以下、本発明のLED灯具の実施形態について図を参照して説明する。本実施形態に係るLED灯具10の構成概要を図1〜図5を参照して説明する。なお、本明細書では、図1、図3〜図5、図8、図9に示す座標軸表示におけるX軸方向を「短手方向」といい、またY軸方向を「長手方向」、さらにZ軸方向を「高さ方向」という場合がある。
図1〜図5に示すように、本実施形態のLED灯具10は、例えば、長尺状のベース11と、このベース11に取り付けられる複数のライトユニット20、ライトユニット20同士の間に設けられるブランクカバー41、ベース11の両端に設けられるエンドカバー51,52と、により構成されている。
本実施形態では、図1に示すように、2セットのライトユニット20を備えるLED灯具10を例示して説明するが、これは構成態様の一例であり、3セット以上のライトユニット20を備える構成や、1セットのライトユニット20の両端にエンドカバー51,52を備える構成等がある。
例えば、図2に示すトラック2の荷室9にLED灯具10が架装される場合には、ベース11の長手方向(Y軸方向)に10セットのライトユニット20が設けられる。トラック2は、荷台が箱型(例えばアルミニウム製)の貨物自動車である。荷台は、例えば、車両幅方向に設けられる2枚の側壁3、車両前方に設けられる前壁4、車両後方に設けられる後扉、天井5や床面6で構成されており、これらによって荷室9が区画形成されている。
本実施形態のLED灯具10が架装されるトラック2は、側壁3と天井5の一部が跳ね上がることにより荷室9の側方から荷物の出し入れが可能なウィングタイプの4トン車である。なお、図2においては、図面表現上の便宜からトラック2の後部扉や尾灯等が省略されていることに注意されたい。
本実施形態のLED灯具10は、このようなトラック2において、例えば、荷室9のコーナー7に取り付けられる。コーナー7は、例えば、側壁3の側壁面3aと天井5の天井面5aとが直交またはほぼ直交する角部である(以下、直交またはほぼ直交することを「直交等する」と表現する)。図2に示す例では、荷室9の車両幅方向両側のコーナー7にそれぞれLED灯具10が架装されている。
なお、図2においては、LED灯具10の部分は灰色に着色されている。隣合うライトユニット20同士の間に位置する白色の矩形は、後述するブランクカバー41である。図示されていないが、前壁4の前壁面4aと天井面5aが直交等するコーナー7に、LED灯具10が取り付けられる場合もある。この場合には、例えば、4セットのライトユニット20が設けられる。
図3〜図5に示すように、ベース11は、長板状に形成されて短手方向(X軸方向)にLアングル状に互いに直交等して角部14を形成する側壁部12,13と、それぞれ側壁部12,13から角部14の反対方向端に平仮名の「く」字形状にするように形成される係合部17,18と、から構成されている。
即ち、ベース11は、後述するライトユニット20のグローブ21が取り付けられる係合部17,18の反対方向に突出する角部14を構成する側壁部12,13を有する。係合部17,18の先端には、それぞれL字形状に形成される爪部17a,18aが設けられている。これらの爪部17a,18aは、グローブ21の係合部27,28に係合可能に構成されている。本実施形態では、係合部17,18は、ベース11の短手方向(X軸方向)の中心を通りベース11の長手方向(Y軸方向)に延びる線に対して線対称形状に形成されている。
また、本実施形態では、側壁部12と係合部17の間に肉厚がこれらよりも薄い屈曲部15が設けられている。側壁部13と係合部18の間にも肉厚がこれらよりも薄い屈曲部16が設けられている。これにより、後述するように、グローブ21の係合部27,28やブランクカバー41係合部43,44によって外側からX軸方向に加圧された場合に係合部17,18が内側方向に倒れ込むような撓みを生じ易くしている。
このように構成されるベース11は、例えば、ABS樹脂製であり、側壁部12,13、角部14、屈曲部15,16、係合部17,18や爪部17a,18aが一体に成形されている。これらは長尺状に繋がっており、例えば、押し出し成形機により成形される。また、本実施形態では、係合部17,18は、後述するグローブ21の係合部27,28とほぼ同じ板厚に設定されている。本実施形態では、前述した荷室9のコーナー7に側壁部12,13が強力な両面テープで貼着されて荷室9に取り付け固定されている。例えば、天井面5aに側壁部12の側面12aが貼着され、側壁面3aや前壁面4aに側壁部13の側面13aが貼着される。
ライトユニット20は、グローブ21と、このグローブ21の内側に取り付けられるLEDモジュール30とにより構成されている。ライトユニット20は、ベース11の係合部17,18の先端が対向して形成される長尺矩形状の開口部11a(図5参照)を覆うようにベース11に取り付けられる。本実施形態では、ベース11とライトユニット20は、それぞれに設けられる係合部17,18(ベース11側)と係合部27,28(ライトユニット20側)により互いに係合する。
