JP2020102635A - カーボンペーストおよびそれを用いた固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子 - Google Patents

カーボンペーストおよびそれを用いた固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子 Download PDF

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修 横倉
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賢 中野
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Yuji Kishida
勇二 岸田
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Abstract

【課題】乾燥時の収縮応力を軽減し、LC特性の良好な固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子を得ることができるカーボンペーストを提供することである。【解決手段】固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子10の電極形成に使用されるカーボンペーストであって、少なくともカーボンフィラーと、フェノキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含み、熱硬化性樹脂中に含まれるフェノキシ比率が、20≦Wt%≦70の範囲にあり、カーボン含有率が、30≦Wt%≦70の範囲にあることを特徴とする、カーボンペーストである。【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンペーストおよびそれを用いた固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子に関し、特に、固体電解質層を有するコンデンサ素体に電極層を形成するためのカーボンペーストと、それを用いた固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子に関する。
本発明の背景となる従来の固体電解コンデンサ素子には、陽極体表面に、少なくとも誘電体層と、固体電解質層と、第1の樹脂成分を含むカーボン層と、第2の樹脂成分を含む導電体層とを備え、第1の樹脂成分及び前記第2の樹脂成分が共に水酸基を有し、カーボン層表面の水素結合性成分値γh1〔mN/m〕と導電体層表面の水素結合性成分値γh2〔mN/m〕との差Δγh(=γh2−γh1)が、−3≦Δγh≦3〔mN/m〕の範囲内にある、固体電解コンデンサ素子がある。
この従来の固体電解コンデンサ素子では、第1樹脂成分の樹脂組成および第2の樹脂成分の樹脂組成を、第1の樹脂成分および第2の樹脂成分間の表面自由エネルギー水素結合性成分値差で限定している。そして、第1の樹脂成分および第2の樹脂成分間の表面自由エネルギー水素結合性成分値差が限定された範囲内(−3≦Δγh≦3〔mN/m〕)にある場合、熱衝撃に対する接触抵抗変化率の抑制が確認されている。
すなわち、この従来の固体電解コンデンサ素子では、互いに接するカーボン層と導電体層が備える物性の中で、両層の固体表面における水素結合性成分値γhの差を上記した範囲内に制御/調整することにより、接触抵抗値の劣化やばらつき、ひいては等価直列抵抗(ESR)の劣化やばらつきを改善することができる。それにより、このような固体電解コンデンサ素子では、ESRの初期特性が良好なだけでなく、熱衝撃による等価直列抵抗(ESR)劣化が小さく、等価直列抵抗(ESR)変化のばらつきも抑制された固体電解コンデンサ素子を得ることができる。(例えば、特許文献1参照。)。
国際公開第2013/111438号
このような固体電解コンデンサ素子には、化学重合で形成した固体電解質層を有するものがある。化学重合は、たとえば酸化皮膜層を有するアルミニウム箔をモノマー溶液に浸漬し、次いで酸化剤溶液に浸漬するという操作を複数回繰り返して、モノマーを重合させることにより行われる。このようにして得られた固体電解質層は、多層構造を有しており、応力によって層間剥離が発生しやすい構造となっている。
このような固体電解質層の上に電極層を形成する際には、特許文献1の固体電解コンデンサ素子に形成されるカーボン層を作製するために、カーボンペーストを固体電解質層の上に塗布後、乾燥及び/又は硬化することによりカーボン層が得られる。
この場合、カーボン層は、第1の樹脂成分を含み、第1の樹脂成分は、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂およびウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を含み得る。そのため、カーボン層の乾燥時の第1の樹脂成分の収縮応力によって、弁作用金属焼結体表面の酸化被膜(誘電体層)に負荷が掛かり、当該酸化被膜(誘電体層)が破壊される虞がある。そのため、酸化被膜(誘電体層)の破壊によるLC(漏れ電流)不良が発生する虞がある。
