JP2020096054A - 接合体の製造方法、絶縁回路基板の製造方法、セラミックス基板、接合体、及び、絶縁回路基板 - Google Patents

接合体の製造方法、絶縁回路基板の製造方法、セラミックス基板、接合体、及び、絶縁回路基板 Download PDF

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Abstract

【課題】低温・短時間の接合条件であっても、金属部材と窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなるセラミックス部材とを確実に接合することができ、冷熱サイクル信頼性に優れた接合体の製造方法を提供する。【解決手段】金属部材と、窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなるセラミックス部材とが接合されてなる接合体の製造方法であって、前記セラミックス部材の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内とする表面酸素濃度調整工程S01と、表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされた前記セラミックス部材の表面に前記金属部材を接合する接合工程S03と、を有し、表面酸素濃度調整工程S01は、前記セラミックス部材の表面を酸化させる酸化処理工程S11と、処理液によって前記セラミックス部材の表面を溶解するエッチング処理工程S12と、を備えており、前記セラミックス部材の表面に非晶質酸化物層を形成する。【選択図】図2

Description

この発明は、金属部材と、窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなるセラミックス部材とが接合されてなる接合体の製造方法、絶縁回路基板の製造方法、セラミックス基板、接合体、及び、絶縁回路基板に関するものである。
パワーモジュール、LEDモジュール及び熱電モジュールにおいては、絶縁層の一方の面に導電材料からなる回路層を形成した絶縁回路基板に、パワー半導体素子、LED素子及び熱電素子が接合された構造とされている。
例えば、風力発電、電気自動車、ハイブリッド自動車等を制御するために用いられる大電力制御用のパワー半導体素子は、動作時の発熱量が多いことから、これを搭載する基板としては、例えば窒化アルミニウムからなるセラミックス基板と、このセラミックス基板の一方の面に導電性の優れた金属板を接合して形成した回路層と、を備えた絶縁回路基板が、従来から広く用いられている。なお、絶縁回路基板としては、セラミックス基板の他方の面に金属板を接合して金属層を形成したものも提供されている。
例えば、特許文献1には、セラミックス基板の一方の面及び他方の面に、銅又は銅合金からなる銅板を接合することにより回路層及び金属層を形成した絶縁回路基板が提案されている。
ここで、セラミックス基板と回路層及び金属層となる銅板は、Cu−P系ろう材等を用いて接合されている。
また、特許文献2,3には、セラミックス基板の一方の面及び他方の面に、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム板を接合することにより回路層及び金属層を形成した絶縁回路基板が提案されている。
ここで、セラミックス基板と回路層及び金属層となるアルミニウム板は、Al−Si系ろう材を用いたろう付け法や、TLP法等によって接合されている。
特許第5672324号公報 特許第3171234号公報 特許第5640548号公報
ところで、最近では、SiC製の半導体素子等においては、高温条件で動作されることから、絶縁回路基板に対しては、過酷な冷熱サイクルを負荷した場合でもセラミックス基板と金属板とが剥離しないように、優れた冷熱サイクル信頼性が求められている。
ここで、セラミックス基板と金属板とを強固に接合するためには、接合条件を高温・長時間で実施して、界面反応を十分に進行させることが好ましい。
しかしながら、最近では、回路層の薄肉化が図られていることから、回路層となる金属板(銅板及びアルミニウム板)を接合する際に高温で長時間保持した際に、薄肉の金属板が溶融してしまうおそれがある。このため、低温・短時間の接合条件でも、セラミックス基板と金属板とを確実に接合することが求められている。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、低温・短時間の接合条件であっても、金属部材と窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなるセラミックス部材とを確実に接合することができ、冷熱サイクル信頼性に優れた接合体を得ることができる接合体の製造方法、絶縁回路基板の製造方法、セラミックス基板、接合体、絶縁回路基板を提供することを目的とする。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明者らが鋭意検討した結果、窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなるセラミックス部材の表面に非晶質酸化物層を形成して表面酸素濃度を所定の範囲内に規定することにより、セラミックス部材の表面反応が促進されることになり、低温・短時間の接合条件でも金属板とセラミックス部材とを強固に接合でき、冷熱サイクル信頼性を大幅に向上できるとの知見を得た。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、本発明の接合体の製造方法は、金属部材と、窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなるセラミックス部材とが接合されてなる接合体の製造方法であって、前記セラミックス部材の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内とする表面酸素濃度調整工程と、表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされた前記セラミックス部材の表面に前記金属部材を接合する接合工程と、を有し、前記表面酸素濃度調整工程は、前記セラミックス部材の表面を酸化させる酸化処理工程と、処理液によって前記セラミックス部材の表面を溶解するエッチング処理工程と、を備えており、前記セラミックス部材の表面に非晶質酸化物層を形成することを特徴としている。
