JP2020097023A - 排水の処理方法および排水の処理システム - Google Patents

排水の処理方法および排水の処理システム Download PDF

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龍太郎 石橋
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Abstract

【課題】繊維状担体で構成させる回転板を用いた回転生物接触法により排水を処理するに際して、汚濁物質の分解性能を高めつつ、生物膜の過剰成長を抑制できる排水の処理方法および排水の処理システムの提供。【解決手段】繊維状担体12aで構成される回転板12をその表面が被処理水中に繰り返し浸漬されるように回転させ、前記回転板12に付着した生物膜により生物処理する回転接触装置10を用いた排水を処理する際に、回転接触装置10の気相中の酸素濃度が大気中の酸素濃度よりも高濃度になるように調整する排水の処理方法および排水の処理システム1。【選択図】図1

Description

本発明は、排水の処理方法および排水の処理システムに関する。
回転生物接触式の排水の処理方法(回転生物接触法)は、回転板上に形成される生物膜により排水を処理する方法である。回転生物接触法は、具体的には、回転板をその表面が排水中に繰り返し浸漬されるように回転させることにより、液相で有機物等の汚濁物質を生物膜に吸着させるとともに、気相において酸素を吸収し、液相中で吸着した汚濁物質を好気的に酸化分解する方法である。
従来、回転板は合成樹脂等により構成されるが、装置の体積当たりにおける処理に寄与する生物膜面積が制限される欠点がある。
この問題に対し、繊維状担体で構成させる回転板を用いた排水の処理方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。繊維状担体で構成させる回転板においては、この回転板に付着した生物膜が成長することにより、従来の回転板と比較し、生物膜面積を拡大できる利点がある。
特開平11−42496号公報
しかし、生物膜が過剰に成長すると、繊維状担体が閉塞して逆に生物膜面積が縮小し、汚濁物質の分解性能が低下する欠点がある。
本発明は、繊維状担体で構成させる回転板を用いた回転生物接触法により排水を処理するに際して、汚濁物質の分解性能を高めつつ、生物膜の過剰成長を抑制できる排水の処理方法および排水の処理システムを提供することを課題とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1] 回転板をその表面が被処理水中に繰り返し浸漬されるように回転させ、前記回転板に付着した生物膜により生物処理する回転接触工程を有する排水の処理方法であって、
前記回転板が、繊維状担体で構成され、
前記回転接触工程が、気相中の酸素濃度が大気中の酸素濃度よりも高濃度の雰囲気下で行われる、排水の処理方法。
[2] 前記回転板の下方から大気中よりも高濃度の酸素を供給して、気相中の酸素濃度を大気中の酸素濃度よりも高濃度に維持する、[1]の排水の処理方法。
[3] 大気中よりも高濃度の酸素を前記繊維状担体の表面積1m当たり0.5L/hr以上供給して、気相中の酸素濃度を大気中の酸素濃度よりも高濃度に維持する、[1]または[2]の排水の処理方法。
[4] 排水中の有機物の分解速度を呼吸速度計測によって計測したときの初期30分間の平均分解速度が、0.1[ppm−BOD/min/4000ppm−汚泥]以上となる排水に適用する、[1]〜[3]のいずれかの排水の処理方法。
[5] 排水中の生物易分解性成分濃度を呼吸速度計測によって計測したときの濃度が、50ppm以上となる排水に適用する、[1]〜[4]のいずれかの排水の処理方法。
[6] 前記回転板に付着した生物膜量に応じて気相中の酸素濃度を調整する[1]〜[5]のいずれかの排水の処理方法。
[7] 回転板をその表面が被処理水中に繰り返し浸漬されるように回転させ、前記回転板に付着した生物膜により生物処理する回転接触装置を備えた排水の処理システムであって、
前記回転板が、繊維状担体で構成され、
前記回転接触装置は、大気中の酸素濃度よりも高濃度になるように気相中の酸素濃度を調整する調整手段を有する、排水の処理システム。
[8] 前記調整手段は、前記回転接触装置の気相中の酸素濃度を測定する第1の測定手段と、大気中よりも高濃度の酸素を前記回転接触装置に供給する供給手段と、前記第1の測定手段により測定した酸素濃度に応じて、前記供給手段から供給する酸素量を制御する第1の制御手段とを有する、[7]の排水の処理システム。
[9] 前記調整手段は、前記回転板に付着した生物膜量を測定する第2の測定手段と、大気中よりも高濃度の酸素を前記回転接触装置に供給する供給手段と、前記第2の測定手段により測定した生物膜量に応じて、前記供給手段から供給する酸素量を制御する第2の制御手段とを有する、[7]または[8]の排水の処理システム。
本発明によれば、繊維状担体で構成させる回転板を用いた回転生物接触法により排水を処理するに際して、汚濁物質の分解性能を高めつつ、生物膜の過剰成長を抑制できる排水の処理方法および排水の処理システムを提供できる。
本発明の第一の態様の排水の処理システムの一例を模式的に示す概略図である。 図1に示す排水の処理システムの側面図である。 本発明の第二の態様の排水の処理システムの一例を模式的に示す概略図である。 本発明の第三の態様の排水の処理システムの一例を模式的に示す概略図である。 本発明の第四の態様の排水の処理システムの一例を模式的に示す概略図である。 実施例および比較例で用いた排水の処理システムを模式的に示す概略図である。 図6に示す排水の処理システムの側面図である。 (a)は実施例1および比較例1で用いた、排水処理試験前の繊維状担体の写真であり、(b)は実施例1における排水処理試験後の繊維状担体の写真であり、(c)は比較例1における排水処理試験後の繊維状担体の写真である。
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。
なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
また、図2〜7において、図1と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
