JP2020092050A - 温度センサの異常検出装置 - Google Patents

温度センサの異常検出装置 Download PDF

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裕人 佐藤
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Masaaki Suzuki
正彰 鈴木
俊雄 小田切
Toshio Odagiri
俊雄 小田切
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Shinji Hirose
慎司 広瀬
順一 波多野
Junichi Hatano
順一 波多野
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Abstract

【課題】二次電池が離間しているか否かの判定精度を高めることができる温度センサの異常検出装置を提供すること。【解決手段】電池ECUは、判定対象温度センサによって複数回に亘って測定された温度から、一定時間の間での温度変化量を判定用温度変化量として算出するとともに、比較用温度センサによって複数回に亘って測定された温度から、同じ一定時間の間での温度変化量を比較用温度変化量として算出する。電池ECUは、算出した判定用温度変化量と比較用温度変化量との差の絶対値が一定値以上であり、かつ判定対象温度センサによって測定された温度が、比較用温度センサによって測定された温度より低い場合に、判定対象温度センサが二次電池より離間していると判定する。【選択図】図4

Description

本発明は、温度センサが二次電池より離間しているか否かを判定する温度センサの異常検出装置に関する。
複数の二次電池を並設した電池スタックを複数有する電池パックと、電池パックから供給される電力によって駆動する負荷と、を備えた装置では、例えば、二次電池の過充放電の検出や、適切な充放電を行うため、温度センサによって二次電池の温度を測定している。温度センサは、二次電池や、電池パックを構成するための部材に貼り付けられている。
しかし、温度センサが貼り付け対象から剥がれて二次電池より離間してしまう場合がある。温度センサが二次電池より離間してしまうと、温度センサによる温度測定が正確に行えなくなり、好ましくない。そこで、例えば、特許文献1では、複数の温度センサの測定値同士を比較し、その差の絶対値を閾値と比較して、温度センサが貼り付け対象(二次電池)に適切に接触しているか否かを確認している。
特開2006−253066号公報
ところが、特許文献1においては、温度センサの測定値同士の差の絶対値を閾値と比較しているが、温度センサ自身が持つ測定誤差や、離間した温度センサの位置、電池の発熱状況によっては、測定値同士の差が小さくなり、温度センサが貼り付け対象に適切に接触していない場合を検出できない虞がある。
本発明の目的は、二次電池が離間しているか否かの判定精度を高めることができる温度センサの異常検出装置を提供することにある。
上記問題点を解決するための温度センサの異常検出装置は、複数の二次電池を有する電池スタックと、前記電池スタックの中の複数の前記二次電池それぞれに接触させた複数の温度センサと、複数の前記温度センサのうちの判定対象とした一つの温度センサが前記二次電池より離間しているか否かを判定するための判定部と、を有する電池パックの異常検出装置であって、前記判定部は、前記判定対象とした温度センサによって複数回に亘って測定された温度から、一定時間の間での温度変化量を判定用温度変化量として算出するとともに、判定対象以外の温度センサによって複数回に亘って測定された温度から、前記一定時間の間での温度変化量を比較用温度変化量として算出し、算出した前記判定用温度変化量と前記比較用温度変化量との差の絶対値が一定値以上であり、かつ前記判定用温度変化量が前記比較用温度変化量より小さい、又は前記判定対象とした温度センサによって測定された温度が、前記判定対象以外の温度センサによって測定された温度より低い場合に、前記判定部は前記判定対象とした温度センサが前記二次電池より離間していると判定することを要旨とする。
これによれば、温度センサが二次電池に接触していれば、二次電池に電流が流れているときには、温度センサによって測定される温度は、二次電池の温度上昇とともに上昇し、二次電池に電流が流れていないときには、温度センサによって測定される温度は、二次電池の温度に収束する。その一方で、温度センサが二次電池より離間していると、二次電池に電流が流れていても、温度センサによって測定される温度は、温度センサ周囲の環境温度に収束し、二次電池の充放電に伴う発熱の影響が小さく温度上昇も小さくなり、二次電池に電流が流れていないときも、温度センサ周囲の環境温度に収束する。このため、二次電池に接触した温度センサと、二次電池から離間した温度センサとでは、測定される温度が異なり、同じ一定時間の間での温度変化量が異なる。
そして、判定部は、判定用温度変化量と比較用温度変化量との差が一定値以上に開き、かつ判定用温度変化量の大きさ又は温度センサによって測定される温度によって規定される条件を満たした場合には、二次電池から温度センサが離間していると判定する。例えば、二つの温度センサの実測値の差を比べた場合には、実測値の差が顕著に異なり判定が可能になるまでには、判定対象とした温度センサが十分加熱するための時間がかかる。また、二つの温度センサの実測値にはそれぞれ製造誤差や測定誤差が含まれるため、判定精度を高めることが困難になる。これと比べると、温度変化量の差は短時間で差が顕著になりやすく、温度センサの製造誤差や測定誤差等に影響されないため、判定対象とした温度センサが二次電池から離間しているか否かの判定精度を高めることができる。
また、温度センサの異常検出装置について、前記判定部は、ファンからの送風によって前記電池スタックの冷却が行われているときに前記温度センサが前記二次電池より離間しているか否かの判定を行ってもよい。
これによれば、二次電池に接触した温度センサによって測定される温度は、ファンからの送風による二次電池の冷却に伴って若干低下するが、二次電池の持つ熱もあるため、一定時間の間での温度変化量は小さくなりやすい。その一方で、二次電池より離間した温度センサによって測定される温度は、二次電池の熱による影響が小さく、しかも温度センサそのものがファンからの送風によって冷却されるため、一定時間の間での温度変化量が大きくなる。したがって、判定対象とした温度センサが二次電池より離間していると、判定用温度変化量と比較用温度変化量との差の絶対値が大きく開きやすく、判定対象とした温度センサが二次電池から離間しているか否かの判定精度を高めることができる。