このことは、第1の樹脂成分を含むカーボン層と、第2の樹脂成分を含む導電体層との化学組成に基づく親和性が接触抵抗の劣化度合い与える影響を対象にしていることに起因する。すなわち、第1の樹脂成分および第2の樹脂成分を表面自由エネルギー水素結合性成分値差で限定しているため、樹脂の力学特性を制御する上で不十分な情報しか与えていない。したがって、固体電解コンデンサ素子を作成したとしても、LC(漏れ電流)特性を悪化させる点で不十分となる可能性が高い。
それゆえに、本発明の主たる目的は、乾燥時の収縮応力を軽減し、LC特性の良好な固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子を得ることができるカーボンペーストを提供することである。
また、本発明の他の目的は、本発明のカーボンペーストを用いることにより、乾燥時の収縮応力を軽減し、LC特性の良好な固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子を提供することである。
請求項1に係る本発明は、固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子の電極形成に使用されるカーボンペーストであって、少なくともカーボンフィラーと、フェノキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含み、熱硬化性樹脂中に含まれるフェノキシ比率が、20≦Wt%≦70の範囲にあり、カーボン含有率が、30≦Wt%≦70の範囲にあることを特徴とする、カーボンペーストである。
請求項2に係る本発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、フェノキシ比率が、25≦Wt%≦70の範囲にあることを特徴とする、カーボンペーストである。
請求項3に係る本発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、フェノキシ樹脂の分子量が、30000≦Mw≦100000の範囲にあることを特徴とする、カーボンペーストである。
請求項4に係る本発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に係る発明に従属する発明であって、熱硬化性樹脂が、フェノキシ樹脂に加えて、エポキシ樹脂を含むことを特徴とする、カーボンペーストである。
請求項5に係る本発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に係る発明に従属する発明であって、硬化剤は、フェノール樹脂を含むことを特徴とする、カーボンペーストである。
請求項6に係る本発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のカーボンペーストを用いて形成されたカーボン層を含むことを特徴とする、固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子である。
本発明によれば、乾燥時の収縮応力を軽減し、LC特性の良好な固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子を形成することが可能なカーボンペーストを得ることができる。
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
本発明の固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子の一例を示す図解図である。
図1は、本発明の固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子の一例を示す図解図である。コンデンサ素子10は、弁作用金属基体12を含む。弁作用金属基体12としては、たとえばアルミニウム化成箔が用いられる。アルミニウム化成箔は、アルミニウム箔の周囲に、誘電体酸化皮膜が形成されたものであり、これが陽極素子として用いられる。ここで、誘電体酸化皮膜は、アルミニウム箔の表面をアジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬させて電圧を印加することで形成することができる。
弁作用金属基体12の一端から所定の間隔を隔てた位置には、絶縁層14が形成される。絶縁層14は、陽極と陰極の短絡を防止するために形成される。絶縁層14は、弁作用金属基体12を一周するように、帯状に形成される。絶縁層14で分割されて隔てられた弁作用金属基体12のうちの大きい面積を有する部分に、たとえば化学重合によって、固体電解質層16が形成される。固体電解質層16は、アルミニウム化成箔の誘電体酸化皮膜の形成面をポリマー溶液に浸漬し、次いで酸化剤溶液に浸漬するという工程を複数回繰り返すことにより形成される。このような化学重合によって固体電解質層16を形成することにより、固体電解質層16は多層構造となる。固体電解質層16を形成するために、たとえばポリチオフェン骨格からなる導電性高分子を用いることができる。
