JP2020093860A - ピッキング作業支援システム及びそのプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の作業者への作業割り当てを適切に行うことが可能なピッキング作業支援システム等を提供する。【解決手段】サーバ3の伝票集約部15は、受注伝票データ51を顧客の識別情報ごとに分割して顧客別伝票データ52を生成し、顧客別伝票データ52を棚22の識別情報ごとに集約して棚別伝票データ53を生成し、残っている顧客別伝票データ52と棚別伝票データ53を対象として区画42の識別情報が一致するものを集約することによって伝票グループデータ54を生成し、ピッキング作業時の移動距離が最小となるように伝票グループデータ54を整列して集約し、出庫伝票データ55を生成する。【選択図】図1

Description

本発明は、倉庫内に保管されている商品のピッキング作業を支援するピッキング作業支援システム等に関するものである。特に、本発明は、人手によるピッキング作業を支援するピッキング作業支援システム等に関するものである。
インターネット通販等を手掛ける会社では、倉庫の棚に商品を格納しておき、注文を受けると棚を巡回して商品の集荷を行う作業、すなわちピッキング作業を行っている。商品の種類が豊富な場合、ピッキング作業に多大な負荷がかかる。中小規模の場合、ピッキング作業は人手に頼った運用が中心となっており、物流コスト全体において大きな割合を占めている。そこで、物流コストを低減させるために、人手によるピッキング作業を支援するシステムが望まれている。
上記の要望に応えるため、本発明者らは、遺伝的アルゴリズムを用いて巡回経路を計算する倉庫作業支援装置等を発明している(特許文献1参照)。特許文献1に記載の発明によって、作業効率が向上する巡回経路を実用的な時間内に計算できる。
特許第6418551号公報
ところで、特許文献1に記載の発明では、一人の作業者に対して割り当てられた複数の注文に対して巡回経路を計算することはできるが、その前段階で行われる複数の作業者への作業割り当てについては考慮されていない。例えば、一日の始業時に未処理の注文を複数の作業者に割り当てる場合、割り当てが適切でなければ、作業者ごとの作業時間に偏りが生じ、出荷の遅れや残業時間の増大を招いてしまう。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすることは、複数の作業者への作業割り当てを適切に行うことが可能なピッキング作業支援システム等を提供することである。
前述した目的を達成するための第1の発明は、倉庫内に格納された商品のピッキング作業を支援するピッキング作業支援システムであって、前記倉庫の一部の領域を示す区画の識別情報と、前記区画に含まれる棚の識別情報とを対応付けて記憶するレイアウト情報記憶部と、前記商品の識別情報と、前記商品が格納される前記棚の識別情報とを対応付けて記憶する商品格納情報記憶部と、顧客の識別情報と、前記顧客が注文する前記商品の識別情報とを含む受注伝票データを記憶する受注伝票データ記憶部と、前記受注伝票データを前記顧客の識別情報ごとに分割して顧客別伝票データを生成し、前記顧客別伝票データを前記棚の識別情報ごとに集約して棚別伝票データを生成し、残っている前記顧客別伝票データと前記棚別伝票データを対象として前記区画の識別情報が一致するものを集約することによって伝票グループデータを生成し、前記ピッキング作業時の移動距離が最小となるように前記伝票グループデータを整列して集約し、出庫伝票データを生成する伝票集約部と、を備えることを特徴とするピッキング作業支援システムである。例えば、一日の始業時に未処理の注文を複数の作業者に割り当てる場合、第1の発明によれば、作業者ごとの作業時間に偏りが生じることを抑制し、出荷の遅れや残業時間の増大を防止することができる。
第1の発明における前記伝票集約部は、前記伝票グループデータ同士の前記区画の識別情報の論理和を算出し、前記論理和に含まれる全ての前記区画を巡回するときの距離を重みとして重み付きマッチングのアルゴリズムを適用し、前記重みが最小となるように前記伝票グループデータのマッチングを行い、マッチングされた前記伝票グループデータ同士を連結して新たな前記伝票グループデータとする処理を繰り返し行うようにしても良い。これによって、ピッキング作業時の移動距離が最小となるように整列された出庫伝票データを生成することができるので、出庫伝票データをどこで分割しても各作業者の移動距離を小さく抑えることができる。
また、第1の発明における前記伝票集約部は、全ての前記棚の識別情報が完全に一致するものを集約して前記棚別伝票データとし、全ての前記区画の識別情報が完全に一致するものを集約して前記伝票グループデータとするようにしても良い。これによって、後述の処理に適した伝票グループデータを生成することができる。
