JP2020100201A - 電動ステップ装置 - Google Patents

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Masaki Hayashi
林  正樹
忠夫 大脇
Tadao Owaki
忠夫 大脇
亘 岩月
Wataru Iwatsuki
亘 岩月
恭平 増田
Kyohei Masuda
恭平 増田
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Abstract

【課題】車両の傾斜状態に関わらず可動ステップを適切に移動させること。【解決手段】電動ステップ装置20は、乗員の乗車時には車両10の床面LFより下方かつ車両外側の使用時位置に可動ステップ21を位置させ乗員の乗降を補助し、不使用時には可動ステップ21を不使用時位置に収容する。モータ50は、可動ステップ21の移動機構200を駆動する。稼働状態検知部102は、モータ50の稼働状態を検知する。傾斜推定部104は、稼働状態検知部102により検知されたモータ50の稼働状態に基づいて車両10の傾斜状態を推定する。モータ出力制御部106は、傾斜推定部104により推定された車両10の傾斜状態に基づいて、モータ50の出力を制御する。【選択図】図7

Description

本発明は、モータにより移動可能な可動ステップにより乗員の乗降を補助する電動ステップ装置に関する。
従来、車高が高いミニバン等において、乗員の車両乗車時に乗降口付近に可動ステップを位置させ乗員の乗降を補助するとともに、不使用時には可動ステップを車体に収容する電動ステップ装置が採用されている。
例えば下記特許文献1では、車両フロアから乗降口へかけて一段低くなるように設けられた乗降用固定ステップの上方を覆い車両フロアの有効面積を拡大させるための回動可能な可動フロアと、車両外側に展開可能な補助ステップとしての可動ステップと、を備え、可動フロアおよび可動ステップには、リンク機構がそれぞれ設けられ、これらのリンク機構はベルト駆動によってひとつの駆動モータによって連動するように構成することにより、車両フロアの有効面積を拡大させる機能と車両乗降時の補助ステップとしての機能を両立させる提案がなされている。
特開2005−75053号公報
一般に、可動ステップを駆動させるモータは、車両が水平な(重力方向と直交して延在する)路面に停車していることを前提として回転数や駆動時間などのモータ駆動パラメータが設定されている。
しかしながら、車両が路肩などの傾斜がある地点に停車した場合、通常時(平行路面駐車時)と同じ駆動パラメータを適用すると、重力の影響で可動ステップの移動状態が異なってしまう可能性がある。
例えば、車両の右側が上、左側が下となるように傾いている時に、車体左側にある可動ステップを不使用時位置から使用時位置に移動する場合、可動ステップの移動ベクトルの重力方向成分が通常時よりも大きくなり、可動ステップの移動に必要な仕事量が通常時よりも小さくなる。
一方で、モータの駆動パラメータ、すなわちモータの仕事量は固定されているため、例えば可動ステップの移動量が通常時よりも大きくなったり、移動速度が上がったりする可能性がある。この結果、例えば可動ステップの位置が通常時とずれたり、可動ステップ本体や可動ステップを移動させるための部材が他の部材と干渉して接触音(打音)が発生する可能性がある。
特に、上記文献1のように元々の可動ステップの移動軌跡に重力方向成分が含まれている場合(縦スイング式の場合)、可動ステップを水平方向に移動させる横スイング式と比較して、可動ステップ移動時における重力の影響が大きいため、上記のような課題が顕著となる。
車両に傾斜センサを設けて車両の傾斜状態を検知し、モータ駆動パラメータを調整する方法も考えられるが、システムコストが上昇するという課題がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、車両の傾斜状態に関わらず可動ステップを適切に移動させることにある。