本発明の処理対象となる排水は有機物等の汚濁物質を高濃度に含有する排水であり、具体的には工場、事業所等から排出される工業排水、生活排水などである。特に、本発明は、排水中の有機物の分解速度を呼吸速度計測によって計測したときの初期30分間の平均分解速度が0.1[ppm−BOD/min/4000ppm−汚泥]以上となる排水の処理に好適である。このような排水としては、例えば化学工場から排出される工業排水、生活排水などが挙げられる。平均分解速度は、具体的には以下のようにして求められる。すなわち、まず、活性汚泥を曝気し、DO(溶存酸素)の変化がなくなった時点で原水を投入し、その際のDOの低下速度を呼吸速度計測によって計測することで酸素消費速度を測定する。酸素消費速度に曝気による酸素供給速度を加え、活性汚泥の内生呼吸速度を差し引くことで有機物の分解速度が求められる。原水を投入してから30分経過するまでの間(以下、「初期30分間」という。)の有機物の分解速度を求め、その平均値を平均分解速度とする。呼吸速度計測に用いる装置としては、例えばTSchecker(株式会社小川環境研究所製)などが挙げられる。
なお、本明細書において回転生物接触法による生物処理前の排水を「被処理水」という。
<第一の態様>
図1、2に本発明の第一の態様の排水の処理システムの一例を模式的に示す。図1は排水の処理システム1を平面から見た概略図であり、図2は排水の処理システム1の側面図である。
図1、2に示す排水の処理システム1は、回転生物接触式(回転円板式ともいう。)の回転接触装置10を備える。
この例の回転接触装置10は、処理槽11と、複数の回転板12が間隔をおいて回転軸13に取り付けられた回転体14と、大気中の酸素濃度よりも高濃度になるように気相中の酸素濃度を調整する調整手段15とを備える。
処理槽11は、回転生物接触式により被処理水を生物処理して生物処理水を得るための槽である。
処理槽11は、処理槽11の全体を覆う覆蓋16を備えている。
処理槽11には、処理槽11に被処理水を流入させる被処理水流入路17と、生物処理水を処理槽11から流出させる生物処理水流出路18とが接続されている。
回転体14は、その周面の一部が、処理槽11内の被処理水に浸漬されている。具体的には、図1に示すように、回転軸13の長手方向を水平方向としたときに回転体14の下部が処理槽11内の被処理水に浸漬されている。
この例の回転板12は6つの繊維状担体12aで構成され、各繊維状担体12aは回転軸13から放射状に伸びる支持板13aに固定されている。
繊維状担体12aの材質としては特に限定されないが、熱可塑性樹脂が好ましく、より好ましくは塩化ビニリデン樹脂である。塩化ビニリデン樹脂を用いる場合、3800〜4200デニールの範囲の太さの繊維糸を用いることが好ましく、より好ましくは3900〜4100デニールの範囲である。
繊維状担体12aは、例えば熱可塑性樹脂からなる複数の繊維を接着剤にて板状に成形して得られる。接着剤としては、一般的にはラテックスなどを用いることができる。繊維が塩化ビニリデン樹脂からなる場合は、接着剤として塩化ビニリデン樹脂系接着剤が好適である。
繊維状担体12aの形状としては特に制限されないが、平面視にて例えば図2に示すような円形状が好ましい。円形状の繊維状担体で構成された回転板を特に「回転円板」ともいう。すなわち、図1、2に示す回転板12は回転円板である。
また、例えば繊維状担体12aを扇状に成形したものを複数組み合わせて円形の回転板としたものも「回転円板」という。
回転板12の表面が被処理水中に繰り返し浸漬されるように、回転体14を回転させることで、繊維状担体12aの表面や内部に微生物が付着し、生物膜が形成される。
繊維状担体12aの空間率は、90〜99%が好ましく、92〜98%がより好ましく、93〜98%がさらに好ましい。繊維状担体12aの空間率が上記範囲内であれば、生物処理における酸素供給能力の低下や繊維状担体の閉塞を抑制でき、繊維状担体12aの表面に付着した生物膜量と、生物処理の効率と、繊維状担体12aの強度とのバランスに優れる。
調整手段15は、大気中の酸素濃度よりも高濃度になるように、回転接触装置10の気相中(すなわち、回転板12が空気に接触している部分)の酸素濃度を調整する手段である。
図1、2に示す調整手段15は、回転接触装置10の気相中の酸素濃度を測定する第1の測定手段15aと、大気中よりも高濃度の酸素を回転接触装置10に供給する供給手段15bと、第1の測定手段15aにより測定した酸素濃度に応じて、供給手段15bから供給する酸素量を制御する第1の制御手段15cとを有する。
第1の測定手段15aは、回転接触装置10の気相中の酸素濃度を測定する手段である。
第1の測定手段15aとしては、例えば酸素濃度計などが挙げられる。
なお、第1の測定手段15aには、定期的に洗浄できる装置が備わっていてもよい。これにより長期にわたって安定的に酸素濃度を測定できる。
供給手段15bは、大気中よりも高濃度の酸素を回転接触装置10に供給する手段である。
図1、2に示す供給手段15bは、高濃度の酸素を発生させる酸素発生装置151bと、処理槽11内かつ回転板12の下方に設置された散気管152bと、酸素発生装置151bから発生した高濃度の酸素を散気管152bに供給する導入管153bとを備えている。
散気管152bとしては、酸素発生装置151bから供給される高濃度の酸素を上方へ吐出できるものであれば特に限定されないが、例えば、穴あきの単管、メンブレン式散気管、サイフォン式散気管などが挙げられる。これらの中でも、効率的に一時的に散気量を増大させることができる点で、サイフォン式散気管が好ましい。
第1の制御手段15cは、第1の測定手段15aにより測定した酸素濃度に応じて、供給手段15bから回転接触装置10に供給する酸素量を制御する手段である。
第1の制御手段15cとしては、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置などが挙げられる。
図1、2に示す排水の処理システム1を用いた排水の処理方法では、まず、被処理水流入路17を介して被処理水を処理槽11に流入させる。