また、第1の発明は、前記出庫伝票データを作業者ごとに割り当てる作業割当部と、割り当て結果に基づいて前記作業者ごとに巡回経路を算出する巡回経路算出部と、前記巡回経路の算出結果に基づいて前記作業者ごとの作業量を推定する作業量推定部と、を更に備えるようにしても良い。これによって、作業の割り当て、巡回経路及び推定作業量を提示することができ、倉庫作業の効率化を支援することができる。
また、第1の発明は、前記倉庫のレイアウトの設定値を受け付け、前記レイアウト情報記憶部に記憶させるレイアウト情報設定部、を更に備えるようにしても良い。これによって、任意に棚や区画のレイアウトを変更することができる。
第2の発明は、コンピュータを、倉庫内に格納された商品のピッキング作業を支援するピッキング作業支援システムとして機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、前記倉庫の一部の領域を示す区画の識別情報と、前記区画に含まれる棚の識別情報とを対応付けて記憶するレイアウト情報記憶部と、前記商品の識別情報と、前記商品が格納される前記棚の識別情報とを対応付けて記憶する商品格納情報記憶部と、顧客の識別情報と、前記顧客が注文する前記商品の識別情報とを含む受注伝票データを記憶する受注伝票データ記憶部と、前記受注伝票データを前記顧客の識別情報ごとに分割して顧客別伝票データを生成し、前記顧客別伝票データを前記棚の識別情報ごとに集約して棚別伝票データを生成し、残っている前記顧客別伝票データと前記棚別伝票データを対象として前記区画の識別情報が一致するものを集約することによって伝票グループデータを生成し、前記ピッキング作業時の移動距離が最小となるように前記伝票グループデータを整列して集約し、出庫伝票データを生成する伝票集約部と、を備えるピッキング作業支援システムとして機能させるためのプログラムである。第2の発明のプログラムを汎用のコンピュータにインストールすることによって、第1の発明のピッキング作業支援システムを構築することができる。
本発明により、複数の作業者への作業割り当てを適切に行うことが可能なピッキング作業支援システム等を提供することができる。
ピッキング作業支援システムの概要を示す図 倉庫の一例を示す図 棚及びカートの一例を示す図 レイアウト情報設定部の処理の流れを示すフローチャート 区画レイアウト設定値の一例を示す図 仮想倉庫の一例を示す図 伝票集約部の処理の流れを示すフローチャート 顧客別伝票データ生成処理を説明する図 棚別伝票データ生成処理を説明する図 伝票グループデータ生成処理を説明する図 伝票グループデータマッチング処理を説明する図 出庫伝票データ生成処理を説明する図 作業割当部を説明する図
本発明のピッキング作業支援システムは、倉庫内に格納されている商品のピッキング作業を支援するシステムである。特に、人手によるピッキング作業の支援に好適である。本発明は、商品格納用の棚が配置される倉庫であれば、どのような倉庫であっても適用可能である。以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、ピッキング作業支援システムの概要を示す図である。図1に示すように、ピッキング作業支援システム1は、ユーザが用いる端末2と、端末2とネットワーク4を介して接続されるサーバ3と、によって構成される。
端末2及びサーバ3は、制御部としてのCPU(「Central Processing Unit」の略)、主記憶部としてのメモリ、補助記憶部としてのHDD(「Hard Disk Drive」の略)やフラッシュメモリ、表示部としての液晶ディスプレイ、入力部としてのキーボードやマウス、タッチパネルディスプレイ、有線通信部としてのLANケーブル(Local Area Network)又は無線通信部としての無線モジュール等を有する。
補助記憶部としてのHDDやフラッシュメモリには、OS(「Operating System」の略)、アプリケーションプログラム、処理に必要なデータ等が記憶されている。端末2及びサーバ3のCPUは、補助記憶部からOSやアプリケーションプログラムを読み出して主記憶部に格納し、主記憶部にアクセスしながら、その他の機器を制御し、後述する処理を実行する。端末2は、例えば、デスクトップPC、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン等である。サーバ3は、例えば、データセンター等に配置されるサーバ用コンピュータでも良いし、会社等に配置されるサーバ用コンピュータでも良い。また、サーバ3は、1台の筐体で実現されても良いし、複数台の筐体で実現されても良い。ネットワーク4は、例えば社内LANやインターネット等である。
ピッキング作業支援システム1がクラウドサービスとして構築される場合、端末2の補助記憶部には、ウェブ閲覧ソフトのプログラム、又は専用のアプリケーションプログラムがインストールされ、サーバ3の補助記憶部には、サーバ用プログラムがインストールされるとともに、ピッキング作業支援システム1に必要なデータベースが構築される。端末2が、後述するサーバ3の一部の機能を有しても良い。
