JP2020104952A - 巻取コア、巻回体及び巻回体の製造方法 - Google Patents

巻取コア、巻回体及び巻回体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】巻取コアと面状体との間の空気層を排除しこれらの密着性を高めることができ、面状体の性状が良好な状態に保たれ且つ良好な巻き姿の巻回体を効率的に得ることができる巻取コア;並びにその用途を提供する。【解決手段】空気不透過で柔軟な面状体を巻き取りするための、巻取コアであり、円筒形の外周側表面を有し、前記外周側表面の一部又は全部が、その表面に開口した孔を有する多孔質体層により構成される、巻取コア。当該巻取コアを含む巻回体及び当該巻取コアを用いた巻回体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、フィルム等の面状体を巻き取るための巻取コアに関する。本発明はまた、かかる巻取コアを用いて得られた巻回体、及びかかる巻取コアを用いた巻回体の製造方法に関する。
プラスチックフィルム等の面状体は、多くの場合、長尺状の形状で連続的に製造され、巻取コアにより巻き取られた巻回体として保存及び運搬に供される。従来一般的には、巻取コアによる面状体の巻取は、面状体の始端部を巻取コアの外周側表面に付着させ、巻取コアをその軸を中心に回転することにより行われている。巻取コア外周側表面への面状体始端部の付着は、従来は粘着テープを用いた貼合により行うのが一般的である。
巻取コアは、面状体の表面性状を良好に保つため、その外周側表面の平滑性が高いことが求められる。従来より用いられている巻取コアの材料の例としては、鉄等の金属、ABS樹脂等の樹脂、及びFRP等の複合材料が挙げられる。
巻取工程においては、巻取コアと面状体との間が完全に密着せず、間に空気層が介在する場合がある。このような空気層により、種々の問題が発生しうる。例えば、空気層が局在し空気層の厚みが不均一であると、巻回体の巻き姿が不均一なものとなり得る。また、巻回体の製造後、空気層中の空気は経時的に抜けていき、それによりコアの緩みが発生し、座屈及び巻ズレを発生させうる。このような巻回体の巻き姿不均一、座屈、巻ズレなどの不具合は、巻回体中の面状体の性状を損ないうる。
このような空気層の厚み、及びその不均一性は、巻取を高速で行う場合特に大きくなる。また面状体がプラスチックフィルム等の空気不透過な物体である場合特に、このような不具合の発生が特に問題となる。したがって、このような空気層の発生は、プラスチックフィルムの効率的な製造を行う上で特に問題となる。
巻取コアと面状体との間の空気層の発生を抑制する技術としては、コアの表面に溝を設けて巻回体側面に空気を流出させる技術(特許文献1)、及びコアの表面を荒らして巻回体側面に空気を流出させる技術(特許文献2)が知られている。
特開2018−034999号公報 特開昭62−222976号公報
しかしながら、巻取コアの表面に溝及び粗面等の凹凸構造を設けた場合、かかる凹凸構造が面状体に転写され、その結果、面状体の表面性状が劣化しうる。
面状体の巻取による空気層の発生を抑制する他の方法としては、面状体に高い張力を負荷する方法、及びタッチローラー等の加圧手段により巻き取られた直後の面状体に圧力を加えることが考えられる。しかしながらこれらの方法によってもなお、面状体を巻取コアに、空気層を介せず完全に密着させることは難しい。特に巻取速度が速い場合、面状体の材質が柔らかい場合、面状体の厚みが薄い場合、及び面状体の幅が広い場合には特に完全な密着を得ることは困難である。さらに、空気層の抑制の効果を高めるために、これらの方法で張力及び圧力を極端に高めると、面状体及び巻回体の不所望な変形を招きうる。
したがって、本発明の目的は、巻取コアと面状体との間の空気層を排除しこれらの密着性を高めることができ、それにより面状体の性状が良好な状態に保たれ且つ良好な巻き姿の巻回体を効率的に得ることができる巻取コア;面状体の性状が良好な状態に保たれ、巻き姿が良好で、効率的に製造できる巻回体;並びに、面状体の性状が良好な状態に保たれ、巻き姿が良好な巻回体を効率的に製造できる巻回体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するべく検討を行った。その結果本発明者らは、巻取コアの外周側表面を構成する材料として特定のものを用いることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕 空気不透過で柔軟な面状体を巻き取りするための、巻取コアであり、
円筒形の外周側表面を有し、
