[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の配線部材は、次の通りである。
(1)凸形状部と、前記凸形状部を挿入可能に形成された凹形状部と、線状伝送部材を含み、前記凸形状部と前記凹形状部とのうち一方が設けられた配線部材と、前記配線部材の取付対象であり、前記凸形状部と前記凹形状部とのうち他方が設けられた取付対象部材と、を備え、前記凸形状部と前記凹形状部との少なくとも一方に弾性変形部が形成され、前記弾性変形部は、第1向きへの力を受けて前記凸形状部が前記凹形状部に挿入される際、前記第1向きへの力によって弾性変形して前記凸形状部と前記凹形状部とを嵌合状態にするとともに、前記第1向きとは逆向きの第2向きへの力を受けて前記凸形状部が前記凹形状部から抜かれる際、前記第2向きへの力によって前記第1向きへの力を受けた時と同様の向きに弾性変形して、前記凸形状部と前記凹形状部との嵌合状態を解除する配線部材の取付構造である。凸形状部が凹形状部に挿入される際、及び凸形状部が凹形状部から抜かれる際、同じ弾性変形部が同様に弾性変形する。これにより、取付対象部材からの配線部材の取り外しが容易となる。
(2)前記凸形状部を含む部材として、雄型のスナップファスナが設けられていてもよい。これにより、雄型のスナップファスナを用いて配線部材を取付対象部材に取付けることができる。
(3)前記凹形状部を含む部材として、前記雄型のスナップファスナに対応する雌型のスナップファスナが設けられていてもよい。これにより、雄型のスナップファスナと、これに対応した雌型のスナップファスナとを用いて配線部材を取付対象部材に取付けることができる。
(4)前記凸形状部は、前記凹形状部への挿入方向先端側から後端側に向けて徐々に幅広に形成された第1挿入部と、前記第1挿入部に対して前記凹形状部への挿入方向後端側に位置し、前記凹形状部への挿入方向先端側から後端側に向けて徐々に幅狭に形成された第2挿入部とを含み、前記弾性変形部は、前記凹形状部に形成され、前記凸形状部及び前記凹形状部の取付時における前記第1挿入部の挿入時に前記凹形状部の開口を広げることが可能にかつ前記第2挿入部の挿入時に前記凹形状部の開口を狭めることが可能に形成されていてもよい。これにより、凹形状部に形成された弾性変形部によって、凸形状部と凹形状部とを嵌合させることができる。
(5)前記弾性変形部は、前記凸形状部に形成され、前記凹形状部への前記凸形状部の挿入時に前記凸形状部を狭めることが可能に、かつ前記凹形状部への前記凸形状部の挿入後に前記凸形状部を広げることが可能に形成されていてもよい。これにより、凸形状部に設けられた弾性変形部によって、凸形状部と凹形状部とを嵌合させることができる。
(6)前記配線部材は、複数の線状伝送部材と、前記複数の線状伝送部材を扁平状態に保つベース部材とを含む扁平配線部材であってもよい。これにより、扁平配線部材を取付対象部材に着脱可能に取付けることができる。
(7)前記取付対象部材は、曲面を有する車体本体であり、前記扁平配線部材の幅方向に沿った中間部が、前記車体本体の前記曲面に沿って曲がって配設され、前記凸形状部と前記凹形状部とによって前記扁平配線部材の幅方向に沿った両端部が前記車体本体に取付けられていてもよい。これにより、扁平配線部材を車体本体の曲面に沿って曲げて配設することができる。
(8)前記取付対象部材は、車体本体であってもよい。これにより、凸形状部と凹形状部とによって配線部材を車体本体に取付けることができる。
(9)前記取付対象部材は、前記配線部材とは別の配線部材であってもよい。これにより、凸形状部と凹形状部とによって配線部材同士を取付けることができる。
(10)前記凸形状部と前記凹形状部とを両方含む雌雄同体のスナップファスナが設けられて、前記雌雄同体のスナップファスナによって前記配線部材に前記取付対象部材とは別の第2の取付対象部材が取付けられていてもよい。これにより、3つ以上の部材を取付けることができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線部材の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
{実施形態}
以下、実施形態に係る配線部材の取付構造について説明する。図1は、実施形態に係る配線部材の取付構造1を示す平面図である。図2は、図1のII−II線に沿って切断した断面図である。なお、図1において取付対象部材20は省略されている。
配線部材の取付構造1は、配線部材10を取付対象部材20に着脱容易に取付けるためのものである。具体的には、配線部材の取付構造1は、配線部材10と、取付対象部材20と、凸形状部31と、凸形状部31を挿入可能に形成された凹形状部51と、を備える。凸形状部31と凹形状部51とのうち一方が配線部材10に設けられ、凸形状部31と凹形状部51とのうち他方が取付対象部材20に設けられている。配線部材の取付構造1において、凸形状部31と凹形状部51との少なくとも一方に弾性変形部55が形成されている。当該弾性変形部55によって凸形状部31と凹形状部51とが着脱容易に取付けられている。