ピッキング作業支援システム1のハードウエア構成は、図1に示す例に限定されない。例えば、スタンドアローン型のアプリケーションとして構築される場合、コンピュータは1台で良く、ネットワーク4に接続される必要もない。以下では、ピッキング作業支援システム1がクラウドサービスとして構築される場合を例にして説明する。
図2は、倉庫の一例を示す図である。倉庫20には、商品21を格納する棚22が設置されている。本実施の形態では、商品21は文庫本や雑誌などである。倉庫20は、出入口23が1つ存在し、中央部に出入口23へ通じる1本の中央通路24がある。中央通路24を挟んで右側と左側にそれぞれ複数の棚22が設置されている。商品21をピッキング可能な面が向かい合う棚22同士の間には、中央通路24へ通じる複数の棚間通路25がある。各商品21をピッキング可能な棚間通路25は、棚22ごとに1つだけである。中央通路24が伸びる方向を列方向、棚間通路25が伸びる方向を連方向とする。
図2に示す例では、棚22は、中央通路24の左右にそれぞれ、連方向に連続して9個すなわち9連設置され、列方向に連続して12個すなわち12列設置されている。従って、総棚数は、2×9×28=504個である。ピッキング作業では、作業者は、倉庫20の出入口23から入り、所定の商品21をカート26に積載し、倉庫20の出入口23に戻る。
図3は、棚及びカートの一例を示す図である。棚22は、任意の幅、高さ及び奥行を設置可能である。カート26は、8個の出荷ボックス27が積載されている。ピッキング作業は、複数のオーダーを纏めてピッキング、すなわちマルチピッキングであり、作業者は、顧客別に分けて商品21を出荷ボックス27に積載する。同じ種類の商品21は、顧客が同じであれば同じ出荷ボックス28に積載し、顧客が異なれば別の出荷ボックス27に積載する。作業者は、8人分の顧客のオーダーについて商品21のピッキングが完了すると、出入口23に戻って出荷作業を行い、出荷ボックス27が空の状態で出入口23からピッキングを再開し、自分の作業割り当て分のオーダーを処理するまで繰り返す。
本発明の適用範囲として、商品21の内容、出入口23の位置、通路の構成、棚22の形状、カート26の形状等は、特に限定されるものではない。
図1の説明に戻る。サーバ3は、倉庫20のレイアウトの設定値を受け付けるレイアウト情報設定部11と、倉庫20の一部の領域を示す区画の識別情報と、区画に含まれる棚22の識別情報とを対応付けて記憶するレイアウト情報記憶部12と、商品21の識別情報と、商品21が格納される棚22の識別情報とを対応付けて記憶する商品格納情報記憶部13と、顧客の識別情報と、顧客が注文する商品21の識別情報とを含む受注伝票データを記憶する受注伝票データ記憶部14と、受注伝票データを集約し、出庫伝票データを生成する伝票集約部15と、出庫伝票データを作業者ごとに割り当てる作業割当部16と、割り当て結果に基づいて作業者ごとに巡回経路を算出する巡回経路算出部17と、巡回経路の算出結果に基づいて作業者ごとの作業量を推定する作業量推定部18を有する。
ユーザは、倉庫20のレイアウト変更を行いたい場合、レイアウト情報設定部11を実行させる。また、ユーザは、日々の業務における作業の割り当てを行いたい場合や、倉庫20のレイアウト変更の影響を模擬したい場合、伝票集約部15、作業割当部16、巡回経路算出部17及び作業量推定部18を実行させる。日々の業務における作業の割り当ては、未出荷の受注伝票データを対象とする。模擬を行う場合、過去の出荷済の受注伝票データを対象とすることができる。
図4は、レイアウト情報設定部の処理の流れを示すフローチャートである。図4に示すように、レイアウト情報設定部11は、端末2から、右側区画数及び左側区画数の入力を受け付ける(ステップS11)。ここで、区画とは、倉庫20の一部の領域を示すものであり、1又は複数の棚22を含む。右側区画数とは、中央通路24の右側に設定される区画数であり、左側区画数とは、中央通路24の左側に設定される区画数である。
次に、レイアウト情報設定部11は、端末2から、区画レイアウトの設定値の入力を受け付ける(ステップS12)。区画レイアウトの設定値は、各区画に含まれる棚22の列数、連数、並びに棚サイズ、すなわち棚22の高さ(m)、幅(m)及び奥行(m)の大きさである。
図5は、区画レイアウト設定値の一例を示す図である。図5に示す区画レイアウト設定値30では、右側区画数が6、左側区画数が6であり、総区画数は12である。例えば、区画番号1は、列数が4、連数が12、棚サイズの高さが1m、幅が1m、奥行が1mである。
次に、レイアウト情報設定部11は、ステップS12において入力を受け付ける区画レイアウト設定値30等を記憶部に記憶し(ステップS13)、仮想倉庫を表示部に表示する(ステップS14)。
