JP2020104342A - モニタリング機能付き炭素繊維材 - Google Patents

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Abstract

【課題】補強された構造物の損傷、変形等の補強状態を長期にわたり高精度にて安定して把握することのできるモニタリング材としての機能をも備えたモニタリング機能付き炭素繊維材を提供する。【解決手段】モニタリング機能付き炭素繊維材1は、炭素繊維材10の互いに離間した少なくとも2箇所に、炭素繊維材10の電気抵抗を計測するための金属めっき電極11を備え、金属めっき電極11は、(a)主成分としてニッケル25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有した単層構造の単層ニッケル合金めっき層、又は、(b)ニッケルに対する添加材の混合比率を変化させたニッケル合金めっき層を上下方向に積層した積層構造の複数層ニッケル合金めっき層、を有し、単層ニッケル合金めっき層及び複数層ニッケル合金めっき層は、引張強さが25〜90kg/mm2、伸び率が3%以上、Hv硬度が150〜650である。【選択図】図1

Description

本発明は、鋼橋、鋼建造物における鋼製の桁、梁、更には、機械装置の鋼製部材などのような鋼構造物、プレストレストコンクリート橋などのコンクリート構造物など(以下、鋼構造物、コンクリート構造物などを含めて、単に「構造物」という。)に接着することによって、構造物を補修補強(以後、単に「補強」という。)する補強材としての機能を有しており、且つ、補強箇所における疲労亀裂の発生と進展、又は、構造物からの補強材の剥離などを監視(モニタリング)し、補強された構造物の損傷、変形等の補強状態を把握することのできる検知材としての機能を備えているモニタリング機能付き炭素繊維材に関するものである。更には、本発明は、航空機、機械装置などの筐体部材等の構造部材として使用することができ、且つ、部材の疲労亀裂、腐食劣化の進行をも監視することのできるモニタリング機能付き炭素繊維材に関するものである。
例えば、鋼構造物である鋼橋においては、鋼橋の桁、梁、その他の鋼部材における疲労及び腐食などによる損傷が数多く見受けられる。また、荷重増加に対処するため、鋼部材の補強を必要とする場合も増えている。鋼部材に一旦疲労亀裂が発生すると、徐々に亀裂が進行し、鋼部材が破断に至るおそれもある。
そこで、特許文献1は、炭素繊維にマトリクス樹脂が含浸され、硬化された連続した炭素繊維強化プラスチック(CFRP)線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、鋼構造物の表面に接着剤にて接着して鋼構造物を補強するための炭素繊維強化プラスチック線材シートであって、特に、炭素繊維強化プラスチック線材の中の所定の炭素繊維強化プラスチック線材は、該線材の両端に端子電極が付設されており、該線材の電気抵抗が計測可能とされた炭素繊維強化プラスチック線材センサとされる炭素繊維強化プラスチック線材シートを開示している。
更に、特許文献1は、鋼構造物に接着された炭素繊維強化プラスチック線材シートの上記炭素繊維強化プラスチック線材センサの電気抵抗を計測することにより、補強された鋼構造物の補強状態を検知する鋼構造物の補強方法を開示している。この補強方法によれば、炭素繊維強化プラスチック線材センサの電気抵抗値をR、初期抵抗値をRoとしたとき、下記式で表わされるRcrを電気抵抗変化率とすると、
Rcr=(R−Ro)/Ro
(1)炭素繊維強化プラスチック線材センサの電気抵抗値(R)を計測し、電気抵抗変化率(Rcr)が増大している領域が発生したとき、該電気抵抗変化率が増大している領域に対応する補強された鋼構造物に亀裂が発生したか、又は、亀裂の進展があったか、又は、鋼構造物に腐食劣化が進行したかのいずれかであると判断し、また、
(2)炭素繊維強化プラスチック線材センサの電気抵抗値(R)を計測し、電気抵抗変化率(Rcr)が減少している領域が発生したとき、該電気抵抗変化率が減少している領域にて補強された鋼構造物から繊維シートの剥離が生じたと判断する、
こととしている。
また、非特許文献1には、プレストレストコンクリート橋などのコンクリート構造物において、グラウト充填不良に起因してPC鋼材が腐食し、破断に至るとの認識の下に、従来PC桁の補強方法として採用されている炭素繊維強化補強材(CFRPプレート)を用いた緊張補強方法において、構造物の補強材料としてのCFRPプレート緊張材に対して、補強用緊張材の機能と、PC鋼材破断によるPC桁の変状監視用のモニタリング材としての機能を兼ねさせることを記載している。
ここで、非特許文献1は、CFRPプレート緊張材の両端部に銅めっきを施して電極を形成し、CFRPプレート緊張材の電気抵抗を測定し、CFRPプレート緊張材の電気抵抗値の変化をモニタリングすることによりPC鋼材の破断の検知が可能であることを教示している。
特開2016−186209号公報
「炭素繊維プレート緊張材を用いたPC鋼材破断によるPC桁の変状モニタリングに関する研究」コンクリート工学年次論文集,Vol.39,No.2,2017、第1273頁〜第1278頁
上述したように、特許文献1に記載される方法によれば、鋼構造物を有効に補強すると共に、補強した際の補強箇所における疲労亀裂の発生、亀裂の進展、鋼部材の腐食劣化の進行、補強シートの剥離などを監視して鋼構造物の補強状態の検知が可能である。
しかしながら、特許文献1の炭素繊維強化プラスチック線材センサの端子電極は、具体的には、炭素繊維強化プラスチック線材の両端部を他の炭素繊維強化プラスチック線材より僅かに突出させ、この突出端部の表面をヤスリ掛けして、含浸されている表面の樹脂を除去し、その後、突出端部に電気導線を巻き付けて取付け、その後、導線が巻き付けられた端子部分に導電性接着剤を塗布して、硬化させることによって、作製されている。斯かる作業は煩雑であり、更なる改良が望まれている。
また、特許文献1に記載の炭素繊維強化プラスチック線材センサは、炭素繊維強化プラスチック線材に対する端子電極の接着不良により、初期抵抗値Roが、下記式(2)で示される初期抵抗理論値Rothより大きくなる場合があり、抵抗計測値が安定せず、モニタリング用検知材としては更なる改良が望まれる。
Roth=ρ×(L/As) (2)
Roth:初期抵抗理論値
ρ:体積抵抗率
L:電気抵抗測定区間の長さ
As:炭素繊維強化プラスチック線材センサ1本当たりの断面積
一方、非特許文献1においては、本発明者らの研究実験の結果によれば,CFRPプレート緊張材の両端部に銅めっきを施して電極が形成されており、特許文献1が有する上記問題、即ち、CFRPプレート緊張材に対する端子電極の接着不良により初期抵抗値が高くなることがある、といった問題は解消している。
しかしながら、本発明者らの更なる研究の結果によると、非特許文献1に記載する銅めっきにて形成された端子電極構成では、時間の経過と共に、初期電気抵抗値が増加するという問題を有していることが分かった。これは、銅めっきが有する耐食性に問題があり、炭素繊維強化樹脂材とされるCFRPプレート緊張材と銅めっきとの接触抵抗が経時的に変化するものと思われる。従って、非特許文献1に記載するように、構造物の補強材としてのCFRPプレート緊張材に対して、補強用緊張材の機能と、PC鋼材破断によるPC桁の変状監視用のモニタリング材とを兼ねさせるには、炭素繊維強化樹脂材の電極構成を更に改善する必要があることが分かった。つまり、経時的に生じるCFRPプレートに対する端子電極の接着不良を解決すること、即ち、CFRPプレートの伸びに対して端子電極を構成する電極めっきが剥離することなく追従することが重要であることが分かった。
そこで、炭素繊維強化樹脂材に対する金属めっき電極について更に多くの研究実験を行った結果、電極用金属めっきの材料及びその物性値を特定することにより、CFRPプレートの伸びに対してめっき層剥離を起こすことなく追従することができ、特許文献1及び非特許文献1が有する炭素繊維強化樹脂材の初期電気抵抗値変動の問題を解決して経時的に初期電気抵抗値を一定に維持し得ることを見出した。特に、CFRPプレートに対抗し得る靭性、耐力、耐摩耗性、などを有することが重要であり、めっき材料としては、銅めっきより耐食性に優れたニッケル、コバルト、亜鉛を使用すること、更には、めっき層の物性値としては、引張強さ、伸び率、硬度、更に、電着応力などを特定の範囲に規定することが必要であることを見出した。
本発明は、斯かる本発明者らによる新規な知見に基づくものである。
本発明の目的は、鋼構造物、コンクリート構造物などの補修補強用補強材としての機能を有しており、且つ、補強された構造物の損傷、変形等の補強状態を長期にわたり高精度にて安定して把握することのできるモニタリング材としての機能をも備えたモニタリング機能付き炭素繊維材を提供することである。