また、温度センサの異常検出装置について、前記判定部は、前記二次電池の充放電中に流れる充放電電流を積算した電流積算値が既定値を超えた場合に、前記温度センサが前記二次電池より離間しているか否かの判定を行ってもよい。
これによれば、電流積算値が既定値を超えるまで二次電池に充放電電流が流れることにより、二次電池の発熱量が大きくなり、温度上昇が大きくなる。例えば、充放電電流が流れ始めた直後のように電流積算値が既定値を超える前と比べると、電流積算値が既定値を超えた場合は、一定時間の間での温度変化量が大きくなり、判定用温度変化量と比較用温度変化量との差が開きやすく、判定対象とした温度センサが二次電池から離間しているか否かの判定精度を高めることができる。
また、温度センサの異常検出装置について、前記判定部は、前記比較用温度変化量を、前記判定対象以外の複数の前記温度センサによって測定された温度の平均値を用いて算出してもよい。
これによれば、温度センサの測定誤差や製造誤差等を原因として、各温度センサで測定される温度にばらつきが生じる。そして、ばらつき度が大きく測定されてしまった温度を用いて比較用温度変化量を算出した場合、判定対象の温度センサが二次電池から離間していても判定用温度変化量との差の絶対値が一定値以上にならない虞がある。しかし、比較用温度変化量に判定対象以外の複数の温度センサの平均値を用いることで、温度のばらつきを均した比較用温度変化量とすることができ、判定対象とした温度センサが二次電池から離間しているか否かの判定精度を高めることができる。
また、温度センサの異常検出装置について、前記判定対象以外の温度センサは、前記判定対象とした温度センサが設けられた前記電池スタックと前記二次電池の並設方向と交差する方向に並ぶ別の電池スタックに設けられた温度センサであり、前記判定対象とした温度センサと前記判定対象以外の温度センサとは、それぞれの前記電池スタックにおける前記二次電池の並設方向での位置が同じであり、かつ複数の前記電池スタックの並び方向に並んでいてもよい。
これによれば、電池スタックにおいて、二次電池の並設方向の中央付近の二次電池は、並設方向に隣り合う二次電池の熱を受けて温度上昇しやすい一方で、並設方向の端に近い二次電池ほど、他の二次電池の熱を受けにくく温度上昇しにくい。このため、電池スタックにおける二次電池の並設方向の位置に起因して、温度センサによって測定される温度に差が生じる。このため、複数の電池スタック同士で同じ位置関係にある温度センサを、判定対象とした温度センサと判定対象以外の温度センサとすることで、判定部は、温度に関して近い条件で温度変化量を比較でき、他の条件による影響を小さくして、判定対象とした温度センサが二次電池から離間しているか否かの判定精度を高めることができる。
また、温度センサの異常検出装置について、前記判定部は、前記電池スタックにおける前記二次電池の並設方向に沿った前記温度センサの位置に応じて前記判定用温度変化量及び前記比較用温度変化量を補正してもよい。
これによれば、電池スタックにおいて、並設方向の中央付近の二次電池は、並設方向に隣り合う二次電池の熱を受けて温度上昇しやすい一方で、並設方向の端に近い二次電池ほど、他の二次電池の熱を受けにくく温度上昇しにくい。このため、電池スタックにおける二次電池の並設方向に沿った温度センサの位置に起因して、算出される温度変化量に差が生じる。よって、電池スタックにおける二次電池の並設方向に沿った温度センサの位置に応じて温度変化量を補正し、並設方向に沿う位置の影響を少なくすることにより、判定対象とした温度センサが二次電池から離間しているか否かの判定精度を高めることができる。
また、温度センサの異常検出装置について、前記判定部は、ファンからの送風によって前記電池スタックの冷却が行われているときに、判定対象とされた前記温度センサと前記ファンとの距離に応じて前記温度変化量の補正を行ってもよい。
これによれば、ファンとの距離が近いほど、ファンからの送風による二次電池の冷却効果が大きくなり、二次電池の温度は低下しやすく、取得される温度変化量も大きくなりやすい。ファンからの距離に依存して温度変化量に差が生じても、その差が小さくなるように温度変化量を補正することで、ファンからの送風による影響を小さくして判定を行うことができ、判定対象とした温度センサが二次電池から離間しているか否かの判定精度を高めることができる。
また、温度センサの異常検出装置について、前記判定部は、前記ファンによる送風強度に応じて前記温度変化量の補正を行ってもよい。
これによれば、ファンとの距離が近い二次電池において、ファンによる送風強度によって温度変化量が変化する。このため、ファンによる送風強度に応じて温度変化量を補正することにより、送風による影響を小さくして判定を行うことができ、判定対象とした温度センサが二次電池から離間しているか否かの判定精度を高めることができる。
本発明によれば、二次電池が離間しているか否かの判定精度を高めることができる。
実施形態の車両を示す構成図。 電池パックを模式的に示す図。 第1の実施形態において温度センサによって測定される温度を示すグラフ。 電池ECUが行う処理を示すフローチャート。 電池スタックと温度センサとファン駆動前後の温度との関係を示す図。 第2の実施形態において温度センサによって測定される温度を示すグラフ。 別例において温度センサによって測定される温度を示すグラフ。
(第1の実施形態)
以下、温度センサの異常検出装置を具体化した第1の実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
図1に示すように、車両10は、電池パック11と、電力変換部31と、モータMと、を備える。車両10は、モータMの駆動によって走行動作を行う。なお、モータMは、交流電力によって駆動するモータである。
図1又は図2に示すように、電池パック11は、複数の二次電池12を有する電池スタック13を複数備える。本実施形態では電池スタック13を2つ備えるが、電池スタック13の数は、単数でもよいし、3つ以上でもよい。電池パック11は、各電池スタック13の中の二次電池12の温度を測定する第1温度センサ14と、第2温度センサ15と、第3温度センサ16と、を備える。本実施形態では、温度センサを3つ備えるが、温度センサの数は複数であればよく、2つか、4つ以上でもよい。また、電池パック11は、電池ECU18と、各電池スタック13の冷却を行うファン19を備える。また、電池パック11は、各電池スタック13の二次電池12に流れる電流を測定する電流センサ17を備える。
