図1において、積層体1は、封止材層2と保護樹脂層3とを順に備える。
積層体1は、太陽電池モジュール6(後述)の一部材である。
すなわち、積層体1は、太陽電池モジュール用積層体である。
封止材層2は、面方向(厚み方向に直交する方向)に沿って延び、平坦な表面と裏面とを有する略平板形状を有する。
また、封止材層2は、太陽電池セル7を封止するための封止層であって、具体的には、封止材層2は、太陽電池セル7が封止材層2の厚み方向中央部分に封止されるように、形成されている。なお、以下の説明において、封止材層2の厚み方向下側部分(表面層5(後述)側部分)を第1封止材層8と称し、封止材層2の厚み方向上側部分(保護樹脂層3側部分)を第2封止材層9と称する場合がある。また、第1封止材層8と第2封止材層9との間に境界はなく、それらは一体的に封止材層2として形成されている。
太陽電池セル7は、公知の太陽電池セルが採用され、例えば、シリコンウェーハなどの半導体基板の両面に電極が形成されている。
封止材層2はオレフィン系封止材を含む。
封止材層2が、オレフィン系封止材を含むので、このような封止材層2を備える積層体1を用いて得られる太陽電池モジュール6(後述)は、封止材層2と基材4(後述)との間の接着性に優れ、また、耐湿性および耐熱性に優れる。
オレフィン系封止材は、オレフィン重合体から形成されている。
オレフィン重合体としては、例えば、オレフィン単独重合体、オレフィン共重合体などが挙げられる。
オレフィン単独重合体としては、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体などが挙げられる。
オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンとα−オレフィン(エチレンを除く)との共重合体である。
α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレンなどの炭素原子数2〜3のα−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素原子数4〜20のα−オレフィンなどが挙げられ、好ましくは、4〜20のα−オレフィン、より好ましくは、1−ブテンが挙げられる。
共重合体としては、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体が挙げられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体において、エチレン含量は、例えば、40モル%以上70モル%以下であり、α−オレフィン含量は、例えば、30モル%以上60モル%以下である。
プロピレン−α−オレフィン共重合体は、プロピレンと上記したα−オレフィン(プロピレンを除く)との共重合体である。
プロピレン−α−オレフィン共重合体において、プロピレン含量は、例えば、40モル%以上70モル%以下であり、α−オレフィン含量は、例えば、30モル%以上60モル%以下である。
プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体は、プロピレンとエチレン上記のα−オレフィンとのとの共重合体である。
プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体において、プロピレン含量は、例えば、45モル%以上89モル%以下であり、エチレン含量は、例えば、10モル%以上25モル%以下であり、α−オレフィン含量は、例えば、1モル%以上30モル%以下である。
また、このようなオレフィン共重合体は、アイソタクティック構造、シンジオタクチック構造、アタクチック構造を有する。
オレフィン重合体は、単独使用または2種類以上併用することができ、好ましくは、アイソタクティック構造を有するプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体と、アタクチック構造を有するプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体とを併用する。
アイソタクティック構造を有するプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体と、アタクチック構造を有するプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体とを併用する場合には、アイソタクティック構造を有するプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体およびアタクチック構造を有するプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体の総量100質量部に対して、アイソタクティック構造を有するプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体の配合割合は、例えば、10質量部以上であり、また、例えば、40質量部以下であり、また、アタクチック構造を有するプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体の配合割合は、例えば、60質量部以上であり、また、例えば、90質量部以下である。
そして、このようなオレフィン系封止材を含む封止材組成物(後述)を後述する方法で調製し、それを成形することにより、封止材層2を得る。
保護樹脂層3は、面方向(厚み方向に直交する方向)に沿って延び、平坦な表面と裏面とを有する略平板形状を有する。
また、保護樹脂層3は、封止材層2と基材4(後述)と間に介在し、封止材層2を保護するために設けられ、ブロックイソシアネートと硬化性官能基含有フッ素ポリマーとアルコキシシランとを含む硬化性組成物の硬化物から形成されている。
ブロックイソシアネートは、硬化性官能基含有フッ素ポリマーの硬化剤(すなわち、硬化性官能基含有フッ素ポリマーを主剤とする硬化剤)であって、イソシアネート化合物とブロック剤(後述)との反応生成物である。
イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート単量体が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼンなどの芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエートなどの脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロジイソシアネート)(IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’−、2,4’−または2,2’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート、これらのTrans,Trans−体、Trans,Cis−体、Cis,Cis−体、もしくはその混合物))(H12MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート)、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物(H6XDI)、ノルボルナンジイソシアネート(各種異性体もしくはその混合物)(NBDI)などの脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
これらポリイソシアネート単量体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、イソシアネート化合物としては、上記したポリイソシアネート単量体の他、ポリイソシアネート誘導体も挙げられる。
