JP2020109490A - 空間位相変調器 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶型の空間位相変調器において、高エネルギー光の入力による熱損傷を抑制可能な技術を提供する。【解決手段】本開示の一側面に係る空間位相変調器100は、透明電極層130の上で透明電極層130に隣接する位置、及び透明電極層130と液晶層150との間で透明電極層130に隣接する位置に、透明電極層130よりも高い耐熱性を有する層120,140を備える。【選択図】図2

Description

本開示は、空間位相変調器に関する。
ディスプレイ用途に開発されたLCOS(Liquid Crystal On Silicon)素子が既に知られている(例えば、特許文献1参照)。LCOS素子は、空間位相変調器として、ディスプレイ用途だけでなく、光通信やレーザ加工等の様々な分野で応用され始めている。
特開2018−085500号公報
ところで、本発明者らは、LCOS素子を用いてレーザー加工システムを構築することを考えている。計算機ホログラム(CGH: Computer Generated Hologram)を通して生成されるLCOS位相変調像を用いれば、加工対象面をワンショットで加工できる。
しかしながら、公知のLCOS素子は、高エネルギー光を必要とするレーザー加工用途に適していない。具体的には、公知のLCOS素子は、高エネルギー光により生じる熱に対する十分な耐久性を備えておらず、発熱による損傷が生じやすい。
そこで、本開示の一側面によれば、液晶型の空間位相変調器において、高エネルギー光の入力による熱損傷を抑制可能な技術を提供できることが望ましい。
本開示の一側面によれば、液晶層と、上部電極層と、下部電極層とを備える液晶型の空間位相変調器が提供される。上部電極層は、液晶層の上に位置する。下部電極層は、液晶層の下に位置する。
上部電極層は、透明電極層である。透明電極層は、上方からの光が液晶層に通過するように構成される。空間位相変調器は、透明電極層の上で透明電極層に隣接する位置、及び透明電極層と液晶層との間で透明電極層に隣接する位置に、第一及び第二の耐熱層を備える。第一及び第二の耐熱層は、透明電極層よりも高い耐熱性を有する。
透明電極層は周囲よりも低い透過率を通常有することから、液晶型の空間位相変調器に高エネルギー光が入力されたときには、透明電極層において発熱が生じ易い。そして、透明電極層による発熱の影響は、透明電極層に近いほど大きい。
本開示の一側面によれば、第一及び第二の耐熱層が、透明電極層の上下において隣接していることから、透明電極層で発生した熱により隣接層が損傷する可能性を抑制することができる。従って、本開示の一側面によれば、空間位相変調器において、高エネルギー光の入力による熱損傷を抑制することができる。
本開示の一側面によれば、透明電極層よりも高い耐熱性を実現するために、第一及び第
二の耐熱層が、無機材料層として構成されてもよい。
本開示の一側面によれば、透明電極層は、酸化インジウムスズ(ITO)透明電極層であってもよい。この場合、第一及び第二の耐熱層は、摂氏600度を超える温度までの耐熱性を有するように構成されてもよい。
本開示の一側面によれば、透明電極層の上に位置する第一の耐熱層は、カバーガラス層であってもよい。カバーガラス層は、上方からの光が液晶層に通過するように構成される。本開示の一側面によれば、カバーガラス層は、サファイア又は石英のガラス層であってもよい。
サファイア又は石英のガラス層は、ホウケイ酸ガラス製のカバーガラス層よりも耐熱性に優れている。更にサファイアの熱伝導率は、非常に高い。熱伝導率の高いカバーガラス層によれば、透明電極層で発生する熱を効率的に拡散させることができ、空間位相変調器内部の温度上昇を効果的に抑制することができる。
本開示の一側面によれば、透明電極層と液晶層と間に位置する第二の耐熱層は、液晶層の上に位置する配向膜層であってもよい。配向膜層は、ケイ素酸化物(SiOx)の無機配向膜層であってもよい。ポリイミドの配向膜層よりも高い耐熱性を有するケイ素酸化物(SiOx)の無機配向膜層は、空間位相変調器の耐熱性向上に役立つ。
本開示の一側面によれば、第二の耐熱層は、透明電極層から液晶層への熱伝達を抑制するように、配向膜層の上に設けられた熱バッファ層であってもよい。配向膜層は、液晶層の上に設けられ得る。
