JP2020102352A - カーボンナノチューブ電極、フラットケーブル、および、カーボンナノチューブ電極の製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ電極、フラットケーブル、および、カーボンナノチューブ電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低抵抗化を可能としたカーボンナノチューブ電極、フラットケーブル、および、カーボンナノチューブ電極の製造方法を提供する。【解決手段】延在方向に沿って延びる複数の炭素繊維11であって、各炭素繊維11がカーボンナノチューブ11Aを含む複数の炭素繊維11と、複数の炭素繊維11に担持された複数の金属粒子12であって、複数の金属粒子12は、延在方向において炭素繊維11の全体に分散し、各炭素繊維11を他の炭素繊維11に電気的に接続する複数の金属粒子12とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノチューブ電極、カーボンナノチューブ電極を備えるフラットケーブル、および、カーボンナノチューブ電極の製造方法に関する。
半導体装置などの配線には、金属のなかでも低い抵抗を有したアルミニウムや銅が広く用いられている。アルミニウムや銅を用いた配線では、配線における電流密度が高くなるに伴って、エレクトロマイグレーションが生じやすくなる。これにより、配線の断裂が生じることがある。そこで、アルミニウムや銅よりも高い電流密度を許容するカーボンナノチューブが、配線材料として提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2011−246317号公報
ところで、カーボンナノチューブは上述したように、電流密度に対する高い耐性を有する一方で、十分に小さい抵抗を有するとは言い難い。それゆえに、カーボンナノチューブを用いつつも、より低い抵抗を有した配線材料が求められている。
本発明は、低抵抗化を可能としたカーボンナノチューブ電極、フラットケーブル、および、カーボンナノチューブ電極の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのカーボンナノチューブ電極は、延在方向に沿って延びる複数の炭素繊維であって、各炭素繊維がカーボンナノチューブを含む前記複数の炭素繊維と、前記複数の炭素繊維に担持された複数の金属粒子であって、前記複数の金属粒子は、前記延在方向において前記炭素繊維の全体に分散し、各炭素繊維を他の炭素繊維に電気的に接続する前記複数の金属粒子と、を備える。
上記課題を解決するためのフラットケーブルは、可撓性を有し、第1端部と第2端部とを有した帯状を有する本体部と、上記カーボンナノチューブ電極と、を備える。前記カーボンナノチューブ電極は、前記第1端部と前記第2端部との少なくとも一方において、前記本体部から露出している。
上記課題を解決するためのカーボンナノチューブ電極の製造方法は、延在方向に沿って延びる複数の炭素繊維であって、各炭素繊維がカーボンナノチューブを含む前記複数の炭素繊維を形成することと、前記複数の炭素繊維に複数の金属粒子を形成するための材料を含むインクを接触させ、その後に、前記複数の炭素繊維を加熱することによって、前記延在方向において前記炭素繊維の全体に分散し、各炭素繊維を他の前記炭素繊維に電気的に接続する複数の金属粒子を前記複数の炭素繊維に担持させることと、を含む。
上記各構成によれば、カーボンナノチューブよりも抵抗が低い金属粒子によって各炭素繊維が他の炭素繊維と電気的に接続されるため、カーボンナノチューブ電極が複数の金属粒子を含まない場合に比べて、カーボンナノチューブ電極の抵抗を低くすることができる。
上記カーボンナノチューブ電極において、前記炭素繊維は、前記カーボンナノチューブの外表面を覆い、非晶質な炭素から形成された被覆部をさらに備え、各炭素繊維は、当該炭素繊維が備える前記被覆部によって、他の炭素繊維に架橋されていてもよい。
上記構成によれば、炭素繊維同士が被覆部によって架橋されることによって、複数の炭素繊維における荷重に対する耐性が高くなり、かつ、複数の炭素繊維が、荷重から開放されたときに復元する復元力を有することができる。
上記カーボンナノチューブ電極において、前記複数の金属粒子は、前記被覆部の外表面に接した前記金属粒子を含んでもよい。上記構成によれば、金属粒子が被覆部の外表面に位置するため、1つの炭素繊維が、その炭素繊維の近傍に位置する他の炭素繊維と金属粒子によって電気的に接続されやすい。そのため、カーボンナノチューブ電極の低抵抗化が図られやすい。
上記カーボンナノチューブ電極において、前記複数の金属粒子は、前記炭素繊維の一部によって貫かれた前記金属粒子を含んでもよい。上記構成によれば、炭素繊維に担持された金属粒子が、炭素繊維から脱離しにくい。
上記カーボンナノチューブ電極において、複数の炭素繊維は、炭素繊維束を形成し、前記炭素繊維束は、前記延在方向において第1端部と第2端部とを有し、前記複数の金属粒子において、前記第1端部に担持された前記金属粒子の平均径が、前記第2端部に担持された金属粒子の平均径よりも大きくてもよい。
上記構成によれば、炭素繊維束の第1端部をカーボンナノチューブ電極の接続対象との接続端部とすることによって、カーボンナノチューブ電極と接続対象とがより電気的に接続されやすくなる。
上記カーボンナノチューブ電極において、前記複数の炭素繊維における密度が1010本/cm以上1011本/cm以下であり、各炭素繊維の長さが125μm以上530μm以下であり、前記複数の炭素繊維を支持する金属製の基材をさらに備え、前記基材の厚さが20μmであり、かつ、前記複数の炭素繊維に印加した荷重が125Nである場合に、前記カーボンナノチューブ電極の抵抗が、6.5mΩ以上37mΩ以下であってもよい。上記構成によれば、電極として用いることに適した低い抵抗を有するカーボンナノチューブ電極を得ることができる。
