JP2020104772A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤ重量を低減しつつ、耐久性、及び乗り心地性を向上させることができる、空気入りタイヤを提供する。【解決手段】カーカスと、カーカスのクラウン部の外周に配されたベルト層と、ベルト層の外周に配されたベルト補強層とを有する空気入りタイヤであって、上記ベルト層は、スチールコードをタイヤ周方向に対して傾斜させて配列させてなるベルトプライからなり、上記スチールコードのコード径が0.90mm以下であり、上記スチールコード1本当りのコード曲げ硬さが800cN以下であり、上記スチールコード1本当りのコード強度が3300N/mm2以上であり、上記ベルトプライ1枚の単位幅当りのコード強力が16kN/25.4mm以上であることを特徴とする、空気入りタイヤ。【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関するものである。
タイヤの耐久性を改善することを目的として、ベルト層を構成するベルトプライ1枚の単位幅当りのコード強力を大きくすることが検討されている。しかしながら、従来のスチールコードを用いて、ベルトプライ1枚の単位幅当りのコード強力を大きくする場合、コード径の太いスチールコードを使用する必要があり、乗り心地の悪化やタイヤ重量の増加に繋がるという問題があった。
特開2013−244782号公報 特開2012−66816号公報
本発明は、以上の点に鑑み、タイヤ重量を低減しつつ、耐久性、及び乗り心地性を向上させることができる、空気入りタイヤを提供することを目的とする。
なお、特許文献1には、ベルト層にコード強度の高いスチールコードを用いた空気入りラジアルタイヤが記載されているが、ベルトプライ1枚の単位幅当りのコード強力や、スチールコード1本当りのコード曲げ硬さについての記載はない。
また、特許文献2には、ベルト層に用いるスチールコードのフィラメント径を所定範囲内とすることが記載されているが、ベルトプライ1枚の単位幅当りのコード強力や、スチールコード1本当りのコード曲げ硬さについての記載はない。
本発明に係る空気入りタイヤは、カーカスと、カーカスのクラウン部の外周に配されたベルト層と、ベルト層の外周に配されたベルト補強層とを有する空気入りタイヤであって、上記ベルト層は、スチールコードをタイヤ周方向に対して傾斜させて配列させてなるベルトプライからなり、上記スチールコードのコード径が0.90mm以下であり、上記スチールコード1本当りのコード曲げ硬さが800cN以下であり、上記スチールコード1本当りのコード強度が3300N/mm以上であり、上記ベルトプライ1枚の単位幅当りのコード強力が16kN/25.4mm以上であるものとする。
上記スチールコードの構造は、m本のフィラメントを引き揃えたコアと、その周りにn本のフィラメントを配したシースとからなる束を同じピッチで撚り合わせたm/n構造であるものとすることができる。
上記空気入りタイヤは、ライトトラック用であるものとすることができる。
本発明の空気入りタイヤによれば、タイヤ重量を低減しつつ、優れた耐久性及び乗り心地性が得られる。
本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの半断面図。 本発明の一実施形態に係るスチールコードの構成を示す断面図。 スチールコードのコード曲げ硬さの測定方法を説明する図面。 乗り心地性の評価に使用した試験路の形状を示す模式断面図。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
図1に示す実施形態の空気入りタイヤは、ライトトラック用のラジアルタイヤであって、左右一対のビード部1、及びサイドウォール部2と、左右のサイドウォール部2の径方向外方端部同士を連結するように両サイドウォール部間に設けられたトレッド部3とを備えて構成されており、一対のビード部間にまたがって延びるカーカス4が設けられている。ここで、「ライトトラック」とは、車両総重量が8t未満であって、積載量が1〜3.5tである小型のトラックのことである。
カーカス4は、トレッド部3からサイドウォール部2をへて、ビード部1に埋設された環状のビードコア5にて両端部が係止された少なくとも1枚のカーカスプライからなる。カーカスプライは、有機繊維コードからなるカーカスコードをタイヤ周方向に対して実質的に直角に配列し、コーティングゴムで被覆されてなる。
