JP2020109598A - 取引モデル構築装置、取引モデル構築方法及び取引モデル構築プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】最適な不動産取引のための取引モデルを構築することが可能な取引モデル構築装置、方法及びプログラムを提供する。【解決手段】取引モデル構築システム1の取引モデル構築装置100は、その機能として、不動産の属性情報、契約家賃、契約成立期間の情報を含む実際の不動産取引における契約実績情報を取得する契約実績情報取得部131と、契約家賃を説明変数とし、契約成立期間を目的変数とする機械学習を行い、契約家賃に基づいて契約成立期間を算出するための取引モデルを構築する取引モデル構築部132と、取引モデルに基づいて、任意に設定された契約家賃から契約成立期間を推定する契約成立期間推定部133と、契約成立期間の推定値から契約成立までの期間を予測して最適な契約家賃を算出する最適契約家賃算出部134と、を備える。【選択図】図1
Description
本開示は、最適な不動産取引を行うための取引モデル構築装置、取引モデル構築方法及び取引モデル構築プログラムに関する。
住宅等の不動産物件の賃貸契約における賃料は、不動産物件の面積、立地の地理的条件、建物の築年数、または建物が備える設備(オートロックの有無やインターネット接続回線の種類等)といった各説明変数によって算出されるのが一般的である。
このような不動産物件の賃貸契約における賃料や、売買契約における売買価格を算出する手法として、特許文献1には、ヘドニック分析を用いた価格推定法が開示されている。特許文献1に記載の価格推定法は、面積や立地といった各説明変数に設定した係数に基づいて不動産価格を算出するものであり、各係数は、重回帰分析の結果に基づいて算出されるものである。
また、特許文献2には、不動産物件の周囲の街並みの要素を評価することが可能な物件価格分析システムが開示されている。特許文献2に記載の物件価格分析システムでは、従来の価格推定法では考慮されていない対象物件の周辺環境による価格寄与分を、物件の要素とその影響度を定量化することにより、対象物件の周辺環境の価値を定量的に把握することを可能にするものである。
ところで、不動産物件の賃貸契約における賃料は、その不動産物件が賃貸可能な状態になってからの期間によっても左右されることがあると考えられる。例えば、賃貸物件の場合、前の住人が転居により空き家になってからの期間が一定以上経過すると、賃料収入が得られなくなることから、値下げをすることが考えられる。そのため、不動産物件の面積、立地の地理的条件、建物の築年数等の説明変数だけでは評価できない場合もあり、最適な不動産価格の算出は困難である。特許文献1または2に記載の手法では、このような期間についての評価は出来なかった。
そこで、本開示では、実際の不動産取引における契約家賃を説明変数とし、契約成立期間を推定することにより、最適な不動産取引のための取引モデルを構築することが可能な取引モデル構築装置、取引モデル構築方法及び取引モデル構築プログラムについて説明する。
本開示の一態様における取引モデル構築装置は、最適な不動産取引のためのモデル構築を行う取引モデル構築装置であって、不動産についての契約が成立するまでの期間である契約成立期間と、不動産の契約家賃と、不動産の属性情報とを含む、不動産の契約実績情報を取得する契約実績情報取得部と、契約実績情報のうち、契約家賃及び属性情報を説明変数とし、契約成立期間を目的変数とする機械学習を行い、契約家賃に基づいて契約成立期間を算出するための取引モデルを構築する取引モデル構築部と、取引モデルに基づき、任意に設定された契約家賃から契約成立期間を推定する契約成立期間推定部と、を備える。
本開示の一態様における取引モデル構築方法は、最適な不動産取引のためのモデル構築を行う取引モデル構築方法であって、契約実績情報取得部が行う、不動産についての契約が成立するまでの期間である契約成立期間と、不動産の契約家賃と、不動産の属性情報とを含む、不動産の契約実績情報を取得する契約実績情報取得ステップと、取引モデル構築部が行う、契約実績情報のうち、契約家賃及び属性情報を説明変数とし、契約成立期間を目的変数とする機械学習を行い、契約家賃に基づいて契約成立期間を算出するための取引モデルを構築する取引モデル構築ステップと、契約成立期間推定部が行う、取引モデルに基づき、任意に設定された契約家賃から契約成立期間を推定する契約成立期間推定ステップと、を備える。
