JP2020104147A - 溶接用ケーブル - Google Patents

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泰典 吉岡
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Koji Hashimoto
橋本  浩司
高橋 俊明
Toshiaki Takahashi
俊明 高橋
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Abstract

【課題】軽量であり、かつ屈曲性に優れる溶接用ケーブルを提供する。【解決手段】アルミニウム又はアルミニウム合金からなる複数の素線が撚り合わされた撚線を有する導体と、樹脂からなり、前記導体の外周を覆うシースと、前記導体と前記シースとを仕切るセパレータとを備え、前記複数の素線のうち前記導体の最外層に位置する複数の素線を最外素線とし、前記最外素線のうち隣り合う一組の最外素線と、前記一組の最外素線に外接する外接線とで形成される仮想領域の断面積をSとするとき、前記シース及び前記セパレータによる前記仮想領域への侵入領域の断面積が、前記仮想領域の断面積Sの50%以上である溶接用ケーブル。【選択図】図2

Description

本開示は、溶接用ケーブルに関する。
特許文献1には、建設現場などで使用される溶接装置用の電圧供給用ケーブル及びアース用ケーブルが開示されている。電圧供給用ケーブルは、溶接電源ボックスと溶接ホルダとを繋ぐ。アース用ケーブルは、溶接電源ボックスとアースクランプとを繋ぐ。電圧供給用ケーブルやアース用ケーブルといった溶接用ケーブルは、代表的には、JIS C 3404(2000)で規定されている。この溶接用ケーブルは、導体と、導体上に被覆されるシースとを備える。導体は、軟銅線を撚り合わせた撚線構造で構成される。シースは、天然ゴムなどのゴム材料からなる。
特開2003−200267号公報
溶接用ケーブルは、作業現場が変わるたびに作業者によって運搬される。溶接用ケーブルの重さは作業者にとって大きな負担となる。そのため、溶接用ケーブルの軽量化が望まれている。また、作業現場によっては、一旦所定の屈曲状態に溶接用ケーブルを曲げた際、その屈曲状態を維持できる癖付け性に優れることが望まれている。
そこで、本開示は、軽量であり、かつ癖付け性に優れる溶接用ケーブルを提供することを目的の一つとする。
本開示に係る溶接用ケーブルは、
アルミニウム又はアルミニウム合金からなる複数の素線が撚り合わされた撚線を有する導体と、
樹脂からなり、前記導体の外周を覆うシースと、
前記導体と前記シースとを仕切るセパレータとを備え、
前記複数の素線のうち前記導体の最外層に位置する複数の素線を最外素線とし、前記最外素線のうち隣り合う一組の最外素線と、前記一組の最外素線に外接する外接線とで形成される仮想領域の断面積をSとするとき、
前記シース及び前記セパレータによる前記仮想領域への侵入領域の断面積が、前記仮想領域の断面積Sの50%以上である。
本開示の溶接用ケーブルは、軽量であり、かつ癖付け性に優れる。
図1は、実施形態1に係る溶接用ケーブルを示す模式断面図である。 図2は、実施形態1に係る溶接用ケーブルに備わる導体における撚線を構成する隣り合う素線間で形成される仮想領域近傍を示す拡大断面図である。 図3は、実施形態1に係る溶接用ケーブルの配置状態を示す説明図である。 図4は、癖付け性試験の方法を説明する説明図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施形態に係る溶接用ケーブルは、
アルミニウム又はアルミニウム合金からなる複数の素線が撚り合わされた撚線を有する導体と、
樹脂からなり、前記導体の外周を覆うシースと、
前記導体と前記シースとを仕切るセパレータとを備え、
前記複数の素線のうち前記導体の最外層に位置する複数の素線を最外素線とし、前記最外素線のうち隣り合う一組の最外素線と、前記一組の最外素線に外接する外接線とで形成される仮想領域の断面積をSとするとき、
前記シース及び前記セパレータによる前記仮想領域への侵入領域の断面積が、前記仮想領域の断面積Sの50%以上である。