前記外周側表面の一部又は全部が、その表面に開口した孔を有する多孔質体層により構成される、巻取コア。
〔2〕 前記多孔質体層の前記孔のうちの、前記面状体を受容する領域の表面(i)に開口した孔(i)が、それ以外の巻取コア表面(ii)に開口した孔(ii)と連通する、〔1〕に記載の巻取コア。
〔3〕 前記表面(ii)の一部又は全部が、前記巻取コアの側部に位置する表面である、〔2〕に記載の巻取コア。
〔4〕 前記巻取コアが前記外周側表面より内周側において中空部を有し、前記表面(ii)の一部又は全部が、前記中空部に露出した表面である、〔2〕又は〔3〕に記載の巻取コア。
〔5〕 前記多孔質体層の厚みが1mm以上、30mm以下である、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の巻取コア。
〔6〕 前記外周側表面における前記多孔質体層の前記孔の径の平均値±3σの値の範囲が、1μm以上、100μm以下の範囲内である、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の巻取コア。
〔7〕 前記多孔質体層を構成する材料が、プラスチック焼結多孔質体、セラミック多孔質体、カーボン多孔質体、金属粒子焼結体、及びこれらの混合物からなる群より選択される、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の巻取コア。
〔8〕 前記多孔質体層における気孔率が、10%以上、50%以下である、〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の巻取コア。
〔9〕 前記外周側表面における前記多孔質体層の表面が平滑である、〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の巻取コア。
〔10〕 〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の巻取コアと、前記巻取コアに巻回された、空気不透過で柔軟な面状体とを含む、巻回体。
〔11〕 前記面状体が、プラスチックの層、金属の層、又はこれらの組み合わせを含む、〔10〕に記載の巻回体。
〔12〕 巻回体の製造方法であって、
〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の巻取コアに、空気不透過で柔軟な面状体を巻き取る巻取工程を含む、製造方法。
〔13〕 前記面状体が、始端部及び終端部を有する長尺状の形状を有し、
前記巻取工程が、前記面状体の前記始端部を、前記巻取コアの前記外周側表面に付着させ、前記巻取コアをその軸を中心に回転させ、それにより前記巻取コアに前記面状体を巻回することを含む、〔12〕に記載の製造方法。
〔14〕 前記巻取工程において、前記孔を介し、前記外周側表面近傍の空気を吸引することを含む、〔12〕又は〔13〕に記載の製造方法。
本発明によれば、巻取コアと面状体との間の空気層を排除しこれらの密着性を高めることができ、それにより面状体の性状が良好な状態に保たれ且つ良好な巻き姿の巻回体を効率的に得ることができる巻取コア;面状体の性状が良好な状態に保たれ、巻き姿が良好で、効率的に製造できる巻回体;並びに、面状体の性状が良好な状態に保たれ、巻き姿が良好な巻回体を効率的に製造できる巻回体の製造方法が提供される。
図1は、本発明の巻取コアの一例を及びその使用の態様を概略的に示す斜視図である。 図2は、図1に示す巻取コア100及び面状体200を、巻取コア100の軸AX方向から観察した状態を示す側面図である。 図3は、図1に示す巻取コア100を、その軸AXを通る平面で切断した断面を示す断面図である。 図4は、本発明の巻取コアの別の一例を概略的に示す断面図である。
以下、実施形態及び例示物を示して本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「長尺状」のフィルムとは、幅に対して、5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムをいう。長尺状のフィルムの長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
以下の説明では、別に断らない限り、主面を水平方向とし水平に搬送される長尺状の面状体を巻き取る例を説明する。したがって、これらの例では、巻取コアの軸方向も水平方向となる。また、これらの例では巻取コアの軸に平行な方向が面状体の幅方向と一致するので、巻取コアの軸に平行な方向を、巻取コアの「幅方向」とし、幅方向の端部に位置する面を「側面」として説明する。但し、このような配置は、図示及び説明の便宜のためのものであるので、本発明の巻取コアの使用方法及び巻回体の製造方法の態様は、かかる配置に限られない。
