JP2020109168A - ボールペン及びボールペンレフィル - Google Patents
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Abstract
【課題】速記時においてもインキ吐出不良が起こりにくく筆跡が明瞭であり、紙面の裏面へのインキの裏移りが少なく、且つインキの乾燥性に優れたボールペン及びボールペンに収容されるボールペンレフィルを提供する。【解決手段】水と、着色剤と、界面活性剤と、曳糸性付与剤とを含有し、界面活性剤が、所定のポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤を含み、曳糸性付与剤が、ポリアクリルアミドを含む水性インキ組成物を内蔵し、EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における前記水性インキ組成物の粘度が、0.1〜20mPa・sであり、20℃における前記水性インキ組成物の剪断減粘指数nが、0.80〜1.00であり、外径が0.7mm以上2.0mm以下のボールをペン先に有し、所定の筆記試験機及び筆記用紙を用いて、所定の筆記条件で100m筆記した際の水性インキ組成物の消費量が150mg以上350mg以下であるボールペンである。【選択図】なし
Description
本発明は、ボールペン及びボールペンレフィルに関する。
ボールペンは宛名書き等に広く利用されており、ペン先に備えたボールの外径を変更することにより筆跡幅を調整することができる。
ボールペンは、ボールの回転によってペン先のインキがボールとボール掴持部との隙間から紙面に吐出されつつ、インキ収容部からペン先へインキが供給される原理を利用することにより筆記を可能としている。
ボールペンに用いられるインキには筆跡乾燥性が高いことが求められる。筆跡乾燥性に関する技術として、例えば、特許文献1には、水溶性有機溶剤のSP値及び蒸気圧を制御する技術が開示されており、また特許文献2には、所定の乾燥性向上剤を添加する技術が開示されている。
ボールペンの中でも、大径のボールを備えるものは、ボールとボール掴持部との隙間が広く形成されており、当該隙間からインキが容易に吐出するため、幅が広く、明瞭な筆跡が形成可能である。そのため、例えば、比較的大きな文字で宛名書きをする際に好適であり、また視認性が向上するため視力の低下した高齢者等にも好適に用いられる。
しかし、大径のボールを備えたボールペンは、インキの吐出量が多いため、筆跡乾燥性が良好であっても、インキが紙面の裏面に裏移りすることがある。
また、大径のボールを備えたボールペンは、速記時に、多量のインキを連続的に吐出することが必要な状態になると、ペン先へのインキ供給が追い付かずにボールとボール掴持部との隙間から空気がペン先内に入り込み、筆跡が途切れる、筆跡が薄くなる等の筆記不良が生じることがある。
しかし、大径のボールを備えたボールペンは、インキの吐出量が多いため、筆跡乾燥性が良好であっても、インキが紙面の裏面に裏移りすることがある。
また、大径のボールを備えたボールペンは、速記時に、多量のインキを連続的に吐出することが必要な状態になると、ペン先へのインキ供給が追い付かずにボールとボール掴持部との隙間から空気がペン先内に入り込み、筆跡が途切れる、筆跡が薄くなる等の筆記不良が生じることがある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、速記時においてもインキ吐出不良が起こりにくく筆跡が明瞭であり、紙面の裏面へのインキの裏移りが少なく、且つインキの乾燥性に優れた、大径のボールを備えたボールペン及びボールペンに収容されるボールペンレフィルを提供することである。
本発明の態様1は、
水と、着色剤と、界面活性剤と、曳糸性付与剤とを含有する水性インキ組成物であって、
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルから選択される1種以上の非イオン性界面活性剤を含み、
前記曳糸性付与剤が、ポリアクリルアミドを含む
水性インキ組成物を内蔵し、
EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における前記水性インキ組成物の粘度が、1〜20mPa・sであり、
20℃における前記水性インキ組成物の剪断減粘指数nが、0.80〜1.00であり、
外径が0.7mm以上2.0mm以下のボールをペン先に有し、
ISO規格141415−1に準拠した筆記試験機を用いて、JIS P3201筆記用紙Aに、筆記角度70°且つ筆記速度4m/minで100m筆記した際の前記水性インキ組成物の消費量が、150mg以上350mg以下であるボールペンである。
水と、着色剤と、界面活性剤と、曳糸性付与剤とを含有する水性インキ組成物であって、
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルから選択される1種以上の非イオン性界面活性剤を含み、
前記曳糸性付与剤が、ポリアクリルアミドを含む
水性インキ組成物を内蔵し、
EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における前記水性インキ組成物の粘度が、1〜20mPa・sであり、
20℃における前記水性インキ組成物の剪断減粘指数nが、0.80〜1.00であり、
外径が0.7mm以上2.0mm以下のボールをペン先に有し、
ISO規格141415−1に準拠した筆記試験機を用いて、JIS P3201筆記用紙Aに、筆記角度70°且つ筆記速度4m/minで100m筆記した際の前記水性インキ組成物の消費量が、150mg以上350mg以下であるボールペンである。
本発明の態様2は、前記非イオン性界面活性剤のHLB値が10以上16以下である態様1に記載のボールペンである。
本発明の態様3は、前記ポリアクリルアミドの重量平均分子量が5万以上450万以下である態様1又は2に記載のボールペンである。
本発明の態様4は、前記水性インキ組成物が、アルキル基及び/又はアルキルオキシ基で置換された分岐の1価アルコール、アルキル基で置換された分岐の2価アルコール、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキレングリコールジアルキルエーテル、及びγ−ラクタム類からなる群から選択される1つ以上の補助溶剤を含有する態様1〜3のいずれかに記載のボールペンである。
本発明の態様5は、ペン先とインキ収容管とを備え、前記インキ収容管に水性インキ組成物を内蔵し、前記水性インキ組成物の端面にインキ逆流防止体が充填されたボールペンレフィルであって、
前記水性インキ組成物が、水と、着色剤と、界面活性剤と、曳糸性付与剤とを含有し、
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルから選択される1種以上の非イオン性界面活性剤を含み、
前記曳糸性付与剤が、ポリアクリルアミドを含み、
EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における前記水性インキ組成物の粘度が、1〜20mPa・sであり、
20℃における前記水性インキ組成物の剪断減粘指数nが、0.80〜1.00であり、
外径が0.7mm以上2.0mm以下のボールをペン先に有し、
ISO規格141415−1に準拠した筆記試験機を用いて、JIS P3201筆記用紙Aに、筆記角度70°且つ筆記速度4m/minで100m筆記した際の前記水性インキ組成物の消費量が、150mg以上350mg以下である、ボールペンレフィルである。
前記水性インキ組成物が、水と、着色剤と、界面活性剤と、曳糸性付与剤とを含有し、
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルから選択される1種以上の非イオン性界面活性剤を含み、
前記曳糸性付与剤が、ポリアクリルアミドを含み、
EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における前記水性インキ組成物の粘度が、1〜20mPa・sであり、
20℃における前記水性インキ組成物の剪断減粘指数nが、0.80〜1.00であり、
外径が0.7mm以上2.0mm以下のボールをペン先に有し、
ISO規格141415−1に準拠した筆記試験機を用いて、JIS P3201筆記用紙Aに、筆記角度70°且つ筆記速度4m/minで100m筆記した際の前記水性インキ組成物の消費量が、150mg以上350mg以下である、ボールペンレフィルである。
本発明の態様6は、前記非イオン性界面活性剤のHLB値が10以上16以下である態様5に記載のボールペンレフィルである。
本発明の態様7は、前記ポリアクリルアミドの重量平均分子量が5万以上450万以下である態様5又は6に記載のボールペンレフィルである。
本発明の態様8は、前記水性インキ組成物が、アルキル基及び/又はアルキルオキシ基で置換された分岐の1価アルコール、アルキル基で置換された分岐の2価アルコール、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキレングリコールジアルキルエーテル、及びγ−ラクタム類からなる群から選択される1つ以上の補助溶剤を含有する態様5〜7のいずれかに記載のボールペンレフィルである。
本発明により、速記時においてもインキ吐出不良が起こりにくく筆跡が明瞭であり、紙面の裏面へのインキの裏移りが少なく、且つインキの乾燥性に優れた、大径のボールを備えたボールペン及びボールペンに収容されるボールペンレフィルが提供される。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、水性インキ組成物の粘度及び剪断減粘指数を所定の範囲に制御して吐出性を高めると共に、界面活性剤として所定の構造を有する非イオン性界面活性剤と、曳糸性付与剤としてポリアクリルアミドとを含有するように水性インキ組成物の組成を制御することにより、インキ吐出不良が起こりにくく筆跡が明瞭であり、紙面の裏面へのインキの裏移りが少なく、且つインキの乾燥性に優れたボールペンが得られることを見出した。
本明細書において、インキ吐出不良が起こりにくく筆跡が明瞭であることを筆記性能に優れると言うことがあり、また裏面へのインキの裏移りが少ないことを裏抜け性能に優れると言うことがある。
以下に、本発明の実施形態に係るボールペン及びボールペンレフィルの詳細を説明する。
以下に、本発明の実施形態に係るボールペン及びボールペンレフィルの詳細を説明する。
1.水性インキ組成物
本発明の実施形態に係るボールペン及びボールペンレフィルは、
水と、着色剤と、界面活性剤と、曳糸性付与剤とを含有し、
界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルから選択される1種以上の非イオン性界面活性剤を含み、
曳糸性付与剤が、ポリアクリルアミドを含む
水性インキ組成物を内蔵している。
また、水性インキ組成物は、
EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における前記水性インキ組成物の粘度が、1〜20mPa・sであり、
20℃における前記水性インキ組成物の剪断減粘指数nが、0.80〜1.00である。
