以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、複数のレンズ群を有し、変倍時にレンズ群の間隔が変化するように構成されている。この変倍光学系ZLは、開口絞りSと、この開口絞りSより物体側に配置され、合焦時に光軸方向に移動する少なくとも1つの物体側合焦群GfFと、開口絞りSより像側に配置され、合焦時に光軸方向に移動する少なくとも1つの像側合焦群GfRと、を有している。また、この物体側合焦群GfF及び像側合焦群GfRの合焦時における移動軌跡は異なるように構成されている。このように、開口絞りSの前後に配置された複数の合焦群で合焦を行うことにより、近距離合焦時の軸外性能、特に像面湾曲を良好に補正できる。
ここで、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、物体側合焦群GfFの1つ及び像側合焦群GfRの1つのうち、一方を第1合焦群Gf1とし、他方を第2合焦群Gf2としたとき、以下に示す条件式(1)を満足する。
|ff1/ff2| < 1.000 (1)
但し、
ff1:第1合焦群Gf1の焦点距離
ff2:第2合焦群Gf2の焦点距離
この条件式(1)は、物体側合焦群GfFの1つ及び像側合焦群GfRの1つのうち、屈折力の強い方を第1合焦群Gf1とし、屈折力の弱い方を第2合焦群Gf2として規定するものである。本実施形態に係る変倍光学系ZLにおいて、第1合焦群Gf1は、物体が移動したときにその像を像面に結像させる機能を有し、第2合焦群Gf2は、第1合焦群Gf1の移動による周辺部の収差(軸外収差)を補正する機能を有している。条件式(1)の上限値を上回ると、第1合焦群Gf1の屈折力が弱くなり、合焦時の移動量が増加するとともに、合焦時に発生する軸外収差、像面湾曲、コマ収差が大きく発生し過ぎてしまう。また、第2合焦群Gf2の屈折力が強くなりすぎると、像面湾曲補正を行う際に、球面収差の悪化を招いてしまう。なお、この条件式(1)の効果を確実にするために、条件式(1)の上限値を0.900とすることが望ましい。また、この条件式(1)の効果を更に確実にするために、条件式(1)の上限値を0.800とすることが望ましい。また、この条件式(1)の効果を更に確実にするために、条件式(1)の上限値を0.700とすることが望ましい。また、この条件式(1)の効果を更に確実にするために、条件式(1)の上限値を0.600とすることが望ましい。また、この条件式(1)の効果を更に確実にするために、条件式(1)の上限値を0.500とすることが望ましい。
また、条件式(1)の下限値付近においては、第2合焦群Gf2の屈折力が弱くなり過ぎるため、像面湾曲補正を良好に行うことができなくなる。そのため、この条件式(1)の効果を確実にするために、条件式(1)の下限値を0.020とすることが望ましい。また、この条件式(1)の効果を更に確実にするために、条件式(1)の下限値を0.040とすることが望ましい。また、この条件式(1)の効果を更に確実にするために、条件式(1)の下限値を0.060とすることが望ましい。また、この条件式(1)の効果を更に確実にするために、条件式(1)の下限値を0.080とすることが望ましい。また、この条件式(1)の効果を更に確実にするために、条件式(1)の下限値を0.100とすることが望ましい。
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、以下に示す条件式(2)を満足することが望ましい。
0.010 < |FZ2T/FZ1T| < 1.000 (2)
但し、
FZ1T:望遠端状態且つ無限遠合焦状態において第1合焦群Gf1が光軸方向に1[mm]移動した際の軸上合焦位置の変動量[mm]
FZ2T:望遠端状態且つ無限遠合焦状態において第2合焦群Gf2が光軸方向に1[mm]移動した際の軸上合焦位置の変動量[mm]
条件式(2)は、良好な至近性能を得るために、広角端状態における、第1合焦群Gf1と第2合焦群Gf2との合焦位置感度を規定している。この条件式(2)を満足することにより、第1合焦群Gf1より第2合焦群Gf2の方が、軸上合焦位置変動量が小さくなる。上述したように、第2合焦群Gf2は軸外収差補正を行うため、軸上での合焦位置変動量が第1合焦群G1fよりも小さい必要があり、この変動量の差が大きいほど補正が容易となる。条件式(2)の上限値を上回ると、第2合焦群Gf2の軸上合焦位置変動量が大きくなり、軸上及び軸外合焦位置を揃えるために第1合焦群Gf1の移動量が大きくなり、近距離合焦時の球面収差やコマ収差が大きくなってしまう。なお、この条件式(2)の効果を確実にするために、条件式(2)の上限値を0.900とすることが望ましい。また、この条件式(2)の効果を更に確実にするために、条件式(2)の上限値を0.800とすることが望ましい。また、この条件式(2)の効果を更に確実にするために、条件式(2)の上限値を0.750とすることが望ましい。また、この条件式(2)の効果を更に確実にするために、条件式(2)の上限値を0.700とすることが望ましい。一方、条件式(2)の下限値を下回ると、第2合焦群Gf2の屈折力が弱くなるため、軸外収差補正が困難になる。なお、この条件式(2)の効果を確実にするために、条件式(2)の下限値を0.015とすることが望ましい。また、この条件式(2)の効果を更に確実にするために、条件式(2)の下限値を0.020とすることが望ましい。また、この条件式(2)の効果を更に確実にするために、条件式(2)の下限値を0.025とすることが望ましい。また、この条件式(2)の効果を更に確実にするために、条件式(2)の下限値を0.030とすることが望ましい。
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、以下に示す条件式(3)を満足することが望ましい。
0.050 < |FZ2W/FZ2T| < 0.950 (3)
但し、
FZ2W:広角端状態且つ無限遠合焦状態において第2合焦群Gf2が光軸方向に1[mm]移動した際の軸上合焦位置の変動量[mm]
FZ2T:望遠端状態且つ無限遠合焦状態において第2合焦群Gf2が光軸方向に1[mm]移動した際の軸上合焦位置の変動量[mm]
条件式(3)は、良好な至近性能を得るために、第2合焦群Gf2における広角端状態及び望遠端状態の合焦位置感度を規定している。この条件式(3)を満足することにより、広角端状態より望遠端状態の方が、第2合焦群Gf2の合焦位置変動量が大きくなる。第2合焦群Gf2は、軸外収差補正を行うが、広角端状態では像面湾曲が発生しやすく、軸上での合焦位置変化が小さいことが望ましい。条件式(3)の上限値を上回ると、広角端状態での軸上、軸外合焦位置を良好に合わせることができなくなる。なお、この条件式(3)の効果を確実にするために、条件式(3)の上限値を0.900とすることが望ましい。また、この条件式(3)の効果を更に確実にするために、条件式(3)の上限値を0.850とすることが望ましい。一方、条件式(3)の下限値を下回ると、望遠端状態での軸上、軸外合焦位置を良好に合わせることができなくなる。なお、この条件式(3)の効果を確実にするために、条件式(3)の下限値を0.250とすることが望ましい。また、この条件式(3)の効果を更に確実にするために、条件式(3)の下限値を0.350とすることが望ましい。また、この条件式(3)の効果を更に確実にするために、条件式(3)の下限値を0.500とすることが望ましい。また、この条件式(3)の効果を更に確実にするために、条件式(3)の下限値を0.600とすることが望ましい。
