JP2020098166A - 非常用ガス処理設備及び非常用ガス処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】原子炉の解体時や事故時に、原子炉施設内の気体を放射性物質を除去して屋外に放出するガス処理を、気体に対する吸引力と放射性物質の除去能力とを高く維持しながら行うことができる非常用ガス処理設備及び非常用ガス処理方法を提供する。【解決手段】非常用ガス処理設備100は、抽気流路(2〜14c)と、気体乾燥装置(3,4)と、フィルタ5と、排気ファン6とを備え、液体の増速によって発生させた負圧で被処理気体を吸引して液体中に移行させる吸引装置7と、被処理気体と液体とを気液分離する気液分離器8とを備える。非常用ガス処理方法は、液体の増速によって発生させた負圧で原子炉格納容器1から被処理気体を吸引して、被処理気体を液体中に移行させ、液体中に移行した被処理気体と液体とを気液分離し、気液分離された液体を被処理気体中に含まれていた放射性物質と共に廃棄し、気液分離された気体をフィルタ5に通す。【選択図】図1

Description

本発明は、原子炉の解体時や事故時に、原子炉施設内の気体を放射性物質を除去して屋外に放出する非常用ガス処理設備及び非常用ガス処理方法に関する。
原子力プラントにおいて、原子炉の炉心は、密閉構造の原子炉圧力容器に内包されており、原子炉圧力容器は、密閉構造の原子炉格納容器の内部に格納されている。原子炉の炉心には、多数の燃料棒被覆管が束ねられた燃料集合体が装荷される。核燃料は、核分裂生成物の放散を防止するために、燃料棒被覆管中に封止されている。
原子炉の事故時に、燃料棒被覆管や、圧力バウンダリ内の配管が破損すると、原子炉格納容器内に放射性物質が放出される。そのため、原子力プラントには、原子炉格納容器内の気体を屋外に排気するとき、原子炉格納容器内の放射性物質が屋外に拡散するのを防止するため、非常用ガス処理設備が備えられている。
一般に、非常用ガス処理設備は、気体を吸引する排気ファン、放射性物質を除去するフィルタユニット、気体中の湿分を除去する気体乾燥装置等で構成されている。核分裂生成物の漏洩を伴う事故が発生した場合には、常用の換気系が閉鎖されて、非常用ガス処理設備を用いた非常用の換気が行われる。
非常用ガス処理設備に繋がる排気系統は、一般に、複数系列備えられている。非常用ガス処理設備は、原子炉格納容器内の換気だけでなく、原子炉建屋内の換気も行えるように、複数系列の排気系統が切り替え可能に設けられている。原子炉の事故時には、原子炉格納容器内や原子炉建屋内の気体が、排気ファンによって吸引され、気体乾燥装置やフィルタに通されてから屋外に排気される。
非常用ガス処理設備では、気体乾燥装置によって、冷却材等の湿分が蒸発する際に一部の放射性物質が気体乾燥装置の伝熱面に付着して気体から分離される。また、フィルタユニットによって、放射性物質を含む固形粒子、エアロゾル等の微粒子や、放射性ヨウ素をはじめとする放射性気体が除去される。原子炉格納容器内や原子炉建屋内は、排気ファンによって吸引されて負圧に維持される。原子炉施設内が負圧化されることにより、気体に同伴した放射性物質の拡散が防止される。
また、原子炉施設内には、原子炉の事故時だけでなく、原子炉の解体時にも、放射性物質を含む固形粒子、エアロゾル等の微粒子が発生し得る。炉内構造物等の解体時には、気中切断や切削によって粉塵等が発生し、放射性物質を含む微粒子が飛散する可能性がある。また、水中切断や加工時の熱によって蒸気が発生し、放射性物質を含むエアロゾルや放射性気体が放散する可能性がある。
このような原子炉の解体時にも、原子炉格納容器、原子炉建屋等の原子炉施設内の放射性物質が屋外に拡散するのを防止する必要がある。原子炉の解体時には、常設されている非常用ガス処理設備を利用した換気や、同等の機能を備える非常用ガス処理設備を仮設して行う換気が想定されている。
従来、非常用ガス処理設備の信頼性を向上させる技術が提案されている。例えば、特許文献1には、空気乾燥装置と、排気ファン(排風機)と、フィルタユニットとを、この順に備える非常用ガス処理装置が記載されている。このような構成の非常用ガス処理装置としては、排気ファンをフィルタユニットの後段に配置し、被処理気体をフィルタに吸引する方式等、種々の配管系統を備えるものが知られている。
また、原子炉格納容器内の気体を排気するにあたり、放射性物質の放出を抑制する技術が提案されている。特許文献2には、原子炉格納容器内であって原子炉圧力容器の上方にスプレイノズルを配置し、スプレイノズルから冷却水を注水して水蒸気を凝縮させる技術が記載されている。この技術では、スプレイノズルからの注水で水蒸気を凝縮させる際に放射性物質を水滴中に捕捉し排水する作用を利用して、放射性物質のフィルタへの排出を抑制している。
また、放射性物質を含む気体をエゼクタで吸引する技術が提案されている。特許文献3には、放射性物質取扱い施設の放射性廃液から生じた蒸気や固形分を、抽気エゼクタによって吸引して、噴射した駆動水と共に循環水槽に排出する技術が記載されている。この技術では、固形分のエゼクタ内部への付着を防止するために、ディフューザの端面に洗浄水を流している。
特開2016−206132号公報 特開2016−099205号公報 特開2013−050049号公報
原子炉の解体時や事故時には、放射性物質の屋外への拡散を防止するため、原子炉格納容器や原子炉建屋等の原子炉施設内を十分な負圧に保つ必要がある。原子炉施設内を十分な負圧に保つためには、原子炉施設内の気体に対する吸引力を、合理的な範囲で高くする必要がある。また、気体に対する吸引力を、原子炉の解体の終了時や、事故の収束時まで、長期間にわたって維持し続ける必要がある。
しかし、原子炉の解体時や事故時、放射性物質を含む固形粒子、エアロゾル等の微粒子が原子炉施設内に放出されると、雰囲気中に浮遊している微粒子が、屋外に排気される気体に同伴して、非常用ガス処理設備のフィルタや気体乾燥装置や排気ファンに到達する。固形粒子がフィルタや気体乾燥装置や排気ファンに堆積すると、フィルタの通気抵抗が上昇したり、排気ファンの吸引力が低下したりすることが問題になる。また、放射性物質を含む微粒子が堆積すると、機器の線量当量率が高くなることも問題になる。
固形粒子の堆積によってフィルタや気体乾燥装置や排気ファンの機能が低下した場合、これらの機器の交換、補修等が必要になる。しかし、放射性物質を含む固形粒子が堆積した機器は、線量当量率が高くなっているため、交換、補修等に従事する作業者について、被曝量の増加が懸念される。また、交換した機器は、線量当量率が高い放射性廃棄物となるため、線量当量率を抑えた場合に交換頻度が増加して、処理すべき放射性廃棄物の総容積が増えるという問題もある。
また、固形粒子の堆積によってフィルタや気体乾燥装置や排気ファンの機能が低下した場合、原子炉施設内の気体が引き抜かれ難くなり、雰囲気中に浮遊している微粒子が原子炉施設内に残留し易くなる。排気されなかった微粒子は、原子炉施設内の床面や壁面に付着することになるため、原子炉の解体に従事する作業者の被曝量が増えたり、解体時に発生する廃材の線量当量率が高くなる。
原子炉の解体時、水中切断を行う場合には、解体物が生じる固形粒子、エアロゾル等の多くが、雰囲気中に放散することなく水中に残留するため、放射能汚染水として処理できると考えられる。しかし、このような場合であっても、加工熱による水の蒸発や加工時に発生する飛沫に伴って、エアロゾルが発生し得る。放射性物質を含むエアロゾルは、フィルタや気体乾燥装置や排気ファンに堆積すると、機器の線量当量率を上昇させるし、原子炉施設内に残留すると、廃材の線量当量率を上昇させたり、放射性廃棄物の総容積を増やしたりする可能性がある。
原子炉の解体時や事故時に、フィルタや気体乾燥装置や排気ファンの機能不全を抑制し、作業者の被曝や放射性廃棄物の発生を低減するためには、放射性物質を含む可能性がある固形粒子、エアロゾル等の微粒子を、放射性物質に対する捕捉能力や放射線に対する遮蔽能力が期待できる液相中に移行させて、放射能汚染水として処理する方法が有効といえる。特許文献2のような注水を行うと、微粒子は、フィルタや気体乾燥装置や排気ファンに到達し難くなるが、原子炉格納容器内の床面や壁面に残留し易くなる。また、特許文献3のような吸引や洗浄を行うと、蒸気や固形分の排出は可能であるが、ガス処理を行う排気系統への適用については考慮されていない。