電池パック11は、複数の電池スタック13、各電池スタック13の第1温度センサ14、第2温度センサ15、第3温度センサ16、電流センサ17、電池ECU18、及び、ファン19をユニット化したものである。
電池スタック13は、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池などの二次電池12を直列接続したものである。本実施形態では、二次電池12のケース12aは、扁平な四角箱状である。電池スタック13は、二次電池12の厚さ方向が、電池スタック13における二次電池12の並設方向Xと一致する状態に並べて一体化されている。本実施形態では、電池スタック13は、二次電池12を13個備える。なお、電池スタック13としては、複数の二次電池12を並列接続したものでもよい。
また、2つの電池スタック13は、二次電池12の並設方向Xが互いに略平行になるように並べて配置されている。2つの電池スタック13が並ぶ方向であり、二次電池12の並設方向Xと交差(略直交)する方向を電池スタック13の並び方向Yとする。2つの電池スタック13は、2つの電池スタック13の二次電池12同士が並び方向Yに揃って並ぶように配置されている。よって、2つの電池スタック13において、並設方向Xの一端に位置する二次電池12同士は並び方向Yに揃い、並設方向Xの他端に位置する二次電池12同士も並び方向Yに揃っている。
各電池スタック13の第1〜第3温度センサ14〜16は、電池スタック13の一つの側面に纏めて設置されている。第1〜第3温度センサ14〜16は、二次電池12の並設方向Xに沿って等間隔おきに設置されている。第1〜第3温度センサ14〜16は、それぞれ二次電池12のケース12aに粘着テープ等により貼り付けられている。第1〜第3温度センサ14〜16は、粘着テープ等を介してケース12aに接触している。そして、第1〜第3温度センサ14〜16は、貼り付けられた二次電池12の温度を測定する。第1〜第3温度センサ14〜16によって測定された二次電池12の温度に基づき、電池ECU18は、充放電を停止させたり、二次電池12に流れる電流の大きさを制御する。
電流センサ17は、二次電池12に流れる電流を測定する。電池ECU18は、CPU18aと、RAM及びROM等からなる記憶部18bと、を備える電子制御ユニットである。記憶部18bには、電池パック11を制御するための種々のプログラムが記憶されている。電池ECU18は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路:ASICを備えていてもよい。電池ECU18は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU、並びに、RAM及びROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆるものを含む。
電池ECU18には、第1〜第3温度センサ14〜16、及び電流センサ17が信号接続されている。電池ECU18は、第1〜第3温度センサ14〜16の測定値、及び電流センサ17の測定値を取得する。電池ECU18は、第1〜第3温度センサ14〜16の測定値、及び電流センサ17の測定値を電圧信号として取得する。なお、以下の説明では、第1〜第3温度センサ14〜16の測定値を二次電池12の温度として記載する場合もある。そして、電池ECU18は、第1〜第3温度センサ14〜16によって測定された温度を用いて、第1〜第3温度センサ14〜16それぞれについて、二次電池12より離間しているか否かを判定する。よって、電池ECU18が判定部として機能するとともに、電池ECU18により、温度センサの異常検出装置が構成されている。
電池ECU18は、車両10の走行中に二次電池12の充放電が開始されると、電流センサ17の測定値を取得し、測定値である充放電電流と所定周期との積を所定周期毎に積算することで二次電池12の電池容量の変化量[Ah]、所謂、電流積算値を算出する。電池ECU18は、電流積算値を一定間隔おきに算出し、算出した電流積算値を記憶部18bのうちの書き換え可能な記憶領域に一時的に記憶させる。
ファン19は、各電池スタック13に対応して電池パック11の外面に設置されている。各電池スタック13に対応したファン19は、2つの電池スタック13の並び方向Yに並んでいる。各ファン19は、各電池スタック13において、並設方向Xの一端に配置された二次電池12に対向している。ファン19は、各電池スタック13の二次電池12の冷却のために、電池パック11内に電池パック11外の空気を取り込む。なお、ファン19は電池パック11内の空気を外に排気するように設けられていてもよいし、電池パック11の内側に配置されていてもよい。
電力変換部31は、インバータ32と、駆動ECU33と、を備える。インバータ32は、電池スタック13から供給される直流電力を交流電力に変換してモータMに出力する。駆動ECU33は、インバータ32を制御することでモータMを駆動させる。駆動ECU33と、電池ECU18とは、CANやLINなどの通信プロトコルで通信を行うことが可能である。
次に、電池ECU18による温度センサの異常検出処理について図3〜図5を用いて説明する。電池ECU18による温度センサの異常検出処理は、第1〜第3温度センサ14〜16それぞれについて、一定時間おきに行われている。
また、電池ECU18による温度センサの異常検出処理では、電池ECU18は、温度センサの測定値を一定間隔おきに取得し、測定値を記憶部18bのうちの書き換え可能な記憶領域に一時的に記憶させている。なお、記憶部18bには、最新の測定値の他に、最新の測定値よりも複数回前までの測定値が記憶されている。本実施形態では、最新の測定値よりも4回前の測定値まで記憶部18bに記憶されている。
図3に示すように、最新の測定値が取得された時点を時点t0とすると、1回前の測定値が取得された時点を時点t1、2回前の測定値が取得された時点を時点t2、3回前の測定値が取得された時点を時点t3、4回前の測定値が取得された時点を時点t4とする。なお、時点t0〜t4の間隔は一定である。
以下の説明では、2つの電池スタック13のうちの一方の電池スタック13の第1温度センサ14に対して行う異常検出処理に具体化して説明する。そして、一方の電池スタック13の第1温度センサ14を、異常の有無の判定対象とした一つの温度センサとしての判定対象温度センサ141とし、他方の電池スタック13の第1温度センサ14を、判定対象以外の温度センサとしての比較用温度センサ142として説明する。