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLにおいて、像側合焦群GfRの1つを第1合焦群Gf1とし、物体側合焦群GfFの1つを第2合焦群とすることが望ましい。物体側合焦群GfFを第1合焦群Gf1とした場合、前玉径の大型化及び像面湾曲収差の発生が懸念されるため、像側合焦群GfRを第1合焦群Gf1にすることが望ましい。
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、以下に示す条件式(4)を満足する、すなわち、第1合焦群Gf1は正の屈折力を有することが望ましい。
ff1 > 0 (4)
但し、
ff1:第1合焦群Gf1の焦点距離
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、以下に示す条件式(5)を満足する、すなわち、第2合焦群Gf2は負の屈折力を有することが望ましい。
ff2 < 0 (5)
但し、
ff2:第2合焦群Gf2の焦点距離
なお、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、条件式(5)を満足するときは、上述の条件式(3)に代えて、次の条件式(3′)を満足することが望ましい。
0.400 < |FZ2W/FZ2T| < 0.950 (3′)
但し、
FZ2W:広角端状態且つ無限遠合焦状態において第2合焦群Gf2が光軸方向に1[mm]移動した際の軸上合焦位置の変動量[mm]
FZ2T:望遠端状態且つ無限遠合焦状態において第2合焦群Gf2が光軸方向に1[mm]移動した際の軸上合焦位置の変動量[mm]
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、以下に示す条件式(6)を満足することが望ましい。
0.010 < |FZ1W/FZ1T| < 1.500 (6)
但し、
FZ1W:広角端状態且つ無限遠合焦状態において第1合焦群Gf1が光軸方向に1[mm]移動した際の軸上合焦位置の変動量[mm]
FZ1T:望遠端状態且つ無限遠合焦状態において第1合焦群Gf1が光軸方向に1[mm]移動した際の軸上合焦位置の変動量[mm]
条件式(6)は、良好な至近性能を得るために、第1合焦群Gf1における広角端状態及び望遠端状態の合焦位置感度を規定している。この条件式(6)の上限値を上回ると、広角端状態での第1合焦群Gf1の軸上感度が高くなり、球面収差及びコマ収差の変動が大きくなるため、良好な至近性能を得ることができない。なお、この条件式(6)の効果を確実にするために、条件式(6)の上限値を0.700とすることが望ましい。また、この条件式(6)の効果を更に確実にするために、条件式(6)の上限値を0.350とすることが望ましい。一方、条件式(6)の下限値を下回ると、望遠端状態での第1合焦群G1fの軸上感度が高くなり、球面収差及びコマ収差の変動が大きくなるため、良好な至近性能を得ることができない。なお、この条件式(6)の効果を確実にするために、条件式(6)の下限値を0.050とすることが望ましい。また、この条件式(6)の効果を更に確実にするために、条件式(6)の下限値を0.100とすることが望ましい。
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、物体側合焦群GfFより物体側に、少なくとも1つの物体側レンズ群(例えば、図1における第2レンズ群G2)を有し、変倍時に、物体側レンズ群(第2レンズ群G2)と物体側合焦群GfFとの間隔が変化するように構成されていることが望ましい。物体側合焦群GfFより物体側に物体側レンズ群を配置することにより、この物体側レンズ群で物体側合焦群GfFへの光線を集光できたり、倍率をかけることができたりするため、物体側レンズ群GfFを比較的簡素で径の小さなレンズ群とすることができる。
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、物体側合焦群GfFより物体側に、負の屈折力を有する負レンズ群を少なくとも1つ(例えば、図1における第2レンズ群G2)有し、変倍時に、負レンズ群(第2レンズ群G2)と物体側合焦群GfFとの間隔が変化するように構成されていることが望ましい。物体側合焦群GfFより物体側に負レンズ群を配置することにより、物体側合焦群GfFへの光線入射角度を抑制しやすくなるため、物体側合焦群GfFで発生する像面湾曲量を比較的小さくでき、像側合焦群GfRでの補正を容易にすることができる。
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、物体側合焦群GfFより物体側に、正の屈折力を有する正レンズ群(例えば、図1における第1レンズ群G1)及び負の屈折力を有する負レンズ群(例えば、図1における第2レンズ群G2)を少なくとも1つずつ有し、変倍時に、正レンズ群(第1レンズ群G1)と負レンズ群(第2レンズ群G2)との間隔、及び、負レンズ群(第2レンズ群G2)と物体側合焦群GfFとの間隔が変化するように構成されていることが望ましい。上述した負レンズ群より更に物体側に正レンズ群を配置することにより、変倍比を増やしつつ、物体側及び像側合焦群GfF,GfRを比較的小さくでき、また、合焦スピードを速くすることができる。
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLにおいて、物体側合焦群GfFの1つは、物体側に凹面を向けた負レンズ(例えば、図1における負メニスカスレンズL31)からなることが望ましい。このように構成することで、変倍時の球面収差及び像面湾曲収差変動を抑制することができる。また、効率良く変倍することができ、レンズの小型化に繋がる。
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLにおいて、物体側合焦群GfF及び像側合焦群GfRはそれぞれ1つであることが望ましい。このように構成することで、簡素な構成で軸外光線の近距離性能を発揮させることができる。
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLにおいて、第1合焦群Gf1は、以下に示す条件式(7)を満足するレンズ(例えば、図1における負メニスカスレンズL31)を有することが望ましい。
νd1 > 45.0 (7)
但し、
νd1:第1合焦群Gf1に含まれるレンズの媒質のd線に対するアッベ数
第1合焦群Gf1に、条件式(7)を満足するレンズを配置することにより、この第1合焦群Gf1で発生する色収差を小さくすることができる。この条件式(7)の下限値を下回る、すなわち、アッベ数の小さい媒質でレンズを構成すると、色補正を行うために、この第1合焦群Gf1のレンズ枚数が増えてしまう。なお、この条件式(7)の効果を確実にするために、条件式(7)の下限値を48.0にすることが望ましい。また、この条件式(7)の効果を更に確実にするために、条件式(7)の下限値を50.0にすることが望ましい。また、この条件式(7)の効果を更に確実にするために、条件式(7)の下限値を52.0にすることが望ましい。
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLにおいて、物体側合焦群GfFは1つであって、1つの負レンズからなり、また、物体側合焦群GfFの物体側に対向する位置には負の屈折力を有する負レンズ群(例えば、図1における第2レンズ群G2)を有し、さらに、物体側合焦群GfFの像側に対向する位置には正の屈折力を有する正レンズ群(例えば、図1における第4レンズ群G4)を有するように構成されていることが望ましい。このように構成することで、物体側合焦群GfFの像倍率変化を小さくすることができる。