以下、各構成について詳述する。
本発明の実施形態に係るボールペン及びボールペンレフィルは、
水と、着色剤と、界面活性剤と、曳糸性付与剤とを含有し、
界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルから選択される1種以上の非イオン性界面活性剤を含み、
曳糸性付与剤が、ポリアクリルアミドを含む
水性インキ組成物を内蔵している。
また、水性インキ組成物は、
EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における前記水性インキ組成物の粘度が、1〜20mPa・sであり、
20℃における前記水性インキ組成物の剪断減粘指数nが、0.80〜1.00である。
以下、各構成について詳述する。
(1)水
水は、特に限定されないが、不純物が少ない蒸留水又はイオン交換水であることが好ましい。水の含有量は、所望の特性が得られるように、成分組成を考慮して適切に制御してよいが、通常は20質量%以上97質量%以下である。
水は、特に限定されないが、不純物が少ない蒸留水又はイオン交換水であることが好ましい。水の含有量は、所望の特性が得られるように、成分組成を考慮して適切に制御してよいが、通常は20質量%以上97質量%以下である。
(2)着色剤
着色剤としては、例えば、染料及び顔料が挙げられる。
着色剤としては、例えば、染料及び顔料が挙げられる。
染料は、筆記時に紙面から即座に浸透して筆跡を形成するため、紙面に浸透し難い顔料に比べて速乾性が得られ易い。
染料としては、水性系媒体に溶解可能な酸性染料、塩基性染料及び直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)及びアシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)及びメチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)及びフタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
染料としては、水性系媒体に溶解可能な酸性染料、塩基性染料及び直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)及びアシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)及びメチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)及びフタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
顔料としては、例えば、カーボンブラック及び群青等の無機顔料、銅フタロシアニンブルー及びベンジジンイエロー等の有機顔料並びに蛍光顔料が挙げられる。
具体的には、例えば、C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:Sandye Super Blue GLL−E、顔料分24%、山陽色素株式会社製〕、C.I. Pigment Red 146〔品名:Sandye Super Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、C.I.Pigment Red 220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等が挙げられる。
また、例えば、酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、天然雲母、合成雲母、アルミナ、ガラス片から選ばれる芯物質の表面を二酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料、金色又は銀色のメタリック顔料、蓄光性顔料及びコレステリック液晶型光輝性顔料等が挙げられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
更に、熱変色性組成物及び/又は光変色性組成物と、必要に応じて香料、顔料及び/又は染料とを内包したマイクロカプセル顔料を使用することもできる。
具体的には、例えば、C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:Sandye Super Blue GLL−E、顔料分24%、山陽色素株式会社製〕、C.I. Pigment Red 146〔品名:Sandye Super Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、C.I.Pigment Red 220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等が挙げられる。
また、例えば、酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、天然雲母、合成雲母、アルミナ、ガラス片から選ばれる芯物質の表面を二酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料、金色又は銀色のメタリック顔料、蓄光性顔料及びコレステリック液晶型光輝性顔料等が挙げられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
更に、熱変色性組成物及び/又は光変色性組成物と、必要に応じて香料、顔料及び/又は染料とを内包したマイクロカプセル顔料を使用することもできる。
熱変色性組成物としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体とからなる可逆熱変色性組成物が好適であり、これをマイクロカプセルに内包させて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料として使用できる。
可逆熱変色性組成物としては、例えば、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報及び特公平1−29398号公報等に記載された、ヒステリシス幅ΔHが比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物が挙げられる。当該可逆熱変色性組成物は、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、そのような熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る。
更に、例えば、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報及び特開平8−39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示す可逆熱変色性組成物、あるいは特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報及び特開2008−280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す可逆熱変色性組成物が挙げられる。当該可逆熱変色性組成物は、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域で色彩記憶性を有する。このような色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物は、具体的には、完全発色温度を冷凍室又は寒冷地等でしか得られない温度、即ち−50〜0℃、好ましくは−40〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃に特定し、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱又はヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50〜95℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、且つΔH値を40〜100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能することができる。
以上のような可逆熱変色性組成物は、これをマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料として使用できる。
可逆熱変色性組成物としては、例えば、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報及び特公平1−29398号公報等に記載された、ヒステリシス幅ΔHが比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物が挙げられる。当該可逆熱変色性組成物は、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、そのような熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る。
更に、例えば、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報及び特開平8−39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示す可逆熱変色性組成物、あるいは特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報及び特開2008−280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す可逆熱変色性組成物が挙げられる。当該可逆熱変色性組成物は、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域で色彩記憶性を有する。このような色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物は、具体的には、完全発色温度を冷凍室又は寒冷地等でしか得られない温度、即ち−50〜0℃、好ましくは−40〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃に特定し、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱又はヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50〜95℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、且つΔH値を40〜100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能することができる。
以上のような可逆熱変色性組成物は、これをマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料として使用できる。
