JP2020110074A - 栽培ベッド装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】農作物の茎葉が栽培ベッドから外れ易くなるのを防止することができる栽培ベッド装置を提供する。【解決手段】栽培ベッド装置1では、農作物Tを栽培する複数の栽培ベッド2が、一列に配列されている。栽培ベッド装置1は、温風機10と、主ダクト11と、枝ダクト12と、を備える。温風機10は、温風を送出する。主ダクト11は、温風機10から送出された温風を栽培ベッド2の配列方向に送る。複数の枝ダクト12は、主ダクト11から枝分かれして栽培ベッド2上を延びて温風を送る。枝ダクト12の折幅は、400mm未満である。【選択図】図1
Description
本発明は、栽培ベッド装置に関する。
温室又はプラスチックハウスでの農作物の栽培が従来から行われている。温室又はプラスチックハウスの室内には、農作物が定植される複数の栽培ベッドが配列されている。各栽培ベッドには、農作物の株が定植され、生育環境が管理された状態で栽培が行われる。プラスチックハウスとは、塩化ビニル、硬質フィルム、ウレタン樹脂等を用いたハウスである。
農作物の生育環境として重要な要素が通気性及び通水性である。このため、各栽培ベッド(栽培部)において、通気性及び通水性が管理されたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。各栽培ベッドで栽培された農作物は、栽培ベッド間を移動する人や自動収穫装置などによって収穫される。
このような農作物の栽培のうち、例えばトマトの栽培においては、栽培ベッド上のトマトに温風が行き渡るように、温風を送るダクトが栽培ベッド上を延びている。しかしながら、栽培ベッド上を延びるダクトの折幅は、規格により400mmと定められている。したがって、例えば栽培ベッドの幅が450mmと狭い場合には、栽培ベッドの幅に対してダクトが大きすぎて、トマトの茎葉が栽培ベッドから外れやすくなる。栽培ベッドから外れたトマトの茎葉は、人や自動収穫装置等によるトマトの収穫の邪魔になる。このことは、トマト以外の農作物についても同様である。
本発明は、上記実情の下になされたものであり、農作物の茎葉が栽培ベッドから外れ易くなるのを防止することができる栽培ベッド装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る栽培ベッド装置は、
農作物を栽培する複数の栽培ベッドが配列された栽培ベッド装置において、
気体を送出する気体送出装置と、
前記気体送出装置から送出された前記気体を前記栽培ベッドの配列方向に送る主ダクトと、
前記主ダクトから枝分かれして対応する前記栽培ベッド上を延びて前記気体を送る複数の枝ダクトと、
を備え、
前記枝ダクトの折幅が400mm未満である。
農作物を栽培する複数の栽培ベッドが配列された栽培ベッド装置において、
気体を送出する気体送出装置と、
前記気体送出装置から送出された前記気体を前記栽培ベッドの配列方向に送る主ダクトと、
前記主ダクトから枝分かれして対応する前記栽培ベッド上を延びて前記気体を送る複数の枝ダクトと、
を備え、
前記枝ダクトの折幅が400mm未満である。
この場合、前記枝ダクトを前記栽培ベッドから浮かせた状態で吊り下げ支持する吊り下げ部材を備える、
こととしてもよい。
こととしてもよい。
また、前記吊り下げ部材は、枝ダクトを保持する弾性部材を有する、
こととしてもよい。
こととしてもよい。
また、前記吊り下げ部材は、水分を含有しない素材を有する、
こととしてもよい。
こととしてもよい。
前記気体送出装置は、温風を送る温風機であり、
前記枝ダクトには、前記気体の流れの上流側に断熱材が巻回されている、
こととしてもよい。
前記枝ダクトには、前記気体の流れの上流側に断熱材が巻回されている、
こととしてもよい。
前記気体送出装置は、温風を送る温風機であり、
前記枝ダクトには、前記主ダクトから所定距離離れた位置よりも前記気体の流れの下流側に複数の小穴が形成されている、
こととしてもよい。
前記枝ダクトには、前記主ダクトから所定距離離れた位置よりも前記気体の流れの下流側に複数の小穴が形成されている、
こととしてもよい。
前記主ダクト及び前記枝ダクトの少なくとも一方における前記気体の流れの下流側の先端に、前記気体の吹き出し方向を調整可能な吹き出しノズルが設けられている、
こととしてもよい。
こととしてもよい。
