JP2020103278A - ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチド - Google Patents

ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチド Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ホクベイコメクイゴミムシダマシを他の主要食品害虫と区別して正確かつ迅速に検出するためのオリゴヌクレオチドを開発し、ホクベイコメクイゴミムシダマシを正確かつ迅速に、しかも低コストで検出できる検査系を確立することを課題とする。【解決手段】ホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAの特徴的な塩基配列を含む、2種以上のオリゴヌクレオチドから構成される、ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセット、該オリゴヌクレオチドセットを含むホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用キット、および該オリゴヌクレオチドセットを用いるホクベイコメクイゴミムシダマシの検出方法。【選択図】なし

Description

本発明は、食品害虫ホクベイコメクイゴミムシダマシ(Cynaeus angustus (LeConte))検出用オリゴヌクレオチドおよびホクベイコメクイゴミムシダマシの検出方法に関する。
ホクベイコメクイゴミムシダマシ(Cynaeus angustus(LeConte))は、コウチュウ目ゴミムシダマシ科に分類されるコクヌストモドキの近縁種である。自然宿主はユッカ属および多肉植物などとされている。ホクベイコメクイゴミムシダマシは1900年以前にはメキシコと米国南西部の砂漠でのみ見つかっていた。しかし、1980年にはカナダとメキシコを含む北米の大半に生息域が広がっていることが明らかとなった。近年では、世界的な物流の増加に伴って、ポーランド、ロシアやフランス等のヨーロッパや、タイや韓国などアジア諸国でも見つかっており、生息域は世界レベルで急速に拡大している。
我が国においては、2009年に北海道の苫小牧港において、中国の大連から輸出されたダイズ粕から初めて発見されたが(非特許文献1)、2014年には岡山県東部のカラスザンショウ生木枯死部分から採取されたとの報告が既にされており(非特許文献2)、採集地点が屋外であること、港や幹線道路から比較的離れていることから既に国内に帰化している可能性が示されている。
ホクベイコメクイゴミムシダマシの穀物に対する食性としては、主に貯蔵トウモロコシを好み、健全な粒の胚の部分を食害するが、割れた粒で発育が良いとの報告がある。穀物を食害する最も一般的なゴミムシダマシ科の甲虫は、それほど大きいものではない。しかし、ホクベイコメクイゴミムシダマシの幼生は、主に幼虫期が長く、体重が重いため、他の科の甲虫類よりも多くの食物をライフサイクルにわたって消費することが、エネルギー量の算定結果によりわかっており、経済的に最も大きな影響を与えることが指摘されている。その結果、現在最も穀物に与える被害が大きいノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella(Hubner))や、スジマダラメイガ(Cadra cautella(Walker))などの鱗翅目に匹敵するリスクが潜在すると結論づけた研究結果も報告されている。また、貯穀害虫には穀物を食害するだけでなく、穀物を加工して生産された食品に異物として混入して2次的な被害が発生するリスクがある。
食品産業において、食材またはそれを加工した食品等が留め置かれる場所には、その環境に合った昆虫種が定着・蔓延する可能性が有り、混入の主要な原因となりうる。昆虫は一度発生すると、世代交代を繰り返して加速度的に個体数が増えてゆく場合が多く認められるため、蔓延を防止するには、発生初期にモニタリング調査を行い、発生の程度や昆虫種等の状況を早期に把握する必要がある。
食品を巡る環境を把握するために、穀物貯蔵施設、精米・製粉プラントや食品工場などでは、害虫の発生状況をモニタリングするための捕獲用のトラップが一般的に使用されている。モニタリング調査には、捕獲用のトラップを用いることが多く、操作が比較的手軽で、捕獲効率の高いトラップとしては、フェロモン等の誘引剤を組み込んだスティッキートラップ(フェロモントラップ)の利用が一般的である。貯蔵された製品の昆虫の存在を検査するために、貯蔵穀物の昆虫については、捕獲対象ごとに様々なトラップが市販されている。粘着シートに固定される昆虫の方向は一定でないため、目視による同定が困難なケースがある。
特に、ホクベイコメクイゴミムシダマシが属するゴミムシダマシ科は、形態学的に類似しているものが多い。さらに、貯穀害虫は一般に成虫であっても小さく、幼虫や卵については特徴が限られるため目視検査によって識別することが極めて困難である。また、誘引にフェロモンを用いるトラップを用いた場合には、その特性上、誘引対象の昆虫の近縁種など、外見が似ている個体が多数捕獲される可能性があるが、適切に設計されたプライマーやプローブを用いれば鑑定対象であるか、否かを迅速・大量・正確に確認できる。
近年、昆虫においてもDNA分析が良く用いられており、目視による鑑定が非常に困難な場合に特に有用である。平成20年度に環境省が纏めた環境循環型社会白書には、全世界の既知の総生物種数は約175万種で、このうち、哺乳類は約6,000種、鳥類は約9,000種、昆虫は約95万種、維管束植物は約27万種との記載がある。これによると、生物の約55%は昆虫が占めており、極めて多様な昆虫をDNAで分類・鑑定することは理に叶っている。
細胞内に存在するDNAは、核(ゲノム)DNAの他に、ミトコンドリアDNAや葉緑体DNAに分けられる。核DNAは、犯罪捜査や親子などの血縁の関係、作物や家畜における品種鑑定に用いられている。これらのうち、ミトコンドリアDNAは核DNAよりも変異の頻度が高く、1細胞あたりのコピー数がゲノムよりも多いため、昆虫の種判定に有用であるとされている。
DNAによる検査手法には、従来から用いられているPCR法の他に、LAMP (Loop-Mediated Isothermal Amplification)法、DNAの塩基配列決定を用いるもの、サザンハイブリダイゼーション、DNAマイクロアレイ等様々な方法がある。これらのうち、鑑定に用いられている手法としては、LAMP法、DNAの塩基配列決定を用いるDNAバーコーディング法等が挙げられる。LAMP法は特異性が高く、PCR法のようにDNA反応時の温度の厳密で多段階の変更ステップがないため有用であるが、その反面、プライマー設計の難易度が高すぎ、遺伝子組換えトウモロコシ系統の検出に利用する例が報告されているが(特許文献1)、プライマー設計が出来る配列が限られ、使用しづらいという欠点がある。また、DNAバーコーディング法は、DNAの配列を解読し、その配列情報を既知の配列情報と比較して利用するため、昆虫名まで同定することが出来る。しかしながら、本法はPCR法を行った分析用試料をDNAシークエンサーによって塩基配列を解読後、専用のソフトウェアにより1検体ずつ配列を比較するため、操作が頻雑でコストも高く、時間がかかることが難点である。
PCR法は、前述したDNAバーコーディングとは異なり、予め検出対象が決まっており、それに由来するDNAが試料の中に含まれているか否かを調べる手法である。検査は抽出したDNAをPCRに供するだけで検知対象の生物のDNAの有無が判定可能であり、大量・高速に判定できるという特長がある。1つの典型的な例は、対象昆虫種がおおよそ分かっている場合、例えば前述のフェロモントラップによってある程度選択的に捕捉された昆虫の同定等には特に有用である。
