ水素リン酸−ジエチルメチルアンモニウム塩([dema][H2PO4])をモル比1:1で用いた。これらのプロトン伝導体の原料と、溶媒としての水をナスフラスコに入れて混合し、室温で12時間撹拌した。その後、エバポレータで水を除去し、ゲル状のプロトン伝導体を得た。実施例1のプロトン伝導体では、Al3+に4個のH2PO4 -と2個のH2Oが化学結合している。
(実施例2)
実施例1のプロトン伝導体を120℃で真空乾燥した。その後、オルトリン酸(H3SO4)をAlに対して2当量加え、Ar雰囲気下で乳鉢で10分間混合した。これにより、ゲル状のプロトン伝導体を得た。実施例2のプロトン伝導体では、実施例1のプロトン伝導体における2個のH2OがH3PO4で置換され、Al3+に4個のH2PO4 -と2個のH3PO4が化学結合している。
(実施例3)
プロトン伝導体の原料として、リン酸二水素アルミニウムとニ水素リン酸−エチルメチルイミダゾリウム塩をモル比1:1で用いた。これらのプロトン伝導体の原料と、溶媒としての水をナスフラスコに入れて混合し、室温で12時間撹拌した。その後、エバポレータで水を除去し、ゲル状のプロトン伝導体を得た。実施例3のプロトン伝導体では、Al3+に4個のH2PO4 -と2個のH2Oが化学結合している。
(実施例4)
実施例3のプロトン伝導体を120℃で真空乾燥した。その後、オルトリン酸をAlに対して2当量加え、Ar雰囲気下で乳鉢で10分間混合した。これにより、ゲル状のプロトン伝導体を得た。実施例4のプロトン伝導体では、実施例3のプロトン伝導体における2個のH2OがH3PO4で置換され、Al3+に4個のH2PO4 -と2個のH3PO4が化学結合している。
(実施例5)
プロトン伝導体の原料として、リン酸二水素バリウム(Ba(H2PO42)とニ水素リン酸−ジエチルメチルアンモニウム塩をモル比1:1で用いた。これらのプロトン伝導体の原料と、溶媒としての水をナスフラスコに入れて混合し、室温で12時間撹拌した。その後、エバポレータで水を除去し、ゲル状のプロトン伝導体を得た。実施例5のプロトン伝導体では、Ba2+に3個のH2PO4 -と3個のH2Oが化学結合している。
(実施例6)
実施例5のプロトン伝導体を120℃で真空乾燥した。その後、オルトリン酸をBaに対して3当量加え、Ar雰囲気下で乳鉢で10分間混合した。これにより、ゲル状のプロトン伝導体を得た。実施例6のプロトン伝導体では、実施例5のプロトン伝導体における3個のH2OがH3PO4で置換され、Ba2+に3個のH2PO4 -と3個のH3PO4が化学結合している。
(実施例7)
プロトン伝導体の原料として、リン酸二水素ランタン(La(H2PO43)とニ水素リン酸−ジエチルメチルアンモニウム塩をモル比1:1で用いた。これらのプロトン伝導体の原料と、溶媒としての水をナスフラスコに入れて混合し、室温で12時間撹拌した。その後、エバポレータで水を除去し、ゲル状のプロトン伝導体を得た。実施例7のプロトン伝導体では、Laの配位数が6の場合はLa3+に4個のH2PO4 -と2個のH2Oが化学結合しており、Laの配位数が12の場合はLa3+に4個のH2PO4 -と8個のH2Oが化学結合している。
(実施例8)
実施例7のプロトン伝導体を120℃で真空乾燥した。その後、オルトリン酸をLaに対して8当量加え、Ar雰囲気下で乳鉢で10分間混合した。これにより、ゲル状のプロトン伝導体を得た。なお、実施例8では、配位数が12のLaを考慮して、オルトリン酸の添加量をLaに対して8当量としている。
実施例8のプロトン伝導体では、Laの配位数が6の場合は、実施例7のプロトン伝導体における2個のH2OがH3PO4で置換され、La3+に4個のH2PO4 -と2個のH3PO4が化学結合している。実施例8のプロトン伝導体では、Laの配位数が12の場合は、実施例7のプロトン伝導体における8個のH2OがH3PO4で置換され、La3+に4個のH2PO4 -と8個のH3PO4が化学結合している。
(比較例)
150℃に加熱したオルトリン酸にポリベンゾイミダゾール(PBI)を2時間含浸させてプロトン伝導体の原料を得た。このプロトン伝導体の原料と、溶媒としての水をナスフラスコに入れて混合した。これにより、PBIにリン酸がドープされたプロトン伝導体を得た。比較例のプロトン伝導体は固体状である。
次に、実施例1、2のプロトン伝導体の構造を、エレクトロスプレーイオン化法による質量分析(ESI−MS)によって特定した結果について説明する。質量分析では、四重極質量分析計を用いた。