図6は、仮想倉庫の一例を示す図である。図6に示す仮想倉庫40は、図5に示す区画レイアウト設定値30に従って構築されたものである。仮想倉庫40には、中央通路24及び棚間通路25における位置を示す座標41が定義される。レイアウト情報設定部11は、座標41によって棚22の位置を一意に特定可能である。また、レイアウト情報設定部11は、各棚22がどの区画42に含まれるのかを特定可能であり、区画42の位置を区画点43によって特定可能である。区画点43は、区画42から出入口23に最も近い中央通路24上の座標41として設定され、図6ではひし形が付された座標41として図示されている。
図6に示す例では、中央通路24の右側は、出入口23に近い順から区画番号1〜6の区画42が設定され、中央通路24の左側は、出入口23に近い順から区画番号7〜12の区画42が設定されている。区画番号1〜3及び7〜9の区画42は、それぞれ、連数が12、列数が4の48個の棚22が含まれている。区画番号4〜6及び10〜12の区画42は、それぞれ、連数が6、列数が2の12個の棚22が含まれている。レイアウト情報設定部11を有することによって、任意に棚22や区画42のレイアウトを変更することができる。
図1の説明に戻る。レイアウト情報記憶部12は、レイアウト情報設定部11のレイアウト結果に基づいて、区画42の識別情報と棚22の識別情報とを対応付けて記憶する。また、レイアウト情報記憶部12は、レイアウト情報設定部11のレイアウト結果に基づいて、棚22の位置情報を座標41によって特定し、棚22の識別情報と棚22の位置情報とを対応付けて記憶する。
商品格納情報記憶部13は、商品21の格納場所を決定するための作業結果に基づいて、商品21の識別情報と棚22の識別情報とを対応付けて記憶する。例えば、作業者は、商品21及び棚22に予め識別情報を記憶するバーコードを付与しておき、商品21の入荷時に商品21のバーコードと棚22のバーコードを連続してスキャンすることによって、商品格納情報記憶部13に商品21の識別情報と棚22の識別情報とを対応付けて記憶させることができる。受注伝票データ記憶部14は、顧客の注文を受け付けるごとに、顧客の識別情報と、顧客が注文する商品21の識別情報とを含む受注伝票データを記憶する。顧客の注文は、不図示の注文受付サーバによって受け付けられる。
伝票集約部15は、後述の作業割当部16によって複数の作業者への作業割り当てを適切に行うために、前処理として、受注伝票データ記憶部14に記憶される受注伝票データを集約し、出庫伝票データを生成する。
図7は、伝票集約部の処理の流れを示すフローチャートである。図7に示すように、伝票集約部15は、受注伝票データ記憶部14から受注伝票データを取得し(ステップS21)、受注伝票データを顧客の識別情報ごとに分割し、商品21の格納場所の情報を付加して顧客別伝票データを生成する(ステップS22)。
図8は、顧客別伝票データ生成処理を説明する図である。図8(a)は、一例として、ステップS22の処理対象となる受注伝票データ51を示している。受注伝票データ51は、売上明細の識別情報である売上番号61と、顧客の識別情報である顧客コード62と、商品21の識別情報である商品コード63と、商品21の出荷数を示す出荷数量64と、を含む。例えば、1件目のデータは、売上番号61が「SA1」、顧客コード62が「CU2」、商品コード63が「PR1」、出荷数量64が「1」である。図8(b)は、図8(a)の例に対するステップS22の処理結果を示している。顧客別伝票データ52a、52bは、売上番号61と、顧客コード62と、商品コード63と、出荷数量64と、棚22の識別情報である棚番号65と、区画42の識別情報である区画番号66と、を含む。例えば、1件目のデータは、売上番号61が「SA1」、顧客コード62が「CU2」、商品コード63が「PR1」、出荷数量64が「1」、棚番号65が「1」、区画番号66が「1」である。以下、顧客別伝票データを総称する場合、「顧客別伝票データ52」と表記する。
ステップS22において、伝票集約部15は、受注伝票データ51を顧客コード62ごとに分割し、商品格納情報記憶部13から棚番号65を取得し、レイアウト情報記憶部12から区画番号66を取得し、受注伝票データ51に付加することによって、顧客別伝票データ52a、52bを生成する。顧客別伝票データ52aは、顧客コード62が「CU2」のレコードを1件含んでいる。顧客別伝票データ52bは、顧客コード62が「CU1」のレコードを2件含んでいる。
次に、伝票集約部15は、顧客別伝票データを棚22の識別情報(本実施の形態では棚番号65)ごとに集約して棚別伝票データを生成する(ステップS23)。
