JP2020107781A - 軟磁性金属粉末及び磁性シート - Google Patents

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昌弘 吉田
哲 栗田
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Abstract

【課題】UHF帯などの高周波数帯域であっても透磁率が高く、しかも磁気損失の小さい軟磁性金属粉末及び磁性シートを提供する。【解決手段】鉄を主成分とする軟磁性金属粉末であって、平均粒子径D50が1μm以上20μm以下であり、アスペクト比(長手方向平均粒子径/扁平形状粒子の厚み)が10以上の扁平形状の粒子が55個数%以上含有されることを特徴とする。ここで、金属鉄の含有量が90質量%以上であるのが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は軟磁性金属粉末に関し、より詳細には、RFID(Radio Frequency IDentification)用の磁性シートの材料として好適に用いられる軟磁性金属粉末に関するものである。
RFIDタグは、情報を記録するICチップと金属製のアンテナとを備え、リーダーライターとの間で無線通信を可能としている。ところが、RFIDタグの近傍に金属部材があると、リーダーライターからの磁界によって金属部材に渦電流が発生し、渦電流による反磁界が無線通信に必要な磁界を弱めてしまうという問題があった。そこで、RFIDタグと金属部材との間に磁性シートを挿入して金属部材の影響を抑制あるいは排除してRFIDタグの受信強度を高めることが行われている。
このような磁性シートして、例えば特許文献1では特定形状の扁平状磁性粉末を樹脂バインダーで成形した磁性複合材料が提案されている。また特許文献2では、Fe−Si−Cr系合金からなる軟磁性扁平粉末とそれを用いた磁性シートが提案されている。そしてまた特許文献3では、扁平粒子とマトリックス相とを備えた磁性材料が提案されている。
特開平2−153003号公報 特開2018−35385号公報 特開2016−63068号公報
しかしながら近年、送受信距離を伸ばすことなどを目的として使用通信周波数が従来(13.56MHz)よりも高い周波数帯域(例えばUHF帯(300MHz〜3GHz))に移行しつつあるところ、前記提案の磁性粉末を用いた磁性シートではこのような高周波帯域では十分な透磁率及び磁気損失の低減が得られないおそれがある。
また、磁性シートにおける高い透磁率の維持と磁気損失の低減を図るには磁性シートに含有させる磁性粉末の粒径を小さくすることが考えられるが、磁性粉末の粒径を単に小さくするだけでは十分に透磁率が向上しない。
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、UHF帯などの高周波数帯域であっても透磁率が高く、しかも磁気損失の小さい軟磁性金属粉末及び磁性シートを提供することにある。
前記目的を達成する本発明に係る軟磁性金属粉末は、鉄を主成分とする軟磁性金属粉末であって、平均粒子径D50が1μm以上20μm以下であり、アスペクト比(扁平形状粒子の長手方向平均粒子径/扁平形状粒子の厚み)が10以上の扁平形状の粒子が55個数%以上含有されることを特徴とする。
前記構成の軟磁性金属粉末において、金属鉄の含有量が90質量%以上であるのが好ましい。
また前記構成の軟磁性金属粉末において、平均粒子径D50(μm)と酸素の重量割合(wt%)との積が50以下であるのが好ましい。
また本発明によれば、前記のいずれかに記載の軟磁性金属粉末が樹脂バインダーに分散されてなることを特徴とする磁性シートが提供される。
前記構成の磁性シートにおいて、前記軟磁性金属粉末の含有量が50質量%以上95質量%以下の範囲であるのが好ましい。
本発明に係る軟磁性金属粉末及び磁性シートによれば、UHF帯などの高周波数帯域であっても透磁率が高く、磁気損失も小さくすることが可能となる。