また、本開示の一態様における取引モデル構築プログラムは、最適な不動産取引のためのモデル構築を行う取引モデル構築プログラムであって、不動産についての契約が成立するまでの期間である契約成立期間と、不動産の契約家賃と、不動産の属性情報とを含む、不動産の契約実績情報を取得する契約実績情報取得ステップと、契約実績情報のうち、契約家賃及び属性情報を説明変数とし、契約成立期間を目的変数とする機械学習を行い、契約家賃に基づいて契約成立期間を算出するための取引モデルを構築する取引モデル構築ステップと、取引モデルに基づき、任意に設定された契約家賃から契約成立期間を推定する契約成立期間推定ステップと、を電子計算機に実行させる。
本開示によれば、実際の不動産取引における契約家賃を説明変数とする機械学習を行い、契約家賃に基づいて契約成立期間を算出するための取引モデルを構築するので、契約家賃から契約成立期間を推定することが可能である。これにより、最適な契約家賃を算出することが可能である。
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。
(実施形態1)
<構成>
図1は、本開示の実施形態1に係る取引モデル構築システム1を示すブロック構成図である。この取引モデル構築システム1は、最適な不動産取引のための取引モデル、具体的には、実際の不動産取引における、例えばアパートや賃貸マンション等の契約家賃を説明変数とし、契約成立期間を算出するための取引モデルを構築することで、契約家賃から契約成立期間を推定し、最適な契約家賃を算出することを支援するシステムである。
<構成>
図1は、本開示の実施形態1に係る取引モデル構築システム1を示すブロック構成図である。この取引モデル構築システム1は、最適な不動産取引のための取引モデル、具体的には、実際の不動産取引における、例えばアパートや賃貸マンション等の契約家賃を説明変数とし、契約成立期間を算出するための取引モデルを構築することで、契約家賃から契約成立期間を推定し、最適な契約家賃を算出することを支援するシステムである。
取引モデル構築システム1は、取引モデル構築装置100と、ユーザ端末200と、ネットワークNWとを有している。取引モデル構築装置100と、ユーザ端末200とは、ネットワークNWを介して相互に接続される。ネットワークNWは、通信を行うための通信網であり、例えばインターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信網により構成されている。
取引モデル構築装置100は、取引モデルを構築するために、実際の不動産取引における契約家賃等の契約実績情報を取得し、機械学習を行うことで取引モデルを構築し、ユーザ端末200からの操作により提供する装置であり、例えば、各種Webサービスを提供するサーバ装置により構成されている。なお、サーバ装置は単体で動作するサーバ装置に限られず、ネットワークNWを介して通信を行うことで協調動作する分散型サーバシステムでも良い。
ユーザ端末200は、取引モデル構築システム1を利用するユーザの端末であり、例えばパーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報処理装置により構成されている。このユーザは、例えば、不動産取引を行う不動産業者や不動産物件のオーナー(不動産の所有者)であり、取引モデル構築システム1を利用して、例えば自己の取引対象である物件の最適な契約家賃を算出するため、取引モデル構築システム1を利用する。
取引モデル構築装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
通信部110は、ネットワークNWを介してユーザ端末200と有線または無線で通信を行うための通信インタフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規約により通信が行われる。また、通信部110では、例えば会員登録等により認証されているユーザとの通信を行う場合、SSL(Secure Sockets Layer)やTLS(Transport Layer Security)等の暗号化方式により暗号化して通信を行う。
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、記憶部120は、契約実績情報DB121及び取引モデルDB122を記憶する。さらに、記憶部120は、ユーザ端末200と通信を行ったデータや、後述する各処理にて生成されたデータを一時的に記憶する。
契約実績情報DB121には、実際の不動産取引における契約実績情報が格納されている。この契約実績情報には、後述する契約実績情報取得部131が取得する、不動産の属性情報や、不動産の契約家賃、不動産についての契約が成立するまでの期間である契約成立期間といった情報が含まれる。