本発明の他の目的は、航空機、機械装置などに使用される軽量、高強度の筐体部材等の構造部材として使用することができ、且つ、部材の疲労亀裂、腐食劣化の進行をも長期にわたり高精度にて安定して監視することのできるモニタリング機能付き炭素繊維材を提供することである。
上記目的は本発明に係るモニタリング機能付き炭素繊維材にて達成される。要約すれば、第1の本発明は、構造物の表面に接着剤にて接着して構造物を補強するか、或いは、構造部材として使用することのできる炭素繊維材を有するモニタリング機能付き炭素繊維材であって、
前記炭素繊維材の互いに離間した少なくとも2箇所に、前記炭素繊維材の電気抵抗を計測するための金属めっき電極を備え、前記金属めっき電極は、
(a)主成分としてニッケル25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有した単層構造の単層ニッケル合金めっき層、又は、
(b)主成分としてニッケル25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有したニッケル合金めっき層であって、前記ニッケルに対する前記添加材の混合比率を変化させた前記ニッケル合金めっき層を上下方向に積層した積層構造の複数層ニッケル合金めっき層、
を有し、
前記単層ニッケル合金めっき層及び前記複数層ニッケル合金めっき層は、引張強さが25〜90kg/mm、伸び率が3%以上、Hv硬度が150〜650である、
ことを特徴とするモニタリング機能付き炭素繊維材である。
第1の本発明の一実施態様によれば、前記単層構造の前記単層ニッケル合金めっき層は電着応力が−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内であり、また、前記積層構造の前記複数層ニッケル合金めっき層は、前記積層構造をなす前記各ニッケル合金めっき層が有する電着応力が合成された電着応力を有し、前記合成された電着応力は、−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内である。
第1の本発明の他の実施態様によれば、前記添加材は、リン、タングステン、コバルト、鉄及び硫黄より成る群から選ばれた一種、又は、複数種である。
第2の本発明は、構造物の表面に接着剤にて接着して構造物を補強するか、或いは、構造部材として使用することのできる炭素繊維材を有するモニタリング機能付き炭素繊維材であって、
前記炭素繊維材の互いに離間した少なくとも2箇所に、前記炭素繊維材の電気抵抗を計測するための金属めっき電極を備え、前記金属めっき電極は、
(a)主成分としてコバルト25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有した単層構造の単層コバルト合金めっき層、又は、
(b)主成分としてコバルト25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有したコバルト合金めっき層であって、前記コバルトに対する前記添加材の混合比率を変化させた前記コバルト合金めっき層を上下方向に積層した積層構造の複数層コバルト合金めっき層、
を有し、
前記単層コバルト合金めっき層及び前記複数層コバルト合金めっき層は、引張強さが25〜90kg/mm、伸び率が3%以上、Hv硬度が150〜650である、
ことを特徴とするモニタリング機能付き炭素繊維材である。
第2の本発明の一実施態様によれば、前記単層構造の前記単層コバルト合金めっき層は電着応力が−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内であり、また、前記積層構造の前記複数層コバルト合金めっき層は、前記積層構造をなす前記各コバルト合金めっき層が有する電着応力が合成された電着応力を有し、前記合成された電着応力は、−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内である。
第2の本発明の他の実施態様によれば、前記添加材は、リン、タングステン、ニッケル、鉄及び硫黄より成る群から選ばれた一種、又は、複数種である。
第3の本発明は、構造物の表面に接着剤にて接着して構造物を補強するか、或いは、構造部材として使用することのできる炭素繊維材を有するモニタリング機能付き炭素繊維材であって、
前記炭素繊維材の互いに離間した少なくとも2箇所に、前記炭素繊維材の電気抵抗を計測するための金属めっき電極を備え、
前記金属めっき電極は、主成分として亜鉛51wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有した亜鉛合金めっき層を有し、
前記亜鉛合金めっき層は、引張強さが20〜250kg/mm、伸び率が3%以上、Hv硬度が100〜250である、
ことを特徴とするモニタリング機能付き炭素繊維材である。
第3の本発明の一実施態様によれば、前記亜鉛合金めっき層は電着応力が−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内である。
第3の本発明の他の実施態様によれば、前記添加材は、ニッケルである。
上記第1、第2、第3の本発明の他の実施態様によれば、前記金属めっき電極は、最外層の表層金属めっき層として、金めっき層若しくは白金めっき層を有するか、又は、前記金属めっき電極は、最外層として導電性DLC層を有する。
上記第1、第2、第3の本発明の他の実施態様によれば、前記炭素繊維材は、炭素繊維を一方向に引き揃えてシート状とされた炭素繊維シートにマトリクス樹脂が含浸され、硬化された炭素繊維強化複合材であるか、又は、前記炭素繊維材は、炭素繊維にマトリクス樹脂が含浸され、硬化された連続した炭素繊維強化プラスチック線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃えてシート状とされた炭素繊維ストランドシートであるか、又は、前記炭素繊維材は、炭素繊維にマトリクス樹脂が含浸され、硬化された連続した略断面形状の炭素繊維強化プラスチックロッドであるか、若しくは、略矩形断面形状の炭素繊維強化プラスチックプレートであるか、又は、前記炭素繊維材は、炭素繊維を一方向に並べてマトリクス樹脂が含浸、硬化された紐状炭素繊維を複数積層して形成される縦補強筋と横補強筋とを格子状に配置して形成される炭素繊維格子材である。
上記第1、第2、第3の本発明の他の実施態様によれば、前記炭素繊維材の端部に前記金属めっき電極が形成された電極形成部は、厚さ方向に傾斜した傾斜面とされ、前記傾斜面に前記金属めっき電極が形成されているか、又は、前記炭素繊維材の端部に前記金属めっき電極が形成された電極形成部は、端部が湾曲した湾曲形状とされ、前記湾曲形状面に前記金属めっき電極が形成されている。
上記第1、第2、第3の本発明の他の実施態様によれば、前記炭素繊維は、ピッチ系又はPAN系の炭素繊維であり、
前記マトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂とされ、前記熱硬化性樹脂は、常温硬化型若しくは熱硬化型のエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、MMA樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、又は、光硬化型樹脂であり、又、前記熱可塑性樹脂は、ナイロン又はビニロンである。
本発明のモニタリング機能付き炭素繊維材は、鋼構造物、コンクリート構造物などの補修補強用補強材として機能することができ、且つ、補強された構造物の損傷、変形等の補強状態を長期にわたり高精度にて安定して把握することができ、モニタリング材としての機能をも達成することができる。
また、本発明のモニタリング機能付き炭素繊維材は、航空機、機械装置などに使用される軽量、高強度の筐体部材等の構造部材として使用することができ、且つ、部材の疲労亀裂、腐食劣化の進行をも長期にわたり高精度にて安定して監視することができる。
図1(a)は、本発明に係るモニタリング機能付き炭素繊維材の一実施例を示す斜視図であり、図1(a−1)は、計測器から外されたモニタリング機能付き炭素繊維材の端子を保護容器に収納した状態を示す図であり、図1(b)は、本発明に係るモニタリング機能付き炭素繊維材を構造物に接着した状態を示す一実施例の断面図であり、図1(c)は、本発明に係るモニタリング機能付き炭素繊維材におけるめっき電極形成位置の他の変更例を説明する図である。 図2は、本発明に係るモニタリング機能付き炭素繊維材に使用する炭素繊維材の一実施例を示す斜視図である。 図3(a)、(b)は、本発明に係るモニタリング機能付き炭素繊維材に使用する炭素繊維材の他の実施例を示す斜視図である。 図4(a)、(b)は、本発明に係るモニタリング機能付き炭素繊維材に使用する炭素繊維強化プラスチック線材の一実施例を示す断面図である。 図5(a)、(b)は、本発明に係るモニタリング機能付き炭素繊維材に使用する炭素繊維材の他の実施例を示す斜視図である。 図6(a)、(b)は、本発明に係るモニタリング機能付き炭素繊維材に使用する炭素繊維材の他の実施例を示す斜視図である。 図7(a)〜(d)は、本発明に係るモニタリング機能付き炭素繊維材の金属めっき電極の形成態様を説明する斜視図である。 図8(a)〜(d)は、本発明に係るモニタリング機能付き炭素繊維材の金属めっき電極の形成態様を説明する斜視図である。 本発明に係るモニタリング機能付き炭素繊維材の電気抵抗特性を比較例との対比において説明する図である。