上記溶接用ケーブルは、導体を構成する素線がアルミニウム又はアルミニウム合金からなるため、軽量である。上記溶接用ケーブルは、最外素線で形成される仮想領域へのシース及びセパレータの侵入領域の断面積が仮想領域の断面積Sの50%以上であり、仮想領域にシース及びセパレータがある程度侵入しており、仮想領域に大きな空間を有しない。そのため、上記溶接用ケーブルは、導体がシース及びセパレータに拘束され易く、シース及びセパレータによる拘束によって素線同士が滑り動くことを抑制できる。素線同士が滑り動くことを抑制できることで、溶接用ケーブルを一旦所定の屈曲形状に曲げると、その屈曲状態を維持でき、癖付け性に優れる。
上記溶接用ケーブルは、導体とシースとがセパレータで仕切られている。そのため、溶接用ケーブルの製造過程において、導体の外周をセパレータで保護できる。よって、導体の外周にシースを形成する際に、導体の損傷を抑制できる。導体の外周をセパレータで保護できることで、従来の銅製の導体を備える溶接用ケーブルの製造ラインを利用して、アルミニウム製の導体を備える溶接用ケーブルを製造でき、生産性に優れる。セパレータによって、アルミニウム製の導体に銅が混入することを抑制できるからである。
(2)本開示の溶接用ケーブルの一例として、前記複数の素線のうち少なくとも一つの素線は、アルミニウム合金からなり、前記アルミニウム合金は、Feを1質量%以上3質量%以下含有し、残部がAl及び不可避不純物であることが挙げられる。
素線が上記組成のアルミニウム合金からなる場合、引張強さなどの強度や破断伸びなどの靱性といった機械的特性に優れる。
(3)本開示の溶接用ケーブルの一例として、前記導体の断面積が22mm以上であることが挙げられる。
導体の断面積が22mm以上であることで、導体を構成する素線の数が多くなり、最外素線の数及び最外素線で形成される仮想領域の数も多くなる。そのため、最外素線に対するシース及びセパレータの接触面積が多くなり、導体がシース及びセパレータにより拘束され易く、シース及びセパレータによる拘束によって素線同士が動くことをより抑制でき、癖付け性を向上し易い。
(4)導体の断面積が22mm以上である本開示の溶接用ケーブルの一例として、前記溶接用ケーブルの断面積が、前記導体の断面積の3倍以上であることが挙げられる。
溶接用ケーブルの断面積が導体の断面積の3倍以上であることで、シースやセパレータの厚みが十分に厚くなり、シースやセパレータによる拘束力が大きくなる。よって、最外素線で形成される仮想領域にシースやセパレータが侵入することによる癖付け性の効果を発揮し易い。
(5)本開示の上記溶接用ケーブルの一例として、前記セパレータがポリエチレンテレフタレートからなることが挙げられる。
セパレータがポリエチレンテレフタレートからなることで、導体とシースとがセパレータで仕切られているとしても、シースがセパレータを押圧してセパレータに形状崩れを生じさせ易い。よって、最外素線で形成される仮想領域にセパレータごとシースが侵入し易く、シース及びセパレータによる拘束によって素線同士が滑り動くことを抑制し易い。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の詳細を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図中の同一符号は、同一名称物を示す。
<実施形態1>
≪溶接用ケーブル≫
実施形態1に係る溶接用ケーブル1を図1及び図2に基づいて説明する。溶接用ケーブル1は、導体2と、シース3と、セパレータ4とを備える。導体2は、複数の素線21が撚り合わされた撚線20を有する。シース3は、導体2の外周を覆う。セパレータ4は、導体2とシース3とを仕切る。実施形態1に係る溶接用ケーブル1は、素線21がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる点を特徴の一つとする。また、実施形態1に係る溶接用ケーブル1は、複数の素線21のうち導体2の最外層に位置する複数の最外素線21oで形成される仮想領域8にシース3及びセパレータ4の一部が大きく侵入している点を特徴の一つとする。以下、溶接用ケーブル1の構成を詳しく説明する。