また、顔料を予め界面活性剤及び/又は樹脂を用いて水媒体中に分散させた顔料分散体を用いてよい。
顔料を分散する樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、アラビアゴム、セルロース、デキストラン及びカゼイン等、並びにそれらの誘導体、及び上記樹脂の共重合体等が挙げられる。
顔料を分散する樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、アラビアゴム、セルロース、デキストラン及びカゼイン等、並びにそれらの誘導体、及び上記樹脂の共重合体等が挙げられる。
着色剤は、1種又は2種以上の混合物であってよい。
染料は、筆記時に紙面から即座に浸透して筆跡を形成するため、紙面に浸透し難い顔料に比べて速乾性が得られ易い。そのため、着色剤は染料であることが好ましく、速乾性を損なわない範囲で、染料に加えて顔料を使用してよい。
染料は、筆記時に紙面から即座に浸透して筆跡を形成するため、紙面に浸透し難い顔料に比べて速乾性が得られ易い。そのため、着色剤は染料であることが好ましく、速乾性を損なわない範囲で、染料に加えて顔料を使用してよい。
着色剤の含有量は、所望の特性が得られるように、成分組成を考慮して適切に制御してよいが、通常は1質量%以上15質量%以下である。
(3)界面活性剤
界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルから選択される1種以上の非イオン性界面活性剤を含む。ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルから選択される1種以上の非イオン性界面活性剤を含むことにより、水性インキ組成物の表面張力を過度に下げずにインキ吐出性を向上させることができるため、良好な筆記性能を得ることができ、また紙面浸透性を良好とすることができるため、インキの吐出量が多いボールペンであっても乾燥性に優れる筆跡が形成可能であり、更に乾燥性に優れるにも関わらず筆跡の滲みを抑制することができる。
界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルから選択される1種以上の非イオン性界面活性剤を含む。ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルから選択される1種以上の非イオン性界面活性剤を含むことにより、水性インキ組成物の表面張力を過度に下げずにインキ吐出性を向上させることができるため、良好な筆記性能を得ることができ、また紙面浸透性を良好とすることができるため、インキの吐出量が多いボールペンであっても乾燥性に優れる筆跡が形成可能であり、更に乾燥性に優れるにも関わらず筆跡の滲みを抑制することができる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとして、例えば下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンとアルコールとのエーテル(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)である。
R1の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは6以上であり、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
R1として、例えば、メチル基、エチル基、並びに直鎖又は分岐のプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシニル基、ペンタデシル基及びヘキサデシル基が挙げられる。
R1は、第二級アルキル基であることが好ましい。すなわち、上記一般式(1)で表される化合物は、ポリオキシエチレンと第二級アルコールとのエーテルであることが好ましい。これにより、水性インキ組成物へのポリオキシエチレンアルキルエーテルの溶解安定性、及び水性インキ組成物の紙面浸透性がより良好となる。
また、lはオキシエチレンの平均付加モル数であり、好ましくは3以上であり、好ましくは50以下である。平均付加モル数は、1H−NMRにより測定することができる。
上記一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤として、例えば、サンノニックSS−90(三洋化成工業社製、第二級アルコールとポリオキシエチレンとのエーテル、オキシエチレンの平均付加モル数:9.5、HLB値:13.2)、ナロアクティーID−70(三洋化成工業社製、第一級アルコールとポリオキシエチレンとのエーテル、オキシエチレンの平均付加モル数:9.5、HLB値:13.2)、ナロアクティーCL−200(三洋化成工業社製、第二級アルコールとポリオキシエチレンとのエーテル、オキシエチレンの平均付加モル数の平均値:20、HLB値:16.0)、及びノイゲンSD−30(第一工業製薬社製、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、HLB:10.1)が挙げられる。
ポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルとして、例えば下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(2)で表される化合物は、ポリオキシエチレンとアセチレングリコールとのエーテルである。
R2、R3、R4及びR5としてそれぞれ、例えば、メチル基、エチル基、並びに直鎖又は分岐のプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシニル基、ペンタデシル基及びヘキサデシル基が挙げられる。
R2、R3、R4及びR5の炭素数はそれぞれ、好ましくは1以上、より好ましくは6以上であり、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
上記一般式(2)で表される化合物として、例えば、以下の一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
また、上記一般式(2)で表される化合物として、例えば、アセチレノールE100(川研ファインケミカル社製、アセチレングリコールとポリオキシエチレンとのエーテル、HLB値:13.9)が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルのHLB値、及びポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルのHLB値はそれぞれ、好ましくは10以上、より好ましくは11以上であり、好ましくは16以下、より好ましくは15以下である。
本明細書において、HLB値は、グリフィンの式(グリフィン法)で計算して求めた値である。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。これにより、水性インキ組成物の紙面浸透性を高め、筆跡の滲みを抑制し、筆跡の乾燥性をより良好にすることができる。
また、ポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルを含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。これにより、水性インキ組成物の紙面浸透性を高め、筆跡の滲みを抑制し、筆跡の乾燥性をより良好にすることができる。
また、ポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルを含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。これにより、水性インキ組成物の紙面浸透性を高め、筆跡の滲みを抑制し、筆跡の乾燥性をより良好にすることができる。
界面活性剤は、1種又は2種以上の混合物であってよい。
界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテル以外の非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を含んでよい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテル以外の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル類、アルキルスルホコハク酸エステル、アルキルリン酸エステル、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレン水添加硬化ヒマシ油、モノラウリン酸デカグリセリル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、及びポリエーテル変性アルキルシロキサン等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、n−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩類、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩等のスルホン酸塩類、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、及びアルキルアリルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル塩類等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸型、イミダゾリウムベタイン、レシチン及びアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、n−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩類、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩等のスルホン酸塩類、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、及びアルキルアリルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル塩類等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸型、イミダゾリウムベタイン、レシチン及びアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。
(4)曳糸性付与剤
曳糸性付与剤は、ポリアクリルアミドを含む。これにより、インキ吐出の際に、インキ収容部からペン先へのインキ供給が容易となるため、インキ吐出性が良好となると共に過度なインキ吐出を抑制することができ、また水性インキ組成物に過度の曳糸性を付与しないため、長期に渡って安定な溶解性を奏する。また、ポリアクリルアミドを含有することにより、過度なインキの吐出による筆跡の乾燥性の悪化を抑制し、乾燥性を向上させることができる。
