JP6600831B2 - 食品害虫検出用オリゴヌクレオチド - Google Patents

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Description

本発明は、食品害虫検出用オリゴヌクレオチド、食品害虫検出用キット、および食品害虫の検出方法に関する。
消費者の「食の安心・安全」に対する関心は、人間の生存本能に直結する事項であるため、我が国だけでなく、諸外国においても極めて高い。農産物を含む“食品”に混入する異物としては、虫、毛、金属片、小石などが挙げられるが、食品への異物混入事例の中で消費者からのクレームの多くは、国内外を問わず「害虫」が占めている。害虫が混入した食品は、消費者にとっては自ら口にする食品が非衛生的である可能性について不快さを感じ、安全性に対する疑念を抱く。食品への疑念は、その供給者(生産者、流通・加工業者、生産国)にとってイメージが損なわれるだけでなく、消費者への謝罪・説明責任が生じると共に、商品の回収・賠償等による金銭的負担が生じる場合もあり、商品価値の低下に直結する。このため、食品への異物の混入が発生した場合には、供給者は消費者への安心を確保するため同定を行い、同定された昆虫の生態に関する生物学的な知見や、現場の状況等から総合的に判断して混入原因や経路の特定を急ぐと共に、再発防止に努めることが求められる。
一方、我が国の輸出農産物や食品に対する海外での評価は極めて高く、新品種や画期的な栽培法を取り入れるなど食味や安全性向上に日々大きな努力が払われており、2020年までに1兆円水準とする政府目標が掲げられている。国産農産物の輸出は、生産者が流通・加工業者を通じて高品質な国産農産物を供給し、輸出国にマーケットを形成する壮大な事業であり、コストやリスクも高いことからしっかりとした流通管理システムが必須であり、システムを管理するための害虫同定技術が必要とされている。
また、日本は世界最大のトウモロコシ輸入国であることに加えて、小麦についても一部の国産品を除き海外からの輸入に依存しており、現在、世界有数の穀物の輸入大国である。
このように、国際的な商取引が飛躍的に増えた現在では、従来の農産物の輸出入に係る植物防疫の観点からの規制だけではなく、2000年に新たに国連で採択された「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(カルタヘナ議定書)」を受け、我が国においても2003年6月に「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」が成立、公布され、2004年2月より施行されるなど、防疫上重要な害虫の同定が求められている。さらに、近年、環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Partnership 、TPP)などの国際的な経済連携協定の締結が進められており、これらが発効になると国際間の商取引が増大することから、取引をより効率的に行うための体制作りは国や企業にとって極めて重要である。
害虫のなかでも、ヒメアカカツオブシムシ及びグラナリアコクゾウムシについては、世界の侵略的外来種ワースト100および我が国の検疫対象害虫のポジティブリストに選定された世界の各国で最も定着が警戒されている昆虫種である。農産物の輸出に関する検査対象は各国で定められているが、例えば我が国の中国への精米輸出については、現在、地方生産現場の近辺に輸出用の精米工場や玄米貯蔵庫を確保する必要があり、日本と中国の2国間協議において、その貯蔵庫にはヒメアカカツオブシムシが存在しないことが条件とされている。ヒメアカカツオブシムシは現在日本に存在していないとされているが、過去に輸入農作物等から検出された例はあり、将来にわたって定着しないとは言えず、検出された場合には輸出に対して大きなダメージを与えることが予想される。このため、ヒメアカカツオブシムシやグラナリアコクゾウムシなどの植物防疫上重要な食品害虫の同定法については、必要になってから準備するのでは対応が遅れるため、安定的な輸出促進のために予め開発しておくべきである。
昆虫の同定は、虫の特徴的な形態を含む部分を熟練した専門家が目視で鑑定しているのが現状である(非特許文献1)。昆虫の同定に関する分類学の専門家は、なるべく状態の良い生物個体を用いてなるべく科学的に正しい同定を行うが、実際の食品への混入事例では、食品加工の工程等で変質してしまった、あるいは鑑定までに破損して一部しか残っていないなど、同定には好ましいと言えない状態の試料を鑑定するケースも往々にしてある。このような場合においても鑑定が必要な食品の供給者は消費者の安心や再発防止策を確保するため、適用性が広く、迅速性や精確性の高い同定結果を常に求めている。
他方、核酸増幅法を用いる検査手段として最もよく知られているのがポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によるものである。このPCR法は、1.二本鎖鋳型 DNAの一本鎖化(加熱変性ステップ)、2.一本鎖化鋳型DNAとプライマーとのアニーリング(冷却再会合ステップ)、3.DNAポリメラーゼによる増幅 (DNAポリメラーゼの至適反応温度での加熱ステップ)という工程を25〜40回程度繰り返し行うことにより二本のプライマーに挟まれた検出領域を特異的に増幅する方法である。
PCR法に代表されるDNAを用いた分析は、生物に固有のDNA情報を利用するため精度が高く、目視鑑定のように高度な専門知識や経験が不要である。また、PCR法はDNAを含む昆虫の一部が残存していれば検査可能であり、一般に形態的な特徴が少なく同定が難しいとされる幼虫においても精確に同定できることが特徴として挙げられる。
また、通常のPCR法がPCR反応後に電気泳動等で増幅したDNAの有無や量を確認するのに対し、リアルタイムPCR法はDNAの増幅時に生じる蛍光物質をPCRの反応ステップ毎に測定し、DNAの増幅量と蛍光物質量が比例することを利用する。このため、PCR増幅時に得られる蛍光物質量のデータを観察すれば、PCR反応の最中においてもDNAの有無や量を確認することができ、これを利用したDNA分析法は、迅速な分析が可能となる。
細胞内に存在するDNAは、核(ゲノム)DNAの他に、ミトコンドリアDNAや葉緑体DNAに分けられる。核DNAは、犯罪捜査や親子などの血縁の関係、作物や家畜における品種鑑定に用いられている。これらのうち、ミトコンドリアDNAは核DNAよりも変異の頻度が高く、1細胞あたりのコピー数がゲノムよりも多いため、昆虫の種判定に有用であるとされている。
DNAによる検査手法には、従来から用いられているPCR法の他に、LAMP (Loop-Mediated Isothermal Amplification)法、DNAの塩基配列決定を用いるもの、サザンハイブリダイゼーション、DNAマイクロアレイ等様々な方法がある。これらのうち、鑑定に用いられている手法としては、LAMP法、DNAの塩基配列決定を用いるDNAバーコーディング法等が挙げられる。LAMP法は特異性が高く、PCR法のようにDNA反応時の温度の厳密で多段階の変更ステップがないため有用であるが、その反面、プライマー設計の難易度が高すぎ、遺伝子組換えトウモロコシ系統の検出に利用する例が報告されているが(特許文献1)、昆虫種全般を検査する目的に使用しづらいこと、プライマー設計が出来る配列が限られ、使用しづらいという欠点がある。また、DNAバーコーディング法は、DNAの配列を解読し、その配列情報を既知の配列情報と比較して利用するため、昆虫名まで同定することが出来る。しかしながら、本法はPCR法を行った分析用試料をDNAシークエンサーによって塩基配列を解読後、専用のソフトウェアにより1検体ずつ配列を比較するため、操作が頻雑でコストも高く、時間が掛かることが難点である。
PCR法はDNA増幅による判別法としては犯罪捜査や親子鑑定にも既に活用されているように、最も歴史があり、実績も豊富であるため、世界的に見ても社会的な信頼性は高い。一方、他の手法については、将来、PCR法にはない利点を生かした活用も考えられるが、現時点ではPCR法より実用的とは言いがたい状況にある。従って、試薬の安定性、入手しやすさ、検査装置や実験設備等の総合的な観点から、PCR法は他方と比べて整っている状況にある。また、PCR法の増幅産物の解析方法として、電気泳動によらず、蛍光シグナルの測定によって定量的な解析を可能とするリアルタイムPCR法が知られており、そのためのプライマーと検出用プローブがセットとして提供されている。例えば、特許文献2には細菌病原体を迅速に検出及び同定するための特異的および普遍的プローブおよび増幅プライマーについて記載されている。しかしながら、昆虫、とりわけ、食品害虫についてはそのようなプライマーとプローブのセットが確立されていない。
特許第4899180号公報 特開2007−125032号公報
吉松慎一 前翅長が重複することが判明した酷似種ノコバヨトウ(Tiracola plagiata)とオオノコバヨトウ(Tiracola aureata)を識別する] 蝶と蛾 64(3)123−127
従って、本発明の目的は、上記の実情に鑑み、グラナリアコクゾウムシやヒメアカカツオブシムシなどの食品害虫を検出するためのオリゴヌクレオチドを開発し、食品害虫を正確かつ迅速に、しかも低コストで検出できる検査系を確立することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、広範囲の食品害虫のミトコンドリアDNAの配列情報を収集し、これらのアライメントから、検出対象となる食品害虫に特徴的な塩基配列を見出し、これらの塩基配列を含むオリゴヌクチドを組み合わせて、オサゾウムシ科グラナリアコクゾウムシ、カツオブシムシ科ヒメアカカツオブシムシ、オサゾウムシ科コクゾウムシ属全般の害虫、カツオブシムシ科全般の害虫、ゴミムシダマシ科コクヌストモドキ、シバンムシ科タバコシバンムシ、メイガ科ノシメマダラメイガ、キバガ科バクガ、及びメイガ科全般の害虫を正確かつ迅速に検出できるオリゴヌクレオチドセットを確立することに成功した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)検出対象の食品害虫のミトコンドリアDNAの特徴的な塩基配列を含む、2種以上のオリゴヌクレオチドから構成される、食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット。
(2)前記食品害虫が、オサゾウムシ科、カツオブシムシ科、ゴミムシダマシ科、シバンムシ科、メイガ科、またはキバガ科のいずれかに属する害虫である、(1)に記載の食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット。
(3)前記オリゴヌクレオチドが、プライマーおよびプローブとして使用されるものである、(1)または(2)に記載の食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット。
(4)食品害虫がグラナリアコクゾウムシであって、オリゴヌクレオチドセットが、下記の(A)または(B)のオリゴヌクレオチドセットである、(1)に記載の食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット。
(A)下記の配列番号1〜3に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号1〜3に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、オリゴヌクレオチドセット;
配列番号1:5'-GAGTAGAAAGAAAAGGAAGATTCC-3'
配列番号2:5'-GGGGGAACTTTAGGATGG-3'
配列番号3:5'-CCTCTACACCAATCCAGGCTCC-3'
(B)下記の配列番号4〜6に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号4〜6に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、オリゴヌクレオチドセット;
配列番号4:5'-GCTCATTTAGCACCTCAAGG-3'
配列番号5:5'-GAGGGTAATCAGTAGATGACCG-3'
配列番号6:5'-CATTATCCGGCCAGGAACTTTAGC-3'
(5)食品害虫がヒメアカカツオブシムシであって、オリゴヌクレオチドセットが、下記の(C)または(D)のオリゴヌクレオチドセットである、(1)に記載の食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット。
(C)下記の配列番号7〜9に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号7〜9に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、オリゴヌクレオチドセット;
配列番号7:5'-CGAAACAATAAAACAAAACCAATCA-3'
配列番号8:5'-GGAGGGGTATCCCTAAGGC-3'
配列番号9:5'-CGTACTCTCAGGACTATCAATCACCC-3'
(D)下記の配列番号10〜12に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号10〜12に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、オリゴヌクレオチドセット;
配列番号10:5'-CAGCCTTATATGACTTCTCATACC-3'
配列番号11:5'-GATTTCATGTTGGGAATGATG-3'
配列番号12:5'-GCAAATGGTGGCGAGTGTTGTC-3'
(6)食品害虫がオサゾウムシ科コクゾウムシ属に属する害虫であって、オリゴヌクレオチドセットが、下記の(E)または(F)のオリゴヌクレオチドセットである、(1)に記載の食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット。
(E)下記の配列番号13〜15に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号13〜15に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、オリゴヌクレオチドセット;
配列番号13:5'-GGTCCTTTCGTACTAAGATATT-3'
配列番号14:5'-AAAAAAATTAGGTCTGTTCGACC-3'
配列番号15:5'-CCAACCTGGCTCACGCCG-3'
(F)下記の配列番号16〜18に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号16〜18に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、オリゴヌクレオチドセット;
配列番号16:5'-CAACCTTTCATTCCAGCTTTC-3'
配列番号17:5'-GTCTAGCCTGCCCAATGA-3'
配列番号18:5'-CGGTCAATATACCGCAGCCATTT-3'
(7)食品害虫がカツオブシムシ科に属する害虫であって、オリゴヌクレオチドセットが、下記の配列番号19〜21に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号19〜21に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、(1)に記載の食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット。
配列番号19:5'-GCATCACCAAAAGGCTGCAAAATACCT-3'
配列番号20:5'-GCGACCTCGATGTTGGATTAA-3'
配列番号21:5'-CTCACGCCGGTCTAAACTCAGATCATG-3'