以下、本発明に係るモニタリング機能付き炭素繊維材を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
図1(a)、(a−1)、(b)に、本発明に係るモニタリング機能付き炭素繊維材1及びその使用態様の一実施例を示す。図1(a)に示すように、本発明のモニタリング機能付き炭素繊維材1は、炭素繊維材10と、炭素繊維材10の長さ(L)方向に沿って互いに離間して少なくとも2箇所に形成された金属めっき電極11とを有している。つまり、炭素繊維材10の長さ(L)方向に沿って互いに離間して2箇所以上に電極形成領域10sを設け、電極形成領域10sにそれぞれ長さ(L)方向の長さ(L11)にて、幅(W)方向に延在して金属めっき電極11が形成される。
図1(a)に示す実施例では、金属めっき電極11は、図1(a)にて実線で示すように、炭素繊維材10の長手方向両端部に形成されているが、必ずしも両端部にのみ形成されるものではなく、場合によっては、図1(a)にて一点鎖線で示すように、更に、両端部の間において長手方向に沿って互いに距離(Ls)だけ離間して複数箇所に形成することができる。また、場合によっては、金属めっき電極11は、炭素繊維材10の端部ではなく、図1(a)に一点鎖線にて示すように、炭素繊維材10の長手方向に沿って互いに距離(Ls)だけ離間して複数箇所に形成することもできる。
金属めっき電極11、11間の離間距離(Ls)は、炭素繊維材10の長さ(L)にもよるが、例えば、0.1〜50mの範囲にて適宜設定される。この時、各金属めっき電極間の離間距離(Ls)は、同じ距離(等間隔)であっても良いが、異なる距離(不等間隔)とすることもできる。
炭素繊維材10に形成された各金属めっき電極11は、炭素繊維材10の電気抵抗値を計測するために導線12にて端子13を介して外部の計測器50と接続可能とされている。図1(a)に示される炭素繊維材10では、実線で示すように、両端部に形成された金属めっき電極11が導線12にて端子13を介して外部の計測器50に接続されているが、複数の金属めっき電極11が形成されている場合には、それぞれの電極11に対して導線12が接続され、端子13を介して外部の計測器50と接続可能とされている。
金属めっき電極11を長さ(L)方向に3箇所以上に形成した場合には、炭素繊維材10の抵抗値を所定の2箇所の金属めっき電極を選択して計測し、その後、一方の、或いは、両方の電極を他の電極に切り替えて計測することができる。このように、計測個所を切り替えて複数の計測を行うことにより、炭素繊維材による構造物の補強状態変化をより精細に把握することができる。
また、上記構成のモニタリング機能付き炭素繊維材1は、図1(b)に示すように、例えば、鋼構造物或いはコンクリート構造物などの構造物100を補強するために、構造物100の表面に接着剤101にて接着される。勿論、モニタリング機能付き炭素繊維材1は、従来の緊張補強方法に従って、即ち、モニタリング機能付き炭素繊維材1に所定の緊張力を付与することによって緊張し、緊張状態で接着剤にて構造物100に接着固定しても良い。更には、図示してはいないが、本発明のモニタリング機能付き炭素繊維材1は、それ自体が、例えば、航空機、機械装置などの筐体部材等の構造部材として使用することができ、しかも、金属めっき電極11を利用して該構造部材の疲労亀裂、腐食劣化の進行をも監視することができる。
モニタリング機能付き炭素繊維材1は、計測器50に接続されていないときは、図1(a−1)に示すように、計測器50から取り外された端子13、13は、腐食防止のために、構造物100の適当な箇所に取付けられた保護容器30等に収容して、更に、保護容器30内を充填剤(例えば、耐熱パテ)31で充填して保管しておくことができる。
なお、上記実施例では、モニタリング機能付き炭素繊維材1にて、金属めっき電極11は、炭素繊維材10の幅(W)方向全領域に延在して設けられるものとして説明したが、図1(c)に示すように、幅方向の一部領域(W11)に設けることもできる。
次に、本発明のモニタリング機能付き炭素繊維材1を構成する各構成部材について説明する。
(炭素繊維材)
本発明のモニタリング機能付き炭素繊維材1は、種々の形態の炭素繊維材10を使用することができる。炭素繊維材10を具体的に具体例1〜5として説明するが、本発明で使用する炭素繊維材10の形態は、これら具体例に限定されるものではない。
具体例1
図2に本発明にて使用することのできる炭素繊維材10の具体例を示す。具体例1にて炭素繊維材10は、図2に示すように連続した強化繊維としてのピッチ系或いはPAN系の炭素繊維fを一方向に引き揃えてシート状に構成された炭素繊維シートFsに樹脂Reを含浸し、前記樹脂が硬化された炭素繊維シート、所謂、板状の炭素繊維強化複合材(CFRP板)10Aである。炭素繊維fは、例えば平均径7μmの単繊維(炭素繊維モノフィラメント)を6000〜24000本収束した樹脂未含浸の単繊維束を複数本、一方向に平行に引き揃えて使用される。炭素繊維シート10Aの繊維目付は、通常、30〜1000g/mとされる。勿論、この炭素繊維シート10Aは、一方向に繊維が配列した単層或いは複数層から成る板厚(T)が0.5〜10mm程度のCFRP板とすることができる。
炭素繊維シート10Aにおける樹脂Reとしては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を使用することができ、熱硬化性樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂などが好適に使用され、又、熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂、ナイロン、ビニロンなどが好適に使用可能である。又、繊維体積含有率(Vf)は、40〜75%、好ましくは、50〜70%とされる。
このようにして形成された炭素繊維シート10Aの長さ(L)及び幅(W)は、補強される構造物の寸法、形状に応じて適宜決定されるが、取扱い上の問題から、一般に、全幅(W)は、100〜1000mmとされる。又、長さ(L)は、1〜5m程度の短冊状のもの、或いは、100m以上のものを製造し得るが、使用時においては、適宜切断して使用される。
具体例2〜5
図3〜図6に、本発明にて使用することのできる炭素繊維材10の他の具体例2〜5を示す。
具体例2にて炭素繊維材10は、図3(a)に示すようにマトリクス樹脂Rが含浸され硬化された強化繊維として炭素繊維fを含む細径の連続した炭素繊維強化プラスチック線材(ストランド)2を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、各線材2を互いに線材固定材3にて固定した炭素繊維シート、所謂、炭素繊維ストランドシート10Bとされる。
炭素繊維強化プラスチック線材2は、図4(a)、(b)に示すように、直径(d)が0.5〜3mmの略円形断面形状(図4(a))であるか、又は、幅(w)が1〜10mm、厚み(t)が0.1〜2mmとされる略矩形断面形状(図4(b))とし得る。勿論、必要に応じて、その他の種々の断面形状とすることができる。
上述のように、炭素繊維強化プラスチック線材2を一方向に引き揃えスダレ状とされた炭素繊維ストランドシート10Bにおいて、各線材2は、互いに空隙(g)=0.05〜3.0mmだけ近接離間して、線材固定材3にて固定される。また、このようにして形成された炭素繊維ストランドシート10Bの長さ(L)及び幅(W)は、補強される構造物の寸法、形状に応じて適宜決定されるが、取扱い上の問題から、一般に、全幅(W)は、100〜1000mmとされる。又、長さ(L)は、1〜5m程度の短冊状のもの、或いは、100m以上のものを製造し得るが、使用時においては、適宜切断して使用される。