回転板12の表面が被処理水中に繰り返し浸漬されるように、回転体14の回転軸13に接続されたモータ13bにより所定の回転速度で回転体14を回転させる。すると、繊維状担体12aの表面や内部に微生物が付着し、生物膜が形成される。そして、被処理水に浸漬された部分の回転板12において、被処理水中の有機物等の汚濁物質が生物膜に吸着されるとともに、気相において生物膜が酸素を吸収し、液相中で吸着した汚濁物質が好気的に酸化分解される(回転接触工程)。このようにして被処理水を生物処理することで得られた生物処理水を、生物処理水流出路18を介して処理槽11から流出する。
なお、図2では、被処理水流入路17、生物処理水流出路18およびモータ13bを省略する。
回転生物接触式の回転接触装置10による被処理水の生物処理を継続して行うと、回転板12を構成する繊維状担体12aに付着した微生物が増殖して生物膜が成長するが、生物膜が過剰に成長すると繊維状担体12aが閉塞してしまう。
そこで、本発明では、回転接触装置10の気相中の酸素濃度が大気中の酸素濃度よりも高濃度の雰囲気下で回転接触工程を行う。回転接触工程を大気中よりも高濃度の酸素雰囲気下で行うことで、微生物が活性化され、汚濁物質の分解が促進される。加えて、高濃度の酸素雰囲気下では微生物が過剰に活性化されるため、微生物同士の共食いが起こり、生物膜の過剰な成長を抑制できる。
回転接触装置10の気相中の酸素濃度は、22体積%以上が好ましく、30体積%以上がより好ましく、40体積%以上がさらに好ましく、50体積%以上が特に好ましい。また、回転接触装置10の気相中の酸素濃度は、100体積%以下が好ましく、90体積%以下がより好ましく、80体積%以下がさらに好ましい。
回転接触装置10の気相中の酸素濃度が大気中の酸素濃度よりも高濃度の雰囲気下で回転接触工程を行うには、大気中の酸素濃度よりも高濃度になるように、回転接触装置10の気相中の酸素濃度を調整手段15により調整すればよい。
具体的には、まず、酸素発生装置151bにて発生した高濃度の酸素を散気管152bから被処理水中へ散気することで回転接触装置10に供給し、気相中の酸素濃度を大気中の酸素濃度よりも高濃度に維持した状態で回転接触工程を行う。
気相中の酸素濃度が所定の濃度に達した後は、高濃度の酸素の供給を停止してもよいし、連続的に高濃度の酸素を供給してもよい。連続的に高濃度の酸素を供給する場合、高濃度の酸素の供給量は、繊維状担体12aの表面積1m当たり0.5L/hr以上が好ましい。高濃度の酸素を繊維状担体12aの表面積1m当たり0.5L/hr以上供給すれば、気相中の酸素濃度を大気中の酸素濃度よりも高濃度に容易に維持できる。
気相中の酸素は微生物の呼吸により消費されるため、高濃度の酸素の供給を停止する場合や、連続的に高濃度の酸素を供給する場合でも供給量が少ない場合などは、徐々に気相中の酸素濃度が低下する。
そこで、第1の測定手段15aにより回転接触装置10の気相中の酸素濃度を測定し、気相中の酸素濃度をモニタリングする。
そして、気相中の酸素濃度の測定結果に応じて、第1の制御手段15cにて供給手段15bから回転接触装置10に供給する酸素量を制御する。気相中の酸素濃度が低下したと判断した場合には回転接触装置10に供給する酸素量を増やす。このとき、被処理水の生物処理を行いながら酸素量を増やしてもよいし、回転体14の回転を停止してから酸素量を増やしてもよい。ここで、酸素量を増やすとは、散気管152bからの散気量(供給量)を増やしたり、回転接触装置10に供給する酸素の濃度を高めたりすることを意味する。
気相中の酸素濃度が所定の範囲に戻ったことを確認した後は、回転接触装置10に供給する酸素量を減らしてもよいし、酸素の供給を停止してもよい。
回転接触装置10に供給する酸素量を増やせば、生物膜の成長が抑制される。酸素量を減らす、または高濃度の酸素の供給を停止すれば、生物膜量を増やすことができる。
本実施形態では、回転板12の下方に設置された散気管152bから高濃度の酸素を供給する。こうすることで被処理水が曝気されるとともに、回転板12の表面がエアスクラビングにより洗浄され、生物膜が剥離される。
なお、上述したように、気相中の酸素は微生物の呼吸により消費されるが、このときに二酸化炭素が排出され、気相中の二酸化炭素濃度が増える。そのため、覆蓋16に設けられた窓(図示略)等を開けるなどして、回転接触装置10内の換気を行うことが好ましい。
生物処理の対象となる排水中の有機物は、生物による分解速度の違いにより、生物易分解性成分と生物遅分解性成分に分けられる。本排水処理システムを適用する排水は、生物易分解性成分が含まれていることが好ましく、排水中の生物易分解性成分の濃度は50ppm以上が好ましく、100ppm以上がより好ましく、200ppm以上がさらに好ましい。ここでの生物易分解性成分とは、呼吸速度計測によって2時間以内に計測できる成分を指す。呼吸速度計測に用いる装置としては、例えばTSchecker(株式会社小川環境研究所製)などが挙げられる。呼吸速度計測の測定条件として、温度は10〜40℃が好ましく、活性汚泥量は1Lが好ましく、活性汚泥濃度は500〜10000ppmが好ましく、原水投入量は0.5〜100mLが好ましい。原水投入量が0.5mL未満であると測定誤差が大きくなる傾向にあり、100mLを超えると系の温度や酸素濃度が一時的に大きく変動し、測定誤差が生じる場合がある。また、測定に用いる活性汚泥は、対象となる原水で3週間以上馴養させたものが好ましい。
酸素濃度が高い条件での有機物の分解は分解速度が律速になるため、分解速度は高い方が好ましい。上記測定条件で測定した際の初期30分間の平均分解速度として0.1[ppm−BOD/min/4000ppm−汚泥]以上であることが好ましく、0.3[ppm−BOD/min/4000ppm−汚泥]以上であることがより好ましく、0.5[ppm−BOD/min/4000ppm−汚泥]以上であることがさらに好ましい。
以上説明した本発明の第一の態様の排水の処理システムおよび該排水の処理システムを用いた排水の処理方法は、繊維状担体で構成させる回転板を用いた回転生物接触法(回転円板法ともいう。)により排水を処理するに際して、汚濁物質の分解性能を高めつつ、生物膜の過剰成長を抑制できる。
第一の態様の排水の処理システムは、図1、2に示すものに限定されない。
例えば、図1、2に示す排水の処理システム1では、大気中よりも高濃度の酸素を被処理水に散気しているが、回転接触装置10の気相中に直接、高濃度の酸素を供給してもよい。
酸素発生装置151bに代えて、酸素ボンベを用いてもよい。
回転接触装置10は、処理槽11に供給される前の被処理水または処理槽11内の被処理水のpHを測定する測定機器(図示略)と、被処理水のpHを調整する調整手段(図示略)とを備えていてもよい。