ポリイソシアネート誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート単量体の多量体(例えば、2量体、3量体(例えば、イソシアヌレート誘導体、イミノオキサジアジンジオン誘導体)、5量体、7量体など)、アロファネート誘導体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と、公知の低分子量ポリオールとの反応より生成するアロファネート誘導体など)、ポリオール誘導体(例えば、ポリイソシアネート単量体と公知の低分子量ポリオールとの反応より生成するポリオール誘導体(アルコール付加体)など)、ビウレット誘導体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と、水やアミン類との反応により生成するビウレット誘導体など)、ウレア誘導体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体とジアミンとの反応により生成するウレア誘導体など)、オキサジアジントリオン誘導体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド誘導体(上記したポリイソシアネート単量体の脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド誘導体など)、ウレトジオン誘導体、ウレトンイミン誘導体などが挙げられる。さらに、ポリイソシアネート誘導体として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)なども挙げられる。
これらポリイソシアネート誘導体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
イソシアネート化合物としては、好ましくは、ポリイソシアネート誘導体、より好ましくは、脂環族ジイソシアネートの誘導体、さらに好ましくは、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアヌレート誘導体が挙げられる。
ブロック剤は、必須成分として、O=C−CH−C=O骨格を有するブロック剤を含有する。なお、O=C−CH−C=O骨格は、活性メチレン骨格および/または活性メチン骨格を示す。
O=C−CH−C=O骨格を有するブロック剤を用いると、この積層体を用いて得られる太陽電池モジュール(後述)は、耐湿性および耐熱性に優れる。
O=C−CH−C=O骨格を有するブロック剤としては、例えば、活性メチレン系化合物、活性メチン系化合物が挙げられ、具体的には、例えば、マロン酸ジアルキル(例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジn−ブチル、マロン酸ジ−t−ブチル、マロン酸ジ2−エチルヘキシル、マロン酸メチルn−ブチル、マロン酸エチルn−ブチル、マロン酸メチルs−ブチル、マロン酸エチルs−ブチル、マロン酸メチルt−ブチル、マロン酸エチルt−ブチル、メチルマロン酸ジエチル、マロン酸ジベンジル、マロン酸ジフェニル、マロン酸ベンジルメチル、マロン酸エチルフェニル、マロン酸t−ブチルフェニル、イソプロピリデンマロネートなど)、一置換マロン酸エステル(例えば、メチルマロン酸エチル、エチルマロン酸エチルなど)などのマロン酸エステル誘導体、例えば、アセト酢酸アルキル(例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸t−ブチル、アセト酢酸ベンジル、アセト酢酸フェニルなど)などのアセト酢酸エステル誘導体、例えば、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセチルアセトン、シアノ酢酸エチル、メルドラム酸などが挙げられる。
これらO=C−CH−C=O骨格を有するブロック剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
O=C−CH−C=O骨格を有するブロック剤として、好ましくは、マロン酸エステル誘導体、より好ましくは、マロン酸ジアルキル、さらに好ましくは、マロン酸エチルが挙げられる。
また、ブロック剤は、任意成分として、O=C−CH−C=O骨格を有しないブロック剤を含有することができる。
O=C−CH−C=O骨格を有しないブロック剤としては、例えば、イミダゾール系化合物、イミダゾリン系化合物、ピリミジン系化合物、グアニジン系化合物、アルコール系化合物、フェノール系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、オキシム系化合物、カルバミン酸系化合物、尿素系化合物、酸アミド系(ラクタム系)化合物、酸イミド系化合物、トリアゾール系化合物、ピラゾール系化合物、メルカプタン系化合物、重亜硫酸塩などが挙げられる。
これらO=C−CH−C=O骨格を有しないブロック剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
O=C−CH−C=O骨格を有しないブロック剤の含有割合は、ブロック剤の総量に対して、例えば、80質量%以下、好ましくは、50質量%以下、より好ましくは、20質量%以下、さらに好ましくは、10質量%以下、とりわけ好ましくは、5質量%以下、通常、0質量%以上である。また、O=C−CH−C=O骨格を有するブロック剤の含有割合は、ブロック剤の総量に対して、例えば、20質量%以上、好ましくは、50質量%以上、より好ましくは、80質量%以上、さらに好ましくは、90質量%以上、とりわけ好ましくは、95質量%以上、通常、100質量%以下である。
ブロック剤は、好ましくは、O=C−CH−C=O骨格を有しないブロック剤を含有せず、O=C−CH−C=O骨格を有するブロック剤を単独で含有する。
そして、上記イソシアネート化合物と上記ブロック剤とを反応させることにより、上記イソシアネート化合物と上記ブロック剤との反応生成物として、ブロックイソシアネートが得られる。
上記イソシアネート化合物と上記ブロック剤との配合割合としては、ブロック剤中のイソシアネート基と反応する活性基(すなわち、ブロック基)の、イソシアネート化合物のイソシアネート基に対する当量比(活性基/イソシアネート基)が、例えば、0.2以上、好ましくは、0.5以上、より好ましくは、0.8以上、さらに好ましくは、1.0以上、例えば、1.5以下、好ましくは、1.2以下、より好ましくは、1.1以下である。
また、反応条件としては、例えば、大気圧下、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガスなど)雰囲気下、反応温度が、例えば、0℃以上、好ましくは、20℃以上であり、例えば、100℃以下、好ましくは、80℃以下、より好ましくは、70℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1.0時間以上であり、例えば、24時間以下、好ましくは、12時間以下である。
なお、反応の終了は、例えば、赤外分光分析法などを採用し、イソシアネート基の消失または減少を確認することによって、判断することができる。
また、上記の各反応は、いずれも、無溶剤下であってもよく、例えば、溶剤の存在下であってもよい。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのアルキルエステル類、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化メチル、ヨウ化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性非プロトン類、さらには、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタートなどが挙げられる。これら溶剤は、単独使用または2種類以上併用することもできる。
また、上記の各反応では、必要により、ブロック化触媒を添加することができる。
