JP2016186209A - 炭素繊維強化プラスチック線材シート及び鋼構造物の補強方法 - Google Patents

炭素繊維強化プラスチック線材シート及び鋼構造物の補強方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼構造物を有効に補強すると共に、補強した際の補強箇所における疲労亀裂の発生、亀裂の進展などを監視して鋼構造物の局部的な状態の把握を可能とする炭素繊維強化プラスチック線材シート、及び、斯かる炭素繊維強化プラスチック線材シートを使用した鋼構造物の補強方法を提供する。【解決手段】鋼構造物100の表面に接着剤105にて接着して鋼構造物を補強するための炭素繊維強化プラスチック線材シート1であって、炭素繊維fにマトリクス樹脂Rが含浸され、硬化された連続した炭素繊維強化プラスチック線材2を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、炭素繊維強化プラスチック線材2の中の所定の炭素繊維強化プラスチック線材2は、該線材の両端に端子電極20が付設されており、該線材の電気抵抗が計測可能とされた炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sである。【選択図】図1

Description

本発明は、鋼橋、鋼建造物における鋼製の桁、梁、更には、機械装置の鋼製部材などのような鋼構造物を補修補強(以後、単に「補強」という。)する際に使用する炭素繊維強化プラスチック線材シートに関し、また、斯かる炭素繊維強化プラスチック線材シートを使用して鋼構造物を補強すると共に、補強した補強箇所における疲労亀裂の発生と進展、又は、鋼部材の腐食劣化の進行、又は、鋼構造物からの補強シートの剥離などを監視し、補強された鋼構造物の補強状態を把握することのできる鋼構造物の補強方法に関するものである。
例えば、鋼橋においては、鋼橋の桁、梁、その他の鋼部材における疲労及び腐食などによる損傷が数多く見受けられる。また、荷重増加に対処するため、鋼部材の補強を必要とする場合も増えている。鋼部材に一旦疲労亀裂が発生すると、徐々に亀裂が進行し、鋼部材が破断に至るおそれもある。
そこで、従来、鋼部材の補強を必要とする場合は、当該個所に鋼板を溶接したり、或いは、ボルトで締結したりして当て板を添接することが行われている。また、亀裂が既に生じている場合には、亀裂の先端にストップホールを形成する方法も採用されている。
しかし、上記当て板を添接するボルト接合、溶接接合のいずれの補強、補修方法も、作業性の点から狭隘部での施工は困難である。また、溶接接合による補強、補修の場合には、溶接熱により補強、補修箇所に再亀裂が発生する恐れがある。更に、ストップホールによる亀裂抑制は、亀裂先端の応力集中を緩和させているに過ぎず、応急の補修工法であり、その後において本格的な補強、補修を行う必要がある。
上記従来工法の問題を解決するために、特許文献1には、亀裂が発生した鋼部材の箇所に炭素繊維強化樹脂板(CFRP板)を貼付して鋼製構造物の疲労亀裂を補修する方法が開示されている。この方法では、鋼部材の亀裂の進展を抑制することができるが、亀裂の進展を目視により直接確認することはできない。
これに対して、特許文献2には、鋼製部材の亀裂を炭素繊維強化プラスチック(CFRP材)で補修した後、CFRP材の表面に亀裂の進展方向に沿って複数個のひずみゲージを設置し、少なくとも2点間のCFRP板表面上のひずみ差をモニタリングして亀裂の進展状況を把握する方法が記載されている。
また、特許文献3には、補強繊維シートを使用してコンクリート構造物を補強するに際して、使用する補強繊維シートに補強繊維糸条の破断伸度の小さい導電性の糸条を5〜50cm間隔にて配列しておき、導電性糸条の両端間の電気抵抗を測定することによりコンクリート構造物の劣化状態を診断する方法を開示している。
特開2006−57352号公報 特開2009−47639号公報 特開平9−4049号公報
しかしながら、上記特許文献2の方法は、補強材表面にひずみゲージを取付けることが必要となり、その作業は煩雑であり、また、コスト高となる。また、上記特許文献3に示すコンクリート構造物の診断方法は、上記特許文献2にも記載されるように、コンクリート構造物のような面的に広がるひび割れの進展をモニタリングすることはできるが、鋼材の疲労亀裂のように開口変位が微小で徐々に進展する欠陥部のモニタリングには適していない。
本発明者らは、土木、建築、機械装置などの鋼構造物における疲労亀裂箇所を、特に、炭素繊維を使用した繊維強化プラスチック製の線材(炭素繊維強化プラスチック線材)を平行に引き揃えて、即ち、1本1本が独立した炭素繊維強化プラスチック線材から構成される補強用繊維シート、所謂、炭素繊維強化プラスチック線材シートを使用して補修、補強し、また、各繊維強化ストランドの両端間の電気抵抗を測定することにより鋼部材の亀裂の発生と亀裂の進展状態を、更には、鋼部材の腐食劣化の進行、又は、鋼構造物からの補強シートの剥離などを監視し、補強された鋼構造物の補強状態を有効に診断し得ることを見出した。
本発明は、斯かる本発明者らによる新規な知見に基づくものである。
本発明の目的は、鋼橋、鋼建造物における鋼製の桁、梁、更には、機械装置の鋼製部材などのような土木、建築、機械装置などの鋼構造物を有効に補強すると共に、補強した際の補強箇所における疲労亀裂の発生、亀裂の進展、鋼部材の腐食劣化の進行、補強シートの剥離などを監視して鋼構造物の補強状態の把握を可能とする炭素繊維強化プラスチック線材シート、及び、斯かる炭素繊維強化プラスチック線材シートを使用した鋼構造物の補強方法を提供することである。
上記目的は本発明に係る炭素繊維強化プラスチック線材シート及び鋼構造物の補強方法にて達成される。要約すれば、第1の本発明によれば、鋼構造物の表面に接着剤にて接着して鋼構造物を補強するための炭素繊維強化プラスチック線材シートであって、
炭素繊維にマトリクス樹脂が含浸され、硬化された連続した炭素繊維強化プラスチック線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、
前記炭素繊維強化プラスチック線材の中の所定の前記炭素繊維強化プラスチック線材は、該線材の両端に端子電極が付設されており、該線材の電気抵抗が計測可能とされた炭素繊維強化プラスチック線材センサである、
ことを特徴とする炭素繊維強化プラスチック線材シートが提供される。
本発明の一実施態様によれば、前記炭素繊維強化プラスチック線材は、直径(d)が0.5〜3mmの略円形断面形状であるか、又は、幅(w)が1〜10mm、厚み(t)が0.1〜2mmとされる略矩形断面形状であり、
互いに隣接する前記炭素繊維強化プラスチック線材は、互いに空隙(g)=0.05〜3.0mmだけ近接離間して配置されている。
本発明の他の実施態様によれば、隣り合った前記炭素繊維強化プラスチック線材センサの間には、前記端子電極を有さない炭素繊維強化プラスチック線材が配置されないか、又は、前記端子電極を有さない炭素繊維強化プラスチック線材が1〜10本の範囲内にて配置される。
本発明の他の実施態様によれば、前記炭素繊維は、ピッチ系又はPAN系の炭素繊維である。
本発明の他の実施態様によれば、前記マトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂とされ、前記熱硬化性樹脂は、常温硬化型若しくは熱硬化型のエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、MMA樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、又は、光硬化型樹脂であり、又、前記熱可塑性樹脂は、ナイロン又はビニロンである。
第2の本発明によれば、鋼構造物の表面上に強化繊維を含む繊維シートを一層又は複数層、接着剤にて接着して一体化する鋼構造物の補強方法において、
少なくとも一層の繊維シートは請求項1〜5のいずれかの項に記載の炭素繊維強化プラスチック線材シートであり、
前記炭素繊維強化プラスチック線材シートの前記炭素繊維強化プラスチック線材センサの電気抵抗を計測することにより、前記補強された鋼構造物の補強状態の検知を行う、
こと特徴とする鋼構造物の補強方法が提供される。
第2の本発明の一実施態様によれば、
前記炭素繊維強化プラスチック線材センサの電気抵抗値をR、初期抵抗値をRoとしたとき、下記式で表わされるRcrを電気抵抗変化率とすると、
Rcr=(R−Ro)/Ro
(1)前記炭素繊維強化プラスチック線材センサの電気抵抗値(R)を計測し、前記電気抵抗変化率(Rcr)が増大している領域が発生したとき、該電気抵抗変化率が増大している領域に対応する前記補強された鋼構造物に亀裂が発生したか、又は、亀裂の進展があったか、又は、鋼構造物に腐食劣化が進行したかのいずれかであると判断し、また、
(2)前記炭素繊維強化プラスチック線材センサの電気抵抗値(R)を計測し、前記電気抵抗変化率(Rcr)が減少している領域が発生したとき、該電気抵抗変化率が減少している領域にて前記補強された鋼構造物から前記繊維シートの剥離が生じたと判断する。