そこで、本発明は、原子炉の解体時や事故時に、原子炉施設内の気体を放射性物質を除去して屋外に放出するガス処理を、気体に対する吸引力と放射性物質の除去能力とを高く維持しながら行うことができる非常用ガス処理設備及び非常用ガス処理方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明に係る非常用ガス処理設備は、原子炉格納容器から被処理気体を引き抜くための抽気流路と、前記被処理気体の湿分を除去する気体乾燥装置と、前記被処理気体から放射性物質を除去するフィルタと、前記被処理気体を吸引して排気する排気ファンと、を備えた原子炉施設の非常用ガス処理設備であって、前記抽気流路における前記気体乾燥装置の上流に設けられ、液体の増速によって発生させた負圧で前記被処理気体を吸引して、前記被処理気体を前記液体中に移行させる吸引装置と、前記抽気流路における前記気体乾燥装置の上流、且つ、前記吸引装置の下流に設けられ、前記液体中に移行した前記被処理気体と前記液体とを気液分離する気液分離器と、を備える。
また、本発明に係る非常用ガス処理方法は、原子炉格納容器から被処理気体を引き抜くための抽気流路と、前記被処理気体の湿分を除去する気体乾燥装置と、前記被処理気体から放射性物質を除去するフィルタと、前記被処理気体を吸引して排気する排気ファンと、を備えた原子炉施設の非常用ガス処理設備を用いた非常用ガス処理方法であって、液体の増速によって発生させた負圧で前記原子炉格納容器から前記被処理気体を吸引して、前記被処理気体を前記液体中に移行させ、前記液体中に移行した前記被処理気体と前記液体とを気液分離し、気液分離された前記液体の少なくとも一部を前記被処理気体中に含まれていた放射性物質と共に廃棄し、気液分離された気体を前記フィルタに通して処理する。
本発明に係る非常用ガス処理設備及び非常用ガス処理方法は、原子炉施設内の気体を放射性物質を除去して屋外に放出するガス処理を、気体に対する吸引力と放射性物質の除去能力とを高く維持しながら行うことができる。
本発明の実施形態に係る非常用ガス処理設備の一例を示す模式図である。 吸引装置として用いられるアスピレータを模式的に示す断面図である。 吸引装置として用いられるエゼクタを模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態に係る非常用ガス処理設備の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る非常用ガス処理設備の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る非常用ガス処理設備の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る非常用ガス処理設備の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る非常用ガス処理設備の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る非常用ガス処理設備の一例を示す模式図である。 噴霧装置として用いられる静電噴霧器を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る非常用ガス処理設備、及び、非常用ガス処理方法について、図を参照しながら説明する。なお、以下の各図において共通する構成については同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る非常用ガス処理設備の一例を示す模式図である。
図1には、原子炉格納容器に接続された非常用ガス処理設備について、設備が備える各機器の機能と、各機器に接続される配管系統と、を模式的に示すが、機器を設置する向きや、配管系統の接続位置は、図示した内容に限定されるものではない。
図1に示すように、原子炉格納容器1は、原子炉圧力容器99を格納している。原子炉圧力容器99は、原子炉の炉心を内包している。原子炉圧力容器99には、核燃料が封止された複数の燃料棒被覆管を束ねた不図示の燃料集合体が装荷されている。
原子炉格納容器1には、原子炉格納容器1内の気体(被処理気体)を放射性物質を除去して屋外に放出するガス処理を行うため、非常用ガス処理系が備えられている。非常用ガス処理系は、抽気流路(2,11,14a,14b,14c)と、気体乾燥装置(3,4)と、フィルタ5と、排気ファン6とを、少なくとも備えている。このような構成を有する非常用ガス処理系は、従来一般的な原子炉施設にも設けられている。
抽気流路(2,11,14a,14b,14c)は、原子炉格納容器1から被処理気体を引き抜くための流路であり、非常用の排気系統として備わっている。抽気流路(2,11,14a,14b,14c)は、主として気体が通流する流路であり、原子炉格納容器内(A1)から原子炉建屋外(A2)まで、配管や機器によって形成されている。
気体乾燥装置(3,4)は、原子炉格納容器1から引き抜かれた被処理気体の湿分を除去するために設置されている。図において、気体乾燥装置(3,4)としては、気体の湿分を凝縮させて低減する前段側の気体乾燥装置3と、気体を加熱乾燥して湿分を除去する後段側の気体乾燥装置4と、が備えられている。但し、前段側の気体乾燥装置3は、設置が省略されることもある。気体乾燥装置(3,4)としては、電気ヒータ、凝縮器、吸湿剤を用いた乾燥器等の各種の気体乾燥装置が備えられている。
フィルタ5は、原子炉格納容器1から引き抜かれた被処理気体から放射性物質を除去するために備えられている。フィルタ5としては、プレフィルタ、チャコールフィルタ、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ等の各種のフィルタが用いられている。通常、同種又は異種の複数のフィルタ5が、加熱コイル、スペースヒータ等の気体乾燥装置4と共に、ユニット化されて備えられている。
排気ファン6は、原子炉格納容器1内の気体を排気するために備えられており、原子炉格納容器1内の気体(被処理気体)を吸引して引き抜き、抽気流路(2,11,14a,14b,14c)を通じて屋外に排気する。図において、排気ファン6は、フィルタ5の後段に配置されている。但し、排気ファン6は、配置に自由度があり、フィルタ5の前段に配置されることもある。
このような抽気流路(2,11,14a,14b,14c)と、気体乾燥装置(3,4)と、フィルタ5と、排気ファン6と、によって構成される非常用ガス処理系は、原子炉建屋内に設けられることもあるし、原子炉建屋外に設けられることもある。また、このような非常用ガス処理系は、吸引先が異なる複数系列が並列状に設けられることもある。
図1に示すように、本実施形態に係る非常用ガス処理設備100は、このような抽気流路(2,11,14a,14b,14c)と、気体乾燥装置(3,4)と、フィルタ5と、排気ファン6と、を備える非常用ガス処理系において、更に、吸引装置7と、気液分離器8と、循環ポンプ9と、給液槽10と、循環流路13(13a,13b,13c)と、作動液体供給流路15と、作動液体排出流路16と、凝縮液排出流路17と、流量調整弁(21,22,23)と、を備えている。
吸引装置7は、抽気流路(2,11,14a,14b,14c)における気体乾燥装置3や気液分離器8の上流に設けられている。また、気液分離器8は、抽気流路(2,11,14a,14b,14c)における気体乾燥装置3の上流、且つ、吸引装置7の下流に設けられている。
非常用ガス処理設備100において、抽気流路(2,11,14a,14b,14c)は、原子炉格納容器1の出口から、吸引装置7、気液分離器8、気体乾燥装置3、気体乾燥装置4、フィルタ5及び排気ファン6を、この順に経て、原子炉建屋外(A2)に連通している。