本発明によれば、栽培ベッド上を延びて気体を送る複数の枝ダクトの折幅が規格より短い400mm未満となっている。栽培ベッドに対して枝ダクトが細くなっているので、農作物の茎葉が栽培ベッドから外れ易くなるのを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1について説明する。
まず、本発明の実施の形態1について説明する。
図1(A)及び図1(B)に示すように、栽培ベッド装置1は、プラスチックハウスH内に設置されている。プラスチックハウスHは、鉄骨等のフレームFで骨組みが組み立てられている。フレームFで組み立てられた骨組みの外側は、合成樹脂のフィルムで覆われている。これにより、プラスチックハウスHの内部空間が形成される。本実施の形態に係る栽培ベッド装置1は、プラスチックハウスHの内部空間に設置されている。
図1(A)及び図1(B)に示すように、栽培ベッド装置1は、複数の栽培ベッド2を備える。各栽培ベッド2は、Y軸方向を長手方向とする矩形状の領域を有している。複数の栽培ベッド2は、一列に(X軸方向に)配列されている。各栽培ベッド2のX軸方向の幅は、例えば450mmである。
各栽培ベッド2では、農作物T、例えばトマトが栽培されている。各栽培ベッド2では、農作物Tの株元が、一定の間隔でY軸方向に配列されている。栽培ベッド2の間は、農作物Tの自動収穫装置や人が通る通路となっている。
栽培ベッド装置1は、さらに、空調設備として、気体送出装置としての温風機10と、主ダクト11と、枝ダクト12と、を備える。
温風機10は、温風、すなわち加熱された空気を送出する。温風機10から送出される温風の温度は、農作物Tの栽培に最適な温度よりも高めに設定されている。温風は主ダクト11及び枝ダクト12を送られていくうちに、農作物Tの栽培に最適な温度まで低下するように計算されている。この温風により、プラスチックハウスH内の室内温度は、外気温よりも高めに維持される。
主ダクト11は、不図示のフレームなどに搭載される状態でプラスチックハウスHの上側に設置されている。主ダクト11は、X軸方向に延びており、温風機10から送出された温風を、栽培ベッド2の配列方向(X軸方向)に送る。主ダクト11は、例えば透明なポリエチレン製のダクト、すなわちポリダクトである。主ダクト11の折幅は、例えば2m20cmである。
枝ダクト12は、各栽培ベッド2に対応して主ダクト11から枝分かれして延びている。枝ダクト12も、例えば透明なポリエチレン製のダクト、すなわちポリダクトである。より具体的には、主ダクト11と枝ダクト12とは、金属製のポリダクトコネクタ13で結合されている。枝ダクト12は、主ダクト11から下方向に延びており、水平方向に折り曲げられたアルミダクト30に接続され、さらに水平方向(Y軸方向)に延びている。
枝ダクト12は、対応する栽培ベッド2上を延びて主ダクト11から送られる温風を送る。本実施の形態では、枝ダクト12の折幅は、400mm未満となっている。ここで、図2に示すように、折幅Dとは、枝ダクト12を平らに折りたたんだ場合の幅をいう。本実施の形態では、枝ダクト12の折幅Dを300mmであるとしている。枝ダクト12の折幅Dが300mmであれば、枝ダクト12の断面の直径は2D(600mm)ということになる。枝ダクト12の折幅Dを、400mmから300mmに変更すれば、直径で約75mm(30%)のスリム化が達成される。
枝ダクト12の側面には、図3に示すように、一定間隔L1で複数の小穴14が開けられている。枝ダクト12を送られる温風は、小穴14から栽培ベッド2の上に吹き出される。なお、小穴14は、温風が栽培ベッド2上の農作物Tに直接当たらないように設けられるのが望ましい。例えば、農作物Tの株と株との間に小穴14を設けたり、上向き、下向き、横向き、斜め向きに小穴14を設けたりするとよい。
次に、本実施の形態に係る栽培ベッド装置1の動作について説明する。図4に示すように、栽培ベッド装置1では、温風機10から送出された温風は、主ダクト11をX軸方向に送られ、枝ダクト12をY軸方向に送られ、枝ダクト12に設けられた小穴14から吹き出される。プラスチックハウスHでは、この温風により温度が調整された環境で、農作物Tが生育される。このようにすれば、温風を各栽培ベッド2に均等に行き渡らせることができるので、プラスチックハウスH内における農作物Tの発育状態に偏りが出ないようにすることができる。
なお、本実施の形態では、主ダクト11及び枝ダクト12の先端は閉じられていたが、開放されていてもよい。このようにすれば、温度が低くなりがちなプラスチックハウスHの壁際の温度を高くして、プラスチックハウスHの室内温度を均一化することができる。