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLにおいて、変倍時に、第2合焦群Gf2とこの第2合焦群Gf2の物体側に対向する位置に配置されるレンズ群(例えば、図1における第4レンズ群G4)との間隔が変化し、第2合焦群Gf2とこの第2合焦群Gf2の像側に対向する位置に配置されるレンズ群(例えば、図1における第6レンズ群G6)との間隔が変化するように構成されていることが望ましい。このように構成することにより、変倍時の球面収差及び像面湾曲収差変動を抑制することができる。
なお、以上で説明した条件及び構成は、それぞれが上述した効果を発揮するものであり、全ての条件及び構成を満たすものに限定されることはなく、いずれかの条件又は構成、或いは、いずれかの条件又は構成の組み合わせを満たすものでも、上述したそれぞれの効果を得ることが可能である。
次に、本実施形態に係る変倍光学系ZLを備えた光学機器であるカメラを図16に基づいて説明する。このカメラ1は、撮影レンズ2として本実施形態に係る変倍光学系ZLを備えたレンズ交換式の所謂ミラーレスカメラである。本カメラ1において、不図示の物体(被写体)からの光は、撮影レンズ2で集光されて、不図示のOLPF(Optical low pass filter:光学ローパスフィルタ)を介して撮像部3の撮像面上に被写体像を形成する。そして、撮像部3に設けられた光電変換素子により被写体像が光電変換されて被写体の画像が生成される。この画像は、カメラ1に設けられたEVF(Electronic view finder:電子ビューファインダ)4に表示される。これにより撮影者は、EVF4を介して被写体を観察することができる。
また、撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、撮像部3により光電変換された画像が不図示のメモリに記憶される。このようにして、撮影者は本カメラ1による被写体の撮影を行うことができる。なお、本実施形態では、ミラーレスカメラの例を説明したが、カメラ本体にクイックリターンミラーを有しファインダー光学系により被写体を観察する一眼レフタイプのカメラに本実施形態に係る変倍光学系ZLを搭載した場合でも、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。
なお、以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用可能である。
本実施形態では、5群、6群、7群構成の変倍光学系ZLを示したが、以上の構成条件等は、4群、8群等の他の群構成にも適用可能である。また、最も物体側にレンズまたはレンズ群を追加した構成や、最も像面側にレンズまたはレンズ群を追加した構成でも構わない。具体的には、最も像面側に、変倍時又は合焦時に像面に対する位置を固定されたレンズ群を追加した構成が考えられる。また、群とは、変倍時、合焦時、縮筒時などの少なくとも1つで変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示すこととしてもよい。また、本実施形態の変倍光学系ZLは、変倍時に各群間の空気間隔が変化するように、第1レンズ群G1〜第5レンズ群G5(又は第6レンズ群G6、第7レンズ群G7)がそれぞれ光軸に沿って移動するように構成してもよい。また、レンズ成分とは、単レンズ又は複数のレンズが接合された接合レンズをいう。
また、2以上のレンズ群、2以上の部分レンズ群、または光学系全体を光軸方向に移動させて、無限遠物体から近距離物点への合焦を行う合焦群としてもよい。この場合、合焦群はオートフォーカスにも適用でき、オートフォーカス用のモータ駆動(DCモータ、ステッピングモータ、ボイスコイルモータ等、モータの種類は限定されない)にも適している。例えば、上述した6群構成の場合は、第3レンズ群G3(物体側合焦群GfF)及び第5レンズ群G5(像側合焦群GfR)を合焦群とし、その他のレンズは合焦時に像面に対する位置を固定とするのが好ましい。モータにかかる負荷を考慮すると、合焦レンズ群は1つまたは2つのレンズ成分から構成するのが好ましい。また、物体側合焦群GfFと像側合焦群GfRとの間には、合焦時に光軸方向の位置を固定されるレンズを少なくとも1つ配置するのが好ましい。
また、レンズ群または部分レンズ群を光軸に直交方向の変位成分を持つように移動させ、または、光軸を含む面内方向に回転移動(揺動)させて、手振れによって生じる像ブレを補正する防振群としてもよい。特に、開口絞りSより像側であって、像側合焦群GfRの物体側または像側に対向する位置に配置されたレンズ群の少なくとも一部を防振レンズ群としてもよい。また、防振レンズ群は、レンズ枚数に特に限定は無く、1枚の単レンズや複数のレンズ成分から構成することとしてもよい。
また、レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防げるので好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも構わない。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)或いはプラスチックレンズとしてもよい。
開口絞りSは、物体側合焦群GfFと像側合焦群GfRとの間に配置されるのが好ましいが、開口絞りとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用してもよい。また、第1合焦群Gf1を開口絞りSより像側に配置する場合、開口絞りSと第1合焦群Gf1との間には、合焦時に光軸方向の位置を固定されるレンズを少なくとも1つ配置するのが好ましい。
さらに、各レンズ面には、フレアやゴーストを軽減し高い光学性能を達成するために、反射防止膜を施してもよい。反射防止膜は、適宜選択可能であり、単層コーティングや、多層膜コーティングや、微細な結晶粒子からなる超低屈折率層を有する反射防止膜等、膜の種類は限定されない。反射防止膜を施す面数も特に限定されない。
以下、本実施形態に係る変倍光学系ZLの製造方法の概略を、図17を参照して説明する。なお、ここでは図1に示す6群構成の変倍光学系ZL1に基づいて説明するが、5群又は7群構成の場合においても同様である。まず、各レンズを配置して第1レンズ群G1〜第6レンズ群G6をそれぞれ準備し(ステップS100)、開口絞りSと、開口絞りSより物体側に配置され、合焦時に光軸方向に移動する少なくとも1つの物体側合焦群GfFと、開口絞りSより像側に配置され、合焦時に光軸方向に移動する少なくとも1つの像側合焦群GfRと、を配置し(ステップS200)、合焦時に、物体側合焦群GfFと像側合焦群GfRとの移動軌跡は異なるように配置し(ステップS300)、物体側合焦群GfFの1つ及び像側合焦群GfRの1つのうち、一方を第1合焦群Gf1とし、他方を第2合焦群Gf2としたとき、上述した条件を満足するように配置する(ステップS400)。