また、PCR法はDNA増幅による判別法としては犯罪捜査や親子鑑定にも既に活用されているように、最も歴史があり、実績も豊富であるため、世界的に見ても社会的な信頼性は高い。一方、他の手法については、将来、PCR法にはない利点を生かした活用も考えられるが、現時点ではPCR法より実用的とは言いがたい状況にある。従って、試薬の安定性、入手しやすさ、検査装置や実験設備等の総合的な観点から、PCR法は他方と比べて整っている状況にある。また、PCR法の増幅産物の解析方法として、電気泳動によらず、蛍光シグナルの測定によって定量的な解析を可能とするリアルタイムPCR法も知られており、そのためのプライマーと検出用プローブがセットとして提供されている。例えば、特許文献2には細菌病原体を迅速に検出及び同定するための特異的および普遍的プローブおよび増幅プライマーについて記載されている。本発明者は、グラナリアコクゾウムシやヒメアカカツオブシムシなどの主要な食品害虫をPCR法やリアルタイムPCR法で検出するためのオリゴヌクレオチドセットを既に確立している(特許文献3)。しかしながら、ホクベイコメクイゴミムシダマシは、国内では2014年に確認されたゴミムシダマシ科の新規外来種であり、穀物やその加工食品への混入被害拡大のリスクが潜在するものの、採取数や情報が少なく、PCR法やリアルタイムPCR法による分析に用いるオリゴヌクレオチドセットは確立されていない。
特許第4899180号公報 特開2007-125032号公報 特開2016-82971号公報
SAYABANE N.S.No.5, March 2012, 輸入植物検疫で中国産ダイズ粕から発見されたアジア初記録のゴミムシダマシ科甲虫,Cynaeus angustus (LeConte) SAYABANE N.S.No.16, December 2014, 短報:屋外で発見されたホクベイコメクイゴミムシダマシ
従って、本発明の目的は、上記の実情に鑑み、食品害虫であるゴミムシダマシ科ホクベイコメクイゴミムシダマシを検出するためのオリゴヌクレオチドを開発し、ホクベイコメクイゴミムシダマシを正確かつ迅速に、しかも低コストで検出できる検査系を確立することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ゴミムシダマシ科ホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAの配列情報から、ホクベイコメクイゴミムシダマシに特徴的な塩基配列を見出し、これらの塩基配列を含むオリゴヌクチドを組み合わせて、ホクベイコメクイゴミムシダマシを正確かつ迅速に検出できるオリゴヌクレオチドセットを確立することに成功した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)ホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAの特徴的な塩基配列を含む、2種以上のオリゴヌクレオチドから構成される、ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセット。
(2)前記ミトコンドリアDNAの特徴的な塩基配列が、チトクロムcオキダーゼサブユニット1(CO1)領域内の塩基配列である、(1)に記載のホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセット。
(3)前記オリゴヌクレオチドが、プライマーおよびプローブとして使用されるものである、(1)または(2)に記載のホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセット。
(4)前記オリゴヌクレオチドセットが、下記の配列番号1〜3に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号1〜3に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、オリゴヌクレオチドセットである、(1)〜(3)のいずれかに記載のホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセット。
配列番号1:5'-CGACCACAGGGAATAACCTTTG-3'
配列番号2:5'-CTCCTCCGGCTGGGTCG-3'
配列番号3:5'-CTGTCCCTTCCTGTCCTCGC-3'
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセットを含む、ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用キット。
(6)被検試料より抽出したDNAを鋳型とし、(1)〜(4)のいずれかに記載のホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセットを用いてPCR増幅を行い、得られた増幅産物を検出する工程を含む、ホクベイコメクイゴミムシダマシの検出方法。
本発明によれば、近年発見され、穀物貯蔵施設や食品工場などにおいて新たな脅威となっているホクベイコメクイゴミムシダマシを検出するためのオリゴヌクレオチドセット、該オリゴヌクレオチドセットを含むホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用キット、および当該オリゴヌクレオチドセットを用いるホクベイコメクイゴミムシダマシの検出方法が提供される。従って、本発明によれば、ホクベイコメクイゴミムシダマシを正確かつ迅速に、しかも低コストで検出できるので、食品の管理や保証に活用することで品質の信頼性を強化できる。
図1は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるホクベイコメクイゴミムシダマシの検出結果を示す。本法では、配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列を下流側プライマー、配列番号3の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。 図2は、Simplex PCR法によるホクベイコメクイゴミムシダマシの検出結果を示す。本法では、配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列を下流側プライマーとして用いた(Pc: ホクベイコメクイゴミムシダマシ、Mk:ラダーマーカー(Gene Ladder 100)、1:コクヌストモドキ、2:ガイマイゴミムシダマシ、3:ヒメゴミムシダマシ、4:チャイロコメノゴミムシダマシ、5:ヒラタコクヌストモドキ、6:カシミールコクヌストモドキ、7:オオツノコクヌストモドキ、8:ヒメコクヌストモドキ、9:タバコシバンムシ、10:コナナガシンクイムシ、11:カクムネヒラタムシ、12:ノコギリヒラタムシ、13:アズキゾウムシ、14:コクゾウムシ、15:ココクゾウムシ、16:グラナリアコクゾウムシ、17:ノシメマダラメイガ、18:バクガ、19:ヒメマルカツオブシムシ、20:ヒメアカカツオブシムシ、21:ヒメカツオブシムシ)。 図3は、Simplex PCR法によるホクベイコメクイゴミムシダマシの検出結果を示す(A:配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列を下流側プライマーとして使用。B:配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号4の塩基配列を下流側プライマーとして使用。C:配列番号3の塩基配列を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列を下流側プライマーとして使用。