一実施形態におけるカーボンナノチューブ電極の構造を示す図。 同実施形態におけるカーボンナノチューブ電極の製造方法を説明するためのフローチャート。 同実施形態におけるフラットケーブルの構造を示す斜視図。 試験例1のカーボンナノチューブ電極を撮影したSEM画像。 図4のSEM画像における一部を拡大したSEM画像。 図4のSEM画像における一部を拡大したSEM画像。 試験例1のカーボンナノチューブ電極における抵抗を測定した結果を示すグラフ。 試験例2のカーボンナノチューブ電極における抵抗を測定した結果を示すグラフ。 試験例3のカーボンナノチューブ電極における抵抗を測定した結果を示すグラフ。 試験例4のカーボンナノチューブ電極における抵抗を測定した結果を示すグラフ。
図1から図10を参照して、カーボンナノチューブ電極、フラットケーブル、および、カーボンナノチューブ電極の製造方法の一実施形態を説明する。以下では、カーボンナノチューブ電極の構造、カーボンナノチューブ電極の製造方法、フラットケーブルの構造、および、試験例を順に説明する。
[カーボンナノチューブ電極の構造]
図1を参照してカーボンナノチューブ電極の構造を説明する。
図1が示すように、カーボンナノチューブ電極10は、複数の炭素繊維11と、複数の金属粒子12とを備えている。複数の炭素繊維11は、延在方向に沿って延び、各炭素繊維11がカーボンナノチューブ11Aを含んでいる。複数の金属粒子12は、複数の炭素繊維11に担持されている。各炭素繊維11には、複数の金属粒子12が担持されている。複数の金属粒子12は、延在方向において炭素繊維11の全体に分散している。複数の金属粒子12は、延在方向においてほぼ均一に分散している。複数の金属粒子12は、各炭素繊維11を他の炭素繊維11に電気的に接続している。
カーボンナノチューブ電極10では、カーボンナノチューブ11Aよりも抵抗が低い金属粒子12によって各炭素繊維11が他の炭素繊維11と電気的に接続される。そのため、カーボンナノチューブ電極10が複数の金属粒子12を含まない場合に比べて、カーボンナノチューブ電極10の抵抗を低くすることができる。
各炭素繊維11は、被覆部11Bをさらに備えている。被覆部11Bは、カーボンナノチューブ11Aの外表面を覆い、非晶質な炭素から形成されている。各炭素繊維11は、当該炭素繊維11が備える被覆部11Bによって、他の炭素繊維11に架橋されている。炭素繊維11同士が被覆部11Bによって架橋されることによって、複数の炭素繊維11における荷重に対する耐性が高くなり、かつ、複数の炭素繊維11が、荷重から開放されたときに復元する復元力を有することができる。
例えば、電気めっきなどを用いて、各炭素繊維11の外表面を覆う金属膜を形成することが可能である。この場合には、各炭素繊維の外表面を覆う金属膜が、他の炭素繊維の外表面を覆う金属膜に電気的に接続されることによって、カーボンナノチューブ電極の抵抗を低くすることは可能である。しかしながら、複数の炭素繊維に荷重を印加した場合には、金属膜が割れたり、複数の炭素繊維が荷重から開放されても、金属膜の剛性によって炭素繊維が屈曲した状態に維持されたりする。加えて、電気めっきなどを用いた場合には、炭素繊維11の外表面において、単位面積当たりの表面硬度が一律に上昇し、これによって、カーボンナノチューブ電極10が電気的に接続する接続対象が有する接触面における面粗度に対する追従性が悪化する、結果として、電気的に有効な真実接触面積が減少する。そのため、こうしたカーボンナノチューブ電極は、複数の炭素繊維に対して荷重が印加される状況での使用に適さない。
この点で、本実施形態のカーボンナノチューブ電極10は、金属粒子12を備え、かつ、被覆部11Bを備えることによって、後述するバンドル11Cが、被覆部11Bおよび金属粒子12によってバンドル11Cを形成する複数の炭素繊維11同士が互いに架橋された三次元的な支持構造を有することが可能である。しかも、バンドル11Cは、延在方向において分散された複数の金属粒子12を担持するため、バンドル11Cの延在方向において、カーボンナノチューブ電極10は、表面硬度が互いに異なる部分を有する。これにより、カーボンナノチューブ電極10の抵抗を低くし、かつ、炭素繊維11の柔軟性を高めることが可能である。そのため、複数の炭素繊維11に対して荷重が印加される状況での使用に適している。
また、カーボンナノチューブ電極10は、カーボンナノチューブ電極10が接続対象の接触面に接触した場合には、接続対象の接触面に対し、局部的な面圧の上昇を生じさせない構造である。そのため、接触面の単位面積当たりにおける面圧が、炭素繊維の外表面が金属膜で覆われた構造と同一であっても、当該構造よりも追従性が高まり、結果として、真実接触面積を増加させることによって、接触抵抗を減じることを可能としている。
各炭素繊維11において、カーボンナノチューブ11Aの直径は、例えば10nm以上15nm以下であり、被覆部11Bの厚さは、例えば1nm以上2nm以下である。そのため、炭素繊維11の直径は、例えば、11nm以上17nm以下である。カーボンナノチューブ電極10において、各炭素繊維11は、被覆部11Bによって他の炭素繊維11に架橋されたり、他の炭素繊維11とファンデルワースル力によって凝集したり、他の炭素繊維11と絡み合ったりすることによって、炭素繊維11の束であるバンドル11Cを形成している。バンドル11Cは、炭素繊維束の一例である。延在方向において、バンドル11Cは2つの端部を有している。2つの端部のうち、一方の端部が第1端部11C1であり、他方の端部が第2端部11C2である。