(8)食品害虫がコクヌストモドキであって、オリゴヌクレオチドセットが、下記の(G)または(H)のオリゴヌクレオチドセットである、(1)に記載の食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット。
(G)下記の配列番号22〜24に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号22〜24に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、オリゴヌクレオチドセット;
配列番号22:5'-CCTTTGATCCCTCAACAAACTG-3'
配列番号23:5'-GGGGCCAAGAAGAGTTAAGAATTC-3'
配列番号24:5'-CCCCCTTCATTTTGATTAACACCATCTCG-3'
(H)下記の配列番号25〜27に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号25〜27に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、オリゴヌクレオチドセット;
配列番号25:5'-CTGGCTCTACACTAAACCCA-3'
配列番号26:5'-CGTGAGGAGGTGAATCCT-3'
配列番号27:5'-CTCTGACTACCCAGATGCGTATACCC-3'
(9)食品害虫がノコギリヒラタムシであって、オリゴヌクレオチドセットが、下記の(I)または(J)のオリゴヌクレオチドセットである、(1)に記載の食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット。
(I)下記の配列番号28〜30に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号28〜30に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、オリゴヌクレオチドセット;
配列番号28:5'-CACTTCCGCCTACTTGATG-3'
配列番号29:5'-GACGTCCAGGAGTTGCATC-3'
配列番号30:5'-CACTCATGAACAATTCCCTCTCTAGGAG-3'
(J)下記の配列番号31〜33に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号31〜33に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、オリゴヌクレオチドセット;
配列番号31:5'-GGAACACTTGCAATCCGT-3'
配列番号32:5'-GGAGACAGCAGATTCAAGAG-3'
配列番号33:5'-CACAGGACCAATCCTGTCCTTACCC-3'
(10)食品害虫がタバコシバンムシであって、オリゴヌクレオチドセットが、下記の(K)または(L)のオリゴヌクレオチドセットである、(1)に記載の食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット。
(K)下記の配列番号34〜36に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号34〜36に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、オリゴヌクレオチドセット;
配列番号34:5'-GATTAATGGTTACAGCTACTGATG-3'
配列番号35:5'-CACTGACCATATAATAAACCAGGG-3'
配列番号36:5'-CATTCATGGGCTCTTTCATCATTAGGTG-3'
(L)下記の配列番号37〜39に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号37〜39に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、オリゴヌクレオチドセット;
配列番号37:5'-CATGAATGGAATCAGGGTAG-3'
配列番号38:5'-CCTAATTGGGATAGTATCCAATTC-3'
配列番号39:5'-CGACCTAACCATCAGGTTTTTACCCATA-3'
(11)食品害虫がバクガ及びメイガ科に属する害虫であって、オリゴヌクレオチドセットが、下記の配列番号40〜42に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号40〜42に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、(1)に記載の食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット。
配列番号40:5'-CCAGTACCTCTACTTTGTTACGAC-3'
配列番号41:5'-CGGTATTTTAGTTCATTTGAGG-3'
配列番号42:5'-GTACATATTGCCCGTCGCTTTCAT-3'
(12)食品害虫がノシメマダラメイガであって、オリゴヌクレオチドセットが、下記の配列番号43〜45に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、または配列番号43〜45に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから構成される、(1)に記載の食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット。
配列番号43:5'-GGAGCTATTGGTCTAATAACTTTAGTTACT-3'
配列番号44:5'-GTAGCCCCAATTTCAATATTG-3'
配列番号45:5'-GATGTTTGCCGAGAGGGAACTCTTC-3'
(13)(1)〜(12)のいずれかに記載の食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセットを含む、食品害虫検出用キット。
(14)被検試料より抽出したDNAを鋳型とし、(1)〜(12)のいずれかに記載の食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセットを用いてPCR増幅を行い、得られた増幅産物を検出する工程を含む、食品害虫の検出方法。
本発明によれば、グラナリアコクゾウムシ、ヒメアカカツオブシムシ、コクヌストモドキ、ノコギリヒラタムシ、タバコシバンムシ、ノシメマダラメイガなどの主要食品害虫を検出するためのオリゴヌクレオチドセット、当該オリゴヌクレオチドセットを含む食品害虫検出用キット、及び当該オリゴヌクレオチドセットを用いる食品害虫検出方法が提供される。従って、本発明によれば、食品害虫を正確かつ迅速に、しかも低コストで検出できるので、食品の管理や保証に活用することで品質の信頼性を強化できる。
図1は、本発明に用いるPCR法を説明するための模式図である。 図2は、本発明に用いるリアルタイムPCR法を説明するための模式図である。 図3は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるグラナリアコクゾウムシの検出結果を示す。本法では、配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列を下流側プライマー、配列番号3の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。 図4は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるグラナリアコクゾウムシの検出結果を示す。本法では、配列番号4の塩基配列を上流側プライマー、配列番号5の塩基配列を下流側プライマー、配列番号6の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。 図5は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるヒメアカカツオブシムシの検出結果を示す。本法では、配列番号7の塩基配列を上流側プライマー、配列番号8の塩基配列を下流側プライマー、配列番号9の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。 図6は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるヒメアカカツオブシムシの検出結果を示す。本法では、配列番号10の塩基配列を上流側プライマー、配列番号11の塩基配列を下流側プライマー、配列番号12の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。 図7は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるオサゾウムシ科コクゾウムシ属害虫の検出結果を示す。本法では、配列番号13の塩基配列を上流側プライマー、配列番号14の塩基配列を下流側プライマー、配列番号15の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。 図8は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるオサゾウムシ科コクゾウムシ属害虫の検出結果を示す。本法では、配列番号16の塩基配列を上流側プライマー、配列番号17の塩基配列を下流側プライマー、配列番号18の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。 図9は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるカツオブシムシ科害虫の検出結果を示す。本法では、配列番号19の塩基配列を上流側プライマー、配列番号20の塩基配列を下流側プライマー、配列番号21の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。 図10は、SYBR Greenを用いたリアルタイムPCR法によるグラナリアコクゾウムシの検出結果を示す。本法では、配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列を下流側プライマー、GeneAce SYBRTM qPCR Mix α No ROXを増幅DNAの検出用試薬として用いた。 図11は、グラナリアコクゾウムシのSYBR Greenを用いたリアルタイムPCR法による検出で得られた図10の融解曲線である。本法では、リアルタイムPCRの反応終了後に65℃から95℃まで温度を変化させた際の蛍光値を連続的に取得し、解析した。 図12は、定性PCR法によるグラナリアコクゾウムシの検出結果を示す。本法では、配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列を下流側プライマーとして用いた。 図13は、定性PCR法によるグラナリアコクゾウムシの検出結果を示す。本法では、配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号3の塩基配列の逆鎖配列を下流側プライマーとして用いた。 図14は、定性PCR法によるグラナリアコクゾウムシの検出結果を示す。本法では、配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号3の塩基配列の逆鎖配列の一部を下流側プライマーとして用いた。 図15は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるコクヌストモドキの検出結果を示す。本法では、配列番号22の塩基配列を上流側プライマー、配列番号23の塩基配列を下流側プライマー、配列番号24の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。 図16は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるコクヌストモドキの検出結果を示す。本法では、配列番号25の塩基配列を上流側プライマー、配列番号26の塩基配列を下流側プライマー、配列番号27の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。 図17は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるノコギリヒラタムシの検出結果を示す。本法では、配列番号28の塩基配列を上流側プライマー、配列番号29の塩基配列を下流側プライマー、配列番号30の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。 図18は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるノコギリヒラタムシの検出結果を示す。本法では、配列番号31の塩基配列を上流側プライマー、配列番号32の塩基配列を下流側プライマー、配列番号33の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。 図19は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるタバコシバンムシの検出結果を示す。本法では、配列番号34の塩基配列を上流側プライマー、配列番号35の塩基配列を下流側プライマー、配列番号36の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。 図20は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるタバコシバンムシの検出結果を示す。本法では、配列番号37の塩基配列を上流側プライマー、配列番号38の塩基配列を下流側プライマー、配列番号39の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。 図21は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるバクガ及びメイガ科害虫の検出結果を示す。本法では、配列番号40の塩基配列を上流側プライマー、配列番号41の塩基配列を下流側プライマー、配列番号42の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。 図22は、TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法によるノシメマダラメイガの検出結果を示す。本法では、配列番号43の塩基配列を上流側プライマー、配列番号44の塩基配列を下流側プライマー、配列番号45の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット
本発明の食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセットは、検出対象の食品害虫のミトコンドリアDNAの特徴的な塩基配列を含む、2種以上のオリゴヌクレオチドから構成される。オリゴヌクレオチドの塩基長は、限定はされないが、通常プライマーの場合は、15〜30塩基長、好ましくは18〜25塩基長であり、プローブの場合は、10〜30塩基長である。
検出対象の食品害虫のミトコンドリアDNAの特徴的な塩基配列とは、広範囲の既知のミトコンドリアDNAの塩基配列と相同性が低く、かつ、検出対象となる食品害虫にのみ特徴的と考えられる、長さが10塩基以上、好ましくは15塩基以上、より好ましくは20塩基以上の塩基配列をいう。
上記のミトコンドリアDNAの特徴的な塩基配列を特定するにあたり、まず、主要食品害虫(甲虫類および蛾類)のミトコンドリアDNAの塩基配列情報を入手する。塩基配列情報は、データベース(NCBI、DDBJ等)より入手してもよく、または後記実施例に示すように、直接的に塩基配列を解析して入手してもよい。