取引モデルDB122には、例えば、契約家賃から契約成立期間を推定するような取引モデルが格納されている。この取引モデルは、後述する取引モデル構築部132が構築する取引モデルであり、実際の不動産取引における契約家賃等の契約実績情報を取得して機械学習を行うことによりモデル構築が行われる。
制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、取引モデル構築装置100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等から構成される。制御部130の機能として、契約実績情報取得部131と、取引モデル構築部132と、契約成立期間推定部133と、最適契約家賃算出部134とを備えている。この契約実績情報取得部131、取引モデル構築部132、契約成立期間推定部133、及び最適契約家賃算出部134は、記憶部120に記憶されているプログラムにより起動されて取引モデル構築装置100にて実行される。
契約実績情報取得部131は、不動産の属性情報や、不動産の契約家賃、不動産についての契約が成立するまでの期間である契約成立期間といった情報を含む、実際の不動産取引における契約実績情報を取得する。また、契約実績情報取得部131は、取得した契約実績情報を契約実績情報DB121へ格納する。
契約実績情報取得部131における契約実績情報を取得する手段の一例は、例えば、不動産業者が管理する業務サーバにおける、過去の取引データが格納されているデータベースからデータ連携により取得する手段がある。また、インターネット上の不動産取引支援サイトにおいて、実際に不動産取引が成立した場合に成約情報を表示させるが、その成約情報表示ページにコンバージョンタグを埋め込み、コンバージョンタグにより成約情報を送信させることにより取得する手段でも良い。さらに、ユーザ端末200に契約実績情報を入力させてその入力情報を取得しても良く、この場合の入力情報は、Webページへの入力情報でも良く、所定のファイル形式により作成された契約実績情報の一覧であっても良い。
図2は、図1の契約実績情報DB121の格納内容の例を示す模式図である。契約実績情報DB121には、前述のように契約実績情報取得部131で取得された契約実績情報が格納され、図2に示す物件IDに紐づいて、図2に示す契約実績情報DB121の列名に対応して、物件名、契約実績情報が含まれる。
物件IDは、不動産物件の情報を一意に特定する識別情報である。物件名は、不動産の物件名称であるが、契約実績情報は契約単位ごとに管理する情報であるため、当該不動産が集合住宅の場合、階数や部屋番号まで格納されている。契約実績情報は、不動産取引に関する諸情報であり、例として、図2に示すように物件IDが「001」の場合、最寄駅までの所要時間として「12分」が、建物面積として「37平方m」が、契約家賃として「110,000円」が、沿線として「山手線」が、ネット回線有無として「有」が、契約成立期間として「85日」の情報がそれぞれ格納されている。ここで、契約成立期間は、例えば前の契約期間の終了から新たな契約が成立するまでの期間(日数)であるが、当該不動産が賃貸可能な状態になってからの期間でも良く、当該不動産が不動産情報サイトで検索可能な状態になってからの期間でも良い。
なお、契約実績情報は前述のようなものに限られず、例えば不動産物件の築年数、不動産物件の設備情報(エアコンの有無、オートロックの有無、宅配ボックスの有無等)や、駐車場の有無、近隣情報(スーパーマーケットやコンビニエンスストアまでの距離、小学校や中学校までの距離等)が含まれても良い。
取引モデル構築部132は、契約実績情報DB121に格納されている契約実績情報のうち、不動産の契約家賃及び属性情報を説明変数とし、契約成立期間を目的変数とする機械学習を行い、不動産の契約家賃に基づいて契約成立期間を算出するための取引モデルを構築する。このときの機械学習の手法は、例えば、多層のニューラルネットワークを構築してディープラーニングを行う、DNN(Deep Neural Network)により行われる。また、取引モデル構築部132は、構築した取引モデルを取引モデルDB122に格納する。
なお、取引モデル構築部132によって構築される取引モデルは、不動産の契約家賃から契約成立期間を算出する一方向性の関数ではなく、契約成立期間から、逆に最適な契約家賃を算出することも可能な取引モデルであり、例えば、契約家賃と契約成立期間との関係を示す2次元グラフにより示される。また、この取引モデルは契約家賃と契約成立期間との関係だけではなく、契約家賃、契約成立期間、及び契約家賃と契約成立期間との関係性の確度を示す確度情報のそれぞれの関係を示す3次元グラフにより示される取引モデルでも良く、その他の不動産の属性情報を説明変数または目的変数とする取引モデルでも良い。