配線部材10は、車両に搭載されて、車両に搭載された各部品に電気又は光等を伝送する。配線部材10は、線状伝送部材12を含む。ここでは配線部材10が、複数の線状伝送部材12と、複数の線状伝送部材12を扁平状態に保つベース部材16とを含む扁平配線部材10である例で説明する。
線状伝送部材12は、電気又は光等を伝送する線状の部材であればよい。例えば、線状伝送部材12は、芯線と芯線の周囲の被覆とを有する一般電線であってもよいし、裸導線、シールド線、エナメル線、ニクロム線、光ファイバ等であってもよい。
電気を伝送する線状伝送部材12としては、各種信号線、各種電力線であってもよい。電気を伝送する線状伝送部材12は、信号又は電力を空間に対して送る又は空間から受けるアンテナ、コイル等として用いられてもよい。
ここでは線状伝送部材12が一般電線12(以下、単に電線12という)であるものとして説明する。電線12は、伝送線本体としての芯線13と、芯線13を覆う被覆としての絶縁被覆14とを有する。電線12に関する各説明は、適用不可能な構成を除き、線状伝送部材12の各例示物に適用可能である。
芯線13は、1本又は複数本の素線で構成される。素線は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の導体で形成される。芯線13が複数本の素線で構成される場合、複数本の素線は撚られていてもよい。絶縁被覆14は、PVC(ポリ塩化ビニル)、PE(ポリエチレン)などの樹脂材料が芯線13の周囲に押出成形されるなどして形成される。ここでは電線12は、横断面が円形のいわゆる丸電線12である。
ベース部材16は、電線12を2次元的に位置決めした状態で保持する部材である。ベース部材16は、作業箇所等に載置された状態で、電線12を2次元的に位置決めした状態で保持できればよい。このため、ベース部材16は、容易に曲り得る柔軟なシート状部材であってもよい。ベース部材16は、湾曲しつつ電線12を2次元的に位置決めした状態で保持できる程度の剛性を有するシート状部材であってもよいし、平らな状態を保った状態で電線12を2次元的に位置決めした状態で保持できる程度の剛性を有するシート状部材であってもよい。ベース部材16は、部分的に壁が立設される等、立体的な形状部分を有していてもよい。
ここでは、ベース部材16は、曲げ可能なシート部材16であるものとして説明する。シート部材16に関する各説明は、適用不可能な構成を除き、ベース部材16に適用可能である。
シート部材16を構成する材料は特に限定されるものではないが、シート部材16は、好ましくはPVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)などの樹脂を含む材料によって形成される。シート部材16は、内部が一様に埋ったシート部材16であってもよいし、不織シート等であってもよい。シート部材16は、金属などの材料を含むこともあり得る。シート部材16は、好ましくは、厚み方向において容易に曲る柔軟性を有する。シート部材16は、単層であってもよいし、複数層積層されていてもよい。複数層積層されている場合、例えば、樹脂層と樹脂層とが積層されていることが考えられる。また例えば、樹脂層と金属層とが積層されていることが考えられる。
シート部材16の一主面上に、電線12が固定されている。シート部材16の一主面上において、電線12は一定の経路に沿って固定されている。図1に示す例では、シート部材16上における電線12の経路は、直線であるが、途中で曲る経路であってもよい。またシート部材16の一主面上に複数の電線12が固定される場合、複数の電線12は途中で分岐していてもよいし、分岐していなくてもよい。
シート部材16は、上記複数の電線12の経路に沿う形状に形成されている。このときシート部材16は、電線12の経路に沿った帯状部分17と、帯状部分17の側方に延出する延出部分18とを含む。帯状部分17に電線12が固定されている。延出部分18には凸形状部31又は凹形状部51が設けられる。
電線12とシート部材16とを固定する態様は、接触部位固定であってもよいし、非接触部位固定であってもよいし、両者が併用されていてもよい。ここで接触部位固定とは、電線12とシート部材16とが接触する部分がくっついて固定されているものである。また、非接触部位固定とは、接触部位固定でない固定態様である。例えば、縫糸、別のシート部材16、粘着テープなどが、電線12をシート部材16に向けて押え込んだり、縫糸、別のシート部材16、粘着テープなどが、電線12とシート部材16とを囲む状態等となって、電線12とシート部材16とを挟み込んだりして、電線12とシート部材16とが固定された状態に維持するものである。以下では、電線12とシート部材16とが、接触部位固定の状態にあるものとして説明する。接触部位固定に関する各説明は、適用不可能な構成でない限り、非接触部位固定にも適用可能である。
