JP2020099848A - 霧化用振動子及び霧化装置 - Google Patents

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和之 池浜
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Abstract

【課題】駆動時に無水状態となったときに生じる瞬間的な温度上昇に伴う振動子の劣化を防止し、霧化用液体を使い切ることを可能とする霧化用振動子、及び、それを備えた霧化装置を提供することを目的とする。【解決手段】この目的を達成するため、本件出願の霧化用振動子は、板状の圧電体と、圧電体の一面に設けた第1電極と、圧電体の他面に設けた第2電極と、を備えたものであって、これら第1電極及び第2電極のうち、少なくともいずれか一方の電極として、圧電体の中央部に対応する位置に空孔を備えた環状電極を用いる。【選択図】図1

Description

本件出願は、霧化用液体に超音波振動を与えて霧化する霧化用振動子及びそれを備えた霧化装置に関する。
従来より、液体を霧化する方式として、超音波振動方式がある。超音波振動方式を採用した霧化装置として、例えば、超音波加湿器がある。超音波加湿器では、一般に、霧化用液体を貯留する貯液タンクの底部に超音波振動子が設置されている。この超音波振動子に高周波の交番電圧を印加すると、超音波振動子が高周波振動し、この高周波振動する超音波振動子に直接または間接的に接触する霧化用液体が微粒子化される。微粒子化された液体は、送風ファン等によって霧として霧化装置の外部に送り出される。また、超音波振動方式を採用した霧化装置として、医療用吸入器(ネブライザー)がある。医療用吸入器では、一般に、薬液を吸入器の貯液タンクに投入し、上記超音波加湿器と同様の方法にて薬液を微粒子化して吸入用ノズルに送出し、患者ごとに定められた時間、すなわち所定量を患者が吸入する。
この種の霧化装置では、例えば、特許文献1に開示の霧発生装置のように、容器内の液体の水位(液面)を検出する水位センサを設け、水位センサの出力に応じて、給水タンクから給水を行い、容器内の液体の水位を制御していた。
また、特許文献2に開示のミスト発生装置は、液貯留部の所定位置にインピーダンス検知式センサ機構を備え、このインピーダンス検知式センサ機構を構成する電極間の抵抗値に基づき、液貯留部の液切れを検知していた。
特許文献2に代表されるように、霧化装置では、貯液タンクの液切れを検出するセンサが設けられていることが多いが、このセンサの取付位置は、特許文献2の図1からも分かるように、振動子の上面よりも高い。これは、霧化用液体が無くなり、超音波振動子が無水状態で駆動すると、自己の振動による発熱で振動子自体の温度が急激に高温になり、振動子の劣化、場合によっては破壊を招く可能性があるからである。そこで、従来では、振動子の上面よりも高い位置で液切れを検知し、振動子が無水駆動状態となることを回避していた。そのため、振動子の上面に霧化用液体が残留することは避けられないものであった。
霧化用液体の残留は、霧化装置を移動する際や片づける際に、残留液の処理が必要になるという問題があった。また、霧化装置を使用者ごとに吸入量が定められる医療用吸入器として使用する場合には、残留分を計算しておく必要があるという問題があった。
また、特許文献3に開示の霧化装置では、電気的振動子の駆動インピーダンス検出部からの信号を検出し、この信号を所定値と比較して、加圧室中に噴霧されるべき液体が充填されているか、すなわち液体の有無を検出する。また、インピーダンスが急激に低下したことにより空打ち状態に陥ったことを検知し圧電素子の駆動を停止する技術が開示されている。
しかしながら、超音波振動子表面に少量の霧化用液体が残留している場合と、霧化用液体が霧化により消滅した直後では、振動子に掛かる負荷自体が大きく変化するわけではないため、検出されるインピーダンスにも大きな差が生じないので無水駆動の検出が難しいものであった。霧化液の存在は、振動子を冷却する役目も担うものであるため、霧化液が消滅し、振動子自体が自己発熱する状況では、その温度上昇速度は相当に早く、インピーダンスの変化が検出されてから駆動を停止しても振動子の劣化や破壊を確実に防止することが困難であった。