吸引装置7は、作動液体(液体)の増速によって発生させた負圧で原子炉格納容器1内の気体(被処理気体)を吸引して、その気体(被処理気体)を作動液体(液体)中に移行させるための装置である。吸引装置7としては、このような機能を備える、アスピレータ、エゼクタ、渦流ポンプ等を備えることができる。
負圧を発生させる作動液体としては、例えば、水が用いられる。或いは、作動液体としては、洗浄剤、界面活性剤、pH調整剤等を溶解させた溶液を用いることもできる。このような溶液を作動液体として用いると、固形粒子、エアロゾル等の微粒子や、放射性気体の溶解度を高くすることができる場合がある。
図1に示すように、非常用ガス処理設備100には、循環流路13が設けられている。循環流路13は、吸引装置7と気液分離器8との間で作動液体を循環させるための液体の流路である。循環流路13には、気液分離器8で分離された作動液体を吸引装置7に再供給する循環ポンプ9が設置されている。
非常用ガス処理設備100において、循環流路13は、作動液体が吸引装置7や気液分離器8に循環的に通流可能なように、閉環状に設けられている。循環流路13aは、循環ポンプ9の吐出口から吸引装置7の流入口に連通している。また、循環流路13bは、吸引装置7の流出口から気液分離器8の入口に連通している。また、循環流路13cは、気液分離器8の排液口から循環ポンプ9の吸込口に連通している。
図2は、吸引装置として用いられるアスピレータを模式的に示す断面図である。図3は、吸引装置として用いられるエゼクタを模式的に示す断面図である。
図2及び図3に示すように、吸引装置7は、作動液体が流入する流入口71と、被処理気体が移行した作動液体が流出する流出口72と、流入口71と流出口72との間を連通する液体流路73と、原子炉格納容器1から引き抜かれた被処理気体を液体流路73に吸い込むための吸込口74と、を有している。
流入口71は、循環流路13を介して、循環ポンプ9の吐出口と配管等で接続される。また、流出口72は、循環流路13を介して、気液分離器8の入口と配管等で接続される。吸引装置7における流入口71から流出口72までの区間は、作動液体が流れる液体流路73であり、循環流路13の一部を構成する。液体流路73は、断面積の変化によって作動液体を増速させる機構を有しており、作動液体の増速によるベンチュリ効果によって負圧を発生する。
吸込口74は、抽気流路2を介して、原子炉格納容器1の出口に配管等で接続される。吸引装置7における吸込口74から流出口72までの区間は、被処理気体や、被処理気体が作動液体に移行した二相流体が流れる流路であり、抽気流路2の一部を構成する。
図2に示すように、吸引装置7として用いられるアスピレータ7Aは、流入口71と、流出口72と、液体流路73と、吸込口74と、を有している。また、アスピレータ7Aは、液体流路73の断面積が下流に向かうに連れて小さくなる絞り部75と、絞り部75の下流に設けられ、液体流路73の断面積が拡大されるディフューザ部76と、を有している。アスピレータ7Aの吸込口74は、絞り部75の下流端に連通している。
アスピレータ7Aにおいて、循環流路13を流れる作動液体が、流入口71から液体流路73に流入すると、その作動液体は、断面積が次第に小さくなっていく絞り部75で増速し、ベンチュリ効果によって負圧を発生する。そして、原子炉格納容器1内の気体(被処理気体)は、作動液体が発生させた負圧で吸引されて、流れている作動液体に接触し、溶解や気泡化によって作動液体中に移行する。その後、負圧を発生させた作動液体は、ディフューザ部76で減速して圧力を回復する。
アスピレータ7Aでは、原子炉格納容器1内の気体(被処理気体)が作動液体中に移行するのに伴って、被処理気体に含まれている微粒子も作動液体中に移行することになる。アスピレータ7Aによると、気体や液体が滞留し易い部位が少ないため、被処理気体に含まれている微粒子等を、アスピレータ7Aの内部に残留させることなく、流れている作動液体中に確実に移行させることができる。
図3に示すように、吸引装置7として用いられるエゼクタ7Bは、流入口71と、流出口72と、液体流路73と、吸込口74と、を有している。また、エゼクタ7Bは、液体流路73を囲むチャンバ77と、チャンバ77内に作動液体を噴射するノズル78と、液体流路73の断面積が下流に向かうに連れて小さくなる絞り部75と、絞り部75の下流に設けられ、液体流路73の断面積が拡大されるディフューザ部76と、を有している。エゼクタ7Bの吸込口74は、ノズル78と同様に、チャンバ77内に開口している。
エゼクタ7Bにおいて、循環流路13を流れる作動液体が、流入口71から液体流路73に流入すると、その作動液体は、ノズル78によって絞り部75に向けて噴射されてノズル78の出口で増速し、ベンチュリ効果によって負圧を発生する。そして、原子炉格納容器1内の気体(被処理気体)は、作動液体が発生させた負圧で吸引されて、流れている作動液体に巻き込まれながら接触し、溶解や気泡化によって作動液体(噴射液体)中に移行する。その後、負圧を発生させた作動液体は、ディフューザ部76で圧力を回復する。
エゼクタ7Bでは、原子炉格納容器1内の気体(被処理気体)が作動液体中に移行するのに伴って、被処理気体に含まれている微粒子も作動液体中に移行することになる。エゼクタ7Bによると、作動液体がノズル78から高速で噴射されるため、被処理気体は、噴射された作動液体の流れに巻き込まれながら作動液体中に移行する。そのため、作動液体を吸込口74側に逆流させることなく、流出口72に向けて流すことができる。
以上のアスピレータ7A、エゼクタ7B等の吸引装置7によると、排気ファン6による吸引下において、作動液体の増速によって吸引装置7の内部に負圧が発生するため、原子炉格納容器1内は、吸引装置7と排気ファン6による負圧が相乗した大きい負圧によって減圧される。そのため、原子炉格納容器1内を安定的且つ持続的に負圧にして、放射性物質の拡散を確実に防止することができる。
吸引装置7では、作動液体(液体)の増速によって発生させた負圧で原子炉格納容器1から気体(被処理気体)を吸引して、その気体(被処理気体)を作動液体(液体)中に移行させる。作動液体側に吸引された被処理気体は、溶解や気泡化によって作動液体中に移行することになる。被処理気体に含まれていた固形粒子、エアロゾル等の微粒子の少なくとも一部は、雰囲気と作動液体との気液界面や、作動液体中に移行した気泡の気液界面を通じて気相から液相に物質移動する。その後、被処理気体が作動液体に移行した二相流体は、吸引装置7から気液分離器8に流される。
気液分離器8は、作動液体(液体)中に移行した気体(被処理気体)と作動液体(液体)とを気液分離する。気液分離器8としては、重力分離式装置が動力を必要としないため有効であるが、その他、サイクロン型遠心装置、スクリュ型遠心装置、ベーン型遠心装置、回転ドラム型遠心装置、液中エアーリフト式装置、ドラム式装置等の適宜の装置を用いることができる。
気液分離器8は、被処理気体が作動液体に移行した二相流体が流入する入口と、気液分離された作動液体が流出する排液口と、気液分離された被処理気体が排気される排気口と、を有している。気液分離器8の入口は、循環流路13bを介して、吸引装置7の流出口と配管等で接続される。また、排液口は、循環流路13cを介して、循環ポンプ9の吸込口と配管等で接続される。また、排気口は、抽気流路11を介して、気体乾燥装置3の入口と配管等で接続される。
気液分離器8では、作動液体(液体)中に移行した被処理気体と作動液体(液体)とを気液分離する。原子炉格納容器1内の気体(被処理気体)中に含まれていた放射性気体は、気泡の界面から作動液体中に溶解したものを除いて、作動液体から気液分離されて抽気流路11に排気される。一方、作動液体中に移行していた微粒子等は、気体から気液分離されて略単相の作動液体中に残り、循環流路13cに流される。
図1に示すように、非常用ガス処理設備100には、循環流路13に流される作動液体が用意される給液槽10と、循環流路13に作動液体を供給するための作動液体供給流路15と、が設けられている。作動液体供給流路15は、給液槽10の出口と、循環流路13における循環ポンプ9の上流、且つ、気液分離器8の下流の区間と、を接続している。作動液体供給流路15には、液体の流量を調整可能な流量調整弁21が設けられている。