第2の本発明の他の実施態様によれば、
(1)前記炭素繊維強化プラスチック線材センサの初期抵抗値(Ro)から推定電気抵抗増加率αを求め、次に、
(2)前記炭素繊維強化プラスチック線材センサの初期抵抗理論値(Roth)の時の推定電気抵抗増加率βを求め、
(3)実験から得られた前記炭素繊維強化プラスチック線材センサのひずみ−電気抵抗変化率関係をプロットし、ひずみxiが発生したときの電気抵抗変化率の値を、前記推定電気抵抗増加率α及び前記推定電気抵抗増加率βに基づき得られる比を用いて、算出し、補正する。
第2の本発明の他の実施態様によれば、前記鋼構造物に接着される、前記炭素繊維強化プラスチック線材シート以外の繊維シートは、強化繊維として、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用する。
第2の本発明の他の実施態様によれば、前記炭素繊維強化プラスチック線材シート以外の前記繊維シートは、
少なくともシート軸方向へと一方向に引き揃えた強化繊維を含む強化繊維を互いに線材固定材にて固定した繊維シートであるか、
強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され、硬化された連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、線材を互いに線材固定材にて固定した繊維シートであるか、
強化繊維を一方向に引き揃えた強化繊維シートに樹脂を含浸して、前記樹脂が硬化された樹脂含浸硬化繊維シートであるか、又は、
強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され、硬化された連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、線材を互いに線材固定材にて固定した繊維シートに樹脂を含浸して、前記樹脂が硬化された樹脂含浸硬化繊維シートである。
本発明によれば、鋼橋、鋼建造物における鋼製の桁、梁、更には、機械装置の鋼製部材などのような土木、建築、機械装置などの鋼構造物を有効に補強すると共に、補強した際の補強箇所における疲労亀裂の発生、亀裂の進展、鋼部材の腐食劣化の進行、補強シートの剥離などを監視して鋼構造物の補強状態の検知が可能である。
図1(a)は、本発明に係る炭素繊維強化プラスチック線材シートの一実施例を示す斜視図であり、図1(b)は、端子電極の一実施例を示す斜視図である。 図2(a)、(b)は、炭素繊維強化プラスチック線材の実施例を示す断面図である。 本発明に係る炭素繊維強化プラスチック線材シートの他の実施例を示す斜視図である。 図4(a)、(b)は、本発明に係る炭素繊維強化プラスチック線材シートの他の実施例を示す斜視図である。 本発明に係る鋼構造物の補強方法の一実施例の手順を説明する工程図である。 本発明に係る鋼構造物の補強方法に使用する繊維シートの一実施例を示す斜視図である。 図7(a)、(b)は、本発明に係る炭素繊維強化プラスチック線材シートの試験に使用する供試体とひずみゲージの貼付け位置を説明する上面図及び側面図であり、図7(c)は、供試体の断面図であり、炭素繊維強化プラスチック線材センサの位置を説明する。 炭素繊維強化プラスチック線材のひずみ−電気抵抗変化率関係を示す図である。 図9(a)、(b)は、本発明に係る炭素繊維強化プラスチック線材シートの試験に使用する供試体とひずみゲージの貼付け位置を説明する上面図及び側面図であり、図9(c)は、試験片の断面図であり、炭素繊維強化プラスチック線材センサの位置を説明する。 炭素繊維強化プラスチック線材センサにおける電気抵抗値を測定する方法の一実施例を説明する図である。 炭素繊維強化プラスチック線材センサの初期抵抗と電気抵抗増加率との関係を示す図である。 図12(a)、(b)は、炭素繊維強化プラスチック線材センサの初期抵抗値の補正を説明するためのひずみ−電気抵抗増加率との関係を示す図である。 図13(a)、(b)は、炭素繊維強化プラスチック線材センサの電気抵抗変化率の補正を説明するための補正前のひずみ−電気抵抗変化率関係を示す図である。 図14(a)、(b)は、炭素繊維強化プラスチック線材センサの初期抵抗値の補正を説明するためのひずみ−電気抵抗変化率との関係を示す図である。 炭素繊維強化プラスチック線材センサの初期抵抗値補正後のひずみ−電気抵抗変化率関係を示す図である。 炭素繊維強化プラスチック線材センサの初期抵抗値補正後のひずみ−電気抵抗変化率関係を示す図である。 図17(a)、(b)は、本発明に係る炭素繊維強化プラスチック線材シートの試験に使用する鋼板を説明する上面図及び側面図(切断側)である。 図18(a)、(b)、(c)は、本発明に係る炭素繊維強化プラスチック線材シートの試験に使用する試験片を説明する側面図、上面図及び側面図(切断側)である。 本発明に係る炭素繊維強化プラスチック線材シートの試験に使用する試験片の断面図であり、炭素繊維強化プラスチック線材センサの位置を説明する。 炭素繊維強化プラスチック線材シートの荷重−ひずみ関係を示す図である。 図21(a)、(b)は、炭素繊維強化プラスチック線材シートの荷重−電気抵抗変化率関係を示す図である。 炭素繊維強化プラスチック線材シート中央からの距離−電気抵抗変化率−ひずみの関係を示す図である。
以下、本発明に係る炭素繊維強化プラスチック線材シート及び鋼構造物の補強方法を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
図1(a)、(b)に、本発明に係る炭素繊維強化プラスチック線材シート(「ストランドシート」と称することもある。)1の一実施例を示す。本発明の炭素繊維強化プラスチック線材シート1は、図5を参照して後述するように、鋼構造物100を補強するために、鋼構造物100の表面に接着剤105にて接着される。
本実施例にて、炭素繊維強化プラスチック線材シート1は、炭素繊維fにマトリクス樹脂Rが含浸され、硬化された連続した炭素繊維強化プラスチック線材(「ストランド」と称することもある。)2(図2をも参照)を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃えてシート状に形成された、所謂、強化繊維を含む繊維シートである。
炭素繊維強化プラスチック線材2は、図2にて、直径(d)が0.5〜3mmの略円形断面形状(図2(a))であるか、又は、幅(w)が1〜10mm、厚み(t)が0.1〜2mmとされる略矩形断面形状(図2(b))とし得る。勿論、必要に応じて、その他の種々の断面形状とすることができる。
特に、本発明によれば、シート状に配列された炭素繊維強化プラスチック線材2の中の所定の炭素繊維強化プラスチック線材2は、該線材2の両端部に端子部材(電極)20が電気的導通状態にて付設された炭素繊維強化プラスチック線材センサ(「計測ストランド」と称することもある。)2Sとされる。炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sは、電極20を介して電圧が付与されることにより、該線材2の電気抵抗が計測可能とされる。
炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sは、互いに隣り合った炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの間に、通常の炭素繊維強化プラスチック線材2が複数本(例えば、1〜10本、通常5本以下)配置されるようにして、図1に示す本実施例では3本置きに配置されている。又は、互いに隣り合った炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの間に通常の炭素繊維強化プラスチック線材2を配置することなく配置することもできる。勿論、所定の間隔をおいて炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sを配置する場合において、間隔は一定である必要はなく、所望に応じて異なる間隔にて配置することもできる。更には、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sは、炭素繊維強化プラスチック線材シート1の幅(W)方向の所定領域(Ws)にのみ所定間隔にて配置することができ、或いは、この所定領域(Ws)においては、全ての炭素繊維強化プラスチック線材2を炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sとすることもできる。従って、本発明の炭素繊維強化プラスチック線材シート1を使用することにより、鋼構造物100の状態変化を監視したい領域(Ws)に炭素繊維強化プラスチック線材2を炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sとして配置し、電極20を介して電圧を印加することにより、該線材2(即ち、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2S)の電気抵抗の計測が可能である。
炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sにおける端子電極20の付設方法は任意とされるが、本実施例によれば、図1(a)、(b)に示すように、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sとするための炭素繊維強化プラスチック線材2の両端部を他の炭素繊維強化プラスチック線材2よりわずかに突出させ、この突出端部の表面をヤスリがけして、含浸されている表面の樹脂Rを除去し、炭素繊維fを露出させる。次いで、樹脂Rが除去された炭素繊維強化プラスチック線材2の突出端部に電気導線20a、例えば、銅線を巻き付けて取付ける。その後、導線20aが巻き付けられた端子部分に導電性接着剤20bを塗布し、硬化させる。
このようにして作製した炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sと、通常の炭素繊維強化プラスチック線材2とを組み合わせ、上述のような所望の間隔配置態様にて一方向に引き揃えて炭素繊維強化プラスチック線材シート1が作製される。このとき、スダレ状に引き揃えられた各炭素繊維強化プラスチック線材2は、互いに空隙(g)=0.05〜3.0mmだけ近接離間して配置され、シート状、即ち、炭素繊維強化プラスチック線材シート1とされる。このとき、シート状に並べられた各炭素繊維強化プラスチック線材2は、取扱い性を考慮して、例えば、図1(a)に一点鎖線にて示すように、線材固定材3として、例えば、粘着テープ又は接着テープなどとされる可撓性帯材をスダレ状に引き揃えた各炭素繊維強化プラスチック線材2の長手方向に対して垂直方向に、各炭素繊維強化プラスチック線材2の片側面、又は、両面を貼り付けて固定することもできる。可撓性帯材3として、幅(w1)2〜30mm程度の、塩化ビニルテープ、紙テープ、布テープ、不織布テープなどの粘着テープ又は接着テープが使用される。これらテープ3を、通常、10〜100mm間隔(P)で各炭素繊維強化プラスチック線材2の長手方向に対して垂直方向に貼り付ける。
上記説明では、先ず、端子電極20を備えていない通常の炭素繊維強化プラスチック線材(ストランド)2、及び、端子電極20を備えた炭素繊維強化プラスチック線材センサ(計測ストランド)2Sを作製し、その後、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2S含む複数本の炭素繊維強化プラスチック線材2を一方向に引き揃えてシート状とするものとして説明したが、例えば、図3、図4に示すように、炭素繊維強化プラスチック線材(ストランド)2を一方向にスダレ状に引き揃え、線材固定材3にて固定され、シート状に形成された炭素繊維強化プラスチック線材シート(ストランドシート)1を作製し、図示してはいないが、所定の炭素繊維強化プラスチック線材2に対して後加工により端子電極20を取付け、炭素繊維強化プラスチック線材センサ(計測ストランド)2Sとすることもできる。図3に示す炭素繊維強化プラスチック線材シート1は、例えば、線材固定材3として横糸を使用し、一方向にスダレ状に配列された複数本の炭素繊維強化プラスチック線材2から成るシート形態とされる炭素繊維強化プラスチック線材シート1を、炭素繊維強化プラスチック線材2に対して直交して一定の間隔(P)にて打ち込み、編み付ける方法を採用している。横糸3の打ち込み間隔(P)は、特に制限されないが、作製された炭素繊維強化プラスチック線材シート1の取扱い性を考慮して、通常10〜100mm間隔の範囲で選定される。
このとき、横糸3は、例えば直径2〜50μmのガラス繊維或いは有機繊維を複数本束ねた糸条とされる。又、有機繊維としては、ナイロン、ビニロンなどが好適に使用される。
各炭素繊維強化プラスチック線材2をスダレ状に固定する他の方法としては、図4(a)に示すように、線材固定材3としてメッシュ状支持体シートを使用することができる。つまり、シート形態を成すスダレ状に引き揃えた複数本の炭素繊維強化プラスチック線材2、即ち、炭素繊維強化プラスチック線材シート1の片側面、又は、両面を、例えば直径2〜50μmのガラス繊維或いは有機繊維にて作製したメッシュ状の支持体シート3により支持した構成とすることもできる。
更に、各線材2をスダレ状に固定する他の方法としては、上記図1(a)にて説明したと同様に、図4(b)に示すように、線材固定材3として、例えば、粘着テープ又は接着テープなどとされる可撓性帯材を使用することができる。可撓性帯材3は、シート形態を成すスダレ状に引き揃えた各炭素繊維強化プラスチック線材2の長手方向に対して垂直方向に、複数本の炭素繊維強化プラスチック線材2の片側面、又は、両面を貼り付けて固定する。つまり、可撓性帯材3として、幅(w1)2〜30mm程度の、塩化ビニルテープ、紙テープ、布テープ、不織布テープなどの粘着テープ又は接着テープが使用される。これらテープ3を、通常、10〜100mm間隔(P)で各炭素繊維強化プラスチック線材2の長手方向に対して垂直方向に貼り付ける。
更に、可撓性帯材3としては、ナイロン、EVA樹脂などの熱可塑性樹脂を帯状に、線材2の長手方向に対して垂直方向に片側面、又は、両面に熱融着させることによっても達成される。
上述の一方向に引き揃えスダレ状とされた炭素繊維強化プラスチック線材シート1においてもまた、上述のように、各炭素繊維強化プラスチック線材2は、互いに空隙(g)=0.05〜3.0mmだけ近接離間して、線材固定材3にて固定される。また、このようにして形成された炭素繊維強化プラスチック線材シート1の長さ(Lo)及び幅(Wo)は、補強される構造物の寸法、形状に応じて適宜決定されるが、取扱い上の問題から、一般に、全幅(Wo)は、100〜1000mmとされる。又、長さ(Lo)は、1〜5m程度の短冊状のもの、或いは、100m以上のものを製造し得るが、使用時においては、適宜切断して使用される。
また、炭素繊維ストランドシート1の長さ(Lo)を1〜5m程度として、幅(Wo)をこれより長く1〜10m程度として製造することも可能である。
炭素繊維強化プラスチック線材(ストランド)2は、強化繊維fとしてピッチ系又はPAN系の炭素繊維が使用される。炭素繊維強化プラスチック線材2は、炭素繊維強化プラスチック線材センサ(計測ストランド)2Sとしても使用されるので、詳しくは後述するが、下記式(1)で示す電気抵抗変化率Rcrの変化が線形的であるのが好ましく、従って、本発明者らの試験検討の結果、最も線形的であるという理由からPAN系の、特に、中弾性型の、即ち、弾性係数が351〜450kN/mm2、引張強度が2900N/mm2以上とされる炭素繊維を有効に使用し得ることが分かった。ただし、炭素繊維fはこれに限定されるものではなく、ピッチ系の高弾性型の、即ち、弾性係数が576〜740kN/mm2、引張強度が1900N/mm2以上とされる炭素繊維、更には、PAN系の高強度型の、即ち、弾性係数が221〜282kN/mm2、引張強度が3400N/mm2以上とされる炭素繊維も使用することができる。
ここで、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗値をR、初期抵抗値をRoとしたとき、電気抵抗変化率Rcrは、
Rcr=(R−Ro)/Ro=△R/Ro (1)
にて表わされる。
炭素繊維強化プラスチック線材2のマトリクス樹脂Rは、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を使用することができ、熱硬化性樹脂としては、常温硬化型若しくは熱硬化型のエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、MMA樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、又は、光硬化型樹脂が使用され、又、熱可塑性樹脂としては、ナイロン、ビニロンなどが好適に使用可能である。又、樹脂含浸量は、30〜70重量%、好ましくは、40〜60重量%とされる。
(補強方法)
次に、本発明に従った鋼構造物の補強方法について説明する。被補強対象物である鋼構造物としては、鋼橋、鋼建造物における鋼製の桁、梁、更には、機械装置の鋼製部材などのような土木、建築、機械装置などの鋼構造物などが考えられる。本発明によれば、斯かる鋼構造物を構成する鋼部材の表面上に強化繊維を含む繊維シートを一層又は複数層、接着剤にて接着して一体化することによって鋼構造物が補強される。