ブロック化触媒としては、例えば、塩基性化合物が挙げられ、具体的には、例えば、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチララート、ナトリウムフェノラート、カリウムメチラートなどのアルカリ金属アルコラート、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムなどのテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、例えば、テトラアルキルアンモニウムなどの酢酸塩、オクチル酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩などの有機弱酸塩、例えば、酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸などのアルキルカルボン酸のアルカリ金属塩、例えば、上記アルキルカルボン酸の錫、亜鉛、鉛などの金属塩、例えば、ヘキサメチレンジシラザンなどのアミノシリル基含有化合物、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。また、これらブロック化触媒は、必要により、上記した溶剤に溶解された溶液として用いることもできる。
これらブロック化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ブロック化触媒として、好ましくは、アルカリ金属アルコラート、より好ましくは、ナトリウムメチラートが挙げられる。
ブロック化触媒の配合割合は、特に制限されないが、例えば、イソシアネート化合物100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上、より好ましくは、0.1質量部以上であり、例えば、5質量部以下、好ましくは、3質量部以下、より好ましくは、2質量部以下である。
また、このようなブロックイソシアネートは、例えば、非水分散性ブロックイソシアネートとして得られ、例えば、上記した溶剤に溶解させて用いることができる。
ブロックイソシアネートを溶剤に溶解させる場合において、その固形分濃度は、例えば、1質量%以上、好ましくは、20質量%以上、より好ましくは、30質量%以上であり、例えば、95質量%以下、好ましくは、90質量%以下である。
そして、上記のようにイソシアネート化合物とブロック剤とを反応させることにより、イソシアネート化合物のイソシアネート基が、ブロック剤のブロック基にブロックされ、ブロックイソシアネートが得られる。
このようなブロックイソシアネートは、イソシアネート基がブロック剤によりブロックされているため、硬化性組成物における硬化剤として用いることによって、優れたポットライフを確保することができる。
硬化性組成物において、ブロックイソシアネートの含有割合は、後述する範囲となるように、適宜調整される。
硬化性官能基含有フッ素ポリマーは、ブロックイソシアネートを硬化剤とする主剤であり、硬化性組成物を硬化させる官能基(硬化性官能基)を有するフッ素ポリマーである。
硬化性官能基は、イソシアネート基をブロックしたブロック剤に対する活性を有するか、および/または、イソシアネート基に対する活性を有する官能基である。
硬化性官能基として、具体的には、例えば、水酸基(ただし、カルボキシル基に含まれる水酸基は除く。(以下同様))、カルボキシル基、−COOCO−基、シアノ基、アミノ基、グリシジル基、シリル基、シラネート基、イソシアネート基などが挙げられる。これら硬化性官能基は、単独使用または2種類以上併用することができる。
硬化性官能基として、硬化反応性の観点から、好ましくは、水酸基、カルボキシル基、−COOCO−基、シアノ基、アミノ基、シリル基が挙げられ、より好ましくは、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シリル基が挙げられ、入手容易性の観点から、さらに好ましくは、水酸基、カルボキシル基が挙げられ、とりわけ好ましくは、水酸基が挙げられる。
硬化性官能基含有フッ素ポリマーは、例えば、単独重合によりフッ素ポリマーを形成可能なフッ素を含有する単量体(以下、フッ素含有−重合性単量体とする。)と、そのフッ素含有−重合性単量体と共重合可能であり、上記の硬化性官能基を含有する単量体(以下、硬化性官能基含有−共重合性単量体とする。)との共重合体である。
換言すれば、硬化性官能基含有フッ素ポリマーでは、フッ素含有−重合性単量体の重合により得られるフッ素ポリマー(ベースポリマー)に、硬化性官能基含有−共重合性単量体に由来する硬化性官能基が導入されている。
フッ素含有−重合性単量体としては、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ビニリデンフルオライド(VdF)、ビニルフルオライド(VF)、(メタ)アクリル酸フルオロアルキルエステル(AFAE)、フルオロビニルエーテル、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)などが挙げられる。
これらフッ素含有−重合性単量体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
フッ素含有−重合性単量体として、好ましくは、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライドが挙げられ、より好ましくは、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンが挙げられる。
硬化性官能基含有−共重合性単量体としては、例えば、水酸基含有−共重合性単量体、カルボキシル基含有−共重合性単量体、−COOCO−基含有−共重合性単量体、シアノ基含有−共重合性単量体、アミノ基含有−共重合性単量体、グリシジル基含有−共重合性単量体、シリル基含有−共重合性単量体、シラネート基含有−共重合性単量体、イソシアネート基含有−共重合性単量体などが挙げられ、好ましくは、水酸基含有−共重合性単量体、カルボキシル基含有−共重合性単量体、アミノ基含有−共重合性単量体、シリル基含有−共重合性単量体が挙げられる。
水酸基含有−共重合性単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテルなどの水酸基含有ビニルエーテル類、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどの水酸基含有アリルエーテル類、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルなどが挙げられる。
これら水酸基含有−共重合性単量体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
水酸基含有−共重合性単量体として、重合反応性、反応硬化性の観点から、好ましくは、水酸基含有ビニルエーテル類、より好ましくは、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルが挙げられる。
カルボキシル基含有−共重合性単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3−アリルオキシプロピオン酸、3−(2−アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニル、3−(2−アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、3−(2−アリロキシブトキシカルボニル)プロピオン酸、3−(2−ビニロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、3−(2−ビニロキシブトキシカルボニル)プロピオン酸などが挙げられる。
これらカルボキシル基含有−共重合性単量体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