また、循環流路13からは、循環流路13内の作動液体の少なくとも一部を汚染水処理設備S1に排出するための作動液体排出流路16が分岐している。作動液体排出流路16は、循環流路13における吸引装置7の上流、且つ、循環ポンプ9の下流の区間と、汚染水処理設備S1と、を接続している。作動液体排出流路16には、液体の流量を調整可能な流量調整弁22が設けられている。
気液分離器8で気液分離された作動液体は、その排液口から流出し、循環流路13を循環する。循環流路13では、気液分離された作動液体(液体)の少なくとも一部は、原子炉格納容器1内の気体(被処理気体)中に含まれていた放射性物質ないし微粒子と共に、作動液体排出流路16を通じて廃棄される。汚染水処理設備S1は、原子炉施設で発生した汚染水W2を処理する設備であり、汚染水W2に含まれる放射性物質を除去することができる。非常用ガス処理設備100では、既存の汚染水処理設備S1を、作動液体の処理に利用することができる。
循環流路13を循環する作動液体は、流量調整弁22の開度を操作することにより、循環流路13から適宜の流量で引き抜くことができる。循環流路13を循環する作動液体は、被処理気体の移行に伴って、微粒子や溶存気体の濃度が上昇していく。高濃度に蓄積された微粒子は、吸引装置7、気液分離器8、循環ポンプ9等の機能を低下させる可能性がある。また、高濃度化した溶存気体は、被処理気体の作動液体への溶解速度・溶解度を低下させて、作動液体への移行を妨げる可能性がある。しかし、循環流路13を循環する作動液体の少なくとも一部を引き抜くと、微粒子や放射性気体の作動液体への移行量や、各機器の機能が低下するのを防止することができる。
また、循環流路13を循環する作動液体は、流量調整弁21の開度を操作することにより、給液槽10から適宜の流量で補充することができる。吸引装置7における作動液体の流量・流速や、吸引装置7に流入する微粒子の濃度は、原子炉格納容器1から引き抜かれた気体(被処理気体)の湿分の流量と給液槽10から供給する作動液体の流量との合計と、循環流路13から引き抜く作動液体の流量とを、同等の流量になるように調整すると、略一定に保つことができる。このような運転を行うと、被処理気体の作動液体への移行量や、被処理気体に対する吸引力を、定常的に維持することができる。
気液分離器8で気液分離された作動液体(液体)の少なくとも一部は、被処理気体中に含まれていた放射性物質と共に廃棄されるのに対し、気液分離器8で気液分離された気体(被処理気体)は、気体乾燥装置(3,4)を経て、フィルタ5を通して排気される。気液分離器8の排気口から排気された被処理気体は、前段側の気体乾燥装置3で湿分の多くが除去され、後段側の気体乾燥装置4で湿分が更に除去されて乾燥状態になる。そして、フィルタ5による濾過・吸着によって、放射性ヨウ素等の放射性気体や、残留しているエアロゾルが除去される。その後、放射性物質が除去された気体は、原子炉施設の屋外(A2)に放出される。
非常用ガス処理設備100において、前段側の気体乾燥装置3からは、気体乾燥装置3で凝縮された凝縮液W3を汚染水処理設備S1に排出するための凝縮液排出流路17が分岐している。凝縮液排出流路17は、気体乾燥装置3の液体出口と、汚染水処理設備S1と、を接続している。凝縮液排出流路17には、液体の流量を調整可能な流量調整弁23が設けられている。気体乾燥装置3で発生した凝縮液W3は、流量調整弁23の開度を操作することにより、汚染水処理設備S1に適宜の流量で移送することができる。
以上の非常用ガス処理設備100及び非常用ガス処理方法によると、原子炉施設内の気体を放射性物質を除去して屋外に放出するガス処理を、気体に対する吸引力と放射性物質の除去能力とを高く維持しながら行うことができる。作動液体の増速によって発生させた負圧によって、排気ファン6による吸引下に、更に絶対値が大きい負圧を発生させるため、気体に対する吸引力を高め、原子炉格納容器1内を安定的且つ持続的に負圧にして、放射性物質の拡散を防止することができる。また、作動液体の増速によって発生させた負圧で被処理気体を吸引して、被処理気体を作動液体中に移行させるため、気体に同伴する微粒子を、微粒子に含まれる放射性物質と共に、高効率で液相中に捕捉することができる。
気体に同伴する微粒子を液相中に捕捉することができるため、原子炉の解体時や事故時に、原子炉施設内に放出された微粒子が、気体乾燥装置(3,4)、フィルタ5、排気ファン6に到達するのを大きく抑制することができる。放射性物質を含む微粒子の堆積量増加を原因として、これらの機器が機能不全に陥る事態や、これらの機器の線量当量率が高くなる事態を、確実且つ持続的に防止することができる。そのため、機器の交換、補修等の頻度が低減し、保守に従事する作業者の被曝量や、交換に伴う放射性廃棄物の発生量が低減する。
また、フィルタや排気ファンの機能を維持して、原子炉格納容器内の微粒子を強い吸引力で確実に排気することができるため、放射性物質が原子炉施設内の床面や壁面に残留し難くなり、原子炉の解体時に発生する廃材の線量当量率や、解体に従事する作業者の被曝量や、処理すべき放射性廃棄物の総容積が低減する。また、気体に対する吸引力の向上により、原子炉施設で発生する漏洩事象について、ガス処理における処理量や、時間的な余裕を十分に確保することができる。したがって、原子炉施設の安全性及び信頼性や、原子炉の事故時や解体時の作業の安全性を向上させることができる。
図4は、本発明の実施形態に係る非常用ガス処理設備の一例を示す模式図である。
図4には、原子炉格納容器に接続された非常用ガス処理設備について、設備が備える各機器の機能と、各機器に接続される配管系統と、を模式的に示すが、機器を設置する向きや、配管系統の接続位置は、図示した内容に限定されるものではない。
図4に示すように、本実施形態に係る非常用ガス処理設備200は、前記の非常用ガス処理設備100と同様に、抽気流路(2,11,14a,14b,14c)と、気体乾燥装置(3,4)と、フィルタ5と、排気ファン6と、を備える非常用ガス処理系において、更に、吸引装置7と、気液分離器8と、循環ポンプ9と、給液槽10と、循環流路13(13a,13b,13c)と、作動液体供給流路15と、作動液体排出流路16と、凝縮液排出流路17と、流量調整弁(21,22,23)と、を備えている。
本実施形態に係る非常用ガス処理設備200が、前記の非常用ガス処理設備100と異なる点は、噴霧装置24と、噴霧用液体供給流路18と、流量調整ポンプ25と、を備える点である。非常用ガス処理設備200の他の構成や、動作・運転は、前記の非常用ガス処理設備100と略同様である。
非常用ガス処理設備200において、噴霧装置24は、抽気流路2における吸引装置7の上流に設けられている。噴霧用液体供給流路18は、作動液体供給流路15から分岐している。噴霧用液体供給流路18は、給液槽10と、噴霧装置24と、を接続している。噴霧用液体供給流路18には、液体の流量を調整可能な流量調整ポンプ25が設けられている。
噴霧装置24は、原子炉格納容器1から引き抜かれた気体(被処理気体)に作動液体(液体)を噴霧して、その気体(被処理気体)の少なくとも一部を、噴霧された作動液体(液体)中に移行させるための装置である。噴霧装置24としては、噴霧口径が小さく、数百μm以下の微小な液滴を噴霧可能な、一流体ノズル、二流体ノズル、多孔管等を備える適宜の装置を備えることができる。噴霧装置の24の噴霧口数、噴霧形状、噴霧量、噴霧角度・方向等は、特に制限されるものではない。
噴霧装置24は、抽気流路2の途中に連結された噴霧室と、原子炉格納容器1から引き抜かれた気体(被処理気体)が流入する流入口と、噴霧用液体供給流路18が接続し、噴霧室内の噴霧口に連通する噴霧用液体入口と、作動液体が噴霧された被処理気体が吸引装置7に向けて流出する流出口と、を有する。噴霧室は、チャンバ状、配管状等の適宜の構造として設けることができる。