D:配列番号5の塩基配列を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列を下流側プライマーとして使用。E:配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号6の塩基配列を下流側プライマーとして使用。Nc:陰性コントロール(DNAなし)、Pc:ホクベイコメクイゴミムシダマシ、Mk:ラダーマーカー(Gene Ladder 100))。 図4は、Simplex PCR法によるホクベイコメクイゴミムシダマシの検出結果を示す。本法では、配列番号7の塩基配列を上流側プライマー、配列番号8の塩基配列を下流側プライマーとして用いた(上のパネル、Mk:ラダーマーカー(Gene Ladder 100)、1:コクヌストモドキ、2:ガイマイゴミムシダマシ、3:ヒメゴミムシダマシ、4:チャイロコメノゴミムシダマシ、5:ヒラタコクヌストモドキ、6:カシミールコクヌストモドキ、7:オオツノコクヌストモドキ、8:ヒメコクヌストモドキ、9:タバコシバンムシ、10:コナナガシンクイムシ、11:カクムネヒラタムシ、12:ノコギリヒラタムシ。下のパネル、Nc:陰性コントロール(DNAなし)、Pc:ホクベイコメクイゴミムシダマシ、Mk:ラダーマーカー(Gene Ladder 100)、13:アズキゾウムシ、14:コクゾウムシ、15:ココクゾウムシ、16:グラナリアコクゾウムシ、17:ノシメマダラメイガ、18:バクガ、19:ヒメマルカツオブシムシ、20:ヒメアカカツオブシムシ、21:ヒメカツオブシムシ、22:アカマダラカツオブシムシ)。 図5は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるホクベイコメクイゴミムシダマシの検出結果を示す(F:配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列を下流側プライマー、配列番号3の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして使用。G:配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列を下流側プライマー、配列番号9の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして使用。H:配列番号7の塩基配列を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列を下流側プライマー、配列番号9の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして使用。I:配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号8の塩基配列を下流側プライマー、配列番号9の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして使用。J:配列番号7の塩基配列を上流側プライマー、配列番号8の塩基配列を下流側プライマー、配列番号9の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして使用)。 図6は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるホクベイコメクイゴミムシダマシの検出結果を示す。本法では、配列番号7の塩基配列を上流側プライマー、配列番号8の塩基配列を下流側プライマー、配列番号3の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセットおよび検出用キット
本発明のホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセットは、検出対象のホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAの特徴的な塩基配列を含む、2種以上のオリゴヌクレオチドから構成される。オリゴヌクレオチドの塩基長は、限定はされないが、通常プライマーの場合は、15〜30塩基長、好ましくは18〜25塩基長であり、プローブの場合は、10〜30塩基長である。
検出対象のホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAの特徴的な塩基配列とは、広範囲の食品害虫の既知のミトコンドリアDNAの塩基配列と相同性が低く、かつ、検出対象となるホクベイコメクイゴミムシダマシにのみ特徴的と考えられる、長さが10塩基以上、好ましくは15塩基以上、より好ましくは20塩基以上の塩基配列をいう。
上記のミトコンドリアDNAの特徴的な塩基配列を特定するにあたり、まず、ホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAの塩基配列情報を入手する。塩基配列情報は、データベース(NCBI、DDBJ等)より入手してもよく、または後記実施例に示すように、直接的に塩基配列を解析して入手してもよい。
本発明において、ホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAの特徴的な塩基配列としては、例えば、チトクロムcオキダーゼサブユニット1(CO1)領域の塩基配列が挙げられる。
次に、特定した特徴的な塩基配列に基づき、プライマーを設計する。プライマーの設計は、オリゴヌクレオチドの長さ、GC含量、Tm値、オリゴヌクレオチド間の相補性、オリゴヌクレオチド内の二次構造などを考慮して行うが、例えば、「PCR法最前線−基礎技術から応用まで」(蛋白質・核酸・酵素 臨時増刊号 1996年 共立出版株式会社)や、「バイオ実験イラストレイテッド3 本当にふえるPCR:細胞工学別紙 目で見る実験ノートシリーズ」(中山広樹著 株式会社秀潤社)、「PCRテクノロジー−DNA増幅の原理と応用−」(Henry A Erlich編、加藤邦之進 監修、宝酒造株式会社)等を参考にすればよい。
具体的に採用した設計基準は以下のとおりである。
(a)ホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAの特徴的な配列のPCR増幅産物を電気泳動した場合に増幅産物が明確に検出されること。
(b) PCR増幅産物が100〜500bp、好ましくは100〜250bpであること。
(c) プライマー長は鋳型DNAとの間の特異的なアニーリングが可能とするために、15〜30bpの範囲であること。
(d)アニーリング温度はTm(melting temperature)に依存するので、特異性の高いPCR増幅産物を得るため、Tm値が50〜70℃、好ましくは55〜65℃であり、互いに近似したプライマーを選定すること。
(e)プライマーの3’末端の塩基配列と鋳型DNA配列との相同性が高いこと。
(f) プライマーはダイマーや立体構造を形成しないように、両プライマー間の相補的配列を避けること。
(g) 鋳型DNAとの安定な結合を確保するため、GC含量をなるべく約50%とするようにし、プライマー内においてはできるだけGC-richあるいはAT-richが偏在しないように配慮する。
また、プローブの設計は、ABI Prism 7900HT Real-time PCR System (ライフテクノロジーズジャパン株式会社)等の市販のリアルタイムPCR装置に付属しているソフトウェアのプロトコルに基づいて行えばよい。プローブの設計基準としては、GC含量が20-80%の範囲内であること、配列内に4塩基以上のGまたはCの連続を避けること、対応するプライマー対のTm値よりも8-10℃程度高く設定すること、プローブの5'側末端がGにならないことが一般論として挙げられる。
上記基準に基づき、本発明のホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセットとして以下のものを確立した。
[ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセット]
配列番号1:5'-CGACCACAGGGAATAACCTTTG-3'
配列番号2:5'-CTCCTCCGGCTGGGTCG-3'
配列番号3:5'-CTGTCCCTTCCTGTCCTCGC-3'
本発明のオリゴヌクレオチドセットを構成するオリゴヌクレオチドは、上記の「配列番号1〜3に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド」のみならず、ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用のプライマーまたはプローブとして機能しうる限り、その変異オリゴヌクレオチドであってもよい。例えば、変異オリゴヌクレオチドとしては、「配列番号1〜3に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド」が挙げられる。連続する少なくとも15塩基以外の塩基の種類、連続する少なくとも15塩基の変異オリゴヌクレオチドの存在部位(3’末端側、5’末端側)について特に制限はない。また、変異オリゴヌクレオチドの全長は、15〜30塩基程度が好ましい。一般に、プローブが鋳型DNAに相補的に結合する際には、両末端の領域に付加される塩基配列の重要性は低い。従って、上記のオリゴヌクレオチドセットに含まれるオリゴヌクレオチドをプローブとして用いる場合は、各配列番号の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドの両末端に5個以下の任意の塩基が付加又は欠失されていてもよい。
本発明において検出対象となる食品害虫は、糧として食しうる物質を直接食害する、または混入することで物質の品質低下を招きうる害虫である、ホクベイコメクイゴミムシダマシであり、その成虫、蛹、幼虫、卵のいずれをも含む。また、ホクベイコメクイゴミムシダマシが混入する物質としては、食品に限られず、植物由来残渣等も含む。
プライマーまたはプローブとなるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの合成法として当技術分野で公知の方法、例えば、ホスホロアミダイト法、H−ホスホネート法等により、通常用いられるDNA自動合成装置(例えば、Applied Biosystems社製Model 394など)を利用して合成することが可能である。
上記オリゴヌクレオチドセットはキット化することもできる。本発明のキットは、上記のオリゴヌクレオチドセット含むものであればよく、必要に応じて、DNA抽出用試薬、PCR用緩衝液やDNAポリメラーゼ等のPCR用試薬、反応の陽性コントロールとなるPCR増幅領域を含むDNA溶液、染色剤や電気泳動用ゲル等の検出用試薬、説明書などを含んでいてもよい。
2.ホクベイコメクイゴミムシダマシの検出方法
本発明の食品害虫を検出する方法は、被検試料からDNAを抽出し、該DNAを鋳型とし、上記オリゴヌクレオチドセットに含まれるオリゴヌクレオチドから選ばれる2種のオリゴヌクレオチドを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、該PCRにより得られた増幅産物を検出する工程を含む。
被検試料としては、ホクベイコメクイゴミムシダマシそのものだけでなく、ホクベイコメクイゴミムシダマシが食害または混入する可能性のある食品原料、加工過程にある材料、加工食品等の製品などが用いられ、特に制限されない。具体的には、穀物粒やその粉砕物のような非加工状態のものや、米飯、チョコレート、カップ麺、納豆等の加工品などが挙げられる。本発明の方法により得られた検出結果は、食品の安全性表示に利用できるほか、生産者の意図していない製造ラインにおける食品害虫混入の有無の確認に利用できる。
被検試料からのDNAの抽出は、核酸抽出法として当業者に公知のいかなる方法を用いてもよく、例えば、フェノール抽出法、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)法、アルカリSDS法等が挙げられる。また、これらの方法は適宜改変して行ってもよく、試薬メーカーより販売されている各種DNA抽出キットを用いてもよい。試料の種類によっては、メンブランフィルターによる濾過やホモジナイズを行う。また、試薬メーカーより販売されているDNeasy Plant mini Kit(株式会社キアゲン製)等の各種DNA抽出キットを用いても良い。これらの方法により抽出したDNAは、PCRの鋳型として用いるのに適した状態で保持することが好ましく、例えば適切な緩衝液に溶解させて低温下で保管することが好ましい。また、DNAの抽出後、クロロホルム/イソアミルアルコール処理、イソプロパノール沈澱、フェノール/クロロホルムによる除蛋白、エタノール沈澱などの精製処理を行ってもよい。
また、上記のオリゴヌクレオチドをプローブとして用いる場合は、増幅産物に由来する蛍光シグナルを検出するための標識物質で標識されていてもよい。標識プローブとしては、蛍光物質と消光物質で二重標識したTaqManTMプローブが好ましい。TaqManTMプローブは、通常、核酸プローブの5’末端を蛍光物質(レポーター蛍光色素)で修飾し、3’末端を消光物質(クエンチャー蛍光色素)で修飾する。レポーター蛍光色素の例としては6-FAM(6-カルボキシフルオレセイン)、TET(6-カルボキシ-4, 7, 2',7'-テトラクロロフルオレセイン)、HEX(6-カルボキシ-2',4',7',4,7-ヘキサクロロフルオレセイン)等のフルオレセイン系蛍光色素が挙げられ、クエンチャー蛍光色素の例としては、6-カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)等のローダミン系蛍光色素が挙げられる。これらの蛍光色素は公知であり、市販のリアルタイムPCR用キットに含まれているのでそれを用いることができる。
次いで、抽出したDNAを鋳型とし、上記の本発明のオリゴヌクレオチドセットに含まれるオリゴヌクレオチドから選ばれる2種を用いて、PCR増幅を行う。PCR増幅は前述のオリゴヌクレオチドセットを用いる以外は特に制限はなく、常法に従って行えばよい。具体的には、鋳型DNAの変性、プライマーへの鋳型へのアニーリング、および耐熱性酵素(TaqポリメラーゼやThermus thermophilus由来のTth DNAポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼ)を用いたプライマーの伸長反応を含むサイクルを繰り返すことにより、検出対象となる食品害虫のミトコンドリアDNAの特徴的な塩基配列を増幅させる。PCR溶液の組成(鋳型DNA量、緩衝液の種類、プライマー濃度、DNAポリメラーゼの種類や濃度、dNTP濃度、塩化マグネシウム濃度等)、PCR反応条件(温度サイクル、サイクルの回数等)は、当業者であれば適切に選択および設定することができる。
例えば、鋳型となるDNA0.1〜100ng、10×PCR反応用緩衝液、プライマー各0.25〜1μM、DNAポリメラーゼ(Taq ポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼなど)0.25〜2.5U、dNTP各250μMを混合した後、全液量が10〜100μlとなるように希釈したものについて、94〜96℃ 5分×1サイクル、(94〜96℃ 30秒、52〜58℃ 30秒、70〜74℃ 1分)×30サイクル、70〜74℃ 5分×1サイクルで反応を行う。これは一例にすぎず、PCR溶液の組成、反応温度や時間は、プライマーとなるオリゴヌクレオチド配列の長さや塩基組成などに応じて適宜設定することができる。これらPCRの一連の操作は、市販のPCRキットやPCR装置を利用して、その操作説明書に従って行うことができる。