ここで、図5に示すように、折幅400mmの従来の枝ダクト12’を用いた場合には、栽培ベッド2の両横幅のマージンはS1となる。この一方、本実施の形態に係る折幅300mmの枝ダクト12を用いた場合には、栽培ベッド2の両横幅のマージンはS2となる。したがって、本実施の形態に係る枝ダクト12を採用すれば、栽培ベッド2の両側にS2−S1の余裕が生まれることになる。これにより、農作物Tの茎葉が栽培ベッド2からはみ出すのを極力防止することができる。
図1(A)及び図1(B)に戻り、本実施の形態では、栽培ベッド装置1は、枝ダクト12を吊り下げ支持する吊り下げ部材20を備える。吊り下げ部材20は、金属製のワイヤ3と、環状の保持部材15と、ワイヤ16とで構成されている。ワイヤ3は、プラスチックハウスHの上側において、フレームF間をY軸方向に懸架されている。保持部材15は、枝ダクト12に一定間隔ではめ込まれている。ワイヤ16は、ワイヤ3から吊り下げられている。ワイヤ16の下側端部には、保持部材15が接続され、ワイヤ16で保持部材15が吊り下げられる。保持部材15が枝ダクト12を保持することにより、枝ダクト12が吊り下げ支持される。上述のように、枝ダクト12の折幅は、300mmと小さくなっているため、枝ダクト12を吊り下げ易くなっている。
栽培ベッド2からの枝ダクト12の高さはh(図1(B)参照)となっている。高さhは、例えば20cmである。枝ダクト12の高さhは、農作物Tによって変更することが可能である。例えば、高さhは、農作物Tの株元を確認できる程度の高さであり、農薬散布時に、薬剤が株元まで散布可能な高さとなっているのが望ましい。また、枝ダクト12を宙づりにすることで、農作物Tの株元の通風が良好となり栽培環境を改善することができる。このようにすれば、枝ダクト12の取り付け作業も楽になる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施の形態に係る栽培ベッド装置1の全体的な構成は、上記実施の形態1に係る栽培ベッド装置1とほぼ同じである。本実施の形態に係る栽培ベッド装置1では、枝ダクト12を吊り下げ支持する吊り下げ部材20の構成が異なる。
図6に示すように、吊り下げ部材20において枝ダクト12を保持する保持部材15は、弾性部材21で構成されている。このような弾性部材21として、例えば、塩化ビニルのホースや、灌水ホースを用いることができる。弾性部材21は、軟らかい部材であるため、農作物Tを傷つけないようにすることができる。
また、ワイヤ16としては、プラスチック製の紐22を用いることができる。この部材も軟らかい部材であるため、農作物Tを傷つけないようにすることができる。
なお、保持部材15及びワイヤ3,16で構成される吊り下げ部材20は、水分を含有しない素材で構成されているのが望ましい。吊り下げ部材20が水分を含んでいると、栽培ベッド2上の農作物Tを腐らせてしまう可能性があるためである。プラスチック製の紐22、塩化ビニルのホースや、灌水ホースはそのような素材である。プラスチック製とは、塩化ビニル、硬質フィルム、ウレタン樹脂等を用いて製造されていることをいう。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施の形態に係る栽培ベッド装置1の全体的な構成は、上記実施の形態1に係る栽培ベッド装置1とほぼ同じである。本実施の形態では、枝ダクト12の構成が、上記実施の形態と異なっている。
図7に示すように、枝ダクト12には、温風の流れの上流側、すなわち主ダクト11に連結する側に断熱材25が巻回されている。断熱材25としては、例えば、表面がアルミ蒸着されたキャンピングマットに用いられるものがある。
温風機10から送出された温風は高温となっており、この温風が農作物Tに直接触れると、農作物Tに悪影響を及ぼす。温風は、主ダクト11を介して枝ダクト12に入ってくるが、この時点においても、まだ、温風の温度が高すぎる場合がある。このとき、断熱材25により温風からの熱を遮断すれば、農作物Tを保護することができる。したがって、断熱材25は、農作物Tが接触する可能性のある栽培ベッド2に対応する部分だけに巻かれていればよい。本実施の形態では、主ダクト11から所定距離L2離れた基準位置Pから上流側の栽培ベッド2に対応する部分に断熱材25が巻かれている。なお、基準位置Pは、栽培ベッド2の端部から所定距離L3離れた位置でもある。この距離L3は、例えば3〜4mである。
また、枝ダクト12には、主ダクト11から所定距離L2離れた基準位置Pから温風の流れの下流側に複数の小穴14が形成されている。このようにすれば、小穴14から熱風が吹き出して、農作物Tに直接当たるのを防ぐことができる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