図9は、棚別伝票データ生成処理を説明する図である。図9(a)は、一例として、ステップS23の処理対象となる顧客別伝票データ52a、52b、52c、52dを示している。図9(b)は、図9(a)の例に対するステップS23の処理結果を示している。棚別伝票データ53a、53bは、売上番号61と、顧客コード62と、商品コード63と、出荷数量64と、棚番号65と、区画番号66と、を含む。以下、棚別伝票データを総称する場合、「棚別伝票データ53」と表記する。
ステップS23において、伝票集約部15は、全ての棚22の識別情報(=本実施の形態では棚番号65)が完全に一致する顧客別伝票データ52を集約して棚別伝票データ53とする。これによって、後述の処理に適した棚別伝票データ53を生成することができる。例えば、顧客別伝票データ52aに含まれる棚番号65は「1」、顧客別伝票データ52bに含まれる棚番号65は「1」と「7」であるから、これらは一部が同一の数字であるが、完全に一致しているわけではないので、集約対象とならない。一方、顧客別伝票データ52aに含まれる棚番号65は「1」、顧客別伝票データ52cに含まれる棚番号65は「1」であるから、これらは完全に一致しているので、集約対象となる。同様に、顧客別伝票データ52bに含まれる棚番号65は「1」と「7」、顧客別伝票データ52dに含まれる棚番号65は「7」と「1」であるから、これらは完全に一致しているので、集約対象となる。完全に一致するか否かの判断においては、含まれる区画番号66の数字が全て一致すれば良く、その順序は問わない。
次に、伝票集約部15は、残っている顧客別伝票データ52と棚別伝票データ53を対象として、区画42の識別情報(本実施の形態では区画番号66)が完全に一致するものを集約することによって伝票グループデータを生成する(ステップS24)。伝票グループデータは、位置情報の相関が高い伝票を集約したデータである。
図10は、伝票グループデータ生成処理を説明する図である。図10(a)は、一例として、ステップS24の処理対象となる棚別伝票データ53a、53b、顧客別伝票データ52eを示している。図10(b)は、図10(a)の例に対するステップS24の処理結果を示している。伝票グループデータ54a、54bは、売上番号61と、顧客コード62と、商品コード63と、出荷数量64と、棚番号65と、区画番号66と、を含む。以下、伝票グループデータを総称する場合、「伝票グループデータ54」と表記する。
ステップS24において、伝票集約部15は、全ての区画42の識別情報(本実施の形態では区画番号66)が完全に一致する顧客別伝票データ52と棚別伝票データ53を集約して伝票グループデータ54とする。これによって、後述の処理に適した伝票グループデータ54を生成することができる。例えば、棚別伝票データ53aに含まれる区画番号66は「1」、棚別伝票データ53bに含まれる区画番号66は「1」と「7」であるから、これらは一部が同一の数字であるが、完全に一致するわけではないので、集約対象とならない。一方、棚別伝票データ53aに含まれる区画番号66は「1」、顧客別伝票データ52eに含まれる区画番号66は「1」であるから、これらは完全に一致しているので、集約対象となる。完全に一致するか否かの判断においては、含まれる区画番号66の数字が全て一致すれば良く、順序は問わない。図10(b)に示すように、顧客別伝票データ52と棚別伝票データ53が集約される場合もあるし、棚別伝票データ53同士が集約される場合もある。また、集約されるデータは2つに限らず、3つ以上の場合もある。
次に、伝票集約部15は、伝票グループデータが1つに集約されているか否か確認する(ステップS25)。伝票グループデータが1つに集約されていない場合(ステップS25のNo)、伝票集約部15は、ピッキング作業時の移動距離が最小となるように伝票グループデータを整列して集約するために、伝票グループデータのマッチングを行い(ステップS26)、ステップS25に進む。一方、伝票グループデータが1つに集約されている場合(ステップS25のYes)、伝票集約部15は、1つに集約されている伝票グループデータに基づいて、出庫伝票データを生成する(ステップS27)。
図11は、伝票グループデータマッチング処理を説明する図である。図11(a)は、一例として、ステップS26の処理対象となる伝票グループデータ54a、54b、54c、54dを示している。以下、伝票グループデータを総称する場合、「伝票グループデータ54」と表記する。
ステップS26において、伝票集約部15は、伝票グループデータ54同士の区画42の識別情報(本実施の形態では区画番号66)の論理和を算出し、論理和に含まれる全ての区画42を既定の巡回経路によって巡回するときの移動距離を重みとして重み付きマッチングのアルゴリズムを適用し、重みが最小となるように伝票グループデータ54のマッチングを行い、マッチングされた伝票グループデータ54同士を連結して新たな伝票グループデータ54とする処理を繰り返し行う。ここで、区画42間の移動距離は、2つの区画点43のユークリッド距離とする。