トレッド部3におけるカーカス4の外周側(即ち、タイヤ径方向外側)には、カーカス4とトレッドゴム部7との間に、ベルト層6が配されている。ベルト層6は、カーカス4のクラウン部の外周に重ねて設けられており、1枚又は複数枚のベルトプライ、通常は少なくとも2枚のベルトプライで構成することができ、本実施形態では、カーカス側の第1ベルトプライ6Aと、トレッドゴム部側の第2ベルトプライ6Bとの2枚のベルトプライで構成されている。ベルトプライ6A,6Bは、スチールコード20をタイヤ周方向に対して所定の角度(例えば、15〜35度)で傾斜させ、かつタイヤ幅方向に所定の間隔にて配列させてなるものである。各ベルトプライは、スチールコード20がコーティングゴムで被覆されている。スチールコード20は、上記2枚のベルトプライ6A,6B間で互いに交差するように配設されている。
ベルト層6の外周側(即ち、タイヤ半径方向外側)には、ベルト層6とトレッドゴム部7との間に、ベルト補強層8が設けられている。ベルト補強層8は、ベルト補強プライによりベルト層6をその全幅で覆うキャッププライである。ベルト補強プライは、タイヤ周方向に実質的に平行に配列した有機繊維コードがコーティングゴムで被覆されてなる。すなわち、ベルト補強層8は、有機繊維コードをタイヤ周方向に沿って配列してなり、ベルト層6の幅方向全体を覆うように、有機繊維コードを有するリボン状ゴム(ゴムストリップともいう)を、タイヤ周方向に対して0〜5度の角度で螺旋状に巻回することにより形成することができる。
本実施形態に係る空気入りタイヤのベルト層6用の各スチールコード20の構造は、特に限定されないが、図2に示すように、同一径のm本のフィラメント13を引き揃えたコア11と、その周りに同一径のn本のフィラメント14を配したシース12とからなる束を同じピッチで撚り合わせたm/n構造(m=2〜4、n=5〜7)であることがより好ましい。
スチールコード20のコード径は、0.90mm以下であれば特に限定されないが、0.7〜0.9mmであることが好ましい。
コア11のフィラメント径は、特に限定されないが、0.1〜0.15mmであることが好ましい。
シース12のフィラメント径は、特に限定されないが、0.2〜0.3mmであることが好ましい。
撚りピッチは、特に限定されないが、11〜15mmであることが好ましい。
スチールコード1本当りのコード曲げ硬さは、800cN以下であれば特に限定されないが、100〜800cNであることが好ましく、100〜500cNであることがより好ましい。ここで、本明細書において「コード曲げ硬さ」とは、スチールコード1本を、支点間距離25.4mmにてその中央部を曲げた時の最大荷重で定義される値である。具体的には、引張試験機を用いて次のように測定することができる。すなわち、室温下にて、長さ50〜80mmのスチールコード20を、図3に示すように、両端がフリーの状態で、中央部を25.4mm間隔の位置で吊り下げた状態に支持具22で支持するとともに、その中点20Mを逆U字状の固定された治具21の直線状の上辺部21Aに対して、下側から直角に交差するように当てる。ここで、上辺部21Aは断面円形(直径=3.0mm)の棒状をなす。この状態から、支持具22を引張速度500mm/分で上方に引き上げて、スチールコード20を治具21により曲げながら、支持具22にかかる荷重を測定する。そのときの最大荷重(cN)の、n=5の平均値をもってコード曲げ硬さとする。
スチールコード1本当りのコード強度は、3300N/mm以上であれば特に限定されないが、3300〜3800N/mmであることが好ましく、3300〜3700N/mmであることがより好ましい。ここで、本明細書において「コード強度」とは、JIS G3510に準拠して、引張試験機を用いて測定したスチールコード1本当りの引張強力を、スチールコード20の断面積で割った値である。
ベルトプライ1枚の単位幅当りのコード強力は、16kN/25.4mm以上であれば特に限定されないが、18〜23kN/25.4mmであることが好ましい。ここで、本明細書において「単位幅当りのコード強力」とは、JIS G3510に準拠して、引張試験機を用いて測定したスチールコード1本当りの引張強力に打ち込み本数(本/25.4mm)を掛け合わせた値である。