カルボキシル基含有−共重合性単量体として、単独重合体の生成を抑える観点から、好ましくは、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、3−アリルオキシプロピオン酸が挙げられる。
アミノ基含有−共重合性単量体としては、例えば、CH2=CH−O−(CH2)x−NH2(x=0〜10)で示されるアミノビニルエーテル類、例えば、CH2=CH−O−CO(CH2)x−NH2(x=1〜10)で示されるアリルアミン類、例えば、アミノメチルスチレン、ビニルアミン、アクリルアミド、ビニルアセトアミド、ビニルホルムアミドなどが挙げられる。
これらアミノ基含有−共重合性単量体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
シリル基含有−共重合性単量体としては、例えば、シリコーン系ビニル単量体が挙げられる。シリコーン系ビニル単量体としては、例えば、CH2=CHCO2(CH2)3Si(OCH3)3、CH2=CHCO2(CH2)3Si(OC2H5)3、CH2=C(CH3)CO2(CH2)3Si(OCH3)3、CH2=C(CH3)CO2(CH2)3Si(OC2H5)3、CH2=CHCO2(CH2)3SiCH3(OC2H5)2、CH2=C(CH3)CO2(CH2)3SiC2H5(OCH3)2、CH2=C(CH3)CO2(CH2)3Si(CH3)2(OC2H5)、CH2=C(CH3)CO2(CH2)3Si(CH3)2OH、CH2=CH(CH2)3Si(OCOCH3)3、CH2=C(CH3)CO2(CH2)3SiC2H5(OCOCH3)2、CH2=C(CH3)CO2(CH2)3SiCH3(N(CH3)COCH3)2、CH2=CHCO2(CH2)3SiCH3〔ON(CH3)C2H5〕2、CH2=C(CH3)CO2(CH2)3SiC6H5〔ON(CH3)C2H5〕2等の(メタ)アクリル酸エステル類;CH2=CHSi[ON=C(CH3)(C2H5)]3、CH2=CHSi(OCH3)3、CH2=CHSi(OC2H5)3、CH2=CHSiCH3(OCH3)2、CH2=CHSi(OCOCH3)3、CH2=CHSi(CH3)2(OC2H5)、CH2=CHSi(CH3)2SiCH3(OCH3)2、CH2=CHSiC2H5(OCOCH3)2、CH2=CHSiCH3〔ON(CH3)C2H5〕2、ビニルトリクロロシランまたはこれらの部分加水分解物などのビニルシラン類、例えば、トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルブチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテルなどのビニルエーテル類などが挙げられる。
これらシリル基含有−共重合性単量体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
シリル基含有−共重合性単量体として、好ましくは、シリコーン系ビニル単量体が挙げられる。
さらに、硬化性官能基含有フッ素ポリマーは、原料成分として、その他の単量体を含んでいてもよい。そのような単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテルなど、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテンなどの非フッ素系オレフィン類などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
硬化性官能基含有フッ素ポリマーの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。より具体的には、例えば、公知の重合開始剤などを用いて、上記の各成分を重合させることにより、硬化性官能基含有フッ素ポリマーを得ることができる。
そして、硬化性官能基含有フッ素ポリマーは、フッ素含有−重合性単量体に基づく構造単位と、硬化性官能基含有−共重合性単量体に基づく構造単位とを含んでいる。好ましくは、硬化性官能基含有フッ素ポリマーは、フッ素含有−重合性単量体に基づく構造単位と、水酸基含有−共重合性単量体、カルボキシル基含有−共重合性単量体、アミノ基含有−共重合性単量体およびシリル基含有−共重合性単量体からなる群から選択される少なくとも1種の単量体に基づく構造単位とを含んでいる。より好ましくは、硬化性官能基含有フッ素ポリマーは、フッ素含有−重合性単量体に基づく構造単位と、水酸基含有−共重合性単量体および/またはカルボキシル基含有−共重合性単量体に基づく構造単位とを含んでいる。
硬化性官能基含有フッ素ポリマーにおいて、フッ素含有−重合性単量体に基づく構造単位のモル割合は、硬化性官能基含有フッ素ポリマーの総量に対して、例えば、80モル%以上、好ましくは、90モル%以上であり、例えば、99モル%以下、好ましくは、98モル%以下である。また、硬化性官能基含有−共重合性単量体に基づく構造単位のモル割合は、硬化性官能基含有フッ素ポリマーの総量に対して、例えば、1モル%以上、好ましくは、2モル%以上であり、例えば、20モル%以下、好ましくは、10モル%以下である。
また、フッ素ポリマーに含まれる硬化性官能基の含有量は、好ましくは、硬化性官能基含有−共重合性単量体に基づく構造単位のモル割合と同じである。具体的には、硬化性官能基含有含フッ素ポリマーの総量に対して、硬化性官能基が、例えば、1モル%以上、好ましくは、2モル%以上であり、例えば、20モル%以下、好ましくは、10モル%以下である。
なお、硬化性官能基の含有量は、NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析、中和滴定を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
このような硬化性官能基含有フッ素ポリマーとして、具体的には、例えば、硬化性官能基含有テトラフルオロエチレン(TFE)系ポリマー、硬化性官能基含有クロロトリフルオロエチレン(CTFE)系ポリマー、硬化性官能基含有ビニリデンフルオライド(VdF)系ポリマー、硬化性官能基含有(メタ)アクリル酸フルオロアルキルエステル(AFAE)系ポリマーなどが挙げられる。
硬化性官能基含有TFE系ポリマーとしては、例えば、TFE/イソブチレン/ヒドロキシブチルビニルエーテル/必要により、その他の単量体の共重合体、TFE/バーサチック酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテル/必要により、その他の単量体の共重合体、TFE/VdF/ヒドロキシブチルビニルエーテル/必要により、その他の単量体の共重合体などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
硬化性官能基含有TFE系ポリマーとして、好ましくは、TFE/イソブチレン/ヒドロキシブチルビニルエーテル/必要により、その他の単量体の共重合体、TFE/バーサチック酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテ/必要により、その他の単量体の共重合体が挙げられる。
また、硬化性官能基含有TFE系ポリマーは、市販品としても入手可能であり、例えば、ゼッフル(登録商標)GKシリーズ(ダイキン工業製)などが挙げられる。
硬化性官能基含有CTFE系ポリマーとしては、例えば、CTFE/ヒドロキシブチルビニルエーテル/必要により、その他の単量体の共重合体などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、硬化性官能基含有CTFE系ポリマーは、市販品としても入手可能であり、例えば、ルミフロン(登録商標)シリーズ(旭硝子製)、フルオネート(登録商標)シリーズ(DIC製)、セフラルコート(登録商標)シリーズ(セントラル硝子製)、ザフロン(登録商標)シリーズ(東亜合成製)などが挙げられる。