図1は、溶接用ケーブル1をその長手方向と直交する方向に切断した横断面図である。図1では、説明の便宜上、シース3及びセパレータ4について、複数の撚線20に外接する外接円と同心円上に位置する状態で図示している。つまり、図1では、最外素線21oで形成される仮想領域8(図2、詳細は後述)にシース3及びセパレータ4が侵入していない。言い換えると、図1では、仮想領域8(図2)に最も大きな空間を有する。図2では、仮想領域8にシース3及びセパレータ4が侵入した状態を図示している。図2では、仮想領域8に細かい間隔の左下がりのハッチングを付している。図2では、シース3及びセパレータ4による仮想領域8への侵入領域9に細かい間隔のクロスハッチングを示している。
〔導体〕
導体2は、複数の素線21が撚り合わされた撚線20を複数有する。この例では、導体2は、複数の撚線20が撚り合わされた撚線集合体で構成されている。この例の撚線20は、1本の素線21を中心として、この素線21の外周に6本の素線21から構成される第二層と、12本の素線21から構成される第三層(外層)とを備える。そして、導体2は、1本の撚線20を中心として、この撚線20の外周に6本の撚線20が撚り合わされ、更にその外周に12本の撚線が撚り合わされた三層構造で構成されている。図1では、導体2を構成する撚線20について、一つの撚線20について各素線21を図示し、その他の撚線20については各素線を簡略して一つの円で示す。
導体2は、素線21がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる。ここでの「アルミニウム(Al)」とは、Alを99質量%以上含有する純アルミニウムである。ここでの「アルミニウム(Al)合金」とは、Alを50質量%以上、好ましくは90質量%以上含有し、Al以外の添加元素を1種以上含有するアルミニウム基合金である。Al合金の添加元素は、例えば、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、銀(Ag)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)などが挙げられる。添加元素の合計含有量は、0.005質量%以上3.0質量%以下が挙げられ、更に0.05質量%以上1.5質量%以下が挙げられる。各元素の含有量としては、Feを含む場合、1.0質量%以上3.0質量%以下が挙げられる。Mgを含む場合、0.005質量%以上1.0質量%以下が挙げられる。このようなAl合金としては、例えば、Al−Fe合金、Al−Fe−Mg合金、Al−Fe−Si合金、Al−Fe−Mg−(Mn,Ni,Zr,Ag)合金、Al−Fe−Cu合金、Al−Fe−Cu−(Mg,Si)合金、Al−Mg−Si−Cu合金などが挙げられる。
導体2を構成する複数の素線21は、全ての素線21を同一組成としてもよいし、異なる組成の素線21を混在させてもよい。例えば、純アルミニウムからなる素線21のみで導体2を構成してもよいし、同一組成のアルミニウム合金からなる素線21のみで導体2を構成してもよい。また、純アルミニウムからなる素線21とアルミニウム合金からなる素線21とを混在させて導体2を構成してもよいし、異なる組成のアルミニウム合金からなる素線21を混在させて導体2を構成してもよい。アルミニウム合金からなる素線21を含む場合、Feを1.0質量%以上3.0質量%以下含有し、残部がAl及び不可避不純物であるアルミニウム合金からなる素線21を用いることが好ましい。素線21がこのアルミニウム合金からなる場合、引張強さなどの強度や破断伸びなどの靱性といった機械的特性を向上できる。
導体2の断面積は、22mm以上が挙げられる。導体2の断面積が大きくなると、導体2を構成する素線21の数が多くなり、最外素線21oで形成される仮想領域8の数も多くなる。そのため、最外素線21oに対するシース3及びセパレータ4の接触面積が多くなり、導体2がシース3及びセパレータ4により拘束され易く、シース3及びセパレータ4による拘束によって素線21同士が動くことを抑制し易く、癖付け性を向上し易い。導体2の断面積は、更に30mm以上が挙げられ、特に33mm以上が挙げられる。
〔シース〕