次に、特定した特徴的な塩基配列に基づき、プライマーを設計する。プライマーの設計は、オリゴヌクレオチドの長さ、GC含量、Tm値、オリゴヌクレオチド間の相補性、オリゴヌクレオチド内の二次構造などを考慮して行うが、例えば、「PCR法最前線−基礎技術から応用まで」(蛋白質・核酸・酵素 臨時増刊号 1996年 共立出版株式会社)や、「バイオ実験イラストレイテッド3 本当にふえるPCR:細胞工学別紙 目で見る実験ノートシリーズ」(中山広樹著 株式会社秀潤社)、「PCRテクノロジー−DNA増幅の原理と応用−」(Henry A Erlich編、加藤邦之進 監修、宝酒造株式会社)等を参考にすればよい。
具体的に採用した設計基準は以下のとおりである。
(a)食品害虫のミトコンドリアDNAの特徴的な配列のPCR増幅産物を電気泳動した場合に増幅産物が明確に検出されること。
(b) PCR増幅産物が100〜500bp、好ましくは100〜250bpであること。
(c) プライマー長は鋳型DNAとの間の特異的なアニーリングが可能とするために、15〜30bpの範囲であること。
(d)アニーリング温度はTm(melting temperature)に依存するので、特異性の高いPCR増幅産物を得るため、Tm値が50〜70℃、好ましくは55〜65℃であり、互いに近似したプライマーを選定すること。
(e)プライマーの3’末端の塩基配列と鋳型DNA配列との相同性が高いこと。
(f) プライマーはダイマーや立体構造を形成しないように、両プライマー間の相補的配列を避けること。
(g) 鋳型DNAとの安定な結合を確保するため、GC含量をなるべく約50%とするようにし、プライマー内においてはできるだけGC-richあるいはAT-richが偏在しないように配慮する。
また、プローブの設計は、ABI Prism 7900HT Real-time PCR System (ライフテクノロジーズジャパン株式会社)等の市販のリアルタイムPCR装置に付属しているソフトウェアのプロトコルに基づいて行なえばよい。プローブの設計基準としては、GC含量が20-80%の範囲内であること、配列内に4塩基以上のGまたはCの連続を避けること、対応するプライマー対のTm値よりも8-10℃程度高く設定すること、プローブの5'側末端がGにならないことが一般論として挙げられる。
上記基準に基づき、本発明の食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセットとして以下のものを確立した。
[グラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドセットA]
配列番号1:5'-GAGTAGAAAGAAAAGGAAGATTCC-3'
配列番号2:5'-GGGGGAACTTTAGGATGG-3'
配列番号3:5'-CCTCTACACCAATCCAGGCTCC-3'
[グラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドセットB]
配列番号4:5'-GCTCATTTAGCACCTCAAGG-3'
配列番号5:5'-GAGGGTAATCAGTAGATGACCG-3'
配列番号6:5'-CATTATCCGGCCAGGAACTTTAGC-3'
[ヒメアカカツオブシムシ検出用オリゴヌクレオチドセットA]
配列番号7:5'-CGAAACAATAAAACAAAACCAATCA-3'
配列番号8:5'-GGAGGGGTATCCCTAAGGC-3'
配列番号9:5'-CGTACTCTCAGGACTATCAATCACCC-3'
[ヒメアカカツオブシムシ検出用オリゴヌクレオチドセットB]
配列番号10:5'-CAGCCTTATATGACTTCTCATACC-3'
配列番号11:5'-GATTTCATGTTGGGAATGATG-3'
配列番号12:5'-GCAAATGGTGGCGAGTGTTGTC-3'
[オサゾウムシ科コクゾウムシ属(全般)検出用オリゴヌクレオチドセットA]
配列番号13:5'-GGTCCTTTCGTACTAAGATATT-3'
配列番号14:5'-AAAAAAATTAGGTCTGTTCGACC-3'
配列番号15:5'-CCAACCTGGCTCACGCCG-3'
[オサゾウムシ科コクゾウムシ属(全般)検出用オリゴヌクレオチドセットB]
配列番号16:5'-CAACCTTTCATTCCAGCTTTC-3'
配列番号17:5'-GTCTAGCCTGCCCAATGA-3'
配列番号18:5'-CGGTCAATATACCGCAGCCATTT-3'
[カツオブシムシ科(全般)検出用オリゴヌクレオチドセット]
配列番号19:5'-GCATCACCAAAAGGCTGCAAAATACCT-3'
配列番号20:5'-GCGACCTCGATGTTGGATTAA-3'
配列番号21:5'-CTCACGCCGGTCTAAACTCAGATCATG-3'
[コクヌストモドキ検出用オリゴヌクレオチドセットA]
配列番号22:5'-CCTTTGATCCCTCAACAAACTG-3'
配列番号23:5'-GGGGCCAAGAAGAGTTAAGAATTC-3'
配列番号24:5'-CCCCCTTCATTTTGATTAACACCATCTCG-3'
[コクヌストモドキ検出用オリゴヌクレオチドセットB]
配列番号25:5'-CTGGCTCTACACTAAACCCA-3'
配列番号26:5'-CGTGAGGAGGTGAATCCT-3'
配列番号27:5'-CTCTGACTACCCAGATGCGTATACCC-3'
[ノコギリヒラタムシ検出用オリゴヌクレオチドセットA]
配列番号28:5'-CACTTCCGCCTACTTGATG-3'
配列番号29:5'-GACGTCCAGGAGTTGCATC-3'
配列番号30:5'-CACTCATGAACAATTCCCTCTCTAGGAG-3'
[ノコギリヒラタムシ検出用オリゴヌクレオチドセットB]
配列番号31:5'-GGAACACTTGCAATCCGT-3'
配列番号32:5'-GGAGACAGCAGATTCAAGAG-3'
配列番号33:5'-CACAGGACCAATCCTGTCCTTACCC-3'
[タバコシバンムシ検出用オリゴヌクレオチドセットA]
配列番号34:5'-GATTAATGGTTACAGCTACTGATG-3'
配列番号35:5'-CACTGACCATATAATAAACCAGGG-3'
配列番号36:5'-CATTCATGGGCTCTTTCATCATTAGGTG-3'
[タバコシバンムシ検出用オリゴヌクレオチドセットB]
配列番号37:5'-CATGAATGGAATCAGGGTAG-3'
配列番号38:5'-CCTAATTGGGATAGTATCCAATTC-3'
配列番号39:5'-CGACCTAACCATCAGGTTTTTACCCATA-3'
[バクガ及びメイガ科(全般)害虫検出用オリゴヌクレオチドセット]
配列番号40:5'-CCAGTACCTCTACTTTGTTACGAC-3'
配列番号41:5'-CGGTATTTTAGTTCATTTGAGG-3'
配列番号42:5'-GTACATATTGCCCGTCGCTTTCAT-3'
[ノシメマダラメイガ検出用オリゴヌクレオチドセット]
配列番号43:5'-GGAGCTATTGGTCTAATAACTTTAGTTACT-3'
配列番号44:5'-GTAGCCCCAATTTCAATATTG-3'
配列番号45:5'-GATGTTTGCCGAGAGGGAACTCTTC-3'
本発明のオリゴヌクレオチドセットを構成するオリゴヌクレオチドは、上記の「配列番号1〜45に示す塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド」のみならず、食品害虫検出用のプライマーまたはプローブとして機能しうる限り、その変異オリゴヌクレオチドであってもよい。例えば、変異オリゴヌクレオチドとしては、「配列番号1〜45に示す塩基配列もしくはその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド」が挙げられる。連続する少なくとも15塩基以外の塩基の種類、連続する少なくとも15塩基の変異オリゴヌクレオチドの存在部位(3’末端側、5’末端側)について特に制限はない。また、変異オリゴヌクレオチドの全長は、15〜30塩基程度が好ましい。一般に、プローブが鋳型DNAに相補的に結合する際には、両末端の領域に付加される塩基配列の重要性は低い。従って、上記のオリゴヌクレオチドセットに含まれるオリゴヌクレオチドをプローブとして用いる場合は、各配列番号の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドの両末端に5個以下の任意の塩基が付加されていてもよい。
本発明において検出対象となる食品害虫としては、糧として食しうる物質を直接食害する、または混入することで物質の品質低下を招きうる害虫であれば特に限定はされないが、主として貯穀害虫として知られている、オサゾウムシ科、カツオブシムシ科、ゴミムシダマシ科、シバンムシ科、メイガ科、またはキバガ科のいずれかに属する害虫、例えば、オサゾウムシ科コクゾウムシ属のコクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ等、カツオブシムシ科のヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、アカマダラカツオブシムシ、ヒメアカカツオブシムシ、チビケカツオブシムシ、ハラジロカツオブシムシ、シロオビマルカツブシムシ等、ゴミムシダマシ科のコクヌストモドキ等、シバンムシ科のタバコシバンムシ、キバガ科のバクガ、メイガ科のノシメマダラメイガ、ガイマイツヅリガ、スジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、チャマダラメイガ、イッテンコクガ等が挙げられ、これらの害虫の成虫、蛹、幼虫、卵のいずれをも含む。また、上記の食品害虫が混入する物質としては、食品に限られず、衣類等も含む。
プライマーまたはプローブとなるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの合成法として当技術分野で公知の方法、例えば、ホスホロアミダイト法、H−ホスホネート法等により、通常用いられるDNA自動合成装置(例えば、Applied Biosystems社製Model 394など)を利用して合成することが可能である。
2.食品害虫検出用キット
上記オリゴヌクレオチドセットはキット化することもできる。本発明のキットは、上記のオリゴヌクレオチドセットの少なくとも1セットを含むものであればよく、検出する食品害虫の種類や数、検出の目的によって、これらのオリゴヌクレオチドセットの中から適当なセットを適宜選択して用いればよい。本発明のキットには、必要に応じて、DNA抽出用試薬、PCR用緩衝液やDNAポリメラーゼ等のPCR用試薬、反応の陽性コントロールとなるPCR増幅領域を含むDNA溶液、染色剤や電気泳動用ゲル等の検出用試薬、説明書などを含んでいてもよい。
3.食品害虫の検出方法
本発明の食品害虫を検出する方法は、被検試料からDNAを抽出し、該DNAを鋳型とし、上記オリゴヌクレオチドセットに含まれるオリゴヌクレオチドから選ばれる2種のオリゴヌクレオチドを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、該PCRにより得られた増幅産物を解析する工程を含む。
上記オリゴヌクレオチドセットは、検出すべき食品害虫の種類や数、検出の目的によって、全てを用いる必要はなく、上記オリゴヌクレオチドセットの1セットまたは複数のセットを適宜組み合わせて用いてもよい。
被検試料としては、食品害虫そのものだけでなく、食品害虫が寄生または混入する可能性のある食品原料、加工過程にある材料、加工食品等の製品などが用いられ、特に制限されない。具体的には、穀物粒やその粉砕物のような非加工状態のものや、米飯、チョコレート、カップ麺、納豆等の加工品などが挙げられる。本発明の方法により得られた検出結果は、食品の安全性表示に利用できるほか、生産者の意図していない製造ラインにおける食品害虫混入の有無の確認に利用できる。
被検試料からのDNAの抽出は、核酸抽出法として当業者に公知のいかなる方法を用いてもよく、例えば、フェノール抽出法、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)法、アルカリSDS法等が挙げられる。また、これらの方法は適宜改変して行ってもよく、試薬メーカーより販売されている各種DNA抽出キットを用いてもよい。試料の種類によっては、メンブランフィルターによる濾過やホモジナイズを行う。また、試薬メーカーより販売されているDNeasy Plant mini Kit(株式会社キアゲン製)等の各種DNA抽出キットを用いても良い。これらの方法により抽出したDNAは、PCRの鋳型として用いるのに適した状態で保持することが好ましく、例えば適切な緩衝液に溶解させて低温下で保管することが好ましい。また、DNAの抽出後、クロロホルム/イソアミルアルコール処理、イソプロパノール沈澱、フェノール/クロロホルムによる除蛋白、エタノール沈澱などの精製処理を行ってもよい。
また、上記のオリゴヌクレオチドをプローブとして用いる場合は、増幅産物に由来する蛍光シグナルを検出するための標識物質で標識されていてもよい。標識プローブとしては、蛍光物質と消光物質で二重標識したTaqManTMプローブが好ましい。TaqManTMプローブは、通常、核酸プローブの5’末端を蛍光物質(レポーター蛍光色素)で修飾し、3’末端を消光物質(クエンチャー蛍光色素)で修飾する。レポーター蛍光色素の例としては6-FAM(6-カルボキシフルオレセイン)、TET(6-カルボキシ-4, 7, 2',7'-テトラクロロフルオレセイン)、HEX(6-カルボキシ-2',4',7',4,7-ヘキサクロロフルオレセイン)等のフルオレセイン系蛍光色素が挙げられ、クエンチャー蛍光色素の例としては、6‐カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)等のローダミン系蛍光色素が挙げられる。これらの蛍光色素は公知であり、市販のリアルタイムPCR用キットに含まれているのでそれを用いることができる。
次いで、抽出したDNAを鋳型とし、上記の本発明のオリゴヌクレオチドセットのいずれかに含まれるオリゴヌクレオチドの2種を用いて、PCR増幅を行う。PCR増幅は前述のオリゴヌクレオチドセットを用いる以外は特に制限はなく、常法に従って行えばよい。具体的には、鋳型DNAの変性、プライマーへの鋳型へのアニーリング、および耐熱性酵素(TaqポリメラーゼやThermus themophilis由来のTth DNAポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼ)を用いたプライマーの伸長反応を含むサイクルを繰り返すことにより、検出対象となる食品害虫のミトコンドリアDNAの特徴的な塩基配列を増幅させる(図1参照)。PCR溶液の組成(鋳型DNA量、緩衝液の種類、プライマー濃度、DNAポリメラーゼの種類や濃度、dNTP濃度、塩化マグネシウム濃度等)、PCR反応条件(温度サイクル、サイクルの回数等)は、当業者であれば適切に選択および設定することができる。
例えば、鋳型となるDNA0.1〜100ng、10×PCR反応用緩衝液、プライマー各0.25〜1μM、DNAポリメラーゼ(Taq ポリメラーゼ、TthDNAポリメラーゼなど)0.25〜2.5U、dNTP各250μMを混合した後、全液量が10〜100μlとなるように希釈したものについて、94〜96℃ 5分×1サイクル、(94〜96℃ 30秒、52〜58℃ 30秒、70〜74℃ 1分)×30サイクル、70〜74℃ 5分×1サイクルで反応を行う。これは一例にすぎず、PCR溶液の組成、反応温度や時間は、プライマーとなるオリゴヌクレオチド配列の長さや塩基組成などに応じて適宜設定することができる。これらPCRの一連の操作は、市販のPCRキットやPCR装置を利用して、その操作説明書に従って行うことができる。
