JP2020097057A - 耐変色性はんだ材料、及び耐変色性はんだ継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、黄色変化が抑制され、濡れ性に優れたはんだ材料又ははんだ継手を提供する。【解決手段】Sn又はSn系合金と、40〜320質量ppmのAsとを含み、As濃化層を有することを特徴とする耐変色性はんだ材料で、Sn又はSn系合金が、0〜4質量%のAg、0〜1質量%のCu、0〜52質量%のIn、0〜0.15質量%のNi、0〜0.015質量%のCoを含み、球径1〜1000μmの球状粉末であるはんだ材料。【選択図】なし
Description
本発明は、耐変色性はんだ材料、及び耐変色性はんだ継手に関する。
プリント基板への電子部品の実装といった、電子機器における電子部品の固定と電気的接続は、コスト面及び信頼性の面で最も有利なはんだ付けにより一般に行われている。
はんだ付けに用いるはんだのうち、Sn又はSn系合金を含むはんだは、はんだの表面が酸化すると酸化膜であるSnO被膜を形成して黄色に変化する。このような酸化膜(SnO被膜)の膜厚が厚くなるほど、はんだ表面の黄色度は高くなる。
はんだ付けに用いるはんだのうち、Sn又はSn系合金を含むはんだは、はんだの表面が酸化すると酸化膜であるSnO被膜を形成して黄色に変化する。このような酸化膜(SnO被膜)の膜厚が厚くなるほど、はんだ表面の黄色度は高くなる。
Sn又はSn系合金を含むはんだを用いてはんだ部品を搭載した場合やはんだ継手を形成した場合に、はんだ表面が黄色に変化していて金属光沢を失っていると、はんだの画像認識の自動処理の際に、はんだが検出されず、実際には存在しているはんだが認識されないという恐れがある。
従来の表面の黄色変化を抑制したはんだとしては、例えば、Snの含有量が40%以上の合金からなる金属材料またはSnの含有量が100%である金属材料からなるはんだ層と、前記はんだ層の表面を被覆する被覆層を備えた直径が1〜1000μmの球体であり
、前記被覆層は、前記はんだ層の外側にSnO膜が形成され、前記SnO膜の外側にSnO2膜が形成され、前記被覆層の厚さは、0nmより大きく4.5nm以下であるはんだ
材料が提案されている(特許文献1)。特許文献1のはんだにおいては、SnO2膜を形
成することにより、はんだ表面の黄色変化を抑制している。
しかし、特許文献1のはんだにおいては、SnO2膜を形成するために、高エネルギー
状態のプラズマ照射等が必要であり、製造工程が複雑となってしまう。
、前記被覆層は、前記はんだ層の外側にSnO膜が形成され、前記SnO膜の外側にSnO2膜が形成され、前記被覆層の厚さは、0nmより大きく4.5nm以下であるはんだ
材料が提案されている(特許文献1)。特許文献1のはんだにおいては、SnO2膜を形
成することにより、はんだ表面の黄色変化を抑制している。
しかし、特許文献1のはんだにおいては、SnO2膜を形成するために、高エネルギー
状態のプラズマ照射等が必要であり、製造工程が複雑となってしまう。
また、従来、Sn又はSn系合金を含むはんだ表面の黄色変化を抑制するために、P、Ge、Gaなどの元素を添加することが行われている。これらの元素は、Snよりも酸化物生成自由エネルギーが小さく、非常に酸化されやすい。したがって、溶融はんだからはんだボールを形成する際に、SnではなくP、Ge、Gaなどの元素が酸化されて表面に濃化し、はんだ表面の黄色変化を抑制することができる。しかし、一般的にはんだには、溶融した際に電子部品の金属上を広がっていく性質(濡れ性)が求められるところ、はんだ表面の黄色変化を抑制するためにこれらの元素の添加量を多くし濃化の度合いを高めると、はんだの濡れ性が低下してしまう。
以上のように、表面の黄色変化を抑制し、濡れ性に優れるはんだ材料が望まれている。
本発明は、表面の黄色変化を抑制し、濡れ性に優れるはんだ材料又ははんだ継手を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究した結果、はんだ材料に特定量のAs
(砒素)を添加し、はんだ材料の表面にAs濃化層を形成することで上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。本発明のはんだ材料においては、Asの添加量が少量であるので、濡れ性を悪化させずに維持しながら、はんだ材料表面の黄色変化を抑制することができる。本発明の具体的態様は以下のとおりである。
なお、本明細書において、「〜」を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値を含むものとする。
(砒素)を添加し、はんだ材料の表面にAs濃化層を形成することで上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。本発明のはんだ材料においては、Asの添加量が少量であるので、濡れ性を悪化させずに維持しながら、はんだ材料表面の黄色変化を抑制することができる。本発明の具体的態様は以下のとおりである。
なお、本明細書において、「〜」を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値を含むものとする。
[1]
Sn又はSn系合金と、40〜320質量ppmのAsとを含み、As濃化層を有することを特徴とする耐変色性はんだ材料。
[2]
前記Sn又はSn系合金が、0〜4質量%のAg、0〜1質量%のCu、0〜52質量%のIn、0〜0.15質量%のNi、及び0〜0.015質量%のCoを含み、残部がSnであることを特徴とする[1]に記載のはんだ材料。
[3]
粉末であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載のはんだ材料。
[4]
前記粉末が、球径1〜1000μmの球状粉末であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のはんだ材料
[5]
Sn又はSn系合金と、40〜320質量ppmのAsとを含み、As濃化層を有することを特徴とする耐変色性はんだ継手。
Sn又はSn系合金と、40〜320質量ppmのAsとを含み、As濃化層を有することを特徴とする耐変色性はんだ材料。