係る接触部位固定の態様として、接触部位間接固定であってもよいし、接触部位直接固定であってもよいし、異なる領域で両者が併用されていてもよい。ここで接触部位間接固定とは、電線12とシート部材16とが、その間に設けられた接着剤、粘着剤、両面粘着テープなどの介在部材を介して間接的にくっついて固定されているものである。また接触部位直接固定とは、電線12とシート部材16とが別に設けられた接着剤等を介さずに直接くっついて固定されているものである。接触部位直接固定では、例えば電線12とシート部材16とのうち少なくとも一方に含まれる樹脂が溶かされることによってくっついて固定されることが考えられる。以下では、電線12とシート部材16とが、接触部位直接固定の状態にあるものとして説明する。接触部位直接固定に関する各説明は、適用不可能な構成でない限り、接触部位間接固定にも適用可能である。
係る接触部位直接固定の状態が形成されるに当たり、樹脂は、例えば、熱によって溶かされることも考えられるし、溶剤によって溶かされることも考えられる。つまり、接触部位直接固定の状態としては、熱による接触部位直接固定の状態であってもよいし、溶剤による接触部位直接固定の状態であってもよい。好ましくは、熱による接触部位直接固定の状態であるとよい。
このとき接触部位直接固定の状態を形成する手段は特に限定されるものではなく、溶着、融着、溶接等の公知の手段を含む各種手段を用いることができる。例えば、溶着によって熱による接触部位直接固定の状態を形成する場合、超音波溶着、加熱加圧溶着、熱風溶着、高周波溶着など種々の溶着手段を採用することができる。またこれらの手段によって接触部位直接固定の状態が形成されると、電線12とシート部材16とは、その手段による接触部位直接固定の状態とされる。具体的には、例えば、超音波溶着によって接触部位直接固定の状態が形成されると、電線12とシート部材16とは、超音波溶着による接触部位直接固定の状態とされる。溶着によって熱による接触部位直接固定の状態を形成した部分(電線12とシート部材16との固定部分)を溶着部、このうち、超音波溶着による固定部分を超音波溶着部、加熱加圧溶着による固定部分を加熱加圧溶着部等と称してもよい。
接触部位直接固定の場合、電線12の被覆に含まれる樹脂のみが溶けていてもよいし、シート部材16に含まれる樹脂のみが溶けていてもよい。これらの場合において、溶けた方の樹脂が他方の外面にくっついた状態となり、比較的はっきりした界面が形成されることがある。また、接触部位直接固定の場合、電線12の被覆に含まれる樹脂とシート部材16に含まれる樹脂の両方が溶けていてもよい。この場合、両方の樹脂が混ざり合ってはっきりした界面が形成されないことがある。特に、電線12の被覆とシート部材16とが、同じ樹脂材料など相溶しやすい樹脂を含む場合などに、両方の樹脂が混ざり合ってはっきりした界面が形成されないことがある。
取付対象部材20は、配線部材10の取付対象である。ここでは取付対象部材20が車体本体である例で説明する。車体本体は、例えばフレーム、パネル、補強部材などである。図2に示す例では、取付対象部材20は、平坦なパネル20である。取付対象部材20には、取付孔20hが形成されている。
ここでは、配線部材10に凸形状部31が設けられ、取付対象部材20に凹形状部51が設けられている例で説明する。またここでは、凸形状部31を含む部材として、配線部材10、取付対象部材20とは別に雄型の取付用部材30が設けられている例で説明する。さらにここでは、凹形状部51を含む部材として、配線部材10、取付対象部材20とは別に、雄型の取付用部材30に対応する雌型の取付用部材50が設けられている例で説明する。特にここでは、雄型の取付用部材30として雄型のスナップファスナ30が採用され、雌型の取付用部材50として、雄型のスナップファスナ30に対応する雌型のスナップファスナ50が採用されている例で説明する。スナップファスナは、スナップボタンなどとも呼ばれる部材であり、雄型のスナップファスナ30及び雌型のスナップファスナ50との対は、例えば、服飾用途において、生地の合わさる部分を留めるスナップとして用いられている部材を用いることができる。つまりここでは、凹凸が対となっているスナップのうち凸型のものを雄型のスナップファスナ30とし、凹型のものを雌型のスナップファスナ50としている。
雄型のスナップファスナ30は、凸形状部31のほかに第1取付構造部を含む。第1取付構造部は、雄型のスナップファスナ30自身を凸形状部31が設けられる部材(ここでは配線部材10)へ取付けるための部分である。ここでは第1取付構造部が、配線部材10を挟持可能な形状に形成されている例で説明する。
雄型のスナップファスナ30は、配線部材10のうちシート部材16に取付けられている。雄型のスナップファスナ30は、シート部材16の延出部分18に取付けられている。雄型のスナップファスナ30は、延出部分18に形成された貫通孔18hを用いて延出部分18に取付けられている。従って本例では、第1取付構造部が、延出部分18の貫通孔18hの周縁部を挟み込むように形成されている例で説明する。
図3は、雄型のスナップファスナ30の分解断面図である。
具体的には、ここでは雄型のスナップファスナ30は、別に成形された複数の部品で構成されている。図3に示す例では、雄型のスナップファスナ30は、別に成形された雄本体部32及び留具36で構成されている。雄型のスナップファスナ30は、例えば金属製、又は樹脂製である。