透明電極層と配向膜層と間に熱バッファ層を設けることによれば、透明電極層で発生した熱が、耐熱性の低い液晶層に伝播するのを抑制することができ、空間位相変調器の耐熱性を向上させることができる。
本開示の一側面によれば、下部電極層の上に、非金属の反射層を備えてもよい。反射層は、無機材料の多層構造を有してもよい。下部電極層の上に反射層を設けることによれば、下部電極層の下に反射層を設ける場合よりも、下部電極層に光が伝播することによる発熱を抑えることができる。更に、無機材料の多層構造によれば、光の吸収による発熱を抑えて、光を反射することができる。
本開示の一側面によれば、液晶層は、トラン系高分子材料を含まない液晶層であってもよい。非トラン系液晶は、トラン系液晶よりも短い波長帯まで広範囲の波長帯に亘って低い吸光度を有する。吸光度の低い液晶層を採用することによれば、光の吸収による発熱を抑制することができる。
本開示の一側面によれば、空間位相変調器の表面に、内部を冷却するための冷却構造が設けられてもよい。冷却構造によれば、空間位相変調器内の温度が上昇するのを抑制することができる。
本開示の一側面によれば、液晶型の空間位相変調器であって、カバーガラス層と、カバーガラス層の下に位置する透明電極層と、透明電極層の下に位置する第一の配向膜層と、第一の配向膜層の下に位置する液晶層と、液晶層の下に位置する第二の配向膜層と、第二の配向膜層の下に位置する下部電極層と、を備える空間位相変調器が提供されてもよい。
この空間位相変調器において、透明電極層は、酸化インジウムスズ(ITO)透明電極
層であってもよい。カバーガラス層は、サファイア又は石英のガラス層であってもよい。第一及び第二の配向膜層は、ケイ素酸化物(SiOx)の無機配向膜層であってもよい。この空間位相変調器の構造によれば、高エネルギー光の入力に伴う熱損傷を抑制することができる。
本開示の一側面によれば、第二の配向膜層と下部電極層との間に、非金属の反射層が設けられてもよい。反射層は、無機材料の多層構造を有してもよい。
本開示の一側面によれば、透明電極層と第一の配向膜層との間に、透明電極層から液晶層への熱伝達を抑制するための熱バッファ層が設けられてもよい。
レーザ加工システムの概略構成を表す図である。 空間位相変調器の内部構造を表す断面図である。 トラン系及び非トラン系液晶の光吸収スペクトルを示すグラフである。 複数のカバーガラス材料の透過率を示すグラフである。 第一変形例の空間位相変調器の構成を表す断面図である。 第二変形例の空間位相変調器の構成を表す平面図である。
以下に本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の空間位相変調器100は、液晶型、具体的にはLCOS型の空間位相変調器である。この空間位相変調器100は、特に、高エネルギー光用に構成される。ここでいう高エネルギー光は、高いパワー及び/又は高い周波数を有する光である。
レーザ加工用途では、尖頭値の高いパワーを有するパルス光が発射される。このため、レーザ加工システム10に用いられる空間位相変調器100には、パルス光の入力により発生する熱に対する耐久性が要求される。
図1に示すレーザ加工システム10は、光源11からのパルス光を、ビーム拡大レンズ13を介して投影素子15に照射する。本実施形態の空間位相変調器100は、この投影素子15として、レーザ加工システム10に組み込まれる。
空間位相変調器100は、複数の画素に対応する二次元配列された複数の電極を有し、複数の電極からの液晶に対する電圧印加により、入力光を画素毎に位相変調するように構成される。空間位相変調器100は、コントローラ17により制御されて、光源11からのパルス光を、加工対象面20に形成すべき画像に対応する位相変調光に変換して、出力する。
空間位相変調器100からの出力光に対応する位相変調像は、結像レンズ19を介して加工対象面20で結像される。このハイパワーのパルス光から生成された位相変調像により、加工対象面20は加工される。このレーザ加工システム10によれば、ワンショットのパルス光で、二次元画像を加工対象面20に形成可能である。
図2に示す本実施形態の空間位相変調器100は、シリコン基板110上に、カバーガラス層120と、透明電極層130と、第一の配向膜層140と、液晶層150と、第二の配向膜層160と、反射層170と、下部電極層180と、回路層190とを備える。