[2]
前記Sn又はSn系合金が、0〜4質量%のAg、0〜1質量%のCu、0〜52質量%のIn、0〜0.15質量%のNi、及び0〜0.015質量%のCoを含み、残部がSnであることを特徴とする[1]に記載のはんだ材料。
[3]
粉末であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載のはんだ材料。
[4]
前記粉末が、球径1〜1000μmの球状粉末であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のはんだ材料
[5]
Sn又はSn系合金と、40〜320質量ppmのAsとを含み、As濃化層を有することを特徴とする耐変色性はんだ継手。
本発明のはんだ材料又ははんだ継手は、濡れ性を維持しながら、表面の黄色変化を抑制することができる。
以下、本発明のはんだ材料及びはんだ継手について、説明する。
本発明の耐変色性はんだ材料は、Sn又はSn系合金と、40〜320質量ppmのAsとを含み、As濃化層を有する。
Snとしては、特に限定されず、純度が3N(99.9%以上)、4N(99.99%以上)、5N(99.999%以上)であるもの等の当業界で一般的なものを用いることができる。
Sn系合金としては、Sn−Ag合金、Sn−Cu合金、Sn−Ag−Cu合金、Sn−Ag−Cu−Ni−Co合金、Sn−In合金、Sn−Bi合金、Sn−Sb合金や前記合金組成にAg、Cu、In、Ni、Co、Sb、Bi、Ge、P、Fe、Zn、Al
、Ga等を更に添加した合金が挙げられる。
Sn又はSn系合金は、不可避不純物を含んでいてもよい。
本発明の耐変色性はんだ材料に含まれるSn又はSn系合金は、0〜4質量%のAg、0〜1質量%のCu、0〜52質量%のIn、0〜0.15質量%のNi、及び0〜0.015質量%のCoを含み、残部がSnであることが好ましい。
はんだ材料全体の質量に対するAgの含有量は、0〜4質量%が好ましく、1〜4質量
%がより好ましく、1〜3質量%が最も好ましい。
はんだ材料全体の質量に対するCuの含有量は、0〜1質量%が好ましく、0.3〜0.75質量%がより好ましく、0.5〜0.7質量%が最も好ましい。
はんだ材料全体の質量に対するInの含有量は、0〜52質量%が好ましく、0〜10質量%又は40〜52質量%がより好ましい。
上記の各元素の含有量の数値範囲について、各元素ごとに単独で用いても良く、又は、複数の元素の数値範囲を組み合わせて用いても良い。
Sn系合金としては、Sn−Ag合金、Sn−Cu合金、Sn−Ag−Cu合金、Sn−Ag−Cu−Ni−Co合金、Sn−In合金、Sn−Bi合金、Sn−Sb合金や前記合金組成にAg、Cu、In、Ni、Co、Sb、Bi、Ge、P、Fe、Zn、Al
、Ga等を更に添加した合金が挙げられる。
Sn又はSn系合金は、不可避不純物を含んでいてもよい。
本発明の耐変色性はんだ材料に含まれるSn又はSn系合金は、0〜4質量%のAg、0〜1質量%のCu、0〜52質量%のIn、0〜0.15質量%のNi、及び0〜0.015質量%のCoを含み、残部がSnであることが好ましい。
はんだ材料全体の質量に対するAgの含有量は、0〜4質量%が好ましく、1〜4質量
%がより好ましく、1〜3質量%が最も好ましい。
はんだ材料全体の質量に対するCuの含有量は、0〜1質量%が好ましく、0.3〜0.75質量%がより好ましく、0.5〜0.7質量%が最も好ましい。
はんだ材料全体の質量に対するInの含有量は、0〜52質量%が好ましく、0〜10質量%又は40〜52質量%がより好ましい。
上記の各元素の含有量の数値範囲について、各元素ごとに単独で用いても良く、又は、複数の元素の数値範囲を組み合わせて用いても良い。
はんだ材料全体の質量に対するAsの含有量は、40〜320質量ppm(0.0040〜0.0320質量%)であり、70〜320質量ppmが好ましく、70〜200質量ppmがより好ましい。Asの含有量が上記範囲内であれば、黄色変化が抑制され、濡れ性に優れたはんだ材料が得られる。
本発明において、はんだ材料に含まれるAs濃化層とは、はんだ材料の表面に形成されたAsの濃度がはんだ内部より高くなっている領域であり、以下の判定基準により存在を確認することができる。
(判定基準)
5.0mm×5.0mmの大きさのサンプルにおいて、任意の700μm×300μmのエリアを選定し、イオンスパッタリングを併用したXPS分析を行う。サンプル1個につき1つのエリアを選定し、3つのサンプルについてそれぞれ1回ずつ、合計3回の分析を行った。全3回の分析の全てにおいてS1≧S2となる場合、As濃化層が形成されていると判断する。
ここで、
S1:XPS分析のチャートにおいて、SiO2換算の深さが0〜2×D1(nm)の領域におけるAsの検出強度の積分値
S2:XPS分析のチャートにおいて、SiO2換算の深さが2×D1〜4×D1(nm)の領域におけるAsの検出強度の積分値
D1:XPS分析のチャートにおいて、O原子の検出強度が最大となったSiO2換算の深さ(Do・max(nm))より深い部分において、O原子の検出強度が最大検出強度(Do・maxにおける強度)の1/2の強度となる最初のSiO2換算の深さ(nm)。
上記のAs濃化層の判定基準の詳細な条件は、後述の「(1)As濃化層の有無の評価」の記載に従う。はんだ材料がAs濃化層を有することにより、はんだの黄色変化を抑制することができる。
As濃化層の厚み(SiO2換算)は、0.5〜8.0nmが好ましく、0.5〜4.0nmがより好ましく、0.5〜2.0nmが最も好ましい。As濃化層の厚みが上記範囲内であれば、黄色変化が抑制され、濡れ性に優れたはんだ材料が得られる。
(判定基準)
5.0mm×5.0mmの大きさのサンプルにおいて、任意の700μm×300μmのエリアを選定し、イオンスパッタリングを併用したXPS分析を行う。サンプル1個につき1つのエリアを選定し、3つのサンプルについてそれぞれ1回ずつ、合計3回の分析を行った。全3回の分析の全てにおいてS1≧S2となる場合、As濃化層が形成されていると判断する。
ここで、
S1:XPS分析のチャートにおいて、SiO2換算の深さが0〜2×D1(nm)の領域におけるAsの検出強度の積分値
S2:XPS分析のチャートにおいて、SiO2換算の深さが2×D1〜4×D1(nm)の領域におけるAsの検出強度の積分値