具体的には、本実施形態では、例えば図1に示すように、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12とを接合した接合正レンズ、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13を配置して第1レンズ群G1とし、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、物体側のレンズ面及び像側のレンズ面が非球面形状に形成された両凹レンズ形状の非球面負レンズL22、及び、両凸レンズL23を配置して第2レンズ群G2とし、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL31を配置して第3レンズ群G3とし、物体側のレンズ面及び像側のレンズ面が非球面形状に形成された両凸レンズ形状の非球面正レンズL41、及び、両凸レンズL42と両凹レンズL43とを接合した接合負レンズを配置して第4レンズ群G4とし、両凹レンズL51と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL52とを接合した接合負レンズを配置して第5レンズ群G5とし、物体側のレンズ面が非球面形状に形成された、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ形状の非球面正レンズL61、物体側のレンズ面が非球面形状に形成された両凸レンズ形状の非球面正レンズL62と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL63とを接合した接合正レンズ、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL64を配置して第6レンズ群G6とする。なお、開口絞りSは第4レンズ群G4の最も物体側に配置する。また、第3レンズ群G3を物体側合焦群GfF(第1合焦群Gf1)とし、第5レンズ群G5を像側合焦群GfR(第2合焦群Gf2)とする。このように準備した各レンズ群を上述の手順で配置して変倍光学系ZLを製造する。
以下、本願の各実施例を、図面に基づいて説明する。なお、図1、図4、図7、図10、及び、図13は、各実施例に係る変倍光学系ZL(ZL1〜ZL5)の構成及び屈折力配分を示す断面図である。また、これらの変倍光学系ZL1〜ZL5の断面図の下部には、広角端状態(W)から中間焦点距離状態(M)を経て望遠端状態(T)に変倍する際の、各レンズ群G1〜G5(又はG6、G7)の光軸に沿った移動方向、及び、無限遠合焦状態(∞)から至近合焦状態に合焦する際の物体側合焦群GfF及び像側合焦群GfRの光軸に沿った移動方向が矢印で示されている。
各実施例において、非球面は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、高さyにおける各非球面の頂点の接平面から各非球面までの光軸に沿った距離(サグ量)をS(y)とし、基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)をrとし、円錐定数をKとし、n次の非球面係数をAnとしたとき、以下の式(a)で表される。なお、以降の実施例において、「e−n」は「×10-n」を示す。
S(y)=(y2/r)/{1+(1−K×y2/r2)1/2}
+A4×y4+A6×y6+A8×y8+A10×y10 (a)
なお、各実施例において、2次の非球面係数A2は0である。また、各実施例の表中において、非球面には面番号の左側に*印を付している。
[第1実施例]
図1は、第1実施例に係る変倍光学系ZL1の構成を示す図である。この図1に示す変倍光学系ZL1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5と、正の屈折力を有する第6レンズ群G6と、から構成されている。
この変倍光学系ZL1において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12とを接合した接合正レンズ、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13を有して構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、物体側のレンズ面及び像側のレンズ面が非球面形状に形成された両凹レンズ形状の非球面負レンズL22、及び、両凸レンズL23を有して構成されている。また、第3レンズ群G3は、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL31を有して構成されている。また、第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側のレンズ面及び像側のレンズ面が非球面形状に形成された両凸レンズ形状の非球面正レンズL41、及び、両凸レンズL42と両凹レンズL43とを接合した接合負レンズを有して構成されている。また、第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凹レンズL51と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL52とを接合した接合負レンズを有して構成されている。また、第6レンズ群G6は、物体側から順に、物体側のレンズ面が非球面形状に形成された、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ形状の非球面正レンズL61、物体側のレンズ面が非球面形状に形成された両凸レンズ形状の非球面正レンズL62と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL63とを接合した接合正レンズ、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL64を有して構成されている。また、開口絞りSは、第4レンズ群G4の最も物体側のレンズ面(第15面)の物体側に配置されている。
この変倍光学系ZL1では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が増大し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が減少し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が増大し、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6との空気間隔が減少し、第6レンズ群G6と像面Iとの空気間隔が増大するように、第1レンズ群G1から第6レンズ群G6の各レンズ群が光軸上を移動する。なお、開口絞りSは、変倍に際し第4レンズ群G4とともに移動する。
また、この変倍光学系ZL1では、物体側合焦群GfFを第3レンズ群G3とし、像側合焦群GfRを第5レンズ群G5とし、無限遠物体から近距離物体への合焦は、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第4レンズ群G4及び第6レンズ群G6を像面Iに対して固定とし、物体側合焦群GfFである第3レンズ群G3を光軸に沿って像側から物体側に移動させ、像側合焦群GfRである第5レンズ群G5を光軸に沿って像側から物体側に移動させることにより行うように構成されている。なお、この合焦において、物体側合焦群GfFと像側合焦群GfRとの移動軌跡は異なるように構成されている。
以下に、第1実施例に係る変倍光学系ZL1の諸元の値を掲げる。ここで、以下の全ての諸元値において掲載されている焦点距離f、曲率半径r、面間隔d、その他長さの単位は一般に「mm」が使われるが、光学系は、比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、これらの符号の説明及び諸元表の説明は以降の実施例においても同様である。