また、特に、本発明によれば、詳しくは後述の試験例に即して後述するように、使用される繊維シートとして少なくとも一層は、上述した炭素繊維強化プラスチック線材シート1を使用して補強し、補強後において、炭素繊維強化プラスチック線材シート1の炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗を計測することにより、補強された鋼構造物における亀裂の発生及び/又は亀裂の進展の判断を行うことができる。すなわち、本発明によれば、鋼構造物を有効に補強すると共に、補強した際の補強箇所における疲労亀裂の発生、亀裂の進展などを監視して鋼構造物の補強状態の検知が可能である。更には、鋼部材の腐食劣化の進行、又は、繊維シートの剥離などを監視し、補強された鋼構造物の補強状態検知が可能である。
なお、鋼構造物の局部的な状態の把握のためには、被補強物である鋼構造物からのひずみの伝達を効率よく行う必要があり、そのためには、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sを備えた炭素繊維強化プラスチック線材シート1は、被補強物の表面により近接して配置するのが有効である。従って、限定されるものではないが、通常、補強のため繊維シートが複数層積層される場合は、最下層又はその近傍に、本発明に従って構成される炭素繊維強化プラスチック線材シート1が配置される。
図5を参照して、本発明に従った鋼構造物の補強方法を、その一実施例について説明する。
(第1工程)
図5(a)、(b)に示すように、必要に応じて、鋼構造物100の被補強面(即ち、被接着面)101の脆弱部101aを、ディスクサンダー、サンドブラスト、スチールショットブラスト、ウォータージェットなどの研削手段50により除去し、鋼構造物100の被接着面101を下地処理する。
(第2工程)
下地処理した面102にプライマー103、例えば、エポキシ変性ウレタン樹脂プライマーを塗布する(図5(c))。プライマー103としては、エポキシ変性ウレタン樹脂系に限ることなくMMA系樹脂など、被補強鋼構造物100の材質、繊維シート接着剤105などに合わせて適宜選定される。
なお、プライマー103の塗布工程は、省略することも可能である。
(第3工程)
図5(d)、(e)に示すように、下地処理された被補強鋼構造物100の上に接着剤105を塗布し、この面に、本実施例では、本発明に従って構成される、上記図1(a)、(b)を参照して説明した、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sを備えた炭素繊維強化プラスチック線材シート1が接着される。このとき、炭素繊維強化プラスチック線材シート1は、曲げモーメント及び軸力を主として受ける部材(構造物)に対しては、曲げモーメントにより生じる引張応力或いは圧縮応力の主応力方向に強化繊維の配向方向を概ね一致させて接着する。
接着剤105としては、上記炭素繊維強化プラスチック線材2のマトリクス樹脂Rと同様のものを使用することができ、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を使用することができる。熱硬化性樹脂としては、常温硬化型若しくは熱硬化型のエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、MMA樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、又は、光硬化型樹脂が使用され、又、熱可塑性樹脂としては、ナイロン、ビニロンなどが好適に使用可能である。具体的には、常温硬化型エポキシ樹脂及びMMA樹脂が好適とされる。
なお、接着剤105は、構造物表面に塗布するものとして説明したが、勿論、炭素繊維強化プラスチック線材シート1に塗布することもでき、また、構造物表面及び炭素繊維強化プラスチック線材シート1接着面の両面上に塗布しても良い。
また、必要補強量が多い場合には、図5(g)に示すように、上記炭素繊維強化プラスチック線材シート1の他に、他の繊維シート10を接着することが可能である。
この追加して積層される他の繊維シート10は、図3、図4に図示するように、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sを含まない、炭素繊維強化プラスチック線材2のみで作製された、即ち、強化繊維fにマトリクス樹脂Rが含浸され、硬化された連続した繊維強化プラスチック線材2を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、線材2を互いに線材固定材3にて固定した繊維シート10であってもよい。
また、炭素繊維強化プラスチック線材シート1以外の前記繊維シート10は、図6に示すように、例えば、シート軸方向へと一方向に引き揃えた強化繊維fを含み、強化繊維fを互いに線材固定材3にて固定した繊維シート10であってもよい。線材固定材3としては、図6示すように、図4(a)に関連して説明したと同様のメッシュ支持体とすることもでき、また、図示してはいないが、図4(b)に示す帯状部材を使用することもできる。更には、これら繊維シート10に樹脂が含浸され、硬化した樹脂含浸硬化繊維シート(FRP材)であっても良い。
(鋼構造物の補強状態検知方法)
従来、鋼構造物を構成する鋼部材の表面上に強化繊維を含む繊維シートを一層又は複数層、接着剤にて接着して一体化することによって鋼構造物を補強することが行われている。しかしながら、従来の補強方法では、繊維シートを貼付して補強された鋼構造物は、その後の鋼構造物の被補強面の状態を確認することができない。本発明は、斯かる従来の問題点を解決することができる。
つまり、本発明の補強方法によれば、上述のようにして鋼構造物100の表面に接着された炭素繊維強化プラスチック線材シート1の炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗を計測することにより、補強された鋼構造物における、補強施工後の、亀裂の発生及び/又は亀裂の進展の判断を行い、鋼構造物の局部的な補強状態の検知が可能である。更には、鋼部材の腐食劣化の進行、又は、繊維シートの剥離などを監視し、補強された鋼構造物の補強の状態検知が可能である。
本発明に従った鋼構造物の補強方法によれば、定期的に、或いは、必要に応じて適宜、鋼構造物の表面に接着された炭素繊維強化プラスチック線材シート1の炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗を計測する。
以下に、本発明の補強方法にて、炭素繊維強化プラスチック線材シート1の炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗値を測定することで、上記鋼構造物の補強状態の検知などが可能であることについて説明する。
ひずみと電気抵抗変化率の関係
先ず、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sのひずみ(ε)と電気抵抗変化率(Rcr)との関係について説明する。
炭素繊維強化プラスチック線材の引張荷重に対するひずみ−電気抵抗変化率関係を得るために一軸引張による材料試験を行った。炭素繊維強化プラスチック線材は、高弾性炭素繊維強化プラスチック線材、中弾性炭素繊維強化プラスチック線材、高強度炭素繊維強化プラスチック線材を対象とした。また、高弾性炭素繊維強化プラスチック線材は、繊維目付量600g/mm2と900g/mm2の2種類とし、計4種類の炭素繊維強化プラスチック線材シートを準備した。
上記実施例にて説明した作製方法に従って、上記種々の特性を有した炭素繊維を使用して、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sを備えた炭素繊維強化プラスチック線材シート1を作製し、この炭素繊維強化プラスチック線材シート1にエポキシ樹脂を含浸させ、硬化して、供試体1Sを作製した。本試験で使用した供試体1Sの寸法を図7(a)、(b)に示す。
本材料試験に用いた高弾性、中弾性、高強度それぞれの炭素繊維強化プラスチック線材シート、エポキシ樹脂、導電性接着剤の材料特性は、下記表1に示す通りであった。
なお、表1中、各種炭素繊維強化プラスチック線材シート(高弾性、中弾性、高強度ストランドシート)における弾性係数、引張強度、電気伝導率は、使用した強化繊維fの物性であり、断面積は炭素繊維の総断面積を示す。
Figure 2016186209
図7(c)に示すように、炭素繊維強化プラスチック線材シート1における炭素繊維強化プラスチック線材(ストランド)2の本数は21本であり、その中の10本が炭素繊維強化プラスチック線材センサ(計測ストランド)2S(CH1〜CH10)とした。なお、表1に示すように、高弾性、中弾性、高強度炭素繊維強化プラスチック線材シート(ストランドシート)1は目付量と断面積が異なるため、使用する炭素繊維強化プラスチック線材2ごとに供試体(炭素繊維強化プラスチック線材シート)1Sの横幅は異なる。各種炭素繊維強化プラスチック線材(ストランド)2の断面積と供試体1Sの横幅は、表2に示す通りであった。
Figure 2016186209
供試体1Sの炭素繊維強化プラスチック線材センサー2Sの端子電極20、20間の長さは420mmとした。供試体1Sの掴み部の応力集中を避けるために、3:20のテーパーを設けた金属タブMTをエポキシ樹脂で接着した。金属タブMTは、厚さ3mmのアルミ板を長さ60mm×幅40mmのサイズに加工した。