曳糸性付与剤は、ポリアクリルアミドを含む。これにより、インキ吐出の際に、インキ収容部からペン先へのインキ供給が容易となるため、インキ吐出性が良好となると共に過度なインキ吐出を抑制することができ、また水性インキ組成物に過度の曳糸性を付与しないため、長期に渡って安定な溶解性を奏する。また、ポリアクリルアミドを含有することにより、過度なインキの吐出による筆跡の乾燥性の悪化を抑制し、乾燥性を向上させることができる。
ポリアクリルアミドの重量平均分子量は、好ましくは5万以上、より好ましくは50万以上であり、好ましくは450万以下、より好ましくは200万以下である。
ポリアクリルアミドの重量平均分子量は、展開溶媒にテトラヒドロフラン溶液を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレンを標準物質として換算した重量平均分子量である。
ポリアクリルアミドの含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。ポリアクリルアミドが0.001質量%以上1質量%以下であると、インキ吐出性が良化し易い。
曳糸性付与剤は、1種又は2種以上の混合物であってよい。
曳糸性付与剤は、ポリアクリルアミド以外の曳糸性付与剤を含んでよい。
他の曳糸性付与剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アルキル酸−メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロース及びその誘導体等の水溶性合成高分子、微生物由来のウェランガム、アルカシーラン、アルカシーガム、ゼータシーガム等の多糖類、アルギン酸及びその誘導体の海藻多糖類、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体等の種子多糖類、及びタラガントガム等の樹脂多糖類が挙げられる。
曳糸性付与剤の含有量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。
(5)酸化防止剤
水性インキ組成物は、酸化防止剤を含有してよい。酸化防止剤を含有することにより、速記時にボールとボール掴持部との隙間から空気が入り込んで水性インキ組成物と混ざり合った場合でも、空気が酸化防止剤によって消失するため、筆跡途切れ及び筆跡薄れ等の筆記不良が発生しにくくなる。
水性インキ組成物は、酸化防止剤を含有してよい。酸化防止剤を含有することにより、速記時にボールとボール掴持部との隙間から空気が入り込んで水性インキ組成物と混ざり合った場合でも、空気が酸化防止剤によって消失するため、筆跡途切れ及び筆跡薄れ等の筆記不良が発生しにくくなる。
酸化防止剤としては、例えば、硫化脂肪酸及びその塩、メルカプトチアジアゾール、アルキルヒドロキシルアミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、α−トコフェロール、カテキン、カテキン誘導体、合成ポリフェノール、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、二酸化チオ尿素、ホルムアミジンスルフィン酸、チオ硫酸塩並びにグルタチオン等が挙げられる。
酸化防止剤は、硫化脂肪酸、硫化脂肪酸塩又はメルカプトチアジアゾールを含むことが好ましく、メルカプトチアジアゾールを含むことがより好ましい。
メルカプトチアジアゾールとしては、例えば、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メチル−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、並びにこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、シクロヘキシルアミン塩及びシクロヘキシルアルカノールアミン塩が挙げられる。2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールは、筆記不良を抑制する効果が高い。
また、硫化脂肪酸又はその塩を含有することにより、インキ中の腐食成分がボール表面に直接作用することを妨げ、金属溶出を伴うボール表面の腐食現象を抑制し易い。
メルカプトチアジアゾールとしては、例えば、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メチル−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、並びにこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、シクロヘキシルアミン塩及びシクロヘキシルアルカノールアミン塩が挙げられる。2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールは、筆記不良を抑制する効果が高い。
また、硫化脂肪酸又はその塩を含有することにより、インキ中の腐食成分がボール表面に直接作用することを妨げ、金属溶出を伴うボール表面の腐食現象を抑制し易い。
硫化脂肪酸としては、例えば、炭素数8〜20の脂肪酸の硫化物が挙げられ、具体的には、例えば、硫化ペラルゴン酸、硫化ラウリン酸、硫化パルミチン酸、硫化オレイン酸、硫化ステアリン酸、硫化ノナデカン酸、硫化リノレン酸、硫化リノール酸等が挙げられる。更に、硫化ジステアリン酸等のカルボキシル基又はその塩を少なくとも1個有する炭素数8〜20の炭化水素基が、1以上(具体的には1〜8の整数)の硫黄原子鎖(炭化水素基を介在させたものを含む)の両末端に結合するジ脂肪酸が例示でき、これらから一種以上を選択して用いられる。
硫化脂肪酸塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属塩、アルカノールアミン及びアンモニア等のアミン塩、アルカリ土類金属塩、Zn塩、Al塩、Sn塩及びSb塩等が挙げられる。
硫化脂肪酸及び/又はその塩を含有する場合、合計の含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
硫化脂肪酸塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属塩、アルカノールアミン及びアンモニア等のアミン塩、アルカリ土類金属塩、Zn塩、Al塩、Sn塩及びSb塩等が挙げられる。
硫化脂肪酸及び/又はその塩を含有する場合、合計の含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
酸化防止剤は、1種又は2種以上の混合物であってよい。
酸化防止剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。酸化防止剤の含有量が0.01質量%以上5質量%以下であると、筆記不良がより発生しにくくなる。
酸化防止剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。酸化防止剤の含有量が0.01質量%以上5質量%以下であると、筆記不良がより発生しにくくなる。
(6)増粘剤
水性インキ組成物は、増粘剤を含有してよい。
増粘剤としては、例えば、カラギーナン、キサンタンガム、ウェランガム、ゼータシーガム、ダイユータンガム、構成単糖がグルコース及びガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、並びにグアーガム等が挙げられる。とりわけ、λ−カラギーナンは、水性インキ組成物に過度な揺変性を付与することなく粘度を調整することができるため好ましい。
水性インキ組成物は、増粘剤を含有してよい。
増粘剤としては、例えば、カラギーナン、キサンタンガム、ウェランガム、ゼータシーガム、ダイユータンガム、構成単糖がグルコース及びガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、並びにグアーガム等が挙げられる。とりわけ、λ−カラギーナンは、水性インキ組成物に過度な揺変性を付与することなく粘度を調整することができるため好ましい。
増粘剤は、1種又は2種以上の混合物であってよい。
増粘剤を含有する場合、増粘剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。増粘剤の含有量が0.05質量%以上5質量%以下であると、インキ吐出を容易とし易い。
増粘剤を含有する場合、増粘剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。増粘剤の含有量が0.05質量%以上5質量%以下であると、インキ吐出を容易とし易い。
(7)ワックスエマルジョン、樹脂エマルジョン
水性インキ組成物は、ワックスエマルジョン及び/又は樹脂エマルジョンを含有してよい。これにより、ボールペンを保管した際に、ボールとボール掴持部との隙間からインキが漏出することを抑制し易い。そのため、ノック式ボールペンに内蔵する水性インキ組成物に好ましく用いられる。
水性インキ組成物は、ワックスエマルジョン及び/又は樹脂エマルジョンを含有してよい。これにより、ボールペンを保管した際に、ボールとボール掴持部との隙間からインキが漏出することを抑制し易い。そのため、ノック式ボールペンに内蔵する水性インキ組成物に好ましく用いられる。
ワックスエマルジョンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化ポリエチレン及び酸化ポリプロプレン等のオレフィンワックスエマルジョン、脂肪酸アミド変性ポリエチレンワックスエマルジョン、エチレン酢酸ビニル共重合ワックスエマルジョン、並びにエチレンアクリル共重合体、スチレンアクリル共重合体及びアクリル共重合体等のアクリル系ワックスエマルジョンが挙げられる。とりわけ、酸化ポリエチレンワックスエマルジョンは、室温で造膜し易いため筆跡が乾燥し易く、また酸化ポリエチレンの膜は柔らかいため筆跡が擦れ難いため好ましい。
樹脂エマルジョンとしては、例えば、ポリオレフィン、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンのエマルジョンが挙げられる。とりわけ、アクリル樹脂エマルジョンは、室温で造膜し易いため筆跡が乾燥し易く、また酸化ポリエチレンの膜は柔らかいため筆跡が擦れ難いため好ましい。
ワックスエマルジョン及び樹脂エマルジョンの平均径は、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは2.0μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
ワックスエマルジョン及び樹脂エマルジョンの平均径は、例えば、マイクロトラックベル社製の動的散乱式粒子径測定装置「ナノトラック NANO−flex」を用いて、動的光散乱法により測定することができる。
ワックスエマルジョン及び/又は樹脂エマルジョンは、1種又は2種以上の混合物であってよい。
ワックスエマルジョン及び/又は樹脂エマルジョンを含有する場合、合計の含有量は、固形分換算で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。当該含有量が0.1質量%以上10質量%以下であると、インキ漏出を抑制し易い。