上述の目的を達成するため、請求項1の発明にかかる電動ステップ装置は、乗員の乗車時には車両床面より下方かつ車両外側の使用時位置に可動ステップを位置させ前記乗員の乗降を補助し、不使用時には前記可動ステップを不使用時位置に収容する電動ステップ装置であって、前記可動ステップの移動機構を駆動するモータと、前記モータの稼働状態を検知する稼働状態検知部と、前記稼働状態検知部により検知された前記モータの稼働状態に基づいて前記車両の傾斜状態を推定する傾斜推定部と、前記傾斜推定部により推定された前記車両の傾斜状態に基づいて、前記モータの出力を制御するモータ出力制御部と、を備えることを特徴とする。
請求項2の発明にかかる電動ステップ装置は、前記モータ出力制御部は、前記車両の前記可動ステップが設けられている側が地面方向に傾斜している際に前記可動ステップを前記不使用時位置から前記使用時位置に移動させる場合、前記車両が傾斜していない場合よりも前記モータの出力を低減させる、ことを特徴とする。
請求項3の発明にかかる電動ステップ装置は、前記モータ出力制御部は、前記車両の前記可動ステップが設けられている側への傾斜度合いが大きいほど、前記モータの出力の低減度合いを大きくする、ことを特徴とする。
請求項4の発明にかかる電動ステップ装置は、前記稼働状態検知部は、前記モータの回転数または前記モータに流れる電流の少なくともいずれかを検知し、前記傾斜推定部は、前記回転数が所定の基準回転数よりも大きい場合、または前記電流が所定の基準電流よりも小さい場合に、前記車両の前記可動ステップが設けられている側が地面方向に傾斜していると推定する、ことを特徴とする。
請求項5の発明にかかる電動ステップ装置は、前記傾斜推定部は、前記モータの稼働中の複数のタイミングにおける前記稼働状態に基づいて、前記車両の傾斜状態を推定する、ことを特徴とする。
請求項6の発明にかかる電動ステップ装置は、前記傾斜推定部は、前記モータの稼働開始から所定時間経過前における前記回転数が前記基準回転数よりも大きく、かつ前記所定時間経過後における前記電流が前記基準電流よりも小さい場合に、前記車両の前記可動ステップが設けられている側が地面方向に傾斜していると推定する、ことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、車両の傾斜状態に基づいて可動ステップを駆動するモータの出力を制御するので、可動ステップの移動量や移動速度を適切に調整することができ、例えば可動ステップの位置が通常時とずれたり、可動ステップ本体や可動ステップを移動させるための部材が他の部材と干渉して接触音(打音)が発生するのを防止する上で有利となる。また、モータの稼働状態に基づいて車両の傾斜状態を推定するので、傾斜センサを設ける必要がなく、車両のシステムコストを抑える上で有利となる。
請求項2の発明によれば、可動ステップが設けられている側が地面方向に傾斜している際に可動ステップを展開させる場合、車両が傾斜していない場合よりもモータの出力を低減させるので、可動ステップが使用時位置を超えて移動するのを防止することができる。
請求項3の発明によれば、可動ステップが設けられている側への傾斜度合いが大きいほど、モータの出力の低減度合いを大きくするので、より適切に可動ステップの停止位置を調整することができる。
請求項4の発明によれば、可動ステップを移動させるために必要な仕事量の大小に基づいて車両の傾斜状態を推定することができる。
請求項5の発明によれば、モータの稼働状態を複数のタイミングで取得して車両の傾斜状態を推定するので、車両の傾斜状態の推定精度を向上させる上で有利となる。
請求項6の発明によれば、異なるタイミングで取得した複数種類のパラメータ(モータの回転数と電流)を用いて車両の傾斜状態を推定するので、車両の傾斜状態の推定精度をより向上させる上で有利となる。