炭素繊維ストランドシート10Bの線材2は、強化繊維としてのピッチ系又はPAN系炭素繊維fは、例えば平均径7μmの単繊維(炭素繊維モノフィラメント)を6000〜24000本収束した単繊維束を複数本、一方向に平行に引き揃えて使用することができる。また、炭素繊維強化プラスチック線材2に含浸されるマトリクス樹脂Rは、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を使用することができ、熱硬化性樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂などが好適に使用され、又、熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂、ナイロン、ビニロンなどが好適に使用可能である。又、繊維体積含有率(Vf)は、40〜75%、好ましくは、50〜70%とされる。
又、各線材2を線材固定材3にて固定する方法としては、図3(a)に示すように、例えば、線材固定材3として横糸を使用し、一方向にスダレ状に配列された複数本の線材2から成るシート形態とされる線材シートを、線材に対して直交して一定の間隔(P)にて打ち込み、編み付ける方法を採用し得る。横糸3の打ち込み間隔(P)は、特に制限されないが、作製された繊維シート1の取り扱い性を考慮して、通常10〜100mm間隔の範囲で選定される。このとき、横糸3は、例えば直径2〜50μmのガラス繊維或いは有機繊維を複数本束ねた糸条とされる。又、有機繊維としては、ナイロン、ビニロン、ポリエステルなどが好適に使用される。
各線材2をスダレ状に固定する他の方法としては、図3(b)に示すような線材固定材3としてメッシュ状支持体シート3を使用することができる。つまり、メッシュ状の支持体シート3を構成する縦糸4及び横糸5の表面に低融点タイプの熱可塑性樹脂を予め含浸させておき、メッシュ状支持体シート3をシート状に配列したストランド(炭素繊維ストランドシート)の片面或いは両面に積層して加熱加圧し、メッシュ状支持体シート3の縦糸4及び横糸5の部分を炭素繊維ストランドシートに溶着する。上記線材固定材3の糸条としては、例えばガラス繊維を芯部に有し、低融点の熱融着性ポリエステルをその周囲に配したような二重構造の複合繊維も又好ましく用いられる。メッシュ状支持体シート3は、炭素繊維ストランドシート10Bの両面に設けることもできる。
更に、本発明にて使用することのできる炭素繊維材10の他の具体例3、4を、図5(a)、(b)に示す。
図5(a)、(b)に示す具体例3、4の炭素繊維材10は、それぞれ、マトリクス樹脂Rが含浸され硬化された炭素繊維fを含む連続した炭素繊維強化プラスチックロッド(CFRPロッド)10C及び炭素繊維強化プラスチックプレート(CFRPプレート)10Dとされる。炭素繊維強化プラスチックロッド10C及び炭素繊維強化プラスチックプレート10Dは、上記具体例2にて、図4(a)、(b)を参照して説明した炭素繊維強化プラスチック線材(ストランド)2と同じ構成とされるが、ただ、断面積がより大きくされた点で異なる。
つまり、図5(a)に示す円形断面を有する具体例3の細長形状の炭素繊維材10は、直径(D10)が8〜10mmの略円形断面形状の炭素繊維強化プラスチックロッド10Cとされる。また、図5(b)に示す略矩形断面を有する具体例4の細長形状の炭素繊維材10は、幅(W10)が50〜100mm、厚み(T10)が1〜3mmの略矩形断面形状の炭素繊維強化プラスチックプレート10Dとされる。
具体例3、4に示す炭素繊維強化プラスチックロッド10C及び炭素繊維強化プラスチックプレート10Dは、構造物の補強に使用することもできるが、機械装置の筐体部材における、例えば、細長形状のロッド部材及びプレート部材のような構造部材として使用することができる。
具体例5にて炭素繊維材10は、図6(a)に示すように、通常、直角に交差して格子状に配置された複数の筋、即ち、縦格子筋21と横格子筋22とからなる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)格子材10Eである。格子材10Eの各筋21、22は、強化繊維としての炭素繊維を一方向に並べて、マトリクス樹脂を含浸させた帯状強化繊維を複数層積層して形成される。各筋21、22は、筋幅(w)が3〜10mm、厚さ(t)が1〜5mmとされる。また、各筋は、距離(Lx、Ly)3〜15cm離間して形成される。格子材10Eのいずれかの縦格子筋21の両端部の電極形成領域10s、或いは、図示してはいないが、両端部でない所定の箇所の電極形成領域に金属めっき電極11を形成することもできる。
なお、本具体例では、図6(b)に図示するように、格子材10Eの、少なくとも、両端部の横格子筋23は、他の横格子筋22より幅広に形成し、この幅広部分の電極形成領域10sに金属めっき電極11を形成することもできる。
斯かる格子材10Eは、構造物にモルタル等の固定材にて取り付けられ、構造物の補強に使用される。
(めっき電極)
図1(a)を参照して上述したように、本発明のモニタリング機能付き炭素繊維材1は、上記種々の構成とされる炭素繊維材10(10A〜10E)の長手方向において互いに離間して少なくとも2箇所に、金属めっき電極11が形成される。次に、上記具体例で示した炭素繊維材10に対する金属めっき電極11の形成方法について、説明する。
上記具体例1で説明した図2に示すCFRP板である炭素繊維シート10Aとされる炭素繊維材10は、図1(a)、図7(a)に示すように、両端部の電極形成領域10sに湿式めっき法(電解めっき又は無電解めっき)により金属めっきを施すことによって金属めっき電極11が形成される。
電極形成領域10sは、めっき処理を施す前に、サンダーなどの研磨手段にて、表層の硬化した表面樹脂層を研磨し、炭素繊維を露出させることが好ましい。勿論、図1(a)に示すように、炭素繊維材10の中間部に金属めっき電極11を形成する場合においても、電極形成領域10Sは、めっき処理を施す前に、サンダーなどの研磨手段にて、表層の硬化した表面樹脂層を研磨し、炭素繊維を露出させることが重要である。
また、図7(b)に示すように、炭素繊維材10は、金属めっき電極11を炭素繊維材10の両端部に形成する場合には、金属めっき電極11を形成する端部は、外方端縁部へと厚さ方向に傾斜したテーパ面(傾斜面)10stとするのが好ましい。これにより、金属めっき電極11は、炭素繊維材10の傾斜面10stにて炭素繊維fと接触することができ、電極11と炭素繊維材10との接触面積が増大し、より拡大した接触面での安定した抵抗値の測定が可能となる。また、炭素繊維材10の端面が外部に露出することが無く、外気の影響を受けることが無く腐食し難いという利点がある。これにより、炭素繊維材10の導電性を向上させ、炭素繊維材10の抵抗変化をより安定して計測することができる。
更に、図7(c)に図示するように、炭素繊維材10の端部を湾曲形状に成形した電極形成領域10sを形成することができ、この電極形成領域10sに金属めっき電極11を形成することも可能である。
図8(a)に示すように、上記具体例2で説明した図3に示す炭素繊維ストランドシート10Bとされる炭素繊維材10は、ストランド(炭素繊維強化プラスチック線材)2の両端部の電極形成領域10sに金属めっきを施すことにより金属めっき電極11が形成される。金属めっき電極11が形成されるストランド2は、炭素繊維ストランドシート10Bを構成するストランド2の10本〜100本に対して1本の割合で、複数本のストランドに金属めっき電極11を形成することができる。
金属めっき電極11を形成する電極形成領域10sは、めっき処理を施す前に、サンダーなどの研磨手段にて、表層の硬化した表面樹脂層を研磨し、炭素繊維を露出させることが好ましい。勿論、図1(a)に示すように、炭素繊維材10の中間部に金属めっき電極11を形成する場合においても、電極形成領域10sは、めっき処理の前に、サンダーなどの研磨手段にて、表層の硬化した表面樹脂層を研磨し、炭素繊維を露出させることが重要である。
更に、図8(b)に示すように、炭素繊維ストランドシート10Bとされる炭素繊維材10においても、複数本のストランド2に対して一体として金属めっき電極11を形成することもできる。この場合は、先ず、図8(b)に示すように、互いに離間して配置されているストランド2の間の空隙(g)に、図8(c)、(d)に示すように、導電性の接着剤Rmを充填し、電極形成領域10sを形成し、該電極形成領域10sに金属めっき電極11を形成する。
電極形成領域10sは、めっき処理の前に、サンダーなどの研磨手段にて、表層の硬化した表面樹脂層を研磨し、炭素繊維を露出させることが好ましい。勿論、図1(a)に示すように、炭素繊維材10の中間部に金属めっき電極11を形成する場合においても、電極形成領域10sは、めっき処理を施す前に、サンダーなどの研磨手段にて、ストランド2の表層の硬化した表面樹脂層を研磨し、炭素繊維を露出させることが重要である。
また、本例においても、金属めっき電極11を炭素繊維材10の両端部に形成する場合には、図7(b)に示すように、金属めっき電極11を形成する端部は、外方へと厚さ方向に傾斜するように形成し、この傾斜面に電気めっきを施すこともできる。また、図7(c)に示すように、端部を湾曲形状に成形した電極形成領域10sに電気めっきを施すこともできる。