水性インキ組成物は、酸化ポリエチレンワックスエマルジョン及び/又はアクリル樹脂エマルジョンを含有する場合、K値が40未満であるN−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー又はポリマーを含有することが好ましい。これにより、ボールペンを保管した際に、ボールとボール掴持部との隙間からインキが漏出することをより抑制し易い。K値は分子量と相関する粘性特性値であり、毛細管粘度計により測定される相対粘度値(25℃)を下記のFikentscherの式に適用して計算される数値である。
K= (1.5 logηrel -1)/(0.15+0.003c)+(300clogηrel +(c+1.5clogηrel )2)1/2/(0.15c+0.003c2)
ここで、ηrelは、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー又はポリマー水溶液の水に対する相対粘度であり、cは、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー又はポリマー水溶液中のN−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー又はポリマー濃度(質量%)である。
K= (1.5 logηrel -1)/(0.15+0.003c)+(300clogηrel +(c+1.5clogηrel )2)1/2/(0.15c+0.003c2)
ここで、ηrelは、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー又はポリマー水溶液の水に対する相対粘度であり、cは、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー又はポリマー水溶液中のN−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー又はポリマー濃度(質量%)である。
(8)補助溶剤
水性インキ組成物の速乾性を向上させるため、水に相溶性のある水溶性有機溶剤を補助溶剤として用いることができる。補助溶剤を用いることにより、水性インキ組成物の紙面への浸透性がより向上して筆跡乾燥性がより良好となり、インキの裏移りをより抑制することができる。
水性インキ組成物の速乾性を向上させるため、水に相溶性のある水溶性有機溶剤を補助溶剤として用いることができる。補助溶剤を用いることにより、水性インキ組成物の紙面への浸透性がより向上して筆跡乾燥性がより良好となり、インキの裏移りをより抑制することができる。
補助溶剤として、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、フェニルグリコール等のアルキレングリコールモノフェニルエーテル、並びにエチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びブチレングリコール等の直鎖のアルキレングリコール等が挙げられる。
より好ましい補助溶剤として、例えば、
2−エチルヘキサノール、及び3−メトキシ−3−メチルブタノール等のアルキル基及び/又はアルキルオキシ基で置換された分岐の1価アルコール(更に好ましくは、炭素数1若しくは2のアルキル基及び/又は炭素数1〜4のアルキルオキシ基で置換された、炭素数の総和が3〜8の分岐の1価アルコール);
2−メチルペンタン−2,4−ジオール、2−メチルペンタン−1,3−ジオール等のアルキル基で置換された分岐の2価アルコール(更に好ましくは、炭素数1若しくは2のアルキル基で置換された、炭素数の総和が5〜12の分岐の2価アルコール);
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びテトラエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル(更に好ましくは、炭素数の総和が3以上15以下のアルキレングリコールモノアルキルエーテル);
ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、及びトリエチレングリコールブチルメチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル(更に好ましくは、炭素数の総和が3以上15以下のアルキレングリコールモノアルキルエーテル);及び
2−ピロリドン、及びN−メチル−2−ピロリドン等のγ−ラクタム類
等が挙げられる。
より好ましい補助溶剤として、例えば、
2−エチルヘキサノール、及び3−メトキシ−3−メチルブタノール等のアルキル基及び/又はアルキルオキシ基で置換された分岐の1価アルコール(更に好ましくは、炭素数1若しくは2のアルキル基及び/又は炭素数1〜4のアルキルオキシ基で置換された、炭素数の総和が3〜8の分岐の1価アルコール);
2−メチルペンタン−2,4−ジオール、2−メチルペンタン−1,3−ジオール等のアルキル基で置換された分岐の2価アルコール(更に好ましくは、炭素数1若しくは2のアルキル基で置換された、炭素数の総和が5〜12の分岐の2価アルコール);
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びテトラエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル(更に好ましくは、炭素数の総和が3以上15以下のアルキレングリコールモノアルキルエーテル);
ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、及びトリエチレングリコールブチルメチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル(更に好ましくは、炭素数の総和が3以上15以下のアルキレングリコールモノアルキルエーテル);及び
2−ピロリドン、及びN−メチル−2−ピロリドン等のγ−ラクタム類
等が挙げられる。
補助溶剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
補助溶剤を含有する場合、補助溶剤の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。補助溶剤の含有量が0.5質量%以上15質量%以下であると、水性インキ組成物の速乾性を向上させ易い。
補助溶剤を含有する場合、補助溶剤の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。補助溶剤の含有量が0.5質量%以上15質量%以下であると、水性インキ組成物の速乾性を向上させ易い。
(9)その他の成分
必要に応じて、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類及び水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル及び2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤あるいは防黴剤、尿素、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物及びピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、及びインキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤を使用してもよい。
更に、潤滑剤を添加することができ、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、N−アシルアミノ酸系界面活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、α−リポ酸、N−アシル−L−グルタミン酸とL−リジンとの縮合物及びその塩等を用いてよい。
また、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を添加することで、出没式形態での機能を高めることもできる。
必要に応じて、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類及び水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル及び2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤あるいは防黴剤、尿素、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物及びピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、及びインキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤を使用してもよい。
更に、潤滑剤を添加することができ、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、N−アシルアミノ酸系界面活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、α−リポ酸、N−アシル−L−グルタミン酸とL−リジンとの縮合物及びその塩等を用いてよい。
また、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を添加することで、出没式形態での機能を高めることもできる。
水性インキ組成物は、常法に従い、上述の成分を混合及び攪拌等することにより作製することができる。
(10)粘性特性
水性インキ組成物は、EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における粘度が、1〜20mPa・sである。これにより、水性インキ組成物の揺変性が弱まってインキ流動性が良好となるため、インキ吐出性が向上し、また紙面浸透性が良好になるため、筆跡乾燥性が向上する。当該粘度は、好ましくは2mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上であり、好ましくは18mPa・s以下、より好ましくは15mPa・s以下である。
水性インキ組成物は、EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における粘度が、1〜20mPa・sである。これにより、水性インキ組成物の揺変性が弱まってインキ流動性が良好となるため、インキ吐出性が向上し、また紙面浸透性が良好になるため、筆跡乾燥性が向上する。当該粘度は、好ましくは2mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上であり、好ましくは18mPa・s以下、より好ましくは15mPa・s以下である。
また、水性インキ組成物は、20℃で測定した下記(4)式で示される剪断減粘指数nが、0.80〜1.00である。
T=Kjn (4)
ここで、Tはずり応力[N/m2]、Kは粘性係数(定数)、Jはずり速度[s−1]である。