実施の形態にかかる電動ステップ装置20が搭載された車両10の構成を示す図である。 可動ステップ21の移動機構200の構成を示す図である。 可動ステップ21の移動機構200の構成を示す図である。 電動ステップ装置20の構成を示すブロック図である。 モータ50の回転数カーブを示すグラフである。 モータ50の電流カーブを示すグラフである。 モータ50の回転数カーブを示すグラフである。 車両10の傾斜状態を模式的に示す図である。 ステップECU100によるステップ移動処理の手順を示すフローチャートである。
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる電動ステップ装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1は、実施の形態にかかる電動ステップ装置20が搭載された車両10の構成を示す図である。
電動ステップ装置20(図4参照)は、車両10のドアが開放された際に可動ステップ21を展開し、乗員の乗降を支援するための装置である。すなわち、電動ステップ装置20は、乗員の乗車時には図1のように車両10の床面(本実施の形態では固定ステップLF)より下方かつ車両外側の使用時位置に可動ステップ21を位置させ乗員の乗降を補助し、不使用時には可動ステップ21を不使用時位置に収容する。
なお、不使用時位置とは、図3等に示すように、車両10の底面16の下方かつ車両内側(車体側面Dよりも車両中央寄り)の位置である。
本実施の形態では、可動ステップ21は車両10の左側のみに設置され、電動ステップ装置20は、車両10の左側の乗降口(助手席ドア12または左後席ドア14の少なくとも一方)が開放された際に可動ステップ21を展開させるものとする。図1では、左後席ドア14が開放されている状態を図示している。また、可動ステップ21は、助手席ドア12の下方から左後席ドア14の下方に渡って伸びるロングステップである。
なお、図1に示す可動ステップ21の取り付け位置や形状は一例であり、従来公知の様々な構造を適用可能である。
図2および図3は、可動ステップ21の移動機構200の構成を示す図であり、図2は、可動ステップ21が使用時位置にある場合(展開状態)のA矢視図(図2参照)、図3は、可動ステップ21が不使用時位置にある場合(収納状態)のA矢視図である。
なお、図2および図3において、符号Dは、閉状態の助手席ドア12または左後席ドア14の位置(車体側面D)を模式的に示している。
車両10の床面は、車両中央寄りのメインフロアHFが設けられ、乗降口に近い側にメインフロアHFより一段低い固定ステップLFが設けられている。メインフロアHFと固定ステップLFとの間は、固定ステップLFから垂直に立設する縦壁Wで接続されている。
可動ステップ21は、車両10の底面16にリンク24,26を介して揺動自在に支持されている。
より詳細には、車両10の底面16には、車幅方向に延在する取り付け部材23が車両10の前後方向に間隔を置いて2本取り付けられている。
2つの取り付け部材23間には、車幅方向に間隔を置いて車両前後方向に延在する2本のシャフト244,264が架け渡され、それらシャフト244,264は、2つの取り付け部材23A、23Bで回転可能に支持されている。
リンク24,26の一端は、それぞれのシャフト244,264に一体回転可能に取り付けられ、リンク24,26の他端242,262は、可動ステップ21に取着された取り付け部材22に回転可能に取り付けられている。
車幅方向内側のシャフト264には、シャフト264と一体的に回動する第1のレバー28が取付けられている。
また、車幅方向内側のシャフト264よりも車幅方向内側のメインフロアHFの下部の空間には、駆動用のモータ50、ステップECU100(図4参照)等からなる駆動部52が配置され、駆動部52の回転軸52Aに第2のレバー34の基端部が回転軸52Aと一体回転可能に取付けられている。
そして、第1のレバー28の先端と第2のレバー34の先端とはリンク30で連結されている。第1のレバー28の先端とリンク30とは、軸302を介して回転可能に連結され、第2のレバー34の先端とリンク30とは、軸304を介して回転可能に連結されている。