被処理水のpHは5〜9が好ましく、6〜8がより好ましい。
pHの調整には、酸またはアルカリを用いればよい。
酸の種類としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;シュウ酸、クエン酸、ギ酸、酢酸などの有機酸が挙げられる。これらの中でも、硫酸または塩酸が好ましく、フェントン反応で生成するヒドロキシラジカルを捕捉しにくいことから硫酸がより好ましい。これらの酸は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルカリの種類としては、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。これらの中でも、汎用性が高く、フェントン反応で生成する物質と反応しにくいことから水酸化ナトリウムが好ましい。これらのアルカリは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述した回転板12のそれぞれは、6つの円形状の繊維状担体12aで構成されているが、1つの回転板12を複数の繊維状担体12aで構成する場合の繊維状担体12aの数は特に限定されない。
また、1つの繊維状担体12aで1つの回転板12を構成してもよいし、扇状の繊維状担体12aを複数組み合わせて、円形の回転板12としてもよい。
また、処理槽11内を電磁弁などで2つ以上に仕切り、高濃度の酸素を供給する際に、一時的に処理槽11内の被処理水への散気を部分的に遮断し、残りの部分への散気量を増やしてもよい。
<第二の態様>
図3に本発明の第二の態様の排水の処理システムの一例を模式的に示す。図3は排水の処理システム2を平面から見た概略図である。
図3に示す排水の処理システム2は、回転生物接触式の回転接触装置20を備える。
この例の回転接触装置20は、処理槽11と、複数の回転板12が間隔をおいて回転軸13に取り付けられた回転体14と、大気中の酸素濃度よりも高濃度になるように気相中の酸素濃度を調整する調整手段15とを備える。
なお、図3に示す排水の処理システム2は、調整手段15が第1の測定手段および第1の制御手段に代えて、以下に示す第2の測定手段15dおよび第2の制御手段15eを備える以外は、第一の態様の排水の処理システムと同様である。
本実施形態の調整手段15は、回転板12に付着した生物膜量を測定する第2の測定手段15dと、大気中よりも高濃度の酸素を前記回転接触装置に供給する供給手段15bと、第2の測定手段15dにより測定した生物膜量に応じて、供給手段15bから供給する酸素量を制御する第2の制御手段15eとを有する。
供給手段15bは、第一の態様と同様である。
第2の測定手段15dは、回転板12に付着した生物膜量を測定する手段である。
図3に示す第2の測定手段15dは、繊維状担体12aに光電、レーザまたは超音波を照射し、その反射量を測定するセンサ151dと、その情報をもとに繊維状担体12aの空隙率を計算する計算部(図示略)とで構成されている。すなわち、図3に示す第2の測定手段15dは、繊維状担体12aに光電、レーザまたは超音波を照射し、その反射量により、繊維状担体12aの空隙率を測定する手段(ii−1)である。
繊維状担体12aの空隙率を測定することにより、間接的に生物膜量を測定するとともに、生物膜の面積を測定できるため、性能低下状態を容易に把握することができる。
センサ151dの取り付け位置については特に制限されないが、回転接触装置20の気相中において反射量を測定できる部分にセンサ151dを取り付けることが好ましい。特に、センサ151dの汚染を防止し、メンテナンス性が向上する観点から、繊維状担体12aが空気に接触している部分のうち、繊維状担体12aの中心と周縁の中間から周縁までの間にセンサ151dを取り付けることが好ましい。
なお、センサ151dには、定期的に洗浄できる装置が備わっていてもよい。これにより長期にわたって安定的に反射量を測定できる。
第2の制御手段15eは、第2の測定手段15dにより測定した生物膜量に応じて、供給手段15bから回転接触装置10に供給する酸素量を制御する手段である。
第2の制御手段15eとしては、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置などが挙げられる。
なお、第2の制御手段15eは、センサ151dの情報をもとに繊維状担体12aの空隙率を計算する計算部を兼ねていてもよい。
図3に示す排水の処理システム2を用いた排水の処理方法は、第2の測定手段15dにより回転板12に付着した生物膜量を測定して生物膜量をモニタリングし、生物膜量の測定結果に応じて、第2の制御手段15eにて供給手段15bから回転接触装置20に供給する酸素量を制御する以外は、図1、2に示す第一の態様の排水の処理システム1を用いた排水の処理方法と同様である。
生物膜量の測定では、センサ151dにより繊維状担体12aに光電、レーザまたは超音波を照射し、その反射量を測定する。このとき、被処理水の生物処理を行いながら反射量を測定してもよいし、回転体14の回転を停止してから反射量を測定してもよい。次いで、反射量の情報をもとに繊維状担体12aの空隙率を計算することにより、間接的に生物膜量を測定する。
そして、生物膜量の測定結果に応じて、第2の制御手段15eにて供給手段15bから回転接触装置20に供給する酸素量を制御する。生物膜量が増加したと判断した場合には回転接触装置20に供給する酸素量を増やす。回転板12が複数の繊維状担体12aで構成されている場合は、少なくとも1つの繊維状担体12aにおいて生物膜量が増加したと判断したタイミングで、酸素量を増やすことが好ましい。
生物膜量が所定の範囲に戻ったことを確認した後は、回転接触装置20に供給する酸素量を減らしてもよいし、酸素の供給を停止してもよい。
なお、繊維状担体12aの空間率が90%未満となった時点で、生物膜が過剰に成長したと判断する。
以上説明した本発明の第二の態様の排水の処理システムおよび該排水の処理システムを用いた排水の処理方法は、繊維状担体で構成させる回転板を用いた回転生物接触法により排水を処理するに際して、汚濁物質の分解性能を高めつつ、生物膜の過剰成長を抑制できる。
第二の態様の排水の処理システムは、図3に示すものに限定されない。