特開2009−28584号公報 特開平5−208151号公報 特開昭59−73071号公報
上述のとおり、市場からは貯液タンク内の霧化用液体を最後まで使い切りたいという要求がある。一方で、従来の霧化装置では、振動子を無水駆動状態にできないという問題があった。
以上のことから理解できるように、本件出願は、駆動時に無水状態となったときに生じる瞬間的な温度上昇に伴う振動子の劣化あるいは破壊を防止し、霧化用液体を使い切ることを可能とする霧化用振動子、及び、それを備えた霧化装置を提供することを目的とする。
そこで、本件出願の発明者らは、鋭意検討の結果、以下の霧化用振動子及びそれを備えた霧化装置を提供するに至った。
本件出願に係る霧化用振動子: 本件出願に係る霧化用振動子は、板状の圧電体と、当該圧電体の一面に設けた第1電極と、当該圧電体の他面に設けた第2電極と、を備えたものであって、これら第1電極及び第2電極のうち、少なくともいずれか一方の電極が、前記圧電体の中央部に対応する位置に空孔を備えた環状電極であることを特徴とする。
本件出願に係る霧化用振動子は、前記圧電体の一面が、霧化用液体側に配置する振動放射面であり、当該振動放射面の反対側に位置する配線面に設けた前記第2電極が前記環状電極であることが好ましい。
本件出願に係る霧化用振動子は、前記圧電体の一面が、霧化用液体側に配置する振動放射面であり、当該振動放射面に設けた前記第1電極が前記環状電極であることも好ましい。
また、本件出願に係る霧化用振動子は、前記振動放射面側の前記第1電極表面を被覆する保護層を備えたものであることも好ましい。
この保護層は、無機材料、又は、樹脂材料のいずれか、若しくは、これらから選ばれた一種以上の組合せにより構成したものであることがより好ましい。
さらに、本件出願に係る霧化用振動子は、前記第1電極及び前記第2電極が前記圧電体の厚さ方向において重合する駆動領域の面積に対する前記環状電極の空孔面積の割合が、1面積%以上10面積%以下であることが好ましい。
本件出願に係る霧化装置: 本件出願に係る霧化装置は、霧化用液体を貯留する貯液タンクの底部に、上述した霧化用振動子を備えたものであって、当該霧化用振動子の温度に基づき、当該霧化用振動子への通電を制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
本件出願に係る霧化用振動子は、負荷振動状態から無負荷振動状態に移行した直後における霧化用振動子自体の温度上昇を緩やかにできる。これにより、温度上昇に基づいて無負荷状態を検出してから駆動を停止しても振動子が熱により劣化あるいは破壊することを抑制できる。よって、霧化用液体を使い切ることができるようになる。
本実施の形態に係る霧化用振動子の概略断面図である。 図1の霧化用振動子の配線面の平面図である。 弾性パッキンを装着した霧化用振動子の概略断面図である。 他の実施の形態に係る霧化用振動子の概略断面図である。 霧化装置の概略構成図である。 実施例1及び比較例1の霧化用振動子に対し、無負荷振動状態で高周波電圧を印加した場合の温度変化を示す図である。 実施例2〜実施例5及び比較例2の霧化量を示す図である。
以下、本件出願に係る霧化用振動子及び霧化装置の実施の形態について図面を参照して説明する。まずはじめに、霧化用振動子について説明し、その後で、この霧化用振動子を備えた霧化装置について説明する。
(1)霧化用振動子
本件出願に係る霧化用振動子は、板状の圧電体と、圧電体の一面に設けた第1電極と、圧電体の他面に設けた第2電極とを備えている。本件出願に係る霧化用振動子は、これら第1電極と第2電極のうちの少なくともいずれか一方の電極が、圧電体の中央部に対応する位置に空孔を備えた環状電極であることを特徴とする。本件出願に係る霧化用振動子の代表形態として、図1に第2電極を環状電極とした霧化用振動子10を示し、図4に第1電極を環状電極とした霧化用振動子20を示している。図1及び図4で開示する霧化用振動子は、環状電極とした電極が、第1電極12であるか第2電極13であるかの点で相違する。よって、図4において図1と同符号が付されたものは、同様の技術概念が適用でき、同様の効果を奏することを明記しておく。