契約成立期間推定部133は、取引モデルDB122に格納されている取引モデルに基づいて、任意に設定された契約家賃から、契約成立期間を推定する。例えば、ユーザがユーザ端末200から、取引モデル構築装置100が提供する所定のWebサイトにアクセスすると、所定の入力フォーマットが表示され、希望する契約家賃を入力できるような画面構成になっている。この入力画面でユーザが希望の契約家賃を入力すると、契約成立期間推定部133では、取引モデルDB122に格納されている取引モデルに基づいて、契約家賃から契約成立期間の推定値を算出して画面に出力する。
契約成立期間推定部133における契約成立期間の推定は、取引モデルDB122に格納されている取引モデルが、契約家賃と契約成立期間との関係を示す2次元グラフである場合、契約家賃との関係で契約成立期間の推定値が算出される。また、取引モデルが契約家賃、契約成立期間、及び契約家賃と契約成立期間との確度情報のそれぞれの関係を示す3次元グラフである場合、契約家賃との関係で、最も確度情報が高い契約成立期間の推定値が算出される。また、その他の不動産の属性情報が説明変数である場合、その属性情報も契約成立期間の推定値を算出するためのパラメータとして使用される。
最適契約家賃算出部134は、契約成立期間推定部133にて算出された契約成立期間の推定値から、契約成立までの期間を予測することにより最適な契約家賃を算出する。ここでいう最適な契約家賃とは、例えば、不動産業者や不動産物件のオーナーにとって利益を最大化するために最適な契約家賃であり、具体的には、一定の家賃収入を確保するための契約家賃が設定されたり、また、家賃収入を確実に確保するための契約家賃が設定されたりする。このため、例えば、契約成立期間推定部133にて実際の契約家賃から契約成立期間の推定値が算出されるため、この契約成立期間を変更して取引モデルを用いることにより、契約家賃の最適値が算出される。
最適契約家賃算出部134による最適家賃の算出も、例えば、ユーザがユーザ端末200から、取引モデル構築装置100が提供する所定のWebサイトにアクセスすると、所定の入力フォーマットが表示され、契約成立期間を入力できるようになっており、最適契約家賃算出部134では、最適な契約家賃を算出して画面に出力する。
最適契約家賃算出部134における最適な契約家賃の算出は、取引モデルDB122に格納されている取引モデルが、契約家賃と契約成立期間との関係を示す2次元グラフである場合、契約成立期間を変更することにより契約家賃の最適値が算出される。また、取引モデルが契約家賃、契約成立期間、及び契約家賃と契約成立期間との確度情報のそれぞれの関係を示す3次元グラフである場合、変更した契約成立期間との関係で、最も確度情報が高い契約家賃の最適値が算出される。また、その他の不動産の属性情報が説明変数である場合、その属性情報も最適契約家賃を算出するためのパラメータとして使用される。
<取引モデル>
次に、取引モデル構築部132によって取引モデルを構築する際の処理について説明する。図3は、図1の取引モデル構築部132を説明するための、従来の取引モデルの処理例を示す模式図である。図4は、図1の取引モデル構築部132を説明するための、従来例に対する変更点を示す模式図である。また、図5は、図1の取引モデル構築部132の処理例を示す模式図である。
次に、取引モデル構築部132によって取引モデルを構築する際の処理について説明する。図3は、図1の取引モデル構築部132を説明するための、従来の取引モデルの処理例を示す模式図である。図4は、図1の取引モデル構築部132を説明するための、従来例に対する変更点を示す模式図である。また、図5は、図1の取引モデル構築部132の処理例を示す模式図である。
図3に示す取引モデル構築の処理は、不動産取引における、従来の取引モデルの処理例を示すものであり、説明変数EVに対してDNNによりディープラーニングが行われ、目的変数OVを算出している。この取引モデルは、実際の不動産取引における契約実績情報から抽出された情報を説明変数EVとしており、具体例として、最寄駅までの所要時間、建物面積、沿線、及びネット回線有無の情報が示されている。また、目的変数OVとして、契約家賃が示されている。このように、最寄駅までの所要時間、建物面積、沿線、ネット回線有無といった不動産の属性情報から、契約家賃の推定値を算出する取引モデルは、従来から存在しており、不動産の家賃を査定する処方として利用されていた。
ところが、このような取引モデルによる契約家賃と、実際の不動産取引における契約家賃とは、乖離が見られており、その理由として、契約成立期間に差異があることが原因であると考えられた。前述のように、契約成立期間が一定以上経過すると、賃料収入が得られなくなることから値下げをすることが考えられ、同じような属性の不動産物件でも契約家賃に差異が見られるからである。