2つの電池スタック13において、判定対象温度センサ141と比較用温度センサ142は、二次電池12の並設方向Xの一端寄りに配置され、かつ2つの電池スタック13の並び方向Yに揃って並んだ温度センサである。よって、判定対象温度センサ141と比較用温度センサ142とは、電池パック11内における並設方向Xに同じ位置であり、ファン19に対する位置も同じである。つまり、判定対象温度センサ141と比較用温度センサ142とは、電池パック11内でほぼ同じ条件にある温度センサである。そして、一方の電池スタック13の判定対象温度センサ141が二次電池12から離間し、他方の電池スタック13の比較用温度センサ142は二次電池12に接触しているとする。
図3のグラフに、判定対象温度センサ141によって測定された温度を2点鎖線で示し、比較用温度センサ142によって測定された温度を実線で示す。図3のグラフの横軸は時間に対応し、縦軸は温度に対応している。図3のグラフでは、車両10が、停車した状態から走行を開始し、その後、再び停車したときの温度変化を示している。
車両10が走行を開始し、二次電池12の充放電が開始されると、二次電池12の温度は徐々に上昇していき、車両10が停止し、充放電が停止した後も、車両10停止直前での二次電池12の発熱によって若干温度上昇する。その後、二次電池12の温度は徐々に低下していく。温度センサが二次電池12に接触していれば、温度センサによって測定される温度は、上記した二次電池12の温度変化に応じた温度になり、比較用温度センサ142によって測定される温度は、図3の実線のグラフに示すようになる。
しかし、温度センサが二次電池12から離間していると、その温度センサは、二次電池12ではなく、二次電池12周囲の環境温度を測定することになる。その結果、二次電池12から離間している判定対象温度センサ141によって測定される温度は、二次電池12の温度より低い温度となり、図3の2点鎖線に示すようになる。すなわち、判定対象温度センサ141によって測定される温度は、比較用温度センサ142によって測定される温度より低くなる。
さて、図4に示すように、電池ECU18による温度センサの異常検出処理では、電池ECU18は、温度センサの異常検出処理が開始されると、記憶部18bから電流積算値を取得し、単位時間当たりの電流積算値が、予め設定された既定値に達したか否かを判定する(ステップS1)。電池ECU18は、電流積算値が既定値に達している場合(ステップS1でYES)、ステップS2に移行する。なお、電流積算値が既定値に達していない場合(ステップS1でNO)、電池ECU18は、ステップS1に戻り、処理を繰り返す。なお、電流積算値の「既定値」とは、充放電開始前の二次電池12の温度に対して、充放電開始後に二次電池12の温度が所定値に達すると想定されるときの実験的に予め求められる電流積算値である。
ステップS2において、電池ECU18は、電流積算値が既定値に達した時点を時点t0と設定し、判定対象温度センサ141によって時点t0〜t3で測定された温度の移動平均値を時点t0での測定温度として算出し、記憶部18bに記憶させる。また、電池ECU18は、判定対象温度センサ141によって時点t1〜t4で測定された温度の移動平均値を時点t1での測定温度として算出し、記憶部18bに記憶させる。
また、ステップS2において、電池ECU18は、比較用温度センサ142によって時点t0〜t3で測定された温度の移動平均値を時点t0での測定温度として算出し、記憶部18bに記憶させる。また、電池ECU18は、比較用温度センサ142によって時点t1〜t4で測定された温度の移動平均値を時点t1での測定温度として算出し、記憶部18bに記憶させる。
次に、ステップS3において、電池ECU18は、時点t0と時点t1の測定温度を用いて温度変化量を算出する。図3に示すように、時点t0と時点t1の間、すなわち、同じ一定時間の間(Δt)での温度変化量は、Ta/Δtで表される。判定対象温度センサ141による測定値から得られる温度変化量を判定用温度変化量α1とし、比較用温度センサ142による測定値から得られる温度変化量を比較用温度変化量α2とする。図3のグラフに示すように、判定用温度変化量α1は、比較用温度変化量α2よりも小さい。
これは、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間していることに起因して、判定対象温度センサ141によって測定される温度が、二次電池12周囲の環境温度に収束し、二次電池12からの熱影響が小さいため、一定時間の間での温度上昇が小さくなるからである。
次に、ステップS4において、電池ECU18は、判定用温度変化量α1と比較用温度変化量α2との差の絶対値を算出し、その絶対値が一定値以上であるか否かを判定する。絶対値が一定値以上である場合(ステップS4でYES)はステップS5に移行する。なお、絶対値が一定値以上でない場合(ステップS4でNO)、電池ECU18は処理を終了する。
「一定値」とは、電流積算値が既定値を超えたときに、二次電池12から離間していない正常な温度センサ同士の温度変化量の差を予め算出し、その差に基づいて設定される値である。温度センサが二次電池12から離間していれば、その温度センサによって測定される温度は、二次電池12周囲の環境温度に近付き、正常な温度センサと比べて温度変化量が顕著に異なる。このため、正常な温度センサ同士の温度変化量の差に基づいた値によって十分判定できる。
ステップS5において、電池ECU18は、判定対象温度センサ141によって測定された温度が、比較用温度センサ142によって測定された温度より低いか否かを判定する。この判定は、例えば、同じ温度測定時点、例えば、時点t0での温度を比較する。判定対象温度センサ141によって測定された温度が、比較用温度センサ142によって測定された温度より低い場合(ステップS5でYES)、電池ECU18は、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間した異常ありと判定する(ステップS6)。