各炭素繊維11が含むカーボンナノチューブ11Aは、単層カーボンナノチューブでもよいし、多層カーボンナノチューブでもよい。そのため、複数の炭素繊維11は、単層カーボンナノチューブを備える炭素繊維のみを含んでもよいし、多層カーボンナノチューブを備える炭素繊維のみを含んでもよい。あるいは、複数の炭素繊維11は、単層カーボンナノチューブを備える炭素繊維と、多層カーボンナノチューブを備える炭素繊維との両方を含んでもよい。
金属粒子12の平均径は、例えば100nm以上200nm以下である。金属粒子12の平均径が炭素繊維11の直径に対して大幅に大きい。そのため、1つの金属粒子12は、互いに近傍に位置する複数の炭素繊維11を当該金属粒子12によって電気的に接続させることが可能である。金属粒子12を形成するための材料は、例えば、銀(Ag)または金(Au)である。
複数の金属粒子12は、被覆部11Bの外表面に接した金属粒子12を含んでいる。金属粒子12が被覆部11Bの外表面に位置しているため、1つの炭素繊維11が、その炭素繊維11の近傍に位置する他の炭素繊維11と金属粒子12によって電気的に接続されやすい。そのため、カーボンナノチューブ電極10の低抵抗化が図られやすい。
複数の金属粒子12は、炭素繊維11の一部によって貫かれた金属粒子12を含んでいる。これにより、炭素繊維11に担持された金属粒子12が、炭素繊維11から脱離しにくい。
上述したように、バンドル11Cは、延在方向において第1端部11C1と第2端部11C2とを有している。複数の金属粒子12において、第1端部11C1に担持された金属粒子12の平均径が、第2端部11C2に担持された金属粒子の平均径よりも大きい。カーボンナノチューブ電極10の第1端部11C1をカーボンナノチューブ電極10の接続対象との接続端部とすることによって、カーボンナノチューブ電極10と接続対象とがより電気的に接続されやすくなる。
複数の金属粒子12において、金属粒子12の直径は、第1端部11C1から第2端部11C2に向かう方向に沿って次第に小さくなる傾向を有している。すなわち、第1端部11C1に位置する金属粒子12の平均径は、延在方向におけるバンドル11Cの中央部に位置する金属粒子12の平均径よりも大きい。また、第2端部11C2に位置する金属粒子12の平均径は、延在方向におけるバンドル11Cの中央部に位置する金属粒子12の平均径よりも小さい。
カーボンナノチューブ電極10は、バンドル11Cを支持する基材13をさらに備えてもよい。基材13は、金属製である。基材13は、炭素繊維11を形成する工程において、炭素繊維11を成長させるための処理対象でもある。バンドル11Cの第2端部11C2が、基材13に固定されている。バンドル11Cに複数の金属粒子12を担持させる際には、第1端部11C1から金属粒子12を含むインクをバンドル11Cに供給する。そのため、炭素繊維11では、第1端部11C1に含まれる部分から、第2端部11C2に含まれる部分に向かって、順に金属粒子12を含むインクに接触する。
複数の炭素繊維11における密度が1010本/cm以上1011本/cm以下である。各炭素繊維11の長さが125μm以上530μm以下である。基材13の厚さが20μmであり、かつ、複数の炭素繊維に印加した荷重が125Nである場合に、カーボンナノチューブ電極の抵抗が、6.5mΩ以上37mΩ以下であることが好ましい。これにより、電極として用いることに適した低い抵抗を有するカーボンナノチューブ電極を得ることができる。
なお、図1を参照して説明した例では、カーボンナノチューブ電極10は、基材13において対向する一対の面のうち、一方の面のみにバンドル11Cおよび複数の金属粒子12を備えている。しかしながら、カーボンナノチューブ電極10は、基材13において対向する一対の面の両方に、バンドル11Cおよび複数の金属粒子12を備えてもよい。
[カーボンナノチューブ電極の製造方法]
図2を参照してカーボンナノチューブ電極10の製造方法を説明する。
カーボンナノチューブ電極10の製造方法は、複数の炭素繊維11を形成することと、複数の金属粒子12を複数の炭素繊維11に担持させることとを含んでいる。複数の炭素繊維11を形成することは、延在方向に沿って延びる複数の炭素繊維11を形成し、各炭素繊維11がカーボンナノチューブ11Aを含む。複数の金属粒子12を複数の炭素繊維11に担持させることは、複数の炭素繊維11に複数の金属粒子12を形成するための材料を含むインクを接触させ、その後に、複数の炭素繊維11を加熱する。これによって、延在方向において炭素繊維11の全体に分散し、各炭素繊維11を他の炭素繊維11に電気的に接続する複数の金属粒子12を複数の炭素繊維11に担持させる。以下、図2を参照して、カーボンナノチューブ電極10の製造方法をより詳しく説明する。
図2が示すように、カーボンナノチューブ電極10の製造方法は、繊維形成工程(ステップS11)と、粒子形成工程(ステップS12)とを含んでいる。繊維形成工程では、まず、金属製の基材13を準備する。金属製の基材13には、例えばニッケル箔(Ni箔)または銅箔(Cu箔)を用いることができる。次いで、基材13が有する1つの面に、カーボンナノチューブ11Aを形成するための触媒として機能する触媒層を形成する。触媒層は金属製であり、単一の層から形成されてもよいし、複数の層から形成されてもよい。触媒層は、例えば、基材13上に形成されたアルミニウム層(Al層)と、アルミニウム層上に形成された鉄層(Fe層)とによって形成される。