雄本体部32は、雄型のスナップファスナ30を雌型のスナップファスナ50へ取付けるための嵌合用頭部33と、嵌合用頭部33の基端部から外周側に広がるフランジ部34とを有する。ここでは嵌合用頭部33は、筒状に形成されている。
留具36は、雄型のスナップファスナ30の取付対象となる部材(ここではシート部材16)を貫通し、嵌合用頭部33に挿入される取付用頭部37と、取付用頭部37の基端部から外周側に広がるフランジ部38とを有する。
ここでは、フランジ部34、38の間にシート部材16が挟持されることによって雄型のスナップファスナ30が配線部材10に取付けられている。このとき、シート部材16を貫通した取付用頭部37が嵌合用頭部33に挿入されることによって、フランジ部34、38の間に、シート部材16の一部が挟持された状態を維持している。より詳細には、嵌合用頭部33にシート部材16を貫通した取付用頭部37が挿入されるときに、取付用頭部37の先端部が加締められて、嵌合用頭部33の内面形状に応じた形状に塑性変形する。例えば、嵌合用頭部33の外面が治具等に支持された状態で、嵌合用頭部33に挿入された取付用頭部37の先端部が嵌合用頭部33の内面に当接した後、嵌合用頭部33の内面からの力を受けて嵌合用頭部33の内面形状に応じた形状に塑性変形していく。これにより、嵌合用頭部33からの取付用頭部37の戻り止めが図られ、もってフランジ部34、38が配線部材10を挟持した状態に維持される。
したがって雄型のスナップファスナ30において、フランジ部34、38による挟み込み構造及びそれを維持するための嵌合用頭部33からの取付用頭部37の戻り止め構造は、雄型のスナップファスナ30を配線部材10へ取付けるための第1取付構造部であるととらえることができる。そして、雄型のスナップファスナ30において嵌合用頭部33及び取付用頭部37が凸形状部31とされる。
図4は、雌型のスナップファスナ50の分解断面図である。
雌型のスナップファスナ50は、凹形状部51のほかに第2取付構造部を含む。第2取付構造部は、雌型のスナップファスナ50自身を凹形状部51が取付けられる部材(ここでは取付対象部材20)へ取付けるための部分である。具体的には、ここでは雌型のスナップファスナ50は、別に成形された複数の部品で構成されている。図4に示す例では、雌型のスナップファスナ50は、別に成形された雌本体部52及び受部56で構成されている。雌型のスナップファスナ50は、例えば金属製、又は樹脂製である。
雌本体部52は、筒体53と、保持板54と、リングばね55とを含む。筒体53と、保持板54と、リングばね55とは、別に成形された部材である。雌本体部52において、筒体53と、保持板54と、リングばね55との内側に連通するように形成された孔部が凹形状部51である。
筒体53は、図4に示すように、雌型のスナップファスナ50が取付対象部材20に取付けられる前の状態で、小筒部53aと、小筒部53aよりも大径な大筒部53bと、大筒部53bよりも大径なフランジ部53cとが、軸方向一方側から他方側に向けて連なった形状に形成されている。小筒部53aは、雌型のスナップファスナ50が取付対象部材20に取付けられるときに、加締められて塑性変形する部分である。ここでは小筒部53aは、雌型のスナップファスナ50の取付対象部材20に形成された取付孔20hを貫通可能な長さ寸法、及び径寸法を有している。大筒部53bの内側にはリングばね55が収容される。大筒部53bと小筒部53aとの間には段差部が生じており、リングばね55の抜け止めを図っている。フランジ部53cは、保持板54に保持される部分である。
保持板54は、円板状部材の中心に小筒部53aと同軸の貫通孔54hが形成されるとともに、外周部が反り返るように変形して、フランジ部53cを保持している。保持板54の貫通孔54hは、リングばね55の外径よりも小寸に設定されている。これにより、保持板54がフランジ部53cに保持された状態で、リングばね55の戻り止めを図ることができる。
リングばね55は、上記弾性変形部55である。またリングばね55には凸形状部31が挿入されることから、リングばね55も凹形状部51の一部でもあるととらえることができる。自然状態でリングばね55の外径は、大筒部53bの内径よりも小寸に形成されている。これにより、リングばね55は外周側に広がるように弾性変形可能とされている。また自然状態でリングばね55の内径は、小筒部53aの内径及び保持板54の貫通孔54hよりも小寸に形成されている。これによりリングばね55の内周部が凹形状部51において最も幅狭の部分とされる。
受部56は、例えば円板状に形成されている。また受部56には、小筒部53aを挿通可能な挿通孔56hが形成されている。
雌型のスナップファスナ50は、以下のようにして取付対象部材20に取付けられる。すなわち、雌本体部52が取付対象部材20に対して一方側に位置するとともに、受部56が取付対象部材20に対して他方側に位置する状態で、雌本体部52の小筒部53aが取付対象部材20に形成された取付孔20h及び受部56に形成された挿通孔56hを貫通する。そして、取付対象部材20に形成された取付孔20h及び受部56に形成された挿通孔56hを貫通した雌本体部52の小筒部53aの先端部が加締められて、受部56の裏面を押さえるように塑性変形する。