この図1及び図4から理解できるように、本件出願に係る霧化用振動子は、圧電体の少なくとも一方の面に配置した電極の中央部に空孔を備える環状電極が配置されている。この環状電極を採用することで、霧化用振動子が、霧化用液体が存在する負荷振動状態から、無負荷振動状態に移行した直後における霧化用振動子の温度上昇を緩やかにすることができる。よって、温度上昇に基づいて無負荷状態を検出してから、霧化用振動子の駆動を停止しても、霧化用振動子自体が熱で劣化あるいは破壊する現象を抑制できる。従って、霧化用振動子が霧化用液体を使い切る無負荷状態まで駆動させることが可能となる。以下の説明においては、主に図1に示した霧化用振動子10を用いて説明する。
図1に示す霧化用振動子10は、円板状の圧電体11と、圧電体11の一面に設けた層状の第1電極12と、圧電体11の他面に設けた環状電極である層状の第2電極13とを備えている。圧電体11の一面は、霧化用液体W側に位置する振動放射面11aであり、他面は、霧化用振動子10に設けた各電極12、13に電気的に接続する配線面11bである。以下、「第1電極及び第2電極」、「圧電体」の順に説明する。
第1電極及び第2電極: 第1電極12及び第2電極13は、いずれも、圧電体11よりも小径であり、圧電体11の各面の中央部11cに、この圧電体11と同心状に配置している。また、圧電体11の振動放射面11aに配置する第1電極12は、図1から理解できるように、配線面11b側に引き出した舌片の接続部15を備えることが好ましい。このような形状の第1電極12を採用することにより、後述する弾性パッキン19に装着した状態でも、第1電極12を配線面11b側に出すことができ、圧電体11の一面側から電気的接続を確保することが可能となるからである。これら第1電極12及び第2電極13は、いずれも圧電体11の各面に対して、焼き付けや、めっき、スパッタリング蒸着等により形成することができる。
図2には、図1に示す振動放射面11aと配線面11bとを備える霧化用振動子10において、配線面11b側からみた平面図を示す。この図2では、環状電極である第2電極13が、圧電体11の配線面11bの面内における中心を含む中心部11cに対応する位置に空孔16を備える状態が確認できる。この空孔16は、厳密に圧電体11の配線面11bの中心を含む位置に形成することを要求するものではなく、中心付近のある一定の中心領域に対応して形成したものであればよい。なお、図2では、空孔16を円形に形成しているが、本件出願では、空孔16の形状を円形に限定するものではない。本実施の形態では、圧電体11や第2電極13を円板状に形成していることや、加工性を考慮して、第2電極13の空孔16を円形としている。
また、環状電極が備える空孔16の大きさは、第1電極12及び第2電極13の駆動領域の面積に応じて決定することが好ましい。ここで、駆動領域とは、圧電体11の厚さ方向において対を成す電極が重合する、すなわち厚み方向で重なり合う領域とする。この駆動領域には、空孔16部分は含まないことを念のために述べておく。本件出願において、この駆動領域の面積に対する空孔16の面積の割合は、1面積%以上10面積%以下とすることが好ましい。駆動領域の面積に対する空孔16の面積の割合が、この範囲内であれば、空孔16を設けない場合と比べて霧化効率が低下する不都合を抑制することができるからである。
上述した第1電極12及び第2電極13を構成する材料としては、電極として用いることが可能なものであれば、特に限定はない。また、第1電極12及び第2電極13の厚さは、特に限定しないが、通電効率や、耐久性等を考慮すると3μm〜10μmであることが好ましい。本実施の形態では、第1電極12、第2電極13ともに、厚さが7μmの銀電極を用いている。
上述した霧化用振動子10は、振動放射面11aに配置した第1電極12の表面を被覆する保護層17を備えることが好ましい。保護層17は、第1電極12を構成する材料よりも耐食性に優れたものであればよい。例えば、金属や、ガラスなどの無機材料、又は、エポキシ樹脂などに代表される樹脂材料のいずれか、若しくは、これらから選ばれた一種以上の組合せにより構成したものを用いることができる。