次いで、熱CVD法を用いて、基材13上に複数のカーボンナノチューブ11Aと、各カーボンナノチューブ11Aを覆う被覆部11Bとが形成される。なお、熱CVD法によって炭素繊維11が形成される際には、まず、触媒層が加熱によって凝集することによって複数の触媒粒子が形成される。次いで、触媒粒子に対して炭素を含むガスが供給されることによって、触媒粒子ごとにカーボンナノチューブ11Aが成長する。その後に、カーボンナノチューブ11Aを覆う被覆部11Bが形成される。
粒子形成工程では、金属粒子12を形成するための材料を含むインクを準備する。インクは、金属粒子12を形成するための材料として金属ナノ粒子を含む。金属ナノ粒子は、例えば銀ナノ粒子、または、金ナノ粒子である。金属ナノ粒子の平均径は、例えば5nm程度である。次いで、複数の炭素繊維11から形成されたバンドル11Cにインクを接触させる。この際に、バンドル11Cの第1端部11C1からバンドル11Cに対してインクを供給し、かつ、バンドル11Cが有する空隙にインクを供給する。
インクがバンドル11Cに供給されると、インク内に含まれる金属ナノ粒子が分散した状態で、バンドル11Cが有する空隙にインクが浸透するため、金属ナノ粒子がバンドル11Cの延在方向における全体に分散している。
その後、インクが供給されたバンドル11Cを加熱する。これにより、インクが含む金属ナノ粒子の分散媒が蒸発し、かつ、複数の金属ナノ粒子が集合して1つの金属粒子12を形成する。上述したように、インクがバンドル11Cに供給されることによって、金属ナノ粒子がバンドル11Cの延在方向における全体に分散している。そして、バンドル11Cの加熱時にも、金属ナノ粒子が分散した状態が維持されている。この状態でバンドル11Cおよびインクが加熱される。インクの加熱に伴い分散媒の容積が減少することによって金属ナノ粒子が凝集し、この状態に熱が加えられることによって、金属ナノ粒子よりも大幅に大きい粒径を有した金属粒子12がバンドル11Cに担持される。なお、粒子形成工程では、バンドル11Cをインクに接触させることと、バンドル11Cを加熱することとを1サイクルとする場合に、単一のサイクルのみが行われてもよいし、2以上のサイクルが行われてもよい。
このように、バンドル11Cに担持される金属粒子12は、インクに含まれる金属ナノ粒子が集合して形成されるため、複数の金属粒子12には、炭素繊維11の一部によって貫かれた金属粒子12が含まれる。
金属粒子12を形成するための材料を含むインクは、例えば、分散媒と、分散媒中に分散した金属ナノ粒子とを含んでいる。インクにおいて、金属ナノ粒子の割合は、例えば20質量%以上50質量%以下であってよい。
分散媒には、有機溶剤を用いることが可能である。有機溶剤は、例えば、トルエン、オクタン、および、テトラデカンなどであってよい。金属ナノ粒子を分散させる分散媒が有機溶剤であることによって、分散剤が水である場合と比べて、インクの表面張力を低くすることができる。また、分散媒が有機溶剤であることによって、分散剤が水である場合に比べて、炭素繊維11に対するインクの濡れ性が高まる。これにより、バンドル11Cに対してインクを供給した場合に、バンドル11Cが有する空隙中までインクが染み込みやすくなる。
なお、金属ナノ粒子の表面は、分散媒中において金属ナノ粒子を分散させやすくするための分散剤によって覆われていてもよい。分散剤には、例えば、炭素数が6から18の脂肪酸、および、炭素数が6から18の脂肪族アミンの少なくとも一方を用いることができる。脂肪酸は、例えばカルボン酸であってよい。
脂肪酸は、以下に列挙する脂肪酸における少なくとも1つであってよい。炭素数が6である脂肪酸は、例えば、炭素数6のヘキサン酸、2‐エチル酪酸、および、ネオヘキサン酸(2,2‐ジメチル酪酸)であってよい。炭素数が7である脂肪酸は、例えば、ヘプタン酸、2‐メチルヘキサン酸、および、シクロヘキサンカルボン酸であってよい。炭素数が8である脂肪酸は、例えば、オクタン酸、2‐エチルヘキサン酸、および、ネオオクタン酸(2,2‐ジメチルヘキサン酸)であってよい。炭素数が9である脂肪酸は、例えばノナン酸であってよい。炭素数が10である脂肪酸は、例えば、デカン酸およびネオデカン酸(2,2‐ジメチルオクタン酸)であってよい。炭素数が11である脂肪酸は、例えばウンデカン酸であってよい。炭素数が12である脂肪酸は、例えばドデカン酸であってよい。炭素数が14である脂肪酸は、例えばテトラデカン酸であってよい。炭素数が16である脂肪酸は、例えばパルミチン酸であってよい。炭素数が18である脂肪酸は、例えばステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、および、リノレン酸であってよい。
脂肪族アミンは、以下に列挙する脂肪族アミンにおける少なくとも1つであってよい。炭素数が6である脂肪族アミンは、例えばヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、および、アニリンであってよい。炭素数が7である脂肪族アミンは、例えばヘプチルアミンであってよい。炭素数が8である脂肪族アミンは、例えば、オクチルアミンおよび2‐エチルヘキシルアミンであってよい。炭素数が9である脂肪族アミンは、例えばノニルアミンであってよい。炭素数が10である脂肪族アミンは、例えばデシルアミンであってよい。炭素数が12である脂肪族アミンは、例えばドデシルアミンであってよい。炭素数が14である脂肪族アミンは、例えばテトラドデシルアミンであってよい。
炭素繊維11の空隙率が95%以上であり、炭素の密度を2g/cmとした場合には、炭素繊維11の密度は、0.1mg/cm以下である。炭素繊維11の長さが400μm以上550μm以下である場合には、金属ナノ粒子の重量が40mg以上60mg以下となるように金属ナノ粒子を含むインクをバンドル11Cに供給することが好ましい。