実施例1〜4及び比較例1の軟磁性金属粉末の周波数に対する透磁率の実部(μ’)の変化を示すグラフを示す。
以下、本発明に係る軟磁性金属粉末及び磁性シートについて詳述するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいてその内容を変更することができる。
(軟磁性金属粉末)
本発明に係る軟磁性金属粉末はFe(鉄)を主成分とするものである。Feの含有量は軟磁性金属粉末に対して50質量%以上であればよいが、好ましくは85質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上である。加えて、Fe成分としては金属鉄が望ましく、金属鉄の含有量は軟磁性金属粉末に対して85質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上である。
本発明に係る軟磁性金属粉末は平均粒子径D50が1μm以上20μm以下であることが一つの特徴である。軟磁性金属粉末の平均粒子径D50が1μm未満であると、比表面積の増大によって耐酸化性が低下し、酸化により透磁率が低下するおそれがある一方、平均粒子径D50が20μmを超えると、渦電流損失の増大によりUHF帯などの高周波数帯域での透磁率が低下し、磁気損失が増大するおそれがある。より好ましい軟磁性金属粉末の平均粒子径D50は7μm以上15μm以下の範囲である。なお、軟磁性金属粉末の平均粒子径D50は後述の測定方法により測定される値である。
また本発明に係る軟磁性金属粉末は、アスペクト比が10以上の扁平形状の粒子が55個数%以上含有されていることも特徴の一つである。アスペクト比が10以上の扁平形状の粒子が55個数%以上含有されていることによって反磁界が減少し透磁率が高く維持され、磁気損失も小さく抑えられる。換言すると、アスペクト比が10未満の粒子が多いと反磁界が大きくなり透磁率が低下し磁気損失が大きくなる。アスペクト比が10以上の扁平形状の粒子の好ましい含有割合は65個数%以上であり、より好ましくは100個数%である。アスペクト比が10以上の扁平形状の粒子は、後述のように還元鉄粉など鉄粉を扁平化処理によって得ることができる。なお、アスペクト比は後述の測定方法により測定される。
ところで、軟磁性金属粉末の酸素量が少ない程、透磁率の低下が抑えられる。粒子の酸化は粒子表面で起こるため、粒子中の酸素の大部分は粒子表面に存在していると考えられる。そこで本発明者等は、粒子の表面積当たりの酸素量を規定するべく検討した結果、粒子の平均粒子径D50(μm)と酸素の質量割合Ro(wt%)の積が、粒子の表面積当たりの酸素量の指標として用いることができることを見出し、本発明では当該積が50以下が好ましいとした。より好ましくは20以下である。なお、粒子の平均粒子径D50(μm)と酸素の質量割合Ro(wt%)との積が粒子の表面積当たりの酸素量の指標となることは次の導出式から分かる。
粒子中に含まれる酸素の重量をWo(g)、粒子の表面積をS(m)とすると、粒子の表面積当たりの酸素量Wo/Sは下記式(1)で表される。
Wo/S={V(m)×ρ(g/m)×Ro(wt%)}/S(m)・・・(1)
(式中、V(m):粒子の体積、ρ(g/m):粒子の密度、Ro(wt%):粒子中の酸素の質量割合)
ここで、
V=4/3π(D50/2)
S=4π(D50/2)
であるからこれらを式(1)に代入すると、
Wo/S=(D50×Ro×ρ)/6
となる。
粒子中の酸素の質量割合Roによる粒子の密度ρの変化は微小と考えられるのでρを定数とすると、Wo/Sは粒子の平均粒子径D50と酸素の質量割合Ro(wt%)との積に比例する。
(軟磁性金属粉末の製造方法)
(原料鉄粉)