図1に示す霧化用振動子10では、保護層17としてステンレス製の金属板を用いている。霧化用振動子10において発生した超音波の振動エネルギーを効率的に液面に向けて発振するため、振動放射面11aに配置した第1電極12の表面と保護層17とは、接合剤を介して接着することが好ましい。図1では、接合剤からなる層を接合剤層18として図示する。本件出願において、接合剤に特に限定はないが、エポキシ系接着剤やアクリル系接着剤などを用いることができる。
圧電体: 本件出願における圧電体11は、圧電セラミックスなどの圧電材料で構成した所定の厚さを備える板状のものであり、この厚さ方向を分極方向とするものである。圧電体11は、その表面に配置した第1電極12及び第2電極13を介して印加する高周波電圧(「高周波駆動信号」とも称する。)の向きによって、収縮、伸長して、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換し、振動状態を形成する。圧電セラミックスとしては、ペロブスカイト型の酸化物、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)や、ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(PZTN)等を挙げることができる。ただし、本件出願では、これらに限定するものではない。
霧化用振動子の組立方法: 本件出願に係る霧化用振動子10は、圧電体11の振動放射面11aに第1電極12を配置し、配線面11bに第2電極13を配置して、第1電極12の表面に保護層17を配置した状態で、弾性パッキン19によって、図3に示すように一体化したものである。この弾性パッキン19を装着した霧化用振動子10を図3に示す。弾性パッキン19は、霧化用振動子10の外形に応じて環状に形成した弾性材料からなる。弾性材料としては、耐熱シリコンゴム、ブタジエンゴム等を採用できる。弾性パッキン19の内周面には、保護層17、第1電極12、圧電体11、第2電極13を保持する環状の保持溝を備えることが好ましい。
(2)霧化装置
次に、本件出願に係る霧化用振動子を備えた霧化装置1について図5を参照して説明する。ここでは、本件出願に係る霧化用振動子として、上述してきた図1の霧化用振動子10を用いた場合を例に挙げて説明する。霧化装置1は、霧化用液体Wを貯留する貯液タンク2と、貯液タンク2内に貯留された霧化用液体Wを霧化する霧化用振動子10とを備えている。
貯液タンク2は、底部(底面)2aに、霧化用振動子10を配置する貫通孔4を備えている。貯液タンク2の貫通孔4に霧化用振動子10を装着することで、圧電体11の振動放射面11aは、貯液タンク2内の霧化用液体Wの液面に向けて配置することができる。
貯液タンク2は、例えば、合成樹脂や金属材料などによって構成することができる。本実施の形態において霧化用液体Wは、水道水を用いる。しかし、霧化用液体Wは、水道水等の水に限定されるものではなく、薬液や、芳香液等の霧化の対象となるものであれば、いずれの液体であってもよい。
霧化装置1は、霧化用振動子10の駆動を制御する駆動部30を備えている。駆動部30は、霧化用振動子10の電極12、13に高周波駆動信号を出力するものであり、制御部31と、高周波発振部32と、ON/OFFスイッチ33とを備えている。
制御部31の入力側には、霧化用振動子10が無水状態であることを検出する無水検出部34及び電源スイッチ38が接続されている。制御部31の出力側には、ON/OFFスイッチ33が接続されている。よって、制御部31は、無水検出部34からの出力に基づき、ON/OFFスイッチ33に電極12、13への通電/非通電を切り替える指令信号を出力することができる。本件出願において、無水検出部34は、霧化用振動子10が無水駆動状態となっていることを検出可能なものであれば、特に限定はない。霧化用振動子10を無水状態で駆動すると、自己発熱により霧化用振動子10自体が温度上昇するため、無水検出部34としては、霧化用振動子10の温度を検出するサーミスタを用いることが有効である。また、電極12、13の通電状態を監視し、自己発熱による霧化用振動子10の通電状態の変化、つまり霧化用振動子10のインピーダンス特性の変化に基づき、霧化用振動子10が無水駆動状態となっていることを検出することも有効である。