本試験で使用する供試体1SにおけるひずみゲージSGの貼付け位置を図7(a)、(b)に示す。炭素繊維強化プラスチック線材2、即ち、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの荷重−ひずみ関係が得られるように、両面の炭素繊維強化プラスチック線材シート1の中心位置にひずみゲージSGを貼り付けた。
上記各供試体1Sに対してアムスラー式万能試験機を用いて、引張試験を行った。本試験の結果得られた各供試体の荷重−ひずみ関係に基づく実験値は、ひずみの理論値、即ち、
ε=P/EA
ε:ひずみ
E:弾性係数
P:引張荷重
A:ストランドシート1枚に含まれるストランドの断面積
と概ね一致した。
また、本発明者らが行った本試験の結果によると、ひずみに対して電気抵抗変化率Rcrは線形的に増加することが分かった。特に、電気抵抗変化率Rcrは、炭素繊維の特性によっても異なり、本発明者らの研究実験の結果によると、中弾性型の炭素繊維を使用した炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sが最も良い結果を得た。従って、以下に、中弾性型の炭素繊維を使用した炭素繊維強化プラスチック線材2、即ち、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sを使用した炭素繊維強化プラスチック線材シートについて説明する。
本発明に使用する炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sは、初期抵抗値Roが、下記式(2)で示される初期抵抗理論値Rothより大きくなる場合がある。これは、主として、炭素繊維強化プラスチック線材2に対する端子電極20との接着不良により、接触抵抗が高くなったことが原因と思われる。
Roth=ρ×(L/As) (2)
Roth:初期抵抗理論値
ρ:体積抵抗率
L:電気抵抗測定区間の長さ
As:炭素繊維強化プラスチック線材センサ1本当たりの断面積
以下に、中弾性型の炭素繊維を使用した炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sを使用した炭素繊維強化プラスチック線材シートについて、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの初期抵抗値について説明する。
ここで、中弾性型炭素繊維を使用した炭素繊維強化プラスチック線材シートにて、ρ(体積抵抗率)は、0.011Ω・mm、L(電気抵抗測定区間の長さ)は、420mm、As(炭素繊維強化プラスチック線材センサ1本当たりの断面積)は、0.659mm2であるので、初期抵抗理論値Rothは、7.01Ωである。
下記表3に、30本の炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗を計測した結果を示す。初期抵抗理論値(Roh)7.01Ωと比較して、初期抵抗値Roが極端に大きいもの(13Ω以上)がある。この時のひずみ−電気抵抗変化率関係は非線形となった。これは、端子の接触不良の影響と考え、端子の接触影響を調べるための検証を行ったところ、初期抵抗値が13Ω以上の場合、接触不良が発生していることが明らかとなった。図8に、13Ω以下となった炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sのひずみ−電気抵抗変化率の関係示す。図8から、ひずみに対して電気抵抗変化率は線形的に増加していることが確認できる。
Figure 2016186209
他の種類の、即ち、繊維目付量600g/mm2と900g/mm2の2種類高弾性型炭素繊維強化プラスチック線材センサ2S、高強度型炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sでも同様の検証の結果を示したが、上述のように、中弾性型炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗変化率の変化が最も線形的であった。従って、中弾性型の炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sが本発明においても最も有用性が高いと考えられる。
初期抵抗値の補正
詳しくは後述するが、初期抵抗値Roと電気抵抗増加率の関係について言えば、初期抵抗が大きくなるにつれ、増加率も増加する傾向にある。従って、各炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの初期抵抗が異なる場合、増加率を一定にするため、補正する必要がある。
そこで、中弾性型の炭素繊維強化プラスチック線材シートを鋼板に接着し、引張試験を実施し、ひずみ−電気抵抗特性を把握すると共に、初期抵抗値Roの違いによる電気抵抗増加率のバラツキの補正について検討した。
図9(a)、(b)に示すように、試験片100Sは、被補強体である鋼板100としてSS400を使用し、この鋼板100に、本実験の供試体として、上記実施例で説明した図1(a)、(b)に示す構成の炭素繊維強化プラスチック線材シート1を接着した。本試験では、鋼板100の両面に炭素繊維強化プラスチック線材シート1を1枚づつ貼付した。
炭素繊維強化プラスチック線材2は、強化繊維fとして平均径10μm、収束本数6000本のPAN系の中弾性型炭素繊維を使用し、マトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂を使用した。炭素繊維強化プラスチック線材シート及びエポキシ樹脂の材料特性は、上記表1に示すものであった。鋼板の材料特性は、下記表4に示す通りであった。
Figure 2016186209
図9(c)に、本試験にて使用した、鋼板100に供試体である炭素繊維強化プラスチック線材シート1が貼付された試験片100Sの断面構成を示すと共に、炭素繊維強化プラスチック線材シートにおける炭素繊維強化プラスチック線材センサ(計測ストランド)2Sと、通常の炭素繊維強化プラスチック線材(ストランド)2との位置関係を示す。本試験の炭素繊維強化プラスチック線材シート1にて、炭素繊維強化プラスチック線材2の総数は32本であり、その中の5本が炭素繊維強化プラスチック線材センサ2S(表面側チャンネルCH1〜CH5、裏面側チャンネルCH6〜CH10)である。
炭素繊維強化プラスチック線材1本の断面積は0.659mm2、炭素繊維強化プラスチック線材シートに含まれる炭素繊維強化プラスチック線材32本の断面積は13.839mm2、炭素繊維強化プラスチック線材シート1の幅は395mmであった。各炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sには、その両端部に銅線20aを巻き付け、導電性接着剤(藤倉化成株式会社製:商品名「ドータイト D−550」)20bを塗布し、25℃、1時間にて硬化して、端子電極20を形成した。
本試験の上記構成の炭素繊維強化プラスチック線材シート1を、図5を参照して説明した上記実施例と同じ手順にて鋼板100に接着した。使用した接着剤105は、表1に示すエポキシ樹脂であった。
つまり、本試験例では、鋼板100の両面をショットブラストにて研掃し、適度の粗面とした。この鋼板100の表面102上にエポキシ変性ウレタンプライマー(新日鉄マテリアルズ(株)製「FORCAUL−1」(商品名))103を0.15kg/m2塗布した。エポキシ変性ウレタン樹脂プライマー103が指触乾燥した後、エポキシ樹脂105を塗布量0.4kg/m2にて塗付した。次いで、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sを備えた炭素繊維強化プラスチック線材シート1をエポキシ樹脂塗布面に軽く押し付けた後、炭素繊維強化プラスチック線材シート1の上を幅100mm、直径10mmプラスチックローラーを100N程度の押し付け力を加えながら移動させた。次いで、上塗りとしてエポキシ樹脂105を塗布量0.2kg/m2にて炭素繊維強化プラスチック線材シート1の表面に塗布してゴムベラにより表面を平坦に仕上げた。その後、室温で1週間養生した。炭素繊維強化プラスチック線材シート1の貼着面に、何らボイドを発生することなく、鋼板100に極めて良好に接着することができた。
炭素繊維強化プラスチック線材シート表面のひずみから炭素繊維強化プラスチック線材シートのおおよその伸び量とひずみ分布を算出するため、炭素繊維強化プラスチック線材シート表面の5箇所にひずみゲージSGを貼り付けた。炭素繊維強化プラスチック線材シート1による補強効果を確認するため、鋼材中央のコバ面2箇所にひずみゲージを貼り付けた。また、無補強部のひずみを得られるように、鋼材の無補強部断面のコバ面4箇所にひずみゲージSGを貼り付けた。