この構成の接合体の製造方法においては、前記セラミックス部材の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内とする表面酸素濃度調整工程を備え、前記セラミックス部材の表面に非晶質酸化物層を形成しているので、その後の接合工程において、セラミックス部材の表面反応が促進されることになり、低温・短時間の接合条件でも金属部材とセラミックス部材とを強固に接合することができる。よって、冷熱サイクル信頼性に優れた接合体を製造することができる。
また、前記表面酸素濃度調整工程は、前記セラミックス部材の表面を酸化させる酸化処理工程と、処理液によって前記セラミックス部材の表面を溶解するエッチング処理工程と、を備えているので、これらの工程によって、形成される非晶質酸化物層の厚さを調整でき、前記セラミックス部材の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内とすることができる。
なお、上述したセラミックス部材の表面酸素濃度は、XPS分析によって測定することができる。
本発明の絶縁回路基板の製造方法は、金属板と、窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなるセラミックス基板とが接合されてなる絶縁回路基板の製造方法であって、前記セラミックス基板の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内とする表面酸素濃度調整工程と、表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされた前記セラミックス基板の表面に前記金属板を接合する接合工程と、を有し、前記表面酸素濃度調整工程は、前記セラミックス基板の表面を酸化させる酸化処理工程と、処理液によって前記セラミックス基板の表面を溶解するエッチング処理工程と、を備えており、前記セラミックス基板の表面に非晶質酸化物層を形成することを特徴としている。
この構成の絶縁回路基板の製造方法においては、前記セラミックス基板の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内とする表面酸素濃度調整工程を備え、前記セラミックス基板の表面に非晶質酸化物層を形成しているので、その後の接合工程において、セラミックス基板の表面反応が促進されることになり、低温・短時間の接合条件でも金属板とセラミックス基板とを強固に接合することができる。よって、冷熱サイクル信頼性に優れた絶縁回路基板を製造することができる。
また、前記表面酸素濃度調整工程は、前記セラミックス基板の表面を酸化させる酸化処理工程と、処理液によって前記セラミックス基板の表面を溶解するエッチング処理工程と、を備えているので、これらの工程によって、形成される非晶質酸化物層の厚さを調整でき、記セラミックス基板の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内とすることができる。
なお、上述したセラミックス基板の表面酸素濃度は、XPS分析によって測定することができる。
本発明のセラミックス基板は、窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなり、表面に非晶質酸化物層を有し、表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされていることを特徴としている。
この構成のセラミックス基板においては、表面に非晶質酸化物層を有し、表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされているので、セラミックス基板の表面反応が促進されることになり、低温・短時間の接合条件であっても、セラミックス基板の表面に金属板を強固に接合することが可能となる。
本発明の接合体は、金属部材と、窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなるセラミックス部材とが接合されてなる接合体であって、前記セラミックス部材の表面に非晶質酸化物層が形成されており、前記セラミックス部材の表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされていることを特徴としている。
この構成の接合体においては、前記セラミックス部材の表面に非晶質酸化物層が形成されており、前記セラミックス部材の表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされており、セラミックス部材の表面反応が促進された状態で金属部材が接合されているので、金属部材とセラミックス部材とが強固に接合されており、冷熱サイクル信頼性に優れている。
本発明の絶縁回路基板は、金属板と、窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなるセラミックス基板とが接合されてなる絶縁回路基板であって、前記セラミックス基板の表面に非晶質酸化物層が形成されており、前記セラミックス基板の表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされていることを特徴としている。