〔巻取コア、巻回体及び製造方法:第1実施形態〕
本発明の巻取コアは、空気不透過で柔軟な面状体を巻き取りするための巻取コアであり、円筒形の外周側表面を有する。
図1は、本発明の巻取コアの一例を及びその使用の態様を概略的に示す斜視図であり、巻取コア100及びそれに巻回される面状体200を図示している。図2は、図1に示す巻取コア100及び面状体200を、巻取コア100の軸AX方向から観察した状態を示す側面図である。図3は、図1に示す巻取コア100を、その軸AXを通る平面で切断した断面を示す断面図である。図1〜図3の例において、巻取コア100は、管状の内芯101、及び内芯101の外周側表面101A上に接して設けられた外芯102を備える。外芯102は、内芯101の外周側表面101Aの全体を覆う形状で設けられている。内芯101が管状の構造を有しているため、巻取コア100は、その軸AXに沿って延在する中空部100Vを有している。
本発明の巻取コアでは、その外周側表面の一部又は全部が、その表面に開口した孔を有する多孔質体層により構成される。図1〜図3の例では、外芯102は多孔質体により構成され、巻取コア100の外周側表面は、その全部が、外芯102の外周側表面102Aによって構成される。多孔質体層である外芯102は、その内部全体において、気泡状の多孔質構造を有し、したがって外芯102の表面全体にわたり、かかる多孔質構造に起因する微細な多数の孔が露出している。具体的には、孔は、外芯102の外周側表面102A、側部表面102S及び内周側表面102Bの全体にわたり存在する。これにより、巻取コア100の外周側表面の全部が、その表面に開口した孔を有する多孔質体層により構成される。
多孔質体層を構成する多孔質体の例としては、プラスチック焼結多孔質体、セラミック多孔質体、カーボン多孔質体、金属粒子焼結体、及びこれらの混合物が挙げられる。プラスチック焼結多孔質体を構成する材料の例としては、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、及びフッ素樹脂が挙げられる。
多孔質体層の厚みは、好ましくは1mm以上であり、一方好ましくは30mm以下である。厚みを前記下限以上とすることにより、良好な空気層排除効果を得ることができる。厚みを前記上限以下とすることにより、巻取コアを軽量化することができ、多孔質体層の成形を容易に行うことができ、且つ得られる巻取コアの弾性率を良好な範囲とすることができる。
多孔質体層の外周側表面に開口する孔の寸法は、特に限定されず、本発明の効果が良好に得られる範囲の径の孔を有する材料を適宜選択しうる。良好な通気性を確保する観点からは、孔の径は大きいほうが好ましく、一方、孔の形状が面状体に不所望に転写されることを抑制する観点からは、孔の径は小さいほうが好ましい。具体的には、外周側表面における孔の径の平均値±3σの値の範囲が、1μm以上、100μm以下の範囲内に収まることが好ましい。
多孔質体層における気孔率は、通常は1%以上であり、好ましくは10%以上であり、一方好ましくは50%以下である。気孔率は、多孔質体層の見掛けの全容積に対する、気孔の全容積(外部に連通する気孔の容積と、内部に封入された気孔の容積の和)の百分率である。気孔率が前記下限以上であることにより、面状体を受容する領域の表面(i)からそれ以外の表面(ii)に連通する孔の数を所望以上の多い数とし、良好な本発明の効果を得ることができる。一方、気孔率が前記上限以下であることにより、多孔質体層の強度を容易に確保することができる。
外周側表面における多孔質体層の表面は、好ましくは平滑である。ここで平滑とは、面状体にダメージを与えるような、特定高さ以上の突起が無いことをいう。具体的には、外周側表面の個々の孔を平坦に埋めた状態の仮想的な表面を仮定した場合において、当該仮想的な表面の全体にわたって、高さ10μm以上の突起が無いことをいう。かかる平滑な表面を有することにより、巻回体の巻始め部分の面状体の性状をさらに良好なものとすることができる。
巻取コアが、多孔質体層より内周側に内芯を有する場合、内芯を構成する材料としては、従来より用いられている巻取コアの材料として知られている材料を適宜選択しうる。かかる材料の例としては、鉄及びアルミニウム等の金属、ABS樹脂等の樹脂、及び複合材料が挙げられる。複合材料としては、所謂FRP、即ち金属繊維、ガラス繊維又は炭素繊維等の繊維と樹脂との複合材料が挙げられる。多孔質体は一般的にこれらの材料と比べて強度が劣る傾向にあるため、これらの材料を選択して組み合わせることにより、本発明の良好な効果を得ながら且つ強度の高い巻取コアを得ることができる。内芯の材料は、巻取コアの強度確保等の観点から、外芯即ち多孔質体層よりも高い弾性率を有する材料としうる。そのような材料は、非多孔質の材料としうる。非多孔質の材料は、例えば気孔率が1%未満の材料としうる。