温度センサが二次電池12に接触していれば、充放電中であれば、温度センサによって測定される温度は、二次電池12の温度上昇とともに上昇し、かつ温度上昇が大きくなる。その一方で、温度センサが二次電池12より離間していると、二次電池12の充放電中であっても、温度センサによって測定される温度は、周囲の環境温度に収束し、二次電池12の充放電に伴う発熱の影響が小さく温度上昇も小さくなる。したがって、判定対象温度センサ141と比較用温度センサ142とでは、測定される温度が異なり、判定用温度変化量α1と比較用温度変化量α2とが異なる。具体的には、判定用温度変化量α1は、比較用温度変化量α2よりも小さくなる。
また、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間していることに起因して、判定対象温度センサ141によって測定される温度は、二次電池12周囲の環境温度に収束し、二次電池12に接触している比較用温度センサ142によって測定される温度より低くなる。その結果、ステップS4及びステップS5でYESの場合には、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間していることになる。
なお、ステップS5において、判定用温度変化量α1が比較用温度変化量α2より小さいか否かを判定してもよい。充放電中は、温度センサが二次電池12から離間していると、上記したように、二次電池12からの熱影響が小さくなるため、測定される温度の上昇は小さくなり、判定用温度変化量α1は、比較用温度変化量α2より小さくなる。したがって、ステップS5において、判定用温度変化量α1が比較用温度変化量α2より小さい場合には、電池ECU18は、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間した異常ありと判定する。
なお、判定対象温度センサ141によって測定された温度が、比較用温度センサ142によって測定された温度より低くない場合(ステップS5でNO)、電池ECU18は、処理を終了する。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1−1)電池ECU18は、判定用温度変化量α1と比較用温度変化量α2とを比較し、かつ判定対象温度センサ141と比較用温度センサ142によって測定された温度を比較して、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間しているか否かを判定する。例えば、比較用温度センサ142が二次電池12から離間している場合には、二次電池12の発熱による判定対象温度センサ141の加熱と比べ、比較用温度センサ142の加熱は少ない。このとき、二つの温度センサの実測値の差を比べた場合には、実測値の差が顕著に異なり判定が可能になるまでには、判定対象温度センサ141が十分に加熱するための時間がかかる。また、二つの温度センサの実測値にはそれぞれ製造誤差や測定誤差が含まれるため、判定精度を高めることが困難となる。これと比べると、温度変化量は短時間で差が顕著になりやすく、温度センサの製造誤差や測定誤差等に影響されないことから、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間しているか否かの判定精度を高めることができる。
(1−2)電池ECU18は、車両10の走行中に電流積算値が既定値を超えた場合に、判定対象温度センサ141が二次電池12より離間しているか否かを判定する。電流積算値が既定値を超えるまで二次電池12に充放電電流が流れることにより、二次電池12の発熱量が大きくなる。例えば、充放電電流が流れ始めた直後と比べると温度変化量の値が大きくなり、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間しているか否かの判定精度を高めることができる。
(1−3)電池ECU18は、判定用温度変化量α1と比較用温度変化量α2を移動平均法によって算出した測定温度を用いて算出する。例えば、温度センサの測定誤差によって、個々の時点での測定値にばらつきが生じやすく、ばらつき度が大きく測定されてしまった温度を用いて判定用温度変化量α1と比較用温度変化量α2を算出した場合、温度センサが二次電池12から離間していても、判定用温度変化量α1と比較用温度変化量α2との差の絶対値が一定値以上にならない虞がある。しかし、平均値を用いることで、温度のばらつきを均した判定用温度変化量α1及び比較用温度変化量α2とすることができ、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間しているか否かの判定精度を高めることができる。
(1−4)2つの電池スタック13において、二次電池12の並設方向Xの一端寄りに配置され、かつ2つの電池スタック13の並び方向Yに並んだ第1温度センサ14同士のうち、一方の第1温度センサ14を判定対象温度センサ141とし、他方を比較用温度センサ142とした。このため、2つの電池スタック13同士で同じ位置関係にある第1温度センサ14を、判定対象とした温度センサと判定対象以外の温度センサとすることで、電池スタック13内でに位置に起因する他の条件による影響を小さくして温度変化量を比較できる。その結果として、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間しているか否かの判定精度を高めることができる。
(第2の実施形態)
以下、温度センサの異常検出装置を具体化した第2の実施形態を図5〜図6にしたがって説明する。なお、第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同様な記載については、同一符号を付すことで説明を省略、あるいは、簡略する。
車両10の走行中の各電池スタック13において、二次電池12の並設方向Xの位置のうち、並設方向Xの中央付近の二次電池12は、並設方向Xに隣り合う二次電池12の熱を受けて温度上昇しやすい。その一方で、並設方向Xの端に近い二次電池12ほど、他の二次電池12の熱の影響が小さく温度上昇しにくい。
このため、図5に示すように、並設方向Xの一端寄りに配置された第1温度センサ14と、並設方向Xの他端寄りに配置された第3温度センサ16によって測定される温度は、並設方向X中央に配置された第2温度センサ15によって測定される温度よりも低くなりやすい。
また、電池ECU18は、二次電池12の温度が上昇すると、ファン19を駆動させる。すると、ファン19からの送風により、図5の矢印に示すように、第1〜第3温度センサ14〜16によって測定される温度も低下する。図6の1点鎖線に示すように、ファン19を駆動させないと、二次電池12の温度は上昇し続ける。なお、図6のグラフの横軸は時間に対応し、縦軸は温度に対応している。