したがって雌型のスナップファスナ50において、雌本体部52及び受部56による挟み込み構造及びそれを維持するための雌本体部52のかしめ構造は、雌型のスナップファスナ50を取付対象部材20へ取付けるための第2取付構造部であるととらえることができる。
凸形状部31は、凹形状部51への挿入方向先端側から後端側に向けて徐々に幅広に形成された第1挿入部31aと、第1挿入部に対して凹形状部51への挿入方向後端側に位置し、凹形状部51への挿入方向先端側から後端側に向けて徐々に幅狭に形成された第2挿入部31bとを含む。第1挿入部31aと第2挿入部31bとの間に、凸形状部31において最も幅広に形成された部分が存在する。
凹形状部51は、凸形状部31が挿入される先端側から後端側に向けて徐々に幅広に形成された第1被挿入部51aと、第1被挿入部51aに対して凸形状部31の挿入方向後端側に位置し、凸形状部31の挿入方向先端側から後端側に向けて徐々に幅狭に形成された第2被挿入部51bとを含む。ここでは、リングばね55が横断面円形に形成されているため、リングばね55の内周部分に第1被挿入部51aと、第2被挿入部51bとが軸方向に並んで形成されている。
弾性変形部55は、第1向きへの力を受けて凸形状部31が凹形状部51に挿入される際、第1向きへの力によって弾性変形して凸形状部31と凹形状部51とを嵌合状態にする。また弾性変形部55は、第1向きとは逆向きの第2向きへの力を受けて凸形状部31が凹形状部51から抜かれる際、第2向きへの力によって第1向きへの力を受けた時と同様の向きに弾性変形して、凸形状部31と凹形状部51との嵌合状態を解除する。
弾性変形部55は、凹形状部51に設けられている。そして弾性変形部55は、凸形状部31及び凹形状部51の取付時における第1挿入部31aの挿入時に凹形状部51を広げることが可能に、かつ第2挿入部31bの挿入時に凹形状部51を狭めることが可能に形成されている。また弾性変形部55は、凸形状部31及び凹形状部51の取付解除時における第2挿入部31bの挿入時に凹形状部51を広げることが可能に形成されている。
より詳細には、ここでは弾性変形部55としてリングばね55が設けられている。そして、凸形状部31及び凹形状部51の取付時、つまり雄型のスナップファスナ30と雌型のスナップファスナ50との取付時、凸形状部31の第1挿入部31aがリングばね55に挿入される際、リングばね55が第1挿入部31aによって広げられる。そして、凸形状部31の第1挿入部31aの通過後、第2挿入部31bが挿入される際、リングばね55が弾性復帰して狭まる。これにより、リングばね55が凸形状部31の窪んだ部分に嵌り、抜け止め及び戻り止めがなされ、雄型のスナップファスナ30と雌型のスナップファスナ50とが取付けられた状態となる。
これに対して、凸形状部31及び凹形状部51の取付解除時、つまり雄型のスナップファスナ30と雌型のスナップファスナ50との取付解除時、凸形状部31の第2挿入部31bがリングばね55に挿入される際、リングばね55が第2挿入部31bによって広げられる。これにより、凸形状部31がリングばね55を通過可能となり、通過することによって、雄型のスナップファスナ30と雌型のスナップファスナ50との取付けが解除された状態となる。なお、リングばね55に対して凸形状部31の第2挿入部31bの通過後、第1挿入部31aが挿入される際、リングばね55は弾性復帰して狭まる。これにより、再度、雄型のスナップファスナ30と雌型のスナップファスナ50とを取付け可能となる。
以上のように構成された配線部材の取付構造1によると、凸形状部31が凹形状部51に挿入される際、及び凸形状部31が凹形状部51から抜かれる際、同じ弾性変形部55が同様に弾性変形する。これにより、取付対象部材20からの配線部材10の取り外しが容易となる。
また凸形状部31を含む部材として、雄型のスナップファスナ30が設けられているため、雄型のスナップファスナ30を用いて配線部材10を取付対象部材20に取付けることができる。
また凹形状部51を含む部材として、雄型のスナップファスナ30に対応する雌型のスナップファスナ50が設けられているため、雄型のスナップファスナ30と、これに対応した雌型のスナップファスナ50とを用いて配線部材10を取付対象部材20に取付けることができる。
また凹形状部51に設けられた弾性変形部55によって、凸形状部31と凹形状部51とを嵌合させることができる。
また配線部材10が扁平配線部材10であるため、扁平配線部材10を取付対象部材20に着脱可能に取付けることができる。また取付対象部材20は、車体本体であるため、凸形状部31と凹形状部51とによって配線部材10を車体本体に取付けることができる。
{変形例}
図5乃至図8は、取付用部材が配線部材に設けられる位置の変形例を示す平面図である。図5乃至図8では、取付用部材として雄型のスナップファスナ30が配線部材に取付けられている。