[フラットケーブルの構造]
図3を参照してフラットケーブルの構造を説明する。
図3が示すように、フラットケーブル20は、本体部21と、カーボンナノチューブ電極10とを備えている。本体部21は、可撓性を有し、第1端部21E1と第2端部21E2とを有した帯状を有している。カーボンナノチューブ電極10は、第1端部21E1と第2端部21E2との少なくとも一方において、本体部21から露出している。
本実施形態では、フラットケーブル20は、複数のカーボンナノチューブ電極10を備えている。各カーボンナノチューブ電極10は、本体部21が延びる方向と平行な方向に沿って延びている。複数のカーボンナノチューブ電極10は、本体部21が延びる方向と直交する方向に沿って隙間を空けて並んでいる。
本体部21は、絶縁性を有している。本体部21は、各カーボンナノチューブ電極10の外表面を覆っている。これにより、各カーボンナノチューブ電極10は、他のカーボンナノチューブ電極10から電気的に絶縁されている。本体部21は、第1端部21E1および第2端部21E2の各々において、各カーボンナノチューブ電極10の端部における一部のみを覆い、これによって、各カーボンナノチューブ電極10の端部を外部に露出させている。本体部21は、合成樹脂によって形成されている。
本体部21は、帯状を有し、カーボンナノチューブ電極10を支持する支持部21Aと、支持部21A、および、支持部21A上に位置するカーボンナノチューブ電極10を覆う被覆部21Bとを備えている。支持部21Aと被覆部21Bとは、一体に成形されている。本体部21が延びる方向において、被覆部21Bの長さが、支持部21Aの長さよりも短い。そのため、本体部21における第1端部21E1および第2端部21E2の両方において、各カーボンナノチューブ電極10が被覆部21Bによって覆われないことによって、本体部21の外部に露出している。
こうしたフラットケーブル20によれば、接続対象である平板状の導体が有する接触面に対して、支持部21Aによって支持されたカーボンナノチューブ電極10の端部を接触させることができる。これにより、接続対象に対するフラットケーブル20の接続が安定に維持される。
フラットケーブル20では、少なくとも第1端部21E1および第2端部21E2において、複数の金属粒子12を担持したバンドル11Cが、本体部21から外部に露出していればよい。そのため、各カーボンナノチューブ電極10は、複数の金属粒子12を担持したバンドル11Cを両端部のみに有する一方で、各端部に位置するバンドル11Cが、基材13によって電気的に接続されてもよい。各カーボンナノチューブ電極10は、基材13の全体にわたってバンドル11Cを有する一方で、バンドル11Cのなかで、カーボンナノチューブ電極10の両端部に位置する部分のみに複数の金属粒子12が担持されていてもよい。
フラットケーブル20は、例えば以下の方法によって製造される。なお、以下では、カーボンナノチューブ電極10が、基材13の全体にわたってバンドル11Cを有する一方で、バンドル11Cのなかで、カーボンナノチューブ電極10の両端部に位置する部分のみに複数の金属粒子12が担持されている場合の製造方法を説明する。
まず、CVD装置内に設置されている基材13の表面に、熱CVD法を用いて炭素繊維11を成長させる。次いで、基材13の表面および裏面に樹脂フィルムをラミネートすることによって、炭素繊維11を樹脂フィルムによって覆う。これにより、バンドル11Cを有した基材13が樹脂フィルムによって挟まれた積層体を得る。そして、積層体を所望の幅に切断することによって、フラットケーブル20の母材を得ることができる。その後、長さ方向におけるバンドル11Cの両端部が樹脂フィルムから露出するように、フラットケーブル20の母材の両端部において、樹脂フィルムの一部を取り除く。そして、母材の両端部から露出したバンドル11Cに金属ナノ粒子を含むインクを塗布し、次いで、母材を加熱する。これにより、フラットケーブル20を得ることができる。
なお、ロールツーロール方式の搬送装置を用いてフラットケーブル20を製造することも可能である。これにより、フラットケーブル20の生産効率を高めることが可能である。また、基材13の表面および裏面に樹脂フィルムをラミネートする際に、長さ方向におけるバンドル11Cの両端部が露出するように樹脂フィルムをラミネートする場合には、長さ方向における母材の両端部を切断する工程を省略することが可能である。
[試験例]
図4から図10を参照して、カーボンナノチューブ電極の試験例を説明する。
[カーボンナノチューブ電極の低抵抗化]
[試験例1]
20μmの厚さを有したNi箔を準備した。そして、電子線蒸着法を用いてNi箔の表面に150nmの厚さを有したAl層を形成し、次いで、Al層上に2nmの厚さを有したFe層を形成した。次に、熱CVD法を用いて、Ni箔の表面に対してほぼ垂直に延びる複数の炭素繊維を形成した。なお、炭素繊維を形成する際の条件は、以下のように設定した。
・Ni箔を支持するステージの温度 720℃
・処理空間の圧力 1.013×10Pa(大気圧)
・供給ガス 窒素ガス 5000sccm
アセチレンガス 75sccm
複数の炭素繊維が形成されたNi箔の一部を直径が14mmとなるように打ち抜いた。そして、マイクロピペットを用いて80μlのAgナノメタルインク((株)アルバック製、L−Ag1T)を複数の炭素繊維に滴下した(滴下工程)。その後、Ni箔を190℃のホットプレート上に30分間静置した(加熱工程)。滴下工程と加熱工程とのサイクルを3サイクル繰り返した。なお、Agナノメタルインクとして、以下の組成を有したインクを用いた。これにより、試験例1のカーボンナノチューブ電極を得た。