D1:XPS分析のチャートにおいて、O原子の検出強度が最大となったSiO2換算の深さ(Do・max(nm))より深い部分において、O原子の検出強度が最大検出強度(Do・maxにおける強度)の1/2の強度となる最初のSiO2換算の深さ(nm)。
上記のAs濃化層の判定基準の詳細な条件は、後述の「(1)As濃化層の有無の評価」の記載に従う。はんだ材料がAs濃化層を有することにより、はんだの黄色変化を抑制することができる。
As濃化層の厚み(SiO2換算)は、0.5〜8.0nmが好ましく、0.5〜4.0nmがより好ましく、0.5〜2.0nmが最も好ましい。As濃化層の厚みが上記範囲内であれば、黄色変化が抑制され、濡れ性に優れたはんだ材料が得られる。
本発明において、はんだ材料の形態は特に限定されないが、粉末であることが好ましく、球状粉末であることが好ましい。はんだ材料が粉末であることにより微細な部品へのはんだ付けが可能となり、また、球状粉末であることによりはんだ材料の流動性が向上する。
また、はんだ材料が球状粉末である場合、球径は1〜1000μmが好ましく、1〜300μmがより好ましく、1〜120μmが最も好ましい。球状粉末であるはんだ材料の球径が上記範囲内であれば、微細なはんだ付けが可能となる。
はんだ材料が球状粉末である場合、真球度は0.90以上が好ましく、0.95以上がより好ましく、0.99以上が最も好ましい。
本発明において、球状粉末であるはんだ材料の球径及び真球度は、最小領域中心法(MZC法)を用いるCNC画像測定システム(ミツトヨ社製のウルトラクイックビジョン ULTRA QV350−PRO測定装置)を使用して測定する。本願明細書において、
真球度とは真球からのずれを表し、例えば500個の各ボールの直径を長径で割った際に算出される算術平均値であり、値が上限である1.00に近いほど真球に近いことを表す。
また、はんだ材料が球状粉末である場合、球径は1〜1000μmが好ましく、1〜300μmがより好ましく、1〜120μmが最も好ましい。球状粉末であるはんだ材料の球径が上記範囲内であれば、微細なはんだ付けが可能となる。
はんだ材料が球状粉末である場合、真球度は0.90以上が好ましく、0.95以上がより好ましく、0.99以上が最も好ましい。
本発明において、球状粉末であるはんだ材料の球径及び真球度は、最小領域中心法(MZC法)を用いるCNC画像測定システム(ミツトヨ社製のウルトラクイックビジョン ULTRA QV350−PRO測定装置)を使用して測定する。本願明細書において、
真球度とは真球からのずれを表し、例えば500個の各ボールの直径を長径で割った際に算出される算術平均値であり、値が上限である1.00に近いほど真球に近いことを表す。
本発明において、はんだ材料のL*a*b*表色系における黄色度b*は、0〜10.0が好ましく、3.0〜5.7がより好ましく、3.0〜5.0が最も好ましい。はんだ材料のL*a*b*表色系における黄色度b*が上記範囲内であれば、黄色度が低く、はんだが金属光沢を有するため、はんだの画像認識の自動処理の際に、はんだが的確に検出される。
後述の「(2)黄色変化の抑制の評価」において示すように、本発明において、黄色度b*は、CM−3500d2600d型分光測色計(コニカミノルタ社製)を使用して、D65光源、10度視野において、JIS Z 8722「色の測定方法−反射及び透過物体色」に準じて分光透過率を測定して、色彩値(L*、a*、b*)から求めることができる。
後述の「(2)黄色変化の抑制の評価」において示すように、本発明において、黄色度b*は、CM−3500d2600d型分光測色計(コニカミノルタ社製)を使用して、D65光源、10度視野において、JIS Z 8722「色の測定方法−反射及び透過物体色」に準じて分光透過率を測定して、色彩値(L*、a*、b*)から求めることができる。
本発明の耐変色性はんだ継手は、Sn又はSn系合金と、40〜320質量ppmのAsとを含み、As濃化層を有する。耐変色性はんだ継手は、上述の耐変色性はんだ材料から形成することができ、上述の耐変色性はんだ材料と同様の組成、物性を有することができる。
本発明のはんだ材料の使用形態は特に限定されず、はんだボールや、ロジン系樹脂、活性剤、溶剤等を含むフラックスと混合して製造するはんだペースト等として使用できるが、はんだボールとして使用することが好ましい。はんだボールとして使用する場合は、Sn又はSn系合金とAsとを含む金属材料を、当業界で一般的な方法である滴下法を用いてはんだボールを製造することができる。また、はんだボールを、フラックスを塗布した1つの電極上にはんだボールを1つ搭載して接合するなど、当業界で一般的な方法で加工することによりはんだ継手を製造することができる。
このようにして製造された耐変色性はんだ継手は、濡れ性を維持しながら、表面の黄色変化を抑制することができる。
このようにして製造された耐変色性はんだ継手は、濡れ性を維持しながら、表面の黄色変化を抑制することができる。
このようにして調製されたはんだボールを用いて、電子機器などの部材を接合することができる。
以下、本発明について実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例に記載の内容に限定されるものではない。
(評価)
実施例1〜44及び比較例1〜40それぞれのはんだボールについて、以下のとおり、(1)As濃化層の有無の評価、(2)黄色変化の抑制の評価、及び(3)はんだ濡れ性の評価を行った。
実施例1〜44及び比較例1〜40それぞれのはんだボールについて、以下のとおり、(1)As濃化層の有無の評価、(2)黄色変化の抑制の評価、及び(3)はんだ濡れ性の評価を行った。
(1)As濃化層の有無の評価
As濃化層の有無は、XPS(X線光電分光法:X-ray Photoelectron Spectroscopy)による深さ方向分析を用いて以下の様に評価した。
(分析条件)
・分析装置:AXIS Nova(クレイトス・アナリティカル社製)
・分析条件:X線源 AlKα線、X線銃電圧 15kV、X線銃電流値 10mA、分析エリア 700μm×300μm
・スパッタ条件:イオン種 Ar+、加速電圧 2kV、スパッタリングレート 0.