高周波発振部32は、図示しない外部電源(例えば50Hzの商用電源)に接続することで、外部電源から高周波駆動信号を生成して、霧化用振動子10の電極12、13に出力する。
ON/OFFスイッチ33は、制御部31からの指令信号に基づき、霧化用振動子10の電極12、13への通電/非通電を切り替える。電極12は、振動放射面11a側から配線面11b側に引き出した接続部15に給電用配線36を介してON/OFFスイッチ33に接続している。電極13は、配線面11bに給電用配線37を介してON/OFFスイッチ33に接続している。
なお、本件出願は、支障なく霧化用液体を使い切ることを可能とすることを目的とするため、本実施例では、貯液タンク2への霧化用液体Wの補充機構については記載していない。しかし、本件出願は、例えば、液位センサの出力に応じて霧化用液体Wを貯液タンク2に補充する手段を備えることを除外する趣旨ではないことを念のために述べておく。
以上の構成により、上述した霧化装置1の動作について説明する。貯液タンク2内に霧化用液体Wが貯留された状態で、電源スイッチ38をONにすると、制御部31は、ON/OFFスイッチ33を通電に切り替える指令信号を出力する。これにより、高周波発振部32は、霧化用振動子10の電極12、13に高周波駆動信号を出力する。電極12、13間に高周波の交流電圧を印加すると、霧化用振動子10から発生した超音波の振動エネルギーは、貯液タンク2の液面に伝わり、音圧が高い中心位置で液面が隆起して、そこから微細な霧が発生し、飛散する。
貯液タンク2内の霧化用液体Wの霧化が進み、無水検出部34が、霧化用振動子10が無水状態で駆動していることを検出すると、制御部31はON/OFFスイッチ33を非通電に切り替える指令信号を出力し、ON/OFFスイッチ33を非通電に切り替え、電極12、13への交流電圧の印加を停止する。
このとき、本件出願における霧化用振動子10は、電極12又は電極13の少なくとも一方が、圧電体11の中央部11cに対応する位置に空孔16を備えているため、最も温度が上昇する電極中心部の急激な温度上昇を抑制できる。これは、圧電体11の中央部11cにおいて、圧電体11の周縁部の電歪による圧縮及び伸縮力が集中すること、そして変形量も大きくなるため発熱が大きく熱もこもり易いことから、中央部11cのみ電極を削除することで中央部11cの電歪をキャンセルして自己変形による自己発熱の重畳が抑制されるためである。ゆえに、霧化用液体Wが存在する負荷振動状態から無負荷振動状態に移行した直後における霧化用振動子10の温度上昇を緩慢にすることができる。よって、霧化用振動子10に劣化が生じる温度に達するまでの時間を延ばすことができる。
特に、上述したように、振動放射面11aに配置した電極12の表面に保護層17を設けている場合には、霧化用振動子10の劣化温度は、保護層17と電極12とを密着させる接合剤のガラス転移温度に依存する。例えば、接合剤としてエポキシ系樹脂を用いている場合、ガラス転移温度は、125℃前後である。接合剤は、ガラス転移温度よりも高温となると急激に劣化し、保護層17と電極12との密着性が低下して、保護層17に膨れが生じる。保護層17と電極12との密着性が低下すると、霧化用振動子10によって発生した超音波の振動エネルギーを貯液タンク2の液面に伝えることができなくなり、霧化用振動子10としての機能が失われることとなる。つまり、霧化用振動子10の発熱を抑えることにより、圧電体11の劣化あるいは破壊を抑制するだけでなく、保護層17と電極12との密着性も維持することができる。
本件出願に係る霧化用振動子10は、霧化用液体Wが存在する負荷振動状態から、霧化用液体Wがなくなった無負荷振動状態に移行した際における霧化用振動子10の温度上昇が緩やかであるため、無水状態を無水検出部で検出してから、通電停止制御を行うまでに十分な時間を確保することができる。従って、霧化用振動子10の圧電体11の劣化あるいは破壊を抑制し、保護層17と電極12との密着性も維持することができるので、無負荷状態まで霧化用振動子10を支障なく駆動して用いることが可能となり、霧化用液体を使い切ることができるようになる。
次に、実施例及び比較例を示して本件出願を具体的に説明する。なお、本件出願は、以下の実施例に限定して解釈されるものではないことを明記しておく。