これにより、筆記時にペン先のインキがボールとボール掴持部との隙間に溜ることなく吐出されるため、ボテ及びウスの発生を低減して明瞭な筆跡を形成することができる。当該剪断減粘指数は、好ましくは0.85以上、より好ましくは0.90以上である。
T=Kjn (4)
ここで、Tはずり応力[N/m2]、Kは粘性係数(定数)、Jはずり速度[s−1]である。
これにより、筆記時にペン先のインキがボールとボール掴持部との隙間に溜ることなく吐出されるため、ボテ及びウスの発生を低減して明瞭な筆跡を形成することができる。当該剪断減粘指数は、好ましくは0.85以上、より好ましくは0.90以上である。
剪断減粘指数nの測定は、例えば、ティーエイインスツルメント社製のレオメーター「DHR−2」を用いて行うことができ、3.84s−1、38.4s−1及び384s−1のずり速度と、それらのずり速度でそれぞれ得られるずり応力(剪断応力)とを上記(4)式に適用してnを求める。
(11)pH
水性インキ組成物のpHは、6以上10以下であることが好ましい。これにより、添加剤等の析出及び分解をより抑制して水性インキ組成物の保存安定性をより高めることができ、またボールの腐食をより抑制することができる。pHは、好ましくは7以上であり、好ましくは9以下である。
水性インキ組成物のpHは、6以上10以下であることが好ましい。これにより、添加剤等の析出及び分解をより抑制して水性インキ組成物の保存安定性をより高めることができ、またボールの腐食をより抑制することができる。pHは、好ましくは7以上であり、好ましくは9以下である。
(12)表面張力
水性インキ組成物の表面張力は、20mN/m以上45mN/m以下であることが好ましい。これにより、筆跡滲みをより抑制することができるため、明瞭な筆跡を形成しやすく、またインキの紙面浸透性を高めることができため、乾燥性を向上させることができる。水性インキ組成物の表面張力は、好ましくは25mN/m以上であり、好ましくは40mN/m以下である。
水性インキ組成物の表面張力は、20mN/m以上45mN/m以下であることが好ましい。これにより、筆跡滲みをより抑制することができるため、明瞭な筆跡を形成しやすく、またインキの紙面浸透性を高めることができため、乾燥性を向上させることができる。水性インキ組成物の表面張力は、好ましくは25mN/m以上であり、好ましくは40mN/m以下である。
2.ボールペン及びボールペンレフィル
本発明の実施形態に係るボールペンは、水性インキ組成物を内蔵し、外径が0.7mm以上2.0mm以下のボールをペン先に有する。このように大径のボールを備えることにより、インキ吐出性を高めることができる。
また、本発明の実施形態に係るボールペンレフィルは、外径が0.7mm以上2.0mm以下のボールを有するペン先とインキ収容管とを備え、インキ収容管に水性インキ組成物を内蔵し、水性インキ組成物の端面にインキ逆流防止体が充填されている。
本発明の実施形態に係るボールペンは、水性インキ組成物を内蔵し、外径が0.7mm以上2.0mm以下のボールをペン先に有する。このように大径のボールを備えることにより、インキ吐出性を高めることができる。
また、本発明の実施形態に係るボールペンレフィルは、外径が0.7mm以上2.0mm以下のボールを有するペン先とインキ収容管とを備え、インキ収容管に水性インキ組成物を内蔵し、水性インキ組成物の端面にインキ逆流防止体が充填されている。
ボールペン及びボールペンレフィルは、ISO規格141415−1に準拠した筆記試験機を用いて、JIS P3201筆記用紙Aに、筆記角度70°且つ筆記速度4m/minで100m筆記した際の前記水性インキ組成物の消費量が、150mg以上350mgである。これにより、インキ吐出性に優れ、明瞭な筆跡が形成可能となる。また、筆記性能試験は、室温20℃、相対湿度65%の環境下で行うことができる。
ボールペン自体の構造及び形状は、外径が0.7mm以上2.0mm以下のボールをペン先に備えること以外は特に限定されるものではない。例えば、本発明の実施形態に係るボールペンレフィルを軸筒内に収容するボールペンが挙げられる。
ペン先と直接、あるいは接続部材を介して連結されるインキ収容管は、汎用の筒状成形部材、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂の成形部材が、インキの低蒸発性及び生産性の面で好適に用いられる。更に、インキ収容管として、透明、着色透明又は半透明の成形体を用いることにより、インキ色及びインキ残量等を確認することができる。
インキ収容管に収容したインキの後端にはインキ逆流防止体が充填される。インキ逆流防止体としては、例えば液栓及び固体栓が挙げられる。
液栓は、例えば不揮発性液体及び/又は難揮発性液体(基油)からなる。具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンオリゴマー又はコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル及び脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、1種であってよく、2種以上を併用してもよい。
不揮発性液体及び/又は難揮発性液体には、ゲル化剤を添加して好適な粘度まで増粘させてよい。ゲル化剤としては、例えば、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイト又はモンモリロナイト等の粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、及びセルロース系化合物が挙げられる。
インキ逆流防止体の基油としては、ポリブテン又はシリコーン油が好適に用いられ、増粘剤としては脂肪酸アマイド又はシリカが好適に用いられる。
インキ逆流防止体の基油としては、ポリブテン又はシリコーン油が好適に用いられ、増粘剤としては脂肪酸アマイド又はシリカが好適に用いられる。
固体栓としては、例えば樹脂製、例えばポリエチレン製、ポリプロピレン製及びポリメチルペンテン製の固体栓が挙げられる。
インキ逆流防止体として、液栓及び樹脂製の固体栓を併用してよい。
また、本願の実施形態に係るボールペンとして、例えば、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させて筆記先端部にインキを供給するボールペン、軸筒内部に直接インキを収容して櫛溝状のインキ流量調節部材及び繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させるボールペンが挙げられる。
特に、多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開けて並列に配置され、当該円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び当該溝より太幅の通気溝が設けられ、更に軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されているインキ流量調節部材を備えるものは、収容するインキの粘度等の物性がシビアになり、通常は速乾性が得られ難いことから、本発明の実施形態の水性インキ組成物が有効である。
特に、多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開けて並列に配置され、当該円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び当該溝より太幅の通気溝が設けられ、更に軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されているインキ流量調節部材を備えるものは、収容するインキの粘度等の物性がシビアになり、通常は速乾性が得られ難いことから、本発明の実施形態の水性インキ組成物が有効である。
ボールペンは、ノック式、回転式又はスライド式等の出没機構を備え、軸筒の先端孔からペン先を出没可能に構成した出没式であってよい。
ペン先の構造は特に限定されない。例えば、金属を切削加工して内部にボール受け座とインキ導出部を形成した構造であってよく、また金属製パイプの先端近傍の内面に複数(例えば、4つ)の内方突出部を外面からの押圧変形により設け、当該内方突出部の相互間に、中心部から径方向外方に放射状に延びるインキ流出間隙を形成した構造、すなわちパイプチップ構造であってもよい。とりわけ、パイプチップ構造は、ボール後端との接触面積が比較的小さいため、低筆記圧でのスムーズな筆記感を与えることができ、またインキ吐出性を高めることができるため、ボールペンのペン先がパイプチップ構造であることが好ましい。
ペン先に抱持されるボールは、超硬合金製、ステンレス鋼製、ルビー製又はセラミック製等であってよい。本発明は、とりわけ、例えば外径が0.8mm以上又は1.0mm以上等のより大きなボールをペン先に備える実施形態において特に有効である。すなわち、ボールの外径が大きくなるとインキの吐出量が多くなるため、インキの裏移り、インキの乾燥不良及び筆跡の途切れ等の筆記不良の問題がより顕著になる傾向があるが、本発明の実施形態に係るボールペンは、このように外径がより大きなボールをペン先に有する場合であっても、インキの裏移りを低減し、且つインキの乾燥性及び筆記性能を向上させることができる。そのため、本発明の実施形態に係るボールペンは、外径が大きなボールをペン先に有する太字ボールペンとして好適に用いることができる。また、インキの裏移り、インキの乾燥不良及び筆記不良をより低減しつつ、インキ吐出量を増加させてより軽く滑らかな筆記感を得る観点から、ペン先のボールの外径は、好ましくは0.8mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、好ましくは1.6mm以下である。
ペン先のボール抱持部の内径とボールとの径方向の可動距離は、好ましくは10μm以上であり、好ましくは50μm以下であり、ボールの軸方向の可動距離は、好ましくは10μm以上であり、好ましくは30μm以下である。
ペン先のボール抱持部の内径とボールとの径方向の可動距離は、好ましくは10μm以上であり、好ましくは50μm以下であり、ボールの軸方向の可動距離は、好ましくは10μm以上であり、好ましくは30μm以下である。
ペン先には、チップ内にボールの後端を前方に弾発する弾発部材を配して、非筆記時にはチップ先端の内縁にボールを押圧させて密接状態とし、筆記時には筆圧によりボールを後退させてインキを流出可能に構成することが好ましく、不使用時のインキ漏れを抑制できる。
弾発部材としては、例えば、金属細線のスプリング、金属細線のスプリングの一端にストレート部(ロッド部)を備えたもの、線状プラスチック加工体等が挙げられ、例えば、10g以上40g以下の弾発力により押圧可能であるように構成される。
実施例及び比較例の水性インキ組成物の組成を下記表1及び表2に示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、表1〜4中の組成の単位は質量%である。
表1〜4中の原料の内容について説明する。
(1)オリエント化学工業(株)製、商品名:ウォーターブラック191L(固形分:15%)
(2)住友化学工業社製、商品名:アシッドブルーPG