カバーガラス層120は、空間位相変調器100の最上層に位置する。光源11からのパルス光は、カバーガラス層120に入力される。透明電極層130は、カバーガラス層
120の下に位置する。第一の配向膜層140、液晶層150、及び第二の配向膜層160は、透明電極層130の下に位置する。
第一の配向膜層140は、液晶層150の上で、液晶層150に隣接するように配置される。第二の配向膜層160は、液晶層150の下で、液晶層150に隣接するように配置される。
反射層170は、第二の配向膜層160の下に位置し、空間位相変調器100の上方から、カバーガラス層120に入力され、透明電極層130、第一の配向膜層140、液晶層150、及び第二の配向膜層160を順に通過して伝播してくるパルス光を反射するように構成される。
カバーガラス層120への入力光に対する反射層170からの反射光は、第二の配向膜層160、液晶層150、第一の配向膜層140、透明電極層130、及びカバーガラス層120を順に通って上方に伝播し、入力光に対する位相変調光として出力される。
下部電極層180は、上述した画素毎の電極を備え、透明電極層130と共に、コントローラ17からの駆動信号を受けて、液晶層150に、画素毎の電圧を印加する。これにより、液晶層150を通過する光には画素毎の位相シフトが生じ、位相変調が実現される。
このように構成される本実施形態の空間位相変調器100の各層は、空間位相変調器100の耐熱性向上のために、表1に示す材料で構成される。
耐熱性の向上は、特に、カバーガラス層120、第一の配向膜層140、第二の配向膜層160、及び反射層170の材料選択により実現される。耐熱性の向上のために、採り得る行為には次の3つがある。
(1)高い耐熱性を有する材料を選択すること。
(2)熱伝導率の良好な材料を選択して、熱をすばやく拡散させること。
(3)透過率の良好な材料を選択して、光吸収による発熱を抑えること。
但し、空間位相変調器100が果たすべき機能から、材料選択には、制約がある。本実施形態では、透明電極層130として、ITO(酸化インジウムスズ)透明電極層を採用
している。ITOは、紫外域にエネルギーバンドギャップを有するワイドギャップ半導体である。
ITOのキャリア密度は、金属のそれよりもかなり低い。このため、ITOは、光透過性を有する。しかしながら、ITOでは、キャリアを介した吸収を避けることができないため、波長帯400〜1000nmの波長帯で20%程度の光吸収が生じる。
レーザ加工で用いられるパルス光の波長は、通常400〜1000nmの範囲内にある。従って、レーザ加工用途の空間位相変調器100における透明電極層130の透過率は、良くても80%程度である。
この透明電極層130の透過率は、空間位相変調器100のカバーガラス層120から反射層170との境界までの層の中でも特に低く、透明電極層130は、パルス光を受けて発熱が生じやすい層である。更に、透明電極層130の耐熱温度は、およそ600℃以下であり、透明電極層130の耐熱性は高くない。
一方で、空間位相変調器100が果たすべき機能から、透明電極層130には、透過性及び導電性が必要であり、このような制約の中では、透明電極層130を、ITOで構成することが適切である。このため、本実施形態では、透明電極層130として、ITO透明電極層を採用した上で、透明電極層130の発熱に対処するための材料選択を行っている。
具体的には、本実施形態では、カバーガラス層120を、サファイアで構成している。サファイアの耐熱温度は、およそ2000℃である。更に、サファイアの透過率は、400〜1000nmの波長帯で、およそ85%以上である。
このようにサファイアのカバーガラス層120は、透明電極層130と比較して、耐熱性及び透過性が高い。この耐熱性は、カバーガラス層120の材料として一般的なホウケイ酸ガラスよりも高い。ホウケイ酸ガラスの耐熱温度は、およそ500℃である。
更に、サファイアの熱伝導率は、およそ42W/mKであり、ホウケイ酸ガラスの熱伝導率よりも40倍ほど高い。このようにサファイアのカバーガラス層120は、透明電極層130からの発熱に対して耐久性があるばかりではなく、透明電極層130で発生した熱を、効率よく拡散させ、外部に消散させることができる。