この構成の絶縁回路基板においては、前記セラミックス基板の表面に非晶質酸化物層が形成されており、前記セラミックス基板の表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされており、セラミックス基板の表面反応が促進された状態で金属板が接合されているので、金属板とセラミックス基板とが強固に接合されており、冷熱サイクル信頼性に優れている。
本発明によれば、低温・短時間の接合条件であっても、金属部材と窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなるセラミックス部材とを確実に接合することができ、冷熱サイクル信頼性に優れた接合体の製造方法、絶縁回路基板の製造方法、セラミックス基板、接合体、絶縁回路基板を提供することが可能となる。
本発明の第一の実施形態である絶縁回路基板(接合体)を用いたパワーモジュールの概略説明図である。 本発明の第一の実施形態である絶縁回路基板(接合体)の製造方法を示すフロー図である。 本発明の第一の実施形態である絶縁回路基板(接合体)の製造方法を示す説明図である。 本発明の第一の実施形態である絶縁回路基板(接合体)の製造方法を示す説明図である。 本発明の第二の実施形態である絶縁回路基板(接合体)を用いたパワーモジュールの概略説明図である。 本発明の第二の実施形態である絶縁回路基板(接合体)の製造方法を示すフロー図である。 本発明の第二の実施形態である絶縁回路基板(接合体)の製造方法を示す説明図である。 本発明の第二の実施形態である絶縁回路基板(接合体)の製造方法を示す説明図である。 実施例における非晶質酸化物層の観察写真である。(a)が本発明例3、(b)が本発明例9である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態に係る接合体は、セラミックス部材であるセラミックス基板11と、金属部材である金属板22(回路層12)及び金属板23(金属層13)とが接合されることにより構成された絶縁回路基板10とされている。
図1に、本実施形態である絶縁回路基板10及びこの絶縁回路基板10を用いたパワーモジュール1を示す。
このパワーモジュール1は、絶縁回路基板10と、この絶縁回路基板10の一方側(図1において上側)にはんだ層2を介して接合された半導体素子3と、絶縁回路基板10の他方側(図1において下側)に接合されたヒートシンク31と、を備えている。
本実施形態に係る絶縁回路基板10は、セラミックス基板11と、このセラミックス基板11の一方の面(図1において上面)に配設された回路層12と、セラミックス基板11の他方の面(図1において下面)に配設された金属層13とを備えている。
セラミックス基板11は、回路層12と金属層13との間の電気的接続を防止するものであって、絶縁性の高い窒化アルミニウム又は窒化ケイ素で構成されており、本実施形態では、窒化アルミニウムで構成されている。ここで、セラミックス基板11の厚さは、0.2mm以上1.5mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。
回路層12は、図4に示すように、セラミックス基板11の一方の面に導電性を有する金属板22が接合されることによって形成されている。この回路層12には、回路パターンが形成されており、その一方の面(図1において上面)が、半導体素子3が搭載される搭載面されている。
本実施形態では、金属板22は、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されたものとされている。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属板22としては、純度99mass%以上のアルミニウム(2Nアルミニウム)、純度99.99mass%以上のアルミニウム(4Nアルミニウム)、A1050、A1085、A1100、A3003等の圧延板を用いることができる。
ここで、回路層12(金属板22)の厚さは、0.05mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されている。
金属層13は、図4に示すように、セラミックス基板11の他方の面に熱伝導性に優れた金属板23が接合されることにより形成されている。本実施形態では、金属板23は、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されたものとされている。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属板23としては、純度99mass%以上のアルミニウム(2Nアルミニウム)、純度99.99mass%以上のアルミニウム(4Nアルミニウム)、A1050、A1085、A1100、A3003等の圧延板を用いることができる。
ここで、金属層13(金属板23)の厚さは 0.05mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されている。
ヒートシンク31は、絶縁回路基板10側の熱を放散するためのものである。本実施形態においては、ヒートシンク31は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる放熱板とされている。具体的には、A6063合金からなる放熱板とされ、その厚さが1mm以上10mm以下の範囲内に設定されている。
また、ヒートシンク31としては、A1050、A1100、A3003、A6061等のアルミニウムを用いることもできる。
そして、本実施形態である絶縁回路基板10においては、図1及び図4に示すように、セラミックス基板11の幅が回路層12及び金属層13の幅よりも広く設定されており、回路層12及び金属層13が接合されていない領域を有している。セラミックス基板11のうち回路層12及び金属層13が接合されていない領域の表面には、図4に示すように、非晶質酸化物層11aが形成されており、セラミックス基板11の表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされている。ここで、本実施形態では、セラミックス基板11が窒化アルミニウムで構成されていることから、非晶質酸化物層11aはアルミニウムの酸化物で構成されている。