上記具体例3で説明した図5(a)に示すように、炭素繊維材10が炭素繊維強化プラスチックロッド10Cのような丸棒形状とされる場合は、図示してはいないが図7(b)に示すように端部形状を傾斜面10stとするか、又は、図7(d)に示すように、端部形状を湾曲形状に成形した電極形成領域10sに金属めっき電極11を形成することができる。
上記具体例4で説明した図5(b)に示すように、炭素繊維材10が矩形状断面を有した炭素繊維強化プラスチック棒材10Dされる場合は、上記具体例1の炭素繊維材10に対して行ったと同様に、図7(a)、(b)、(c)に示す態様にて、金属めっき電極11を形成することができる。従って、ここでの再度の説明は省略する。
本発明にて、炭素繊維材10に対する金属めっき電極11は、炭素繊維材10に対して電解めっき、無電解めっきなどの湿式めっき法により金属めっきを行うことにより形成することができる。本発明者らは、炭素繊維材(CFRP)に対し金属めっき電極を形成する際には、CFRPからの金属めっき電極の剥離を防止するために、如何なるめっき材料にて、如何なる物性値を備えた金属めっき層を形成するかということが極めて重要であることが分かった。
本発明にて使用される金属めっき電極に好適に使用されるめっき材料は、ニッケル合金、コバルト合金、亜鉛合金とされる。次に詳しく説明する。
(1)ニッケル合金
本発明にて、金属めっき電極11を構成するめっき層は、
(a)主成分としてニッケル25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有した単層構造の単層ニッケル合金めっき層、又は、
(b)主成分としてニッケル25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有したニッケル合金めっき層であって、ニッケルに対する添加材の混合比率を変化させたニッケル合金めっき層を上下方向に積層した積層構造の複数層ニッケル合金めっき層、
とされる。主成分としてのニッケルに混合される添加材としては、リン、タングステン、コバルト、鉄及び硫黄より成る群から選ばれた一種か、又は、複数種を、好適に使用することができる。
本発明にて、主成分であるニッケルの含有量は25wt%以上、100wt%未満とされるが、好ましくは、ニッケルの含有量は75wt%以上、100wt%未満とされ、残部添加材の含有量は25wt%未満とされる。ニッケル合金めっきにて、ニッケルの含有量が25wt%未満の場合は、耐食性の点で問題が生じる。また、添加材として、リン、タングステン、コバルト、鉄若しくは硫黄のいずれか一種を、又は、複数種を含有することにより、靭性、耐力、耐摩耗性を向上させることができる。
本発明によれば、金属めっき電極11を構成するめっき層は、上述したように、主成分としてニッケル25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有した単層構造の単層ニッケル合金めっき層とし得るが、この場合にニッケル合金めっき層のめっき厚みT11は、特に限定されるものではないが、10〜500μm、通常、50〜100μmとされる。
更に、本発明によれば、金属めっき電極11を構成するめっき層は、上述したように、主成分としてニッケル25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有したニッケル合金めっき層であって、ニッケルに対する添加材の混合比率を変化させたニッケル合金めっき層を上下方向に積層した積層構造の複数層ニッケル合金めっき層とすることもできる。
このような積層構造の複数層ニッケル合金めっき層は、一つのめっき浴において、めっき施工条件を数秒単位で撹拌制御、電流密度制御を行うことにより得ることができる。例えば、ニッケル−リン合金を例として挙げると、8wt%リン含有ニッケル合金めっき層と、12wt%リン含有ニッケル合金めっき層とを数μmの厚さで交互に積層した積層構造の複数層ニッケル合金めっき層を得ることができる。ニッケルに対する添加材の混合比率の小さい層と大きい層の厚さは、それぞれ、1〜500μm、好ましくは、5〜100μmとされ、それぞれ、層厚比は1:1〜1:10の範囲とすることができる。この場合の積層構造の複数層ニッケル合金めっき層の総厚みは10〜500μm、通常、50〜100μmとされる。
斯かるめっき方法は、例えば、特開2015−166483号公報などに記載されるように、当業者には周知の技術であるので、これ以上の詳しい説明は省略する。
本発明にて、単層構造の単層ニッケル合金めっき層、又は、積層構造の複数層ニッケル合金めっき層は、引張強さが25〜90kg/mm(好ましくは、30〜60kg/mm)、伸び率が3%以上、通常、50%以下(好ましくは、4〜16%)、Hv硬度が150〜650(好ましくは、180〜300)とされる。
引張強さが25kg/mm未満では、電極としての強度(耐力)に問題があり、また、90kg/mmを超えると、めっきが施される炭素繊維材(CFRP)の伸びに追従しなくなるといった問題が生じる。更に、伸び率が3%未満では、靭性に問題があり、伸び率は3%以上とされる。
また、Hv硬度が150未満は製造することができず、また、650を超えると、めっき割れが生じるといった問題が生じる。
なお、ニッケル合金めっきにおいては、電流密度、浴温の大きさに応じて、めっき合金層(めっき皮膜)内に残留する電着応力は、圧縮応力又は引張応力とされ、また、その値も変動する。斯かる電着応力は、被めっき材である炭素繊維材10との密着性に影響を与えるものであり、特に、単層構造の単層ニッケル合金めっき層の場合は、電着応力が−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内とされ、特に、−9kg/mm〜+9kg/mmの範囲内とされるのが好ましい。電着応力が−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲外では、経時的に、めっき層のCFRPに対する密着不良を起こし、また、形状、寸法を変化させるといった問題が生じ易くなる。
一方、ニッケルに対する添加材の混合比率を変化させることにより、ニッケル合金めっき層を上下方向に積層した積層構造の複数層ニッケル合金めっき層においては、形成された複数のニッケルめっき層は、各めっき層毎にそれぞれ異なる電着応力、即ち、圧縮応力又は引張応力を有しており、そのため、積層された複数のニッケルめっき層にて形成される積層構造の複数層ニッケル合金めっき層は、全体として複数のニッケルめっき層の合成された電着応力を有することとなる。従って、積層される個々のニッケルめっき層は、単層構造の単層ニッケル合金めっき層の場合と異なり、電着応力が−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内とされる必要はない。ただ、積層された積層構造の複数層ニッケル合金めっき層にて形成されるめっき皮膜は、その合成された電着応力が−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内とされる。
本発明では、金属めっき電極11は、めっき層が上記構成を有することにより、耐食性、耐摩耗性に優れるだけでなく、伸びが著しく改善され、炭素繊維材(CFRP)に対する密着性が大幅に向上し、炭素繊維材(CFRP)の伸びに対してめっき剥離を起こすことなく追従することができる。従って、金属めっき電極を銅めっきにより行っていた時の問題、即ち、炭素繊維材(CFRP)との接触抵抗が経時的に変化するとの問題を解決することができる。
(2)コバルト合金
本発明にて、他の態様によると、金属めっき電極11を構成するめっき層は、
(a)主成分としてコバルト25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有した単層構造の単層コバルト合金めっき層、又は、
(b)主成分としてコバルト25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有したコバルト合金めっき層であって、コバルトに対する添加材の混合比率を変化させたコバルト合金めっき層を上下方向に積層した積層構造の複数層コバルト合金めっき層、
とされる。主成分としてのコバルトに混合される添加材としては、リン、タングステン、ニッケル、鉄及び硫黄より成る群から選ばれた一種か、又は、複数種を、好適に使用することができる。
本発明にて、主成分であるコバルトの含有量は25wt%以上、100wt%未満とされるが、好ましくは、コバルトの含有量は75wt%以上、100wt%未満とされ、残部添加材の含有量は25wt%未満とされる。コバルト合金めっきにて、コバルトの含有量が25wt%未満の場合は、耐食性の点で問題が生じる。また、添加材として、リン、タングステン、ニッケル、鉄若しくは硫黄のいずれか一種を、又は、複数種を含有することにより、靭性、耐力、耐摩耗性を向上させることができる。