PCR増幅産物の検出は、アガロースゲル電気泳動やキャピラリー電気泳動などの慣用の電気泳動、DNAハイブリダイゼーションやリアルタイムPCR等の方法を用いて確認できる。例えば、アガロースゲル電気泳動では、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、そして増幅産物を1本のバンドとして検出し、その大きさに基づいて食品害虫の有無や種類を判定する。また、予め標識物質により標識したプライマーを用いて当該PCRを行い、増幅産物を検出することもできる。標識物質としては、当該技術分野においてよく知られる蛍光物質、放射性同位体、化学発光物質、ビオチン等を用いることができる。また、DNAハイブリダイゼーションでは、マイクロアレイなどの固定化担体に増幅産物を結合させ、蛍光または酵素反応等により増幅産物を確認する。検出用の固定化担体は、検出すべき食品害虫のミトコンドリアDNAの特徴的な配列とハイブリダイズしうる配列を有するオリゴヌクレオチドが固定化されている支持体である。支持体としては、例えば、ナイロン膜、ニトロセルロース膜、ガラス、シリコンチップなどを用いることができる。
リアルタイムPCR法には、プライマー対とともに二本鎖DNAに結合することによって蛍光を発する化合物であるSYBR Green IなどのインターカレーターをPCR反応系に加えるインターカレーター法、または、5'末端をレポーターと呼ばれる蛍光物質で、3'末端をクエンチャーと呼ばれる消光物質で標識したプローブ(TaqManTMプローブ)をPCR反応系に加えるTaqMan法があり、いずれも本発明において用いることができるが、TaqMan法が好ましい。TaqMan法では、TaqManTMプローブがPCRによる増幅反応においてポリメラーゼの伸長反応に使用される条件下で鋳型DNAに特異的にハイブリダイズし、DNA鎖の伸長、すなわち鋳型DNAの増幅に伴って分解され、蛍光物質を遊離することによりPCR溶液中の蛍光量が増加する。この蛍光量の増加が鋳型DNAの増幅の指標となり、PCRにおける増幅の様子をリアルタイムで簡便に検出することができる(図2参照)。リアルタイムPCR法は、上記のオリゴヌクレオチドセットを用いる以外は、当業者に知られている通常の方法に基づいて、市販のリアルタイムPCRキットやリアルタイムPCR装置を用い、それらに添付の操作説明書に従って行なえばよい。リアルタイムPCR装置としては、例えば、ABI Prism 7900HT Real-time PCR System等が用いられる。
被検試料中の食品害虫を検出する場合は、次のように行う。まず、被検試料でリアルタイムPCR法を実施し、増幅曲線を得る。次に蛍光シグナルの増加がサイクル数に対して指数関係にある領域で、蛍光量増加(ΔRn)の適当な閾値(Threshold)を設定し、増幅曲線と閾値(Threshold)が交わるか否かにより、被検試料中の食品害虫DNAの有無を判断する。この増幅曲線と閾値(Threshold)との交わるサイクル数をCt値(Threshold Cycle)と呼ぶ。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)食品害虫の配列情報の取得
食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット(プライマー及びプローブ)の設計のために、検出対象となりうる食品害虫の配列情報を収集した。
(1)検出対象となりうる食品害虫
検出対象となりうる食品害虫(甲虫、蛾類)として、以下のものを選択した。
<オサゾウムシ科>
コクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ
<シバンムシ科>
タバコシバンムシ
<ナガシンクイムシ科>
コナナガシンクイムシ
<ヒラタムシ科>
カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ
<マメゾウムシ科>
アズキゾウムシ
<キバガ科>
バクガ
<カツオブシムシ科>
ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、アカマダラカツオブシムシ、ヒメアカカツオブシムシ
<ゴミムシダマシ科>
コクヌストモドキ、ガイマイゴミムシダマシ、ヒメゴミムシダマシ、チャイロコメノゴミムシダマシ、ヒラタコクヌストモドキ、カシミールコクスヌトモドキ、オオツノコクヌストモドキ、ヒメコクヌストモドキ
<メイガ科>
ノシメマダラメイガ、ガイマイツヅリガ、スジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、チャマダラメイガ、イッテンコクガ
(2)DNAの抽出
(1)の食品害虫のDNAの抽出には、DNeasy Blood & Tissue Kit(株式会社キアゲン製)を使用した。各害虫25mgを1.5mlのチューブに入れ、DNeasy Blood & Tissue Kitに付属のプロティナーゼ(Proteinase)K 20μlを含む200μlのBuffer ATLに加えてペッスルで磨りつぶしつつ混合し、56℃で一夜保温した。リボヌクレアーゼ(RNase)A 4μlを加えて混合し、室温で5分間保温した。その後200μlのBuffer ALを添加し、十分に混合後、200μlのエタノール(96〜100%)を添加し、再度十分に混合した。
混合液を、DNeasy Blood & Tissue Kitに添付のDNeasy Spin Columnに加えて遠心分離を行い、フィルターにDNAを吸着させた。続いて200μlのBuffer AW1を加えて遠心分離を行い、DNAが吸着したフィルターを洗浄した。その後、200μlのBuffer AW2を加えて遠心分離することによりフィルターからミトコンドリアDNAを含むトータルDNAを溶出した。
(3)シークエンス
(2)に記載の食品害虫のミトコンドリアDNAのシークエンスを行い、全長または部分的な配列情報を得た。シークエンスライブラリの作成は下記の2つのアプローチにて行った。
第1のアプローチは、ミトコンドリアDNAを3つの領域に分割し、各領域をPCRにて増幅し、得られたPCR産物をもとにシークエンスライブラリを調製した。PCRプライマーはNCBI等のデータベース上に存在する公知の配列を基に設計したが、上記の検出対象となりうる食品害虫については、研究が進んでおらず、ごく僅かな食品害虫においてのみ部分的な配列が明らかになっている状況であった。そこで、配列が部分的でも公知でない場合は、近縁種の公知の配列を鋭意精査して比較した後、保存性が高いと考えられる領域にPCRプライマーを設計した。
第2のアプローチは、DNA配列の保存性が高いとされる遺伝子の配列をデータベースから複数収集し、比較した結果、保存性が高いと確認された領域に昆虫共通PCRプライマーを設計し、PCRを行うことによって、配列情報の存在しない食品害虫のシークエンスライブラリを作成した。
シークエンスはGS Junior(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)を用いて行った。解析した配列はNCBIのBLASTにて相同性検索を行い、ミトコンドリアDNAのどの領域に相当するか調査した。
シークエンス方法の詳細について、ヒメアカカツオブシムシを例として以下に示す。
まず、従来法である目視鑑定により昆虫の専門家が同定したヒメアカカツオブシムシの成虫死体14.7mgから、DNeasy Blood and Tissue Kitを用いて5.13μgのTotal DNAを抽出した。抽出操作はDNeasy Blood and Tissue Kitのマニュアルに準じて行った。
次に、PCRによってミトコンドリアDNAを増幅する作業を行った。NCBIのデータベースよりヒメアカカツオブシムシのDNA配列を検索し、得られたCox1(Accession No. FJ589737)およびCYTB(Accession No. HM243363)の2つの公知配列を基にPCRプライマーを設計した。
また、食品害虫及びモデル生物であるスジコナマダラメイガ、カイコガ、ガイマイツヅリガ、シバオサゾウムシ、ウエスタンコーンルートワーム、ノーザンコーンルートワーム、Cucujus clavipes(ヒラタムシ科)、コクヌストモドキ、ジュウホシクビナガハムシ、Apatides fortis(ナガシンクイムシ科)及びヤンソンテナガコガネ、計11種のミトコンドリアDNAを比較し、保存性の高い領域に共通PCRプライマーを設計した。
前述のPCRプライマーにて、ミトコンドリアDNAの全体をカバーする様に3つの領域をPCRにより増幅した。
PCR溶液は、5.0μlの10× PfuUltra II reaction Buffer、0.5μlの25mM each dNTP Mix、1.0μlのPfuUltra II HS Fusion DNA Polymerase、0.8μlの25μM eachプライマーセット、および40.7μlの滅菌水を混合した溶液に、2.0μlの25ng/μl鋳型DNA(ヒメアカカツオブシムシのTotal DNA)を添加して全量を50μlとすることによって調製し、PfuUltra II HS Fusion DNA Polymerase(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用してPCRを行った。PCR増幅装置にはApplied BiosystemsTM 2720 Thermal Cycler(ライフテクノロジーズ株式会社製)を用いた。反応条件は反応液を92℃で2分間保持し、以降DNAの変性反応として92℃で10秒間、アニーリングとして50℃または56℃または55℃で20秒間、伸長反応として68℃で5分間反応させ、これを1サイクルとし30サイクル繰り返した。アニーリング温度は各プライマーに適した温度を設定した。
得られたPCR産物は、PCR溶液とローディング緩衝液を適量混合し、アガロースS(株式会社ニッポンジーン製)により調製した0.5%アガロースゲルに供し電気泳動を行った。電気泳動後はエチジウムブロマイド染色を行い、各PCR産物のバンドが予想されるサイズであるかを確認した。3種のPCR産物はそれぞれ吸光度により濃度を測定し、大まかに分子数を揃えた上で混合した。混合したPCR産物はISOSPIN PCR Product(株式会社ニッポンジーン製)にて精製し、TE (pH 8.0)(株式会社ニッポンジーン製)にて溶出した。
溶出したサンプルDNAは再度濃度を測定した後、10 ng/μlになるようTEで希釈し、そのうち100μlをBioruptor UCD-250(コスモバイオ株式会社製)にてDNAの断片化処理を行った。断片化処理は出力200Wで行い、30秒照射、90秒冷却のサイクルを4サイクル行った。その後、断片化処理を行ったサンプルDNA 500 ngをMinElute PCR Purification Kit(株式会社キアゲン製)にて精製し、GS FLX Titanium Rapid Library Preparation Kit(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)に付属のTEを16μlカラムに加え、サンプルDNAを溶出した。
その後、GSジュニア チタニウムシリーズ ラピッドライブラリ(ショットガン)調製マニュアルに従い、フラグメントのエンドリペア、アダプタのライゲーション、ライブラリのQCと定量を行った。さらにGSジュニア チタニウムシリーズ emPCR (Lib-L) マニュアルに従い、DNAライブラリのキャプチャー、emPCR、ブレイキング、ライブラリのエンリッチメント、シークエンスプライマーのアニーリングを行った。次に、GSジュニア チタニウムシリーズ シークエンスラン マニュアルに従い、PTPへのビーズのローディング、バッファーのプライミング、シークエンスランを行った。シークエンスデータの解析はGS de novo Assembler(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)を使用した。解析の際のSequence typeはGenomicを選択した。また、数種の昆虫のデータを一度に解析を行うため、RL MIDsタグによるMultiplex filteringを利用した。Inputパラメーターの設定ではLarge or complex genomeのボックスにチェックを入れ、ComputationパラメーターおよびOutputパラメーターはデフォルト設定のまま解析を行った。
解析により出力されたContig配列はNCBIのBLASTにて相同性検索を行い、ミトコンドリアDNAのどの領域に相当する配列か鋭意調査した。またゲノムDNAや短いContig配列等、プライマーおよびプローブの設計に不適当な配列情報は相同性検索の結果から除外した。配列解析の結果、Cox1と12s rRNAの一部領域及び調節領域を除いたND2〜s-rRNA間の14,862 bpにも及ぶ広範な配列情報が得られた。
ヒメアカカツオブシムシ以外の食品害虫についても上記と同様の手法にてミトコンドリアDNAの配列解析を行い、広範な配列情報を得た。
(実施例2)食品害虫検出用オリゴヌクレオチド(プライマー・プローブ)の設計
(1)オサゾウムシ科コクゾウムシ属(全般)検出用オリゴヌクレオチドの設計
穀物を食害するオサゾウムシ科コクゾウムシ属に属する害虫は、大きく分類するとコクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシの3つに分類できる。まず、上記3種全てのミトコンドリアDNAを増幅することのできるDNA配列を設計するため、それぞれの種について、実施例1(2)の方法に従い、ミトコンドリアDNAを抽出し、ほぼ全域の塩基配列をシークエンス反応により明らかにした後、比較解析した。
その結果、上記3種全てのミトコンドリアDNAを増幅することのできる下記のDNA配列を2組設計し、オサゾウムシ科コクゾウムシ属検出用オリゴヌクレオチドとした。
[オサゾウムシ科コクゾウムシ属(全般)検出用オリゴヌクレオチドセットA]
配列番号13:5'-GGTCCTTTCGTACTAAGATATT-3'
配列番号14:5'-AAAAAAATTAGGTCTGTTCGACC-3'
配列番号15:5'-CCAACCTGGCTCACGCCG-3'
[オサゾウムシ科コクゾウムシ属(全般)検出用オリゴヌクレオチドセットB]
配列番号16:5'-CAACCTTTCATTCCAGCTTTC-3'
配列番号17:5'-GTCTAGCCTGCCCAATGA-3'
配列番号18:5'-CGGTCAATATACCGCAGCCATTT-3'
(2)グラナリアコクゾウムシ検出用プライマーの設計
次に、オサゾウムシ科コクゾウムシ属のうち、グラナリアコクゾウムシはコメ、ムギ、トウモロコシの世界的な大害虫として知られ、日本でも重要な検疫対象と位置づけられている。そこで、グラナリアコクゾウムシに対して特異性が高い領域を選択し、DNA配列を各種設計した。その中から、グラナリアコクゾウムシを検出可能で、且つグラナリアコクゾウムシ以外の貯穀害虫としてタバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、コクヌストモドキ、アズキゾウムシ、ノシメマダラメイガ、バクガ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、アカマダラカツオブシムシ及びヒメアカカツオブシムシに反応しない、極めて特異性の高い下記のDNA配列を2組設計し、グラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドとした。
[グラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドセットA]
配列番号1:5'-GAGTAGAAAGAAAAGGAAGATTCC-3'