噴霧装置24では、原子炉格納容器1から引き抜かれた気体(被処理気体)に、連続的又は間欠的に作動液体を噴霧する。被処理気体に含まれていた微粒子の少なくとも一部は、噴霧された液滴に付着し、液滴の気液界面を通じて液滴中に移行する。また、噴霧された作動液体の温度が、被処理気体の温度よりも低い場合には、被処理気体中の水蒸気が凝縮して液滴になる。このような場合、被処理気体に含まれていた微粒子の少なくとも一部は、凝縮の過程で液滴に内包されたり、液滴に接触したりして、液滴中に移行する。
作動液体が噴霧された被処理気体は、噴霧された液滴と共に吸引装置7に吸い込まれる。そして、吸引装置7では、作動液体側に吸引された被処理気体が、噴霧装置24で噴霧された液滴と共に、作動液体中に移行することになる。被処理気体に残存している微粒子の少なくとも一部は、雰囲気と作動液体との気液界面や、作動液体中に移行した気泡の気液界面を通じて気相から液相に物質移動する。その後、前記の非常用ガス処理設備100と同様に、作動液体の循環や、ガス処理が続けられる。
噴霧装置24では、原子炉格納容器1から引き抜かれた気体(被処理気体)に、流量調整ポンプ25によって吐出された作動液体(液体)を噴霧する。噴霧装置24によって噴霧する作動液体は、流量調整ポンプ25の出力を制御することにより、給液槽10から適宜の流量で補充することができる。あるいは、流量調整ポンプ25の流量調整は、流量調整弁を噴霧用液体供給流路18に設けて行ってもよい。吸引装置7における作動液体の流量・流速は、噴霧装置24によって噴霧する作動液体の流量と原子炉格納容器1から引き抜かれた気体(被処理気体)の湿分の流量と循環ポンプ9によって循環させる作動液体の流量との合計と、循環流路13から引き抜く作動液体の流量とを、同等の流量になるように調整すると、略一定に保つことができる。このような運転を行うと、被処理気体の作動液体への移行量や、被処理気体に対する吸引力を、定常的に維持することができる。
また、吸引装置7を循環する作動液体中の微粒子の濃度は、噴霧装置24によって噴霧する作動液体の流量と循環ポンプ9によって循環させる作動液体の流量との合計を調整すると、略一定に保つことができる。このような運転を行うと、微粒子や放射性物質の作動液体への移行量を定常的に維持することができる。
以上の非常用ガス処理設備200及び非常用ガス処理方法によると、前記の非常用ガス処理設備100と同様に、原子炉施設内の気体を放射性物質を除去して屋外に放出するガス処理を、気体に対する吸引力と放射性物質の除去能力とを高く維持しながら行うことができる。非常用ガス処理設備200は、噴霧装置24を備え、流量調整ポンプ25によって吐出された作動液体を被処理気体に噴霧するため、被処理気体に含まれている微粒子の少なくとも一部を、吸引装置7に流入させる以前に、予め液相に移行させておくことができる。微粒子の大半を液相に移行させた状態で気液分離することができるため、微粒子の大半を放射能汚染水W2として廃棄しつつ、微粒子が十分に排除された気体をフィルタ側でガス処理することができる。
図5は、本発明の実施形態に係る非常用ガス処理設備の一例を示す模式図である。
図5には、原子炉格納容器に接続された非常用ガス処理設備について、設備が備える各機器の機能と、各機器に接続される配管系統と、を模式的に示すが、機器を設置する向きや、配管系統の接続位置は、図示した内容に限定されるものではない。
図5に示すように、本実施形態に係る非常用ガス処理設備300は、前記の非常用ガス処理設備200と同様に、抽気流路(2,11,14a,14b,14c)と、気体乾燥装置(3,4)と、フィルタ5と、排気ファン6と、を備える非常用ガス処理系において、更に、吸引装置7と、気液分離器8と、循環ポンプ9と、給液槽10と、循環流路13(13a,13b,13c)と、作動液体供給流路15と、作動液体排出流路16と、凝縮液排出流路17と、流量調整弁(21,22,23)と、噴霧装置24と、噴霧用液体供給流路18と、を備えている。
本実施形態に係る非常用ガス処理設備300が、前記の非常用ガス処理設備200と異なる点は、流量調整ポンプ25に代えて、流量調整弁26を備える点である。非常用ガス処理設備300の他の構成や、動作・運転は、前記の非常用ガス処理設備200と略同様である。
非常用ガス処理設備300において、噴霧装置24は、抽気流路2における吸引装置7の上流に設けられている。噴霧用液体供給流路18は、作動液体供給流路15から分岐している。噴霧用液体供給流路18は、給液槽10と、噴霧装置24と、を接続している。噴霧用液体供給流路18には、液体の流量を調整可能な流量調整弁26が設けられている。
噴霧装置24では、原子炉格納容器1から引き抜かれた気体(被処理気体)に、圧力差又は水頭によって供給される作動液体(液体)を噴霧する。噴霧装置24によって噴霧する作動液体は、流量調整弁26の開度を制御することにより、給液槽10から適宜の流量で補充することができる。吸引装置7を、図2に示した液体流路73の最も狭い部分(絞り部75やノズル78の出口)の断面積を小さくし、作動液体の増速によって発生させる負圧の絶対値が大きくなるように設計する。加えて、給液槽10に用意した作動液体W1の水頭と噴霧装置24の噴霧口における圧力との圧力差が、必要最小限の作動液体を噴霧用液体として流した場合の圧力損失を上回るように設計する。これらの条件を満たすように設計すると、噴霧専用のポンプを設けなくとも、圧力差や水頭によって作動液体を噴霧することができる。
また、吸引装置7を循環する作動液体中の微粒子の濃度は、噴霧装置24によって噴霧する作動液体の流量と循環ポンプ9によって循環させる作動液体の流量との合計を調整すると、略一定に保つことができる。このような運転を行うと、微粒子や放射性物質の作動液体への移行量を定常的に維持することができる。
以上の非常用ガス処理設備300及び非常用ガス処理方法によると、前記の非常用ガス処理設備100と同様に、原子炉施設内の気体を放射性物質を除去して屋外に放出するガス処理を、気体に対する吸引力と放射性物質の除去能力とを高く維持しながら行うことができる。非常用ガス処理設備300は、噴霧装置24を備え、圧力差又は水頭によって供給される作動液体を被処理気体に噴霧するため、噴霧専用のポンプを設置しなくとも、被処理気体に含まれている微粒子の少なくとも一部を、吸引装置7に流入させる以前に、予め液相に移行させておくことができる。微粒子の大半を液相に移行させた状態で気液分離することができるため、微粒子の大半を放射能汚染水W2として廃棄しつつ、微粒子が十分に排除された気体をフィルタ側でガス処理することができる。噴霧専用のポンプの交換、補修等が必要ないため、保守に従事する作業者の被曝を避けることができる。
図6は、本発明の実施形態に係る非常用ガス処理設備の一例を示す模式図である。
図6には、原子炉格納容器に接続された非常用ガス処理設備について、設備が備える各機器の機能と、各機器に接続される配管系統と、を模式的に示すが、機器を設置する向きや、配管系統の接続位置は、図示した内容に限定されるものではない。
図6に示すように、本実施形態に係る非常用ガス処理設備400は、前記の非常用ガス処理設備300と同様に、抽気流路(2,11,14a,14b,14c)と、気体乾燥装置(3,4)と、フィルタ5と、排気ファン6と、を備える非常用ガス処理系において、更に、吸引装置7と、気液分離器8と、循環ポンプ9と、給液槽10と、循環流路13(13a,13b,13c)と、作動液体供給流路15と、作動液体排出流路16と、凝縮液排出流路17と、流量調整弁(21,22,23)と、噴霧装置24と、を備えている。
本実施形態に係る非常用ガス処理設備400が、前記の非常用ガス処理設備300と異なる点は、噴霧用液体供給流路18に代えて、噴霧用液体分流流路19と、流量調整弁27と、を備える点である。非常用ガス処理設備400の他の構成や、動作・運転は、前記の非常用ガス処理設備300と略同様である。
非常用ガス処理設備400において、噴霧装置24は、抽気流路2における吸引装置7の上流に設けられている。噴霧用液体分流流路19は、循環流路13における吸引装置7の上流、且つ、循環ポンプ9の下流から分岐して噴霧装置7に接続している。噴霧用液体分流流路19には、液体の流量を調整可能な流量調整弁27が設けられている。