既定の巡回経路として、区画番号が1→2→3→4→5→6→12→11→10→9→8→7の順に区画42を巡回する経路を考える。例えば、図11に示す伝票グループデータ54a及び54b同士の区画番号66の論理和は{1、7}であるから、伝票グループデータ54a及び54bを巡回する時の移動距離D(a、b)は、区画番号1と7の区画点43のユークリッド距離をd(1、7)とすると、D(a、b)=d(1、7)となる。また、例えば、図11に示す伝票グループデータ54b及び54c同士の区画番号66の論理和は{1、4、7}であるから、伝票グループデータ54b及び54cを巡回する時の移動距離D(b、c)は、区画番号1と4の区画点43のユークリッド距離をd(1、4)、区画番号4と7の区画点43のユークリッド距離をd(4、7)とすると、D(b、c)=d(1、4)+d(4、7)となる。
図11(b)は、伝票グループデータ54同士の全ての組み合わせの移動距離を示すものである。図11(b)に示す移動距離の数値は、図6に示す仮想倉庫40において、中央通路24の幅を2m、棚間通路25の幅を1.2mとし、区画番号1〜3、7〜9の区画42に含まれる棚22の奥行を1m、区画番号4〜6、10〜12の区画42に含まれる棚22の奥行を2mとして算出している。また、左右に隣接する区画点43同士の距離、例えば区画番号1と7の区画点43同士の距離は、中央通路24の幅として算出している。例えば、伝票グループデータ54a及び54bを巡回する時の移動距離D(a、b)は、D(a、b)=d(1、7)=2mである。また、例えば、伝票グループデータ54b及び54cを巡回する時の移動距離D(b、c)は、D(b、c)=d(1、4)+d(4、7)≒20.2m+20.3m=40.5mである。
ここで、図11(b)の定式化について説明する。伝票グループデータ54を頂点とし、伝票グループデータ54間を結ぶ線を枝とすると、図11(b)は、頂点集合V={a、b、c、d}、枝集合E={(a、b)、(a、c)、(a、d)、(b、c)、(b、d)、(c、d)}とするグラフG=(V、E)と定式化できる。また、伝票グループデータ54間の移動距離Dは、枝の接続の度合を示す重みとして定式化できる。尚、図11(b)に対応するグラフGは、全ての頂点間に枝が存在する完全グラフである。
グラフG=(V、E)において、マッチングとは、1本の枝で結ばれた2つの頂点をペアにすることである。但し、1つの頂点を2つ以上の頂点とペアにすることはできない。また、重み付きマッチングとは、重み関数c:E(G)→R(Rは実数空間)が付随するグラフG=(V、E)におけるマッチングである。重みを最小とする重み付きマッチングのアルゴリズムは、例えば、非特許文献1(「組合せ最適化:理論とアルゴリズム」シュプリンガー・フェアラーク東京 B.コルテ、J.フィーゲン著、浅野孝夫、平田富夫、小野孝男、浅野泰仁訳 2005年)に記載されている。
図11(b)に示す例では、伝票集約部15は、伝票グループデータ54a及び54bと、54c及び54dのマッチングによって重みが最小となることを算出し、伝票グループデータ54a及び54b同士を連結して新たな伝票グループデータ54とし、伝票グループデータ54c及び54d同士を連結して新たな伝票グループデータ54とする。伝票グループデータ54が2つになると、マッチングのアルゴリズムを適用するまでもなく、伝票集約部15は、これら2つの伝票グループデータ54を連結し、1つの伝票グループデータ54に集約し、出庫伝票データとする。
図11(b)の例では、マッチングのアルゴリズムを1回だけ適用したが、ステップS24において生成される伝票グループデータ54の数に応じて、マッチングのアルゴリズムの適用回数が異なる。例えば、ステップS24において生成される伝票グループデータ54の数が7個であれば、1回目のマッチングにおいて、7個の中から3組がマッチングされて4個となり、2回目のマッチングにおいて4個の中から2組がマッチングされて2個となるので、マッチングのアルゴリズムの適用回数は2回である。尚、マッチング対象の伝票グループデータ54の数が奇数の場合、1個の伝票グループデータ54がマッチングされずに残るが、残った伝票グループデータ54も次回のマッチング対象とする。従って、ステップS24において生成される伝票グループデータ54の数がいくつであっても、マッチングを繰り返すことによって、最終的に必ず1つの伝票グループデータ54に集約される。
以上の通り、伝票集約部15によって、ピッキング作業時の移動距離が最小となるように整列された出庫伝票データを生成することができる。特に、グラフ理論を応用することによって、受注伝票データ51のレコード数が多い場合であっても、高速な処理で実行することができる。