本発明に係る軟磁性金属粉末の製造方法について説明する。本発明に係る軟磁性金属粉末に用いる原料鉄粉の組成は、鉄を主成分としていれば特に限定されるものではないが、全鉄が85質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。さらには金属鉄が85質量%以上であることが好ましく、より好ましくは90質量%以上である。また、環境負荷の低減の為、2次汚染源となるクロム、鉛などの成分を含有しないものであることが望ましい。このような原料鉄粉としては、予め製造された鉄粉、例えば鉱石から還元により製造された還元鉄粉やアトマイズなどにより製造されたアトマイズ鉄粉などを用いることができる。そして当該原料鉄粉の粒径が予め所望のサイズであれば、製造工程において粒径調整を要することがなく好ましい。具体的には、これらの原料鉄粉の平均粒子径は10μm以下であることが好ましい。原料鉄粉の平均粒子径が10μmを超えると扁平化処理によって平均粒子径D50を20μm以下にすることが難しくなる。原料鉄粉の好ましい一例として、DOWA IPクリエイション社製 還元鉄粉「DSP−600」が挙げられる。
(扁平化処理)
原料鉄粉を扁平化処理する手段に特に限定はないが、例えば、原料鉄粉と、必要によりオレイン酸などの滑剤とを混合した後、衝撃および/または圧力を加えることによって、原料鉄粉を扁平形状に変形させる。滑剤などの添加剤と原料鉄粉との混合は扁平化処理前に予め行っておくのが好ましい。混合装置としては例えば従来公知の混合機やミキサーを用いることができる。添加材と原料鉄粉との混合は、扁平化処理時に添加材と原料鉄粉を同時に投入し、扁平化処理中に混合してもよい。原料鉄粉に衝撃および/または圧力を加えるには、粉砕機を用いて塑性変形加工を施すことで行う。当該粉砕機としては、容器の中に入った衝撃媒体(すなわちメディア)をかき回しながら粉砕を行う「媒体撹拌型ミル」、具体的にはボールミルやアトライターが好ましい。ボールミルやアトライターは微粉砕に適し、衝撃力や圧力を制御し易いため、所望の粒度分布の扁平形状の粒子を得やすいからである。なお、ボールミルを用いる場合は、回転駆動型、振動駆動型ボールミルが好適に用いられる。
ボールミル、アトライター等を用いて塑性変形加工を行う場合、前記メディアと共に原料鉄粉を所定容器に装填する。そして、当該容器を例えば回転させることで、原料鉄粉が変形、粉砕処理される。例えば、回転型ボールミルを用いて処理を行う場合であれば、処理用ポット(磁製、ステンレス製などが用いられる)中に、メディア、原料鉄粉を投入し回転処理を行う。なお、上記の扁平化処理は乾式であるが、原料鉄粉の分散状態を向上させ、原料鉄粉とメディアを均一に効率よく接触させる観点から、扁平化処理を湿式で行ってもよい。扁平化処理を湿式で行う場合、溶媒としては例えば水、有機溶媒またはこれらを混合した液体を使用することができる。また、扁平化処理中の鉄粉の酸化を抑制するため、ポット内の雰囲気を制御してもよい。ポット内の雰囲気は空気のような酸化性雰囲気や、ヘリウムやアルゴンのような不活性ガス雰囲気、窒素のような非酸化性雰囲気および、水素などの還元性雰囲気とすることができる。
扁平化処理において、(原料鉄粉/メディア)の充填比率を高くすることで、バッチあたりの処理量は増える。一方、(原料鉄粉/メディア)の充填比率を低くすることで、単位時間あたりの処理効率は増加する。そこで、求められる軟磁性金属粉末の特性と処理量とに応じて、(原料鉄粉/メディア)の充填比率を調整することが好ましい。
例えば、回転ボールミルを用いて回転駆動型の扁平化処理を行う場合には、回転数を適正に保つことで、原料鉄粉とメディアとがポット内でひとつの固まりとなって運動することがなく、原料鉄粉粒子がメディア間で十分な衝撃および/または圧力を与えられることとなる。当該状態を実現する為には、上記回転数を制御して、原料鉄粉およびメディアが分散した状態を保ち、ポット内壁に沿って原料鉄粉とメディアとの上昇および落下が繰り返される程度の回転速度とすることが好ましい。尚、回転ボールミルの適切な回転速度は、ポット容量、および、原料鉄粉とメディアとの充填条件によるので、上記の状態を実現出来る回転数を求めておくと良い。