グローブ21は、正面パネル22、レンズ23、Lアングル部25,26、係合部27,28により構成されており、短手方向(X軸方向)の断面形状が、ベース11の開口部11aを覆い得る亀甲括弧(〔 )状を有する長板状に形成されている。本実施形態では、グローブ21は、例えば、アクリル樹脂(PMMA;ポリメタクリル酸メチル樹脂)製やポリカーボネート(PC)製であり、無色透明である。
正面パネル22は、ライトユニット20を正面から見た外観デザインを主に構成する平坦部分であり、レンズ23を含んでいる。正面パネル22の外側面は平坦面であり、この平坦面に含まれるレンズ23の範囲から、照明光が出射される。
レンズ23は、正面パネル22の内側面に形成される多数の凹凸を有する光拡散レンズであり、グローブ21の長手方向(Y軸方向)に沿って正面パネル22のほぼ中心を帯状に連続して形成されている。本実施形態では、レンズ23として光拡散レンズを例示しているが、LEDモジュール30のLEDチップ32が出射する光が透過可能であれば、光学レンズである必要はなく、単なる透明板でもよい。磨りガラス(乳白色)状の半透明板でもよい。
正面パネル22の内側面には、Lアングル部25,26も形成されている。Lアングル部25,26は、後述するLEDモジュール30の基板ホルダ34をグローブ21に取り付け可能にするものである。本実施形態では、正面パネル22の帯状に形成されるレンズ23の短手方向(X軸方向)両側において、鉤状の先端部が互いに対向するようにLアングル部25,26が内向きに形成されている。Lアングル部25,26は、グローブ21の長手方向(Y軸方向)に連続(全体的)または不連続(部分的)に形成されている。
係合部27,28は、正面パネル22の短手方向(X軸方向)両側に形成されている。本実施形態では、係合部27,28は、例えば、亀甲括弧(〔 )の両端形状のようにそれぞれ正面パネル22の内側に向けて折れ曲がる形状に形成されている。係合部27,28もレンズ23と同様にグローブ21の長手方向(Y軸方向)に連続して形成されている。
係合部27,28の先端には、片仮名の「レ」字形状に形成される爪部27a,28aが設けられている。これらの爪部27a,28aは、ベース11の係合部17,18に係合可能に構成されている。なお、本実施形態では、係合部27,28は、前述したベース11の係合部17,18とほぼ同じ板厚に設定されている。また、本実施形態では、係合部27,28は、グローブ21の短手方向(X軸方向)の中心を通りグローブ21の長手方向(Y軸方向)に延びる線に対して線対称形状に形成されている。
LEDモジュール30は、LED基板31と基板ホルダ34により構成されている。LED基板31は、短冊状に形成されるプリント配線板である。このLED基板31には、例えば、列状に並んだ複数のLEDチップ32が実装されている(図3参照)。これらのLEDチップ32には、電気配線33から入力される駆動電力が図略のプリント配線を介して供給される。これにより、LEDチップ32は発光し得る。
基板ホルダ34は、LED基板31を支持する支持部材であり、本体部35とエンドキャップ38により構成されている。本体部35は、例えば、アルミニウム製であり、本実施形態では、短冊形状を有する厚板形状に形成されている。本体部35の長手方向(Y軸方向)長さは、LED基板31とほぼ同じ長さに設定されている。また本体部35の短手方向(X軸方向)長さは、ベース11の開口部11aの短手方向長さよりも小さく設定されている。
本体部35の短手方向(X軸方向)両側には、係合溝35aが形成されている。この係合溝35aは、前述したグローブ21のLアングル部25,26に係合可能な位置、溝幅および溝深さに設定されている。また本体部35の一方の面側には、LED基板31の短手方向(X軸方向)幅とほぼ同じ短手方向幅で開口し他方の面側(底部側)に近づくほど短手方向幅が小さくなる凹部35bが形成されている。
この凹部35bの底部には、LED基板31を収容可能な短手方向(X軸方向)幅を確保し得る溝部35cが短手方向両側に形成されている。また、凹部35bには、その開口から底部に向かって凹部35bの短手方向幅が徐々に狭くなる反射部35dが形成されている。そのため、LED基板31のLEDチップ32が発した光は、当該反射部35dに反射して広角に拡がり得るように構成されている。
また、溝部35cは、LED基板31の裏側面(LEDチップ32が実装されていない面)のほぼ全体が基板ホルダ34の凹部35bの底面に密着し得るようにその形成位置が設定されている。そのため、LEDチップ32が発光時に生じる熱を基板ホルダ34の本体部35に逃がすことが可能になる。なお、本体部35の他方の面側(LED基板31が取り付けられていない側)に、図略の放熱フィンを設けてもよい。これにより、内部空間SPを流れる空気がこの放熱フィンに接触することによって本体部35が冷却され得るため、放熱効果が高められる。