5nm/min(SiO2換算)
・カーボンテープを貼ったステージ上にはんだボールを隙間なく平坦に敷き詰めたものをサンプルとして分析を行った。サンプルの大きさは5.0mm×5.0mmとした。
(評価手順)
5.0mm×5.0mmの大きさのサンプルにおいて、任意の700μm×300μmのエリアを選定し、イオンスパッタリングを行いながらSn、O、Asの各原子についてXPS分析を行い、XPS分析のチャートを得た。サンプル1個につき1つのエリアを選定し、3つのサンプルについてそれぞれ1回ずつ、合計3回の分析を行った。得られたXPS分析のチャートにおいて、横軸は、スパッタ時間(min)及びスパッタ時間からSiO2標準試料のスパッタエッチングレートを用いて算出したSiO2換算の深さ(nm)のいずれかから選択でき、縦軸は、検出強度(cps)である。以後の測定においては、XPS分析のチャートにおける横軸を、スパッタ時間からSiO2標準試料のスパッタエッチングレートを用いて算出したSiO2換算の深さ(nm)とする。
図1〜3にXPS分析により得られるチャートの例を示す。図1〜3は、同一のサンプルについて縦軸の検出強度(cps)のスケールを変更したものであり、横軸はスパッタ時間から算出したSiO2換算の深さ(nm)である。
図2に示すように、各サンプルのXPS分析のチャートにおいて、O原子の検出強度が最大となったSiO2換算の深さをDo・max(nm)とした。そして、Do・maxより深い部分において、O原子の検出強度が、最大検出強度(Do・maxにおける強度)の1/2の強度となる最初のSiO2換算の深さをD1(nm)とした。
図3に示すように、各サンプルのXPS分析のチャートにおいて、最表面から深さ2×D1までの領域(SiO2換算の深さが0〜2×D1(nm)の領域)におけるAsの検出強度の積分値(S1)と、深さ2×D1からさらに2×D1だけ深い部分までの領域(SiO2換算の深さが2×D1〜4×D1(nm)の領域)におけるAsの検出強度の積分値(S2)との比較を行った。そして、以下の基準に基づいて評価を行った。
・全3回の測定の全てにおいてS1≧S2となる
:As濃化層が形成されている(○)
・全3回の測定のうちの2回以下の回数でS1≧S2となる
:As濃化層が形成されていない(×)
As濃化層の有無は、XPS(X線光電分光法:X-ray Photoelectron Spectroscopy)による深さ方向分析を用いて以下の様に評価した。
(分析条件)
・分析装置:AXIS Nova(クレイトス・アナリティカル社製)
・分析条件:X線源 AlKα線、X線銃電圧 15kV、X線銃電流値 10mA、分析エリア 700μm×300μm
・スパッタ条件:イオン種 Ar+、加速電圧 2kV、スパッタリングレート 0.