内芯の材質と多孔質体層の材質との関係は、特に限定されないが、成形の容易さ、及び巻取コアの使用に際しての多孔質体層の破損等の不具合発生の防止の観点からは、その弾性率が近い材料を採用することが好ましい。例えば、多孔質体層の材料がプラスチック焼結多孔質体である場合における内芯の材料の好ましい例としては、ABS樹脂等の樹脂、及びFRP等の樹脂を含む複合材料が挙げられる。多孔質体層の材料がセラミック多孔質体又は金属粒子焼結体である場合における内芯の材料の好ましい例としては、金属が挙げられる。
本発明の巻取コアでは、多孔質体層の孔のうちの、面状体を受容する部分の表面(i)に開口した孔(i)が、それ以外の巻取コア表面(ii)に開口した孔(ii)と連通しうる。
図1〜図3の例では、面状体200の幅W21(図1)は、巻取コア100の全長W11(図3)より狭い。そのため外周側表面102Aのうちその幅方向内側の領域102A(i)が、面状体200を受容する領域の表面(i)に該当する。領域102A(i)は、面状体200の幅W21と等しい幅W12(i)を有する。一方、領域102A(i)より幅方向外側の一対の領域102A(ii)は、その残余の幅である幅W12(ii)を有する。かかる構成においては、外芯102の領域102A(i)に開口した孔が、孔(i)に該当する。
一方、外芯102の表面の領域のうち、領域102A(i)以外の領域であって、且つ巻取コア表面に面した領域が、表面(ii)に該当する。外芯102の内周側表面102Bは、その全面が内芯101の外周側表面101Aと接しているので、外芯の内周側表面102Bに開口した孔は、巻取コアの表面に開口した状態ではなく、内芯101により塞がれた状態となっている。かかる構成においては、外周側表面102A(ii)、側部表面102S及び内周側表面102Bのうち、巻取コア100の表面に面している表面である外周側表面102A(ii)及び側部表面102Sが、表面(ii)に該当する。したがって、外周側表面102A(ii)及び側部表面102Sに開口した孔が、孔(ii)に該当する。
本発明の巻回体の製造方法は、前記本発明の巻取コアに、空気不透過で柔軟な面状体を巻き取る巻取工程を含む。面状体は、典型的には始端部及び終端部を有する長尺状の形状を有し、巻取工程は、面状体の始端部を、巻取コアの前記外周側表面に付着させ、巻取コアをその軸を中心に回転させ、それにより巻取コアに面状体を巻回することを含む。面状体の始端部及び終端部は、通常は、長尺状の面状体の長手方向の端部である。
図1〜図3の例では、巻取工程において、巻取コア100に面状体200を巻き取る。面状体200は、始端部200T(図2;終端部は不図示)を有する長尺状の形状であり、巻取工程においては、始端部200Tにおける面状体200の内側面200Bを巻取コア100の外周側表面102Aに付着させ、巻取コア100を軸AXを中心に、面状体の引き取り方向と相対的に回転させ、それにより巻取コア100に面状体200を巻回する。
巻取コア100を回転させる具体的な操作は、特に限定されない。例えば、中空部100Vに適切な寸法のシャフト(不図示)を嵌合させ、シャフトを軸AXを中心に回転するよう駆動することにより、巻取コア100を回転させうる。
本発明の巻取コアは、上記において説明した構造を有することにより、巻回体の製造において、巻取コアと面状体との間の密着性を高めることができる。巻取コアと面状体との間の密着性を高めることにより、面状体の性状が良好な状態に保たれ且つ良好な巻き姿の巻回体を効率的に得ることができる。図1〜図3の例を参照して具体的に説明すると、巻取工程においては、巻取コア100の外周側表面102Aと、面状体200の内側面200Bとは、完全には密着せず、間に空気層が介在する場合がある。しかしながら、巻取コア100の外周側表面が多孔質体層である外芯102により構成されるため、空気層中の空気は、巻取工程において面状体200に加えられる圧力により、容易に外芯102内部に移行する。そのため、巻取工程において空気層が速やかに排除され、その結果、巻取コアと面状体との間の密着性を高めることができる。さらに、孔(i)と孔(ii)とが連通することにより、外芯102内部に移行した空気を孔(ii)を介して巻取コア100の外に容易に流出させることができる。したがって、空気層として厚い層が形成された場合であっても、空気層を速やかに排除することができる。