PCR増幅産物の検出は、アガロースゲル電気泳動やキャピラリー電気泳動などの慣用の電気泳動、DNAハイブリダイゼーションやリアルタイムPCR等の方法を用いて確認できる。例えば、アガロースゲル電気泳動では、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、そして増幅産物を1本のバンドとして検出し、その大きさに基づいて食品害虫の有無や種類を判定する。また、予め標識物質により標識したプライマーを用いて当該PCRを行い、増幅産物を検出することもできる。標識物質としては、当該技術分野においてよく知られる蛍光物質、放射性同位体、化学発光物質、ビオチン等を用いることができる。また、DNAハイブリダイゼーションでは、マイクロアレイなどの固定化担体に増幅産物を結合させ、蛍光または酵素反応等により増幅産物を確認する。検出用の固定化担体は、検出すべきホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAの特徴的な配列とハイブリダイズしうる配列を有するオリゴヌクレオチドが固定化されている支持体である。支持体としては、例えば、ナイロン膜、ニトロセルロース膜、ガラス、シリコンチップなどを用いることができる。
リアルタイムPCR法には、プライマー対とともに二本鎖DNAに結合することによって蛍光を発する化合物であるSYBR Green IなどのインターカレーターをPCR反応系に加えるインターカレーター法、または、5'末端をレポーターと呼ばれる蛍光物質で、3'末端をクエンチャーと呼ばれる消光物質で標識したプローブ(TaqManTMプローブ)をPCR反応系に加えるTaqMan法があり、いずれも本発明において用いることができるが、TaqMan法が好ましい。TaqMan法では、TaqManTMプローブがPCRによる増幅反応においてポリメラーゼの伸長反応に使用される条件下で鋳型DNAに特異的にハイブリダイズし、DNA鎖の伸長、すなわち鋳型DNAの増幅に伴って分解され、蛍光物質を遊離することによりPCR溶液中の蛍光量が増加する。この蛍光量の増加が鋳型DNAの増幅の指標となり、PCRにおける増幅の様子をリアルタイムで簡便に検出することができる。リアルタイムPCR法は、上記のオリゴヌクレオチドセットを用いる以外は、当業者に知られている通常の方法に基づいて、市販のリアルタイムPCRキットやリアルタイムPCR装置を用い、それらに添付の操作説明書に従って行えばよい。リアルタイムPCR装置としては、例えば、ABI Prism 7900HT Real-time PCR System等が用いられる。
被検試料中のホクベイコメクイゴミムシダマシを検出する場合は、次のように行う。まず、被検試料でリアルタイムPCR法を実施し、増幅曲線を得る。次に蛍光シグナルの増加がサイクル数に対して指数関係にある領域で、蛍光量増加(ΔRn)の適当な閾値(Threshold)を設定し、増幅曲線と閾値(Threshold)が交わるか否かにより、被検試料中の食品害虫DNAの有無を判断する。この増幅曲線と閾値(Threshold)との交わるサイクル数をCt値(Threshold Cycle)と呼ぶ。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチド(プライマー・プローブの設計
(1)DNAの抽出
専門家による外観や形態等の目視観察によりホクベイコメクイゴミムシダマシと鑑定された検体についてDNA抽出を行った。DNAの抽出には、DNeasy Blood & Tissue Kit(株式会社キアゲン製)を使用し、検体害虫25mgを1.5mlのチューブに入れ、DNeasy Blood & Tissue Kitに付属のプロティナーゼ(Proteinase)K 20μlを含む200μlのBuffer ATLに加えてペッスルで磨りつぶしつつ混合し、56℃で一夜保温した。リボヌクレアーゼ(RNase)A 4μlを加えて混合し、室温で5分間保温した。その後200μlのBuffer ALを添加し、十分に混合後、200μlのエタノール(96〜100%)を添加し、再度十分に混合した。
混合液を、DNeasy Blood & Tissue Kitに添付のDNeasy Spin Columnに加えて遠心分離を行い、フィルターにDNAを吸着させた。続いて200μlのBuffer AW1を加えて遠心分離を行い、DNAが吸着したフィルターを洗浄した。その後、200μlのBuffer AW2を加えて遠心分離することによりフィルターからミトコンドリアDNAを含むトータルDNAを溶出した。
(2)ミトコンドリアDNAのチトクロムC酸化酵素サブユニット(CO1)領域のDNAシーケンス分析及びホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドの設計
NCBIのデータベースよりホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAのうちCO1領域の一部に係る塩基配列情報(Accession No. KJ965297)を入手し、この塩基配列情報からプライマーを設計し、(1)で抽出したミトコンドリアDNAを含むトータルDNAを鋳型としてPCR増幅したところ、明瞭な増幅DNAが得られ、その長さは塩基配列情報から想定される長さと一致した。次いで、このPCR増幅産物をダイレクトシーケンスにより塩基配列を決定し、上記NCBIのデータベースの塩基配列情報と照合したところ一致した。よって、専門家の鑑定どおり、上記検体がホクベイコメクイゴミムシダマシであると同定された。
そこで、上記の塩基配列情報(Accession No. KJ965297)を基に、他のゴミムシダマシ科害虫等のCO1の配列情報を比較し、標的配列長が比較的短く、高い特異性が得られると判断された箇所について下記のDNA配列を設計し、ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドとした。
配列番号1:5'-CGACCACAGGGAATAACCTTTG-3'
配列番号2:5'-CTCCTCCGGCTGGGTCG-3'
配列番号3:5'-CTGTCCCTTCCTGTCCTCGC-3'
(実施例2)ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法)
実施例1で設計したホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセットを用いてリアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によってホクベイコメクイゴミムシダマシの検出を行った。配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列を下流側プライマー、配列番号3の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。
供試試料として、ホクベイコメクイゴミムシダマシのほか、以下の主要食品害虫(21種)を用いた。
<オサゾウムシ科>
コクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ
<シバンムシ科>
タバコシバンムシ
<ナガシンクイムシ科>
コナナガシンクイムシ
<ヒラタムシ科>
カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ
<マメゾウムシ科>
アズキゾウムシ
<キバガ科>
バクガ
<カツオブシムシ科>
ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、ヒメアカカツオブシムシ
<ゴミムシダマシ科>