鋼板100に炭素繊維強化プラスチック線材シート1を接着した試験片100Sに対して、試験片100Sの端から100mmをチャックで摘み、アムスラー式万能試験機を用いて、引張試験を行った。また、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの端子電極20をプローブで掴み、電気抵抗を測定した。
電気抵抗の測定は、抵抗計(日置電機株式会社製:商品名「RM3545−02」を用いた。また、マルチプレクサユニット(日置電機株式会社製:商品名「Z3003」を使用することで、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2SのチャンネルCH1〜CH5、CH6〜CH10のリレー式多点測定が可能とされた。パソコンにて抵抗計の制御を行い、測定値をディスプレー装置に表示し、また、記録した。
なお、電気抵抗測定は、4端子測定法を採用した。4端子測定法は、図10に示すように、一定電流を供給する電流源端子(SourceA1、SourceB1)と電圧降下を検出する電圧検出端子(SenseA1、SenseB1)から構成される。測定対象に接続された電圧検出端子側のリード線には、電圧計の入力インピーダンスが高いため殆ど電流が流れない。そのため、測定リードの抵抗や接触抵抗の影響を受けずに正確に測定できる。
表5に、試験片100Sに含まれる炭素繊維強化プラスチック線材センサ2S(CH1〜CH5、CH6〜CH10)の初期抵抗値Roを示す。初期抵抗値Roが初期抵抗理論値Roth(本例では7.01Ω)より極端に大きい値(16.5Ω)を示す炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sでは、炭素繊維強化プラスチック線材2と端子電極20の接触不良が発生している可能性がある。
Figure 2016186209
初期抵抗値Roに対する補正は、図11に示す初期抵抗と電気抵抗増加率の関係を用いて行う。
はじめに、初期抵抗値Roが13Ω以上になる時は、端子20と炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの接触不良の可能性があり、値の信頼性が低いため、取り除く。また、本発明者らの実験結果によると、初期抵抗値とひずみ−電気抵抗変化率関係の傾きには正の相関があることが分かった。そこで、初期抵抗値の補正は、初期抵抗値からひずみ−電気抵抗変化率の傾きを推定する式を用いて行う。
そこで、先ず、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの初期抵抗値Roから推定電気抵抗増加率αを求める。次に、初期抵抗理論値(Roth)7.01Ωの時の推定電気抵抗増加率βを求める。実験から得られた炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sのひずみ−電気抵抗変化率関係をプロットし、ひずみxiが発生した時の電気抵抗変化率Rcr(△R/Ro)の値を、上記推定電気抵抗増加率α及びβに基づき得られる比を用いて算出し、補正する。次に、初期抵抗値Roに対する補正の具体的な手順をさらに詳しく説明する。
(1)初期抵抗値Roが13Ω以上となる時は、端子20と炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの接触不良の可能性があり、値の信頼性が低いため取り除く。
(2)ある炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの初期抵抗値Roの推定電気抵抗増加率αを下記式(3)から求める。
y=(0.4864Ro−1.387)×10-5 (3)
上記式(3)は、図11に示す「ひずみ−電気抵抗関係の傾き」に基づき求めた推定式である。ここで、図12(a)、(b)を参照すると、ひずみxi=1000の時の補正前の電気抵抗変化率の推定値yi、実験値(△R/Ro)iは、図12(a)のように図示される。
(3)使用している種類の炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの初期抵抗理論値(Roth)から推定電気抵抗増加率βを求める。この時、ひずみxi=1000の時の電気抵抗変化率の推定値yi’は図12(b)のように図示される。さらに補正後の電気抵抗変化率を(△R/Ro)i’とする。
(4)上記(2)、(3)項で示したyi、(△R/Ro)i、yi’、(△R/Ro)i’を下記式(4)に示す通り、比を取り、下記式(5)から補正後の実験値(△R/Ro)i’を求める。(△R/Ro)i’は得られた全てのひずみxiに対して求める。
Figure 2016186209
具体例として、中弾性型炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの補正前のひずみ−電気抵抗変化率の関係を示す図13(a)を例として、補正手順を示す。
表6に試験片に含まれる炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの初期抵抗値Roと式(3)から求めた推定電気抵抗増加率αを示す。
Figure 2016186209
(1)ここで、CH4の炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sは初期抵抗値Roが13Ω以上となるため、取り除く。その結果、中弾性型炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの補正前のひずみ−電気抵抗変化率の関係は図13(b)に示す通りである。
(2)CH1〜CH5の炭素繊維強化プラスチック線材の初期抵抗値Roの推定電気抵抗増加率αを式(3)から求める。それぞれの値を表6の3行目に示す。
(3)中弾性型炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの初期抵抗理論値(Roth)は7.01Ωであり、式(3)から推定電気抵抗増加率β=2.023である。
(4)上記(1)〜(3)項に示す手順によって、それぞれの炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sに対するyi、(△R/Ro)i、yi’が求まる。(△R/Ro)i’は得られた全てのひずみxiに対して求める。図14(a)、(b)では例としてCH1の場合のxi=250、xi=500、xi=750、xi=1000の時のyi、(△R/Ro)i、yi’を表し、式(5)を用いて(△R/Ro)i’を求める。図15は得られた全ての場合のひずみxiに対しての補正後の電気抵抗変化率(△R/Ro)i’である。
(5)CH2、CH3、CH5の炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sに対しても、上記(2)〜(4)項の手順で補正を行う。図16は、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの補正後のひずみ−電気抵抗変化率関係を示す。
以上、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの初期抵抗値の補正の具体的な手順に関して説明した。図13(b)と図16を比較すると、各炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの初期抵抗値Roを初期抵抗理論値(Roth)に補正することで、電気抵抗変化率のばらつきが小さくなっていることが分かる。
なお、上記説明は、中弾性型の炭素繊維強化プラスチック線材シート1に関連して説明したが、他の種類の、即ち、繊維目付量600g/mm2と900g/mm2の2種類高弾性型炭素繊維強化プラスチック線材センサ2S、高強度型炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sにおいても、ひずみに対する電気抵抗変化率は変化率の幅にバラツキはあるものの、その変化の挙動に類似した傾向にあり、上記同様の手順にて、初期抵抗値に対する補正を行うことができる。
上記説明にて理解されるように、補強された鋼構造物の一部に欠損などが発生すると、この部分に接着されている炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗値が他の炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sより大きくなる。
つまり、鋼構造物の表面上に強化繊維を含む繊維シートを一層又は複数層、接着剤にて接着して一体化する本発明の鋼構造物の補強方法によれば、少なくとも一層の繊維シートは、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sを備えた炭素繊維強化プラスチック線材シート1とされる。従って、定期的に、或いは、所望に応じて適宜、炭素繊維強化プラスチック線材シート1の炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗が計測され、それによって、補強された鋼構造物における亀裂の発生及び/又は亀裂の進展の検知を行う。