本発明によれば、金属めっき電極11を構成するめっき層は、上述したように、主成分としてコバルト25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有した単層構造の単層コバルト合金めっき層とし得るが、この場合にコバルト合金めっき層のめっき厚みT11は、特に限定されるものではないが、10〜500μm、通常、50〜100μmとされる。
更に、本発明によれば、金属めっき電極11を構成するめっき層は、上述したように、主成分としてコバルト25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有したコバルト合金めっき層であって、コバルトに対する添加材の混合比率を変化させたコバルト合金めっき層を上下方向に積層した積層構造の複数層コバルト合金めっき層とすることもできる。
このような積層構造の複数層コバルト合金めっき層は、一つのめっき浴において、めっき施工条件を数秒単位で撹拌制御、電流密度制御を行うことにより得ることができる。例えば、コバルト−リン合金を例として挙げると、8wt%リン含有コバルト合金めっき層と、12wt%リン含有コバルト合金めっき層とを数μmの厚さで交互に積層した積層構造の複数層コバルト合金めっき層を得ることができる。コバルトに対する添加材の混合比率の小さい層と大きい層の厚さは、それぞれ、1〜500μm、好ましくは、5〜100μmとされ、それぞれ、層厚比は1:1〜1:10の範囲とすることができる。この場合の積層構造の複数層コバルト合金めっき層の総厚みは10〜500μm、通常、50〜100μmとされる。
斯かるめっき方法は、例えば、特開2015−166483号公報などに記載されるように、当業者には周知の技術であるので、これ以上の詳しい説明は省略する。
本発明にて、単層構造の単層コバルト合金めっき層、又は、積層構造の複数層コバルト合金めっき層は、引張強さが25〜90kg/mm(好ましくは、30〜60kg/mm)、伸び率が3%以上、通常50%以下(好ましくは、4〜16%)、Hv硬度が150〜650(好ましくは、200〜450)とされる。
引張強さが25kg/mm未満では、電極としての強度(耐力)に問題があり、また、90kg/mmを超えると、めっきが施される炭素繊維材(CFRP)の伸びに追従しなくなるといった問題が生じる。更に、伸び率が3%未満では、靭性に問題があり、伸び率は3%以上とされる。
また、Hv硬度が150未満は製造することができず、また、650を超えると、めっき割れが生じるといった問題が生じる。
なお、ニッケル合金めっきに関連して上述したように、コバルト合金めっきにおいてもまた、電流密度、浴温の大きさに応じて、めっき合金層(めっき皮膜)内に残留する電着応力は、圧縮応力又は引張応力とされ、また、その値も変動する。斯かる電着応力は、被めっき材である炭素繊維材10との密着性に影響を与えるものである。ただ、コバルト合金めっきはニッケル合金めっきに比べ、被めっき材への密着性が良く、電着応力の影響は少ない。しかし、単層構造の単層コバルト合金めっき層の場合は、電着応力が−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内とされ、特に、−9kg/mm〜+9kg/mmの範囲内とされるのが好ましい。電着応力が−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲外では、経時的に、めっき層のCFRPに対する密着不良を起こし、また、形状、寸法を変化させるといった問題が生じ易くなる。
一方、コバルトに対する添加材の混合比率を変化させることにより、コバルト合金めっき層を上下方向に積層した積層構造の複数層コバルト合金めっき層においては、形成された複数のコバルトめっき層は、各めっき層毎にそれぞれ異なる電着応力、即ち、圧縮応力又は引張応力を有しており、そのため、積層された複数のコバルトめっき層にて形成される積層構造の複数層コバルト合金めっき層は、全体として複数のコバルトめっき層の合成された電着応力を有することとなる。従って、積層される個々のコバルトめっき層は、単層構造の単層コバルト合金めっき層の場合と異なり、電着応力が−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内とされる必要はないが、積層された積層構造の複数層コバルト合金めっき層にて形成されるめっき皮膜は、好ましくは、その合成された電着応力が−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内とされる。
本発明では、金属めっき電極11は、めっき層が上記構成を有することにより、耐食性、耐摩耗性に優れるだけでなく、伸びが著しく改善され、炭素繊維材(CFRP)に対する密着性が大幅に向上し、炭素繊維材(CFRP)の伸びに対してめっき剥離を起こすことなく追従することができる。従って、金属めっき電極を銅めっきにより行っていた時の問題、即ち、炭素繊維材(CFRP)との接触抵抗が経時的に変化するとの問題を解決することができる。
(3)亜鉛合金
本発明にて、他の態様によると、金属めっき電極11を構成するめっき層は、
(a)主成分として亜鉛51wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有した亜鉛合金めっき層、
とされる。主成分としての亜鉛に混合される添加材としては、ニッケルが好適に使用される。
本発明にて、主成分である亜鉛含有量は、51wt%以上、100wt%未満とされるが、好ましくは、亜鉛の含有量は75wt%以上、100wt%未満、残部添加材の含有量は25wt%未満とされる。亜鉛合金めっきにて、亜鉛の含有量が51wt%未満の場合は、めっき厚が通常1μmに達することが無く、耐食性の点で問題がある。本発明では、亜鉛含有量を51wt%以上とすることにより、めっき厚みT11を10〜50μm、或いはそれ以上にまで厚くすることができ、耐食性を増大させることができる。
また、添加材としてニッケルを含有することにより、靭性、耐力、耐摩耗性を向上させることができる。
本発明にて、亜鉛合金めっき層は、引張強さが20〜250kg/mm(好ましくは、30〜170kg/mm)、伸び率が3%以上、通常50%以下(好ましくは、3〜20%)、Hv硬度が100〜250(好ましくは、100〜180)とされる。
引張強さが20kg/mm未満では、電極としての強度(耐力)に問題があり、また、250kg/mmを超えると、めっきが施される炭素繊維材(CFRP)の伸びに追従しなくなるといった問題が生じる。更に、伸び率が3%未満では、靭性に問題があり、伸び率は3%以上とされる。
また、Hv硬度が100未満は製造することができず、また、250を超えると、めっき割れが生じるといった問題が生じる。
なお、亜鉛合金めっきにおいてもまた、上述したニッケル合金めっき及びコバルト合金めっきの場合と同様に、電流密度、浴温の大きさに応じて、めっき合金層(めっき皮膜)内に残留する電着応力は、圧縮応力又は引張応力とされ、また、その値も変動する。斯かる電着応力は、被めっき材である炭素繊維材10との密着性に影響を与えるものであり、亜鉛合金めっき層の場合は、電着応力が−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内とされ、特に、−9kg/mm〜+9kg/mmの範囲内とされるのが好ましい。電着応力が−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲外では、経時的に、めっき層のCFRPに対する密着不良を起こし、また、形状、寸法を変化させるといった問題が生じ易くなる。
本発明では、金属めっき電極11は、めっき層が上記構成を有することにより、耐食性、耐摩耗性に優れるだけでなく、伸びが著しく改善され、炭素繊維材(CFRP)に対する密着性が大幅に向上し、炭素繊維材(CFRP)の伸びに対してめっき剥離を起こすことなく追従することができる。従って、金属めっき電極を銅めっきにより行っていた時の問題、即ち、炭素繊維材(CFRP)との接触抵抗が経時的に変化するとの問題を解決することができる。
本発明によると、金属めっき電極11として、上述の構成のニッケル合金めっき、コバルト合金めっき、亜鉛合金めっき、とされる合金めっき層を構成することによって、従来の金属めっき電極11を銅めっきにて形成した場合の問題である、炭素繊維材10の表面に形成した銅めっきが腐食し易く、電気抵抗が時間経過と共に増大することに起因して、炭素繊維材10の計測抵抗値が時間経過とともに変動し、安定して計測し得ないといった問題を解決することができた。