実施例1は、円板状の圧電体の配線面に環状電極を設けた霧化用振動子である。以下に、実施例1の霧化用振動子の仕様を記載する。
圧電体:直径25mm厚さ1.2mmのチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の円板状圧電体
振動放射面の電極:直径24.2mm、厚さ7μmの円板状銀電極
配線面の電極:外径17mm、内径3mm、厚さ7μmの環状銀電極
実施例2は、実施例1の霧化用振動子の振動放射面の電極表面に保護層を設けた霧化用振動子である。以下に、実施例2の保護層と、当該保護層と電極とを接着する接合剤の仕様を記載する。
保護層:直径25mm、厚さ20μmのSUS304の円形金属板
接合剤:エポキシ樹脂
実施例3は、実施例2の霧化用振動子と、配線面に設けた環状電極の内径のみが異なり、それ以外は同様に構成した。具体的に、実施例3は、配線面の電極の内径を2mmとした。
実施例4は、実施例2の霧化用振動子と、配線面に設けた環状電極の内径のみが異なり、それ以外は同様に構成した。具体的に、実施例4は、配線面の電極の内径を4mmとした。
実施例5は、実施例2の霧化用振動子と、配線面に設けた環状電極の内径のみが異なり、それ以外は同様に構成した。具体的に、実施例5は、配線面の電極の内径を5mmとした。
比較例
[比較例1]
比較例1は、実施例1の霧化用振動子と、配線面に設けた電極の形状のみが異なり、それ以外は同様に構成した。具体的に比較例1は、配線面に設けた電極が空孔を有していない、円板状電極を採用した。
[比較例2]
比較例2は、実施例2の霧化用振動子と、配線面に設けた電極の形状のみが異なり、それ以外は同様に構成した。具体的に比較例2は、配線面に設けた電極が空孔を有していない、円板状電極を採用した。
[実施例と比較例との対比]
実施例1と比較例1との対比: 実施例1と比較例1との対比は、無負荷振動状態の温度変化を評価することにより、一方の電極として環状電極を用いた場合の効果を確認するものである。この評価では、実施例1及び比較例1の霧化用振動子に対し、無負荷振動状態で、1.6MHzの高周波電圧を印加した場合の温度変化を確認した。図6に時間の経過に対する霧化用振動子中心の温度変化を示す。
図6から理解できるように、圧電体の両面に円板状の電極を配置した比較例1の霧化用振動子は、開始当初30℃であった中心温度が、無負荷振動状態となった直後から急激に上昇していき、約4秒経過後には、125℃に到達している。最も温度上昇速度が高い2秒後から3秒後では、温度上昇速度が約30℃/sであった。これに対し、圧電体の少なくとも一面に環状電極を配置した実施例1の霧化用振動子は、比較例1と比べて、温度上昇が緩慢であり、比較例1で125℃に到達していた開始後約4秒経過後であっても、約65℃であった。実施例1では、中心温度が125℃に到達するまでに開始後約10秒以上が経過していた。
保護層と電極の接合剤として用いるエポキシ系樹脂のガラス転移温度を125℃として考えると、比較例1では、無水状態に移行してから約4秒後に霧化用振動子の劣化が生じることが分かる。これに対して、実施例1では、無水状態に移行してから約10秒経過後であっても接合剤のガラス転移温度に到達していない。そのため、接合剤のガラス転移温度を基準に霧化用振動子の劣化を考えたとしても、本件出願は、従来の霧化用振動子と比べて、無水状態を無水検出部で検出してから通電停止制御を行うまでの時間を十分に確保することが可能となったことが理解できる。
実施例2〜5と比較例2との対比: 実施例2〜実施例5と比較例2との対比は、各電極を負荷振動状態で用いた場合の霧化量を評価することにより、霧化用振動子が備える電極の空孔の有無及び空孔面積の割合による効果を確認するものである。この評価では、実施例2〜実施例5及び比較例2の霧化用振動子を貯液タンク内に配置し、霧化用液体として用いた水道水の液面と霧化用振動子の距離を900mmとした。また、駆動電源としてDC35V 0.7Aを用い、AC電圧に変換して1.6MHzの高周波電圧を霧化用振動子に印加し、霧化量を測定した。図7に環状電極の内径(空孔径)に対する霧化量を示す。いずれも4回測定した。