このように構成される本体部35は、その係合溝35a、凹部35b、溝部35cおよび反射部35dが押出加工または切削加工により一体に成形されている。そのため、本体部35は、一端部から他端部に向けて同様の断面形状に形成されるが、本実施形態では、他端部だけ閉塞するように構成されている(図4(C)参照)。
即ち、図4(B)に示すように、本体部35の一端部から他端部の手前に至るまでの間においては凹部35bが開口するように形成されているが、図4(C)に示すように、本体部35の他端部においては、凹部35bが開口することなく閉塞されている。なお、図4(A)には、エンドキャップ38が装着された状態の本体部35の一端部が図示されているため、端部に開口する凹部35bは図示されていない。
エンドキャップ38は、本体部35内に収容されたLED基板31が抜け出ないように本体部35の一端部に取り付けられる。そのため、エンドキャップ38は、例えば、本体部35の端部形状から、係合溝35a、凹部35b、溝部35cおよび反射部35dを除いた形状に形成されている。エンドキャップ38は、例えばポリカーボネート製である。エンドキャップ38には、LED基板31に接続された電気配線33を外部に引き出し得る配線穴38aが形成されている。また、エンドキャップ38には、当該エンドキャップ38を本体部35にねじ締結するビス39が挿通可能な貫通孔(図略)が2箇所に形成されている。
なお、本体部35は、一端部から他端部に至るまで係合溝35aと同様に、凹部35b、溝部35cおよび反射部35dを形成してもよい。つまり、図4(B)に示す断面形状と同じ形状を本体部35の長手方向(Y軸方向)全体に亘って形成してもよい。この場合には、エンドキャップ38から配線穴38aを除いた構成の別のエンドキャップを設け、それを本体部35の他端部にビス39によってねじ締結して取り付ける。
このように構成されるLEDモジュール30は、例えば、次のように組み付けられる。即ち、LEDチップ32等を実装済みのLED基板31が、本体部35の一端部に開口する凹部35bから、本体部35内に挿入された後、本体部35内を長手方向(Y軸方向)にLED基板31がスライドされてその全体が本体部35内に収容される。次に、本体部35の一端部から外部に引き出されたLED基板31の電気配線33が、エンドキャップ38の配線穴38aに挿通された後、エンドキャップ38が本体部35の一端部にビス39でねじ締結されて、LEDモジュール30の組み付けが終了する。
組み付けが終了したLEDモジュール30は、次にグローブ21に取り付けられる。即ち、LEDモジュール30は、グローブ21のLアングル部25,26が本体部35の係合溝35aに係合するように位置合わせされた後、グローブ21の一端部から他端部に向かってスライドされてグローブ21に取り付けられる。これにより、ライトユニット20が完成する。
ブランクカバー41は、ライトユニット20が取り付けられていないベース11の開口部11a(図5参照)を覆うことにより、ベース11内や内部空間SPに敷設される、電気配線33、渡り配線OWやコネクタCN等が外部から見えないようにする目隠し部材である。そのため、ブランクカバー41は、レンズ23やLアングル部25,26を除いて、グローブ21とほぼ同様に構成されている。
即ち、ブランクカバー41は、正面パネル42、係合部43,44により構成されており、短手方向(X軸方向)の断面形状が、グローブ21と同様に、ベース11の開口部11aを覆い得る亀甲括弧(〔 )状を有する長板状に形成されている。本実施形態では、ブランクカバー41は、例えば、白色や灰色等を有するABS樹脂製である。
正面パネル42は、ブランクカバー41を正面から見た外観デザインを主に構成する平坦部分であり、これもグローブ21とほぼ同様に構成されている。係合部43,44は、正面パネル42の短手方向(X軸方向)両側に形成されている。これもグローブ21の係合部27,28とほぼ同様に構成されている。即ち、本実施形態では、係合部43,44は、例えば、亀甲括弧(〔 )の両端形状のようにそれぞれ正面パネル42の内側に向けて折れ曲がる形状に形成されている。
係合部43,44の先端には、片仮名の「レ」字形状に形成される爪部43a,44aが設けられている。これらの爪部43a,44aは、それぞれ斜面部を有するとともに、ベース11の係合部17,18に係合可能に構成されている。本実施形態では、係合部43,44は、ブランクカバー41の短手方向(X軸方向)の中心を通りブランクカバー41の長手方向(Y軸方向)に延びる線に対して線対称形状に形成されている。