コクヌストモドキ、ガイマイゴミムシダマシ、ヒメゴミムシダマシ、チャイロコメノゴミムシダマシ、ヒラタコクヌストモドキ、カシミールコクスヌトモドキ、オオツノコクヌストモドキ、ヒメコクヌストモドキ
<メイガ科>
ノシメマダラメイガ
各試料より実施例1(1)の方法に従ってミトコンドリアDNAを抽出し、これらを鋳型DNAとして、リアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によるホクベイコメクイゴミムシダマシの検出を次のようにして行った。1ウェルあたりGeneAce Probe qPCR Mix α No ROX(株式会社ニッポンジーン製)5μl、配列番号3の5’末端をFAM、3’末端をTAMRAでそれぞれラベルした0.2μM TaqManTMプローブ、0.5μM 各プライマー対(配列番号1および2)、1 ng トータルDNAを含む反応液(総量10μl)を調製し、それぞれ、CFX96 TouchTMリアルタイム PCR 解析システム(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社製)で95℃10分保温したのち、95℃30秒→59℃1分を30サイクル繰り返して増幅することにより検出した。
検査陽性/陰性の判定は、CFX96 TouchTMリアルタイム PCR 解析システムにおいて、スレッシュホールド値(Th値)を500に固定した際のCt値で判断することにより行った。
結果を図1に示す。図1に示されるように、15サイクルの付近からホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試したホクベイコメクイゴミムシダマシ以外の主要食品害虫であるコクヌストモドキ、ガイマイゴミムシダマシ、ヒメゴミムシダマシ、チャイロコメノゴミムシダマシ、ヒラタコクヌストモドキ、カシミールコクヌストモドキ、オオツノコクヌストモドキ、ヒメコクヌストモドキ、タバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、アズキゾウムシ、コクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ、ノシメマダラメイガ、バクガ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメアカカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ(計21種)の反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。また、Th値を500に固定した際に算出されるホクベイコメクイゴミムシダマシ由来のCt値は実数19.78として得られたが、その他貯穀害虫はN/A(検出できず)であり、明確に蛍光検出の有無を判別できた。以上の判定結果から、本実施例によるTaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、ホクベイコメクイゴミムシダマシを特異的に検出できた。
(実施例3)ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(Simplex PCR法)
実施例1で設計したホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドを用いてSimplex PCR法によってホクベイコメクイゴミムシダマシの検出を行った。配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列を下流側プライマーとして用いた。
各試料より実施例1(1)の方法に従ってミトコンドリアDNAを抽出し、これらを鋳型DNAとして、Simplex PCR法による食品害虫の検出を次のようにして行った。即ち、1ウェルあたりAmpliTaq Gold DNA Polymerase (Mg2+ free buffer)(Thermo Fisher社製) 0.5U、1×PCR BufferII(Mg2+free) 、200μM 各 dNTP、1.5mM MgCl2、0.5μM 各プライマー対(配列番号1の塩基配列および配列番号2の塩基配列) 、1 ng トータルDNAを含む反応液(総量10μl)を調製し、それぞれ、S1000TMサーマルサイクラーで95℃10分保温したのち、95℃30秒→59℃1分を40サイクル繰り返して増幅した。
検査陽性/陰性の判定は、各10μlの反応液のうち、8μlの反応液をDNAマーカーであるGene Ladder 100 (0.1-2kbp)と共に、3%アガロースゲルによる電気泳動に供し、エチジウムブロマイドによるゲルの染色を経て、UVトランスイルミネーターによる紫外線の照射下で染色されたDNAバンドの有無を確認することにより行った。
結果を図2に示す。レーン番号PcにおいてホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAの増幅産物を示す約200bpのバンドが明瞭に検出された。他方、ホクベイコメクイゴミムシダマシ以外の貯穀害虫であるコクヌストモドキ(レーン番号1)、ガイマイゴミムシダマシ(レーン番号2)、ヒメゴミムシダマシ(レーン番号3)、チャイロコメノゴミムシダマシ(レーン番号4)、ヒラタコクヌストモドキ(レーン番号5)、カシミールコクヌストモドキ(レーン番号6)、オオツノコクヌストモドキ(レーン番号7)、ヒメコクヌストモドキ(レーン番号8)、タバコシバンムシ(レーン番号9)、コナナガシンクイムシ(レーン番号10)、カクムネヒラタムシ(レーン番号11)、ノコギリヒラタムシ(レーン番号12)、アズキゾウムシ(レーン番号13)、コクゾウムシ(レーン番号14)、ココクゾウムシ(レーン番号15)、グラナリアコクゾウムシ(レーン番号16)、ノシメマダラメイガ(レーン番号17)、バクガ(レーン番号18)、ヒメマルカツオブシムシ(レーン番号19)、ヒメアカカツオブシムシ(レーン番号20)、ヒメカツオブシムシ(レーン番号21)の反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物を示すバンドは認められなかった。MkはGene Ladder 100 DNAマーカーである。以上の判定結果から、本実施例によるSimplex PCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、ホクベイコメクイゴミムシダマシを特異的に検出できた。
(実施例4)ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(Simplex PCR法)
実施例1で設計した配列番号1〜3に示す塩基配列もしくはその相補配列を改変した塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いてもSimplex PCR法によってホクベイコメクイゴミムシダマシを検出できることの検証を行った。
オリゴヌクレオチドセットとして、以下のA〜Eのオリゴヌクレオチドセットを用いた。
A:配列番号1の塩基配列(5'-CGACCACAGGGAATAACCTTTG-3')を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列(5'-CTCCTCCGGCTGGGTCG-3')を下流側プライマーとするオリゴヌクレオチドセット
B:配列番号1の塩基配列(5'-CGACCACAGGGAATAACCTTTG-3')を上流側プライマー、配列番号3の相補配列である配列番号4の塩基配列(5'-GCGAGGACAGGAAGGGACAG-3')を下流側プライマーとするオリゴヌクレオチドセット
C:配列番号3の塩基配列(5'-CTGTCCCTTCCTGTCCTCGC-3')を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列(5'-CTCCTCCGGCTGGGTCG-3')を下流側プライマーとするオリゴヌクレオチドセット