本実施形態の空気入りタイヤにおける、ベルト層の幅寸法中におけるスチールコードの占有率(「コード占有率」)は、特に限定されないが、好ましくは75%以下であり、より好ましくは40〜75%である。コード占有率が75%以下であると、ベルト層6が剛直になりすぎず、優れた乗り心地が得られやすい。また、コード占有率が75%以下であると、スチールコード20間の距離が小さくなりすぎず、スチールコード20間の応力をゴム層により充分に吸収でき、「コードセパレーション」と呼ばれる、スチールコード20間の分離や、剥離が生じにくくなる。そのようなコードセパレーションが生じると、タイヤの耐久性が低下する。ここで、「コード占有率(%)」は、コードを所定の打ち込み密度で引き揃えて配列しゴム被覆された、いわゆるトッピング反において、次式で計算される値を使用する。
〈式1〉
コード占有率(%)=コードの長径(mm)×コード打ち込み本数(本/25.4mm)×100/1(25.4mm)
本実施形態に係る空気入りタイヤの種類としては、特に限定されず、乗用車用タイヤ、トラックやバスなどに用いられる重荷重用タイヤなどの各種のタイヤが挙げられ、ライトトラック用タイヤとして好適に用いることができる。
上記実施形態においては、ベルト補強層8が、ベルト層6をその全幅で覆うキャッププライであるものについて説明したが、これに限定されず、ベルト層6のタイヤ幅方向外側の端部とその周辺を覆う、エッジプライであってもよく、エッジプライがキャッププライのタイヤ幅方向の両端部が折り返された部分からなるものであってもよい。
上記実施形態では、ライトトラック用の空気入りタイヤとして、ベルト層6がベルトプライ2枚、ベルト補強層8がベルト補強プライ1枚からなるものについて説明したが、ベルト層6が3枚以上のベルトプライからなるものであってもよく、ベルト補強層8を有しないものであってもよい。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
下記表1に示す構造を持つスチールコードを作製した。また、撚りピッチは、13.5mmとした。なお、表1中の「2×0.15/5×0.28」の0.15はコアのフィラメント径が0.15mmであり、本数が2本であり、0.28はシースのフィラメント径が0.28mmであり、本数が5本であることを示す。
スチールコードについての測定方法は以下の通りである。
・フィラメント径(mm)、コード径(mm)、断面積(mm):JIS G3510に準拠し、所定の厚み計によりコード及びフィラメントの直径を計測した。フィラメントの直径とコード構造からスチールコードの断面積を求めた。
・コード曲げ硬さ(cN/本):各コードについて、コードのコード曲げ硬さを、図3を用いて上述した方法により測定した。すなわち、室温下にて、長さ80mmのスチールコード20を、図3に示すように、両端がフリーの状態で、中央部を25.4mm間隔の位置で吊り下げた状態に支持具22で支持するとともに、その中点20Mを逆U字状の固定された治具21の直線状の上辺部21Aに対して、下側から直角に交差するように当て、この状態から、引張試験機((株)島津製作所製 オートグラフ)を用いて支持具22を引張速度500mm/分で上方に引き上げて、スチールコード20を治具21により曲げながら、支持具22にかかる荷重を測定した。そのときの最大荷重(cN)の、n=5の平均値をもってコード曲げ硬さとした。
・曲げ剛性(N/25.4mm):コード曲げ硬さに打ち込み本数を掛け合わせた値である。
・スチールコード1本当りの引張強力(N):JIS G3510に準拠し、スチールコードとフィラメントの強伸度特性を、引張り試験機((株)島津製作所製 オートグラフ)を用いて測定した。
・スチールコード1本当りのコード強度(N/mm):スチールコード1本当りの引張強力を、スチールコードの断面積で割った値である。
・ベルトプライ1枚の単位幅当りのコード強力(kN/25.4mm):引張強力に打ち込み本数を掛け合わせた値である。
得られたコードをベルト層用のコードとして用いて、タイヤサイズがLT265/75R16であるライトトラック用タイヤを、常法に従い加硫成形した。各タイヤについて、ベルト層以外の構成は、全て共通の構成とした。カーカスは、1670dtex/2のポリエチレンテレフタレート(PET)からなる有機繊維コードを用いて、打ち込み本数を22本/25mmとしたカーカスプライを2プライとした。
ベルトプライ(6A)/(6B)におけるスチールコードの角度は、タイヤ周方向に対して+23°/−23°とした。
ベルトプライは、スチールコードをその長径方向がベルト面に平行になるように、表1記載の打ち込み本数にて配置した上で、カレンダー装置を用いて、トッピング反とすることにより作製した。