エンドカバー51,52は、ベース11の一端部や他端部に取り付けられてこれらの端部から異物等がベース11の内部空間SP内に混入するのを防止したり、LED灯具10を側方から見た場合にベース11の端部開口が見えないようにしたりするものである。そのため、エンドカバー51に貫通穴57が形成されている点を除いて、エンドカバー51,52はほぼ同様に構成されている。なお、エンドカバー51,52は、ベース11の端部に嵌入された後、図略のボルト等によりベース11にねじ締結されて固定される。
エンドカバー51,52は、ベース11にグローブ21を係合させた場合のその側面形状、つまり五角形の下側二辺を扁平させたようなオニギリ形状に形成されている。エンドカバー51,52は、例えば、ABS樹脂製であり、ブランクカバー41と同様に、白色や灰色等に着色されている。エンドカバー51,52の一端側には、嵌入部55が形成されている。嵌入部55は、ベース11を構成する側壁部12,13、係合部17,18の内側内に嵌入可能に板部材をC字形状に丸めたような形状に形成されている。
エンドカバー51,52は、このようにベース11の一端部または他端部の開口部に対して嵌入可能に構成されることから、LED灯具10の組み付けの最後にベース11に組み付けられる。即ち、図5に示すように、ライトユニット20やブランクカバー41がベース11に取り付けられた後の工程において、エンドカバー51はベース11の一端部を閉塞し、またエンドカバー52はベース11の他端部を閉塞し得るように構成されている。エンドカバー51の貫通穴57には、エンドカバー52がベース11の他端部に取り付けられる前に電気配線33が挿通される。
このようにLED灯具10を構成することによって、LED灯具10は、図5および図6に示すように、側壁面3a、天井面5aやコーナー7等の被取付部に取り付けられる。具体的な取付作業工程の例が図6に図示されている。
図6(A)に示すように、まずコーナー7に対してベース11を両面テープDTで取り付ける。両面テープDTに加えてセルフタッピングビスSSによりベース11を側壁面3a(4a)や天井面5aに固定してもよい。本実施形態では、係合部17,18の先端が対向して形成される開口部11aの短手方向(X軸方向)開口幅(図中の両矢印)が広い。そのため、セルフタッピングビスSSのねじ止め作業時における作業領域を広く確保することができる。
次にライトユニット20をベース11に取り付ける。図6(B)に示すように、開口部11a(図6(A)参照)を塞ぐようにベース11にライトユニット20が取り付けられる場合、ベース11の係合部17,18にグローブ21の係合部27,28が当接する。すると、ベース11の係合部17,18がグローブ21の係合部27,28に押されて、屈曲部15,16が屈曲することで係合部27,28がそれぞれ側壁部12,13側に倒れ込む。この時点では、係合部27,28の爪部27a,28aはグローブ21側に位置し、また係合部17,18の爪部17a,18aはベース11側に位置している。
本実施形態では、ベース11はABS樹脂製であり、またグローブ21はアクリル樹脂製であることから、それぞれの板厚がほぼ同じである場合には、剛性や曲げ応力は、アクリル樹脂製のグローブ21の方が、ABS樹脂製のベース11に比べて大きい。そのため、アクリル樹脂製の係合部27,28に比べて、ABS樹脂製の係合部17,18の方が撓み易い。つまり、係合部17,18は、係合部27,28に比べて変形し易いことから、ベース11の係合部17,18は大きく倒れ込む一方で、グローブ21の係合部27,28は短手方向(X軸方向)に変形し(開き)難い。
したがって、ライトユニット20をさらにベース11の方向に押し付けることにより、係合部27,28の爪部27a,28aと、係合部17,18の爪部17a,18aとの位置関係が逆になる。即ち、係合部27,28の爪部27a,28aはベース11側に位置し、また係合部17,18の爪部17a,18aはグローブ21側に位置して、グローブ21の係合部27とベース11の係合部17が互いに係合し、またベース11の係合部18とグローブ21の係合部28が互いに係合する。これにより、ベース11にライトユニット20が仮位置に取り付けられる。
また、図示されていないが、ブランクカバー41についても、ライトユニット20のグローブ21と同様の取付作業工程を経てベース11に仮位置に取り付けられる。
長手方向(Y軸方向)の位置決めは、例えば、ベース11に、ライトユニット20やブランクカバー41を取り付けてから行う。即ち、隣接する他のライトユニット20やブランクカバー41と間において隙間が生じないように、ライトユニット20やブランクカバー41をベース11に取り付けた状態で長手方向(Y軸方向)にスライドさせてそれぞれの位置調整を行う。そして、最後にベース11の端部にエンドカバー51,52を取り付けてLED灯具10の取付作業工程が終了する。
なお、ベース11からライトユニット20やブランクカバー41を取り外す場合には、例えば、係合部17,18と係合部27,28の隙間にマイナスドライバー等を差し込んでベース11からグローブ21を引き離すようにマイナスドライバー等を操作することによって両者の係合を解くことができる。これにより、ベース11はコーナー7等に貼着されたまま残るため、ライトユニット20やブランクカバー41だけを取り外したり交換したりすることが可能になる。