まず、表1に全体諸元を示す。この全体諸元において、fは全系の焦点距離、FNOはFナンバー、ωは半画角[°]、Yは最大像高、TLは全長、及び、BFはバックフォーカスの値を表しており、広角端状態(W)、中間焦点距離状態(M)及び望遠端状態(T)のそれぞれにおける値が示されている。ここで、全長TLは、無限合焦時の最も物体側のレンズ面(図1における第1面)から像面Iまでの光軸上の距離を示している。また、バックフォーカスBFは、無限遠合焦時の最も像側のレンズ面(図1における第29面)から像面Iまでの光軸上の距離を示している。なお、BF(air)はバックフォーカスの空気換算長を示している。
次に、表2にレンズデータを示す。このレンズデータにおける第1欄mは、光線の進行する方向に沿った物体側からのレンズ面の順序(面番号)を、第2欄rは、各レンズ面の曲率半径を、第3欄dは、各光学面から次の光学面までの光軸上の距離(面間隔)を、第4欄nd及び第5欄νdは、d線(λ=587.6nm)に対する屈折率及びアッベ数を示している。また、曲率半径0.00000は平面を示し、空気の屈折率1.00000は省略してある。
また、表3にレンズ群焦点距離を示す。このレンズ群焦点距離におけるgは各レンズ群の符号を、mは各レンズ群の始面(最も物体側のレンズ面の面番号)を、fgは各レンズ群の焦点距離を示している。
この変倍光学系ZL1において、第8面、第9面、第15面、第16面、第23面及び第25面は非球面形状に形成されている。次の表4に、非球面のデータ、すなわち円錐定数K及び各非球面定数A4〜A10の値を示す。
また、この変倍光学系ZL1において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔D5、第2レンズ群と第3レンズ群G3との軸上空気間隔D11、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔D13、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との軸上空気間隔D19、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6との軸上空気間隔D22、及び、第6レンズ群G6と像面Iとの軸上空気間隔D29(バックフォーカスBFに相当する)は、変倍及び合焦に際して変化する。次の表5に、無限遠物体合焦状態、並びに、至近合焦状態での可変間隔を示す。なお、この表5において、Infiniteは無限遠合焦状態を示し、Closestは至近合焦状態を示す。また、Wは広角端状態を、Mは中間焦点距離状態を、Tは望遠端状態を示す。また、D0は変倍光学系ZL1の最も物体側の面(第1面)から物体までの距離を示し、βは撮影倍率を示し、fは全系の焦点距離を示す。
次の表6に、この変倍光学系ZL1における各条件式対応値を示す。この条件式対応値において、ff1は第1合焦群Gf1の焦点距離を、ff2は第2合焦群Gf2の焦点距離を、FZ1Wは広角端状態且つ無限遠合焦状態において第1合焦群Gf1が光軸方向に1[mm]移動した際の軸上合焦位置の変動量[mm]を、FZ1Tは望遠端状態且つ無限遠合焦状態において第1合焦群Gf1が光軸方向に1[mm]移動した際の軸上合焦位置の変動量[mm]を、FZ2Wは広角端状態且つ無限遠合焦状態において前記第2合焦群Gf2が光軸方向に1[mm]移動した際の軸上合焦位置の変動量[mm]を、FZ2Tは望遠端状態且つ無限遠合焦状態において第2合焦群Gf2が光軸方向に1[mm]移動した際の軸上合焦位置の変動量[mm]を、νd1は第1合焦群Gf1に含まれるレンズの媒質のd線に対するアッベ数をそれぞれ表している。なお、この第1実施例において、第1合焦群Gf1は、物体側合焦群GfFである第3レンズ群G3が相当し、第2合焦群Gf2は、像側合焦群GfRである第5レンズ群G5が相当する。また、νd1は、第1合焦群Gf1である第3レンズ群G3の負メニスカスレンズL31の値である。
このように、第1実施例に係る変倍光学系ZL1は、上記条件式(1)〜(3)、(5)及び(3′)、(6)並びに(7)を満足している。
この変倍光学系ZL1の、無限遠合焦状態及び至近合焦状態における、広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態の球面収差図、非点収差図、歪曲収差図、倍率色収差図及び横収差図を図2及び図3に示す。各収差図において、FNOはFナンバー、NAは開口数、Yは像高をそれぞれ示す。なお、球面収差図では最大口径に対応するFナンバー又は開口数の値を示し、非点収差図及び歪曲収差図では像高の最大値をそれぞれ示し、横収差図では各像高の値を示している。また、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)をそれぞれ示す。また、非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示している。また、歪曲収差図はd線の値を示している。また、以降に示す各実施例の収差図においても、本実施例と同様の符号を用いる。これらの各収差図より、この変倍光学系ZL1は、合焦における無限遠物体合焦状態から至近合焦状態にわたって、また、変倍における広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差が良好に補正されていることがわかる。
[第2実施例]
図4は、第2実施例に係る変倍光学系ZL2の構成を示す図である。この図4に示す変倍光学系ZL2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5と、正の屈折力を有する第6レンズ群G6と、から構成されている。
この変倍光学系ZL2において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12とを接合した接合正レンズ、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13を有して構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、物体側のレンズ面が非球面形状に形成された両凹レンズ形状の非球面負レンズL22、及び、両凸レンズL23を有して構成されている。また、第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凹レンズL31と両凸レンズL32とを接合した接合負レンズを有して構成されている。また、第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側のレンズ面及び像側のレンズ面が非球面形状に形成された両凸レンズ形状の非球面正レンズL41、及び、両凸レンズL42と両凹レンズL43とを接合した接合正レンズを有して構成されている。また、第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凹レンズL51と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL52とを接合した接合負レンズを有して構成されている。また、第6レンズ群G6は、物体側から順に、物体側のレンズ面が非球面形状に形成され、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ形状の非球面正レンズL61と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL62とを接合した接合正レンズ、両凸レンズL63と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL64とを接合した接合正レンズ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL65、及び、両凹レンズL66を有して構成されている。また、開口絞りSは、第4レンズ群G4の最も物体側のレンズ面(第16面)の物体側に配置されている。