・Ag濃度 23質量%
・分散媒 トルエンおよびオクタン
・平均粒径 約5nm
[試験例2]
試験例1において熱CVD法の処理時間を短くした以外は、試験例1と同様の方法によって試験例2のカーボンナノチューブ電極を得た。
[試験例3]
試験例2において熱CVD法の処理時間を短くした以外は、試験例2と同様の方法によって試験例3のカーボンナノチューブ電極を得た。
[試験例4]
試験例3において熱CVD法の処理時間を短くした以外は、試験例3と同様の方法によって試験例4のカーボンナノチューブ電極を得た。
[評価方法]
[カーボンナノチューブ電極の外観]
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて各試験例のカーボンナノチューブ電極を観察した。この際に、バンドルにおける第1端部、第2端部、および、炭素繊維の延在方向における中央部をそれぞれ観察した。
図4は、試験例1のカーボンナノチューブ電極を撮影したSEM画像である。図5は、試験例1のカーボンナノチューブ電極のなかで、バンドルの第1端部を撮影したSEM画像であり、図4における領域Aを撮影したSEM画像である。図6は、試験例1のカーボンナノチューブ電極のなかで、バンドルの第2端部を撮影したSEM画像であり、図4における領域Bを撮影したSEM画像である。
図4が示すように、試験例1のカーボンナノチューブ電極において、複数の炭素繊維がそれぞれ延在方向、すなわち、Ni箔の表面に対する垂直方向に沿って延びていることが認められた。また、図5および図6が示すように、複数のAg粒子が、延在方向における全体にわたってバンドルに担持されていることが認められた。さらに、第1端部に担持されたAg粒子が、第2端部に担持されたAg粒子よりも大きいことが認められた。
なお、試験例1のカーボンナノチューブ電極に限らず、試験例2から試験例4のカーボンナノチューブ電極においても、試験例1のカーボンナノチューブ電極と同等の傾向が認められた。
また、試験例3のカーボンナノチューブ電極では、複数のAg粒子が有する金属光沢が、他の試験例のカーボンナノチューブ電極において複数のAg粒子が有する金属光沢よりも弱いことが認められた。さらに、試験例4のカーボンナノチューブ電極では、7μm程度の厚さを有したAgの膜が、バンドルの第1端部上に形成されていることが認められた。
[炭素繊維の長さ]
各試験例のカーボンナノチューブ電極を1辺の長さが15mmであり、厚さが1mmである銅板で挟むことによって、測定試料を作成した。各測定試料において、銅板間の距離を各試験例のカーボンナノチューブが備える炭素繊維の長さとして測定した。なお、炭素繊維の長さの測定には、マイクロメーターを用いた。
[接触抵抗]
各試験例の測定試料について、接触抵抗測定器((株)インテスコ製)を用いて、JIS K 7194に準拠した方法によって接触抵抗を測定した。接触抵抗を測定する際には、まず、測定試料に印加する荷重を30N、40N、50N、70N、100N、および、125Nに次第に増加させ、各荷重での接触抵抗を測定した。次いで、測定試料に印加する荷重を100N、70N、50N、40N、および、30Nに次第に減少させ、各荷重での接触抵抗を測定した。なお、荷重を増加させつつ接触抵抗を測定すること、および、荷重を減少させつつ接触抵抗を測定することを1回の測定とし、3回の測定における平均値を各試験例における接触抵抗として算出した。
なお、各試験例について、複数の炭素繊維が形成されたNi箔の一部を直径が14mmとなるように打ち抜いたのみの試験片を準備した。そして、1辺の長さが15mmであり、厚さが1mmである銅板で挟むことによって、対照測定試料を作成した。対照測定試料についても、上述した測定試料と同様の方法によって接触抵抗を測定した。
[評価結果]
[炭素繊維の長さ]
試験例1のカーボンナノチューブ電極において、炭素繊維の長さが528μmであり、試験例2のカーボンナノチューブ電極において、炭素繊維の長さが464μmであることが認められた。また、試験例3のカーボンナノチューブ電極において、炭素繊維の長さが228μmであり、試験例4のカーボンナノチューブ電極において、炭素繊維の長さが127μmであることが認められた。
[接触抵抗]
図7から図10を参照して、接触抵抗の評価結果を説明する。なお、図7は、試験例1の評価結果を示すグラフであり、図8は、試験例2の評価結果を示すグラフである。また、図9は、試験例3の評価結果を示すグラフであり、図10は、試験例4の評価結果を示すグラフである。
図7が示すように、試験例1では、測定試料および対照測定試料の両方において、測定試料および対照測定試料に印加する荷重を大きくするほど、接触抵抗が小さくなることが認められた。また、荷重が125Nである場合に、対照測定試料での接触抵抗が226mΩであり、測定試料での接触抵抗が22.5mΩであることが認められた。このように、試験例1によれば、バンドルが複数のAg粒子を担持することによって、カーボンナノチューブ電極が大幅に低抵抗化されることが認められた。
図8が示すように、試験例2では、測定試料および対照測定試料の両方において、測定試料および対照測定試料に印加する荷重を大きくするほど、接触抵抗が小さくなる傾向を有することが認められた。また、荷重が125Nである場合に、対照測定試料での接触抵抗が228mΩであり、測定試料での接触抵抗が8.1mΩであることが認められた。このように、試験例2によれば、バンドルが複数のAg粒子を担持することによって、カーボンナノチューブ電極が大幅に低抵抗化されることが認められた。