これまで、配線部材10に対して、線状伝送部材12の長手方向に沿った一の位置において両側に雄型のスナップファスナ30が設けられるものとして説明したが、このことは必須の構成ではない。図5に示すように、配線部材110において、線状伝送部材12の長手方向に沿った一の位置において一方の片側のみに雄型のスナップファスナ30が設けられてもよい。この場合、シート部材116において、雄型のスナップファスナ30が設けられない延出部分18は省略されてもよい。この場合、図5に示すように線状伝送部材12の長手方向に沿った別の位置で他方の片側に雄型のスナップファスナ30が設けられているとよい。さらに、図5に示すように線状伝送部材12の長手方向に沿って雄型のスナップファスナ30が千鳥状に設けられているとよい。
またこれまで、シート部材16において、帯状部分17から側方に突出するように設けられた延出部分18が雄型のスナップファスナ30の大きさに応じた大きさに形成されるものとして説明したが、このことは必須の構成ではない。図6に示すように、シート部材216における延出部分218が帯状部分17と同様に線状伝送部材12の長手方向に沿って連続するものであってもよい。この場合、シート部材216が大きい帯状に形成されていてもよい。
また図7に示すように、線状伝送部材12の長手方向に沿って連続する延出部分218に対して、線状伝送部材12の長手方向に沿った一の位置において、図5に示す場合のように、一方の片側のみに雄型のスナップファスナ30が設けられてもよい。
またこれまで、線状伝送部材12の長手方向に沿った一の位置において線状伝送部材12の外側方に雄型のスナップファスナ30が設けられるものとして説明したが、このことは必須の構成ではない。図8に示すように、線状伝送部材12同士の間に雄型のスナップファスナ30が設けられてもよい。
図9は、配線部材10に凹形状部51が設けられ、取付対象部材20に凸形状部31が設けられた例を示す断面図である。図9に示す例では、配線部材10に雌型のスナップファスナ50が設けられ、取付対象部材20に雄型のスナップファスナ30が設けられている事例である。このように、配線部材10に凹形状部51が設けられ、取付対象部材20に凸形状部31が設けられてもよい。
図10は、凸形状部31の変形例を示す断面図である。図11は、凸形状部31の変形例を示す分解断面図である。図10及び図11に示す例では、雄型のスナップファスナ130の形状が上記雄型のスナップファスナ30の形状とは異なる。
雄型のスナップファスナ130は、雄本体部132と、弾性変形部55となるリングばね55と、留具136とを含む複数の部品で構成されている。
雄本体部132は、嵌合用頭部133と、嵌合用頭部133の基端部に連なるフランジ部134とを有する。嵌合用頭部133は、円筒状に形成されている。円筒状の嵌合用頭部133の外面には周溝133hが形成されている。当該周溝133hに、リングばね55が収められている。嵌合用頭部133及びリングばね55が、凸形状部131となる。この例のように、弾性変形部55が凸形状部131に設けられていてもよい。フランジ部134は、嵌合用頭部133の基端部から側方に突出するように設けられている。フランジ部134は、シート部材16を貫通した留具136の先端が挿通される開口部134aと、開口部134aを通過した留具136の先端を塑性変形させる受板部134bとを有し、シート部材16を貫通した留具136の先端が塑性変形しつつ収められるように形成されている。
周溝133hに収められたリングばね55は、自然状態で、嵌合用頭部133より外方に突出している。またリングばね55は、狭まるように弾性変形可能に周溝133hに収められている。凸形状部131に設けられた弾性変形部55は、凹形状部151への凸形状部131の挿入時に凸形状部131を狭めることが可能に、かつ凹形状部151への凸形状部31の挿入後に凸形状部131を広げることが可能に形成されている。
留具136は、周方向に離れて設けられた複数の爪部40と、複数の爪部40の基端部をつなぐ連結部41と、連結部41の外周側に広がるように形成されたフランジ部138とを有する。爪部40の先端部は先鋭に形成され、シート部材16への取付前の状態で、シート部材16のうち孔のあいていない部分を貫通可能に形成されている。そして、爪部40がシート部材16を貫通することによってシート部材16に貫通孔が形成される。シート部材16を貫通した爪部40の先端部は、塑性変形してフランジ部134に収容される。これにより、シート部材16がフランジ部134、138とで挟持された状態となり、もって雄型のスナップファスナ130がシート部材16に取付けられた状態となる。
図12は、変形例に係る雄型のスナップファスナ130を用いた配線部材の取付構造101を示す分解断面図である。図12に示す例では、配線部材10に雄型のスナップファスナ130が設けられている。そして、取付対象部材20に形成された取付孔20hおよびその周縁部が凹形状部151として用いられている。例えば、取付対象部材20が金属、又は硬質プラスチックなどの硬い材料で形成された部材である場合、図12に示す例のように、取付対象部材20にスナップファスナが取付けられずに、取付対象部材20の一部が凸形状部又は凹形状部とされることも考えられる。