実施例1のプロトン伝導体の質量分析によって、図3に示す陰イオンの質量スペクトルと、図4に示す陽イオンの質量スペクトルが得られた。
図3に示す陰イオンの質量スペクトルでは、414.8650、292.9294、194.9512、96.9714でピークが現れた。292.9294、194.9512、96.9714の各ピークは、測定中に発生したフラグメントに由来している。
414.8650のピークは、以下に示す化学式(1)の構造に由来している。
Figure 2020113367
化学式(1)は、実施例1のプロトン伝導体に含まれるアニオン性分子の構造を示している。化学式(1)の構造は、実施例1のアニオン性分子から2個のH2Oが測定中に分離したものと考えられる。
図4に示す陽イオンの質量スペクトルでは、88.1159でピークが現れた。88.1159のピークは、以下に示す化学式(2)の構造に由来している。
Figure 2020113367
化学式(2)は、実施例1のプロトン伝導体に含まれるカチオン性有機分子の構造を示している。
実施例2のプロトン伝導体の質量分析によって、図5に示す陰イオンの質量スペクトルと、図6に示す陽イオンの質量スペクトルが得られた。
図5に示す陰イオンの質量スペクトルでは、610.8215、512.8420、414.8631、292.9278、194.9496、96.9706でピークが現れた。292.9278、194.9496、96.9706の各ピークは、測定中に発生したフラグメントに由来している。
610.8215のピークは、以下に示す化学式(3)の構造に由来している。
Figure 2020113367
512.8420のピークは、以下に示す化学式(4)の構造に由来している。
Figure 2020113367
414.8631のピークは、上記化学式(1)の構造に由来している。
化学式(1)、(3)、(4)は、実施例2のプロトン伝導体に含まれるアニオン性分子の構造を示している。化学式(4)の構造は、実施例2のアニオン性分子から1個のH3PO4が測定中に分離したものと考えられる。化学式(1)の構造は、実施例2のアニオン性分子から2個のH3PO4が測定中に分離したものと考えられる。
図6に示す陽イオンの質量スペクトルでは、88.1185でピークが現れた。88.1185のピークは、上記化学式(2)の構造に由来している。化学式(2)は、実施例2のプロトン伝導体に含まれるカチオン性有機分子の構造を示している。
次に、実施例1、2のプロトン伝導体の構造をX線全散乱分析によって分析した結果について説明する。
図7では、実施例1、2のプロトン伝導体のスペクトルと、原料のニ水素リン酸−ジエチルメチルアンモニウム塩([dema][H2PO4])とリン酸二水素アルミニウム(Al(H2PO43)のスペクトルを示している。図7の縦軸はX線散乱をフーリエ変換して得られた還元二体分布関数であり、距離rの位置に原子が存在する確率を示している。
図7に示すように、実施例1、2のプロトン伝導体では、原料とは異なるピークが得られた。このため、実施例1、2のプロトン伝導体は、原料とは異なる構造を有していることが分かる。
また、原料のリン酸二水素アルミニウム(Al(H2PO43)では、ピークが連続して現れており、結晶構造に由来する周期構造がみられる。これに対し、実施例1、2のプロトン伝導体では、5〜6Åよりも大きい領域ではピークが現れず、結晶構造に由来する周期構造が見られなかった。このため、実施例1、2のプロトン伝導体は、非晶質構造であることが分かる。
次に、実施例1、2のプロトン伝導体の構造をX線吸収微細構造解析(XAFS)によって分析した結果について説明する。
図8では、実施例1、2のプロトン伝導体と、配位数が6である既知の物質Al23のスペクトルを示している。図8に示すように、各物質の最初の立ち上がりのピーク(K吸収端)は、Al23が1568.077eVであり、実施例1が1568.947eVであり、実施例2が1568.273eVであった。つまり、実施例1、2のプロトン伝導体のK吸収端はAl23と一致している。このため、実施例1、2のプロトン伝導体では、Alの配位数が6であることが分かる。
上述した構造分析から、実施例1のプロトン伝導体は以下に示す化学式(5)の構造を有しており、実施例2のプロトン伝導体は以下に示す化学式(6)の構造を有していることが特定できた。