図12は、出庫伝票データ生成処理を説明する図である。出庫伝票データ55は、売上番号61と、顧客コード62と、商品コード63と、出荷数量64と、棚番号65と、区画番号66と、を含む。出庫伝票データ55は、図7に示す処理によって、売上番号61が「SA1→SA4→SA7→SA2→SA3→SA5→SA6→SA8→SA9」の順に整列されている。
図1の説明に戻る。作業割当部16は、出庫伝票データ55を作業者の数に合わせて分割し、作業者ごとに割り当てる。出庫伝票データ55は、ピッキング作業時の移動距離が最小となるように整列されているので、どこで分割しても各作業者の移動距離を小さく抑えることができ、複数の作業者への作業割り当てを適切に行うことができる。作業割当部16は、例えば、各作業者に割り当てられる伝票数又は顧客数を単純に均等にしても良いし、各作業者の当日の作業可能時間、歩行速度、熟練度等に応じて配分しても良く、割り当て方法については限定されるものではない。尚、同じ顧客からの注文を纏めて出荷するのであれば、同じ顧客からの注文は同じ作業者が担当することが望ましい。
図13は作業割当部を説明する図である。割り当てデータ56a、56b、56cは、売上番号61と、顧客コード62と、商品コード63と、出荷数量64と、棚番号65と、区画番号66と、を含む。以下、割り当てデータを総称する場合、「割り当てデータ56」と表記する。図13は、図12の例に対する作業割当部16の処理結果を示している。図13は、3名の作業者に対して顧客数をなるべく均等に割り当てた場合を示している。全顧客数が7なので、1人目の作業員が3人分、2、3人目の作業員が2人分の顧客を担当するように割り当てられている。
図1の説明に戻る。巡回経路算出部17は、作業割当部16による割り当て結果に基づいて作業者ごとに巡回経路を算出する。巡回経路算出方法としては、例えば、特許文献1(特許第6418551号公報)に記載の手法を適用できる。特許文献1に記載の手法を適用する場合、巡回経路算出部17は、区画42内の巡回経路を固定した上で、割り当てデータ56の全商品21のピッキング作業を完了するまでの総移動距離を適応度とし、カート26の出荷ボックス27が一杯になった時点で出入口23に戻る経路を選択することを制約条件として、遺伝的アルゴリズムによって所定の世代数で最適巡回経路を算出する。
作業量推定部18は、巡回経路算出部17による巡回経路の算出結果に基づいて作業者ごとの作業量を推定する。例えば、作業量推定部18は、巡回経路の算出結果から直接的に導出可能な作業者ごとの移動距離を作業量として推定しても良い。また、例えば、作業量推定部18は、作業者ごとの推定移動速度を予め記憶しておき、推定移動時間=移動距離÷推定移動速度、を作業量として推定しても良い。更に、作業量推定部18は、作業者ごとの熟練度に応じて移動時間以外の作業時間を推定し、総作業時間を作業量として推定しても良い。
作業割当部16、巡回経路算出部17及び作業量推定部18を有することによって、作業の割り当て、巡回経路及び推定作業量を提示することができ、倉庫作業の効率化を支援することができる。特に、倉庫作業の効率化のための作業計画や作業管理を定量的に評価可能な情報を提供することができる。
実施例は、本実施の形態におけるピッキング作業支援システム1によって作業を割り当てた場合の模擬結果である。比較例は、受注伝票データ51順に作業を割り当てた場合の模擬結果である。実施例と比較例の違いは、作業の割り当てのプログラムのみであり、巡回経路の算出等の他のプログラムは同一である。
作業データは、顧客数が800人、受注伝票データ51のレコード数が1013件、作業者の人数が10人とした。倉庫レイアウトは、右側区画数が5、左側区画数が5、総区画数が10とし、全ての区画42について10連8列の棚22を含むものとした。棚サイズは、全ての棚22について高さが1m、幅が1m、奥行きが1mとした。中央通路24の幅は2m、棚間通路25の幅は1.2mとした。巡回経路の算出に関する遺伝的アルゴリズムのパラメータは、個体数が500個体、世代数が1000世代、突然変異率が3.75%とし、模擬回数は10回とした。
Figure 2020093860
表1は、歩行距離の算出結果を示している。実施例は、比較例よりも総歩行距離が18.8%短縮された。この結果から、本実施の形態におけるピッキング作業支援システム1は、作業者の歩行距離を大幅に短縮することができ、複数の作業者への作業割り当てを適切に行うことができることが分かる。例えば、一日の始業時に未処理の注文を複数の作業者に割り当てる場合、本実施の形態におけるピッキング作業支援システム1によれば、作業者ごとの作業時間に偏りが生じることを抑制し、出荷の遅れや残業時間の増大を防止することができる。
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るピッキング作業支援システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………ピッキング作業支援システム