配列番号2:5'-GGGGGAACTTTAGGATGG-3'
配列番号3:5'-CCTCTACACCAATCCAGGCTCC-3'
[グラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドセットB]
配列番号4:5'-GCTCATTTAGCACCTCAAGG-3'
配列番号5:5'-GAGGGTAATCAGTAGATGACCG-3'
配列番号6:5'-CATTATCCGGCCAGGAACTTTAGC-3'
(3)カツオブシムシ科(全般)検出用オリゴヌクレオチドの設計
穀物を食害するカツオブシムシ科昆虫のうち、ヒメアカカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、アカマダラカツオブシムシについて、それぞれミトコンドリアDNAを抽出し、ほぼ全域の塩基配列をシークエンス反応により解読後、比較解析した。
その結果上記4種全てのミトコンドリアDNAを増幅することのできる下記のDNA配列を1組設計し、カツオブシムシ科検出用オリゴヌクレオチドとした。
[カツオブシムシ科(全般)検出用オリゴヌクレオチドセット]
配列番号19:5'-GCATCACCAAAAGGCTGCAAAATACCT-3'
配列番号20:5'-GCGACCTCGATGTTGGATTAA-3'
配列番号21:5'-CTCACGCCGGTCTAAACTCAGATCATG-3'
(4)ヒメアカカツオブシムシ検出用オリゴヌクレオチドの設計
カツオブシムシ科昆虫のうち、ヒメアカカツオブシムシは日本政府も加盟しているIUCN−国際自然保護連合が定めたグローバル侵入種データベースの中で、その繁殖力や生命力の強さから外来侵入種ワースト100にも選ばれている世界的な大害虫として知られており、日本でも重要な検疫対象と位置づけられている。そこで、ヒメアカカツオブシムシに特有の下記のDNA配列を2組設計し、ヒメアカカツオブシムシ検出用オリゴヌクレオチドとした。
[ヒメアカカツオブシムシ検出用オリゴヌクレオチドセットA]
配列番号7:5'-CGAAACAATAAAACAAAACCAATCA-3'
配列番号8:5'-GGAGGGGTATCCCTAAGGC-3'
配列番号9:5'-CGTACTCTCAGGACTATCAATCACCC-3'
[ヒメアカカツオブシムシ検出用オリゴヌクレオチドセットB]
配列番号10:5'-CAGCCTTATATGACTTCTCATACC-3'
配列番号11:5'-GATTTCATGTTGGGAATGATG-3'
配列番号12:5'-GCAAATGGTGGCGAGTGTTGTC-3'
(実施例3)グラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法)
(1)グラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドセットA
実施例2で設計したグラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドセットAを用いてリアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によってグラナリアコクゾウムシの検出を行った。配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列を下流側プライマー、配列番号3の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。
供試試料として、コクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ、タバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、コクヌストモドキ、アズキゾウムシ、ノシメマダラメイガ、バクガ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、アカマダラカツオブシムシ及びヒメアカカツオブシムシを用いた。
各試料より実施例1(2)の方法に従ってミトコンドリアDNAを抽出し、これらを鋳型DNAとして、リアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によるグラナリアコクゾウムシの検出を次のようにして行った。1ウェルあたりGeneAce Probe qPCR Mix α No ROX(株式会社ニッポンジーン製)5μl、配列番号3の5’末端をFAM、3’末端をTAMRAでそれぞれラベルした0.2μM TaqManTMプローブ、0.5μM 各プライマー対(配列番号1および2)、1 ng トータルDNAを含む反応液(総量10μl)を調製し、それぞれ、CFX96 TouchTMリアルタイム PCR 解析システム(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社製)で95℃10分保温したのち、95℃30秒→59℃1分を30サイクル繰り返して増幅することにより検出した。
検査陽性/陰性の判定は、CFX96 TouchTMリアルタイム PCR 解析システムにおいて、スレッシュホールド値(Th値)を1000に固定した際のCt値で判断することにより行った。
結果を図3に示す。図3に示されるように、15サイクルの付近からグラナリアコクゾウムシのミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液及びグラナリアコクゾウムシ以外の貯穀害虫であるコクゾウムシ、ココクゾウムシ、タバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、コクヌストモドキ、アズキゾウムシ、ノシメマダラメイガ、バクガ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、アカマダラカツオブシムシ及びヒメアカカツオブシムシの反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。また、Th値を1000に固定した際に算出されるグラナリアコクゾウムシ由来のCt値は実数である18.80として得られたが、その他貯穀害虫はN/A(検出できず)であり、明確に蛍光検出の有無を判別できた。以上の判定結果から、本実施例によるTaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、グラナリアコクゾウムシを特異的に検出できた。
(2)グラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドセットB
実施例2で設計したグラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドBを用いてリアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によってグラナリアコクゾウムシの検出を行った。配列番号4の塩基配列を上流側プライマー、配列番号5の塩基配列を下流側プライマー、配列番号6の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)でそれぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。供試試料、DNAの抽出方法、リアルタイムPCRの条件、及び解析方法は、(1)に示した試験と同じである。
結果を図4に示す。図4に示されるように、15サイクルの付近からグラナリアコクゾウムシのミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液及びグラナリアコクゾウムシ以外の貯穀害虫であるコクゾウムシ、ココクゾウムシ、タバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、コクヌストモドキ、アズキゾウムシ、ノシメマダラメイガ、バクガ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、アカマダラカツオブシムシ及びヒメアカカツオブシムシの反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。以上の判定結果から、本実施例によるTaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、グラナリアコクゾウムシを特異的に検出できた。
(実施例4)ヒメアカカツオブシムシ検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法)
(1)ヒメアカカツオブシムシ検出用オリゴヌクレオチドセットA
実施例2で設計したヒメアカカツオブシムシ検出用オリゴヌクレオチドセットAを用いてリアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によってヒメアカカツオブシムシの検出を行った。配列番号7の塩基配列を上流側プライマー、配列番号8の塩基配列を下流側プライマー、配列番号9の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)それぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。供試試料、DNAの抽出方法、リアルタイムPCRの条件、及び解析方法は、実施例3に記載のとおりである。
結果を図5に示す。図5に示されるように、15サイクルの付近からヒメアカカツオブシムシのミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液及びヒメアカカツオブシムシ以外の貯穀害虫であるコクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ、タバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、コクヌストモドキ、アズキゾウムシ、ノシメマダラメイガ、バクガ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、及びアカマダラカツオブシムシの反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。以上の判定結果から、本実施例によるTaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、ヒメアカカツオブシムシを特異的に検出できた。
(2)ヒメアカカツオブシムシ検出用オリゴヌクレオチドセットB
実施例2で設計したヒメアカカツオブシムシ検出用オリゴヌクレオチドセットBを用いてリアルタイムPCR法によってヒメアカカツオブシムシの検出を行った。配列番号10の塩基配列を上流側プライマー、配列番号11の塩基配列を下流側プライマー、配列番号12の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)それぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。供試試料、DNAの抽出方法、リアルタイムPCRの条件、及び解析方法は、実施例3に記載のとおりである。
結果を図6に示す。図6に示されるように、15サイクルの付近からヒメアカカツオブシムシのミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液及びヒメアカカツオブシムシ以外の貯穀害虫であるコクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ、タバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、コクヌストモドキ、アズキゾウムシ、ノシメマダラメイガ、バクガ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、及びアカマダラカツオブシムシの反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。以上の判定結果から、本実施例によるTaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、ヒメアカカツオブシムシを特異的に検出できた。
(実施例5)コクゾウムシ属検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法)
(1)コクゾウムシ属検出用オリゴヌクレオチドセットA
実施例2で設計したコクゾウムシ属検出用オリゴヌクレオチドセットAを用いてリアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によってコクゾウムシ属の検出を行った。配列番号13の塩基配列を上流側プライマー、配列番号14の塩基配列を下流側プライマー、配列番号15の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)それぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。供試試料、DNAの抽出方法、リアルタイムPCRの条件、及び解析方法は、実施例3に記載のとおりである。
結果を図7に示す。図7に示されるように、15サイクルの付近からコクゾウムシ属のミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液及びコクゾウムシ属以外の貯穀害虫であるタバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、コクヌストモドキ、アズキゾウムシ、ノシメマダラメイガ、バクガ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、アカマダラカツオブシムシ及びヒメアカカツオブシムシの反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。以上の判定結果から、本実施例によるTaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、コクゾウムシ属害虫を特異的に検出できた。
(2)コクゾウムシ属検出用オリゴヌクレオチドセットB
実施例2で設計したコクゾウムシ属検出用オリゴヌクレオチドセットBを用いてリアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によってコクゾウムシ属の検出を行った。配列番号16の塩基配列を上流側プライマー、配列番号17の塩基配列を下流側プライマー、配列番号18の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)それぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。供試試料、DNAの抽出方法、リアルタイムPCRの条件、及び解析方法は、実施例3に記載のとおりである。
結果を図8に示す。図8に示されるように、15サイクルの付近からコクゾウムシ属のミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液及びコクゾウムシ属以外の貯穀害虫であるタバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、コクヌストモドキ、アズキゾウムシ、ノシメマダラメイガ、バクガ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、アカマダラカツオブシムシ及びヒメアカカツオブシムシの反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。以上の判定結果から、本実施例によるTaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、コクゾウムシ属害虫を特異的に検出できた。