硬化性官能基含有VdF系ポリマーとしては、例えば、VdF/TFE/ヒドロキシブチルビニルエーテル/必要により、その他の単量体の共重合体などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、硬化性官能基含有VdF系ポリマーは、市販品としても入手可能である。
硬化性官能基含有AFAE系ポリマーとしては、例えば、CF3CF2(CF2CF2)nCH2CH2OCOCH=CH2(n=3と4の混合物)で示される(メタ)アクリル酸フルオロアルキルエステル/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ステアリルアクリレート/必要により、その他の単量体の共重合体などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、硬化性官能基含有AFAE系ポリマーは、市販品としても入手可能であり、例えば、ユニダイン(登録商標)シリーズ(ダイキン工業製)、エフトーン(登録商標)シリーズ(ダイキン工業製)、ゾニール(登録商標)シリーズ(デュポン社製)などが挙げられる。
これら硬化性官能基含有フッ素ポリマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
硬化性官能基含有フッ素ポリマーとして、好ましくは、顔料(酸化チタン(後述))分散性、耐候性、共重合性、耐薬品性、耐湿性などの向上を図る観点から、硬化性官能基含有TFE系ポリマーが挙げられる。
硬化性組成物において、硬化性官能基含有フッ素ポリマーの含有割合は、後述する範囲となるように、適宜調整される。
アルコキシシランは、Si原子と、好ましくは、Si原子に結合される1〜4個、より好ましくは、1〜3個、特に好ましくは、2〜3個(以下、x個とする。)のアルコキシ基(直鎖、分岐鎖または環状のアルコキシ基)と、4−x個のアルキル基(直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基)とを有する化合物である。
また、アルコキシシランは、第15〜16族元素(酸素を除く。)から選択される少なくとも1種の元素を含む官能基を有している。好ましくは、Si原子に結合されるアルコキシ基および/またはアルキル基が、官能基を有している。
第15〜16族元素(酸素を除く。)とは、周期律表(IUPAC Periodic Table of the Elements(version date 8 January 2016)に従う。以下同じ。)における第15〜16族元素(酸素を除く。)である。具体的には、例えば、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)などの第15族元素、例えば、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、ポロニウム(Po)などの酸素を除く第16族元素が挙げられる。好ましくは、窒素(N)、硫黄(S)が挙げられる。第15族元素の好ましい例は窒素(N)であり、第16族元素の好ましい例は硫黄(S)である。
第15〜16族元素(酸素を除く。)は、単独使用または2種類以上併用することができる。
換言すれば、アルコキシシランが有する官能基には、第15〜16族元素(酸素を除く。)の少なくとも1種の元素が含有されていればよく、2種以上が含有されていてもよい。
また、「酸素を除く」とは、官能基に酸素が含有されることを否定するものではない。すなわち、官能基が、第15〜16族元素(酸素を除く。)の少なくとも1種の元素を含有していれば、さらに、その他の元素として、酸素を含有してもよい。好ましくは、官能基は、酸素を含有しない。
このような官能基として、さらに具体的には、特に制限されないが、1級アミノ基(−NH2)、2級アミノ基(−NH−)、メルカプト基(−SH)、イソシアネート基(−NCO)などが挙げられる。これら官能基は、単独使用または2種類以上併用することができる。官能基として、好ましくは、1級アミノ基(−NH2)、2級アミノ基(−NH−)、メルカプト基(−SH)が挙げられる。
このような官能基を有するアルコキシシランとして、具体的には、例えば、1級アミノ基を有するアルコキシシラン、2級アミノ基を有するアルコキシシラン、1級アミノ基および2級アミノ基を併有するアルコキシシラン、メルカプト基を有するアルコキシシランなどが挙げられる。
硬化性組成物が、これらアルコキシシランを含有していれば、相分離に由来すると考えられる白濁の発生を抑制できる。これは、上記ブロック剤(O=C−CH−C=O骨格を有するブロック剤)のカルボニル基、エステル基などと、アルコキシシランの上記官能基(アミノ基、メルカプト基など)とが反応することにより、または、それらが強い相互作用を有することにより、相分離を抑制しているためと推察される。
より具体的には、1級アミノ基を有するアルコキシシランは、1級アミノ基を有し、2級アミノ基を有しないアルコキシシランであって、例えば、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
2級アミノ基を有するアルコキシシランは、2級アミノ基を有し、1級アミノ基を有しないアルコキシシランであって、例えば、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
1級アミノ基および2級アミノ基を併有するアルコキシシランは、1級アミノ基および2級アミノ基を併有するアルコキシシランであって、例えば、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン)などが挙げられる。
メルカプト基を有するアルコキシシランとしては、例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
これらアルコキシシランは、単独使用または2種類以上併用することができる。
アルコキシシランとして、密着性の観点から、好ましくは、1級アミノ基を有するアルコキシシラン、1級アミノ基および2級アミノ基を併有するアルコキシシランが挙げられ、低黄度の観点から、より好ましくは、1級アミノ基を有するアルコキシシランが挙げられる。
なお、硬化性組成物において、1級アミノ基を有するアルコキシシラン、1級アミノ基および2級アミノ基を併有するアルコキシシランなどが含有されていると、それらのアミノ基と、ブロックイソシアネートのイソシアネート基(ブロック剤の脱離により再生するイソシアネート基)とが反応して尿素結合を形成することがある。また、後述する加熱(焼き付け)などでは、水によるシリル架橋反応が生じ、Si−O−Siの構造単位を形成することがある。
硬化性組成物において、アルコキシシランの含有割合は、後述する範囲となるように、適宜調整される。
また、硬化性組成物は、さらに、任意成分として、酸化チタンを含有することができる。好ましくは、硬化性組成物は、酸化チタンを含有する。
酸化チタンは、白色顔料であって、例えば、一酸化チタン(TiO)、三酸化二チタン(Ti2O3)、二酸化チタン(TiO2)、過酸化チタン(TiO3・nH2O)などが挙げられる。好ましくは、二酸化チタンが挙げられる。
二酸化チタンとしては、例えば、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型などの結晶型の二酸化チタンが挙げられる。好ましくは、ルチル型の二酸化チタンが挙げられる。また、二酸化チタンは、例えば、硫酸法、塩素法、気相法などのいずれの製造方法によって製造されていてもよく、また、例えば、Al、Si、Znなどを含む公知の処理剤で処理されていてもよい。さらに、耐候性グレードを用いることが好ましい。
これら酸化チタンは、単独または2種以上併用することができる。