よって、回転軸52Aが駆動回転されると、第2のレバー34およびリンク30を介して、第1のレバー28が回動されることとなり、第1のレバー28と一体的に回動されるシャフト264が回動されて、可動ステップ21がリンク24,26を介して揺動する。この結果、可動ステップ21が図2に示す使用時位置と、図3に示す不使用時位置との間で移動し得ることとなる。本実施の形態では、可動ステップ21が車両の底面16に対して平行状態を保って移動する平行運動機構がリンク24,26を含んで構成されている。
なお、可動ステップ21を移動させる際は、後述するステップECU100によりモータ50の稼働状態を制御することにより、可動ステップ21の位置が適切で移動を停止させるようにする。
一方で、何らかの原因で可動ステップ21が過度に移動することを防止するため、取り付け部材23A,23Bの下面にはストッパ36,38が設けられている。ストッパ36,38は、可動ステップ21が使用時位置まで移動した際に、リンク24,26に当接してリンク24,26が現状よりも車幅方向外側へ移動するのを阻止するとともに、可動ステップ21が不使用時位置まで移動した際に、可動ステップ21に当接して可動ステップ21が現状よりも上方に移動するのを阻止する。
なお、可動ステップ21の移動機構200は、図2、図3に示したものに限らず、従来公知の様々な機構を適用可能である。
図4は、電動ステップ装置20の構成を示すブロック図である。
電動ステップ装置20は、上述した移動機構200の他、バッテリ52、ステップECU100を備える。
モータ50は、バッテリ52から供給される電力を用いて稼働し、上述した回転軸52Aを回転させる。
バッテリ52は、例えば車両10の補機バッテリであり、モータ50に電力を供給する。
ステップECU100は、電動ステップ装置20の稼働を制御する機能部であり、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
ステップECU100には、ドアスイッチ17およびメインスイッチ18が接続されている。
ドアスイッチ17は、車両10のドア毎に設けられており、乗員がドアの開閉を行う場合に操作する。ドアが閉状態にある時にドアスイッチ17が操作されると(開操作)、図示しないドアECUにより、車体に設けられたドア開口が開状態となるようにドア部材が移動され、ドアが開状態にある時にドアスイッチ17が操作されると(閉操作)、ドア開口が閉状態となるようにドア部材が移動される。
ステップECU100は、車両10の左側ドア(助手席ドア12および左後席ドア14)がいずれも閉状態にある時に、左側ドアの少なくとも1つのドアスイッチ17に対して開操作が行われた場合、可動ステップ21を不使用時位置から使用時位置に移動させる。また、左側ドアの少なくともいずれかが開状態にある時に、左側ドアがいずれも閉状態となるような閉操作が行われた場合、可動ステップ21を使用時位置から不使用時位置に移動させる。
メインスイッチ18は、インストゥルパネル等に設けられ、可動ステップ21の展開機能のオンオフを切り替えるための操作部である。メインスイッチ18に対して、可動ステップ21の展開機能をオンにする操作が行われている場合、ステップECU100は、上述したようにドアスイッチ17への操作に連動して可動ステップ21を不使用時位置と使用時位置との間で移動させる。また、メインスイッチ18に対して、可動ステップ21の展開機能をオフにする操作が行われている場合には、ドアスイッチ17への操作に関わらず可動ステップ21を不使用位置に収納したままにする。
また、ステップECU100は、上記CPUが上記制御プログラムを実行することにより、稼働状態検知部102、傾斜推定部104、モータ出力制御部106として機能する。
稼働状態検知部102は、モータ50の稼働状態を検知する。本実施の形態では、稼働状態検知部102は、稼働中のモータ50の回転数(モータ回転数)またはモータ50に流れる電流(モータ電流)の少なくともいずれかを検知する。すなわち、本実施の形態において、モータ50の稼働状態とは、モータ回転数またはモータ電流の少なくともいずれかである。