また、ベース11を側壁面3aや天井面5aにねじ締結するためのセルフタッピングビスSSは、内部空間SP内において側壁部12や側壁部13を貫通するようにねじ止めすることができる(図6参照)。これにより、例えば、長手方向外側や短手方向外側に突出するねじ止め用のタブを設ける必要がないため、ねじ止め用のタブが邪魔になってベース11がコーナー7等(被取付部)に取り付けられない等、取付位置を制限されることがない。したがって、取付箇所を選ぶ必要が少なくなり、架装性が向上する。
以上説明したように本実施形態に係るLED灯具10では、LEDモジュール30(LED基板31)が取り付けられたグローブ21を含むライトユニット20は、側壁面3a、前壁面4a、天井面5a、床面6やコーナー7に取り付けられた状態のベース11に対して着脱自在に係合する。これにより、側壁面3a等にベース11を取り付けた状態で、ライトユニット20を取り外したり、取り付けたりすることが可能になる。そのため、例えば、ベース11が強力な両面テープDTで側壁面3a等に貼着されていた場合であっても、側壁面3a等からベース11を剥がすことなく、ライトユニット20を取り外せる。また、一旦、取り外したライトユニット20や新たなライトユニット20をベース11に取り付けることによって、側壁面3a等にベース11を再度、貼着することなく、ライトユニット20を取り付けられる。したがって、架装時またはメンテナンス時の作業効率を向上させることができる。
また、本実施形態に係るLED灯具10では、ベース11は、グローブ21が取り付けられる側の反対方向に突出する角部14を構成する側壁部12,13を有する。そのため、例えば、垂直に立ち上がる側壁面3aと水平に拡がる天井面5aとが直交するコーナー7にこの角部14を合わせてベース11を取り付けることによって、[背景技術]の欄で述べたLEDバーライトのように背面が平坦面のLED灯具を壁面または天井面に取り付ける場合に比べて、側壁面3aと天井面5aが直交するコーナー7から斜め下方(例えば、天井面5aに対して側壁面3a側に45度の角度下向き)に向けてLEDチップ32の発光を照射することが可能になる。そのため、前述のLEDバーライトを側壁面3aや天井面5aに取り付ける場合に比べて、広い範囲を明るくできるので、LED灯具10の使用数を少なくすることが可能になる。したがって、架装コストを低減することができる。
また、本実施形態に係るLED灯具10では、グローブ21が取り付けられる側の反対方向に突出する角部14は、その角度をほぼ90度に設定したが、これに限られることはなく、被取付部のコーナーの角度に応じて適宜変更してもよい。例えば、60度、80度、100度、110度等というように、側壁部12と側壁部13により形成される角部14の角度を荷室等のニーズに合わせて適宜変更してもよい。
さらに、本実施形態に係るLED灯具10では、グローブ21は、長手方向(Y軸方向)に設けられる係合部27,28を短手方向(X軸方向)の両側に有する。また、ベース11は、係合部27,28よりも短手方向(X軸方向)の内側に位置する係合部17,18を有する。そして、係合部27,28は、係合部17,18に対して短手方向(X軸方向)の外側から係合する。これにより、グローブ21(例えば、アクリル樹脂やポリカーボネート)よりも熱膨張率(または線膨張係数)が大きい樹脂材料(例えば、ABS樹脂)をベース11に用いることによって、係合部17,18や係合部27,28が熱膨張しても、係合部17,18が短手方向(X軸方向)の外側に開く量に比べて、係合部27,28が短手方向(X軸方向)の外側に開く量の方が少ない。そのため、両者の係合が解け難くなることから、荷室9内が高温になりベース11やグローブ21が熱膨張しても、ベース11からグローブ21(ライトユニット20)を外れ難くすることが可能になる。
また、本実施形態に係るLED灯具10では、グローブ21は、Lアングル部25,26を有する。また、LED基板31を保持する基板ホルダ34は、Lアングル部25,26に係合可能な係合溝35aを有する。これにより、LEDチップ32が発した熱を、基板ホルダ34を介してベース11側またはベース11とグローブ21の間に区画形成される内部空間SP内に放熱することが可能になる。また、基板ホルダ34は、Lアングル部25,26に対して係合溝35aが係合することで、グローブ21に取り付けられるので、例えば、グローブ21に対して基板ホルダ34をねじ締結で取り付ける場合に比べて、ねじが不要になる分、部品点数を削減することが可能になる。