5nm/min(SiO2換算)
・カーボンテープを貼ったステージ上にはんだボールを隙間なく平坦に敷き詰めたものをサンプルとして分析を行った。サンプルの大きさは5.0mm×5.0mmとした。
(評価手順)
5.0mm×5.0mmの大きさのサンプルにおいて、任意の700μm×300μmのエリアを選定し、イオンスパッタリングを行いながらSn、O、Asの各原子についてXPS分析を行い、XPS分析のチャートを得た。サンプル1個につき1つのエリアを選定し、3つのサンプルについてそれぞれ1回ずつ、合計3回の分析を行った。得られたXPS分析のチャートにおいて、横軸は、スパッタ時間(min)及びスパッタ時間からSiO2標準試料のスパッタエッチングレートを用いて算出したSiO2換算の深さ(nm)のいずれかから選択でき、縦軸は、検出強度(cps)である。以後の測定においては、XPS分析のチャートにおける横軸を、スパッタ時間からSiO2標準試料のスパッタエッチングレートを用いて算出したSiO2換算の深さ(nm)とする。
図1〜3にXPS分析により得られるチャートの例を示す。図1〜3は、同一のサンプルについて縦軸の検出強度(cps)のスケールを変更したものであり、横軸はスパッタ時間から算出したSiO2換算の深さ(nm)である。
図2に示すように、各サンプルのXPS分析のチャートにおいて、O原子の検出強度が最大となったSiO2換算の深さをDo・max(nm)とした。そして、Do・maxより深い部分において、O原子の検出強度が、最大検出強度(Do・maxにおける強度)の1/2の強度となる最初のSiO2換算の深さをD1(nm)とした。
図3に示すように、各サンプルのXPS分析のチャートにおいて、最表面から深さ2×D1までの領域(SiO2換算の深さが0〜2×D1(nm)の領域)におけるAsの検出強度の積分値(S1)と、深さ2×D1からさらに2×D1だけ深い部分までの領域(SiO2換算の深さが2×D1〜4×D1(nm)の領域)におけるAsの検出強度の積分値(S2)との比較を行った。そして、以下の基準に基づいて評価を行った。
・全3回の測定の全てにおいてS1≧S2となる
:As濃化層が形成されている(○)
・全3回の測定のうちの2回以下の回数でS1≧S2となる
:As濃化層が形成されていない(×)
(2)黄色変化の抑制の評価
空気雰囲気の恒温槽を200℃に加熱し、各はんだボール(球径0.3mm)を恒温槽中で2時間加熱した。L*a*b*表色系における黄色度b*について、加熱前及び加熱後のはんだボールの測定を行い、加熱後のb*から加熱前のb*を引いた増加量(Δb*)を算出した。ただし、実施例38〜44及び比較例35〜40のSn−In系はんだについては、融点が200℃以下であるため、100℃に加熱した恒温槽中で20日間加熱して同様の測定及び算出を行った。
黄色度b*は、CM−3500d2600d型分光測色計(コニカミノルタ社製)を使用して、D65光源、10度視野において、JIS Z 8722「色の測定方法−反射及び透過物体色」に準じて分光透過率を測定して、色彩値(L*、a*、b*)から求めた。なお、色彩値(L*、a*、b*)は、JIS Z 8729「色の表示方法―色彩値L*a*b*表色系及びL*U*V*表色系」に規定されているとおりである。
各金属組成のはんだボールにおいて、Asを添加しない比較例1、7、13、19、25、27、33又は35のはんだボールのΔb*(Δb*(基準))との比較を行い、以下の基準に基づいて評価を行った。
Δb*の値がΔb*(基準)の50%以下である :○○(非常に良好)
Δb*の値がΔb*(基準)の50%を超え70%以下である:○(良好)
Δb*の値がΔb*(基準)の70%より大きい :×(不可)
空気雰囲気の恒温槽を200℃に加熱し、各はんだボール(球径0.3mm)を恒温槽中で2時間加熱した。L*a*b*表色系における黄色度b*について、加熱前及び加熱後のはんだボールの測定を行い、加熱後のb*から加熱前のb*を引いた増加量(Δb*)を算出した。ただし、実施例38〜44及び比較例35〜40のSn−In系はんだについては、融点が200℃以下であるため、100℃に加熱した恒温槽中で20日間加熱して同様の測定及び算出を行った。
黄色度b*は、CM−3500d2600d型分光測色計(コニカミノルタ社製)を使用して、D65光源、10度視野において、JIS Z 8722「色の測定方法−反射及び透過物体色」に準じて分光透過率を測定して、色彩値(L*、a*、b*)から求めた。なお、色彩値(L*、a*、b*)は、JIS Z 8729「色の表示方法―色彩値L*a*b*表色系及びL*U*V*表色系」に規定されているとおりである。
各金属組成のはんだボールにおいて、Asを添加しない比較例1、7、13、19、25、27、33又は35のはんだボールのΔb*(Δb*(基準))との比較を行い、以下の基準に基づいて評価を行った。
Δb*の値がΔb*(基準)の50%以下である :○○(非常に良好)
Δb*の値がΔb*(基準)の50%を超え70%以下である:○(良好)
Δb*の値がΔb*(基準)の70%より大きい :×(不可)
(3)はんだ濡れ性の評価
Bare−Cu(裸銅)の電極パッド(基板に設けた電極の開口径(Solder Resist Opening): 0.24mm)に、フラックスWF−6400(千住金属工業社製)を厚みが0.115mmとなるように印刷し、その上に各はんだボールをマウントした。はんだボールをマウントした電極パッドを、25℃から昇温速度1℃/secにてN2雰囲気下で
260℃まで昇温し、リフローした。ただし、実施例38〜44及び比較例35〜40のSn−In系はんだについては、融点が200℃以下であるため、温度範囲を25℃〜180℃に設定し、それ以外の条件は同様にしてリフローした。リフロー後に、はんだボールをマウントした電極パッドを、蒸留水中に浸漬し、1分間超音波洗浄を行った。はんだ付けされずに洗浄工程でなくなってしまったバンプ数(ミッシングバンプ数)をカウントし、以下の基準に基づいて評価を行った。
100バンプ中のミッシングバンプが0個 :○○(非常に良好)
100バンプ中のミッシングバンプが1〜5個 :○(良好)
100バンプ中のミッシングバンプが6個以上 :×(不可)