本実施の形態に係る栽培ベッド装置1の全体的な構成は、上記実施の形態1に係る栽培ベッド装置1とほぼ同じである。本実施の形態では、主ダクト11又は枝ダクト12の構成が、上記実施の形態1と異なる。
図8(A)及び図8(B)に示すように、本実施の形態では、主ダクト11及び枝ダクト12の先端部分に、温風の吹き出し方向を調整可能な吹き出しノズル50が設けられている。この吹き出しノズル50により、温風の吹き出し方向を上下左右、横、斜め、所望の方向に設定することができる。
この吹き出しノズル50としては、例えば、図9に示すように、塩化ビニルのホースやパイプ、図10に示すように、複数の灌水ホースを用いることができる。吹き出しノズル50は、その向きを調整可能であるため、温度を上げたい場所(例えば温度が低下しがちなフレームFの部分)に向けるなどの工夫が可能である。
なお、主ダクト11及び枝ダクト12の両方の先端部分に吹き出しノズル50が設けられていなくてもよい。主ダクト11及び枝ダクト12の少なくとも一方の先端部分に、吹き出しノズル50が設けられていればよい。
以上詳細に説明したように、上記各実施の形態によれば、栽培ベッド2上を延びて温風を送る複数の枝ダクト12の折幅Dが規格より短い400mm未満となっている。栽培ベッド2に対して枝ダクト12が細くなっているので、農作物Tの茎葉が栽培ベッド2から外れ易くなるのを防止することができる。これにより、農作物Tの収穫が楽になる。なお、枝ダクト12の折幅Dの下限は特に限定していないが、栽培ベッド2上に送る気体が十分に行き渡るほどの大きさとすべきことは勿論である。
また、上記各実施の形態によれば、枝ダクト12を細くすることができるので、枝ダクト12の取り回しが楽になり、その取り付け作業が容易となる。
また、上記各実施の形態によれば、枝ダクト12を細くすることができるので、枝ダクト12の製造に必要な原材料(例えば、枝ダクト12の樹脂素材、ポリダクトコネクタ13の素材、アルミダクト30の素材)を少なくすることができる。このため、栽培ベッド装置1の製造コストを削減することができる。試算によれば、1つの栽培ベッド2につき、約40%のコストダウンが可能となった。
また、上記各実施の形態によれば、枝ダクト12が吊り下げ支持されている。このようにすれば、農作物Tの株元に病害虫が発生しているか否かを目視で確認し易くなる。また、農薬散布時の薬剤が農作物Tの株元まで散布可能となり、防除効果を期待することができる。また、枝ダクト12を宙づりにすることで農作物Tの株元の通風が良好となり、より良好な栽培環境を実現することができる。
また、上記実施の形態では、吊り下げ部材20は、水分を含有しない素材で構成されている。このようにすれば、農作物Tがその水分で腐るのを防止することができる。
また、上記実施の形態では、枝ダクト12には、温風の流れの上流側に断熱材25が巻回されている。このようにすれば、高熱の温風が流れる枝ダクト12の上流部分が農作物Tに直接触れないようにすることができるので、農作物Tの生育を阻害することのないようにすることができる。
上記実施の形態では、枝ダクト12には、主ダクト11から所定距離L2離れた基準位置Pから温風の流れの下流側に複数の小穴14が形成されている。このようにすれば、温度が高い温風が流れる部分が農作物Tに直接触れないようにすることができるので、農作物Tの生育を阻害することのないようにすることができる。
上記実施の形態では、主ダクト11及び枝ダクト12の少なくとも一方の先端部分に、気体の吹き出しノズル50が設けられている。このようにすれば、プラスチックハウスHの外壁部分に近いところにも温風を供給することができるので、プラスチックハウスHの室内の温度をより均一化することが可能となる。
なお、上記実施の形態では、農作物Tとしてトマトを栽培する場合について説明したが、本発明はこれには限られない。ナス、苦瓜、アールスメロン、カボチャ、ソラマメ、デコポン、トルコギキョウ、キク等の立体栽培に適用することができる。また、雑メロン、スイカ、カボチャ、イチゴ、ホウレンソウ、ニラ、大豆等の地這栽培、水稲等による置き床育苗栽培、育苗ポット栽培がある。
例えば、地這栽培においてトンネル40が用いられる場合には、図11(A)に示すように、トンネル40内においてY軸方向に懸架されたワイヤ3を含む吊り下げ部材20により、枝ダクト12を吊り下げ支持することができる。この場合、枝ダクト12の高さは低くなる。この場合、図11(B)に示すように、農作物Tの茎葉の上や下側など、適切な場所に枝ダクト12を位置決めすることができる。