図9が示すように、試験例3では、測定試料および対照測定試料の両方において、測定試料および対照測定試料に印加する荷重を大きくするほど、接触抵抗が小さくなる傾向を有することが認められた。また、荷重が125Nである場合に、対照測定試料での接触抵抗が233mΩであり、測定試料での接触抵抗が36.6mΩであることが認められた。このように、試験例3によれば、バンドルが複数のAg粒子を担持することによって、カーボンナノチューブ電極が大幅に低抵抗化されることが認められた。
図10が示すように、試験例4では、測定試料および対照測定試料の両方において、測定試料および対照測定試料に印加する荷重を大きくするほど、接触抵抗が小さくなる傾向を有することが認められた。また、荷重が125Nである場合に、対照測定試料での接触抵抗が218mΩであり、測定試料での接触抵抗が6.8mΩであることが認められた。このように、試験例4によれば、バンドルが複数のAg粒子を担持することによって、カーボンナノチューブ電極が大幅に低抵抗化されることが認められた。
また、試験例1から試験例4によれば、カーボンナノチューブ電極が備える炭素繊維の長さに関わらず、バンドルが複数のAg粒子を担持することによって、カーボンナノチューブ電極における接触抵抗が低くなることが認められた。
なお、試験例3のカーボンナノチューブ電極では、上述したように、Ag粒子の金属光沢が、他の試験例におけるAg粒子の金属光沢が弱いことが認められた。そのため、試験例3のカーボンナノチューブ電極では、他の試験例のカーボンナノチューブ電極に比べて、Ag粒子の加熱による分散剤の脱離が不十分であると考えられる。結果として、試験例3のカーボンナノチューブ電極では、他の試験例のカーボンナノチューブ電極に比べて、対照測定対象の接触抵抗に対する測定対象の接触抵抗の減少率が低いと考えられる。
[カーボンナノチューブ電極の柔軟性]
[試験例5]
試験例1において熱CVD法の処理時間を短くし、かつ、バンドルにAg粒子を担持させない以外は、試験例1と同様の方法によって試験例5のカーボンナノチューブ電極を得た。
[評価方法]
各試験例のカーボンナノチューブ電極について、炭素繊維の長さを上述した方法によって測定した。各試験例のカーボンナノチューブ電極に対して荷重を印加する前における炭素繊維の長さを、炭素繊維における初期の長さとした。そして、接触抵抗を測定するときと同様の段階的な荷重を1回印加した後、2回印加した後、および、3回印加した後のそれぞれにおいて、各試験例のカーボンナノチューブ電極における炭素繊維の長さを測定した。
[評価結果]
各試験例のカーボンナノチューブ電極について、炭素繊維の長さを4回ずつ測定した結果は、以下の表1に示す通りであった。
表1が示すように、試験例1において、初期の長さが551μmであり、1回目の印加が終了したときの長さが530μmであり、2回目の印加が終了したときの長さが517μmであり、3回目の印加が終了したときの長さが510μmであることが認められた。
試験例2において、初期の長さが462μmであり、1回目の印加が終了したときの長さが448μmであり、2回目の印加が終了したときの長さが438μmであり、3回目の印加が終了したときの長さが434μmであることが認められた。
試験例3において、初期の長さが276μmであり、1回目の印加が終了したときの長さが253μmであり、2回目の印加が終了したときの長さが254μmであり、3回目の印加が終了したときの長さが253μmであることが認められた。
試験例4において、初期の長さが149μmであり、1回目の印加が終了したときの長さが149μmであり、2回目の印加が終了したときの長さが148μmであり、3回目の印加が終了したときの長さが149μmであることが認められた。
試験例5において、初期の長さが487μmであり、1回目の印加が終了したときの長さが481μmであり、2回目の印加が終了したときの長さが480μmであり、3回目の印加が終了したときの長さが475μmであることが認められた。
試験例5によるように、バンドルが複数のAg粒子を担持しない状態では、3回目の印加が終了したときでも、炭素繊維の長さが初期の長さに対する97.5%に維持されることが認められた。これに対して、試験例1では、3回目の印加が終了したときの長さが、初期の長さに対する93.9%であり、試験例2では、3回目の印加が終了したときの長さが、初期の長さに対する91.6%であることが認められた。また、試験例3では、3回目の印加が終了したときの長さが、初期の長さに対する92.7%であり、試験例4では、3回目の印加が終了したときの長さが、初期の長さに対する100%であることが認められた。
このように、カーボンナノチューブ電極において、バンドルが複数のAg粒子を担持した状態であっても、3回目の印加が終了したときの長さが、初期の長さに対する91.6%以上に維持されることが認められた。すなわち、試験例1から試験例4のカーボンナノチューブ電極は、柔軟性を有することが認められた。
以上説明したように、カーボンナノチューブ電極、フラットケーブル、および、カーボンナノチューブの製造方法の一実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)カーボンナノチューブ11Aよりも抵抗が低い金属粒子12によって各炭素繊維11が他の炭素繊維11と電気的に接続されるため、カーボンナノチューブ電極10が複数の金属粒子12を含まない場合に比べて、カーボンナノチューブ電極10の抵抗を低くすることができる。
(2)炭素繊維11同士が被覆部11Bによって架橋されることによって、複数の炭素繊維11における荷重に対する耐性が高くなり、かつ、複数の炭素繊維11が、荷重から開放されたときに復元する復元力を有することができる。