傾斜推定部104は、稼働状態検知部102により検知されたモータ50の稼働状態に基づいて車両10の傾斜状態を推定する。
本実施の形態では、傾斜推定部104は、車両が水平な路面に停車している際に可動ステップ21を使用時位置と不使用時位置との間で移動させる場合のモータ回転数またはモータ電流を基準回転数または基準電流とし、現在のモータ回転数またはモータ電流と比較することで、車両10の傾斜状態を推定する。
より詳細には、可動ステップ21を始めとする移動機構200の重量や機械効率、使用時位置と不使用時位置との間の距離等のパラメータは既知なので、図5の実線に示すような基準回転数、すなわち車両10が水平な路面に停車している際に可動ステップ21を不使用位置から使用位置まで移動させる場合のモータ回転数の時間変化(基準回転数カーブ)を算出可能である。
基準回転数カーブでは、モータ50が時刻T0に駆動を開始してから時刻T1までは最大回転数Maxまでモータ回転数を上げていく。時刻T1から時刻T2までは最大回転数Maxを維持する。時刻T2からは徐々に回転数を落としていき、時刻T3にはモータ50の回転が停止する。
このようにモータ50の回転数を制御することにより、車両10が水平な路面に停車している場合には、時刻T0に不使用時位置にあった可動ステップ21が、時刻T3には使用時位置まで移動する。
一方、車両が路肩などの傾斜がある地点に停車している場合、重力の影響によりモータ50の稼働状態が基準回転数と異なってくる。
例えば図8Bのように車両10の可動ステップ21が設けられている側(左側)が地面方向に傾斜している際に、可動ステップ21を不使用時位置(点線)から使用時位置(実線)に移動させる場合には、図8Aに示すように車両10が水平な路面に停車している場合(継常時)と比較して、可動ステップ21の移動ベクトルの重力方向成分が大きくなり、可動ステップ21の移動に必要な仕事量が通常時よりも小さくなる。
この結果、図5の一点破線で示すように、モータ50の回転数が最大となるタイミングが通常時(時刻T1)よりも早い時刻T1’となる。
このような状態で、通常時と同様にモータ50を駆動すると、モータ50の回転が停止する時刻T3よりも早いタイミングで可動ステップ21が使用位置まで移動してしまう。本実施の形態では、可動ステップ21の移動を規制するストッパ36,38が設けられているため、可動ステップ21が過度に移動することはないが、移動中のリンク24,26がストッパ36,38に当たるため、打音が発生する。また、ストッパ36,38が設けられていない場合には、可動ステップ21が使用位置を超えて移動してしまう。
また、例えば、図8Cのように車両10の可動ステップ21が設けられていない側(右側)が地面方向に傾斜している際に、可動ステップ21を不使用時位置(点線)から使用時位置(実線)に移動させる場合には、図8Aに示すように車両10が水平な路面に停車している場合と比較して、可動ステップ21の移動ベクトルの重力方向成分が小さくなり、可動ステップ21の移動に必要な仕事量が通常時よりも大きくなる。
この結果、図5の二点破線で示すように、モータ50の回転数が最大となるタイミングが通常時(時刻T1)よりも遅い時刻T1’’となる。
このような状態で、通常時と同様にモータ50を駆動すると、可動ステップ21が使用位置まで移動する前にモータ50の回転が停止してしまう。
傾斜推定部104は、上記のような基準回転数(基準回転数カーブ)とモータ50の実際の回転数との差に基づいて、車両10の傾斜状態を推定する。
すなわち、モータ50の駆動開始から第1の所定時間経過後(第1の所定時間とは、例えば上記時刻T1’となるまでのいずれかの時間)におけるモータ回転数(以下、「判定時回転数」という)を取得し、判定時回転数が基準回転数カーブ上の同時刻におけるモータ回転数(基準回転数)よりも多い場合には、車両10の可動ステップ21が設けられている側が地面方向に傾斜していると判断する。また、判定時回転数が基準回転数カーブ上の同時刻におけるモータ回転数(基準回転数)よりも少ない場合には、車両10の可動ステップ21が設けられていない側が地面方向に傾斜していると判断する。