このとき、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗値(R)を計測し、電気抵抗変化率(Rcr)が増大している領域が発生したとき、該電気抵抗変化率(Rcr)が増大している領域に対応する被補強鋼構造物に亀裂が発生したか、或いは、亀裂の進展があったと判断する。
同様に、鋼部材に腐食劣化が進行した場合においても、鋼部材による荷重耐荷力が減少し、その分炭素繊維強化プラスチック線材シート1に対する荷重が増大し、その結果、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗が増大し、結果として電気抵抗変化率(Rcr)が増大することとなる。従って、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗値(R)を計測し、電気抵抗変化率(Rcr)が増大している領域が発生したとき、該電気抵抗変化率(Rcr)が増大している領域に対応する被補強鋼構造物に腐食による劣化が進行していると判断することができる。
このように、本発明の補強方法によれば、上記本発明に従って構成される炭素繊維強化プラスチック線材シート1を少なくとも有する繊維シートを接着することにより鋼構造物を有効に補強すると共に、補強した際の補強箇所における疲労亀裂の発生、亀裂の進展、又は、鋼部材の腐食の進行などを監視して鋼構造物の局部的な状態の検知が可能である。更には、炭素繊維強化プラスチック線材シート1等の補強繊維シートの剥離時も抵抗変化があり、補強状態の検知が可能である。この点に関しては後で更に説明する。
次に、本発明に係る炭素繊維強化プラスチック線材シート及び鋼構造物の補強方法の作用効果を実証するために以下の試験を行った。
試験例1
本試験では、鋼構造物に発生する亀裂を模擬して、鋼板に一部切断加工を行い、炭素繊維強化プラスチック線材シートを接着し、補強効果が達成されているか、及び、炭素繊維強化プラスチック線材センサの電気抵抗を計測することにより切断加工部が検出できるかを検討した。
(供試体)
図17(a)、(b)に、本実験で使用した、一部切断加工した鋼板100を示す。鋼板中央に幅方向に長さ30mm、切断幅2mmの切断部110を形成した。鋼板としてはSS400を使用した。鋼板の材料特性は上記表4に示す通りであった。この鋼板100に、図18(a)〜(c)に示すように、本実験の供試体としての、上記実施例で説明した図1(a)、(b)に示す構成の炭素繊維強化プラスチック線材シート1を接着した。本試験では、鋼板100の両面に炭素繊維強化プラスチック線材シート1を1枚づつ貼付した。
炭素繊維強化プラスチック線材2は、強化繊維fとして平均径10μm、収束本数6000本のPAN系の中弾性型炭素繊維を使用し、マトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂を使用した。炭素繊維強化プラスチック線材シート1及びエポキシ樹脂の材料特性は、上記表1に示すものであった。
図18(a)、(b)、(c)に、鋼板100に本試験にて使用した供試体である炭素繊維強化プラスチック線材シート1が貼付された試験片100Sの構成を示し、図19に、炭素繊維強化プラスチック線材シート1における炭素繊維強化プラスチック線材センサ(計測ストランド)2Sと、通常の炭素繊維強化プラスチック線材(ストランド)2との位置関係を示す。本試験の各炭素繊維強化プラスチック線材シート1にて、炭素繊維強化プラスチック線材2の総数は32本であり、その中の10本が炭素繊維強化プラスチック線材センサ2S(チャンネルCH1〜CH10、CH11〜CH20)である。
炭素繊維強化プラスチック線材1本の断面積は0.659mm2、炭素繊維強化プラスチック線材シートに含まれる炭素繊維強化プラスチック線材32本の断面積は13.839mm2、炭素繊維強化プラスチック線材シートの幅は395mmであった。各炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sには、その両端部に銅線20aを巻き付け、導電性接着剤(藤倉化成株式会社製:商品名「ドータイト D−550」)20bを塗布して、25℃、1時間にて硬化し、端子電極20を形成した。
本試験の上記構成の炭素繊維強化プラスチック線材シート1を、図5を参照して説明した上記実施例と同じ手順にて鋼板100に接着した。使用した接着剤105は、表1に示すエポキシ樹脂であった。
つまり、本試験例では、鋼板100の両面をショットブラストにて研掃し、適度の粗面とした。この鋼板100の表面102上にエポキシ変性ウレタンプライマー(新日鉄マテリアルズ(株)製「FORCAUL−1」(商品名))103を0.15kg/m2塗布した。エポキシ変性ウレタン樹脂プライマー103が指触乾燥した後、エポキシ樹脂105を塗布量0.4kg/m2にて塗付した。次いで、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sを備えた炭素繊維強化プラスチック線材シート1をエポキシ樹脂塗布面に軽く押し付けた後、炭素繊維強化プラスチック線材シート1の上を幅100mm、直径10mmプラスチックローラーを100N程度の押し付け力を加えながら移動させた。次いで、上塗りとしてエポキシ樹脂105を塗布量0.2kg/m2にて炭素繊維強化プラスチック線材シート1の表面に塗布してゴムベラにより表面を平坦に仕上げた。その後、室温で1週間養生した。炭素繊維強化プラスチック線材シート1の貼着面に、何らボイドを発生することなく、鋼板100に極めて良好に接着することができた。
本試験で使用した試験体100Sと、ひずみゲージSGの貼付け位置との関係は図18(a)〜(c)に示す通りであった。本試験で使用した鋼材は、鋼板中央が切断されているため、炭素繊維強化プラスチック線材シート2に伝わる引張応力は面方向で異なる。そこで、炭素繊維強化プラスチック線材シート表面のひずみ分布と軸方向のおよその伸び量を算出するため、また、炭素繊維強化プラスチック線材シート中央の幅方向のひずみ分布を得るため、炭素繊維強化プラスチック線材シート表面33箇所にひずみゲージSGを貼り付けた。炭素繊維強化プラスチック線材シートによる補強効果を確認するため、鋼材中央から左右50mm離れた位置2箇所にひずみゲージを貼り付けた。また、無補強部のひずみを得られるように、鋼材の無補強部断面のコバ面4箇所にひずみゲージSGを貼り付けた。
(一軸引張り試験)
鋼板100に炭素繊維強化プラスチック線材シート1を接着した試験片100Sに対して、試験片100Sの端から100mmをチャックで摘み、アムスラー式万能試験機を用いて、引張試験を行った。また、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの端子電極20をプローブで掴み、電気抵抗を測定した。
電気抵抗の測定は、抵抗計(日置電機株式会社製:商品名「RM3545−02」を用いた。また、マルチプレクサユニット(日置電機株式会社製:商品名「Z3003」を使用することで、リレー式多点測定が可能とされた。パソコンにて抵抗計の制御を行い、測定値をディスプレー装置に表示し、また、記録した。
なお、電気抵抗測定は、4端子測定法を採用した。4端子測定法は、図10に示すように、一定電流を供給する電流源端子(SourceA1、SourceB1)と電圧降下を検出する電圧検出端子(SenceA1、SenceB1)から構成される。測定対象に接続された電圧検出端子側のリード線には、電圧計の入力インピーダンスが高いため殆ど電流が流れない。そのため、測定リードの抵抗や接触抵抗の影響を受けずに正確に測定できる。
図20に、引張試験結果である荷重−ひずみ関係を示す。補強部のひずみは無補強部より低減しており、補強効果が確認できる。図21(a)、(b)に、試験片100Sの荷重−電気抵抗変化率関係を示す。図21(a)、(b)にて、非切断側の電気抵抗変化率は、65kN付近まで増加し、その後減少している。一方、切断側も同様の挙動を示し、50kN付近まで増加し、その後減少している。変曲点となる荷重65kNと50kNから剥離の進行が始まることが実験にて確認されている。従って、剥離による炭素繊維強化プラスチック線材シート1への応力伝達の変化が炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗変化にも影響していることが分かる。