そこで、図4に示すように、図3に示す取引モデルにおける目的変数OVである契約家賃を説明変数として、新たな取引モデルを構築することとした。図5に示す新たな取引モデル構築の処理が本件発明における処理であり、実際の不動産取引における契約実績情報から抽出された説明変数EVに対してDNNによりディープラーニングが行われ、目的変数OVを算出するモデルである点は従来例の取引モデルと同様である。この取引モデルは、最寄駅までの所要時間、建物面積、沿線、ネット回線有無に加えて、契約家賃を説明変数EVとし、契約成立期間を目的変数OVとするものである。
このように、取引モデル構築部132により、契約家賃を説明変数EVとし、契約成立期間を目的変数OVとする取引モデルを構築することにより、不動産の契約家賃に基づいて契約成立期間を推定することを可能としている。これにより、契約家賃と契約成立期間との間の変化をモデル化することが出来るので、契約成立期間から、逆に最適な契約家賃を算出することを可能としている。
次に、このようにして取引モデル構築部132により構築された取引モデルの例について説明する。図6は、図1の取引モデルDB122に格納される取引モデルの第1の例を示す模式図である。
図6に示す取引モデルは、契約家賃と契約成立期間との関係を示す2次元グラフの例であり、横軸に契約成立期間が、縦軸に契約家賃が示されている。このグラフに示される回帰曲線L1は、例えば取引モデル構築部132により構築された取引モデルから抽出された、所定の条件に該当する契約家賃と契約成立期間との回帰曲線である。例えば、契約成立期間推定部133において契約家賃を100,000円と指定すると、回帰曲線L1上の点P1に示すように、契約成立期間の推定値として10日が算出される。また、契約家賃を140,000円と指定すると、回帰曲線L1上の点P2に示すように、契約成立期間の推定値として30日が算出される。このように、契約家賃が高くなると契約が成立しにくくなるので、契約成立期間が長くなることが分かる。
契約家賃が高くなると契約成立期間が長くなるため、不動産業者や不動産物件のオーナーにとって、その期間は家賃収入が発生しないことになり、機会損失となってしまう。そのため、図6に示す回帰曲線L1によると、契約成立期間をできるだけ短くしたい場合は、契約家賃を安く設定すれば良い。逆に、家賃収入を出来るだけ多く確保したい場合は、契約家賃を高くする分契約成立期間が長くなることとなる。そのため、機会損失と家賃収入の確保というトレードオフの関係により、最適な契約家賃が決定される。最適契約家賃算出部134では、このトレードオフの関係から、最適な契約家賃を算出している。
図7は、図1の取引モデルDB122に格納される取引モデルの第2の例を示す模式図である。図7に示す取引モデルは、契約家賃、契約成立期間、及び契約家賃と契約成立期間との関係性の確度を示す確度情報のそれぞれの関係を示す3次元グラフの例であり、右下方向の軸に契約成立期間が、縦軸に契約家賃が、右上方向の軸に確度が示されている。このグラフに示される回帰曲線L2は、図6に示す回帰曲線L1と同様であるが、例えば取引モデル構築部132により構築された取引モデルから抽出された、所定の確度のときの回帰曲線を示している。回帰曲線L2上の点P3及び点P4は、図6に示す回帰曲線L1上の点P1及び点P2と同様であるが、最適契約家賃算出部134における最適家賃の算出は、最も確度情報が高い契約家賃の最適値が算出される。
図7に示すグラフは、契約家賃が高くなると契約成立期間が長くなるようなグラフであるが、確度との関係で曲線の形状が変化すると考えられ、契約家賃、契約成立期間、及び確度の間で変化する曲面で示される。この曲面の中で確度が一定以上であり、契約家賃の値がピークである値が契約家賃の最適値であると判断することにより、最適契約家賃算出部134では最適値を算出している。
図8は、図1の取引モデルDB122に格納される取引モデルの第3の例を示す模式図である。図8に示す取引モデルは、沿線と契約成立期間との関係を示す2次元グラフの例であり、横軸に契約成立期間が、縦軸に沿線が示されている。このグラフに示される回帰曲線L3は、図6及び図7に示す回帰曲線L1,L2と同様に、例えば取引モデル構築部132により構築された取引モデルから抽出された、所定の条件に該当する沿線と契約成立期間との回帰曲線である。例えば、契約成立期間推定部133において契約成立期間を10日と指定すると、回帰曲線L3上の点P5に示すように、沿線の推定値として東急東横線が選定される。また、契約成立期間を30日と指定すると、回帰曲線L3上の点P6に示すように、沿線の推定値として山手線が選定される。このように、契約成立期間と沿線との関係により、その不動産物件の沿線から最適な契約成立期間を推定することが可能である。