(3)冨士色素社製、商品名:フジSPブラック8065(固形分:25%)
(4)第一工業製薬社製、プライサーフAL、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル
(5)ロンザジャパン社製、商品名:プロキセルXL−2、ベンゾイソチアゾリン−3−オン
(6)λ−カラギーナン
(7)ロームアンドハース社製、商品名:プライマルDR−72
(8)トリエタノールアミン
(9)プロピレングリコールモノプロピルエーテル
(10)エチレングリコールモノブチルエーテル
(11)2−メチルペンタン−1,3−ジオール
(12)エチレングリコール
(13)三洋化成工業社製、商品名:サンノニックSS−90(第二級アルコールとポリオキシエチレンとのエーテル、オキシエチレンの平均付加モル数:9.5、HLB値:13.2)
(14)川研ファインケミカル社製、商品名:アセチレノールE100(アセチレングリコールとポリオキシエチレンとのエーテル、HLB値:13.9)
(15)三洋化成工業社製、商品名:ナロアクティーID−70(第一級アルコールとポリオキシエチレンとのエーテル、オキシエチレンの平均付加モル数:9.5、HLB値:13.2)
(16)三洋化成工業社製、商品名:ナロアクティーCL−200(第二級アルコールとポリオキシエチレンとのエーテル、オキシエチレンの平均付加モル数の平均値:20、HLB値:16.0)
(17)第一工業製薬社製、商品名:ノイゲンSD−30(ポリオキシエチレントリデシルエーテル、HLB:10.1)
(18)日光ケミカルズ社製、商品名:NIKKOL AM−101、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム水溶液
(19)第一工業製薬社製、商品名:ハイテノールNF−08、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩
(20)エアープロダクツ社製、商品名:ダイノール980、ポリエーテル変性シロキサン
(21)ポリアクリルアミドA(分子量:50万)
(22)三洋化成工業社製、商品名:サンフロックNOP、ポリアクリルアミドB(分子量:200万)
(23)ポリアクリルアミドC(分子量:500万)
(24)楠本化成社製、商品名:NeoCryl A−1091(アクリル樹脂エマルジョン、固形分:45%)
(25)BASFジャパン社製、商品名:Joncryl 537J(アクリル樹脂エマルジョン、固形分:46%)
(26)明成化学工業社製、商品名:メイカテックスPENO(酸化ポリエチレンワックスエマルジョン、固形分:25%)
(27)米国ASHLAND社製、商品名:PVP K−12 polymer(N−ビニル−2−ピロリドンのポリマー、K値:10〜14)
(28)第一工業製薬社製、商品名:ピッツコールK−17L(N−ビニル−2−ピロリドンのポリマー、K値:15〜19)
(1)オリエント化学工業(株)製、商品名:ウォーターブラック191L(固形分:15%)
(2)住友化学工業社製、商品名:アシッドブルーPG
(3)冨士色素社製、商品名:フジSPブラック8065(固形分:25%)
(4)第一工業製薬社製、プライサーフAL、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル
(5)ロンザジャパン社製、商品名:プロキセルXL−2、ベンゾイソチアゾリン−3−オン
(6)λ−カラギーナン
(7)ロームアンドハース社製、商品名:プライマルDR−72
(8)トリエタノールアミン
(9)プロピレングリコールモノプロピルエーテル
(10)エチレングリコールモノブチルエーテル
(11)2−メチルペンタン−1,3−ジオール
(12)エチレングリコール
(13)三洋化成工業社製、商品名:サンノニックSS−90(第二級アルコールとポリオキシエチレンとのエーテル、オキシエチレンの平均付加モル数:9.5、HLB値:13.2)
(14)川研ファインケミカル社製、商品名:アセチレノールE100(アセチレングリコールとポリオキシエチレンとのエーテル、HLB値:13.9)
(15)三洋化成工業社製、商品名:ナロアクティーID−70(第一級アルコールとポリオキシエチレンとのエーテル、オキシエチレンの平均付加モル数:9.5、HLB値:13.2)
(16)三洋化成工業社製、商品名:ナロアクティーCL−200(第二級アルコールとポリオキシエチレンとのエーテル、オキシエチレンの平均付加モル数の平均値:20、HLB値:16.0)
(17)第一工業製薬社製、商品名:ノイゲンSD−30(ポリオキシエチレントリデシルエーテル、HLB:10.1)
(18)日光ケミカルズ社製、商品名:NIKKOL AM−101、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム水溶液
(19)第一工業製薬社製、商品名:ハイテノールNF−08、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩
(20)エアープロダクツ社製、商品名:ダイノール980、ポリエーテル変性シロキサン
(21)ポリアクリルアミドA(分子量:50万)
(22)三洋化成工業社製、商品名:サンフロックNOP、ポリアクリルアミドB(分子量:200万)
(23)ポリアクリルアミドC(分子量:500万)
(24)楠本化成社製、商品名:NeoCryl A−1091(アクリル樹脂エマルジョン、固形分:45%)
(25)BASFジャパン社製、商品名:Joncryl 537J(アクリル樹脂エマルジョン、固形分:46%)
(26)明成化学工業社製、商品名:メイカテックスPENO(酸化ポリエチレンワックスエマルジョン、固形分:25%)
(27)米国ASHLAND社製、商品名:PVP K−12 polymer(N−ビニル−2−ピロリドンのポリマー、K値:10〜14)
(28)第一工業製薬社製、商品名:ピッツコールK−17L(N−ビニル−2−ピロリドンのポリマー、K値:15〜19)
ポリアクリルアミドA〜Cを準備し、それらの重量平均分子量を測定した。ポリアクリルアミドの重量平均分子量は、展開溶媒にテトラヒドロ溶液を用いてGPCにより測定し、ポリスチレンを標準物質として換算した重量平均分子量である。
ポリアクリルアミドの0.5質量%テトラヒドロフラン溶液を準備し、当該溶液について、東ソー社製のカラム「TSK gel GMH6」を用い、屈折率検出器を備えた東ソー社製のGPC装置「HLC−802A」で、測定温度40℃及び溶液注入量200μlの条件でGPC測定を行った。
ポリアクリルアミドの0.5質量%テトラヒドロフラン溶液を準備し、当該溶液について、東ソー社製のカラム「TSK gel GMH6」を用い、屈折率検出器を備えた東ソー社製のGPC装置「HLC−802A」で、測定温度40℃及び溶液注入量200μlの条件でGPC測定を行った。
N−ビニル−2−ピロリドンのポリマーのK値は、毛細管粘度計により測定した相対粘度値(25℃)を下記のFikentscherの式に適用して計算した。
K= (1.5 logηrel -1)/(0.15+0.003c)+(300clogηrel +(c+1.5clogηrel )2)1/2/(0.15c+0.003c2)
ここで、ηrelは、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー又はポリマー水溶液の水に対する相対粘度であり、cは、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー又はポリマー水溶液中のN−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー又はポリマー濃度(質量%)である。
K= (1.5 logηrel -1)/(0.15+0.003c)+(300clogηrel +(c+1.5clogηrel )2)1/2/(0.15c+0.003c2)
ここで、ηrelは、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー又はポリマー水溶液の水に対する相対粘度であり、cは、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー又はポリマー水溶液中のN−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー又はポリマー濃度(質量%)である。
1.水性インキ組成物の調製、粘性評価
実施例及び比較例の配合量で原料を混合し、20℃でディスパーにて1時間攪拌した後、濾過することで水性インキ組成物を得た。なお、増粘剤を含むものは、増粘剤を除く原料を混合し、上記条件で攪拌した後、増粘剤を加えて更に1時間攪拌することで水性インキ組成物を得た。
実施例及び比較例の配合量で原料を混合し、20℃でディスパーにて1時間攪拌した後、濾過することで水性インキ組成物を得た。なお、増粘剤を含むものは、増粘剤を除く原料を混合し、上記条件で攪拌した後、増粘剤を加えて更に1時間攪拌することで水性インキ組成物を得た。
水性インキ組成物について、東機産業社製のEL型粘度計「RE−85L」を用いて20rpmで20℃における粘度を測定した。
水性インキ組成物について、ティーエイインスツルメント社製のレオメーター「DHR−2」を用いて、下記(4)式で示される20℃における剪断減粘指数nを測定した。具体的には、3.84s−1、38.4s−1及び384s−1のずり速度と、それらのずり速度でそれぞれ得られるずり応力(剪断応力)とを下記(4)式に適用して剪断減粘指数nを求めた。
T=Kjn (4)
ここで、Tはずり応力[mN/m]、Kは粘性係数(定数)、Jはずり速度[s−1]である。
T=Kjn (4)
ここで、Tはずり応力[mN/m]、Kは粘性係数(定数)、Jはずり速度[s−1]である。
粘性評価の結果を下記表5〜8に示す。
2.ボールペンの作製
直径0.7mmの超硬合金製ボールを抱持するステンレススチール製チップ(パイプチップ構造)が透明ポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンレフィル内に、水性インキ組成物を充填し、その後端にインキ逆流防止体を配設した後、ボールペンレフィルを軸筒に組み込み、ノック式のボールペンAを作製した。インキ逆流防止体は、ポリブテン98.5部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド1.5部を添加した後、3本ロールにて混練して作製した。
また、直径1.0mmの超硬合金製ボールを抱持するステンレススチール製チップを備えたペン芯(櫛歯状インキ貯溜体)が軸筒前方(開口側)に嵌合されることで、後方(封鎖側)をインキ貯蔵部とするペン芯式筆記具外装に水性インキ組成物を充填し、キャップを嵌合することでボールペンBを作製した。
直径0.7mmの超硬合金製ボールを抱持するステンレススチール製チップ(パイプチップ構造)が透明ポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンレフィル内に、水性インキ組成物を充填し、その後端にインキ逆流防止体を配設した後、ボールペンレフィルを軸筒に組み込み、ノック式のボールペンAを作製した。インキ逆流防止体は、ポリブテン98.5部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド1.5部を添加した後、3本ロールにて混練して作製した。