この変倍光学系ZL2では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が増大し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が減少し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が増大し、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6との空気間隔が減少し、第6レンズ群G6と像面Iとの空気間隔が増大するように、第1レンズ群G1から第6レンズ群G6の各レンズ群が光軸上を移動する。なお、開口絞りSは、変倍に際し第4レンズ群G4とともに移動する。
また、この変倍光学系ZL2では、物体側合焦群GfFを第3レンズ群G3とし、像側合焦群GfRを第5レンズ群G5とし、無限遠物体から近距離物体への合焦は、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第4レンズ群G4及び第6レンズ群G6を像面Iに対して固定とし、物体側合焦群GfFである第3レンズ群G3を光軸に沿って像側から物体側に移動させ、像側合焦群GfRである第5レンズ群G5を光軸に沿って像側から物体側に移動させることにより行うように構成されている。なお、この合焦において、物体側合焦群GfFと像側合焦群GfRとの移動軌跡は異なるように構成されている。
以下に、第2実施例に係る変倍光学系ZL2の諸元の値を掲げる。まず、表7に全体諸元を示す。
次に、表8に第2実施例におけるレンズデータを示す。
また、表9に第2実施例におけるレンズ群焦点距離を示す。
この変倍光学系ZL2において、第8面、第16面、第17面及び第24面は非球面形状に形成されている。次の表10に、非球面のデータ、すなわち円錐定数K及び各非球面定数A4〜A10の値を示す。
また、この変倍光学系ZL2において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔D5、第2レンズ群と第3レンズ群G3との軸上空気間隔D11、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔D14、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との軸上空気間隔D20、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6との軸上空気間隔D23、及び、第6レンズ群G6と像面Iとの軸上空気間隔D33(バックフォーカスBFに相当する)は、変倍及び合焦に際して変化する。次の表11に、無限遠物体合焦状態、並びに、至近合焦状態での可変間隔を示す。
次の表12に、この変倍光学系ZL2における各条件式対応値を示す。なお、この第2実施例において、第1合焦群Gf1は、物体側合焦群GfFである第3レンズ群G3が相当し、第2合焦群Gf2は、像側合焦群GfRである第5レンズ群G5が相当する。また、νd1は、第1合焦群Gf1である第3レンズ群G3の両凹レンズL31の値である。
このように、第2実施例に係る変倍光学系ZL2は、上記条件式(1)〜(3)、(5)及び(3′)、(6)並びに(7)を満足している。
この変倍光学系ZL2の、無限遠合焦状態及び至近合焦状態における、広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態の球面収差図、非点収差図、歪曲収差図、倍率色収差図及び横収差図を図5及び図6に示す。これらの各収差図より、この変倍光学系ZL2は、合焦における無限遠物体合焦状態から至近合焦状態にわたって、また、変倍における広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差が良好に補正されていることがわかる。
[第3実施例]
図7は、第3実施例に係る変倍光学系ZL3の構成を示す図である。この図7に示す変倍光学系ZL3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5と、から構成されている。
この変倍光学系ZL3において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とを接合した接合正レンズを有して構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、物体側のレンズ面が非球面形状に形成され、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ形状の非球面負レンズL22、両凸レンズL23、及び、像側のレンズ面が非球面形状に形成された両凹レンズ形状の非球面負レンズL24を有して構成されている。また、第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側のレンズ面及び像側のレンズ面が非球面形状に形成された両凸レンズ形状の非球面正レンズL31、両凸レンズL32と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL33とを接合した接合正レンズ、両凹レンズL34と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL35とを接合した接合正レンズ、及び、物体側のレンズ面及び像側のレンズ面が非球面形状に形成された両凸レンズ形状の非球面正レンズL36を有して構成されている。また、第4レンズ群G4は、像側のレンズ面が非球面形状に形成され、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ形状の非球面負レンズL41を有して構成されている。また、第5レンズ群G5は、物体側のレンズ面が非球面形状に形成された両凸レンズ形状の非球面正レンズL51を有して構成されている。また、開口絞りSは、第3レンズ群G3の非球面正レンズL31と両凸レンズL32との間に配置されている。また、第5レンズ群G5と像面Iとの間にはフィルタFLが配置されている。
この変倍光学系ZL3では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が増大し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が増大し、第5レンズ群G5とフィルタFLとの空気間隔が減少するように、第1レンズ群G1から第5レンズ群G5の各レンズ群が光軸上を移動する。なお、開口絞りSは、変倍に際し第3レンズ群G3とともに移動する。
また、この変倍光学系ZL3では、物体側合焦群GfFを第2レンズ群G2とし、像側合焦群GfRを第4レンズ群G4とし、無限遠物体から近距離物体への合焦は、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3及び第5レンズ群G5を像面Iに対して固定とし、物体側合焦群GfFである第2レンズ群G2を光軸に沿って像側から物体側に移動させ、像側合焦群GfRである第4レンズ群G4を光軸に沿って物体側から像側に移動させることにより行うように構成されている。なお、この合焦において、物体側合焦群GfFと像側合焦群GfRとの移動軌跡は異なるように構成されている。
以下に、第3実施例に係る変倍光学系ZL3の諸元の値を掲げる。まず、表13に全体諸元を示す。
次に、表14に第3実施例におけるレンズデータを示す。