なお、図6〜図8に示す取引モデルは、所定の属性要素による関係を抽出したものであり、このような2次元または3次元グラフにより示される取引モデルとは限られず、複数の属性情報から契約成立期間を推定しても良く。最適な契約家賃を算出しても良い。
<処理の流れ>
図9を参照しながら、取引モデル構築システム1の取引モデル構築装置100が実行する、取引モデル構築方法の一例の処理の流れについて説明する。図9は、図1の取引モデル構築装置100の動作を示すフローチャートである。
図9を参照しながら、取引モデル構築システム1の取引モデル構築装置100が実行する、取引モデル構築方法の一例の処理の流れについて説明する。図9は、図1の取引モデル構築装置100の動作を示すフローチャートである。
ステップS101の処理として、契約実績情報取得部131では、不動産の属性情報、契約家賃、不動産についての契約が成立するまでの期間である契約成立期間といった情報を含む、実際の不動産取引における契約実績情報が取得される。これらの情報は、例えば不動産業者が管理する業務サーバにおける、過去の取引データが格納されているデータベースや、インターネット上の不動産取引支援サイトにおけるコンバージョンタグが送信する成約情報や、ユーザ端末200からの入力により取得される。
ステップS102の処理として、契約実績情報取得部131では、ステップS101にて取得された契約実績情報が、契約実績情報DB121へ格納される。
ステップS103の処理として、取引モデル構築部132では、ステップS102にて契約実績情報DB121に格納された契約実績情報から、不動産の契約家賃及び属性情報が抽出されて説明変数とされ、契約成立期間を目的変数とする機械学習が行われる。このときの機械学習の手法は、例えば、多層のニューラルネットワークを構築してディープラーニングを行う、DNNにより行われる。
ステップS104の処理として、取引モデル構築部132では、例えば、契約家賃と契約成立期間との関係を示す2次元グラフにより示される、取引モデルが構築される。この取引モデルは、契約家賃、契約成立期間、及び契約家賃と契約成立期間との関係性の確度を示す確度情報のそれぞれの関係を示す3次元グラフにより示される取引モデルでも良く、その他の不動産の属性情報を説明変数または目的変数とする取引モデルでも良い。
ステップS105の処理として、取引モデル構築部132では、ステップS104にて構築された取引モデルが、取引モデルDB122へ格納される。
ステップS106の処理として、契約成立期間推定部133では、ステップS105にて取引モデルDB122に格納された取引モデルに基づいて、任意に設定された契約家賃から、契約成立期間が推定される。例えばユーザが、ユーザ端末200から所定のWebサイトの入力フォーマットにて希望する契約家賃を入力すると、契約成立期間推定部133では、契約家賃から契約成立期間の推定値が算出され、ユーザ端末200の画面に出力される。
ステップS107の処理として、最適契約家賃算出部134では、ステップS106にて算出された契約成立期間の推定値から、契約成立期間を変更して取引モデルを用いることにより契約成立までの期間を予測し、最適な契約家賃の算出が行われる。例えばユーザが、ユーザ端末200から所定のWebサイトの入力フォーマットにて契約成立期間を入力すると、最適契約家賃算出部134では最適な契約家賃が算出され、ユーザ端末200の画面に出力される。
<効果>
以上のように、本実施形態に係る取引モデル構築装置及び取引モデル構築方法は、取引モデル構築部により、実際の不動産取引における契約家賃を説明変数とし、契約成立期間を目的変数とする機械学習が行われ、契約家賃に基づいて契約成立期間を算出するための取引モデルが構築される。この取引モデルに基づいて、契約成立期間推定部により、任意に設定された契約家賃から契約成立期間が推定することが可能である。これにより、最適な契約家賃を算出することが可能である。
以上のように、本実施形態に係る取引モデル構築装置及び取引モデル構築方法は、取引モデル構築部により、実際の不動産取引における契約家賃を説明変数とし、契約成立期間を目的変数とする機械学習が行われ、契約家賃に基づいて契約成立期間を算出するための取引モデルが構築される。この取引モデルに基づいて、契約成立期間推定部により、任意に設定された契約家賃から契約成立期間が推定することが可能である。これにより、最適な契約家賃を算出することが可能である。