固体電解質層16上には、カーボン層18が形成される。カーボン層18は、固体電解質層16面をカーボンペーストに浸漬し、乾燥することにより形成される。また、カーボン層18は、固体電解質層16上にカーボンペーストを塗布し、乾燥することにより形成されてもよい。
カーボン層18を形成するためのカーボンペーストとしては、導電性フィラー、ベース樹脂としてのフェノキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂、硬化剤、希釈剤、硬化促進剤などから構成されるカーボンペーストが用いられる。導電性フィラーとしては、たとえばカーボンブラックとグラファイトとの混合物で形成されるカーボン粉末で形成されたカーボンフィラーが用いられる。
また、熱硬化性樹脂としては、たとえばクレゾールノボラック型エポキシ樹脂とフェノキシ樹脂とが用いられる。この他に、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂などを用いることができる。フェノキシ樹脂は、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルであって、重量平均分子量(Mw)が、30000≦MW≦100000の範囲にあるものが用いられる。
エポキシ樹脂およびフェノキシ樹脂の硬化剤としては、たとえばフェノール樹脂(熱硬化性樹脂)が用いられる。また、硬化促進剤としては、たとえば3級アミン系硬化促進剤、イミダゾールおよびイミダゾール系硬化促進剤が用いられ得る。また、希釈剤としては、たとえばジプロピレンメチルエーテルアセテート(DPMA)などが用いられる。この他、カルビトール系などの有機溶剤も用いることができる。
上記したカーボン層18を形成するためのカーボンペーストとしては、上記した熱硬化性樹脂中に含まれるフェノキシ樹脂の比率、すなわち、ベース樹脂としてのエポキシ樹脂と、フェノキシ樹脂と、硬化剤としてのフェノール樹脂とを合計した熱硬化性樹脂中に含まれるフェノキシ樹脂の比率を、フェノキシ比率(Wt%)としたとき、当該フェノキシ比率(Wt%)は、20≦Wt%≦70の範囲となるように形成されている。また、フェノキシ比率(Wt%)は、25≦Wt%≦70の範囲となるように形成されていることがより好ましい。
さらに、上記したカーボンフィラーとしてのカーボン粉と、エポキシ樹脂を含むベース樹脂と、フェノキシ樹脂と、硬化剤としてのフェノール樹脂とを合計したものの中に含まれるカーボン粉の比率を、カーボン含有率(Wt%)としたとき、当該カーボン含有率(Wt%)は、30≦Wt%≦70の範囲となるように形成されている。
カーボン層18上には、陰極層となる電極層20が形成される。電極層20は、カーボン層18面を、導電性ペーストに浸漬し、乾燥することによって形成される。また、電極層20は、カーボン層18上に導電性ペーストに塗布し、乾燥することによって形成されてもよい。
電極層20を形成するための導電性ペーストとしては、導電性フィラー、フェノキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂、硬化剤、希釈剤、硬化促進剤などから構成されるペーストが用いられる。導電性フィラーとしては、フレーク状、球状、不定形状などの銀粉末が用いられる。
また、熱硬化性樹脂として、たとえばクレゾールノボラック型エポキシ樹脂とフェノキシ樹脂とが用いられる。この他に、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂などを用いることができる。フェノキシ樹脂は、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルであって、重量平均分子量(Mw)が15000以上のものである。
エポキシ樹脂およびフェノキシ樹脂の硬化剤として、たとえばフェノール樹脂が用いられる。また、希釈剤として、たとえばジプロピレンメチルエーテルアセテートなどが用いられる。この他、カルビトール系などの有機溶剤も用いることができる。また、硬化促進剤として、たとえば3級アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤が用いられる。
このような導電性ペーストを用いて、カーボン層18上に電極層20が形成される。ここで、絶縁層14が形成されていることにより、弁作用金属基体12と電極層20との間の短絡が防止される。
このようにして得られたコンデンサ素子10の弁作用金属基体12の露出部と外部接続端子とを抵抗溶接し、陰極層となる電極層20と別の外部接続端子とを導電性接着剤で接合し、これらの外部接続端子の一部が露出するように外装樹脂で封止することにより、固体電解コンデンサを得ることができる。