Bare−Cu(裸銅)の電極パッド(基板に設けた電極の開口径(Solder Resist Opening): 0.24mm)に、フラックスWF−6400(千住金属工業社製)を厚みが0.115mmとなるように印刷し、その上に各はんだボールをマウントした。はんだボールをマウントした電極パッドを、25℃から昇温速度1℃/secにてN2雰囲気下で
260℃まで昇温し、リフローした。ただし、実施例38〜44及び比較例35〜40のSn−In系はんだについては、融点が200℃以下であるため、温度範囲を25℃〜180℃に設定し、それ以外の条件は同様にしてリフローした。リフロー後に、はんだボールをマウントした電極パッドを、蒸留水中に浸漬し、1分間超音波洗浄を行った。はんだ付けされずに洗浄工程でなくなってしまったバンプ数(ミッシングバンプ数)をカウントし、以下の基準に基づいて評価を行った。
100バンプ中のミッシングバンプが0個 :○○(非常に良好)
100バンプ中のミッシングバンプが1〜5個 :○(良好)
100バンプ中のミッシングバンプが6個以上 :×(不可)
(実施例1〜7、比較例1〜6)
以下の表1に示す組成で実施例1〜7及び比較例1〜6のはんだ用金属材料を調合した。調合した実施例1〜7及び比較例1〜6のはんだ用金属材料から滴下法によりはんだボール(球径0.3mm)を製造した。得られた実施例1〜7及び比較例1〜6のはんだボールを、空気中において乾燥装置を用いて30分間乾燥させ、Asをはんだボール表面側に濃化させた。
なお、以下の表1〜6中の各成分の数値は、はんだ用金属材料全体の質量に対する各成分の質量%を表し、Sn以外の元素については配合時に実際に計量した量であり、Snについては合計が100質量%となるように残部として配合した量を意味する。また、以下の表1〜6において、各はんだ用金属材料に用いたSnは、3N材であり不可避不純物を含むものである。
以下の表1に示す組成で実施例1〜7及び比較例1〜6のはんだ用金属材料を調合した。調合した実施例1〜7及び比較例1〜6のはんだ用金属材料から滴下法によりはんだボール(球径0.3mm)を製造した。得られた実施例1〜7及び比較例1〜6のはんだボールを、空気中において乾燥装置を用いて30分間乾燥させ、Asをはんだボール表面側に濃化させた。
なお、以下の表1〜6中の各成分の数値は、はんだ用金属材料全体の質量に対する各成分の質量%を表し、Sn以外の元素については配合時に実際に計量した量であり、Snについては合計が100質量%となるように残部として配合した量を意味する。また、以下の表1〜6において、各はんだ用金属材料に用いたSnは、3N材であり不可避不純物を含むものである。
そして、実施例1〜7及び比較例1〜6それぞれのはんだボールについて、上記のとおり、(1)As濃化層の有無の評価、(2)黄色変化の抑制の評価、及び(3)はんだ濡れ性の評価を行った。評価結果を以下の表1に示す。
上記表1の結果より、Snを含むはんだに関して、Asの含有量が40〜320質量ppm(0.0040〜0.0320質量%)である実施例1〜7においては、As濃化層が形成されており、黄色変化の抑制及びはんだ濡れ性のいずれにおいても非常に良好又は良好であった。特に、Asの含有量が70〜200質量ppm(0.0070〜0.0200質量%)である実施例2〜5においては、黄色変化の抑制及びはんだ濡れ性のいずれも非常に良好であった。
一方、Asを含まない比較例1においては、はんだ濡れ性は非常に良好であるものの、黄色変化を抑制することができなかった。また、Asの含有量が40質量ppm(0.0040質量%)未満である比較例2〜5においては、はんだ濡れ性は非常に良好であるものの、As濃化層が形成されておらず、黄色変化を抑制することができなかった。さらに、Asの含有量が320質量ppm(0.0320質量%)を超える比較例6においては、As濃化層が形成されており、黄色変化の抑制は良好であるものの、十分なはんだ濡れ性が得られなかった。
(実施例8〜14、比較例7〜12)
上記の表1に示す組成の代わりに、以下の表2に示す組成を用いた以外は実施例1〜7及び比較例1〜6と同様にして、実施例8〜14及び比較例7〜12のはんだボールを製造した。
上記の表1に示す組成の代わりに、以下の表2に示す組成を用いた以外は実施例1〜7及び比較例1〜6と同様にして、実施例8〜14及び比較例7〜12のはんだボールを製造した。
そして、実施例8〜14及び比較例7〜12それぞれのはんだボールについて、上記のとおり、(1)As濃化層の有無の評価、(2)黄色変化の抑制の評価、及び(3)はんだ濡れ性の評価を行った。評価結果を以下の表2に示す。
上記表2の結果より、Sn−Ag−Cu合金(Agの含有量:3質量%、Cuの含有量:0.5質量%)を含むはんだに関しても、Asの含有量が40〜320質量ppm(0.0040〜0.0320質量%)である実施例8〜14においては、実施例1〜7と同様に、As濃化層が形成されており、黄色変化の抑制及びはんだ濡れ性のいずれにおいても非常に良好又は良好であった。特に、Asの含有量が70〜200質量ppm(0.0070〜0.0200質量%)である実施例9〜12においては、黄色変化の抑制及びはんだ濡れ性のいずれも非常に良好であった。
一方、Sn−Ag−Cu合金(Agの含有量:3質量%、Cuの含有量:0.5質量%)を含むはんだに関しても、Asを含まない比較例7においては、比較例1と同様に、はんだ濡れ性は非常に良好であるものの、黄色変化を抑制することができなかった。また、Asの含有量が40質量ppm(0.0040質量%)未満である比較例8〜11においては、比較例2〜5と同様に、はんだ濡れ性は非常に良好であるものの、As濃化層が形成されておらず、黄色変化を抑制することができなかった。さらに、Asの含有量が320質量ppm(0.0320質量%)を超える比較例12においては、As濃化層が形成されており、黄色変化の抑制は非常に良好であるものの、十分なはんだ濡れ性が得られなかった。
(実施例15〜21、比較例13〜18)
上記の表1に示す組成の代わりに、以下の表3に示す組成を用いた以外は実施例1〜7及び比較例1〜6と同様にして、実施例15〜21及び比較例13〜18のはんだボールを製造した。