D:配列番号3の塩基配列から2塩基欠失させた配列番号5の塩基配列(5'-GTCCCTTCCTGTCCTCGC-3')を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列(5'-CTCCTCCGGCTGGGTCG-3')を下流側プライマーとするオリゴヌクレオチドセット
E:配列番号1の塩基配列(5'-CGACCACAGGGAATAACCTTTG-3')を上流側プライマー、配列番号3の相補配列から2塩基欠失させた配列番号6の塩基配列(5'-GAGGACAGGAAGGGACAG-3')
実施例1(1)の方法に従って抽出したホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAを用いてSimplex PCR法を行った。PCRの反応液組成及び条件、ならびに検査陽性/陰性の判定は、実施例3の記載に従って行った。
結果を図3に示す。ホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAを含む反応液(レーン番号Pc)については、使用したオリゴヌクレオチドプライマーの標的箇所にそれぞれ対応した増幅鎖長でホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAの増幅産物を示すバンド(セットAでは約200bp、セットB〜Eでは約100bp)が明瞭に検出された。他方、DNAを含まない反応液(レーン番号Nc)については、増幅産物を示すバンドは認められなかった。以上の判定結果から、配列番号1〜3に示す塩基配列もしくはその相補配列を改変した塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのセットB〜Eを用いたSimplex PCR法においても、配列番号1、2に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのセットAと同様にホクベイコメクイゴミムシダマシを特異的に検出できることが確認された。
(実施例5)ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(Simplex PCR法)
実施例1で設計した配列番号1、2に示す塩基配列を改変した塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いてもSimplex PCR法によってホクベイコメクイゴミムシダマシを検出できることの検証を行った。
オリゴヌクレオチドセットとして、配列番号1の塩基配列から4塩基欠失させた配列番号7の塩基配列(5'-CGACCACAGGGAATAACC-3')を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列から2塩基欠失させた配列番号8の塩基配列(5'-CCTCCGGCTGGGTCG-3')を下流側プライマーとするオリゴヌクレオチドセットを用いた。
各試料より実施例1(1)の方法に従ってミトコンドリアDNAを抽出し、これらを鋳型DNAとして、Simplex PCR法による食品害虫の検出を行った。PCRの反応液組成及び条件、ならびに検査陽性/陰性の判定は、実施例3の記載に従って行った。
結果を図4に示す。レーン番号PcにおいてホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAの増幅産物を示す約200bpのバンドが明瞭に検出された。他方、ホクベイコメクイゴミムシダマシ以外の貯穀害虫であるコクヌストモドキ(レーン番号1)、ガイマイゴミムシダマシ(レーン番号2)、ヒメゴミムシダマシ(レーン番号3)、チャイロコメノゴミムシダマシ(レーン番号4)、ヒラタコクヌストモドキ(レーン番号5)、カシミールコクヌストモドキ(レーン番号6)、オオツノコクヌストモドキ(レーン番号7)、ヒメコクヌストモドキ(レーン番号8)、タバコシバンムシ(レーン番号9)、コナナガシンクイムシ(レーン番号10)、カクムネヒラタムシ(レーン番号11)、ノコギリヒラタムシ(レーン番号12)、アズキゾウムシ(レーン番号13)、コクゾウムシ(レーン番号14)、ココクゾウムシ(レーン番号15)、グラナリアコクゾウムシ(レーン番号16)、ノシメマダラメイガ(レーン番号17)、バクガ(レーン番号18)、ヒメマルカツオブシムシ(レーン番号19)、ヒメアカカツオブシムシ(レーン番号20)、ヒメカツオブシムシ(レーン番号21)、アカマダラカツオブシムシ(レーン番号22)の反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物を示すバンドは認められなかった。以上の判定結果から、配列番号1、2に示す塩基配列を改変した塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのセットを用いたSimplex PCR法においても、多数の貯穀害虫のうち、ホクベイコメクイゴミムシダマシを特異的に検出できた。
(実施例6)ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法)
実施例1で設計した配列番号1〜3に示す塩基配列もしくはその相補配列を改変した塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いてもリアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によってホクベイコメクイゴミムシダマシを検出できることの検証を行った。
オリゴヌクレオチドセットとして、以下のF〜Jのオリゴヌクレオチドセットを用いた。
F:配列番号1の塩基配列(5'-CGACCACAGGGAATAACCTTTG-3')を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列(5'-CTCCTCCGGCTGGGTCG-3')を下流側プライマー、配列番号3の塩基配列(5'-CTGTCCCTTCCTGTCCTCGC-3')の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとするオリゴヌクレオチドセット
G:配列番号1の塩基配列(5'-CGACCACAGGGAATAACCTTTG-3')を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列(5'-CTCCTCCGGCTGGGTCG-3')を下流側プライマー、配列番号3の塩基配列から4塩基欠失させた配列番号9の塩基配列(5'-CTGTCCCTTCCTGTCC-3')の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとするオリゴヌクレオチドセット
H:配列番号1の塩基配列から4塩基欠失させた配列番号7の塩基配列(CGACCACAGGGAATAACC)を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列(5'-CTCCTCCGGCTGGGTCG-3')を下流側プライマー、配列番号3の塩基配列から4塩基欠失させた配列番号9の塩基配列(5'-CTGTCCCTTCCTGTCC-3')の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとするオリゴヌクレオチドセット
I:配列番号1の塩基配列(5'-CGACCACAGGGAATAACCTTTG-3')を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列から2塩基欠失させた配列番号8の塩基配列(5'-CTCCTCCGGCTGGGTCG-3')を下流側プライマー、配列番号3の塩基配列から4塩基欠失させた配列番号9の塩基配列(5'-CTGTCCCTTCCTGTCC-3')の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとするオリゴヌクレオチドセット
J:配列番号1の塩基配列から4塩基欠失させた配列番号7の塩基配列(5'-CGACCACAGGGAATAACC-3')を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列から2塩基欠失させた配列番号8の塩基配列(5'-CCTCCGGCTGGGTCG-3')を下流側プライマー、配列番号3の塩基配列から4塩基欠失させた配列番号9の塩基配列(5'-CTGTCCCTTCCTGTCC-3')の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとするオリゴヌクレオチドセット
実施例1(1)の方法に従って抽出したホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAを用いてリアルタイムPCR法を行った。PCRの反応液組成及び条件、ならびに検査陽性/陰性の判定は、実施例2の記載に従って行った。
結果を図5に示す。図5に示されるように、配列番号1〜3に示す塩基配列もしくはその相補配列を改変した塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのセットG〜Jを用いたリアルタイムPCR法においても、やや感度は劣るものの配列番号1〜3に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのセットEと同様に15サイクルの付近からホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が十分に検出できた。
(実施例7)ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法)
実施例1で設計した配列番号1〜3に示す塩基配列を改変した塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いてもリアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によってホクベイコメクイゴミムシダマシを検出できることの検証を行った。
オリゴヌクレオチドセットとして、配列番号1の塩基配列から4塩基欠失させた配列番号7の塩基配列(5'-CGACCACAGGGAATAACC-3')を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列から2塩基欠失させた配列番号8の塩基配列(5'-CCTCCGGCTGGGTCG-3')を下流側プライマー、配列番号3の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとするオリゴヌクレオチドセットを用いた。
供試試料として、ホクベイコメクイゴミムシダマシのほか、前記主要食品害虫にカツオブシムシ科のアカマダラカツオブシムシを加えた計22種の主要食品害虫を用いた。
各試料より実施例1(1)の方法に従ってミトコンドリアDNAを抽出し、これらを鋳型DNAとして、リアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によるホクベイコメクイゴミムシダマシの検出を実施例1と同様にして行った。PCRの反応液組成及び条件、ならびに検査陽性/陰性の判定は、実施例2の記載に従って行った。
結果を図6に示す。図6に示されるように、15サイクルの付近からホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試したホクベイコメクイゴミムシダマシ以外の主要食品害虫であるコクヌストモドキ、ガイマイゴミムシダマシ、ヒメゴミムシダマシ、チャイロコメノゴミムシダマシ、ヒラタコクヌストモドキ、カシミールコクヌストモドキ、オオツノコクヌストモドキ、ヒメコクヌストモドキ、タバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、アズキゾウムシ、コクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ、ノシメマダラメイガ、バクガ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメアカカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、アカマダラカツオブシムシの反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。また、Th値を500に固定した際に算出されるホクベイコメクイゴミムシダマシ由来のCt値は実数19.92として得られたが、その他貯穀害虫はN/A(検出できず)であり、明確に蛍光検出の有無を判別できた。以上の判定結果から、配列番号1〜3に示す塩基配列を改変した塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのセットを用いたリアルタイムPCR法においても、多数の貯穀害虫のうち、ホクベイコメクイゴミムシダマシを特異的に検出できた。
本発明は、食品製造および食品加工分野において、ホクベイコメクイゴミムシダマシの有無の確認に利用できる。

Claims (6)

  1. ホクベイコメクイゴミムシダマシのミトコンドリアDNAの特徴的な塩基配列を含む、2種以上のオリゴヌクレオチドから構成される、ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセット。
  2. 前記ミトコンドリアDNAの特徴的な塩基配列が、チトクロムcオキダーゼサブユニット1(CO1)領域の塩基配列である、請求項1に記載のホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセット。
  3. 前記オリゴヌクレオチドが、プライマーおよびプローブとして使用されるものである、請求項1または2に記載のホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセット。
  4. 前記オリゴヌクレオチドセットが、下記の配列番号1〜3に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号1〜3に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、オリゴヌクレオチドセットである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセット。
    配列番号1:5'-CGACCACAGGGAATAACCTTTG-3'
    配列番号2:5'-CTCCTCCGGCTGGGTCG-3'
    配列番号3:5'-CTGTCCCTTCCTGTCCTCGC-3'
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセットを含む、ホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用キット。
  6. 被検試料より抽出したDNAを鋳型とし、請求項1〜4のいずれか1項に記載のホクベイコメクイゴミムシダマシ検出用オリゴヌクレオチドセットを用いてPCR増幅を行い、得られた増幅産物を検出する工程を含む、ホクベイコメクイゴミムシダマシの検出方法。
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