例えば、第2の測定手段15dとして、繊維状担体12aに光電、レーザまたは超音波を照射し、その透過量により、繊維状担体12aの空隙率を測定する手段(ii−2)を用いてもよい。該手段(ii−2)は、例えば繊維状担体12aに光電、レーザまたは超音波を照射する照射手段と、その透過量を測定する透過量測定手段と、その情報をもとに繊維状担体12aの空隙率を計算する計算部(図示略)とで構成される。照射手段の取り付け位置は、図3に示すセンサ151dと同様の位置が好ましい。また、透過量測定手段は、1枚の繊維状担体12aを挟んで照射手段と対向配置されることが好ましい。
なお、本明細書において、前記手段(ii−1)および手段(ii−2)を総称して「手段(ii)」ともいう。
また、第2の測定手段15dとして、繊維状担体12aを撮影した情報から繊維状担体12aの空隙率を測定する手段(iii)を用いてもよい。該手段(iii)は、繊維状担体12aを撮影するカメラと、その情報をもとに繊維状担体の空隙率を計算する計算部とで構成される。カメラの取り付け位置は、図3に示すセンサ151dと同様の位置が好ましい。
前記手段(ii)、(iii)は、繊維状担体12aの空隙率を測定することで生物膜量を求める手段であるが、繊維状担体12aの質量を測定することで生物膜量を求めてもよい。
繊維状担体12aの質量を測定する方法としては、回転軸13にかかる質量を測定する方法、回転軸13のたわみ量を測定する方法などが挙げられる。すなわち、第2の測定手段15dとして、回転軸13にかかる質量を測定する手段、または回転軸13のたわみ量を測定する手段(i)を用いてもよい。回転軸13のたわみ量は、例えばレーザ距離計を用いて測定される。
前記手段(i)、(ii)、(iii)およびこれらの手段を用いた生物膜量の測定方法は、それぞれ単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせれば、生物膜量の測定精度が向上する。
また、第二の態様における調整手段15は、第一の態様において説明した第1の測定手段および第1の制御手段をさらに備えていてもよい。このとき、第2の制御手段15eが、第1の制御手段を兼ねてもよい。
<第三の態様>
図4に本発明の第三の態様の排水の処理システムの一例を模式的に示す。
図4に示す排水の処理システム3は、上流側から順に、回転生物接触式の回転接触装置10と、曝気処理装置30と、固液分離装置40とを備える。
この例の回転接触装置10は、上述した本発明の第一の態様の排水の処理システムに備わる回転接触装置と同じである。
曝気処理装置30は、回転接触装置10から流出された生物処理水を活性汚泥により生物処理して曝気処理水を得る装置である。
この例の曝気処理装置30は、曝気槽31と、散気手段32とを備える。
曝気槽31は、曝気と曝気停止とを繰り返して、活性汚泥の作用により生物処理水を生物処理し、曝気処理水を得るための槽である。
曝気槽31には、生物処理水流出路18と、曝気処理水を曝気槽31から流出させる曝気処理水流出路33とが接続されている。
散気手段32は、空気を曝気槽31内の被処理水に散気する散気管32aと、散気管32aに空気を供給する導入管32bと、空気を送気するブロア32cとを備えている。
散気管32aとしては、ブロア32cから供給される空気を上方へ吐出できるものであれば特に限定されず、例えば、第一の態様において先に例示した図1に示す散気管152bと同じものが挙げられる。
固液分離装置40は、曝気処理装置30から流出された曝気処理水を活性汚泥と上澄み液とに固液分離する装置である。
この例の固液分離装置40は、沈殿槽41と、返送手段42とを備える。
沈殿槽41としては、曝気処理装置30から流出された曝気処理水を、重力沈降によって活性汚泥と上澄み液とに固液分離できるものであればよく、特に限定はされない。沈殿槽41は、一般的な沈殿池であってもよい。
沈殿槽41には、曝気処理水流出路33と、上澄み液を処理水として沈殿槽41から流出させる処理水流出路43とが接続されている。
また、沈殿槽41には、固液分離した活性汚泥の一部を余剰汚泥として沈殿槽41から引き抜く余剰汚泥引抜流路44が接続されている。
この例の返送手段42は、固液分離した活性汚泥の一部を返送汚泥として処理槽11および曝気槽31に返送する手段である。
返送手段42は、汚泥返送流路42aを備える。汚泥返送流路42aの一端は沈殿槽41に接続され、他端は途中で分岐し、被処理水流入路17および生物処理水流出路18に合流している。
汚泥返送流路42aには、返送汚泥を処理槽11および曝気槽31に返送させるためのポンプ42bと、電磁弁42cとが取り付けられており、返送汚泥の返送量を調整できるようになっている。
図4に示す排水の処理システム3を用いた排水の処理方法では、まず、被処理水流入路17を介して被処理水を処理槽11に流入させ、回転接触装置10により被処理水を生物処理して生物処理水を得る(回転接触工程)。
回転接触装置10による生物処理の方法は、第一の態様と同様である。また、第一の態様と同様にして、第1の測定手段15aにより回転接触装置10の気相中の酸素濃度を測定し、酸素濃度の測定結果に応じて第1の制御手段15cにより、供給手段15bから回転接触装置10に供給する酸素量を制御する。こうして、回転接触装置10の気相中の酸素濃度を大気中の酸素濃度よりも高濃度に維持する。
次いで、回転接触工程で得られた生物処理水を生物処理水流出路18を介して処理槽11から流出させ、曝気槽31に流入させる。ブロア32cを作動させて散気管32aから空気を曝気槽31内の被処理水に散気し、活性汚泥中の微生物に酸素を供給しながら生物処理水をさらに生物処理して曝気処理水を得る(曝気処理工程)。
次いで、曝気処理工程で得られた曝気処理水を曝気処理水流出路33を介して曝気槽31から流出させ、沈殿槽41に流入させる。沈殿槽41においては、曝気処理水を、重力沈降によって活性汚泥と上澄み液とに固液分離する(固液分離工程)。
上澄み液は、処理水流出路43を経て沈殿槽41から流出される。
分離された活性汚泥の一部は余剰汚泥として余剰汚泥引抜流路44を経て排出される。また、活性汚泥の一部を返送汚泥として曝気槽31に返送する。処理槽11の微生物を増やすために、返送汚泥は運転初期に処理槽11に供給してもよい。