また、図5に示すように、ファン19との距離が近いほど、ファン19による二次電池12の冷却効果が大きくなり、二次電池12の温度は低下しやすい。このため、並設方向X一端側の第1温度センサ14によって測定される温度は、図5の三角印に示すように、並設方向X他端側の第2温度センサ15によって測定される温度より低くなり、並設方向Xの位置によって、測定される温度に差が生じる。
そして、第1温度センサ14に測定される温度と第2温度センサ15によって測定される温度を比較した場合、ファン19の駆動前と駆動後に生じる温度低下量が異なり、具体的には、第1温度センサ14によって測定される温度の温度低下量が、第2温度センサ15によって測定される温度の温度低下量よりも大きくなる。その結果、第1温度センサ14と第2温度センサ15が、ファン19に対する距離を除いて同じ条件で温度を測定したとしても、第1温度センサ14によって測定される温度から算出される温度変化量は、第2温度センサ15によって測定される温度から算出される温度変化量よりも大きくなる。
そこで、電池ECU18は、並設方向Xに並ぶ温度センサ同士を比較して異常検出処理を行う際、ファン19からの温度センサの距離に応じて温度変化量を補正する。補正方法としては、例えば、ファン19による冷却の際に一定時間で生じる第1温度センサ14と第2温度センサ15の温度低下量を予め測定し、両方の温度低下量の差を補正定数として設定しておく。そして、ファン19に最も近い第1温度センサ14によって測定された実際の温度に対し、補正定数を加味することにより、図5の白丸印に示すように、三角印で示す温度に比べて高い温度が、測定値として取得される。そして、補正後の温度を用いて第1温度センサ14によって測定された温度から算出される温度変化量は、温度を補正する前に比べて小さくなる。なお、温度の補正方法は、測定された温度に補正係数を乗じて補正する方法や、測定された温度と補正温度とを予め対応付けたマップから導出する方法であってもよい。
次に、電池ECU18による温度センサの異常検出処理について説明する。以下の説明において、1つの電池スタック13の第1〜第3温度センサ14〜16のうち、並設方向一端寄りの第1温度センサ14を判定対象温度センサ141とし、並設方向中央の第2温度センサ15を比較用温度センサ142とする。そして、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間し、比較用温度センサ142は二次電池12に接触しているとする。
さて、電池ECU18は、ファン19の駆動後、図4のフローチャートに示すステップS1の処理を行う。そして、電池ECU18は、電流積算値が既定値に達している場合(ステップS1でYES)、ステップS2に移行し、測定温度を取得する。このとき、電池ECU18は、ファン19からの距離に応じた補正を行い、補正された補正温度を測定温度として取得する。
ステップS3において、電池ECU18は、判定対象温度センサ141による測定温度(補正済みの温度)から判定用温度変化量α1を算出するとともに、比較用温度センサ142による測定温度から比較用温度変化量α2を算出する。
図6に示すように、判定用温度変化量α1は、比較用温度変化量α2よりも大きい。これは、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間し、かつファン19からの送風によって冷却されていることに起因して、判定対象温度センサ141によって測定される温度が、急激に低下するからである。
次に、ステップS4において、電池ECU18は、判定用温度変化量α1と比較用温度変化量α2との差の絶対値を算出し、その絶対値が一定値以上であるか否かを判定する。絶対値が一定値以上である場合(ステップS4でYES)はステップS5に移行する。なお、絶対値が一定値以上でない場合(ステップS4でNO)、電池ECU18は処理を終了する。
ステップS5において、電池ECU18は、判定対象温度センサ141によって測定される温度が、比較用温度センサ142によって測定される温度より低いか否かを判定する。この判定は、例えば、同じ温度測定時点での温度を比較する。判定対象温度センサ141によって測定された温度が、比較用温度センサ142によって測定された温度より低い場合(ステップS5でYES)、電池ECU18は、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間した異常ありと判定する(ステップS6)。
図6のグラフに示すように、ファン19の駆動後、二次電池12に接触した比較用温度センサ142によって測定される温度は、ファン19からの送風による二次電池12の冷却に伴って若干低下するが、二次電池12の持つ熱もあるため、一定時間の間での温度変化量は小さくなりやすい。その一方で、二次電池12より離間した判定対象温度センサ141によって測定される温度は、二次電池12の熱による影響が小さく、しかも温度センサそのものがファン19からの送風によって冷却されるため、一定時間の間での温度変化量が大きくなる。判定対象温度センサ141が二次電池12より離間していると、判定用温度変化量α1と比較用温度変化量α2との差の絶対値が大きく開きやすくなる。
また、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間し、かつファン19からの送風によって冷却されていることに起因して、判定対象温度センサ141によって測定される温度が低くなり、二次電池12に接触している比較用温度センサ142によって測定される温度より低くなる。
その結果、ステップS4及びステップS5でYESの場合には、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間していることになる。
なお、判定対象温度センサ141による測定温度が比較用温度センサ142による測定温度より低くない場合(ステップS5でNO)、電池ECU18は、処理を終了する。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(2−1)温度センサが二次電池12から離間していると、ファン19からの送風によって、測定される温度が急激に低下し、温度変化量が大きくなる。したがって、判定対象温度センサ141が二次電池12より離間していると、判定用温度変化量α1と比較用温度変化量α2との差の絶対値が大きく開きやすく、二次電池12より離間した温度センサを精度良く検出できる。