また、取引モデル構築部によって構築される取引モデルは、契約家賃と契約成立期間との関係を示す2次元グラフや、契約家賃、契約成立期間、及び契約家賃と契約成立期間との関係性の確度を示す確度情報のそれぞれの関係を示す3次元グラフにより示される取引モデルであるため、取引モデルが構築されると、簡易な計算により容易に契約成立期間を推定し、最適な契約家賃を算出することが可能である。
(実施形態2(プログラム))
図10は、コンピュータ(電子計算機)300の構成の例を示す機能ブロック構成図である。コンピュータ300は、CPU301、主記憶装置302、補助記憶装置303、インタフェース304を備える。
図10は、コンピュータ(電子計算機)300の構成の例を示す機能ブロック構成図である。コンピュータ300は、CPU301、主記憶装置302、補助記憶装置303、インタフェース304を備える。
ここで、実施形態1に係る契約実績情報取得部131、取引モデル構築部132、契約成立期間推定部133、及び最適契約家賃算出部134を構成する各機能を実現するための制御プログラムの詳細について説明する。これらの機能ブロックは、コンピュータ300に実装される。そして、これらの各構成要素の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置303に記憶されている。CPU301は、プログラムを補助記憶装置303から読み出して主記憶装置302に展開し、当該プログラムに従って前述の処理を実行する。また、CPU301は、プログラムに従って、上述した記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置302に確保する。
当該プログラムは、具体的には、コンピュータ300において、不動産についての契約が成立するまでの期間である契約成立期間と、不動産の契約家賃と、不動産の属性情報とを含む、不動産の契約実績情報を取得する契約実績情報取得ステップと、契約実績情報のうち、契約家賃及び属性情報を説明変数とし、契約成立期間を目的変数とする機械学習を行い、契約家賃に基づいて契約成立期間を算出するための取引モデルを構築する取引モデル構築ステップと、取引モデルに基づき、任意に設定された契約家賃から契約成立期間を推定する契約成立期間推定ステップと、をコンピュータによって実現する制御プログラムである。また、取引モデルに基づき、推定された契約成立期間から不動産の最適契約家賃を算出する最適契約家賃算出ステップを含んでも良い。
なお、補助記憶装置303は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース304を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムがネットワークを介してコンピュータ300に配信される場合、配信を受けたコンピュータ300が当該プログラムを主記憶装置302に展開し、前述の処理を実行してもよい。
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置303に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
1 取引モデル構築システム、100 取引モデル構築装置、110 通信部、120 記憶部、121 契約実績情報DB、122 取引モデルDB、130 制御部、131 契約実績情報取得部、132 取引モデル構築部、133 契約成立期間推定部、134 最適契約家賃算出部、200 ユーザ端末、NW ネットワーク
Claims (9)
- 最適な不動産取引のためのモデル構築を行う取引モデル構築装置であって、
不動産についての契約が成立するまでの期間である契約成立期間と、前記不動産の契約家賃と、前記不動産の属性情報とを含む、前記不動産の契約実績情報を取得する契約実績情報取得部と、
前記契約実績情報のうち、前記契約家賃及び前記属性情報を説明変数とし、前記契約成立期間を目的変数とする機械学習を行い、前記契約家賃に基づいて前記契約成立期間を算出するための取引モデルを構築する取引モデル構築部と、
前記取引モデルに基づき、任意に設定された前記契約家賃から前記契約成立期間を推定する契約成立期間推定部と、を備える取引モデル構築装置。 - 前記取引モデルに基づき、推定された前記契約成立期間から前記不動産の最適契約家賃を算出する最適契約家賃算出部を備える、請求項1に記載の取引モデル構築装置。
- 前記最適契約家賃は、前記不動産の所有者の収益を最大化するために最適な前記契約家賃である、請求項2に記載の取引モデル構築装置。
- 前記取引モデル構築部は、前記契約家賃及び前記属性情報を説明変数としてディープラーニングを行い、前記取引モデルを構築する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の取引モデル構築装置。