しかしながら、上記めっき層の上に最外層としてめっき電極保護層を設けるのが好ましい。めっき電極保護層としては、例えば、導電性DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティング処理によりDLCコーティング層を形成することができる。なお、DLCコーティング層は、厚さが0.01〜10μmとされる。
また、上記めっき層を下地めっき層として形成し、その上に、表層(第二層)めっき層として、金又は白金を使用して表層めっき層を形成するのが好ましい。
金属めっき層のめっき厚みT11は、特に限定されるものではないが、上述したように、10〜500μmとされ、上記めっき層を下地めっき層として形成した場合には、めっき厚は、10〜500μm(通常、50〜100μm)、表層(第二層)のめっき厚は、1〜500μm(通常、1〜100μm)とされる。
斯かる金属めっき電極11の構成にて、初期電気抵抗値の問題を解決し、経時的にも初期電気抵抗値を一定に維持し得ることができ、従って、補強された構造物の損傷、変形等の補強状態を長期にわたり高精度にて安定してモニタリングにより把握することができる。
つまり、上記の(1)〜(3)に記載の合金を使用した合金めっき層は、炭素繊維材10との密着力が強く、良好な電気的接触が達成されるものと考えられる。従って、めっき層を多層構造とした場合においても、これら合金めっき層を下地めっき層として使用し、更に、表層として金めっき、白金めっきを形成することで、めっき電極としての導電性を更に改良することができる、と考えられる。
以下、本発明の作用効果を立証するための実験例について説明する。
実験例
炭素繊維材10としては、上記具体例4として説明した矩形断面形状の炭素繊維強化プラスチックプレート10Dを使用した。つまり、先ず、具体例1として説明したように、炭素繊維として平均径7μmの単繊維(炭素繊維モノフィラメント)fを24000本収束した単繊維束を複数本一方向に平行に引き揃え、ビニルエステル樹脂を含浸して、プルトルージョン法により引抜き成形し、その後硬化した。これにより、長さ(L)400mm、幅(W)75mm、厚さ(T)3mmの炭素繊維強化プラスチックプレート10Dを作製した。繊維体積含有率(Vf)65%であった。
このようにして作製した炭素繊維強化プラスチックプレート10Dに対して、図7(b)に示すように、両端部の電極形成領域10sを傾斜面10stとし、金属めっきを行った。金属めっき電極11の長さ(L11)は10mmであった。
金属めっき電極11に導線12を半田付けにて接続し、その後、この半田付け部及び金属めっき電極11を覆って、エポキシ樹脂にて被覆した。
このようにして作製したモニタリング機能付き炭素繊維材1の導線12を端子13を介して計測器50に接続し、電気抵抗(初期抵抗値R0)を計測した。本実験では、計測器としては、抵抗計(日置電機株式会社製:商品名「RM3545−02」)を用いた。なお、電気抵抗測定は、4端子測定法を採用した。その結果を図9に示す。
図9にて、金属めっき電極11は、本発明に従った実験例1では、めっき厚さ100μmのニッケル合金めっき(微量の硫黄を含有)とし、実験例2では、下地層をめっき厚さ100μmのニッケル合金めっき(微量の硫黄を含有)とし、表層を金めっき(厚さ1μm)とした。また、従来技術としての比較例1、2は銅めっき(厚さ100μm)とした。
図9を参照すると、本発明に従っためっき層構成とされる実験例1、2では、モニタリング機能付き炭素繊維材1の初期電気抵抗値が時間経過と共に変動することは少なく、特に、実験例2は、長期間にわたって安定していた。つまり、安定してモニタリングが可能であることが分かる。一方、比較例1、2では、モニタリング機能付き炭素繊維材1の初期電気抵抗値が時間と共に変動していることが分かる。また、同じ銅めっきでも両者の間には大きなずれがあり、品質性能が一定しためっきを得るのが困難であることが分かる。これでは、安定した測定、即ち、モニタリングは不可能である。
図9には図示していないが、金属めっき電極11として、ニッケル系合金以外の、コバルト系合金、亜鉛合金を使用した場合も、同様に、モニタリング機能付き炭素繊維材1の初期電気抵抗値が時間経過と共に変動することは少なく、長期間にわたって安定していることが分かった。
(補強方法)
次に、本発明に従ったモニタリング機能付き炭素繊維材1を使用した構造物の補強方法及びモニタリング方法について簡単に説明する。図1(b)をも参照すると理解されるように、当業者には周知のように、構造物100の表面上に強化繊維を含む繊維シートを一層又は複数層、接着剤にて接着して一体化することによって構造物が補強される。
また、使用される繊維シートとして少なくとも一層は、本発明に係るモニタリング機能付き炭素繊維材1を使用して補強し、補強後において、モニタリング機能付き炭素繊維材1の電気抵抗を計測することにより、補強された構造物における亀裂の発生及び/又は亀裂の進展の判断を行うことができる。すなわち、構造物を有効に補強すると共に、補強した際の補強箇所における疲労亀裂の発生、亀裂の進展などを監視して構造物の補強状態の検知が可能である。更には、構造物の、例えば、PC鋼材等の腐食劣化の進行、又は、補強材としての炭素繊維材10の剥離などを監視し、補強された構造物の補強状態検知が可能である。
なお、構造物の局部的な状態の把握のためには、被補強物である構造物からのひずみの伝達を効率よく行う必要がある。従って、モニタリング機能付き炭素繊維材1は、被補強物の表面により近接して配置するのが有効である。従って、限定されるものではないが、通常、補強のため繊維シートが複数層積層される場合は、最下層又はその近傍に、本発明に従って構成されるモニタリング機能付き炭素繊維材1が配置される。
従って、定期的に、或いは、所望に応じて適宜、モニタリング機能付き炭素繊維材1の電気抵抗が計測され、それによって、補強された構造物における亀裂の発生及び/又は亀裂の進展の検知を行う。
このとき、モニタリング機能付き炭素繊維材1の電気抵抗値(R)を計測し、電気抵抗変化率(Rcr)が増大している領域が発生したとき、該電気抵抗変化率(Rcr)が増大している領域に対応する被補強鋼構造物に亀裂が発生したか、或いは、亀裂の進展があったと判断する。
同様に、例えばPC部材に腐食劣化が進行した場合には、鋼部材による荷重耐荷力が減少し、その分モニタリング機能付き炭素繊維材1に対する荷重が増大し、その結果、モニタリング機能付き炭素繊維材1の電気抵抗が増大し、結果として電気抵抗変化率(Rcr)が増大することとなる。従って、モニタリング機能付き炭素繊維材1の電気抵抗値(R)を計測し、電気抵抗変化率(Rcr)が増大している領域が発生したとき、該電気抵抗変化率(Rcr)が増大している領域に対応する被補強構造物に腐食による劣化が進行していると判断することができる。
このように、本発明のモニタリング機能付き炭素繊維材は、鋼構造物、コンクリート構造物などの補修補強用補強材としての機能を有しており、且つ、炭素繊維材に対する金属めっき電極用のめっき材料を特定の金属合金を使用することにより、従来技術が有する炭素繊維強化樹脂材の初期電気抵抗値変動の問題を解決し、経時的にも初期電気抵抗値を一定に維持することが可能となった。従って、補強された構造物の損傷、変形等の補強状態を長期にわたり高精度にて安定して把握することができるという特長を有している。
また、本発明のモニタリング機能付き炭素繊維材は、航空機、機械装置などに使用される軽量、高強度の、例えば機械装置等の筐体部材などの構造部材として使用することができ、且つ、部材の疲労亀裂、腐食劣化の進行をも長期にわたり高精度にて安定して監視することができる。
1 モニタリング機能付き炭素繊維材
2 炭素繊維強化プラスチック線材(ストランド)
10 炭素繊維材
10A 炭素繊維強化複合材
10B 炭素繊維ストランドシート
10C 炭素繊維強化プラスチックロッド
10D 炭素繊維強化プラスチックプレート
10E 炭素繊維格子材
10s 電極形成領域
11 金属めっき電極
12 導線
13 端子部材
50 計測器
100 構造物
101 接着剤

Claims (20)

  1. 構造物の表面に接着剤にて接着して構造物を補強するか、或いは、構造部材として使用することのできる炭素繊維材を有するモニタリング機能付き炭素繊維材であって、
    前記炭素繊維材の互いに離間した少なくとも2箇所に、前記炭素繊維材の電気抵抗を計測するための金属めっき電極を備え、前記金属めっき電極は、
    (a)主成分としてニッケル25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有した単層構造の単層ニッケル合金めっき層、又は、
    (b)主成分としてニッケル25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有したニッケル合金めっき層であって、前記ニッケルに対する前記添加材の混合比率を変化させた前記ニッケル合金めっき層を上下方向に積層した積層構造の複数層ニッケル合金めっき層、