また、表15に第3実施例におけるレンズ群焦点距離を示す。
この変倍光学系ZL3において、第6面、第11面、第12面、第13面、第21面、第22面、第24面及び第25面は非球面形状に形成されている。次の表16に、非球面のデータ、すなわち円錐定数K及び各非球面定数A4〜A10の値を示す。
また、この変倍光学系ZL3において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔D3、第2レンズ群と第3レンズ群G3との軸上空気間隔D11、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔D22、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との軸上空気間隔D24、及び、第5レンズ群G5とフィルタFLIとの軸上空気間隔D26は、変倍及び合焦に際して変化する。次の表17に、無限遠物体合焦状態、並びに、至近合焦状態での可変間隔を示す。
次の表18に、この変倍光学系ZL3における各条件式対応値を示す。なお、この第3実施例において、第1合焦群Gf1は、物体側合焦群GfFである第2レンズ群G2が相当し、第2合焦群Gf2は、像側合焦群GfRである第4レンズ群G4が相当する。また、νd1は、第1合焦群Gf1である第2レンズ群G2の負メニスカスレンズL21の値である。
このように、第3実施例に係る変倍光学系ZL3は、上記条件式(1)〜(3)、(5)及び(3′)、(6)並びに(7)を満足している。
この変倍光学系ZL3の、無限遠合焦状態及び至近合焦状態における、広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態の球面収差図、非点収差図、歪曲収差図、倍率色収差図及び横収差図を図8及び図9に示す。これらの各収差図より、この変倍光学系ZL3は、合焦における無限遠物体合焦状態から至近合焦状態にわたって、また、変倍における広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差が良好に補正されていることがわかる。
[第4実施例]
図10は、第4実施例に係る変倍光学系ZL4の構成を示す図である。この図10に示す変倍光学系ZL4は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5と、から構成されている。
この変倍光学系ZL4において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11、物体側のレンズ面が非球面形状に形成され、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ形状の非球面負レンズL12、及び、両凸レンズL13を有して構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側のレンズ面が非球面形状に形成され、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズ形状の非球面負レンズL21と物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL22とを接合した接合負レンズを有して構成されている。また、第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側のレンズ面及び像側のレンズ面が非球面形状に形成され、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ形状の非球面正レンズL31、及び、両凸レンズL32と両凹レンズL33とを接合した接合正レンズを有して構成されている。また、第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凹レンズL41と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL42とを接合した接合負レンズを有して構成されている。また、第5レンズ群G5は、物体側のレンズ面が非球面形状に形成され、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ形状の非球面負レンズL51と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL52とを接合した接合負レンズ、両凸レンズL53と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL54とを接合した接合正レンズ、両凸レンズL55、及び、両凹レンズL56を有して構成されている。また、開口絞りSは、第3レンズ群G3の最も物体側のレンズ面(第11面)の物体側に配置されている。
この変倍光学系ZL4では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の空気間隔が増大し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5の空気間隔が減少し、第5レンズ群G5と像面Iの空気間隔が増大するように、第1レンズ群G1から第5レンズ群G5の各レンズ群が光軸上を移動する。なお、開口絞りSは、変倍に際し第3レンズ群G3とともに移動する。
また、この変倍光学系ZL4では、物体側合焦群GfFを第2レンズ群G2とし、像側合焦群GfRを第4レンズ群G4とし、無限遠物体から近距離物体への合焦は、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3及び第5レンズ群G5を像面Iに対して固定とし、物体側合焦群GfFである第2レンズ群G2を光軸に沿って像側から物体側に移動させ、像側合焦群GfRである第4レンズ群G4を光軸に沿って像側から物体側に移動させることにより行うように構成されている。なお、この合焦において、物体側合焦群GfFと像側合焦群GfRとの移動軌跡は異なるように構成されている。
以下に、第4実施例に係る変倍光学系ZL4の諸元の値を掲げる。まず、表19に全体諸元を示す。
次に、表20に第4実施例におけるレンズデータを示す。
また、表21に第4実施例におけるレンズ群焦点距離を示す。
この変倍光学系ZL4において、第3面、第7面、第11面、第12面、及び第19面は非球面形状に形成されている。次の表22に、非球面のデータ、すなわち円錐定数K及び各非球面定数A4〜A10の値を示す。
また、この変倍光学系ZL4において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔D6、第2レンズ群と第3レンズ群G3との軸上空気間隔D9、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔D15、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との軸上空気間隔D18、及び、第5レンズ群G5と像面Iとの軸上空気間隔D28(バックフォーカスBFに相当する)は、変倍及び合焦に際して変化する。次の表23に、無限遠物体合焦状態、並びに、至近合焦状態での可変間隔を示す。
次の表24に、この変倍光学系ZL4における各条件式対応値を示す。なお、この第4実施例において、第1合焦群Gf1は、物体側合焦群GfFである第2レンズ群G2が相当し、第2合焦群Gf2は、像側合焦群GfRである第4レンズ群G4が相当する。また、νd1は、第1合焦群Gf1である第2レンズ群G2の非球面負レンズL21の値である。