また、本実施形態に係るLED灯具10では、ベース11は、ライトユニット20の長手方向(Y軸方向)長さよりも長い長尺形状を有し、ベース11に係合するライトユニット20の片側または両側に隙間が存在し得る場合において、隙間の幅相当の長さを有するブランクカバー41,46やエンドカバー51,52がベース11に係合して取り付けられる。これにより、ライトユニット20の片側または両側に隙間が存在しても、それらの隙間にブランクカバー41,46やエンドカバー51,52が取り付けられる。そのため、ブランクカバー41,46やエンドカバー51,52によりそのような隙間が覆われることから、これらの隙間、電気配線33や渡り配線OW等が見える場合に比べて、意匠面において美観を損なわれ難くすることが可能になる。
また、ベース11は、ライトユニット20の長手方向(Y軸方向)長さの2倍よりも長い長尺形状を有し、ベース11に係合する2つのライトユニット20の間に隙間が存在し得る場合において、隙間の幅相当の長さを有するブランクカバー41,46がベース11に係合して取り付けられる。これにより、2つのライトユニット20の間に隙間が存在しても、それらの隙間にブランクカバー41,46が取り付けられる。そのため、ブランクカバー41,46によりそのような隙間が覆われることから、これらの隙間、電気配線33や渡り配線OW等が見える場合に比べて、意匠面において美観を損なわれ難くすることが可能になる。
なお、上述した実施形態では、トラック2の荷室9のコーナー7にLED灯具10を架装する場合を例示して説明したが、本実施形態のLED灯具10は、例えば、図7に示すように、様々な場所に取り付けることができる。なお、図7(A)に示す例は、図2を参照して説明した架装例を荷室9の天井5側から見た状態を表したものである。また、図7(C)に示す例は、図2の架装例を荷室9の後方側から見た状態を表したものである。
例えば、図7(B)に示すLED灯具10’は、隙間を覆い得る長さをライトユニット20とほぼ同じ値に設定したブランクカバー46を用いた例であり、車両幅方向右側の側壁面3aと同左側の側壁面3aとに配置されるライトユニット20とブランクカバー46が、千鳥足状に互い違いの位置関係になるように架装した例である。
また、例えば、図7(D)に示す例は、LED灯具10,10’を構成するライトユニット20等を、側壁面3aと床面6の間に形成されるコーナーに架装した例である。さらに、図7(E)に示す例は、LED灯具10,10’を構成するライトユニット20等を、コーナー7ではなく、側壁面3aに架装した例である。この場合は、例えば、ベース11の側壁部12または側壁部13だけが側壁面3aに両面テープ等で貼着される。さらに、例えば、図7(F)に示す例では、トラック2の荷室9内に設けられた荷物棚8にLED灯具10,10’を架装した例である。
なお、上述した実施形態では、LED灯具10を構成するベース部として、2枚の側壁部12,13によって角部14を形成するベース11(短手方向の断面形状が「V」字形状(ただし、挟角の角度は90度))を用いる場合を例示して説明したが、ライトユニット20が着脱自在なベース部であれば、これに限られることはない。例えば、図8および図9に示すように、短手方向(X軸方向)の断面形状が、片仮名の「コ」字を時計回りに90度回転させた形状を有するベース61であってもよい。なお、図8および図9において、上述したLED灯具10と実質的に同一の構成部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図8および図9に示すように、ベース61は、長板状に形成される2枚の側壁部62,63および底壁部64と、それぞれ側壁部62,63から底壁部64の反対方向端に平仮名の「く」字形状にするように形成される係合部67,68と、から構成されている。
即ち、ベース61は、短手方向の断面形状が片仮名の「コ」字を時計回りに90度回転させた形状を構成するとともにライトユニット20のグローブ21が取り付けられる係合部67,68が「コ」字の両端部に設けられる、2枚の側壁部62,63および底壁部64aを有する。係合部67,68の先端には、それぞれL字形状に形成される爪部67a,68aが設けられている。これらの爪部67a,68aは、グローブ21の係合部27,28に係合可能に構成されている。本実施形態では、係合部67,68は、ベース61の短手方向(X軸方向)の中心を通りベース61の長手方向(Y軸方向)に延びる線に対して線対称形状に形成されている。
また、本実施形態では、側壁部62と係合部67の間に肉厚がこれらよりも薄い屈曲部65が設けられている。側壁部63と係合部68の間にも肉厚がこれらよりも薄い屈曲部66が設けられている。これにより、グローブ21の係合部27,28やブランクカバー41係合部43,44によって外側からX軸方向に加圧された場合に係合部67,68が内側方向に倒れ込むような撓みを生じ易くしている。