上記したカーボンペーストを用いて形成されたカーボン層18では、ベース樹脂としてのエポキシ樹脂と、フェノキシ樹脂と、硬化剤としてのフェノール樹脂との混合比が以下のように設定され、制御されている。すなわち、上記したフェノキシ比率(Wt%)を、20≦Wt%≦70の範囲となるように設定し、且つ、上記したカーボン含有率(Wt%)を、30≦Wt%≦70の範囲となるように設定されている。そのため、乾燥時のベース樹脂(エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂)の硬化による収縮を、フェノキシ樹脂による応力緩和作用によって低減し、弁作用金属基体12の誘電体酸化皮膜およびカーボンペースト間の収縮応力を緩和させることができる。
それによって、当該収縮応力による誘電体酸化皮膜の破壊を防止することができるため、コンデンサ素子10において、良好なLC特性を発揮することができる。
また、フェノキシ比率(Wt%)を、25≦Wt%≦70の範囲となるように設定することが好ましく、フェノキシ樹脂の分子量を、30000≦MW≦100000の範囲に設定することが好ましい。この場合、コンデンサ素子10において、より一層、良好なLC特性を発揮することができる。
また、フェノール樹脂は、耐熱性が優れ、素子を積層するときの加熱などによっても変質しにくいものであるため、素子の信頼性の向上に寄与するものとなっている。
コンデンサ素子における弁作用金属基体として、たとえば短軸方向3mm、長軸方向10mm、厚さ100μmのアルミニウム化成箔を使用した。このアルミニウム化成箔を得るために、アルミニウム箔を覆うように誘電体酸化皮膜を形成し、得られたアルミニウム化成箔を陽極素子とした。誘電体酸化皮膜は、アルミニウム箔の表面を、アジピン酸アンモニウム水溶液を使用して化成することで形成した。
次に、陽極と陰極の短絡を防止するために、アルミニウム化成膜の長軸方向の一端から所定の間隔を隔てた位置において、アルミニウム化成箔を一周するように帯状に絶縁層を形成した。そののち、絶縁層で分割されたアルミニウム化成箔のうちの面積の大きい部分に、固体電解質層を形成した。このとき、アルミニウム化成箔の誘電体酸化皮膜形成面をモノマー溶液に浸漬し、次いで酸化剤溶液に浸漬するという工程を複数回繰り返すことにより、固体電解質層を形成した。固体電解質層を得るために、ポリチオフェン骨格を有する導電性高分子を用いた。
次に、固体電解質層の上にカーボンペーストを塗布、乾燥して、カーボン層を形成した。カーボンペーストとしては、導電性フィラー、ベース樹脂としてのフェノキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂、硬化剤、希釈剤、硬化促進剤などから構成されるカーボンペーストを使用した。すなわち、導電性フィラーとしては、たとえばカーボンブラックとグラファイトとの混合物で形成されるカーボン粉末で形成されるカーボンフィラーを使用した。また、ベース樹脂としては、たとえば重量平均分子量(Mw)が2000のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂と、硬化剤としてのフェノール樹脂とを使用した。また、熱硬化性樹脂としては、フェノキシ樹脂を使用した。さらに、硬化促進剤としては、イミダゾール系硬化促進剤を使用し、希釈剤としては、ジプロピレンメチルエーテルアセテート(DPMA)を使用した。
このようにして得られたコンデンサ素子の弁作用金属基体の露出部分を外部接続端子と抵抗溶接で接合し、電極層と別の外部接続端子とを導電性接着剤で接合した。その後、外部接続端子の一部が露出するように外装樹脂で封止して、固体電解コンデンサを得た。
上記した各材料を以下の表1に示す配合比で混合して、各実施例および比較例において、カーボンペーストを作製した。
Figure 2020102635
このようなカーボンペーストを用いて、カーボン層の上に陰極層を形成した。ここで、カーボン層の上に浸漬によって導電性ペーストを塗布し、80℃で30分熱処理した後、200℃で60分熱処理を行うことにより、電極層を形成した。
このようにして得られたコンデンサ素子について、LCRメーターを用いて、LC(漏れ電流)を測定した。本データは16Vでのデータで、電圧印加後、120秒後のデータである。このとき、たとえば38個のコンデンサ素子を測定し、LCが0.1CV以内に収まるサンプル数が全体の73%以上の場合、「◎」印を付した。LCが0.1CV以内に収まるサンプル数が全体の63%以上73%未満の場合、「○」印を付した。LCが0.1CV以内に収まるサンプル数が全体の63%未満の場合、「△」印を付した。データのバラツキが大きすぎて使用するに適するデータが得られなかったものについては、「×」印を付した。そして、実施例1〜16について、LCの測定結果と、LCの判定結果を表2に示した。
Figure 2020102635