噴霧装置24では、原子炉格納容器1から引き抜かれた気体(被処理気体)に、循環ポンプ9によって吐出された作動液体(液体)を噴霧する。噴霧装置24によって噴霧する作動液体は、流量調整弁27の開度を制御することにより、循環流路13から適宜の流量で分流することができる。吸引装置7における作動液体の流量・流速は、噴霧装置24によって噴霧する作動液体の流量と原子炉格納容器1から引き抜かれた気体(被処理気体)の湿分の流量と循環ポンプ9によって循環させる作動液体の流量との合計と、循環流路13から引き抜く作動液体の流量とを、同等の流量になるように調整すると、略一定に保つことができる。このような運転を行うと、被処理気体の作動液体への移行量や、被処理気体に対する吸引力を、定常的に維持することができる。
また、吸引装置7を循環する作動液体中の微粒子の濃度は、噴霧装置24によって噴霧する作動液体の流量と循環ポンプ9によって循環させる作動液体の流量との合計を調整すると、略一定に保つことができる。このような運転を行うと、微粒子や放射性物質の作動液体への移行量を定常的に維持することができる。
以上の非常用ガス処理設備400及び非常用ガス処理方法によると、前記の非常用ガス処理設備100と同様に、原子炉施設内の気体を放射性物質を除去して屋外に放出するガス処理を、気体に対する吸引力と放射性物質の除去能力とを高く維持しながら行うことができる。非常用ガス処理設備400は、噴霧装置24を備え、循環ポンプ9によって吐出された作動液体を被処理気体に噴霧するため、噴霧専用のポンプを設置しなくとも、被処理気体に含まれている微粒子の少なくとも一部を、吸引装置7に流入させる以前に、予め液相に移行させておくことができる。微粒子の大半を液相に移行させた状態で気液分離することができるため、微粒子の大半を放射能汚染水W2として廃棄しつつ、微粒子が十分に排除された気体をフィルタ側でガス処理することができる。噴霧専用のポンプを設置する必要がないため、保守に従事する作業者の被曝を避けることができる。また、噴霧専用のポンプや特殊な設計が必要ないため、機器の設置や配管系統の敷設の自由度を高くすることができる。
図7は、本発明の実施形態に係る非常用ガス処理設備の一例を示す模式図である。
図7には、原子炉格納容器に接続された非常用ガス処理設備について、設備が備える各機器の機能と、各機器に接続される配管系統と、を模式的に示すが、機器を設置する向きや、配管系統の接続位置は、図示した内容に限定されるものではない。
図7に示すように、本実施形態に係る非常用ガス処理設備500は、前記の非常用ガス処理設備400と同様に、抽気流路(2,11,14a,14b,14c)と、気体乾燥装置(3,4)と、フィルタ5と、排気ファン6と、を備える非常用ガス処理系において、更に、吸引装置7と、気液分離器8と、循環ポンプ9と、給液槽10と、循環流路13(13a,13b,13c)と、作動液体供給流路15と、作動液体排出流路16と、凝縮液排出流路17と、流量調整弁(21,22,23,27)と、噴霧装置24と、噴霧用液体分流流路19と、を備えている。
本実施形態に係る非常用ガス処理設備500が、前記の非常用ガス処理設備400と異なる点は、循環流路13に冷却器28を備える点である。非常用ガス処理設備500の他の構成や、動作・運転は、前記の非常用ガス処理設備400と略同様である。
非常用ガス処理設備500において、冷却器28は、循環流路13aにおける吸引装置7の上流、且つ、循環ポンプ9の下流に設けられている。噴霧用液体分流流路19は、冷却器27よりも下流から分岐して噴霧装置7に接続している。噴霧用液体分流流路19には、液体の流量を調整可能な流量調整弁27が設けられている。
冷却器28は、循環流路13を循環する作動液体を冷却するための装置である。冷却器28としては、強制空冷式冷却器、自然空冷式冷却器、水冷式冷却器等のいずれの方式を用いることもできる。冷却器28としては、ジャケット式、シェルアンドチューブ式、フィンアンドチューブ式、プレート式等の各種の熱交換器や、開放式冷却塔、密閉式冷却塔等の適宜の装置を備えることができる。
冷却器28では、循環流路13を循環する作動液体を冷却し、低温になった作動液体を吸引装置7や噴霧装置24に流入させる。負圧を発生する吸引装置7における真空の到達度は、作動液体の蒸気圧に依存している。増速させる作動液体が低温であるほど、その蒸気圧は低くなるため、絶対値が大きい負圧を発生させることができる。そのため、循環流路13を循環する作動液体を冷却しておくと、被処理気体に対する作動液体の吸引力を高めることができる。また、被処理気体に含まれる水蒸気や噴霧装置24において噴霧された作動液体が凝縮し易い状態になるため、作動液体への移行が促進される。
以上の非常用ガス処理設備500及び非常用ガス処理方法によると、前記の非常用ガス処理設備100と同様に、原子炉施設内の気体を放射性物質を除去して屋外に放出するガス処理を、気体に対する吸引力と放射性物質の除去能力とを高く維持しながら行うことができる。非常用ガス処理設備500は、冷却器28を備え、冷却された作動液体を循環させることができるため、気体に対する吸引力を一層高め、原子炉格納容器1内を安定的且つ持続的に負圧にして、放射性物質の拡散をより確実に防止することができる。また、冷却された作動液体を循環させたり、冷却された作動液体を噴霧したりすることができるため、被処理気体や被処理気体に含まれている放射性物質を作動液体に確実に移行させて、気液分離に供することができる。
図8は、本発明の実施形態に係る非常用ガス処理設備の一例を示す模式図である。
図8には、原子炉格納容器に接続された非常用ガス処理設備について、設備が備える各機器の機能と、各機器に接続される配管系統と、を模式的に示すが、機器を設置する向きや、配管系統の接続位置は、図示した内容に限定されるものではない。
図8に示すように、本実施形態に係る非常用ガス処理設備600は、前記の非常用ガス処理設備500と同様に、抽気流路(2,11,14a,14b,14c)と、気体乾燥装置(3,4)と、フィルタ5と、排気ファン6と、を備える非常用ガス処理系において、更に、吸引装置7と、気液分離器8と、循環ポンプ9と、給液槽10と、循環流路13(13a,13b,13c)と、作動液体供給流路15と、作動液体排出流路16と、流量調整弁(21,22,23,27)と、噴霧装置24と、噴霧用液体分流流路19と、を備えている。
本実施形態に係る非常用ガス処理設備600が、前記の非常用ガス処理設備500と異なる点は、凝縮液排出流路17に代えて、凝縮液供給流路30と、流量調整弁31と、を備える点である。非常用ガス処理設備600の他の構成や、動作・運転は、前記の非常用ガス処理設備400と略同様である。
非常用ガス処理設備600において、前段側の気体乾燥装置3からは、気体乾燥装置3で凝縮された凝縮液W3を循環流路13に供給するための凝縮液供給流路30が分岐している。凝縮液供給流路30は、気体乾燥装置3の液体出口と、循環流路13における循環ポンプ9の上流、且つ、気液分離器8の下流の区間と、を接続している。凝縮液供給流路30には、液体の流量を調整可能な流量調整弁31が設けられている。気体乾燥装置3で発生した凝縮液W3は、流量調整弁31の開度を操作することにより、循環流路13に適宜の流量で供給することができる。循環ポンプ9は、循環流路13を循環する作動液体と共に凝縮液W3を吸引装置7に供給する。
以上の非常用ガス処理設備600及び非常用ガス処理方法によると、前記の非常用ガス処理設備100と同様に、原子炉施設内の気体を放射性物質を除去して屋外に放出するガス処理を、気体に対する吸引力と放射性物質の除去能力とを高く維持しながら行うことができる。非常用ガス処理設備600は、凝縮液供給流路30を備えるため、気体乾燥装置3で凝縮された凝縮液W3を被処理気体の捕捉に再利用することができる。また、気体乾燥装置3で凝縮された凝縮液W3を、循環ポンプ9の圧力を利用して汚染水処理設備S1に排出することができる。汚染水処理設備S1への流路が作動液体排出流路16に統合されるため、原子力設備の配管系統を簡素化することができる。
図9は、本発明の実施形態に係る非常用ガス処理設備の一例を示す模式図である。