このように構成されるベース61は、例えば、ABS樹脂製であり、側壁部62,63、底壁部64、屈曲部65,66、係合部67,68や爪部67a,68aが一体に成形されている。これらは長尺状に繋がっており、例えば、押し出し成形機により成形される。また、本実施形態では、係合部67,68は、後述するグローブ21の係合部27,28とほぼ同じ板厚に設定されている。本実施形態では、前述した荷室9の側壁面3aや天井面5aに底面64aが強力な両面テープで貼着されて荷室9に取り付け固定されている。例えば、天井面5aに側壁部62の側面62aが貼着され、側壁面3aや前壁面4aに底壁部64の底面64aが貼着される。
エンドカバー71,72は、ベース61の一端部や他端部に取り付けられてこれらの端部から異物等がベース61の内部空間SP内に混入するのを防止したり、LED灯具60を側方から見た場合にベース61の端部開口が見えないようにしたりするものである。そのため、エンドカバー71に貫通穴57が形成されている点を除いて、エンドカバー71,72はほぼ同様に構成されている。なお、エンドカバー71,72は、ベース61の端部に嵌入された後、図略のボルト等によりベース61にねじ締結されて固定される。
エンドカバー71,72は、ベース61にグローブ21を係合させた場合のその側面形状、つまり短手方向(X軸方向)に長い矩形状に形成されている。エンドカバー71,72は、例えば、ABS樹脂製であり、ブランクカバー41と同様に、白色や灰色等に着色されている。エンドカバー71,72の一端側には、嵌入部75が形成されている。嵌入部75は、ベース61を構成する側壁部62,63、底壁部64、係合部67,68の内側内に嵌入可能に板部材をC字形状に縦長に変形させたような形状に形成されている。
エンドカバー71,72は、このようにベース61の一端部または他端部の開口部に対して嵌入可能に構成されることから、LED灯具10の組み付けの最後にベース61に組み付けられる。即ち、ライトユニット20やブランクカバー41がベース61に取り付けられた後の工程において、エンドカバー71はベース61の一端部を閉塞し、またエンドカバー72はベース61の他端部を閉塞し得るように構成されている。エンドカバー71の貫通穴77には、エンドカバー72がベース61の他端部に取り付けられる前に電気配線33が挿通される。
このようにLED灯具60を構成することによって、LED灯具60は、側壁面3a、天井面5a等の被取付部に取り付けられる。具体的な取付作業工程の例については、LED灯具10とほぼ同様であるので省略する。
このように構成されたLED灯具60においても、LEDモジュール30(LED基板31)が取り付けられたグローブ21を含むライトユニット20は、側壁面3a、前壁面4a、天井面5a、床面6に取り付けられた状態のベース61に対して着脱自在に係合する。これにより、側壁面3a等にベース61を取り付けた状態で、ライトユニット20を取り外したり、取り付けたりすることが可能になる。そのため、例えば、ベース61が強力な両面テープで側壁面3a等に貼着されていた場合であっても、側壁面3a等からベース61を剥がすことなく、ライトユニット20を取り外せる。また、一旦、取り外したライトユニット20や新たなライトユニット20をベース61に取り付けることによって、側壁面3a等にベース61を再度、貼着することなく、ライトユニット20を取り付けられる。したがって、架装時またはメンテナンス時の作業効率を向上させることができる。
また、本実施形態に係るLED灯具60では、グローブ21は、長手方向(Y軸方向)に設けられる係合部27,28を短手方向(X軸方向)の両側に有する。また、ベース61は、係合部27,28よりも短手方向(X軸方向)の内側に位置する係合部67,68を有する。そして、係合部27,28は、係合部67,68に対して短手方向(X軸方向)の外側から係合する。これにより、グローブ21(例えば、アクリル樹脂やポリカーボネート)よりも熱膨張率(または線膨張係数)が大きい樹脂材料(例えば、ABS樹脂)をベース61に用いることによって、係合部67,68や係合部27,28が熱膨張しても、係合部67,68が短手方向(X軸方向)の外側に開く量に比べて、係合部27,28が短手方向(X軸方向)の外側に開く量の方が少ない。そのため、両者の係合が解け難くなることから、荷室9内が高温になりベース61やグローブ21が熱膨張しても、ベース61からグローブ21(ライトユニット20)を外れ難くすることが可能になる。
さらに、本実施形態に係るLED灯具60では、グローブ21は、Lアングル部25,26を有する。また、LED基板31を保持する基板ホルダ34は、Lアングル部25,26に係合可能な係合溝35aを有する。これにより、LEDチップ32が発した熱を、基板ホルダ34を介してベース61側またはベース61とグローブ21の間に区画形成される内部空間SP内に放熱することが可能になる。また、基板ホルダ34は、Lアングル部25,26に対して係合溝35aが係合することで、グローブ21に取り付けられるので、例えば、グローブ21に対して基板ホルダ34をねじ締結で取り付ける場合に比べて、ねじが不要になる分、部品点数を削減することが可能になる。