(3)金属粒子12が被覆部11Bの外表面に位置するため、1つの炭素繊維11が、その炭素繊維11の近傍に位置する他の炭素繊維11と金属粒子12によって電気的に接続されやすい。そのため、カーボンナノチューブ電極10の低抵抗化が図られやすい。
(4)炭素繊維11に担持された金属粒子12が、炭素繊維11から脱離しにくい。
(5)バンドル11Cの第1端部11C1をカーボンナノチューブ電極10の接続対象との接続端部とすることによって、カーボンナノチューブ電極10と接続対象とがより電気的に接続されやすくなる。
(6)電極として用いることに適した低い抵抗を有するカーボンナノチューブ電極10を得ることができる。
なお、上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[金属粒子]
・複数の金属粒子12において、第1端部11C1に位置する金属粒子12の平均径が、第2端部11C2に位置する金属粒子12の平均径以下であってもよい。この場合であっても、バンドル11Cに複数の金属粒子12が担持されることによって、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
・複数の金属粒子12は、炭素繊維11の一部によって貫かれた金属粒子12を含まなくてもよい。この場合であっても、バンドル11Cに複数の金属粒子12が担持されることによって、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
[炭素繊維]
・炭素繊維11は、カーボンナノチューブ11Aを覆う被覆部11Bを備えなくてもよい。あるいは、複数の炭素繊維11は、被覆部11Bを備える炭素繊維11と、被覆部11Bを備えていない炭素繊維11とを含んでもよい。この場合であってもバンドル11Cに複数の金属粒子12が担持されることによって、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
10…カーボンナノチューブ電極、11…炭素繊維、11A…カーボンナノチューブ、11B,21B…被覆部、11C…バンドル、11C1,21E1…第1端部、11C2,21E2…第2端部、12…金属粒子、13…基材、20…フラットケーブル、21…本体部、21A…支持部。

Claims (8)

  1. 延在方向に沿って延びる複数の炭素繊維であって、各炭素繊維がカーボンナノチューブを含む前記複数の炭素繊維と、
    前記複数の炭素繊維に担持された複数の金属粒子であって、前記複数の金属粒子は、前記延在方向において前記炭素繊維の全体に分散し、各炭素繊維を他の炭素繊維に電気的に接続する前記複数の金属粒子と、を備える
    カーボンナノチューブ電極。
  2. 前記炭素繊維は、前記カーボンナノチューブの外表面を覆い、非晶質な炭素から形成された被覆部をさらに備え、
    各炭素繊維は、当該炭素繊維が備える前記被覆部によって、他の炭素繊維に架橋されている
    請求項1に記載のカーボンナノチューブ電極。
  3. 前記複数の金属粒子は、前記被覆部の外表面に接した前記金属粒子を含む
    請求項2に記載のカーボンナノチューブ電極。
  4. 前記複数の金属粒子は、前記炭素繊維の一部によって貫かれた前記金属粒子を含む
    請求項1から3のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ電極。
  5. 複数の炭素繊維は、炭素繊維束を形成し、前記炭素繊維束は、前記延在方向において第1端部と第2端部とを有し、
    前記複数の金属粒子において、前記第1端部に担持された前記金属粒子の平均径が、前記第2端部に担持された金属粒子の平均径よりも大きい
    請求項1から4のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ電極。
  6. 前記複数の炭素繊維における密度が1010本/cm以上1011本/cm以下であり、各炭素繊維の長さが125μm以上530μm以下であり、
    前記複数の炭素繊維を支持する金属製の基材をさらに備え、
    前記基材の厚さが20μmであり、かつ、前記複数の炭素繊維に印加した荷重が125Nである場合に、前記カーボンナノチューブ電極の抵抗が、6.5mΩ以上37mΩ以下である
    請求項1から5のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ電極。
  7. 可撓性を有し、第1端部と第2端部とを有した帯状を有する本体部と、
    請求項1から6のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ電極と、を備え、
    前記カーボンナノチューブ電極は、前記第1端部と前記第2端部との少なくとも一方において、前記本体部から露出している
    フラットケーブル。
  8. 延在方向に沿って延びる複数の炭素繊維であって、各炭素繊維がカーボンナノチューブを含む前記複数の炭素繊維を形成することと、
    前記複数の炭素繊維に複数の金属粒子を形成するための材料を含むインクを接触させ、その後に、前記複数の炭素繊維を加熱することによって、前記延在方向において前記炭素繊維の全体に分散し、各炭素繊維を他の前記炭素繊維に電気的に接続する複数の金属粒子を前記複数の炭素繊維に担持させることと、を含む
    カーボンナノチューブ電極の製造方法。
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