例えば、アトライターを用いて扁平化処理を行う場合には、原料鉄粉およびメディアの充填量、および、撹拌羽根の回転数を上げたほうが処理効率は上がる。そこで、原料鉄粉およびメディアが、容器から溢れない水準での充填量および回転数とすることが適切である。なお、原料鉄粉は比重が大きいので、容器底部に滞留することなく循環するように回転数を調整したり、ポンプ等により原料鉄粉を含んだスラリーを下部から抜き出し上部へ戻すような循環を行うことで、処理効率を上げることが好ましい構成である。
扁平化処理の処理時間は、扁平化した鉄粉粒子の割合やその扁平度などを考慮して適宜決定すればよい。具体的には、扁平化の処理時間を長くすると鉄粉粒子の扁平化は進むものの、同時に鉄粉粒子の表面粉砕も生じて微粉(所望のアスペクト比を有さない)が増加するので、微粉が多くなりすぎない範囲で鉄粉粒子の扁平化を図るよう扁平化処理時間を決定する。
(徐酸化処理)
扁平化処理後、処理した粉末を大気中で扱うと粉の表面の酸化の状態を制御できず磁気特性の低下が生じるおそれがある。そこで、次の徐酸化処理により粉末表面に酸化物層が徐々に形成される、または酸化の状態を制御するようにするのが好ましい。例えば、バッチ式の容器で扁平化処理を行う場合には、容器内の空間に空気が残っていれば、この空気中の酸素によって原料鉄粉が酸化されるので、扁平化処理の途中において複数回容器を開蓋して容器内に空気を供給し原料鉄粉を徐々に酸化する。このとき容器内から粉末を取り出し、必要により篩い分けを行って粒度調整、特に粉砕による粒子の欠片などの微粉を除去するようにしてもよい。あるいは、扁平化処理後に容器内に酸化性ガスと不活性ガスとの混合ガスを供給し、酸化性ガスの割合を徐々に増やしながら所定時間処理することにより、粒子表面に酸化物層を作製するようにしてもよい。なお、篩い分けにおける篩目、回数、速度等を制御することでも可能である。
(熱処理)
このように扁平化処理された処理鉄粉をさらに熱処理して本発明の軟磁性金属粉末としてもよい。扁平化された鉄粉はこの熱処理によって粒子表面の酸素が除去されると共に結晶子サイズDxが大きくなる。鉄粉の結晶子サイズDxが大きくなると透磁率が大きくなる。この熱処理は水素や一酸化炭素、アンモニア分解ガスのような還元性雰囲気中、およびアルゴンのような不活性ガスと還元性ガスの混合雰囲気中で行うのが好ましい。
熱処理の温度としては450℃以上700℃以下の範囲が好ましい。熱処理温度が450℃未満であると粒子表面の酸素除去及び結晶子サイズDxの増大が不十分となることがあり、700℃を超えると焼結して粗大な塊が生じることがある。より好ましい熱処理温度は500℃以上650℃以下の範囲である。また熱処理は、通常、30分以上180分以下の範囲が好ましい。
(絶縁コート)
扁平化処理(及び熱処理)された鉄粉は、その表面を絶縁性物質でコートされるのが好ましい。これにより粒子の絶縁抵抗が一層高められ磁気損失や誘電損失が抑制される。コート材としてはAl、SiO,MgO、TiO、Yなどの無機物や樹脂などが挙げられる。コート方法に特に限定はないが、例えば液中に鉄粉を分散させた状態で金属の水酸化物などで被覆する方法、前記方法で水酸化物などを被覆した後熱処理を行い、酸化物として被覆させる方法、液中に鉄粉を分散させた状態でTEOSなどのアルコキシドを添加し、鉄粉粒子の周囲に直接酸化物を形成する方法、気流中で絶縁物質を被覆する方法、鉄粉と樹脂を混ぜて樹脂を被覆する方法、鉄粉と樹脂を混ぜる際に無機物や有機物を混合し、実質的に鉄粉粒子の周囲に無機物や有機物が被覆された状態にする方法などがある。また、被覆した状態で熱処理を施すと一層絶縁抵抗を高める効果があるため好ましい。
このようにして得られた軟磁性金属粉末について、以下に示す方法により粉末特性および組成を調べることができる。実施例においても同様に測定してある。
(粒度分布の測定)