また、育苗においては、図12(A)及び図12(B)に示すように、育苗ハウス内では、育苗置き床(栽培ベッド)上に育苗ポット60を配列する場合がある。このような場合、枝ダクト12をその育苗ポット60の配列間に挿入することができる。なお、育苗ハウス内では、育苗ポット60は、育苗ベンチの上に配列し、その配列間に枝ダクト12を通すことも可能である。
さらに、図13に示すように、育苗ハウス内では、育苗置き床(栽培ベッド)上に育苗セルトレイ70を配列する場合がある。このような場合、枝ダクト12を、育苗セルトレイ70の配列間に挿入することができる。なお、育苗セルトレイ70を、育苗セルポット又は育苗箱に代えることも可能である。また、育苗ハウス内では、育苗セルトレイ70等を、育苗ベンチの上に配列し、その配列間に枝ダクト12を通すことも可能である。
また、上記実施の形態では、プラスチックハウスHのフレームF間に懸架されたワイヤ3から枝ダクト12を吊り下げた。しかしながら、本発明はこれには限られない。別の構造物にワイヤ3を懸架するようにしてもよい。例えば、立体栽培の場合には、農作物Tを生育するための支柱から、ワイヤ3を懸架するようにしてもよい。また、ワイヤ16をプラスチックハウスHの屋根のフレームや、別の構造物から吊り下げるようにしてもよい。
枝ダクト12を吊り下げ支持することで、栽培ベッド2上の枝ダクト12の高さを農作物Tの育成状態に応じて変更することも可能である。
また、上記実施の形態では、枝ダクト12の折幅Dを300mmとしたが、本発明はこれには限られない。枝ダクト12の折幅Dは、200mmであってもよい。枝ダクト12の折幅Dは、従来の規格としてもっぱら採用されている400mmを下回る値、すなわち400mm未満であればよい。枝ダクト12で送るのが温風である場合には、その熱を考慮して、枝ダクト12の折幅Dを決定する必要がある。なお、枝ダクト12の折幅Dを400mm未満とすれば、トマトの単位面積当たりの収穫効率は、400mm以上の場合に比べて大きく上回り、また単位面積当たりの収穫時間も短くなった。枝ダクト12の折幅Dを100mm以上400mm未満とした場合が、収穫効率及び収穫時間が良好であった。
上記実施の形態では、栽培ベッド2の幅を450mmとしたが、栽培ベッド2の幅は、これには限られない。栽培ベッド2の幅を、450mmを超えるものとしてもよいし、450mm未満のものとしてもよい。もっとも、栽培ベッド2の幅を短くすればするほど、農作物Tに対してきめ細かな作業をすることができるため、栽培ベッド2における農作物Tの収穫効率が向上する。このため、近年では、栽培ベッド2の幅は短くなる傾向にあり、枝ダクト12の大きさが懸案事項となっていた。そこで、上記実施の形態では、枝ダクト12の折幅Dを、従来の規格よりも小さくして、枝ダクト12が、農作物Tの生育を阻害することのないように工夫している。
なお、上記実施の形態では、枝ダクト12に複数の小穴14が設けられているものとしたが、本発明はこれには限られない。枝ダクト12に小穴14を設けず、温風の下流端を外部に開放するだけでもよい。
また、上記実施の形態では、温風を送る主ダクト11及び枝ダクト12について説明したが、本発明はこれには限られない。温風機10の代わりに気体送出装置として冷風機を設置し、冷風機から送られる冷風を主ダクト11及び枝ダクト12を介して栽培ベッド2に送るようにしてもよい。この場合、枝ダクト12の折幅Dは、300mmよりも小さい幅(例えば100mm)とすることができる。冷風を送る場合には、収穫効率及び収穫時間から判断される枝ダクト12の折幅Dの最適範囲は、100mm以上400mm未満であった。
また、温風や冷風の他、農作物Tの生育を制御するために、他の気体を栽培ベッド装置1で送るようにしてもよい。例えば、光合成を行うために必要な二酸化炭素又は植物の育成に不可欠な窒素ガス、高温耐性を誘導する2−ヘキサナール、果実の熟期を促進するエチレンガス等を、栽培ベッド装置1を用いて送るようにしてもよい。
上記各実施の形態では、栽培ベッド装置1をプラスチックハウスH又は温室内に適用する場合について説明したが、本発明はこれには限られない。栽培ベッド装置1は、他の環境にも適用することができる。ここで、温室とは、被覆資材として、プラスチックとガラスを用いて外部と内部を仕切り、内部で農作物を育てる構造物をいう。このような温室には、鉄骨を構造部材とするハウスとパイプを利用するハウスとがある。また、プラスチックハウスH又は温室には、暗室のプラスチックハウス、暗室の温室、遮光資材を利用したプラスチックハウス、遮光資材を利用した温室などがある。また、本発明は、植物工場にも適用することができる。