また、直径1.0mmの超硬合金製ボールを抱持するステンレススチール製チップを備えたペン芯(櫛歯状インキ貯溜体)が軸筒前方(開口側)に嵌合されることで、後方(封鎖側)をインキ貯蔵部とするペン芯式筆記具外装に水性インキ組成物を充填し、キャップを嵌合することでボールペンBを作製した。
3.ボールペンの特性試験
得られたボールペンA及びBを用いて以下の試験を行った。
得られたボールペンA及びBを用いて以下の試験を行った。
・筆記性能
JIS P3201筆記用紙Aに、手書きで最大直径が10cm程度である5重の渦を連続で2つ筆記し、その際の筆跡の状態を目視により確認した。渦を筆記する際、渦1つ当たり2秒程度で筆記した。また、筆記性能試験は、室温20℃、相対湿度65%の環境下で行った。
評価基準は以下の通りであり、◎、○及び△を合格、×を不合格とした。
◎:筆跡に途切れ、ウス及びボテが確認されない
○:筆跡に僅かなボテ又はウスが確認される
△:筆跡に明らかなボテが1箇所確認される、又は筆跡に明らかなウスが確認される
×:筆跡に明らかなボテが複数箇所確認される、又は筆跡に途切れが確認される
JIS P3201筆記用紙Aに、手書きで最大直径が10cm程度である5重の渦を連続で2つ筆記し、その際の筆跡の状態を目視により確認した。渦を筆記する際、渦1つ当たり2秒程度で筆記した。また、筆記性能試験は、室温20℃、相対湿度65%の環境下で行った。
評価基準は以下の通りであり、◎、○及び△を合格、×を不合格とした。
◎:筆跡に途切れ、ウス及びボテが確認されない
○:筆跡に僅かなボテ又はウスが確認される
△:筆跡に明らかなボテが1箇所確認される、又は筆跡に明らかなウスが確認される
×:筆跡に明らかなボテが複数箇所確認される、又は筆跡に途切れが確認される
・裏抜け性能
JIS P3201筆記用紙Aに、手書きで「永」の文字を筆記し、筆記面の裏面を目視により確認した。また、裏抜け性能試験は、室温20℃、相対湿度65%の環境下で行った。
評価基準は以下の通りであり、◎、○及び△を合格、×を不合格とした。
◎:裏抜けが確認されない
○:「とめ」部分のみ僅かに裏抜けが確認される
△:「とめ」部分のみ明らかに裏抜けが確認される
×:全体的に裏抜けが確認される
JIS P3201筆記用紙Aに、手書きで「永」の文字を筆記し、筆記面の裏面を目視により確認した。また、裏抜け性能試験は、室温20℃、相対湿度65%の環境下で行った。
評価基準は以下の通りであり、◎、○及び△を合格、×を不合格とした。
◎:裏抜けが確認されない
○:「とめ」部分のみ僅かに裏抜けが確認される
△:「とめ」部分のみ明らかに裏抜けが確認される
×:全体的に裏抜けが確認される
・乾燥性能−1
JIS P3201筆記用紙Aに、手書きで「永」の文字を筆記し、5秒後に指で筆跡をなぞった後、筆跡を目視により確認した。また、乾燥性能試験は、室温20℃、相対湿度65%の環境下で行った。
評価基準は以下の通りであり、◎、○及び△を合格、×を不合格とした。
◎:筆跡の伸び及び汚れが確認されない
○:「とめ」部分のみ僅かに伸び又は汚れが確認される
△:「とめ」部分のみ明らかに伸び又は汚れが確認される
×:文字に全体的に伸びが確認される、又は文字全体に汚れが確認される
JIS P3201筆記用紙Aに、手書きで「永」の文字を筆記し、5秒後に指で筆跡をなぞった後、筆跡を目視により確認した。また、乾燥性能試験は、室温20℃、相対湿度65%の環境下で行った。
評価基準は以下の通りであり、◎、○及び△を合格、×を不合格とした。
◎:筆跡の伸び及び汚れが確認されない
○:「とめ」部分のみ僅かに伸び又は汚れが確認される
△:「とめ」部分のみ明らかに伸び又は汚れが確認される
×:文字に全体的に伸びが確認される、又は文字全体に汚れが確認される
・乾燥性能−2
JIS P3201筆記用紙Aに、手書きで「永」の文字を筆記し、3秒後に指で筆跡をなぞった後、筆跡を目視により確認した。また、乾燥性能試験は、室温20℃、相対湿度65%の環境下で行った。
評価基準は以下の通りであり、○及び△を合格、×を不合格とした。
○:筆跡の伸び及び汚れが確認されない
△:「とめ」部分のみ僅かに伸び又は汚れが確認される
×:文字に全体的に伸びが確認される、又は文字全体に汚れが確認される
JIS P3201筆記用紙Aに、手書きで「永」の文字を筆記し、3秒後に指で筆跡をなぞった後、筆跡を目視により確認した。また、乾燥性能試験は、室温20℃、相対湿度65%の環境下で行った。
評価基準は以下の通りであり、○及び△を合格、×を不合格とした。
○:筆跡の伸び及び汚れが確認されない
△:「とめ」部分のみ僅かに伸び又は汚れが確認される
×:文字に全体的に伸びが確認される、又は文字全体に汚れが確認される
・インキ吐出性能(インキ消費量)
ISO規格141415−1に準拠した筆記試験機を用いて、JIS P3201筆記用紙Aに、筆記角度70°且つ筆記速度4m/minで、螺旋状の丸を連続で100m筆記した。なお、当該試験機は、筆記荷重100gの条件で使用した。また、インキ吐出性能試験は、室温20℃、相対湿度65%の環境下で行った。
ISO規格141415−1に準拠した筆記試験機を用いて、JIS P3201筆記用紙Aに、筆記角度70°且つ筆記速度4m/minで、螺旋状の丸を連続で100m筆記した。なお、当該試験機は、筆記荷重100gの条件で使用した。また、インキ吐出性能試験は、室温20℃、相対湿度65%の環境下で行った。
・インキ漏れ試験
ボールペンのチップ先端を鉛直下方向に向けた状態で、室温20℃、相対湿度90%の環境下で、ボールペンを20時間静置した。その後、チップ先端を目視で観察した。
評価基準は以下の通りであり、〇及び△を合格、×を不合格とした。
〇:チップ先端にインキ漏れがない
△:チップ先端に僅かなインキ漏れあり
×:チップ先端にインキ滴の発生あり
ボールペンのチップ先端を鉛直下方向に向けた状態で、室温20℃、相対湿度90%の環境下で、ボールペンを20時間静置した。その後、チップ先端を目視で観察した。
評価基準は以下の通りであり、〇及び△を合格、×を不合格とした。
〇:チップ先端にインキ漏れがない
△:チップ先端に僅かなインキ漏れあり
×:チップ先端にインキ滴の発生あり
試験結果を下記表5〜8に示す。
Claims (8)
- 水と、着色剤と、界面活性剤と、曳糸性付与剤とを含有する水性インキ組成物であって、
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルから選択される1種以上の非イオン性界面活性剤を含み、
前記曳糸性付与剤が、ポリアクリルアミドを含む
水性インキ組成物を内蔵し、
EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における前記水性インキ組成物の粘度が、1〜20mPa・sであり、
20℃における前記水性インキ組成物の剪断減粘指数nが、0.80〜1.00であり、
外径が0.7mm以上2.0mm以下のボールをペン先に有し、
ISO規格141415−1に準拠した筆記試験機を用いて、JIS P3201筆記用紙Aに、筆記角度70°且つ筆記速度4m/minで100m筆記した際の前記水性インキ組成物の消費量が、150mg以上350mg以下であるボールペン。 - 前記非イオン性界面活性剤のHLB値が10以上16以下である請求項1に記載のボールペン。
- 前記ポリアクリルアミドの重量平均分子量が5万以上450万以下である請求項1又は2に記載のボールペン。
- 前記水性インキ組成物が、アルキル基及び/又はアルキルオキシ基で置換された分岐の1価アルコール、アルキル基で置換された分岐の2価アルコール、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキレングリコールジアルキルエーテル、及びγ−ラクタム類からなる群から選択される1つ以上の補助溶剤を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のボールペン。
- ペン先とインキ収容管とを備え、前記インキ収容管に水性インキ組成物を内蔵し、前記水性インキ組成物の端面にインキ逆流防止体が充填されたボールペンレフィルであって、
前記水性インキ組成物が、水と、着色剤と、界面活性剤と、曳糸性付与剤とを含有し、
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルから選択される1種以上の非イオン性界面活性剤を含み、
前記曳糸性付与剤が、ポリアクリルアミドを含み、
EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における前記水性インキ組成物の粘度が、1〜20mPa・sであり、
20℃における前記水性インキ組成物の剪断減粘指数nが、0.80〜1.00であり、
外径が0.7mm以上2.0mm以下のボールをペン先に有し、
ISO規格141415−1に準拠した筆記試験機を用いて、JIS P3201筆記用紙Aに、筆記角度70°且つ筆記速度4m/minで100m筆記した際の前記水性インキ組成物の消費量が、150mg以上350mg以下である、ボールペンレフィル。 - 前記非イオン性界面活性剤のHLB値が10以上16以下である請求項5に記載のボールペンレフィル。
- 前記ポリアクリルアミドの重量平均分子量が5万以上450万以下である請求項5又は6に記載のボールペンレフィル。
- 前記水性インキ組成物が、アルキル基及び/又はアルキルオキシ基で置換された分岐の1価アルコール、アルキル基で置換された分岐の2価アルコール、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキレングリコールジアルキルエーテル、及びγ−ラクタム類からなる群から選択される1つ以上の補助溶剤を含有する請求項5〜7のいずれか1項に記載のボールペンレフィル。
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---|---|---|---|
JP2018248115 | 2018-12-28 | ||
JP2018248115 | 2018-12-28 |
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---|---|---|---|
JP2019237064A Pending JP2020109168A (ja) | 2018-12-28 | 2019-12-26 | ボールペン及びボールペンレフィル |
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JP (1) | JP2020109168A (ja) |
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2019
- 2019-12-26 JP JP2019237064A patent/JP2020109168A/ja active Pending
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