シース3は、絶縁性、耐熱性、耐水性などを有する樹脂からなる。特に、シース3は、耐熱温度が60℃以上である樹脂からなることが挙げられる。耐熱温度は、ケーブル通電時の導体温度である。具体的には、シース3は、天然ゴム、ネオプレンゴム、テトラフルオロエチレンとエチレン共重合体(ETFE)、架橋ポリオレフィン、特に架橋ポリエチレンからなることが挙げられる。アルミニウムは銅よりも電気抵抗が高い。そのため、素線21がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる場合、素線21が銅又は銅合金からなる場合と同じ導体断面積で同じ電流を流すと導体2の温度が高くなる。シース3が上記樹脂からなることで、素線21がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる場合であっても、素線21が銅又は銅合金からなる場合と同じ導体断面積で同じ電流を流すことができる。特に、シース3が耐熱温度の高い樹脂からなることで、シース3が比較的耐熱温度の低い樹脂からなる場合に比較して大きな電流を流すことができる。
シース3の厚みは、導体2の断面積などに応じて適宜選択できる。例えば、シース3の厚みは、溶接用ケーブル1の断面積が、導体2の断面積の3倍以上を満たすように選択することが挙げられる。後述するセパレータ4の厚みを一定とする。このとき、導体2の断面積に対する溶接用ケーブル1の断面積が大きくなると、シース3の厚みが厚くなる。シース3の厚みが厚くなると、シース3による拘束力が大きくなり、最外素線21oで形成される仮想領域8にシース3及びセパレータ4の一部が大きく侵入することによる癖付け性の効果を発揮し易い。シース3の厚みは、溶接用ケーブル1の断面積が、導体2の断面積の更に3.3倍以上、特に3.5倍以上を満たすように選択することが挙げられる。
シース3の厚みは、以下のように測定できる。まず、複数の最外素線21oのうち隣り合う一組の最外素線21oに外接する外接線をとる。この外接線と最外素線21oとの接点αをとる。この接点αを通り、上記外接線に直交する垂線を引く。この垂線とセパレータ4の外周縁との交点β、及び垂線とシース3の外周縁との交点γをとる。次に、接点αと交点βとの間の長さA、及び接点αと交点γとの間の長さBを測定する。そして、上記長さAと上記長さBとの差を算出する。シース3の周方向のほぼ等間隔に位置する3本以上の最外素線21oにて上記差を求め、得られた差の平均値をシース3の厚みとする。
〔セパレータ〕
セパレータ4は、導体2とシース3との間に介在されて、導体2とシース3とを仕切る部材である。セパレータ4は、容易に破れないテープ材からなる。また、セパレータ4は、溶接用ケーブル1の製造時にシース3を形成する際に、熱で溶けたり変質したりしないテープ材からなる。セパレータ4は、導体2の外周にテープ材をらせん状に巻回して構成される。導体2とシース3とがセパレータ4で仕切られることで、溶接用ケーブル1の製造過程において、導体2の外周をセパレータ4で保護できる。そのため、導体2の外周にシース3を形成する際に、導体2の損傷を抑制できる。導体2の外周をセパレータ4で保護できることで、従来の銅導体の製造ラインを利用した場合であっても、銅の混入を抑制できる。導体2とシース3とがセパレータ4で仕切られているとしても、シース3がセパレータ4を押圧してセパレータ4に形状崩れを生じさせることで、最外素線21oで形成される仮想領域8にセパレータ4ごとシース3を侵入させることができる。
セパレータ4は、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなることが挙げられる。セパレータ4がPETからなることで、シース3がセパレータ4を押圧することでセパレータ4に形状崩れを生じさせ易く、最外素線21oで形成される仮想領域8にセパレータ4ごとシース3を侵入させ易い。
セパレータ4の厚みは、25μm未満が挙げられる。セパレータ4の厚みが25μm未満であることで、導体2とシース3とがセパレータ4で仕切られているとしても、シース3がセパレータ4を押圧することでセパレータに形状崩れを生じさせ易く、最外素線21oで形成される仮想領域8にセパレータ4ごとシース3を侵入させることができる。一方、セパレータ4の厚みが15μm以上であることで、シース3の押圧によってセパレータ4が損傷することを抑制できる。セパレータ4の厚みは、以下のように測定できる。まず、複数の最外素線21oのうち隣り合う一組の最外素線21oに外接する外接線をとる。この外接線と最外素線21oとの接点αをとる。この接点αを通り、上記外接線に直交する垂線を引く。この垂線とセパレータ4の外周縁との交点βをとる。次に、接点αと交点βとの長さAを測定する。セパレータ4の周方向のほぼ等間隔に位置する3本以上の最外素線21oにて上記長さAを求め、得られた長さAの平均値をセパレータ4の厚みとする。