即ち、サファイアのカバーガラス層120は、仮にホウケイ酸ガラスのカバーガラス層を採用した場合と比較して、空間位相変調器100内において熱が蓄積される速度、それにより温度が上昇する速度を抑えることができる。この抑制作用は、空間位相変調器100における熱損傷の可能性を低減するのに大いに役立つ。
本実施形態では、更に、第一及び第二の配向膜層140,160を、空間位相変調器100で従来よく用いられるポリイミドの有機配向膜層ではなく、ケイ素酸化物(SiOx)の無機配向膜層で構成している。
ポリイミドの有機配向膜層の耐熱温度は、400℃以下である。一方、ケイ素酸化物(SiOx)の無機配向膜層の耐熱温度は、透明電極層130の耐熱温度600℃より高く、およそ1000℃である。なお、液晶層150の耐熱温度は400℃以下である。
即ち、第一及び第二の配向膜層140,160の耐熱温度は、透明電極層130及び液晶層150よりも高い。このため、第一及び第二の配向膜層140,160によれば、透
明電極層130や液晶層150より先に第一及び第二の配向膜層140,160が損傷して、空間位相変調器100が使用不能となるのを抑制することができる。
ケイ素酸化物(SiOx)の無機配向膜層は、400〜1000nmの波長帯で、透明電極層130の透過率より十分に高い透過率を有する。具体的には、ケイ素酸化物(SiOx)の無機配向膜層(第一及び第二の配向膜層140,160)は、およそ95%以上の透過率を有する。この透過率は、ポリイミドの有機配向膜層と同等である。従って、ポリイミドの有機配向膜層をケイ素酸化物(SiOx)の無機配向膜層に変更することが、第一及び第二の配向膜層140,160での発熱を増加させることには基本的にはならない。
この他、本実施形態では、反射層170を下部電極層180の上に配置することで、下部電極層180の発熱を抑えている。空間位相変調器の構成としては、下部電極層180の下でカバーガラス層120からの入力光を反射する構成、及び、下部電極層180の上でカバーガラス層120からの入力光を反射する構成が知られているが、本実施形態では、後者の構成を採用することで、発熱を抑えている。
更に、従来の空間位相変調器では、金属製の下部電極に、反射性を持たせて、入力光を反射させているのに対し、本実施形態では、金属製の下部電極層180の上に、非金属の反射層170を設けている。
反射層170は、具体的に、無機材料の多層構造で構成される。無機材料の例には、二酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO又はTi)、及び、フッ化マグネシウムMgFが含まれる。これら無機材料の多層構造の耐熱温度は、これら無機材料の融点に対応し、およそ1100℃である。
無機材料の多層構造によれば、透過率1%未満の反射層170を構成することができる。この低い透過率は、下部電極層180での光吸収による発熱をほぼなくすことができる。下部電極層180は、アルミニウム又は金の電極を有した構成にされ得る。
上述した本実施形態の空間位相変調器100によれば、透明電極層130の上で透明電極層130に隣接する位置、及び透明電極層130と液晶層150との間で透明電極層130に隣接する位置のそれぞれに、透明電極層130よりも高い耐熱性を有する無機材料のカバーガラス層120、及び、第一の配向膜層140が配置される。この配置により、透明電極層130からの発熱の影響を受けやすい、透明電極層130に隣接する層の熱損傷の可能性が低減される。更に言えば、入力光の波長帯に対して、透明電極層130よりも高い透過率を有するカバーガラス層120、並びに、第一及び第二の配向膜層160が、光吸収による空間位相変調器100内の発熱を抑える。
更に、熱伝導率の高いカバーガラス層120が、透明電極層130で発生した熱を、光の通過部位から効率よく拡散し、空間位相変調器100内の温度上昇を抑える。従って、本実施形態によれば、高エネルギー光用途、特には、レーザ加工用途の空間位相変調器100として、熱に対する耐久性の高い空間位相変調器100を提供することできる。
付言すれば、空間位相変調器100の耐久性を向上させるために、液晶層150の材料には、トラン系高分子材料を含まない非トラン系液晶が採用されるとよい。トラン系高分子材料は、次の化学式で表すことができる。
本実施形態の空間位相変調器100内において、唯一の有機材料で構成される液晶層150は、耐熱温度が低い。液晶層150の耐熱温度は、上述したように400℃以下である。液晶層150は更に、多少の光吸収を伴うために、発熱する。この液晶層150の耐熱温度の低さを鑑みれば、液晶層150の光吸収は、できるだけ抑制されるのが好ましい。