この時、傾斜推定部104は、基準回転数と判定時回転数との差が大きいほど、車両10の傾斜の度合いが大きいと判断するようにしてもよい。
また、図6の実線は、車両10が水平な路面に停車している際に基準回転数で可動ステップ21を移動させる場合のモータ電流(基準電流)を示す。
一方、図6の一点破線は、図8Bのように車両10の可動ステップ21が設けられている側(左側)が地面方向に傾斜している場合のモータ電流を示す。この場合、可動ステップ21の移動に必要な仕事量が通常時よりも小さくなり、モータ50の消費電力も通常時よりも少なくなる。例えば、モータ50を最大回転数で駆動する際の最大モータ電流I1が、通常時における最大モータ電流I0よりも小さくなる。
また、図6の二点破線は、図8Cのように車両10の可動ステップ21が設けられていない側(右側)が地面方向に傾斜している場合のモータ電流を示す。この場合、可動ステップ21の移動に必要な仕事量が通常時よりも大きくなり、モータ50の消費電力も通常時よりも多くなる。例えば、モータ50を最大回転数で駆動する際の最大モータ電流I2が、通常時における最大モータ電流I0よりも大きくなる。
傾斜推定部104は、上記のような基準電流と実際のモータ電流との差に基づいて、車両10の傾斜状態を推定する。
すなわち、モータ50の駆動開始から第2の所定時間経過後(第2の所定時間とは、例えば上記時刻T1’’〜T2の中のいずれかの時間)におけるモータ電流(以下、「判定時電流」という)を取得し、判定時電流が基準電流カーブ上の同時刻におけるモータ電流(基準電流)よりも小さい場合には、車両10の可動ステップ21が設けられている側が地面方向に傾斜していると判断する。また、判定時電流が基準電流カーブ上の同時刻におけるモータ電流(基準電流)よりも大きい場合には、車両10の可動ステップ21が設けられていない側が地面方向に傾斜していると判断する。
また、この時、傾斜推定部104は、基準電流と判定時電流との差が大きいほど、車両10の傾斜の度合いが大きいと判断するようにしてもよい。
なお、モータ50の稼働状態は、様々な要因で瞬間的に変動する可能性があるため、傾斜推定部104は、モータ50の稼働中の複数のタイミングにおける稼働状態に基づいて車両10の傾斜状態を推定し、傾斜状態の推定精度を向上させてもよい。
この場合、例えばモータ回転数またはモータ電流のうち同じパラメータを時間間隔を置いて複数回取得して傾斜状態を推定するようにしてもよいが、モータ回転数とモータ電流の両方を時間間隔を置いてそれぞれ取得して傾斜状態を推定するようにしてもよい。
特に、モータ50の稼働開始から第3の所定時間経過前にはモータ回転数を、第3の所定時間経過後にはモータ電流を、それぞれ取得することにより、精度よく車両10の傾斜状態を推定することができる。
第3の所定時間とは、例えば図5および図6における時刻T1’’である。すなわち、モータ50の稼働開始直後(時刻T1’’より前)は、車両10の傾斜状態によってモータ回転数には差が生じるが、モータ電流には差が生じない。一方、モータ50の稼働開始からしばらく経ち(時刻T1’’以降、時刻T2まで)モータ回転数が最大になると、モータ回転数の差はなくなり、モータ電流に差が生じる。
このことを利用して、第3の所定時間経過前のモータ回転数が基準回転数よりも大きく、かつ第3の所定時間経過後のモータ電流が基準電流よりも小さい場合に、車両10の可動ステップ21が設けられている側が地面方向に傾斜していると推定する。また、第3の所定時間経過前のモータ回転数が基準回転数よりも小さく、かつ第3の所定時間経過後のモータ電流が基準電流よりも大きい場合に、車両10の可動ステップ21が設けられている側が地面方向に傾斜していると推定する。
これにより、複数のパラメータを利用して、より精度よく車両10の傾斜状態を推定することができる。