図7から理解できるように、電極に空孔を設けていない比較例2と、径2mm(空孔面積割合に換算すると、1.4面積%)の空孔を設けた実施例3及び、径3mm(空孔面積割合に換算すると、3.2面積%)の空孔を設けた実施例2は、霧化量は殆ど変わらず150cc/hであった。径4mm(空孔面積割合に換算すると、5.9面積%)の空孔を設けた実施例4でも霧化量は、約125cc/hであり、径5mm(空孔面積割合に換算すると、9.5面積%)の空孔を設けた実施例5でも霧化量は、約110cc/hであった。このことから、霧化用振動子の少なくとも一方の電極に空孔を設けたとしても、駆動領域の面積に対する空孔面積の割合が10面積%以下であれば、空孔を設けない従来の場合と比べて、霧化量が大幅に減少する不都合が生じないといえる。
上述した各実施例と比較例の評価結果から、本件出願に係る霧化用振動子は、負荷振動状態から無負荷振動状態(無水状態)に移行した直後に急激に温度上昇することを抑制することができるとともに、負荷振動状態においても、電極に空孔を設けていない従来の霧化用振動子と殆ど遜色なく霧化量を実現できることが分かった。
本出願に係る霧化用振動子は、圧電体の少なくとも一方の面に設けた電極として環状電極を用いることで、駆動時に無水状態に移行した直後における振動子の温度上昇を従来と比べて緩やかにできる。よって、無水状態となったことにより生じる温度上昇を検出してから霧化用振動子の駆動を停止しても振動子が熱により劣化することを抑制できる。よって、霧化用液体を使い切ることが可能となり、霧化用液体として薬液を用いる場合に特に有用である。
W 霧化用液体
1 霧化装置
2 貯液タンク
2a 底部
4 貫通孔
10、20 霧化用振動子
11 圧電体
11a 振動放射面
11b 配線面
11c 中央部
12 第1電極
13 第2電極
15 接続部
16 空孔
17 保護層
18 接合剤層
19 弾性パッキン
30 駆動部
31 制御部
32 高周波発振部
33 ON/OFFスイッチ
34 無水検出部
36、37 給電用配線
38 電源スイッチ

Claims (7)

  1. 板状の圧電体と、当該圧電体の一面に設けた第1電極と、当該圧電体の他面に設けた第2電極と、を備えた霧化用振動子であって、
    これら第1電極及び第2電極のうち、少なくともいずれか一方の電極が、前記圧電体の中央部に対応する位置に空孔を備えた環状電極であることを特徴とする霧化用振動子。
  2. 前記圧電体の一面が、霧化用液体側に配置する振動放射面であり、
    当該振動放射面の反対側に位置する配線面に設けた前記第2電極が前記環状電極である請求項1に記載の霧化用振動子。
  3. 前記圧電体の一面が、霧化用液体側に配置する振動放射面であり、
    当該振動放射面に設けた前記第1電極が前記環状電極である請求項1に記載の霧化用振動子。
  4. 前記振動放射面側の前記第1電極表面を被覆する保護層を備えた請求項2又は請求項3に記載の霧化用振動子。
  5. 前記保護層は、無機材料、又は、樹脂材料のいずれか、若しくは、これらから選ばれた一種以上の組合せにより構成した請求項4に記載の霧化用振動子。
  6. 前記第1電極及び前記第2電極が前記圧電体の厚さ方向において重合する駆動領域の面積に対する前記環状電極の空孔面積の割合が、1面積%以上10面積%以下である請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の霧化用振動子。
  7. 霧化用液体を貯留する貯液タンクの底部に、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の霧化用振動子を備えた霧化装置であって、
    当該霧化用振動子の温度に基づき、当該霧化用振動子への通電を制御する制御手段を備えたことを特徴とする霧化装置。
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WO2022095441A1 (zh) * 2020-11-05 2022-05-12 东莞市腾腾电子有限公司 贴附玻璃的雾化片及雾化器

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