(2−2)電池ECU18は、ファン19からの距離が近い第1温度センサ14によって測定された温度を補正し、ファン19からの距離が第1温度センサ14よりも遠い第2温度センサ15との温度差が小さくなるように補正する。そして、電池ECU18は、補正した温度を用いることで第1温度センサ14の温度変化量が小さくなるように補正する。よって、電池スタック13において、並設方向Xに沿ったファン19からの距離に依存して温度低下量に差が生じても、その差が小さくなるように温度変化量を補正する。その結果、ファン19からの送風による影響を小さくして判定を行うことができ、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間しているか否かの判定精度を高めることができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 各実施形態において、図4のフローチャートに示す、電流積算値が既定値に達したかの判定(ステップS1)を行ったが、ステップS1は行わなくてもよい。この場合においても、ステップS2〜ステップS6の処理によって、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間しているか否かの判定を行うことができる。
○ 第2の実施形態において、ファン19に最も近い第1温度センサ14によって測定される温度に対し、補正定数を加味したが、他の温度センサによって測定される温度に対して補正定数を加味してもよい。例えば、第2温度センサ15や第3温度センサ16によって測定される温度に対し、補正定数を加味し、第2温度センサ15や第3温度センサ16によって測定された温度から算出される温度変化量が、温度を補正する前に比べて大きくなるようにしてもよい。また、一つの温度センサだけでなく、複数の温度センサに補正定数を加味してもよい。
○ 第2の実施形態において、ファン19からの送風強度に応じて補正定数を変更してもよい。ファン19との距離が近い二次電池12において、ファン19からの送風強度に応じて温度低下量も変化する。このため、ファン19からの送風強度に応じて補正定数を変更して温度変化量を補正することにより、ファン19からの送風強度による影響を小さくして判定を行うことができ、判定対象温度センサ141が二次電池12から離間しているか否かの判定精度を高めることができる。
○ 第1の実施形態において、電池ECU18は、電池スタック13内における並設方向Xの温度センサの位置に応じて、温度センサによって測定された温度を補正し、算出される温度変化量を補正してもよい。
電池スタック13において、並設方向Xの中央付近の二次電池12は、並設方向Xに隣り合う二次電池12の熱を受けて温度上昇しやすい一方で、並設方向Xの端に近い二次電池12ほど、他の二次電池12の熱を受けにくく温度上昇しにくい。
したがって、並設方向Xの一端寄りに配置された第1温度センサ14と、並設方向Xの他端寄りに配置された第3温度センサ16によって測定される温度は、並設方向X中央に配置された第2温度センサ15によって測定される温度よりも低くなりやすい。
よって、第1温度センサ14及び第3温度センサ16と第2温度センサ15とでは、電池スタック13での並設方向Xの位置に起因して温度変化量が異なることになる。その結果、第1温度センサ14及び第3温度センサ16と第2温度センサ15が、ファン19に対する距離を除いて同じ条件で温度を測定したとしても、第1温度センサ14及び第3温度センサ16によって測定される温度から算出される温度変化量は、第2温度センサ15によって測定される温度から算出される温度変化量よりも小さくなる。
そこで、電池ECU18は、並設方向Xに並ぶ温度センサ同士を比較して異常検出処理を行う際、並設方向Xでの温度センサの位置に応じて温度変化量を補正する。補正方法としては、例えば、充放電中の一定時間で生じる第1温度センサ14又は第3温度センサ16と第2温度センサ15の温度差を予め測定し、測定された温度差を補正定数として設定しておく。なお、温度の補正方法は、測定された温度に補正係数を乗じて補正する方法や、測定された温度と補正温度とを予め対応付けたマップから導出する方法であってもよい。
そして、第1温度センサ14又は第3温度センサ16によって測定された実際の温度に対し、補正定数を加味することにより、第1温度センサ14又は第3温度センサ16の測定温度が取得される。そして、補正後の温度を用いて第1温度センサ14又は第3温度センサ16によって測定された測定温度から算出される温度変化量は、温度を補正する前に比べて大きくなる。よって、電池スタック13における二次電池12の並設方向Xに沿った温度センサの位置に応じて温度変化量を補正し、並設方向Xに沿う位置の影響を少なくすることにより、温度センサの離間の有無を精度良く判定できる。
なお、温度センサによって測定される温度への補正は、第1温度センサ14及び第3温度センサ16の両方に行ってもよい。また、第2温度センサ15によって測定される温度に補正定数を加味し、補正後の温度を用いて第2温度センサ15によって測定された温度から算出される温度変化量が、温度を補正する前に比べて小さくなるようにしてもよい。
○ 電池ECU18による温度センサの異常検出処理を、車両10の停止中に行ってもよい。
図7のグラフに、二次電池12から離間した判定対象温度センサ141によって測定された温度を2点鎖線で示し、二次電池12に接触した比較用温度センサ142によって測定された温度を実線で示す。図7のグラフの横軸は時間に対応し、縦軸は温度に対応している。図7のグラフでは、車両10が、停車した状態から走行を開始し、その後、再び停車したときの温度変化を示している。
車両10が停止し、二次電池12の充放電が停止されると、二次電池12の温度は車両10停止直前での二次電池12の発熱によって若干温度上昇する。その後、二次電池12の温度は徐々に低下していく。温度センサが二次電池12に接触していれば、温度センサによって測定される温度は、上記した二次電池12の温度変化に応じた温度になり、比較用温度センサ142によって測定される温度は、図7の実線のグラフに示すようになる。
しかし、温度センサが二次電池12から離間していると、その温度センサは、二次電池12ではなく、二次電池12周囲の環境温度を測定することになる。その結果、二次電池12から離間している判定対象温度センサ141によって測定される温度は、二次電池12の温度より低い温度となり、図7の2点鎖線に示すようになる。すなわち、判定対象温度センサ141によって測定される温度は、比較用温度センサ142によって測定される温度より低く、急激に低下していく。その結果、二次電池12より離間した判定対象温度センサ141から取得される判定用温度変化量α1は比較用温度変化量α2より大きくなる。