図4の説明に戻り、モータ出力制御部106は、傾斜推定部104により推定された車両10の傾斜状態に基づいてモータ50の出力を制御する。
より詳細には、モータ出力制御部106は、通常時(車両10が傾斜していない場合)は図5の実線に示すような基準回転数カーブに従ってモータ50の回転数(出力)を制御する。
また、モータ出力制御部106は、車両10の可動ステップ21が設けられている側が地面方向に傾斜している際に可動ステップ21を不使用時位置から使用時位置に移動させる場合、車両10が傾斜していない場合よりもモータ50の出力を低減させる。
具体的には、例えば図7の一点破線に示すように、モータ回転数が最大回転数Maxとなった後、これを維持する時間を通常時よりも短縮し、モータ回転数の低下を開始する時刻を早め時刻T2’(<T2)とする。この結果、通常時よりも早い時刻T3’(<T3)にはモータ50の回転が停止し、リンク24,26とストッパ36,38との接触による打音の発生や、可動ステップ21が使用位置を超えて移動するのを防止することができる。
また、モータ出力制御部106は、車両10の可動ステップ21が設けられていない側が地面方向に傾斜している際に可動ステップ21を不使用時位置から使用時位置に移動させる場合、車両10が傾斜していない場合よりもモータ50の出力を増大させる。
具体的には、例えば図7の二点破線に示すように、モータ回転数が最大回転数Maxとなった後、これを維持する時間を通常時よりも延長し、モータ回転数の低下を開始する時刻を時刻T2’’(>T2)とする。この結果、通常時よりも遅い時刻T3’’(>T3)までモータ50の回転が継続され、可動ステップ21が使用位置に移動するまでモータ50を稼働させることができる。
なお、モータ出力制御部106は、車両10の傾斜度合いに基づいて、モータ50の出力の増減度合いを変更してもよい。例えば、車両10が可動ステップ21の設けられている側に傾斜している場合には、傾斜度合いが大きいほどモータ50の出力の低減度合いを大きくし、モータ回転数の低下を開始する時刻をより早めるようにする、などである。
図9は、ステップECU100によるステップ移動処理の手順を示すフローチャートである。図9では、不使用時位置にある可動ステップ21を使用時位置へと移動させる展開時の処理について例を挙げて説明する。また、図9では、モータ回転数を用いて車両10の傾斜を推定するものとする。
ステップECU100は、乗員により車両10の左側ドアの開操作(ドアスイッチ17のオン)が行われたか否かを判断する(ステップS800)。左側ドアの開操作が行われると(ステップS800:Yes)、ステップECU100は、可動ステップ21の展開機能がオンとなっているか否かを判断する(ステップS802)。展開機能がオフの場合は(ステップS802:No)、可動ステップ21は不使用時位置から移動させないので、そのままステップS800に戻る。
一方、展開機能がオンの場合(ステップS802:Yes)、ステップECU100は、モータ出力制御部106により通常時(水平路面停車時)と同様の出力でモータ50を稼働させる(ステップ804)。
モータ50の稼働開始から所定時間経過するまでは(ステップS806:Noのループ)、通常の出力でモータ50の稼働を継続する(ステップ804)。
モータ50の稼働開始から所定時間経過すると(ステップS806:Yes)、稼働状態検知部102によりモータ50の稼働状態(モータ回転数)を検知する(ステップS808)。
傾斜推定部104は、ステップS808で検知したモータ回転数(判定時回転数)と基準回転数とを比較し、モータ回転数と基準回転数とが略同一(モータ回転数と基準回転数との差分が予め設定した許容範囲内)であれば、車両は傾斜していないと判断する(ステップS810)。この場合、モータ出力制御部106は、通常出力でのモータ50の稼働を継続する。
また、傾斜推定部104は、判定時回転数が基準回転数よりも上記許容範囲を超えて大きい場合には(ステップS814:Yes)、車両10の可動ステップ21が設けられている側が地面方向に傾斜していると判断する(ステップS816)。この場合、モータ出力制御部106は、モータ50の出力を通常出力よりも低減させる。