(実施例6)カツオブシムシ科検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法)
実施例2で設計したカツオブシムシ科検出用オリゴヌクレオチドセットを用いてリアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によってカツオブシムシ科の検出を行った。配列番号19の塩基配列を上流側プライマー、配列番号20の塩基配列を下流側プライマー、配列番号21の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)それぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。供試試料、DNAの抽出方法、リアルタイムPCRの条件、及び解析方法は、実施例3に記載のとおりである。
結果を図9に示す。図9に示されるように、15サイクルの付近からカツオブシムシ科であるヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、アカマダラカツオブシムシ及びヒメアカカツオブシムシのミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液及びカツオブシムシ科以外の貯穀害虫であるコクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ、タバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、コクヌストモドキ、アズキゾウムシ、ノシメマダラメイガ、バクガの反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。以上の判定結果から、本実施例によるTaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、カツオブシムシ科害虫を特異的に検出できた。
(実施例7)グラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(SYBR Greenを用いたリアルタイムPCR法)
実施例2で設計したグラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドを用いてリアルタイムPCR法(SYBR Green法)によってグラナリアコクゾウムシの検出を行った。配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列を下流側プライマーとして用いた。
各試料より実施例1(2)の方法に従ってミトコンドリアDNAを抽出し、これらを鋳型DNAとして、リアルタイムPCR法(SYBR Green法)によるグラナリアコクゾウムシの検出を次のようにして行った。1ウェルあたりGeneAce SYBRTM qPCR Mix α No ROX(株式会社ニッポンジーン製)5μl、0.25μM各プライマー対(配列番号1および配列番号2)、1 ng トータルDNAを含む反応液(総量10μl)を調製し、それぞれ、CFX96 TouchTMリアルタイム PCR 解析システムで95℃10分保温したのち、95℃30秒→59℃1分を30サイクル繰り返して増幅することにより検出した。
検査陽性/陰性の判定は、TaqManTMプローブを用いた解析と同様に、Th値を1000に固定した際のCt値で判断することにより行った。
結果を図10に示す。図10に示すように、12サイクルの付近からグラナリアコクゾウムシのミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液及びグラナリアコクゾウムシ以外の貯穀害虫であるコクゾウムシ、ココクゾウムシ、タバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、コクヌストモドキ、アズキゾウムシ、ノシメマダラメイガ、バクガ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、アカマダラカツオブシムシ及びヒメアカカツオブシムシの反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量の増加は認められなかった。以上の判定結果から、本実施例によるSYBR Greenを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、グラナリアコクゾウムシを特異的に検出できた。また、融解曲線解析により、得られた増幅産物が非特異的に増幅されたものではないことも同時に確認した(図11)。
(実施例8)グラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(定性PCR法)
実施例2で設計したグラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドを用いて定性PCR法によってグラナリアコクゾウムシの検出を行った。配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号2の塩基配列を下流側プライマーとして用いた。
各試料より実施例1(2)の方法に従ってミトコンドリアDNAを抽出し、これらを鋳型DNAとして、定性PCR法によるグラナリアコクゾウムシの検出を次のようにして行った。即ち、1ウェルあたりTHUNDER Taq Gold DNA Polymerase (Mg2+ free buffer)0.5U、1×PCR BufferII(Mg2+ free)、200μM 各dNTP、1.5mM MgCl2、0.5μM 各プライマー対(配列番号1及び配列番号2)、1 ng トータルDNAを含む反応液(総量10μl)を調製し、それぞれ、S1000TMサーマルサイクラーで95℃10分保温したのち、95℃30秒→59℃1分を45サイクル繰り返して増幅した。
検査陽性/陰性の判定は、各10μlの反応液のうち、8μlの反応液をDNAマーカーであるGene Ladder 100 (0.1-2kbp)(株式会社ニッポンジーン製)と共に、3%アガロースゲルによる電気泳動に供し、エチジウムブロマイドによるゲルの染色を経て、UVトランスイルミネーターによる紫外線の照射下で染色されたDNAバンドの有無を確認することにより行った。
結果を図12に示す。レーン番号17においてグラナリアコクゾウムシのミトコンドリアDNA由来の増幅産物を示す約214bpのバンドが明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液(レーン番号1)及びグラナリアコクゾウムシ以外の貯穀害虫であるタバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ(レーン番号2)、カクムネヒラタムシ(レーン番号3)、ノコギリヒラタムシ(レーン番号4)、コクヌストモドキ(レーン番号5)、アズキゾウムシ(レーン番号6)、コクゾウムシ(レーン番号7〜14)、ココクゾウムシ(レーン番号15〜16)、ノシメマダラメイガ(レーン番号18)、バクガ(レーン番号19)、ヒメマルカツオブシムシ(レーン番号20)、ヒメカツオブシムシ(レーン番号21)、アカマダラカツオブシムシ(レーン番号22)及びヒメアカカツオブシムシ(レーン番号23)の反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来のバンドは認められなかった。MkはGene Ladder 100 DNAマーカーである。以上の判定結果から、本実施例による定性PCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、グラナリアコクゾウムシを特異的に検出できた。
(実施例9)グラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(定性PCR法)
実施例2で設計したグラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドを用いて定性PCR法によってグラナリアコクゾウムシの検出を行った。配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号3の逆鎖配列(5’- GGAGCCTGGATTGGTGTAGAGG-3’)の塩基配列を下流側プライマーとして用いた。
各試料より実施例1(2)の方法に従ってミトコンドリアDNAを抽出し、これらを鋳型DNAとして、定性PCR法によるグラナリアコクゾウムシの検出を次のようにして行った。即ち、1ウェルあたりTHUNDER Taq Gold DNA Polymerase (Mg2+ free buffer)0.5U、1×PCR BufferII(Mg2+ free)、200μM 各 dNTP、1.5mM MgCl2、0.5μM 各プライマー対(配列番号1および配列番号3の逆鎖配列: 5’- GGAGCCTGGATTGGTGTAGAGG -3’)、1 ng トータルDNAを含む反応液(総量10μl)を調製し、それぞれ、 S1000TMサーマルサイクラーで95℃10分保温したのち、95℃30秒→59℃1分を45サイクル繰り返して増幅した。
検査陽性/陰性の判定は、各10μLの反応液のうち、8μlの反応液をDNAマーカーであるGene Ladder 100 (0.1-2kbp)と共に、3%アガロースゲルによる電気泳動に供し、エチジウムブロマイドによるゲルの染色を経て、UVトランスイルミネーターによる紫外線の照射下で染色されたDNAバンドの有無を確認することにより行った。
結果を図13に示す。レーン番号17においてグラナリアコクゾウムシのミトコンドリアDNA由来の増幅産物を示す約121bpのバンドが明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液(レーン番号1)及びグラナリアコクゾウムシ以外の貯穀害虫であるタバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ(レーン番号2)、カクムネヒラタムシ(レーン番号3)、ノコギリヒラタムシ(レーン番号4)、コクヌストモドキ(レーン番号5)、アズキゾウムシ(レーン番号6)、コクゾウムシ(レーン番号7〜14)、ココクゾウムシ(レーン番号15〜16)、ノシメマダラメイガ(レーン番号18)、バクガ(レーン番号19)、ヒメマルカツオブシムシ(レーン番号20)、ヒメカツオブシムシ(レーン番号21)、アカマダラカツオブシムシ(レーン番号22)及びヒメアカカツオブシムシ(レーン番号23)の反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来のバンドは認められなかった。MkはGene Ladder 100 DNAマーカーである。以上の判定結果から、本実施例による定性PCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、グラナリアコクゾウムシを特異的に検出できた。
(実施例10)グラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(定性PCR法)
実施例2で設計したグラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドを用いて定性PCR法によってグラナリアコクゾウムシの検出を行った。配列番号1の塩基配列を上流側プライマー、配列番号3の逆鎖配列の一部(5’- GCCTGGATTGGTGTAGAGG -3’)の塩基配列を下流側プライマーとして用いた。
各試料より実施例1(2)の方法に従ってミトコンドリアDNAを抽出し、これらを鋳型DNAとして、定性PCR法によるグラナリアコクゾウムシの検出を次のようにして行った。即ち、1ウェルあたりTHUNDER Taq Gold DNA Polymerase (Mg2+ free buffer) 0.5U、1×PCR BufferII(Mg2+ free)、200μM 各 dNTP、1.5mM MgCl2、0.5μM 各プライマー対(配列番号1および3の逆鎖配列の一部: 5’- GCCTGGATTGGTGTAGAGG -3’)、1 ng トータルDNAを含む反応液(総量10μl)を調製し、それぞれ、 S1000TMサーマルサイクラーで95℃10分保温したのち、95℃30秒→59℃1分を45サイクル繰り返して増幅した。
検査陽性/陰性の判定は、各10μlの反応液のうち、8μlの反応液をDNAマーカーであるGene Ladder 100 (0.1-2kbp)と共に、3%アガロースゲルによる電気泳動に供し、エチジウムブロマイドによるゲルの染色を経て、UVトランスイルミネーターによる紫外線の照射下で染色されたDNAバンドの有無を確認することにより行った。
結果を図14に示す。レーン番号17においてグラナリアコクゾウムシのミトコンドリアDNA由来の増幅産物を示す約118bpのバンドが明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液(レーン番号1)及びグラナリアコクゾウムシ以外の貯穀害虫であるタバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ(レーン番号2)、カクムネヒラタムシ(レーン番号3)、ノコギリヒラタムシ(レーン番号4)、コクヌストモドキ(レーン番号5)、アズキゾウムシ(レーン番号6)、コクゾウムシ(レーン番号7〜14)、ココクゾウムシ(レーン番号15〜16)、ノシメマダラメイガ(レーン番号18)、バクガ(レーン番号19)、ヒメマルカツオブシムシ(レーン番号20)、ヒメカツオブシムシ(レーン番号21)、アカマダラカツオブシムシ(レーン番号22)及びヒメアカカツオブシムシ(レーン番号23)の反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来のバンドは認められなかった。MkはGene Ladder 100 DNAマーカーである。以上の判定結果から、本実施例による定性PCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、グラナリアコクゾウムシを特異的に検出できた。
(実施例11)食品害虫検出用オリゴヌクレオチド(プライマー・プローブ)の設計
(1)コクヌストモドキ用オリゴヌクレオチドの設計
コクヌストモドキは、ゴミムシダマシ科の昆虫で、小麦粉などの穀類、ビスケットやチョコレートなどの菓子類に混入する害虫として知られており、ヒラタコクヌストモドキとは形態が酷似している。そこで、コクヌストモドキに特有の下記のDNA配列を2組設計し、コクヌストモドキ検出用オリゴヌクレオチドとした。
[コクヌストモドキ検出用オリゴヌクレオチドセットA]
配列番号22:5'-CCTTTGATCCCTCAACAAACTG-3'
配列番号23:5'-GGGGCCAAGAAGAGTTAAGAATTC-3'
配列番号24:5'-CCCCCTTCATTTTGATTAACACCATCTCG-3'
[コクヌストモドキ検出用オリゴヌクレオチドセットB]
配列番号25:5'-CTGGCTCTACACTAAACCCA-3'
配列番号26:5'-CGTGAGGAGGTGAATCCT-3'
配列番号27:5'-CTCTGACTACCCAGATGCGTATACCC-3'
(2)ノコギリヒラタムシ検出用オリゴヌクレオチドの設計
ノコギリヒラタムシは、ホソヒラタムシ科の昆虫で、糠や小麦粉のような穀粉や細砕された穀類を食害する害虫で、チョコレートなどの菓子類への混入事例も多い。そこで、ノコギリヒラタムシに特有の下記のDNA配列を2組設計し、ノコギリヒラタムシ検出用オリゴヌクレオチドとした。
[ノコギリヒラタムシ検出用オリゴヌクレオチドセットA]
配列番号28:5'-CACTTCCGCCTACTTGATG-3'
配列番号29:5'-GACGTCCAGGAGTTGCATC-3'
配列番号30:5'-CACTCATGAACAATTCCCTCTCTAGGAG-3'