なお、セラミックス基板11の表面酸素濃度は、XPS分析によって測定することが好ましい。
次に、上述した本実施形態である絶縁回路基板10の製造方法について、図2から図4を参照して説明する。
(表面酸素濃度調整工程S01)
まず、図3に示すように、窒化アルミニウムからなるセラミックス基板11の表面に非晶質酸化物層11aを形成し、セラミックス基板11の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内とする。
この表面酸素濃度調整工程S01においては、セラミックス基板11の表面を酸化させる酸化処理工程S11と、処理液によってセラミックス基板11の表面を溶解するエッチング処理工程S12と、を備えている。
ここで、酸化処理工程S11では、図3に示すように、加熱炉51において、以下の条件によって非晶質酸化膜11bを成膜することが好ましい。
雰囲気:酸素含有量が30vol%以上60vol%以下、残部が窒素
処理温度:50℃以上100℃以下
処理時間:5時間以上20時間以下
また、エッチング処理工程S12においては、図3に示すように、処理液52を用いてセラミックス基板11の表面を溶解する。ここで、使用する処理液52に応じて処理条件を設定することが好ましい。以下に、各種処理液を使用した場合の処理条件を示す。
フッ酸を用いる場合には、HFの濃度を0.1mass%以上0.3mass%以下、処理温度を28℃以上35℃以下、処理時間を0.25分以上1分以下とする。
塩酸を用いる場合には、HClの濃度を13mass%以上25mass%以下、処理温度を28℃以上40℃以下、処理時間を5分以上15分以下とする。
硝酸を用いる場合には、HNOの濃度を10mass%以上40mass%以下、処理温度を28℃以上40℃以下、処理時間を5分以上15分以下とする。
硫酸を用いる場合には、HSOの濃度を10mass%以上40mass%以下、処理温度を28℃以上40℃以下、処理時間を5分以上15分以下とする。
塩化鉄水溶液を用いる場合には、FeClの濃度を35mass%以上50mass%以下、処理温度を40℃以上55℃以下、処理時間を1分以上15分以下とする。
塩化銅水溶液を用いる場合には、CuClの濃度を13mass%以上25mass%以下、処理温度を40℃以上55℃以下、処理時間を1分以上15分以下とする。
水酸化ナトリウム水溶液を用いる場合には、NaOHの濃度を2mass%以上6mass%以下、処理温度を28℃以上40℃以下、処理時間を1分以上8分以下とする。
炭酸水素ナトリウム水溶液を用いる場合には、NaHCOの濃度を2mass%以上6mass%以下、処理温度を28℃以上40℃以下、処理時間を1分以上8分以下とする。
本実施形態では、酸化処理工程S11において非晶質酸化膜11bを形成し、エッチング処理工程S12において非晶質酸化膜11bの一部を除去することで、セラミックス基板11の表面に所定の厚さの非晶質酸化物層11aを形成し、セラミックス基板11の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内としている。
このように、セラミックス基板11の表面に非晶質酸化物層11aが形成され、セラミックス基板11の表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされることにより、セラミックス基板11の表面反応が促進され、後述する接合工程S03において、金属板22,23とセラミックス基板11とが強固に接合されることになる。
ここで、セラミックス基板11の表面酸素濃度が25原子%未満の場合には、セラミックス基板11の表面反応を十分に促進することができず、冷熱サイクル信頼性を十分に向上させることができないおそれがある。一方、セラミックス基板11の表面酸素濃度が50原子%を超える場合には、初期接合性が低下してしまうおそれがある。また、接合工程S03でフラックスを使用した際にセラミックス基板11の表面がフラックスに侵食されるおそれがある。
このため、本実施形態では、セラミックス基板11の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内としている。
なお、セラミックス基板11の表面酸素濃度の下限は28原子%以上とすることが好ましく、32原子%以上とすることがさらに好ましい。また、セラミックス基板11の表面酸素濃度の上限は45原子%以下とすることが好ましく、40原子%以下とすることがさらに好ましい。
(積層工程S02)
次に、図4に示すように、非晶質酸化物層11aを形成したセラミックス基板11の一方の面に回路層12となる金属板22を積層し、非晶質酸化物層11aを形成したセラミックス基板11の他方の面に金属層13となる金属板23を積層する。
本実施形態では、金属板22とセラミックス基板11との間、及び、セラミックス基板11と金属板23との間に、Al−Si系のろう材26を介在させている。ここで、Al−Si系のろう材26としては、Si濃度が1mass%以上12mass%以下の範囲内のものを用いることが好ましい。また、Al−Si系のろう材26の厚さは5μm以上15μm以下の範囲内とすることが好ましい。
(接合工程S03)
次いで、積層した金属板22、セラミックス基板11、金属板23を、その積層方向に1kgf/cm以上10kgf/cm以下(0.098MPa以上0.98MPa以下)の範囲で加圧した状態で真空加熱炉に装入し、金属板22とセラミックス基板11とを接合して回路層12を形成し、セラミックス基板11と金属板23とを接合して金属層13を形成する。