巻取工程においては、任意の操作として、孔を介し、巻取コアの外周側表面近傍の空気を吸引してもよい。好ましい例において、吸引は、多孔質層内の空気が孔(ii)を介して多孔質外に吸い出されるよう行いうる。図3では、孔(ii)(外周側表面102A(ii)及び側部表面102Sに開口した孔が該当)のうち、側部表面102Sに開口した孔から吸引を行った場合の空気の流れを、矢印A31で示している。側部表面102Sに開口した孔から吸引を行うと、矢印A31で示す通り、面状体200を受容する領域102A(i)の表面に存在する空気が、外芯102の内部を介して、側部表面102Sから排出される。このような吸引を行うことにより、巻取コアと面状体との間の密着性を、さらに高めることができる。吸引は、面状体を巻き上げて巻回体の製造を完了するまで続けて行ってもよいが、巻取工程の途中で終了してもよい。また、このような吸引を行う場合、効率的な吸引を行う観点から、孔(ii)のうち、吸引を介する孔以外の孔の一部又は全部を塞いだ状態としうる。例えば、図3の例では、外周側表面102A(ii)に開口した孔の一部または全部を、外周側表面102A(ii)上に任意の封止層を設けることにより塞いだ状態として、巻取工程を行いうる。
巻取コア外周側表面への面状体始端部の付着は、既知の方法、例えば粘着テープを用いた貼合により行いうる。但し本発明の巻回体の製造方法において、面状体始端部の付着は、既知の方法に加えて又は既知の方法に代えて、上記において説明した外周側表面近傍の空気の吸引により行ってもよい。即ち、巻取コア外周側表面近傍の空気を吸引した状態で、面状体の始端部を外周側表面に載置すると、面状体始端部が吸引され、外周側表面に付着する。この状態を維持したまま巻取コアの回転を行うことにより、巻取工程を実施することができる。かかる吸引による付着を行うことにより、粘着テープの使用を省略することができ、それにより粘着テープに基づく段差の発生を回避し、巻回体の巻始め部分の面状体の性状をさらに良好なものとすることができる。
〔第2実施形態〕
上記において説明した第1実施形態では、外芯102の内周側表面102Bは、その全面が内芯101Aと接していたが、本発明の巻取コアはこれに限られず、外芯の内周側表面の一部が、巻取コアの中空部に露出していてもよい。
図4は、本発明の巻取コアの別の一例を概略的に示す断面図である。図4では、巻取コア400を、その軸AXを通る平面で切断した断面を示している。図4の例において、巻取コア400は、管状の内芯401、及び内芯401の外周側表面401A上に接して設けられた外芯402を備える。外芯402は、内芯401の外周側表面401Aの全体を覆う形状で設けられている。内芯401が管状の構造を有しているため、巻取コア400は、その軸AXに沿って延在する中空部400Vを有している。
内芯401は、複数の貫通口409を有する。貫通口409は、管状の内芯401の外周側表面401Aから、内周側表面401Bまで貫通している。したがって、内芯401の外部の空気は、貫通口409を通り内芯401の内部と連通しうる。
外芯402の構造は、第1実施形態における外芯102と同じである。したがって、巻取コア400の外周側表面は、その全部が、外芯402の外周側表面402Aによって構成される。多孔質体層である外芯402は、その内部全体において、気泡状の多孔質構造を有し、したがって外芯402の表面全体にわたり、かかる多孔質構造に起因する微細な多数の孔が露出している。具体的には、孔は、外芯402の外周側表面402A、側部表面402S及び内周側表面402Bの全体にわたり存在する。これにより、巻取コア400の外周側表面の全部が、その表面に開口した孔を有する多孔質体層により構成される。
巻取コア400の幅W41は、第1実施形態における巻取コア100の幅W11と同じであり、巻取コア400は、第1実施形態における面状体200と同じ形状の面状体の巻取りに用いうる。その場合、巻取コア400の外周側表面402Aのうちその幅方向内側の領域402A(i)が、面状体を受容する領域の表面(i)に該当し、領域402A(i)は、面状体の幅と等しい幅W42(i)を有する。一方、領域402A(i)より幅方向外側の一対の領域402A(ii)は、その残余の幅である幅W42(ii)を有する。かかる構成においては、外芯402の領域402A(i)に開口した孔が、孔(i)に該当する。