図9には、原子炉格納容器に接続された非常用ガス処理設備について、設備が備える各機器の機能と、各機器に接続される配管系統と、を模式的に示すが、機器を設置する向きや、配管系統の接続位置は、図示した内容に限定されるものではない。
図9に示すように、本実施形態に係る非常用ガス処理設備700は、前記の非常用ガス処理設備600と同様に、抽気流路(2,11,14a,14b,14c)と、気体乾燥装置(3,4)と、フィルタ5と、排気ファン6と、を備える非常用ガス処理系において、更に、吸引装置7と、気液分離器8と、循環ポンプ9と、給液槽10と、循環流路13(13a,13b,13c)と、作動液体供給流路15と、作動液体排出流路16と、流量調整弁(21,22,23,27,31)と、噴霧装置24と、噴霧用液体分流流路19と、凝縮液供給流路30と、を備えている。
本実施形態に係る非常用ガス処理設備700が、前記の非常用ガス処理設備600と異なる点は、汚染水処理設備S1からの処理水返送流路32と、流量調整弁33と、を備える点である。非常用ガス処理設備700の他の構成や、動作・運転は、前記の非常用ガス処理設備600と略同様である。
非常用ガス処理設備700において、給液槽10は、処理水返送流路32を介して、汚染水処理設備S1と、配管等で接続されている。処理水返送流路32は、汚染水処理設備S1の処理水出口と、給液槽10と、を接続している。処理水返送流路32には、処理水の流量を調整可能な流量調整弁33が設けられている。汚染水処理設備S1で放射性物質が除去処理された処理水W2は、ポンプや標高差を利用して送水されるものであり、流量調整弁33の開度を操作することによって、給液槽10に適宜の流量で供給することができる。
以上の非常用ガス処理設備700及び非常用ガス処理方法によると、前記の非常用ガス処理設備100と同様に、原子炉施設内の気体を放射性物質を除去して屋外に放出するガス処理を、気体に対する吸引力と放射性物質の除去能力とを高く維持しながら行うことができる。非常用ガス処理設備700は、処理水返送流路32を備え、汚染水処理設備S1で処理された処理水W2を給液槽10に返送することができるため、汚染水処理設備S1で処理された処理水W2を被処理気体の捕捉に再利用することができる。処理水W2の再利用によって、作動液体の使用量が節約されるため、汚染水処理設備S1から廃棄される廃水量を減らして、原子炉施設の経済性を向上させることができる。
図10は、噴霧装置として用いられる静電噴霧器を模式的に示す断面図である。
図10に示すように、被処理液体に作動液体を噴霧する噴霧装置24としては、静電噴霧式装置33を用いることもできる。図において、静電噴霧式装置33は、噴霧用液体分流流路19に接続しているが、噴霧用液体供給流路18に接続してもよい。静電噴霧式装置33は、前記の非常用ガス処理設備200,300,400,500,600,700のいずれに備えることもできる。
静電噴霧式装置33は、原子炉格納容器1から引き抜かれた気体(被処理気体)に、帯電させた作動液体(液体)を噴霧して、その気体(被処理気体)の少なくとも一部を噴霧された作動液体(液体)中に移行させるための装置である。静電噴霧式装置33は、噴霧室34と、静電ノズル35と、電線(36a,36b)と、電源37と、正電極38と、を有している。
噴霧室34は、抽気流路2の途中に連結されている。噴霧室34は、原子炉格納容器1から引き抜かれた気体(被処理気体)が流入する流入口と、噴霧用液体分流流路19が接続し、噴霧室34内の静電ノズル35に連通する噴霧用液体入口と、作動液体が噴霧された被処理気体が吸引装置7に向けて流出する流出口と、を有している。
静電ノズル35は、液体を噴霧する噴霧口を有しており、誘電帯電の原理によって帯電した作動液体を噴霧する。噴霧液を供給する噴霧用液体分流流路19には、不図示の負電極が設置される。負電極としては、例えば、平板状、平行板状、円筒状等の適宜の電極が流路内に設けられる。負電極は、電線36aを介して、電源37の負端子と電気的に接続される。また、静電ノズル35の噴霧口の付近には、噴霧された液滴を囲むように、正電極38が設置される。正電極38は、電線36bを介して、電源37の正端子と電気的に接続される。
静電噴霧式装置33に供給される作動液体は、負電極と正電極38との間に電位差が印加されることにより、外部電界の中におかれる。静電ノズル35から噴霧される作動液体は、表面に現れた負電荷が緩和する以前に液滴として分離すると、負に帯電した液滴となる。帯電した液滴が被処理気体に向けて噴霧されると、被処理気体に含まれる固形粒子、エアロゾル等の微粒子が液滴に接近したとき、微粒子の表面に誘導電荷が現れる。正電荷に帯電した微粒子は、静電気力で液滴に付着し易くなり、作動液体中に移行し易くなる。
帯電した作動液体の液滴が噴霧された被処理気体は、噴霧された液滴と共に吸引装置7に吸い込まれる。そして、吸引装置7では、作動液体側に吸引された被処理気体が、静電噴霧式装置33で噴霧された液滴と共に、作動液体中に移行することになる。被処理気体に残存している微粒子の少なくとも一部は、雰囲気と作動液体との気液界面や、作動液体中に移行した気泡の気液界面を通じて気相から液相に物質移動する。その後、前記の非常用ガス処理設備100と同様に、作動液体の循環や、ガス処理が続けられる。
以上の非常用ガス処理設備800及び非常用ガス処理方法によると、前記の非常用ガス処理設備100と同様に、原子炉施設内の気体を放射性物質を除去して屋外に放出するガス処理を、気体に対する吸引力と放射性物質の除去能力とを高く維持しながら行うことができる。非常用ガス処理設備800は、静電噴霧式装置33を備え、帯電した作動液体を被処理気体に噴霧するため、被処理気体に含まれている固形粒子、エアロゾル等の微粒子が、数十μm程度の極めて微小径であっても、帯電した液滴で確実に捕捉して、予め液相に移行させておくことができる。微粒子の多くについて、気相から液相に移行する時間を長くとることができるため、微粒子の大半を、汚染水W2として確実に廃棄することができる。
以上、本発明について説明したが、本発明は、前記の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、本発明は、必ずしも前記の実施形態や変形例が備える全ての構成を備えるものに限定されない。或る実施形態や変形例の構成の一部を他の構成に置き換えたり、或る実施形態や変形例の構成の一部を他の形態に追加したり、或る実施形態や変形例の構成の一部を省略したりすることができる。
例えば、前記の実施形態に係る非常用ガス処理設備100〜700は、被処理気体を引き抜くための抽気流路が、原子炉格納容器内から屋外に繋がっている。しかしながら、被処理気体を引き抜くための抽気流路は、原子炉建屋内から繋がっていてもよい。また、原子炉格納容器内から気体を引き抜く抽気流路と、原子炉建屋内から気体を引き抜く抽気流路とが、開閉弁によって切り替え可能に設けられていてもよい。
また、前記の実施形態に係る非常用ガス処理設備100〜700において、抽気流路(2,11,14a,14b,14c)と、気体乾燥装置(3,4)と、フィルタ5と、排気ファン6と、を備える非常用ガス処理系は、その他の機器の構成や、配管系統によって構成されてもよい。例えば、これらの機器で構成される非常用ガス処理系は、分岐系統、並列系統、自己循環系統等を構成する配管系統や、これらに配置された機器を備えてもよい。非常用ガス処理系は、原子炉施設に常設されていてもよいし、原子炉の解体時等に仮設されてもよい。
また、前記の冷却器28は、循環流路13aにおける吸引装置7の上流、且つ、循環ポンプ9の下流に設けられているが、冷却器28は、循環流路13上の任意の位置に設けることができる。或いは、作動液体供給流路15、噴霧用液体供給流路18、噴霧用液体分流流路19等に設けることもできる。冷却器28としては、単一機を設置してもよいし、複数機を異なる位置に設置してもよい。