軟磁性金属粉末の平均粒子径D50は軟磁性金属粉末を溶媒としての水に入れて超音波出力40Wで3分間超音波処理を行った直後に、得られた粒子の粒度分布を、マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製 MT3300EX)により(粒子屈折率を2.40、溶媒屈折率を1.333、計算モードをMT3000IIとして)測定する。そして体積基準の累積50%粒径D50(体積平均粒子径)を得る。累積10%粒径D10及び累積90%粒径D90も同様の手順で算出して求めたものである。
(アスペクト比)
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製 JSM−7200F)を用いて倍率1000倍にて粒子の写真画像を撮影する。画像上の粒子の長軸(扁平面の最大長さ)と短軸(最大厚さ)の長さを測定し、長軸/短軸の計算値をアスペクト比とした。
(酸素)
試料中の酸素含有量は、酸素・窒素分析装置(LECO製 TCH600)を用いて算出した。
(炭素)
試料中の炭素含有量は、炭素・硫黄分析装置(LECO製 CS−200)を用いて算出した。
(BET比表面積)
BET比表面積は、マウンテック株式会社製の「Macsorb HM model−1208」を用いて、BET1点法により求めた。
(磁気特性)
得られた軟磁性金属粉末の磁気特性(バルク特性)として、東英工業株式会社製のVSM装置(VSM−7P)を使用して、外部磁場10kOe(795.8kA/m)で、保磁力Hc(kA/m)、飽和磁束密度Ms(T)を測定した。
(結晶子サイズ)
X線回折装置(理学電気株式会社製のUltima IV)で得られる、Fe(110)面の回折ピークの半価幅からシェラーの式を用いて算出する。
(熱重量増加率(TG))
示差熱熱重量同時測定装置(SIIナノテクノロジー株式会社のEXATERTG/DTA6300型)により、軟磁性金属粉末を大気中に置いて室温(25℃)から昇温速度5℃/分で300℃及び400℃まで昇温させて計測された重量と加熱前の軟磁性金属粉末の重量の差(加熱により増加した重量)の、加熱前の軟磁性金属粉末の重量に対する増加率(%)から、加熱により増加した重量はすべて軟磁性金属粉末の酸化により増加した重量であるとみなして、軟磁性金属粉末の大気中における(酸化に対する)高温安定性を評価した。
(磁性シート)
次に、本発明に係る磁性シートについて説明する。本発明に係る磁性シートは、前記のようにして作製された軟磁性金属粉末が樹脂バインダーに分散され形成される。このような磁性シートは例えば次のようにして作製することができる。まず、軟磁性金属粉末と樹脂バインダーとをペースト状になるまで混練しペーストを作製する。これを基材上に塗工することで軟磁性金属粉末が配向分散されたシート体が形成できる。そして、シート体をカレンダーロールなどで圧延して、所定の温度で架橋プレスし、所定の厚さの磁性シートが得られる。連続架橋によって長尺のロール状のシート体を得てもよい。なお、シート化においては、希釈溶剤を加えずにペーストを得て、これを圧延して架橋プレス又は連続架橋を行うなど、適宜、公知の方法を用いることができる。
磁性シートの厚さに特に限定はないが、通常、0.05mm以上2mm以下の範囲が好ましい。磁性シートの厚さが0.05mmよりも薄い場合は、本発明の効果が得られないおそれがある。一方、磁性シートの厚さが2mmを超えると、電気機器の筐体内部の狭い空間に収めることが困難になるという制約条件からである。
磁性シートにおける軟磁性金属粉末の充填率は50質量%以上95質量%以下の範囲であることが好ましい。充填率が50質量%未満であると透磁率が小さくなるおそれがある一方、充填率が95質量%を超えると軟磁性金属粉末が樹脂バインダーによって強固に結び付くことができず、磁性シートの強度が低下すおそれがある。磁性シートにおける軟磁性金属粉末のより好ましい充填率は60質量%以上90質量%以下の範囲である。