Figure 2020113367
Figure 2020113367
化学式(5)において、プラスの電荷を有するAl3+とマイナスの電荷を有するH2PO4 -との間の化学結合と比べて、Al3+とH2Oとの間の化学結合は、弱い結合となっている。同様に、化学式(6)において、Al3+とH2PO4 -との間の化学結合と比べて、Al3+とH3PO4との間の化学結合は、弱い結合となっている。
次に、実施例1〜8のプロトン伝導体のイオン伝導率と温度との関係について説明する。図9は、異なる温度で測定したプロトン伝導体のイオン伝導率を示している。図9では、横軸が温度であり、左側に行くほど高温になっている。図9において、横軸の目盛り2.7付近が100℃に相当している。
図9に示すように、実施例1〜8のプロトン伝導体は、100℃を超える温度域において、概ね10-2S/cmオーダー以上の高いイオン伝導率が得られている。
次に、実施例1〜8及び比較例のプロトン伝導体のイオン伝導率の経時変化について説明する。図10は、プロトン伝導体を窒素雰囲気下で120℃で加熱した場合のイオン伝導率の経時変化を示している。
図10に示すように、比較例のプロトン伝導体は、時間の経過によってイオン伝導率が大幅に低下している。これは、時間の経過によってリン酸が縮合したことに起因するものと考えられる。
これに対し、実施例1〜8のプロトン伝導体では、時間の経過によってイオン伝導率がほぼ変化せず、長期間に渡ってイオン伝導率の低下を抑制できている。つまり、実施例1〜8のプロトン伝導体は、長期間に渡って分子構造を維持できており、耐久性に優れている。
以上説明した本実施形態のプロトン伝導体では、カチオン性有機分子とアニオン性金属錯体分子とを備えている。アニオン性金属錯体分子は、金属イオンにオキソ酸イオンが配位子として化学結合している。金属イオンとオキソ酸イオンとの間は化学結合によって強く結合されており、プロトン伝導体からオキソ酸イオンが分離して流出することを抑制できる。これにより、プロトン伝導体の構造の安定性を向上させることができ、プロトン伝導性の低下を抑制できる。
また、本実施形態のプロトン伝導体では、金属イオンに複数のオキソ酸イオンが化学結合している。このため、1個の構造体につき複数のプロトン伝導パスが形成され、プロトン伝導性能を高くすることができる。
また、本実施形態のプロトン伝導体では、カチオン性有機分子とアニオン性分子は異符号の電荷によって弱く結合しているため、構造体をゲル状物質とすることができる。ゲル状の構造体は、プロトンの運動性を高くすることができ、プロトン伝導性をより高くすることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
例えば、上記実施形態では、本発明のプロトン伝導体を燃料電池セル100の電解質膜130として適用した例について説明したが、これに限らず、本発明のプロトン伝導体を水蒸気電解や水素分離膜など燃料電池以外の用途に用いてもよい。
110 カソード極
120 アノード極
130 電解質膜

Claims (6)

  1. アニオン性分子と、カチオン性有機分子とを含んで構成されるプロトン伝導体であって、
    前記アニオン性分子はアニオン性金属錯体分子であるプロトン伝導体。
  2. 前記アニオン性金属錯体分子は、金属イオンとオキソ酸イオンとの化学結合を少なくとも1つ含んでいる請求項1に記載のプロトン伝導体。
  3. 前記オキソ酸イオンを構成するオキソ酸はリン酸である請求項2に記載のプロトン伝導体。
  4. 前記金属イオンを構成する金属として、Al、Ga、Cs、Ba、K、Ca、Na、Mg、Zr、Ti、La及びPrのうち少なくとも1つを含んでいる請求項2または3に記載のプロトン伝導体。
  5. 前記カチオン性有機分子として、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオンのうち少なくとも1つを含んでいる請求項1ないし4のいずれか1つに記載のプロトン伝導体。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1つに記載のプロトン伝導体を電解質膜(130)として備える燃料電池。
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