Figure 2020102635
表2の実施例1〜6においては、ベース樹脂成分/フェノキシ樹脂の質量比を56/44とし、カーボンペースト中の固形分に占めるカーボン粉(導電性フィラー)の含有量を50質量%とし、フェノキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)を、50000、15000、30000、40000、60000、100000とした。
また、表2の実施例1〜6において、ベース樹脂成分/フェノキシ樹脂の質量比が56/44であるというのは、(ベース樹脂としてのエポキシ樹脂+硬化剤としてのフェノール樹脂)/(フェノキシ樹脂)の質量比が56/44であること、つまり、エポキシ樹脂およびフェノキシ樹脂とこれらに反応する量のフェノール樹脂との合計に対して、フェノキシ樹脂の割合が44質量%であることを意味する。
ここで、ベース樹脂成分及びフェノキシ比率について説明する。ベース樹脂成分は、ベース樹脂であるエポキシ樹脂と、これに反応する量の硬化剤としてのフェノール樹脂とを含む成分のことである。さらに、フェノキシ比率(Wt%)とは、ベース樹脂としてのエポキシ樹脂およびフェノキシ樹脂と、硬化剤としてのフェノール樹脂とを合計した熱硬化性樹脂中に含まれるフェノキシ樹脂の比率のことである。
樹脂と硬化剤との硬化反応において、エポキシ当量と水酸基当量とを考慮する必要がある。エポキシ当量とは、エポキシ基(硬化反応する部位)1個当たりの分子量のことであり、水酸基当量とは、水酸基(硬化剤の反応部位)1個当たりの分子量のことである。
熱硬化性樹脂と硬化剤とは、エポキシ当量:水酸基当量の配合比で混合する。ここで、ベース樹脂であるエポキシ樹脂およびフェノキシ樹脂のエポキシ当量は、それぞれ218および7800である。また、硬化剤であるフェノール樹脂の水酸基当量は105である。したがって、表3に示すように、エポキシ樹脂(ベース樹脂)およびフェノキシ樹脂100gに対して、それぞれ、硬化剤は、48.17gおよび1.35g必要となる。このように、エポキシ樹脂(ベース樹脂)およびフェノキシ樹脂をそれぞれ100gとした場合、エポキシ樹脂(ベース樹脂)と硬化剤との合計は148.17gとなる。
表2からも明らかなように、実施例1〜実施例15はフェノキシ比率が、20≦Wt%≦70の範囲にあり、カーボン含有率が、30≦Wt%≦70の範囲にあるため、比較例1〜3に比べ、LCが0.1CV以内に収まるサンプル数が全体の65%以上となっていてLC特性が良好なものとなっている。
さらに、実施例1、実施例3〜実施例6、実施例8〜実施例15は、上記したフェノキシ比率(Wt%)が、20≦Wt%≦70の範囲となるように形成され、且つ、上記したカーボン含有率(Wt%)が、30≦Wt%≦70の範囲となるように形成され、さらに、フェノキシ樹脂の分子量が、30000≦Mw≦100000の範囲にあるため、LCが0.1CV以内に収まるサンプル数が全体の73%以上となっていて、LC特性がさらに良好なものとなっている。
また、実施例1、実施例4〜実施例6、実施例9〜実施例14は、フェノキシ比率(Wt%)が、25≦Wt%≦70の範囲となるように形成され、且つ、カーボン含有率(Wt%)が、30≦Wt%≦70の範囲となるように形成され、さらに、フェノキシ樹脂の分子量が、30000≦Mw≦100000の範囲にあるため、LCが0.1CV以内に収まるサンプル数が全体の76%以上となっていて、LC特性がより一層良好なものとなっている。
なお、実施例2は、フェノキシ樹脂の分子量(Mw)が、30000≦Mw≦100000の範囲外の15000となっている。そのため、実施例2は、LCが0.1CV以内に収まるサンプル数が全体の65%となっていて、上記した実施例1、実施例3〜実施例6、実施例8〜実施例15に比べて、LC特性が低いものとなっているが、LC特性は比較的良好なものとなっている。
比較例1においては、フェノキシ樹脂の分子量が、30000≦MW≦100000の範囲にあるものの、また、カーボン含有率(Wt%)が、30≦Wt%≦70の範囲ではあるものの、フェノキシ比率(Wt%)が、20≦Wt%≦70の範囲外の15(Wt%)となっている。そのため、LCが0.1CV以内に収まるサンプル数が全体の28%と低いものとなり、LC特性が良好なものとはなっていない。
比較例2においては、カーボン含有率が20(Wt%)となっているため、カーボン層を形成しても、導電性がとれず、LC特性を評価することができない。
比較例3においては、カーボン含有率が80(Wt%)となっているため、カーボン層自体を形成することができず、LC特性を評価することができない。
以上の実施例1〜実施例15および比較例1〜比較例3を用いたLCの測定結果によれば、カーボンフィラーと、フェノキシ樹脂を含有する熱硬化性樹脂と、硬化剤と、硬化促進剤と、希釈剤とが配合されて形成されるカーボンペーストにおいて、上記したフェノキシ比率(Wt%)が、20≦Wt%≦70の範囲、または、25≦Wt%≦70の範囲となるように、カーボン含有率(Wt%)が、30≦Wt%≦70の範囲となるように配合されることによって、当該カーボンペーストの乾燥時の収縮応力を軽減、緩和することができ、良好なLC特性を有する固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子が得られることがわかる。