接合工程S03における接合条件は、真空条件は10−6Pa以上10−3Pa以下の範囲内、加熱温度は580℃以上650℃以下の範囲内、上記加熱温度での保持時間は10分以上45分以下の範囲内とすることが好ましい。
ここで、積層方向の加圧荷重の下限は3kgf/cm(0.29MPa)以上とすることが好ましく、5kgf/cm(0.49MPa)以上とすることがさらに好ましい。一方、積層方向の加圧荷重の上限は8kgf/cm(0.78MPa)以下とすることが好ましく、7kgf/cm(0.69MPa)以下とすることがさらに好ましい。
また、加熱温度の下限は、585℃以上とすることが好ましく、590℃以上とすることがさらに好ましい。一方、加熱温度の上限は、640℃以下とすることが好ましく、620℃以下とすることがさらに好ましい。
さらに、加熱温度での保持時間の下限は、15分以上とすることが好ましく、20分以上とすることがさらに好ましい。一方、加熱温度での保持時間の上限は、40分以下とすることが好ましく、30分以下とすることがさらに好ましい。
以上のように、表面酸素濃度調整工程S01と、積層工程S02と、接合工程S03とによって、本実施形態である絶縁回路基板10が製造される。
(ヒートシンク接合工程S04)
次に、絶縁回路基板10の金属層13の他方の面側にヒートシンク31を接合する。
絶縁回路基板10とヒートシンク31とを、Al−Si系ろう材を介して積層して加熱炉に装入し、絶縁回路基板10とヒートシンク31とを接合する。
(半導体素子接合工程S05)
次に、絶縁回路基板10の回路層12の一方の面に、半導体素子3をはんだ付けにより接合する。
以上の工程により、図1に示すパワーモジュール1が製出される。
以上のような構成とされた本実施形態の絶縁回路基板10(接合体)によれば、セラミックス基板11の表面に非晶質酸化物層11aが形成されており、セラミックス基板11の表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされており、セラミックス基板11の表面反応が促進された状態で金属板22,23が接合されているので、回路層12及び金属層13とセラミックス基板11とが強固に接合されており、冷熱サイクル信頼性に優れている。
また、本実施形態の絶縁回路基板10(接合体)の製造方法によれば、セラミックス基板11の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内とする表面酸素濃度調整工程S01を備え、セラミックス基板11の表面に非晶質酸化物層11aを形成しているので、その後の接合工程S03において、セラミックス基板11の表面反応が促進されることになり、低温・短時間の接合条件でも金属板22,23とセラミックス基板11とを強固に接合することができる。よって、冷熱サイクル信頼性に優れた絶縁回路基板10を製造することができる。
また、表面酸素濃度調整工程S01は、セラミックス基板11の表面を酸化させる酸化処理工程S11と、処理液52によってセラミックス基板11の表面を溶解するエッチング処理工程S12と、を備えているので、これらの工程S11、S12によって、形成される非晶質酸化物層11aの厚さを調整でき、セラミックス基板11の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内とすることができる。
さらに、本実施形態では、酸化処理工程S11の条件、エッチング処理工程S12の条件を、上述のように規定しているので、形成される非晶質酸化物層11aの厚さを精度良く調整することができる。
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態に係る接合体は、セラミックス部材であるセラミックス基板111と、金属部材である金属板122(回路層112)及び金属板123(金属層113)とが接合されることにより構成された絶縁回路基板110とされている。
図5に、本実施形態である絶縁回路基板110及びこの絶縁回路基板110を用いたパワーモジュール101を示す。
このパワーモジュール101は、絶縁回路基板110と、この絶縁回路基板110の一方側(図5において上側)に第1はんだ層2を介して接合された半導体素子3と、絶縁回路基板10の他方側(図5において下側)に第2はんだ層8を介して接合されたヒートシンク131と、を備えている。
絶縁回路基板110は、セラミックス基板111と、このセラミックス基板111の一方の面(図5において上面)に配設された回路層112と、セラミックス基板111の他方の面(図5において下面)に配設された金属層113とを備えている。
セラミックス基板111は、回路層112と金属層113との間の電気的接続を防止するものであって、絶縁性の高い窒化アルミニウム又は窒化ケイ素で構成されており、本実施形態では、窒化ケイ素で構成されている。ここで、セラミックス基板111の厚さは、0.2mm以上1.5mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.32mmに設定されている。
回路層112は、図8に示すように、セラミックス基板111の一方の面に導電性を有する金属板122が接合されることによって形成されている。この回路層112には、回路パターンが形成されており、その一方の面(図5において上面)が、半導体素子3が搭載される搭載面されている。
本実施形態では、金属板122は、銅又は銅合金で構成されたものとされている。なお、銅又は銅合金からなる金属板122としては、無酸素銅、タフピッチ銅、Sn入り銅等の圧延板を用いることができる。
ここで、回路層112(金属板122)の厚さは0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されている。
金属層113は、図8に示すように、セラミックス基板111の他方の面に熱伝導性に優れた金属板123が接合されることにより形成されている。本実施形態では、金属板123は、銅又は銅合金で構成されたものとされている。なお、銅又は銅合金からなる金属板123としては、無酸素銅、タフピッチ銅、Sn入り銅等の圧延板を用いることができる。