セパレータ4は、テープ材を重ね巻き又は突合せ巻きにより巻回して構成されることが挙げられる。この場合、仮想領域8には、セパレータ4ごとシース3が侵入する。
セパレータ4を構成するテープ材の幅は、例えば20mm以上80mm以下が挙げられる。テープ材の幅が20mm以上であることで、テープ材間に隙間が形成され難く、導体2とセパレータ4との間を確実に仕切り易い。一方、テープ材の幅が80mm以下であることで、テープ材を巻回し易い。テープ材の幅は、更に25mm以上75mm以下が挙げられ、特に30mm以上70mm以下が挙げられる。
セパレータ4を構成するテープ材の巻回ピッチは、テープ材の幅の0.5倍以上0.85倍以下が挙げられる。テープ材の巻回ピッチがテープ材の幅の0.5倍以上であることで、過度に巻回数が多くならず、テープ材を巻回し易い。一方、テープ材の巻回ピッチがテープ材の幅の0.85倍以下であることで、テープ材間に隙間が形成され難く、導体2とセパレータ4との間を確実に仕切り易い。また、テープ材の巻回ピッチがテープ材の幅の0.85倍以下であることで、セパレータ4に起因する溶接用ケーブル1の癖付け性を向上することができる。テープ材の巻回ピッチは、更にテープ材の幅の0.55倍以上0.8倍以下が挙げられ、特に0.6倍以上0.75倍以下が挙げられる。
〔仮想領域に対するシースの侵入領域〕
導体2を構成する複数の素線21のうち導体2の最外層に位置する複数の最外素線21oで形成される仮想領域8には、シース3及びセパレータ4の一部が大きく侵入している。仮想領域8の具体的な設定方法は後述する。複数の最外素線21oのうち隣り合う一組の最外素線21oの外周縁と、当該一組の最外素線21oに外接する外接線とで形成される仮想領域8の断面積をSとする。このとき、シース3及びセパレータ4における仮想領域8への侵入領域9の断面積Tが、仮想領域8の断面積Sの50%以上である。なお、一組の最外素線21oに外接する外接線は、導体2の内周側と外周側とに形成される2本の接線のうち、導体2の外周側に位置する接線のことである。この接線は、直線で構成される。仮想領域8にシース3及びセパレータ4の一部が大きく侵入していることで、導体2がシース3に拘束され易く、シース3による拘束によって素線21同士が滑り動くことを抑制できる。
隣り合う一組の最外素線21oは、互いに接触しているものもあれば(図2の右側に図示する一組の最外素線21oを参照)、非接触のものもある(図2の左側に図示する一組の最外素線21oを参照)。隣り合う一組の最外素線21oが非接触である場合、当該一組の最外素線21oの外周縁と、当該一組の最外素線21oの重心同士を結ぶ直線と、当該一組の最外素線21oに外接する外接線とで形成される領域を仮想領域8とする。
シース3及びセパレータ4における仮想領域8への侵入領域9の断面積Tは、大きいほど、シース3及びセパレータ4による素線21の拘束を強化できる。そのため、シース3及びセパレータ4における仮想領域8への侵入領域9の断面積Tは、仮想領域8の断面積Sの80%以上、更に90%以上、特に95%以上が挙げられる。
仮想領域8の断面積Sに対する侵入領域9の断面積Tの割合は、撚線20ごとに仮想領域8を四カ所以上選定し、その仮想領域8における全割合の平均値とする。この例では、導体2は、複数の撚線20が撚り合わされた撚線集合体で構成されている。この場合、撚線20ごとに四カ所以上の仮想領域8を選定し、仮想領域8の断面積Sに対する侵入領域9の断面積Tの割合の平均値を算出する。そして、全撚線20の平均値を、その導体2における仮想領域8の断面積Sに対する侵入領域9の断面積Tの割合とする。なお、導体2が撚線集合体で構成される場合、隣り合う撚線20間に形成される大きな溝部は除外する。仮想領域8の断面積Sに対する侵入領域9の断面積Tの割合は、画像解析によって測定できる。
≪溶接用ケーブルの製造方法≫
上述した溶接用ケーブル1は、代表的には、導体2を用意する工程と、導体2の外周にセパレータ4を形成する工程と、セパレータ4の外周にシース3を形成する工程とを経て製造できる。
〔導体を用意する工程〕