また、本実施形態に係るLED灯具60では、ベース61は、ライトユニット20の長手方向(Y軸方向)長さよりも長い長尺形状を有し、ベース61に係合するライトユニット20の片側または両側に隙間が存在し得る場合において、隙間の幅相当の長さを有するブランクカバー41,46やエンドカバー71,72がベース61に係合して取り付けられる。これにより、ライトユニット20の片側または両側に隙間が存在しても、それらの隙間にブランクカバー41,46やエンドカバー71,72が取り付けられる。そのため、ブランクカバー41,46やエンドカバー71,72によりそのような隙間が覆われることから、これらの隙間、電気配線33や渡り配線OW等が見える場合に比べて、意匠面において美観を損なわれ難くすることが可能になる。
また、ベース61は、ライトユニット20の長手方向(Y軸方向)長さの2倍よりも長い長尺形状を有し、ベース61に係合する2つのライトユニット20の間に隙間が存在し得る場合において、隙間の幅相当の長さを有するブランクカバー41,46がベース61に係合して取り付けられる。これにより、2つのライトユニット20の間に隙間が存在しても、それらの隙間にブランクカバー41,46が取り付けられる。そのため、ブランクカバー41,46によりそのような隙間が覆われることから、これらの隙間、電気配線33や渡り配線OW等が見える場合に比べて、意匠面において美観を損なわれ難くすることが可能になる。
なお、上述した実施形態では、トラック2として、ウィングタイプの4トン車の場合を例示して説明したが、小型トラック(アルミバン等)や10トン車等の大型トラックの場合においても、上述したLED灯具10,10’,60等を架装することができる。なお、LED灯具10等の構成(ライトユニット20やブランクカバー41,46の数量)は、それぞれの荷室のサイズに応じて適宜変更される。
また、上述した実施形態では、両面テープDTを用いて側壁面3aや天井面5a等にベース11を貼着する場合を例示して説明したが、これに限られることはなく、例えば、液体状や流動体状等の接着剤を貼着に用いてもよい。また、両面テープDTや接着剤を用いることなく、セルフタッピングビスSSだけでベース11を側壁面3aや天井面5a等に固定してもよい。
さらに、上述した実施形態では、ベース11の端部にエンドカバー51,52,71,72を取り付ける構成を例示して説明したが、例えば、これらのエンドカバー51等に代えて、ベース11の内部空間SP内に強制的に(または自然に)空気が流通するように構成してもよい。これにより、ベース11の内部空間SPに存在する基板ホルダ34が空気冷却され得るため、放熱効果を高めることが可能になる。
なお、LED灯具10を構成するベース11の一部分の形状は、図10に示す斜視図および図11に示す各図により、意匠に係る物品「LED灯具」の部分意匠(以下「この意匠」という場合がある)として把握することができる。
これらの図において、ベース11の一部だけが実線で表されており、それ以外の部分は破線で表されている。即ち、実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。この意匠は、正面図(図11(A))において、左右にのみ連続するものである。底面図は、平面図(図11(C))と対称に表れるため省略する。
・図10はLED灯具を正面斜め右上方から見た斜視図である。
・図11(A)はLED灯具の正面図である。
・図11(B)はLED灯具の背面図である。
・図11(C)はLED灯具の平面図である。
・図11(D)はLED灯具の右側面図である。
・図11(E)はLED灯具の左側面図である。
・図11(F)は、図11(D)に示す右側面図をほぼ2倍に拡大した拡大図である。
・図11(G)は、図11(E)に示す左側面図をほぼ2倍に拡大した拡大図である。
また、図10および図11において、破線で表されている部分をすべて実線に置き換えることにより、意匠に係る物品「LED灯具」の全体意匠を把握することができる。この全体意匠においても、当該意匠は、正面図(図11(A))において、左右にのみ連続するものである。底面図は、平面図(図11(C))と対称に表れるため省略する。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、上述した具体例を様々に変形または変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。さらに、本明細書または図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つ。なお、[符号の説明]の欄における括弧内の記載は、上述した各実施形態において用いた用語と、特許請求の範囲に記載の用語との対応関係を明示し得るものである。