上記の表1に示す組成の代わりに、以下の表3に示す組成を用いた以外は実施例1〜7及び比較例1〜6と同様にして、実施例15〜21及び比較例13〜18のはんだボールを製造した。
そして、実施例15〜21及び比較例13〜18それぞれのはんだボールについて、上記のとおり、(1)As濃化層の有無の評価、(2)黄色変化の抑制の評価、及び(3)はんだ濡れ性の評価を行った。評価結果を以下の表3に示す。
上記表3の結果より、Sn−Ag−Cu合金(Agの含有量:1質量%、Cuの含有量:0.5質量%)を含むはんだに関しても、Asの含有量が40〜320質量ppm(0.0040〜0.0320質量%)である実施例15〜21においては、実施例1〜7と同様に、As濃化層が形成されており、黄色変化の抑制及びはんだ濡れ性のいずれにおいても非常に良好又は良好であった。特に、Asの含有量が70〜200質量ppm(0.0070〜0.0200質量%)である実施例16〜19においては、黄色変化の抑制及びはんだ濡れ性のいずれも非常に良好であった。
一方、Sn−Ag−Cu合金(Agの含有量:1質量%、Cuの含有量:0.5質量%)を含むはんだに関しても、Asを含まない比較例13においては、比較例1と同様に、はんだ濡れ性は非常に良好であるものの、黄色変化を抑制することができなかった。また、Asの含有量が40質量ppm(0.0040質量%)未満である比較例14〜17においては、比較例2〜5と同様に、はんだ濡れ性は非常に良好であるものの、As濃化層が形成されておらず、黄色変化を抑制することができなかった。さらに、Asの含有量が320質量ppm(0.0320質量%)を超える比較例18においては、As濃化層が形成されており、黄色変化の抑制は非常に良好であるものの、十分なはんだ濡れ性が得られなかった。
(実施例22〜29、比較例19〜26)
上記の表1に示す組成の代わりに、以下の表4に示す組成を用いた以外は実施例1〜7及び比較例1〜6と同様にして、実施例22〜29及び比較例19〜26のはんだボールを製造した。
上記の表1に示す組成の代わりに、以下の表4に示す組成を用いた以外は実施例1〜7及び比較例1〜6と同様にして、実施例22〜29及び比較例19〜26のはんだボールを製造した。
そして、実施例22〜29及び比較例19〜26それぞれのはんだボールについて、上記のとおり、(1)As濃化層の有無の評価、(2)黄色変化の抑制の評価、及び(3)はんだ濡れ性の評価を行った。評価結果を以下の表4に示す。
上記表4の結果より、Sn−Ag−Cu合金(Agの含有量:4質量%、Cuの含有量:0.5質量%)を含むはんだに関しても、Asの含有量が40〜320質量ppm(0.0040〜0.0320質量%)である実施例22〜28においては、実施例1〜7と同様に、As濃化層が形成されており、黄色変化の抑制及びはんだ濡れ性のいずれにおいても非常に良好又は良好であった。特に、Asの含有量が70〜200質量ppm(0.0070〜0.0200質量%)である実施例23〜26においては、黄色変化の抑制及びはんだ濡れ性のいずれも非常に良好であった。
また、Agの含有量を4質量%、Cuの含有量を1質量%に変更したSn−Ag−Cu合金を含むはんだに関しても、Asの含有量が40〜320質量ppm(0.0040〜0.0320質量%)である実施例29において、実施例22〜28と同様に良好な評価結果が得られた。実施例29については、実施例23〜26と同様に、黄色変化の抑制及びはんだ濡れ性のいずれも非常に良好であった。
一方、Sn−Ag−Cu合金(Agの含有量:4質量%、Cuの含有量:0.5質量%)を含むはんだに関しても、Asを含まない比較例19においては、比較例1と同様に、はんだ濡れ性は非常に良好であるものの、黄色変化を抑制することができなかった。また、Asの含有量が40質量ppm(0.0040質量%)未満である比較例20〜23においては、比較例2〜5と同様に、はんだ濡れ性は非常に良好であるものの、As濃化層が形成されておらず、黄色変化を抑制することができなかった。さらに、Asの含有量が320質量ppm(0.0320質量%)を超える比較例24においては、As濃化層が形成されており、黄色変化の抑制は非常に良好であるものの、十分なはんだ濡れ性が得られなかった。
また、Agの含有量を4質量%、Cuの含有量を1質量%に変更したSn−Ag−Cu合金を含むはんだに関しても、Asを含まない比較例25においては比較例19と同様に、Asの含有量が320質量ppm(0.0320質量%)を超える比較例26においては比較例23と同様に、不十分な評価結果となった。
(実施例30〜37、比較例27〜34)
上記の表1に示す組成の代わりに、以下の表5に示す組成を用いた以外は実施例1〜7及び比較例1〜6と同様にして、実施例30〜37及び比較例27〜34のはんだボールを製造した。
上記の表1に示す組成の代わりに、以下の表5に示す組成を用いた以外は実施例1〜7及び比較例1〜6と同様にして、実施例30〜37及び比較例27〜34のはんだボールを製造した。
そして、実施例30〜37及び比較例27〜34それぞれのはんだボールについて、上記のとおり、(1)As濃化層の有無の評価、(2)黄色変化の抑制の評価、及び(3)はんだ濡れ性の評価を行った。評価結果を以下の表5に示す。
上記表5の結果より、Sn−Ag−Cu−Ni−Co合金(Agの含有量:3質量%、Cuの含有量:0.5質量%、Niの含有量:0.05質量%、Coの含有量:0.01質量%)を含むはんだに関しても、Asの含有量が40〜320質量ppm(0.0040〜0.0320質量%)である実施例30〜36においては、実施例1〜7と同様に、As濃化層が形成されており、黄色変化の抑制及びはんだ濡れ性のいずれにおいても非常に良好又は良好であった。特に、Asの含有量が70〜200質量ppm(0.0070〜0.0200質量%)である実施例31〜34においては、黄色変化の抑制及びはんだ濡れ性のいずれも非常に良好であった。
また、Niの含有量を0.15質量%、Coの含有量を0.015質量%に変更したSn−Ag−Cu−Ni−Co合金を含むはんだに関しても、Asの含有量が40〜320質量ppm(0.0040〜0.0320質量%)である実施例37において、実施例30〜36と同様に良好な評価結果が得られた。実施例37については、実施例31〜34と同様に、黄色変化の抑制及びはんだ濡れ性のいずれも非常に良好であった。