硬化性組成物において、酸化チタンの含有割合は、後述する範囲となるように、適宜調整される。
そして、硬化性組成物は、上記のブロックイソシアネート、硬化性官能基含有フッ素ポリマーおよびアルコキシシラン(さらに、必要により酸化チタン)を混合することにより、一液型コーティング剤として調製できる。
混合方法としては、特に制限されず、例えば、一括混合でもよく、逐次混合でもよい。例えば、硬化性官能基含有フッ素ポリマーと酸化チタンとを予め混合し、その後、得られた混合物と、ブロックイソシアネートと、アルコキシシランとを混合することができる。
硬化性組成物において、各成分の含有割合(固形分基準)は、以下の通りである。
すなわち、ブロックイソシアネートの含有割合(固形分基準)は、硬化性組成物の固形分総量に対して、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、例えば、50質量%以下、好ましくは、30質量%以下である。
また、硬化性官能基含有フッ素ポリマーの含有割合(固形分基準)は、硬化性組成物の固形分総量に対して、例えば、20質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、例えば、95質量%以下、好ましくは、90質量%以下である。
また、アルコキシシランの含有割合(固形分基準)は、硬化性組成物の固形分総量に対して、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.3質量%以上であり、例えば、8質量%以下、好ましくは、5質量%以下である。
また、酸化チタンの含有割合(固形分基準)は、硬化性組成物の固形分総量に対して、例えば、0質量%以上、好ましくは、10質量%以上であり、例えば、70質量%以下、好ましくは、50質量%以下である。
また、ブロックイソシアネートおよび硬化性官能基含有フッ素ポリマーの総量100質量部に対して、ブロックイソシアネートが、例えば、2質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、例えば、40質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。また、硬化性官能基含有フッ素ポリマーが、例えば、60質量部以上、好ましくは、80質量部以上であり、例えば、98質量部以下、好ましくは、95質量部以下である。
また、ブロックイソシアネートにおけるイソシアネート化合物のイソシアネート基(すなわち、ブロック剤によりブロックされている潜在イソシアネート基)に対する、硬化性官能基含有フッ素ポリマーの硬化性官能基のモル比(硬化性官能基/イソシアネート基)が、0.5以上、好ましくは、0.9以上であり、10以下、好ましくは、5以下である。
さらに、硬化性組成物において、アルコキシシランの含有割合は、ブロックイソシアネートおよび硬化性官能基含有フッ素ポリマーの総量100質量部に対して、0.2質量部以上、好ましくは、0.3質量部以上、より好ましくは、0.35質量部以上、さらに好ましくは、0.4質量部以上であり、8質量部以下、好ましくは、7質量部以下、より好ましくは、6質量部以下である。
また、硬化性組成物において、必要に応じて用いられる酸化チタンの含有割合は、前記硬化性官能基含有フッ素ポリマー100質量部に対して、0質量部以上、200質量部以下である。好ましくは、100質量部以下である。一方、酸化チタンを用いる場合は、好ましくは、20質量部以上の割合で用いられる。
また、硬化性組成物は、必要に応じて、さらに、酸化防止剤、その他、硬化促進剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、エポキシ樹脂、触媒、塗工性改良剤、レベリング剤、核剤、滑剤、離型剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、界面活性剤、顔料(酸化チタンを除く。)、顔料分散剤、染料、有機または無機微粒子、防黴剤、難燃剤、密着改良剤、つや消し剤などの添加剤を含有することができる。
酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサ−スピロ[5,5]ウンデカンなどのフェノール系酸化防止剤、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイトなどの亜リン酸エステル系酸化防止剤、例えば、ジブチルホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェートなどのリン酸エステル系酸化防止剤などが挙げられる。これら酸化防止剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
酸化防止剤として、好ましくは、リン酸エステル系酸化防止剤が挙げられる。
酸化防止剤の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
なお、これら添加剤の添加のタイミングは、特に制限されず、上記した各成分(ブロックイソシアネート、硬化性官能基含有フッ素ポリマー、アルコキシシランなど)に予め添加してもよく、また、上記した各成分の混合時に同時に添加してもよく、さらに、上記した各成分の混合後に、別途添加してもよい。
そして、このような硬化性組成物を、後述する方法で、硬化させ、硬化物とし、保護樹脂層3を得る。
つまり、保護樹脂層3は、上記の硬化性組成物の硬化物から形成される。
そのため、このような保護樹脂層3は、耐溶剤性に優れる。
また、この保護樹脂層3を備える積層体1を用いて得られる太陽電池モジュール6(後述)では、保護樹脂層3と封止材層2との接着性、および、保護樹脂層3と基材4(後述)との接着性に優れ、とりわけ、保護樹脂層3と封止材層2との接着性に優れ、ひいては、封止材層2と基材4(後述)との間の接着性に優れる。
また、この保護樹脂層3を備える積層体1を用いて得られる太陽電池モジュール6(後述)は耐湿性および耐熱性に優れる。
そして、積層体1は、太陽電池モジュール6の製造において、太陽電池モジュール6とともに、製造される。
以下、積層体1および太陽電池モジュール6の製造方法について詳述する。
積層体1および太陽電池モジュール6を製造するには、まず、図2(A)に示すように、表面層5を準備する。
表面層5は、太陽電池モジュール6の表面を保護するための部材であって、例えば、ガラス基板などが挙げられる。
表面層5の厚みは、例えば、0.5mm以上であり、また、例えば、10mm以下である。
次いで、太陽電池セル7を封止した封止材層2を、表面層5の表面に積層する。
太陽電池セル7を封止した封止材層2を表面層5の表面に積層するには、まず、封止材組成物を調製する。
封止材組成物を調製するには、上記したオレフィン系封止材と、必要により添加される添加剤とを混合する。
添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、有機過酸化物、助剤などが挙げられる。
これら添加剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
添加剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
混合方法としては、特に制限されず、例えば、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーラボプラストミルなどの公知の混練機械を使用することができる。また、混合条件は、特に制限されず、使用される装置などに応じて、適宜設定される。
これにより、封止材組成物が調製される。
次いで、この封止材組成物を成形し、封止材層2を準備する。
詳しくは、封止材層2は、封止材層2の半分の厚みを有する第1封止材層8と、封止材層2の半分の厚みを有する第2封止材層9とに分けて準備される。
成形方法としては、例えば、射出成形、押出成形、インフレーション成形、引抜成形、圧縮成形などが挙げられる。