一方、外芯402の表面の領域のうち、領域402A(i)以外の領域であって、且つ巻取コア表面に面した領域が、表面(ii)に該当する。内芯401が複数の貫通口409を有するため、外周側表面402A(ii)及び側部表面402Sに加えて、内周側表面402Bの一部の領域も、表面(ii)に該当する。具体的には、外芯402の内周側表面402Bのうち、内芯401の貫通口409の開口に面した領域402Cは、貫通口409を介して、中空部400Vに露出しているため、かかる領域402Cも、表面(ii)に該当する。したがって、外周側表面402A(ii)、側部表面402S及び領域402Cに開口した孔が、孔(ii)に該当する。
巻取コア400は、図1〜3の例の面状体200と同じ形状の面状体を用いた巻回体の製造方法に用いうる。かかる製造方法の巻取工程においては、巻取コア400に面状体を巻き取る。巻取工程においては、始端部における面状体の内側面を巻取コア400の外周側表面402Aに付着させ、巻取コア400を軸AXを中心に、面状体の引き取り方向と相対的に回転させ、それにより巻取コア400に面状体を巻回する。
巻取コア400は、上記において説明した構造を有することにより、巻回体の製造において、巻取コア400と面状体との間の密着性をさらに高めることができる。即ち、巻取コア400は、孔(ii)として、外周側表面402A(ii)に開口した孔及び側部表面402Sに開口した孔に加えて領域402Cに開口した孔を有するので、領域402Cを介した空気層中の空気の流出が、さらに促進される。したがって、空気層を、さらに速やかに排除することができる。
巻取コア400における貫通口409の位置、形状及び数は、十分な強度が得られ且つ有効な空気層の排除が達成されるよう調整しうる。
巻取工程においては、任意の操作として、孔を介し、外周側表面近傍の空気を吸引してもよい。巻取コア400を用いた巻取工程における吸引は、側部表面402Sに開口した孔から行ってもよいが、それに代えて又はそれに加えて、領域402Cに開口した孔から行ってもよい。具体的には、巻取コア400の中空部400Vにおける空気を吸引し、中空部400Vを陰圧にすることにより、図4の矢印41で示す通り、面状体を受容する領域402A(i)の表面に存在する空気が、外芯402の内部を介して、領域402Cから排出され、これをさらに貫通口409を介して吸引することができる。貫通口409は、容易に領域402A(i)の近傍に設けることができ、より具体的には、貫通口409は、容易に、領域402A(i)に対応する幅領域(図4の例では、幅W42(i)で示される幅領域)の内部に設けることができる。このように中空部400Vに露出した表面である領域402Cを介して吸引を行うことにより、巻取コアと面状体との間の密着性を、さらに高めることができ、空気層の排除、及び面状体始端部の外周側表面への付着を、さらに促進することができる。
〔変形例〕
本発明の巻取コア、巻回体及び巻回体の製造方法は、上記において説明した第1実施形態及び第2実施形態に限られず、これらをさらに変形したものであってもよい。
一例として、第1実施形態及び第2実施形態としては、内芯と、多孔質体により構成される外芯とを備える巻取コアを例示したが、本発明の巻取コアはこれに限られない。例えば、巻取コアは、内芯及び外芯の2層を備える代わりに、多孔質体により構成される1層のみを備えていてもよい。但し、強度の確保等の観点からは、巻取コアは、多孔質体により構成される外芯と、それより強度の高い材料により構成される内芯とを備えることが好ましい。
別の一例として、第1実施形態及び第2実施形態としては、内芯が中空である巻取コアを例示したが、本発明の巻取コアはこれに限られない。例えば、巻取コアは、強度確保等のため内芯の内部が中実な形状であってもよく、さらには巻取コアの駆動のためのシャフトを内芯と一体的に備える形状であってもよい。
さらに別の一例として、第2実施形態において、内芯401は、その外周側表面から内周側表面まで貫通した貫通口を有するものであったが、内芯の形状はこれに限られない。例えば、貫通口に加えて又は貫通口に代えて、内芯の表面に溝を設け、内芯外周側表面から巻取コア側部に空気を排出しうる構造としてもよい。
〔面状体の材料、形状等〕
巻回体を構成する面状体は、空気不透過で柔軟な部材であり、通常は長尺状の形状を有する。
空気不透過な面状体とは、空気層を構成する空気が、巻回体の製造の工程中に面状体を透過して排出されることを妨げる程度の、低い空気透過性を有する面状体である。網、メッシュといった、当該面状体を透過して空気が自由に流通する種類の面状体は、空気不透過な面状体に含まれない。但し、面状体には、空気を透過する層と空気不透過の層との積層体であって全体的に空気不透過であるものが含まれる。
柔軟な面状体とは、巻取コアに巻回して保存及び運搬することができ、使用に際して再び巻き出すことができる程度の柔軟性を有する面状体である。通常のガラス板等の、巻取コアに巻回することができない面状体は、柔軟な面状体に含まれない。