以上説明した本発明の第三の態様の排水の処理システムおよび該排水の処理システムを用いた排水の処理方法は、繊維状担体で構成させる回転板を用いた回転生物接触法により排水を処理するに際して、汚濁物質の分解性能を高めつつ、生物膜の過剰成長を抑制できる。加えて、本実施形態では回転生物接触式による生物処理(回転接触装置10)と活性汚泥による生物処理(曝気処理装置30)とを併用し、かつ、回転接触装置10を曝気処理装置30の上流に設置している。回転生物接触式による生物処理は、容積負荷を高くとることができ、また高濃度の有機物の処理や負荷変動にも適している。よって、回転接触装置10を曝気処理装置30の上流に設置することで、生物処理の安定化を図ることができる。加えて、回転接触装置10を上流に設置しない場合に比べて、曝気処理装置30の小型化を図ることができる。
第三の態様の排水の処理システムは、図4に示すものに限定されない。
例えば、図4に示す排水の処理システム3に備わる回転接触装置10は、第一の態様の排水の処理システムに備わる回転接触装置と同じであるが、この回転接触装置10に代えて、第二の態様の排水の処理システムに備わる回転接触装置を用いてもよい。
また、図4に示す曝気槽31は単槽であるが、曝気槽31は複数の連続した槽から構成されていてもよい。曝気槽31が複数の連続した槽から構成されていれば、食物連鎖を促進し、余剰汚泥の発生量を削減できる。
さらに、図4に示す固液分離装置40は、重力沈降によって曝気処理水を活性汚泥と上澄み液とに固液分離するものであるが、膜濾過により曝気処理水を活性汚泥と処理水とに固液分離してもよい。膜濾過は連続性や分離性に優れる。また、回転生物接触式による生物処理では分散性の細菌が優先化する場合があるが、膜濾過による分離を採用した場合、処理を安定的に保つことができるとともに、活性汚泥を高濃度に保つことができ、処理水質を良好に保つことができる。膜濾過に用いる濾過膜としては、後述する第四の態様の排水の処理システムの説明において例示する濾過膜と同様のものが挙げられる。
また、活性汚泥と処理水とに固液分離する方法として、上述した以外にも、例えば砂ろ過、加圧浮上分離、遠心分離、ベルトプレス等を用いた方法を採用してもよい。
また、図4に示す排水の処理システム3では、返送汚泥を被処理水流入路17や生物処理水流出路18に合流させているが、返送汚泥を処理槽11や曝気槽31に直接返送させてもよい。
また、排水の処理システム3では、固液分離装置40が返送手段42を有していなくてもよい。
<第四の態様>
図5に本発明の第四の態様の排水の処理システムの一例を模式的に示す。
図5に示す排水の処理システム4は、上流側から順に、回転生物接触式の回転接触装置10と、膜分離装置50とを備える。
回転接触装置10は、上述した本発明の第一の態様の排水の処理システムに備わる回転接触装置と同じである。
膜分離装置50は、回転接触装置10から流出された生物処理水を膜分離活性汚泥処理(MBR)法により処理して濾過処理水を得る装置である。ここで、MBR法とは、活性汚泥による生物処理と膜分離処理とを組み合わせた処理法のことである。
この例の膜分離装置50は、膜分離槽51と、濾過膜を備える膜モジュール52と、膜モジュール52の下方に設置された、槽内を曝気するための散気手段53と、返送手段54とを備える。
膜分離槽51は、生物処理水を活性汚泥により生物処理しつつ、膜処理(膜濾過)して、活性汚泥と濾過処理水とに膜分離(固液分離)するための槽である。
膜分離槽51には、生物処理水流出路18が接続されている。
また、膜分離槽51には、固液分離した活性汚泥の一部を余剰汚泥として膜分離槽51から引き抜く余剰汚泥引抜流路55が接続されている。
膜モジュール52は、膜分離槽51内に配置されている。膜モジュール52は濾過膜を備え、この濾過膜により生物処理水が活性汚泥と濾過処理水とに固液分離(膜処理)される。
膜濾過で用いられる濾過膜としては、濾過能を有するものであれば特に限定されないが、中空糸膜、平膜、チューブラ膜、モノリス型膜等が挙げられる。これらの中でも、容積充填率が高いことから、中空糸膜が好ましい。
濾過膜として中空糸膜を用いる場合、その材質としては、例えばセルロース、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデンジフロライド(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)等が挙げられる。これらの中でも、中空糸膜の材質としては、耐薬品性やpH変化に強い点から、PVDF、PTFEが好ましい。
濾過膜としてモノリス型膜を用いる場合は、セラミック製の膜を用いることが好ましい。
膜濾過の形態としては、膜濾過用の濾過膜を収めた膜モジュール52が、例えば、ハウジング内に膜の一次側と二次側が隔離されるように濾過膜が固定され、ハウジング内における濾過膜の一次側が、活性汚泥と、濾過処理水が貯留された貯留タンク(図示略)等と循環ラインにより連通し、二次側が濾過ポンプと接続されたもの等を用いてもよい。
また、膜濾過用の濾過膜を収めた膜モジュール52が、活性汚泥と、濾過処理水が貯留された貯留タンク(図示略)に直接浸漬された状態で、膜濾過を行える装置でもよい。
濾過膜に形成される微細孔の平均孔径は、0.01〜1.0μmが好ましく、0.05〜0.45μmがより好ましい。前記微細孔の平均孔径が上記下限値以上であれば、膜濾過に要する圧力を小さくしやすい。前記微細孔の平均孔径が上記上限値以下であれば、分散性細菌の系外への漏出を抑制しやすい。
この例の膜モジュール52には、濾過処理水流出路56が接続されている。濾過処理水流出路56は、濾過膜を透過した濾過処理水を膜分離槽51から流出させるための流路である。
濾過処理水流出路56には、ポンプ57が取り付けられている。これにより、膜モジュール52の濾過膜を透過した濾過処理水を膜分離槽51から排出できるようになっている。
散気手段53は、膜モジュール52の濾過膜を洗浄するものであり、膜分離槽51内かつ膜モジュール52の下方に設置されている。
散気手段53は、空気を膜分離槽51内の被処理水に散気する散気管53aと、散気管53aに空気を供給する導入管53bと、空気を送気するブロア53cとを備えている。
散気管53aとしては、ブロア53cから供給される空気を上方へ吐出できるものであれば特に限定されず、例えば、第一の態様において先に例示した散気管152bと同じものが挙げられる。
返送手段54は、固液分離した活性汚泥の一部を返送汚泥として処理槽11に返送する手段である。