ここで、金属層113(金属板123)の厚さは 0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されている。
ヒートシンク131は、前述の絶縁回路基板110を冷却するためのものであり、本実施形態においては、熱伝導性が良好な材質で構成された放熱板とされている。本実施形態においては、ヒートシンク131は、熱伝導性に優れた銅又は銅合金で構成されている。なお、ヒートシンク131と絶縁回路基板110の金属層113とは、第2はんだ層8を介して接合されている。
そして、本実施形態である絶縁回路基板110においては、図5及び図8に示すように、セラミックス基板111の幅が回路層112及び金属層113の幅よりも広く設定されており、回路層112及び金属層113が接合されていない領域を有している。セラミックス基板111のうち回路層112及び金属層113が接合されていない領域の表面には、図8に示すように、非晶質酸化物層111aが形成されており、セラミックス基板111の表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされている。ここで、本実施形態では、セラミックス基板111が窒化ケイ素で構成されていることから、非晶質酸化物層111aはケイ素の酸化物で構成されている。
次に、上述した本実施形態である絶縁回路基板110の製造方法について、図6から図8を参照して説明する。
(表面酸素濃度調整工程S101)
まず、窒化ケイ素からなるセラミックス基板111の表面に非晶質酸化物層111aを形成し、セラミックス基板111の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内とする。
この表面酸素濃度調整工程S101においては、処理液によってセラミックス基板111の表面を溶解するエッチング処理工程S111と、セラミックス基板111の表面を酸化させる酸化処理工程S112と、を備えている。
ここで、エッチング処理工程S111においては、上述した第一の実施形態におけるエッチング処理工程S12と同様の条件によって、実施することが好ましい。
また、酸化処理工程S112においては、上述した第一の実施形態における酸化処理工程S11と同様の条件によって、実施することが好ましい。
本実施形態では、エッチング処理工程S111においてセラミックス基板111の表面をエッチングして平坦化し、その後、酸化処理工程S112において非晶質酸化膜を形成することで、セラミックス基板111の表面に所望の厚さの非晶質酸化物層111aを形成するとともに、セラミックス基板111の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内としている。
(積層工程S102)
次に、図8に示すように、非晶質酸化物層111aを形成したセラミックス基板111の一方の面に回路層112となる金属板122を積層し、非晶質酸化物層111aを形成したセラミックス基板111の他方の面に金属層113となる金属板123を積層する。
本実施形態では、セラミックス基板111と金属板122との間にCu−P系ろう材126と活性金属材127を介在させるとともに、セラミックス基板111と金属板123との間にCu−P系ろう材126と活性金属材127を介在させている。
本実施形態では、Cu−P系ろう材126として、Pを3mass%以上10mass%以下の範囲で含み、かつ、低融点元素であるSnを7mass%以上50mass%以下の範囲で含み、さらに、Niを2mass%以上15mass%以下の範囲で含むCu−P−Sn−Niろう材を用いている。また、Cu−P系ろう材126の厚さは、10μm以上50μm以下の範囲とされている。
また、本実施形態では、活性金属材127として、チタン箔(厚さ1μm以上5μm以下)を用いている。
(接合工程S103)
次いで、積層した金属板122、セラミックス基板111、金属板123を、その積層方向に加圧(圧力1〜35kgf/cm(0.098MPa以上3.43MPa以下))した状態で、真空加熱炉内に装入して加熱し、金属板122とセラミックス基板111とを接合して回路層112を形成し、セラミックス基板111と金属板123とを接合して金属層113を形成する。
接合工程S103における接合条件は、真空条件は10−6Pa以上10−3Pa以下の範囲内、加熱温度は770℃以上980℃以下の範囲内、上記加熱温度での保持時間は5分以上120分以下の範囲内とすることが好ましい。
ここで、積層方向の加圧荷重の下限は3kgf/cm(0.29MPa)以上とすることが好ましく、5kgf/cm(0.49MPa)以上とすることがさらに好ましい。一方、積層方向の加圧荷重の上限は20kgf/cm(1.96MPa)以下とすることが好ましく、15kgf/cm(1.47MPa)以下とすることがさらに好ましい。
また、加熱温度の下限は、810℃以上とすることが好ましく、830℃以上とすることがさらに好ましい。一方、加熱温度の上限は、950℃以下とすることが好ましく、930℃以下とすることがさらに好ましい。
さらに、加熱温度での保持時間の下限は、15分以上とすることが好ましく、30分以上とすることがさらに好ましい。一方、加熱温度での保持時間の上限は、100分以下とすることが好ましく、70分以下とすることがさらに好ましい。
以上のように、表面酸素濃度調整工程S101と、積層工程S102と、接合工程S103とによって、本実施形態である絶縁回路基板110が製造される。
(ヒートシンク接合工程S104)
次に、絶縁回路基板110の金属層113の他方の面側にヒートシンク131を接合する。絶縁回路基板110とヒートシンク131とを、はんだ材を介して積層して加熱炉に装入し、第2はんだ層8を介して絶縁回路基板110とヒートシンク131とをはんだ接合する。
(半導体素子接合工程S105)