一方、Sn−Ag−Cu−Ni−Co合金(Agの含有量:3質量%、Cuの含有量:0.5質量%、Niの含有量:0.05質量%、Coの含有量:0.01質量%)を含むはんだに関しても、Asを含まない比較例27においては、比較例1と同様に、はんだ濡れ性は非常に良好であるものの、黄色変化を抑制することができなかった。また、Asの含有量が40質量ppm(0.0040質量%)未満である比較例28〜31においては
、比較例2〜5と同様に、はんだ濡れ性は非常に良好であるものの、As濃化層が形成されておらず、黄色変化を抑制することができなかった。さらに、Asの含有量が320質量ppm(0.0320質量%)を超える比較例32においては、As濃化層が形成されており、黄色変化の抑制は非常に良好であるものの、十分なはんだ濡れ性が得られなかった。
、比較例2〜5と同様に、はんだ濡れ性は非常に良好であるものの、As濃化層が形成されておらず、黄色変化を抑制することができなかった。さらに、Asの含有量が320質量ppm(0.0320質量%)を超える比較例32においては、As濃化層が形成されており、黄色変化の抑制は非常に良好であるものの、十分なはんだ濡れ性が得られなかった。
また、Niの含有量を0.15質量%、Coの含有量を0.015質量%に変更したSn−Ag−Cu−Ni−Co合金を含むはんだに関しても、Asを含まない比較例33においては比較例27と同様に、Asの含有量が320質量ppm(0.0320質量%)を超える比較例34においては比較例32と同様に、不十分な評価結果となった。
(実施例38〜44、比較例35〜40)
上記の表1に示す組成の代わりに、以下の表6に示す組成を用いた以外は実施例1〜7及び比較例1〜6と同様にして、実施例38〜44及び比較例35〜40のはんだボールを製造した。
上記の表1に示す組成の代わりに、以下の表6に示す組成を用いた以外は実施例1〜7及び比較例1〜6と同様にして、実施例38〜44及び比較例35〜40のはんだボールを製造した。
そして、実施例38〜44及び比較例35〜40それぞれのはんだボールについて、上記のとおり、(1)As濃化層の有無の評価、(2)黄色変化の抑制の評価、及び(3)はんだ濡れ性の評価を行った。評価結果を以下の表6に示す。
上記表6の結果より、Sn−In合金を含むはんだに関しても、Asの含有量が40〜320質量ppm(0.0040〜0.0320質量%)である実施例38〜44においては、実施例1〜7と同様に、As濃化層が形成されており、黄色変化の抑制及びはんだ濡れ性のいずれにおいても非常に良好又は良好であった。特に、Asの含有量が70〜200質量ppm(0.0070〜0.0200質量%)である実施例39〜42において
は、黄色変化の抑制及びはんだ濡れ性のいずれも非常に良好であった。
は、黄色変化の抑制及びはんだ濡れ性のいずれも非常に良好であった。
一方、Sn−In合金を含むはんだに関しても、Asを含まない比較例35においては、比較例1と同様に、はんだ濡れ性は非常に良好であるものの、黄色変化を抑制することができなかった。また、Asの含有量が40質量ppm(0.0040質量%)未満である比較例36〜39においては、比較例2〜5と同様に、はんだ濡れ性は非常に良好であるものの、As濃化層が形成されておらず、黄色変化を抑制することができなかった。さらに、Asの含有量が320質量ppm(0.0320質量%)を超える比較例40においては、As濃化層が形成されており、黄色変化の抑制は非常に良好であるものの、十分なはんだ濡れ性が得られなかった。
また、実施例1〜44のはんだボールを、当業界で一般的な方法で加工することによりはんだ継手を製造することができる。Asの含有量が40〜320質量ppm(0.0040〜0.0320質量%)であり、As濃化層が形成されており、黄色変化の抑制及びはんだ濡れ性のいずれも優れた結果が得られている実施例1〜44のはんだボールは、加熱しても変色しにくいため、このようなはんだボールから得られるはんだ継手もまた変色しにくい。
Claims (5)
- Sn又はSn系合金と、40〜320質量ppmのAsとを含み、As濃化層を有することを特徴とする耐変色性はんだ材料。
- 前記Sn又はSn系合金が、0〜4質量%のAg、0〜1質量%のCu、0〜52質量%のIn、0〜0.15質量%のNi、及び0〜0.015質量%のCoを含み、残部がSnであることを特徴とする請求項1に記載のはんだ材料。
- 粉末であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のはんだ材料。
- 前記粉末が、球径1〜1000μmの球状粉末であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のはんだ材料
- Sn又はSn系合金と、40〜320質量ppmのAsとを含み、As濃化層を有することを特徴とする耐変色性はんだ継手。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020017740A JP2020097057A (ja) | 2020-02-05 | 2020-02-05 | 耐変色性はんだ材料、及び耐変色性はんだ継手 |
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JP2020017740A JP2020097057A (ja) | 2020-02-05 | 2020-02-05 | 耐変色性はんだ材料、及び耐変色性はんだ継手 |
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JP2017225677A Division JP6671013B2 (ja) | 2017-11-24 | 2017-11-24 | 耐変色性はんだ合金、及び耐変色性はんだ継手 |
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