返送手段54は、汚泥返送流路54aを備える。汚泥返送流路54aの一端は膜分離槽51に接続され、他端は被処理水流入路17に合流している。
汚泥返送流路54aには、返送汚泥を処理槽11に返送させるためのポンプ54bが取り付けられている。
図5に示す排水の処理システム4を用いた排水の処理方法では、まず、被処理水流入路17を介して被処理水を処理槽11に流入させ、回転接触装置10により被処理水を生物処理して生物処理水を得る(回転接触工程)。
回転接触装置10による生物処理の方法は、第一の態様と同様である。また、第一の態様と同様にして、第1の測定手段15aにより回転接触装置10の気相中の酸素濃度を測定し、酸素濃度の測定結果に応じて第1の制御手段15cにより、供給手段15bから回転接触装置10に供給する酸素量を制御する。こうして、回転接触装置10の気相中の酸素濃度を大気中の酸素濃度よりも高濃度に維持する。
次いで、回転接触工程で得られた生物処理水を生物処理水流出路18を介して処理槽11から流出させ、膜分離槽51に流入させる。ブロア53cを作動させて散気管53aから空気を膜分離槽51内の被処理水に散気し、活性汚泥中の微生物に酸素を供給しながら生物処理水をさらに生物処理する。
さらに、膜分離槽51においては、ポンプ57を作動させて膜モジュール52内を減圧にすることによって活性汚泥と濾過処理水とに固液分離される。この際、散気管53aから空気を膜モジュール52に導入することによって、膜モジュール52の濾過膜の表面を洗浄しながら、効率よく固液分離を行うことができる(膜分離工程)。
膜モジュール52にて分離された処理水は、濾過処理水流出路56を経て膜分離槽51から流出される。
分離された活性汚泥の一部は余剰汚泥として余剰汚泥引抜流路55を経て排出される。また、活性汚泥の一部を返送汚泥として処理槽11に返送してもよい。
以上説明した本発明の第四の態様の排水の処理システムおよび該排水の処理システムを用いた排水の処理方法は、繊維状担体で構成させる回転板を用いた回転生物接触法により排水を処理するに際して、汚濁物質の分解性能を高めつつ、生物膜の過剰成長を抑制できる。加えて、本実施形態では回転生物接触式による生物処理(回転接触装置10)とMBR法による処理(膜分離装置50)とを併用し、かつ、回転接触装置10を膜分離装置50の上流に設置している。回転生物接触式による生物処理は、容積負荷を高くとることができ、また高濃度の有機物の処理や負荷変動にも適している。よって、回転接触装置10を膜分離装置50の上流に設置することで、生物処理の安定化を図ることができる。加えて、回転接触装置10を上流に設置しない場合に比べて、膜分離装置50の小型化を図ることができる。
第四の態様の排水の処理システムは、図5に示すものに限定されない。
例えば、図5に示す排水の処理システム4に備わる回転接触装置10は、第一の態様の排水の処理システムに備わる回転接触装置と同じであるが、この回転接触装置10に代えて、第二の態様の排水の処理システムに備わる回転接触装置を用いてもよい。
また、図5に示す排水の処理システム4では、返送汚泥を被処理水流入路17に合流させているが、返送汚泥を処理槽11に直接返送させてもよい。
また、排水の処理システム4では、膜分離装置50が返送手段54を有していなくてもよい。
以下に本発明について、実施例および比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
図6、7に示す排水の処理システム5を用い、以下のようにして排水処理試験を行った。
なお、排水としては、食品工場から排出される工業排水を用いた。排水中の有機物の分解速度をTSchecker(株式会社小川環境研究所製)による呼吸速度計測によって、上述した方法により計測した。TScheckerによる呼吸速度計測の測定条件は、温度25℃、活性汚泥量1L、活性汚泥濃度4000ppm、原水投入量30mL、曝気による酸素移動容量係数0.25[1/min]、内生呼吸速度0.399[ppm/min/4000ppm−汚泥]とした。初期30分間の平均分解速度は0.65[ppm−BOD/min/4000ppm−汚泥]であった。上記条件で測定した排水中の生物易分解性成分の濃度は297ppmであった。また、排水のCODcr(二クロム酸カリウムによる酸素消費量)を加熱分解法と比色法を用いて測定したところ、平均して1880ppmであった。加熱分解法には、DRB200(HACK社製)、COD分解試薬バイヤル(Cat.No.21258−15、HACK社製)を用い、比色法にはHACH DR2700(HACK社製)を用いた。
図6、7に示す排水の処理システム5は、2枚の回転板12がそれぞれ1つの円形状の繊維状担体12aからなり、繊維状担体12aが回転軸13に直接固定されている以外は、第一の態様の排水の処理システムと同様である。
回転板12としては、塩化ビニリデン樹脂からなる複数の繊維(4000デニール)を、塩化ビニリデン系接着剤にて板状に成形した1つの繊維状担体12a(直径280mm、厚さ50mm)で構成されたものを用いた。この回転板12の厚さは50mmであり、表面積は1.125mであった。排水処理試験前の繊維状担体12aの写真を図8(a)に示す。
処理槽11内の被処理水(排水)の滞在時間が試験期間中、30〜140分となるように、被処理水流入路17を介して被処理水を処理槽11に46日間、連続的に流入させた。被処理水の滞在時間は、30〜140分の間で毎日設定した。
回転板12の表面が被処理水中に繰り返し浸漬されるように、回転体14の回転軸13に接続されたモータ13bにより5〜10rpmの回転速度で回転体14を回転させ、被処理水を生物処理した(回転接触工程)。
試験期間中、回転接触装置10の気相中の酸素濃度が大気中の酸素濃度よりも高濃度の雰囲気下で回転接触工程が行われるように、供給手段15bの酸素発生装置151bから発生した濃度90体積%の酸素を、繊維状担体12aの表面積1m当たり53.3L/hrの供給量で、回転板12の下方から連続的に供給した。また、第1の測定手段15aにより回転接触装置10の気相中の酸素濃度を測定し、気相中の酸素濃度が73体積%を維持するように、第1の制御手段15cにて供給手段15bから供給される酸素量を制御した。
試験期間中、回転板12の単位面積当たりのCODcrの除去速度を毎日求め、その平均値を算出した。結果を表1に示す。
また、排水処理試験後の繊維状担体12aの閉塞の状態を目視にて確認した。結果を表1に示す。さらに、排水処理試験後の繊維状担体12aの写真を図8(b)に示す。