このため、二次電池12に接触した温度センサと、二次電池12から離間した温度センサとでは温度変化量に差が生じる。そして、電池ECU18は、判定用温度変化量α1と比較用温度変化量α2とを用いて、二次電池12から温度センサが離間しているか否かを判定する。
このとき、電池ECU18は、判定用温度変化量α1と比較用温度変化量α2との差の絶対値を算出し、その絶対値が一定値以上であるか否かを判定する。絶対値が一定値以上である場合、判定対象とした温度センサによって測定される温度が、比較用の温度センサによって測定された温度より低い場合に、電池ECU18は、判定対象とした温度センサが二次電池12から離間した異常ありと判定する。
○ 各実施形態において、判定用温度変化量α1及び比較用温度変化量α2を算出するときに用いる値は、移動平均法によって求めた値ではなく、一定時間の最初と最後の2点で測定された値を用いてもよい。例えば、第1の実施形態において、時点t0で温度センサによって測定された温度と、時点t1で温度センサによって測定された温度を用いて判定用温度変化量α1及び比較用温度変化量α2を算出してもよい。
○ 判定用温度変化量α1及び比較用温度変化量α2を算出するのに用いる値(時点t0での温度、時点t1での温度)を移動平均法によって算出する場合、実施形態では、4つの値(時点t0〜t3、時点t1〜t4)の移動平均としたが、2つ又は3つの値の移動平均としてもよい。
○ 判定用温度変化量α1及び比較用温度変化量α2を算出するのに用いる値(時点t0での温度、時点t1での温度)を移動平均法によって算出せず、各時点での温度センサの測定値をそのまま用いてもよい。
○ 各実施形態において、判定対象以外の温度センサを、2つの電池スタック13のうちの判定対象温度センサ141以外の全ての温度センサ又は複数の温度センサとし、比較用温度変化量α2を、判定対象温度センサ141以外の全て又は複数の温度センサの測定値の平均値を用いて算出してもよい。
○ 第2の実施形態において、電池ECU18は、ファン19からの判定対象の温度センサの位置及びファン19の送風強度の少なくとも一つに応じて、判定用温度変化量α1と比較用温度変化量α2との差の絶対値と比較する「一定値」を補正してもよい。例えば、ファン19と判定対象の温度センサとの距離が近い場合やファン19の送風強度が強い場合など、温度変化量にファン19の影響が大きく現れる場合には、誤検出を抑制するために一定値を大きく設定してもよい。
○ 第2の実施形態において、電池ECU18によって算出された判定用温度変化量α1及び比較用温度変化量α2そのものを、電池スタック13での並設方向Xの位置や、ファン19からの距離、ファン19の送風強度に応じて補正してもよい。
12…二次電池、13…電池スタック、14…第1温度センサ、15…第2温度センサ、16…第3温度センサ、18…判定部としての電池ECU、19…ファン。

Claims (8)

  1. 複数の二次電池を有する電池スタックと、
    前記電池スタックの中の複数の前記二次電池それぞれに接触させた複数の温度センサと、
    複数の前記温度センサのうちの判定対象とした一つの温度センサが前記二次電池より離間しているか否かを判定するための判定部と、を有する電池パックの異常検出装置であって、
    前記判定部は、前記判定対象とした温度センサによって複数回に亘って測定された温度から、一定時間の間での温度変化量を判定用温度変化量として算出するとともに、
    判定対象以外の温度センサによって複数回に亘って測定された温度から、前記一定時間の間での温度変化量を比較用温度変化量として算出し、
    算出した前記判定用温度変化量と前記比較用温度変化量との差の絶対値が一定値以上であり、
    かつ前記判定用温度変化量が前記比較用温度変化量より小さい、又は前記判定対象とした温度センサによって測定された温度が、前記判定対象以外の温度センサによって測定された温度より低い場合に、前記判定部は前記判定対象とした温度センサが前記二次電池より離間していると判定することを特徴とする温度センサの異常検出装置。
  2. 前記判定部は、ファンからの送風によって前記電池スタックの冷却が行われているときに前記温度センサが前記二次電池より離間しているか否かの判定を行う請求項1に記載の温度センサの異常検出装置。
  3. 前記判定部は、前記二次電池の充放電中に流れる充放電電流を積算した電流積算値が既定値を超えた場合に、前記温度センサが前記二次電池より離間しているか否かの判定を行う請求項1又は請求項2に記載の温度センサの異常検出装置。
  4. 前記判定部は、前記比較用温度変化量を、前記判定対象以外の複数の前記温度センサによって測定された温度の平均値を用いて算出する請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の温度センサの異常検出装置。
  5. 前記判定対象以外の温度センサは、前記判定対象とした温度センサが設けられた前記電池スタックと前記二次電池の並設方向と交差する方向に並ぶ別の電池スタックに設けられた温度センサであり、前記判定対象とした温度センサと前記判定対象以外の温度センサとは、それぞれの前記電池スタックにおける前記二次電池の並設方向での位置が同じであり、かつ複数の前記電池スタックの並び方向に並んでいる請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の温度センサの異常検出装置。
  6. 前記判定部は、前記電池スタックにおける前記二次電池の並設方向に沿った前記温度センサの位置に応じて前記判定用温度変化量及び前記比較用温度変化量を補正する請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の温度センサの異常検出装置。
  7. 前記判定部は、ファンからの送風によって前記電池スタックの冷却が行われているときに、判定対象とされた前記温度センサと前記ファンとの距離に応じて前記温度変化量の補正を行う請求項6に記載の温度センサの異常検出装置。
  8. 前記判定部は、前記ファンによる送風強度に応じて前記温度変化量の補正を行う請求項7に記載の温度センサの異常検出装置。
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