このように、第4実施例に係る変倍光学系ZL4は、上記条件式(1)〜(3)、(5)及び(3′)、(6)並びに(7)を満足している。
この変倍光学系ZL4の、無限遠合焦状態及び至近合焦状態における、広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態の球面収差図、非点収差図、歪曲収差図、倍率色収差図及び横収差図を図11及び図12に示す。これらの各収差図より、この変倍光学系ZL4は、合焦における無限遠物体合焦状態から至近合焦状態にわたって、また、変倍における広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差が良好に補正されていることがわかる。
[第5実施例]
図13は、第5実施例に係る変倍光学系ZL5の構成を示す図である。この図13に示す変倍光学系ZL5は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5と、負の屈折力を有する第6レンズ群G6と、負の屈折力を有する第7レンズ群G7と、から構成されている。
この変倍光学系ZL5において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12とを接合した接合正レンズ、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13を有して構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凸レンズL21と両凹レンズL22とを接合した接合正レンズ、及び、両凹レンズL23と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL24とを接合した接合負レンズを有して構成されている。また、第3レンズ群G3は、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL31を有して構成されている。また、第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸レンズL41、両凹レンズL42と両凸レンズL43とを接合した接合正レンズ、及び、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL44と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL45とを接合した接合負レンズを有して構成されている。また、第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凸レンズL51と両凹レンズL52とを接合した接合負レンズ、並びに、物体側のレンズ面及び像側のレンズ面が非球面形状に形成された両凸レンズ形状の非球面正レンズL53を有して構成されている。また、第6レンズ群G6は、物体側から順に、物体側のレンズ面が非球面形状に形成され、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ形状の非球面負レンズL61と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL62とを接合した接合負レンズ、及び、両凸レンズL63を有して構成されている。また、第7レンズ群G7は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL71と物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL72とを接合した接合負レンズを有して構成されている。また、開口絞りSは、第4レンズ群G4の最も物体側のレンズ面(第15面)の物体側に配置されている。また、第7レンズ群G7と像面Iとの間にはフィルタFLが配置されている。
この変倍光学系ZL5では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が減少し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が変化し、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6との空気間隔が変化し、第6レンズ群G6と第7レンズ群G7との空気間隔が変化するように、第1レンズ群G1から第6レンズ群G6の各レンズ群が光軸上を移動する。このとき、第7レンズ群G7は像面Iに対して固定されている。なお、開口絞りSは、変倍に際し第4レンズ群G4とともに移動する。
また、この変倍光学系ZL5では、物体側合焦群GfFを第3レンズ群G3とし、像側合焦群GfRを第5レンズ群G5とし、無限遠物体から近距離物体への合焦は、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第4レンズ群G4、第6レンズ群G6及び第7レンズ群G7を像面Iに対して固定とし、物体側合焦群GfFである第3レンズ群G3を光軸に沿って像側から物体側に移動させ、像側合焦群GfRである第5レンズ群G5を光軸に沿って像側から物体側に移動させることにより行うように構成されている。なお、この合焦において、物体側合焦群GfFと像側合焦群GfRとの移動軌跡は異なるように構成されている。
以下に、第5実施例に係る変倍光学系ZL5の諸元の値を掲げる。まず、表25に全体諸元を示す。
次に、表26に第5実施例におけるレンズデータを示す。
また、表27に第5実施例におけるレンズ群焦点距離を示す。
この変倍光学系ZL5において、第26面、第27面及び第28面は非球面形状に形成されている。次の表28に、非球面のデータ、すなわち円錐定数K及び各非球面定数A4〜A10の値を示す。
また、この変倍光学系ZL5において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔D5、第2レンズ群と第3レンズ群G3との軸上空気間隔D11、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔D13、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との軸上空気間隔D22、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6との軸上空気間隔27、及び、第6レンズ群G6と第7レンズ群G7との軸上空気間隔D32は、変倍及び合焦に際して変化する。次の表29に、無限遠物体合焦状態、並びに、至近合焦状態での可変間隔を示す。
次の表30に、この変倍光学系ZL5における各条件式対応値を示す。なお、この第5実施例において、第1合焦群Gf1は、像側合焦群GfRである第5レンズ群G5が相当し、第2合焦群Gf2は、物体側合焦群GfFである第3レンズ群G3が相当する。また、νd1は、第1合焦群Gf1である第5レンズ群G5の非球面正レンズL53の値である。
このように、第5実施例に係る変倍光学系ZL5は、上記条件式(1)、(2)、(4)〜(7)を満足している。
この変倍光学系ZL5の、無限遠合焦状態及び至近合焦状態における、広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態の球面収差図、非点収差図、歪曲収差図、倍率色収差図及び横収差図を図14及び図15に示す。これらの各収差図より、この変倍光学系ZL5は、合焦における無限遠物体合焦状態から至近合焦状態にわたって、また、変倍における広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差が良好に補正されていることがわかる。