図22には、上記方法にて最初に上述した電気抵抗増加率の補正を行った補正後の、且つ、剥離が進行する前の40kN載荷時の、炭素繊維強化プラスチック線材シート中央からの距離−電気抵抗変化率−ひずみの関係を示す。なお、併せて、5kN載荷時の、炭素繊維強化プラスチック線材シート中央からの距離−電気抵抗変化率をも示す。図22から、40kN時には、電気抵抗変化率は、ひずみと同様に非切断側より切断側で大きくなっており、従って、荷重を加えることによって、電気抵抗変化率の差異から切断部の検出ができることが分かる。つまり、炭素繊維強化プラスチック線材シート1における各炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗変化率の差異から被補強物である鋼板に発生する亀裂の存在及び進展の検出が可能である。従って、本発明によれば、鋼部材の腐食劣化の進行によっても炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗変化率の増大が見られ、鋼部材の腐食劣化の進行も検知可能である。
また、図20及び図21から理解されるように、炭素繊維強化プラスチック線材シート1の鋼部材からの剥離が進行する40kN載荷時以降、非切断側で荷重65kN、切断側で50kNを過ぎると、荷重を加えることによって炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sのひずみが減少している。つまり、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗は減少し、電気抵抗変化率が減少する。従って、炭素繊維強化プラスチック線材シート1が鋼部材から剥離することがあると、炭素繊維強化プラスチック線材センサ2Sの電気抵抗変化率の差異から被補強物である鋼板からの炭素繊維強化プラスチック線材シート1の剥離が検出可能である。
このように、本発明によれば、鋼橋、鋼建造物における鋼製の桁、梁、更には、機械装置の鋼製部材などのような土木、建築、機械装置などの鋼構造物を有効に補強すると共に、補強した際の補強箇所における疲労亀裂の発生、亀裂の進展などを監視して鋼構造物の局部的な状態の把握が可能である。更には、鋼部材の腐食劣化、補強シートの剥離などを監視して鋼構造物の補強状態の検知が可能である。
1 炭素繊維強化プラスチック線材シート(ストランドシート)
2 炭素繊維強化プラスチック線材(ストランド)
2S 炭素繊維強化プラスチック線材センサ(計測ストランド)
3 線材固定材(横糸、メッシュ支持体シート、可撓性帯材)
10 繊維シート
20 端子部材(端子電極)
100 鋼構造物
105 接着剤

Claims (13)

  1. 鋼構造物の表面に接着剤にて接着して鋼構造物を補強するための炭素繊維強化プラスチック線材シートであって、
    炭素繊維にマトリクス樹脂が含浸され、硬化された連続した炭素繊維強化プラスチック線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、
    前記炭素繊維強化プラスチック線材の中の所定の前記炭素繊維強化プラスチック線材は、該線材の両端に端子電極が付設されており、該線材の電気抵抗が計測可能とされた炭素繊維強化プラスチック線材センサである、
    ことを特徴とする炭素繊維強化プラスチック線材シート。
  2. 前記炭素繊維強化プラスチック線材は、直径(d)が0.5〜3mmの略円形断面形状であるか、又は、幅(w)が1〜10mm、厚み(t)が0.1〜2mmとされる略矩形断面形状であり、
    互いに隣接する前記炭素繊維強化プラスチック線材は、互いに空隙(g)=0.05〜3.0mmだけ近接離間して配置されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維強化プラスチック線材シート。
  3. 隣り合った前記炭素繊維強化プラスチック線材センサの間には、前記端子電極を有さない炭素繊維強化プラスチック線材が配置されないか、又は、前記端子電極を有さない炭素繊維強化プラスチック線材が1〜10本の範囲内で配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭素繊維強化プラスチック線材シート。
  4. 前記炭素繊維は、ピッチ系又はPAN系の炭素繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の炭素繊維強化プラスチック線材シート。
  5. 前記マトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂とされ、前記熱硬化性樹脂は、常温硬化型若しくは熱硬化型のエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、MMA樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、又は、光硬化型樹脂であり、又、前記熱可塑性樹脂は、ナイロン又はビニロンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の炭素繊維強化プラスチック線材シート。
  6. 鋼構造物の表面上に強化繊維を含む繊維シートを一層又は複数層、接着剤にて接着して一体化する鋼構造物の補強方法において、
    少なくとも一層の繊維シートは請求項1〜5のいずれかの項に記載の炭素繊維強化プラスチック線材シートであり、
    前記炭素繊維強化プラスチック線材シートの前記炭素繊維強化プラスチック線材センサの電気抵抗を計測することにより、前記補強された鋼構造物の補強状態の検知を行う、
    こと特徴とする鋼構造物の補強方法。
  7. 前記炭素繊維強化プラスチック線材センサの電気抵抗値をR、初期抵抗値をRoとしたとき、下記式で表わされるRcrを電気抵抗変化率とすると、
    Rcr=(R−Ro)/Ro
    前記炭素繊維強化プラスチック線材センサの電気抵抗値(R)を計測し、前記電気抵抗変化率(Rcr)が増大している領域が発生したとき、該電気抵抗変化率が増大している領域に対応する前記補強された鋼構造物に亀裂が発生したか、又は、亀裂の進展があったか、又は、鋼構造物に腐食劣化が進行したかのいずれかであると判断することを特徴とする請求項6に記載の鋼構造物の補強方法。
  8. 前記炭素繊維強化プラスチック線材センサの電気抵抗値をR、初期抵抗値をRoとしたとき、下記式で表わされるRcrを電気抵抗変化率とすると、
    Rcr=(R−Ro)/Ro
    前記炭素繊維強化プラスチック線材センサの電気抵抗値(R)を計測し、前記電気抵抗変化率(Rcr)が減少している領域が発生したとき、該電気抵抗変化率が減少している領域にて前記補強された鋼構造物から前記繊維シートの剥離が生じたと判断することを特徴とする請求項6に記載の鋼構造物の補強方法。
  9. (1)前記炭素繊維強化プラスチック線材センサの初期抵抗値(Ro)から推定電気抵抗増加率αを求め、次に、
    (2)前記炭素繊維強化プラスチック線材センサの初期抵抗理論値(Roth)の時の推定電気抵抗増加率βを求め、
    (3)実験から得られた前記炭素繊維強化プラスチック線材センサのひずみ−電気抵抗変化率関係をプロットし、ひずみxiが発生したときの電気抵抗変化率の値を、前記推定電気抵抗増加率α及び前記推定電気抵抗増加率βに基づき得られる比を用いて、算出し、補正する、
    ことを特徴とする請求項6〜8のいずれかの項に記載の鋼構造物の補強方法。
  10. 前記鋼構造物に接着される、前記炭素繊維強化プラスチック線材シート以外の繊維シートは、強化繊維として、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用することを特徴とする請求項6〜9のいずれかの項に記載の鋼構造物の補強方法。
  11. 前記炭素繊維強化プラスチック線材シート以外の前記繊維シートは、少なくともシート軸方向へと一方向に引き揃えた強化繊維を含む強化繊維を互いに線材固定材にて固定した繊維シートであることを特徴とする請求項6〜10のいずれかの項に記載の鋼構造物の補強方法。
  12. 前記炭素繊維強化プラスチック線材シート以外の前記繊維シートは、強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され、硬化された連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、線材を互いに線材固定材にて固定した繊維シートであることを特徴とする請求項6〜10のいずれかの項に記載の鋼構造物の補強方法。
  13. 前記炭素繊維強化プラスチック線材シート以外の前記繊維シートは、強化繊維を一方向に引き揃えた強化繊維シートに樹脂を含浸して、前記樹脂が硬化された樹脂含浸硬化繊維シートか、又は、強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され、硬化された連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、線材を互いに線材固定材にて固定した繊維シートに樹脂を含浸して、前記樹脂が硬化された樹脂含浸硬化繊維シートであることを特徴とする請求項6〜10のいずれかの項に記載の鋼構造物の補強方法。
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