また、前記の静電噴霧式装置33は、噴霧室34が、チャンバ状とされているが、静電噴霧式装置33の噴霧室34は、配管状等の適宜の構造として設けることができる。また、静電噴霧式装置33の静電ノズル35としては、多孔管等を備える適宜の装置を備えることができる。静電噴霧式装置33の噴霧口数、噴霧形状、噴霧量、噴霧角度・方向等は、特に制限されるものではない。液滴を帯電させる方法としては、超音波法、衝突帯電を用いる方法、誘電性の液体を用いる方法等、その他の方法を用いてもよい。また、液滴は、正負のいずれに帯電させてもよい。
1 原子炉格納容器
2 抽気流路
3 気体乾燥装置
4 気体乾燥装置
5 フィルタ
6 排気ファン
7 吸引装置
7A アスピレータ
7B エゼクタ
8 気液分離器
9 循環ポンプ
10 給液槽
11 抽気流路
13 循環流路
13a 循環流路
13b 循環流路
13c 循環流路
14a 抽気流路
14b 抽気流路
14c 抽気流路
15 作動液体供給流路(供給流路)
16 作動液体排出流路(排出流路)
17 凝縮液排出流路
18 噴霧用液体供給流路
19 噴霧用液体分流流路
21 流量調整弁
22 流量調整弁
23 流量調整弁
24 噴霧装置
25 流量調整ポンプ
26 流量調整弁
27 流量調整弁
28 冷却器
30 凝縮液供給流路
33 静電噴霧式装置
34 噴霧室
35 静電ノズル
36a 電線
36b 電線
71 流入口
72 流出口
73 液体流路
74 吸込口
75 絞り部
76 ディフューザ部
77 チャンバ
78 ノズル
99 原子炉圧力容器
100 非常用ガス処理設備
200 非常用ガス処理設備
300 非常用ガス処理設備
400 非常用ガス処理設備
500 非常用ガス処理設備
600 非常用ガス処理設備
700 非常用ガス処理設備

Claims (14)

  1. 原子炉格納容器から被処理気体を引き抜くための抽気流路と、前記被処理気体の湿分を除去する気体乾燥装置と、前記被処理気体から放射性物質を除去するフィルタと、前記被処理気体を吸引して排気する排気ファンと、を備えた原子炉施設の非常用ガス処理設備であって、
    前記抽気流路における前記気体乾燥装置の上流に設けられ、液体の増速によって発生させた負圧で前記被処理気体を吸引して、前記被処理気体を前記液体中に移行させる吸引装置と、
    前記抽気流路における前記気体乾燥装置の上流、且つ、前記吸引装置の下流に設けられ、前記液体中に移行した前記被処理気体と前記液体とを気液分離する気液分離器と、を備える非常用ガス処理設備。
  2. 請求項1に記載の非常用ガス処理設備であって、
    前記吸引装置は、前記液体が流入する流入口と、
    前記被処理気体が移行した前記液体が流出する流出口と、
    前記流入口と前記流出口との間を連通する液体流路と、
    前記被処理気体を前記液体流路に吸い込むための吸込口と、を有し、
    前記液体流路は、断面積の変化によって前記液体を増速させて前記負圧を発生する非常用ガス処理設備。
  3. 請求項2に記載の非常用ガス処理設備であって、
    前記吸引装置は、アスピレータであり、
    前記アスピレータは、
    前記液体流路の断面積が下流に向かうに連れて小さくなる絞り部と、
    前記絞り部の下流に設けられ、前記液体流路の断面積が拡大されるディフューザ部と、
    前記絞り部の下流端に開口した前記吸込口と、を有し、
    前記アスピレータにおいて、前記液体は、前記絞り部で増速して前記負圧を発生し、前記被処理気体は、前記負圧で前記液体側に吸引されて前記液体中に移行し、前記負圧を発生させた前記液体は、前記ディフューザ部で圧力を回復する非常用ガス処理設備。
  4. 請求項2に記載の非常用ガス処理設備であって、
    前記吸引装置は、エゼクタであり、
    前記エゼクタは、
    前記液体流路を囲むチャンバと、
    前記チャンバ内に前記液体を噴射するノズルと、
    前記のノズルの下流に設けられ、前記液体流路の断面積が下流に向かうに連れて小さくなる絞り部と、
    前記絞り部の下流に設けられ、前記液体流路の断面積が拡大されるディフューザ部と、
    前記チャンバ内に開口した前記吸込口と、を有し、
    前記エゼクタにおいて、前記液体は、前記ノズルで前記絞り部に向けて噴射されて前記負圧を発生し、前記被処理気体は、前記負圧で前記液体側に吸引されて前記噴射液体中に巻き込まれ移行し、前記負圧を発生させた前記液体は、前記ディフューザ部で圧力を回復する非常用ガス処理設備。
  5. 請求項1に記載の非常用ガス処理設備であって、
    前記吸引装置と前記気液分離器との間で前記液体を循環させるための循環流路と、
    前記循環流路に設けられ、前記気液分離器で分離された前記液体を前記吸引装置に再供給する循環ポンプと、を備える非常用ガス処理設備。
  6. 請求項5に記載の非常用ガス処理設備であって、
    液体が用意される給液槽と、
    前記放射性物質が移行した前記液体を処理する汚染水処理設備と、
    前記給液槽と前記循環流路とを接続しており、前記循環流路内に前記液体を供給するための供給流路と、
    前記循環流路と前記汚染水処理設備とを接続しており、前記循環流路内の前記液体の少なくとも一部を前記汚染水処理設備に排出するための排出流路と、を備える非常用ガス処理設備。
  7. 請求項6に記載の非常用ガス処理設備であって、
    前記抽気流路における前記吸引装置の上流に設けられ、前記被処理気体に液体を噴霧して、前記被処理気体の少なくとも一部を前記液体中に移行させる噴霧装置を備える非常用ガス処理設備。
  8. 請求項7に記載の非常用ガス処理設備であって、
    前記噴霧装置は、帯電させた前記液体を前記被処理気体に噴霧する静電噴霧式装置である非常用ガス処理設備。
  9. 請求項7に記載の非常用ガス処理設備であって、
    前記給液槽と前記噴霧装置とを接続しており、前記噴霧装置に前記液体を供給するための噴霧用液体供給流路と、
    前記噴霧用液体供給流路に設けられ、前記液体の流量を調整可能な流量調整ポンプと、を備える非常用ガス処理設備。
  10. 請求項7に記載の非常用ガス処理設備であって、
    前記給液槽と前記噴霧装置とを接続しており、前記噴霧装置に前記液体を供給するための噴霧用液体供給流路と、
    前記噴霧用液体供給流路に設けられ、前記液体の流量を調整可能な流量調整弁と、を備える非常用ガス処理設備。
  11. 請求項7に記載の非常用ガス処理設備であって、
    前記循環流路における前記吸引装置の上流、且つ、前記循環ポンプの下流から分岐して前記噴霧装置に接続しており、前記噴霧装置に前記液体を供給するための噴霧用液体分流流路と、
    前記噴霧用液体分流流路に設けられ、前記液体の流量を調整可能な流量調整弁と、を備える非常用ガス処理設備。
  12. 請求項5に記載の非常用ガス処理設備であって、
    前記循環流路に設けられ、前記循環流路内を循環する前記液体を冷却する冷却器を備える非常用ガス処理設備。
  13. 請求項5に記載の非常用ガス処理設備であって、
    前記気体乾燥装置の排液口と前記循環流路とを接続しており、前記気体乾燥装置で凝縮された凝縮液を前記循環流路に供給するための凝縮液供給流路と、
    前記凝縮液供給流路に設けられ、前記凝縮液の流量を調整可能な流量調整弁と、を備える非常用ガス処理設備。
  14. 原子炉格納容器から被処理気体を引き抜くための抽気流路と、前記被処理気体の湿分を除去する気体乾燥装置と、前記被処理気体から放射性物質を除去するフィルタと、前記被処理気体を吸引して排気する排気ファンと、を備えた原子炉施設の非常用ガス処理設備を用いた非常用ガス処理方法であって、
    液体の増速によって発生させた負圧で前記原子炉格納容器から前記被処理気体を吸引して、前記被処理気体を前記液体中に移行させ、
    前記液体中に移行した前記被処理気体と前記液体とを気液分離し、
    気液分離された前記液体の少なくとも一部を前記被処理気体中に含まれていた放射性物質と共に廃棄し、気液分離された気体を前記フィルタに通して処理する非常用ガス処理方法。
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