なお、上記各実施の形態では、1つの栽培ベッド2につき、枝ダクト12の数を1本としたが、本発明はこれには限られない。1つの栽培ベッド2につき、枝ダクト12の数を複数としてもよい。この場合、各枝ダクト12で、異なる気体を送るようにしてもよい。
また、上記各実施の形態では、栽培ベッド2を一列に配列したが、複数列に配列するようにしてもよい。
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
本発明は、温室又はプラスチックハウスにおける農作物の栽培に適用することができる。
1 栽培ベッド装置、2 栽培ベッド、3 ワイヤ、10 温風機(気体送出装置)、11 主ダクト、12,12’ 枝ダクト、13 ポリダクトコネクタ、14 小穴、15 保持部材、16 ワイヤ、20 吊り下げ部材、21 弾性部材、22 紐、25 断熱材、30 アルミダクト、40 トンネル、50 吹き出しノズル、60 育苗ポット、70 育苗セルトレイ、H プラスチックハウス、F フレーム、T 農作物、D 折幅、L1 間隔、L2、L3 距離、P 位置、S1、S2 マージン、h 高さ
Claims (7)
- 農作物を栽培する複数の栽培ベッドが配列された栽培ベッド装置において、
気体を送出する気体送出装置と、
前記気体送出装置から送出された前記気体を前記栽培ベッドの配列方向に送る主ダクトと、
前記主ダクトから枝分かれして対応する前記栽培ベッド上を延びて前記気体を送る複数の枝ダクトと、
を備え、
前記枝ダクトの折幅が400mm未満である、
栽培ベッド装置。 - 前記枝ダクトを前記栽培ベッドから浮かせた状態で吊り下げ支持する吊り下げ部材を備える、
請求項1に記載の栽培ベッド装置。 - 前記吊り下げ部材は、枝ダクトを保持する弾性部材を有する、
請求項2に記載の栽培ベッド装置。 - 前記吊り下げ部材は、水分を含有しない素材を有する、
請求項2又は3に記載の栽培ベッド装置。 - 前記気体送出装置は、温風を送る温風機であり、
前記枝ダクトには、前記気体の流れの上流側に断熱材が巻回されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の栽培ベッド装置。 - 前記気体送出装置は、温風を送る温風機であり、
前記枝ダクトには、前記主ダクトから所定距離離れた位置よりも前記気体の流れの下流側に複数の小穴が形成されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の栽培ベッド装置。 - 前記主ダクト及び前記枝ダクトの少なくとも一方における前記気体の流れの下流側の先端に、前記気体の吹き出し方向を調整可能な吹き出しノズルが設けられている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の栽培ベッド装置。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019002864A Pending JP2020110074A (ja) | 2019-01-10 | 2019-01-10 | 栽培ベッド装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020110074A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102585089B1 (ko) * | 2022-10-25 | 2023-10-04 | 한국농수산대학교 산학협력단 | 노지 과수원용 온풍 공급 장치 |
JP7502158B2 (ja) | 2020-11-27 | 2024-06-18 | 三協立山株式会社 | 植物栽培装置 |
-
2019
- 2019-01-10 JP JP2019002864A patent/JP2020110074A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7502158B2 (ja) | 2020-11-27 | 2024-06-18 | 三協立山株式会社 | 植物栽培装置 |
KR102585089B1 (ko) * | 2022-10-25 | 2023-10-04 | 한국농수산대학교 산학협력단 | 노지 과수원용 온풍 공급 장치 |
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