図12に示す例の場合、取付孔20hの径が自然状態でのリングばね55の外径よりも小さく形成されている。これにより、雄型のスナップファスナ130の凸形状部131が取付対象部材20に形成された取付孔20hに挿入されると、リングばね55が取付孔20hの周面に当接して狭まり、取付孔20hを通過可能となる。そして、取付孔20hを通過したリングばね55は、弾性復帰して、凸形状部131と凹形状部151とが嵌合した状態となる。
図13は、凸形状部31、凹形状部51、及び弾性変形部の変形例を示す断面図である。図14は、凸形状部31、凹形状部51、及び弾性変形部の変形例を示す分解断面図である。
図13及び図14に示す例では、雄型のスナップファスナ230の形状が上記雄型のスナップファスナ30、130の形状とは異なる。また雌型のスナップファスナ250の形状が上記雌型のスナップファスナ50の形状とは異なる。
雄型のスナップファスナ230は、雄本体部232と、留具236とを含む。ここでは雄本体部232と留具236とが弾性変形を用いて係止して、雄型のスナップファスナ230がシート部材16に取付けられている。
雄本体部232は、円筒状の嵌合用頭部233と、嵌合用頭部233が立設された基板234と、を有する。嵌合用頭部233は、凸形状部231である。嵌合用頭部233の先端の外周面には突起233aが形成されている。突起233aは、第1挿入部233bと、第1挿入部233bよりも嵌合用頭部233の基端側に位置する第2挿入部233cとを有する。第1挿入部233bは、嵌合用頭部233の先端側から基端側に向けて徐々に幅広となる部分である。第2挿入部233cは、嵌合用頭部233の先端側から基端側に向けて徐々に幅狭となる部分である。基板234には、貫通孔234hが形成されている。嵌合用頭部233は、基板234において貫通孔234hの周縁部を避けた位置に設けられている。
留具236は、基板238と、基板238に立設された爪部240とを有する。爪部240の先端は、雄本体部232の基板234に形成された貫通孔234hに挿入及び係止可能に形成されている。雄本体部232の基板234と留具236の基板238との間にシート部材16が挟まれた状態で、爪部240の先端が雄本体部232の貫通孔234hに挿入及び係止することによって、雄型のスナップファスナ230がベース部材16に取付けられている。
雌型のスナップファスナ250は、雌本体部252と、留具256とを含む。ここでは雌本体部252と留具256とが弾性変形を用いて係止して、雌型のスナップファスナ250が取付対象部材20に取付けられている。
雌本体部252は、円筒状の筒体253と、筒体253が立設された基板254と、を有する。筒体253は、嵌合用頭部233よりも大きく形成されて、嵌合用頭部233が挿入可能である。従って筒体253は凹形状部251である。筒体253の先端の内周面には突起253aが形成されている。突起253aは、第1被挿入部253bと、第1被挿入部253bよりも筒体253の基端側に位置する第2被挿入部253cとを有する。第1被挿入部253bは、開口側(筒体253の先端側)から奥側(筒体253の基端側)に向けて徐々に開口の幅を狭める部分である。第2被挿入部253cは、開口側から奥側に向けて徐々に開口の幅を広げる部分である。基板254には、貫通孔254hが形成されている。筒体253は、基板において貫通孔254hの周縁部を避けた位置に設けられている。
留具256は、基板258と、基板258に立設された円柱状の爪部260とを有する。爪部260の先端は、基端よりも幅広に形成されて雌本体部252の基板254に形成された貫通孔254hに挿入及び係止可能に形成されている。雌本体部252の基板254と留具256の基板258との間に取付対象部材20が挟まれた状態で、爪部260の先端が貫通孔254hに挿入及び係止することによって、雌型のスナップファスナ250が取付対象部材20に取付けられている。
凸形状部231が凹形状部251に挿入されると、突起233a、253a同志、より詳しくは突起233aにおける第1挿入部233bと突起253aにおける第1被挿入部253bとが接触する。このとき、嵌合用頭部233において、突起233aよりも基端側部分が弾性変形して、嵌合用頭部233のうち突起233aのある部分が内周側に向かう。また筒体253において、突起253aよりも基端側部分が弾性変形して、筒体253のうち突起253aのある部分が外周側に向かう。これにより、突起233a、253a同志が通過し合うとともに、通過後に弾性復帰して凸形状部231が凹形状部251に嵌合する。
凸形状部231が凹形状部251から抜かれる際には、まず突起233a、253a同志、より詳しくは突起233aにおける第2挿入部233cと突起253aにおける第2被挿入部253cとが接触する。このとき、嵌合用頭部233において、突起233aよりも基端側部分が弾性変形して、嵌合用頭部233のうち突起233aのある部分が内周側に向かう。また筒体253において、突起253aよりも基端側部分が弾性変形して、筒体253のうち突起253aのある部分が外周側に向かう。これにより、突起233a、253a同志が通過し合い、凸形状部31が凹形状部51から外れた状態となる。