面状体を構成する、空気不透過で柔軟な材料の例としては、プラスチック、薄膜状の金属、及びこれらのいずれか1以上と他の材料との複合材料が挙げられる。従って、面状体は、プラスチックの層、金属の層、又はこれらの組み合わせを含む部材としうる。
100:巻取コア
100V:中空部
101:内芯
101A:内芯の外周側表面
102:外芯
102A:外芯の外周側表面
102A(i):外周側表面の幅方向内側の領域
102A(ii):領域102A(i)より幅方向外側の領域
102B:外芯の内周側表面
102S:外芯の側部表面
200:面状体
200B:面状体の内側面
200T:面状体の始端部
400:巻取コア
400V:中空部
401:内芯
401A:内芯の外周側表面
401B:内芯の内周側表面
402:外芯
402A:外芯の外周側表面
402A(i):外周側表面の幅方向内側の領域
402A(ii):領域402A(i)より幅方向外側の領域
402B:外芯の内周側表面
402C:外芯の内周側表面のうち、内芯の貫通口の開口に面した領域
402S:外芯の側部表面
409:貫通口
A31:空気の流れを示す矢印
AX:巻取コアの軸
W11:巻取コアの全長
W12(i):領域102A(i)の幅
W12(ii):領域102A(ii)の幅
W21:面状体の幅
W41:巻取コアの幅
W42(i):領域402A(i)の幅
W42(ii):領域402A(ii)の幅

Claims (14)

  1. 空気不透過で柔軟な面状体を巻き取りするための、巻取コアであり、
    円筒形の外周側表面を有し、
    前記外周側表面の一部又は全部が、その表面に開口した孔を有する多孔質体層により構成される、巻取コア。
  2. 前記多孔質体層の前記孔のうちの、前記面状体を受容する領域の表面(i)に開口した孔(i)が、それ以外の巻取コア表面(ii)に開口した孔(ii)と連通する、請求項1に記載の巻取コア。
  3. 前記表面(ii)の一部又は全部が、前記巻取コアの側部に位置する表面である、請求項2に記載の巻取コア。
  4. 前記巻取コアが前記外周側表面より内周側において中空部を有し、前記表面(ii)の一部又は全部が、前記中空部に露出した表面である、請求項2又は3に記載の巻取コア。
  5. 前記多孔質体層の厚みが1mm以上、30mm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の巻取コア。
  6. 前記外周側表面における前記多孔質体層の前記孔の径の平均値±3σの値の範囲が、1μm以上、100μm以下の範囲内である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の巻取コア。
  7. 前記多孔質体層を構成する材料が、プラスチック焼結多孔質体、セラミック多孔質体、カーボン多孔質体、金属粒子焼結体、及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の巻取コア。
  8. 前記多孔質体層における気孔率が、10%以上、50%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の巻取コア。
  9. 前記外周側表面における前記多孔質体層の表面が平滑である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の巻取コア。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の巻取コアと、前記巻取コアに巻回された、空気不透過で柔軟な面状体とを含む、巻回体。
  11. 前記面状体が、プラスチックの層、金属の層、又はこれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の巻回体。
  12. 巻回体の製造方法であって、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の巻取コアに、空気不透過で柔軟な面状体を巻き取る巻取工程を含む、製造方法。
  13. 前記面状体が、始端部及び終端部を有する長尺状の形状を有し、
    前記巻取工程が、前記面状体の前記始端部を、前記巻取コアの前記外周側表面に付着させ、前記巻取コアをその軸を中心に回転させ、それにより前記巻取コアに前記面状体を巻回することを含む、請求項12に記載の製造方法。
  14. 前記巻取工程において、前記孔を介し、前記外周側表面近傍の空気を吸引することを含む、請求項12又は13に記載の製造方法。
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