- 前記取引モデルは、前記契約家賃と、前記契約成立期間との関係を示す2次元グラフにより構築される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の取引モデル構築装置。
- 前記取引モデルは、前記契約家賃と、前記契約成立期間と、前記契約家賃と前記契約成立期間との関係性の確度を示す確度情報と、の関係を示す3次元グラフにより構築される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の取引モデル構築装置。
- 前記属性情報は、前記不動産の建物面積、立地、または前記不動産の建物の設備の情報を含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の取引モデル構築装置。
- 最適な不動産取引のためのモデル構築を行う取引モデル構築方法であって、
契約実績情報取得部が行う、不動産についての契約が成立するまでの期間である契約成立期間と、前記不動産の契約家賃と、前記不動産の属性情報とを含む、前記不動産の契約実績情報を取得する契約実績情報取得ステップと、
取引モデル構築部が行う、前記契約実績情報のうち、前記契約家賃及び前記属性情報を説明変数とし、前記契約成立期間を目的変数とする機械学習を行い、前記契約家賃に基づいて前記契約成立期間を算出するための取引モデルを構築する取引モデル構築ステップと、
契約成立期間推定部が行う、前記取引モデルに基づき、任意に設定された前記契約家賃から前記契約成立期間を推定する契約成立期間推定ステップと、を備える取引モデル構築方法。 - 最適な不動産取引のためのモデル構築を行う取引モデル構築プログラムであって、
不動産についての契約が成立するまでの期間である契約成立期間と、前記不動産の契約家賃と、前記不動産の属性情報とを含む、前記不動産の契約実績情報を取得する契約実績情報取得ステップと、
前記契約実績情報のうち、前記契約家賃及び前記属性情報を説明変数とし、前記契約成立期間を目的変数とする機械学習を行い、前記契約家賃に基づいて前記契約成立期間を算出するための取引モデルを構築する取引モデル構築ステップと、
前記取引モデルに基づき、任意に設定された前記契約家賃から前記契約成立期間を推定する契約成立期間推定ステップと、を電子計算機に実行させるための、取引モデル構築プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019000828A JP2020109598A (ja) | 2019-01-07 | 2019-01-07 | 取引モデル構築装置、取引モデル構築方法及び取引モデル構築プログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019000828A JP2020109598A (ja) | 2019-01-07 | 2019-01-07 | 取引モデル構築装置、取引モデル構築方法及び取引モデル構築プログラム |
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JP2020109598A true JP2020109598A (ja) | 2020-07-16 |
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ID=71570229
Family Applications (1)
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JP2019000828A Pending JP2020109598A (ja) | 2019-01-07 | 2019-01-07 | 取引モデル構築装置、取引モデル構築方法及び取引モデル構築プログラム |
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JP (1) | JP2020109598A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7427785B2 (ja) | 2020-06-12 | 2024-02-05 | 株式会社アシックス | データ推定装置、方法及びプログラム |
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2019
- 2019-01-07 JP JP2019000828A patent/JP2020109598A/ja active Pending
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