10 コンデンサ素子
12 弁作用金属基体
14 絶縁層
16 固体電解質層
18 カーボン層
20 電極層
請求項1に係る本発明は、弁作用金属基体と、弁作用金属基体の表面に形成された誘電体酸化被膜と、誘電体酸化被膜上に形成され、導電性高分子を含む固体電解質層と、固体電解質層の上に形成されたカーボン層と、カーボン層上に形成され、導電性フィラーを含む導電性ペーストによって形成された電極層とを備えた固体電解コンデンサのカーボン層の形成に使用されるカーボンペーストであって、少なくともカーボンフィラーと、フェノキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含み、熱硬化性樹脂中に含まれるフェノキシ比率が、20≦Wt%≦70の範囲にあり、カーボン含有率が、30≦Wt%≦70の範囲にあることを特徴とする、カーボンペーストである。

請求項2に係る本発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、フェノキシ比率が、25≦Wt%≦70の範囲にあることを特徴とする、カーボンペーストである

請求項3に係る本発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、フェノキシ樹脂の分子量が、30000≦Mw≦100000の範囲にあることを特徴とする、カーボンペーストである。

請求項4に係る本発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に従属する発明であって、熱硬化性樹脂が、フェノキシ樹脂に加えて、エポキシ樹脂を含むことを特徴とする、カーボンペーストである。

請求項5に係る本発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に従属する発明であって、硬化剤は、フェノール樹脂を含むことを特徴とする、カーボンペーストである。

請求項6に係る本発明は、弁作用金属基体と、弁作用金属基体の表面に形成された誘電体酸化被膜と、誘電体酸化被膜上に形成され、導電性高分子を含む固体電解質層と、固体電解質層の上に形成されたカーボン層と、カーボン層上に形成され、導電性フィラーを含む導電性ペーストによって形成された電極層とを備えた固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子であって、カーボン層は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のカーボンペーストを用いて形成されていることを特徴とする、固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子である。

Claims (6)

  1. 固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子の電極形成に使用されるカーボンペーストであって、
    少なくともカーボンフィラーと、フェノキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含み、前記熱硬化性樹脂中に含まれるフェノキシ比率が、20≦Wt%≦70の範囲にあり、カーボン含有率が、30≦Wt%≦70の範囲にあることを特徴とする、カーボンペースト。
  2. 前記フェノキシ比率が、25≦Wt%≦70の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載のカーボンペースト。
  3. 前記フェノキシ樹脂の分子量が、30000≦Mw≦100000の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載のカーボンペースト。
  4. 前記熱硬化性樹脂が、前記フェノキシ樹脂に加えて、エポキシ樹脂を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のカーボンペースト。
  5. 前記硬化剤は、フェノール樹脂を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のカーボンペースト。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のカーボンペーストを用いて形成されたカーボン層を含むことを特徴とする、固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子。
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