[ノコギリヒラタムシ検出用オリゴヌクレオチドセットB]
配列番号31:5'-GGAACACTTGCAATCCGT-3'
配列番号32:5'-GGAGACAGCAGATTCAAGAG-3'
配列番号33:5'-CACAGGACCAATCCTGTCCTTACCC-3'
(3)タバコシバンムシ検出用オリゴヌクレオチドの設計
タバコシバンムシは、シバンムシ科の昆虫で、小麦粉や米粉などの穀粉や乾燥麺類、ビスケット、菓子類などの加工食品、唐辛子や胡椒などの香辛料、乾燥果実や干し芋、乾物などを食害する害虫である。そこで、タバコシバンムシに特有の下記のDNA配列を2組設計し、タバコシバンムシ検出用オリゴヌクレオチドとした。
[タバコシバンムシ検出用オリゴヌクレオチドセットA]
配列番号34:5'-GATTAATGGTTACAGCTACTGATG-3'
配列番号35:5'-CACTGACCATATAATAAACCAGGG-3'
配列番号36:5'-CATTCATGGGCTCTTTCATCATTAGGTG-3'
[タバコシバンムシ検出用オリゴヌクレオチドセットB]
配列番号37:5'-CATGAATGGAATCAGGGTAG-3'
配列番号38:5'-CCTAATTGGGATAGTATCCAATTC-3'
配列番号39:5'-CGACCTAACCATCAGGTTTTTACCCATA-3'
(4)バクガ及びメイガ科(全般)検出用オリゴヌクレオチドの設計
バクガは、キバガ科の昆虫で、小麦、大麦、米、トウモロコシなどの穀物を食害する害虫である。ノシメマダラメイガ、ガイマイツヅリガ、スジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、チャマダラメイガ、イッテンコクガはメイガ科の昆虫で、米、小麦、トウモコシなどの穀類、小麦粉などの穀粉、ビーナッツやアーモンドなどのナッツ類、乾燥果実、菓子類などを食害する。バクガは蛾類であるが、メイガ科には属さない。そこで、バクガ及びメイガ科害虫に特有の下記のDNA配列を設計し、バクガ検出用オリゴヌクレオチドとした。
[バクガ及びメイガ科(全般)検出用オリゴヌクレオチドセット]
配列番号40:5'-CCAGTACCTCTACTTTGTTACGAC-3'
配列番号41:5'-CGGTATTTTAGTTCATTTGAGG-3'
配列番号42:5'-GTACATATTGCCCGTCGCTTTCAT-3'
(5)ノシメマダラメイガ検出用オリゴヌクレオチドの設計
メイガ科害虫のなかでも、ノシメマダラメイガは、日本でも全国的に分布し、年間で最も報告が多い害虫である。ノシメマダラメイガは、穿孔能力があり、包装容器や包装袋を食い破って侵入する可能性があるため、混入のトラブルが多く、侵入経路の特定が困難で厄介な害虫である。そこで、ノシメマダラメイガを特異的に検出するため、ノシメマダラメイガに特有の下記のDNA配列を設計し、ノシメマダラメイガ検出用オリゴヌクレオチドとした。
[ノシメマダラメイガ検出用オリゴヌクレオチドセット]
配列番号43:5'-GGAGCTATTGGTCTAATAACTTTAGTTACT-3'
配列番号44:5'-GTAGCCCCAATTTCAATATTG-3'
配列番号45:5'-GATGTTTGCCGAGAGGGAACTCTTC-3'
(実施例12)コクヌストモドキ検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法)
本実施例では、供試試料として、タバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、コクヌストモドキ、ガイマイゴミムシダマシ、ヒメゴミムシダマシ、チャイロコメノゴミムシダマシ、ヒラタコクヌストモドキ、カシミールコクスヌトモドキ、オオツノコクヌストモドキ、ヒメコクヌストモドキ、アズキゾウムシ、コクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ、ノシメマダラメイガ、バクガ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメアカカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、及びアカマダラカツオブシムシの計22系統の貯穀害虫を用いた。
(1)コクヌストモドキ検出用オリゴヌクレオチドセットA
実施例11で設計したコクヌストモドキ検出用オリゴヌクレオチドセットAを用いてリアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によってコクヌストモドキの検出を行った。配列番号22の塩基配列を上流側プライマー、配列番号23の塩基配列を下流側プライマー、配列番号24の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)それぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。DNAの抽出方法、リアルタイムPCRの条件、及び解析方法は、実施例3に記載のとおりである。
結果を図15に示す。図15に示されるように、15サイクルの付近からコクヌストモドキのミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液及びコクヌストモドキ以外の貯穀害虫の反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。以上の判定結果から、本実施例によるTaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、コクヌストモドキを特異的に検出できた。
(2)コクヌストモドキ検出用オリゴヌクレオチドセットB
実施例11で設計したコクヌストモドキ検出用オリゴヌクレオチドセットBを用いてリアルタイムPCR法によってコクヌストモドキの検出を行った。配列番号25の塩基配列を上流側プライマー、配列番号26の塩基配列を下流側プライマー、配列番号27の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)それぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。DNAの抽出方法、リアルタイムPCRの条件、及び解析方法は、実施例3に記載のとおりである。
結果を図16に示す。図16に示されるように、15サイクルの付近からコクヌストモドキのミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液及びコクヌストモドキ以外の貯穀害虫の反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。以上の判定結果から、本実施例によるTaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、コクヌストモドキを特異的に検出できた。
(実施例13)ノコギリヒラタムシ検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法)
本実施例では、供試試料として、タバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、コクヌストモドキ、ガイマイゴミムシダマシ、ヒメゴミムシダマシ、チャイロコメノゴミムシダマシ、ヒラタコクヌストモドキ、カシミールコクスヌトモドキ、オオツノコクヌストモドキ、ヒメコクヌストモドキ、アズキゾウムシ、コクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ、ノシメマダラメイガ、バクガ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメアカカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、及びアカマダラカツオブシムシの計22系統の貯穀害虫を用いた。
(1)ノコギリヒラタムシ検出用オリゴヌクレオチドセットA
実施例11で設計したノコギリヒラタムシ検出用オリゴヌクレオチドセットAを用いてリアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によってノコギリヒラタムシの検出を行った。配列番号28の塩基配列を上流側プライマー、配列番号29の塩基配列を下流側プライマー、配列番号30の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)それぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。DNAの抽出方法、リアルタイムPCRの条件、及び解析方法は、実施例3に記載のとおりである。
結果を図17に示す。図17に示されるように、15サイクルの付近からノコギリヒラタムシのミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液及びノコギリヒラタムシ以外の貯穀害虫の反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。以上の判定結果から、本実施例によるTaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、ノコギリヒラタムシを特異的に検出できた。
(2)ノコギリヒラタムシ検出用オリゴヌクレオチドセットB
実施例11で設計したノコギリヒラタムシ検出用オリゴヌクレオチドセットBを用いてリアルタイムPCR法によってノコギリヒラタムシの検出を行った。配列番号31の塩基配列を上流側プライマー、配列番号32の塩基配列を下流側プライマー、配列番号33の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)それぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。DNAの抽出方法、リアルタイムPCRの条件、及び解析方法は、実施例3に記載のとおりである。
結果を図18に示す。図18に示されるように、15サイクルの付近からノコギリヒラタムシのミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液及びノコギリヒラタムシ以外の貯穀害虫の反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。以上の判定結果から、本実施例によるTaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、ノコギリヒラタムシを特異的に検出できた。
(実施例14)タバコシバンムシ検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法)
本実施例では、供試試料として、タバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、コクヌストモドキ、ガイマイゴミムシダマシ、ヒメゴミムシダマシ、チャイロコメノゴミムシダマシ、ヒラタコクヌストモドキ、カシミールコクスヌトモドキ、オオツノコクヌストモドキ、ヒメコクヌストモドキ、アズキゾウムシ、コクゾウムシ、ココクゾウムシ、グラナリアコクゾウムシ、ノシメマダラメイガ、バクガ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメアカカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、及びアカマダラカツオブシムシの計22系統の貯穀害虫を用いた。
(1)タバコシバンムシ検出用オリゴヌクレオチドセットA
実施例11で設計したタバコシバンムシ検出用オリゴヌクレオチドセットAを用いてリアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によってタバコシバンムシの検出を行った。配列番号34の塩基配列を上流側プライマー、配列番号35の塩基配列を下流側プライマー、配列番号36の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)それぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。DNAの抽出方法、リアルタイムPCRの条件、及び解析方法は、実施例3に記載のとおりである。
結果を図19に示す。図19に示されるように、15サイクルの付近からタバコシバンムシのミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液及びタバコシバンムシ以外の貯穀害虫の反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。以上の判定結果から、本実施例によるTaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、タバコシバンムシを特異的に検出できた。
(2)タバコシバンムシ検出用オリゴヌクレオチドセットB
実施例11で設計したタバコシバンムシ検出用オリゴヌクレオチドセットBを用いてリアルタイムPCR法によってタバコシバンムシの検出を行った。配列番号37の塩基配列を上流側プライマー、配列番号38の塩基配列を下流側プライマー、配列番号39の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)それぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。DNAの抽出方法、リアルタイムPCRの条件、及び解析方法は、実施例3に記載のとおりである。
結果を図20に示す。図20に示されるように、15サイクルの付近からタバコシバンムシのミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液及びタバコシバンムシ以外の貯穀害虫の反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。以上の判定結果から、本実施例によるTaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、タバコシバンムシを特異的に検出できた。
(実施例15)バクガ及びメイガ科検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法)
本実施例では、供試試料として、タバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、コクヌストモドキ、アズキゾウムシ、コクゾウムシ、ノシメマダラメイガ、ガイマイツヅリガ、スジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、チャマダラメイガ、イッテンコクガ、バクガ、ヒメマルカツオブシムシの計15系統の貯穀害虫を用いた。
(1)バクガ及びメイガ科検出用オリゴヌクレオチドセット
実施例11で設計したバクガ及びメイガ科検出用オリゴヌクレオチドセットAを用いてリアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によってバクガ及びメイガ科の検出を行った。配列番号40の塩基配列を上流側プライマー、配列番号41の塩基配列を下流側プライマー、配列番号42の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)それぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。DNAの抽出方法、リアルタイムPCRの条件(ただし、サイクル数は45に変更)、及び解析方法は、実施例3に記載のとおりである。