そして、太陽電池セル7を封止した封止材層2を表面層5の表面に積層するには、図2(B)に示すように、第1封止材層8を表面層5の表面に積層し、次いで、図2(C)に示すように、太陽電池セル7を第1封止材層8の表面に配置し、その後、図2(D)に示すように、太陽電池セル7を封止するように、第2封止材層9を第1封止材層8の表面に積層する。
これにより、太陽電池セル7を厚み方向中央部分に封止(埋設)した封止材層2が形成される。
封止材層2の厚みは、例えば、0.1mm以上であり、また、例えば、10mm以下である。
別途、図2(E)に示すように、保護樹脂層3を基材4の表面に積層する。
保護樹脂層3を基材4の表面に積層するには、基材4の表面に、硬化性組成物を塗布し、乾燥および硬化反応させる。
基材4は、太陽電池モジュール6を、熱、紫外線および湿気などから保護するための部材であって、例えば、PETフィルム、フッ素フィルムなどが挙げられる。
基材4の厚みは、例えば、0.2mm以上であり、また、例えば、10mm以下である。
硬化性組成物の塗布方法としては、特に制限されず、例えば、スプレーコーター、カーテンスプレーコーター、グラビアコーター、ドクターコーター、バーコーター、コールコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター、ビード、スパイラル、スロットなどの公知のコーティング方法が挙げられる。
乾燥および硬化反応における温度条件としては、例えば、40℃以上、好ましくは、80℃以上であり、例えば、300℃以下、好ましくは、200℃以下である。また、所要時間は、例えば、30秒以上であり、例えば、3日間以下である。
これにより、ブロックイソシアネートをブロックしているブロック剤と、硬化性官能基含有フッ素ポリマーにおける硬化性官能基とが反応するか、または、ブロックイソシアネートからブロック剤が脱離して再生したイソシアネート基と、硬化性官能基含有フッ素ポリマーにおける硬化性官能基とが反応し、硬化して、塗膜が形成される。その結果、保護樹脂層3が得られる。
また、必要により、保護樹脂層3を、20℃以上300℃以下にて1分間以上30日間以下養生することもできる。
保護樹脂層3の厚みは、例えば、1μm以上であり、また、例えば、50μm以下である。
次いで、図2(F)に示すように、表面層5の表面に積層された封止材層2と、基材4の表面に積層された保護樹脂層3とが接触するように、保護樹脂層3を、封止材層2の表面に積層し、図2(G)に示すように、熱圧着(加熱プレス)する。
熱圧着において、具体的には、厚み方向の両側から、例えば、0.1MPa以上50MPa以下で、基材4および表面層5を押圧するとともに、30℃以上180℃以下に加熱する。なお、熱圧着の時間は、例えば、1分以上60分以下である。
これにより、表面層5と封止材層2とが熱融着するとともに、封止材層2と保護樹脂層3とが熱融着する。
これにより、封止材層2と保護樹脂層3とを順に備える積層体1が得られるとともに、積層体1と、積層体1に封止される太陽電池セル7と、積層体1の一方側に配置される基材4と、積層体1の他方側に配置される表面層5とを備える太陽電池モジュール6が得られる。
換言すれば、太陽電池モジュール6は、表面層5と積層体1と基材4とを順に備える。詳しくは、太陽電池モジュール6は、表面層5と太陽電池セル7を封止した封止材層2と保護樹脂層3と基材4とを順に備える。
太陽電池モジュール6の厚みは、例えば、1mm以上であり、また、例えば、30mm以下である。
太陽電池モジュール6において、積層体1における保護樹脂層3は、封止材層2と基材4との間に介在し、封止材層2を保護する。
そして、この積層体1は、オレフィン系封止材を含む封止材層2、および、ブロックイソシアネートと硬化性官能基含有フッ素ポリマーとアルコキシシランとを含む硬化性組成物の硬化物である保護樹脂層3を備える。
そのため、保護樹脂層3と封止材層2との接着性、および、保護樹脂層3と基材4(後述)との接着性に優れ、とりわけ、保護樹脂層3と封止材層2との接着性に優れ、ひいては、封止材層2と基材4との間の接着性に優れる。
具体的には、保護樹脂層3と封止材層2との最大層間剥離強度が、例えば、50N/10mm以上、好ましくは、60N/10mm以上であり、また、通常、120N/10mm以下である。
上記の最大層間剥離強度が、上記下限以上であれば、封止材層2と保護樹脂層3との接着性に優れ、ひいては、封止材層2と基材4との間の接着性に優れる。
なお、最大層間剥離強度の測定方法については、後述する実施例において詳述する。
さらに、このような積層体1を備える太陽電池モジュール6は、耐湿性および耐熱性に優れる。
詳しくは、このような太陽電池モジュール6を、長期間、屋外で暴露しても、封止材層2と基材4とが剥離することを抑制できる。
このような耐湿性および耐熱性は、耐熱耐湿試験(プレッシャークッカーテスト(PCT))によって確認することができる。
具体的には、プレッシャークッカー試験後の封止材層2と保護樹脂層3との最大層間剥離強度の保持率は、例えば、10%以上、好ましくは、15%以上であり、また、通常、95%以下である。
上記の保持率が、上記下限以上であれば、このような積層体1を備える太陽電池モジュール6は、耐湿性および耐熱性に優れる。
なお、保持率の測定方法については、後述する実施例において詳述する。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
1.積層体および太陽電池モジュール型積層体の製造
(製造例1)(ブロックイソシアネートの調製)
タケネートD−127N(1,3−ビスイソシアナトメチルシクロヘキサンのイソシアヌレート誘導体の溶液、三井化学製)を用い、溶媒置換操作によって、1,3−ビスイソシアナトメチルシクロヘキサンのイソシアヌレート誘導体のメチルイソブチルケトン(MIBK)溶液(固形分75質量%)を調製した(以下、D−127N(MIBK)と称する場合がある。)。窒素シールした4つ口フラスコに、D−127N(MIBK)459.13g、MIBK278.23g、および、マロン酸ジエチル254.39gを加え、室温で15分間、よく混合した。このとき、ブロック剤中の活性基(ブロック基)の、イソシアネート基に対する当量比(活性基/イソシアネート基)を、1.05とした。その後、28%ナトリウムメチラート/メタノール溶液(ブロック化触媒)2.92gを加え、60℃にて、残存イソシアネート量が1%以下になるまで反応させた。反応終了後、室温まで戻し、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート(酸化防止剤)4.89gを加え、室温で1時間混合して、ブロックイソシアネート(潜在NCO% 6.0)を得た。
(製造例2)
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、ペンタメチレンジイソシアネートを500質量部、イソブチルアルコールを1質量部、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノールを0.3質量部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3質量部装入し、80℃で2時間反応させた。
次いで、トリマー化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートを0.05質量部添加した。屈折率とイソシアネートの純度を測定し、所定の反応率にいたるまで反応を継続した。50分後に所定の反応率に達したため、o−トルエンスルホンアミドを0.12質量部添加した(イソシアネート基の転化率:10質量%)。得られた反応液を薄膜蒸留装置(真空度0.093KPa、温度150℃)に通液して未反応のペンタメチレンジイソシアネートを除去し、さらに、得られた組成物100質量部に対し、o−トルエンスルホンアミドを0.02質量部添加し、ポリイソシアネート組成物(イソシアネート基濃度24質量%)を得た。