2………端末
3………サーバ
4………ネットワーク
11………レイアウト情報設定部
12………レイアウト情報記憶部
13………商品格納情報記憶部
14………受注伝票データ記憶部
15………伝票集約部
16………作業割当部
17………巡回経路算出部
18………作業量推定部
20………倉庫
21………商品
22………棚
23………出入口
24………中央通路
25………棚間通路
26………カート
27………出荷ボックス
30………区画レイアウト設定部
40………仮想倉庫
41………座標
42………区画
43………区画点
51………受注伝票データ
52………顧客別伝票データ
53………棚別伝票データ
54………伝票グループデータ
55………出庫伝票データ
56………割り当てデータ
61………売上番号
62………顧客コード
63………商品コード
64………出荷数量
65………棚番号
66………区画番号

Claims (6)

  1. 倉庫内に格納された商品のピッキング作業を支援するピッキング作業支援システムであって、
    前記倉庫の一部の領域を示す区画の識別情報と、前記区画に含まれる棚の識別情報とを対応付けて記憶するレイアウト情報記憶部と、
    前記商品の識別情報と、前記商品が格納される前記棚の識別情報とを対応付けて記憶する商品格納情報記憶部と、
    顧客の識別情報と、前記顧客が注文する前記商品の識別情報とを含む受注伝票データを記憶する受注伝票データ記憶部と、
    前記受注伝票データを前記顧客の識別情報ごとに分割して顧客別伝票データを生成し、前記顧客別伝票データを前記棚の識別情報ごとに集約して棚別伝票データを生成し、残っている前記顧客別伝票データと前記棚別伝票データを対象として前記区画の識別情報が一致するものを集約することによって伝票グループデータを生成し、前記ピッキング作業時の移動距離が最小となるように前記伝票グループデータを整列して集約し、出庫伝票データを生成する伝票集約部と、
    を備えることを特徴とするピッキング作業支援システム。
  2. 前記伝票集約部は、前記伝票グループデータ同士の前記区画の識別情報の論理和を算出し、前記論理和に含まれる全ての前記区画を巡回するときの距離を重みとして重み付きマッチングのアルゴリズムを適用し、前記重みが最小となるように前記伝票グループデータのマッチングを行い、マッチングされた前記伝票グループデータ同士を連結して新たな前記伝票グループデータとする処理を繰り返し行う
    ことを特徴とする請求項1に記載のピッキング作業支援システム。
  3. 前記伝票集約部は、全ての前記棚の識別情報が完全に一致するものを集約して前記棚別伝票データとし、全ての前記区画の識別情報が完全に一致するものを集約して前記伝票グループデータとする
    ことを特徴とする請求項2に記載のピッキング作業支援システム。
  4. 前記出庫伝票データを作業者ごとに割り当てる作業割当部と、
    割り当て結果に基づいて前記作業者ごとに巡回経路を算出する巡回経路算出部と、
    前記巡回経路の算出結果に基づいて前記作業者ごとの作業量を推定する作業量推定部と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のピッキング作業支援システム。
  5. 前記倉庫のレイアウトの設定値を受け付け、前記レイアウト情報記憶部に記憶させるレイアウト情報設定部、
    を更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のピッキング作業支援システム。
  6. コンピュータを、倉庫内に格納された商品のピッキング作業を支援するピッキング作業支援システムとして機能させるためのプログラムであって、
    前記コンピュータを、
    前記倉庫の一部の領域を示す区画の識別情報と、前記区画に含まれる棚の識別情報とを対応付けて記憶するレイアウト情報記憶部と、
    前記商品の識別情報と、前記商品が格納される前記棚の識別情報とを対応付けて記憶する商品格納情報記憶部と、
    顧客の識別情報と、前記顧客が注文する前記商品の識別情報とを含む受注伝票データを記憶する受注伝票データ記憶部と、
    前記受注伝票データを前記顧客の識別情報ごとに分割して顧客別伝票データを生成し、前記顧客別伝票データを前記棚の識別情報ごとに集約して棚別伝票データを生成し、残っている前記顧客別伝票データと前記棚別伝票データを対象として前記区画の識別情報が一致するものを集約することによって伝票グループデータを生成し、前記ピッキング作業時の移動距離が最小となるように前記伝票グループデータを整列して集約し、出庫伝票データを生成する伝票集約部と、
    を備えるピッキング作業支援システムとして機能させるためのプログラム。
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