樹脂バインダーとしては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、ゴム系材料等を用いることができる。具体的には、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ABS樹脂、二トリル−ブタジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミド系樹脂等である。
なお、磁性シートには、軟磁性金属粉末及び樹脂バインダーの他、硬化剤、分散剤、安定剤、カップリング剤等を含有してもよい。また、本発明の磁性シートを所要の形状に成形あるいは塗布する際に、配向磁界を印加し、あるいは機械的に配向することにより、方向性の高い磁性シートとすることができる。
(周波数特性評価)
周波数特性として、アジレント・テクノロジー株式会社製のネットワーク・アナライザー(E8362C)と株式会社関東電子応用開発製の同軸型Sパラメーター法サンプルホルダーキット(製品型番:CSH2−APC7、試料寸法:φ7.0mm−φ3.04mm×5mm)を用い、800MHz、900MHz、1000MHzにおける透磁率の実部(μ’)、透磁率の虚部(μ”)、損失係数を表すtanδを測定した。
(その他)
本発明の軟磁性金属粉末は、高周波帯域の電磁波を吸収する磁性シートの外、磁気ヨーク部材やアンテナ部材、通信補助材、インダクター、リアクトルコアなどにも使用可能である。
実施例1
(軟磁性金属粉末の作製)
原料鉄粉としてのDOWA IPクリエイション社製 還元鉄粉 「DSP−600」50gとオレイン酸(和光純薬工業株式会社製 和光一級)0.3gとをサンプルミル(協立理工株式会社製 SK−M2)に投入し、30秒間撹拌し、原料鉄粉と滑剤の混合粉末を得た。
得られた混合粉末31.15gと直径1.6mmのステンレスボール333gとをポットに投入し、振動ボールミル(株式会社CMT製 TI−100)を用いて周波数60Hzで60分間塑性変形加工し、得られた粉末を大気中で目開き840μmの篩に通す過程で徐酸化処理を行った。得られた粉末を再び振動ボールミルを用いて120分間塑性変形加工し、同様に篩に通して、扁平状鉄粉(軟磁性金属粉末)を得た。
(周波数特性の評価)
得られた扁平状鉄粉とビスフェノールF型エポキシ樹脂(株式会社テスク製;一液性エポキシ樹脂B−1106)を90:10の質量割合で秤量し、真空撹拌・脱泡ミキサー(EME社製;V−mini300)とを用いてこれらを混練し、扁平状鉄粉がエポキシ樹脂中に分散したペーストとした。このペーストを窒素雰囲気中で40℃、2時間乾燥させて扁平状鉄粉と樹脂との複合体としたのち、粉末状に解粒して、複合体粉末とした。この複合体粉末0.2gをドーナッツ状の容器内に入れて、ハンドプレス機により9800N(1000kgf)の荷重をかけることにより、外径7mm、内径3mmのトロイダル形状の成型体を得た。
この成型体について、アジレント・テクノロジー株式会社製のネットワーク・アナライザー(E8362C)と株式会社関東電子応用開発製の同軸型Sパラメーター法サンプルホルダーキット(製品型番:CSH2−APC7、試料寸法:φ7.0mm−φ3.04mm×5mm)を用い、800MHz、900MHz、1000MHzにおける透磁率の実部(μ’)、透磁率の虚部(μ”)、損失係数を表すtanδを測定した。測定結果を表2に示す。また、透磁率の実部(μ’)の測定結果を図1に示す。
(評価)
得られた扁平状鉄粉について、粒度分布、アスペクト比、酸素含有量、炭素含有量、BET比表面積、磁気特性、結晶子サイズおよび熱重量増加率を求めた。これらの結果を表1に示す。また、得られた扁平状鉄粉のアスペクト比10以上の扁平粉は93個数%であった。
実施例2
実施例1と同様にして扁平状鉄粉を得た。得られた扁平状鉄粉を水素雰囲気(ガス流量:10L/min.)、500℃の条件で熱処理し、熱処理扁平状鉄粉を得た。