(製造例3)(硬化性官能基含有フッ素ポリマーと酸化チタンとの混合)
マヨネーズ瓶に、ゼッフルGK−570(硬化性官能基含有フッ素ポリマー、硬化性官能基:水酸基、ダイキン工業製、水酸基価55〜65mgKOH/g)37.05g、酸化チタンCR93(石原産業製)48.60g、および、酢酸ブチル(溶剤)31.34gと、ガラスビーズ115gとを加え、軽く混合した後、ペイントシェーカーにて2時間よく混合した。次いで、得られた混合物に、さらに、ゼッフルGK−570(硬化性官能基含有フッ素ポリマー)54.89g、および、酢酸ブチル(溶剤)8.11gを加え、よく混合した。その後、ろ過によりガラスビーズを取り除き、硬化性官能基含有フッ素ポリマーおよび酸化チタンの混合物(白塗料ワニス)を得た。混合物において、ゼッフルGK−570(硬化性官能基含有フッ素ポリマー)100質量部に対する、酸化チタンの割合は、52.6質量部であった。
実施例1
製造例3で得られた白塗料ワニスと製造例1で得られたブロックイソシアネートとをブロックイソシアネートにおける潜在イソシアネート基に対する、硬化性官能基含有フッ素ポリオールの硬化性官能基(水酸基)とのモル比(硬化性官能基/イソシアネート基)が2となる割合でよく混合した。その後、ブロックイソシアネートおよび硬化性官能基含有フッ素ポリマーの総量100質量部に対して1質量部となるように、KBM−903(アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学製)を加え、よく混合し、硬化性組成物(一液型コーティング剤)を得た。その後、図3(A)に示すように、得られた溶液をプラズマ処理したPETフィルム10(ルミラーX10S,東レ製)上に、乾燥後の膜厚が10〜15μmになるように塗工し175℃2分間加熱処理した。これにより、硬化性組成物を硬化させ、PETフィルム10の上面に保護樹脂層3を積層した。
別途、アイソタクティックポリプロピレン(iPP)(アイソタクティック構造を有するプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体)20重量部、および、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体(PEBR)(プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体)に対し、シランカップリング剤(VTMOS)(ビニルトリメトキシシラン)2.0部、有機過酸化物(PH25B)0.09部、助剤(TAIC)0.2部を配合して、ラボプラストミルにて混練(190℃、5min)し、封止材組成物を得た。次いで、プレス成形機を用いて、封止材組成物から封止材層2(厚み0.6mm)を成形した。
そして、封止材層2を2枚重ね、図3(B)に示すように、その上面にガラス板11(厚み2mm)を積層した。
次いで、図3(C)に示すように、ガラス板11の表面に積層された封止材層2と、PETフィルムの表面に積層された保護樹脂層3とが接触するように、保護樹脂層3を封止材層2の表面に積層し、その後、図3(D)に示すように、厚み方向の両側から、ガラス板11およびPETフィルム10を、押圧するとともに、150℃20分で熱圧着した。
これにより、積層体1を製造するとともに、太陽電池モジュール型積層体12を製造した。
なお、太陽電池モジュール型積層体12は、封止材層2中に太陽電池セルを備えない太陽電池モジュールのテストピースである。
比較例1
製造例1のブロックイソシアネートを製造例2のイソシアネート組成物に変更し、イソシアネート基に対する、硬化性官能基含有フッ素ポリオールの硬化性官能基(水酸基)とのモル比(硬化性官能基/イソシアネート基)が1となる割合とした以外は、実施例1と同様に、積層体1を製造するとともに、太陽電池モジュール型積層体12を製造した。
なお、比較例1において、イソシアネート組成物と、硬化性官能基含有フッ素ポリオールおよびアミノプロピルトリメトキシシランは二液型コーティング剤である。
比較例2
エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)100重量部に対し、シランカップリング剤(VTMOS)(ビニルトリメトキシシラン)2.0部を配合し、混合物を得た。次いで、プレス成形機を用いて、混合物からEVAからなる封止材層2(厚み0.6mm)を成形した。
実施例1の封止材層2を、EVAからなる封止材層2に変更した以外は、実施例1と同様に、積層体1を製造するとともに、太陽電池モジュール型積層体12を製造した。
比較例3
比較例1の封止材層2を、EVAからなる封止材層2に変更した以外は、比較例1と同様に、積層体1を製造するとともに、太陽電池モジュール型積層体12を製造した。
2.評価
(耐溶剤性)
割り箸に脱脂綿を巻き付け、メチルエチルケトン(MEK)に十分に浸した。これを保護樹脂層に対して1kgの荷重で押し付け、100回ラビングを行った後に、外観を観察した。
耐溶剤性に関して次の基準で優劣を評価した。その結果を表1に示す
◎:外観に変化が観測されなかった。
〇:擦った跡が観測された。
△:保護樹脂層の一部に、剥がれが観測された。
×:保護樹脂層が溶解、または、保護樹脂層に剥がれが観測された。
(接着性(層間剥離試験))
封止材層2および保護樹脂層3の層間剥離強度を、引張圧縮試験機(インテスコ社製、Model205N)を用いて測定した。
太陽電池モジュール型積層体を10mm幅の短冊状に切出し、引張圧縮試験機を用いて層間剥離試験(180度剥離、テストスピード50mm/min)を行った。
層間剥離強度の測定結果よりチャートにおける最大値(最大層間剥離強度)を読み取った。その結果を、表1に示す。
(耐湿性および耐熱性(耐熱耐湿試験(プレッシャークッカーテスト(PCT))
プレッシャークッカー試験機を用いて、温度121℃湿度100%の条件下で48時間後における封止材層2および保護樹脂層3の層間剥離強度を測定し、下記式(1)に従って、保持率を求めた。その結果を、表1に示す。
(温度121℃湿度100%の条件下で48時間後の層間剥離強度/耐熱耐湿試験前の層間剥離強度) (1)
表中の略称の詳細を下記する。
D−127N:製造例1で得られたD−127N(MIBK)、1,3−ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン(H6XDI)のイソシアヌレート誘導体のメチルイソブチルケトン(MIBK)溶液(固形分75質量%)
KBM−903:アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学製
アイソタクティックポリプロピレン(iPP):エチレン含量3.0モル%、1−ブテン含量1.0モル%、MFR(230℃)7g/10min、融点140℃
プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体(PEBR):エチレン含量14.0モル%、1−ブテン含量20モル%、MFR(230℃)8.5g/10min、融点は観測されず(ΔH:0.5J/g未満)、分子量分布(Mw/Mn)2.0、ショアーA硬度37
エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA):密度950kg/m3、酢酸ビニル含量28質量%、MFR(190℃)15g/10min、融点71℃
シランカップリング剤(VTMOS):ビニルトリメトキシシラン、東レ・ダウコーニング社製
有機過酸化物(PH25B):ジアルキル型過酸化物、パーヘキサ25B、日本油脂製
助剤(TAIC):トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、商品名 M−60(TAIC含有量60%)、日本化成株式会社製