本例では、凸形状部231である嵌合用頭部233及び凹形状部251である筒体253がいずれも弾性変形可能に形成されている。つまり本例では、弾性変形部が凸形状部231と凹形状部251との両方とそれぞれ一体に形成されている。このように、弾性変形部は、凸形状部、凹形状部又はその両方と一体に形成されていてもよい。また本例のように、弾性変形部は、凸形状部及び凹形状部の両方に設けられていてもよい。
本例では、雄型のスナップファスナ30、雌型のスナップファスナ50が弾性変形して、配線部材10、取付対象部材20に取付けられている。このように、雄型のスナップファスナ30、雌型のスナップファスナ50は塑性変形以外の態様で、配線部材10、取付対象部材20に取付けられていてもよい。例えば、雄型のスナップファスナ30、雌型のスナップファスナ50が、縫付け、接着などによって配線部材10、取付対象部材20に取付けられてもよい。
図15乃至図17は、取付対象部材20の変形例を示す断面図である。
これまで取付対象部材20が車体本体であるものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。例えば、図15及び図16に示すように、取付対象部材20が別の配線部材10である場合もありうる。この場合、2つの配線部材10のうち一方が他方の取付対象部材であるととらえることができる。
図15及び図16に示す例では、2つの扁平な配線部材10同士が雄型のスナップファスナ30、雌型のスナップファスナ50によって取付けられている。この際、図15に示す例では、2つの扁平な配線部材10同士が積層されている。また図16に示す例では、2つの扁平な配線部材10同士が側方に広がるように連結されている。なお、図15、図16に示す例では、2つの扁平な配線部材10は、それぞれの線状伝送部材12同士が相互に平行となるように取付けられているが、この限りではない。2つの扁平な配線部材10は、それぞれの線状伝送部材12同士が相互に交差するように取付けられていてもよい。
またこれまで取付対象部材20が車体本体である場合に、扁平配線部材10が車体本体の平面部に沿うように取付けられるものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。例えば、図17に示すように、扁平配線部材10が車体本体の曲面に沿うように取付けられてもよい。
より詳細には、取付対象部材120は、曲面22を有する車体本体120である。そして扁平配線部材10の幅方向に沿った中間部が、車体本体120の曲面22に沿って曲がって配設されている。凸形状部31と凹形状部51とによって扁平配線部材10の幅方向に沿った両端部が車体本体120に取付けられている。本態様によると、扁平配線部材10を車体本体120の曲面22に沿って曲げて配設することができる。
図18は、スナップファスナの変形例を示す断面図である。
これまで凸形状部、凹形状部を用いて2つの部材が取付けられるものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。図18に示すように、凸形状部、凹形状部を用いて3つ以上の部材が取付けられてもよい。
このとき、図18に示す例では、積層した2つの配線部材10が車体本体20に取付けられる例を示している。図18に示す例では、間に位置する部材に設けられるスナップファスナ270は、凸形状部231と、凹形状部251との両方を含む。つまりスナップファスナ270は、雌雄同体のスナップファスナ270である。例えば、雌雄同体のスナップファスナ270は、雄本体部232と、雌本体部252とがシート部材16を挟んで相互に逆向きに位置した状態で、リベットRなどで留められて形成されていることが考えられる。
雌雄同体のスナップファスナ270の凸形状部231に雌型のスナップファスナ250が取付けられ、雌雄同体のスナップファスナ270の凹形状部251に雄型のスナップファスナ230が取付けられている。このように、雌雄同体のスナップファスナ270によって1つの配線部材10に、第1、第2の取付対象部材として、別の配線部材10及び車体本体20が取付けられている。もちろん、雌雄同体のスナップファスナ270によって積層した3つ以上の配線部材10が取付けられるものであってもよい。本態様によると、3つ以上の部材を取付けることができる。なお、雄型のスナップファスナ230、雌型のスナップファスナ250の代わりに雌雄同体のスナップファスナ270が設けられていてもよいことは言うまでもない。雌雄同体のスナップファスナ270は、雄型のスナップファスナ230の一変形例であり、雌型のスナップファスナ250の一変形であるととらえることもできる。
{その他の変形例}
このほか、これまで、配線部材10が扁平配線部材10であるものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。配線部材10は、例えば、複数の電線12が丸断面形状などを有するように束ねられた電線束であってもよい。
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。