次に、絶縁回路基板110の回路層112の一方の面に、半導体素子3をはんだ付けにより接合する。
以上の工程により、図5に示すパワーモジュール101が製出される。
以上のような構成とされた本実施形態の絶縁回路基板110(接合体)によれば、セラミックス基板111の表面に非晶質酸化物層111aが形成されており、セラミックス基板111の表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされており、セラミックス基板111の表面反応が促進された状態で金属板122,123が接合されているので、回路層112及び金属層113とセラミックス基板11とが強固に接合されており、冷熱サイクル信頼性に優れている。
また、本実施形態の絶縁回路基板110(接合体)の製造方法によれば、セラミックス基板111の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内とする表面酸素濃度調整工程S101を備え、セラミックス基板111の表面に非晶質酸化物層111aを形成しているので、その後の接合工程S103において、セラミックス基板111の表面反応が促進されることになり、低温・短時間の接合条件でも金属板122,123とセラミックス基板111とを強固に接合することができる。よって、冷熱サイクル信頼性に優れた絶縁回路基板110を製造することができる。
また、表面酸素濃度調整工程S101は、処理液によってセラミックス基板111の表面を溶解するエッチング処理工程S111と、セラミックス基板111の表面を酸化させる酸化処理工程S112と、を備えているので、エッチング処理工程S111によってセラミックス基板111の表面を洗浄及び平坦化しておき、その後、酸化処理工程S112によって非晶質酸化物層111aを形成することにより、非晶質酸化物層111aを均一な厚さとすることができ、セラミックス基板111の表面酸素濃度を精度良く調整することができる。
さらに、本実施形態では、エッチング処理工程S111の条件、酸化処理工程S112の条件を、上述のように規定しているので、形成される非晶質酸化物層111aの厚さを精度良く調整することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態においては、回路層及び金属層をアルミニウム板あるいは銅板で構成したものとして説明したが、これに限定されることはなく、回路層及び金属層の一方が銅板で構成され、他方がアルミニウム板で構成されたものであってもよい。
また、ヒートシンクは、本実施形態で例示してものに限定されることはなく、ヒートシンクの構造に特に限定はない。例えば、内部に冷却媒体の流路が形成されたヒートシンクであってもよい。また、放熱フィンを有するヒートシンクであってもよい。
さらに、ヒートシンクの天板部や放熱板と金属層との間に、アルミニウム又はアルミニウム合金若しくはアルミニウムを含む複合材(例えばAlSiC等)からなる緩衝層を設けてもよい。
また、本実施形態では、絶縁回路基板の回路層にパワー半導体素子を搭載してパワーモジュールを構成するものとして説明したが、これに限定されることはない。例えば、絶縁回路基板にLED素子を搭載してLEDモジュールを構成してもよいし、絶縁回路基板の回路層に熱電素子を搭載して熱電モジュールを構成してもよい。
さらに、第一の実施形態では、セラミックス基板と金属板とをろう材を用いて接合するものとして説明したが、これに限定されることはなく、接合面にCu、Si等の添加元素を固着させ、これらの添加元素を拡散させることで溶融・凝固させる過渡液相接合法(TLP)によって接合してもよい。また、接合界面を半溶融状態として接合してもよい。
本発明の有効性を確認するために行った確認実験について説明する。
まず、表1に示すセラミックス基板(50mm×60mm、厚さは表1に記載)を準備した。
このセラミックス基板に対して、表1に示す条件で、表面酸素濃度調整工程を実施した。そして、セラミックス基板の表面に非晶質酸化物層を形成し、セラミックス基板の表面酸素濃度を調整した。
ここで、セラミックス基板の表面酸素濃度は、XPS分析装置(ULVAC PHI5000 VersaProbeII)を用いて、以下の条件でSurveyスペクトルを取得し、半定量値を得た。酸素濃度は、Al(又はSi)+N+O=100原子%として、算出した。測定結果を表1に示す。
X線源:Monochromated AlKa(50W)
パスエネルギー:187.85eV
測定間隔:0.8eV/step
試料面に対する光電子取り出し角:45°
分析エリア:φ200μm
また、非晶質酸化物層の有無については、以下のようにして確認を行った。
まず、透過型電子顕微鏡(FEI社製Titan ChemiSTEM)を用いて、加速電圧200kVで、倍率320000倍で観察を実施した。エネルギー分散型X線分析装置(サーモサイエンティフィック社製NSS7)により、O及びAl又はSiの元素マッピングを取得し、酸化物層を確認した。
そして、酸化物層の高分解能像を取得し、この高分解能像を高速フーリエ変換することで得られる回折像に回折斑点が確認されない場合を、非晶質であると判断した。
次に、回路層及び金属層を構成する金属板として、表2に示す金属の圧延板(48mm×58mm、厚さは表2に記載)を準備した。
そして、上述のセラミックス基板と金属板とを、表2に示す条件で接合し、回路層及び金属層を形成した。これにより、絶縁回路基板を製造した。なお、接合時の雰囲気は、真空雰囲気(5×10−3Pa)とした。
ここで、表2の「方式」の欄においては、上述の第一の実施形態のように、セラミックス基板とアルミニウム板とをAl−Siろう材を用いて接合したものを「A」と表記した。また、上述の第二の実施形態のように、セラミックス基板と銅板とをCu−P系ろう材とTiとを用いて接合したものを「B」と表記した。
(初期接合率)