図3には、トラン系高分子材料を含むトラン系液晶、及び、トラン系高分子材料を含まない非トラン系液晶の、光吸収スペクトルを示す。図3において符号S1で示されたスペクトルが、トラン系液晶の光吸収スペクトルであり、符号S2で示されたスペクトルが、非トラン系結晶の光吸収スペクトルである。
図3に示すように、トラン系液晶では、およそ400nm以下で、光吸収度が高くなるが、非トラン系液晶では、300nm程度まで、光吸収度が高くならない。即ち、空間位相変調器100の使用帯域として、400nm帯を考慮した場合、400nm付近に吸収端を有するトラン系液晶では、300nm付近に吸収端を有する非トラン系液晶と比較して、光吸収による発熱が生じやすい。
以上の理由から、空間位相変調器100の液晶層150として、トラン系高分子材料を含まない非トラン系の液晶層を採用すると、レーザ加工用途の空間位相変調器100として、より耐久性の高い空間位相変調器100を提供することできる。
また、空間位相変調器100の使用帯域を、400nm〜1000nmの波長帯から、紫外線の波長帯まで拡張する又は紫外線の波長帯にシフトさせる場合には、カバーガラス層120の構成材料を、サファイアから石英に変更してもよい。
図4に示すように、サファイアは、可視光域から赤外線域において高い透過性を示すが、サファイアの透過性は、紫外線域において低下する。一方、石英は、紫外線域において、サファイアよりも高い透過性を示す。図4に示される紫外線域におけるサファイアの透過率と、合成石英の透過率とを比較されたい。図4では、サファイアの透過率が実線で示され、合成石英の透過率が一点鎖線で示されている。
空間位相変調器100のカバーガラス層120の構成材料を、サファイアから石英に変更すれば、紫外線域での耐久性に優れた空間位相変調器100を構成することができる。但し、石英の熱伝導率は、サファイアより低く、1W/mK程度である。従って、空間位相変調器100の使用帯域に応じて、カバーガラス層120の構成材料は、サファイア及び石英の中から選択されるのが好ましい。
更に言えば、空間位相変調器100は、透明電極層130と液晶層150との間に、透明電極層130から液晶層150への熱伝達を抑制するための、熱バッファ層210を備えてもよい。
熱バッファ層210を備える第一変形例の空間位相変調器200が、図5に示される。
第一変形例の空間位相変調器200は、熱バッファ層210を備える点を除いて、上述した空間位相変調器100と同一構成にされる。
第一の配向膜層140は、液晶層150に隣接している必要があるため、熱バッファ層210は、具体的には、透明電極層130と第一の配向膜層140との間に設けられる。熱バッファ層210は、入力光に対し透明で吸収の少ない光学薄膜で構成される。
例えば、熱バッファ層210は、SiO、TiO、Ta、及びMgF等の無機材料で構成される。あるいは、熱バッファ層210は、これら無機材料の多層構造として構成される。但し、熱バッファ層210の材料は、液晶層150への熱伝達を抑制可能な材料であれば、列挙した材料に限られるものではない。
更なる変形例として、空間位相変調器100,200の表面には、内部を冷却するための冷却構造310が設けられてもよい。冷却構造310は、金属フィンであり得る。冷却構造310を備える第二変形例の空間位相変調器300が図6に示される。
第二変形例の空間位相変調器300は、空間位相変調器300の上面であって、カバーガラス層120が設けられたパルス光が入力される位相変調可能なアクティブ領域の周囲に、冷却構造310としての金属フィンを備える。図6において破線で囲まれた領域が、冷却構造310の領域に対応する。第二変形例の空間位相変調器300は、冷却構造310を備える点を除いて、上述した空間位相変調器100,200のいずれかと同じ構成を有することができる。
第二変形例によれば、冷却構造310により空間位相変調器300の温度上昇をより効果的に抑制することができる。但し、冷却構造310の例は、金属フィンに限定されない。冷却構造310は、空間位相変調器300の上面ではなく、下面に設けられてもよい。
以上に変形例を含む本開示の例示的実施形態を説明した。但し、本開示は、上記の例示的実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、本開示の空間位相変調器は、レーザ加工以外のさまざまな分野で利用され得る。