所望の形状及び大きさの導体2を用意する。アルミニウム又はアルミニウム合金からなる素線21は、代表的には、鋳造、圧延、伸線、必要に応じて軟化処理という工程を経て製造できる。軟化処理を行ってある程度伸び易くすると、伸線加工時に断線を低減したり、素線21を撚り合わせる際に断線を低減したりし易い。アルミニウム又はアルミニウム合金からなる素線21の基本的な製造方法は、公知の製造方法を利用できる。
所定の本数の素線21を用意して、所定の撚りピッチ、撚り方向に応じて撚り合わせることで、撚線20を製造できる。撚線20の基本的な製造方法は、公知の製造方法を利用できる。導体2を撚線集合体で構成する場合、所定の本数の撚線20を用意して、所定の撚りピッチ、撚り方向に応じて撚り合わせる。
〔セパレータを形成する工程〕
導体2の外周にセパレータ4をらせん状に巻回する。セパレータ4は、所定の幅のテープ材を重ね巻き又は突合せ巻きにより巻回して構成する。
〔シースを形成する工程〕
セパレータ4の外周にシース3を押出などで被覆する。押出方法としては、充実押出が挙げられる。充実押出は、セパレータ4に樹脂を接触させて押し出すことでセパレータ4にシース3を被覆する。充実押出では、シース3からセパレータ4に向かう力が生じる。そのため、充実押出は、セパレータ4とシース3とを密着させ易く、かつシース3及びセパレータ4の一部を仮想領域8に侵入させ易い。また、充実押出は、シース3の外観をきれいに仕上げることができる。なお、押出方法として、引き落としによる押出もある。引き落としによる押出は、ダイスにセパレータ4が被覆された導体2を通して引き出し、チューブ状のシース3に張力をかけて長さ方向に引き伸ばしながらセパレータ4にシース3を被覆する。引き落としによる押出は、セパレータ4とシース3との間に隙間が形成され易い。また、引き落としによる押出は、シース3の外観が劣る傾向にある。シース3の基本的な製造方法は、公知の製造方法を利用できる。
≪用途≫
溶接用ケーブル1は、図3に示すように、建設現場などで使用される溶接装置100用のパワーケーブル140やアースケーブル150として用いられる。パワーケーブル140は、溶接機110と溶接ホルダ120とを繋ぐ。アースケーブル150は、溶接機110とアースクランプ130とを繋ぐ。
≪効果≫
上述した実施形態1に係る溶接用ケーブル1は、導体2を構成する素線21がアルミニウム又はアルミニウム合金からなるため、軽量である。そして、上記溶接用ケーブル1は、最外素線21oで形成される仮想領域8にシース3及びセパレータ4の一部が大きく侵入しているため、導体2がシース3及びセパレータ4に拘束され易く、シース3及びセパレータ4による拘束によって素線21同士が滑り動くことを抑制できる。よって、上記溶接用ケーブル1は、一旦所定の屈曲形状に曲げると、その屈曲状態を維持でき、癖付け性に優れる。
[試験例]
導体を構成する最外素線で形成される仮想領域の空間面積が異なる複数の溶接用ケーブルを作製し、その溶接用ケーブルの癖付け性を調べた。
≪試験体≫
・試験体1
アルミニウム合金からなる19本の素線を内側から順に1本、6本、12本となるように三層構造に撚り合わせた撚線を19本準備した。19本の撚線を内側から順に1本、6本、12本となるように三層構造に撚り合わせた撚線集合体を導体とした。この導体の外周にポリエチレンテレフタレート(PET)からなるセパレータを螺旋状に巻回した。そして、このセパレータの外周に、架橋ポリエチレンからなるシースを充実押出によって被覆し、溶接用ケーブルを作製した(図1を参照)。この試験体1の溶接用ケーブルは、導体の断面積が60mm、セパレータの厚みが0.025mm、シースの厚みが2.8mmである。
・試験体2
試験体2では、ナイロンからなるセパレータを用いた。セパレータの材質以外は、試験体1と同様である。
・試験体3
試験体3では、ナイロンからなるセパレータを用いた。また、試験体3では、セパレータの外周にシースを引き落としによる押出によって被覆した。セパレータの材質、及びシースの押出方法以外は、試験体1と同様である。
≪仮想領域に対するシース及びセパレータの侵入領域の測定≫