回路層とセラミックス基板との接合率を評価した。具体的には、絶縁回路基板において、回路層とセラミックス基板との界面の接合率について超音波探傷装置(株式会社日立パワーソリューションズ製FineSAT200)を用いて評価し、以下の式から算出した。ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積、すなわち回路層の面積とした。超音波探傷像を二値化処理した画像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積とした。
(接合率)={(初期接合面積)−(非接合部面積)}/(初期接合面積)×100
(冷熱サイクル試験後の接合率)
冷熱衝撃試験機エスペック社製TSB−51を使用し、ヒートシンク付パワーモジュール用基板に対して、液相(フロリナート)で、−40℃×10分←→150℃×10分の冷熱サイクルを、以下に示す所定サイクル数だけ実施した。
ここで、セラミックス基板とアルミニウム板とをAl−Siろう材を用いて接合した「方式A」は、上述の冷熱サイクルを3000サイクル実施した。
また、セラミックス基板と銅板とをCu−P系ろう材とTiとを用いて接合した「方式B」においては、上述の冷熱サイクルを200サイクル実施した。
そして、冷熱サイクル試験後の接合率を、上述した方法によって評価した。
評価結果を表2に示す。また、本発明例3及び本発明例9のセラミックス基板の観察結果を図9に示す。
比較例1,3においては、セラミックス基板の表面酸素濃度が本発明の範囲よりも少なく、冷熱サイクル試験後の接合率が大きく低下した。
比較例2、4においては、セラミックス基板の表面酸素濃度が本発明の範囲よりも多く、冷熱サイクル試験後の接合率が大きく低下した。
これに対して、セラミックス基板の表面酸素濃度が本発明の範囲とされた本発明例1−9においては、冷熱サイクル試験後の接合率が大きく低下しておらず、冷熱サイクル信頼性に優れていた。また、セラミックス基板をAlN又はSiで構成した場合、金属板をアルミニウム板又は銅板で構成した場合であっても、それぞれ同様の効果を奏することが確認された。
また、図9に示すように、本発明例3及び本発明例9において、セラミックス基板の表面に非晶質酸化物層が形成されていることが確認される。なお、他の本発明例においても、同様に観察した結果、セラミックス基板の表面に非晶質酸化物層が形成されていることを確認している。
以上のことから、本発明例によれば、低温・短時間の接合条件であっても、金属板と窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなるセラミックス基板とを確実に接合することができ、冷熱サイクル信頼性に優れた接合体を提供可能であることが確認された。
10,110 絶縁回路基板
11,111 セラミックス基板
12,112 回路層
13,113 金属層
22,23 金属板(アルミニウム板)
122,123 金属板(銅板)

Claims (5)

  1. 金属部材と、窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなるセラミックス部材とが接合されてなる接合体の製造方法であって、
    前記セラミックス部材の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内とする表面酸素濃度調整工程と、
    表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされた前記セラミックス部材の表面に前記金属部材を接合する接合工程と、を有し、
    前記表面酸素濃度調整工程は、前記セラミックス部材の表面を酸化させる酸化処理工程と、処理液によって前記セラミックス部材の表面を溶解するエッチング処理工程と、を備えており、前記セラミックス部材の表面に非晶質酸化物層を形成することを特徴とする接合体の製造方法。
  2. 金属板と、窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなるセラミックス基板とが接合されてなる絶縁回路基板の製造方法であって、
    前記セラミックス基板の表面酸素濃度を25原子%以上50原子%以下の範囲内とする表面酸素濃度調整工程と、
    表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされた前記セラミックス基板の表面に前記金属板を接合する接合工程と、を有し、
    前記表面酸素濃度調整工程は、前記セラミックス基板の表面を酸化させる酸化処理工程と、処理液によって前記セラミックス基板の表面を溶解するエッチング処理工程と、を備えており、前記セラミックス基板の表面に非晶質酸化物層を形成することを特徴とする絶縁回路基板の製造方法。
  3. 窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなり、表面に非晶質酸化物層を有し、表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされていることを特徴とするセラミックス基板。
  4. 金属部材と、窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなるセラミックス部材とが接合されてなる接合体であって、
    前記セラミックス部材の表面に非晶質酸化物層が形成されており、前記セラミックス部材の表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされていることを特徴とする接合体。
  5. 金属板と、窒化アルミニウム又は窒化ケイ素からなるセラミックス基板とが接合されてなる絶縁回路基板であって、
    前記セラミックス基板の表面に非晶質酸化物層が形成されており、前記セラミックス基板の表面酸素濃度が25原子%以上50原子%以下の範囲内とされていることを特徴とする絶縁回路基板。
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