また、傾斜推定部104は、ステップS808で検知したモータ回転数が基準回転数よりも上記許容範囲を超えて小さい場合には(ステップS810:No)、車両10の可動ステップ21が設けられていない側(可動ステップ反対側)が地面方向にして傾斜していると判断する(ステップS818)。この場合、モータ出力制御部106は、モータ50の出力を通常出力よりも増大させる。
そして、可動ステップ21が使用時位置まで移動すると(ステップS820:Yes)、本フローチャートの処理を終了する。
以上説明したように、実施の形態にかかる電動ステップ装置20は、車両10の傾斜状態に基づいて可動ステップ21を駆動するモータ50の出力を制御するので、可動ステップ21の移動量や移動速度を適切に調整することができ、例えば可動ステップ21の位置が通常時とずれたり、可動ステップ21本体や可動ステップ21を移動させるための部材が他の部材と干渉して接触音(打音)が発生するのを防止する上で有利となる。
また、モータ50の稼働状態に基づいて車両10の傾斜状態を推定するので、傾斜センサを設ける必要がなく、車両10のシステムコストを抑える上で有利となる。
10 車両
12 助手席ドア
14 左後席ドア
16 底面
17 ドアスイッチ
18 メインスイッチ
20 電動ステップ装置
21 可動ステップ
50 モータ
100 ステップECU
102 稼働状態検知部
104 傾斜推定部
106 モータ出力制御部
200 移動機構

Claims (6)

  1. 乗員の乗車時には車両床面より下方かつ車両外側の使用時位置に可動ステップを位置させ前記乗員の乗降を補助し、不使用時には前記可動ステップを不使用時位置に収容する電動ステップ装置であって、
    前記可動ステップの移動機構を駆動するモータと、
    前記モータの稼働状態を検知する稼働状態検知部と、
    前記稼働状態検知部により検知された前記モータの稼働状態に基づいて前記車両の傾斜状態を推定する傾斜推定部と、
    前記傾斜推定部により推定された前記車両の傾斜状態に基づいて、前記モータの出力を制御するモータ出力制御部と、
    を備えることを特徴とする電動ステップ装置。
  2. 前記モータ出力制御部は、前記車両の前記可動ステップが設けられている側が地面方向に傾斜している際に前記可動ステップを前記不使用時位置から前記使用時位置に移動させる場合、前記車両が傾斜していない場合よりも前記モータの出力を低減させる、
    ことを特徴とする請求項1記載の電動ステップ装置。
  3. 前記モータ出力制御部は、前記車両の前記可動ステップが設けられている側への傾斜度合いが大きいほど、前記モータの出力の低減度合いを大きくする、
    ことを特徴とする請求項2記載の電動ステップ装置。
  4. 前記稼働状態検知部は、前記モータの回転数または前記モータに流れる電流の少なくともいずれかを検知し、
    前記傾斜推定部は、前記回転数が所定の基準回転数よりも大きい場合、または前記電流が所定の基準電流よりも小さい場合に、前記車両の前記可動ステップが設けられている側が地面方向に傾斜していると推定する、
    ことを特徴とする請求項2または3記載の電動ステップ装置。
  5. 前記傾斜推定部は、前記モータの稼働中の複数のタイミングにおける前記稼働状態に基づいて、前記車両の傾斜状態を推定する、
    ことを特徴とする請求項4記載の電動ステップ装置。
  6. 前記傾斜推定部は、前記モータの稼働開始から所定時間経過前における前記回転数が前記基準回転数よりも大きく、かつ前記所定時間経過後における前記電流が前記基準電流よりも小さい場合に、前記車両の前記可動ステップが設けられている側が地面方向に傾斜していると推定する、
    ことを特徴とする請求項5記載の電動ステップ装置。
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