各試験体において、導体を構成する最外素線で形成される仮想領域へのシース及びセパレータの侵入領域の割合を測定した。試験体1〜3は、導体が撚線集合体で構成されているため、撚線ごとに四カ所の仮想領域を選択し、選択した仮想領域に対してそれぞれ上記割合を測定し、この測定した割合の平均値を、その試験体における仮想領域へのシース及びセパレータの侵入領域の割合とした。その結果を表1に示す。
≪癖付け性試験≫
各試験体において、癖付け性を測定した。まず、図4の左図に示すように、直径170mmの円柱部材200の周方向に溶接用ケーブル1を沿わせる。このとき、円柱部材200の対角線上の二点に標点210を設ける。円柱部材200に溶接用ケーブル1を1分間押し当てる。その後、溶接用ケーブル1を解放し、30秒後の標点210間の直線距離Lを測定した。その結果を表1に併せて示す。
Figure 2020104147
表1に示すように、導体を構成する最外素線で形成される仮想領域へのシースの侵入領域の割合が50%以上である試験体1は、一旦所定の屈曲状態に曲げると、除荷後もその屈曲状態を維持できることがわかる。具体的には、試験体1は、円柱部材200への押し当て状態を解放した後の直線距離Lが円柱部材200の直径を略保っている。これは、仮想領域にシースの一部がある程度侵入することで、導体がシースに拘束され、シースによる拘束によって素線同士が滑り動くことを抑制できたからと考えられる。一方、試験体2は、上記割合が38%と低く、癖付け性に劣ることがわかる。具体的には、試験体2は、円柱部材200への押し当て状態を解放した後の直線距離Lが円柱部材200の直径に対して非常に大きくなっている。これは、導体の外周にナイロンからなる剛性の高いセパレータを備えるため、仮想領域にセパレータごとシースの一部が侵入し難く、仮想領域に大きな空間が形成され、素線同士が滑り動き易くなったからと考えられる。また、試験体3も、上記割合が1%と非常に低く、癖付け性に劣ることがわかる。具体的には、試験体3は、円柱部材200への押し当て状態を解放した後の直線距離Lが円柱部材200の直径に対して非常に大きくなっている。これは、引き落としによる押出の場合、シースに生じる内方に向かう力がほぼ発生しないため、仮想領域にセパレータごとシースの一部が侵入し難く、仮想領域に大きな空間が形成され、素線同士が滑り動き易くなったからと考えられる。
以上より、仮想領域にシースの一部が大きく侵入することで、溶接用ケーブルは、癖付け性に優れることがわかった。また、仮想領域にシースの一部を大きく侵入させるには、導体の外周にPETからなるセパレータを備えることが効果的であることがわかった。
1 溶接用ケーブル
2 導体
20 撚線
21 素線
21o 最外素線
3 シース
4 セパレータ
8 仮想領域
9 侵入領域
100 溶接装置
110 溶接機
120 溶接ホルダ
130 アースクランプ
140 パワーケーブル
150 アースケーブル
200 円柱部材
210 標点

Claims (5)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金からなる複数の素線が撚り合わされた撚線を有する導体と、
    樹脂からなり、前記導体の外周を覆うシースと、
    前記導体と前記シースとを仕切るセパレータとを備え、
    前記複数の素線のうち前記導体の最外層に位置する複数の素線を最外素線とし、前記最外素線のうち隣り合う一組の最外素線と、前記一組の最外素線に外接する外接線とで形成される仮想領域の断面積をSとするとき、
    前記シース及び前記セパレータによる前記仮想領域への侵入領域の断面積が、前記仮想領域の断面積Sの50%以上である溶接用ケーブル。
  2. 前記複数の素線のうち少なくとも一つの素線は、アルミニウム合金からなり、
    前記アルミニウム合金は、Feを1質量%以上3質量%以下含有し、残部がAl及び不可避不純物である請求項1に記載の溶接用ケーブル。
  3. 前記導体の断面積が22mm以上である請求項1又は請求項2に記載の溶接用ケーブル。
  4. 前記溶接用ケーブルの断面積が、前記導体の断面積の3倍以上である請求項3に記載の溶接用ケーブル。
  5. 前記セパレータがポリエチレンテレフタレートからなる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の溶接用ケーブル。
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