上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。上記実施形態の構成の少なくとも一部は、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
10…レーザ加工システム、11…光源、13…ビーム拡大レンズ、15…投影素子、17…コントローラ、19…結像レンズ、100…空間位相変調器、110…シリコン基板、120…カバーガラス層、130…透明電極層、140…第一の配向膜層、150…液晶層、160…第二の配向膜層、170…反射層、180…下部電極層、190…回路層、200…空間位相変調器、210…熱バッファ層、300…空間位相変調器、310…冷却構造。

Claims (12)

  1. 液晶型の空間位相変調器であって、
    液晶層と、
    前記液晶層の上に位置する上部電極層と、
    前記液晶層の下に位置する下部電極層と、
    を備え、
    前記上部電極層は、上方からの光が前記液晶層に通過するように構成される透明電極層であり、
    前記空間位相変調器は更に、前記透明電極層の上で前記透明電極層に隣接する位置、及び前記透明電極層と前記液晶層との間で前記透明電極層に隣接する位置に、前記透明電極層よりも高い耐熱性を有する第一及び第二の耐熱層を備える空間位相変調器。
  2. 前記第一及び第二の耐熱層は、無機材料層である請求項1記載の空間位相変調器。
  3. 前記透明電極層は、酸化インジウムスズ(ITO)透明電極層であり、
    前記第一及び第二の耐熱層は、摂氏600度を超える温度までの耐熱性を有する請求項1又は請求項2記載の空間位相変調器。
  4. 前記透明電極層の上に位置する前記第一の耐熱層は、上方からの光が前記液晶層に通過するように構成されるカバーガラス層であり、前記カバーガラス層は、サファイア又は石英のガラス層である請求項1〜請求項3のいずれか一項記載の空間位相変調器。
  5. 前記透明電極層と前記液晶層と間に位置する前記第二の耐熱層は、前記液晶層の上に位置する配向膜層であり、前記配向膜層は、ケイ素酸化物(SiOx)の無機配向膜層である請求項1〜請求項4のいずれか一項記載の空間位相変調器。
  6. 前記液晶層の上には、配向膜層が設けられており、
    前記透明電極層と前記液晶層と間に位置する前記第二の耐熱層は、前記透明電極層から前記液晶層への熱伝達を抑制するように、前記配向膜層の上に設けられた熱バッファ層である請求項1〜請求項4のいずれか一項記載の空間位相変調器。
  7. 前記下部電極層の上に、非金属の反射層を備え、
    前記反射層は、無機材料の多層構造を有する請求項1〜請求項6のいずれか一項記載の空間位相変調器。
  8. 前記液晶層は、トラン系高分子材料を含まない液晶層である請求項1〜請求項7のいずれか一項記載の空間位相変調器。
  9. 前記空間位相変調器の表面に、内部を冷却するための冷却構造を備える請求項1〜請求項8のいずれか一項記載の空間位相変調器。
  10. 液晶型の空間位相変調器であって、
    カバーガラス層と、
    前記カバーガラス層の下に位置する透明電極層と、
    前記透明電極層の下に位置する第一の配向膜層と、
    前記第一の配向膜層の下に位置する液晶層と、
    前記液晶層の下に位置する第二の配向膜層と、
    前記第二の配向膜層の下に位置する下部電極層と、
    を備え、
    前記透明電極層は、酸化インジウムスズ(ITO)透明電極層であり、
    前記カバーガラス層は、サファイア又は石英のガラス層であり、
    前記第一及び第二の配向膜層は、ケイ素酸化物(SiOx)の無機配向膜層である空間位相変調器。
  11. 前記第二の配向膜層と前記下部電極層との間に、非金属の反射層を備え、
    前記反射層は、無機材料の多層構造を有する請求項10記載の空間位相変調器。
  12. 前記透明電極層と前記第一の配向膜層との間に、前記透明電極層から前記液晶層への熱伝達を抑制するための熱バッファ層を備える請求項10又は請求項11記載の空間位相変調器。
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