ベルト補強層は、1400dtex/2のナイロン66からなる有機繊維コードを用いて、打ち込み本数を28本/25mmとしたベルト補強プライを2プライとした。
得られた各空気入りタイヤにつき、ベルトプライ重量、タイヤ重量、乗り心地性、及び耐久性を評価した。各評価項目の評価方法を、以下に示す。
・ベルトプライ重量:ベルトプライの単位面積当たりの重量であり、比較例1のベルトプライの単位面積当たりの重量を100として指数で表示した。指数が小さほど軽い。
・タイヤ重量:タイヤ1本当りの総重量であり、比較例1のタイヤの総重量を100として指数表示した。指数が小さいほど軽く、98以下であればタイヤ重量の低減効果があると評価した。
・乗り心地性:内圧200kPaで標準リムに組み込んだ試験タイヤを試験車両の前輪に装着し、一般道の轍を模した図4に示す断面形状を持つ試験路40(轍の高低差h=20mm)にて、タイヤの乗り越し性を官能評価した。轍をスムーズに乗り越せるものを「○」、振動がやや不快なものを「△」、振動が大きいものを「×」とした。
・耐久性:表面が平滑な鋼製の直径1700mmの回転ドラムを有するドラム試験機により、周辺温度38±3℃、JIS規定の標準リムを使用してタイヤ内圧600kPa、速度64km/hで一定として、JATMA規定の最大荷重の70%で7時間、次に最大荷重の88%で16時間、最大荷重の106%で24時間走行させた後、タイヤ外観及び内面に異常がなければさらに最大荷重の115%で24時間走行させた後、タイヤ外観及び内面に異常がなければさらに最大荷重の130%で24時間走行させる。この時タイヤ外観及び内面に異常がなければさらに最大荷重の160%で故障が発生するまで走行させた。故障発生までの走行距離を、従来例を100とする指数で表1に示す。指数が大きいほど耐久性に優れる。
Figure 2020104772
結果は、表1に示す通りであり、実施例1〜3は、比較例1と比較し、タイヤ重量が低減し、優れた乗り心地性及び耐久性が得られた。
比較例2は、コード強度が下限値未満の例であり、タイヤ重量の低減効果が十分ではない。
比較例3は、ベルトプライ1枚の単位幅当りのコード強力が下限値未満の例であり、比較例1と比較し、耐久性が劣っていた。
比較例4は、コード径及びコード曲げ硬さが上限値を超える例であり、タイヤ重量の低減効果、及び乗り心地性の向上効果が十分ではない。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車、ライトトラック、バス等の各種車両に用いることができる。
1……ビード部
2……サイドウォール部
3……トレッド部
4……カーカス
5……ビードコア
6……ベルト層
6A……第1ベルトプライ
6B……第2ベルトプライ
7……トレッドゴム部
8……ベルト補強層
11……コア
12……シース
13……コアのフィラメント
14……シースのフィラメント
20……スチールコード
20M…中点
21……治具
21A…上辺部
22……支持具

Claims (3)

  1. カーカスと、カーカスのクラウン部の外周に配されたベルト層と、ベルト層の外周に配されたベルト補強層とを有する空気入りタイヤであって、
    前記ベルト層は、スチールコードをタイヤ周方向に対して傾斜させて配列させてなるベルトプライからなり、
    前記スチールコードのコード径が0.90mm以下であり、
    前記スチールコード1本当りのコード曲げ硬さが800cN以下であり、
    前記スチールコード1本当りのコード強度が3300N/mm以上であり、
    前記ベルトプライ1枚の単位幅当たりのコード強力が16kN/25.4mm以上であることを特徴とする、空気入りタイヤ。
  2. 前記スチールコードの構造が、m本のフィラメントを引き揃えたコアと、その周りにn本のフィラメントを配したシースとからなる束を同じピッチで撚り合わせたm/n構造であることを特徴とする、空気入りタイヤ。
  3. ライトトラック用であることを特徴とする、空気入りタイヤ。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016141897A (ja) * 2015-01-30 2016-08-08 株式会社ブリヂストン ゴム物品補強用スチールコード及びタイヤ

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