[実施例2]
回転接触装置10の気相中の酸素濃度を57体積%に維持した以外は、実施例1と同様にして排水処理試験を行った。
試験期間中、回転板12の単位面積当たりのCODcrの除去速度を毎日求め、その平均値を算出した。結果を表1に示す。
また、排水処理試験後の繊維状担体12aの閉塞の状態を目視にて確認した。結果を表1に示す。
さらに、排水処理試験後、モータ13bを止めて回転体14の回転を停止し、回転軸13をモータ13bから取り外した。回転軸13に固定されている2枚の回転板12の質量を、回転軸13ごと吊りはかり(デジタル吊りはかり、SHANJE社製)を使用して測定した。
酸素冨化は4.9kg、空気供給は6.5kgであった。
測定値から回転軸13の質量353gを差し引き、回転板12の1枚当たりの質量を算出した。結果を表2に示す。
なお、排水処理試験前の回転板12の1枚当たりの質量は、224gであった。排水処理試験による回転板12の増加量(排水処理試験後の回転板の質量−排水処理試験前の回転板の質量)を求めた。結果を表2に示す。
[実施例3]
回転接触装置10の気相中の酸素濃度を31体積%に維持した以外は、実施例1と同様にして排水処理試験を行った。
試験期間中、回転板12の単位面積当たりのCODcrの除去速度を毎日求め、その平均値を算出した。結果を表1に示す。
また、排水処理試験後の繊維状担体12aの閉塞の状態を目視にて確認した。結果を表1に示す。
[比較例1]
濃度90体積%の酸素の代わりに空気を用い、回転接触装置10の気相中の酸素濃度を21体積%に維持した以外は、実施例1と同様にして排水処理試験を行った。
試験期間中、回転板12の単位面積当たりのCODcrの除去速度を毎日求め、その平均値を算出した。結果を表1に示す。
また、排水処理試験後の繊維状担体12aの閉塞の状態を目視にて確認した。結果を表1に示す。さらに、排水処理試験後の繊維状担体12aの写真を図8(c)に示す。
さらに、実施例2と同様にして、排水処理試験後の回転板12の1枚当たりの質量を算出し、排水処理試験による回転板12の増加量を求めた。結果を表2に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜3は回転板12の単位面積当たりのCODcrの除去速度の平均値が高く、排水に含まれる汚濁物質の分解性能が高かった。また、実施例1〜3の場合、排水処理試験後の繊維状担体12aには閉塞が認められず、生物膜の過剰成長を抑制できた。
また、表2から明らかなように、気相中の酸素濃度が大気中の酸素濃度よりも高濃度の雰囲気下で排水処理試験を行った、すなわち純酸素冨化した実施例2の場合、空気中で排水処理試験を行った比較例1に比べて、排水処理試験による回転板の増加量が少なく、生物膜の過剰成長を抑制できた。
一方、比較例1は回転板12の単位面積当たりのCODcrの除去速度の平均値が低く、実施例1に比べて汚濁物質の分解性能に劣っていた。また、比較例1の場合、排水処理試験後の繊維状担体12aは閉塞し、排水処理試験による回転板の増加量が多く、生物膜が過剰に成長していた。
1 排水の処理システム
2 排水の処理システム
3 排水の処理システム
4 排水の処理システム
5 排水の処理システム
10 回転接触装置
20 回転接触装置
12 回転板
12a 繊維状担体
15 調整手段
15a 第1の測定手段
15b 供給手段
15c 第1の制御手段
15d 第2の測定手段
15e 第2の制御手段

Claims (9)

  1. 回転板をその表面が被処理水中に繰り返し浸漬されるように回転させ、前記回転板に付着した生物膜により生物処理する回転接触工程を有する排水の処理方法であって、
    前記回転板が、繊維状担体で構成され、
    前記回転接触工程が、気相中の酸素濃度が大気中の酸素濃度よりも高濃度の雰囲気下で行われる、排水の処理方法。
  2. 前記回転板の下方から大気中よりも高濃度の酸素を供給して、気相中の酸素濃度を大気中の酸素濃度よりも高濃度に維持する、請求項1に記載の排水の処理方法。
  3. 大気中よりも高濃度の酸素を前記繊維状担体の表面積1m当たり0.5L/hr以上供給して、気相中の酸素濃度を大気中の酸素濃度よりも高濃度に維持する、請求項1または2に記載の排水の処理方法。
  4. 排水中の有機物の分解速度を呼吸速度計測によって計測したときの初期30分間の平均分解速度が、0.1[ppm−BOD/min/4000ppm−汚泥]以上となる排水に適用する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の排水の処理方法。
  5. 排水中の生物易分解性成分濃度を呼吸速度計測によって計測したときの濃度が、50ppm以上となる排水に適用する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の排水の処理方法。
  6. 前記回転板に付着した生物膜量に応じて気相中の酸素濃度を調整する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の排水の処理方法。
  7. 回転板をその表面が被処理水中に繰り返し浸漬されるように回転させ、前記回転板に付着した生物膜により生物処理する回転接触装置を備えた排水の処理システムであって、
    前記回転板が、繊維状担体で構成され、
    前記回転接触装置は、大気中の酸素濃度よりも高濃度になるように気相中の酸素濃度を調整する調整手段を有する、排水の処理システム。
  8. 前記調整手段は、前記回転接触装置の気相中の酸素濃度を測定する第1の測定手段と、大気中よりも高濃度の酸素を前記回転接触装置に供給する供給手段と、前記第1の測定手段により測定した酸素濃度に応じて、前記供給手段から供給する酸素量を制御する第1の制御手段とを有する、請求項7に記載の排水の処理システム。
  9. 前記調整手段は、前記回転板に付着した生物膜量を測定する第2の測定手段と、大気中よりも高濃度の酸素を前記回転接触装置に供給する供給手段と、前記第2の測定手段により測定した生物膜量に応じて、前記供給手段から供給する酸素量を制御する第2の制御手段とを有する、請求項7または8に記載の排水の処理システム。
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