得られた熱処理扁平状鉄粉について、実施例1と同様に、周波数特性、粒度分布、アスペクト比、酸素含有量、炭素含有量、BET比表面積、磁気特性、結晶子サイズおよび熱重量増加率を求めた。これらの結果を表1、表2及び図1に示す。また、得られた扁平状鉄粉のアスペクト比10以上の扁平粉は80個数%であった。
実施例3
熱処理時の温度を600℃に変更した以外は、実施例2と同様にして熱処理扁平状鉄粉を得た。
得られた熱処理扁平状鉄粉について、実施例1と同様に、周波数特性、粒度分布、アスペクト比、酸素含有量、炭素含有量、BET比表面積、磁気特性、結晶子サイズおよび熱重量増加率を求めた。これらの結果を表1、表2及び図1に示す。また、得られた扁平状鉄粉のアスペクト比10以上の扁平粉は67個数%であった。
実施例4
原料鉄粉としてのDOWA IPクリエイション社製 還元鉄粉 「DSP−600」50gとオレイン酸(和光純薬工業株式会社製 和光一級)0.3gとをサンプルミル(協立理工株式会社製 SK−M2)に投入し、30秒間撹拌し、原料鉄粉と滑剤の混合粉末を得た。
得られた混合粉末31.15gと直径1.6mmのステンレスボール333gとをポットに投入し、振動ボールミル(株式会社CMT製 TI−100)を用いて周波数60Hzで180分間塑性変形加工し、目開き840μmの篩に複数回に分けて通して、扁平状鉄粉(軟磁性金属粉末)を得た。
得られた混合粉末について、実施例1と同様に、周波数特性、粒度分布、アスペクト比、酸素含有量、炭素含有量、BET比表面積、磁気特性、結晶子サイズおよび熱重量増加率を求めた。これらの結果を表1、表2及び図1に示す。また、得られた混合粉末のアスペクト比10以上の扁平粉は73個数%であった。
比較例1
DOWA IPクリエイション社製 還元鉄粉 「DSP−600」50gとオレイン酸(和光純薬工業株式会社製 和光一級)0.3gとをサンプルミル(協立理工株式会社製 SK−M2)に投入し、30秒間撹拌し、原料鉄粉と滑剤の混合粉末(軟磁性金属粉末)を得た。
得られた混合粉末について、実施例1と同様に、周波数特性、粒度分布、アスペクト比、酸素含有量、炭素含有量、BET比表面積、磁気特性、結晶子サイズおよび熱重量増加率を求めた。これらの結果を表1、表2及び図1に示す。また、得られた扁平状鉄粉のアスペクト比10以上の扁平粉は0個数%であった。
表2から明らかなように、本発明に係る軟磁性金属粉末である実施例1〜4の軟磁性金属粉末では、800MHz、900MHz、1000MHzといった高周波数帯域においても透磁率が高く、磁気損失も小さく抑えられた。これに対してアスペクト比10以上の扁平粉を含有しない比較例1の軟磁性金属粉末では、前記の高周波数帯域において実施例1〜4の軟磁性金属粉末に比べて透磁率は低くまた磁気損失も大きかった。
本発明に係る軟磁性金属粉末及び磁性シートによれば、UHF帯などの高周波数帯域であっても透磁率が高く、磁気損失も小さくすることができ、RFIDタグの送受信距離を伸ばすこと可能となる。

Claims (5)

  1. 鉄を主成分とする軟磁性金属粉末であって、
    平均粒子径D50が1μm以上20μm以下であり、
    アスペクト比(長手方向平均粒子径/扁平形状粒子の厚み)が10以上の扁平形状の粒子が55個数%以上含有される
    ことを特徴とする軟磁性金属粉末。
  2. 金属鉄の含有量が90質量%以上である請求項1記載の軟磁性金属粉末。
  3. 平均粒子径D50(μm)と酸素の重量割合(wt%)との積が50以下である請求項1又は2記載の軟磁性金属粉末。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の軟磁性金属粉末が樹脂バインダーに分散されて形成されることを特徴とする磁性シート。
  5. 前記軟磁性金属粉末の含有量が50質量%以上95質量%以下の範囲である請求項4記載の磁性シート。
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