    を有し、
    前記単層ニッケル合金めっき層及び前記複数層ニッケル合金めっき層は、引張強さが25〜90kg/mm、伸び率が3%以上、Hv硬度が150〜650である、
    ことを特徴とするモニタリング機能付き炭素繊維材。
  2. 前記単層構造の前記単層ニッケル合金めっき層は電着応力が−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
  3. 前記積層構造の前記複数層ニッケル合金めっき層は、前記積層構造をなす前記各ニッケル合金めっき層が有する電着応力が合成された電着応力を有し、前記合成された電着応力は、−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
  4. 前記添加材は、リン、タングステン、コバルト、鉄及び硫黄より成る群から選ばれた一種、又は、複数種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
  5. 構造物の表面に接着剤にて接着して構造物を補強するか、或いは、構造部材として使用することのできる炭素繊維材を有するモニタリング機能付き炭素繊維材であって、
    前記炭素繊維材の互いに離間した少なくとも2箇所に、前記炭素繊維材の電気抵抗を計測するための金属めっき電極を備え、前記金属めっき電極は、
    (a)主成分としてコバルト25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有した単層構造の単層コバルト合金めっき層、又は、
    (b)主成分としてコバルト25wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有したコバルト合金めっき層であって、前記コバルトに対する前記添加材の混合比率を変化させた前記コバルト合金めっき層を上下方向に積層した積層構造の複数層コバルト合金めっき層、
    を有し、
    前記単層コバルト合金めっき層及び前記複数層コバルト合金めっき層は、引張強さが25〜90kg/mm、伸び率が3%以上、Hv硬度が150〜650である、
    ことを特徴とするモニタリング機能付き炭素繊維材。
  6. 前記単層構造の前記単層コバルト合金めっき層は電着応力が−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内であることを特徴とする請求項5に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
  7. 前記積層構造の前記複数層コバルト合金めっき層は、前記積層構造をなす前記各コバルト合金めっき層が有する電着応力が合成された電着応力を有し、前記合成された電着応力は、−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内であることを特徴とする請求項5に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
  8. 前記添加材は、リン、タングステン、ニッケル、鉄及び硫黄より成る群から選ばれた一種、又は、複数種であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかの項に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
  9. 構造物の表面に接着剤にて接着して構造物を補強するか、或いは、構造部材として使用することのできる炭素繊維材を有するモニタリング機能付き炭素繊維材であって、
    前記炭素繊維材の互いに離間した少なくとも2箇所に、前記炭素繊維材の電気抵抗を計測するための金属めっき電極を備え、
    前記金属めっき電極は、主成分として亜鉛51wt%以上、100wt%未満、残部添加材及び不可避不純物を含有した亜鉛合金めっき層を有し、
    前記亜鉛合金めっき層は、引張強さが20〜250kg/mm、伸び率が3%以上、Hv硬度が100〜250である、
    ことを特徴とするモニタリング機能付き炭素繊維材。
  10. 前記亜鉛合金めっき層は電着応力が−15kg/mm〜+15kg/mmの範囲内であることを特徴とする請求項9に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
  11. 前記添加材はニッケルであることを特徴とする請求項9又は10に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
  12. 前記金属めっき電極は、最外層の表層金属めっき層として、金めっき層又は白金めっき層を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかの項に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
  13. 前記金属めっき電極は、最外層として導電性DLC層を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかの項に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
  14. 前記炭素繊維材は、炭素繊維を一方向に引き揃えてシート状とされた炭素繊維シートにマトリクス樹脂が含浸され、硬化された炭素繊維強化複合材であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかの項に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
  15. 前記炭素繊維材は、炭素繊維にマトリクス樹脂が含浸され、硬化された連続した炭素繊維強化プラスチック線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃えてシート状とされた炭素繊維ストランドシートであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかの項に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
  16. 前記炭素繊維材は、炭素繊維にマトリクス樹脂が含浸され、硬化された連続した略断面形状の炭素繊維強化プラスチックロッドであるか、又は、略矩形断面形状の炭素繊維強化プラスチックプレートであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかの項に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
  17. 前記炭素繊維材は、炭素繊維を一方向に並べてマトリクス樹脂が含浸、硬化された紐状炭素繊維を複数積層して形成される縦補強筋と横補強筋とを格子状に配置して形成される炭素繊維格子材であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかの項に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
  18. 前記炭素繊維材の端部に前記金属めっき電極が形成された電極形成部は、厚さ方向に傾斜した傾斜面とされ、前記傾斜面に前記金属めっき電極が形成されていることを特徴とする請求項1〜17のいずれかの項に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
  19. 前記炭素繊維材の端部に前記金属めっき電極が形成された電極形成部は、端部が湾曲した湾曲形状とされ、前記湾曲形状面に前記金属めっき電極が形成されていることを特徴とする請求項1〜17のいずれかの項に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
  20. 前記炭素繊維は、ピッチ系又はPAN系の炭素繊維であり、
    前記マトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂とされ、前記熱硬化性樹脂は、常温硬化型若しくは熱硬化型のエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、MMA樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、又は、光硬化型樹脂であり、又、前記熱可塑性樹脂は、ナイロン又はビニロンであることを特徴とする請求項1〜19のいずれかの項に記載のモニタリング機能付き炭素繊維材。
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