結果を図21に示す。図21に示されるように、24サイクルの付近からバクガ及びメイガ科のミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液及びバクガ及びメイガ科に属する害虫(ノシメマダラメイガ、ガイマイツヅリガ、スジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、チャマダラメイガ、イッテンコクガ)以外の貯穀害虫の反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。以上の判定結果から、本実施例によるTaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、バクガ及びメイガ科害虫を特異的に検出できた。
(実施例16)ノシメマダラメイガ検出用オリゴヌクレオチドの性能確認(TaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法)
本実施例では、供試試料として、タバコシバンムシ、コナナガシンクイムシ、カクムネヒラタムシ、ノコギリヒラタムシ、コクヌストモドキ、アズキゾウムシ、コクゾウムシ、ノシメマダラメイガ、ガイマイツヅリガ、スジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、チャマダラメイガ、イッテンコクガ、バクガ、ヒメマルカツオブシムシの計15系統の貯穀害虫を用いた。
(1)ノシメマダラメイガ検出用オリゴヌクレオチドセット
実施例11で設計したノシメマダラメイガ検出用オリゴヌクレオチドセットAを用いてリアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)によってノシメマダラメイガの検出を行った。配列番号43の塩基配列を上流側プライマー、配列番号44の塩基配列を下流側プライマー、配列番号45の塩基配列の5’側をレポーター色素(FAM)、3’側をクエンチャー(TAMRA)それぞれ標識した塩基配列をTaqManTMプローブとして用いた。DNAの抽出方法、リアルタイムPCRの条件、及び解析方法は、実施例3に記載のとおりである。
結果を図22に示す。図22に示されるように、16サイクルの付近からノシメマダラメイガのミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光量が明瞭に検出された。他方、本実験に供試した鋳型DNAを含まない反応液及びノシメマダラメイガ以外の貯穀害虫の反応液についてはミトコンドリアDNAの増幅産物由来の蛍光は認められなかった。以上の判定結果から、本実施例によるTaqManTMプローブを用いたリアルタイムPCR法においては、多数の貯穀害虫のうち、ノシメマダラメイガを特異的に検出できた。
本発明は、食品製造および食品加工分野において、コクゾウムシなどの食品害虫の有無の確認に利用できる。

Claims (11)

  1. 記の(A)または(B)のグラナリアコクゾウムシ検出用オリゴヌクレオチドセット。
    (A)下記の配列番号1に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号2に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとのプライマー対と、配列番号3に示す塩基配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドプローブを含む、オリゴヌクレオチドセット;
    配列番号1:5'-GAGTAGAAAGAAAAGGAAGATTCC-3'
    配列番号2:5'-GGGGGAACTTTAGGATGG-3'
    配列番号3:5'-CCTCTACACCAATCCAGGCTCC-3'
    (B)下記の配列番号4に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号5に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとのプライマー対と、配列番号6に示す塩基配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドプローブを含む、オリゴヌクレオチドセット;
    配列番号4:5'-GCTCATTTAGCACCTCAAGG-3'
    配列番号5:5'-GAGGGTAATCAGTAGATGACCG-3'
    配列番号6:5'-CATTATCCGGCCAGGAACTTTAGC-3'
  2. 記の(C)または(D)のヒメアカカツオブシムシ検出用オリゴヌクレオチドセット。
    (C)下記の配列番号7に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号8に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとのプライマー対と、配列番号9に示す塩基配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドプローブを含む、オリゴヌクレオチドセット;
    配列番号7:5'-CGAAACAATAAAACAAAACCAATCA-3'
    配列番号8:5'-GGAGGGGTATCCCTAAGGC-3'
    配列番号9:5'-CGTACTCTCAGGACTATCAATCACCC-3'
    (D)下記の配列番号10に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号11に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとのプライマー対と、配列番号12に示す塩基配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドプローブを含む、オリゴヌクレオチドセット;
    配列番号10:5'-CAGCCTTATATGACTTCTCATACC-3'
    配列番号11:5'-GATTTCATGTTGGGAATGATG-3'
    配列番号12:5'-GCAAATGGTGGCGAGTGTTGTC-3'
  3. 記の(E)または(F)のオサゾウムシ科コクゾウムシ属に属する食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット。
    (E)下記の配列番号13に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号14に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとのプライマー対と、配列番号15に示す塩基配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドプローブを含む、オリゴヌクレオチドセット;
    配列番号13:5'-GGTCCTTTCGTACTAAGATATT-3'
    配列番号14:5'-AAAAAAATTAGGTCTGTTCGACC-3'
    配列番号15:5'-CCAACCTGGCTCACGCCG-3'
    (F)下記の配列番号16に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号17に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとのプライマー対と、配列番号18に示す塩基配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドプローブを含む、オリゴヌクレオチドセット;
    配列番号16:5'-CAACCTTTCATTCCAGCTTTC-3'
    配列番号17:5'-GTCTAGCCTGCCCAATGA-3'
    配列番号18:5'-CGGTCAATATACCGCAGCCATTT-3'
  4. 下記の配列番号19に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号20に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとのプライマー対と、配列番号21に示す塩基配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドプローブを含む、カツオブシムシ科に属する食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット。
    配列番号19:5'-GCATCACCAAAAGGCTGCAAAATACCT-3'
    配列番号20:5'-GCGACCTCGATGTTGGATTAA-3'
    配列番号21:5'-CTCACGCCGGTCTAAACTCAGATCATG-3'
  5. 記の(G)または(H)のコクヌストモドキ検出用オリゴヌクレオチドセット。
    (G)下記の配列番号22に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号23に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとのプライマー対と、配列番号24に示す塩基配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドプローブを含む、オリゴヌクレオチドセット;
    配列番号22:5'-CCTTTGATCCCTCAACAAACTG-3'
    配列番号23:5'-GGGGCCAAGAAGAGTTAAGAATTC-3'
    配列番号24:5'-CCCCCTTCATTTTGATTAACACCATCTCG-3'
    (H)下記の配列番号25に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号26に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとのプライマー対と、配列番号27に示す塩基配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドプローブを含む、オリゴヌクレオチドセット;
    配列番号25:5'-CTGGCTCTACACTAAACCCA-3'
    配列番号26:5'-CGTGAGGAGGTGAATCCT-3'
    配列番号27:5'-CTCTGACTACCCAGATGCGTATACCC-3'
  6. 記の(I)または(J)のノコギリヒラタムシ検出用オリゴヌクレオチドセット。
    (I)下記の配列番号28に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号29に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとのプライマー対と、配列番号30に示す塩基配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドプローブを含む、オリゴヌクレオチドセット;
    配列番号28:5'-CACTTCCGCCTACTTGATG-3'
    配列番号29:5'-GACGTCCAGGAGTTGCATC-3'
    配列番号30:5'-CACTCATGAACAATTCCCTCTCTAGGAG-3'
    (J)下記の配列番号31に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号32に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとのプライマー対と、配列番号33に示す塩基配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドプローブを含む、オリゴヌクレオチドセット;
    配列番号31:5'-GGAACACTTGCAATCCGT-3'
    配列番号32:5'-GGAGACAGCAGATTCAAGAG-3'
    配列番号33:5'-CACAGGACCAATCCTGTCCTTACCC-3'
  7. 記の(K)または(L)のタバコシバンムシ検出用オリゴヌクレオチドセット。
    (K)下記の配列番号34に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号35に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとのプライマー対と、配列番号36に示す塩基配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドプローブを含む、オリゴヌクレオチドセット;
    配列番号34:5'-GATTAATGGTTACAGCTACTGATG-3'
    配列番号35:5'-CACTGACCATATAATAAACCAGGG-3'
    配列番号36:5'-CATTCATGGGCTCTTTCATCATTAGGTG-3'
    (L)下記の配列番号37に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号38に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとのプライマー対と、配列番号39に示す塩基配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドプローブを含む、オリゴヌクレオチドセット;
    配列番号37:5'-CATGAATGGAATCAGGGTAG-3'
    配列番号38:5'-CCTAATTGGGATAGTATCCAATTC-3'
    配列番号39:5'-CGACCTAACCATCAGGTTTTTACCCATA-3'
  8. 下記の配列番号40に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号41に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとのプライマー対と、配列番号42に示す塩基配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドプローブを含む、バクガ及びメイガ科に属する食品害虫検出用オリゴヌクレオチドセット。
    配列番号40:5'-CCAGTACCTCTACTTTGTTACGAC-3'
    配列番号41:5'-CGGTATTTTAGTTCATTTGAGG-3'
    配列番号42:5'-GTACATATTGCCCGTCGCTTTCAT-3'
  9. 下記の配列番号43に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号44に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとのプライマー対と、配列番号45に示す塩基配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドプローブを含む、ノシメマダラメイガ検出用オリゴヌクレオチドセット。
    配列番号43:5'-GGAGCTATTGGTCTAATAACTTTAGTTACT-3'
    配列番号44:5'-GTAGCCCCAATTTCAATATTG-3'
    配列番号45:5'-GATGTTTGCCGAGAGGGAACTCTTC-3'
  10. 請求項1〜のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドセットを含む、食品害虫検出用キット。
  11. 被検試料より抽出したDNAを鋳型とし、請求項1〜のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドセットを用いてPCR増幅を行い、得られた増幅産物を検出する工程を含む、食品害虫の検出方法。
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